説明

可変インピーダンスゲートデカップリングセル

本発明の実施形態は、電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するシステムを提供する。システムは、電力レールと接地レールとの間でデカップリングコンデンサと直列に連結される、MOSトランジスタと、MOSトランジスタおよびデカップリングコンデンサと並列に電力レールに連結される、誘導パッケージング接続とを含む。MOSトランジスタ、デカップリングコンデンサ、および誘導パッケージング接続の組み合わせは、共振回路を形成する。動作中、システムは、電力レール上のVdd信号中にノイズが存在するかを判定する。Vdd信号中に存在するノイズに基づき、システムは、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、共振回路の関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、MOSトランジスタのインピーダンスを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回路に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、可変インピーダンスゲートデカップリングセルの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路技術における最近の開発により、設計者は、デジタル回路およびアナログ回路の両方を含む半導体チップ上に、複雑な集積回路を作り出すことができるようになった。「システムオンチップ」(SOC)は、SOCが多種多様な機能を実施できるようにする、異なる種類の回路を含む、かかる一集積回路である。例えば、SOCは、コントローラ、プロセッサ、画像および音声プロセッサ、送受信器、ネットワークデバイス、通信回路、メモリ、ならびに他の種類の回路を含むことができる。これらの機能的能力は、携帯電話、個人用デジタル補助装置、内蔵システム、携帯用コンピュータ、メディアプレーヤー、デスクトップコンピュータ、家庭用電子機器、デバイスコントローラ、および多くの他のデバイス等のデバイスでSOCを使用することを可能にする。
【0003】
一般に、SOC(および実質的にすべての他の種類の半導体チップ)は、SOCに電力(および接地)を提供するために、誘導パッケージング接続を通して、SOCから印刷回路基板(PCB)の電力面に別々に連結される、電力レール(一般にVddと称される)と、接地レール(一般にVssと称される)とを含む。チップ上のデカップリングコンデンサは、Vdd信号中の望ましくない高周波数ノイズをフィルタ処理するために、多くの場合、電力レールと接地レールとの間に連結される。(電力レール上の信号を、「Vdd信号」と称することに留意されたい。)用途により、デカップリングコンデンサは、金属・酸化物・シリコン(MOS)デカップリングコンデンサ、金属・絶縁体・金属(MIM)コンデンサ、バラクタ、またはデカップリングコンデンサの他の形態であり得る。例えば、図1は、典型的なMOSデカップリングコンデンサ100の回路図を示す。
【0004】
残念ながら、Vddへの誘導パッケージング接続およびチップ上のデカップリングコンデンサの並列組み合わせは、共振周波数(ωres)付近の周波数範囲でインピーダンスが高くなる可能性がある、共振LC回路を作り出す。その結果として、ωres付近の周波数範囲内のノイズは、Vdd信号からフィルタ処理されない。用途により、この周波数範囲は、ωresの数Hz内から、ωresの数kHz、数MHz、または数GHz内までの周波数を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題を改善するために、何人かの設計者は、固定値レジスタ等の散逸要素を、デカップリングコンデンサと直列に設置することを提案した。図2は、MOSコンデンサ200と直列なレジスタ202の回路図を示す。残念ながら、この技術は、ωres付近のノイズを除去する一方、デカップリングコンデンサの、他の周波数範囲内のVdd信号中のノイズを制御する効率を低減する可能性がある。関連する開発において、何人かの設計者は、デカップリングコンデンサと直列にMOSトランジスタを追加して、デカップリングコンデンサが必要ないときに、システムがデカップリングコンデンサへの回路経路を無効にできるようにすることを提案した。残念ながら、これらのシステム内のMOSトランジスタは、「オン」または「オフ」のいずれかであり、MOSトランジスタがオンである状況で、システムは、依然として、ωres付近で過度のノイズを経験する可能性がある。
【0006】
したがって、上述の問題のない、デカップリング機構が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するためのシステムを提供する。システムは、(1)接地レールに連結される第1のリード線を有する、デカップリングコンデンサと、(2)デカップリングコンデンサと直列に連結される、MOSトランジスタであって、MOSトランジスタのソースは、電力レールに連結され、MOSトランジスタのドレインは、デカップリングコンデンサ上の第2のリード線に連結される、MOSトランジスタと、(3)電力レールに連結される、誘導パッケージング接続とを含む。MOSトランジスタおよびデカップリングコンデンサは、誘導パッケージング接続と並列になり、それによって共振回路を形成するように構成されている。さらに、システムは、入力が電力レールに連結され、かつ、出力がMOSトランジスタのゲートに連結される制御回路を含む。動作中、制御回路は、Vdd信号中のノイズを判定する。制御回路は、Vdd信号中のノイズに基づき、MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、共振回路の関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、MOSトランジスタのインピーダンスを変化させるように構成されている。関心周波数は、回路が、Vdd信号中のノイズを経験する可能性が高い周波数と定義することができることに留意されたい。例えば、関心周波数は、共振LC回路(ωres)の共振周波数、または回路の動作周波数(ωoperation)付近の周波数であり得る。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、制御回路は、(1)Vdd信号を監視し、Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲内のノイズを表す、少なくとも1つの信号を出力するように構成されている、ノイズ感知機構と、(2)ノイズ感知機構から少なくとも1つの信号を受信し、MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整するように構成されている、判定機構とを備えている。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、ノイズ感知機構は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の表示と、Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の振幅とを出力するように構成されている。これらの実施形態では、判定機構は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の振幅を、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、およびVdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの現在の振幅を、Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、MOSトランジスタのインピーダンスの変化を判定するように構成されている。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、ノイズ感知機構は、Vdd信号中の総ノイズ電力をDC信号にダウンコンバートし、DC信号を出力するように構成されている。これらの実施形態では、判定機構は、DC信号の現在の値を、DC信号の少なくとも1つの以前の値と比較することによって、Vdd信号中のノイズを判定するように構成されている。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、ノイズ感知機構は、Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の現在のピークを検出し、現在のピークを出力するように構成されている。これらの実施形態では、判定機構は、Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の現在のピークを、以前のピークと比較することによって、MOSトランジスタのインピーダンスを判定するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、所与の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の振幅を出力するときに、ノイズ感知機構は、Vdd信号中のノイズを2回以上サンプリングし、Vdd信号中のノイズの2つ以上のサンプルを表す、現在の振幅の値を計算するように構成されている。例えば、ノイズ感知機構は、累積値、平均値、または別の値を計算することができる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、制御回路は、MOSトランジスタのインピーダンスを増加させて、ωinterest付近の周波数範囲内のノイズを減少させるように、または、MOSトランジスタのインピーダンスを減少させて、他の周波数でのスイッチングノイズを減少させるように、構成されている。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、デカップリングコンデンサは、金属・酸化物・シリコン(MOS)コンデンサ、金属・絶縁体・金属(MIM)コンデンサ、またはバラクタである。
【0015】
デカップリングコンデンサがMOSトランジスタである、本発明のいくつかの実施形態では、MOSトランジスタは、NMOSであり、デカップリングコンデンサは、PMOSである。デカップリングコンデンサがMOSトランジスタである、本発明の他の実施形態では、MOSトランジスタは、PMOSであり、デカップリングコンデンサは、NMOSである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、MOSトランジスタは、線形領域内で動作するように構成され、MOSトランジスタのゲートに印加される電圧の変化は、MOSトランジスタのインピーダンスの比例的変化をもたらす。
【0017】
本発明の実施形態は、電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するシステムであって、デカップリングコンデンサの第1のリード線は、接地レールに連結され、MOSトランジスタは、デカップリングコンデンサと直列に連結され、MOSトランジスタのソースは、電力レールに連結され、MOSトランジスタのドレインは、デカップリングコンデンサ上の第2のリード線に連結され、誘導パッケージング接続は、電力レールに連結され、MOSトランジスタおよびデカップリングコンデンサは、誘導パッケージング接続と並列になり、それによって共振回路を形成するように構成されている、システムを提供する。システムは、電力レール上のVdd信号中にノイズが存在するかを判定することから開始する。次いで、Vdd信号中のノイズに基づき、システムは、MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、共振回路のωinterest付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、MOSトランジスタのインピーダンスを変化させる。
【0018】
本発明の実施形態は、電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するための半導体チップを提供する。SOCは、(1)電力レールと接地レールとの間に連結される、一組の回路であって、電力レールおよび接地レールは、一組の回路に電力ならびに接地を提供する、一組の回路と、(2)接地レールに連結される第1のリード線を有する、デカップリングコンデンサと、(3)デカップリングコンデンサと直列に連結される、MOSトランジスタであって、MOSトランジスタのソースは、電力レールに連結され、MOSトランジスタのドレインは、デカップリングコンデンサ上の第2のリード線に連結される、MOSトランジスタと、(4)電力レールに連結される、誘導パッケージング接続とを備えている。MOSトランジスタおよびデカップリングコンデンサは、誘導パッケージング接続と並列になり、それによって共振回路を形成するように構成されている。さらに、システムは、入力が電力レールに連結され、かつ、出力がMOSトランジスタのゲートに連結される制御回路を含む。動作中、制御回路は、Vdd信号中のノイズを監視する。制御回路は、Vdd信号中のノイズに基づき、MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、共振回路のωinterest付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、MOSトランジスタのインピーダンスを変化させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、典型的なMOSデカップリングコンデンサの回路図を示す。
【図2】図2は、MOSコンデンサと直列なレジスタの回路図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態による、一例示的なシステムオンチップ(SOC)を図示するブロック図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態による、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセルの回路図を示す。
【図5】図5は、本発明の実施形態による、元のインピーダンス、および調整されたインピーダンスを図示する、グラフを示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、制御回路のブロック図を示す。
【図7】図7は、本発明の実施形態による、Vdd信号に連結される、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセルにおける、一連のMOSトランジスタインピーダンス調整の影響を図示する、グラフを示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態による、Vdd信号中のノイズを制御するプロセスを図示する、フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、いずれの当業者も、本発明を行い、使用できるようにするために提示され、特定の用途およびその要件の関連において提供される。開示される実施形態に対する種々の修正は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書に定義される一般的原理は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態ならびに用途に適用され得る。したがって、本発明は、示される実施形態に制限されず、特許請求の範囲に一致する最も広義の範囲が与えられる。
【0021】
(概説)
本発明の実施形態は、「システムオンチップ」(SOC)、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または集積回路を含む別の種類の半導体チップ等、多くの異なる種類の半導体チップにおける、電力システムノイズを低減するために使用することができる、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセルを提供する。
【0022】
可変インピーダンスデカップリングコンデンサセルは、デカップリングコンデンサと直列に連結されるMOSトランジスタを含み、直列対は、半導体チップ上で、Vdd信号とVss信号との間に連結される。可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル内のMOSトランジスタのインピーダンスを調整することによって、これらの実施形態は、一組の誘導パッケージング接続と並列のデカップリングコンデンサによって形成される、共振LC回路のインピーダンスを変化させ、それによって、Vdd信号中の関心周波数(ωinterest)付近のノイズを低減することができる。関心周波数は、回路が、Vdd信号中のノイズを経験する可能性が高い周波数と定義することができることに留意されたい。例えば、関心周波数は、回路の共振周波数(ωres)、または回路の動作周波数(ωoperation)付近の周波数であり得る。
【0023】
本発明の実施形態では、MOSトランジスタのインピーダンスを制御する制御回路は、Vdd信号中のノイズを監視する。制御回路は、MOSトランジスタの以前のインピーダンス調整で検出されたノイズと比較して、現在の監視されるVdd信号中のノイズを最小化するように、MOSトランジスタのインピーダンスを変化させる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、Vdd信号上のノイズを監視するときに、制御回路は、Vdd信号中の複数の周波数範囲内のノイズを監視する。これらの実施形態では、制御回路は、1つ以上の周波数範囲内のノイズを最小化するように、MOSトランジスタのインピーダンスを調整することができる。例えば、制御回路は、ωinterest付近の周波数範囲内のノイズ、およびωalternate付近の別の周波数範囲でのノイズを監視することができる。半導体チップ、および半導体チップが使用されるシステムにより、ωinterest付近の周波数範囲は、ωinterestの数Hz内から、ωinterestの数kHz、数MHz、または数GHz内までの周波数を含むことができる。
【0025】
別の実施形態では、制御回路は、すべてのノイズを直流(DC)(例えば、ダイオードを使用して)にダウンコンバートすることによって、全ノイズを監視する。
【0026】
本発明の実施形態では、制御回路は、アナログ回路を含む。しかしながら、別の実施形態では、制御回路のいくつかまたはすべては、デジタル回路を含む。
【0027】
(システムオンチップ)
図3は、本発明の実施形態による、一例示的なシステムオンチップ(SOC)300を図示する、ブロック図を示す。SOC300は、回路302および回路304、ならびに可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301を含む。また、SOC300は、回路302および回路304に電力(および接地)を供給するための電力レール(すなわち、Vdd信号)ならびに接地レール(すなわち、Vss信号)を有する、パッケージングシステムも含む。
【0028】
SOC300の関連において、本発明の実施形態が記載されるが、別の実施形態では、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、異なる種類の半導体チップと共に使用できることに留意されたい。例えば、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、プロセッサ、論理チップ、メモリチップ、ASIC、アナログチップ、および他の種類の半導体チップに使用することができる。さらに、Vdd信号中のノイズを使用して、本発明の実施形態が記載されるが、本発明の実施形態は、同一の原理を使用して、他の形態の信号ノイズを低減するために使用することができる。
【0029】
SOC(SOC300等)は、一般に、携帯電話、個人用デジタル補助装置、内蔵システム、携帯用コンピュータ、メディアプレーヤー、電子ゲームシステム、デスクトップコンピュータ、家庭用電子機器および電化製品、デバイスコントローラ、ならびに他のデバイス等の電子デバイスに使用される。SOC300が目的とされるデバイスにより、回路302および回路304は、異なる機能を実施する、デジタルおよび/またはアナログ回路を含むことができる。例えば、回路302および回路304は、コントローラ、プロセッサ、画像および音声プロセッサ、送受信器、ネットワークデバイス、通信回路、メモリ、検出器、論理回路、RF送信器回路、ディスプレイドライバ、グローバルポジショニングセンサ(GPS)回路、デジタル信号プロセッサ、暗号化回路、アナログ回路、ならびに他の回路を含むことができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、SOC300は、電力消費を低減するために使用することができる、ゲート電力システムおよび/またはクロック分配システム(図示せず)等の回路を含む。これらの実施形態では、SOC300の回路の一部が使用されていないときに、SOC300は、使用されていない回路が電力を引き込む、またはクロック分配システム上の負荷となるのを防止することができる。例えば、SOC300は、回路302へのVdd信号を遮断するために、電力ゲート回路を含んでもよい。したがって、動作中、回路302は、アイドル状態から活性状態に切り替えられてもよく、これは、Vdd信号の電圧に変動をもたらすことができる。
【0031】
可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、Vdd信号からノイズをフィルタ処理するために、VddとVssとの間に連結される。内部で、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、MOSトランジスタ402のゲート接続から外部制御回路406に連結される信号に加えて、デカップリングコンデンサ404と、直列のMOSトランジスタ402とを含む(図4参照)。デカップリングコンデンサ404は、金属・酸化物・シリコン(MOS)デカップリングコンデンサ、金属・絶縁体・金属(MiM)コンデンサ、バラクタ、または別の形態のデカップリングコンデンサであり得ることに留意されたい。
【0032】
dd信号中のノイズに基づき、制御回路406は、MOSトランジスタ402のゲート接続に連結される信号の電圧値を調整して、MOSトランジスタ402のインピーダンスを調整し、それによって、共振回路のインピーダンスを変化させる。例えば、制御回路406は、MOSトランジスタ402のインピーダンスを増加させて、関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内の共振回路の全体インピーダンスを減少させることができ、または、MOSトランジスタ402のインピーダンスを減少させて、1つ以上の他の周波数での共振回路のインピーダンスを減少させることができる。ωinterestは、回路が、Vdd信号中のノイズを経験する可能性が高い周波数と定義することができることに留意されたい。例えば、関心周波数は、回路の共振周波数(ωres)、または回路の動作周波数(ωoperation)付近の周波数であり得る。さらに、SOCおよび用途により、ωinterest付近の周波数範囲は、ωresの数Hz内から、ωinterestの数kHz、数MHz、または数GHz内までの周波数を含むことができることに留意されたい。
【0033】
1つの可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301を含む、本発明の実施形態が開示されるが、SOC300は、任意の数の可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301を含むことができる。例えば、SOC300は、数百または数千の可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301を含むことができる。さらに、1つの制御回路406は、複数の可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301内のMOSトランジスタ402を同時に制御することができる。この場合、それぞれの可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、MOSトランジスタ402およびデカップリングコンデンサ404の直列対を含むが、1つの制御回路406は、複数の可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301内のMOSトランジスタ402のインピーダンスを同時に調整する。
【0034】
(回路)
図4は、本発明の実施形態による、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301の回路図を示す。この可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301は、MOSトランジスタ402と、デカップリングコンデンサ404とを含む。デカップリングコンデンサ404は、MOSデカップリングコンデンサ、MiMコンデンサ、バラクタ、または別の形態のデカップリングコンデンサであり得ることに留意されたい。
【0035】
本発明の実施形態では、MOSトランジスタ402は、制御回路406に連結されるゲート接続と、デカップリングコンデンサ404に連結されるドレイン接続と、Vdd信号に連結されるソース接続とを有する、PMOSデバイスであり得る。動作中、MOSトランジスタ402は、トランジスタの電流−電圧特性曲線の三極(または線形)領域内で機能する。線形領域では、MOSトランジスタ402のインピーダンスは、ゲート電圧とソース電圧との間の差を変化させることによって、制御することができる。したがって、MOSトランジスタ402がPMOSデバイスであると仮定すると、制御回路406は、MOSトランジスタ402のゲート接続上の電圧を減少させて(MOSトランジスタ402のソース接続に連結される電圧Vddに対して)、MOSトランジスタ402のインピーダンスを減少させることができる。
【0036】
MOSトランジスタ402のインピーダンスの調整は、SOC300のパッケージインダクタンスと並列のMOSトランジスタ402およびデカップリングコンデンサ404の直列組み合わせによってもたらされる、共振回路の減衰定数を変化させる。減衰定数が増加するにつれて、ωinterest付近の周波数範囲内の共振回路のインピーダンスが減少し、結果として、ωinterest付近の周波数範囲内のVdd信号中のノイズがより少なくなる。しかしながら、MOSトランジスタ402のインピーダンスが増加するにつれて、また、ωinterest付近の周波数範囲外の周波数での共振回路のインピーダンスも増加する。これは、それらの周波数でのVdd信号中のスイッチングノイズを増加する可能性がある。したがって、本発明の実施形態は、2つ以上の関心周波数帯内のノイズを監視し、1つの周波数範囲内のノイズを最小化するように、MOSトランジスタ402のインピーダンスを動的に調整し、一方、また、Vdd信号中の他の周波数でのノイズも制御する。したがって、制御回路406は、1つ以上の関心周波数帯内のノイズを最小化するように、MOSトランジスタ402のインピーダンスを判定することができる。
【0037】
デカップリングコンデンサ404がMOSデバイスである、本発明のいくつかの実施形態では、MOSトランジスタ402は、NMOSデバイスであり、一方、デカップリングコンデンサ404は、PMOSデバイスである。デカップリングコンデンサ404がMOSデバイスである、本発明の他の実施形態では、MOSトランジスタ402は、PMOSデバイスであり、一方、デカップリングコンデンサ404は、NMOSデバイスである。
【0038】
図5は、本発明の実施形態による、元のインピーダンス、および調整されたインピーダンスを図示する、グラフを示す。「元のインピーダンス」のプロット内のスパイクによって示されるように、初期に、インピーダンスにスパイクが存在し、これは、ωinterest付近の周波数範囲に対応する。上述されるように、制御回路406は、ωinterest付近のインピーダンスのスパイクに関連する、ノイズスパイクを検出し、MOSトランジスタ402のインピーダンスに対して調整を行う。インピーダンス調整に続き、実効インピーダンスは、ωinterest付近でより低くなる。しかしながら、他の周波数でのインピーダンスは、インピーダンスの調整によって増加する。
【0039】
所与の周波数で存在するノイズ量が、その周波数でのインピーダンスに関係しているため、ωinterest付近のノイズを低減するようにインピーダンス調整を行うことは、結果として、ωinterest付近の周波数範囲外の周波数範囲のVdd信号中のノイズの増加をもたらす。その結果として、本発明のいくつかの実施形態は、2つ以上の周波数範囲内のノイズを監視し、ωinterest付近の周波数範囲内のノイズの低減と1つ以上の他の周波数範囲内のノイズの増加とのバランスをとる。
【0040】
(制御回路)
図6は、本発明の実施形態による、制御回路406のブロック図を示す。制御回路406は、ノイズ感知機構602と、判定機構604とを含む。一般に、制御回路406は、入力としてVdd信号をとり、MOSトランジスタ402のインピーダンスを制御するために、調整信号を出力する。
【0041】
制御回路406は、以下のように機能する。最初に、Vdd信号が、ノイズ感知機構602に入力される。本発明のいくつかの実施形態では、ノイズ感知機構602は、Vdd信号から1つ以上の周波数範囲をフィルタ処理するために、1つ以上のフィルタリング機構を含む。例えば、ノイズ感知機構は、低域通過フィルタ、および/またはωinterest付近の周波数を通過させる帯域通過フィルタを含むことができる。本発明の別の実施形態では、ノイズ感知機構602は、Vdd信号中のピークを検出する、ピーク検出機構を含む。本発明の他の別の実施形態では、ノイズ感知機構602は、ノイズ信号をDCにダウンコンバートする、ダウンコンバート機構(例えば、ダイオード)を含む。
【0042】
明確化のため、以下の段落では、Vdd信号から、低域通過フィルタ処理された信号および帯域通過フィルタ処理された信号(ωinterest付近の周波数範囲の)を判定機構604に提供するために、ノイズ感知機構602がフィルタリング機構を使用する、本発明の実施形態が記載される。しかしながら、上述される他の実施形態は、実質的に同様に機能する(すなわち、これらの実施形態は、Vdd信号中のノイズを判定し、それに応じて、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301のインピーダンスを調整する)。
【0043】
ノイズ感知機構602は、Vdd信号からフィルタ処理された、低域通過信号およびωinterest付近の周波数範囲の帯域通過信号を、判定機構604に渡す。判定機構604内で、コントローラは、信号間の差を判定するために、低域通過信号の現在の値を、帯域通過信号と比較する。差に基づき、判定機構604は、MOSトランジスタ402のインピーダンスを増加または減少させるように、調整信号を変化させることができる(図4参照)。例えば、判定機構604は、MOSトランジスタ402のインピーダンスを増加させて、ωinterest付近の周波数範囲内の共振回路の全インピーダンスを減少させることができ、または、MOSトランジスタ402のインピーダンスを減少させて、低周波数(およびωinterest付近の周波数範囲外の他の周波数)での共振回路のインピーダンスを減少させることができる。ωinterestは、回路が、Vdd信号中のノイズを経験する可能性が高い周波数と定義することができることに留意されたい。例えば、関心周波数は、回路の共振周波数(ωres)、または回路の動作周波数(ωoperation)付近の周波数であり得る。さらに、SOCおよび用途により、ωinterest付近の周波数範囲は、ωinterestの数Hz内から、ωinterestの数kHz、数MHz、または数GHz内までの周波数を含むことができることに留意されたい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、ノイズ感知機構602は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の振幅、およびVdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲のノイズの現在の振幅を出力する。これらの実施形態では、判定機構604は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの現在の振幅を、ωinterest付近の所定の周波数範囲内のVdd信号中のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、およびVdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの現在の振幅を、Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、判定機構604は、所定の数の以前のインピーダンス調整の記録、およびそれらの関連ノイズ値を保持する。調整信号を変化させる(すなわち、MOSトランジスタ402のインピーダンスを調整する)かどうかを判定するときに、判定機構604は、現在のインピーダンスおよびノイズ値を、1つ以上の以前のインピーダンスおよびノイズ値と比較する。以前の値を使用して、判定機構604は、ωinterest付近のノイズおよび低周波数ノイズのバランスがとれる(すなわち、ノイズ信号のそれぞれが、もう一方のノイズ信号への影響に対して調整される)まで、インピーダンスに対して反復して調整を行うことができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、判定機構604は、帯域通過信号と低域通過信号との間の差の大きさを反映する信号を出力する、演算増幅器(オペアンプ)である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、判定機構604は、継続的にノイズレベル判定を行わない。代わりに、判定(およびしたがってMOSトランジスタ402のインピーダンス調整)は、ある所定の事象に基づいて起こる。例えば、判定機構604は、定期的(すなわち、ミリ秒、秒、分毎等)に、自動的に比較を行い得る。一方、判定機構604は、1つ以上の条件が、Vdd信号に関して真になるまで、比較を行わなくてもよい。例えば、判定機構604は、Vdd信号中のノイズが、以前のノイズピーク値に対して新たなピークに到達したときに、比較を行い得る。
【0048】
(MOSトランジスタインピーダンス調整プロット)
図7は、本発明の実施形態による、Vdd信号に連結される、可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301における、一連のMOSトランジスタインピーダンス調整の影響を図示する、グラフを示す。図示目的のために、1つのみの可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301が記載されるが、同一の原理を使用して、ノイズをフィルタ処理するために、2つ以上の可変インピーダンスデカップリングコンデンサセル301を、Vdd信号に連結することができることに留意されたい。
【0049】
図7では、最上部のプロットは、Vdd信号であり、中央のプロットは、SOC300内の例示的なスイッチングノイズであり、下部のプロットは、MOSトランジスタインピーダンス制御信号である。図7は、Vdd信号に影響を与える(例えば、Vdd信号を振動させることができる、電力レールに印加される大きな負荷によって)、一連の「スイッチ事象」またはノイズパルスを含む。それぞれのスイッチ事象は、最上部のプロット中に、番号で印が付けられる(1、2、等)。
【0050】
時間ゼロで、MOSトランジスタインピーダンス制御信号は、0Vに設定され、結果として、MOSトランジスタ402にわたり、非常に低いインピーダンスをもたらす。その結果として、SOC300への誘導パッケージング接続およびデカップリングコンデンサ404の並列組み合わせは、ωinterest付近の周波数範囲内でインピーダンスが高い、共振LC回路を作り出す(本実施例では、ωinterestは、ωresである)。第1のスイッチ事象(Vdd信号上の第1のノイズパルス)が発生するときに、ωinterest付近の周波数範囲外で、少量のスイッチングノイズが引き起こされるが、Vdd信号上に、ωinterestでの著しい「リンギング」ノイズ(正弦波として示される)が見られる(スイッチング事象1参照)。
【0051】
スイッチングノイズパルスは、初期に、多くの周波数のノイズを含み、そのうちの1つは、ωinterest付近の周波数範囲であることに留意されたい。しかしながら、他の周波数は、デカップリングコンデンサセルによってフィルタ処理され、Vdd信号上にωinterest付近のノイズを残す。
【0052】
制御回路406は、第1のスイッチング事象中、ωinterest付近のノイズが大きく、一方、スイッチングノイズが小さいということを判定する。それに応じて、時間20ナノ秒で、制御回路406は、下のプロットに示されるように、MOSトランジスタ402への制御信号を3Vに増加する。3Vで、MOSトランジスタ402のインピーダンスは、以前の設定より大幅に高い。
【0053】
最上部のプロットが示すように、スイッチング事象2が発生するときに、増加したMOSトランジスタ402のインピーダンスのため、Vdd信号は、ωinterestでのリンギングノイズの影響をずっと少なく受ける。しかしながら、増加したインピーダンスは、Vdd信号中に大きなスイッチングノイズスパイクをもたらす。
【0054】
スイッチングノイズが著しい一方、ωinterest付近のノイズが小さいため、時間40ナノ秒で、制御回路406は、下のプロットに示されるように、MOSトランジスタ402への制御信号を1Vに低減する。1Vで、MOSトランジスタ402のインピーダンスは、以前の設定より低い。
【0055】
スイッチング事象3が発生するときに、減少したMOSトランジスタ402のインピーダンスのため、Vdd信号は、ωinterestでのリンギングノイズの影響をより大きく受ける。しかしながら、スイッチングノイズスパイクは、著しく低減される。
【0056】
スイッチングノイズが小さい一方、ωinterest付近のノイズが大きいため、時間60ナノ秒で、制御回路406は、下のプロットに示されるように、MOSトランジスタ402への制御信号を2Vに増加する。2Vで、MOSトランジスタ402のインピーダンスは、増加される。
【0057】
スイッチング事象4が発生するときに、増加したMOSトランジスタ402のインピーダンスのため、Vdd信号は、ωinterestでのリンギングノイズの影響をより少なく受ける。しかしながら、スイッチングノイズスパイクは、増加する。
【0058】
スイッチング事象5および6中、制御回路406は、MOSトランジスタ402のインピーダンスを調整し続ける。
【0059】
多数のかかる調整の後、制御回路406は、どのインピーダンスの値を使用するかの判定を行う。判定を行うときに、制御回路406は、1つ以上の所定の基準を使用する。例えば、ωinterest付近のノイズが唯一の考慮事項である場合、スイッチング事象2中に使用される設定(3V)が、制御信号に選択され、結果として、MOSトランジスタ402に著しいインピーダンスをもたらし得る。ωinterest付近のノイズとスイッチングノイズとの間のトレードオフが望ましい場合、スイッチング事象3または6中に使用される設定(1V)が選択され得る。
【0060】
(プロセス)
図8は、本発明の実施形態による、Vdd信号中のノイズを制御するプロセスを図示する、フローチャートを示す。
【0061】
プロセスは、システムが、Vdd信号中にノイズが存在するかを判定するときに開始する(ステップ800)。この判定を行うときに、本発明のいくつかの実施形態は、Vdd信号の第1の周波数範囲の振幅を、Vdd信号の第2の周波数範囲の振幅と比較し、Vdd信号中の現在のノイズが、ノイズの以前の値と比較してどうであるかを判定する。他の実施形態は、全ノイズ信号を、DC値にダウンコンバートし(例えば、ダイオードを使用して)、以前のDC値と比較してDC値を監視する。さらに他の実施形態は、Vdd信号のピークを検出して、ノイズを検出する。
【0062】
dd信号中の判定されたノイズに基づき、システムは、MOSトランジスタ402のインピーダンスを変化させるように、MOSトランジスタ402のゲートに印加される電圧を調整する(図4参照)(ステップ802)。例えば、制御回路406は、MOSトランジスタ402のインピーダンスを増加させて、ωinterest付近の周波数範囲内の共振回路の全体インピーダンスを減少させることができ、または、MOSトランジスタ402のインピーダンスを減少させて、1つ以上の他の周波数での共振回路のインピーダンスを減少させることができる。
【0063】
本発明の実施形態の前述の説明は、図示および説明目的のためだけに提示されてきた。これらは、本発明を網羅し、または本発明を開示される形態に制限することは意図されない。したがって、実践する当業者に、多くの修正および変形が明らかとなるであろう。さらに、上記の開示は、本発明を制限することは意図されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するための装置であって、
該接地レールに連結される第1のリード線を有する、デカップリングコンデンサと、
該デカップリングコンデンサと直列に連結される、MOSトランジスタであって、該MOSトランジスタのソースは、該電力レールに連結され、該MOSトランジスタのドレインは、該デカップリングコンデンサ上の第2のリード線に連結される、MOSトランジスタと、
該電力レールに連結される、誘導パッケージング接続であって、該MOSトランジスタおよび該デカップリングコンデンサは、該誘導パッケージング接続と並列になり、それによって共振回路を形成するように構成されている、誘導パッケージング接続と、
入力が該電力レールに連結され、かつ、出力が該MOSトランジスタのゲートに連結されている制御回路であって、該制御回路は、Vdd信号中のノイズを判定するように構成されている、制御回路と
を備え、
該制御回路は、該Vdd信号中の該ノイズに基づき、該MOSトランジスタの該ゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、該共振回路の関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内の該ノイズを低減するように、該MOSトランジスタのインピーダンスを変化させるように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記Vdd信号を監視し、該Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲内のノイズを表す、少なくとも1つの信号を出力するように構成されている、ノイズ感知機構と、
該ノイズ感知機構から該少なくとも1つの信号を受信し、前記MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、判定機構と
を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノイズ感知機構は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅と、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲のノイズの現在の振幅とを出力するように構成され、
前記判定機構は、ωinterest付近の該所定の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅を、ωinterest付近の該所定の周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、かつ、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの現在の振幅を、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、前記MOSトランジスタの前記ゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
所与の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅を出力するときに、前記ノイズ感知機構は、該Vdd信号中のノイズを2回以上サンプリングし、該Vdd信号中のノイズの該2つ以上のサンプルを表す、現在の振幅の値を計算するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ノイズ感知機構は、前記Vdd信号をDC信号にダウンコンバートし、該DC信号を出力するように構成され、
前記判定機構は、該DC信号の現在の値を、該DC信号の少なくとも1つの以前の値と比較することによって、前記MOSトランジスタの前記ゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記ノイズ感知機構は、前記Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の現在のピークを検出し、該現在のピークを出力するように構成され、
前記判定機構は、該現在のピークを、該Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の以前のピークと比較することによって、前記MOSトランジスタの前記ゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記MOSトランジスタのインピーダンスを増加させて、ωinterest付近の前記周波数範囲内のノイズを減少させるように、または、
該MOSトランジスタのインピーダンスを減少させて、他の周波数での前記スイッチングノイズを減少させるように、
構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記デカップリングコンデンサは、金属・酸化物・シリコン(MOS)コンデンサ、金属・絶縁体・金属(MIM)コンデンサ、またはバラクタである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記デカップリングコンデンサがMOSコンデンサである場合、前記MOSトランジスタは、NMOSであり、該デカップリングコンデンサは、PMOSであり、または、該MOSトランジスタは、PMOSであり、該デカップリングコンデンサは、NMOSである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記MOSトランジスタは、線形領域内で動作するように構成され、該MOSトランジスタのゲートに印加される電圧の変化は、該MOSトランジスタのインピーダンスの比例的変化をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ωinterestは、共振周波数または動作周波数のうちの1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電力レールと、接地レールとを含む、電力システム内のノイズを制御するための半導体チップであって、
該電力レールと該接地レールとの間に連結される、一組の回路であって、該電力レールおよび該接地レールは、該一組の回路に電力を提供する、一組の回路と、
該接地レールに連結される第1のリード線を有する、デカップリングコンデンサと、
該デカップリングコンデンサと直列に連結される、MOSトランジスタであって、該MOSトランジスタのソースは、該電力レールに連結され、該MOSトランジスタのドレインは、該デカップリングコンデンサ上の第2のリード線に連結される、MOSトランジスタと、
該電力レールに連結される、誘導パッケージング接続であって、該MOSトランジスタおよび該デカップリングコンデンサは、該誘導パッケージング接続と並列になり、それによって共振回路を形成するように構成されている、誘導パッケージング接続と、
入力が該電力レールに連結され、かつ、出力が該MOSトランジスタのゲートに連結されている制御回路であって、該制御回路は、Vdd信号中のノイズを判定するように構成されている、制御回路と
を備え、
該制御回路は、該Vdd信号中のノイズに基づき、該MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、該共振回路の関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、該MOSトランジスタのインピーダンスを変化させるように構成されている、
半導体チップ。
【請求項13】
前記制御回路は、
前記Vdd信号を監視し、該Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲内のノイズを表す、少なくとも1つの信号を出力するように構成されている、ノイズ感知機構と、
該ノイズ感知機構から該少なくとも1つの信号を受信し、前記MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、判定機構と
を備えている、請求項12に記載の半導体チップ。
【請求項14】
前記ノイズ感知機構は、ωinterest付近の所定の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅と、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲のノイズの現在の振幅とを出力するように構成され、
前記判定機構は、ωinterest付近の該所定の周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの現在の振幅を、ωinterest付近の該所定の周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、かつ、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの現在の振幅を、該Vdd信号の少なくとも1つの他の周波数範囲内のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することによって、前記MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、
請求項13に記載の半導体チップ。
【請求項15】
所与の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅を出力するときに、前記ノイズ感知機構は、該Vdd信号中のノイズを2回以上サンプリングし、該Vdd信号中のノイズの2つ以上のサンプルを表す値を計算するように構成されている、請求項14に記載の半導体チップ。
【請求項16】
前記ノイズ感知機構は、前記Vdd信号をDC信号にダウンコンバートし、該DC信号を出力するように構成され、
前記判定機構は、該DC信号の現在の値を、該DC信号の少なくとも1つの以前の値と比較することによって、前記MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、
請求項13に記載の半導体チップ。
【請求項17】
前記ノイズ感知機構は、
前記Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の現在のピークを検出し、該現在のピークを出力するように構成され、
前記判定機構は、該現在のピークを、該Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の以前のピークと比較することによって、前記MOSトランジスタのゲートに印加する電圧を判定するように構成されている、請求項13に記載の半導体チップ。
【請求項18】
前記制御回路は、
前記MOSトランジスタのインピーダンスを増加させて、ωinterest付近の前記周波数範囲内のノイズを減少させるように、または、
該MOSトランジスタのインピーダンスを減少させて、他の周波数での前記スイッチングノイズを減少させるように、
構成されている、請求項12に記載の半導体チップ。
【請求項19】
前記デカップリングコンデンサは、金属・酸化物・シリコン(MOS)コンデンサ、金属・絶縁体・金属(MIM)コンデンサ、またはバラクタである、請求項12に記載の半導体チップ。
【請求項20】
前記デカップリングコンデンサがMOSコンデンサである場合、前記MOSトランジスタは、NMOSであり、該デカップリングコンデンサは、PMOSであり、または、該MOSトランジスタは、PMOSであり、該デカップリングコンデンサは、NMOSである、請求項19に記載の半導体チップ。
【請求項21】
前記MOSトランジスタは、線形領域内で動作するように構成され、該MOSトランジスタのゲートに印加される電圧の変化は、該MOSトランジスタのインピーダンスの比例的変化をもたらす、請求項12に記載の半導体チップ。
【請求項22】
ωinterestは、共振周波数または動作周波数のうちの1つである、請求項12に記載の半導体チップ。
【請求項23】
誘導パッケージング接続に連結される電力レールと、接地レールと、MOSトランジスタと、デカップリングコンデンサとを含む、電力システム内のノイズを制御するための方法であって、
該MOSトランジスタのソースは、該電力レールに連結され、該MOSトランジスタのドレインは、該デカップリングコンデンサを通して該接地レールに連結され、該MOSトランジスタおよび該デカップリングコンデンサは、該誘導パッケージング接続と並列であり、それによって共振回路を形成し、
該方法は、
該電力レール上のVdd信号中のノイズを検出することと、
該検出された該Vdd信号中のノイズに基づき、該MOSトランジスタのゲートに印加される電圧を調整し、それによって、他の周波数でのスイッチングノイズの不必要な増加を引き起こすことなく、該共振回路の関心周波数(ωinterest)付近の周波数範囲内のノイズを低減するように、該MOSトランジスタのインピーダンスを変化させることと
を含む、方法。
【請求項24】
前記Vdd信号中のノイズを検出することは、
ωinterest付近の所定の周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの現在の振幅を、ωinterest付近の該所定の周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの少なくとも1つの以前の振幅と比較することと、
該Vdd信号中のノイズの少なくとも1つの他の周波数範囲の現在の振幅を、該Vdd信号中のノイズの少なくとも1つの他の周波数範囲の少なくとも1つの以前の振幅と比較することと、
を伴う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
所与の周波数範囲内の前記Vdd信号中のノイズの現在の振幅を比較することは、該周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズを2回以上サンプリングすることと、該周波数範囲内の該Vdd信号中のノイズの2つ以上のサンプルを表す値を計算することと、を伴う、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Vdd信号中のノイズを検出することは、
該Vdd信号をDC信号にダウンコンバートすることと、該DC信号の現在の値を、該DC信号の少なくとも1つの以前の値と比較することと
を伴う、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記Vdd信号中のノイズを検出することは、
該Vdd信号の少なくとも1つの周波数範囲の振幅の現在のピークを検出することと、
該現在のピークを、該Vdd信号の該少なくとも1つの周波数範囲の振幅の以前のピークと比較することと
を伴う、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記MOSトランジスタのインピーダンスを変化させることは、
ωinterest付近の周波数範囲内のノイズを減少させるように、前記MOSトランジスタのインピーダンスを増加させること、または、
他の周波数での前記スイッチングノイズを減少させるように、前記MOSトランジスタのインピーダンスを減少させること
を伴う、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、前記MOSトランジスタを線形領域内で動作させることをさらに含み、該MOSトランジスタのゲートに印加される電圧の変化は、該MOSトランジスタのインピーダンスの比例的変化をもたらす、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
ωinterestは、共振周波数または動作周波数のうちの1つである、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−507399(P2011−507399A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538031(P2010−538031)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084021
【国際公開番号】WO2009/076020
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(597035274)シノプシス, インコーポレイテッド (33)
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
【Fターム(参考)】