説明

原稿処理装置

【課題】原稿に対するステープル位置が容易に入力できる原稿処理装置を提供し、一部が破損した原稿であっても適切に綴じ処理できる原稿処理装置を提供する。
【解決手段】自動原稿搬送部62により画像読取部3に搬送され、排出された一連の原稿を整合する原稿整合部64と、前記原稿整合部64で整合された原稿束を綴じるステープラ65を備えてなる原稿処理装置6であって、前記原稿に付された綴じ情報を識別する綴じ情報識別手段66と、前記綴じ情報識別手段66により識別された綴じ情報に基づいて前記ステープラ65を制御するステープラ制御手段67を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送部により画像読取部に搬送され、排出された一連の原稿を整合する原稿整合部と、前記原稿整合部で整合された原稿束を綴じるステープラを備えてなる原稿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動原稿搬送装置を使用して、ステープル針によって綴じられた用紙束を原稿として複写する場合に、そのステープル針を自動的に除去する綴じ部材除去装置を搭載した自動原稿搬送装置が提案されている。
【0003】
さらに当該特許文献1には、ステ−プル検知手段の検知結果に基づき、排紙された原稿上における除去前のステ−プル位置近傍に再ステ−プルが為されるように、ステ−プラ移動手段を制御するステ−プラ制御手段を備え、さらに、ステ−プル手段により為されるステ−プル位置を入力するステ−プル位置入力手段と、このステ−プル位置入力手段により入力された原稿束の位置にステ−プルするように上記ステ−プル手段を制御するステ−プルマニュアル制御手段を備えた自動原稿搬送装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、安価かつコンパクトな構成により綴じ部材の位置情報を得て、確実に用紙束から綴じ部材を除去することを目的として、綴じ部材によって綴じられた用紙束の表面を撮像した画像データから該綴じ部材を検出する検出手段と、綴じ部材を用紙束から取り外す取外し手段と、前記取外し手段と用紙束との相対位置を変化させる移動手段と、前記検出手段により検出された信号に基づいて前記移動手段を作動させると共に、前記取外し手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする綴じ部材除去装置、及び、綴じ部材によって綴じられた用紙束の表面を撮像した画像データから該綴じ部材を検出する検出手段と、綴じ部材を用紙束から取り外す取外し手段と、前記取外し手段と用紙束との相対位置を変化させる移動手段と、前記検出手段により検出された信号に基づいて前記移動手段を作動させると共に、前記取外し手段を制御する制御手段とを備え、綴じ部材の位置情報を用いて、画像形成後に、再度綴じ部材によって用紙束を元の位置で綴じるようにした画像形成装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−186807号公報
【特許文献2】特開2000−159449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の自動ステープラにより綴じられた原稿に新たな原稿を加えたり、原稿の一部分を差し替えて複写する必要のあるときには、ステープル針を自動的に除去する綴じ部材除去装置では対応できず、人為的にステープル針を外して原稿を組み替えた後に複写する必要がある。
【0007】
このような場合、ステープル針の孔跡が無い新たな原稿や、ステープル位置の異なる複数の原稿を混合した原稿では、ステープル針の孔跡等の綴じ部材の位置情報を用いて、画像形成後に、再度綴じ部材によって用紙束を元の位置で自動的に綴じることができず、操作部からステ−プル位置を手動入力して原稿を綴じるという煩雑な操作が要求されるという問題があった。
【0008】
さらに、人為的にステープル針を外す際に原稿の一部が破れる等の破損が生じると、再ステープルした原稿から破損原稿が離脱する虞もある。
【0009】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、原稿に対するステープル位置が容易に入力できる原稿処理装置を提供し、一部が破損した原稿であっても適切に綴じ処理できる原稿処理装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による原稿処理装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、自動原稿搬送部により画像読取部に搬送され、排出された一連の原稿を整合する原稿整合部と、前記原稿整合部で整合された原稿束を綴じるステープラを備えてなる原稿処理装置であって、前記原稿に付された綴じ情報を識別する綴じ情報識別手段と、前記綴じ情報識別手段により識別された綴じ情報に基づいて前記ステープラを制御するステープラ制御手段を備えている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、原稿上の文字情報や画像情報を綴じ情報とすることができ、前記文字情報や画像情報は識別が容易であることから、ステープラの誤制御を低減させることができ、また、前記文字情報や画像情報は情報量の増減が容易であることから、綴じ情報として様々な情報を適用・付加することで、適用・付加した綴じ情報に応じた様々なステープラの制御が可能となるのである。
【0012】
また、上述の構成によれば、綴じ情報を予め原稿に含ませておくことから、前記オペレータが綴じ情報を操作部へ入力するといった煩雑な作業が不要となり、さらに、操作部へ綴じ情報を誤入力することを回避することができるのである。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記綴じ情報は、綴じ位置情報を含む点にある。
【0014】
上述の構成によれば、綴じ位置を決定するのに、ステープル跡等といった識別できない或いは誤識別する可能性が高い原稿上の情報を使用する必要がないのである。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記原稿の破損を検出する原稿状態検出手段を備え、前記ステープラ制御手段は、前記原稿状態検出手段により検出された原稿破損位置が前記綴じ情報識別手段により識別された綴じ位置と重なるときに、前記綴じ位置を前記原稿破損位置から離隔した近傍位置に補正する綴じ位置補正手段を備えている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、原稿中の原稿破損位置と異なる箇所、つまり破損していない箇所を新たなステープル位置とすることができるので、ステープル針を外すとき等にステープル位置が破損した原稿が、再ステープルする際に他の原稿から離脱することがなく、適切に綴じ処理できるのである。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記綴じ情報は、綴じ枚数情報を含む点にある。
【0018】
一般的に各原稿には頁数が付されていることが多く、前記頁数が綴じ枚数であることも多いことから、例えば、前記頁数を綴じ枚数情報として流用することができる等、上述の構成は本発明の好ましい適用例となる。
【0019】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記綴じ情報は、前記綴じ情報が付された原稿をステープル対象原稿から除去するか否かを識別するステープル対象原稿識別情報を含む点にある。
【0020】
上述の構成によれば、ステープル処理される原稿に綴じ情報を含ませたくない場合に、例えば、ステープル原稿以外の原稿であって綴じ情報が付された綴じ情報専用の原稿を用意することで、ステープル処理された原稿には綴じ情報が付されることなく、ステープル処理された原稿は綴じ情報の利用による利点を享受することができるのである。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、原稿に対するステープル位置が容易に入力できる原稿処理装置を提供し、一部が破損した原稿であっても適切に綴じ処理できる原稿処理装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による原稿処理装置を画像形成装置としての複写機に適用した場合について説明する。
【0023】
複写機1は、図2に示すように、各種のメニューを設定する複数のメニュー設定キーや設定されたメニューで複写動作を起動するスタートキー等が配置された操作部2と、原稿テーブル61にセットされた一連の原稿を順次読込んで電子データに変換する画像読取部3と、前記画像読取部3によって電子データに変換された画像データに基づいて用紙上にトナー像を形成して出力する電子写真方式の画像形成部4と、それぞれ異なるサイズまたは種類の用紙が収容された複数の給紙カセット5(5a〜5d)及び機械左側部に設けられた手差し給紙口(図示せず)と、前記原稿テーブル61にセットされた一連の原稿の前記画像読取部3への搬送処理や、前記画像読取部3における処理が完了した前記一連の原稿の排出処理を行う原稿処理装置6と、前記各部の図示しない制御部を統括制御するシステム制御部7とを備えて構成されている。
【0024】
前記操作部2は、前記画像読取部3の手前側に配置されており、中央部に設けられた複数のメニューキー等が表示され各メニューキーに対する操作を検出する前記操作部2の中央部に設けられたタッチパネル式の表示部20と、前記表示部20の両側に設けられた種々の入力キー21やモード選択キー22等を備えて構成されている。
【0025】
前記画像読取部3は、図3に示すように、コンタクトガラス31の直上位置に設定された画像読取位置32で副走査方向に搬送される原稿の画像情報を読取る機能を有しておりCCDイメージセンサを備えた画像読取手段としての撮像部33と、前記画像読取位置32にある原稿の画像を前記撮像部33に合焦させる光学系34とを備えて構成される。
【0026】
前記光学系34は、前記画像読取位置32に給送された原稿を照明する光源としてのランプ341と、原稿からの反射光を取り込んで前記反射光を図3において一点鎖線で示した経路にて前記撮像部3に導くミラー群342、343、344と、前記ミラー344からの光線束を撮像部5に合焦させるレンズ345とからなるミラー走査型の光学系で、原稿載置用コンタクトガラス35に原稿が載置されるときには、前記ランプ341、ミラー342、343、344が図3において実線で示された位置から点線で示された位置まで走査(副走査)して原稿の画像情報を読取るミラー走査モードと、後述する原稿処理装置6により原稿が搬送されるときには、前記ランプ341、ミラー342、343、344が図3において実線で示された位置に固定され、搬送(副走査)される原稿の画像情報を読取るシートスルーモードとに切替可能に構成されている。
【0027】
前記画像形成部4は、前記画像読取部3において電子データに変換された画像データに基づいて感光体にトナー像を形成するトナー像形成部(図示せず)と、後述する給紙カセット5から搬送されてきた用紙に形成したトナー像を転写する転写部(図示せず)と、用紙上に転写された前記トナー像を所定温度に加熱された定着ローラにより加熱溶融して用紙に定着する定着部(図示せず)とを備えて構成されている。
【0028】
前記給紙カセット5は、当該複写機から手前に引き出せる構造となっており、引き出した前記給紙カセット5に必要に応じて新たな用紙を補充して再び当該複写機に押し入れるように構成されている。
【0029】
前記原稿処理装置6については後述する。
【0030】
前記システム制御部7は、図1に示すように、所定の制御プログラムに基づいて前記操作部2の表示の制御や、後述する画像読取制御部300、画像形成制御部400、および操作制御部200等の各制御部の制御を行うCPU71と、前記制御プログラムが格納されるROM72と、作業領域等として使用されるRAM73とを備えて構成されている。
【0031】
また、前記システム制御部7は、前記画像読取部3による原稿の読取動作を制御する画像読取制御部300や、前記画像形成部4を制御する画像形成制御部400や、前記操作部2の入出力信号を制御する操作制御部200や、後述する原稿処理装置6を制御する原稿処理装置制御部600等の各制御部の各々と内部バス500を介して接続されており、前記各制御部の動作タイミング等を制御することによって当該複写機の複写動作を制御している。
【0032】
前記原稿処理装置6は、前記画像読取部3の上部に搭載され、図1および図3に示すように、少なくとも一枚の原稿がセットされる原稿テーブル61と、セットされた原稿を前記原稿読取位置32に搬送して原稿読取完了後の原稿を後述する原稿整合部64へ排出する自動原稿搬送部62と、排出された一連の原稿を整合する原稿整合部64と、前記原稿整合部64で整合された原稿束を綴じるステープラ65と、前記原稿処理装置6の動作を制御する前記原稿処理装置制御部600とを備えて構成されており、複写機1の上部枠体に開閉操作自在に取付けられている。
【0033】
前記自動原稿搬送部62は、前記原稿テーブル61に載置された原稿を一枚ずつ給紙する一対の給紙ローラ対621と、給紙された原稿の先端を整えて前記原稿読取位置32に向けて供給する一対のレジストローラ対622と、前記レジストローラ対622により供給された原稿を定速度で排出する排紙ローラ対623とが原稿の搬送経路に沿って配置されて構成されている。
【0034】
前記原稿整合部64は、図3および図4に示すように、排出された一連の原稿の先端と一方の側端を揃えるために設けられた壁面部641と、排出された一連の原稿が載置される台であって、前記一連の原稿を前記壁面部641に確実に接触させるために、原稿排出方向と前記壁面部641の存在する側の側面方向とが低位置となるような傾斜構造を有している第一原稿載置部642と、後述するステープラ65によって綴じられた後の原稿や前記ステープラ65による綴じ処理がなされなかった原稿が載置される第二原稿載置部643とを備えて構成されている。
【0035】
また、前記原稿整合部64は、前記一連の原稿を前記壁面部641にさらに確実に接触させるために、前記一連の原稿の全てが排出されて前記第一原稿載置部642に載置された後に、前記第一原稿載置部642と前記壁面部641が一体に上下振動するように、前記壁面部641と前記第一原稿載置部642とを一体に振動させる振動駆動部(図示せず)を備えて構成されている。
【0036】
前記第一原稿載置部642は、図5(b)に示すように、排出された原稿Aが前記壁面部641によって整合された状態において、後述するステープラ65によって原稿を綴じる際に支障がないように、前記第一原稿載置部642に切り欠き部642bを設けることで、前記ステープラ65が存在する側の側面で原稿が前記第一原稿載置部642の端部からはみ出すように構成されている。
【0037】
また、前記第一原稿載置部642は、図4に示すように、前記第一原稿載置部642の後端部に設けられた円筒部642aを軸として、図4の実線矢印に示すような回転駆動をすることで太点線に示すような傾斜を形成するように構成されており、図4の一点鎖線矢印で示すように、前記第一原稿載置部642から前記第二原稿載置部643へ到る原稿の経路が形成される。
【0038】
前記ステープラ65は、図5(a)および(b)に示すように、前記第一原稿載置部642の側端近傍にステープル部651を備えて構成されている。詳述すると、前記ステープル部651は、図5(a)に示すように、ステープル針Bが収納されているステープル針収納部651aと、前記第一原稿載置部642に載置された原稿のはみ出し部分が位置しており、前記ステープル針Bを屈曲させる台座として機能する台座部651bとを備えて構成されており、前記ステープル針収納部651aが図示しないステープル針収納部駆動機構によって下方向、つまり、前記台座部651bの方向に移動させられることで、前記ステープル針収納部651aと前記台座部651bとの間に位置している原稿にステープル針が圧着されることによって前記原稿を綴じる、つまり、ステープル処理するように構成されている。
【0039】
また、前記ステープル部651は、原稿の側端近傍かつ原稿の進行方向に平行に設けられている縦行ガイドレール652に取り付けられて構成されており、前記ステープル部651は縦行駆動機構(本例ではステープル部651に内蔵とする)によって駆動され、前記縦行ガイドレール652に沿って移動する。
【0040】
さらに、前記縦行ガイドレール652は、前記縦行ガイドレール652の両端部に設けられており、コンベア653aと横行駆動機構653bを備えている横行コンベア部653に取り付けられて構成されており、前記コンベア653aは横行駆動機構653bによって駆動され、前記縦行ガイドレール652は前記横行コンベア653によって前記コンベア653aの駆動方向、つまり、原稿の進行方向と垂直の方向に移動させられる。
【0041】
以上説明した構成に加えて、前記原稿処理装置6における前記原稿処理装置制御部600は、図1に示すように、原稿に付された綴じ情報を識別する綴じ情報識別手段66と、前記綴じ情報識別手段66により識別された綴じ情報に基づいて前記ステープラ65を制御するステープラ制御手段67を備えて構成されている。
【0042】
前記綴じ情報識別手段66は、例えば、前記画像読取部3において前記原稿読取位置32で読み取った画像情報を入力して、前記画像情報を走査することによって、前記画像情報に含まれる綴じ情報を識別するように構成されている。
【0043】
前記綴じ情報は、例えば、図6に示すように、原稿Aの右上部に印字された文字情報として構成されており、判別記号T1、綴じ位置情報T2、綴じ枚数情報T3、そして前記綴じ情報が付された原稿をステープル対象原稿から除去するか否かを識別するステープル対象原稿識別情報T4を含んでいる。
【0044】
前記判別記号T1は、前記判別記号T1以下の情報が綴じ情報であることを示す記号であり、前記綴じ情報識別手段66は、入力された画像情報から前記判別記号T1を識別することによって、綴じ情報を識別する。
【0045】
前記綴じ位置情報T2は、例えば、原稿の左上頂点からの横方向距離Xと縦方向距離Yをミリ単位で示した座標で表されており、図6には、X=20、Y=5である場合の例を示している。
【0046】
前記綴じ枚数情報T3は、当該綴じ枚数情報T3が記載されている原稿を含めて何枚の原稿を一括してステープル処理を行うかを指定する情報であり、例えば、前記綴じ枚数情報T3が10である場合は、当該原稿と続く九枚の原稿を一括してステープル処理を行うことを示している。
【0047】
前記ステープル対象原稿識別情報T4は、1または0のフラグで表される情報であり、例えば、前記ステープル対象原稿識別情報T4が1の場合は、綴じ情報が印字された一枚目の原稿を除外してステープル処理を行い、前記ステープル対象原稿識別情報T4が0の場合は、綴じ情報が印字された一枚目の原稿も含めてステープル処理を行うことを示している。
【0048】
前記ステープラ制御手段67は、前記綴じ情報識別手段66によって判別記号T1が識別されると、前記判別記号T1以下の綴じ情報、つまり、前記綴じ位置情報T2、前記綴じ枚数情報T3、そして前記ステープル対象原稿識別情報T4を読み取って、これらの綴じ情報に従って前記ステープラ65を制御する。
【0049】
詳述すると、前記ステープラ制御手段67は、前記綴じ位置情報T2で指定された位置に前記ステープル部651を移動させ、前記綴じ枚数情報T3で指定された枚数だけの原稿が前記第一原稿載置部642に排出されたときに、前記自動原稿搬送部62から前記第一原稿載置部642への原稿の排出を中断させた上で、前記第一原稿載置部642に載置された原稿を整合させてから前記ステープラ65にステープル処理を実行させる。
【0050】
また、前記ステープラ制御手段67は、前記ステープル対象原稿識別情報T4が1の場合には、綴じ情報が印字された一枚目の原稿が前記第一原稿載置部642へ排出されてきた時点で、前記第一原稿載置部642を回転駆動させて傾斜を形成し、前記一枚目の原稿を前記第一原稿載置部642から第二原稿載置部643へ排出させた上で、残りの原稿のみでステープル処理を行う。一方、前記ステープル対象原稿識別情報T4が0の場合には、前記一枚目の原稿も他の原稿と共にステープル処理を行う。
【0051】
以上説明した構成の他、前記原稿処理装置7における前記原稿処理装置制御部600は、図1に示すように、原稿の破損を検出する原稿状態検出手段68を備えて構成されており、前記ステープラ制御手段67は、前記原稿状態検出手段68により検出された原稿破損位置が前記綴じ情報識別手段により識別された綴じ位置と重なるときに、前記綴じ位置を前記原稿破損位置から離隔した近傍位置に補正する綴じ位置補正手段671を備えて構成されている。
【0052】
前記原稿状態検出手段68は、原稿に破損が生じていないか否かを検出するように構成されている。前記検出の方法としては、例えば、前記原稿状態検出手段68に、原稿の破れ、皺、穴開き等といった破損が生じた場合の複写機によるスキャン画像を破損画像情報として登録しておき、前記原稿読取位置32で読み取られた画像情報を前記原稿状態検出手段68に入力して、前記画像情報と前記破損画像情報を比較解析することによって行われる。
【0053】
前記綴じ位置補正手段671は、前記綴じ情報識別手段66における綴じ位置情報T2と前記原稿状態検出手段68における比較解析結果に基づいて、綴じ位置を補正する。詳述すると、前記比較解析結果が、原稿に破損が存在する旨の結果である場合は、前記綴じ位置補正手段671は、原稿の破損箇所と前記綴じ位置情報T2による綴じ位置が一致するか否かの判定を行い、一致する旨の結果である場合は、前記綴じ位置補正手段671が、前記綴じ位置情報T2を、前記綴じ位置の近傍位置、例えば、縦または横にスライドさせた位置に補正して、前記ステープラ制御手段67は、補正された綴じ位置情報T2に基づいて前記ステープラ65を移動させる。
【0054】
以下、前記原稿処理装置7の動作を図7および図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0055】
当該複写機のオペレータが操作部2のスタートキーを押すことによって複写動作が開始されると、原稿テーブル61にセットされた原稿が順次読み込まれる。画像読取部3において一枚目の原稿の画像情報が読み取られると、綴じ情報識別手段66は読み取られた画像情報を入力して、前記画像情報を走査することによって、前記画像情報に含まれる綴じ情報を読み取る(S1)。
【0056】
一枚目の原稿は自動原稿搬送部62より排出され(S2)、このとき、ステップS1において前記綴じ情報識別手段66が前記画像情報より判別記号T1を識別できていない場合は(S3)、原稿処理装置制御部600は当該原稿を第二原稿載置部643へ排出し(S4)、新たな原稿が自動原稿搬送部62より排出される(S5)。
【0057】
一方、前記綴じ情報識別手段66が前記画像情報より判別記号T1を識別した場合であって(S3)、前記綴じ情報識別手段66が識別したステープル対象原稿識別情報T4が1である場合は(S6)、原稿処理装置制御部600は当該原稿を第二原稿載置部643へ排出し(S7)、新たな原稿が自動原稿搬送部62より排出されてから(S8)、前記第一原稿載置部642に載置されている原稿枚数が綴じ枚数情報T3以上であるか否か判別される(S9)。
【0058】
また、前記綴じ情報識別手段66が識別した前記ステープル対象原稿識別情報T4が0である場合は(S6)、原稿処理装置制御部600は当該原稿を第二原稿載置部643へ排出することなく、前記第一原稿載置部642に載置されている原稿枚数が綴じ枚数情報T3以上であるか否か判別する(S9)。
【0059】
排出された原稿枚数が綴じ枚数情報T3の値より少ない場合は(S9)、新たな原稿が自動原稿搬送部62より排出されて(S8)、前記原稿枚数が綴じ枚数情報T3の値以上となるまで繰り返される。
【0060】
排出された原稿枚数が綴じ枚数情報T3の値以上である場合は(S9)、壁面部641と前記第一原稿載置部642が一体に上下に振動することによって、原稿が壁面部641で整合される(S10)。
【0061】
ステップS10において、原稿状態検出手段68は、原稿に破損が生じていないか否かを検出して、破損が生じていない場合は(S11)、ステープラ制御手段67は前記綴じ情報識別手段66が識別した綴じ位置情報T2に従ってステープラ65を移動させて(S12)、原稿を綴じる(S13)。そして、前記原稿処理装置制御部600は綴じられた原稿を第二原稿載置部643へ排出する(S14)。
【0062】
一方、ステップS10において、破損が生じている場合は(S11)、綴じ位置補正手段671が、前記綴じ位置情報T2と前記原稿状態検出手段68による破損位置情報を照合する(S15)。
【0063】
照合結果が、両位置が一致する旨の結果である場合は(S15)、前記綴じ位置補正手段671が前記綴じ位置情報T2を前記綴じ位置情報T2の近傍位置に補正を行い(S16)、前記ステープラ制御手段67はステップS15において補正された綴じ位置情報に従ってステープラ65を移動させて(S12)、原稿を綴じる(S13)。そして、前記原稿処理装置制御部600は綴じられた原稿を第二原稿載置部643へ排出する(S14)。
【0064】
一方、照合結果が、両位置が一致しない旨の結果である場合は(S15)、前記ステープラ制御手段67は前記綴じ情報識別手段66が識別した綴じ位置情報T2に従ってステープラ65を移動させて(S12)、原稿を綴じる(S13)。そして、前記原稿処理装置制御部600は綴じられた原稿を第二原稿載置部643へ排出する(S14)。
【0065】
本発明を適用した画像形成装置として、複写機能を備えた複写機について説明したが、前記画像形成装置は、排出された原稿に対してステープル処理を行う構成を有する機器であれば複写機以外であってもよく、例えばプリンタ、FAX、または複合機等であってもよい。
【0066】
尚、上述した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明を適用した複写機の機能ブロック構成図。
【図2】複写機の説明図
【図3】原稿処理装置の説明図
【図4】原稿整合部の説明図
【図5】(a)は、ステープラの正面図を示し、(b)は、ステープラおよび原稿整合部の上面図を示した説明図
【図6】綴じ情報の説明図
【図7】原稿処理装置の動作についてのフローチャート
【図8】原稿処理装置の動作についてのフローチャート
【符号の説明】
【0068】
3:画像読取部
6:原稿処理装置
62:自動原稿搬送部
64:原稿整合部
65:ステープラ
66:綴じ情報識別手段
67:ステープラ制御手段
671:綴じ位置補正手段
68:原稿状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動原稿搬送部により画像読取部に搬送され、排出された一連の原稿を整合する原稿整合部と、前記原稿整合部で整合された原稿束を綴じるステープラを備えてなる原稿処理装置であって、
前記原稿に付された綴じ情報を識別する綴じ情報識別手段と、前記綴じ情報識別手段により識別された綴じ情報に基づいて前記ステープラを制御するステープラ制御手段を備えている原稿処理装置。
【請求項2】
前記綴じ情報は、綴じ位置情報を含む請求項1記載の原稿処理装置。
【請求項3】
前記原稿の破損を検出する原稿状態検出手段を備え、前記ステープラ制御手段は、前記原稿状態検出手段により検出された原稿破損位置が前記綴じ情報識別手段により識別された綴じ位置と重なるときに、前記綴じ位置を前記原稿破損位置から離隔した近傍位置に補正する綴じ位置補正手段を備えている請求項2記載の原稿処理装置。
【請求項4】
前記綴じ情報は、綴じ枚数情報を含む請求項1から3の何れかに記載の原稿処理装置。
【請求項5】
前記綴じ情報は、前記綴じ情報が付された原稿をステープル対象原稿から除去するか否かを識別するステープル対象原稿識別情報を含む請求項1から4の何れかに記載の原稿処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−326650(P2007−326650A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156914(P2006−156914)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】