説明

印刷装置、電話帳データの出力方法およびプログラム

【課題】携帯電話機にデータとして簡単に取り込める電話帳リストの作成。
【解決手段】印刷装置は、携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、受信した電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、受信した電話帳データに基づき、符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話から受信した電話帳データに基づき電話帳リストを作成して出力する印刷装置、電話帳データの出力方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ほとんどの携帯電話機には、電話帳機能が設けられている。この電話帳機能とは、事前に登録した相手に対して簡単に電話をかけることができる機能である。さらに、この電話帳機能を利用すれば、相手のFAX番号や住所などといった個人情報を簡単に記憶させることができる。
【0003】
さらに、最近の携帯電話機には、カメラ機能を備えた携帯電話機が多数登場している。このようなカメラ機能を備えた携帯電話機は、一般に普及しているデジタルカメラと同様に、人物や風景等の撮影を楽しむことができる他、QRコード等の符号画像を撮影してその符号画像を解読する機能までも備えていることが多い。ここで、QRコード等の符号画像とは、様々な情報を含んだ画像であり、情報が2次元的にコード化されて画像化されたものである。このQRコード等の符号画像は、「2次元コード」ともいう。そして、このようなQRコード等の符号画像を利用して様々な技術が提案されている。具体的には、例えば、(1)QRコード等の符号画像を撮影して読み込んで、読み込んだ符号画像を解読し、この符号画像に含まれるURLや電話番号を記憶する携帯電話機(特許文献1参照)や、(2)QRコード等の符号画像を印刷するためのプリントシステム(特許文献2参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2002−82855号公報
【特許文献2】特開2005−231287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、携帯電話機に搭載された電話帳のデータを紙等の媒体に印刷する印刷装置がある。この印刷装置は、携帯電話機から赤外線データ通信等を利用して携帯電話機の電話帳データを取得して、その取得した電話帳データに基づき電話帳リストを作成して、その作成した電話帳リストを紙等の媒体に印刷する。この電話帳リストは、携帯電話機に登録された電話帳データを紙等の媒体として物理的に保存することができ、携帯電話機の電話帳のデータをユーザが簡単に閲覧することができる。
【0005】
しかしながら、このような紙等の媒体に印刷された電話帳リストでは、次のような問題があった。すなわち、自分の携帯電話機等にデータを登録しようとしたときに、紙等の媒体に印刷された電話帳リストを見ながらユーザがいちいち手で入力して登録しなければならず、非常に手間がかかる上、入力作業に大幅な時間を要し、非常に煩雑であるといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、紙等の媒体に印刷された電話帳リストから携帯電話機の電話帳に簡単にデータとして取り込むことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、
(B)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、
(C)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき、前記符号画像生成部により生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、
(D)前記電話帳リスト作成部により作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、
(E)を備えたことを特徴とする印刷装置である。
【0008】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(A)携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、
(B)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、
(C)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき、前記符号画像生成部により生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、
(D)前記電話帳リスト作成部により作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、
(E)を備えたことを特徴とする印刷装置。
【0011】
このような印刷装置にあっては、携帯電話機に格納された電話帳データを取得し、取得した電話帳データに基づき、符号画像を有する電話帳リストを作成して媒体に印刷することができる。これによって、電話帳リストに設けられた符号画像を携帯電話機のカメラなどで撮影して読み込むことで、携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0012】
かかる印刷装置にあっては、前記符号画像がQRコードであっても良い。このように符号画像がQRコードであれば、電話帳リストに設けられたこのQRコードを携帯電話機のカメラなどで撮影して読み込むことで、携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0013】
また、かかる印刷装置にあっては、前記符号画像がJANコードであっても良い。このように符号画像がJANコードであれば、電話帳リストに設けられたこのJANコードを携帯電話機のカメラなどで撮影して読み込むことで、携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0014】
また、かかる印刷装置にあっては、前記外部通信インターフェイスは、赤外線通信により前記携帯電話機から前記電話帳データを受信しても良い。このように外部通信インターフェイスが赤外線通信により携帯電話機から電話帳データを受信すれば、携帯電話機に格納された電話帳データを簡単に印刷装置に取り込むことができる。
【0015】
また、かかる印刷装置にあっては、前記符号画像生成部は、前記電話帳データの登録データの各件ごとに前記符号画像を生成しても良い。このように符号画像生成部が電話帳データの登録データの各件ごとに符号画像を生成すれば、電話帳データの登録データの各件ごとに、携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0016】
また、かかる印刷装置にあっては、前記電話帳リスト作成部は、前記電話帳データに基づき、前記符号画像の他に、名称、電話番号、住所等の個人情報が記載された前記電話帳リストを作成しても良い。このように電話帳リスト作成部が、電話帳データに基づき、符号画像の他に、名称、電話番号、住所等の個人情報が記載された電話帳リストを作成すれば、電話帳リストに記載された相手を簡単に確認することができる。
【0017】
また、かかる印刷装置にあっては、前記符号画像生成部は、前記電話帳データに基づき、携帯電話サービスの提供事業者別に前記符号画像を生成しても良い。このように符号画像生成部が、電話帳データに基づき、携帯電話サービスの提供事業者別に符号画像を生成すれば、携帯電話サービスの提供事業者に応じて携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0018】
また、かかる印刷装置にあっては、前記電話帳リストには、前記提供事業者別の複数の種類の前記符号画像が記載されても良い。このように電話帳リストに提供事業者別の複数の種類の前記符号画像が記載されていることで、携帯電話サービスの提供事業者に応じて携帯電話機の電話帳等に簡単にデータとして取り込むことができる。
【0019】
また、かかる印刷装置にあっては、前記媒体の種類に応じて前記印刷部により前記媒体に印刷される前記符号画像のサイズが異なっても良い。このように媒体の種類に応じて印刷部により媒体に印刷される符号画像のサイズが異なることで、媒体の種類が異なる場合であっても、携帯電話機の電話帳等に確実にデータとして取り込ませるようにすることが十分に可能となる。
【0020】
また、かかる印刷装置にあっては、前記符号画像生成部は、前記符号画像のデータ量よりも前記電話帳データが大きい場合に、前記電話帳データの中から所定の優先順位に基づき選出された一部のデータに基づき前記符号画像を生成しても良い。これによって、符号画像のデータ量よりも電話帳データが大きい場合であっても、符号画像をスムーズに生成することができる。
【0021】
また、かかる印刷装置にあっては、前記媒体に印刷される前記電話帳リストには、前記符号画像生成部により選出された前記一部のデータと、前記符号画像生成部により選出されなかった他のデータとが異なる色にて表記されても良い。このように符号画像生成部により選出された一部のデータと、符号画像生成部により選出されなかった他のデータとが異なる色にて表記されることで、符号画像生成部により選出されなかった他のデータを認識することができる。
【0022】
また、かかる印刷装置にあっては、前記印刷部により印刷された前記媒体から前記電話帳リストを読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部により読み取られた前記電話帳リストに含まれる前記符号画像を解読する解読部と、を備えても良い。これら画像読み取り部および解読部を備えれば、印刷部により印刷された媒体から電話帳リストを読み取って、その電話帳リストに含まれる符号画像を解読することができる。
【0023】
また、かかる印刷装置にあっては、前記符号画像生成部は、前記解読部により前記符号画像が解読されて生成された電話帳データに基づき符号画像を生成しても良い。このよううに解読部により符号画像が解読されて生成された電話帳データに基づき符号画像が生成されれば、画像読み取り部により読み取られた符号画像と同じデータを有する符号画像を生成することができる。
【0024】
(A)携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、
(B)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、
(C)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき、前記符号画像生成部により生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、
(D)前記電話帳リスト作成部により作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、
(E)を備え、
(F)前記符号画像がQRコードであり、
(G)前記外部通信インターフェイスは、赤外線通信により前記携帯電話機から前記電話帳データを受信し、
(H)前記符号画像生成部は、前記電話帳データの登録データの各件ごとに前記符号画像を生成し、
(I)前記電話帳リスト作成部は、前記電話帳データに基づき、前記符号画像の他に、名称、電話番号、住所等の個人情報が記載された前記電話帳リストを作成し、
(J)前記符号画像生成部は、前記電話帳データに基づき、携帯電話サービスの提供事業者別に前記符号画像を生成し、
(K)前記電話帳リストには、前記提供事業者別の複数の種類の前記符号画像が記載され、
(L)前記媒体の種類に応じて前記印刷部により前記媒体に印刷される前記符号画像のサイズが異なり、
(M)前記符号画像生成部は、前記符号画像のデータ量よりも前記電話帳データが大きい場合に、前記電話帳データの中から所定の優先順位に基づき選出された一部のデータに基づき前記符号画像を生成し、
(N)前記媒体に印刷される前記電話帳リストには、前記符号画像生成部により選出された前記一部のデータと、前記符号画像生成部により選出されなかった他のデータとが異なる色にて表記され、
(O)前記印刷部により印刷された前記媒体から前記電話帳リストを読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部により読み取られた前記電話帳リストに含まれる前記符号画像を解読する解読部と、を備え、
(P)前記符号画像生成部は、前記解読部により前記符号画像が解読されて生成された電話帳データに基づき符号画像を生成することを特徴とする印刷装置。
【0025】
携帯電話機から電話帳データを有線または無線により印刷装置に取り込むステップと、
前記印刷装置に取り込んだ前記電話帳データに基づき前記印刷装置により符号画像を生成するステップと、
前記印刷装置に取り込んだ前記電話帳データに基づき、生成した前記符号画像を有する電話帳リストを前記印刷装置により作成するステップと、
前記印刷装置により作成された前記電話帳リストを前記印刷装置により媒体に印刷するステップと、
を有することを特徴とする電話帳データの出力方法。
【0026】
印刷装置にて実行されるプログラムであって、
携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信するステップと、
受信した前記電話帳データに基づき符号画像を生成するステップと、
受信した前記電話帳データに基づき、生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成するステップと、
作成された前記電話帳リストを媒体に印刷するステップと、
を実行することを特徴とするプログラム。
【0027】
===印刷装置の概要===
本発明に係る印刷装置の一実施形態について説明する。なお、ここでは、印刷装置として、原稿から画像を読み取って画像データを生成するスキャナ部と、媒体に対して印刷を施すプリンタ部とを備えた複合装置の場合を例にして説明する。なお、ここで、スキャナ部は、「画像読み取り部」に相当する。また、プリンタ部は、「印刷部」に相当する。
【0028】
図1〜図6は、複合装置の一例について説明したものである。図1は、複合装置1の外観を示した斜視図である。図2は、複合装置1のスキャナ部10の概要を説明する斜視図である。図3は、複合装置1のプリンタ部30の概要を説明する斜視図である。図4は、複合装置1の内部構成を概略的に説明する説明図である。図5は、複合装置1の操作パネル2を説明する平面図である。図6は、複合装置1の制御部の構成例を説明した図である。
【0029】
この複合装置1は、原稿から画像を読み取って画像データを生成するスキャナ機能と、ホストコンピュータ(図示外)から送られてきた印刷データに基づき印刷用紙等の各種媒体に印刷を施すプリンタ機能と、原稿から読み取った画像を媒体に印刷して複写するローカルコピー機能とを備えている。この複合装置1は、図1に示すように、その上部6に原稿5から画像を読み取るためのスキャナ部10を備えている。また、この複合装置1は、その下部9に印刷用紙等の媒体Sに印刷をするためのプリンタ部30を備えている。また、この複合装置1の前面部には、操作パネル2と、カードリーダー部20と、赤外線受光部32とが設けられている。
【0030】
スキャナ部10は、図2に示すように、原稿5がセットされるガラス板が設けられた原稿台11と、当該原稿台11を上方から覆う原稿台カバー12とを備えている。原稿台カバー12は、複合装置1の後端部に回動可能に取付けられ、原稿台11の上面部を開閉するように設けられている。また、本実施形態では、原稿台11の左側部には、スキャナ部10の内部に設けられたスキャナヘッド(図示外)を固定する固定用レバー28が設けられている。この固定用レバー28は、当該複合装置の輸送時などにおいてスキャナヘッド(図示外)を移動しないように固定するためのものである。
【0031】
一方、プリンタ部30は、図3に示すように、スキャナ部10を上方に持ち上げることによって、その内部が外部に開放されるように構成されている。つまり、スキャナ部10は、複合装置1の後部にヒンジ部34を介して回動自在に装着されている。スキャナ部10が上方へと持ち上げられると、プリンタ部30の内部が開放される。プリンタ部30の内部には、キャリッジ41などが配置されている。このキャリッジ41には、インクを吐出するプリンタヘッド21が設けられている。プリンタヘッド21は、キャリッジ41とともに移動しながら用紙等の媒体に向けてインクを吐出して印刷を施す。
【0032】
この他に、プリンタ部30には、媒体を搬送する搬送部(不図示)が設けられている。この搬送部は、複合装置1の背部に設けられた背部給紙口22又は複合装置1の前部に設けられた前部給紙口23にセットされた媒体をプリンタ部30の内部へと送り込み、そして、プリンタヘッド21により印刷された媒体を、複合装置1の前部に設けられた排紙トレイ25を通じて排紙する。
【0033】
また、複合装置1の下部9の前面の左右には、インクカートリッジカバー27が設けられている。インクカートリッジ26の取り付け時又は交換時、ユーザは、このインクカートリッジカバー27を開き、インクカートリッジ26を取り付け又は交換する。取り付け後又は交換後にユーザがインクカートリッジカバー27を閉じることにより、インクカートリッジ26のセットが完了する。このインクカートリッジ26には、インクが収容されており、このインクは、キャリッジ41に搭載されたプリンタヘッド21に供給される。
【0034】
カードリーダー部20は、各種メモリカードを差し込むなどしてセットする部分である。そして、カードリーダー部20は、セットされた各種メモリカードから、格納された画像データを読み込む。ここで読み込まれた画像データの画像は、プリンタ部30により印刷することができる。カードリーダー部20にセットすることができるメモリカードとしては、例えば、コンパクトフラッシュやスマートメディア、メモリスティック、SDメモリカード、xDピクチャーカードなどといった各種フラッシュメモリがある。この他、カードリーダー部20は、デジタルカメラや携帯電話で使用される各種メモリカードに対応することができる。
【0035】
赤外線受光部32は、携帯電話機等の携帯端末をはじめ、その他の赤外線通信可能な外部の機器との間で赤外線通信(IrDA:Infrared Data Association)を行うためのものである。外部の機器との間で赤外線通信を行う場合には、その外部の機器の赤外線発光部が当該複合装置の赤外線受光部32に向けてられて赤外線が出力されて通信が行われる。
【0036】
===スキャナ部・プリンタ部の内部機構===
図4は、スキャナ部10およびプリンタ部30の内部機構を示したものである。
【0037】
<スキャナ部>
スキャナ部10は、同図の上部に示すように、原稿台11の下側に、スキャナヘッド60と、このスキャナヘッド60を原稿台11に対して所定の間隔を保ちつつ図中矢印A方向に沿って平行に移動させる駆動機構62と、このスキャナヘッド60を支持しつつその移動を案内するガイド64とを備えている。
【0038】
スキャナヘッド60には、原稿台11を介して原稿5に対し光を照射する光源としての露光ランプ66と、原稿5により反射された反射光が入射するレンズ70と、このレンズ70を通じてスキャナヘッド60の内部に取り込まれた反射光を受光するイメージセンサ72とが設けられている。
【0039】
本実施形態では、このイメージセンサ72は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換素子が列状に配置されたリニアCCDセンサにより構成されている。このイメージセンサ72により読み取られた画像に関するデータは、制御部50に出力される。
【0040】
また、駆動機構62は、スキャナヘッド60に接続されたタイミングベルト74と、このタイミングベルト74が掛け渡された一対のプーリ75、76と、一方のプーリ75を回転駆動する駆動モータ77とを備えている。駆動モータ77は、制御部50からの制御信号によって駆動制御される。
【0041】
<プリンタ部>
一方、プリンタ部30は、図4の下部に示すように、プリンタ用キャリッジ41と、このプリンタ用キャリッジ41に搭載されたプリンタヘッド21と、プリンタ用キャリッジ41を媒体Sに対して所定の間隔を保持しつつ相対的に平行に移動させる駆動機構24と、媒体Sをプリンタ用キャリッジ41の移動方向と直交する方向に沿って搬送する搬送機構36とを備えている。
【0042】
プリンタ用キャリッジ41には、カートリッジ装着部が設けられ、このカートリッジ装着部には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)等のインクが収容されたインクカートリッジが装着される。プリンタヘッド21は、インクカートリッジから供給された各色のインクを媒体Sに向けて吐出して当該媒体S上にドットを形成して、媒体Sに画像を印刷する。プリンタヘッド21には、各色別に、即ちここでは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロ(Y)の各色別にノズルが設けられている。プリンタヘッド21は、このノズルからそれぞれ異なる色のインクを媒体に向けて吐出する。
【0043】
駆動機構24は、プリンタ用キャリッジ41に接続されたタイミングベルト45と、このタイミングベルト45に噛合されたプーリ44と、このプーリ44を回転駆動するキャリッジモータ42と、プリンタ用キャリッジ41の移動を案内するガイドレール46と、プリンタ用キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダとしてリニア式エンコーダ符号板51およびこのリニア式エンコーダ符号板51を読み取る検出部52とを備えている。この駆動機構24は、キャリッジモータ42を駆動してプーリ44を介してタイミングベルト45を回転させる。これにより、プリンタ用キャリッジ41は、媒体Sに対してガイドレール46に沿って相対的に移動する。キャリッジモータ42は、制御部50からの制御信号により駆動制御される。
【0044】
搬送機構36は、プラテン14と、搬送ローラ17Aと、当該搬送ローラ17Aを回転駆動する搬送モータ15と、媒体Sが所定位置に到達したか否かを検出する紙検知センサ53と、搬送ローラ17Aの回転量を検出するロータリ式エンコーダ56とを備えている。プラテン14は、プリンタヘッド21に対向して配置されている。搬送モータ15が駆動すると、搬送ローラ17Aが回転して、媒体Sがプラテン14上を搬送される。搬送モータ15は、制御部50からの制御信号により駆動制御される。
【0045】
印刷時には、媒体Sが搬送ローラ17Aにより間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の合間にプリンタ用キャリッジ41が、搬送ローラ17Aによる搬送方向に対して交差する方向に沿って移動しながら、プリンタヘッド21から媒体Sに向けてインクが吐出されて印刷が施される。
【0046】
===操作パネル===
図5は、操作パネル2について詳しく説明した図である。操作パネル2は、液晶ディスプレイ80と、各種ボタンを有する。ここで設けられているボタンの種類としては、例えば、電源ボタン82、設定ボタン83、ストップボタン84、モード選択ボタン85、カーソル操作ボタン群86、スタートボタン87等がある。電源ボタン82は、複合装置1の電源をオン/オフするためのボタンである。設定ボタン83は、ヘッドクリーニング、ノズルチェック、インク残量等の設定や確認を行うためのボタンである。ストップボタン84は、動作中の機能を中止するためのボタンである。モード選択ボタン85は、複合装置1の機能の選択を行うためのボタンである。カーソル操作ボタン群86は、液晶ディスプレイ80に表示される項目の設定等を行うためのボタンである。スタートボタン87は、カラーボタン87C及びモノクロボタン87Bを有し、カラー印刷又はモノクロ印刷の開始に用いられる。
【0047】
===制御部===
<制御部の構成>
図6は、複合装置1の制御部50の構成の一例について説明したものである。この制御部50は、同図に示すように、CPU90と、メモリ92と、外部通信インターフェイス94と、操作入力インターフェイス96と、表示制御部98と、スキャナ制御部100と、画像処理部102と、プリンタ制御部104と、カードインターフェイス106と、赤外線通信インターフェイス112とを備えている。これらCPU90やメモリ92、外部通信インターフェイス94、操作入力インターフェイス96、表示制御部98、スキャナ制御部100、画像処理部102、プリンタ制御部104、カードインターフェイス106、赤外線通信インターフェイス112は、バス108を介して接続されている。
【0048】
CPU90は、複合装置1全体の制御を司る。すなわち、CPU90は、外部通信インターフェイス94や操作入力インターフェイス96、表示制御部98、スキャナ制御部100、画像処理部102、プリンタ制御部104、カードインターフェイス106、赤外線通信インターフェイス112を制御する。メモリ92は、CPU90により実行されるプログラムやそのプログラムで使用されるデータ等が格納される。メモリ92は、ROMやRAM、フラッシュメモリ等の不揮発メモリなどにより構成される。
【0049】
また、外部通信インターフェイス94は、複合装置1に有線または無線等により接続されたホストコンピュータ110との間で通信を行う。具体的には、この外部通信インターフェイス94は、ホストコンピュータ110から印刷データやコマンド等の各種データを受信したり、またスキャナ部10により原稿から読み取られた画像のデータをホストコンピュータ110に送信したりする。
【0050】
また、赤外線通信インターフェイス112は、赤外線通信規格(IrDA:Infrared Data Association)に基づき、携帯電話機114等との間でデータ通信を行うものである。赤外線通信インターフェイス112は、複合装置1の前面部に設けられた赤外線受光部32(図1〜図3参照)を通じて携帯電話機114等から出力された赤外線を受光する。これによって、赤外線通信インターフェイス112は、携帯電話機114からこれに格納されたデータを受信したり、また、携帯電話機114に対してデータを送信したりする。
【0051】
また、操作入力インターフェイス96は、操作パネル2に設けられた各種操作ボタン、即ち、電源ボタン82、設定ボタン83、ストップボタン84、モード選択ボタン85、カーソル操作ボタン群86、スタートボタン87(87B、87C)に接続されて、ユーザから操作入力を受け付ける。なお、操作入力インターフェイス96は、操作パネル2の各種操作ボタンを除く、他の操作ボタンを通じてユーザから操作入力を受け付けても良い。操作入力インターフェイス96は、各種操作ボタン82、83、84、85、86、87(87B、87C)を通じて受け付けたユーザからの操作入力をCPU90に伝達する。
【0052】
また、表示制御部98は、操作パネル2に設けられた液晶ディスプレイ80の表示を制御する。具体的には、表示制御部98は、CPU90の命令によって液晶ディスプレイ80に表示される画像を制御したり、また、液晶ディスプレイ80の明るさやコントラスト等の画質調整等を行う。
【0053】
また、スキャナ制御部100は、スキャナ部10を制御する。具体的には、このスキャナ制御部100は、スキャナ部10のスキャナヘッド60を移動させる駆動機構62の駆動モータ77を制御したり、また、スキャナヘッド60に設けられた露光ランプ66やイメージセンサ72等を制御する。これによって、スキャナ制御部100は、駆動機構62の駆動モータ77を駆動して、スキャナヘッド60を原稿5に対して相対的に移動させることで、スキャナヘッド60のイメージセンサ72を通じて原稿5から画像を読み取る読み取り動作を実行する。
【0054】
また、画像処理部102は、スキャナ部10により原稿5から読み取られた画像をプリンタ部30にて媒体に印刷する際に、スキャナ部10から出力された画像のデータをプリンタ部30にて印刷処理を実行するためのデータに変換する役割を果たす。具体的には、この画像処理部102は、スキャナ部10により原稿5から読み取られた画像のデータとしてスキャナ制御部100から受信したRGBデータをCMYKデータに変換する。ここで、RGBデータは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色空間により表現された画像のデータである。一方、CMYKデータは、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色空間により表現される画像のデータである。画像処理部102は、この変換により得られたCMYKデータに対してハーフトーン処理を施して2値データ(又は2ビットデータ)に変換する。この2値データ(又は2ビットデータ)が、プリンタ部30にて印刷処理を実行するためのデータとなる。このようにして生成された2値データ(又は2ビットデータ)は、プリンタ制御部104へと出力される。
【0055】
プリンタ制御部104は、プリンタ部30を制御する。具体的には、このプリンタ制御部104は、プリンタ部30のプリンタ用キャリッジ41を移動させる駆動機構24のキャリッジモータ42を制御したり、また、媒体を搬送する搬送機構36の搬送モータ15を制御したり、また、プリンタヘッド21からのインク吐出を制御したりする。これによって、プリンタ制御部104は、駆動機構24のキャリッジモータ42や搬送機構36の搬送モータ15を駆動しながら、プリンタヘッド21により媒体に向けてインクを吐出して、媒体に印刷を施す印刷動作を実行する。
【0056】
また、カードインターフェイス106は、カードリーダー部20にセットされた各種メモリカードから、当該メモリカードに格納された画像データを読み込む処理を行う。また、カードインターフェイス106は、カードリーダー部20にセットされた各種メモリカードに対して画像データ等のデータを書き込む処理を行う。
【0057】
<制御部の動作>
(1)スキャナモード
スキャナモードは、例えば、外部通信インターフェイス94によって受信された、ホストコンピュータ110からの画像読み取り命令等によって起動する。このスキャナモードで、CPU90は、外部通信インターフェイス94を通じて受信された、ホストコンピュータ110から送られてきた読み取り解像度や読み取り領域等の読み取り情報に基づき、スキャナ制御部100を制御して、スキャナ部10において読み取り動作を実行する。ここで、スキャナ制御部100は、CPU90からの命令に従って、スキャナ部10のスキャナヘッド60を移動させる駆動機構62の駆動モータ77を駆動して、スキャナヘッド60を原稿5に対して相対的に移動させる。これによって、スキャナ制御部100は、スキャナヘッド60に設けられたイメージセンサ72を通じて原稿5から画像を読み取る。スキャナ制御部100は、ここで読み取られた画像のデータをスキャナ部10から受信する。そして、スキャナ制御部100は、スキャナ部10から取得した画像のデータを外部通信インターフェイス94を通じてホストコンピュータ110に送信する。
【0058】
(2)印刷モード
印刷モードは、例えば、外部通信インターフェイス94によって受信された、ホストコンピュータ110からの印刷命令等によって起動する。この印刷モードで、CPU90は、外部通信インターフェイス94を通じて受信された、ホストコンピュータ110から送られてきた印刷データに基づき、プリンタ制御部104を制御して印刷動作を実行する。ここで、プリンタ制御部104は、CPU90からの命令に従って、プリンタ部30のプリンタ用キャリッジ41を移動させる駆動機構24のキャリッジモータ42を制御したり、また、媒体を搬送する搬送機構36の搬送モータ15を制御したり、また、プリンタヘッド21からのインク吐出を制御したりする。これによって、プリンタ制御部104は、プリンタ用キャリッジ41に設けられたプリンタヘッド21から媒体に向けてインクを吐出して印刷を施す。
【0059】
(3)コピーモード
コピーモードは、モード選択ボタン85が操作されて設定されることで起動する。そして、このコピーモードにおいて、操作パネル2上のスタートボタン87(87B,87C)等がユーザにより操作されると、このことが操作入力インターフェイスを通じてCPU90に伝達される。CPU90は、スキャナ制御部100に対してスキャナ部10にて原稿から画像を読み取る動作を実行すべき命令を発行する。スキャナ制御部100は、この命令に従って、スキャナ部10のスキャナヘッド60を移動させる駆動機構62の駆動モータ77を駆動して、スキャナヘッド60を原稿5に対して相対的に移動させる。これによって、スキャナ制御部100は、スキャナヘッド60に設けられたイメージセンサ72を通じて原稿5から画像を読み取る読み取り動作を実行する。スキャナ制御部100は、ここで読み取られた画像のデータをスキャナ部10から受信する。そして、スキャナ制御部100は、スキャナ部10から取得した画像のデータを画像処理部102へと出力する。
【0060】
画像処理部102は、スキャナ制御部100から出力された画像のデータをプリンタ部30にて印刷処理を実行するためのデータに変換する。ここで、画像処理部102は、スキャナ制御部100からRGBデータとして出力された画像のデータをCMYKデータに変換する。さらに、画像処理部102は、ここで、変換により得られたCMYKデータに対してハーフトーン処理を施して2値データ(又は2ビットデータ)に変換する。この2値データ(又は2ビットデータ)が、プリンタ部30にて印刷処理を実行するためのデータとなる。画像処理部102は、このようにして生成した2値データ(又は2ビットデータ)をプリンタ制御部104に出力する。
【0061】
プリンタ制御部104は、CPU90からの命令に従って、画像処理部102から出力された2値データ(又は2ビットデータ)に基づき、プリンタヘッド21からインクを吐出する。このとき、プリンタ制御部104は、プリンタ部30のプリンタ用キャリッジ41を移動させる駆動機構24のキャリッジモータ42を制御するとともに、媒体を搬送する搬送機構36の搬送モータ15を制御する。このようにしてプリンタ制御部104は、媒体に対して印刷を施す。
【0062】
(4)メモリカード印刷モード
メモリカード印刷モードは、例えば、操作パネル2上に設けられたモード選択ボタン85が操作されるなどしてモードが選択されて、スタートボタン87が操作されて実行される。このメモリカード印刷モードでは、カードリーダー部20にセットされたメモリカードに格納された画像データについて印刷処理が実行される。ここで、CPU90は、カードインターフェイス106を通じてカードリーダー部20にセットされたメモリカードから画像データを読み込む。ここで読み込んだ画像データとしては、JPEG形式やビットマップ形式等の各種形式により記録された画像データが含まれる。CPU90は、メモリカードから読み出した画像データを画像処理部102に送出して、画像処理部102にてプリンタ部30にて印刷処理を実行するためのデータに変換する。
【0063】
プリンタ制御部104は、CPU90からの命令に従って、画像処理部102から出力された2値データ(又は2ビットデータ)に基づき、プリンタヘッド21からインクを吐出する。このとき、プリンタ制御部104は、プリンタ部30のプリンタ用キャリッジ41を移動させる駆動機構24のキャリッジモータ42を制御するとともに、媒体を搬送する搬送機構36の搬送モータ15を制御する。このようにしてプリンタ制御部104は、媒体に対して印刷を施す。
【0064】
===従来の問題点及び解決方法===
<従来の問題点>
このような複合装置1にあっては、携帯電話機114から赤外線データ通信等を利用して携帯電話機114の電話帳データを取得して、その取得した電話帳データに基づき電話帳リストを作成して、その作成した電話帳リストを紙等の媒体に印刷する。この電話帳リストは、携帯電話機114に登録された電話帳データを紙等の媒体として物理的に保存することができ、携帯電話機114の電話帳のデータをユーザが簡単に閲覧することができる。
【0065】
しかしながら、このような紙等の媒体に印刷された電話帳リストでは、次のような問題があった。すなわち、自分の携帯電話機114等にデータを登録しようとしたときに、紙等の媒体に印刷された電話帳リストを見ながらユーザがいちいち手で入力して登録しなければならず、非常に手間がかかる上、入力作業に大幅な時間を要し、非常に煩雑であるといった問題があった。
【0066】
<解決方法>
そこで、本実施形態の複合装置1にあっては、携帯電話機114から赤外線データ通信等を利用して受信した電話帳データに基づき、QRコード等の符号画像を生成して、この生成した符号画像を、電話帳データに基づき作成される電話帳リストに記載し、そのQRコード等の符号画像を有する電話帳リストを紙等の媒体に印刷する。これによって、ユーザは、携帯電話機114の電話帳に再度データを登録しようとするときに、媒体に印刷された電話帳リストをユーザがいちいち見ながら、手で入力して登録していく必要はなく、電話帳リストに記載されたQRコード等の符号画像を携帯電話機114のカメラで撮影して、このQRコード等の符号画像を通じて簡単に携帯電話機114の電話帳にデータを登録することができる。なお、ここでは、符号画像としてQRコードを用いた場合を例にして説明する。
【0067】
===電話帳リスト===
ここで作成される電話帳リストについて説明する。図7は、ここで作成される電話帳リスト120の一例について説明したものである。この電話帳リスト120には、同図に示すように、携帯電話機114に登録された相手の各件122別にそれぞれ相手の情報が記載されている。各件122別には、相手の個人情報が記載された個人情報記載欄124と、QRコード125が記載されるQRコード欄126と、相手の写真が記載された写真欄128とが設けられている。この電話帳リストには、左側から個人情報記載欄124、QRコード欄126、写真欄128の順に並んで配置されている。QRコード欄126は、個人情報記載欄124と、写真欄128との間に設けられている。また、携帯電話機114に登録された相手の各件122の境界には、それぞれライン130が設けられている。
【0068】
個人情報記載欄124には、相手の名称(氏名等)や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレスなどが文字で記載されている。また、QRコード欄126には、個人情報記載欄124に記載された相手の氏名や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレスなどといった個人情報を各件122別にそれぞれ2次元コード化して生成されたQRコード125が記載される。また、写真欄128には、各件122別にそれぞれ登録された写真データに基づき写真129が記載される。
【0069】
このような電話帳リスト120は、携帯電話機114から受信した電話帳データの登録件数に応じて、複数枚にわたって印刷されても良い。また、このような電話帳リスト120は、モノクロにて印刷される他、カラーにて印刷されても良い。また、このような電話帳リスト120は、用紙等の媒体のサイズ等に応じて、電話帳リスト120に記載される電話帳データの記載件数がそれぞれ異なっていても良い。
【0070】
===電話帳リスト印刷までの手順===
図8は、電話帳リストの印刷手順について説明したものである。この電話帳リストを複合装置1にて作成する場合には、まず、ユーザにより操作パネル2上の各種ボタン82、83、84、85、86、87、87B、87Cが操作されて、電話帳リストを作成するモードが設定される。CPU90は、ここでは、赤外線通信インターフェイス112を通じて、携帯電話機114から電話帳データが赤外線データ通信により送信されてくるのを待機する。ユーザは、携帯電話機114の赤外線発光部を複合装置1の赤外線受光部32に向ける。そして、ユーザは、携帯電話機114を操作して、携帯電話機114内部の電話帳データの送信開始を指示する。これにより、複合装置1は、携帯電話機114からの電話帳データの受信を開始する(S102)。
【0071】
CPU90は、赤外線通信インターフェイス112を通じて携帯電話機114から受信した電話帳データに基づき、符号画像として、ここではQRコードを生成する(S104)。ここで、CPU90は、携帯電話機114から受信した電話帳データに登録されたデータの各件別にQRコードを生成する。すなわち、ここで生成される1つのQRコードには、携帯電話機114から受信した電話帳データの中の1件分のデータ(情報)が含まれる。そして、CPU90は、赤外線通信インターフェイス112を通じて携帯電話機114から受信した電話帳データに基づき、1件ごとにQRコードを生成する。すなわち、QRコードは、携帯電話機114から受信した電話帳データに登録されたデータの件数分だけ生成される。
【0072】
次に、CPU90は、このようにして生成したQRコードを用いて、電話帳リストを作成する(S104)。ここでCPU90が作成する電話帳リストは、図7にて説明したように、QRコード125を有する電話帳リスト120である。CPU90は、携帯電話機114から受信した電話帳データに登録された個人情報に基づき、当該個人情報が1件ずつ個別に並べて配置して個人情報記載欄124を電話帳リストに作成する。この際に、CPU90は、個人情報が1件ずつ個別に並べられて配置された電話帳リスト120に、生成したQRコードを設ける。ここでは、CPU90は、図7にて説明したように、個人情報記載欄124の右隣りに、QRコード125を添付して、QRコード欄126を設ける。さらに、このQRコード欄126の右隣りには、電話帳データに登録された写真129を添付して、写真欄128を形成する。このようにしてCPU90は、携帯電話機114から受信した電話帳データに基づき、QRコード125を有する電話帳リスト120を作成する。なお、ここで、CPU90は、1件分のデータが複数の媒体に跨らないように電話帳リストを作成する。
【0073】
次に、CPU90は、このようにして作成した電話帳リスト120を印刷する(S108)。ここで、CPU90は、作成した電話帳リストに基づき、プリンタ部30にて印刷処理を実行するための印刷データを生成する。そして、CPU90は、生成した印刷データに基づき、プリンタ制御部104を制御して印刷動作を実行する。このとき、プリンタ制御部104は、CPU90からの命令に従って、プリンタ部30のプリンタ用キャリッジ41を移動させる駆動機構24のキャリッジモータ42を制御したり、また、媒体を搬送する搬送機構36の搬送モータ15を制御したり、また、プリンタヘッド21からのインク吐出を制御したりする。これによって、プリンタ制御部104は、プリンタ用キャリッジ41に設けられたプリンタヘッド21から媒体に向けてインクを吐出する。これにより、媒体に印刷を施して電話帳リスト120を印刷する。
【0074】
なお、電話帳リスト120を印刷する際に、媒体上に印刷されるQRコードの色は、ブラックにより印刷されると良い。この場合、好ましくは、QRコードは、イエロ(Y)、マゼンダ(M)およびシアン(C)の3色のインクにより形成されるコンポジットブラックによって印刷されるのではなく、これらイエロ(Y)、マゼンダ(M)およびシアン(C)の3色のインクとは別のブラック(K)のインクによって印刷されるのが良い。このようにQRコードがブラック(K)のインクにより印刷されれば、ユーザ等が媒体に印刷されたQRコードを携帯電話機のカメラ等により読み込んでデータとして取り込む場合に、データの取込みエラー等を防止することができる。
【0075】
===携帯電話機から受信するデータの形式===
複合装置1が携帯電話機114から受信するデータの形式としては、例えば、次のようなものがある。図9は、複合装置1が携帯電話機114から受信するデータの形式の一例について説明したものである。ここでは、「vCard」形式について説明する。ここで「vCard」形式とは、電子名刺のことで、電話帳などのデータをアプリケーション間でやり取りをするための共通のデータフォーマットの中の1つである。「vCard」で規定されているのは、名称、電話番号などの個人情報であり、「vCard」のフォーマットはテキスト形式となっている。
【0076】
「vCard」の記述は、同図に示すように、「BEGIN:〜」で始まり、「END:〜」で終わる行ベースのフォーマットが使われている。行の長さおよび長い行の処理は通常の電子メールの処理と同じで、文字コードや国の表記には、インターネットで利用されているものを使う。
複合装置1は、このような形式のデータを携帯電話機114から電話帳データとして受信する。そして、複合装置1は、受信した電話帳データに基づき、電話帳リスト120を作成して、これを媒体等に印刷をする。
【0077】
なお、複合装置1が携帯電話機114から受信するデータの形式としては、前述した「vCard」形式以外の他の形式であっても構わない。すなわち、複合装置1が携帯電話機114から電話帳データを受信するのであれば、その受信するデータの形式はどのような形式であっても構わない。
【0078】
===QRコードにデータが収まらない場合===
携帯電話機114から送られてきた電話帳データに、1件分のデータとして、非常にサイズの大きいデータが含まれていた場合に、1つのQRコードに全てのデータを含めることはできない。そこで、このような場合、CPU90は、携帯電話機114から送られてきたデータの中から、重要と思われるデータをピックアップして、それ以外のデータを削減して、QRコードに含めるデータを限定する。
【0079】
図10は、携帯電話機114から送られてきた電話帳データに、1件分の登録データとして、非常にサイズの大きいデータが含まれていた場合に、QRコードに含めるデータのサイズを切り詰める手順の一例を説明したものである。このようなQRコードに含めるデータの切り詰めは、CPU90により行う。
【0080】
CPU90は、まず、携帯電話機114から送られてきた電話帳データから1件分の登録データを取得する(S202)。そして、次に、CPU90は、その1件分の登録データが、1つのQRコードに全て含めることができるか否かをチェックする。1つのQRコードが、例えば、200バイト(Byte)のデータまで含めることができるとした場合に、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下か否かをチェックする(S204)。ここで、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下である場合には、CPU90は、直ち処理を終了する(「End」へ)。一方、1件分の登録データが所定のサイズ以下、200バイト(Byte)以下ではない場合、即ち1件分のデータが200バイト(Byte)を超えていた場合には、CPU90は、次にステップS206へと進む。
【0081】
CPU90は、ステップS206にて、その1件分の登録データのうちの住所データについてデータの切り詰めを行う。ここでは、CPU90は、住所データが所定のサイズよりも長い場合、即ちここでは32バイトよりも長い場合に、その住所データに対してデータの切り詰めを行う。そして、CPU90は、このようにして住所データに対してデータの切り詰めを行った後、次にステップS208へと進む。なお、その住所データが所定のサイズ、即ちここでは32バイト以下であった場合には、CPU90は、その住所データに対してデータの切り詰めは行わなずに次のステップS208に進む。
【0082】
ステップS208においては、CPU90は、住所データに対してデータの切り詰めを行った後の登録データが200バイト(Byte)以下か否かをチェックする(S208)。ここで、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下である場合には、CPU90は、直ち処理を終了する(「End」へ)。一方、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下ではない場合には、CPU90は、さらにデータの切り詰めを行うべく、ステップS210へと進む。
【0083】
ここでは、CPU90は、1件分の登録データのうちの名称データについてデータの切り詰めを行う。ここでは、CPU90は、名称データが所定のサイズよりも長い場合、即ちここでは32バイトよりも長い場合に、その名称データに対してデータの切り詰めを行う。そして、CPU90は、名称データに対してデータの切り詰めを行った後、次にステップS212へと進む。なお、その名称データが所定のサイズ、即ちここでは32バイト以下であった場合には、CPU90は、その名称データに対してデータの切り詰めは行わなずに次のステップS212に進む。
【0084】
ステップS212においては、CPU90は、名称データに対してデータの切り詰めを行った後の登録データが200バイト(Byte)以下か否かをチェックする(S212)。ここで、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下である場合には、CPU90は、直ち処理を終了する(「End」へ)。一方、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下ではない場合には、CPU90は、さらにデータの切り詰めを行うべく、次のステップS214へと進む。
【0085】
ここでは、CPU90は、1件分の登録データのうちのメールアドレスのデータについてデータの切り詰めを行う(S214)。ここでは、CPU90は、1件分の登録データに含まれる複数のメールアドレスのうちの一部を削除する。ここでCPU90が削除するメールアドレスの件数は、1件でも良く、また2件以上であっても良く、さらには全てのメールアドレスが削除されても良い。CPU90は、このようにしてメールアドレスの削除を行った後、次にステップS216へと進む。
【0086】
ステップS216においては、CPU90は、メールアドレスを削除した後の登録データが200バイト(Byte)以下か否かをチェックする(S216)。ここで、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下である場合には、CPU90は、直ち処理を終了する(「End」へ)。一方、1件分の登録データが200バイト(Byte)以下ではない場合には、CPU90は、さらにデータの切り詰めを行うべく、次のステップS218へと進む。
【0087】
ステップS218では、CPU90は、1件分の登録データの中に複数件登録された電話番号の一部を削除する(S218)。ここでCPU90が削除する電話番号の件数は、1件でも良く、また2件以上であっても良い。CPU90は、このようにして電話番号の削除を行った後、処理を終了する(「End」へ)。
【0088】
<電話帳リストへの対応>
このようにして携帯電話機114から送られてきた電話帳データに、1件分のデータとして、非常にサイズの大きいデータが含まれていた場合に、1つのQRコードに全てのデータを含めることができず、データを切り詰めた場合には、電話帳リストを作成する際に、CPU90により選出されたデータ、即ちQRコードに含むことができたデータと、CPU90により選出されなかったデータ、即ちQRコードに含むことができなかったデータとを異なる色にて表記すると好ましい。つまり、例えば、CPU90により選出されたデータ、即ちQRコードに含むことができたデータは、ブラック(K)にて表記されるのに対して、CPU90により選出されなかったデータ、即ちQRコードに含むことができなかったデータは、イエロ(Y)等のブラック(K)を除く他の色にて表記されると良い。このようにCPU90により選出されたデータと、CPU90により選出されなかったデータとが異なる色にて表記されることで、QRコードに含むことができなかったデータをユーザ等に知らせることができる。
【0089】
===電話帳リストの他の形態===
図11は、電話帳リスト132の他の形態の説明したものである。この電話帳リスト132は、図7にて説明した電話帳リスト120と同様に、携帯電話機114に登録された相手の各件122別にそれぞれ相手の情報が記載されている。各件122には、それぞれ相手の個人情報が記載された個人情報記載欄124と、QRコード125A、125B、125Cが記載されるQRコード欄126と、相手の写真が記載された写真欄128とが設けられている。
【0090】
個人情報記載欄124には、相手の氏名や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレスなどが文字で記載されている。また、QRコード欄126には、個人情報記載欄124に記載された相手の氏名や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレスなどといった個人情報を各件122別にそれぞれ2次元コード化して生成されたQRコード125A、125B、125Cが記載される。また、写真欄128には、各件122別にそれぞれ登録された写真データに基づき写真129が記載される。
【0091】
ただし、この電話帳リスト132にあっては、QRコード欄126には、3つのQRコード125A、125B、125Cが設けられている。ここで設けられる3種類のQRコード125A、125B、125Cは、それぞれ異なる携帯電話サービスの提供事業者に対応するQRコードとなっている。すなわち、例えば、左側に位置するQRコード125Aは、携帯電話サービスの提供事業者「A社」に対応している。また、中央に位置するQRコード125Bは、携帯電話サービスの提供事業者「B社」に対応している。また、右側に位置するQRコード125Cは、携帯電話サービスの提供事業者「C社」に対応している。
【0092】
このように携帯電話サービスの提供事業者別にそれぞれ異なるQRコード125A、125B、125Cが設けられているのは、次の理由からである。すなわち、同じQRコードであっても、ある携帯電話サービスの提供事業者の携帯電話機では解読することができるQRコードが、他の携帯電話サービスの提供事業者の携帯電話機では解読することができない場合があるからである。このようなことから、CPU90は、携帯電話サービスの提供事業者別にそれぞれ異なるQRコード125A、125B、125Cを生成して、これら生成したQRコード125A、125B、125Cを電話帳リスト132に記載するのである。このように電話帳リスト132に、携帯電話サービスの提供事業者別にそれぞれ対応するQRコード125A、125B、125Cが設けられることで、ユーザは、利用する携帯電話サービスの提供事業者を変更した場合であっても、それに対応するQRコード125A、125B、125Cを利用することができる。
【0093】
なお、ここでは、携帯電話サービスの提供事業者別にそれぞれ異なるQRコードとして、3種類のQRコード125A、125B、125Cが電話帳リスト132に設けられていたが、電話帳リスト132に設けられるQRコードは、このように3種類である必要はなく、2種類であっても良く、また4種類以上であっても良い。
【0094】
また、この電話帳リスト132には、携帯電話サービスの提供事業者別に3種類のQRコード125A、125B、125Cが設けられていたが、予めユーザ等により設定された携帯電話サービスの提供事業者に対応するQRコードのみを設けるようにしても構わない。つまり、予めユーザ等によって、例えば、携帯電話サービスの提供事業者「A社」についてのみ、QRコード125Aを記載すべく設定がなされていた場合には、携帯電話サービスの提供事業者「A社」に対応するQRコード125Aのみを電話帳リスト132に記載するようにしても良い。
【0095】
===媒体の種類に応じた印刷===
電話帳リスト120、132に記載されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズについては、電話帳リスト120、132が印刷される媒体の種類に応じて適宜変更すると良い。これは、印刷される媒体の種類に応じて、QRコード125、125A、125B、125Cの適切なサイズがそれぞれ異なるからである。つまり、QRコード125、125A、125B、125Cをきめ細かく印刷することができる媒体については、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズを小さくしても携帯電話機等にて十分に読み取ることができる。一方、QRコード125、125A、125B、125Cをきめ細かく印刷することができない媒体については、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズが小さい場合には携帯電話機等にて十分に読み取ることができない場合が生じる。このため、媒体に印刷されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズを大きくして、携帯電話機等でも十分に読み取ることができるようにする必要がある。
【0096】
このようなことから、印刷される媒体の種類に応じて、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズを適宜変更する必要がある。このように印刷される媒体の種類に応じて、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズを適宜変更することで、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズを小さくすることができれば、1枚の媒体に印刷される電話帳リストの件数を増やすことができるとともに、インクの消費量も抑制することができる。
【0097】
図12は、印刷される媒体の種類に応じて、媒体に印刷されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズの設定例について説明したものである。ここでは、媒体の種類として、「普通紙」、「マット紙」、「光沢紙」、「フィルム」、「写真用紙」についてそれぞれ個別にQRコード125、125A、125B、125Cのサイズを設定した場合について説明している。これら「普通紙」、「マット紙」、「光沢紙」、「フィルム」および「写真用紙」は、それぞれ「α1(縦)×β1(横)」、「α2×β2」、「α3×β3」、「α4×β4」、「α5×β5」に設定されている。
【0098】
なお、ここでは、媒体の種類として、「普通紙」、「マット紙」、「光沢紙」、「フィルム」および「写真用紙」についてそれぞれ個別にQRコード125、125A、125B、125Cのサイズが設定された場合について説明したが、その他の種類の媒体についてもQRコード125、125A、125B、125Cのサイズの設定をしても良い。また、ここでは、QRコード125、125A、125B、125Cのサイズとして、縦×横として設定されていたが、QRコード125、125A、125B、125Cが正方形状の場合には、1辺のサイズのみが設定されていても良い。
【0099】
<媒体の種類の情報の取得方法>
電話帳リストが印刷される媒体の種類に関する情報を取得する方法としては、次の(A)および(B)のような方法がある。
【0100】
(A)光学センサによる媒体の種類の判別
例えば、プリンタ用キャリッジ41等に設けられた光学センサによって、プリンタ部30にて印刷される媒体の種類に関する情報を取得することができる。ここで、光学センサは、発光部と受光部とを有し、発光部から媒体に向けて光が発光され、媒体にて反射された光が受光部にて受光される。受光部は、受光した光の大きさに応じたレベルの信号を出力する。そして、この信号が光学センサから出力信号としてCPU90に向けて出力される。CPU90は、光学センサからの出力信号の信号レベルに基づき、プリンタ部30にて印刷される媒体の種類を判別する。そして、CPU90は、判別された媒体の種類に基づき、媒体に印刷されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズを設定する。
【0101】
(B)ユーザ等からの情報による媒体の種類の判別
例えば、複合装置1の操作パネル2を通じてユーザ等により入力された情報、または複合装置1に接続されたホストコンピュータ110にインストールされたドライバプログラムにおいてユーザ等により設定された情報に基づき、プリンタ部30にて印刷される媒体の種類に関する情報を取得することができる。CPU90は、複合装置1の操作パネル2またはホストコンピュータ110のドライバプログラムを通じてユーザ等により設定された印刷する媒体の種類に関する情報を取得する。そして、CPU90は、取得した媒体の種類に関する情報に基づき、媒体に印刷されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズを設定する。
【0102】
なお、ここでは、これら(A)および(B)の方法にて媒体の種類に関する情報を取得する方法について説明して説明したが、もちろん、これら(A)および(B)以外の他の方法によって媒体の種類に関する情報を取得しても良い。
【0103】
===QRコードの解読===
複合装置1は、QRコードを解読する機能を備えていても良い。この場合、QRコードは、複合装置1のスキャナ部10により画像として読み取って、その読み取った画像に含まれるQRコードをCPU90が解読すると好ましい。この際に、CPU90は、メモリ92等に格納されたQRコードの解読プログラムを実行する。
【0104】
このように複合装置1がQRコードを解読する機能を備えていれば、複合装置において次の(1)や(2)のことが実現可能となる。
【0105】
(1)電話帳リストの解読
プリンタ部30により媒体に印刷された電話帳リスト120、132をスキャナ部10により画像として読み込むことで、媒体に印刷された電話帳リスト120、132に記載されたQRコード125、125A、125B、125から情報を複合装置1が簡単に取得することができる。これによって、スキャナ部10を通じて電話帳リスト120、132から取得した情報を携帯電話機114等に赤外線通信インターフェイス112(赤外線受光部32)を通じて送信することが可能となる。
【0106】
(2)電話帳リストのコピー
複合装置1によるQRコードの解読機能は、プリンタ部30により媒体に印刷された電話帳リスト120、132をスキャナ部10により画像として読み取って、その読み込んだ画像をプリンタ部30にて再び媒体に印刷する場合にも適用することができる。すなわち、媒体に印刷された電話帳リスト120、132をスキャナ部10により画像として読み取ってそのままプリンタ部30にて印刷するのではなく、スキャナ部10により画像として読み取った電話帳リスト120、132に含まれるQRコード125、125A、125B、125からCPU90が情報を取得する。そして、CPU90が取得した情報に基づき、CPU90が再び電話帳リスト120、132を作成して、プリンタ部30にて媒体に印刷するのである。これによって、画質の大幅な低下を招くことなく、電話帳リスト120、132のコピー(複写)を実行することができる。
【0107】
なお、複合装置1がQRコードを解読する機能を備えた場合に実現可能なことは、これら(1)および(2)のことに限られない。すなわち、複合装置1がQRコードを解読する機能を様々な利用方法に活用しても良い。
【0108】
===まとめ===
以上本実施形態では、複合装置1によって、携帯電話機114から電話帳データを受信し、この受信した電話帳データに基づきQRコードを生成して、このように生成したQRコードを有する電話帳リストを電話帳データに基づき作成し、そのQRコード125、125A、125B、125Cを有する電話帳リストを紙等の媒体に印刷する。これによって、ユーザは、携帯電話機114の電話帳に再度データを登録しようとするときに、媒体に印刷された電話帳リストをユーザがいちいち見ながら、手で入力して登録していく必要はなく、電話帳リストに記載されたQRコードを携帯電話機114のカメラで撮影して、このQRコード125、125A、125B、125Cを通じて簡単に携帯電話機114の電話帳にデータを登録することができる。
【0109】
また、複合装置1によって印刷される電話帳リストには、QRコード125、125A、125B、125Cの他に、個人情報記載欄124が設けられ、この個人情報記載欄124に、相手の名称(氏名等)や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレスなどが文字で記載されることで、ユーザ等は携帯電話機114に登録された電話帳データを簡単に確認することができる。さらに、電話帳リストに写真欄128が設けられ、この写真欄128に写真129が記載されることで、相手が誰だか簡単に確認することができる。
【0110】
さらに、複合装置1によって印刷される電話帳リストに、QRコードとして、携帯電話サービスの提供事業者別にそれぞれ異なるQRコード125A、125B、125Cが設けられることで、携帯電話サービスの各提供事業者にそれぞれ対応することができる。また、これらQRコード125A、125B、125Cに対応してそれぞれ携帯電話サービスの提供事業者の名称が表記されることによって、どのQRコード125A、125B、125Cがどの携帯電話サービスの提供事業者に対応するのか簡単に確認することができる。
【0111】
またさらに、電話帳リスト120、132が印刷される媒体の種類に応じて、印刷されるQRコード125、125A、125B、125Cのサイズが異なれば、媒体の種類に応じて携帯電話機等でも十分に読み取ることができるような適切なサイズをQRコード125、125A、125B、125Cに設定することができる。これによって、1枚の媒体に印刷される電話帳リストの件数を増やすことができるとともに、インクの消費量も抑制することができる。
【0112】
またさらに、媒体に印刷された電話帳リスト120、132をスキャナ部10により画像として読み込んで、読み込んだ電話帳リスト120、132からQRコード125、125A、125B、125Cを解読すれば、QRコード125、125A、125B、125Cのデータを簡単に取り込むことができる。
【0113】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0114】
<携帯電話機について>
前述した実施の形態では、「携帯電話機」として、印刷装置(複合装置1)に対して赤外線通信により電話帳データを送信する携帯電話機を例にして説明したが、ここでいう「携帯電話機」にあっては、必ずしもこのように印刷装置(複合装置1)に対して赤外線通信により電話帳データを送信する携帯電話機には限らない。すなわち、印刷装置(複合装置1)に対して有線または無線により電話帳データを送信する携帯電話機であれば、どのようなタイプの携帯電話機であっても構わない。すなわち、印刷装置(複合装置1)とケーブル等を介して接続される「携帯電話機」であっても構わない。
【0115】
<外部通信インターフェイスについて>
前述した実施の形態では、「外部通信インターフェイス」として、赤外線通信インターフェイス112(赤外線受光部32を含む)を例にして説明したが、ここでいう「外部通信インターフェイス」にあっては、必ずしもこのように携帯電話機と赤外線通信によりデータを受信するものには限られない。つまり、携帯電話機114から有線または無線により電話帳データを受信するのであれば、どのようなタイプの「外部通信インターフェイス」であっても良く、例えば、本実施形態では、ホストコンピュータと接続される外部通信インターフェイス94が、ここでいう「外部通信インターフェイス」、即ち携帯電話機114から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスとして機能しても良い。
【0116】
<電話帳データについて>
前述した実施の形態では、「電話帳データ」として、相手の名称(氏名等)や自宅の電話番号、携帯電話機の電話番号、勤務先電話番号、住所、Eメールアドレス、写真などを有するデータが携帯電話機から送られてきたが、ここでいう「電話帳データ」にあっては、必ずしもこのような「電話帳データ」には限らない。すなわち、これらの情報以外の情報が電話帳データに含まれていても良く、またこれらの情報が「電話帳データ」に含まれている必要もない。
【0117】
<符号画像について>
前述した実施の形態では、「符号画像」として、QRコードを用いた場合を例にして説明したが、ここでいう「符号画像」にあっては、このようなQRコードには限らない。すなわち、例えば、JANコードなど、QRコード以外の他のタイプの符号画像が用いられていても構わない。
【0118】
<符号画像生成部について>
前述した実施の形態では、「符号画像生成部」として、CPU90が携帯電話機から受信した電話帳データに基づき、符号画像(QRコード)を生成していたが、ここでいう「符号画像生成部」にあっては、必ずしもこのようにCPU90により構成される必要はなく、専用の回路等の他の構成部によって構成されても良い。
【0119】
<電話帳リストについて>
前述した実施の形態では、「電話帳リスト」として、図7または図11に示すような電話帳リストが例示されていたが、ここでいう「電話帳リスト」にあっては、必ずしもこのよなタイプの電話帳リストには限られない。
【0120】
<電話帳リスト作成部について>
前述した実施の形態では、「電話帳リスト作成部」として、CPU90が携帯電話機から受信した電話帳データに基づき、符号画像(QRコード)を有する電話帳リストを作成していたが、ここでいう「符号画像生成部」にあっては、必ずしもこのようにCPU90により構成される必要はなく、専用の回路等の他の構成部によって構成されても良い。
【0121】
<印刷部について>
前述した実施の形態では、「印刷部」として、媒体に向けてインクを吐出して印刷を行う印刷部(プリンタ部30)を例にして説明したが、ここでいう「印刷部」にあっては、必ずしもこのようにインクを吐出して印刷を行う印刷部(プリンタ部30)に限られることはなく、媒体に対して印刷を行う印刷部であれば、どのようなタイプの印刷部であっても構わない。例えば、レーザービーム方式や熱転写方式等の各種方式により媒体に印刷を行う印刷部であっても構わない。
【0122】
<媒体について>
媒体については、前述した用紙として、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、印刷対象となり得るものであれば、どのようなタイプの媒体であっても構わない。
【0123】
<印刷装置について>
前述した実施の形態では、「印刷装置」として、原稿から画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り部(スキャナ部)と、媒体に対して印刷を施す印刷部(プリンタ部)とを備えた「複合装置」の場合を例にして説明したが、ここでいう「印刷装置」にあっては、必ずしもこのように画像読み取り部(スキャナ部)を備えている必要はない。すなわち、ここでいう「印刷装置」としては、媒体に対して印刷を施す機能を少なくとも備えていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】複合装置の一例を説明する斜視図。
【図2】複合装置のスキャナ部のカバーを開いたときの斜視図。
【図3】複合装置の印刷部を示す斜視図。
【図4】複合装置のスキャナ部及びプリンタ部の構成を説明する説明図。
【図5】複合装置の操作パネルを説明する説明図。
【図6】複合装置の制御部のシステム構成の一例の説明図。
【図7】作成される電話帳リストの一例の説明図。
【図8】電話帳リストの印刷手順の一例の説明図。
【図9】携帯電話機から受信するデータの形成の一例の説明図。
【図10】重要なデータの選出方法の一例を説明するフローチャート。
【図11】作成される電話帳リストの他の形態の説明図。
【図12】媒体の種類に応じたQRコードのサイズの設定例の説明図。
【符号の説明】
【0125】
1 複合装置、2 操作パネル、5 原稿、6 上部、9 下部、10 スキャナ部、
11 原稿台、12 原稿台カバー、14 プラテン、15 搬送モータ、
17A 搬送ローラ、20 カードリーダー部、21 プリンタヘッド、
22 背部給紙口、23 前部給紙口、24 駆動機構、25 排紙トレイ、
26 インクカートリッジ、27 インクカートリッジカバー、28 固定用レバー、
29A レバー本体、29B 凹部、30 プリンタ部、32 赤外線受光部、
34 ヒンジ部、36 搬送機構、41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、
44 プーリ、45 タイミングベルト、46 ガイドレール、50 制御部、
51 リニア式エンコーダ符号板、52 検出部、53 紙検知センサ、
56 ロータリ式エンコーダ、60 スキャナヘッド、60A 後端部、
62 駆動機構、64 ガイド、66 露光ランプ、70 レンズ、
72 イメージセンサ、74 タイミングベルト、75 プーリ、76 プーリ、
77 駆動モータ、80 液晶ディスプレイ、82 電源ボタン、83 設定ボタン、
84 ストップボタン、85 モード選択ボタン、86 カーソル操作ボタン群、
87 スタートボタン、87C カラーボタン、87B モノクロボタン、
90 CPU、92 メモリ、94 外部通信インターフェイス、
96 操作入力インターフェイス、98 表示制御部、100 スキャナ制御部、
102 画像処理部、104 プリンタ制御部、106 カードインターフェイス、
108 バス、110 ホストコンピュータ、112 赤外線通信インターフェイス、
114 携帯電話機、120 電話帳リスト、122 件、124 個人情報記載欄、
125 QRコード、125A QRコード、125B QRコード、
125C QRコード、126 QRコード欄、128 写真欄、129 写真、
130 ライン、132 電話帳リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、
(B)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、
(C)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき、前記符号画像生成部により生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、
(D)前記電話帳リスト作成部により作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、
(E)を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記符号画像がQRコードであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記符号画像がJANコードであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記外部通信インターフェイスは、赤外線通信により前記携帯電話機から前記電話帳データを受信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記符号画像生成部は、前記電話帳データの登録データの各件ごとに前記符号画像を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記電話帳リスト作成部は、前記電話帳データに基づき、前記符号画像の他に、名称、電話番号、住所等の個人情報が記載された前記電話帳リストを作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記符号画像生成部は、前記電話帳データに基づき、携帯電話サービスの提供事業者別に前記符号画像を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記電話帳リストには、前記提供事業者別の複数の種類の前記符号画像が記載されることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記媒体の種類に応じて前記印刷部により前記媒体に印刷される前記符号画像のサイズが異なることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記符号画像生成部は、前記符号画像のデータ量よりも前記電話帳データが大きい場合に、前記電話帳データの中から所定の優先順位に基づき選出された一部のデータに基づき前記符号画像を生成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記媒体に印刷される前記電話帳リストには、前記符号画像生成部により選出された前記一部のデータと、前記符号画像生成部により選出されなかった他のデータとが異なる色にて表記されることを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記印刷部により印刷された前記媒体から前記電話帳リストを読み取る画像読み取り部と、
前記画像読み取り部により読み取られた前記電話帳リストに含まれる前記符号画像を解読する解読部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記符号画像生成部は、前記解読部により前記符号画像が解読されて生成された電話帳データに基づき符号画像を生成することを特徴とする請求項12に記載の印刷装置。
【請求項14】
(A)携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信する外部通信インターフェイスと、
(B)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき符号画像を生成する符号画像生成部と、
(C)前記外部通信インターフェイスにより受信された前記電話帳データに基づき、前記符号画像生成部により生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成する電話帳リスト作成部と、
(D)前記電話帳リスト作成部により作成された前記電話帳リストを媒体に印刷する印刷部と、
(E)を備え、
(F)前記符号画像がQRコードであり、
(G)前記外部通信インターフェイスは、赤外線通信により前記携帯電話機から前記電話帳データを受信し、
(H)前記符号画像生成部は、前記電話帳データの登録データの各件ごとに前記符号画像を生成し、
(I)前記電話帳リスト作成部は、前記電話帳データに基づき、前記符号画像の他に、名称、電話番号、住所等の個人情報が記載された前記電話帳リストを作成し、
(J)前記符号画像生成部は、前記電話帳データに基づき、携帯電話サービスの提供事業者別に前記符号画像を生成し、
(K)前記電話帳リストには、前記提供事業者別の複数の種類の前記符号画像が記載され、
(L)前記媒体の種類に応じて前記印刷部により前記媒体に印刷される前記符号画像のサイズが異なり、
(M)前記符号画像生成部は、前記符号画像のデータ量よりも前記電話帳データが大きい場合に、前記電話帳データの中から所定の優先順位に基づき選出された一部のデータに基づき前記符号画像を生成し、
(N)前記媒体に印刷される前記電話帳リストには、前記符号画像生成部により選出された前記一部のデータと、前記符号画像生成部により選出されなかった他のデータとが異なる色にて表記され、
(O)前記印刷部により印刷された前記媒体から前記電話帳リストを読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部により読み取られた前記電話帳リストに含まれる前記符号画像を解読する解読部と、を備え、
(P)前記符号画像生成部は、前記解読部により前記符号画像が解読されて生成された電話帳データに基づき符号画像を生成することを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
携帯電話機から電話帳データを有線または無線により印刷装置に取り込むステップと、
前記印刷装置に取り込んだ前記電話帳データに基づき前記印刷装置により符号画像を生成するステップと、
前記印刷装置に取り込んだ前記電話帳データに基づき、生成した前記符号画像を有する電話帳リストを前記印刷装置により作成するステップと、
前記印刷装置により作成された前記電話帳リストを前記印刷装置により媒体に印刷するステップと、
を有することを特徴とする電話帳データの出力方法。
【請求項16】
印刷装置にて実行されるプログラムであって、
携帯電話機から有線または無線により電話帳データを受信するステップと、
受信した前記電話帳データに基づき符号画像を生成するステップと、
受信した前記電話帳データに基づき、生成された前記符号画像を有する電話帳リストを作成するステップと、
作成された前記電話帳リストを媒体に印刷するステップと、
を実行することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−237559(P2007−237559A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63194(P2006−63194)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】