説明

取付け装置

本発明は、複数の固定用突起(3)が突出する金属製のベースプレート(2)を備えた取付け装置(1)およびその製造方法を提供する。取付け装置(1)は、複数のタブブランク(4)を、それぞれ1つの接合部(5)を残した状態で、ベースプレート(2)に切り込むことで得られる。タブブランク(4)をベースプレート(2)から折り曲げることで、固定用突起(3)が形成され、複数の固定用突起(3)によりグループ(6)が構成される。グループ(6)中の固定用突起(3)は、ベースプレート(2)から遠位にある部分がグループ(6)の内側へ向けて傾斜し、接合部(5)と内側へ傾斜した部分(31)との間の部分(32)がグループ(6)の外側を向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の固定用突起が突出する金属製のベースプレートを有する取付け装置、かかる取付け装置を製造する方法、および、該取付け装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業分野を含む様々な分野(例えば、建設、自動車製造、家庭用品など)においては、通常、金属部品またはワークピースを他の要素に固定ないし接合することが必要となる。このため、留め具を固定するために必要とされる溶接やねじ留め工具などの特別なツールを必要とせず、簡易かつ迅速に実行できる、固定器具および/または接合部品がしばしば望まれる。プラスチック部品の分野では、かかる固定装置は、例えばフックループクロージャを固定具として使用することにより達成されている。しかしながら、かかるプラスチック製のフックループクロージャは、多くの用途において、要求される耐久性、温度安定性、および/または通電性を有していないために、使用することができない。
【0003】
金属製取付け装置の製造方法が、国際公開WO2004/028731号公報により既に知られている。この公報では、ワークピース表面上の複数の長円領域を電極ビームにより溶融させ、融解した材料を長手方向の軸に沿って移動させ、再度固化することにより、それぞれについて孔と前記表面から突出した部分とすることが提案されている。十分な長さの突出部を得るためには、この方法を複数回繰返す必要がある。このようにしてできた表面の構造により、ワークピースは他のワークピースに対して接合可能となる。このような接合の好適例として、金属と繊維の複合体製のワークピース同士の接合が例示されている。この方法には、電極ビームを発生させる装置およびビームを制御する制御装置が必要となる。さらに、十分に大きな構造を得るためには、この方法を複数回繰返す必要がある。よって、この方法による表面の形成は、比較的困難で複雑なものとなる。製造に際して、高精度であることも要求される。さらに、接合されるワークピースの材料構造に合わせて、ワークピースの構造化された表面に接合特性を付与しうる、所定の特有形状を有する突出部を実現するために、この方法を利用することはできない。
【特許文献1】国際公開WO2004/028731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産工程、特に自動車製造業の生産工程において、製造上のコストと時間に対する制約から、上述したように、特に金属部品や装置を迅速かつ容易に固定および/または締結することが可能で、追加の工具や複雑な製造方法を必要とすることのない、取付け装置が要求されている。さらに、取付け装置には、高い耐久性と温度安定性が要求されている。したがって、本発明の目的は、比較的簡易な製造方法により得られるにも拘わらず、固定に際して追加の工具を必要とせず、部品を確実に保持でき、温度安定性を有する、このタイプの取付け装置とその製造方法を明らかにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的は、請求項1に係る取付け装置と、請求項26に係る方法とによって達成される。その具体化と方法のバリエーションは、特定の従属項に記載されている。また、本発明は請求項33および請求項34に係る取付け装置の使用にも関連する。
【0006】
本発明は、複数の固定用突起が突出する金属製のベースプレートを備える、固定装置に関する。該固定装置は、ベースプレートの表面にタブブランクを、それぞれのタブブランクに1つの接合部を残存させた状態で、切り込むことによって得られる。固定用突起は、このタブブランクをベースプレートから折り曲げることによって得られる。この複数の固定用突起はグループを形成し、このグループ内で固定用突起のそれぞれは、ベースプレートから遠位部がグループの内側に向けて傾斜し、接合部と内側に傾斜する部分の間にある特定部が、グループの外側に突出するように、折り曲げられている。
【0007】
本発明の基本的な考え方は、金属ベースプレートに、タブブランクを形成するための複数の輪郭を切り込み、次工程で、曲げ加工により、金属ベースプレートに複数の固定用突起を形成することである。ベースプレートに切り込まれる輪郭はそれ自体閉じたものではなく、少なくとも1つの接合部が残存する必要がある。輪郭をペースプレートに切り込むとは、輪郭が形成される領域においてベースプレートを完全に貫通させて裁断するものと理解される。輪郭を切り込むことにより、タブブランクの形状と寸法が画定され、固定用突起の再生産が可能となる。
【0008】
本発明に係る取付け装置は簡易な構造を有しているので、比較的簡易かつ迅速に、パンチ、切断、曲げ加工など、単純な金属加工技術により製造可能である。さらに、国際公開WO2004/028731号項に記載の実質的に円形の固定用突起と比較すると、本発明の固定用突起の実現により、取付け装置のワークピースや部品に対する把持能力が改善され、取付け装置の保持力は全体的に向上する。さらに、固定用突起の湾曲により弾力性が改善され、荷重を伴う接合が可能となり、かつ、動きを吸収する際の減衰性能が改善される。
【0009】
「金属フックループクロージャ」として使用できる、完全に金属からなる取付け装置が得られる。この取付け装置は、高い引張特性、および、非常に高い温度または非常に低い温度における高い安定性を有する。この取付け装置は、ワークピースまたは部品に対して、溶接やねじ留めなどのさらなる工程を必要とせずに、接合することができる。しかしながら、本発明に係る取付け装置にそのような追加工程を組み合わせてもよい。例えば、本発明に係る取付け装置を使用して部品を仮留めし、続いて最終的な取付けとして溶接またはねじ留めなどを実施してもよい。すなわち、溶接、リベット接合、クリンチ接合などのすべての金属的な接合を併用することも可能であり、この点でも、金属製のワークピースを用いる利点がある。
【0010】
本発明では、複数の固定用突起が組み合わせられてグループを形成する。これら固定用突起は、すべて同じである必要はないが、同一であることが好ましい。このグループ内で、ベースプレート側から見た場合に、固定用突起はまず外側へ突出し、次いでベースプレートから遠位にある部分で、グループの内側に向けて内方に湾曲する。自由端部は、全体が内側を向いていることが好ましい。このように、グループが全体として矢印形状やキノコ形状のような丸みのある外形を有する形状となり、固定される対応物への挿入が容易となる。同時に、外側へ湾曲した部分により、対応物からの除去が困難となる。固定用突起は、その湾曲した外形によって、それぞれが弾性変形可能であるばかりでなく、グループの他の固定用突起に対しても変形可能である。これにより、固定される対応物への適応性が改善され、接合の形成が単純化され、安定性も向上し、さらに、得られた複合体の振動吸収性能が改善される。
【0011】
本発明のシンプルかつ好ましい変形例では、グループは実質的に逆向きの固定用突起の対により形成される。原則的に、1つのグループ中の固定用突起を同一に構成する必要はないが、実用面から同一であることが好ましい。2つの固定用突起は、実質的に鏡面対称であることが好ましいが、製造上の寸法および大きさのずれを排除するものではない。
【0012】
本発明の一実施形態では、固定用突起の接合部は、環状に配置される。この環内の固定用突起の数は奇数でも偶数でもよい。偶数の場合、環グループは、上記のように互いに対となるように配置された固定要素の複数のグループにより構成される。固定用突起の接合部が配置された環の形状は、原則的に任意である。例えば、多角形、特に正方形が好ましく、この場合、1つの辺ごとに1つの固定用突起が設けられる。このタブブランクの材料は、例えば、環の寸法および製造する固定用突起の寸法に応じて、環の内側および/または外側周縁部から取ることができる。
【0013】
本発明の他の実施形態においては、固定用突起は、それぞれの接合部が実質的に平行な線に沿うように、隣接して配置される。一方の線上に隣接して配置されるすべての固定用突起は、内側へ傾斜した部分が、隣の線上の固定用突起の方に向いており、他方側も同様となっていることが好ましい。まさに向き合っている固定用突起により、固定用突起の平行列は、固定用突起の各ペアから形成された複数のグループとみなすことができる。しかしながら固定用突起の構成は、互い違い、すなわち隣の列に対して側方へずれている状態でもよい。この場合、平行列の構成は、全体として固定用突起の1つのグループを形成する。
【0014】
ベースプレート当りの固定用突起の数、および/または、固定用突起のグループの数は、任意に選択できる。通常、複数の固定用突起またはグループがベースプレート上に設けられる。固定用突起の寸法と形状は、所定の条件に応じて異ならせることができる。
【0015】
例えば、本発明のシンプルな実施形態では、固定用突起は実質的にC字状に湾曲している。グループ中のC字の開口部が、互いの方向を向いている。「C字状」は、固定用突起の長手方向全体にわたって均一な曲率であるものに限定されない。すなわち、曲率半径が長手方向にわたって変動してもよい。例えば、ベースプレートに隣接する領域の曲率半径を、固定用突起の自由端部よりも小さくすることができる。また、「く」字状の固定用突起を用いてもよい。
【0016】
好ましい実施形態では、固定用突起は、その長手方向に沿って複数の曲げ部を有する。これにより、上述した固定用突起の曲率変化は、タブブランクに設けられた複数の曲げ部によって得られる。曲げ部の角度は鋭くてもよいが、曲げ部が丸まっていることが好ましい。固定用突起は、グループの内側へ傾斜する部分と接合部との間に、少なくとも2箇所、好ましくは3箇所の曲げ部を有することが好ましい。ベースプレートの面から固定用突起が折り曲げられる部分もこの数に含まれる。曲げ部以外の固定用突起の部分は、湾曲せず実質的に平面であることが好ましい。
【0017】
固定用突起は、接合部と内側へ傾斜した部分との間に、外側に突出する部分を有していることが好ましい。以下、この部分を突出部と称する。この突出部は、ベースプレート(2)面に対して、−10°〜40°、好ましくは10°〜30°、特に好ましくは20°〜35°の角度をなす。このタイプの実施形態では、結合固定される対応物の背後に突出部が係合し、十分な固定が得られる。突出部の長さは、好ましくは0.05mm〜0.8mm、特に好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0018】
固定用突起の十分な長さを確保するように、接合部と突出部との間の領域に、延長部を設けてもよい。延長部は、ベースプレート面に対して、70°〜110°、好ましくは85°〜95°の角度で、さらに好ましくは実質的に垂直に伸長する。延長部の長さは、主として固定される対応物の厚さに応じ、対応物に対して固定用突起が安定して係合することができるよう、十分な値を選択することが好ましい。例えば、延長部の長さを0.1mm〜1mm、特に0.3mm〜0.7mmとすることが好ましい。
【0019】
さらに、例えば、接合部と延長部との間の領域に幅拡張部を設けることで、グループ中の固定用突起間の距離を確保してもよい。この幅拡張部は、ベースプレート面に対して、−15°〜15°、特に−5°〜5°、特に実質的に0°の角度で伸長することが好ましい。幅拡張部の幅は、好ましくは0.05mm〜0.8mm、特に好ましくは0.1mm〜0.4mmとする。また、幅拡張部を変化させることにより、固定される対応物、例えば、固定用突起を収容する固定用開口の種々の距離および/または開口断面への適用が可能となる。
【0020】
内側へ傾斜した部分、すなわち、好ましくは自由端部の傾斜は、対応物の構成に応じて選択される。傾斜を適切に選択することにより、例えば対応物への固定が容易となる。内側へ傾斜した部分は、ベースプレート面に対して、好ましくは50°〜85°、より好ましくは55°〜80°、特に好ましくは60°〜78°の角度で伸長する。これらの長さは、例えば、0.5mm〜3mm、好ましくは1mm〜2mmとする。固定用突起を曲げる際、および、湾曲を形成した後で、固定用突起中に生ずる張力が可能な限り小さくなるように、上述したすべての湾曲角度を相互に調整すること好ましい。
【0021】
固定用突起の形状は、特に限定されない。固定用突起の基部は、いずれの場合でも、ストリップ状とすることが好ましい。矩形のタブが固定用突起のブランクとして好ましい。しかしながら、タブブランクは、例えば、その長手方向にわたって幅を変化させ、ベースプレートに結合される接合部に向かって幅広となるようにしてもよい。対応物へのタブの挿入を容易にするため、タブの形状をその自由端に向けてテーパ状とすることが好ましい。さらに、任意であるが、その一方側または両側に、いくつかの突出部を設けてもよい。例えば、かかる突出部を、一方側または両側に取り付けることにより、対応物との接合を向上させることができる。接合の可逆性のため、突出部は、タブの対称軸に対して鈍角とすることが好ましい。このような側方への突出部を有する固定用突起の中では、特に矢印形状またはキノコ形状のものが好ましい。
【0022】
固定用突起の寸法および形状は、用途に応じて決定される。固定用突起は、固定される対応物へ係合可能に形成されることが好ましい。突出部の寸法および形状と固定用突起を支持する本体の長さは、適宜選択される。金属ベースプレートの厚さ、すなわちこのプレートから折り曲げられる固定用突起の厚さは、固定される対応物へ接合中および接合後に想定される剪断力および引張歪に応じて決定することが好ましい。固定用突起のその他の寸法についても同様である。ベールプレートから起立する折曲げ状態における固定用突起の長さは、1mm〜15mm、特に2mm〜10mm、さらには3mm〜5mmであることが好ましい。タブブランクおよび/または固定用突起の幅は、通常0.2mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜2.5mm、特に好ましくは1mm〜1.8mmである。1つのグループ中の逆向きに向かい合う固定用突起の、最も外側へ突出した部分の外側間について測定した最大距離は、例えば0.5mm〜6mm、好ましくは1mm〜5mm、特に好ましくは2mm〜3.5mmである。しかしながら、特定の場合には、特定条件に適合する理想的な保持力を得るべく、固定用突起について異なる寸法を採用できる。
【0023】
固定用突起を、金属ベースプレートの両面に設けてもよい。この場合、取付け装置は、金属ベースプレートの両面側にワークピースを収容することができる。好ましい実施形態では、固定用突起は、ベースプレートの一面側にのみ設けられる。これにより、単位面積当りの固定用突起の数が増加し、保持力が向上する。また、製造も簡易なものとなる。固定用突起の数は、その寸法と安定性にもよるが、得られる接合の耐久性に対する要求と固定される対応物に応じて決定される。特定の状況下では、一対の固定用突起のみにより構成されたグループを、1つだけ設けるだけで十分な場合もある。しかしながら、通常、ベースプレートに対して固定用突起のグループが複数設けられる。例えば、ベースプレート1cm2当たり、1〜18ペア、好ましくは2〜9ペアからなる固定用突起を設ける。または、ペアで配置しない場合には、これらに相当する数の個別の固定用突起を設ける。
【0024】
固定用突起を、実質的に均一に形成し、ベースプレート上に概ね均一に配置することが好ましい。このように、均一性を持たせることで、取付け装置の製造が簡略化され、また、取り付け装置に均一な荷重吸収性能がもたらされる。
【0025】
金属ベースプレートとして、鋼製、特にスプリング鋼製の金属薄板を用いることが好ましい。シート厚さは、例えば0.1mm〜1.0mm、好ましくは0.1mm〜0.6mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。このような金属薄板の使用は、タブブランクの切込みや折曲げに適している。通常、金属ベースプレートまたは金属フィルムの一部のみが、ベースプレートとして実現される。製造を自動化するため、ストリップ状の金属シートを使用することが好ましい。突出する固定用突起を備えた複数のベースプレートを順々に配置した後、ストリップ状に仕上げる。個々の取付け装置は、その後すぐにストリップから切り離してもよく、使用直前に切り離してもよい。金属ストリップは、好ましくは無限ストリップとする。
【0026】
固定用突起の特殊な形状により、固定用突起が対応物に固定され、ベースプレートと対応物との間に安定した接合が形成される。接続の安定性をさらに向上させるため、対応物の表面を構造化して、固定用突起に対してアタック可能な領域を最大限となるようにすることが好ましい。さらに、ベースプレートの形状に合わせて、対応物をエンボス加工などによって三次元に変形させることも可能である。対応物は、プラスチック製または、特に金属製の、スクリム、織物、ブレード、ニット織物、プラッシュ、ループフリース、または孔あきプレートである。プラッシュ、ループフリース、およびニット織物の場合、開ループ、閉ループいずれでもよいが、閉ループ構造とすることが好ましい。孔あきプレートの場合、原則的に任意の鋼を使用できる。特に、その温度安定性の観点から、オーステナイトステンレス鋼、オーステナイトモリブデン(ステンレス)鋼とすることが好ましい。ニッケル合金などの高温合金を使用してもよい。対応物をこのような形態とすることで、固定要素が対応物中に特に良好に固定されうる。さらに、複合体全体を完全に金属製とすることにより、優れた耐温度性が備えられ、極端な環境下でも使用できるだけでなく、特殊な応用工程、例えば熱や放射線による殺菌なども可能となる。さらに、複合体全体を金属とすることで、導電性を付与できる。適切な金属材料の選択により、磁性も付与できる。
【0027】
対応物として織物が使用される場合、1つの固定用突起が、2つの織糸、すなわち縦糸と横糸の背後に係合するように、織物を形成することが好ましい。これにより、恒久的に安定した接合が確保される。一方、固定用突起のグループは、隣接する織糸間に引っかかる必要はない。むしろ、直接隣接する関係にない織糸間に係合させてもよい。対応物が織物の場合、対応物の開効率を、40%以上、好ましくは48%以上、特に好ましくは57%以上とすると、接合の形成が十分効果的になされる。
【0028】
対応物がニット織物、スクリム、プラッシュ、または織物の場合、構造的な弾性が得られる。この弾性は、織糸の太さを変化させることで、用途に応じて変化させることが可能である。弾性は、織糸の互いの可動性により定まる。織糸が細いほど複合体の弾性が向上する。さらに、縦糸と横糸とで異なる太さの織糸を使用することで、異方性を持たせることが可能となる。適切な織糸の太さは、使用する対応物の種類に大きく依存する。プラッシュおよびスクリムの場合、ベースとなるニット布地や織物には、0.05mm〜0.1mmの織糸が使用され、その上部構造には0.3mm以下の太さの織糸が使用される。一方、織物に使用される織糸の太さは、それよりも幾分太く、通常0.4mm〜0.56mmの間である。
【0029】
対応物のその他の変形例として、孔あきプレートが挙げられる。それぞれが固定用突起のグループを1つずつ受け入れるように孔を形成することが好ましい。グループ中の固定用突起は、例えば互いに反対向きのペアとなっており、ベースプレートを対応物に取り付ける際に、互いに内方へ傾斜した部分を、対応する孔の中に滑り込ませる。さらに進ませると、固定用突起が弾性変形し、互いの方向に移動し、最も外側へ突出している突出部が孔を超えると、固定用突起が再び元の状態に戻り、突出部が対応物の背後に係合する。これが可能となるように、孔と固定用突起との寸法と形状を適切に合わせる必要がある。さらに、両者がぴったりと合うように設計することにより、取付け装置と対応物との位置決めが可能となる。孔あきプレートの厚さは、0.1mm〜2.0m、好ましくは0.2mm〜1.0mmであるが、プレート自体が一体化して部品の一部となっている場合、通常、プレートの厚さは厚い方が好ましい。
【0030】
孔あきプレートの孔として、原則的に、適合可能であればいかなる形状および構成も採用できる。製造上の観点からは、円形、好ましくは多角形、特に矩形ないしは正方形の孔が、例えばベースプレートに平行列に配置されることが好ましい。孔の数、および対応する固定用突起の数を最大限確保するためには、隣接する列の孔を、側方へ向けてオフセットさせて、例えば、六方格子の孔パターンとすることが好ましい。孔径は、固定用突起が通過する際に弾性変形可能な程度に、十分な大きさでなければならない。孔あきプレートの矩形孔の、固定用突起を横断する方向の一辺の長さは、0.1mm〜0.7mm、好ましくは0.2mm〜0.4mmである。これは、この方向に関する一対の固定用突起の長さ(挿入用に湾曲させていない状態で、材料の厚さを含む)よりも小さい幅である。他方の辺の長さは、0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上であり、突出部が最も広がっている部分における固定用突起の幅よりも大きい。これは、環状孔の場合における、孔を描く包絡円中の矩形の辺長さに対しても該当する。
【0031】
取付け装置と対応物とからなる複合体が有する弾性を向上させるため、孔あきプレートにおける孔周囲の縁部分に弾性変形する部分を備えてもよい。これは、例えば、孔あきプレートに対して、孔から径方向外側へ向けて複数の切り込みを設けることで得られる。得られたウェブは、外側へ向けて広がるようになっており、孔あきプレート面から弾性変形可能である。これにより接合の形成が容易となり、接合においてさらなる弾性が得られる。さらに、開口縁の周囲および/または弾性ウェブを直角に曲げて、対応物が固定用突起に係合する面を孔あきプレート面に対して変位させてもよい。これにより、複合体の厚さを制限でき、および/または、対応物が取り付けられる部品に凹部を形成することを省略できる。
【0032】
孔あきプレートがそれ程厚くない場合でも十分な予張力が得られるよう、孔あきプレートは孔の周囲から離間してビードを配してもよい。ビードの高さが、材料の厚さの低減による影響を少なくとも部分的に補償する。これにより、材料の節約および重量の軽減が可能となる。
【0033】
実際に固定要素を対応物に係合させる前に、取付け装置と対応物とを互いに正しい位置に確実に配置させるべく、取付け装置と対応物とが、互いに対応するプレフィックス要素を備えるようにしてもよい。それぞれのプレフィックス要素は、対応物と取付け装置とが互いに所望の位置になるように設計される。プレフィックスル要素は、フィットした状態で互いに係合できるようにすることが好ましい。
【0034】
ベースプレートは、独立した部品として、またはより大きな部品内の1モジュールとして、提供される。例えば、ベースプレートが、平坦な金属部品のエッジ部を構成するようにしてもよい。他の変形例では、個別の取付け装置が、そのベースプレートにより、支持部品に取り付けられるようにしてもよい。支持部品は、好ましくは金属製として、レーザ溶接、その他の一般的な溶接手段により、取付け装置をこの支持部品に取り付ける。固定要素を取付け装置のベースプレートの一面側にのみ形成し、ベースプレートの平坦面を支持部品に圧着させる。また、取付け装置が対応物と係合している実施形態では、対応物についても、別の支持部品に取付け可能としたり、支持部品と一体化したりすることができる。
【0035】
さらに、本発明の目的は、a)複数のタブブランクを、該タブブランクごとに少なくとも1つの接合縁を残した状態で、ベースプレートの表面に切り込み、b)該タブブランクをベースプレートから折り曲げることにより、固定要素を形成するという、本発明の取付け装置の製造方法によっても達成される。
【0036】
ベースプレートに切り込まれたブランクを、レーザビームまたはパンチにより生成することが好ましい。レーザビームの使用により、比較的小さなブランクを正確に金属ベースプレート上に切り込むことが可能となり、極めて均一なブランクを得ることができる。パンチは、比較的簡易な金属加工技術であり、複数のブランクを同時に加工できるため、製造工程の簡略化および高速化を図ることができる。パンチの場合、製造上の観点から、ブランクが切り込まれる際にその周囲にフリーパンチ部を形成することが好ましい。フリーパンチ部の幅は、ベースプレートの厚さの1倍〜3倍、好ましくは2.5倍以下とする。フリーパンチ部の幅は、概ね4mm以下、好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは約0.3mm〜1.0mmとする。接合部を除く固定用突起の周囲に設けられた打抜きにより、例えば、ベースプレートからブランクを曲げることが容易となる。この目的および工程a)およびb)のため、連続圧延方法、または順送工具を使用する方法を用いる。この方法では、複数の工程を1作業サイクルおよび/または1つの工具で行なうことができ、製造工程全体のさらなる最適化を図ることができる。打抜きは狭くした方が原理的に良好な安定性を得られるが、より広い打抜きとしてもよい。
【0037】
固定用突起を曲げる方法として、機械的な曲げに加えて、レーザ照射も使用することができる。固定用突起を、熱曲げによって形成してもよい。レーザ曲げおよび熱曲げの両方は、少数生産の場合に特に好適である。
【0038】
固定用突起のグループ、特に実質的に対称の固定用突起のペアからなるグループの製造においては、接合部により画定されるウェブを切り込まれるタブブランクの間に残存させ、タブブランクをベースプレートから互いの方向に折り曲げることが好ましい。ウェブの幅、すなわち、固定突出部の接合部間の距離を、0.2mm〜2mm、好ましくは0.5mm〜1mmとすることが好ましい。または、タブブランクを形成する際に、固定用突起のグループの外側から材料を切り取る代わりに、グループの内側から切り取ってもよい。この場合、実質的に対称な固定用突起のペアが、接合部を互いに遠位側に位置させた状態で、ベースプレートにタブブランクが形成され、互いに離間するようにベースプレートから折り曲げられる。原則的に、これら両方の変形例を組み合わせてもよい。
【0039】
本発明に係る取付け装置は、建築、医療技術、家庭用品、および金属加工における、部品または装置の固定および保持に対して好適に適用される。金属加工の場合、自動車製造部門における金属パーツの保持および固定の用途に特に好ましく適用される。この場合、本発明に係る取付け装置は、特に、ヒートシールド、ノイズダンパの取付け、エンジンの収納、並びに金属接合部の振動ダンパとして使用される。
【0040】
さらに、本発明に係る取付け装置は、ヒータおよびストーブに部品を固定するために使用したり、パイプのケーシングを固定したりする場合に使用可能である。本発明に係る取付け装置は金属製であるため、高温・低温下で部品の保持や接合を行なう場合や、電流を流す必要がある用途に特に好適である。
【0041】
以下、図面に示された実施形態を例示して本発明についてさらに説明する。しかしながら、これらの例示は説明のみを目的としたものである。本発明は、これらによって制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の種々の実施形態について、図面を参照しながら説明する。同一の要素については同一の符号を用いる。
【0043】
図1に、本発明の第1実施形態に係る取付け装置1を示す。取付け装置1は、ベースプレート2を備え、ベースプレート2からは2つの固定用突起3が折り曲げられ、ベースプレート2の表面から上方へ突出している。この取り付け装置1は、図2に例示するブランク1′から作られる。ブランク1′は、スプリング鋼などにより作られた金属プレートに対し、U字状の打抜き10をパンチング、その他の切込み方法により形成し、互いに逆向きの矩形のタブブランク4を2つ形成することで得られる。タブブランク4は、それぞれベースプレート2に対して接合部5で接続しており、互いにウェブ9を挟んで離間している。ベースプレート2から切り抜かれた後、タブブランク4は、ベースプレート2の面から折り曲げられる。固定用突起3の湾曲もこの工程で生成させることが好ましい。この加工には、順送工具を使用する。
【0044】
固定用突起3の湾曲は、グループ6を構成する固定用突起3が、実質的に鏡面対称となるように形成される。タブブランク4を接合部5の近傍で直立させることに加えて、ベースプレート2に近接する固定用突起3の下部領域が、それぞれグループ6の外側に向けて突出し、自由端部31が存在する固定用突起3の上部領域が、グループ6の内側に向けて傾斜するように、湾曲を生成させる。固定用突起3からなるグループ6全体で、実質的に矢印形状の外形を有することになる。本発明の取付け装置では、2つの固定用突起の自由端部31が互いに向けて傾斜しているので、結合される対応物の開口内への挿入が容易となる。自由端部31を、図1に示すほどまで、互いの方向へ傾斜させなくてもよい。図3は、図1の取付け装置1の変形例であるが、自由端部31の互いへ向けた傾斜は遥かに小さい。この点を除き、図1の取付け装置1と同様である。
【0045】
図4および図5は、固定用突起3の湾曲の方向と寸法について、より正確に説明するためのものである。これらの図面では、図1に示すものと実質的に同じ取付け装置1について部分的に示している。図5は、図4に示した固定用突起3の左側の固定用突起3の前側縁を示している。
【0046】
図4および図5から理解されるように、実質的にベースプレート2の面に延在する幅拡張部37が、2つの固定用突起3を結合しているウェブ9に最初に隣接している。この幅拡張部37は、必ず必要であるわけではない。これを省略して、タブブランク4をベースプレート面から角度γで上方に向かわせる固定用突起の最初の曲げ部を、接合部5の直近に設けるようにしてもよい。各部の好ましい長さおよび幅、並びに曲げ角度の範囲は、以下において表に基づき詳細に説明する。なお、すべての長さおよび/または幅の仕様にはインデックスhまたはbが付され、これらのインデックスには、固定用突起の各部の符号に相当する番号が添えられる。また、符号は、図4には示されるが、図5では省略されている。
【0047】
角度γの最初の曲げに続いて、実質的にベースプレートに垂直な延長部36が設けられ、突出部32に至る固定用突起3の長さを規定している。突出部32は、それぞれの固定用突起3からグループ6の外側へ向けて突出する。突出部32に続いて、固定用突起3は再び内方へ湾曲し、それぞれの固定用突起3の自由端部31が、グループ6の内側へ向けて傾斜する。最初に外側かつ上方へ突出部が形成され、続いて自由端部が内側に湾曲している構成により、固定要素3のグループは、固定される対応物の固定用開口に容易に挿入され、その後、このグループは突出部32により、対応物の背後に係合する。
【0048】
図6に、その一例として、矩形の開口82を有する孔あきプレート81からなる対応物8を例示する。ここでは対応物8の詳細のみを示している。取付け装置1を固定するには、まず取付け装置1を開口82に案内させ、固定用突起3の自由端部31を、互いに向けて傾かせる。固定用突起3は、互いに向けて近づくように、僅かに弾性的に移動する。固定用突起3のグループ6の中で最も幅広の部分である曲げ位置35が押し出されると、続いて固定用突起3は再び広がり、突出部32は孔あきプレート81の開口82縁部に留まる。このようにして、取付け装置1が対応物8に固定される。
【0049】
上記各図においては、固定用突起3を一対のみ備えた取付け装置を示している。原則的に、一対の固定用突起のみで、十分な固定が達成され得る。しかしながら、本発明に係る取付け装置は、通常、複数の固定用突起3を備え、また、ほとんどの場合において、互いに固定用突起3が割り当てられた複数のグループ6を有する。したがって、固定される対応物8にも、固定用突起3が係合する複数の固定用開口が設けられる。図7に、そのような対応物を例示する。ここでは、複数の開口82を備えた孔あきプレート81が導入されている。できるだけ小さい面積に可能な限り多くの開口82を設けるため、開口82は六方格子の孔パターンで構成される。
【0050】
図8、図10,および図11は、それぞれ固定用突起3を受け入れ可能な他の対応物8を例示する。各々について、孔あきプレート81の部分斜視図を示す。図8(a)、図10(a)、図11(a)では、開口82をその中心を通る断面で示している。図8(b)、図10(b)、図11(b)は、それぞれ(a)について矢印Aで示した方向から見た部分側面図である。孔あきプレート81の外形は円形の輪郭には限られず、また、孔あきプレート81が備える開口82の数は2つ以上でもよい。
【0051】
開口82の形状が異なる点に加え、図8(a)、図11(a)の孔あきプレート81は、図6および図7のものと比較し、弾性変形可能な領域84が開口82の縁部83に設けられている点で相違している。これら領域84は、図8(a)、図11(a)では、孔あきプレート81に対し、開口82を起点として径方向の切り込み86を複数設けることで得られる。領域84は、孔あきプレート81の面から上方または下方へ向け、弾性的に変形可能である。図10(a)は、径方向の切り込みを有さず、開口82の周囲の領域が、主に可塑的に変形し、また、ビード85を有している。
【0052】
図8(a)では、弾性領域84が、開口82の縁部で下方に傾斜している。これらの傾斜領域の高さhは、固定用突起3の延長部36の高さh36と実質的に同じに設定される。固定用突起3を挿入した後、延長部36は弾性突出部84の傾斜領域の側方に留まる。この構成により、取付け装置1の固定用突起3への挿入がより容易となると共に、形成された複合体の弾性が向上する。
【0053】
図9(a)に、固定用突起3,3’(ここではペア)からなるグループ6により形成された構造物Aを、孔あきプレート81が取り付けられる構造物Bに対して、孔あきプレート81の補助により取り付ける基本的な状態を示す。図9(a)の状態では、固定用突起が孔あきプレートの開口82に案内されて貫通すると、孔あきプレート81を構造物Bに対して直接隣接させることができなくなる。開口82までの間隔が非常に大きな状態でしか、孔あきプレート81を構造物Bに対して取り付けることができない。この場合、構造物Aと構造物Bとの間で大きな遊びが生ずる結果となり、孔あきプレート81が個別に動く可能性がある。構成全体として、要求される予張力に欠けてしまう。図9(a)に示した問題の発生を避けるため、複雑ではあるが、原則として、図9(b)に示すように、構造物Bに対し、孔あきプレート81の開口82と相似する凹部182を設ける。この構成により、孔あきプレートの開口82中に存在する固定用突起3,3’が変形を受けることなく、構造物Bを孔あきプレート81に対し、溶接シーム183により、平坦に固定することができる。
【0054】
図9(c)は、図9(b)の変形例である。この目的のため、好ましくは周縁ビード185が孔あきプレート81の開口82周囲に導入される。ビード頭部186の領域において、孔あきプレート81が構造物Bに対して堅固に溶接されるのと同時に、周縁ビード185が構造物AとBとの間の架橋構造となる。溶接は、個々のスポット溶接、部分的または完全周縁溶接シーム183,または複数の溶接シーム183′により行なうことが可能である。周縁ビード185の種類および幅(フルビード、ハーフビード、直角屈曲部)、開口82の寸法と形状、および、孔あきプレート81の弾性に応じ、周縁ビード185はさらなる弾性または可塑性を有する。周縁ビード185による支持効果と予張力は、開口82の数、周縁ビード185の数、孔あきプレート81におけるこれらの距離および配置によって、決定される。
【0055】
図10に、図9(c)に示した対応物8と同様に使用可能な孔あきプレート81の詳細を示す。図9(c)で使用されているフルビード185の代わりに、ハーフビードに類似する屈曲部85がエンボス加工により設けられている。図10の孔あきプレートは、図9(c)とは、上下が逆になる。
【0056】
図11に示す対応物は、図8のものと比較し、弾性領域84の自由端部の形態が異なる。これらの端部は、図10の対応部と同様の屈曲部85を備えており、弾性領域84の自由端が、孔あきプレート81の面よりも下に位置する面内に位置している。したがって、固定用突起3の自由端部31が孔あきプレート81の上にほとんど突出しないため、突出部32も孔あきプレート81の面より低い場所に位置する。取付け装置1と対応物との複合体全体では、屈曲部85が領域84に設けられていない場合と比較し、その厚さが薄くなり、同時にその安定性が向上する。
【0057】
図12に、図7と同様に部分的に、適用可能なさらに他の対応物8を示す。一対の対向する固定用突起3を受け入れる開口82の形状は、図6のものと同様に、実質的に矩形である。しかしながら、単純な矩形開口82ではなく、開口82の短手方向の縁の両側から突出する弾性変形領域84を設けている。これら領域84は、実質的に矩形であり、孔あきプレート81に対して、その長手方向の辺を介して接続されている。これらは孔あきプレート81の同じ側に、弓状に曲げ出されている。曲げ加工を容易にするため、および、曲げ部分を製造する際と使用する際とにおいて摩擦を防止するため、変形可能な領域84は、開口82の短手方向全体には延在しておらず、両側部に凹部87が設けられている。領域84は、弾性的に、孔あきプレート81の面よりも上方または下方へ変形可能である。領域84の寸法と、それに対応する固定用突起の配置は、図8を参照して説明したものと概ね同様である。
【0058】
固定用突起3の好ましい寸法を、以下の表に示す。ただし、本発明はこれらの具体的な数値に限定されるものではない。「符号」は、各図面に示される符号と一致する。
【0059】
【表1】

【0060】
上記のすべての実施形態に係る取付け装置では、固定用突起3が作られるタブブランク4は、それぞれ矩形の基本的形状に形成されている。しかしながら、本発明は、かかるタブブランクには限定されない。その他の例を、図13および図14に示す。これらのタブブランク4も、原則的にストリップ状であるものの、完成した固定用突起3における自由端部31に相当する頭部41に側方突出部7が備えられる。図13のタブブランク4は、全体として矢印形状となり、図14のタブブランク4は、実質的にキノコ形状となる。タブブランク4の幅広の頭部は、固定用突起3の固定に際して突出部として機能し、形成された接合の耐久性を向上させる。図15は、さらに他のタブブランク4を示しているが、この例では、側方突出部は設けられず、頭部が自由端に向けて先細になっている。
【0061】
最後に、図16に、本発明に係る取付け装置1の特に簡易な構成を、固定用突起3の側縁側から見た側面図として示す。この場合も、グループ6は逆向き対称の2つの固定用突起3により構成されており、固定用突起3は、それらの接合部5の間に位置するベースプレート2のウェブ9によって互いに隔てられている。固定用突起の基本的な形状は、この例でも矩形である。本発明によれば、固定用突起は、ベースプレート2に近い領域では外側かつ対向する固定用突起3から離れる方向へ突出し、次いで、上部では対向する固定用突起3に近づくように内側に湾曲する。しかしながら、湾曲は、ここでは実質的に均一であって、その開口が互いの方向を向いたC字状の固定用突起となる。固定の原理は、上述の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る取付け装置を示す斜視図である。
【図2】図1の取付け装置を示す平面図である。
【図3】本発明の別の態様に係る取付け装置を示す斜視図である。
【図4】図1の取付け装置の一部を示す斜視図である。
【図5】図4に示す取付け装置の固定用突起を示す側面図である。
【図6】図4の取付け装置が対応物に保持された状態を示す斜視図である。
【図7】対応物の一態様を示す平面図である。
【図8】(a)は、別の態様の対応物を部分的に示す斜視図である。(b)は、(a)に部分的に示された対応物を矢印Aの方向から見た側面図である。
【図9】(a)は、一対の固定用突起が対応物を貫通している状態を示す断面図である。(b)は、別の態様に係る、一対の固定用突起が対応物を貫通している状態を示す断面図である。(c)は、さらに別の態様に係る、一対の固定用突起が対応物を貫通している状態を示す断面図である。
【図10】(a)は、別の態様の対応物を部分的に示す斜視図である。(b)は、(a)に部分的に示された対応物を矢印Aの方向から見た側面図である。
【図11】(a)は、さらに別の態様の対応物を部分的に示す斜視図である。(b)は(a)に部分的に示された対応物を矢印Aの方向から見た側面図である。
【図12】さらに別の態様の対応物を示す斜視図である。
【図13】タブブランク一態様を示す平面図である。
【図14】別の態様のタブブランクを示す平面図である。
【図15】さらに別の態様のタブブランクを示す平面図である。
【図16】本発明の別の態様に係る取付け装置を示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定用突起が突出する金属製のベースプレートを備える取付け装置であって、
該取付け装置は、
− 複数のタブブランクを、各ブランクに1つの接合部を残した状態で、前記ベースプレートの表面に切り込み、
− 該タブブランクを前記ベースプレートから折り曲げて、前記固定用突起を突出させる、
ことで得られ、
前記複数の固定用突起は1つのグループを形成しており、該グループ内の前記固定用突起は、前記ベースプレートから遠位にある自由端部が該グループの内側に向けて傾斜しており、前記接合部と該内側に傾斜した自由端部との間の部分が、該グループの外側に向けて突出している、
取付け装置。
【請求項2】
前記固定用突起の前記自由端部が全体として、前記グループの内側に向けて傾斜している、請求項1に記載の取付け装置。
【請求項3】
前記グループは、一対の固定用突起からなり、該固定用突起は、互いに逆向きで、実質的に鏡面対称に配置されている、請求項1または2に記載の取付け装置。
【請求項4】
前記固定用突起の前記接合部は、環状、好ましくは多角形の環状、特に好ましくは正方形の環状に沿って配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項5】
前記固定用突起は互いに隣接して、該固定用突起のそれぞれの接合部が実質的に平行な線に沿った状態で、配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項6】
前記固定用突起は、前記自由端部と前記接合部との間に、それぞれ少なくとも2つ、好ましくは3つの曲げ位置を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項7】
前記曲げ位置間の領域は、実質的に平面である、請求項6に記載の取付け装置。
【請求項8】
前記接合部と前記自由端部との間で、前記外側に向けて突出する突出部が、前記ベースプレート面に対して、−10°〜40°、好ましくは10°〜30°、特に好ましくは20°〜35°の角度で伸長する、請求項6または7に記載の取付け装置。
【請求項9】
前記固定用突起は、前記接合部と前記突出部との間に位置する延長部を備え、該延長部は、前記ベースプレート面に対して、70°〜110°、好ましくは85°〜95°の角度で、特に好ましくは実質的に直角に伸長する、請求項6〜8のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項10】
前記固定用突起は、前記接合部と前記延長部との間に位置する幅拡張部を備え、該幅拡張部は、前記ベースプレート面に対して、−15°〜15°、好ましくは−5°〜5°、特に好ましくは実質的に0°の角度で伸長する、請求項6〜9のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項11】
前記自由端部は、前記ベースプレート面に対して、50°〜85°、好ましくは55°〜80°、特に好ましくは60°〜78°の角度で伸長する、請求項1〜10のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項12】
前記固定用突起は、実質的にC字状に湾曲している、請求項1〜5のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項13】
前記固定用突起は、それぞれストリップ状、特に矩形状である、請求項1〜12のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項14】
前記ベースプレートに切り込まれる前記タブブランクの一方側または両側に、突出部が備えられており、該タブブランクは、特に矢印形状またはキノコ形状である、請求項1〜13のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項15】
前記固定用突起は、前記ベースプレートの両面から突出している、請求項1〜14のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項16】
前記固定用突起は、前記ベースプレートの一方側の面から突出している、請求項1〜14のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項17】
前記金属製のベースプレートは、スプリング鋼製である、請求項1〜16のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項18】
前記固定用突起は、実質的に均一に形成されている、請求項1〜17のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項19】
前記固定用突起および/または固定用突起のグループは、前記ベースプレートの表面に実質的に均一に分布している、請求項1〜18のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項20】
前記固定用突起は、対応物に対して係合可能である、請求項1〜19のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項21】
前記対応物は、プラスチック製、鋼製、特にステンレス鋼製、好ましくはオーステナイトステンレス鋼製またはオーステナイトモリブデンステンレス鋼製、あるいは、高温合金製、特にニッケル合金製であって、ニット織物、織物、ブレード、スクリム、プラッシュ、ループフリース、または孔あきプレートである、請求項20に記載の取付け装置。
【請求項22】
前記対応物は、開口率が40%以上、好ましくは48%以上、特に、57%以上である領域を備える、請求項21に記載の取付け装置。
【請求項23】
前記対応物は、孔あきプレートであり、該孔はそれぞれ前記固定用突起のグループを1つ受け入れる、請求項21に記載の取付け装置。
【請求項24】
前記孔あきプレートの前記孔の周囲にある縁部は、弾性変形可能な領域、または、ビードおよび/または屈曲部を備える、請求項23に記載の取付け装置。
【請求項25】
前記対応物に対応するプレフィックス要素を備える、請求項20〜24のいずれかに記載の取付け装置。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載の取付け装置の製造方法であって、
a)複数のタブブランクを、各タブブランクに1つの接合部を残した状態で、該ベースプレートの表面に切り込み、
b)該タブブランクを、前記ベースプレートから折り曲げることで、固定用突起(3)を形成する、
工程を有する製造方法。
【請求項27】
前記タブブランクを、レーザビームによって前記ベースプレートに切り込む、請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記タブブランクを、パンチによって前記ベースプレートに切り込む、請求項26に記載の製造方法。
【請求項29】
前記タブブランクが切り込まれる際に、打抜きが形成される、請求項26〜28のいずれかに記載の製造方法。
【請求項30】
前記工程a)およびb)を、連続圧延方法または順送工具の使用により行う、請求項26〜29のいずれかに記載の製造方法。
【請求項31】
前記タブブランクの間に、前記接合部により区切られるウェブを残して、該タブブランクを切り込み、該タブブランクを前記ベースプレートから互いの方向に折り曲げることで、実質的に逆向きで対称な固定用突起を少なくとも一対設ける、請求項26〜30のいずれかに記載の製造方法。
【請求項32】
前記ベースプレートの互いに離間して向き合う前記接合部に前記タブブランクを配置し、該タブブランクを前記ベースプレートから互いに離間する方向に折り曲げることで、実質的に逆向きで対称な固定用突起を少なくとも一対設ける、請求項26〜30のいずれかに記載の製造方法。
【請求項33】
建設、医療技術、家庭用品、および金属加工、特に、自動車の製造における、部品および装置の固定用、ないしは、振動減衰用として、請求項1〜25のいずれかに記載の取付け装置を使用する方法。
【請求項34】
内燃機関の分野における部品、特に金属部品の固定、より詳細には、ヒートシールド、ノイズダンパの取付け、およびエンジンの収納に使用する、請求項33に記載の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−531619(P2009−531619A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501970(P2009−501970)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002907
【国際公開番号】WO2007/112988
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(303050078)ラインツーディチュングスーゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】