説明

向上した軸勾配輸送(AGT)成長方法、及び抵抗加熱を利用した装置

坩堝は、坩堝の上部の上方に離間して配置された第1の抵抗ヒータと、坩堝の底部の下方に離間して配置された第1の抵抗部及び坩堝の側部の外周に離間して配置された第2の抵抗部を有する第2の抵抗ヒータとを備える。坩堝には、種結晶と坩堝の底部の間に間隔を設けつつ、種結晶が坩堝の内側の上部に原料が坩堝の内側に供給される。原料を昇華させ種結晶上に凝集させるのに十分な温度の温度勾配を坩堝の内側に生じさせるのに十分な程度の電力を第1の抵抗ヒータ及び第2の抵抗ヒータに印加することで成長結晶を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華による工業的寸法のSiC単結晶の成長に関し、より具体的には、軸勾配輸送(AGT)技術によるその成長に関する。
【背景技術】
【0002】
六方晶系の4H及び6Hポリタイプの炭化ケイ素のウエハは、SiC及びGaNのエピタキシャル層成長に用いる格子整合された基板として用いられ、そのような基板はパワー及びマイクロ波エレクトロニクス用のSiC及びGaNを用いた半導体素子の製造に用いられる。
【0003】
従来、大型SiC単結晶の成長は、物理気相輸送(PVT)技術を用いた昇華により行われている。一般的なPVT装置の概略構成図を図1に示す。PVT成長は、概して黒鉛製の、垂直型坩堝11内で実施される。昇華原料13が坩堝の下部に配置され、一方で成長過程の結晶(又はブール)15は、坩堝上部に配置された、例えば坩堝蓋12の内側に取付けた、種結晶14上で成長する。最も一般的には、単一RFコイルを用いた誘導加熱をPVT成長に利用する。成長用坩堝11と同軸に配置された円筒状RFコイル19を備える加熱装置を図1に示す。
【0004】
PVT成長は、概して2000℃〜2400℃で行われる。気相輸送速度を制御するために、PVT成長は概して1Torr〜100Torrの低圧の不活性ガス(例えばヘリウム及び/又はアルゴン)の下で行われる。
【0005】
これらの温度及び圧力において、原料13が蒸発して坩堝11の内側をSi、SiC、SiC等の揮発性分子種で充填する。種結晶14上で結晶15が成長する間、原料13の温度は、種結晶14の温度より高く、典型的には10〜200℃高く維持される。この温度差によって、蒸気が移動して種結晶14上で凝縮し、成長過程の結晶15が成長する。
【0006】
PVTにより成長したSiC結晶の品質は、結晶15が成長する坩堝11上部における半径方向温度勾配の正負や大きさ等の成長条件に依存する。成長過程の結晶15に強度の温度勾配、特に半径方向の勾配があると、成長過程の結晶15に熱弾性応力が起こり、欠陥や亀裂が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,800,136号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SiC昇華成長の分野では、結晶成長界面が結晶とその周辺における等温線の形状に密接に従うことが知られている。正の半径方向勾配(成長用坩堝内部の温度が坩堝軸心から坩堝壁へ向かって半径方向に増加する)は、(原料13へ向かって)凸状の成長界面を生じる。負の半径方向勾配(坩堝軸心から坩堝壁へ向かって半径方向に温度が減少する)は、(原料13に対して)凹状の成長界面を生じる。ゼロ半径方向勾配(坩堝軸心から坩堝壁へ向かう半径方向で温度が変化しない)は平坦な成長界面を生じる。
【0009】
凸状であれ凹状であれ、湾曲した成長界面では、成長界面上にマクロステップの粗な外観を生じ、ポリタイプ不安定性や欠陥が生じてしまう可能性がある。従って、平坦な成長界面が成長過程の結晶15のような高品質な結晶の成長を最も誘導しやすいと一般に考えられている。
【0010】
概して、図1に示す従来のPVT加熱の幾何配置は、制御困難な強度の半径方向温度勾配を有する軸対称温度場を坩堝11内に作り出す。
【0011】
図1に示す単一RFコイルPVT加熱の他の問題として、より大きな直径の結晶へ成長を拡大させることが困難であることが挙げられる。坩堝直径及びコイル直径を増加させると、半径方向勾配が急になる一方、コイルと坩堝との電磁結合の効率が低下する。
【0012】
軸勾配輸送(AGT)と呼ばれるPVT昇華成長技術が米国特許第6,800,136号(以下「‘136特許」と称する)に記載されており、望ましくない半径方向温度勾配を低減することを目標として挙げている。‘136特許によるAGT成長の幾何配置の概念図を図2に示す。
【0013】
AGT技術では、2つの独立した平坦なヒータすなわち原料ヒータ及びブールヒータを利用する。ヒータは誘導式でも抵抗式でもよい。ヒータは坩堝と同軸に配置され、原料ヒータは原料の下方に配置され、ブールヒータは成長過程の結晶の上方に配置される。
【0014】
AGT技術は、半径方向の熱流を低減する、望ましくはゼロにする手段を備えている。この手段はAGT成長容器の周囲に配置された円筒状断熱材及び追加のヒータを備える。円筒状断熱材とヒータの組み合わせを適切に調節して、半径方向の熱損失をゼロに低減することができる。図2に示すAGTの幾何配置によって、完全に軸心方向を向いた熱流が基本的にゼロの半径方向勾配で導かれるとされている。
【0015】
誘導加熱を利用するAGT装置が‘136特許に詳細に記載されている(この参照により全文を含めるものとする)。誘導加熱されたAGT装置を図3に示す。装置では、2つの平坦なRFコイル、すなわち、上側コイル30a及び下側コイル30bを用いている。原料32と結晶35が成長する種結晶33とを含む円筒状坩堝31はこれらコイルの間に配置され、それにより、坩堝の上部及び底部は平坦なRFサセプタとして機能する。矢印34は成長用坩堝内での原料から結晶へ向かう気相輸送を表す。
【0016】
図3に示すAGT容器の構造の不利な点は、平坦なコイル30a,30bと坩堝31の平坦な上部及び底部との間のRFカップリングの特性に関するものである。平坦なRFコイルは主に2種類あり、「蝸牛(かたつむり)型」コイル及び「蛇型」コイルとして一般に知られる。円盤状サセプタに連結した場合、「蝸牛(かたつむり)型」コイルは、図3に示すように、表皮効果により主にサセプタの縁にRFエネルギーを付与する。この種のカップリングでは、坩堝における半径方向温度勾配を制御しにくい。これと比較して「蛇型」コイルはエネルギー付与の均一性が良好であるが、全体のカップリング効率は低い。
【0017】
平坦な抵抗ヒータを利用するAGT装置も‘136特許に開示されている。原料昇華温度において、ヒータから坩堝への熱伝達の主な機構を放射が担っている。従って、平坦な抵抗ヒータは平坦なRFコイルの不利な点を含まないものでなければならない。
【0018】
単純な抵抗加熱式のAGT装置を図4Aに示す。円筒状坩堝41が坩堝直径より大きい直径を有する円盤状の2つの平坦な抵抗ヒータ40a,40bの間に配置される。上側ヒータ40aは結晶45が成長する種結晶43の上方に配置され、一方で下側ヒータ40bは原料42の下方に配置される。矢印44は坩堝内での気相輸送の方向を表す。
【0019】
図4Aの装置には、成長過程の結晶の周辺に負の半径方向勾配(凹型等温線)が生じるという不利な点がある。これは、図4Aに示すAGT容器の有限要素シミュレーションの結果を示す図4Bに例示されている。強度の凹型をする等温線46が明示されている。これら凹型等温線46が生じる根本的な原因は半径方向の熱損失である。
【0020】
AGT成長容器の周りの円筒状断熱材の厚みを増やすことによって、及び/又は、図2に関連して上述したように追加の円筒状ヒータを用いることによって、凹型等温線46をある程度まで低減することができる。しかしその結果、AGT成長システムが極めて大きく複雑で高価なものとなってしまう。
【0021】
SiC昇華成長では、黒鉛をヒータ材料とするのが自然な選択である。成長用坩堝内で必要とされる温度(2400℃に達する)を達成するためには、ヒータ温度は更に100〜200度高くなければならない。そのような高温における黒鉛ヒータの安定性及び信頼性についてはあまり研究されていない。
【0022】
不活性ガス雰囲気で高温にて運転される全ての抵抗ヒータに特有な問題の1つとして、熱電子放出の現象が挙げられる。高温においてヒータの周囲に電子雲が形成される。ヒータを通過する電流により生じた電界によって動かされて、これらの電子はガスが充填した空間内で移動し、ヒータ末端どうしの間の総電流に寄与する。ヒータ電圧の増加に応じて電子は気体のイオン化を引き起こすのに充分なエネルギーを得ることができる。生じた気体イオンは、グロー放電に至る二次的な(カスケード)気体イオン化を引き起こす可能性がある。
【0023】
グロー放電は加熱の幾何配置を変え、黒鉛坩堝、ヒータ、及び断熱材を腐食させる。またグロー放電の開始と共に、ヒータを通る電流が不安定になり、それにより成長が不安定となり、成長過程の結晶に応力や欠陥を生じさせる。
【0024】
電界により加速した気体イオンはヒータ表面を一斉にアタックし(bombard)、二次的な電子放出が生じる。この高温における表面衝撃とイオン化の事象の連鎖は、熱電子放出と称される(グロー放電は、実際には、熱電子放出の第1の段階である)。ヒータ温度及び電圧が更に増加するにつれて、また気体イオンが充分に供給されて、グロー放電はアークに発達する。そのようなアークは、ヒータ、坩堝、及び電力供給に重大な損傷を与えうる。従って、SiC結晶のAGT成長における抵抗加熱の利点を実現するために、成長システムのグロー放電を避けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、軸勾配輸送結晶成長装置である。装置は、上部、底部、及び前記上部と前記底部との間に延出する側部を有する坩堝を備えている。この坩堝は、内側の上部に種結晶を支持し且つ前記種結晶と前記底部との間で離間して原料を内側に支持するように適合されている。前記原料と前記坩堝の前記底部との間の空間が、坩堝の前記内側における空洞を画定する。第1の抵抗ヒータは坩堝の前記上部の上方に離間して配置される。第2の抵抗ヒータは、坩堝の前記底部の下方に離間して配置された第1の部分と、坩堝の前記側部の外側の周りに離間して配置された第2の部分とを有する。
【0026】
第1の抵抗ヒータ及び第2の抵抗ヒータは、坩堝の前記内側の上部に配置された種結晶上での凸状成長界面を有する成長結晶を成長させる運転が可能であり、成長した結晶の直径にわたる凸状成長界面の曲率半径比は約2〜約4である。
【0027】
坩堝の前記上部及び前記底部を円形としてもよい。第1の抵抗ヒータを円盤状としてもよい。前記第2の抵抗ヒータの第1の部分を円盤状とすることができる。
【0028】
第1の抵抗ヒータと第2の抵抗ヒータの前記第1の部分との外径を、それぞれ坩堝の前記上部及び前記底部の外径の110%〜130%とすることができる。
【0029】
第1の抵抗ヒータと第2の抵抗ヒータの前記第1の部分とに、坩堝の直径の25%〜75%の直径を有する中心孔を設けることができる。
【0030】
坩堝の前記側部と第2の抵抗ヒータの前記第2の部分とを円筒状とすることができる。
【0031】
第2の抵抗ヒータの前記第2の部分の上部を、坩堝の高さの50%〜75%の位置に配置することができる。
【0032】
第2の抵抗ヒータの前記第2の部分の内径部位を、坩堝の外側から半径方向に10mm〜25mmの距離だけ隔てておくことができる。
【0033】
原料と坩堝の底部との間の坩堝内部の前記空洞の高さと直径の比を0.2〜1とすることができる。
【0034】
本発明は、軸勾配成長方法でもある。本方法は、以下のステップを含む。(a)上部、底部、及び前記上部と前記底部との間に延出する側部を備える坩堝と、前記坩堝の前記上部の上方に離間して配置された第1の抵抗ヒータと、前記坩堝の前記底部の下方に離間して配置された第1の抵抗部及び前記坩堝の前記側部の外側の周りに離間して配置された第2の抵抗部を備える第2の抵抗ヒータとを提供するステップと、(b)前記坩堝の内側の上部に種結晶を提供し、前記種結晶と前記坩堝の前記底部との間で離間して前記坩堝の前記内側に原料を提供するステップと、(c)前記原料を昇華させて前記種結晶上に凝縮させるのに十分な温度の温度勾配を前記坩堝の前記内側に生じさせるのに十分な程度の電力を前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに印加してそれにより成長結晶を形成するステップと、(d)前記成長結晶が所望の寸法に成長するまで、前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに前記電力を供給し続けるステップ。
【0035】
前記第1の抵抗ヒータは前記電力の10%〜30%を受容することができる。前記第2の抵抗ヒータは前記電力の70%〜90%を受容することができる。
【0036】
各ヒータに印加される電圧は望ましくは30VAC RMS未満であり、より望ましくは25VAC RMS未満である。
【0037】
坩堝の内側及び外側と前記ヒータとは、成長結晶の成長中、1Torr〜40Torrの不活性ガスの存在下に置かれる。不活性ガスはヘリウムとすることができる。
【0038】
ステップ(c)は、成長結晶を前記種結晶上に成長させるように、特に、成長した成長結晶が凸状成長界面を有し、成長した成長結晶の直径にわたる前記凸状成長界面の曲率半径比が約2〜約4であるように、前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに印加される電力を制御することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来技術による物理気相輸送昇華成長容器の概略構成図である。
【図2】従来技術による軸勾配輸送(AGT)装置の概念図である。
【図3】図2の従来技術によるAGT成長容器の概略構成図である。
【図4A】従来技術による抵抗加熱式AGT成長容器の概略構成図である。
【図4B】図4Aの従来技術による抵抗加熱式AGT成長容器の内側で使用中に実現されうる等温線のグラフである。
【図5】本発明による抵抗加熱式AGT成長装置の概略構成図である。
【図6A】図5の抵抗加熱式AGT成長容器の概略構成図である。
【図6B】図6Aの抵抗加熱式AGT成長容器の内側で使用中に実現されうる等温線のグラフである。
【図7】図5の抵抗加熱式AGT成長装置の黒鉛ヒータに関する電気伝導度対気体(ヘリウム)圧力のグラフである。
【図8】図5の抵抗加熱式AGT成長装置の上側ヒータの平面図である。
【図9A】図5の抵抗加熱式AGT成長装置の下側ヒータの平面図である。
【図9B】図9Aの線分IXB−IXBに沿った断面図である。
【図10A】図5のAGT成長装置で成長させたポリタイプ6H SIの100mmSiCブールの写真である。
【図10B】図5のAGT成長装置で成長させたポリタイプ6H SIの100mmSiCブールの写真である。
【図10C】図5のAGT成長装置で成長させたポリタイプ4H nの100mmSiCブールの写真である。
【図11A】図10Bのブールの<1−210>軸及び<10−10>軸に沿った走査により得られたX線回折グラフである。
【図11B】図10Cのブールの<1−210>軸及び<10−10>軸に沿った走査により得られたX線回折グラフである。
【図12A】図10Bのブールのマイクロパイプ密度マップである。
【図12B】図10Cのブールのマイクロパイプ密度マップである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、ヒータの幾何配置と、成長容器におけるグロー放電を低減又は排除する手段とを含むAGT成長装置及び方法である。本明細書で説明するAGT成長方法は、成長界面が坩堝底部へ向かって僅かに凸状である。この僅かに凸状の成長界面を用いることで、直径3インチ及び100mmの高品質SiC基板の製造に好適な6H及び4Hポリタイプの大型SiC単結晶を得ることができる。
【0041】
ここで、坩堝内部の温度勾配が坩堝軸心から坩堝壁へ向かって半径方向に増加する場合、そのような半径方向温度勾配は正の半径方向温度勾配として知られる。坩堝内部の正の半径方向温度勾配の等温線は坩堝底部へ向かう(すなわち原料13へ向かう)凸状である。対照的に、坩堝内部の温度勾配が坩堝軸心から坩堝壁へ向かって半径方向に減少する場合、そのような半径方向温度勾配は負の半径方向温度勾配として知られる。坩堝内部の負の半径方向温度勾配の等温線は坩堝底部に対して凹状である。最後に、坩堝内部の温度勾配が坩堝軸心から坩堝壁へ向かう半径方向で変化しない場合、そのような半径方向温度勾配はゼロの半径方向温度勾配として知られる。坩堝内部のゼロの半径方向温度勾配の等温線は平坦で坩堝軸心と直交する。
【0042】
図5を参照すると、本発明による抵抗加熱式AGT成長装置は、内部にSiC原料52とSiC種結晶53とを有する円筒状の成長用坩堝51を備える。成長用坩堝51は、それと同軸に配置された2つの抵抗ヒータの間に配置される。これらのヒータは上側ヒータ50aと下側ヒータ50bである。成長用坩堝51とヒータ50a及び50bとは軽量な繊維状黒鉛製の断熱材57で囲まれている。断熱材57に設けられた窓56を通る黒鉛延出電極59を介してヒータ50a,50bに電力が提供される。望ましくは、成長用坩堝51とヒータ50a及び50bと断熱材57とは、種結晶53上で結晶64を成長させる時に坩堝51とヒータ50a及び50bと断熱材57とを好適な圧力(後述する)に保持することのできる大型の容器(図示せず)内に配置される。
【0043】
上側ヒータ50aは中心孔60を備えた円盤状である。上側ヒータ50aの外径は成長用坩堝51の外径より大きい。望ましくは、上側ヒータ50aの外径は成長用坩堝51の直径の110%〜130%である。上側ヒータ50aの内径(すなわち中心孔60の直径)は成長用坩堝51の内径より小さい。望ましくは上側ヒータ50aの内径は成長用坩堝51の直径の25%〜75%である。望ましくは、上側ヒータ50aは成長用坩堝51の上方に、成長用坩堝51から成長用坩堝51の直径の10%〜30%の距離を隔てて配置される。
【0044】
下側ヒータ50bはカップ状である。より具体的には、下側ヒータ50bは2つの加熱部、すなわち第1の平坦又は円盤状部61aと第2の円筒状部61bとを備えている。下側ヒータ50bは成長用坩堝51内の原料52の下方かつ周囲に配置される。下側ヒータ50bの平坦部61aは成長用坩堝51の直径より小さい直径の中心孔62を備えている。望ましくは、下側ヒータ50bの中心孔62の直径は成長用坩堝51の直径の25%〜75%である。望ましくは、下側ヒータ50bの平坦部は成長用坩堝51から坩堝51の直径の10%〜30%の距離を隔てて配置される。下側ヒータ50bの円筒部61bは成長用坩堝51の側部を囲んでいる。望ましくは、円筒部61bの高さは成長用坩堝51の高さの50%〜75%である。望ましくは、円筒部61bの内径は成長用坩堝51の外径から半径方向に10mm〜25mmの距離を隔てられている。
【0045】
望ましくは、原料52は坩堝51の底部から距離を隔てた構造体63上に配置されることで、原料52と坩堝51の底部との間に空間又は空洞54を作り出している。構造体63は任意の好適な及び/又は所望の材料、例えば軽量繊維状黒鉛で構成することができるが、これに限定されない。望ましくは、空洞54の高さ/直径のアスペクト比は0.2〜1である。
【0046】
高温計によって坩堝51の温度を測定する目的で断熱材57の上部及び底部に高温測定窓58を形成することができる。
【0047】
図5の抵抗加熱式AGT成長容器の一部分を図6Aに別に示す。図6Aに示す抵抗加熱式AGT成長容器の一部分の熱シミュレーションの結果を図6Bに示す。図6A及び6B中の参照番号は図5と同じである。図5に示すAGT成長容器の加熱幾何配置を用いると、成長中の結晶64の周辺に坩堝の底部へ向かって僅かに凸状を等温線55が得られる。
【0048】
図5に示すAGT用の加熱幾何配置には次の利点がある:(i)成長過程の結晶64の周辺における半径方向温度勾配は僅かに正(すなわち成長用坩堝51の底部へ向かって僅かに凸状)となるため、成長用坩堝51の底部に対して凹状の成長界面又は平坦な成長界面となることが回避される;また、(ii)成長過程の結晶64の半径方向温度勾配は比較的小さいため、成長中の結晶64における応力や亀裂が回避される。
【0049】
図5に示すAGT用の加熱幾何配置の利点は、成長中のSiC結晶64の周辺に比較的小さな正の半径方向温度勾配が生じることにある。そのような勾配になっていることで、成長過程の結晶64における、成長中心の複数化、粗なマクロステップ、ポリタイプの不安定性、及びそれらに起因する欠陥が回避或いは排除される。
【0050】
図5のAGT成長装置及び成長方法により、凸状成長界面を備えるSiC結晶が得られる。3インチ基板を獲得可能なSiC結晶ブールにおける界面曲率半径は望ましくは15cm〜30cmである。100mm基板を獲得可能な大直径SiCブールにおける界面曲率半径は望ましくは20cm〜40cmである。これら各直径のブールについて、直径にわたる凸状成長界面半径の曲率比は約2〜約4、例えば20cm/100mm=2及び40cm/100mm=4である。
【0051】
図5に示すAGT成長容器において、下側ヒータ50bは必要な電力の約80%を供給するメインヒータであり、上側ヒータ50aは電力の約20%を供給する。上側ヒータ50aを使用する目的は、成長用坩堝51の上部における所望の温度分布を作り出すことにある。成長用坩堝51の上部における温度勾配の微調整は、上側ヒータ50aの形状を更に調節することによって、例えば中心孔60aの直径を変更するによって実現することができる。
【0052】
従来技術によるPVT装置では、単一コイルRFで加熱を行うと、RFサセプタとして機能する坩堝の円筒状壁が坩堝底部より熱くなるという状況が生じていた。これにより、多結晶SiCが坩堝の底部に堆積し、原料をうまく利用できない。
【0053】
図5に示す成長容器では、下側ヒータ50bのカップ形状と原料52の下方に配置された空洞54との両方がこの欠点を排除するように機能する。熱輸送の放射特性、黒鉛の高い放射率(α=0.95〜0.98)、空洞54の上述した高さ/直径のアスペクト比(0.2〜1.0)によって、空洞54内部の温度分布は空間的に均一となる。すなわち、低い温度勾配となる。従って、図6Bにおける空洞54内部の等温線間の間隔は大きい。
【0054】
原料52の下に空洞54があることで、原料52及び坩堝51の底部の温度上昇が促進される。その結果、坩堝底部における多結晶SiCの堆積が回避あるいは排除され、原料52の利用率が向上する。
【0055】
抵抗加熱式システムにおけるグロー放電の開始(時期)は、気体の特性、気体の圧力及びヒータ電圧に左右されるが、充分高い温度に達していれば、ヒータの材料には左右されない。図7は、抵抗ヒータ電圧が25VAC RMSで、温度が2200℃のときの黒鉛ヒータの電気伝導度の不活性ガス(ヘリウム)圧力への依存度合いを示す。圧力0.1〜40Torrにおけるヒータ伝導度の急峻な増加は、ヒータ末端どうし間を流れる総電流にグロー放電(熱電子放出)が寄与していることを反映している。
【0056】
この現象は以下のように説明される。低い気体圧力においては、低濃度の気体イオンがあり、追加的な電子/イオンの流れは小さい。気体圧力が増加するにつれて、熱電子放出により電流が増加し、ヒータ伝導度の測定値が増加する。気体圧力がさらに増加すると、気体原子の散乱及びエネルギー散逸によって放出が抑えられ、ヒータ伝導度の測定値が低下する。
【0057】
熱電子放出の強度及び圧力範囲は使用される不活性ガスの特性に左右される。アルゴン等のイオン化ポテンシャルの低い重ガスを用いると、より低い電圧で熱電子放出が始まり、高振幅(高強度)に達してアークへと発達し易くなる。ヘリウム等のイオン化ポテンシャルの高い軽ガスを用いると、より高い電圧で熱電子放出が始まり、その振幅(強度)はより低いものとなる。ヘリウムは、不活性ガスの中でイオン化ポテンシャルの最も高い軽ガスである。従って、抵抗加熱式SiC結晶成長システムに用いるものとして、ヘリウムが最良の選択である。
【0058】
熱電子放出を回避するための別の要素としてヒータの幾何配置が挙げられる。グロー放電は温度と電場強度とが最も高くなるヒータ領域で始まる。従って、本発明のAGTヒータの構造では、最も高い電位差に置かれる密集した端子(延出電極)を避けることが望ましい。
【0059】
本発明による抵抗加熱式AGTシステムを工業的寸法のSiC結晶成長用として用いると、ヘリウム中でグロー放電を起こすことなくSiC結晶の成長を上手く実施可能であることが判明している。望ましくは、He圧力は25Torr以上しくは30Torr以上であり、ヒータに印加される電圧は、望ましくは30VAC RMSを超えないこと、より望ましくは25VAC RMSを超えないこと。
【0060】
前述したヒータ電圧に対する制限によってヒータ抵抗が決定される。実際の計算例を以下に示す。仮に、AGT成長装置における熱損失が、所望のSiC成長温度を達成し保持するのに15kWの電力を必要としているとする。これは、下側ヒータは約12kWの電力を生じ、上側ヒータは約3kWを生じる必要があることを意味する。更に、グロー放電を回避するために、下側ヒータ電圧は20VAC RMSに制限され、上側ヒータ電圧は12VAC RMSに制限されるものとする。これは、下側ヒータの抵抗が約0.03オーム、上側ヒータの抵抗が約0.05オームとする必要があることを意味する。ヒータの電流は、下側ヒータ50bにおいて約660A RMS、上側ヒータ50aにおいて約240A RMSとなる。
【0061】
上記の要件を満たす例示的な上側ヒータ50aの例示的な寸法を図8に示す。上記の要件を満たす例示的な下側ヒータ50bの例示的な寸法を図9A及び9Bに示す。ヒータ50a及び50bの黒鉛材料は、望ましくは微粒子黒鉛を静水圧で成形したものであり、その密度は望ましくは1.73〜1.82g/cm、抵抗率は望ましくは室温で9〜14μオーム−メートルである。
【0062】
図8に示す例示的な上側ヒータ50aは、それぞれ中心孔60から外側へ半径方向に伸びて中心孔60と上側ヒータ50aの外周との中間で終わる複数の内側スリット(又はスロット)66を備えている。上側ヒータ50aは、それぞれ上側ヒータ50aの外周から内側へ半径方向に伸びて中心孔60と上側ヒータ50aの外周との中間で終わる複数の外側スリット(又はスロット)68も備えている。望ましくは、内側スリット66及び外側スリット68は、上側ヒータ50aの外周の周りに互いに入り込むパターンで均一に分散している。その結果、各スリット66の一部が一対のスリット68の間に位置し、各スリット68の一部が一対のスリット66の間に位置することになる。例示的な上側ヒータ50aは12個のスリット66と12個のスリット68を備える。しかしこれは本発明を限定するものではない。
【0063】
図9Aに示す例示的な下側ヒータ50bの例示的な平坦又は円盤状部61aは、それぞれ中心孔62から外側へ半径方向に伸びて中心孔62と円盤状部61aの外周との中間で終わる複数の内側スリット(又はスロット)70を備えている。円盤状部61aは、それぞれ上側ヒータ50aの外周から内側へ半径方向に伸びて中心孔62と上側ヒータ50aの外周との中間で終わる複数の外側スリット(又はスロット)72も備えている。望ましくは、内側スリット70及び外側スリット72は、円盤状部61aの外周の周りに互いに入り込むパターンで均一に分散する。その結果、各スリット70の一部が一対のスリット72の間に位置し、各スリット72の一部が一対のスリット70の間に位置することになる。例示的な円盤状部61aは、10個のスリット70と10個のスリット72とを備える。しかしこれは本発明を限定するものではない。
【0064】
図9Bに示す例示的な下側ヒータ50bの例示的な円筒状部61bは、それぞれ円盤状部61aから上方へ伸びて円筒状部61bの上縁よりも手前で終わる複数の上方へ伸びるスリット(又はスロット)74を備えている。円筒状部61bは、それぞれ円筒状部61bの上縁から下方へ伸びて円盤状部61aよりも手前で終わっているか又は円盤状部61aまで伸びる複数のスリット(又はスロット)76も備えている。しかしこれは本発明を限定するものではない。
【0065】
上側ヒータ50a、円盤状部61a、円筒状部61bは、それぞれ好適な及び/又は所望のスリット構成を持つことが可能と理解されるため、上側ヒータ50a、円盤状部61a、円筒状部61bのスリットに関する上記の説明は本発明を限定するものではない。
【0066】
本発明の利点として下記が挙げられる。
【0067】
SiC原料とSiC種結晶とを互いに離間した状態で内部に支持する成長用円筒状坩堝を備える、SiC単結晶の昇華成長用の軸勾配輸送(AGT)結晶成長方法及び装置。AGT成長装置は、成長用円筒状坩堝と同軸状に配置された上側ヒータと下側ヒータとの2つの抵抗ヒータを備える。上側ヒータは、成長中の結晶の上方に配置され、下側ヒータは、原料の周囲及び下方に配置される。上側ヒータは中心孔を備えた円盤状である。下側ヒータは2つの加熱部(一つの平坦状部と一つの円筒状部)を備えるカップ状である。上側ヒータ及び下側ヒータは黒鉛製である。
【0068】
円盤状の上側ヒータの外径は望ましくは坩堝直径より10%〜30%大きく、内径(穴径)は望ましくは坩堝直径の25%〜75%である。上側ヒータは、望ましくは坩堝直径の10%〜30%の距離だけ、成長用坩堝から上方に配置される。
【0069】
カップ形状の下側ヒータは、坩堝から望ましくは坩堝直径の10%〜30%の距離を隔てて配置された平坦部を備える。平坦部の中心孔の直径は望ましくは坩堝直径の25%〜75%である。円筒部の高さは望ましくは坩堝高さの50%〜75%である。円筒部の内径は望ましくは坩堝外径より10mm〜25mm大きい。
【0070】
ヒータは、望ましくは微粒子黒鉛を静水圧で成形したものであり、その密度は望ましくは1.73〜1.82g/cm、抵抗率は望ましくは室温で9〜14μオーム−メートルである。
【0071】
成長用坩堝は望ましくは原料を坩堝底部から隔てる空洞を備える。空洞の高さと直径のアスペクト比は望ましくは0.2〜1.0である。
【0072】
AGT結晶成長方法では1つの上側ヒータ及び1つの下側ヒータを用いる。下側ヒータは望ましくは、成長用坩堝を必要な昇華成長温度にまで加熱するのに必要な電力の70%〜90%を提供する。上側ヒータは望ましくは、成長用坩堝を必要な昇華成長温度にまで加熱するのに必要な電力の10%〜30%を提供する。上側ヒータは、平坦又は僅かに凸状の等温線を形成するための、緩やかで正の径方向温度勾配によって特徴付けられる温度場を、成長用坩堝の上部に画定する。ヒータに印加される電圧は、望ましくは30VAC RMSを超えず、より望ましくは25VAC RMSを超えない。
【0073】
AGT結晶成長方法は、望ましくは25Torr以上、より望ましくは30Torr以上の圧力にて、例えばヘリウム(但しこれに限定されない)などの不活性ガスの雰囲気で生じる。
(本発明の技術的利点)
本発明を炭化ケイ素の昇華成長に適用すると高品質かつ低熱応力のSiC単結晶が得られる。
【0074】
数回に亘るSiC成長の運転を経て発明が完成に至った。これらの運転により、以下に記すように、大直径で高品質かつ半絶縁性の6H結晶及びn4H結晶が得られた。
【0075】
これらの運転に使用された抵抗加熱式AGT成長装置の概略構成図を図5に示す。加熱装置は図8、9A及び9Bに示すものと同様の2つの抵抗ヒータからなる。すなわち下側ヒータはカップ状であり、上側ヒータは円盤状である。ヒータの中心孔は、上側ヒータでは直径50mm、下側ヒータでは直径75mmとした。各ヒータと坩堝との間の軸方向距離は約25mmとした。坩堝の外表面と、坩堝の側部を囲む下側ヒータの部分の内表面との間の径方向距離は12mmとした。
【0076】
ヒータは密度1.75g/cmの高密度かつ低気孔率の黒鉛で形成されている。ヒータの抵抗は、上側ヒータについては0.03オーム、下側ヒータについては0.05オームであった(室温で測定)。成長サイクルの間、下側ヒータは必要とされる電力の80%を生み出し、上側ヒータは必要とされる電力の20%を生み出した。いずれのヒータの端子に印加された電圧も20VAC RMSを超えなかった。
【0077】
全ての成長運転は、ヘリウムの存在下、40Torrの圧力で行った。坩堝は多孔質黒鉛製であるため、坩堝内部のヘリウムの圧力並びに坩堝外側及びヒータ周辺のヘリウムの圧力は略同一すなわち40Torrであった。成長の間、原料及び種結晶の温度は、それぞれ2180℃及び2130℃に維持した。
【0078】
図10A、10B及び10Cは、図5に示す抵抗加熱式AGT成長装置を用いて成長させて直径が100mmに達したSiCブールの写真である。図10Aは6H SIブール番号DC0020の写真であり、図10Bは6H SIブール番号DE0001の写真であり、図10Cは4H nブール番号DF0001の写真である。改善されたAGT成長方法及び装置にて成長した3インチ及び100mmブールを含む全てのSiC結晶ブールは曲率半径25〜35cmの僅かに凸状の成長界面を呈した。図10A、10B及び10Cに示す成長結晶は3インチ直径のウエハ及び100mm直径のウエハを含むウエハにうまく加工することができた。
【0079】
図11Aは、図10Bに示す6H結晶ブール(DE0001)の<1−210>軸及び<10−10>軸について行ったX線ロッキングカーブ走査のグラフを示す。X線反射の半値全幅(FWHM)は結晶品質の良好な評価基準として用いられ、反射が狭くFWHM値が低いほど結晶品質は良好となる。比較として測定された最高品質の6H SiC LelyプレートレットのFWHM値は20〜40秒角であった。典型的なPVT成長させたバルクSiCブールのFWHMは通常もっと高く、40〜100秒角である。図10Aから分かるように、結晶DE0001のFWHM値は25〜60秒角である。このように低いFWHM値は良好な結晶品質であることを証明している。
【0080】
図11Bは、図10Cに示す4H結晶ブール(DF0001)の<1−210>軸及び<10−10>軸について行ったX線ロッキングカーブ走査のグラフを示す。測定条件は上記の場合と同じである。4H結晶ブールについて測定したFWHMの値は更に低く、18〜40秒角であった。従って、このブールについてもX線分析は良好な結晶品質を示した。
【0081】
結晶品質のもう1つの評価基準としてマイクロパイプ密度(MPD)がある。マイクロパイプは装置故障を引き起こす有害な欠陥であり、デバイス応用の多くではSiC基板のMPD値が低いことが求められる。MPDがゼロのSiC基板が徐々に市販されるようになってきているが、業界全体の現在の技術水準は約5〜40マイクロパイプcm−2である。図12A及び12Bは、図10B及び10Cの各AGT成長結晶DE0001及びDF0001について測定したMPD図を示す。いずれの結晶も0.5マイクロパイプcm−2未満の平均MPDを示し、ブールDE0001(図11A)では実質的にマイクロパイプが存在しなかった。
【0082】
好適な実施形態を参照して本発明を説明した。上述の詳細な説明を読み理解することで、当業者は明白な改変や修正を行いうる。そのような改変や修正は全て、請求項又はその均等物の範囲内である限り、本発明に含まれると解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部、底部、及び前記上部と前記底部との間に延出する側部を備える坩堝であって、前記坩堝の内側の上部に種結晶を支持し且つ前記種結晶と前記坩堝の前記底部との間で離間して前記坩堝の前記内側に原料を支持するように適合し、前記原料と前記坩堝の前記底部との間の空間が前記坩堝の前記内側における空洞を画定する坩堝、
前記坩堝の前記上部の上方に離間して配置された第1の抵抗ヒータ、及び
前記坩堝の前記底部の下方に離間して配置された第1の部分と前記坩堝の前記側部の外側の周りに離間して配置された第2の部分とを有する第2の抵抗ヒータを備えることを特徴とする軸勾配成長装置。
【請求項2】
前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータは前記坩堝の前記内側の前記上部に配置された前記種結晶上で凸状成長界面を有する成長結晶をPVT成長させる運転が可能であること、及び、成長した結晶の直径にわたる前記凸状成長界面の曲率半径比は約2〜約4であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記坩堝の前記上部及び前記底部は円形であり、前記第1の抵抗ヒータは円盤状であり、前記第2の抵抗ヒータの前記第1の部分は円盤状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の抵抗ヒータと前記第2の抵抗ヒータの前記第1の部分とは、外径がそれぞれ前記坩堝の前記上部及び前記底部の外径の110%〜130%であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の抵抗ヒータと前記第2の抵抗ヒータの前記第1の部分とは、前記坩堝の直径の25%〜75%の直径を有する中心孔を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記坩堝の前記側部は円筒状であり、前記第2の抵抗ヒータの前記第2の部分は円筒状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の抵抗ヒータの前記第2の部分の上部は、前記坩堝の高さの50%〜75%の位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の抵抗ヒータの前記第2の部分の内径は、坩堝から半径方向に10mm〜25mmの距離を隔てていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記空洞の高さと直径の比が0.2〜1であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
(a)上部、底部、及び前記上部と前記底部との間に延出する側部を備える坩堝と、前記坩堝の前記上部の上方に離間して配置された第1の抵抗ヒータと、前記坩堝の前記底部の下方に離間して配置された第1の抵抗部及び前記坩堝の前記側部の外側の周りに離間して配置された第2の抵抗部を備える第2の抵抗ヒータとを提供するステップと、
(b)前記坩堝の内側の上部に種結晶を提供し、前記種結晶と前記坩堝の前記底部との間で離間して前記坩堝の前記内側に原料を提供するステップと、
(c)前記原料を昇華させて前記種結晶上に凝縮させるのに十分な温度の温度勾配を前記坩堝の前記内側に生じさせるのに十分な程度の電力を前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに印加してそれにより成長結晶を形成するステップと、
(d)前記成長結晶が所望の寸法に成長するまで、前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに前記電力を供給し続けるステップと、を含むことを特徴とする軸勾配成長方法。
【請求項11】
前記第1の抵抗ヒータは、前記電力の10%〜30%を受容し、前記第2の抵抗ヒータは、前記電力の70%〜90%を受容することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各ヒータに印加される電圧は、30VAC RMS未満であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
各ヒータに印加される電圧は、25VAC RMS未満であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記坩堝の内側及び外側と前記ヒータとは、成長結晶の成長中、1Torr〜40Torrの不活性ガスの存在下に置かれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(c)は、前記第1の抵抗ヒータ及び前記第2の抵抗ヒータに印加された電力を制御して成長結晶を前記種結晶上に成長させることを含み、
前記成長結晶は凸状成長界面を有し、
前記成長結晶の直径にわたる前記凸状成長界面の曲率半径比は、約2〜約4であることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2012−510951(P2012−510951A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539790(P2011−539790)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/067112
【国際公開番号】WO2010/077639
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(502334032)トゥー‐シックス・インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】