説明

可撓性基板保持具、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法

【課題】枚葉状の可撓性基板を、処理中に抜け落ちることなく湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止し、容易に固定出来る可撓性基板保持具及びこの可撓性基板保持具を使用した有機ELパネルの製造方法の提供。
【解決手段】矩形状の可撓性基板を平面状態に保持する可撓性基板保持具であって、前記可撓性基板は前記可撓性基板保持具への取り付け孔を有し、前記可撓性基板保持具は、矩形枠状の枠体と、前記枠体に取り付け部材を介し片持ち状態で一体に形成された梁構造の梁部とを有し、前記枠体の前記取り付け部材と対向する辺の2隅に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第1係止ピンと、前記梁部の両端に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第2係止ピンとを有することを特徴とする可撓性基板保持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は矩形状の可撓性基板の保持具及びこの保持具を使用した有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルとも言う)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
枚葉状の可撓性基板を使用し、この可撓性基板の上に順次機能層を積層していく代表的な製品として有機ELパネルが挙げられる。
【0003】
有機ELパネルは、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)を含む陽極層(陰極層)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)すなわち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)を含む陰極層(陽極層)とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも言う)を接着剤層を介して少なくとも有機EL素子の表面を封止する封止部材により封止した薄膜型の構成を有している。従来、有機ELパネルの基板としては、ガラス基板が主に用いられているが、軽量化、薄型化及びコスト低減を図るべく、薄くて可撓性のあるフィルム基板が使用される様になっている。
【0004】
有機ELパネルの製造工程には、基板洗浄、コーティング、パターニング及び乾燥等、各種処理工程があり、基板はこれらの工程内を順次搬送され、各種処理が行われることで基板上に各機能層が積層され有機ELパネルが製造されている。
【0005】
ガラス基板の場合は剛性が大きいので、ガラス基板単体で搬送及び各種処理を行っても、ガラス基板自体の剛性で平面状態を維持出来るため、ガラス基板上に安定した状態で陽極層と、有機化合物層と、陰極層等の各種機能層を安定して形成することが可能である。しかしフィルム基板の場合は剛性が低いため、フィルム基板自体の剛性により平面状態を維持することが難しい。特に、サイズが大きくなるに従って平面状態を維持することが難しくなる。
【0006】
このため、フィルム基板単体で搬送及び処理を行えば、湾曲、撓み又はしわが生じ易く、フィルム基板上に安定した状態で陽極層と、有機化合物層と、陰極層等の各種機能層を安定して形成することが困難になり、安定した製品の生産効率の低下の一因にもなっている。
【0007】
これらの対策として、湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止したフィルム基板の保持方法が検討されてきた。例えば、矩形枠状に形成された保持具本体の内側四隅に係止ピンを立設し、一方フィルム基板には、四隅に取り付け孔を形成して、取り付け孔に係止ピンを挿入し、フィルム基板を固定するフィルム基板搬送搬送保持具が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のフィルム基板搬送搬送保持具は、係止ピンとフィルム基板の取り付け孔とによる係止する方法であるため比較的容易に固定保持することが出来るのであるが、作業中にフィルム基板が係止ピンより抜ける危険がある。又、処理に伴う熱膨張でのフィルム基板へのダメージが懸念される。
【0009】
フィルム基板搬送搬送保持具として、矩形枠状に形成された保持具本体の内側四隅に係止ピンを立設し、一方フィルム基板には、四隅に取り付け孔を形成して、取り付け孔の1つは、係止ピンに対してぴったり嵌合する基準取り付け孔とし、該基準取り付け孔と対角位置の取り付け孔は大径取り付け孔とし、残りの2つの取り付け孔は長円形取り付け孔とし、取り付け孔に係止ピンを挿入し、ワッシャで抜け止めするフィルム基板搬送搬送保持具が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載のフィルム基板搬送搬送保持具は、係止ピンとフィルム基板の取り付け孔とによる係止する方法であるため比較的容易に固定保持することが出来るのであるがガタなく固定することは困難である。又、ワッシャを使用して固定する方法は、作業の複雑化及び固定作業に伴うフィルム基板へのダメージも懸念される。
【0011】
矩形枠状に形成された保持具本体の内部に洗浄時のフィルム基板の撓み防止部材と、四隅に係止ピンを立設し、一方フィルム基板には、四隅に取り付け孔を形成して、取り付け孔に係止ピンを挿入し、フィルム基板を固定するフィルム基板搬送搬送保持具が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
しかしながら、特許文献3に記載のフィルム基板搬送搬送保持具は、係止ピンとフィルム基板の取り付け孔とによる係止する方法であるため比較的容易に固定保持することが出来るのであるが、作業中にフィルム基板が係止ピンより抜ける危険がある。又、洗浄処理時にフィルム基板と撓み防止部材接触に伴うダメージが懸念される。
【0013】
この様な状況から、枚葉状の可撓性基板を、処理中に抜け落ちることなく湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止し、容易に固定出来る可撓性基板保持具の開発及びこの可撓性基板保持具を使用した有機ELパネルの製造方法の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2002−11736号公報
【特許文献2】特開2002−14310号公報
【特許文献3】特開2002−15983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は枚葉状の可撓性基板を、処理中に抜け落ちることなく湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止し、容易に固定出来る可撓性基板保持具及びこの可撓性基板保持具を使用した有機ELパネルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、下記に示す構成により達成された。
【0016】
1.矩形状の可撓性基板を平面状態に保持する可撓性基板保持具であって、前記可撓性基板は前記可撓性基板保持具への取り付け孔を有し、前記可撓性基板保持具は、矩形枠状の枠体と、前記枠体に取り付け部材を介し片持ち状態で一体に形成された梁構造の梁部とを有し、前記枠体の前記取り付け部材と対向する辺の2隅に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第1係止ピンと、前記梁部の両端に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第2係止ピンとを有することを特徴とする可撓性基板保持具。
【0017】
2.前記第1係止ピンは、少なくとも1本は固定係止ピンであることを特徴とする前記1に記載の可撓性基板保持具。
【0018】
3.前記第2係止ピンは、梁部の両端に配設された係止ピンであり、該梁部は両端へ枠体方向に水平に押圧を掛けた時、該枠体方向に撓み、該押圧を解除することで元の形状に戻ることを特徴とする前記1又は2に記載の可撓性基板保持具。
【0019】
4.前記枠体は位置決め用の孔が少なくとも一つ設置されていることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【0020】
5.前記第1係止ピンは、上部の径が下部の径よりも大きく、取り付け面から上部に向けての側壁は少なくとも傾斜部を有し、該傾斜部と取り付け面とのなす角度が45°〜85°であることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【0021】
6.前記第1係止ピンと第2係止ピンに可撓性基板の取り付け孔を挿通させ、該可撓性基板を可撓性基板保持具に固定する時、該可撓性基板に掛けられる張力は10N/m〜100N/mであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【0022】
7.基板洗浄工程、第1電極形成工程、有機化合物層形成工程、第2電極形成工程、封止層形成工程とを有する製造装置で、枚葉状の可撓性基板の上に、少なくとも第1電極と、発光層を含む有機化合物層と、第2電極と、封止層とを順次形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記基板洗浄工程、前記第1電極形成工程、前記有機化合物層形成工程、前記第2電極形成工程、前記封止層形成工程の少なくとも一つ工程で、前記1〜6の何れか1項に記載の可撓性基板保持具を使用し、前記可撓性基板を保持し処理することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
枚葉状の可撓性基板を、処理中に抜け落ちることなく湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止し、容易に固定出来る可撓性基板保持具及びこの可撓性基板保持具を使用した有機ELパネルの製造方法を提供することが出来、大サイズの枚葉状の可撓性基板を安定に保持することが可能となり、大型の画像表示装置への対応が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図1〜図14を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
図1は本発明の可撓性基板保持具に枚葉状の可撓性基板を固定した状態を示す概略図である。図1(a)は本発明の可撓性基板保持具に枚葉状の可撓性基板を固定した状態を示す概略斜視図である。図1(b)は図1(a)のA−A′に沿った拡大概略断面図である。
【0026】
図中、1は可撓性基板保持具を示す。可撓性基板保持具1は、枠構成部材101a〜101dを有する矩形状の枠体101と梁部102とを有している。2は枚葉状の可撓性基板を示す。可撓性基板2は4隅に開けられた取り付け孔2a〜2dを可撓性基板保持具の4隅に配設された係止ピン104a1、104a2、104b1、104b2に挿通することで可撓性基板保持具1の表面に伏勢し、梁部102方向(図中の矢印方向)に張力が掛けられた状態で固定されている。103は梁部102の枠体101への取り付け部材を示す。
【0027】
101eは枠構成部材101cに配設された位置決め用の孔を示す。101fは枠構成部材101dに配設された位置決め用の孔を示す。位置決め用の孔の配設する位置は特に限定はなく、例えば、梁部102と枠構成部材101bに配設しても良い。但し、安定性の面から対向する位置に2つ配設することが好ましい。位置決め用の孔は貫通していても良いし、位置決め用の孔を設けた反対の面に同じような孔を配設しても構わない。本図は貫通している場合を示している。
【0028】
位置決め用の孔101e(101f)は、例えば図10に示される製造装置4に示される供給工程401と、固定工程402と、洗浄工程403と、第1反転工程404と、第1電極形成工程405と、正孔輸送層形成工程406と、発光層形成工程407と、電子注入層形成工程408と、第2電極形成工程409と、第2反転工程410と、シール剤塗設工程411と、可撓性封止部材貼合工程412と、脱離工程413等で可撓性基板保持具1を載置台、受け台等に載置し可撓性基板に対して加工する時、載置台、受け台等に配設された位置決め用ピンを挿入させ可撓性基板保持具1を固定するのに使用される。
【0029】
図2は図1に示す可撓性基板保持具の概略図である。図2(a)は図1に示す可撓性基板保持具の概略斜視図である。図2(b)は図2(a)に示す可撓性基板保持具の概略平面図である。
【0030】
図中、1は可撓性基板保持具を示す。可撓性基板保持具1は、枠構成部材101a〜101dを有する矩形状の枠体101と梁部102とを有している。梁部102は梁部102の中央部に取り付けられた取り付け部材103を介して枠構成部材101aの中央部に一体に取り付けられている。
【0031】
梁部102は両端部を枠体101方向に水平に押圧を加えることで梁部102は枠体101方向に撓み(図中の点線で示される状態)、押圧を解除することで元の状態(図中の実線で示される状態)に戻る様になっている。梁部102が本図に示す様に撓むことで、可撓性基板を取り付ける時は、可撓性基板に配設された取り付け孔の位置に合わせ、梁部102の両端に押圧を掛け梁部102を撓ませ、取り付け後、押圧を解除することで梁部102が元の位置に戻る時に合わせ、第2係止ピン104bの位置が動く(第1係止ピン104aと第2係止ピン104bとの距離が広がる)ことで可撓性基板に張力が掛けられ可撓性基板保持具に固定される。又、処理が終了した後、押圧を掛け梁部102を撓ませることで第2係止ピン104bの位置が動く(第1係止ピン104aと第2係止ピン104bとの距離が狭くなる)ことで、可撓性基板への張力が解除されるので可撓性基板を可撓性基板保持具1から容易に外すことが可能となる。
【0032】
枠構成部材101bの両端部には第1係止ピン104aが配置されている。第1係止ピン104aは枠構成部材101bの端部に設けられた係止ピン104a1と、他方の端部に設けられた係止ピン104a2とを有している。第1係止ピン104a(係止ピン104a1及び係止ピン104a2)は枠構成部材101bに一体に固定となっている。
【0033】
梁部102の両端部には第2係止ピン104bが配置されている。第2係止ピン104bは梁部102の端部に設けられた係止ピン104b1と、他方の端部に設けられた係止ピン104b2とを有している。係止ピン104b1は係止ピン104a1と対向する位置にあり、係止ピン104b1と係止ピン104a1との中心は同一線上となるように配設されている。係止ピン104b2は係止ピン104a2と対向する位置にあり、係止ピン104b2と係止ピン104a2との中心は同一線上となるように配設されている。第2係止ピン104b(係止ピン104b1及び係止ピン104b2)は梁部102に一体に配設されており、梁部102の移動に伴い相対的に移動するようになっている。
【0034】
105は周囲を枠構成部材101a〜101dにより囲まれた開口部を示す。開口部105を設けることで可撓性基板の裏面の清掃が容易に行われること、及び可撓性基板を水洗する時、可撓性基板の裏面側の乾燥を早めるために有効である。
【0035】
枠体101を構成する枠構成部材の融点は、各工程における熱安定性等を考慮し、200℃以上であることが好ましい。
【0036】
枠体101を構成する枠構成部材のASTM D570に準じて測定した24時間吸水率は、可撓性基板への影響、各工程への水分持ち込み抑制、アウトガス抑制等を考慮し、1%以下であることが好ましい。
【0037】
梁部は、可撓性基板保持具に可撓性基板を固定した時の張力は、平面性、可撓性基板の保持性、可撓性基板の取り付け孔の損傷等を考慮し、10N/m〜100N/mであることが好ましい。張力は、株式会社イマダ製プッシュプルゲージ(デジタルフォースゲージ ZPシリーズ)を使用し測定した値を示す。
【0038】
可撓性基板保持具1に使用する材料としては、熱、水分等により変形しない材料であれば特に限定はなく、例えば汎用エンジニアリングプラスチック、特殊エンジニアリングプラスチック、金属が挙げられる。汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHMPE)等が挙げられる。特殊エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PAR)、オレフィンビニルアルコール共重合体(E/V)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。これらの材料の中で特に好ましい材料としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0039】
又、枠体101と、取り付け部材103と、梁部102と、第1係止ピン104a、及び第2係止ピン104bは同じ材料であっても良いし異なっていても良い。例えば、枠体101と取り付け部材103とを鉄、アルミ、ステンレス等の金属とし、梁部102を汎用エンジニアリングプラスチックとしても構わない。
【0040】
本図に示す可撓性基板保持具1は材料が汎用エンジニアリングプラスチック、特殊エンジニアリングプラスチックの場合は、通常の射出成形法で作製することが可能である。又、金属の場合は切削加工で製造することが可能である。
【0041】
Hは可撓性基板保持具1の幅を示す。幅Hは、取り扱い性、枚葉状の可撓性基板の保護、位置決め用の孔の配置、葉状の可撓性基板の裏面接触による傷付き等を考慮し、枚葉状の可撓性基板2(図1を参照)の長さの100%〜120%であることが好ましい。
【0042】
Iは矩形状の枠体101の長さを示す。長さIは、取り扱い性、位置決め用の孔の配設、枚葉状の可撓性基板の保護、位置決め用の孔の配置、葉状の可撓性基板の裏面接触による傷付き等を考慮し、枚葉状の可撓性基板2(図1を参照)の幅の100%〜120%であることが好ましい。
【0043】
Jは矩形状の枠体101の幅を示す。幅Jは、第1係止ピン104aの配設、可撓性基板の保持性、枚葉状の可撓性基板の裏面接触による傷つき、枚葉状の可撓性基板の乾燥性等を考慮し、可撓性基板保持具1の幅Hに対して50%〜90%であることが好ましい。
【0044】
Kは取り付け部材103の幅を示す。幅Kは、梁部の変形量を考慮し、極力小さくすることが好ましい。
【0045】
Lは取り付け部材103の長さを示す。長さLは、梁部の撓み荷重(張力)による変形、等を考慮し、梁部102の長さMに対して100%〜1000%であることが好ましい。
【0046】
Mは梁部102の長さを示す。長さMは、取り扱い性、梁部の撓み荷重、等を考慮し、枚葉状の可撓性基板2(図1を参照)の長さの2%〜10%であることが好ましい。
【0047】
Nは梁部102の幅を示す。幅Nは、第2係止ピン104bの配設、梁部の撓み荷重、等を考慮し、可撓性基板保持具1の幅Hに対して10%〜80%であることが好ましい。
【0048】
Oは開口部105の長さを示す。長さOは、枚葉状の可撓性基板の裏面接触による傷つき、枚葉状の可撓性基板の乾燥性等を考慮し、矩形状の枠体101の幅Iに対して50%〜95%であることが好ましい。
【0049】
Pは開口部105の幅を示す。幅Pは、枚葉状の可撓性基板の裏面接触による傷つき、枚葉状の可撓性基板の乾燥性等を考慮し、矩形状の枠体101の長さJに対して50%〜90%であることが好ましい。
【0050】
Qは係止ピン104a1の中心と、係止ピン104a2の中心との距離を示す。距離Qは矩形状の枠体101の大きさにより適宜変更が可能となっている。係止ピン104b1の中心と、係止ピン104b2の中心との距離も、距離Qと同じである。
【0051】
Rは係止ピン104a1の中心と係止ピン104b1の中心とを結ぶ線と、係止ピン104a1の枠構成部材101cへの取り付け面の外側との交点と、係止ピン104b1の梁部102への取り付け面の外側との交点との距離を示す。距離Rは取り付ける可撓性基板に配設された取り付け孔2a(図6参照)の中心と、取り付け孔2c(図6参照)の中心とを結ぶ線の取り付け孔2a(図6参照)の外側との交点と取り付け孔2c(図6参照)の外側との交点との距離Y(図6参照)に対して可撓性基板への張力、可撓性基板の取り付け孔に対する損傷、可撓性基板の取り付け性、係止安定性等を考慮し、100%〜120%であることが好ましい。他の符号は図1と同義である。
【0052】
図3は図2(a)に示すB−B′に沿った概略断面図である。
【0053】
図中、Tは梁部102の高さを示す。高さTは、梁部の撓み、保持具の剛性、梁部の撓み荷重(張力)による変形、各工程での省スペース化、各工程での位置決め等を考慮し、1mm〜20mmが好ましい。枠体101を構成している枠構成部材101a〜101d及び取り付け部材103の高さも高さTと同じであり、枠構成部材101a〜101d、取り付け部材103、梁部102の面は同一面となっている。他の符号は図2と同義である。
【0054】
図4は図2(a)のSで示される部分の拡大概略図である。図4(a)は図2(a)のSで示される部分の拡大概略斜視図である。図4(b)は図4(a)のC−C′に沿った概略断面図である。
【0055】
図中、Uは係止ピン104a1の上部104a11の直径を示し、Vは枠体101に取り付けられている下部104a12の直径を示す。係止ピン104a1は本図に示す如く、上部104a11の直径が下部104a12の直径よりも大きく、側壁104a13を有する断面形状が逆円錐台の形状となっている。係止ピン104a1の上部104a11の直径及び下部104a12の直径は枠体101の大きさにより適宜変更されるため、一義的に決めることは困難である。θは係止ピン104a1の側壁104a13と、枠構成部材101cの取り付け面とのなす角度を示す。角度θは、可撓性基板の固定安定性、係止ピンの強度等を考慮し45°〜85°が好ましい。角度は、株式会社ミツトヨ製 投影機 PJ−A3000を使用し測定した値を示す。
【0056】
Wは係止ピン104a1の枠体101の取り付け面からの高さを示す。高さWは、可撓性基板2(図1を参照)の厚さに対して、取り扱い性、係止安定性等を考慮し、100%〜3000%が好ましい。他の符号は図2と同義である。
【0057】
図2に示される他の係止ピン104a2、係止ピン104b1、係止ピン104b2も本図に示される係止ピン104a1と同じ形状、寸法を有している。
【0058】
図5は図4で示される係止ピンの他の形状の拡大概略図である。図5(a)は図4で示される係止ピンの他の形状の拡大概略斜視図である。図5(b)は図5(a)のD−D′に沿った沿った概略断面図である。
【0059】
図中、U′は係止ピン104a′1の上部104a′11の直径を示し、V′は枠体101に取り付けられている下部104a′12の直径を示す。係止ピン104a′1は本図に示す如く、上部104a′11の直径が下部104a′12の直径よりも大きく、上部104a′11の直径と同じ側壁104a′13と、上部104a′11の直径よりも順次径が小さくなっている傾斜した側壁104a′14とを有する形状となっている。
【0060】
係止ピン104a′1の上部104a′11の直径及び下部104a′12の直径は枠体101の大きさにより適宜変更されるため、一義的に決めることは困難である。θ′は係止ピン104a′1の側壁104a′14と、枠構成部材101cの取り付け面とのなす角度を示す。角度θ′は、可撓性基板の固定安定性、係止ピンの強度等を考慮し45°〜85°が好ましい。
【0061】
X′は側壁104a′13の高さを示す。高さX′は、係止ピン104a′1の高さW′に対して、係止ピンの強度等を考慮し、5%〜30%が好ましい。
【0062】
W′は係止ピン104a′1の枠体101の取り付け面からの高さを示す。高さW′は、可撓性基板2(図1を参照)の厚さに対して、取り扱い性、係止安定性等を考慮し、100%〜3000%が好ましい。
【0063】
図2に示される他の係止ピン104a2、係止ピン104b1、係止ピン104b2も本図に示される係止ピン104a′1と同じ形状、寸法を有している。他の符号は図2と同義である。
【0064】
図4、図5に本発明に係わる係止ピンの代表的な形状を示したが、本発明に係わる係止ピンの形状は、図6に示す可撓性基板に配設された取り付け孔と接触する係止ピンの側壁がRを有していれば特に限定はない。
【0065】
図6は図1(a)に示される可撓性基板の拡大概略図である。図6(a)は図1(a)に示される可撓性基板の拡大概略斜視図である。図6(b)は図6(a)に示される可撓性基板の概略平面図である。
【0066】
図中、Xは可撓性基板2の取り付け孔2bの直径を示す。直径Xは図4に示される係止ピンの直径U及び図5に示される係止ピンの直径U′に対して、可撓性基板の取り付け孔の挿通性、作業性、可撓性基板の固定安定性、可撓性基板のコスト等を考慮し110%〜200%が好ましい。他の取り付け孔2a、2c、2dは取り付け孔2bと全て同じ直径を有している。
【0067】
Yは取り付け孔2aの中心と、取り付け孔2cの中心とを結ぶ線の取り付け孔2aの外側との交点と取り付け孔2cの外側との交点との距離を示す。
【0068】
距離Yは、図2に示す係止ピン104a1の中心と係止ピン104b1の中心とを結ぶ線と、係止ピン104a1の枠構成部材101cへの取り付け面の外側との交点と、係止ピン104b1の梁部102への取り付け面の外側との交点との距離R(図2を参照)に対して、可撓性基板の取り付け孔の挿通性、作業性、可撓性基板の固定安定性等を考慮し、80%〜100%であることが好ましい。他の取り付け孔2bの中心と、取り付け孔2dの中心との距離も、距離Yと同じとなっている。
【0069】
Zは取り付け孔2cの中心と、取り付け孔2dの中心との距離を示す。距離Zは、図2に示される係止ピン104a1の中心と、係止ピン104a2の中心との距離Q(図2を参照)と同じである。取り付け孔2aの中心と、取り付け孔2bの中心との距離も、距離Zと同じである。
【0070】
図7は図2に示される可撓性基板保持具へ、図6に示す可撓性基板を取り付ける迄を示す概略フロー図である。
【0071】
Step1では、図1〜図4に示される構造と寸法を有する可撓性基板保持具1と、4隅に図6に示す寸法、取り付け位置で配置された取り付け孔2a〜2dを有する可撓性基板2が準備される。
【0072】
Step2では、可撓性基板保持具1の梁部102の両端部に枠体101に向けて(図中の矢印方向)押圧が掛けられることで、梁部102の両端部が枠体101に向けて撓んだ状態となる。
【0073】
Step3では、Step2に示される状態の枠体101の係止ピン104a1に可撓性基板2の取り付け孔2aと、係止ピン104a2に可撓性基板2の取り付け孔2bとを挿通させる。この時、取り付け孔2a、2bの直径は係止ピンの上部の直径より大きいため簡単に挿通させることが可能となっている。この後、枠体101の係止ピン104b1に可撓性基板2の取り付け孔2cと、係止ピン104b2に可撓性基板の取り付け孔2dとを挿通させる。この時、梁部102は撓んだ状態となっているため第1係止ピン104aと第2係止ピン104bとの距離が狭くなっていること、及び取り付け孔2c、2dの直径は係止ピンの上部の直径より大きいため簡単に挿通させることが可能となっている。
【0074】
Step4では、梁部102の両端部に枠体101に向けて(図中の矢印方向)掛けられていた押圧を解除することで梁部102はStep1に示される状態の元の位置に戻る。梁部102がStep1に示される状態の元の位置に戻ることで係止ピン104b1、係止ピン104b2も元の位置に戻る様に移動する。この時、係止ピン104a1の中心と係止ピン104b1の中心とを結ぶ線と、係止ピン104a1の枠構成部材101cへの取り付け面の外側との交点と、係止ピン104b1の梁部102への取り付け面の外側との交点との距離R(図2参照)と、可撓性基板2の取り付け孔2aの中心と、取り付け孔2cの中心とを結ぶ線の取り付け孔2aの外側との交点と取り付け孔2cの外側との交点との距離Yとの関係より、係止ピン104b1に挿通されていた取り付け孔2c、係止ピン104b2に挿通されていた取り付け孔2dを介して可撓性基板に張力が掛けられる。同時に係止ピン104b1、係止ピン104b2、係止ピン104b1、係止ピン104b2の側壁により枠体101の表面に向けて伏勢された状態で図1に示す様な可撓性基板保持具1への固定がなされる。
【0075】
処理が終了し、可撓性基板保持具1から可撓性基板2を外す時は、Step2で示した様に、可撓性基板保持具1の梁部102の両端部に枠体101に向けて(図中の矢印方向)押圧を掛ける。押圧を掛けることで梁部102の両端部が枠体101に向けて撓んだ状態となり、枠体101に配設された第1係止ピン104aと、梁部102に配設された第2係止ピン104b間の距離が短くなり可撓性基板に掛けられていた張力が解除されることで可撓性基板保持具1から容易に可撓性基板2を外すことが可能となる。
【0076】
図8は図7に示すStep4の可撓性基板が可撓性基板保持具に固定される迄を示す概略フロー図である。
【0077】
(a)に示される状態に付き説明する。(a)は、梁部102の両端を押すことで梁部が撓んだ状態で可撓性基板2の取り付け孔2a(2b)に係止ピン104a1(104a2)を、可撓性基板2の取り付け孔2c(2d)に係止ピン104b1(104b2)を挿通させた状態を示す。取り付け孔2a(2b)は係止ピン104a1(104a2)の上部の直径よりも大きいため側壁104a13に接触しない状態となっている。又、取り付け孔2c(2d)も係止ピン104b1(104b2)の上部の直径よりも大きいため側壁104b13に接触しない状態となっている。
【0078】
(b)に示される状態に付き説明する。(b)は、梁部102に掛けられていた押圧を解除した初期の状態を示す。押圧を解除することで梁部102は元の状態に戻る様に移動(図中の矢印方向)する。梁部102の移動に伴い、梁部102に固定されている係止ピン104b1(104b2)も移動(図中の矢印方向)する。係止ピン104b1(104b2)が移動することで可撓性基板2の取り付け孔2c(2d)の外側と係止ピン104b1(104b2)の外側の側壁104b13とが当接する状態となり、更に係止ピン104b1(104b2)が移動することで可撓性基板2も移動(図中の矢印方向)する。
【0079】
(c)に示される状態に付き説明する。(c)は、(b)に示される状態から更に、梁部102が移動することで撓性基板2が移動し、取り付け孔2a(2b)の外側と係止ピン104a1(104a2)の外側の側壁とが当接する状態となり、梁部102の元の位置に戻る移動が止まり、更に元の位置に戻ろうとする梁部102により、可撓性基板2に張力が掛けられた状態で可撓性基板保持具に固定される。この時、係止ピン104a1(104a2)及び係止ピン104b1(104b2)の側壁が傾斜していることで合わせて係止ピンの側壁に沿って枠体101に伏勢された状態(図1に示される状態)となる。
【0080】
(a)〜(c)に示される動きは、係止ピン104a1の中心と係止ピン104b1の中心とを結ぶ線と、係止ピン104a1の枠構成部材101cへの取り付け面の外側との交点と、係止ピン104b1の梁部102への取り付け面の外側との交点との距離R(図2参照)と、可撓性基板2の取り付け孔2aの中心と、取り付け孔2cの中心とを結ぶ線の取り付け孔2aの外側との交点と取り付け孔2cの外側との交点との距離Y(図6参照)との関係より成り立っている。
【0081】
本発明に係わる可撓性基板としては特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等で作製した樹脂フィルムが挙げられる。
【0082】
図1〜図5に示す可撓性基板保持具を使用し、図6に示す取り付け孔を有する枚葉状の可撓性基板を固定することで、次の効果が挙げられる。
1.可撓性基板保持具への枚葉状の可撓性基板の着脱が容易で、湾曲、撓み又はしわ等の発生がなく安定した取り付けが可能となった。
2.枚葉状の可撓性基板の処理中出の脱落がなく安定した処理が可能となった。
3.枠体の吸水率が低いため、水処理を行っても取り付けた可撓性基板への影響がなく、安定した製品の処理が可能となる。
4.枠体の融点が高いため、各工程における温度変化や熱処理に伴う枠体の変形がないため湾曲、撓み又はしわ等の発生を防止し、安定した製品の処理が可能となる。
【0083】
図9は有機ELパネルの一例を示す概略図である。図9(a)は有機ELパネルの一例を示す概略斜視図を示す。図9(b)は図9(a)のE−E′に沿った概略断面図である。図9(c)は図9(a)のF−F′に沿った概略断面図である。
【0084】
図中、3は有機ELパネルを示す。有機ELパネル3は、可撓性基板301上に順次、陽極(第1電極)302と、正孔輸送層303と、発光層304と、陰極バッファ層(電子注入層)305と、陰極(第2電極)306と、接着剤層307と、封止部材308とを有している。陽極(第1電極)302の取り出し電極302aと、陰極(第2電極)306の取り出し電極306aの端部を除いて接着剤層307により封止された密着封止構造となっている。陽極(第1電極)302と可撓性基材301との間にガスバリア膜(不図示)を設けても構わない。
【0085】
本図に示す有機ELパネルの層構成は一例を示したものであるが、陽極(第1電極)と陰極(第2電極)との間の他の代表的な有機ELパネルの層構成としては次の構成が挙げられる。
【0086】
(1)陽極(第1電極)/有機層(発光層)/陰極(第2電極)
(2)陽極(第1電極)/有機層(発光層)/電子輸送層/陰極(第2電極)
(3)陽極(第1電極)/正孔輸送層/有機層(発光層)/正孔阻止層/電子輸送層/陰極(第2電極)
(4)陽極(第1電極)/正孔輸送層(正孔注入層)/有機層(発光層)/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)
(5)陽極(第1電極)/陽極バッファ層(正孔注入層)/正孔輸送層/有機層(発光層)/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)
有機ELパネルを構成している各層については後に説明する。
【0087】
図10は図9に示される有機ELパネルの製造方法の模式図である。
【0088】
図中、4は製造装置を示す。製造装置4は、供給工程401と、固定工程402と、洗浄工程403と、第1反転工程404と、第1電極形成工程405と、正孔輸送層形成工程406と、発光層形成工程407と、電子注入層形成工程408と、第2電極形成工程409と、第2反転工程410と、シール剤塗設工程411と、可撓性封止部材貼合工程412と、脱離工程413と、打ち抜き断裁・回収工程414と、第1搬送ロボット5aと、第2搬送ロボット5bとを有している。
【0089】
供給工程401では枚葉状の可撓性基板301(図9を参照)の工程への供給が行われる。固定工程402では枚葉状の可撓性基板301を可撓性基板保持具1(図2を参照)に図1(a)に示される状態に固定が行われる。洗浄工程403では、水洗工程403aと、乾燥工程403bと、表面処理工程403cとを有し、可撓性基板保持具1(図2を参照)に固定された枚葉状の可撓性基板301の表面への第1電極相の形成を容易するための洗浄が行われる。第1反転工程404では、枚葉状の可撓性基板301を取り付けた可撓性基板保持具1(図2を参照)を反転し枚葉状の可撓性基板301を下向きにすることが行われる。第1電極形成工程405では、可撓性基板保持具1(図2を参照)に固定された枚葉状の可撓性基板301の上に第1電極の形成が行われる。正孔輸送層形成工程406では、第1電極の上に正孔輸送層の形成が行われる。発光層形成工程407では、正孔輸送層の上に発光層の形成が行われる。電子注入層形成工程408では、発光層上に電子注入層の形成が行われる。第2電極形成工程409では、電子注入層の上に第2電極の形成が行われる。第2反転工程410では、第2電極が形成された枚葉状の可撓性基板を取り付けた可撓性基板保持具を反転し第2電極面側を上向きにすることが行われる。
【0090】
シール剤塗設工程411では、第2電極が形成された枚葉状の可撓性基板にシール剤の塗設が行われる。可撓性封止部材貼合工程412では、シール剤が塗設された領域に可撓性封止部材の貼合が行われる。可撓性封止部材としては、枚葉状の可撓性基板301(図9を参照)の大きさに合わせ枚葉状可撓性封止部材が使用される。脱離工程413では、可撓性基板保持具から可撓性封止部材を貼合した有機ELパネルが取り外すされる。打ち抜き断裁・回収工程414では、貼合した可撓性封止部材の不要部分を打ち抜き断裁・除去し、有機ELパネルの回収が行われる。
【0091】
第1搬送ロボット5aは、本体501と、前後に移動(図中の矢印方向)する軸502aと、軸502aの先端に取り付けられた2本の爪を持つ受け具502bとを有するアーム502とを有している。本体501は時計方向(図中の矢印方向)に回動可能に配設されており、各工程間の材料の移動を行うことが可能となっている。第2搬送ロボット5bは第1搬送ロボット5aと同じ構成で、同じ機能を有している。
【0092】
供給工程401には枚葉状の可撓性基板が取り出し可能に用意されており、一枚毎第1搬送ロボット5aにより取り出され、次工程の固定工程402に搬送される。
【0093】
固定工程402は可撓性基板保持具1(図2を参照)と、可撓性基板保持具1(図2を参照)への固定装置(不図示)とを有している。供給工程401から第1搬送ロボット5aにより送られてきた枚葉状の可撓性基板は、図7に示すStep1〜Step4に従って可撓性基板保持具1(図2を参照)に取り付けられ固定される。尚、可撓性基板保持具1(図2を参照)への枚葉状の可撓性基板301の固定は手動で行っても構わないし、装着装置(不図示)により行っても構わない。可撓性基板保持具1(図2を参照)への枚葉状の可撓性基板301の固定が終了した後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、洗浄工程403の水洗工程403aに搬送される。
【0094】
水洗工程403aでは固定工程402から供給された枚葉状の可撓性基板301の表面を水洗する水洗装置403a1を有している。水洗装置403a1としては、シャワーでも良いし、超音波装置を有した水洗槽でも良い。水洗処理が終了した後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、乾燥工程403bに搬送される。乾燥工程403bは乾燥風の吹き付け装置403b1を有しており、可撓性基板保持具1(図2を参照)へ固定された状態の枚葉状の可撓性基板301の乾燥が行われる。乾燥が終了した後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、表面処理工程403cに搬送される。表面処理工程403cは乾燥工程403bから搬送された枚葉状の可撓性基板301の表面に第1電極が蒸着される前に、蒸着性をよくするために枚葉状の可撓性基板301の表面を清掃するための表面処理装置403c1を有している。
【0095】
表面処理装置403c1としては、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等が挙げられる。低圧水銀ランプによる洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm2で、距離5〜15mmで照射し洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。プラズマ洗浄装置による洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、大気圧プラズマが好適に使用される。洗浄条件としてはアルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100kHz〜150MHz、電圧10V〜10kV、照射距離5〜20mmで洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。本図に示される洗浄工程403の内、水洗工程403aと、乾燥工程403bとは場合によっては省略する時がある。
【0096】
枚葉状の可撓性基板301の清掃が終了した後、枚葉状の可撓性基板301を上側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、第1反転工程404に搬送される。
【0097】
第1反転工程404は、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第1搬送ロボット5aより、一旦、反転装置6(図12を参照)に受け取り、反転装置6(図11を参照)に枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、反転装置6(図12を参照)を180°回転させ、枚葉状の可撓性基板が下向きになる様にする。反転操作が終了した後、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、第1電極形成工程405に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0098】
第1電極形成工程405は、蒸発源容器405bを有する蒸着装置405aを有し、減圧条件下で枚葉状の可撓性基板301上に第1電極を形成するようになっている。枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより蒸着装置405a内の受け取り装置(図13を参照)に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、蒸着位置に移動し蒸着が行われる。第1電極が形成された後、受け取り装置(図13を参照)を移動し、固定を解除し、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、正孔輸送層形成工程406に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0099】
正孔輸送層形成工程406は、蒸発源容器406bを有する蒸着装置406aを有し、減圧条件下で枚葉状の可撓性基板301の上に形成された第1電極の外部電極となる一部を除いて第1電極の領域に正孔輸送層を形成するようになっている。枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより蒸着装置406a内の受け取り装置(図13を参照)に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、蒸着位置に移動し蒸着が行われる。正孔輸送層が形成された後、受け取り装置(図13を参照)を移動し、固定を解除し、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、発光層形成工程407に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0100】
発光層形成工程407は、蒸発源容器407bを有する蒸着装置407aを有し、減圧条件下で枚葉状の可撓性基板301の上に形成された正孔輸送層上に発光層を形成するようになっている。枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより蒸着装置407a内の受け取り装置(図13を参照)に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、蒸着位置に移動し蒸着が行われる。発光層が形成された後、受け取り装置(図13を参照)を移動し、固定を解除し、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、電子注入層形成工程408に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0101】
電子注入層形成工程408は、蒸発源容器408bを有する蒸着装置408aを有し、減圧条件下で枚葉状の可撓性基板301の上に形成された発光層上に電子注入層を形成するようになっている。枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより蒸着装置(不図示)内の受け取り装置(図13を参照)に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、蒸着位置に移動し蒸着が行われる。電子注入層が形成された後、受け取り装置(図13を参照)を移動し、固定を解除し、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、第2電極形成工程409に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0102】
第2電極形成工程409は、蒸発源容器409bを有する蒸着装置409aを有し、減圧条件下で枚葉状の可撓性基板301の上に形成された電子注入層上に第1電極と直交する様に第2電極を形成するようになっている。枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより蒸着装置409a内の受け取り装置(図13を参照)に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、蒸着位置に移動し蒸着が行われる。第2電極が形成された後、受け取り装置(図13を参照)を移動し、固定を解除し、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aにより取り出され、第2反転工程410に搬送される。尚、第1搬送ロボット5aによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0103】
第2反転工程410は、枚葉状の可撓性基板を下側にした状態で第1搬送ロボット5aより、一旦反転装置(図12を参照)に受け取り、反転装置(図12を参照)に枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。この後、反転装置(図12を参照)を180°回転させ、枚葉状の可撓性基板が上向きになる様にする。反転操作が終了した後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第2搬送ロボット5bにより取り出され、シール剤塗設工程411に搬送される。尚、第2搬送ロボット5bによる取り出しは、受け具502bの2本の爪が枚葉状の可撓性基板に接触しない状態で行われる。
【0104】
シール剤塗設工程411は、枚葉状の可撓性基板301上に第1電極〜第2電極を順次積層して形成された少なくとも1つの有機EL素子の発光領域又は発光領域の周辺にシール剤を塗設するシール剤塗装置411aと、枚葉状の可撓性基板301を固定した可撓性基板保持具1(図2を参照)を載置する載置台411bとを有している。枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第2搬送ロボット5bより載置台411bの上に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。可撓性基板保持具1の固定は、可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された位置決め用の孔と、載置台411bの上に配設された固定用ピン(不図示)とを合わせることにより行われる。
【0105】
この後、シール剤塗装置411aによりシール剤が塗設された後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第2搬送ロボット5bにより取り出され、可撓性封止部材貼合工程412に搬送される。尚、第2搬送ロボット5bによる取り出しは、受け具502bの2本の爪の上に可撓性基板保持具1を載せる状態で行われる。
【0106】
可撓性封止部材貼合工程412は、供給装置(不図示)から供給されてくる枚葉状可撓性封止部材をシール剤が塗設された面に積重する積重装置(不図示)と、積重された枚葉シート状可撓性封止部材を貼合する可撓性封止部材貼合装置412aとを有している。又、シール剤を硬化する硬化処理装置(不図示)を有していることが好ましく、必要に応じ硬化処理部(不図示)は裁断工程の前、又は裁断工程の後に配置することが好ましい。硬化処理部の硬化方式は使用するシール剤の種類(例えば熱硬化型シール剤、紫外線硬化型シール剤等)に合わせ適宜選択することが可能である。枚葉シート状可撓性封止部材が貼合されることで図8に示す層構成を有する有機ELパネルが出来上がる。
【0107】
枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第2搬送ロボット5bより積重装置(不図示)の上に受け取り、枚葉状の可撓性基板を固定した可撓性基板保持具1を脱落しない様に固定する。可撓性基板保持具1の固定は、可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された位置決め用の孔と、積重装置(不図示)の上に配設された固定用ピン(不図示)とを合わせることにより行われる。貼合方法は一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。
【0108】
この後、可撓性封止部材貼合装置412aにより可撓性封止部材が貼合される。この後、枚葉状の可撓性基板を上側にした状態で第2搬送ロボット5bにより取り出され、脱離工程413に搬送される。尚、第2搬送ロボット5bによる取り出しは、受け具502bの2本の爪の上に可撓性基板保持具1を載せる状態で行われる。
【0109】
脱離工程413は可撓性基板保持具に保持されている有機ELパネルを可撓性基板保持具から脱離する工程である。脱離は、可撓性基板保持具1を可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された位置決め用の孔と、載置台(不図示)の上に配設された固定用ピン(不図示)とを合わせることにより固定した後、可撓性基板保持具の梁部を枠体の方向に押圧を掛け撓ませることで容易に行うことが可能となっている。脱離は手動で行っても構わないし、脱離装置(不図示)により行っても構わない。脱離された有機ELパネルは第2搬送ロボット5bにより取り出され、打ち抜き断裁・回収工程414へ搬送される。又、有機ELパネルが脱離された可撓性基板保持具は第2搬送ロボット5bにより取り出され、一旦保管場所に保管される。
【0110】
打ち抜き断裁・回収工程414は、打ち抜き断裁装置414aにより、貼合した枚葉状可撓性封止部材の不要部分を除去し、有機ELパネルを回収する様になっている。
【0111】
可撓性封止部材側を上側にした状態で第2搬送ロボット5bより打ち抜き断裁414a内に受け取り、有機ELパネルを固定(例えば、吸引方式)する。この後、打ち抜き断裁装置414aにより可撓性封止部材の不要部分が打ち抜かれ、有機ELパネルが回収される。尚、第2搬送ロボット5bによる搬送は、可撓性基板側を受け具502bの2本の爪で保持した状態で行われる。
【0112】
本図に示される蒸着装置としては、特に限定はなく、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来、必要に応じて選択して使用することが可能である。
【0113】
図11は図10に示される供給工程の概略斜視図である。
【0114】
図中、401aは枚葉状の可撓性基板301の供給箱を示す。供給箱401aの内側は複数の棚で区切られており、一段毎に可撓性基板301が保管されている。第1搬送ロボット5aのアーム502は前後方向(図中の矢印方向)と、上下方向(図中の矢印方向)に移動が可能となっている。可撓性基板301の取り出しは、第1搬送ロボット5aのアーム502の軸502aの先端に取り付けられた2本の爪を持つ受け具502bを棚の間に差し込んだ後、上方向にアーム502を移動させることで、受け具502bの上に可撓性基板301が載置された状態となる。この後、アーム502を本体501側に移動することで供給箱401aから可撓性基板301の取り出しが終了する。この後、本体501が回動し、アーム502の操作により固定工程402(図10を参照)に可撓性基板301を搬送することが可能となっている。
【0115】
図12は図10に示される第1反転工程の反転装置の概略斜視図である。
【0116】
図中、6は図10に示される第1反転工程404の反転装置を示す。反転装置6は固定部601と駆動部602とを有している。固定部601は移動板601a1と受け板601a2とを有する固定部材601aと、移動板601b1と受け板601b2とを有する固定部材601bとを有している。601a3は移動板601a1を上下方向(図中の矢印方向)に移動させるシリンダーを示す。601b3は移動板601b1を上下方向(図中の矢印方向)に移動させるシリンダーを示す。シリンダー601a3(601b3)は取り付け部材601cで反転装置に配設されており、シリンダー601a3(601b3)を駆動させ移動板601a1(601b1)を下方向(図中の矢印方向)に移動させることで、受け板601a2(601b2)に載置された可撓性基板保持具1を固定する様になっている。602aはモーターを示し、回転軸602bを介して固定部601に繋がっており、固定部601を回転(図中の矢印方向)可能としている。
【0117】
601a4は受け板601a2に配設された位置決め用のピンを示す。601b4は受け板601b2に配設された位置決め用のピンを示す。可撓性基板保持具1を受け板601a2、受け板601b2に載置する時、可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された位置決め用の孔101f(図1を参照)と位置決め用のピン601a4とを、位置決め用の孔101e(図1を参照)と位置決め用のピン601a4とを合わせることで位置を決めることが可能となっている。本図に示される反転装置6を使用した操作を次に示す。
【0118】
Step1では、第1搬送ロボット5a(図10を参照、本図では本体を省略してある)の受け具502bに載せられた状態で洗浄工程403(図10を参照)から搬送されてくる可撓性基板保持具1に固定された可撓性基板301は受け板601a2と受け板601b2の上に第1搬送ロボット5a(図10を参照)のアーム502の操作で可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された置決め用の孔101f(図1を参照)と位置決め用のピン601a4とを、位置決め用の孔101e(図1を参照)と位置決め用のピン601a4とを合わせ載置される。載置した後、アーム502は後方(図中の矢印方向)に移動し待機する。
【0119】
Step2では、シリンダー601a3(601b3)の駆動により移動板601a1(601b1)を下方向(図中の矢印方向)に移動させ、受け板601a2(601b2)に載置された可撓性基板保持具1を挟持し固定する。この状態では可撓性基板301は上向き状態となっている。
【0120】
Step3では、モーター602aを駆動させ固定部601を180°回転させ、可撓性基板301を下向きの状態とする。この後、シリンダー601a3(601b3)の駆動により挟持を解除する。この状態では移動板601a1(601b1)の上に可撓性基板301を下向きの状態で可撓性基板保持具1が載置された状態となる。
【0121】
Step4では、第1搬送ロボット5a(図10を参照)のアーム502の操作により、受け具502bに可撓性基板301を下向きの状態の可撓性基板保持具1を載せ反転装置から取り出す。この後、第1搬送ロボット5a(図10を参照)により第1電極形成工程405に可撓性基板301を下向きの状態の可撓性基板保持具1を搬送する。尚、図9に示す第2反転工程410も本図と同じ反転装置を有している。
【0122】
図13は図10に示される第1電極形成工程の蒸着装置の受け取り装置の概略斜視図である。尚、本図は受け取り装置を示すため、蒸着装置の真空装置、加熱容器、蒸着用のマスク等蒸着に使用する他の部材は全て省略してある。
【0123】
図中、7は図10に示される第1電極形成工程405の蒸着装置405aに配設された受け取り装置を示す。受け取り装置7は、載置板701aと、位置規制板701bと、駆動装置701cとを有している。
【0124】
載置板701aは、可撓性基板保持具1に固定された可撓性基板301との接触を避けるため、第1載置板701a1と第2載置板701a2とを有している。701a3は第2載置板701a2に配設された位置決め用のピンを示す。第1載置板701a1にも位置決め用のピン701a3に対向する位置に位置決め用のピン701a4(図14を参照)が配設されている。載置板701aへの可撓性基板301を固定した可撓性基板保持具1の載置は、可撓性基板301側を下向きにした状態で可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された置決め用の孔101fと位置決め用のピン701a3とを、位置決め用の孔101eと位置決め用のピン601a4(図14を参照)を合わせ載置される。
【0125】
位置規制板701bは第1載置板701a1に合わせ、蒸着装置405aの内部の上部に固定された第1位置規制板701b1と、第2載置板701a2に合わせ、蒸着装置405aの内部の上部に固定された第2位置規制板701b2とを有しており、位置規制板701bの高さにより蒸着位置が決めることが可能となっている。
【0126】
駆動装置701cは第1載置板701a1を上下方向(図中の矢印方向)に移動させるための第1駆動装置701c1と、第2載置板701a2を上下方向(図中の矢印方向)に移動させるための第2駆動装置701c2とを有している。
【0127】
第1反転工程404(図10を参照)から、第1搬送ロボット5a(図10を参照)により搬送されてきた可撓性基板301が下向きの状態の可撓性基板保持具1を載置板701aに載置する。載置した後、駆動装置701cにより位置規制板701bに可撓性基板保持具が当接するまで、載置板701aを上方向に移動する。当接することで、位置規制板701bと載置板701aの間に可撓性基板保持具1が挟持された状態で蒸着位置で固定される。
【0128】
本図に示される受け取り装置7は図10に示される正孔輸送層形成工程406と、発光層形成工程407と、電子注入層形成工程408と、第2電極形成工程409とで使用されている。
【0129】
図14は図13に示す受け取り装置を使用した可撓性基板保持具の固定操作の概略フロー図である。
【0130】
Step1では、可撓性基板保持具を載置する前の受け取り装置7の状態を示し、受け取り板701aは降りた状態となっている。701a4は第1受け取り板701a1に配設された位置決め用のピンを示す。
【0131】
Step2では、第1搬送ロボット5a(図10を参照)の受け具502bに載せられた状態で搬送されてくる可撓性基板301が下向きの状態の可撓性基板保持具1が第1搬送ロボット5a(図10を参照)のアーム502の操作で可撓性基板保持具1の枠構成部材に配設された置決め用の孔101fと位置決め用のピン701a3とを、位置決め用の孔101eと位置決め用のピン601a4(図14を参照)を合わせ受け取り板701aの上に載置される。載置した後、第1搬送ロボット5a(図10を参照)のアーム502は待機位置に後退する。載置した後、駆動装置701cを駆動させ、位置規制板701bに可撓性基板保持具1が当接するまで上方(図中の矢印方向)に移動する。
【0132】
Step3では、位置規制板701bに可撓性基板保持具1が当接する位置で駆動装置701cの駆動が停止される。当接することで位置規制板701bと受け取り板701aとの間に可撓性基板保持具1が固定された状態となり蒸着が開始される。又、当接する位置が蒸着位置となっており、位置規制板701bの高さにより蒸着位置の調整が可能となっている。
【0133】
蒸着が終了した後、駆動装置701cを駆動させ、受け取り板701aを蒸着装置の下部まで下げ、第1搬送ロボット5a(図10を参照)のアーム502の操作により、受け具502bに可撓性基板301を下向きの状態の可撓性基板保持具1を載せ蒸着装置から取り出す。この後、第1搬送ロボット5a(図10を参照)により発光層形成工程407に可撓性基板301を下向きの状態の可撓性基板保持具1を搬送する。本図に示すフローが図10に示す正孔輸送層形成工程406、発光層形成工程407、電子注入層形成工程408、第2電極形成工程409の各蒸着装置で行われている。他の符号は図13と同義である。
【0134】
図1〜図5に示す可撓性基板保持具を使用し、図9に示す有機ELパネルを図10〜図14に示す製造装置で製造することで次の効果が挙げられる。
1.枚葉状の可撓性基板の湾曲、撓み又はしわ等の発生がなく安定した保持が可能となり、安定した性能の有機ELパネルの製造が可能となった。
2.枚葉状の可撓性基板の有機ELパネルの製造が可能となるのに伴い、軽量化、薄型化及びコスト低減が可能となった。
3.枚葉状の可撓性基板を可撓性基板保持具に取り付けた状態で各工程間を搬送出来るため、工程の可動率が向上し生産効率の向上が可能となった。
【0135】
以下、本発明に係る有機ELパネルを構成している可撓性基板、ガスバリア層、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2電極に付き説明する。
【0136】
(可撓性基板)
可撓性基板として透明樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2/day以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10-3ml/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0137】
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
【0138】
(第1電極)
第1電極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In23・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0139】
(正孔注入層(陽極バッファ層))
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファ層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファ層(正孔注入層)に使用する材料の一例としては、特開2000−160328号公報に記載されている材料が挙げられる。
【0140】
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0141】
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0142】
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
【0143】
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002)、p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
【0144】
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の有機EL素子を作製することが出来るため好ましい。
【0145】
(発光層)
本発明において、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明においては、少なくとも1つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。
【0146】
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
【0147】
発光層は発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
【0148】
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極或いは正孔注入層から正孔を注入することが出来、陰極或いは電子注入層から電子を注入することが出来る機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能、の3つの機能を併せもつものであれば特に限定はない。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物を用いることが出来る。上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4′−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾオリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4′−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール系では、2,2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。更に、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁及び第640頁に列挙されている。
【0149】
又、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
【0150】
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば、12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4′−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。又、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0151】
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系或いは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる)を高効率で得ることが出来る。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは、例えば、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリレーン(特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼンや4,4′−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
【0152】
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
【0153】
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0154】
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
【0155】
ホスト化合物は、有機EL素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
【0156】
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
【0157】
本発明に係るリン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
【0158】
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう1つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0159】
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0160】
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
【0161】
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
【0162】
本発明で言うところの白色素子とは、2°視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
【0163】
(電子注入層)
電子注入層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファ層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファ層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファ層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファ層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファ層等が挙げられる。上記バッファ層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0164】
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
【0165】
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0166】
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。
【0167】
(第2電極)
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0168】
又、第2電極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透過性を有する素子を作製することが出来る。
【0169】
(シール剤)
本発明に係わる液状シール剤と熱可塑性樹脂とが挙げられる。液状シール剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型シール剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等のシール剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等のシール剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂シール剤等を挙げることが出来る。液状シール剤には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。又、添加するフィラーの大きさは、接着力、貼合圧着後のシール剤厚み等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
【0170】
熱可塑性樹脂としては、JIS K 7210規定のメルトフローレートが5〜20g/10minである熱可塑性樹脂が好ましく、更に好ましくは、6〜15g/10min以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これは、メルトフローレートが5(g/10min)以下の樹脂を用いると、各電極の引き出し電極の段差により生じる隙間部を完全に埋めることが出来ず、20(g/10min)以上の樹脂を用いると引っ張り強さや耐ストレスクラッキング性、加工性などが低下するためである。これらの熱可塑性樹脂をフィルム状に成形し可撓性封止部材(帯状可撓性封止部材、枚葉シート状可撓性封止部材)に貼合して使用することが好ましい。貼合方法は一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。
【0171】
熱可塑性樹脂は、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば機能性包装材料の新展開(株式会社東レリサーチセンター)に記載の高分子フィルムである低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、ONy、PET、セロファン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン(PVDC)等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂の中で特にLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、LDPE、LLDPEとHDPEフィルムの混合使用した熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0172】
(可撓性封止部材)
可撓性封止部材としてはポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの可撓性樹脂フィルムからなる支持体へ蒸着法やコーティング法でバリア層を形成した材料又はバリア層として金属箔を用いた材料が挙げられる。バリア層としては例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物を蒸着した材料が挙げられる。又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度が望ましい。又、製造時の取り扱いを容易にするために、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのフィルムを予めラミネートしておいてもよい。可撓性封止部材に樹脂フィルムを使用する場合、液状シール剤と接触する側に熱可塑性接着性樹脂層を有することが好ましい。
【0173】
可撓性封止部材の水蒸気透過度は、0.01g/m2・day以下であることが好ましく、且つ酸素透過度は、0.01ml/m2・day・atm以下であることが好ましい。水蒸気透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値であり、酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。可撓性封止部材のヤング率は、可撓性封止部材と第1圧着部材、第2圧着部材との密着性やシール剤の塗れ広がり防止等を考慮し、1×10-3GPa〜80GPaであり、厚みが10μm〜500μmであることが好ましい。
【0174】
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
【0175】
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
【0176】
本発明の有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
【0177】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
【0178】
本発明においては、これらの方法を有機EL素子と組合せて用いることが出来るが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることが出来る。本発明においては、これらの手段を組合せることにより、更に高輝度或いは耐久性に優れた素子を得ることが出来る。
【0179】
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
【0180】
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0181】
更に、本発明の有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
【0182】
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
【実施例】
【0183】
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0184】
実施例1
図9に示す製造装置を使用し、図8に示す構成(可撓性基板/陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)/封止剤層/封止材の層構成)を有する面発光方式の有機ELパネルを作製した。
【0185】
(可撓性基板保持具の準備)
図2に示す枠構成部材を有する矩形状の枠体と、取り付け部材を介して枠体に設けられた梁部とを有している下記に示す寸法を有する図2に示す可撓性基板保持具をPTFEを使用し、射出成形法で作製し準備した。尚、係止ピンは図4に示す形状とした。
【0186】
可撓性基板保持具の長さは枚葉状の可撓性基板の長さの105%とした。矩形状の枠体の幅は枚葉状の可撓性基板の幅の110%とした。矩形状の枠体の長さは可撓性基板保持具の長さに対して80%とした。取り付け部材の長さは可撓性基板保持具の長さに対して5%とした。取り付け部材の幅は梁部の幅に対して300%とした。梁部の長さは可撓性基板保持具の長さに対して30%とした。梁部の幅は枚葉状の可撓性基板の幅の5%とした。開口部の幅は枠体の幅に対して80%とした。開口部の長さは枠体の長さに対して60%とした。枠体に配設されている2本の係止ピンの中心間の距離は50mmとした。梁部に配設されている2本の係止ピンの中心間の距離は50mmとした。枠体に配設されている2本の係止ピンの中心と、梁部に配設されている2本の係止ピンの中心とを結ぶ線と、枠体に配設されている2本の係止ピンの枠構成部材への取り付け面の外側との交点と、梁部に配設されている2本の係止ピンの梁部102への取り付け面の外側との交点との距離R(図2を参照)は70mmとした。枠体、梁部、取り付け部材の高さは同じとし、4mmとした。係止ピンの上部の直径は4mm、枠体との取り付け部の直径は3mm、取り付け面と側壁とのなす角度θは75°とした。角度は、株式会社ミツトヨ製 投影機 PJ−A3000を使用し測定した値を示す。係止ピンの枠体の取り付け面からの高さは、可撓性基板の厚さに対して1000%とした。給水率は0.02%であった。給水率はASTM A570に準じて測定した24時間の値を示す。
【0187】
(可撓性基板の準備)
厚さ200μm、幅60mm、長さ80mmのポリエーテルサルフォンフィルム(住友ベークライト製、以下、PESと略記する)を準備し、4隅に取り付け孔を配設した。取り付け孔の直径は、係止ピンの上部の直径に対して125%とした。幅方向の取り付け孔の中心間の距離は50mmとした。長さ方向の2つの取り付け孔の中心とを結ぶ線の枠体側の取り付け孔の外側との交点と、梁部側の取り付け孔の外側との交点との距離Y(図6を参照)は71mmとした。
【0188】
(可撓性基板保持具への可撓性基板の取り付け)
準備した可撓性基板を供給工程に用意し、第1搬送ロボットにより取り出し、固定工程に搬送し、可撓性基板保持具へ図6に示す方法で手作業により可撓性基板を取り付ける。取り付けが終了した後、第1搬送ロボットにより洗浄工程へ搬送する。枚葉状の可撓性基板に掛かる張力は42N/mであった。張力は、株式会社イマダ製プッシュプルゲージ(デジタルフォースゲージ ZPシリーズ)を使用し、以下に示す方法で測定した値を示す。
【0189】
張力の測定方法
枚葉状の可撓性基板を可撓性基板保持具に固定した状態で、梁部の両端を枠体側に向けてプッシュプルゲージで同時に押し、梁部が撓み始めた時のプッシュプルゲージの値を読み取り、単位幅に換算した値を示す。
【0190】
(可撓性基板の清掃)
可撓性基板保持具へ固定された状態の可撓性基板の第1電極形成面を、大気圧プラズマ洗浄装置により以下に示す条件で行った。可撓性基板の清掃が終了した後、第1搬送ロボットにより第1反転工程へ搬送する。
【0191】
大気圧プラズマ洗浄条件
アルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100kHz〜150MHz、電圧10V〜10kV、照射距離5〜20mm、時間1分間とした。
【0192】
(第1反転工程での反転)
第1搬送ロボットにより搬送されてきた可撓性基板保持具(固定された状態の可撓性基板が上側になっている)を図12に示す反転装置により、可撓性基板保持具に固定された状態の可撓性基板を下側になるように180°反転させた後、第1搬送ロボットにより取り出し第1電極形成工程へ搬送する。
【0193】
(陽極(第1電極)の形成)
可撓性基板保持具に固定された状態の可撓性基板を下側の状態でスパッタリング成膜装置に第1搬送ロボットにより搬送されてきた可撓性基板保持具を図13に示す受け取り装置に受け固定した後、スパッタリング成膜装置に移動し固定する。この後、可撓性基板の上に減圧1Pa、温度80℃で厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタリング法により、幅2mm、長さ50mm、間隔2mm、厚さ150nm、10列のパターン化した陽極(第1電極)をマスク成膜し形成した。陽極(第1電極)を形成した後、第1搬送ロボットにより取り出し正孔輸送層形成工程へ搬送する。
【0194】
(正孔輸送層の形成)
陽極(第1電極)の形成方法と同じ様に受け取り装置に受け固定した後、蒸着位置に移動し固定し、形成された陽極(第1電極)の取り出し電極部分を除き、陽極(第1電極)の上に、減圧1×10-4Pa、可撓性基板温度60℃で厚さ30nmで、NPDを蒸着法で形成した。正孔輸送層を形成した後、第1搬送ロボットにより取り出し発光層形成工程へ搬送する。
【0195】
(発光層の形成)
陽極(第1電極)の形成方法と同じ様に受け取り装置に受け固定した後、蒸着位置に移動し固定し、正孔輸送層の上に、減圧1×10-4Pa、可撓性基板温度60℃で厚さ30nmで、Alq3を蒸着法で形成した。発光層を形成した後、第1搬送ロボットにより取り出し電子注入層形成工程へ搬送する。
【0196】
(電子注入層の形成)
陽極(第1電極)の形成方法と同じ様に受け取り装置に受け固定した後、蒸着位置に移動し固定し、発光層の上に、厚さ0.5nmのLiF層(陰極バッファ層(電子注入層))を5×10-4Paの真空条件で蒸着し、電子注入層を形成した後、第1搬送ロボットにより取り出し第2電極形成工程へ搬送する。
【0197】
(陰極(第2電極)の形成)
陽極(第1電極)の形成方法と同じ様に受け取り装置に受け固定した後、蒸着位置に移動し固定し、電子注入層の上に5×10-4Paの真空条件で、Alを蒸着法により厚さ100nmの陰極(第2電極)を形成した。尚、形成した第2電極は、幅2mm、長さ35mm、間隔2mm、厚さ150nm、7列のパターンとした。陰極(第2電極)を形成した後、第1搬送ロボットにより取り出し第2反転工程へ搬送する。
【0198】
(第2反転工程での反転)
第1搬送ロボットにより搬送されてきた可撓性基板保持具(固定された状態の可撓性基板が下側になっている)を図11に示す反転装置により、可撓性基板保持具に固定された状態の可撓性基板を上側になるように180°反転させた後、第2搬送ロボットにより取り出しシール剤塗設工程へ搬送する。
【0199】
(シール剤の塗設)
第2搬送ロボットにより取り出された陰極(第2電極)迄が形成された可撓性基板を取り付けた可撓性基板保持具を、可撓性基板を上側にして載置台に載置する。この後、シール剤塗装置で陽極(第1電極)及び陰極(第2電極)の取り出し電極部分を除き、シール剤として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ樹脂系)を使用し、スクリーン印刷法にて厚さ30μmで発光領域に塗布した。シール剤を塗布した後、第2搬送ロボットにより取り出し可撓性封止部材貼合工程へ搬送する。
【0200】
(可撓性封止部材の貼合)
可撓性封止部材をシール剤までを塗設した可撓性基板の上に積重した後、2搬送ロボットにより可撓性封止部材を積重した可撓性基板を取り付けた可撓性基板保持具を、可撓性基板を上側にして可撓性封止部材貼合装置に載置し、1Paの真空環境下にて押圧力0.1MPaで圧着し、大気圧80℃の環境にて3時間放置し固着させた。可撓性封止部材を固着した後、第2搬送ロボットにより取り出し、有機ELパネルを製造し試料No.101とした。尚、可撓性基板保持具にガラス板を使用し、可撓性基板の固定をテープで行った他は全て同じ条件で有機ELパネルを製造し比較試料No.102とした。
【0201】
評価
作製した試料No.101、102に付き、発光状態、基板保持状態を、以下に示す方法で試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
【0202】
発光状態の試験方法
低電圧電源を用いて、電圧5Vを印加し、発光するか目視観察した。70ドット(発光部)全てにおいて測定を行い、発光するドット(発光部)の割合を集計した。
【0203】
発光評価の評価ランク
◎:全てのドットが発光する
○:9割以上、10割未満が発光する
△:5割以上、9割未満が発光する
×:5割未満しか発光していない
基板保持状態の試験方法
可撓性基板保持具に保持された有機ELパネルの保持状態を目視観察した。
【0204】
基板保持状態の評価ランク
○:可撓性基板保持治具に有機ELパネルが保持されている
△:可撓性基板保持治具より有機ELパネルの一部分が脱落している
×:製造途中、可撓性基板保持治具より有機ELパネルが脱落した
【0205】
【表1】

【0206】
本発明の有効性が確認された。
【0207】
実施例2 (請求項5対応)
図10に示す製造装置を使用し、図9に示す構成(可撓性基板/陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)/封止剤層/封止材の層構成)を有する面発光方式の有機ELパネルを作製した。
【0208】
(可撓性基板保持具の準備)
図2に示す可撓性基板保持具に配設する図4に示す形状の係止ピンの取り付け面と係止ピンの側壁とのなす角度θ(図4を参照)を表2に示す様に変えた以外は、全て実施例1と同じ形状、寸法の可撓性基板保持具を作製しNo.2−1〜2−6とした。角度は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0209】
【表2】

【0210】
(有機ELパネルの作製)
準備した可撓性基板保持具No.2−1〜2−6を使用した他は全て実施例1と同じ条件で有機ELパネルを作製し試料No.201〜206とした。
【0211】
評価
作製した各試料No.201〜206に付き、発光状態、基板保持状態を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表3に示す。
【0212】
【表3】

【0213】
本発明の有効性が確認された。
【0214】
実施例3 (請求項6対応)
図10に示す製造装置を使用し、図9に示す構成(可撓性基板/陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)/封止剤層/封止材の層構成)を有する面発光方式の有機ELパネルを作製した。
【0215】
(可撓性基板保持具の準備)
実施例1と同じ形状、寸法の可撓性基板保持具を作製した。
【0216】
(可撓性基板の準備)
厚さ200μm、幅200mm、長さ350mmのポリエーテルサルフォンフィルム(住友ベークライト製、以下、PESと略記する)を準備し、可撓性基板保持具への可撓性基板を取り付けたとき表4に示すように可撓性基板に掛かる張力を変えた可撓性基板を準備した。尚、張力の変化は、長さ方向の2つの取り付け孔の中心とを結ぶ線の枠体側の取り付け孔の外側との交点と、梁部側の取り付け孔の外側との交点との距離Y(図6を参照)の距離を変えることで調整した。張力は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0217】
【表4】

【0218】
(有機ELパネルの作製)
準備した可撓性基板保持具No.3−1〜3−5を使用した他は全て実施例1と同じ条件で有機ELパネルを作製し試料No.301〜305とした。
【0219】
評価
作製した各試料No.301〜305に付き、発光状態、基板保持状態を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表5に示す。
【0220】
【表5】

【0221】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】本発明の可撓性基板保持具に枚葉状の可撓性基板を固定した状態を示す概略図である。
【図2】図1に示す可撓性基板保持具の概略図である。
【図3】図2(a)に示すB−B′に沿った概略断面図である。
【図4】図2(a)のSで示される部分の拡大概略図である。
【図5】図4で示される係止ピンの他の形状の拡大概略図である。
【図6】図1(a)に示される可撓性基板の拡大概略図である。
【図7】図2に示される可撓性基板保持具へ、図6に示す可撓性基を取り付ける迄を示す概略フロー図である。
【図8】図7に示すStep4の可撓性基板が可撓性基板保持具に固定される迄を示す概略フロー図である。
【図9】有機ELパネルの一例を示す概略図である。
【図10】図9に示される有機ELパネルの製造方法の模式図である。
【図11】図10に示される供給工程の概略斜視図である。
【図12】図10に示される第1反転工程の反転装置の概略斜視図である。
【図13】図10に示される第1電極形成工程の蒸着装置の受け取り装置の概略斜視図である。
【図14】図13に示す受け取り装置を使用した可撓性基板保持具の固定操作の概略フロー図である。
【符号の説明】
【0223】
1 可撓性基板保持具
101 枠体
101a〜101d 枠構成部材
102 梁部
103 取り付け部材
104a 第1係止ピン
104b 第2係止ピン
104a1、104a2、104b1、104b2 係止ピン
105 開口部
2、301 可撓性基板
2a〜2d 取り付け孔
3 有機ELパネル
4 製造装置
401 供給工程
402 固定工程
403 洗浄工程
404 第1反転工程
405 第1電極形成工程
406 正孔輸送層形成工程
407 発光層形成工程
408 電子注入層形成工程
409 第2電極形成工程
410 第2反転工程
411 シール剤塗設工程
412 可撓性封止部材貼合工程
413 脱離工程
414 打ち抜き断裁・回収工程
5a 第1搬送ロボット
5b 第2搬送ロボット
6 反転装置
601 固定部
602 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の可撓性基板を平面状態に保持する可撓性基板保持具であって、
前記可撓性基板は前記可撓性基板保持具への取り付け孔を有し、
前記可撓性基板保持具は、矩形枠状の枠体と、前記枠体に取り付け部材を介し片持ち状態で一体に形成された梁構造の梁部とを有し、
前記枠体の前記取り付け部材と対向する辺の2隅に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第1係止ピンと、
前記梁部の両端に前記取り付け孔にそれぞれ挿通される第2係止ピンとを有することを特徴とする可撓性基板保持具。
【請求項2】
前記第1係止ピンは、少なくとも1本は固定係止ピンであることを特徴とする請求項1に記載の可撓性基板保持具。
【請求項3】
前記第2係止ピンは、梁部の両端に配設された係止ピンであり、該梁部は両端へ枠体方向に水平に押圧を掛けた時、該枠体方向に撓み、該押圧を解除することで元の形状に戻ることを特徴とする請求項1又は2に記載の可撓性基板保持具。
【請求項4】
前記枠体は位置決め用の孔が少なくとも一つ設置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【請求項5】
前記第1係止ピンは、上部の径が下部の径よりも大きく、取り付け面から上部に向けての側壁は少なくとも傾斜部を有し、該傾斜部と取り付け面とのなす角度が45°〜85°であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【請求項6】
前記第1係止ピンと第2係止ピンに可撓性基板の取り付け孔を挿通させ、該可撓性基板を可撓性基板保持具に固定する時、該可撓性基板に掛けられる張力は10N/m〜100N/mであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の可撓性基板保持具。
【請求項7】
基板洗浄工程、第1電極形成工程、有機化合物層形成工程、第2電極形成工程、封止層形成工程とを有する製造装置で、枚葉状の可撓性基板の上に、少なくとも第1電極と、発光層を含む有機化合物層と、第2電極と、封止層とを順次形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記基板洗浄工程、前記第1電極形成工程、前記有機化合物層形成工程、前記第2電極形成工程、前記封止層形成工程の少なくとも一つ工程で、請求項1〜6の何れか1項に記載の可撓性基板保持具を使用し、前記可撓性基板を保持し処理することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−16479(P2009−16479A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174950(P2007−174950)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】