説明

合成樹脂製立体装飾片とその製造方法

【課題】裏面に凹部が無く平坦な立体模様片を製造でき、溶断刃による切断が容易で、下層材料が一体的に成形され、裏面に接着又は粘着機能を有する立体模様片を製造でき、基材の特性が限定されること無く不要部分の除去が容易な基材へ直接立体模様片を成形できる方法を提供する。
【解決手段】テーブルの上に、下層材料13、中間層材料、上層材料11をこの順に載置する。下層材料13(ホットメルトフィルム、粘着テープ等)の裏面には、離型紙が装着されている。
上方より凹型32を下降させ、材料を押圧して、高周波を発信させる。高周波の発熱によって、これら材料は溶融する。凹型の溶断刃51の内側に溶融材料が流れ込むと共に、溶断刃によって、材料は切断される。
冷却後、凹型から材料を取り外し、不要部分を除去することによって、平坦な立体的装飾片を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車,2輪車,モータボート,OA機器,家庭用電気
器具,運動用品,文房具,袋物,衣類等に取り付けられる合成樹脂シート製の
装飾片の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エンブレム等として用いられる合成樹脂製よりなる立体的な装飾片の製造方
法としては、金型及び高周波誘電加熱を用いる種々方法が提案されている(下
記特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特公平05−018698号公報
【特許文献2】特公平07−102620号公報
【特許文献3】特許第3235943号公報
【0004】
しかしながら、前記特許文献1及び2に開示の発明は、凹型と凸型との双方
を用いるものであり、凹型と凸型との間において立体模様片を製造するので、
製造された立体模様片の裏面が、平坦ではなく、凹部(空洞)が生じてしまう
ので、自動車等の被装着物に接着又は粘着する部分が少なくなってしまう。従
って、十分な接着又は粘着を図ることが求められていた。また、凹型及び凸型
の双方の寸法の正確性が要求されることとなる。前記特許文献3では、凹型、
凸型を用いる方法を開示していない。
【0005】
また、上記特許文献1及び2に開示の製造方法においては、溶断刃の内側に
立体的な模様を賦形し、溶断刃によってこの内側部分を外側部分から切断する
ものであるが、切断に際して外側部分が溶断刃により引っ張られることとなり
、切断がしにくくなるという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献1及び2に開示の方法においては、凹型と凸型との間に
材料を挟持し、これら金型で材料を押圧することとなるが、この時、凸型を用
いているので、製造される立体的模様片の裏面にも凹凸が形成されることとな
る。従って、立体的模様片の裏面に接着又は粘着機能を有する層を製造しよう
としても、裏面材料が粘着テープのような粘着材では凹凸を形成することがで
きず、また、熱接着性を有するものを裏面材料とした場合には、この裏面材料
が押圧によって潰されてしまうことより、裏面に接着機能を有する立体的模様
片を製造することができず、また製造できたとしても、接着強度が低下すると
言う問題が生ずる。
【0007】
更に、上記特許文献1及び2では、凹型と凸型との間に材料を挟持し、これ
ら金型で材料を押圧することとなる。そして、布地等の基材に直接立体模様片
を成形する場合、基材も凹型と凸型との間に挟持され、凹凸に形成されること
となるが、基材自体も凹凸型によって引っ張られることとなる。従って、これ
ら文献に開示の方法により布地等の基材に直接立体模様片を成形する場合、基
材が凹凸成形によって伸びる必要があり、延伸可能な特性を有する布地等、適
合する基材が限られてしまうという問題がある。
また、これら文献開示の発明で、高周波誘電加熱により、立体模様が賦形さ
れた熱可塑性合成樹脂製材料と布等の基材とを溶着することは可能であるが、
立体模様が賦形された部分以外の部分(不要部分)においても、熱可塑性合成
樹脂材料と基材とは溶着されてしまう。従って、不要部分を除去することが難
しく、また除去したとしても切断面が荒れてしまう、と言う問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、裏面に凹部が無く平坦な立体装飾片を製造する方法を提
供することを目的とする。
また、本発明は、溶断刃による切断がし易い立体的装飾片を製造する方法を
提供することを目的とする。
更に、本発明は、接着又は粘着機能を有する下層材料が一体的に成形された
、裏面に接着又は粘着機能を有する立体装飾片を製造する方法を提供すること
を目的とする。
更に、本発明は、基材の特性が限定されること無く、そして不要部分の除去
が容易な、布地等の基材に直接立体装飾片を成形することができる、立体装飾
片を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、表面が平坦である陰極の上に、接着又は粘着機能を有する
下層材料と、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料と、熱可塑性合成樹脂より
なる上層材料とを載置し、これら材料の上から陽極たる凹型により、これら材
料を押圧、高周波誘電加熱して、これら材料を溶融、成形して、立体的模様片
を製造する、合成樹脂製立体装飾片の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記凹型には、立体的装飾片の外郭部に相当する位
置に配置され、材料から立体的模様が賦形された部分を切断する第一溶断刃と
、立体的装飾片の外郭部に相当する位置よりも外側にそして該外郭部に沿って
配置された第二の刃(溶断刃又は押圧刃)とが形成されている、合成樹脂製立
体装飾片の製造方法が提供される。好ましくは、前記第二の刃(溶断刃又は押
圧刃)が、前記第一溶断刃よりも2〜10mm外側に位置する。
【0010】
また、本発明によれば、陰極たる凸型の上に、熱可塑性合成樹脂よりなる中
間層材料と、熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、これら材料の上
から陽極たる凹型により、これら材料を押圧、高周波誘電加熱して、これら材
料を溶融、成形して、下面に凹部が形成された上中間層立体賦形体を製造する
と共に、該上中間層立体賦形体を凹型に仮止めし、上中間層立体賦形体と共に
凹型を引き上げ、表面が平坦である陰極の上に、接着又は粘着機能を有する下
層材料を載置し、該陰極に凹型を下降させて、押圧、高周波誘電加熱を行い、
前記下層材料を溶融させて、前記上中間層立体賦形体の凹部内に流動させ、該
上中間層立体賦形体と下層材料とを溶着することにより、表面が立体的で裏面
が平坦な立体模様片を製造する、合成樹脂製立体模様片の製造方法が提供され
る。
【0011】
更に、本発明によれば、陰極の上に、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料
と、熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、これら材料の上から陽極
たる凹型により、これら材料を押圧、高周波誘電加熱して、これら材料を溶融
、成形して、上中間層立体賦形体を製造すると共に、該上中間層立体賦形体を
凹型に仮止めし、上中間層立体賦形体と共に凹型を引き上げ、表面が平坦であ
る陰極の上に、高周波発信しても溶融しない基材を載置し、前記凹型を前記陰
極に下降させて、上中間層立体賦形体及び基材を押圧、高周波誘電加熱を行い
、該上中間層立体賦形体を溶融させて、基材に溶着することにより、立体模様
片を製造する、合成樹脂製立体模様片の製造方法が提供される。
加えて、本発明によれば、凸型である陰極の上に、熱可塑性合成樹脂よりな
る中間層材料と、熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、これら材料
の上から陽極たる凹型により、これら材料を押圧、高周波誘電加熱して、これ
ら材料を溶融、成形して、下面に凹部が形成された上中間層立体賦形体を製造
すると共に、該上中間層立体賦形体を凹型に仮止めし、上中間層立体賦形体と
共に凹型を引き上げ、表面が平坦である陰極の上に、高周波発信しても溶融し
ない基材を載置し、前記凹型を前記陰極に下降させて、上中間層立体賦形体及
び基材を押圧、高周波誘電加熱を行い、該上中間層立体賦形体を溶融させて、
基材に溶着することにより、立体模様片を製造する、合成樹脂製立体模様片の
製造方法が提供される。好ましくは、前記凹部が、立体模様の外郭線の外周に
位置する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、表面が平坦な陰極を用いることとしたので、該方
法により製造される立体模様片の裏面に凹部(空洞)を生ずることが無い。従
って、該方法により製造された立体模様片の裏面全体を、自動車等の被装着物
に接着又は粘着することができることとなり、被装着物への接着又は粘着を確
実に図ることができる立体模様片を製造することができる。また、凸型を用い
なくとも立体装飾片を製造することができるので、凹型と凸型との寸法の合致
等の正確性、精密性が要求されず、容易に立体装飾片を製造することができる
。また、凸型を製造する必要が無く、また正確性等を要求されないので、製造
コストの低減化を図ることが可能となる。
請求項2の発明によれば、立体的模様が賦形された部分を切断する第一溶断
刃の外側に沿って第二の刃(溶断刃又は押圧刃)が形成されているので、第一
溶断刃による切断に際して、第一溶断刃よりも外側に位置する材料部分が第二
の刃(溶断刃又は押圧刃)により押さえられ、第一溶断刃により内側に引っ張
られることが少なくなり、第一溶断刃による切れが良くなる。
請求項3の発明によれば、立体装飾片の端部が型くずれすることなく、第二
の刃(溶断刃又は押圧刃)による押さえ効果が効果的であり、使用材料も少な
くて済む方法が提供される。
【0013】
請求項4の発明によれば、上中間層立体賦形体の下面に凹部が形成されてい
るので、下層材料を高周波誘電加熱して溶融させると、下層材料が該凹部に流
動することとなり、裏面に接着又は粘着機能を有する立体模様片を製造するこ
とができる。
【0014】
請求項5及び6の発明によれば、表面が平坦な陰極上において、上中間層立
体賦形体を基材に溶着するので、基材が凹凸型によって引き伸ばされることが
無く、従って、引き伸ばし等の特性を有しない基材であっても使用することが
できると言う効果を有する。また、平坦な陰極上において溶着が行われるので
、上中間層立体賦形体及び基材が引き伸ばされることなく、その全面にわたっ
て確実に溶着することができ、上中間層立体賦形体と基材との接着強度が増大
する。
請求項6及び7の発明によれば、所望位置において上中間層立体賦形体と基
材とが溶着されていない(上中間層立体賦形体が基材から浮いた状態となって
いる)ので、該所望位置において切断が容易となり、従って、不要部分の除去
が容易となると共に、切断部分の仕上がりがきれいな立体装飾片を製造するこ
とができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の方法により製造する立体的な装飾片は、本発明の第四実施形態を除
き、上層材料と、中間層材料と、下層材料とにより製造される。尚、上層材料
と中間層材料とは、積層、一体化されていても良い。
【0016】
上層材料は、立体的装飾片の表面を美しく見せるための層であって、熱可塑
性合成樹脂フィルムを用いることが可能であり、例えば、ポリ塩化ビニールフ
ィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィ
ルム等を用いることが可能である。
また、熱可塑性合成樹脂フィルムに、金属を蒸着して金属製の立体的装飾片
の如くすることも可能であり、例えば、金属蒸着ポリ塩化ビニールフィルム、
金属蒸着ポリウレタンフィルム、金属蒸着ポリエステルフィルム、金属蒸着ポ
リオレフィンフィルム等を用いることができる。金属としては、例えば、アル
ミニウム、クロム等が挙げられる。
また、熱可塑性合成樹脂フィルムは、積層フィルムであっても良い。
このような上層材料は、製造しようとする立体的装飾片により適宜選択する

【0017】
中間層材料は、立体的装飾片に厚みを持たせるための層であって、熱可塑性
合成樹脂を用いることが可能であり、例えば、ポリ塩化ビニールシート、ポリ
ウレタンシートが挙げられる。また、中間層材料は、熱可塑性合成樹脂の発泡
体であってもよく、例えば、ポリ塩化ビニール発泡シート、ポリウレタン発泡
シート等を用いることが可能であり、製造する立体的装飾片により適宜選択す
る。
【0018】
下層材料は、立体的装飾片を被装着体(自動車、被服、雑貨等)に装着する
ための接着又は粘着機能を有するものであり、例えば、両面粘着テープを貼着
した熱可塑性合成樹脂フィルム、熱可塑性合成樹脂に粘着材が付いた片面粘着
テープ等粘着材を用いることが可能である。また、下層材料自体が接着機能を
有するものであってもよく、例えば、ポリウレタン系ホットメルトフィルム、
ポリアミド系ホットメルトフィルム、ポリエステル系ホットメルトフィルム、
EVA系ホットメルトフィルム等接着機能を有する材料を用いてもよい。
このような下層材料は、製造する立体的装飾片により適宜選択する。
【0019】
布等の基材に直接立体的装飾片を成形する本発明の第四実施形態の場合には
、立体的装飾片に接着機能を付与する下層材料は必要無い。また、基材は、高
周波誘電加熱によって溶融しないものである。基材としては、例えば、布地等
が挙げられる。
【0020】
次に、本発明の第一実施形態を説明する。本発明の第一実施形態は、凸型を
用いずに立体的装飾片を製造するものであって、
(1)表面が平坦である陰極(テーブル31)の上に、下層材料(13)、中
間層材料(12)、上層材料(11)を載置し、
(2)材料の上から陽極たる凹型(32)で押圧、高周波誘電加熱して、これ
ら材料を溶融、成形して、立体的模様片を製造するものである。このようにし
て製造された立体的模様片の裏面は平坦であって、裏面には凹部が無い。
図1ないし図4は、本発明の製造方法の第一の実施形態を示す。
図1は、第一実施形態において用いられる凹型32の模式的底面図である。
図2(a)は、凹型32の、図1のM−M線における凹型32の端面、及び上
層材料11、中間層材料12、下層材料13、テーブル31を表した模式的端
面図であり、高周波誘電加熱前の状態を示す。図2(b)は、高周波誘電加熱
後、凹型32を引き上げた状態を示した模式的端面図である。
図3は、第一実施形態により製造された立体的装飾片91の一例を示す。
図4は、図2中、楕円で囲まれたN部分の拡大端面図である。
【0021】
第一の実施形態において用いられる高周波誘電加熱装置は、陰極たるテーブ
ル31と、陽極たる凹型32とよりなる。陰極は、図2に示したような、平坦
な面を有するテーブル31(又は平型)であれば良い。
凹型32には、立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置され、材料を溶
断する溶断刃51が形成されている。
溶断刃51の寸法は、例えば図4に示すようなものであるが、本発明は、こ
れら数値に限定されるものではなく、立体的模様の寸法等によって適宜選択さ
れるものである。
【0022】
上述のような材料、高周波誘電加熱装置を用いて、立体的装飾片91を製造
する方法を説明する。
先ず、テーブルの上に、下層材料13を載置し、該下層材料13の上に中間
層材料12を載置し、該中間層材料12の上に上層材料11を載置する(図2
(a))。尚、図示していないが、下層材料13(ホットメルトフィルム、粘
着テープ等)の裏面(図2において下面)には、離型紙が装着されている。
次に、これら材料の上方より凹型32を下降させ、凹型32によって材料を
押圧して、高周波を発信させる。高周波の発熱によって、これら材料は溶融す
る。このため、凹型32の溶断刃51の内側に溶融材料が流れ込むと共に、溶
断刃51によって、材料は切断される。このように材料が溶融して凹型の溶断
刃51の内側に流れ込む。そして、テーブル31が平坦面を有することより、
形成される立体的模様片91の裏面(図2において下の面)は、平坦に形成さ
れることとなる。
冷却後、凹型32から材料を取り外し、不要部分を除去することによって、
立体的装飾片91を製造することができる。尚、このように製造された立体的
装飾片91の表面に、透明なアプリケーションフィルムを貼付けて、各部分の
相対的位置(図3の例では、例えば、NとAとの相対的位置)を保持する。
【0023】
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。
本発明の第二実施形態においては、上記第一実施形態において用いられる凹
型の溶断刃の外側に、第二溶断刃を設けた凹型を用いて立体的装飾片を製造す
るものであって、
(1)陰極(テーブル又は平型)の上に、下層材料、中間層材料、上層材料を
載置し、
(2)材料の上から陽極たる凹型(132)で押圧、高周波誘電加熱して、こ
れら材料を溶融、成形して、立体的模様片を製造するものであり、
ここで該凹型(132)には、立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置
され、材料から立体的模様が賦形された部分を切断する第一溶断刃(151)
のみならず、立体的装飾片の外郭部に相当する位置よりも外側にそして該外郭
部に沿って配置された第二の刃(溶断刃又は押圧刃)(152)が設けられて
いるものである。
【0024】
本発明の第二実施形態において用いられる材料としては、上述の上層材料、
中間層材料、下層材料が挙げられるが、本発明の第二実施形態は、3層の材料
に限定されるものではない。
【0025】
図5は、本発明の第二実施形態において用いられる凹型132(陽極)の底
面図である。また、図6には、図5のP−P線における該凹型132の端面が
示されている。
凹型132は、第一溶断刃151と第二溶断刃又は押圧刃152とを有する
。第一溶断刃151は、立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置され、材
料から立体的模様が賦形された部分を切断する。
第一溶断刃151が立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置されている
のに対して、第二溶断刃又は押圧刃152は、立体的装飾片の外郭部に相当す
る位置(即ち、第一溶断刃151の位置)よりも外側に、そして立体的装飾片
の外郭部(第一溶断刃151)に沿って配置される。この立体的装飾片の外郭
部に相当する位置よりも外側に配置された第二の刃152は、第一溶断刃15
1と同じく材料を切断する機能を有する溶断刃でも良く、また、単に材料を押
圧するだけの押圧刃であっても良い。
第二の刃152は、第一溶断刃151外周に近接して配置され、好ましくは
、第二の刃152は、第一溶断刃151よりも2〜10mm外側に位置させる
。2mm未満だと、第二の刃152の引っ張りが強すぎて、第一溶断刃151
の内側(即ち、立体装飾片の端部)が型くずれを起こすおそれがある。10m
mを越えると、第二の刃152による押さえ効果が薄れてしまうからであり、
また、凹型が大きくなってしまい、材料の無駄が増えることとなってしまうか
らである。
【0026】
第二実施形態において、陰極は、上述の第一実施形態と同じテーブルを用い
ることが可能である。また、後述の凸型を用いても良い。第二実施形態におい
て、陰極の構造は、特に限定されない。
【0027】
本発明の第二実施形態で立体的装飾片を製造する場合には、先ず、陰極に、
材料を載置する。次に、材料の上方より凹型132を下降させ、凹型132に
よって材料を押圧して、高周波を発信させる。高周波の発熱によって、立体模
様が賦形されて立体賦形体116が形成されると共に、立体賦形体116は、
第一溶断刃151によって切断される。
この場合において、第二の刃152が無いと、第一溶断刃151の外側部分
全体a(図6)が第一溶断刃151によって内側に引っ張られることとなり、
第一溶断刃による切れが良くないと言う問題を生ずることがある。本発明の第
二実施形態によれば、第一溶断刃151の外側に近接して第二の刃152が設
けられているので、第一溶断刃151による切断部分外側近傍において、立体
賦形体116は第二の刃152により押さえられる。従って、第一溶断刃15
1により内側に引っ張られるのは、第一溶断刃151と第二の刃152との間
の部分(図6に示すbの部分)のみとなるので、第一溶断刃151による切れ
が改良されることとなる。
【0028】
次に本発明の第三実施形態について説明する。
本発明の第三実施形態においては、2段階の工程を採用することにより、立
体的模様を賦形された部分の切断を容易にすることとした。
本発明の第三実施形態の概要を示すと、
(1)先ず、凸型233(凸型233そのものが陰極であってもよく、又は陰
極たるテーブルの上に凸型233を配置しても良い)の上に中間層材料及び上
層材料を載置し、
(2)材料の上から陽極たる凹型(232)で上層及び中間層材料を、高周波
誘電加熱して、溶融、成形して、上中間層立体賦形体(216)を製造し(第
一高周波誘電加熱工程)、
(3)上中間層立体賦形体(216)を凹型(232)と共に引き上げ、
(4)陰極(平型又はテーブル)の上に、下層材料(213)を載置し、
(5)下層材料(213)が配置された陰極に、上中間層立体賦形体(216
)と共に凹型(232)を下降させて、押圧、高周波誘電加熱を行い、上中間
層立体賦形体(216)と下層とを一体成型することにより(第二高周波誘電
加熱工程)、
立体的装飾片を製造する。
【0029】
尚、本発明の第三実施形態において、上層材料、中間層材料、下層材料は、
上述のものを使用することができる。
【0030】
本発明の第三実施形態において用いられる凹型232は、上記第一高周波誘
電加熱工程、第二高周波誘電加熱工程の双方に用いられる。
図7は、凹型232の模式的底面図であり、図7中Q−Q線における端面が
図8に示されている。
図示実施例においては、凹型232には、立体的装飾片の外郭部に相当する
位置に配置され、材料から立体的模様が賦形された部分を切断する第一溶断刃
251に加えて、第二の刃(溶断刃又は押圧刃)252が設けられている。し
かしながら、第三実施形態においては、第二の刃252は必須ではなく、第二
の刃252を設けなくても良い。
【0031】
凹型232は、後述のように凸型233と位置を合わせる必要がある。従っ
て、凹型232には、位置合わせ用穴255を設けている。
【0032】
上記第一高周波誘電加熱工程の後、凹型232は引き上げられるが、この時
、上中間層立体賦形体216も凹型232と共に引き上げられる。このため、
凹型232には、仮止め部材257を設ける。仮止めは、例えば図7〜10に
示したように、仮止め部材257の下端面に粘着テープ258を装着し、材料
又は上中間層立体賦形体と粘着する構造とすることができる。代わりに、仮止
め部材257にクサビ形の穴を形成しておき、高周波誘電加熱により溶融した
上層及び中間層材料が該クサビ形穴に流れ込むことによって、仮止めすること
も可能である(図11〜16の仮止め部材357を参照)。この仮止め部材2
57は、立体模様が賦形される部分の外側に配置する。
【0033】
第三実施形態においては、第一高周波誘電加熱工程において、凸型233を
用いる。図示の如く凸型233自体が陰極であってもよく、又は陰極たるテー
ブルの上に凸型233を配置しても良い。
凸型233の平面を図9に、図9のR−R線における端面を図8に示す。
凸型233は、上中間層立体賦形体216の下面に凹部244を形成するた
めに用いられるものである。従って、凸型233には、凸部243が形成され
ている。該凸部243は、第一溶断刃251の内側に形成される立体模様部分
の下面に凹部244を形成するためのものであり、立体模様部分の外郭線に沿
い、該外郭線を形成する第一溶断刃251の内側に配置される。凸部243は
、立体模様部分の外郭線よりも0.2mm〜0.5mm内側とすることが好ま
しい。0.2mm未満だと、立体模様部分の側壁が薄すぎて強固な立体模様を
形成することができないためであり、また、0.5mmを越えると、凹部24
4のサイズが小さくなってしまい、下層材料の接着能が弱まるからである。
【0034】
また、凸型233には、凹型232の位置合わせ用穴255に対応した位置
合わせ用穴256を形成する。位置合わせ用ピン(図示せず)を位置合わせ用
穴255、256に差込むことによって、凹型232と凸型233との位置合
わせを行い、凹型232と凸型233とを固定したならば、該ピンは抜き取る

【0035】
次に、本発明の第三実施形態による立体的装飾片の製造方法を説明する。
本発明の第三実施形態では、テーブル(図示せず)上に配置された凸型23
3の上に、中間層材料212を載置し、その上に上層材料211を載置する(
図8(a))。この段階において、接着又は粘着機能を有する下層材料213
は載置しない。
【0036】
次に、凹型232を下降させる。この時、凹型232の位置合わせ用ピン2
55を凸型233の位置合わせ用穴256に挿入する。尚、位置合わせ用ピン
255の位置合わせ用穴256への嵌入を材料が妨げないよう、この部分の材
料を切り取っておく。
凹型232で上層材料211及び中間層材料212を押圧する。そして、こ
の状態で高周波発信をすると、上層材料211及び中間層材料212は溶融し
て、立体模様が賦形され、上中間層立体賦形体216が製造される。この時、
上中間層立体賦形体216の下面であって、立体模様の外郭線内部分には、凸
型233の凸部234により、凹部244が形成される。
尚、上中間層立体賦形体216は、凹型232によって押圧されているので
、仮止め部材257により仮止め(粘着テープ258により粘着)される。
【0037】
次に、凹型232を上昇させると、仮止め部材257の粘着テープ258に
より、立体模様が賦形された上中間層立体賦形体216は、凹型232と共に
上昇する(図8(b))。
【0038】
次に、凸型233を、陰極たる平型234に置き換える。そして、平型23
4の上に、下層材料213を配置する(図8(c))。
【0039】
次に、下層材料213が配置された平型234に対して、上中間層立体賦形
体216と共に凹型232を下降させると、上中間層立体賦形体216の下面
が、下層材料213の上面に接する。
このように、凹型232により上中間層立体賦形体216及び下層材料21
3を押圧し、高周波発信すると、上中間層立体賦形体216と下層材料213
とが溶着する。この時、溶融した下層材料213は、凹部244にも流れ込み
、上中間層立体賦形体216と溶着することとなる(図8(d)及び図10)
。凹部244に流れ込んだ下層材料は、金型の押圧によって潰されないので、
接着又は粘着機能は確保される。下層材料213が上中間層立体賦形体216
の凹部244に入り込み溶着されているので、接着又は粘着機能を有する下層
材料が裏面に配置された立体模様片が製造されることとなる。
尚、このように、下層材料213が凹部244に流れ込むので、この流れ込
み量を考慮して、下層材料の量(厚さ)を決定する。
その後、凹型232を引き上げ(図8(d))、不要部分を除去し、必要な
らば、表面にアプリケーションフィルムを貼着する。アプリケーションフィル
ムとしては、例えば透明なプラスチックフィルムが挙げられ、このようなアプ
リケーションフィルムを貼着することによって、立体的装飾片が保護されると
共に、図示実施例のように文字部分と図形部分とが離隔している模様の場合、
これらの相対的位置が保持されることとなる。本発明では、公知のアプリケー
ションフィルムを使用することが可能である。
【0040】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
本発明の第四実施形態によれば、立体的模様片を直接、布地や合成皮革等の
下層材料に溶着することができる。
本発明の第四実施形態の概要を示すと、
(1)先ず、陰極(平型334又はテーブル)の上に中間層材料及び上層材料
を配置し、
(2)材料の上から陽極たる凹型(332)で上層材料及び中間層材料を押圧
、高周波誘電加熱して、溶融、成形して、上中間層立体賦形体(316)を製
造し(第一高周波誘電加熱工程)、
(3)上中間層立体賦形体(316)と共に凹型(332)を引き上げ、
(4)陰極(平型334又はテーブル)の上に、布地等の基材(314)を配
置し、
(5)基材(314)が配置された陰極(334)に、上中間層立体賦形体(
316)と共に凹型(332)を下降させて、高周波誘電加熱を行い、上中間
層立体賦形体(316)を溶融させて基材(314)と溶着させることにより
(第二高周波誘電加熱工程)、
立体的装飾片を製造する。
【0041】
第四実施形態において用いられる上層材料、中間層材料は、上述のものと同
じであり、基材は、上述のように高周波発信しても溶融しない布地、合成皮革
等である。
【0042】
図11は、第四実施形態において用いられる凹型332の底面図、図7のS
−S線における凹型332の端面を図12に模式的に示す。
【0043】
凹型332は、上記第一高周波誘電加熱工程、第二高周波誘電加熱工程の双
方に用いられる。
凹型332には、立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置され、材料か
ら立体的模様が賦形された部分を切断する溶断刃351を有する。
【0044】
上記第一高周波誘電加熱工程の後、凹型332は引き上げられるが、この時
、上中間層立体賦形体316も凹型332と共に引き上げられる。このため、
凹型332には、仮止め部材357を設ける。仮止め部材357としては、例
えば、図11及び12に示したように、仮止め部材357にクサビ穴を形成し
ておき、高周波誘電加熱により溶融した上層及び中間層材料が該クサビ穴に流
れ込むことによって、仮止めすることが挙げられる。代わりに、仮止め部材3
57の下端面に粘着テープを装着し、中間層立体賦形体316と粘着させても
良い。この仮止め部材357は、立体模様が賦形される部分の外側に配置する

【0045】
第四実施形態においては、陰極として、それ自体が陰極として機能する平型
334、又は陰極たるテーブルの上に平型を配置したものを用いる。
【0046】
本発明の第四実施形態により立体的装飾片を製造する場合、先ず、平型33
4の上に、中間層材料及び上層材料を載置し、上から凹型332を下降させ、
凹型332により上層材料及び中間層材料を押圧し、高周波発信すると、上層
材料及び中間層材料は溶融して、立体模様が賦形され、上中間層立体賦形体3
16が製造される。この時、溶融した上層及び中間層材料は、仮止め部材35
7のクサビ穴に流れ込むので、上中間層立体賦形体316は、凹型332に仮
止めされる。
次に、凹型332を上昇させると、仮止め部材257により仮止めされてい
ることにより、立体模様が賦形された上中間層立体賦形体316は、凹型33
2と共に上昇する(図12(a))。
次に、平型334の上に、布地等の基材314を載置し(図12(b))、
凹型332を下降させ、高周波発信すると、上中間層立体賦形体316は溶融
して、基材314に溶着することとなる。平型334上において上中間層立体
賦形体316を基材314に溶着するので、凹凸型によって基材が引き伸ばさ
れることが無く、従って、基材には、引き伸ばし可能という特性が求められな
い。また、表面が平坦である陰極334の上で上中間層立体賦形体316と基
材314とを溶着するので、上中間層立体賦形体316及び基材314共に引
き伸ばされることが無く、上中間層立体賦形体316と基材314とを無理な
く確実に溶着することができ、上中間層立体賦形体316と基材314との接
着強度が増大する。
【0047】
次に、第四実施形態の変形例について説明する。
該変形例においては、第一高周波誘電加熱工程において、平型334の代わ
りに凸型433を用いる。
【0048】
該第四実施形態の変形例においては、凹型432を用いる。図13は、凹型
432の底面図であり、図13中U−U線における端面が図15に示されてい
る。
凹型332と同様、凹型432には、立体的装飾片の外郭部に相当する位置
に配置され、材料から立体的模様が賦形された部分を切断する溶断刃451が
設けられている。また、凹型432には、凹型432と共に上中間層立体賦形
体416を引き上げるための仮止め部材457が設けられており、これも仮止
め部材357と同じ構造となっている。
また、凹型432には、凹型432と凸型433との位置を合わせるために
、位置合わせ用穴455が設けられている。即ち、位置合わせ用穴455を除
き、凹型432は、凹型332と同じ構造となっている。
【0049】
上述のように、第四実施形態の変形例においては、第一高周波誘電加熱工程
において、平型334の代わりに凸型433を用いる。図14は、凸型433
の平面図であり、図14中V−V線における端面が図15に示されている。
凸型433には、凸部443が形成されている。該凸部443は、上中間層
立体賦形体416の下面であって溶断刃451の外周部分に、凹部444を形
成するために用いられるものである。従って、凸部443は、立体模様部分の
外郭線を形成する溶断刃451の外周に沿って配置され、その横断面形状は、
山型、ドーム型等にすることが好ましい。
また、凸型433には、凹型432の位置合わせ用ピン455に対応した位
置合わせ用穴456を形成する。
【0050】
次に、第四実施形態の変形例による立体的装飾片の製造方法を説明する。
該変形例においては、凸型433の上に中間層材料及び上層材料を載置し、
上から凹型432を下降させる。位置合わせ用ピン(図示せず)を位置合わせ
用穴455、456に差込むことによって、凹型432と凸型433との位置
合わせを行い、凹型432と凸型433とを固定したならば、該ピンは抜き取
る。
凹型432により上層材料及び中間層材料を押圧し、高周波発信すると、上
層材料及び中間層材料は溶融して、立体模様が賦形され、上中間層立体賦形体
416が製造される。この場合において、凸型433の凸部443により、上
中間層立体賦形体416の下面であって、立体模様の外周部分には、凹部44
4が形成される。また、溶融した材料は、仮止め部材457の穴に流れ込み、
上中間層立体賦形体416は、凹型432に仮止めされる。
【0051】
次に、凹型432を上昇させると、仮止め部材457での仮止めにより、立
体模様が賦形された上中間層立体賦形体416は、凹型432と共に上昇する
(図15(a))。
次に、凸型322を、平型434に置き換え、平型434の上に基材414
を配置する(図15(b))。
【0052】
次に、基材414が載置された平型434に対して、上中間層立体賦形体4
16と共に凹型432を下降させると、上中間層立体賦形体416の下面は、
凹部444の部分を除き、基材414の上面に接する。
このように、凹型432により上中間層立体賦形体416及び基材414を
押圧し、高周波発信すると、上中間層立体賦形体416が溶融し、上中間層立
体賦形体416と基材414とが接する部分において、凹型及び平型の押圧に
より、上中間層立体賦形体416は基材414に溶着する。一方、凹部444
においては、前記押圧がかからないので、上中間層立体賦形体416は基材4
14とは溶着せず、上中間層立体賦形体416は基材414から浮いた状態と
なる。上述のように、このような凹部444は、立体模様の外郭線の外周に位
置する。従って、不要部分(立体模様の外郭線の外側部分)を除去するに際し
て、不要部分除去作業が容易となり、仕上がりもきれいになる。
その後、凹型432を引き上げ(図15(c))、脱型し、不要部分を取り
除き、アプリケーションフィルムを貼着することによって、立体的装飾片が製
造される。
【0053】
尚、上記図示実施例において用いられる凹型32、132、232、332
、432の、立体模様形成のための横断面形状は、所望の立体形状を成形する
ためのものであれば、横断面形状が山型、ドーム型、台形、その他任意形状で
良いことは勿論である。
また、上述の第一から第四実施形態においては、いずれも高周波誘電加熱装
置(高周波誘電成形機)を用いているが、この高周波誘電加熱装置は、公知の
ものを使用することが可能であり、単頭式高周波誘電加熱成形機、スライド式
高周波誘電成形機、ターンテーブル式高周波誘電成形機等のいずれも使用可能
である。単頭式高周波誘電成形機の場合、テーブル上の凸型、平型の入れ替え
は、治具を用い、スライドさせることにより入れ替える。また、スライド式高
周波誘電成形機の場合には、左右のテーブルに夫々凸型、平型を設置すれば良
い。ターンテーブル式高周波誘電成形機の場合、テーブルに順次凸型、平型を
セットすれば良い。
【0054】
本発明により製造された立体的装飾片は、種々のものに装着することが可能
であり、例えば、下層が粘着剤製の立体的装飾片は、自動車、バイク、ボート
、自転車等の内外装に使用することができる。また、下層が接着機能を有する
材料製の場合には、自動車、バイク、ボート、自転車等のカバーやシートに熱
転写することが可能であり、スポーツウェア等のアパレル関連商品、鞄、雑貨
、包装用品等にも熱転写することが可能である。更に、基材に直接立体的装飾
片が形成されたものの場合には、スポーツウェア等のアパレル関連商品、鞄、
雑貨等のワッペンや、身頃に直接溶着することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第一実施形態において用いる凹型の模式的底面図である。
【図2】図1中M−M線における凹型の端面を含む、本発明の第一実施形態の製造工程を示した模式的拡大端面図であり、(a)は高周波誘電加熱前の状態、(b)は高周波誘電加熱後の状態を示す。
【図3】本発明の第一実施形態により製造された立体的装飾片の平面図である。
【図4】図2中、N部分の拡大端面図である。
【図5】本発明の第二実施形態において用いる凹型の模式的底面図である。
【図6】図5中P−P線における凹型の端面図である。
【図7】本発明の第三実施形態において用いる凹型の模式的底面図である。
【図8】図7中Q−Q線における凹型の端面を含む、本発明の第三実施形態の製造工程を示した模式的拡大端面図であり、(a)は第一高周波誘電加熱工程前、(b)は第一高周波誘電加熱工程の後、(c)は第一高周波誘電加熱工程の後であって下層材料を載置した後、(d)は第二高周波誘電加熱工程の後の状態を示す。
【図9】本発明の第三実施形態において用いる凸型の模式的平面図である。
【図10】図8中、X部分の拡大端面図である。
【図11】本発明の第四実施形態において用いる凹型の模式的底面図である。
【図12】図11中、S−S線における凹型の端面を含む、本発明の第四実施形態の製造工程を示した模式的拡大端面図であり、(a)は第一高周波誘電加熱工程の後、(b)は基材を載置した後の状態を示す。
【図13】本発明の第四実施形態の変形例において用いる凹型の模式的底面図である。
【図14】本発明の第四実施形態の変形例において用いる凸型の模式的平面図である。
【図15】図13中U−U線における凹型の端面、図14中V−V線における凸型の端面を含む、本発明の第四実施形態の変形例の製造工程を示した模式的拡大端面図であり、(a)は第一高周波誘電加熱工程の後で未だ凸型を装着した状態、(b)は凸型を平型に交換した後の状態、(c)は第二高周波誘電加熱工程の後の状態を示す。
【符号の説明】
【0056】
11:上層材料、
12:中間層材料、
13、213:下層材料、
314、414:基材、
116:立体賦形体、216、316、416:上中間層立体賦形体、
31:テーブル
32、132、232、332、432:凹型、
233、433:凸型
234、334、434:平型
243:凸部、
244:凹部、
51、351、451:溶断刃、151、251:第一溶断刃、
152、252:第二の刃、
255、455、256、456:位置合わせ用穴、
257、357、457:仮止め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が平坦である陰極(31)の上に、接着又は粘着機能を有する下層材料
(13)と、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料(12)と、熱可塑性合成
樹脂よりなる上層材料(11)とを載置し、
これら材料の上から陽極たる凹型(32、132)により、これら材料を押
圧、高周波誘電加熱して、これら材料を溶融、成形して、立体的模様片を製造
する、合成樹脂製立体装飾片の製造方法。
【請求項2】
前記凹型(132)には、
立体的装飾片の外郭部に相当する位置に配置され、材料から立体的模様が賦
形された部分を切断する第一溶断刃(151)と、
立体的装飾片の外郭部に相当する位置よりも外側にそして該外郭部に沿って
配置された第二溶断刃又は押圧刃(152)とが形成されている、
請求項1に記載の合成樹脂製立体装飾片の製造方法。
【請求項3】
前記第二溶断刃又は押圧刃(152)が、前記第一溶断刃(151)よりも
2〜10mm外側に位置している、請求項2に記載の合成樹脂製立体装飾片の
製造方法。
【請求項4】
陰極たる凸型(233)の上に、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料と、
熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、
これら材料の上から陽極たる凹型(232)により、これら材料を押圧、高
周波誘電加熱して、これら材料を溶融、成形して、下面に凹部(244)が形
成された上中間層立体賦形体(216)を製造すると共に、該上中間層立体賦
形体(216)を凹型(232)に仮止めし、
上中間層立体賦形体(216)と共に凹型(232)を引き上げ、
表面が平坦である陰極の上に、接着又は粘着機能を有する下層材料(213
)を載置し、
該陰極に凹型(232)を下降させて、押圧、高周波誘電加熱を行い、前記
下層材料(213)を溶融させて、前記上中間層立体賦形体(216)の凹部
(244)内に流動させ、該上中間層立体賦形体(216)と下層材料(21
3)とを溶着することにより、立体模様片を製造する、合成樹脂製立体模様片
の製造方法。
【請求項5】
陰極(433)の上に、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料と、熱可塑性
合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、
これら材料の上から陽極たる凹型(332、432)により、これら材料を
押圧、高周波誘電加熱して、これら材料を溶融、成形して、上中間層立体賦形
体(316、416)を製造すると共に、該上中間層立体賦形体(316、4
16)を凹型(332、432)に仮止めし、
上中間層立体賦形体(316、416)と共に凹型(332、432)を引
き上げ、
表面が平坦である陰極(334、434)の上に、高周波発信しても溶融し
ない基材(314、414)を載置し、
前記凹型(332、432)を前記陰極(334、434)に下降させて、
上中間層立体賦形体(316、416)及び基材(314、414)を押圧、
高周波誘電加熱を行い、該上中間層立体賦形体(316、416)を溶融させ
て、基材(314、414)に溶着することにより、立体模様片を製造する、
合成樹脂製立体模様片の製造方法。
【請求項6】
凸型である陰極(433)の上に、熱可塑性合成樹脂よりなる中間層材料と
、熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料とを載置し、
これら材料の上から陽極たる凹型(432)により、これら材料を押圧、高
周波誘電加熱して、これら材料を溶融、成形して、下面に凹部(444)が形
成された上中間層立体賦形体(416)を製造すると共に、該上中間層立体賦
形体(416)を凹型(432)に仮止めし、
上中間層立体賦形体(416)と共に凹型(432)を引き上げ、
表面が平坦である陰極(434)の上に、高周波発信しても溶融しない基材
(414)を載置し、
前記凹型(432)を前記陰極(434)に下降させて、上中間層立体賦形
体(416)及び基材(414)を押圧、高周波誘電加熱を行い、該上中間層
立体賦形体(416)を溶融させて、基材(414)に溶着することにより、
立体模様片を製造する、請求項5に記載の合成樹脂製立体模様片の製造方法。
【請求項7】
前記凹部(444)が、立体模様の外郭線の外周に位置する、請求項6に記
載の合成樹脂製立体模様片の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項により製造された、合成樹脂製立体模様片。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−30199(P2008−30199A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327285(P2004−327285)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(592077682)
【出願人】(592077693)
【Fターム(参考)】