説明

印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、並びに、色修正データを作成する装置、方法およびプログラム

【課題】プリンタ間のインク吐出重量のばらつきがあっても基準色に対する良好な色再現性を維持するとともに、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることを課題とする。
【解決手段】インク量基準プリンタで印刷媒体上に付着するインクの量に対する対象プリンタで印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準プリンタで基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の基準パッチP1に対する対象プリンタの使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の色補償用パッチP2の色ずれを補償させるように、入力階調データと出力階調データとの色修正対応関係を規定した対象ドット振分テーブル14cを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、並びに、色修正データを作成する装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の印刷制御装置では、色変換LUT(色変換テーブル)を参照してRGB(赤、緑、青)毎の階調値からなる画像データを例えばCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)毎の階調値からなる画像データに色変換し、カラープリンタで形成可能なドットの大きさ毎のドット記録率を決定し、決定したドット記録率に基づいて各ドットの大きさ毎にドットの形成有無を判断し、該判断結果に基づいてプリンタに各ドットを形成させている。各色の階調をできるだけ正確に再現するため、単位面積当たりに吐出されるインクの重量をできるだけ正確にさせる工夫がなされている。
【0003】
特許文献1記載の技術では、インクの要素色CMYK毎に、基準プリンタで吐出されるインクの重量に対するキャリブレーション対象のプリンタで吐出されるインクの重量のずれを補償している。
特許文献2記載の技術では、インクのサイズ毎に、プリンタで吐出されるインクの重量の誤差を補償している。
【特許文献1】特開2001−246783号公報
【特許文献2】特開2003−182120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタで使用するインクのロットを変更すると、インク中の色剤の濃度が違う等により、印刷媒体上に付着したインクの発色の違いによる色ずれが生じることがあった。そこで、使用するインクのロットが変わっても、基準色に対する良好な色再現性を維持したいという希望があった。
【0005】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、印刷装置間のインク付着量のばらつきがあっても基準色に対する良好な色再現性を維持するとともに、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の印刷制御装置は、印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御を行う際、修正前の色を表す入力階調データから修正後の色を表す出力階調データに変換し、変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行う印刷制御装置であって、上記入力階調データは、インクの付着量の基準としたインク量基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、対応関係規定手段と変換手段と印刷制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
上記対応関係規定手段にて、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係が規定される。その際、上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、色修正対応関係が規定される。
色修正対応関係が規定されると、上記変換手段にて、上記色修正対応関係に従って上記入力階調データが上記出力階調データに変換される。そして、上記印刷制御手段にて、上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換手段による変換後の出力階調データに対応した同対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御が行われる。すると、対象インクを使用する印刷制御対象の対象印刷装置で印刷媒体上に印刷される印刷画像は、印刷装置間のインク付着量のずれが補償され、かつ、インク間の発色のずれが補償された画像となる。
【0008】
以上のように、キャリブレーション対象の対象印刷装置について基準の色を再現する基準印刷装置に対するインク量の誤差による色ずれが生じなくなり、かつ、使用対象の対象インクについて基準の色を発色する基準インクに対する発色の誤差による色ずれが生じなくなる。従って、印刷装置間のインク付着量のばらつきがあっても基準色に対する良好な色再現性を維持するとともに、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることが可能となる。
【0009】
ここで、上記インクは、液体でも固体でもよく、インクジェットノズルから吐出されるインクでもよいし、レーザープリンタで使用されるトナーインクでもよい。上記インクの付着量は、ノズルから吐出されるインクの重量や体積、印刷媒体に付着するインクの重量、等とすることができる。
上記インク量基準印刷装置と上記インク比較基準印刷装置とは、同じ装置でも異なる装置でもよい。上記インク比較基準印刷装置と上記対象印刷装置とは、同じ装置でも異なる装置でもよい。インクの付着量のずれを補償させる際、インク量基準印刷装置によるインク付着量と、インク量基準印刷装置の印刷ヘッドを対象印刷装置の印刷ヘッドに交換した装置によるインク付着量との差異を少なくさせてもよく、この場合も本発明に含まれる。
上記ドット形成量は、印刷媒体上で単位面積当たりに形成されるインクドットの数が表された量でもよいし、同インクドットの数の比が表されたドット記録率でもよい。
上記標準画像は、インク一種類で形成される画像でもよいし、インク二種類以上で形成される画像でもよい。ここで、標準画像を全体が一様な無地の画像とすると、より正確に測色データを得ることができるので、対象印刷装置について基準色に対する良好な色再現性を得ることができる。
上記標準の記録量を一種類にすると、より迅速にキャリブレーション作業を行うことが可能となる。
【0010】
上記対応関係規定手段は、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成し、上記変換手段は、上記色修正データを参照して上記入力階調データに対応した上記出力階調データを上記変換後の出力階調データとして取得する構成としてもよい。すると、色修正データを参照して階調データを変換することにより、容易にインク付着量のずれとインクの発色度合のずれとが同時に補償され、良好な色再現性が得られる。
上記色修正データは、情報テーブル形式のドット振分テーブル、変換式のパラメータ群、等とすることができる。
【0011】
上記入力階調データは、インク量の異なる二以上の種類のドットを印刷媒体上に形成可能とされた上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの使用量を表す階調データとされ、上記出力階調データは、上記二以上の種類のうち少なくとも一部である複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す階調データとされ、上記対応関係規定手段は、上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを上記複数種類のドットのそれぞれについて補償させ、かつ、上記インク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される上記標準のドット形成量の標準画像に対する上記対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを上記複数種類のドットのそれぞれについて補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定した上記色修正データを作成し、上記印刷制御手段は、上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換後の出力階調データに対応した同対象インクの複数種類のドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる構成としてもよい。
すると、印刷装置に使用させるインクのロットを変更する場合でも色変換テーブルを作り直す必要がないので、対象印刷装置のキャリブレーション作業を迅速化させることが可能となる。また、複数のインクセットを交換して使用する場合でも複数の色変換テーブルを記憶しておく必要がなくなるので、記憶させるデータの量を少なくさせることが可能となる。
上記色修正データは、入力階調データの全階調におけるドット形成量を規定したデータでもよいし、入力階調データの一部の階調におけるドット形成量を規定したデータでもよい。
【0012】
上記対応関係規定手段は、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、上記インク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに上記印刷媒体上に印刷される標準画像を所定の色空間で測色して得られる基準測色データと上記対象インクを使用したときに上記印刷媒体上に印刷される標準画像を同所定の色空間で測色して得られる測色データとの差異を少なくさせるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する構成としてもよい。より客観的に評価可能な測色データから色修正データの対応関係が規定されるので、色修正データはより正確に基準インクと対象インクとの色の違いを少なくさせるデータとされている。従って、より正確にインクの違いによる色ずれが少なくされた印刷画像を得ることが可能となる。
上記測色データの差異は、所定の色空間での色差、明度等の明るさの差、等とすることができる。
【0013】
上記対応関係規定手段は、基準とした基準色修正データの出力階調データについてインク付着量を補償するように修正して第一の中間データを生成し、同基準色修正データの入力階調データについてインクの発色度合のずれを補償するように修正して第二の中間データを生成し、第二・第一(第二および第一)の中間データを対応付けて色修正データを作成してもよい。これにより、良好な色再現性を有する印刷画像を印刷可能とする色修正データを容易に作成することができる。
【0014】
画像を画素毎に第一要素色毎の階調データで表現した第一画像データを上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの色に対応した第二要素色毎の階調データで表現した第二画像データに色変換する際、同第一要素色毎の階調データと、上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの使用量が同第二要素色毎に表された階調データと、の対応関係を規定した色変換データを参照して色変換する色変換手段をさらに備え、上記変換手段は、上記色修正データを参照して上記第二画像データを構成する画素毎の階調データを上記入力階調データとして上記出力階調データに変換する構成としてもよい。これにより、印刷装置に使用させるインクのロットを変更する場合でも色変換手段が参照する色変換データを作り直す必要がないので、色ずれを補償するキャリブレーション作業を迅速化させることが可能となる。また、インクのロット毎に色修正データを記録する場合でも色変換手段が参照する色変換データを複数記録しておく必要がないので、記録させるデータの量が少なくて済む。
上記色変換データは、情報テーブル形式の色変換テーブル、変換式のパラメータ群、等とすることができる。上記画素は画像を表現できる数があればよく、上記画像データは例えば4×4画素、8×8画素のような小画像を表現するものでもよい。
【0015】
上記対象印刷装置は、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれおよび上記標準画像の色ずれを表す誤差情報を記録した記録媒体を有し、着脱可能に装着されたインクカートリッジに充填された上記対象インクを使用して印刷するとともに同記録媒体から同誤差情報を読み出して外部に出力可能な装置であり、上記対応関係規定手段は、上記対象印刷装置から出力される誤差情報を取得する誤差情報取得手段を備え、取得した誤差情報を用いることにより、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、上記標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する構成としてもよい。すると、インクロット間の発色ばらつきをユーザに意識させることなく、容易に対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対する良好な色再現性を得ることが可能となる。
【0016】
また、上記対応関係規定手段は、上記対象インクのロットを識別可能とするロット情報を取得する識別情報取得手段と、同対象インクのロット毎に対応する同ロット情報と上記標準画像の色ずれを表す発色誤差情報とを対応付けて記憶するとともに入力されるロット情報に対応する発色誤差情報を読み出して外部に出力するサーバに双方向通信可能な通信網を介して同取得したロット情報を出力する識別情報出力手段と、同通信網を介して同サーバから出力される発色誤差情報を取得する誤差情報取得手段とを備え、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、取得した発色誤差情報を用いることにより上記標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する構成としてもよい。発色誤差情報をインクカートリッジの記録媒体に記録する場合にはデータ量が制限されたり、記録媒体のデータ量を増やす必要があるが、サーバからインクロットに対応した発色誤差情報を取得する構成にすることにより、記録媒体のデータ量を増やすことなく発色誤差情報をデータ量の多い情報とすることができる。従って、対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対するより良好な色再現性を得ることが可能となる。
【0017】
上記対象印刷装置は、上記ロット情報を記録した記録媒体を有して着脱可能に装着されたインクカートリッジに充填された上記対象インクを使用して印刷するとともに同記録媒体から同ロット情報を読み出して外部に出力可能な装置であり、上記対応関係規定手段は、上記対象印刷装置に上記インクカートリッジが装着されたか否かを検出する検出手段を備え、同インクカートリッジの装着を検出した時に、上記識別情報取得手段にて上記対象印刷装置から出力されるロット情報を取得し、上記識別情報出力手段にて上記サーバに上記通信網を介して同取得したロット情報を出力し、上記誤差情報取得手段にて同通信網を介して同サーバから出力される発色誤差情報を取得し、取得した発色誤差情報を用いることにより上記色修正対応関係を規定する構成としてもよい。インクカートリッジ交換時に自動的にインクロット間の発色ばらつきが補償されるので、インクロット間の発色ばらつきを利用者に意識させることなく、容易に対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対する良好な色再現性を得ることが可能となる。
【0018】
上記対応関係規定手段は、測色データ取得手段にて、対象インクを使用するインク比較基準印刷装置で印刷媒体上に印刷された当該対象インクのドット形成量を変化させた複数の標準画像のそれぞれを複数の色成分を色成分量とする所定の色空間で測色して得られる測色データを取得し、補間手段にて、同変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量での標準画像の測色データを色成分毎に所定の補間演算により補間しながら求めてもよい。すると、より確実にインクの発色の誤差による色ずれを少なくさせることができ、対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対する色再現性をさらに向上させることが可能となる。
【0019】
ここで、n次多項式(nは2以上の整数)の近似式を求めて上記補間演算を行い、求めた測色データを構成する各色成分量についてドット形成量の変化に対して前後両方の色成分量よりも大きくなった色成分量または前後両方の色成分量よりも小さくなった色成分量が存在するとき、少なくとも当該色成分量についてスプライン補間または線形補間により色成分量を求め直してもよい。すると、全体として高精度に補間された測色データを求めることができ、対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対する色再現性をさらに向上させることが可能となる。
【0020】
なお、上記色空間と色成分と色成分量は、国際照明委員会(CIE)で規定されたCIE L***色空間であればL*,a*,b*の各色成分とこれらの各値、CIE L***色空間であればL*,u*,v*の各色成分とこれらの各値、CIE XYZ色空間であればX,Y,Zの各色成分とこれらの各値、RGB色空間であればR,G,Bの各色成分とこれらの各値、等、様々な組み合わせが考えられる。ここで、L*は明度(明るさ)を表す要素色であり、a*,b*,u*,v*は色相および彩度を表す要素色である。以下、「*」を省略して記載する。
【0021】
ところで、印刷制御装置と、通信網を介して同印刷制御装置と双方向通信可能に接続されるサーバとを備えた印刷制御システムであっても、同様の作用により、誤差情報をデータ量の多い情報とすることができ、対象印刷装置で対象インクを使用して基準色に対するより良好な色再現性を得ることが可能となる。
【0022】
また、印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置で印刷される色のずれを修正する際に参照するための、修正前の色を表す入力階調データと修正後の色を表す出力階調データとの対応関係を規定した色修正データを作成する色修正データ作成装置を構成してもよい。
以上の装置で作成された色修正データを参照して入力階調データを出力階調データに変換し、変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行うことにより、キャリブレーション対象の対象印刷装置について基準の色を再現する基準印刷装置に対するインク量の誤差による色ずれが生じなくなり、かつ、使用対象の対象インクについて基準の色を発色する基準インクに対する発色の誤差による色ずれが生じなくなる。従って、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることが可能となる。
【0023】
上述した印刷制御装置や色修正データ作成装置は、ある機器に組み込まれた状態で他の方法とともに実施されることもある等、各種の態様を含む。例えば、印刷装置を備える印刷システムとしても適用可能である。また、上記印刷制御装置やドット形成量データ作成装置の構成に対応した所定の手順に従って処理を進めていくことも可能であるので、本発明は制御方法としても適用可能であり、請求項13、16にかかる発明も、同様の作用、効果を有する。さらに、上記装置にて制御プログラムを実行させる場合もあるので、請求項14、17に記載したプログラムや、同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても適用可能であり、同様の作用、効果を有する。むろん、請求項2〜12に記載した構成を上記方法やプログラムや記録媒体に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)印刷システムおよびドット形成量データ作成装置の構成:
(2)色修正データ作成方法および作成処理:
(3)色修正データを用いた印刷制御処理:
(4)変形例:
【0025】
(1)印刷システムおよびドット形成量データ作成装置の構成:
図1は本発明の一実施形態である印刷制御装置U0の構成を模式的に示す図であり、図2は本実施形態において本発明の印刷制御装置および色修正データ作成装置となるパーソナルコンピュータ(PC)10、印刷装置(印刷手段)となるカラー印刷可能なインクジェットプリンタ20、等から構成された印刷システムを示している。図3は、色修正データ作成方法を模式的に示す図である。むろん、本発明に用いられるコンピュータは、PCに限定されない。
【0026】
PC10では、CPU11がシステムバス10aを介してPC全体を制御する。同バス10aには、ROM12、RAM13、CD−ROMドライブ15、フレキシブルディスク(FD)ドライブ16、各種インターフェイス(I/F)17a〜e等が接続され、ハードディスクドライブを介して磁気ディスクであるハードディスク(HD)14も接続されている。RAM13には、一時的に、画像データ13a、基準測色データ13b、測色データ13c、等が格納される。
【0027】
HD14にはオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラム(APL)等が記憶されており、実行時にCPU11によって適宜RAM13に転送され、実行される。HD14は、本発明の印刷制御プログラムや色修正データ作成プログラム、各種情報テーブル14a〜c、標準インク使用量データ14d、各種閾値、等を記憶(記録)した所定の記憶領域(データ記録領域)とされている。I/F17a(例えばUSB I/F)には、デジタルカメラ等を接続可能である。
なお、色修正データ作成装置(対応関係規定手段)を含む印刷システムの場合、I/F17aにはカラー測色機40を接続しておく。この測色機40は、測色する対象に色検出部40aを向けることにより、CIE(1976)規格におけるLab表色系に基づく複数の色成分L,a,bを色成分量(色彩値)として取得可能であり、取得した色成分量L,a,bをPC10に対して出力可能である。ここで、CIE Lab色空間(所定の色空間)は、複数の色成分L,a,bを色成分量とするデバイスに依存しない均等色空間である。なお、Lは明度(明るさ)を表し、a,bは色相および彩度を表す色座標である。むろん、測色する色空間は、CIE XYZ色空間、CIE Luv色空間、RGB色空間、等であってもよい。
CRTI/F17bにはカラー画像データに基づいて当該データに対応する画像を表示するディスプレイ18aが接続され、入力I/F17cにはキーボード18bやマウス18cが操作用入力機器として接続され、プリンタI/F17eには例えばシリアルI/Fケーブルを介してプリンタ20が接続されている。
【0028】
プリンタ20は、CMYRVK(シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、バイオレット、ブラック)の各色に対応してそれぞれ設けられた6個のインクカートリッジ28に充填された6色のインクを印刷ヘッドから吐出して、印刷用紙(印刷媒体)にインクを付着させてドットを形成することによりカラー画像を表現した印刷データに対応する印刷画像を印刷する。むろん、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトブラック、ダークイエロー、無着色インク、等も使用するプリンタを採用してもよいし、CMYRVKのいずれかのインクを使用しないプリンタを採用してもよい。また、インク通路内に泡を発生させてインクを吐出するバブル方式のプリンタや、トナーインクを使用して印刷媒体上に印刷画像を印刷するレーザープリンタ等、種々の印刷装置を採用可能である。印刷装置が使用するインクは、液体でも固体でもよい。本実施形態の各インクは、水性の溶媒に微細な顔料からなる色材を混合したインクとされているが、染料からなる色剤を混合したインクとしてもよいし、油性の溶媒を用いたインクとしてもよい。
本プリンタ20では、CPU21、ROM22、RAM23、通信I/O24、コントロールIC25、ASIC26、I/F27、等がバス20aを介して接続され、CPU21がROM22に書き込まれたプログラムに従って各部を制御する。
【0029】
キャリッジ機構27aにて主走査方向に往復動するキャリッジには、各インクカートリッジ28をそれぞれ所定の装着箇所にて装着可能なカートリッジホルダ32が設けられているとともに、印刷ヘッドユニット29が搭載されている。本実施形態のホルダ32は、全6種類のインクのそれぞれに対応する6箇所の装着箇所が形成されている。各カートリッジ28は、対応する色のインクを充填可能な所定の充填室が形成され、ホルダ32の各装着箇所に対して着脱可能に装着されている。
印刷ヘッドユニット29は、CMYRVKの6種類のインク毎に設けられた印刷ヘッド29a〜fと半導体メモリ(記録媒体の一つ)31を備えている。このメモリ31は、例えばEEPROMとすることができ、印刷媒体上に付着するインクの量のずれを表す重量誤差情報31aが記録されている。プリンタに組み付けられた各印刷ヘッド29a〜fは対応する色のインクを吐出して印刷用紙上に付着させることが可能であり、プリンタ20はインクの種類毎に対応する印刷ヘッド29a〜fを用いて印刷用紙上にドットを形成して印刷画像を印刷する。
各カートリッジ28にも半導体メモリ(記録媒体の一つ)28aがそれぞれ設けられており、各メモリ28aは電気的にコントロールIC25と接続されている。このメモリ28aも、例えばEEPROMとすることができ、標準画像の色ずれを表す発色誤差情報28bが記録されている。
【0030】
通信I/O24は、PCのプリンタI/F17eと接続されている。プリンタ20は、通信I/O24を介して、PC10から送信される色別のラスタデータを受信したり、メモリ28a,31から誤差情報28b,31aを読み出して外部のPC10に対して出力することが可能である。ASIC26は、CPU21と所定の信号を送受信しつつヘッド駆動部26aに対してラスタデータに対応する印加電圧データを出力する。同ヘッド駆動部26aは、同印加電圧データから印刷ヘッド29a〜fに内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成し、印刷ヘッド29a〜fに6色のインクをドット単位で吐出させる。I/F27に接続されたキャリッジ機構27aや紙送り機構27bは、印刷ヘッドユニット29を主走査させたり、適宜改ページ動作を行いながら印刷用紙を順次送り出して副走査を行ったりする。
【0031】
印刷ヘッド29a〜fには各色毎に複数個のインクジェットノズルが設けられ、同ノズルのそれぞれに対応してピエゾ素子が配置されている。特開2003−182120号公報(特に段落0024〜0025)に記載されているように、ピエゾ素子は、ノズルまでインクを導くインク通路に接する位置に設置され、同ピエゾ素子の両端に設けられた電極間に電圧が印加されると伸張し、インク通路の一側壁を変形させる。すると、インク通路の収縮分に相当するインクがインク滴となってノズルの先端から吐出され、印刷媒体に染み込むことによりドットが形成されて印刷が行われる。そして、印加電圧の駆動波形の電圧差が大きいほど、ドットは大きくなる。
本プリンタ20は、インク量(例えばインク滴の重量。インク滴の体積でもよい)が異なる大中小の3種類(二以上の種類)のドットを印刷媒体上に形成可能であり、色毎に同じ印刷ヘッドから異なる複数段階のインク量のインクを吐出し、当該複数段階のインク量に対応する大きさのドットを形成する。PCがプリンタに送信するラスタデータには3種類(複数種類)のドットの種類を識別するための識別情報が付加されており、プリンタは識別情報に対応する種類のドットを形成する。そして、ラスタ毎にドットの種類を表現するドットデータからなるラスタデータを入力すると、プリンタはラスタデータに対応してインク量の異なる複数種類のドットを印刷媒体上に形成する。
【0032】
PC10では、OSにプリンタI/F17eを制御するプリンタドライバ等が組み込まれ、各種の制御を実行する。プリンタドライバは、APLの印刷機能の実行時に稼働され、プリンタI/F17eを介してプリンタ20と双方向の通信を行うことが可能であり、OSを介してAPLから印刷データを受け取ってラスタデータに変換し、プリンタ20に送出する。なお、本発明の印刷制御プログラムは、OS、APL、OSとAPL、のいずれにより構成してもよい。同プログラムを記録した媒体は、HD14以外にも、CD−ROM、FD16a、半導体メモリ、等でもよい。また、通信I/F17dをインターネット網に接続し、所定のサーバから本発明のプログラムをダウンロードして実行してもよい。
【0033】
図1に示す印刷制御装置U0は、データ記録領域を有するHD14と各部U1〜U6を備えている。HD14には、プリンタ20で同時に使用されるCMYRVKのインクのロットに関係なく共通とされた色変換テーブル(色変換データ)14a、基準インクに対して設けられた基準ドット振分テーブル(基準色修正データ)14b、使用するインクのロットに対して生成したドット振分テーブル(色修正データ)14cを記憶している。ドット振分テーブルは、ドット分解テーブルとも呼ばれる。
【0034】
画像入力部U1は、画像データDA1を入力し、画像をRGB(第一要素色)毎の複数の画素で階調表現したRGBデータ(第一画像データ)DA2に変換する。色変換部(色変換手段)U2は、HDに記憶されている色変換LUT14aを参照して、RGBデータDA2を、画像をCMYRVK(第二要素色)毎の複数の画素で階調表現したCMYRVKデータ(第二画像データ)DA3に色変換する。ドット振分部(変換手段)U3は、HDに記憶されているドット振分テーブル14cを参照して、CMYRVKデータDA3を構成する画素毎にプリンタ20で使用されるインクの使用量を表すCMYRVK毎の入力階調データから3種類のドットの形成量を同種類毎に表すCMYRVK毎の出力階調データに変換し、CMYRVKの色毎かつドットの大きさ毎のドット量データDA4を生成する。ハーフトーン処理部(印刷制御手段の一部)U4は、ドット量データDA4に対して所定のハーフトーン処理を行い、色毎かつドットの大きさ毎のハーフトーンデータDA5を生成する。ラスタライズ処理部(印刷制御手段の一部)U5は、ハーフトーンデータDA5に対して所定のラスタライズ処理を行い、色毎かつドットの大きさ毎のラスタデータDA6を生成してプリンタに送出する。これらの各部U4,U5が行う処理により、ドット量データDA4に対応する印刷画像をプリンタに対して印刷させる制御が行われる。
【0035】
図4に示すように、ドット振分テーブル14b,cは、CMYRVK毎に、プリンタ20で使用されるインクの使用量を第一の階調数(例えば256階調)で表現する入力階調データD1,D2と、ドットの種類別にドット形成量を第二の階調数(例えば256階調)で表現する出力階調データD3,D4と、の対応関係を規定した情報テーブルである。同ドット振分テーブルは、入力階調データD1,D2を構成する入力階調値の各階調におけるドットの形成量がドット種類別に表された出力階調値が格納され、HD14に記憶されている。ここで、基準ドット振分テーブル14bは、インクの吐出重量(付着量)の基準としたインク量基準プリンタ(インク量基準印刷装置)で基準とした基準インクを使用するときの同基準インクの使用量が表された入力階調データD1と、複数種類のドットの形成量が同種類毎に表された出力階調データD3と、の色修正対応関係を規定した情報テーブルとされている。対象ドット振分テーブル(色修正データ)14cは、インク量基準プリンタにおける基準インクの使用量が表された第一の階調数の入力階調データD2と、対象プリンタ(対象印刷装置)における同対象プリンタの使用対象の対象インクの使用量が表された第二の階調数の出力階調データD4と、の色修正対応関係を規定した情報テーブルとされている。入力階調データD1,D2は、ともに色ずれの修正前の色が表された階調データであり、出力階調データD4は色ずれの修正後の色が表された階調データである。
ここで、プリンタが吐出するインク滴の重量には、プリンタ機体毎にばらつきが存在する。また、プリンタが使用するインクの色剤濃度にはインクのロット毎にばらつきが存在し、その結果、印刷媒体上で発色するインクの発色度合には、インクのロット毎にばらつきが存在する。そこで、プリンタ機体毎のインク付着量の誤差を補償し、インクのロット毎の発色度合の誤差を補償するために、対応関係規定部U6を設けている。
【0036】
対応関係規定部U6は、修正前の色を表す入力階調データD2と修正後の色を表す出力階調データD4との色修正対応関係を規定し、この色修正対応関係を規定した対象ドット振分テーブル14cを作成する。その際、インク量基準プリンタで印刷媒体上に付着するインクの量に対する対象プリンタで印刷媒体上に付着するインクの量のずれを複数種類のドットのそれぞれについて補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準プリンタ(インク比較基準印刷装置)で基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを同複数種類のドットのそれぞれについて補償させるように、入力階調データと出力階調データとの色修正対応関係を規定する。
対応関係規定部に設けられた誤差情報取得部(誤差情報取得手段)U11は、インクの吐出重量(印刷媒体上に付着するインクの量)のずれおよびインクの発色度合のずれ(インクの違いによる標準画像の色ずれ)を表す誤差情報DA7を取得する。本実施形態では、プリンタ20から出力される誤差情報28b,31aを誤差情報DA7として取得する構成としているが、FD16aや外部のサーバ等から誤差情報を読み込んで取得してもよい。対応関係規定部U6は、取得した誤差情報DA7を用いることにより、インク吐出量のずれとインク発色度合のずれの両方を補償させる対象ドット振分テーブル14cを作成する。以下、同テーブル14cを作成する手順を説明する。
【0037】
(2)色修正データ作成方法および作成処理:
図3に示した本実施形態の色修正データ作成方法では、予め基準ドット振分テーブルを用意したうえで、工程S1〜S8を順番に実施して、対象プリンタで印刷される色のずれを修正する際に参照するための、修正前の色を表す入力階調データと修正後の色を表す出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成する。
【0038】
まず、図5に示すフローチャートを参照して、色修正データ作成装置が行う基準ドット振分テーブルの作成処理について説明する。PC10には、予め、CMYRVKの各基準インクを充填した各インクカートリッジを装着した基準プリンタを接続しておく。同基準プリンタは、上記インク量基準プリンタでも、上記インク比較基準プリンタでも、第三の基準プリンタでもよい。本実施形態では、インク量の最も多い最大ドット(大ドット)を他のインク量のドット(小中ドット)で代替させることにしてドットの各種類におけるドット形成量を決定しており、色毎に処理を行う。まず、CMYRVKの各色に対応させた数値を格納するポインタの値を更新等することにより、CMYRVKの6色の中からデータ作成対象のインク色を設定し、対象のインク色について、インク量の異なる各種類のドットの形成量(階調値)と所定の印刷媒体上での明度との相関を表す相関データを作成し、グラフとして表示する(ステップS105。以下、ステップの記載を省略)。印刷媒体の種類毎に基準ドット振分テーブルを作成する場合、同テーブルを作成する対象の印刷媒体上に複数段階の標準のドット形成量とされた無地のパッチ(標準画像。色票とも呼ばれる)を印刷し、CIE Lab色空間等の所定の色空間で測色して明度Lを取得して、ドット形成量と明度Lとを対応付けて相関データとする。
【0039】
図6はCインクについて作成したドット形成量と明度との相関データを示すグラフ形式の図であり、横軸がドット形成量、縦軸が明度L(0≦L≦100)である。明度Lは、デバイスに依存しない均等色空間であるCIE Lab色空間(CIE Luv色空間等も可)における明度としている。例えば、JIS Z8701にも規定されたCIE XYZ表色系における三刺激値のYおよび完全拡散反射面の標準の光によるYの値Ynから明度Lを求めることができるが、CIE X101010表色系における三刺激値のY10および完全拡散反射面の標準の光によるY10の値Yn等から明度Lを求めてもよい。
ドット形成量は、0(ドット記録率0%)〜255(ドット記録率100%)の階調値で各ドットを記録しない状態から単位面積当たりのデューティ制限(インク量制限)の上限までドットを記録する状態を指定している。グラフの各曲線には、ドットの大きさを付している。ドット形成量はドット記録率と比例しており、ドット形成量を最大階調値255で除算するとドット記録率となる。実際には、3種類のドットについて各ドット形成量でのパッチを表現する画像データを作成し、ハーフトーン処理とラスタライズ処理を行ってラスタデータを作成してプリンタに対して出力し、所定の印刷媒体上に印刷された各パッチの測色結果を取得してドット形成量と明度とを対応させることにより、グラフを作成することができる。ここで、作業者は、PC10に明度Lを測定可能な測色機40を接続しておき、測色機の検出部40aを各パッチに順次押し当てて測色させることにより、同PCに測色結果を取得させることができる。
【0040】
図に示すように、ドットの明度レンジは、インク量が最も小さい最小ドット(小ドット)で一番狭く、インク量が多くなるほど広くなる。各種類のドットにおいてグラフは下に凸であり、低インク形成量において最大ドットでの明度変化率が一番大きく、インク量が少なくなるほど明度変化率が小さくなる。C以外の色についても、明度レンジに差異はあるものの同様の傾向を示す。
次に、最大ドットを除いた各種類のドットの形成量をパラメータX(X>1)で除し、最大ドットの相関データに最も合致するパラメータXcを取得する(S110)。図6のグラフでは、ドット形成量をXで除して最大ドットのグラフに合致させることになる。
【0041】
図7は、ドット形成量をパラメータXで除して小中ドットのグラフを最大ドットのグラフに合致させる様子の説明図である。同図においても横軸がドット形成量、縦軸が明度Lであり、ドット形成量をパラメータXで除する前のグラフを破線で示している。ドット形成量をXで除するとグラフ上の破線が左方向に縮小されるので、Xを調整することによって最大ドットの明度変化の一部に他のドットの明度変化を合わせることができる。
小ドットの場合、パラメータX1で除して小ドットの明度変化を最大ドットの明度変化に合致させたとき、同じ明度値における除算前後のドット形成量の比率がa1・X1:a1(0<a1<255)となる。パラメータX1は、1より大きい値から順次設定値を大きくしていき、各設定値において各ドット形成量での明度値の差の絶対値を足し合わせた値を求め、当該値が最小になる設定値にする等により決定することができる。
上記処理は、最大ドットを除いた小中ドットのそれぞれについて、最大ドットの相関データに最も合致するパラメータX1c,X2cを決定する。得られたパラメータXcは最大ドットを代替する他のドットの形成量を表しているので、最大ドット1個を他のドットXc個で代替すればドットのインク量の差異を補償した代替を行うことができる。
中ドットの場合、パラメータX2で除して中ドットの明度変化を最大ドットの明度変化に合致させたとき、同じ明度値における除算前後のドット形成量の比率がa2・X2:a2(a1<a2<255)となる。
【0042】
S110終了後、まず最大ドットのみについて入力階調値とドット形成量との相関を表す相関データを作成する(S115)。ここで、入力階調値は、プリンタで使用されるインクの使用量が表された色変換後のCMYRVKデータ(入力階調データ)を構成する階調値であり、インクの色別の値である。
【0043】
図8は、Cインクの場合における入力階調値と複数種類のドットの形成量との対応関係を示すグラフ形式の図である。各図において横軸が入力階調値、縦軸がドット形成量(階調値)である。これらの対応関係を規定した情報テーブルが基準ドット振分テーブル14bとされることになり、横軸の階調値が基準ドット振分テーブルの入力階調値とされ、縦軸の各ドットの形成量が出力階調値とされる。MYRVKの場合も同様のグラフとなり、同様のテーブルを作成することができる。図の破線に示すように、最大ドットのみでは入力階調値が0〜255までリニア(直線的)に増加するとドット形成量が0〜255までリニアに増加(比例)する相関であるとして相関データを作成している。
その後、最大ドットの形成量を他のドットの形成量に振り分ける処理を行う(S120)。ここで、小中ドットの形成量をそれぞれ最大とする入力階調値G1,G2は、例えば各種類に対応するドットの相関データから、所定のドット形成量Gd(0<Gd<255、より好ましくは128<Gd<255)での基準明度Ldを小中ドットの種類別に取得し、最大ドットの相関データが同基準明度Ldとなるドット形成量とすることができる。
【0044】
小ドットについては、代替比がa1・X1:a1と決められているので、最大ドットの形成量a1に対してドット形成量をa1・X1とする。破線で示す最大ドットのみの相関が傾き1の直線であるので、小ドットについては傾きX1の直線になる。そこで、小ドットでは入力階調値0〜G1について傾きX1の直線とし、入力階調値G1〜G2について傾き−X1・G1/(G2−G1)の直線とする。この結果、入力階調値0〜G1まで最大ドットの形成量は0になり、入力階調値G1〜G2において図の二重線に示すドット形成量となる。
次に入力階調値G1〜G2において小ドット振り分け後の最大ドット(二重線で図示)の形成量を中ドットの形成量で代替する。中ドットの代替比をa2・X2:a2と決定したものとすると、図の二重線の傾きG2/(G2−G1)のX2倍の傾きを有する直線を中ドットの形成量とする。そこで、中ドットでは入力階調値G1〜G2について傾きX2・G2/(G2−G1)の直線とし、入力階調値G2〜255については傾き−X2・G2/(255−G2)の直線とする。
なお、小ドットと大ドットとを混在させて形成させるようにしてもよい。また、各ドット種類のグラフにおけるピークの高さやドットを形成する範囲等は様々な態様が考えられる。さらに、グラフの一部あるいは全部を曲線とすることもできる。
【0045】
S120終了後、基準ドット振分テーブル14bを作成し、HD14に記憶する(S125)。図4を用いて説明すると、基準ドット振分テーブル14bに、入力階調値0〜255の各階調値に対応させて、小中大ドットの形成量D1s(0)〜D1s(255),D2m(0)〜D2m(255),D3l(0)〜D3l(255)を格納する。これにより、0〜255の入力階調値256段階全てについて、入力階調データとドット種類毎の出力階調データとの対応関係が決定され、ドット種類別の出力階調値がテーブル14bに格納される。作成されたテーブル14bは、インク量基準プリンタにおいて、基準インクの使用量が表された入力階調データと、各階調における同基準インクのドット形成量がドットの種類毎に表された出力階調データと、の対応関係を規定したデータとされる。また、基準インクにより印刷媒体上に印刷される画像を高画質にさせるデータでもある。
その後、CMYRVKの全色について基準ドット振分テーブルを作成したか否かを判断し(S130)、条件不成立時にはS105〜S130を繰り返し、条件成立時にはフローを終了する。
【0046】
次に、図9〜図11に示すフローチャートを参照して、色修正データ作成装置が対象ドット振分テーブルを作成する処理について説明する。ここで、S202〜S206がインク量誤差測定工程S1、S208〜S210が標準画像印刷制御工程S2、S212,S216が測色データ取得工程S3、S214,S218が補間工程S4、S220〜S222が発色誤差算出工程S5、S302が誤差情報取得工程S6、S304〜S308が補償工程S7、S310〜S312が色修正データ決定工程S8に対応している。また、S212,S216の処理を行うPCが測色データ取得手段、S214,S218の処理を行うPCが補間手段、S302の処理を行うPCが誤差情報取得手段を構成している。以下、図3を参照しながら説明する。
【0047】
誤差情報記録処理を開始すると、まず、CMYRVKの色毎かつドットの種類毎に、インク量基準プリンタのインク吐出重量W1を取得する(S202)。例えば、基準インクのインクカートリッジを装着したインク量基準プリンタをPCに接続しておき、重量を測定する対象の色およびドット種について、所定数Nwのインク滴を吐出させる制御を行う。吐出されたインク滴の合計重量WN1を測定して同所定数Nwで除し、得られる値(例えばng単位)を吐出重量W1としてPCに入力すると、PCにて吐出重量W1を取得することができる。これを、CMYRVKの各色と大中小の各ドットの組み合わせについて繰り返す。次に、色毎かつドットの種類毎に、対象プリンタのインク吐出重量W2を取得する(S204)。例えば、基準インクのインクカートリッジを装着した対象プリンタをPCに接続しておき、対象の色およびドット種について、所定数Nwのインク滴を吐出させ、吐出されたインク滴の合計重量WN2を測定して同所定数Nwで除し、得られる値を吐出重量W2としてPCに入力する。なお、インク量基準プリンタの印刷ヘッドを対象プリンタの印刷ヘッドに交換した装置で吐出重量W2を取得してもよい。この装置で吐出されるインクの重量と実際に印刷するために用いられる対象プリンタで吐出されるインクの重量とは相関が大きいため、取得した吐出重量W2を用いてインク吐出重量を補償して色ずれを修正することができる。
【0048】
さらに、色毎かつドットの種類毎に、吐出重量W1,W2に基づいて、インク吐出重量の誤差を表す重量誤差情報31aを生成し、対象プリンタのメモリ31に記憶させる(S206)。重量誤差情報は、吐出重量の比W2/W1、吐出重量の差W2−W1、所定の1次元LUTに規定された差W2−W1を対応する情報、1より大きい所定係数Awを用いたAw×{(W2/W1)−1}を求めて小数点以下を切り捨てた値、等とすることができる。重量誤差情報をメモリ31に記憶させる際には、PCではプリンタに対して重量誤差情報を出力し、プリンタでは同重量誤差情報を入力してメモリ31に書き込む処理を行えばよい。
【0049】
その後、CMYRVKの基準インクのインクカートリッジを装着したインク比較基準プリンタをPCに接続しておき、PC10では、CMYRVKの色毎に、複数段階とした標準のドット形成量(例えば印刷媒体上の単位面積当たりのドット形成数)の基準パッチ(標準画像)P1を所定の印刷媒体上に印刷させる制御を行う(S208)。インク比較基準プリンタは、上記インク量基準プリンタでも、上記対象プリンタでも、第三の基準プリンタでもよい。HD14には標準インク使用量データ14dが記憶されており、同データ14dを構成する複数段階のインク使用量(例えば、インク記録率RIi、iは1〜nの整数、n=19、RI1=5%、RI2=10%、…、RI9=95%)を表す入力階調値(0〜255の階調値ではRIi×255/100)から対応する複数の無地のパッチを表現した標準ドット量データを生成し、当該標準ドット量データを用いて基準パッチを印刷させる。その際、HDに記憶されている基準ドット振分テーブルを参照することにより、画像データを構成する画素毎に、基準インクのインク使用量が表された入力階調値から複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す出力階調値に変換してドット種類毎のドット量データに変換する。当該標準ドット量データは、インクの色別かつドット種類別に基準パッチをドットマトリクス状である多数の画素で階調表現したデータである。標準ドット量データに対して所定のハーフトーン処理、所定のラスタライズ処理を行ってラスタデータを生成し、このラスタデータをプリンタに送出することにより、複数の基準パッチP1が印刷される。各パッチP1は、インクを一種類のみ使用した一次色からなる印刷画像であり、印刷された全体が一様な無地の画像である。
印刷媒体としては、安定したインクの発色を得て高精度の色補償を行う観点からはフォト用紙等の光沢紙が好ましいが、キャリブレーション作業にかかるコストを低減させる観点からは光沢紙よりも光沢の弱い普通紙が好ましい。以下、標準画像を印刷する場合に同様のことが言える。
【0050】
次に、インクカートリッジをCMYRVKの対象インクのインクカートリッジに交換し、PC10では、インク比較基準プリンタに対して、色毎に、基準パッチP1と同じ複数段階とした標準のドット形成量(インク記録率RIi)の色補償用パッチ(標準画像)P2を所定の印刷媒体上に印刷させる制御を行う(S210)。この処理も、HDに記憶されている標準インク使用量データ14dを用いてS208と同様にして行うことができる。すなわち、HDに記憶されている基準ドット振分テーブルを参照することにより、画像データを構成する画素毎に、基準インクのインク使用量が表された入力階調値から複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す出力階調値に変換してドット種類毎のドット量データに変換する。そして、標準ドット量データに対して所定のハーフトーン処理、所定のラスタライズ処理を行ってラスタデータを生成し、このラスタデータをプリンタに送出することにより、複数段階とした標準のドット形成量の色補償用パッチP2が印刷される。同パッチP2も、インクを一種類のみ使用した一次色からなる印刷画像であり、印刷された全体が一様な無地の画像である。
なお、標準インク使用量データに基づいて基準ドット振分テーブルを参照して標準ドット量データを生成することにより、形成される大中小の各ドット数が標準のインク使用量から一義的に決まるので、基準パッチや色補償用パッチは複数段階とした標準のドット形成量のパッチとなっている。
【0051】
その後、測色機40を用いて印刷媒体上の各基準パッチP1をLab色空間(所定の色空間)で測色し、PC10では、印刷された各パッチP1毎の測色データである色成分量L,a,bを測色機40から取得する(S212)。例えば、全パッチの測色操作を終了したことを確認させるボタンをディスプレイに表示し、当該ボタンのマウス操作を受け付けたときに測色機に測色データを出力させる信号を送出して、送出後に測色機から出力される測色データを取得する構成とすることができる。以下も、同様である。
各色成分量L,a,bは、JIS Z8105にも規定されたCIE(1976)Lab色空間を定義する色彩値であるL量、a量、b量としている。以下も、同様である。ここで得られる測色データが、インク比較基準プリンタで基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像を所定の色空間で測色して得られる基準測色データである。
次に、後述する補間処理(図11)を行い、変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量での基準パッチP1の基準測色データDA11を色成分L,a,b毎に所定の補間演算により補間しながら求める(S214)。
【0052】
また、測色機40を用いて印刷媒体上の各色補償用パッチP2をLab色空間で測色し、PC10では、印刷された各パッチP2毎の測色データである色成分量L,a,bを測色機40から取得する(S216)。ここで得られる測色データが、インク比較基準プリンタで対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像を所定の色空間で測色して得られる測色データである。
次に、補間処理(図11)を行い、変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量での色補償用パッチP2の測色データDA12を色成分L,a,b毎に所定の補間演算により補間しながら求める(S218)。
【0053】
図11に示す補間処理を開始すると、まず、L,a,bの各色成分に対応させた数値を格納するポインタの値を更新等することにより、補間処理を行う対象の色成分をL,a,bの中から設定する(S402)。次に、変化させたドット形成量を表すパラメータXdと、S212,S216で得られた色成分量L,a,bとから、n次多項式(nは2以上の整数)の近似式を求める(S404)。パラメータXdは、例えばパッチP1,P2を印刷させた色のインクの使用量を所定階調数(例えば256階調)で表す階調値とすることができる。インク使用量が異なれば、大中小各ドット毎の形成数のいずれかが異なるので、変化させたドット形成量を一義的に表すことができる。
【0054】
図12には、Cインクを例に、階調表現されたインク使用量Xdに対するb量の測色結果を黒丸でプロットし、Xdからbを求める近似関数を曲線で示している。ここで、横軸はXd、縦軸はCIE Lab色空間で規定されるb値である。Xdから各色成分量cを求める近似式c=c(Xd)は、2次以上の高次多項式としてあり、プロットされた各点(黒丸)からの距離の二乗の総和を最小にさせる曲線を描く式として求めている。
なお、補間前の測色データのうち最高階調値と最低階調値とに対応する測色データについては、他の測色データよりも重みを大きくして近似式を求めてもよい。例えば、最高階調値と最低階調値とに対応する測色データが複数存在することにして、すなわち、最高階調値と最低階調値とに対応する点(黒丸)が一つではなく二以上有るとして、プロットされた各点(黒丸)からの距離の二乗の総和を最小にさせる曲線を描く近似式を求めればよい。すると、最高階調値(インク使用量最大)と最低階調値(インク使用量最小)とに対応する点に対してより近くを通る曲線を描く近似式が決定される。インク使用量が最大および最小であるときのインクの発色度合を重視することにより、インクロット間の発色度合のずれを補償したときにより良好な色再現性が得られる。
【0055】
近似式を決定すると、当該近似式を用いてより細かく変化させた各ドット形成量でのパッチP1,P2の測色データを色成分L,a,b毎に求める補間演算を行う(S406)。補間するインク使用量Xdを近似式c=c(Xd)に代入して色成分量cを求めることにより、インク使用量Xdの値のとりうる範囲内で任意の階調値に対応する測色データを補間することができる。例えば、補間前の測色データに無い全階調のインク使用量について、色成分量を求め、測色データを補間する。
【0056】
高次多項式によって描かれる曲線には、本来存在しないと思われる極大点や極小点が生じることが経験則上認められる。そこで、求めた測色データを構成する処理対象の色成分量について、ドット形成量の変化に対して前後両方の色成分量よりも大きくなった色成分量または前後両方の色成分量よりも小さくなった色成分量が存在するか否かを判断する(S408)。インク使用量Xdの全階調について測色データを求める場合、c(Xd)>c(Xd−1)かつc(Xd)>c(Xd+1)となる曲線c=c(Xd)上の点と、c(Xd)<c(Xd−1)かつc(Xd)<c(Xd+1)となる曲線c=c(Xd)上の点とを跳ね点として、この跳ね点が有るか否かを判断する。条件不成立時にはS412に進むが、条件成立時、少なくとも跳ね点を含む所定範囲の点の色成分量についてスプライン補間または線形補間といった別の補間演算を用いて色成分量を求め直す(S410)。跳ね点を含む所定範囲は、跳ね点のみでもよいし、跳ね点と跳ね点からパラメータXdのより小さい前Np個の点と跳ね点からパラメータXdのより大きい後Np個の点(Npは1以上の整数)とを含む範囲としてもよい。スプライン補間や線形補間によると、一般的に高次多項式よりも補間精度は低いもの跳ね点が生成され難いため、全体としての測色データの補間精度を向上させることができ、対象プリンタで対象インクを使用して基準色に対する色再現性をさらに向上させることが可能となる。なお、跳ね点が出現した所定の領域については、先ずスプライン補間に切換えて色成分量の補間を行い、それでも跳ね点が検出される場合、同跳ね点が出現した所定の領域について線形補間を行ってもよい。すると、より補間精度を向上させることができ、色再現性をさらに向上させることが可能となる。
以上説明した、n次多項式の近似式を用いた補間演算、スプライン補間による補間演算、線形補間による補間演算が、所定の補間演算である。
【0057】
S412では、全色成分について設定したか否かを判断し、条件不成立時にはS402〜S412を繰り返し、条件成立時には補間処理を終了する。
その後、図9のS220にて、CMYRVKの色毎に、補間処理にて求められた基準測色データDA11と測色データDA12とを対応付けることにより、基準インクと対象インクとのドット形成量を対応付けたインク対応データDA13を生成する。ここで、両インクの測色データを対応付けることが基準パッチの基準測色データと色補償用パッチの測色データとを対比することであり、生成されるインク対応データが当該対比結果である。
【0058】
図13は、Cインクを例にとって、基準インクの発色度合と対象インクの発色度合とを対応付ける様子を示している。ここで、横軸はLab色空間におけるa値、縦軸はb値であり、測色データをab平面上に投影して示している。また、黒丸は基準インクを使用した補間前の基準測色データ、白丸は対象インクを使用した補間前の測色データ、実線は補間された両測色データをそれぞれ線で繋いで示している。拡大図A1内の数値は、インク使用量が表された上記パラメータXdを示している。
【0059】
本実施形態では、L1,a1,b1を基準測色データの各色成分量、L2,a2,b2を対象インクでの測色データの各色成分量として、補間された両測色データの色差
ΔE={(L2−L1)2+(a2−a1)2+(b2−b1)21/2 …(1)
が最小となるように、補間された基準測色データDA11のパラメータXdと補間された測色データDA12のパラメータXdとを対応付け、インク対応データDA13を生成する。
例えば、補間後の基準測色データの各ドット形成量すなわちパラメータXdの全階調の中から測色データDA12との対応付けを行う階調値Xd1を順次設定し、それぞれ、補間後の測色データDA12の曲線上で階調値Xd1での基準測色データDA11の点と最も近くなる点を求める。その際、階調値Xd1での色成分量をL1,a1,b1として、補間後の測色データDA12の各ドット形成量すなわちパラメータXdの各階調について色差ΔEを算出し、色差ΔEが最小となる階調値Xd2を求め、さらに、階調表現されたパラメータXdの変化単位よりも細かい変化量で順次色差ΔEを算出し、色差ΔEが最小となる値Xd3を求める。図の例では、階調値Xd1=77に対してΔEが最小となる値Xd3=80.24が求められたことが示されている。そして、値Xd1,Xd3に基づいて、図3に示すインク対応データDA13を生成する。図3の例では、横軸を基準インクでの基準測色データDA11のインク使用量、縦軸を対象インクでの測色データDA12のインク使用量として、基準インクでのインク使用量の全階調にわたって(Xd1,Xd3)の位置を結ぶ曲線で両インクのインク使用量の対応関係が規定されていることが示されている。インク対応データDA13としては、色毎に各(Xd1,Xd3)の組み合わせを格納した情報テーブルとすることができる。
ここで、値Xd3は小数点以下で求められているので、色修正対応関係を高精度に規定することができる。
【0060】
そして、色毎に、インク対応データDA13に基づいて、インクの発色誤差を表す発色誤差情報28bを生成し、対象インクを充填したインクカートリッジのメモリ28aに記憶させ(S222)、誤差情報記録処理を終了する。発色誤差情報は、測色データを対比した対比結果であり、インク対応データDA13と同じ情報すなわち全階調の誤差量を有する情報、これらの全階調のうち一部の階調のみの誤差量を有する情報、インク対応データの近似関数の係数、等とすることができる。発色誤差情報をメモリ28aに記憶させる際には、PCでは対象インクを充填したインクカートリッジを装着したプリンタに対して発色誤差情報を出力し、プリンタでは同発色誤差情報を入力してメモリ28aに書き込む処理を行えばよい。
本発明の誤差情報は、上述した重量誤差情報31aと発色誤差情報28bとから構成される。
【0061】
誤差情報記録処理を終了すると、図10に示す対象ドット振分テーブル作成処理を行う。まず、対象インクを充填したインクカートリッジを装着した対象プリンタをPCに接続しておき、PC10では誤差情報28b,31aを取得する(S302)。例えば、PCでは同対象プリンタに対して誤差情報を出力させる指示情報を出力し、対象プリンタでは同指示情報を入力するとメモリ28aから発色誤差情報28bを読み出すとともにメモリ31から重量誤差情報を読み出して両誤差情報をPCに対して出力し、PCでは対象プリンタから出力される誤差情報を取得する。次に、CMYRVKの6色の中から対象ドット振分テーブルを作成する処理対象の色をポインタの更新等により設定する(S304)。
【0062】
さらに、処理対象の色について、図4で示したような基準ドット振分テーブル14bをHD14からRAM13に読み出し、複数種類のドットのそれぞれについて、インクの吐出重量のずれが表された重量誤差情報に基づいてインク吐出重量のずれを補償させるように出力階調値を修正し、修正出力値Aout(第一の中間データ)を生成する(S306)。ここで、基準ドット振分テーブルの出力階調値をBoutとし、上述したインク量基準プリンタのインク吐出重量W1と対象プリンタのインク吐出重量W2を用いると、以下の式に従って修正出力値Aoutを求めることができる。
Aout = Bout×(W1/W2) …(2)
重量誤差情報として(W2/W1)が記録されている場合には、上記式(2)を変形したAout=Bout/(W2/W1)より修正出力値を算出すればよい。
求められる修正出力値Aoutからなる第一の中間データは、インクの色毎かつドットの種類毎に、基準ドット振分テーブル14bの出力階調データD3からプリンタの機体差によるインクの量のずれを補償させる対応関係(式(2)で表される関係)で修正されたデータとされる。同第一の中間データは、基準ドット振分テーブルの出力階調データD3よりも変化単位の細かい小数点以下の単位で表現している。
【0063】
図14は、基準ドット振分テーブル14bを修正する様子を示している。同図の上段はインク付着量を修正する様子を示してあり、横軸が入力階調値、縦軸が出力階調値(ドット形成量)、実線が基準ドット振分テーブルの入出力間の対応関係、破線がインク吐出重量を補償した後の入出力間の対応関係である。本実施形態では、インク吐出重量のずれを補償する際に出力階調値を修正しているため、出力階調値が変化している。
以上のように修正された基準ドット振分テーブルは、インク量基準プリンタで基準インクを使用して印刷される色を表す入力階調データと、対象プリンタで基準インクを使用して形成される複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す出力階調データと、の対応関係を規定した情報テーブルとなっている。
【0064】
また、処理対象の色について、基準測色データと対象インクでの測色データとの差異、すなわち、インクの発色度合のずれが表された発色誤差情報に基づいてインクの発色度合のずれを補償させるように入力階調値を修正し、修正入力値Ain(第二の中間データ)を生成する(S308)。ここで、基準ドット振分テーブルの入力階調値をBinとし、上記インク対応データDA13で規定される基準インクおよび対象インクのドット形成量をそれぞれC1,C2とすると、以下の式に従って修正入力値Ainを求めることができる。
Ain = Bin×(C1/C2) …(3)
発色誤差情報としてインク対応データDA13が記録されている場合には、基準ドット振分テーブルの入力階調データの階調毎に、インク対応データDA13を参照して基準インクのドット形成量C1と対象インクのドット形成量C2との組み合わせを取得し、上記式(3)を用いて修正入力値を算出すればよい。インク対応データの全階調のうち一部の階調のみの誤差量を有する発色誤差情報や、インク対応データの近似関数の係数が記録されている場合には、記録されている発色誤差情報に基づいてインク対応データDA13を復元し、上記式(3)を用いて修正入力値を算出すればよい。
求められる修正入力値Ainからなる第二の中間データは、基準ドット振分テーブル14bの入力階調データD1から基準測色データと対象インクでの測色データとの差異を少なくさせる対応関係(式(3)で表される関係)、すなわち、両インクの発色度合のずれを補償させる対応関係で修正されたデータとされる。同第二の中間データは、基準ドット振分テーブルの入力階調データD2よりも変化単位の細かい小数点以下の単位で表現している。
【0065】
図14の下段はインク発色度合を修正する様子を示してあり、横軸が入力階調値、縦軸が出力階調値(ドット形成量)、実線がインク付着量補償後の基準ドット振分テーブルの入出力間の対応関係、破線がさらにインク発色度合を補償した後の入出力間の対応関係である。本実施形態では、インク発色度合のずれを補償する際に入力階調値を修正しているため、入力階調値が変化している。
【0066】
ここで、修正入力値Ainと修正出力値Aoutとは小数点以下の単位で表されており、データ量を少なくさせ、後述するドット振分処理を高速にて行うために、修正後の基準ドット振分テーブルについて、修正入力値Ainと修正出力値Aoutとの対応関係で入力側を整数の入力階調値g1に変換するとともに出力側を整数の出力階調値D(g1)に変換する(S310)。修正入力値を整数表現の階調値に変換する際、対応する修正出力値については所定の補間演算を用いて補間により生成する。簡易な構成として、線形補間により対応する修正出力値を生成することができる。例えば、修正出力値を生成する対象の入力階調値g1を全階調にわたって順次設定するとともに、設定した入力階調値g1について、g1より小さくて最もg1に近い修正入力値をA1in、対応する修正出力値をA1out、g1より大きくて最もg1に近い修正入力値をA2in、対応する修正出力値をA2outとして、Aout(g1)=A1out+(A2out−A1out)×{(g1−A1in)/(A2in−A1in)}より対応する修正出力値Aout(g1)を求める。そして、Aout(g1)の小数点以下を四捨五入する等して、Aout(g1)を整数化し、出力階調値D(g1)を求める。
【0067】
階調毎に入力階調値g1とドット種類毎の出力階調値D(g1)を生成すると、図4で示した対象ドット振分テーブル14cのフォーマットで各階調値を格納し、HD14に記憶する(S312)。
以上により作成される対象ドット振分テーブル14cは、インク量基準プリンタで基準インクを使用して印刷される色を表す入力階調データと、対象プリンタで対象インクを使用して形成される複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す出力階調データと、の対応関係を規定した情報テーブルとなっている。
そして、CMYRVKの全色について設定したか否かを判断し(S314)、条件不成立時にはS302〜S314を繰り返し、条件成立時には対象ドット振分テーブル作成処理を終了する。
【0068】
以上により作成された対象ドット振分テーブルを用いて対象インクを使用する対象プリンタに対する印刷制御を行うと、基準インク用の色変換LUTを用いてRGBデータをCMYRVKデータに色変換し、同対象ドット振分テーブルを参照してCMYRVKデータを色毎かつドット種類毎のドット量データに変換することができる。ここで、当該ドット量データは、対象プリンタで対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される画像の色ずれをドットの各種類について補償させるデータとされている。すると、対象プリンタに対して当該ドット量データに対応する色毎の小中大ドットを印刷媒体上に形成させる制御を行うと、プリンタ間のインク付着量のずれが補償され、かつ、インク間の発色のずれが補償された印刷画像を印刷させることができる。従って、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることが可能となる。また、プリンタに使用させるインクのロットを変更する場合でも色変換LUTを作り直す必要がないので、対象プリンタのキャリブレーション作業を迅速に行うことができる。
【0069】
(3)色修正データを用いた印刷制御処理:
図15は、上記ドット振分テーブル作成処理により作成された対象ドット振分テーブル(色修正データ)を用いてプリンタに対する印刷制御を行う印刷制御処理を示すフローチャートである。本処理を行うPC10は印刷制御装置を構成し、S510が色変換手段、S515が変換手段、S520〜S530が印刷制御手段に対応している。以下、図1も参照して説明する。
まず、PC10は、多数(所定数)の画素別とされて複数の要素色に対応した階調データから構成された画像データDA1を入力し、画像をRGB毎の複数の画素で階調表現した広域RGB色空間内のRGBデータDA2に変換する(S505)。その際、データを部分的に読み込んでもよいし、データの受け渡しに利用されるバッファ領域を表すポインタの受け渡しだけでもよい。画像データDA1は、画像をドットマトリクス状である多数の画素で階調表現したデータであり、sRGB色空間で定義されるRGBから構成された画像データや、YUV表色系におけるYUVから構成された画像データ、等がある。画像データの各成分も様々な階調数とされているので、sRGBやYUV表色系等の定義に従って、画像データを広域RGB色空間内のRGB各256階調のRGBデータに変換する。同RGBデータは、複数の要素色RGBで画像を表現した印刷データである。
【0070】
次に、RGBデータを構成する各画素の階調データを変換対象として順次対象画素を移動させながら、色変換LUT14aを参照して、画像を画素毎にRGB毎の階調データで表現したRGBデータ(第一画像データ)DA2を、プリンタで使用されるインクの色に対応したCMYRVK毎の階調データで表現したCMYRVKデータ(第二画像データ)DA3に色変換する(S510)。色変換LUT14aは、RGB毎の階調データと、プリンタで使用される基準インクの使用量がCMYRVK毎に表された階調データと、の対応関係を複数の参照点について規定した情報テーブルである。入力したRGBデータのRGB毎の階調データに一致するCMYRVKデータが色変換LUTに格納されていない場合には、当該RGB毎の階調データに近い複数のRGB毎の階調データに対応するCMYRVKデータのCMYRVK毎の階調データを取得し、体積補間等の補間演算により入力したRGB毎の階調データに対応するCMYRVK毎の階調データに変換する。CMYRVKデータDA3は、RGBデータDA2と同じく画像をドットマトリクス状の多数(所定数)の画素で階調表現した印刷データであり、画素毎の階調データはプリンタ20が印刷ヘッドから吐出する各インクの使用量を表すCMYRVK各256階調のデータであるとする。
【0071】
その後、CMYRVKデータDA3を構成する各画素の階調データを変換対象として順次対象画素を移動させながら、対象インク用のドット振分テーブル14cを参照することにより、CMYRVKデータを構成するCMYRVK色別の階調データ(入力階調データ)を、インク量の異なる複数種類のドット形成量を同種類別に表すドット量データ(出力階調データ)DA4に変換するドット振り分け処理を行う(S515)。ドット量データは、色毎に、小ドット用ドット量データ、中ドット用ドット量データ、大ドット用ドット量データから構成される。これらのドット量データも、CMYRVKデータと同じく画像をドットマトリクス状の多数(所定数)の画素で階調表現したデータであり、画素毎の階調データはプリンタが印刷ヘッドから吐出する各ドットのインク使用量を表すCMYRVK各256階調のデータであるとする。
基準インクと対象インクとが異なる場合、対象ドット振分テーブル14cが用いられる。当該テーブルは、インク量基準プリンタで基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の基準パッチに対する対象プリンタで対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の色補償用パッチの色ずれを複数種類のドットのそれぞれについて補償させるように(少なくさせるように)入出力階調データの色修正対応関係が入力階調データの各階調において規定されている。従って、変換後のドット量データは、プリンタ間のインク付着量のずれを補償させ、かつ、インク間の発色のずれを補償させるデータとされる。
【0072】
ドット量データDA4を生成すると、ドット振分部による変換後の出力階調データからなるドット量データDA4を構成する画素毎に、ドットの大きさ毎のドット量データに対して誤差拡散法やディザ法や濃度パターン法といった所定のハーフトーン処理を行っていき、CMYRVKデータDA3の画素数と同じ画素数であるCMYRVK別のハーフトーンデータDA5を生成する(S520)。ハーフトーンデータは、ドットの形成状況をドットの形成有無として表すデータであり、例えば階調値「1」をドット形成有り、階調値「0」をドット形成無しに対応させて二値化した2階調の二値化データとすることができる。むろん、4階調等のデータとしてもよい。
【0073】
また、生成したハーフトーンデータDA5に対して所定のラスタライズ処理を行ってプリンタで使用される順番に並べ替え、CMYRVK別のラスタデータDA6を生成し(S525)、対象インクを使用する対象プリンタに対して出力して(S530)、フローを終了する。すると、対象プリンタは、画像を表現するラスタデータを入手し、これらのデータに基づいて印刷ヘッドを駆動して対象インクを吐出して印刷媒体M1上に付着させ、RGBデータDA2に対応する印刷画像I1を形成する。ラスタデータはCMYRVK毎かつドット種類毎にプリンタ間のインク吐出重量のずれを補償させ(少なくさせ)、かつ、基準インクによる印刷画像に対する対象インクによる印刷画像の色ずれを補償させる(少なくさせる)データであるので、印刷画像は基準インクを使用する基準プリンタで印刷される印刷画像に対する色ずれが補償された画像となる。
上記S520〜S530により、対象プリンタに対して、ドット量データDA4を構成する画素毎に、ドット量データDA4の各画素の出力階調データに対応した対象インクの複数種類のドットを印刷媒体上に形成させて印刷させる制御を行うことができる。なお、ハーフトーン処理を実行可能なプリンタであれば多階調のドット量データをプリンタに送出し、当該ドット量データに基づく印刷を実行させるようにすればよい。
【0074】
以上説明したように、対象プリンタについて基準プリンタに対するインク付着量の誤差による色ずれが生じなくなり、かつ、使用対象の対象インクについて基準インクに対する発色度合の誤差による色ずれが生じなくなる。従って、プリンタ間のインク付着量のばらつきがあっても基準色に対する良好な色再現性を維持するとともに、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることが可能となる。また、プリンタに使用させるインクのロットを変更する場合でも色変換LUTを作り直す必要がないので、対象プリンタのキャリブレーション作業を迅速化させることが可能となる。
【0075】
さらに、対象インクのドット形成量を変化させた複数のパッチの測色データを取得し、変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量でのパッチの測色データを色成分毎に近似式にて補間しながら求めた後、基準インクでの基準測色データと対象インクでの測色データとの差異を補償するように色修正データを作成している。これにより、より正確かつ確実にインクの発色度合の誤差による色ずれを少なくさせることができ、対象プリンタで対象インクを使用して基準色に対する色再現性をさらに向上させることが可能となる。
すなわち、測色データを補間することなく測色データを対比し、両インクのインク使用量について対応関係を得て、同対応関係を参照して色修正データを作成することも考えられるが、測色データの個々の測色値(色成分量L,a,b)には誤差が存在し、この誤差が色修正データに影響を与え、基準色に対する色再現性に影響を与えることになる。また、色修正データの入力階調データの全階調について補間演算を行いながら出力階調値を決定する際には、階調値という1次元の情報のみに基づいて補間処理を行うことになるため、補間精度に限界がある。
本実施形態では、誤差を有する各測色値を用いながらも近似式にて補間しながら全体として誤差を無くす処理を行っているので、インク発色度合の誤差による色ずれがより確実に少なくなるのである。また、測色値は、それぞれ対応する階調値とL値、a値、b値の4次元の情報によって特定されるため、4次元の情報に基づいて新たな測色値が求められ、両インクのインク使用量についての対応関係が求められる。その結果、インク使用量を表すCMYRVKデータ(入力階調データ)の全階調にわたって、非常に良好な色再現性を得ることが可能となる。
なお、図3において補間工程S4を省略すると上記効果が得られないことにはなるが、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持する本発明の根本的な効果が得られることに変わりはない。この意味で、補間工程(図9のS214,S218)を省略可能である。
【0076】
なお、L,a,bについて近似式を求める代わりに、(L2+a2+b21/2、(a2+b21/2、等について近似式を求めてもよい。この場合、発色誤差算出工程で両インクのインク使用量を対応付けてインク対応データを生成する際には、例えば、パラメータXdの全階調の中から測色データDA12との対応付けを行う階調値Xd1を順次設定し、基準パッチにおける設定階調値Xd1での(L2+a2+b21/2を算出し、色補償用パッチにおいて当該算出値となる階調値Xd4を求め、色毎に各(Xd1,Xd4)の組み合わせを格納してインク対応データとすればよい。
【0077】
(4)変形例:
ところで、本発明を実施する際に使用可能なコンピュータと周辺装置は、様々な構成が可能である。例えば、印刷装置は、コンピュータと一体化されたものでもよい。単色画像のみ印刷する印刷装置でもよい。上述したフローについては、一部または全部を印刷装置、専用の画像処理装置、外部のサーバ、等で実行してもよい。
上記色変換LUTの代わりに、第一要素色毎の階調データと、印刷装置で使用される基準インクの使用量が第二要素色毎に表された階調データと、の対応関係を規定した色変換用の変換式を用いるとともに、当該変換式に使用する複数のパラメータを色変換パラメータ情報テーブルとしてHD等に記録しておいてもよい。
【0078】
本発明は、インク使用量が表された入力階調データから印刷装置にて形成可能なドットの全3種類に対応した出力階調データに変換する印刷制御装置以外にも、印刷装置にて形成可能なドットの一部の種類(例えば小と大のドット)のみに対応した出力階調データに変換する装置に適用可能である。小大ドットのみに対応した出力階調データに変換する場合、印刷装置はインク量の異なる二以上の小中大ドットを形成可能な装置であり、変換手段は入力階調データから小大ドット(複数種類のドット)の形成量を小大ドット毎に表す出力階調データに変換する手段となる。そして、上記ドット振分テーブルは、小大ドットのみに対応した出力階調データを格納した情報テーブルとしておけばよい。
上記ドット振分テーブルの代わりに、印刷装置で使用されるインク使用量を表す入力階調データと複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す出力階調データに変換する変換式を用いるとともに、当該変換式に使用する複数のパラメータをドット振分パラメータ情報テーブルとしてHD等に記録しておいてもよい。
【0079】
また、図16に示すように、図5で示した基準ドット振分テーブル作成処理を行い(S605)、図9で示した誤差情報記録処理を行い(S610)、図10で示した対象ドット振分テーブル作成処理を行い(S615)、その後、図15で示した印刷制御処理を行う(S620)構成としてもよい。
以上の構成でも、インクのロットが変わっても基準色に対する良好な色再現性を維持し、基準色に対する色再現性を向上させることが可能となる。
【0080】
上述した各場合において、例えば、以下の変形例が考えられる。
基準ドット振分テーブルを予め用意しておけば、基準ドット振分テーブル作成処理を省略可能である。
インク量基準プリンタのインク付着量(吐出重量W1)を予め求めておけば、図9のS202を省略可能である。
基準インクを使用した基準パッチを予め印刷媒体上に印刷しておけば、図9のS208を省略可能である。
基準パッチの基準測色データを予め生成しておけば、図9のS208,S212を省略可能である。
図9のS208,S210でパッチを印刷させる際、重量誤差情報に基づいてインク付着量のずれを補償させるように基準ドット振分テーブルを修正し、修正後のドット振分テーブルを参照してインク使用量が表された入力階調値からドット形成量が表された出力階調値に変換し、パッチを印刷させてもよい。
発色誤差情報に基づいてインクロット間の発色度合の誤差を補償させるように基準ドット振分テーブルを修正する際、入力階調値の各階調に対応するドット種毎の出力階調値全てを修正するようにしてもよい。
誤差情報取得工程S6を省略し、誤差情報を記録することなく、対象ドット振分テーブルを作成してもよい。この場合、図9のS206,S222、図10のS302を省略したうえで、対象ドット振分テーブル作成処理の前に誤差情報記録処理を行えばよい。
図10で示した対象ドット振分テーブル作成処理において、S306とS308の順序を入れ替えてもよい。S306では、基準ドット振分テーブルの入力階調値を修正してインク付着量の誤差を補償するようにしてもよい。S308では、基準ドット振分テーブルの出力階調値を修正してインク発色度合の誤差を補償するようにしてもよい。
【0081】
図17に示すように、対象ドット振分テーブルを作成する代わりに、1次元LUTとされた色修正データ14eを作成し、色ずれを修正させるようにしてもよい。すなわち、S510でCMYRVKデータDA3を生成すると、S515では基準ドット振分テーブル14bを参照して上記ドット量データDA4とは異なる修正前のドット量データを生成する。本変形例では対象プリンタのHD14に色修正データ14eが記憶されており、この色修正データ14eは、インク量基準プリンタで使用される基準インクのドット形成量を表す入力階調データ(図では入力階調値g1で構成)と、対象プリンタで使用される対象インクのドット形成量を表す出力階調データ(図では出力階調値D3(g1)で構成)と、の色修正対応関係を規定した情報テーブルとされている。この色修正データ14eを参照して修正前のドット量データを変換すると(S517)、プリンタ間のインク付着量のずれが補償され、かつ、インク間の発色のずれが補償される修正後のドット量データが生成される。その後、S520〜S530で修正後のドット量データに対応した対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御を行うと、印刷画像は、プリンタ機体間のインク付着量のずれが補償され、かつ、インクロット間の発色度合の誤差が補償された画像となる。
なお、形成するドットの種類が単一とされた印刷装置では、S515の処理を省略して本変形例の印刷制御処理を行うことにより、プリンタ間のインク付着量のずれを補償させ、かつ、インクロット間の発色のずれを補償させることができる。
【0082】
図11で示した補間処理において、跳ね点によるインク発色度合の誤差補償の精度が低下する可能性があるものの、S408〜S410の処理を省略した補間処理を行うようにすることも可能である。
図15で示した印刷制御処理において、画像データがCMYRVKの色毎の階調データから構成されていれば、S505〜S510を省略可能である。
【0083】
図18は、印刷制御装置と、インターネット網(通信網)60を介して印刷制御装置と双方向通信可能に接続されるサーバコンピュータ50とを備えた印刷制御システムを対象印刷装置とともに示している。
サーバ50は、CPU、ROM、RAM、通信I/F、記憶媒体、等を備えた一般的なコンピュータで構成されている。同記憶媒体には、対象インクのロット毎に当該ロットを識別可能とするロット情報D11と、標準画像の色ずれを表す発色誤差情報D12と、を対応付けて格納した発色誤差情報テーブルD10が記憶されている。同サーバ50は、通信I/Fを介して、入力されるロット情報に対応する発色誤差情報を読み出して外部に出力可能である。
本変形例のロット情報D11は、インクカートリッジの製造会社を識別可能とする製造会社キー情報、インクの色を識別可能とするインク色キー情報、製造会社とインクの色が識別されたときにインクのロットを識別可能とするロットキー情報、とから構成されている。本発明にいうロット情報は、製造会社とインクの色の情報を含めた広義のロットを識別可能とする情報である。
【0084】
プリンタ20は本発明の対象印刷装置であり、着脱可能に装着されたインクカートリッジの半導体メモリ(記録媒体)28aにはロット情報28c〜eが記憶(記録)されている。同プリンタ20は、同インクカートリッジに充填された対象インクを使用して印刷するとともに、メモリ28aからロット情報28c〜eを読み出して外部に出力可能である。同ロット情報は、製造会社キー情報28c、インク色キー情報28d、ロットキー情報28e、とから構成されている。また、プリンタ20は、インクカートリッジが装着されたか否かを検出する検出部(検出手段)U12を備え、インクカートリッジの装着を検出した時にその旨の情報をPC10に対して出力し、さらに、メモリ28aからロット情報28c〜eを読み出してPC10に対して出力する。同検出部U12は対応関係規定部U6の一部であり、この意味で検出部U12とPC10とが本発明にいう印刷制御装置を構成し、検出部U12を除いたプリンタ20が本発明にいう対象印刷装置を構成する。
【0085】
PC10は、図1で示した各部U1〜U5を備えるとともに、対応関係規定部U6を構成する各部U13〜U15を備えている。識別情報取得部(識別情報取得手段)U13は、ロット情報28c〜eを取得する。本変形例では、識別情報取得部U13は、プリンタ20からインクカートリッジの装着を検出した旨の情報を入力した時に、プリンタ20から出力されるロット情報28c〜eを取得する。識別情報出力部(識別情報出力手段)U14は、サーバ50に双方向通信可能なインターネット網60を介して同取得したロット情報28c〜eを出力する。すると、サーバ50は、PC10から出力されたロット情報28c〜eを入力し、発色誤差情報テーブルD10から同ロット情報28c〜eに対応する発色誤差情報D12を読み出し、インターネット網60を介して同読み出した発色誤差情報D12をPC10に対して出力する。
誤差情報取得部(誤差情報取得手段)U15は、インターネット網60を介してサーバ50から出力される発色誤差情報D12を取得する。
その後は、上記発色誤差情報D12と重量誤差情報31aとを用いて、図10で示した対象ドット振分テーブル作成処理を行うと、印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、標準画像の色ずれを補償させるように、入力階調データと出力階調データとの色修正対応関係を規定して対象ドット振分テーブルを作成することができる。そして、図15で示した印刷制御処理を行うと、プリンタ間のインク付着量のずれが補償され、かつ、インク間の発色のずれが補償された印刷画像を印刷媒体上に印刷することができる。
【0086】
発色誤差情報をインクカートリッジのメモリチップに記録するとデータ量が制限されたり、メモリチップのデータ量を増やすためにコストアップになったりするが、サーバからインクロットに対応した発色誤差情報を取得するので、大容量のメモリチップを用いることなく発色誤差情報をデータ量の多い情報とすることができる。また、インクカートリッジを交換した時に自動的にインクロット間の発色ばらつきが補償されるので、インクロット間の発色ばらつきをユーザに意識させない。従って、容易に対象プリンタで対象インクを使用して基準色に対する良好な色再現性を得ることが可能となる。また、頻繁に発色誤差情報を更新することができるので、この点で色再現性を向上させることができる。さらに、インクカートリッジの模造品を装着したときにサーバから発色誤差情報を入手すると発色ばらつきを適切に補償することができないので、インクやインクカートリッジの模造を防ぐことができる。
【0087】
むろん、重量誤差情報についても、サーバから取得するようにしてもよい。この場合、サーバ50の記憶媒体には、同記憶媒体には、対象プリンタを個別に識別可能とするヘッド情報D21と、印刷媒体上に付着するインクの量のずれを表す重量誤差情報D22と、を対応付けて格納した重量誤差情報テーブルD20を記憶させる。同サーバ50は、通信I/Fを介して、入力されるヘッド情報に対応する重量誤差情報を読み出して外部に出力する。
本変形例のヘッド情報D21は、対象プリンタの製造会社を識別可能とする製造会社キー情報、製造会社が識別されたときに印刷ヘッドを識別可能とするヘッドキー情報、とから構成されている。本発明にいうヘッド情報は、製造会社を含めた対象プリンタを個別に識別可能とする情報である。
【0088】
プリンタ20は、印刷ヘッドユニットの半導体メモリ(記録媒体)31にヘッド情報31b,cが記憶(記録)され、メモリ31からヘッド情報31b,cを読み出して外部に出力可能である。同ヘッド情報は、製造会社キー情報31b、ヘッドキー情報31c、とから構成されている。また、プリンタ20は、インクカートリッジの装着を検出した時にその旨の情報をPC10に対して出力し、さらに、メモリ31からヘッド情報31b,cを読み出してPC10に対して出力し、メモリ28aからロット情報28c〜eを読み出してPC10に対して出力する。
本変形例では、識別情報取得部U13は、プリンタ20からインクカートリッジの装着を検出した旨の情報を入力した時に、プリンタ20から出力されるヘッド情報31b,cとロット情報28c〜eを取得する。識別情報出力部U14は、サーバ50に双方向通信可能なインターネット網60を介して同取得したヘッド情報31b,cとロット情報28c〜eを出力する。すると、サーバ50は、PC10から出力されたヘッド情報31b,cとロット情報28c〜eを入力し、対応する発色誤差情報D12をPC10に対して出力するとともに、重量誤差情報テーブルD20から同ヘッド情報31b,cに対応する重量誤差情報D22を読み出し、インターネット網60を介して同読み出した重量誤差情報D22をPC10に対して出力する。
誤差情報取得部(誤差情報取得手段)U15は、インターネット網60を介してサーバ50から出力される発色誤差情報D12と重量誤差情報D22を取得する。
その後は、上記発色誤差情報D12と上記重量誤差情報D22とを用いて、図10、図15で示した対象ドット振分テーブル作成処理と印刷制御処理を行えばよい。
【0089】
誤差情報をインクカートリッジの記録媒体に記録するとデータ量が制限されるが、サーバから誤差情報を取得するので、誤差情報をデータ量の多い情報とすることができる。また、インクカートリッジを交換した時に自動的にインク付着量のばらつきが補償され、かつ、インクロット間の発色ばらつきが補償されるので、インク付着量のばらつきやインクロット間の発色ばらつきをユーザに意識させない。従って、容易に対象プリンタで対象インクを使用して基準色に対する良好な色再現性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】印刷制御装置の構成を模式的に示す図。
【図2】印刷システムの構成を示すブロック図。
【図3】色修正データ作成方法を模式的に示す図。
【図4】ドット振分テーブルの構造を模式的に示す図。
【図5】基準ドット振分テーブルの作成処理を示すフローチャート。
【図6】ドット形成量と明度との相関データを示すグラフ形式の図。
【図7】小中ドットのグラフを大ドットのグラフに合致させる様子を説明する図。
【図8】入力階調値と複数種類のドットの形成量との対応関係を示す図。
【図9】誤差情報記録処理を示すフローチャート。
【図10】対象ドット振分テーブル作成処理を示すフローチャート。
【図11】補間処理を示すフローチャート。
【図12】インク使用量に対する色成分量を補間して求める様子を示す図。
【図13】基準インクと対象インクの発色度合を対応付ける様子を示す図。
【図14】基準色修正データを修正する様子を示す図。
【図15】本印刷制御装置が行う印刷制御処理を示すフローチャート。
【図16】変形例において、印刷制御処理を示すフローチャート。
【図17】変形例において、印刷制御処理を示すフローチャート。
【図18】変形例において、印刷制御システムの概略を示すブロック図。
【符号の説明】
【0091】
10…パーソナルコンピュータ(PC)、14…ハードディスク(HD)、14a…色変換LUT(色変換データ)、14b…基準ドット振分テーブル(基準色修正データ)、14c…ドット振分テーブル(色修正データ)、14e…色修正データ、20…インクジェットプリンタ、28a,31…半導体メモリ(記録媒体)、28b…発色誤差情報、28c〜e…ロット情報、31a…重量誤差情報、31b,c…ヘッド情報、40…カラー測色機、50…サーバ、60…インターネット網(通信網)、D1,D2…入力階調データ、D3,D4…出力階調データ、D10…発色誤差情報テーブル、D11…ロット情報、D12…発色誤差情報、D20…重量誤差情報テーブル、D21…ヘッド情報、D22…重量誤差情報、DA2…RGBデータ(第一画像データ)、DA3…CMYRVKデータ(第二画像データ)、DA4…ドット量データ、DA7…誤差情報、DA11…基準測色データ、DA12…測色データ、DA13…インク対応データ、I1…印刷画像、M1…印刷媒体、P1…基準パッチ(基準インクの標準画像)、P2…色補償用パッチ(対象インクの標準画像)、U0…印刷制御装置、U1…画像入力部、U2…色変換部(色変換手段)、U3…ドット振分部(変換手段)、U4,U5…印刷制御手段、U6…対応関係規定部(対応関係規定手段)、U11,U15…誤差情報取得部(誤差情報取得手段)、U12…検出部(検出手段)、U13…識別情報取得部(識別情報取得手段)、U14…識別情報出力部(識別情報出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御を行う際、修正前の色を表す入力階調データから修正後の色を表す出力階調データに変換し、変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行う印刷制御装置であって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準としたインク量基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する対応関係規定手段と、
上記色修正対応関係に従って上記入力階調データを上記出力階調データに変換する変換手段と、
上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換手段による変換後の出力階調データに対応した同対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御を行う印刷制御手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
上記対応関係規定手段は、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成し、
上記変換手段は、上記色修正データを参照して上記入力階調データに対応した上記出力階調データを上記変換後の出力階調データとして取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
上記入力階調データは、インク量の異なる二以上の種類のドットを印刷媒体上に形成可能とされた上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの使用量を表す階調データとされ、
上記出力階調データは、上記二以上の種類のうち少なくとも一部である複数種類のドットの形成量を同種類毎に表す階調データとされ、
上記対応関係規定手段は、上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを上記複数種類のドットのそれぞれについて補償させ、かつ、上記インク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される上記標準のドット形成量の標準画像に対する上記対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを上記複数種類のドットのそれぞれについて補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定した上記色修正データを作成し、
上記印刷制御手段は、上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換後の出力階調データに対応した同対象インクの複数種類のドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させることを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
上記対応関係規定手段は、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、上記インク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに上記印刷媒体上に印刷される標準画像を所定の色空間で測色して得られる基準測色データと上記対象インクを使用したときに上記印刷媒体上に印刷される標準画像を同所定の色空間で測色して得られる測色データとの差異を少なくさせるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定することを特徴とする請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
上記対応関係規定手段は、上記インク量基準印刷装置で上記基準インクを使用するときの同基準インクの使用量が第一の階調数で表された入力階調データと上記複数種類のドットの形成量が同種類毎に第二の階調数で表された出力階調データとの色修正対応関係を規定した基準色修正データから、同インク量基準印刷装置における同基準インクの使用量が同第一の階調数で表された上記入力階調データと上記対象印刷装置における上記対象インクの上記複数種類のドットの形成量が同種類毎に同第二の階調数で表された上記出力階調データとの色修正対応関係を規定した上記色修正データを作成するとともに、当該作成の際、上記複数種類のドットのそれぞれについて上記インクの量のずれに基づいて同基準色修正データの出力階調データから上記インクの量のずれを補償させる対応関係で修正された第一の中間データを生成し、上記基準測色データと上記測色データとの差異に基づいて同基準色修正データの入力階調データから同基準測色データと測色データとの差異を少なくさせる対応関係で修正された同入力階調データよりも細かい変化単位の第二の中間データを生成し、同第二の中間データと同第一の中間データとの対応関係で同インク量基準印刷装置における同基準インクの使用量が表された同第一の階調数の入力階調データと同対象印刷装置における同対象インクの使用量が表された同第二の階調数の出力階調データとの色修正対応関係を規定して上記色修正データを作成することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
画像を画素毎に第一要素色毎の階調データで表現した第一画像データを上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの色に対応した第二要素色毎の階調データで表現した第二画像データに色変換する際、同第一要素色毎の階調データと、上記インク量基準印刷装置で使用される上記基準インクの使用量が同第二要素色毎に表された階調データと、の対応関係を規定した色変換データを参照して色変換する色変換手段をさらに備え、
上記変換手段は、上記色修正データを参照して上記第二画像データを構成する画素毎の階調データを上記入力階調データとして上記出力階調データに変換することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項7】
上記対象印刷装置は、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれおよび上記標準画像の色ずれを表す誤差情報を記録した記録媒体を有し、着脱可能に装着されたインクカートリッジに充填された上記対象インクを使用して印刷するとともに同記録媒体から同誤差情報を読み出して外部に出力可能な装置であり、
上記対応関係規定手段は、上記対象印刷装置から出力される誤差情報を取得する誤差情報取得手段を備え、取得した誤差情報を用いることにより、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、上記標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定することを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項8】
上記対応関係規定手段は、上記対象インクのロットを識別可能とするロット情報を取得する識別情報取得手段と、同対象インクのロット毎に対応する同ロット情報と上記標準画像の色ずれを表す発色誤差情報とを対応付けて記憶するとともに入力されるロット情報に対応する発色誤差情報を読み出して外部に出力するサーバに双方向通信可能な通信網を介して同取得したロット情報を出力する識別情報出力手段と、同通信網を介して同サーバから出力される発色誤差情報を取得する誤差情報取得手段とを備え、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、取得した発色誤差情報を用いることにより上記標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定することを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項9】
上記対象印刷装置は、上記ロット情報を記録した記録媒体を有して着脱可能に装着されたインクカートリッジに充填された上記対象インクを使用して印刷するとともに同記録媒体から同ロット情報を読み出して外部に出力可能な装置であり、
上記対応関係規定手段は、上記対象印刷装置に上記インクカートリッジが装着されたか否かを検出する検出手段を備え、同インクカートリッジの装着を検出した時に、上記識別情報取得手段にて上記対象印刷装置から出力されるロット情報を取得し、上記識別情報出力手段にて上記サーバに上記通信網を介して同取得したロット情報を出力し、上記誤差情報取得手段にて同通信網を介して同サーバから出力される発色誤差情報を取得し、取得した発色誤差情報を用いることにより上記色修正対応関係を規定することを特徴とする請求項8に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
上記対応関係規定手段は、
上記対象インクを使用する上記インク比較基準印刷装置で印刷媒体上に印刷された当該対象インクのドット形成量を変化させた複数の上記標準画像のそれぞれを複数の色成分を色成分量とする所定の色空間で測色して得られる測色データを取得する測色データ取得手段と、
上記変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量での上記標準画像の測色データを上記色成分毎に所定の補間演算により補間しながら求める補間手段とを備え、
上記補間手段にて求められた測色データの各ドット形成量について上記基準インクを使用する上記インク比較基準印刷装置で印刷媒体上に印刷される各標準画像の基準測色データと、上記補間手段にて求められた測色データと、の差異を各ドット形成量について最も少なくさせるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定して上記色修正データを作成することを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれかに記載の印刷制御装置。
【請求項11】
上記補間手段は、上記変化させたドット形成量を表すパラメータと上記測色データ取得手段にて取得された測色データとからn次多項式(nは2以上の整数)の近似式を求め、当該近似式を用いて上記変化させたドット形成量よりも細かく変化させた各ドット形成量での上記標準画像の測色データを上記色成分毎に求める補間演算を行うとともに、求めた測色データを構成する各色成分量についてドット形成量の変化に対して前後両方の色成分量よりも大きくなった色成分量または前後両方の色成分量よりも小さくなった色成分量が存在するとき、少なくとも当該色成分量についてスプライン補間または線形補間により色成分量を求め直すことを特徴とする請求項10に記載の印刷制御装置。
【請求項12】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御を行う際に修正前の色を表す入力階調データから修正後の色を表す出力階調データに変換して変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行う印刷制御装置と、通信網を介して同印刷制御装置と双方向通信可能に接続されるサーバとを備えた印刷制御システムであって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準としたインク量基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記印刷制御装置は、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する対応関係規定手段と、
上記色修正対応関係に従って上記入力階調データを上記出力階調データに変換する変換手段と、
上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換手段による変換後の出力階調データに対応した同対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御を行う印刷制御手段とを具備し、
上記サーバは、上記対象インクのロット毎に当該ロットを識別可能とするロット情報と上記標準画像の色ずれを表す発色誤差情報とを対応付けて記憶するとともに、入力されるロット情報に対応する発色誤差情報を読み出して外部に出力し、
上記対応関係規定手段は、上記ロット情報を取得する識別情報取得手段と、上記サーバに双方向通信可能な通信網を介して同取得したロット情報を出力する識別情報出力手段と、同通信網を介して同サーバから出力される発色誤差情報を取得する誤差情報取得手段とを備え、上記印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、取得した発色誤差情報を用いることにより上記標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項13】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御を行う際、修正前の色を表す入力階調データから修正後の色を表す出力階調データに変換し、変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行う印刷制御方法であって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準としたインク量基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する対応関係規定工程と、
上記色修正対応関係に従って上記入力階調データを上記出力階調データに変換する変換工程と、
上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換工程による変換後の出力階調データに対応した同対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御を行う印刷制御工程とを具備することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項14】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置に対して色ずれを修正させる印刷制御を行う際、修正前の色を表す入力階調データから修正後の色を表す出力階調データに変換し、変換後の出力階調データを用いて印刷制御を行う機能をコンピュータに実現させる印刷制御プログラムであって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準としたインク量基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定する対応関係規定機能と、
上記色修正対応関係に従って上記入力階調データを上記出力階調データに変換する変換機能と、
上記対象インクを使用する上記対象印刷装置に対して上記変換機能による変換後の出力階調データに対応した同対象インクのドットを印刷媒体上に形成させて印刷画像を印刷させる制御を行う印刷制御機能とを実現させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項15】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置で印刷される色のずれを修正する際に参照するための、修正前の色を表す入力階調データと修正後の色を表す出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成する色修正データ作成装置であって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準とした基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定して上記色修正データを作成することを特徴とする色修正データ作成装置。
【請求項16】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置で印刷される色のずれを修正する際に参照するための、修正前の色を表す入力階調データと修正後の色を表す出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成する色修正データ作成方法であって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準とした基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定して上記色修正データを作成することを特徴とする色修正データ作成方法。
【請求項17】
印刷媒体上にインクを付着させてドットを形成可能な対象印刷装置で印刷される色のずれを修正する際に参照するための、修正前の色を表す入力階調データと修正後の色を表す出力階調データとの色修正対応関係を規定した色修正データを作成する機能をコンピュータに実現させる色修正データ作成プログラムであって、
上記入力階調データは、インクの付着量の基準とした基準印刷装置で基準とした基準インクを使用して印刷される色が表された階調データとされ、
上記インク量基準印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量に対する上記対象印刷装置で印刷媒体上に付着するインクの量のずれを補償させ、かつ、インクの発色を比較するためのインク比較基準印刷装置で上記基準インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される標準のドット形成量の標準画像に対する同対象印刷装置の使用対象の対象インクを使用したときに印刷媒体上に印刷される同標準のドット形成量の標準画像の色ずれを補償させるように、上記入力階調データと上記出力階調データとの色修正対応関係を規定して上記色修正データを作成する機能を実現させることを特徴とする色修正データ作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−103110(P2006−103110A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291676(P2004−291676)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】