説明

受信回路

【課題】入力データに位相を合わせたクロック信号を安定的かつ低消費電力で得る受信回路を提供する。
【解決手段】受信回路において、制御回路30、発振回路40、分周回路50、フリップフロップ回路、第1および第2の位相比較回路などを備え、発振回路40の発振周波数は、入力データに信号情報が有る時にはクロック信号と入力データの位相比較結果に基づいて制御し、入力データに信号情報が無い時にはクロック信号を分周して得たフィードバック信号と一定の周期で変化するリファレンス信号の位相比較結果に基づいて制御する。発振回路40は、2系統の制御信号によって発振周波数を制御でき、一方の系統の制御信号の変化に対しては徐々にかつ大きく発振周波数が変化し、他方の系統の制御信号の変化に対しては直ちにかつ小さく(少しだけ)発振周波数が変化するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力データを受信するための受信回路に関し、特に、この受信回路にクロック信号を供給するためのPLL(Phase Locked Loop)回路において、高速に変化する入力データを受信するためにクロック信号の位相を調整する回路に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術として、特許文献1の図1や更にその公知例である特許文献1の図8には、粗調整時に電圧制御発振器(以下VCOと称する)の出力とリファレンスクロックの位相比較結果に基づいてVCOの発振周波数を制御し、微調整時にVCOの出力と入力データの位相比較結果に基づいてVCOの発振周波数を制御するクロック・データリカバリ回路が開示されている。また、特許文献1の図4や図7には、リファレンスクロックを使用せず粗調整時および微調整時ともVCOの出力と入力データの位相比較結果に基づいてVCOの発振周波数を制御するクロック・データリカバリ回路が開示されている。
【0003】
また、非特許文献1に掲載されている講演番号5.1の図5.1.2や、講演番号5.8の図5.8.1には、PLLが発生するクロック信号を位相インタポーレータ(講演番号5.8ではPhase Interpolatorと表記、講演番号5.1ではPIと表記)によって位相調整し後段の回路に供給する構成が記載されている。これらの構成によれば、クロック信号を生成するPLL回路とクロック信号の位相を入力データの位相に合わせるためのインタポーレータはそれぞれ独立に制御されるため、PLL回路は周期的に変化するリファレンス信号を使って安定に発振させることができる。
【0004】
また、本発明の他の背景技術として、特許文献2には、位相比較器、周波数比較器、および電圧制御発振器などを含んだPLL回路において、電源電圧が変動した際にもジッタの小さいクロック信号を発生可能にする電圧制御発振器の回路構成が示されている。具体的には、互いに並列接続されたリングオシレータおよび容量と、これらの電源電圧(電流)を制御することで発振周波数を制御するMOSトランジスタとを備えた構成に対して、位相比較結果に応じて発振周波数を制御する第2の手段を設けた構成となっている。この第2の手段は、リングオシレータに対して接続/非接続を切り替え可能な容量で実現され、位相比較結果に応じてこの容量を接続した際には負荷の増大と共に発振周波数が遅くなり、非接続の場合はその逆となる。
【特許文献1】特開2003−244115号公報
【特許文献2】特開2001−257567号公報
【非特許文献1】2008年2月開催、インタナショナルソリッドステートサーキットコンファレンス(International Solid-State Circuits Conference)の予稿集、講演番号5.1、講演番号5.8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した背景技術に関して、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかになった。
【0006】
例えば、前記特許文献1に記載された構成では、この特許文献1の段落0007に記載されているように従来から公知である一般的なPLL回路の使用が前提となっているため、ランダムに変化する入力データの位相にVCOの出力の位相をロックさせることが難しい。すなわち、ノイズなどに起因する位相比較誤差に基づく制御によって発振周波数が大きく変化するのを防ぐことと、熱雑音などに起因する真の発振周波数変化に対して位相ずれが大きくならないうちに確実に制御することを両立させることが困難である。
【0007】
更に、前記特許文献1の図1や図8の構成では、粗調整時に使用する制御系と微調整時に使用する制御系を分離しているため比較的設計が容易であるが、それでも、入力データはランダムに変化するため微調整時に制御がかかる周期が不規則となり、従来から公知である一般的なPLL回路の設計手法で安定に動作させることは難しい。更に、この特許文献1の図1や図8の構成では、粗調整用と微調整用のチャージポンプおよびローパスフィルタをそれぞれ別に用意するためその分だけ回路の占有面積や消費電力が増大する。また、この特許文献1の図4や図7の構成では、粗調整時と微調整時に同じチャージポンプやローパスフィルタを使うため、回路定数の設定が更に難しくなる。
【0008】
また、前記非特許文献1に記載された位相インタポーレータは定常電流を常に流す必要のある回路であり、この回路を使うことによって消費電力が増大する。
【0009】
また、前記特許文献2に記載されたPLL回路は周期的に変化するリファレンス信号の位相に引き込ませることが前提であり、ランダムに変化する入力データの位相に引き込ませることに関しては記載が無い。
【0010】
そこで、本発明は前述した背景技術の問題点を解決し、その主な目的は、入力データに位相を合わせたクロック信号を安定的に得ることである。更に、他の目的は、入力データに位相を合わせたクロック信号を低消費電力で得ることである。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0013】
クロック信号を供給するためのPLL回路の構成要素であるVCO(発振回路)の発振周波数は、入力データに信号情報が有る時にはクロック信号と入力データの位相比較結果に基づいて制御し、入力データに信号情報が無い時にはクロック信号を分周して得たフィードバック信号と一定の周期で変化するリファレンス信号の位相比較結果に基づいて制御する。
【0014】
上記VCOは一般的なVCOと異なり、2系統の制御信号によって発振周波数を制御できるように構成する。その一方の系統の制御信号の変化に対しては徐々にかつ大きく発振周波数が変化し、他方の系統の制御信号の変化に対しては直ちにかつ小さく(少しだけ)発振周波数が変化するように構成する。
【0015】
フィードバック信号とリファレンス信号の位相比較結果に基づいて制御する状態からクロック信号と入力データの位相比較結果に基づいて制御する状態に移行する時は、移行した直後から上記2系統の制御信号による制御を行なう。クロック信号と入力データの位相比較結果に基づいて制御する状態からフィードバック信号とリファレンス信号の位相比較結果に基づいて制御する状態に移行する時は、移行した直後からフィードバック信号とリファレンス信号の位相関係が反転するまでの間は、徐々にかつ大きく発振周波数を変化させる方の制御信号による制御は行なわない。なお、直ちにかつ小さく発振周波数を変化させる方の制御信号による制御は常時行なう。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0017】
VCO(発振回路)の発振周波数を大きく変化させる制御は徐々に行なうので、ノイズなどによって不安定になることを防止できる。VCOの発振周波数を小さく(少しだけ)変化させる制御は直ちに行なうので、熱雑音などによる位相ずれが大きくならないうちに制御できる。
【0018】
また、定常電流を必要とする位相インタポーレータが不要であるため、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0020】
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各図面では、構成要素や信号などの名称について、例えば第1の比較回路は比較回路1、第1の位相比較結果信号は位相比較結果信号1のように、名称の末尾に、第1は1、第2は2、第3は3とも図示する場合がある。
【0021】
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。実施の形態では、トランジスタの一例としてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を用い、その一例としてMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いる。各図面において、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOSトランジスタ)にはゲートに丸印の記号を付すことで、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOSトランジスタ)と区別することとする。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による受信回路の構成例を示すブロック図である。図1に示す受信回路は、PLL部10と、遅延回路60と、フリップフロップ回路70〜73と、第2の比較回路80などによって構成される。後段の回路90は、この受信回路からの出力データやクロック信号などを使って所望のデータ処理を行なう回路であり、必要に応じて出力データに信号情報が有るか否かを判断しその結果をこの受信回路に返す。PLL部10はいわゆるフェーズロックトループの一種であり、第1の比較回路20と、制御回路30と、発振回路40と、分周回路50などによって構成される。その詳細については図3の説明以降で後述する。
【0023】
遅延回路60は、PLL部10からの発振出力を遅延させてほぼ等間隔の4相のクロック信号φ0〜φ3を出力する回路である。フリップフロップ回路70〜73はそれぞれクロック信号φ0〜φ3の立ち上がりエッジに同期して入力データを取り込むように構成する。このうち、フリップフロップ回路70と72の出力をそれぞれ第1および第2の出力データとして後段の回路90に伝達する。なお、後段の回路90ではクロック信号φ0〜φ3のうちのいくつか(図1ではφ0とφ2)をクロック信号として使用する。第2の比較回路80は、フリップフロップ回路70〜73の出力とクロック信号φ0およびφ2を使って、入力データとクロック信号の位相関係を比較し、その結果を第2の位相比較結果信号として出力する。更に第2の比較回路80は、フリップフロップ回路70〜73の出力が所定時間以上変化しない場合には、入力データに信号情報が無いことを示す信号を第1の信号情報有無表示信号に出力する。その後再び入力データに信号情報が現われた場合は、後段の回路90がこれを検知し第2の信号情報有無表示信号に出力する。PLL部10は、これらの信号情報有無表示信号を元に、入力データに信号情報が有る場合には第2の比較回路80が出力する第2の位相比較結果に基づいて制御を行ない、入力データに信号情報が無い場合には第1の比較回路20が出力する第1の位相比較結果などに基づいて制御を行なう。
【0024】
第2の比較回路80は、クロック信号φ0およびφ2に同期して動作する論理回路であり、クロック信号φ0の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路71の出力がフリップフロップ回路72および73の出力と異なる場合やクロック信号φ2の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路73の出力がフリップフロップ回路70および71の出力と異なる場合に、クロック信号の位相が入力データの位相より早いという位相比較結果を表わす信号を第2の位相比較結果信号に出力する。また、クロック信号φ0の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路73の出力がフリップフロップ回路72および71の出力と異なる場合やクロック信号φ2の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路71の出力がフリップフロップ回路70および73の出力と異なる場合には、クロック信号の位相が入力データの位相より遅いという位相比較結果を表わす信号を第2の位相比較結果信号に出力する。クロック信号φ0の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路71,72,73の出力が等しい場合やクロック信号φ2の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路73,70,71の出力が等しい場合は、そのサイクルでは入力データが変化しなかったことを意味する。その場合には第2の位相比較結果信号をその直前の値に保持する。また、所定のサイクル数以上にわたってフリップフロップ回路70および72の出力が等しく且つ変化しない場合には、入力データに信号情報が無いことを表わす信号を第1の信号有無表示信号に出力する。
【0025】
次に、図1に示す受信回路の動作について説明する。PLL部10は、入力データのデータレートの2分の1に相当する周波数で発振させるものとする。すると、クロック信号φ0〜φ3の1周期の間に入力データは最大で2回変化することになる。この時に入力データがフリップフロップ回路70および72に安定して取り込まれるようにするためには、クロック信号φ1およびφ3の立ち上がりエッジのタイミングで入力データが変化するのが望ましい。図2を使ってその様子を説明する。
【0026】
図2は、クロック信号φ0〜φ3と入力データの変化の一例を表わす波形図であり、時間の経過を右方向に表わす。この図に示すように、クロック信号φ1またはφ3の立ち上がりエッジとほぼ同時に入力データが変化するタイミング関係にあるのが望ましい。クロック信号φ0〜φ3の位相がほぼ等間隔であるため、この状態であれば入力データが変化するタイミングから離れた時刻にクロック信号φ0とφ2が立ち上がることになる。従って、入力データが安定してフリップフロップ回路70と72に取り込まれ、交互に第1および第2の出力データとして確実に後段の回路90に伝達される。
【0027】
クロック信号φ0〜φ3の位相がこれより早ければフリップフロップ回路71と73には入力データが変化する直前の値が取り込まれ、クロック信号φ0〜φ3の位相がこれより遅ければフリップフロップ回路71と73には入力データが変化した直後の値が取り込まれることになる。
【0028】
従って、クロック信号φ2の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路70の出力がフリップフロップ回路73の出力と異なる場合やクロック信号φ0の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路72の出力がフリップフロップ回路71の出力と異なる場合にはクロック信号φ0〜φ3の位相が早いと判定できる。逆に、クロック信号φ2の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路70の出力がフリップフロップ回路71の出力と異なる場合やクロック信号φ0の立ち上がりエッジのタイミングにおいてフリップフロップ回路72の出力がフリップフロップ回路73の出力と異なる場合にはクロック信号φ0〜φ3の位相が遅いと判定できる。そして、この位相比較結果に基づいてPLL部10の発振周波数をわずかに制御することにより、クロック信号φ0〜φ3と入力データのタイミング関係を図2に示す状態に保持できる。厳密には、図2に示す状態より若干早い状態と若干遅い状態の間を往復させることにより、結果的にほぼ図2に示すタイミング関係を常に保持する。
【0029】
ところで、入力データはクロック信号φ1およびφ3の立ち上がりエッジのタイミングで必ずしも変化するものではない。入力データが変化しない場合には、フリップフロップ回路71および73の出力が共にフリップフロップ回路70または72の出力と等しくなり、位相比較が行なわれない。その場合には前のサイクルの位相比較結果が保持され、その後入力データが変化した時に最新の状態での位相比較が行なわれる。入力データが変化した時には、通常はフリップフロップ回路71と73の出力が異なるため必ずその時の最新の状態での位相比較結果が得られることになる。
【0030】
なお、図2に示すタイミング関係に近い場合には、回路特性のばらつきなどにより入力データが変化してもフリップフロップ回路71と73の出力が等しくなる場合がある。しかしこれは、図2に示すタイミング関係に近い場合に限られるため、いずれの位相比較結果が出力されても問題ない。
【0031】
また、通常のデータ通信の規格では、入力データに信号情報が有る場合には所定サイクル数以内に必ず入力データが変化するように規定される。この所定サイクル数を超えて入力データが変化しない場合には、信号情報が無いため第2の比較回路80による位相比較結果はできなくなる。この場合には、入力データに信号情報が無いことを表わす信号を第1の信号情報有無表示信号に出力し、PLL部10は通常のPLLと同様に一定の周期で変化するリファレンス信号に基づいて制御される。この場合でも遅延回路60やフリップフロップ回路70〜73などは動作しているため、必ずしも安定なタイミング関係で取り込まれるわけではないが、入力データはフリップフロップ回路70および72を通して後段の回路90に伝達される。そして、その結果を元に再度入力データに信号情報が現れたことを後段の回路90が検知すれば、そのことを表わす信号を第2の信号情報有無表示信号に出力し、再び第2の位相比較結果信号に基づく制御が行なわれ図2に示すタイミング関係に戻る。
【0032】
次に、PLL部10の構成について説明する。図3は、図1に示す本発明の実施の形態1によるPLL部10の詳細な構成例を示すブロック図である。図3に示すPLL部10は、第1の比較回路20と制御回路30と発振回路40と分周回路50などによって構成される。第1の比較回路20は、第1の位相比較回路21と周波数比較回路22と追い越し検出回路(位相反転検出回路)23などによって構成される。制御回路30は、定常状態検出回路31とデジタル制御回路32とチャージポンプ制御回路33とチャージポンプ回路34と切り替え回路35などによって構成される。
【0033】
発振回路40は、デジタル制御信号とアナログ制御信号を受け、これに基づいて発振周波数が制御された発振出力を生成する。分周回路50は、発振回路40によって生成された発振出力を分周してフィードバック信号を出力する。第1の位相比較回路21は、リファレンス信号とフィードバック信号の位相を比較し、その比較結果となる第1の位相比較結果信号を、定常状態検出回路31およびデジタル制御回路32およびチャージポンプ制御回路33に出力する。周波数比較回路22は、リファレンス信号を反転させた信号とフィードバック信号の周波数を比較し、その結果として2つの周波数比較結果信号をチャージポンプ制御回路33に出力する。追い越し検出回路23は、リファレンス信号を反転させた信号とフィードバック信号を反転した信号を比較し、その結果として位相の追い越しが発生したか否か(位相関係が反転したか否か)を示す2つの信号をチャージポンプ制御回路33に出力する。切り替え回路35は、第2の比較回路80と後段の回路90から出力される第1と第2の信号情報有無表示信号を基に、その時点の入力データに信号情報が有るか無いかをより正確に判断した結果である第3の信号情報有無表示信号を、デジタル制御回路32およびチャージポンプ制御回路33に出力する。定常状態検出回路31は、第1の位相比較回路21から出力される第1の位相比較結果信号を基に、図3のPLL部10が定常状態に達したか否かを判定し、その判定結果となる信号を、デジタル制御回路32およびチャージポンプ制御回路33に出力する。デジタル制御回路32は、切り替え回路35から出力される第3の信号情報有無表示信号と定常状態検出回路31から出力される信号と第1の位相比較回路21から出力される第1の位相比較結果信号と第2の比較回路80から出力される第2の位相比較結果信号を基に、発振回路40を制御する3ビットのデジタル制御信号を出力する。チャージポンプ制御回路33は、第3の信号情報有無表示信号や第1および第2の位相比較結果信号や周波数比較回路22の出力や追い越し検出回路23の出力や定常状態検出回路31の出力を基に、チャージポンプ回路34に対して4通りの制御信号を出力する。チャージポンプ回路34は、チャージポンプ制御回路33から出力される4通りの制御信号を受け、これらの制御信号にそれぞれ対応した電荷量をアナログ制御信号のノードに充放電する。また、定常状態検出回路31やチャージポンプ制御回路33やチャージポンプ回路34などは、リファレンス信号を反転させた信号に同期して動作する。
【0034】
次に、図3のPLL部10の、電源を投入してから定常状態に達するまでの状態変化の概要について説明する。電源投入直後には、切り替え回路35はリセットされ第3の信号情報有無表示信号は信号情報が無いことを示すものとする。また、後段の回路90が第2の信号情報有無表示信号に信号情報が有ることを示す信号を出力しない限り、第3の信号情報有無表示信号は変化しないものとする。従って、電源投入直後から暫くの間は、図3のPLL部10は第1の比較回路20の出力に基づいて制御される。
【0035】
電源投入直後から暫くの間は、アナログ制御信号の電圧が定常状態とは大きく異なるため発振回路40は発振しないかまたは目標の発振周波数と大きく異なる周波数で発振する。このため、リファレンス信号とフィードバック信号の周波数は大きく異なる。この時には周波数比較回路22や追い越し検出回路23は周波数が異なることを示す信号や位相の追い越しが発生したことを示す信号を頻繁に出力し、チャージポンプ制御回路33によるチャージポンプ回路34の制御は周波数比較回路22の出力に基づく制御が支配的となる。その結果、フィードバック信号の周波数はリファレンス信号の周波数に近付いていく。
【0036】
フィードバック信号の周波数がリファレンス信号の周波数とほぼ一致すると、周波数比較回路22が周波数の異なることを示す信号を出力する頻度が下がる。すると、チャージポンプ制御回路33によるチャージポンプ回路34の制御は、第1の位相比較結果信号に基づく制御の方が支配的となる。また、この状態に移行した直後は、フィードバック信号とリファレンス信号は周波数がほぼ同じであっても位相が離れている場合が多く、一方の位相が他方の位相より早い状態や遅い状態がそれぞれ長い時間続き時々その関係が逆転するという変化を繰り返すことになる。この時には、第1の位相比較結果信号は長い時間同じ値をとり、たまに変化する。このPLL部10には定常状態検出回路31が設けてあり、第1の位相比較結果信号が所定時間(例えばリファレンス信号の4サイクルに相当する時間)以上同じ値をとると定常状態に達していないことを示す信号を出力する。その信号に基づき、デジタル制御回路32はその出力であるデジタル制御信号を3ビットとも第1の位相比較結果信号に応じて変化させる。すると、発振回路40の発振周波数は3ビット分のデジタル制御信号に応じて大きく変化する。また、チャージポンプ制御回路33は第1の位相比較結果信号に応じてアナログ制御信号に少しだけ電荷を注入するか放出させる信号を出力するが、定常状態検出回路31の出力が定常状態に達していないことを示している時には、リファレンス信号の所定サイクル数(例えば8サイクル)ごとに1回だけ上記の信号を出力し、その他のサイクルでは両方とも出力しない。これにより、アナログ制御信号の電圧はリファレンス信号の所定サイクル数ごとに1回だけしか変化せず、結果的にゆっくりとした変化になる。すなわち、デジタル制御信号による発振周波数の制御幅が大きくアナログ制御信号による発振周波数の制御が少しずつしか行なわれない状態になる。これは、位相ジッタは大きくなるがアナログ制御信号が収束しやすい状態である。
【0037】
この場合でも、第1の位相比較結果信号は時々変化し、その直後には定常状態検出回路31は定常状態に達したことを示す信号を出力する。しかし上記の所定時間が経過すると、再び定常状態に達していないことを示す信号に変わる。アナログ制御信号が収束してくると、第1の位相比較結果信号が変化する頻度が高くなり、定常状態に達していることを示す頻度が高くなる。そして、第1の位相比較結果信号が上記の所定時間以内に必ず変化するようになると、定常状態検出回路31は定常状態に達したことを示す信号を常に出力し続けることになる。
【0038】
定常状態検出回路31の出力が定常状態に達していることを示している時には、デジタル制御回路32はその出力のうち1ビットのみを第1の位相比較結果信号に応じて変化させ、他のビットは一方をハイレベルに他方をローレベルに固定する。すると、発振回路40の発振周波数はデジタル制御信号の1ビット分に応じて小さく変化する。また、チャージポンプ制御回路33は第1の位相比較結果信号に応じてアナログ制御信号に少しだけ電荷を注入するか放出させる信号を毎サイクル出力する。これにより、アナログ制御信号は第1の位相比較結果信号を全て反映した変化をする。しかし、この時には第1の位相比較結果信号が頻繁に変化しているため、アナログ制御信号に少しだけ電荷を注入する信号と放出させる信号が両方とも頻繁に出力されて互いに相殺し、アナログ制御信号の電圧が急激に変化することはない。すなわち、デジタル制御信号による発振周波数の制御幅が小さいため位相ジッタが小さくなり、アナログ制御信号も急激に変化せず安定した状態になる。以後、図1の入力データに信号情報が現われたことを検知するまではこの状態が継続する。
【0039】
入力データに信号情報が現われたことを検知すると、第2の信号情報有無表示信号にその結果を出力し、切り替え回路35が第3の信号情報有無表示信号を変化させる。すると、デジタル制御回路32とチャージポンプ制御回路33は第2の位相比較結果信号に基づく制御を開始する。その後は、クロック信号と入力データの位相関係が図2に示す状態に近付くように制御され、フィードバック信号とリファレンス信号の周波数はほぼ一致したままであるが位相は必ずしも一致しない状態となる。更にその後、入力データに信号情報が無いことを検知すると、第1の信号情報有無表示信号にその結果を出力し、切り替え回路35が第3の信号情報有無表示信号を再び変化させる。すると再び第1の位相比較結果信号に基づく制御に切り替わり、フィードバック信号とリファレンス信号の周波数と位相がほぼ一致する状態になる。
【0040】
次に、図3に示したPLL部10を構成する各ブロックについて、その具体的な構成例を順に説明する。
【0041】
図4は、図3のPLL部10において、その切り替え回路35の詳細な構成例を示す回路図である。図4に示す切り替え回路35は、NAND回路ND40,ND41によって構成される。ND40の一つの入力ノードには第1の信号情報有無表示信号が入力され、ND41の一つの入力ノードには第2の信号情報有無表示信号が入力される。また、ND40の他の入力ノードには、ND41の出力ノードが接続され、ND41の他の入力ノードには、ND40の出力ノードが接続される。また、ND40の更に他の入力ノードには、電源投入直後などにリセットするためのリセット信号が入力される。
【0042】
第1の信号情報有無表示信号は、通常はハイレベルであるが信号情報が無いことを検出した時にローレベルになるものとする。第2の信号情報有無表示信号は、通常はハイレベルであるが信号情報が有ることを検出した時にローレベルになるものとする。リセット信号は、通常はハイレベルであるがリセットする時だけローレベルになるものとする。
【0043】
この切り替え回路35は、第1の信号情報有無表示信号が信号情報の無いことを示すローレベルになると、第3の信号情報有無表示信号として信号情報の無いことを示すローレベルを出力する。リセット信号をローレベルにした時にも第3の信号情報有無表示信号としてローレベルを出力する。第2の信号情報有無表示信号が信号情報の有ることを示すローレベルになると、第3の信号情報有無表示信号として信号情報の有ることを示すハイレベルを出力する。全ての入力がハイレベルである場合は、いずれかの入力が最後にローレベルになった時の出力を保持する。
【0044】
図5は、図3のPLL部10において、その第1の位相比較回路21の詳細な構成例を示す回路図である。図5に示す第1の位相比較回路21は、セットリセットラッチ回路SR50と、NAND回路ND50と、遅延回路DLY50と、インバータ回路IV50,IV51と、フリップフロップ回路FF50によって構成される。SR50は、2つのNAND回路ND51,ND52によって構成され、ND51の一方の入力ノードにはリファレンス信号が入力され、ND52の一方の入力ノードにはフィードバック信号が入力される。また、ND51の他方の入力ノードには、ND52の出力ノードが接続され、ND52の他方の入力ノードには、ND51の出力ノードが接続される。
【0045】
ND50は、一方の入力ノードにリファレンス信号が入力され、他方の入力ノードにフィードバック信号が入力される。ND50の出力は、ここでは3段のインバータ回路からなる遅延回路DLY50を介してFF50のクロックトリガに使用される。FF50の入力データノードは、ND52の出力ノードがIV51を介して接続される。なお、ND51の出力ノードに接続されたIV50は、ND52の出力に対する負荷とバランスを等しくするために設けられている。この第1の位相比較回路21は、リファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち上がりエッジのどちらが先に現れるかをSR50で検出し、その検出結果をFF50に取り込んで保持すると共に、その比較結果を示す第1の位相比較結果信号として出力する。
【0046】
図6は、図3のPLL部10において、その周波数比較回路22の詳細な構成例を示す回路図である。図6に示す周波数比較回路22は、インバータ回路IV60,IV61と、遅延回路DLY60,DLY61と、AND回路AD60,AD61と、セットリセットラッチ回路SR60と、インバータ回路IV62,IV63と、フリップフロップ回路FF60,FF61によって構成される。SR60は、2つのNOR回路NR60,NR61によって構成され、NR60の一方の入力ノードにはAD60の出力信号A0が入力され、NR61の一方の入力ノードにはAD61の出力信号A1が入力される。また、NR60の他方の入力ノードには、NR61の出力ノードが接続され、NR61の他方の入力ノードには、NR60の出力ノードが接続される。
【0047】
IV60にはリファレンス信号を反転させた信号が入力され、その出力はAD60の一方の入力ノードとDLY60の入力ノードに接続される。また、DLY60の出力はAD60の他方の入力ノードに接続される。この構成により、AD60の出力A0にはリファレンス信号を反転させた信号の立ち下がりエッジに同期したパルスが出力される。同様に、IV61にはフィードバック信号が入力され、その出力はAD61の一方の入力ノードとDLY61の入力ノードに接続される。また、DLY61の出力はAD61の他方の入力ノードに接続される。この構成により、AD61の出力A1にはフィードバック信号の立ち下がりエッジに同期したパルスが出力される。
【0048】
このA0とA1がセットリセットラッチ回路SR60に入力されているため、A0とA1に出力されるパルスが両方とも消えた後には、A0とA1のうちのいずれのパルスが先に消えたかをSR60に記憶している。そして、その情報がIV62やIV63を介してFF60やFF61の入力データ端子B0やB1に入力されている。すると、先にパルスが消えた側にその次のパルスが現れた場合は、FF60またはFF61が周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fにローレベルを出力し、A0とA1に交互にパルスが現れていることを認識できる。後からパルスが消えた側に次のパルスが現れた場合は、FF60またはFF61が周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fにハイレベルを出力し、その側のパルスが2回以上連続して現れたことを認識できる。従って、この周波数比較回路22は、リファレンス信号を反転させた信号の立ち下がりすなわちリファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち下がりエッジが交互に現れているか否かを検出することになる。そして、交互に現れている場合にはその検出結果を示す周波数比較結果信号Rおよび周波数比較結果信号Fにローレベルを出力し、いずれか一方が2回以上連続して現れた場合にはその側の周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fにハイレベルを出力する。
【0049】
なお、定常状態では図3のPLL部10はリファレンス信号とフィードバック信号の周波数と位相をほぼ一致させ両方の立ち上がりエッジがほぼ同時刻となるように制御するので、リファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち下がりエッジが交互に現れて周波数比較結果信号Rおよび周波数比較結果信号Fには常にローレベルが出力される。
【0050】
図3のPLL部10において、その追い越し検出回路23は、周波数比較回路22が周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fにハイレベルを出力した後にリファレンス信号とフィードバック信号の位相差が半回転した時、その立ち上がりエッジ同士の位相の追い越しが発生したことを検出するために設けた回路である。この回路は、フィードバック信号を反転して入力する以外は周波数比較回路22と同じ構成の回路であり、リファレンス信号とフィードバック信号の立ち上がりエッジ同士が交互に現れているか否かを検出する。交互に現れている場合には2つの出力信号を共にローレベルにし、いずれか一方が2回以上連続して現れた場合にはその側の出力信号をハイレベルにする回路として作用する。
【0051】
リファレンス信号とフィードバック信号の周波数が近付くと、リファレンス信号の1サイクル当たりに対するフィードバック信号との位相差の変化が小さくなる。ここでリファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち下がりエッジのいずれかが2回連続して現れた時は位相がほぼ半周期ずれている時であり、その後暫くの間は周波数の高い側の位相が遅れた状態になる。この状態の時に第1の位相比較結果信号に基づいてチャージポンプ回路34を制御すると、所望とは逆の制御がかかることになる。これを避けることが追い越し検出回路23を設ける第1の目的である。リファレンス信号とフィードバック信号の立ち上がりエッジ同士のいずれかが2回連続して現れた時は位相がほぼ一致している時であり、その後は次にリファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち下がりエッジのいずれかが2回連続して現れるまで周波数の高い側の位相が進んだ状態になる。この状態の時に第1の位相比較結果信号に基づいてチャージポンプ回路34を制御すれば所望の制御がかかる。従って、周波数比較回路22の出力のいずれかがハイレベルになった後は第1の位相比較結果信号に基づくチャージポンプ回路34の制御を停止し、追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになった後に再開すればよい。
【0052】
また、リファレンス信号とフィードバック信号の周波数が更に近付くと、リファレンス信号の1サイクル当たりに対するフィードバック信号との位相差の変化が更に小さくなり、各エッジが交互に現れても周波数比較回路22が周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fにハイレベルを出力する誤検出を生じることがある。この誤検出の影響を防止することが追い越し検出回路23を設ける第2の目的である。この誤検出が生じるのはリファレンス信号の立ち上がりエッジとフィードバック信号の立ち下がりエッジがほぼ同時刻に現れる場合であり、正しい検出が行なわれる1サイクルを挟んで前後何サイクルかの間連続して発生する。その最初のサイクルで現れる誤検出は、周波数の高い側の信号が後から現れるため結果的には正しい検出と同じ信号を出力する。また、1サイクルの正しい検出を挟む一連のサイクルでの誤検出が発生してから次に1サイクルの正しい検出を挟む一連のサイクルでの誤検出が発生するまでの間には、リファレンス信号とフィードバック信号の位相差が1回転する。そしてその間の約半回転の時点で、追い越し検出回路23がいずれかの出力信号にハイレベルを出力する。従って、周波数比較回路22の出力に基づいてチャージポンプ回路34を制御した後は、次に追い越し検出回路23がいずれかの出力をハイレベルにするまで、周波数比較回路22の出力に基づくチャージポンプ回路34の制御を行なわないようにすればよい。これにより、周波数比較回路22の誤検出の影響を回避できる。
【0053】
図7は、図3のPLL部10において、その定常状態検出回路31の詳細な構成例を示す回路図である。図7に示す定常状態検出回路31は、第1の位相比較結果信号が変化したことを検出する位相反転検出部分と、第1の位相比較結果信号が変化してからの経過時間を計測し所定時間が経過したことを検知するタイマー部分によって構成される。それぞれの部分は、インバータ回路IV70と、フリップフロップ回路FF70〜FF72と、OR−NAND複合回路RD70,RD71と、NAND回路ND70〜ND74によって構成される。フリップフロップ回路FF70は1サイクル前の第1の位相比較結果信号を記憶し、位相反転検出部分は現在の第1の位相比較結果信号と1サイクル前の第1の位相比較結果信号を比較する。この2つが異なる時には第1の位相比較結果信号が変化したと判定し、それを示す信号をタイマー部分に出力する。タイマー部分は、フリップフロップ回路FF71およびFF72などが構成する2ビットカウンタにより構成される。この2ビットカウンタはリファレンス信号を反転させた信号のパルス数をカウントするが、第1の位相比較結果信号が変化したことを検出すると次のサイクルではカウント値が0にリセットされる。第1の位相比較結果信号が変化しない間は1カウントずつカウント値が進み、カウント値が3に達すると定常状態検出結果信号にローレベルを出力して以後はそのカウント値に固定する。すなわち、この定常状態検出回路31は、第1の位相比較結果信号が4サイクル以上に渡って変化していない時には定常状態検出結果信号にローレベルを出力し、第1の位相比較結果信号が3サイクル以内に変化している時には定常状態検出結果信号にハイレベルを出力する回路として作用する。
【0054】
図8は、図3のPLL部10において、そのデジタル制御回路32の詳細な構成例を示す回路図である。図8に示すデジタル制御回路32は、インバータ回路IV80〜IV82やNAND回路ND80〜ND83やNOR回路NR80によって構成される。
【0055】
図8に示すデジタル制御回路32は、第3の信号情報有無表示信号がローレベルすなわち図1の入力データに信号情報が無いことを示している時には、第2の位相比較結果信号の影響を受けず第1の位相比較結果信号および定常状態検出結果信号のみによってデジタル制御信号の各ビットが決定される。定常状態検出結果信号がローレベルすなわち定常状態でないことを示している時には、デジタル制御信号には3ビットとも第1の位相比較結果信号と同じ信号を出力する。定常状態検出結果信号がハイレベルすなわち定常状態にあることを示している時には、デジタル制御信号の内の1ビットのみに第1の位相比較結果信号と同じ信号を出力し、他の2ビットにはそれぞれローレベルとハイレベルを出力する。
【0056】
また、第3の信号情報有無表示信号がハイレベルすなわち図1の入力データに信号情報が有ることを示している時には、第1の位相比較結果信号および定常状態検出結果信号の影響を受けず第2の位相比較結果信号のみによってデジタル制御信号が決定される。この時には、デジタル制御信号の内の1ビットのみに第2の位相比較結果信号と同じ信号を出力し、他の2ビットにはそれぞれローレベルとハイレベルを出力する。
【0057】
図9は、図3のPLL部10において、そのチャージポンプ制御回路33の詳細な構成例を示す回路図である。図9に示すチャージポンプ制御回路33は、カウンタ回路CNT90と、インバータ回路IV90〜IV98と、NAND回路ND90〜ND93と、NOR回路NR90〜NR94と、AND回路AD90と、AND−NOR複合回路DR90〜DR91と、フリップフロップ回路FF90〜FF95と、セットリセットラッチ回路SR90によって構成される。カウンタ回路CNT90は、リファレンス信号を反転させた信号のパルス数をカウントする回路であり、最大カウント値になった次のパルスで0にリセットされ更にカウント動作を繰り返す回路である。ここでは、3ビットカウンタを用い8カウントごとにリセットされる場合を例に説明する。セットリセットラッチ回路SR90は、NOR回路NR95とNR96によって構成する。NOR回路NR95の入力の1つにはNOR回路NR96の出力を接続し、NOR回路NR96の入力の1つにはNOR回路NR95の出力を接続する。NOR回路NR95の他の入力には、第3の信号情報有無表示信号、発振周波数を大きく上げる制御信号、発振周波数を大きく下げる制御信号を接続する。NOR回路NR96の他の入力には、追い越し検出回路23の出力を接続する。
【0058】
第3の信号情報有無表示信号がローレベルすなわち図1の入力データに信号情報が無いことを示している時には、図9のチャージポンプ制御回路33の出力は第2の位相比較結果信号の影響を受けず第1の位相比較結果信号および定常状態検出結果信号および周波数比較結果信号によって決定される。発振周波数を大きく上下する制御信号のいずれかをハイレベルにした後は、その後追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになるまでの間、内部信号ENBL1をローレベルにする。その間は4本の出力全てがローレベルに固定される。追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになると、内部信号ENBL1をハイレベルにする。ここで定常状態検出結果信号がハイレベルであれば、内部信号ENBL2は常時ローレベルとなり、第1の位相比較結果信号に基づいて発振周波数を小さく上げる制御信号または小さく下げる制御信号のいずれかが毎サイクル出力される。定常状態検出結果信号がローレベルであれば、内部信号ENBL2はリファレンス信号の8サイクルごとにローレベルとなり、第1の位相比較結果信号に基づいて発振周波数を小さく上げる制御信号または小さく下げる制御信号のいずれかが8サイクル毎に出力される。周波数比較結果信号Rまたは周波数比較結果信号Fのいずれかがハイレベルになると、発振周波数を大きく上げる制御信号または大きく下げる制御信号のいずれかをハイレベルにする。すると、その後追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになるまで内部信号ENBL1をローレベルにし、その間は4本の出力全てがローレベルに固定される。従って、追い越し検出回路23の出力がハイレベルになった後最初に現われる周波数比較結果信号のみが発振周波数を大きく上げる制御信号または大きく下げる制御信号に反映される。フリップフロップ回路FF90,FF91やNOR回路NR91,NR92やインバータ回路IV94,IV95が構成する部分は、周波数比較結果信号Rや周波数比較結果信号Fのパルス幅をリファレンス信号の1サイクル分だけ拡張し、発振周波数を大きく上げる制御信号または大きく下げる制御信号が確実に出力されるようにするために設けてある。
【0059】
第3の信号情報有無表示信号がハイレベルすなわち図1の入力データに信号情報が有ることを示している時には、図9のチャージポンプ制御回路33の出力は第1の位相比較結果信号などの影響を受けず第2の位相比較結果信号のみによって決定される。そしてこの場合には、リファレンス信号の8サイクルごとに1回の割合で制御がかかる。すなわち、定常状態における第1の位相比較結果信号に基づくチャージポンプ回路34の制御の頻度より、第2の位相比較結果信号に基づくチャージポンプ回路34の制御の頻度を下げている。入力データが変化しない場合には第2の位相比較結果信号は前サイクルの値が保持されるため、高い頻度でチャージポンプ回路34を制御すると過剰な制御がかかる可能性がある。従って、制御の頻度を下げ発振周波数が不安定になることを防いでいる。なお、第2の位相比較結果信号に基づく制御の頻度と定常状態でない時の第1の位相比較結果信号に基づく制御の頻度を変える必要がある場合には、それぞれ異なるビット数のカウンタ回路CNT90とAD90を用意することになる。
【0060】
また、第3の信号情報有無表示信号がハイレベルの時は、内部信号ENBL1をローレベルにする。従って、その後第3の信号情報有無表示信号がローレベルになっても、更にその後追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになるまで第1の位相比較結果信号などによる制御を開始しない。これは、第3の信号情報有無表示信号がローレベルになった直後にはリファレンス信号とフィードバック信号の位相が一致しているとは限らないため、所望と逆の制御がかかることを防止するために設けた機能である。追い越し検出回路23の出力のいずれかがハイレベルになった直後にはリファレンス信号とフィードバック信号の位相がほぼ一致しているため、この時点から第1の位相比較結果信号などによる制御を開始する。なお、第3の信号情報有無表示信号がローレベルからハイレベルになった時は、変化した直後から第2の位相比較結果信号による制御を開始しても特に問題は無い。
【0061】
図10は、図3のPLL部10において、そのチャージポンプ回路34の詳細な構成例を示す回路図である。図10のチャージポンプ回路34は、高電位側電源Vddと低電位側電源Vssの間にPMOSトランジスタTp100〜Tp102とNMOSトランジスタTn102〜Tn100を備えている。ここで、Tp102とTn102のドレインに該当する出力ノードからは第1のアナログ制御信号が出力される。
【0062】
また、第2のアナログ制御信号の出力ノードとVddの間には、PMOSトランジスタTp103が接続され、第2のアナログ制御信号の出力ノードとVssの間には、2つのNMOSトランジスタTn103,Tn104が並列に接続される。Tp101のゲートには第1パルス信号PLS1(インバータ回路IV105,106を介しての正転信号)が入力される。Tn101のゲートには第1パルス信号PLS1(インバータ回路IV107を介しての反転信号)が入力される。一方、Tp100のゲートには第2パルス信号PLS2(インバータ回路IV103,104を介しての正転信号)が入力される。Tn100のゲートには第2パルス信号PLS2(インバータ回路IV108を介しての反転信号)が入力される。
【0063】
PLS1は、リファレンス信号を反転させた信号を2段のインバータ回路により構成した遅延回路DLY100により遅延させた信号と、更にこれを4段のインバータ回路により構成した遅延回路DLY101とインバータ回路IV102により反転および遅延させた信号とをNAND回路ND102で演算することで生成される。この場合、PLS1は、インバータ回路5段分のパルス幅を備えたローパルス信号となる。PLS2は、遅延回路DLY100の出力と、更にこれを4段のインバータ回路により構成した遅延回路DLY101と3段のインバータ回路により構成した遅延回路DLY102により反転および遅延させた信号とをNAND回路ND103で演算し、更に、その出力を例えば3段のインバータ回路により構成した遅延回路DLY103で反転および遅延させることで生成される。この場合、PLS2は、インバータ回路7段分のパルス幅を備えたハイパルス信号となり、PLS1の立ち下がりからDLY103の遅延時間分を経て立ち上がるパルス信号となる。すなわち、このDLY103の遅延時間が、Vddと第1のアナログ制御信号の出力ノードの間または第1のアナログ制御信号の出力ノードとVssの間に電流を流す時間となる。
【0064】
Tp102のゲートには、発振停止信号をインバータ回路IV100を介して反転させた信号と発振周波数を少し上げる制御信号とをNAND回路ND101で演算した結果が入力され、Tn102のゲートには、発振周波数を少し下げる制御信号が入力される。従って、Tp102は、発振停止信号がローレベル(不活性)の場合で、なおかつ発振周波数を少し上げる制御信号がハイレベルとなった場合にオンとなる。一方、Tn102は、発振周波数を少し下げる制御信号がハイレベルとなった場合にオンとなる。そして、Tp102およびTn102の一方がオンとなった場合には、DLY103の遅延時間に相当する非常に短い時間幅を備えた電流が第1のアナログ制御信号の端子に出力されることになる。
【0065】
Tp103のゲートには、発振停止信号を反転した信号と発振周波数を大きく上げる制御信号とをNAND回路ND100で演算した結果が入力され、Tn103のゲートには、発振周波数を大きく下げる制御信号が入力される。従って、Tp103は、発振停止信号がローレベル(不活性)の場合で、なおかつ発振周波数を大きく上げる制御信号がハイレベルとなった場合にオンとなる。一方、Tn103は、発振周波数を大きく下げる制御信号がハイレベルとなった場合にオンとなる。Tp103またはTn103が導通する時には、発振周波数を大きく上げるまたは下げる制御信号のパルス幅(すなわちリファレンス信号の1サイクル分)に相当する時間幅を備えた電流が第2のアナログ制御信号の端子に出力されることになる。この時間はDLY103の遅延時間より相当長いため、発振周波数を大きく上下する制御信号による制御幅は発振周波数を少し上下する制御信号による制御幅より相当大きくなる。
【0066】
なお、発振停止信号は、例えば、テスト時等において、第2のアナログ制御信号を低電位側電源Vssとし、発振回路の発振を停止させるために設けている。発振停止信号がハイレベルとなった場合は、ND100およびND101を介してTp102およびTp103がオフに駆動されると共に、インバータ回路IV100,101を介してTn104がオンに駆動されることで第2のアナログ制御信号がVssに接続される。また、第1および第2のアナログ制御信号は、第1のアナログ制御信号のノードに付く寄生容量を低減するために分離しているが、発振回路40の中で抵抗を介して互いにつながっている。
【0067】
図11は、図3のPLL部10において、その発振回路40の詳細な構成例を示す回路図である。図11の発振回路40は、デジタル制御器部分と、リングオシレータ部分と、バッファ部分と、レベルシフタ部分と、アナログ制御器部分によって構成される。リングオシレータ部分は、高電位側電源ノードVddと第2低電位側電源ノードVss2の間に接続された奇数段(ここでは5段)のCMOSインバータ回路IV110〜IV114によって構成される。5段目となるIV114の出力ノードは直列接続された抵抗R4およびR5を介して1段目となるIV110の入力ノードに帰還されており、このリング構造によって発振動作を行う。
【0068】
図11の発振回路40のデジタル制御器部分は、抵抗R4およびR5と並列に設けゲート電極にデジタル制御信号の各ビットを接続したPMOSトランジスタTp110〜Tp112によって構成する。ただし、Tp110はR4のみに対して並列に設けるのに対し、Tp111とTp112は共にR4およびR5の両方に対して並列に設ける。PMOSトランジスタTp110〜Tp112が全て遮断状態の時にはIV114の出力ノードとIV110の入力ノードの間は抵抗R4とR5の和の抵抗値で接続されているが、PMOSトランジスタTp110〜Tp112のうちのいくつかが導通状態になるとそのPMOSトランジスタの抵抗値に相当する分が並列接続され帰還回路の抵抗値が下がり発振周波数が高くなる。これによる発振周波数の変化分がデジタル制御信号による制御幅である。デジタル制御信号を3ビットとも同時に変化させる場合には、Tp110〜Tp112の導通状態または遮断状態が同時に制御されるため発振周波数の制御幅は大きくなる。デジタル制御信号のうちの1ビットだけが変化し他のビットがそれぞれローレベルとハイレベルに固定される場合には、1個のPMOSトランジスタによる分だけ発振周波数を制御することになり制御幅は小さくなる。特にその1個がTp110となるようにすれば、帰還回路の抵抗値の変化幅を小さくでき発振周波数の制御幅を小さくできる。これにより、Tp110〜Tp112を全て半導体テクノロジで作成可能な最小サイズである同じ大きさに設計しても、デジタル制御信号のうちの1ビットだけを変化させた時の発振周波数の制御幅が3ビットとも同時に変化させた時の発振周波数の制御幅の3分の1より小さくなるようにすることができる。
【0069】
バッファ部分は、例えば、VddとVss2の間に接続された4段のCMOSインバータ回路IV115〜IV118によって構成され、1段目となるIV115の入力ノードにリングオシレータ部分の出力ノード(IV110〜114のいずれかの出力ノード)が接続される。IV115の出力ノードはIV116とIV117の入力ノードに接続され、IV117の出力ノードはIV118の入力ノードに接続される。そしてIV116とIV118の出力ノードが、バッファ部分の出力としてレベルシフタ部分に接続される。このバッファ部分は、リングオシレータ部分の出力ノードに対する負荷を軽減するために設ける。
【0070】
レベルシフタ部分は、Vddと第1低電位側電源ノードVssの間に接続され、例えば、PMOSトランジスタTp115,Tp116およびNMOSトランジスタTn111,Tn112からなる差動増幅回路と、その出力ノードに接続された2段のCMOSインバータ回路IV11a,IV11bによって構成される。Tp115,Tp116は、差動対として動作し、Tp115のゲートはバッファ部分のIV116の出力ノードに接続され、Tp116のゲートはバッファ部分のIV118の出力ノードに接続される。Tn111およびTn112は、カレントミラー回路を構成しTp115およびTp116のドレインにそれぞれ接続されることで差動増幅回路の負荷電流源として機能する。そして、Tp116のドレインが1段目のCMOSインバータ回路IV11aの入力ノードに接続され、2段目のCMOSインバータ回路IV11bから発振出力が得られる。
【0071】
このレベルシフタ部分は、VddとVss2の間で振れる発振信号を、VddとVssの間の全振幅で振れる発振信号に変換するために設けられる。なお、図11のレベルシフタ部分は、更に、このような構成に加えて、発振停止信号を受けて発振出力をローレベルに固定するためのPMOSトランジスタTp113,Tp114、NMOSトランジスタTn113およびインバータ回路IV119も備えている。発振停止信号がハイレベルとなった際には、IV119を介してTp113およびTp114のゲートにローレベルが印加され、このオンとなったTp113およびTp114を介してVddがTp115およびTp116のゲートに印加される。更に、発振停止信号のハイレベルは、Tn113のゲートにも印加され、このオンとなったTn113を介してIV11aの入力ノードがローレベルに固定される。
【0072】
アナログ制御器部分は、NMOSトランジスタTn110、ならびにTn110のゲートに接続された抵抗R1,R2および容量C2からなるローパスフィルタに加えて、抵抗R3を備えた構成となっている。Tn110は、ドレインがVss2に接続され、ソースが抵抗R3を介してVssに接続される。また、Tn110のゲートには、アナログ制御信号が前述したローパスフィルタを介して入力される。アナログ制御信号のうちの一方は抵抗R1を介して入力され、他方は抵抗R2を介して入力される。いずれの端子から入力される信号も、容量C2を充放電しTn110のゲートにかかる電圧を少しずつ変化させる。抵抗R3は、Vss2とVssの間で電圧変動が生じた際にTn110に流れる電流が変動するのを抑制するために設けている。
【0073】
以上が、図3のPLL部10を構成する各要素の詳細である。なお、図3のPLL部10を構成する分周回路50については、発振出力を所定の分周比で分周する通常の分周回路であるため説明を省略する。
【0074】
図12は、図1の受信回路において、その遅延回路60の詳細な構成例を示す回路図である。図12の遅延回路60は、遅延時間を制御可能なインバータ回路DC120〜DC129と、通常のインバータ回路IV120〜IV12gと、セットリセットラッチ回路SR120と、高電位側電源Vddと低電位側電源Vssの間に接続されたPMOSトランジスタTp120,Tp121およびNMOSトランジスタTn121,Tn120と、抵抗R6および容量C3によるローパスフィルタによって構成される。SR120はNAND回路ND120,ND121によって構成される。
【0075】
DC120の入力端子にはPLL部10からの発振出力を接続し、DC120〜DC129はそれぞれの出力と入力を順次接続していく。そして、DC120〜DC129の遅延時間を制御する端子には共通の制御信号CNTLを接続する。DC120〜DC128は負荷も等しくし、その遅延時間を概ね一致させる。DC120〜DC129の偶数番目の接続点にはそれぞれIV120〜IV123の入力端子を接続し、IV120〜IV123の出力端子からクロック信号φ0〜φ3を出力する。DC120〜DC129の奇数番目の接続点にはそれぞれIV124〜IV128の入力端子を接続する。ここで、IV124とIV128の出力波形の位相が概ね一致するように制御信号CNTLを使って制御する。すると、DC121〜DC128の8段分の遅延時間が発振出力の周期と概ね一致するため、DC122〜DC127の2段分ずつの遅延時間差のあるクロック信号φ0〜φ3は概ね等間隔の4相クロックとなる。
【0076】
IV124とIV128の出力波形の位相を一致させるため、以下のように接続する。IV124とIV128の出力はND120とND121のそれぞれ一方の入力に接続し、ND121とND120の出力をND120とND121のそれぞれ他方の入力に接続する。また、ND120とND121の出力を所望の段数のインバータを介してTp120とTn120のゲートに接続し、ND120の出力がローレベルの時にはTp120が導通しND121の出力がローレベルの時にはTn120が導通するようにする。更に、IV124とIV128の出力を所望の段数のインバータを介してTn121とTp121のゲートに接続し、IV124の出力がハイレベルの時にはTn121が導通しIV128の出力がハイレベルの時にはTp121が導通するようにする。また、Tp121とTn121のドレイン同士の接続点を、抵抗R6および容量C3によるローパスフィルタを介して制御信号CNTLに接続する。
【0077】
すると、IV128の出力波形の位相がIV124の出力波形の位相より早い場合は、IV128の出力波形の立ち上がりから約半サイクルの間はND121がローレベルを出力しTn120が導通する。その少し後にIV124の出力波形が立ち上がりTn121を導通させるため、制御信号CNTLの電圧が少し下がりDC120〜DC129の遅延時間を少し増加させることになる。この間、ND120の出力はハイレベルのままでありTp120は遮断したままである。この結果、IV128の出力波形の位相は少し遅れIV124の出力波形の位相に近付くことになる。逆に、IV128の出力波形の位相がIV124の出力波形の位相より遅い場合は、IV124の出力波形の立ち上がりから約半サイクルの間はND120がローレベルを出力しTp120が導通する。その少し後にIV128の出力波形が立ち上がりTp121を導通させるため、制御信号CNTLの電圧が少し上がりDC120〜DC129の遅延時間を少し減少させることになる。この間、ND121の出力はハイレベルのままでありTn120は遮断したままである。この結果、IV128の出力波形の位相は少し進みIV124の出力波形の位相に近付くことになる。これにより、IV124とIV128の出力波形の位相が概ね一致するように制御される。
【0078】
図13は、図12の遅延回路60において、その遅延時間を制御可能なインバータ回路DC120〜DC129のうちの1つ(例えばDC120)について詳細な構成例を示す回路図である。図13のインバータ回路DC120は、高電位側電源Vddと低電位側電源Vssの間に接続されたPMOSトランジスタTp130およびNMOSトランジスタTn130,Tn131と、NMOSトランジスタTn131に並列に接続されたNMOSトランジスタTn132によって構成される。Tp130とTn130はインバータを構成する。Tn131のゲート電極にはVddが接続されるが、Tn132のゲート電極には制御信号CNTLが接続される。よって、制御信号CNTLの電圧により、Tp130とTn130が構成するインバータに流れる電流を制御し遅延時間を制御することができる。
【0079】
図14は、図1の受信回路において、その第2の比較回路80の詳細な構成例を示す回路図である。この第2の比較回路80は、クロック信号と入力データの位相を比較する第2の位相比較回路81と、入力データに信号情報が無いことを検知する部分により構成される。入力データに信号情報が無いことを検知する部分は、排他的論理和回路XR140と、カウンタ回路CNT140と、NAND回路ND140によって構成される。第2の位相比較回路81は、排他的論理和回路XR141〜XR144と、フリップフロップ回路FF140〜FF143と、NAND回路ND141〜ND144と、セットリセットラッチ回路SR140によって構成される。セットリセットラッチ回路SR140は、NAND回路ND145とND146によって構成する。
【0080】
この第2の比較回路80の構成要素であるカウンタ回路CNT140は、ここでは8ビットカウンタとして説明する。また、このカウンタはリセット信号がローレベルである間はクロックパルスを受けるごとにカウント値が増加し、カウント値が255すなわちフルカウントになると次のクロックパルスでリセットされ、新たにカウントを始めるものとする。また、リセット信号がハイレベルになるとその瞬間にリセットされ、リセット信号がローレベルになった後に新たにカウントを始めるものとする。すると、フリップフロップ回路70と72の出力が等しい時にはXR140はローレベルを出力するため、クロック信号φ2の周期ごとにカウント値が増加していく。そして、255サイクルにわたって入力データが変化しない場合は、その間XR140はローレベルを出力し続けるためカウント値がフルカウントに達し、第1の信号情報有無表示信号にローレベルが出力される。その前に1回でも入力データが変化すれば、その信号をフリップフロップ回路70または72が取り込んだ瞬間にXR140はハイレベルを出力しカウンタがリセットされ、新たに0からカウントを始める。すなわち、入力データが所定時間以内に変化する場合は第1の信号情報有無表示信号はハイレベルに固定され、入力データが所定時間以上にわたって変化しない場合に限り第1の信号情報有無表示信号にローレベルを出力するように構成できる。
【0081】
また第2の位相比較回路81は、フリップフロップ回路73の出力がフリップフロップ回路70の出力と異なる場合にはXR141の出力をハイレベルにし、フリップフロップ回路71の出力がフリップフロップ回路70の出力と異なる場合にはXR142の出力をハイレベルにする。その結果をクロック信号φ2の立ち上がりエッジに同期してFF140およびFF141に取り込み、更にクロック信号φ2がハイレベルの間はSR140に伝達される。また、クロック信号φ2がハイレベルの間はクロック信号φ0がローレベルであるため、この間はND143およびND144の出力はハイレベルとなる。その結果、フリップフロップ回路73の出力がフリップフロップ回路70の出力と異なれば、第2の位相比較結果信号にはクロック信号の位相が入力データの位相より早いという位相比較結果を表わすハイレベルが出力される。フリップフロップ回路71の出力がフリップフロップ回路70の出力と異なれば、第2の位相比較結果信号にはクロック信号の位相が入力データの位相より遅いという位相比較結果を表わすローレベルが出力される。フリップフロップ回路73,70,71の出力が全て等しい場合には、直前の第2の位相比較結果信号がそのまま保持される。同様に、XR143およびXR144によるフリップフロップ回路71,72,73の出力の比較結果がクロック信号φ0の立ち上がりエッジに同期してSR140に伝達され、その結果が第2の位相比較結果信号に反映される。
【0082】
以上、本実施の形態1の受信回路を用いることで、入力データに位相を合わせたクロック信号を安定的に得ることが可能となる。すなわち、発振回路40の発振周波数を大きく変化させる制御は徐々に行なうので、ノイズなどによって不安定になることを防止できる。更に、発振回路40の発振周波数を小さく(少しだけ)変化させる制御は直ちに行なうので、熱雑音などによる位相ずれが大きくならないうちに制御できる。
【0083】
また、本実施の形態1の受信回路に用いたPLL部10は、通常のPLL回路と比べて特に大きな消費電力を必要とする回路を含まないため、入力データに位相を合わせたクロック信号を低消費電力で得ることが可能となる。すなわち、定常電流を必要とする位相インタポーレータが不要であるため、消費電力を低減することができる。
【0084】
(実施の形態2)
前述した実施の形態1では、フリップフロップ回路70〜73の閾値が固定である場合の構成について述べた。本実施の形態2では、このフリップフロップ回路の閾値を可変とする構成について述べる。
【0085】
入力データがローレベルからハイレベルに変化した直後のサイクルでは、前のサイクルでもハイレベルであった場合と比較して、入力データのノードの電圧が低くなっている場合がある。同様に、入力データがハイレベルからローレベルに変化した直後のサイクルでは、前のサイクルでもローレベルであった場合と比較して、入力データのノードの電圧が高くなっている場合がある。これは、入力データのノードの電圧を充放電するための時間がデータレートに相当する時間では不足するため、変化した直後のサイクルでは充放電が間に合わないために起きる現象である。この入力データを閾値が固定のフリップフロップ回路70〜73に取り込むと、データレートが高い場合には変化した直後のサイクルでは充放電の時間が不足し誤ったデータを取り込む可能性がある。本実施の形態2はこれを改善することを目的とした構成であり、前のサイクルの入力データがローレベルであった場合にはフリップフロップ回路の閾値を下げ、前のサイクルの入力データがハイレベルであった場合にはフリップフロップ回路の閾値を上げるように構成する。
【0086】
図15は、本実施の形態2において、フリップフロップ回路70〜73の代わりに設けるフリップフロップ群70’の構成例を示す回路図である。このフリップフロップ群70’の回路は、互いに閾値の異なるインバータ回路IV150およびIV151と、フリップフロップ回路FF150〜FF157と、セレクタ回路SL150〜SL155によって構成する。
【0087】
インバータ回路IV150およびIV151は、これを構成するPMOSトランジスタとNMOSトランジスタのサイズのバランスを変えることにより異なる閾値を持たせる。その出力をそれぞれFF150〜FF157の奇数番目と偶数番目に加えることにより、FF150〜FF157の奇数番目と偶数番目は入力データに対して異なる閾値を持つことになる。これをそれぞれクロック信号φ0〜φ3に同期して各フリップフロップ回路に取り込む。すると、クロック信号φ0に同期してFF150およびFF151に取り込んだ時は、その直前のサイクルの入力データはクロック信号φ2に同期して取り込むFF154またはFF155に記憶されている。従って、その情報を使ってセレクタ回路SL150がFF150またはFF151のいずれかの出力を選択し、そのサイクルのクロック信号φ0に同期して取り込んだ信号S−100として出力する。同様に、クロック信号φ2に同期して取り込んだFF154およびFF155の出力を、その直前のサイクルの入力データである信号S−100を使ってセレクタ回路SL153が選択し、そのサイクルのクロック信号φ2に同期して取り込んだ信号S−102として出力する。
【0088】
クロック信号φ1およびφ3に同期して取り込んだ信号は、クロック信号φ0に同期して取り込んだ信号S−100との比較に使う場合には、クロック信号φ2に同期して取り込んだ信号S−102を使って選択しS−1010およびS−1030として出力する。クロック信号φ2に同期して取り込んだ信号S−102との比較に使う場合には、クロック信号φ0に同期して取り込んだ信号S−100を使って選択し、S−1012およびS−1032として出力する。
【0089】
図16は、本実施の形態2において使用する第2の比較回路80’の構成例を示す回路図である。この第2の比較回路80’は、図14に示す第2の比較回路80とほぼ同じ構成であるが、排他的論理和回路XR141〜XR144に入力する信号を、図15に示すフリップフロップ群70’が出力する信号に変更している。
【0090】
以上、本実施の形態2の受信回路を用いることで、前述した実施の形態1と同様の効果を得ることができると共に、更に、直前のサイクルにおける入力データに応じてフリップフロップ回路の閾値を変更し、実施の形態1に示した受信回路に比べて高いデータレートの場合にも適用することが可能となる。
【0091】
(その他の実施の形態)
前述した実施の形態1および2では、 入力データのデータレートの2分の1に相当する周波数の4相クロックφ0〜φ3を使用する場合について説明したが、データレートの3分の1に相当する周波数の6相クロックを使用することも、データレートの4分の1に相当する周波数の8相クロックを使用することも、一般にデータレートのN分の1に相当する周波数の2×N相クロックを使用することも可能である。
【0092】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0093】
例えば、これまでの実施の形態では、トランジスタとしてMOSトランジスタを用いたが、勿論、バイポーラトランジスタなどで代替えすることも可能である。また、図11等では、低電位電源側にトランジスタを設け、そのゲート電位によって発振周波数の制御を行ったが、同様に、高電位電源側にトランジスタを設け、そのゲート電位によって発振周波数を制御することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の受信回路は、特に、半導体集積回路装置内の高速信号受信回路およびクロック信号供給部に適用して有益な技術であり、これに限らず、高速または高精度な信号の受信やクロック信号の供給が求められる各種集積回路装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態1による受信回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の受信回路の主要な信号の動作波形の例を示す波形図である。
【図3】図1の受信回路において、そのPLL部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図3のPLL部において、その切り替え回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図5】図3のPLL部において、その第1の位相比較回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図6】図3のPLL部において、その周波数比較回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図7】図3のPLL部において、その定常状態検出回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図8】図3のPLL部において、そのデジタル制御回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図9】図3のPLL部において、そのチャージポンプ制御回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図10】図3のPLL部において、そのチャージポンプ回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図11】図3のPLL部において、その発振回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図12】図1の受信回路において、その遅延回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図13】図12の遅延回路において、その遅延時間を制御可能なインバータ回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図14】図1の受信回路において、その第2の比較回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図15】本発明の実施の形態2による受信回路において、そのフリップフロップ群の詳細な構成例を示す回路図である。
【図16】本発明の実施の形態2による受信回路において、その第2の比較回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0096】
10 PLL部
20 第1の比較回路
21 第1の位相比較回路
22 周波数比較回路
23 追い越し検出回路
30 制御回路
31 定常状態検出回路
32 デジタル制御回路
33 チャージポンプ制御回路
34 チャージポンプ回路
35 切り替え回路
40 発振回路
50 分周回路
60 遅延回路
70〜73 フリップフロップ回路
70’ フリップフロップ群
80 第2の比較回路
80’ 第2の比較回路
81 第2の位相比較回路
90 後段の回路
AD AND回路
C 容量
CNT カウンタ回路
DC 遅延時間を制御可能なインバータ回路
DLY 遅延回路
DR AND−NOR複合回路
FF フリップフロップ回路
IV インバータ回路
ND NAND回路
NR NOR回路
R 抵抗
RD OR−NAND複合回路
SL セレクタ回路
SR セットリセットラッチ回路
Tn NMOSトランジスタ
Tp PMOSトランジスタ
Vdd 高電位側電源
Vss 低電位側電源
φ クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号によって発振周波数を制御される発振回路と、上記発振回路の出力を分周してフィードバック信号を出力する分周回路と、一定の周期で変化するリファレンス信号と上記フィードバック信号の位相を比較する第1の位相比較回路と、外部から供給される入力データを上記発振回路の出力に同期して取り込むフリップフロップ回路と、上記発振回路の出力が上記フリップフロップ回路に加えられるタイミングと上記入力データが上記フリップフロップ回路に加えられるタイミングの関係を比較する第2の位相比較回路と、上記第1および第2の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する制御回路とを備え、
上記入力データに信号情報が有る時には上記第2の位相比較回路の出力に基づいて上記制御回路が上記発振回路の発振周波数を制御し、上記入力データに信号情報が無い時には上記第1の位相比較回路の出力に基づいて上記制御回路が上記発振回路の発振周波数を制御するように構成された受信回路において、
上記発振回路の発振周波数を制御する制御信号は2系統の制御信号により構成され、上記2系統の制御信号のうちの一方の系統の制御信号を変化させた場合には上記発振回路の発振周波数は徐々に大きく変化し、上記2系統の制御信号のうちの他方の系統の制御信号を変化させた場合には上記発振回路の発振周波数は直ちに少しだけ変化するように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の受信回路において、
上記第1の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態から上記第2の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態に移行する場合には、移行した直後から定期的かつ徐々に上記第2の位相比較回路の出力に基づいて上記一方の系統の制御信号を変化させ、
上記第2の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態から上記第1の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態に移行する場合には、移行した直後から上記第1の位相比較回路の出力が変化するまでの間は上記一方の系統の制御信号を変化させず、その後上記第1の位相比較回路の出力が変化した以降に定期的かつ徐々に上記第1の位相比較回路の出力に基づいて上記一方の系統の制御信号を変化させ、
上記他方の系統の制御信号には、上記第1または第2の位相比較回路の出力を常にかつ直ちに反映させるように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信回路において、
上記第2の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態の時には、上記第1の位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御する状態の時と比較して、上記一方の系統の制御信号を変化させる頻度が低くなるように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の受信回路において、
上記フリップフロップ回路の出力が所定時間以内に変化している場合には上記入力データに信号情報が有ると判定して上記第2の位相比較回路の出力に基づく制御を行ない、上記フリップフロップ回路の出力が所定時間以上にわたって変化していない場合には上記入力データに信号情報が無いと判定して上記第1の位相比較回路の出力に基づく制御を行なうように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の受信回路において、
上記フリップフロップ回路の出力に基づいて信号処理を行なう後段の回路において上記入力データに信号情報が有るか否かを判定し、上記第1または第2のいずれの位相比較回路の出力に基づいて上記発振回路の発振周波数を制御するかを、上記後段の回路の判定結果に基づいて切り替えるように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の受信回路において、
上記フリップフロップ回路は、上記入力データに対する閾値が異なる2種類のフリップフロップ回路と、その2種類のフリップフロップ回路の出力を選択して上記フリップフロップ回路の出力とするセレクタ回路により構成され、直前のサイクルにおける上記フリップフロップ回路の出力がハイレベルである場合には上記2種類のフリップフロップ回路のうちの一方の出力を上記フリップフロップ回路の出力とし、直前のサイクルにおける上記フリップフロップ回路の出力がローレベルである場合には上記2種類のフリップフロップ回路のうちの他方の出力を上記フリップフロップ回路の出力とするように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の受信回路において、
上記発振回路の出力を遅延させてタイミングの異なる少なくとも3相のクロック信号を出力する遅延回路を備え、上記フリップフロップ回路は上記3相のクロック信号のそれぞれに同期して上記入力データを取り込む3個のフリップフロップ回路により構成され、
上記3個のフリップフロップ回路のうち最も早い位相のクロック信号に同期して上記入力データを取り込むフリップフロップ回路のみが他の2個のフリップフロップ回路と異なる値を出力している場合には上記発振回路の出力の位相が早いと上記第2の位相比較回路が判定し、上記3個のフリップフロップ回路のうち最も遅い位相のクロック信号に同期して上記入力データを取り込むフリップフロップ回路のみが他の2個のフリップフロップ回路と異なる値を出力している場合には上記発振回路の出力の位相が遅いと上記第2の位相比較回路が判定するように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項8】
請求項7に記載の受信回路において、
上記遅延回路は、上記発振回路の出力を遅延させて概ね等間隔のタイミングの4相以上の偶数相のクロック信号を出力する遅延回路からなり、
上記フリップフロップ回路は、上記3個のフリップフロップ回路を含み、上記偶数相のクロック信号のそれぞれに同期して上記入力データを取り込む複数のフリップフロップ回路により構成され、
上記偶数相のクロック信号のうちの偶数番目とその前後に該当する奇数番目の計3相のクロック信号に同期して上記入力データを取り込む計3個のフリップフロップ回路のうち最も早い位相のクロック信号に同期して上記入力データを取り込むフリップフロップ回路のみが他の2個のフリップフロップ回路と異なる値を出力している場合には上記発振回路の出力の位相が早いと上記第2の位相比較回路が判定し、上記3個のフリップフロップ回路のうち最も遅い位相のクロック信号に同期して上記入力データを取り込むフリップフロップ回路のみが他の2個のフリップフロップ回路と異なる値を出力している場合には上記発振回路の出力の位相が遅いと上記第2の位相比較回路が判定するように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項9】
請求項7または8に記載の受信回路において、
上記3個のフリップフロップ回路が全て同じ値を出力している場合には、上記第2の位相比較回路は直前のサイクルと同じ判定結果を出力するように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の受信回路において、
上記リファレンス信号と上記フィードバック信号の周波数を比較する周波数比較回路と、上記リファレンス信号と上記フィードバック信号の位相関係が反転した事を検出する位相反転検出回路とを備え、上記入力データの信号情報が無く上記リファレンス信号と上記フィードバック信号のいずれかの周波数が高い事を上記周波数比較回路が検出した時には、その後上記位相反転検出回路が位相の反転を検出するまでの間は上記一方の系統の制御信号の変化を停止させるように構成されたことを特徴とする受信回路。
【請求項11】
請求項10に記載の受信回路において、
上記入力データの信号情報が無く上記リファレンス信号と上記フィードバック信号のいずれかの周波数が高い事を上記周波数比較回路が検出した時には、上記一方の系統の制御信号を大きく変化させると共に、その後上記位相反転検出回路が位相の反転を検出するまでの間は上記一方の系統の制御信号の変化を停止させるように構成されたことを特徴とする受信回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−57006(P2010−57006A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221086(P2008−221086)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】