説明

吸入によって送達される抗精神病薬を用いた頭痛の治療

抗精神病薬を用いた頭痛の治療方法を提供する。抗精神病薬および抗精神病薬を迅速に送達するための装置を含む、頭痛を治療するためのキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2002年11月26日出願の米国仮出願第60/429,404号の優先権の利益を主張する。特許出願第60/429,404号は、如何なる目的にもその全体で本明細書中に参考として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0002] 本出願は、抗精神病薬を投与することによって頭痛を治療する方法を開示する。本出願はまた、頭痛を治療するためのキットも開示する。
【0003】
発明の背景
[0003] 様々な化合物が緊張型頭痛および偏頭痛を含めた様々な種類の頭痛の予防法および/または急性治療に使用されてきた。現在使用されている化合物であるスマトリプタンは、経口的に与えた場合に多くの偏頭痛を治療するのに効果がなく、生命を脅かす副作用である心筋虚血(心臓発作)に関連づけられている。重篤な頭痛および比較的難治性の頭痛の治療にさえ使用されてきた2つの化合物は、フェノチアジン系抗精神病薬のプロクロルペラジンおよびクロルプロマジンである。これらの化合物は、現在頭痛の治療において成人で一般に少なくとも10mgの投与量(0.15mg/kg)で使用されている。
【0004】
発明の特定の実施形態の概要
[0004] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に抗精神病薬を含む組成物を吸入によって投与することを含む、頭痛の治療方法を提供する。特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に約1mg〜18mgのプロクロルペラジンを吸入によって投与することを含む頭痛の治療方法であって、プロクロルペラジンのピーク血漿濃度がプロクロルペラジンの投与を開始した15分以内に得られるようにプロクロルペラジンを投与し、頭痛の重篤度の軽減がプロクロルペラジンを投与した2時間以内に得られる方法を提供する。
【0005】
[0005] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に9mg未満の抗精神病薬を投与することを含む偏頭痛の治療方法であって、抗精神病薬のピーク血漿濃度が抗精神病薬の投与を開始した15分以内に得られ、頭痛の重篤度の軽減が抗精神病薬の投与を開始した1時間以内に得られ、頭痛の重篤度の軽減が抗精神病薬の投与を開始した少なくとも12時間後まで持続する方法。
【0006】
[0006] 特定の実施形態では、抗精神病薬および吸入送達装置を含む、頭痛を治療するためのキットを提供する。
【0007】
特定の例示的実施形態の詳細な説明
[0014] 前述の一般的な記述および以下の詳細な記述はどちらも例示的かつ説明のためだけのものであり、特許請求する本発明を制限するものでないことを理解されたい。本出願では、別段に指定しない限りは、単数形の使用には複数形が含まれる。本出願では、別段に指定しない限りは、「または」の使用は「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる」ならびに「含む」および「含まれた」などの他の形の使用は非限定的である。用語「部分(portion)」の使用には、ある部分(moiety)の一部またはその全体が含まれ得る。また、「要素」または「構成成分」などの用語は、別段に指定しない限りは、1単位しか含まない要素および構成成分ならびに複数単位を含む要素および構成成分をどちらも包含する。
【0008】
[0015] 本明細書中で使用するセクションの見出しは構成目的のみであり、記載した主題を制限すると意図されるべきでない。それだけには限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、および論文を含めた本出願中で引用したすべての文献または文献の部分は、如何なる目的にもその全体で本明細書中に参考として明確に組み込まれる。
【0009】
特定の定義および用語
[0016] 用語「アセトフェナジン」とは、1−[10−[3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロピル]−10H−フェノチアジン−2−イル]エタノンをいう。
【0010】
[0017] 用語「吸入による投与」とは、患者が口腔または肺管内の気管内チューブによって組成物を吸入するように、患者にエアロゾル形態で組成物を投与することをいう。本特許出願中では、「吸入による投与」には鼻腔内投与は含まれない。鼻腔内投与は、吸入による投与とは別に指定する。
【0011】
[0018] 所定の粒子の用語「空気動力学的粒径」とは、所定の粒子と同じ沈降速度を有する、1g/mLの密度(水の密度)を有する球状の液滴の直径をいう。
【0012】
[0019] 用語「エアロゾル」とは、気体中の固体または液体粒子の懸濁物をいう。患者への吸入による投与に適した例示的な非限定的なエアロゾル調製物には、それだけには限定されないが、純液体の液滴、液滴形態の溶液および粉末形態の固体が含まれる。特定の実施形態では、エアロゾル調製物は薬学的に許容される担体を含むことができる。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は不活性圧縮ガス、例えば窒素である。
【0013】
[0020] 用語「アミスルプリド」とは、4−アミノ−N−[(1−エチル−2−ピロリジニル)メチル]−5−(エチルスルホニル)−2−メトキシベンズアミドをいう。
【0014】
[0021] 用語「アモキサピン」とは、2−クロロ−11−(1−ピペラジニル)ジベンズ[b,f][1,4]オキサゼピンをいう。
【0015】
[0022] 用語「抗精神病薬」とは、精神病、例えば統合失調症および他の重篤な精神衛生病の治療に使用される化合物、または哺乳動物の中枢神経系においてドーパミンの作用を少なくとも部分的に遮断するように作用する化合物をいう。例示的な抗精神病薬には、それだけには限定されないが、アセトフェナジン、アリザプリド、アミスルプリド、アモキサピン、アムペロジド、アリピプラゾール、ベンペリドール、ベンズキナミド、ブロムペリドール、ブラマート、ブタクラモール、ブタペラジン、カルフェナジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロマクラン、クロペンチキソール、クロスピラジン、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、メルペロン、メソリダジン、メトフェナゼート、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロメタジン、オランザピン、ペンフルリドール、ペリシアジン、ピパメロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、プロマジン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スピペロン、スルピリド、チオチキセン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリフルペリドール、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールが含まれる。
【0016】
[0023] 用語「抗精神病薬分解産物」とは、抗精神病薬の気化−凝縮プロセス中の抗精神病薬の化学修飾から生じる化合物をいう。特定の実施形態では、この修飾は、熱的にまたは光化学的に誘発される反応の結果であってもよい。例示的な熱的にまたは光化学的に誘発される反応には、それだけには限定されないが、酸化および加水分解が含まれる
【0017】
[0024] 用語「アリピプラゾール」とは、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンをいう。
【0018】
[0025] 用語「非定型抗精神病薬」とは、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、クエチアピン、セルチンドール、ジプラシドン、およびゾテピンからなる標準的な抗精神病薬のサブセットをいう。
【0019】
[0026] 用語「非定型様抗精神病薬」とは、D2ドーパミン受容体に対してよりも5HT2Aセロトニン受容体に対して少なくとも7倍高い親和性を有する、古典的な抗精神病薬からなる、古典的な抗精神病薬のサブセットをいう。
【0020】
[0027] 用語「基準」とは、治療の開始時における対象の頭痛のレベルをいう。特定の実施形態では、基準の頭痛は中程度から重篤である。
【0021】
[0028] 用語「クロルプロマジン」とは、10−(3−ジメチルアミノプロピル)−2−クロルフェノチアジンをいう。
【0022】
[0029] 用語「クロルプロチキセン」とは、(Z)−3−(2−クロロ−9H−チオキサンテン−9−イリデン)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンをいう。
【0023】
[0030] 用語「古典的な抗精神病薬」とは、哺乳動物の中枢神経系においてドーパミンの作用を少なくとも部分的に遮断するように作用する抗精神病薬をいう。
【0024】
[0031] 用語「クロザピン」とは、8−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピンをいう。
【0025】
[0032] 頭痛の重篤度の軽減に言及する際の用語「軽減」とは、抗精神病薬で治療した患者における頭痛の重篤度をプラセボで治療した患者または未治療の患者における頭痛の重篤度と比較した場合に、頭痛が軽くなることをいう。特定の実施形態では、軽減は統計的に有意である、例えばP≦0.05を有する。
【0026】
[0033] 用語「投与量」とは、頭痛の緩和を必要としている患者に投与する抗精神病薬の量をいう。
【0027】
[0034] 用語「ドロペリドール」とは、1−[1−[4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オンをいう。
【0028】
[0035] 用語「有効なヒトの治療投与量」とは、所望の効果または有効性が達成される抗精神病薬の量をいう。特定の実施形態では、所望の効果または有効性は症状の軽減であることができる。特定の実施形態では、所望の効果または有効性は症状の休止であることができる。
【0029】
[0036] 用語「フルペンチキソール」とは、4−[3−[2−(トリフルオロメチル)−9H−チオキサンテン−9−イリデン]プロピル]−1−ピペラジンエタノールをいう。
【0030】
[0037] 用語「フルフェナジン」とは、4−[3−[2−(トリフルオロメチル)−10H−フェノチアジン−10−イル]プロピル]−1−ピペラジン−エタノールをいう。
【0031】
[0038] 用語「抗精神病薬の割合」とは、エアロゾル粒子中に存在する抗精神病薬の量を、抗精神病薬の量とエアロゾル中に存在する抗精神病薬分解産物とを足したもので割った数字、すなわち(エアロゾル粒子中に存在する抗精神病薬の量)/((エアロゾル中に存在する抗精神病薬の量)+(エアロゾル中に存在するすべての抗精神病薬分解産物の量の和))をいう。用語「抗精神病薬パーセント」とは、抗精神病薬の割合に100%を掛けた数字をいう。
【0032】
[0039] 用語「抗精神病薬分解産物の割合」とは、エアロゾル粒子中に存在する抗精神病薬分解産物の量を、抗精神病薬の量とエアロゾル中に存在する抗精神病薬分解産物とを足したもので割った数字、すなわち(エアロゾル中に存在するすべての抗精神病薬分解産物の量の和)/((エアロゾル中に存在する抗精神病薬の量)+(エアロゾル中に存在するすべての抗精神病薬分解産物の量の和))をいう。用語「抗精神病薬分解産物パーセント」とは、抗精神病薬分解産物の割合に100%を掛けた数字をいい、一方エアロゾルの「純度」とは、100%から抗精神病薬分解産物パーセントを引いた数字をいう。抗精神病薬分解産物のバーセントまたは割合を決定するために、特定の実施形態では、エアロゾルをトラップで収集する。例示的なトラップには、それだけには限定されないが、フィルター、ガラスウール、インピンジャー、溶媒トラップ、および冷却トラップが含まれる。特定の実施形態では、その後にトラップを溶媒、例えばアセトニトリルで抽出し、抽出物を当分野で知られている様々な分析方法の任意のものによる分析に供する。特定の実施形態では、ガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーを使用する。例示的な非限定的な液体クロマトグラフィーの種類は、高速液体クロマトグラフィーである。
【0033】
[0040] 用語「所定の時間間隔」とは、投与した抗精神病薬が治療効果を有することが予測される期間、および/または抗精神病薬がピーク血漿濃度に達するか、もしくは近づくのにかかる時間をいう。
【0034】
[0041] 用語「ハロペリドール」とは、4−[4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−(4−フルオロフェニル)−1−ブタノンをいう。
【0035】
[0042] 用語「頭痛」とは、軽いから重篤な、頭に関する疼痛の状態をいい、背中上部または頚部の疼痛も含まれる。頭痛の例示的な種類には、それだけには限定されないが、偏頭痛、緊張型頭痛、および群発性頭痛が含まれる。
【0036】
[0043] 用語「無頭痛」とは、頭痛を患っている患者で、抗精神病薬の投与を開始した後に頭痛がなくなった者をいう。特定の実施形態では、頭痛鎮痛分類尺度(スコア1は鎮痛なしを示し、スコア2はある程度の鎮痛を示し、スコア3は中程度の鎮痛を示し、スコア4は大きな鎮痛を示し、スコア5は完全な鎮痛を示す)における患者のスコア5は、患者が無頭痛であることを示す。他の実施形態では、標準の4ポイント頭痛重篤度分類尺度(スコア0は頭痛が存在しないことを示し、スコア1は軽い頭痛を示し、スコア2は中程度の頭痛を示し、スコア3は重篤な頭痛を示す)における患者のスコア0は、患者が無頭痛であることを示す。
【0037】
[0044] 用語「頭痛の緩和」とは、患者に抗精神病薬の投与を開始した後の、頭痛を有する患者が患っている疼痛のレベルの軽減をいう。特定の実施形態では、頭痛重篤度分類尺度(スコア0は頭痛が存在しないことを示し、スコア1は軽い頭痛を示し、スコア2は中程度の頭痛を示し、スコア3は重篤な頭痛を示す)における患者のスコアが、抗精神病薬の投与を開始する前の患者のスコアより低いことは、患者が頭痛の緩和を体験していることを示す。他の実施形態では、頭痛鎮痛分類尺度(スコア1は鎮痛なしを示し、スコア2はある程度の鎮痛を示し、スコア3は中程度の鎮痛を示し、スコア4は大きな鎮痛を示し、スコア5は完全な鎮痛を示す)における患者のスコア2または3または4またはそれ以上は、患者が頭痛の緩和を体験していることを示す。
【0038】
[0045] 用語「イロペリドン」とは、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノンをいう。
【0039】
[0046] 用語「鼻腔内投与」とは、鼻腔内経路によって患者に抗精神病薬を投与することをいう。
【0040】
[0047] 用語「ロキサピン」とは、2−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)ジベンズ[b,f][1,4]オキサゼピンをいう。
【0041】
[0048] 用語エアロゾルの「空気動力学的中央粒径」または「MMAD」とは、MMADより大きい空気動力学的粒径を有する粒子がエアロゾルの粒子質量に半分寄与し、MMADより小さい空気動力学的粒径を有する粒子が半分寄与する空気力学的粒径をいう。
【0042】
[0049] 用語「メルペロン」とは、1−(4−フルオロフェニル)−4−(4−メチル−1−ピペリジニル)−1−ブタノンをいう。
【0043】
[0050] 用語「メソリダジン」とは、10−[2−(1−メチル−2−ピペリジニル)エチル]−2−(メチルスルフィニル)−10H−フェノチアジンをいう。
【0044】
[0051] 用語「モリンドン」とは、3−エチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−5−(4−モルホリニルメチル)−4H−インドール−4−オンをいう。
【0045】
[0052] 用語「非フェノチアジン系抗精神病薬」とは、フェノチアジン構造を含まない抗精神病薬のサブセットをいう。特定の実施形態では、非フェノチアジン系抗精神病薬は定型非フェノチアジン系抗精神病薬または非定型様非フェノチアジン系抗精神病薬である。特定の実施形態では、非フェノチアジン系抗精神病薬は非定型非フェノチアジン系抗精神病薬である。例示的な非フェノチアジン系抗精神病薬には、それだけには限定されないが、アミスルプリド、アリピプラゾール、クロルプロチキセン、クロザピン、ドロペリドール、フルペンチキソール、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、メルペロン、モリンドン、ピモジド、オランザピン、レモキシプリド、リスペリドン、チオチキセン、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールが含まれる。
【0046】
[0053] 用語「オランザピン」とは、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピンをいう。
【0047】
[0054] 用語「ピーク血漿濃度」とは、患者に抗精神病薬の投与を開始した後に患者の血漿中で得られる抗精神病薬の最大レベルをいう。
【0048】
[0055] 用語「ペルフェナジン」とは、4[3(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)プロピル]−1−ピペラジン−エタノールをいう。
【0049】
[0056] 用語「フェノチアジン系抗精神病薬」とは、フェノチアジン構造を含む古典的な抗精神病薬をいう。例示的なフェノチアジン系抗精神病薬には、それだけには限定されないが、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロメタジン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ならびにチオリダジン、メソリダジン、およびアセトフェナジンが含まれる。
【0050】
[0057] 用語「フェノチアジン構造」とは、1,3−および5,6−位で対称的に結合した2つの追加の六員芳香族炭素環を有する中心1,4−チアジン六員環を含む複素環構造をいう。典型的には、フェノチアジン構造を有するフェノチアジン系抗精神病薬は、2〜3個の原子分離れた末端第三級アミン基を有する鎖によって、N−10で置換されている。
【0051】
[0058] 用語「ピモジド」とは、1−[1−[4,4−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル]−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オンをいう。
【0052】
[0059] 用語「プロクロルペラジン」とは、2−クロロ−10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル−)プロピル]−10H−フェノチアジンをいう。
【0053】
[0060] 用語「プロメタジン」とは、10−(2−ジメチルアミノプロピル)−フェノチアジンをいう。
【0054】
[0061] 用語「レモキシプリド」とは、3−ブロモ−N−[[(2S)−1−エチル−2−ピロリジニル]メチル]−2,6−ジメトキシベンズアミドをいう。
【0055】
[0062] 用語「リスペリドン」とは、3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]エチル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オンをいう。
【0056】
[0063] 用語「自己投与する」または「自己投与」とは、患者が医療専門家から支援を受けずに薬物の単回または複数回の投与量を投与することをいう。自己投与経路は、薬物送達の任意の医学的に許容される経路であってよい。例示的な薬物送達経路には、それだけには限定されないが、鼻腔内経路、筋肉内経路、静脈内経路、経口経路、非経口経路、経皮経路、直腸経路、および吸入による経路が含まれる。
【0057】
[0064] 用語「セルチンドール」とは、1−[2−[4−[5−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−1−ピペリジニル]エチル]−2−イミダゾリジノンをいう。
【0058】
[0065] 用語「基準と比較して統計的に有意」とは、治療の開始後の特定の時点に測定した1人または複数人の患者の測定値が、治療前の1人または複数人の患者の同じ測定値と、2組の測定値を適切な統計的検定を用いて比較した場合にp値0.05によって統計的に有意に異なると示される場合をいう。
【0059】
[0066] 用語「プラセボと比較して統計的に有意」とは、薬物で治療した1人または複数人の患者の測定値が、プラセボで治療した1人または複数人の患者の同じ測定値と、2組の測定値を適切な統計的検定を用いて比較した場合にp値0.05によって統計的に有意に異なると示される場合をいう。
【0060】
[0067] 用語「治療的全身濃度」とは、抗精神病薬の治療効果が得られる患者の血流中の抗精神病薬の濃度をいう。例示的な非限定的な治療的全身濃度は、頭痛の重篤度の軽減が得られる患者の血流中の抗精神病薬の濃度である。
【0061】
[0068] 用語「熱蒸気」とは、エアロゾル、蒸気相、またはエアロゾルと蒸気相との混合物をいう。特定の実施形態では、熱蒸気を加熱によって形成する。特定の実施形態では、熱蒸気は薬物を含む。特定の実施形態では、熱蒸気は薬物および担体を含む。用語「蒸気相」とは、気相をいう。
【0062】
[0069] 用語「チオリダジン」とは、10−[2−(1−メチル−2−ピペリジニル)エチル]−2−(メチルチオ)−10H−フェノチアジンをいう。
【0063】
[0070] 用語「チオチキセン」とは、N,N−ジメチル−9−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピリデン]チオキサンテン−2−スルホンアミドをいう。
【0064】
[0071] 用語「トリフルオペラジン」とは、2−トリフルオロ−メチル−10−[3’−(1−メチル−4−p−ピペラジニル)−プロピル]フェノチアジンをいう。
【0065】
[0072] 用語「定型抗精神病薬」とは、非定型抗精神病薬を除外した、古典的な抗精神病薬である抗精神病薬をいう。
【0066】
[0073] 用語「定型非フェノチアジン系抗精神病薬」とは、フェノチアジン系抗精神病薬を除外した定型抗精神病薬をいう。例示的な定型非フェノチアジン系抗精神病薬には、それだけには限定されないが、クロルプロチキセン、ドロペリドール、フルペンチキソール、ハロペリドール、ロキサピン、メルペロン、モリンドン、ピモジド、チオチキセン、およびズクロペンチキソールが含まれる。
【0067】
[0074] 用語「ジプラシドン」とは、5−[2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニル]エチル]−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンをいう。
【0068】
[0075] 用語「ゾテピン」とは、2−[(8−クロロジベンゾ[b,f]チエピン−10−イル)オキシ]−N,N−ジメチルエタンアミンをいう。
【0069】
[0076] 用語「ズクロペンチキソール」とは、4−[(3Z)−3−(2−クロロ−9H−チオキサンテン−9−イリデン)プロピル]−1−ピペラジンエタノールをいう。
【0070】
本発明の特定の実施形態
方法の実施形態
[0077] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に、抗精神病薬を含む組成物を吸入によって投与することを含む、頭痛の治療方法を提供する。
【0071】
[0078] 特定の実施形態では、抗精神病薬は、アセトフェナジン、アリザプリド、アミスルプリド、アモキサピン、アムペロジド、アリピプラゾール、ベンペリドール、ベンズキナミド、ブロムペリドール、ブラマート、ブタクラモール、ブタペラジン、カルフェナジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロマクラン、クロペンチキソール、クロスピラジン、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、メルペロン、メソリダジン、メトフェナゼート、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロメタジン、オランザピン、ペンフルリドール、ペリシアジン、ピパメロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、プロマジン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スピペロン、スルピリド、チオチキセン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリフルペリドール、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールから選択される。
【0072】
[0079] 特定の実施形態では、抗精神病薬はフェノチアジン系抗精神病薬である。特定の実施形態では、フェノチアジン系抗精神病薬は、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロメタジン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ならびにチオリダジン、メソリダジン、およびアセトフェナジンから選択される。特定の実施形態では、抗精神病薬は、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、およびペルフェナジンから選択される。特定の実施形態では、抗精神病薬はプロクロルペラジンである。特定の実施形態では、プロクロルペラジンを吸入によって投与する。特定の実施形態では、プロクロルペラジンの吸入は気管支収縮に持続性の影響を与えない。特定の実施形態では、2種類以上のフェノチアジン系抗精神病薬を組み合わせる。
【0073】
[0080] 特定の実施形態では、頭痛を治療するために患者に投与したフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、頭痛の治療において当分野でこれまで使用されてきたフェノチアジン系抗精神病薬の投与量よりも実質的に低い。特定の実施形態では、吸入によって投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約0.1mg〜5mgのフルフェナジンまたはトリフルオペラジンである。特定の実施形態では、吸入によって投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、または5mgのフルフェナジンまたはトリフルオペラジンである。特定の実施形態では、吸入によって投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約3mg〜40mgのクロルプロマジン、チオリダジン、またはメソリダジンである。特定の実施形態では、フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、3mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15.0mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、または40mgのクロルプロマジン、チオリダジン、またはメソリダジンである。特定の実施形態では、吸入によって投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約0.5mg〜18mgのプロクロルペラジン、ペルフェナジン、アセトフェナジン、またはプロメタジンである。特定の実施形態では、吸入によって投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、0.5mg、1mg、1.25mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、または18mgのプロクロルペラジン、ペルフェナジン、アセトフェナジン、またはプロメタジンである。特定の実施形態では、静脈内投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約1〜9mgのプロクロルペラジンである。特定の実施形態では、静脈内投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約1〜5mgのプロクロルペラジンである。特定の実施形態では、静脈内投与するフェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、0.5mg、1mg、1.25mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、または9mgのプロクロルペラジンである。
【0074】
[0081] 特定の実施形態では、フェノチアジン系抗精神病薬は、約1〜18mgの投与量で吸入によって投与したプロクロルペラジンである。Bowden他、Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.15(6):457〜463(1988)は、喘息を治療するために10mg/mLのフェノチアジン系抗精神病薬であるトリフルオペラジンを吸入することにより、その抗精神病薬で治療した患者において顕著な気管支収縮が生じたことを報告している。特定の実施形態では、抗精神病薬の吸入によって実質上気管支収縮は生じない。
【0075】
[0082] 特定の実施形態では、抗精神病薬は定型非フェノチアジン系抗精神病薬である。特定の実施形態では、定型非フェノチアジン系抗精神病薬は、アミスルプリド、アリピプラゾール、クロルプロチキセン、ドロペリドール、フルペンチキソール、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、メルペロン、モリンドン、ピモジド、レモキシプリド、チオチキセン、およびズクロペンチキソールから選択される。特定の実施形態では、2種類以上の定型非フェノチアジン系抗精神病薬を組み合わせる。
【0076】
[0083] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に投与した定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は50mg以下である。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約0.1〜10mgのハロペリドール、イロペリドン、ドロペリドール、またはピモジドである。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5mg、5.25mg、5.5mg、5.75mg、6mg、6.5mg、6.75mg、7mg、7.25mg、7.5mg、7.75mg、8mg、8.25mg、8.5mg、8.75mg、9mg、9.25mg、9.5mg、9.75mg、または10mgのハロペリドール、イロペリドン、ドロペリドール、またはピモジドである。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、1mg〜25mgのアリピプラゾール、ロキサピン、モリンドン、チオチキセン、フルペンチキソール、ズクロペンチキソール、またはゾテピンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、1mg、1.25mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、18mg、18.5mg、19mg、19.5mg、20mg、20.5mg、21mg、21.5mg、22mg、22.5mg、23mg、23.5mg、24mg、24.5mg、または25mgのアリピプラゾール、ロキサピン、モリンドン、チオチキセン、フルペンチキソール、ズクロペンチキソール、またはゾテピンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約3mg〜50mgのアミスルプリド、クロルプロチキセン、レモキシプリドまたはメルペロンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、3mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、または50mgのアミスルプリド、クロルプロチキセン、レモキシプリドまたはメルペロンである。
【0077】
[0084] 特定の実施形態では、抗精神病薬は非定型非フェノチアジン系抗精神病薬である。特定の実施形態では、非定型抗精神病薬は、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、ジプラシドン、およびゾテピンから選択される。特定の実施形態では、2種類以上の非定型非フェノチアジン系抗精神病薬を組み合わせる。
【0078】
[0085] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者に投与した非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は50mg以下である。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約0.1mg〜10mgのオランザピンまたはリスペリドンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5mg、5.25mg、5.5mg、5.75mg、6mg、6.5mg、6.75mg、7mg、7.25mg、7.5mg、7.75mg、8mg、8.25mg、8.5mg、8.75mg、9mg、9.25mg、9.5mg、9.75mg、または10mgのオランザピンまたはリスペリドンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約1mg〜25mgのセルチンドール、ゾテピンまたはジプラシドンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、1mg、1.25mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、18mg、18.5mg、19mg、19.5mg、20mg、20.5mg、21mg、21.5mg、22mg、22.5mg、23mg、23.5mg、24mg、24.5mg、または25mgのセルチンドール、ゾテピンまたはジプラシドンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、約3mg〜50mgのクエチアピンまたはクロザピンである。特定の実施形態では、吸入によって投与する非定型非フェノチアジン系抗精神病薬の投与量は、3mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、または50mgのクエチアピンまたはクロザピンである。
【0079】
[0086] 特定の実施形態では、治療する頭痛は、偏頭痛、緊張型頭痛、および群発性頭痛のうちの少なくとも1つから選択される。特定の実施形態では、治療する頭痛は、偏頭痛、緊張型頭痛、および群発性頭痛のうちの2種類以上の組合せである。特定の実施形態では、頭痛は非特異的な種類のものである。特定の実施形態では、頭痛は背中上部または頚部の疼痛から生じる。
【0080】
[0087] 特定の実施形態では、抗精神病薬は任意の医学的に許容される薬物送達経路を用いて投与する。例示的な非限定的な薬物送達経路には、それだけには限定されないが、鼻腔内経路、筋肉内経路、静脈内経路、経口経路、非経口経路、経皮経路、および直腸経路が含まれる。
【0081】
[0088] 特定の実施形態では、抗精神病薬を経口投与する。抗精神病薬の経口投与を行うための例示的な非限定的な方法には、それだけには限定されないが、錠剤、発泡錠、カプセル、顆粒、および散剤が含まれる。特定の実施形態では、薬理学的に活性のある成分を不活性な固体希釈剤と混合する。例示的な不活性な固体希釈剤には、それだけには限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびカオリンが含まれる。特定の実施形態では、抗精神病薬を軟ゼラチンカプセルの形態で提供し、活性成分を油性媒体、例えばそれだけには限定されないが流動パラフィンまたはオリーブ油と混合する。特定の実施形態では、抗精神病薬を口腔から局所投与する。局所投与を行うための例示的な非限定的な方法には、それだけには限定されないが、バッカル錠、舌下錠、ドロップ、およびロゼンジが含まれる。
【0082】
[0089] 特定の実施形態では、抗精神病薬を注射によって投与する。抗精神病薬の注射の例示的な非限定的な種類には、それだけには限定されないが、例えばボーラス注射または持続静脈内注入による、静脈内注射、筋肉内注射および皮下注射が含まれる。特定の実施形態では、注射用の製剤を単位剤形、例えばアンプルで、または複数回投与量の容器中で、1種または複数種の保存料を加えてまたは加えずに提供し得る。特定の実施形態では、注射用の製剤は、油状または水性媒体中の懸濁液、液剤、または乳剤などの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの調合用剤を含んでもよい。特定の実施形態では、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば無菌的な発熱物質を含まない水で希釈するための散剤形態であってもよい。
【0083】
[0090] 特定の実施形態では、抗精神病薬を、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの特定の慣用の坐薬基剤を含む、坐薬または保留浣腸などの直腸組成物中に製剤化し得る。
【0084】
[0091] 特定の実施形態では、抗精神病薬を吸入によって投与する。特定の実施形態では、吸入による投与により、注射の必要なしに迅速な薬物の吸収がもたらされる。特定の実施形態では、抗精神病薬の吸入による投与は、患者が口腔または肺管内の気管内チューブによって組成物を吸入するように、エアロゾル形態で患者に組成物を投与することによって行う。特定の実施形態では、吸入による投与は吸入送達装置によって行う。特定の実施形態では、吸入による投与はStaccato(商標)吸入用プロクロルペラジンを用いて行う。非限定的な例示的な吸入送達装置には、それだけには限定されないが、噴霧器、定量吸入器、ドライパウダー吸入器または当業者に知られている他の吸入器が含まれる。
【0085】
[0092] 非限定的な例示的な吸入装置は、例えばどちらも2003年8月4日出願の米国特許出願第10/633,876号および米国第10/633,877号に開示されている。特定の例示的な装置は、抗精神病薬の膜を付着させる熱伝導基材を含む。特定の実施形態では、基材の表面積は、対象が使用した際に治療投与量の抗精神病薬のエアロゾルを与えるのに十分である。特定の実施形態では、所望の投与量および選択した抗精神病薬の膜厚により、以下の関係に従って最少の最適基材面積が決定される:膜厚(cm)×抗精神病薬の密度(g/cm)×基材面積(cm)=投与量(g)。特定の実施形態では、5mgの投与量のプロクロルペラジンについて計算された基材面積は約2.5〜500cmであり、膜厚は約0.1〜20μmである。
【0086】
[0093] 特定の実施形態によれば、基材を形成するために使用する特定の熱伝導材が知られている。例示的な非限定的な熱伝導材には、それだけには限定されないが、金属、合金、セラミック、および充填ポリマーが含まれる。様々な実施形態において、熱伝導基材は任意の幾何学であってもよい。特定の実施形態では、熱伝導基材は、表面上の抗精神病薬膜から気化した抗精神病薬の分子が、(i)他の熱い蒸気分子、(ii)領域を取り囲む熱い気体、および/または(iii)基材表面、と接触することによって分解するだけの十分なエネルギーを獲得する可能性が低いように、表面の不規則性が比較的少ないまたは実質的にない表面を有する。特定の実施形態では、表面上の抗精神病薬膜から気化した抗精神病薬の分子が化学結合の切断をもたらすほどの十分なエネルギーを獲得しない場合は、抗精神病薬の分解が低減される。特定の実施形態では、表面の上方の気体の速度勾配が迅速に増大することにより加熱された表面の上方の熱い気体領域が最小限となり、気化した抗精神病薬がより冷たい環境へと移行する時間が低減される。例示的な非限定的な基材は、それだけには限定されないが、金属箔、滑らかな金属表面、および非多孔性セラミックを含めた、不透過性の表面または不透過性の表面被覆を有するものである。
【0087】
[0094] 特定の実施形態では、基材上に付着させた抗精神病薬の膜は約0.05μm〜20μmの厚さを有する。特定の実施形態では、所定の抗精神病薬の膜厚は、基材を加熱し、蒸気をガス流に乗せることで抗精神病薬を気化することによって形成した抗精神病薬のエアロゾル粒子が(i)10重量%以下の抗精神病薬分解産物および(ii)膜中に含まれる抗精神病薬の全量の少なくとも50%を有するようにした。特定の場合では、より薄い抗精神病薬膜は、より厚い抗精神病薬膜よりも純粋な抗精神病薬粒子をもたらす。特定の実施形態では、エアロゾルの純度および/または収率を増加させるために抗精神病薬の構造および/または形態を調節する。特定の実施形態では、エアロゾルの純度および/または収率を増加させるために熱蒸気を不活性雰囲気中、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性気体中で生じさせる。特定の実施形態では、得られるエアロゾルの純度および/または収率に影響を与える抗精神病薬の別の形態、例えばプロドラッグ、遊離塩基、遊離酸、塩の形態を使用する。
【0088】
[0095] 抗精神病薬を基材上に付着させる例示的な非限定的な方法には、それだけには限定されないが、(i)溶媒中の抗精神病薬の溶液を調製し、溶液を基材の外側表面に塗布し、溶媒を除去して抗精神病薬の膜を残す方法、(ii)基材を抗精神病薬溶液中に浸漬すること、または噴霧、刷毛塗り、もしくは他の方法で溶液を基材に付けることによって抗精神病薬を基材に付着させる方法、および(iii)抗精神病薬の溶融物を調製し、それを基材に付着させる方法が含まれる。
【0089】
[0096] 特定の実施形態では、吸入送達装置は固体基材中に内蔵された加熱素子を含む。特定の実施形態では、吸入送達装置は、中空の基材の中空空間内に挿入された加熱素子を含む。例示的な非限定的な加熱素子には、それだけには限定されないが、電線に電流が流れる際に熱を発する電気抵抗線、固体化学燃料、発熱反応を起こす化学成分、および誘導熱が含まれる。特定の実施形態では、基材を伝導加熱によって加熱する。特定の実施形態では、吸入送達装置のハウジング上の使用者起動機構によって、または呼吸作動によって基材の加熱を作動させることができる。特定の非限定的な例示的な起動機構が当分野で知られている。特定の実施形態では、吸入送達装置は、適切な場合は電源および弁をさらに含む。
【0090】
[0097] 特定の実施形態では、熱源は、少なくとも約200℃の基材温度に達する発熱率で基材に熱を供給するのに有効なものである。特定の実施形態では、基材温度は約200℃〜500℃である。例示的な非限定的な基材温度には、それだけには限定されないが、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、または約500℃である。特定の実施形態では、使用する温度により、約0.5〜2秒以内に基材から抗精神病薬のかなりの揮発が生じる。
【0091】
[0098] 特定の実施形態では、吸入送達装は、凝縮領域を流れる気流速度を選択した気流速度に制限するための気流制御弁を含む。例えば、特定の実施形態では、空気が使用者の口腔からチャンバ内に引き込まれてチャンバを通る間に、気流制御弁はチャンバを流れる空気流を制限する。特定の実施形態では、吸入送達装置は、装置を通る全空気流量を制御するための1つまたは複数の追加の弁を含む。特定の実施形態では、気流制御弁は、装置内へと引き込まれる空気を、選択した大きさのエアロゾル粒子を生じさせるために選択した空気流速に対応する事前に選択したレベル、例えば約15L/分に制限するよう作動する。特定の実施形態では、選択された空気流レベルに達した後は、装置内に引き込まれた追加の空気がバイパス弁全体にわたって圧力低下をもたらし、これによりその後、バイパス弁を通って使用者の口腔に隣接する装置の末端内へと流れる空気流が調整される。
【0092】
[0099] 特定の実施形態では、気流制御弁および1つまたは複数のバイパス弁を使用して基材チャンバを通る気体速度を制御し、これにより蒸気の凝縮によって生じるエアロゾル粒子の粒子径を制御し得る。特定の実施形態では、エアロゾルの粒子径分布は抗精神病薬の濃度によって決定される。特定の実施形態では、基材チャンバの凝縮領域を通る気体速度を変えることによって、抗精神病薬の小さめまたは大きめの粒子が得られる。特定の実施形態では、実質的に滑らかな表面の壁を有する凝縮チャンバおよび約4L/分〜50L/分の範囲の気流速度を使用することによって、約1μm〜3.5μmのMMADの粒子径範囲の凝縮粒子が生じる。特定の実施形態では、基材チャンバの凝縮領域の断面を修正して所定の流速量のために直線気体速度を増加または低下させることによって粒子径を変化させ得る。特定の実施形態では、粒子径は、チャンバ内に乱れを生じさせる構造の有無によって変化し得る。
【0093】
[00100] 特定の実施形態では、熱蒸気のバイオアベイラビリティは、熱蒸気化に供した抗精神病薬の量の約20%〜100%の範囲である。特定の実施形態では、熱蒸気のバイオアベイラビリティは、静脈内注入した抗精神病薬のバイオアベイラビリティに対して50〜100%の範囲である。特定の実施形態では、血漿中の抗精神病薬の濃度単位あたりの熱蒸気抗精神病薬の効力は、他の投与経路によって送達した抗精神病薬の効力と同等であるかそれよりも高い。特定の実施形態では、熱蒸気の送達は、血漿中の抗精神病薬の濃度と比較して脳などの標的器官における抗精神病薬の濃度の増加をもたらす。例えば、Lichtman他、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、279:69〜76(1996)は、脳への到達性が高まったことにより、静脈内投与した場合より、吸入によって投与したオピオイドが高い効力を有することを示唆する試験を考察した。特定の実施形態では、熱蒸気形態の抗精神病薬の単位投与量は、標準の経口または静脈内投与量と同等またはそれ未満である。
【0094】
[00101] 特定の実施形態では、頭痛を治療するために使用する熱蒸気の適切な投与量の決定を、動物実験および/または投与量設定(フェーズI/II)臨床治験を用いて行うことができる。特定の実施形態では、試験動物を抗精神病薬の熱蒸気に曝した後に血漿中の抗精神病薬の濃度の測定を行った。実施例1に記載の非限定的な例を参照されたい。特定の実施形態では、動物実験を熱蒸気の肺毒性の可能性を評価するためにも使用し得る。試験動物がヒトに類似した呼吸器系を有していれば動物実験の結果をヒトに正確に外挿することが容易になるので、イヌまたは霊長類などの哺乳動物が有用な試験動物である。実施例1に記載の非限定的な例を参照されたい。特定の実施形態では、動物実験を哺乳動物における行動学的または生理的応答を監視するためにも使用し得る。特定の実施形態では、ヒトにおける試験での開始投与量レベルは一般に、以下の投与量のうち最も低いものより低いまたはそれと同じとする:現在の標準の静脈内投与量、現在の標準の経口量、哺乳動物実験において生理的または行動学的応答が得られた投与量、およびヒトにおける抗精神病薬の治療効果に関連する血漿中の抗精神病薬のレベルをもたらした哺乳動物モデルにおける投与量。特定の実施形態では、その後、最適な治療応答が得られるか、投与量を制限する毒性に達するまで、ヒトへの投与量を増加してもよい。
【0095】
[00102] 特定の実施形態では、抗精神病化合物をエアロゾルとして送達する。特定の実施形態では、エアロゾル粒子の空気動力学的中央粒径(MMAD)は約5μm未満である。特定の実施形態では、エアロゾル粒子のMMADは約3μm未満である。特定の実施形態では、MMADは約1〜5μmの範囲内にある。
【0096】
[00103] 特定の実施形態では、抗精神病薬を含む組成物は、ヒトへの投与に適した希釈剤をさらに含む。特定の実施形態では、希釈剤は水、生理食塩水、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、またはそれらの混合物である。
【0097】
[00104] 特定の実施形態では、抗精神病薬を単一の化合物として送達する。特定の実施形態では、複数種の抗精神病薬を1つの組成物中で使用するか、個別に投与する。特定の実施形態では、抗精神病薬を1つの組成物中で使用するか、疼痛の管理に利用される1種または複数種の追加の化合物と共に個別に投与する。疼痛の管理に利用される非限定的な例示的な化合物には、それだけには限定されないが、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、精神刺激剤、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、および当業者に知られている他の化合物が含まれる。
【0098】
[00105] 特定の実施形態では、特定の患者における抗精神病薬の実際の有効量は、利用する具体的な抗精神病薬または抗精神病薬の組合せ;調合した具体的な組成物;投与方法;患者の年齢、体重、および状態;ならびに治療する発作の重篤度のうち少なくとも1つに応じて変化し得る。
【0099】
[00106] 特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者は動物である。特定の実施形態では、動物は哺乳動物である。特定の実施形態では、頭痛の緩和を必要としている患者はヒト患者である。
【0100】
[00107] 特定の実施形態では、患者に抗精神病薬の投与を開始した後迅速に患者におけるピーク血漿濃度が得られる投与経路によって、抗精神病薬を送達する。特定の実施形態では、ピーク血漿濃度は抗精神病薬の投与開始後20分以内に得られる。特定の実施形態では、ピーク血漿濃度は抗精神病薬の投与開始後15分以内に得られる。特定の実施形態では、ピーク血漿濃度は抗精神病薬の投与開始後1分、2分、3分、5分、10分、15分、または30分以内に得られる。
【0101】
[00108] 特定の実施形態では、患者の血漿中の抗精神病薬の濃度が、吸入による投与開始の2分以内にピーク血漿濃度の少なくとも30%となる。特定の実施形態では、患者の血漿中の抗精神病薬の濃度は、吸入による投与開始の1分、2分、3分、5分、10分、15分、または30分以内にピーク血漿濃度の少なくとも30%となる。
【0102】
[00109] 特定の実施形態では、患者に抗精神病薬の投与を開始した後迅速に患者における抗精神病薬の治療的全身濃度が得られる投与経路によって、抗精神病薬を送達する。特定の実施形態では、抗精神病薬の治療的全身濃度は投与開始の30分以内に得られる。特定の実施形態では、抗精神病薬の治療的全身濃度は投与開始の15分以内に得られる。特定の実施形態では、抗精神病薬の治療的全身濃度は、抗精神病薬がプロクロルペラジンである場合に投与開始の1分、2分、3分、5分、10分、15分、または30分以内に得られる。特定の実施形態では、抗精神病薬の治療的全身濃度は20ng/mL以下である。特定の実施形態では、治療的全身濃度は、投与の1分、2分、3分、5分、10分、15分、または30分以内において、1ng/mL、1.5ng/mL、2.0ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、7.5ng/mL、10.0ng/mL、12.5ng/mL、または15ng/mLのプロクロルペラジンである。
【0103】
[00110] 特定の実施形態では、本方法は迅速な頭痛の緩和を提供する。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後30分以下の時点で、患者において頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後15分以下の時点で、患者において頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後5分以下の時点で、患者において頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、75分、90分、105分、または120分の時点で、頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後12時間以上の時点で、患者において頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、または24時間以上の時点で、頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後30分以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した後4時間以上の時点で、患者において頭痛の重篤度が軽減されている。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した後12時間以上の時点で、頭痛の重篤度が軽減されている。
【0104】
[00111] 特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後約5分〜120分の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、75分、90分、105分、または120分の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後約2時間〜24時間以上の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、または24時間以上の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後30分以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した後4時間以上の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した後12時間以上の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である。
【0105】
[00112] 特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後15分以下の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後約5分〜120分の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、75分、90分、105分、または120分の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後約2時間〜24時間以上の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、または24時間以上の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後30分以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した後4時間以上の時点で、患者の頭痛がない。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与を開始した後2時間以下の時点、および抗精神病薬の投与を開始した12時間以上の時点で、患者の頭痛がない。
【0106】
[00113] 特定の実施形態では、患者は単回または複数回の投与量の抗精神病薬を自己投与する。特定の実施形態では、患者は抗精神病薬の第1投与量を自己投与し、所定の時間間隔の後に緩和を評価し、十分な頭痛の緩和が得られていない場合は、単回または複数回の追加の投与量の抗精神病薬を自己投与する。特定の実施形態では、第1投与量は、約0.5mg〜18mgの抗精神病薬である。特定の実施形態では、第1投与量は、0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、または18mgの抗精神病薬である。特定の実施形態では、単回または複数回の追加の投与量は、約1mg〜18mgの抗精神病薬である。特定の実施形態では、単回または複数回の追加の投与量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、または18mgの抗精神病薬である。特定の実施形態では、所定の時間間隔は、抗精神病薬がピーク血漿濃度にほぼ近づくのにかかる時間である。特定の実施形態では、所定の時間間隔は20分以下である。特定の実施形態では、所定の時間間隔は、1分間、2分間、5分間、7.5分間、10分間、12.5分間、15分間、20分間、30分間、60分間、または120分間である。特定の実施形態では、患者は頭痛を軽減させるために5回以下の投与量の抗精神病薬を自己投与する。特定の実施形態では、患者は頭痛の緩和を本質的に判定することができ、これにより鎮静およびアカシジアなどの副作用を軽減することができる。
【0107】
[00114] 特定の実施形態では、抗精神病薬はプロクロルペラジンである。特定の実施形態では、6mg未満のプロクロルペラジンを投与する。特定の実施形態では、抗精神病薬の投与は吸入によって行う。特定の実施形態では、吸入する抗精神病薬は、プロクロルペラジンを含む凝縮エアロゾルである。
【0108】
キットの実施形態
[00115] 特定の実施形態では、抗精神病薬および吸入送達装置を含む、頭痛を治療するためのキットを提供する。特定の実施形態では、抗精神病薬は、アセトフェナジン、アリザプリド、アミスルプリド、アモキサピン、アムペロジド、アリピプラゾール、ベンペリドール、ベンズキナミド、ブロムペリドール、ブラマート、ブタクラモール、ブタペラジン、カルフェナジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロマクラン、クロペンチキソール、クロスピラジン、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、メルペロン、メソリダジン、メトフェナゼート、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロメタジン、オランザピン、ペンフルリドール、ペリシアジン、ピパメロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、プロマジン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スピペロン、スルピリド、チオチキセン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリフルペリドール、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールから選択される。特定の実施形態では、キットはフェノチアジン系抗精神病薬を含む。特定の実施形態では、キットは、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロメタジン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、およびアセトフェナジンから選択されるフェノチアジン系抗精神病薬を含む。特定の実施形態では、フェノチアジン系抗精神病薬は、約1〜18mgのプロクロルペラジンである。
【0109】
[00116] 特定の実施形態では、キットは複数のフェノチアジン系抗精神病薬の投与量を含む。特定の実施形態では、キットは使用説明書をさらに含む。特定の実施形態では、キットは凝縮エアロゾルを生じる吸入送達装置を含む。
【実施例】
【0110】
実施例1:ビーグル犬における、吸入されたプロクロルペラジン凝縮エアロゾルの毒物動態試験。
[00117] 本試験では、ビーグル犬の5日間の繰返し投与試験における、口咽頭吸入によって送達したプロクロルペラジンのエアロゾルの全身性の吸収を調査した。本試験は、受託試験機関CTBRの標準操作手順およびFDA基準の優良試験所基準(GLP)に従って、カナダのCTBRで実施した。
【0111】
[00118] 3匹の雄および3匹の雌のビーグル犬をCovance Research Product、Route2、Box113、Cumberland、VA 23040から購入した。イヌは約7カ月〜10カ月齢であり、治療の開始時に6kg〜12kgであった。動物をバータイプの床および自動給水弁を備えたステンレス鋼製ケージで個別に飼育した。各動物を一方の耳介の腹側に番号および/または文字を永久入墨することによって一意的に特定した。各ケージをプロジェクト、群、動物番号、入墨番号、および性別を示す色分けしたケージカードで明確に標示した。動物室の環境条件は標準化した。温度は20℃±3℃に維持し、湿度は50%±20%湿度に保ち、光サイクルは指定した手順の間以外は12時間明るく12時間暗くした。動物を実験室環境に慣れさせるために、動物の受け取りから治療の開始までの間に約3週間の順化期間をもたせた。
【0112】
[00119] すべての動物に、指定した手順の間以外は標準の認定された市販のペレット状ドッグフード(400g−PMI Certified Dog Chow5007:PMI Nutrition International Inc.)を自由摂取させた。食餌中の汚染物質(例えば重金属、アフラトキシン、有機リン酸化合物、塩素化炭化水素、およびPCB)の許容可能な最大濃度は制御した。軟化され、逆浸透によって精製され、紫外光に曝された自治体の水道水は、指定した手順の間以外は自由摂取させた。吸気チューブおよび排気チューブを取り付けた口咽頭顔面マスクを用いて、動物を抗精神病薬のエアロゾルで治療した。このマスクはプラスチック製シリンダーを含んでおり、鼻がシリンダー内にあり動物が短いチューブから口呼吸するようにイヌの鼻口部に取り付けた。試験抗精神病薬は、有機溶媒に溶かしたプロクロルペラジン溶液中にステンレス鋼箔を浸漬被覆することによって箔上に形成させた約8ミクロン厚のプロクロルペラジン膜を約400℃まで加熱することによって、プロクロルペラジン気化させて作製した。気化したプロクロルペラジンの凝縮によって形成されたエアロゾルを、事前に乾燥させた圧縮空気を用いて混合チャンバ内に導入した。混合チャンバは、排気ライン中に位置する仕切弁によって僅かに陽圧に維持しながら稼動した。所要の流速で吸入チャンバを排気し、建物から空気を放出する前に汚染空気(過剰のエアロゾルおよび呼気)を5μmの粗いフィルターを含む精製システムを通して吸い込むために、真空ポンプを使用した。生じたガス体を、送達チューブによってイヌ用マスクまで運んだ。治療の間、動物に拘束帯をした。
【0113】
[00120] チャンバのガス体の濃度の均質性は、混合チャンバの外周の周りに位置する2つの等距離に配置したイヌ用呼吸口からのプロクロルペラジン含有量の重量分析およびHPLC分析用にフィルター試料を2つ組で採取することによって決定された。チャンバ内における全プロクロルペラジン分布のばらつき、およびプロクロルペラジン分布の呼吸口内のばらつきを評価するために、参照呼吸口からも追加の試料を採取した。この分析から得られた結果により均一なエアロゾル分布が実証された。
【0114】
[00121] エアロゾルの粒径分布の分析を、カスケードインパクター(cascade impactor)を用いて実施した。本方法には、一連の粒子径範囲への分類、次いで重量分析およびHPLC分析が含まれていた。空気動力学的中央粒径およびその幾何標準偏差(MMAD±GSD)は、Andersen Operating Manual TR#76−900016に基づいたコンピュータプログラムを用いて、重量分析およびHPLCデータから計算し、約1.5μm±2μmであることが判明した。
【0115】
[00122] 活性成分(プロクロルペラジン)(mg/kg/日)の到達投与量は以下のように決定した。以下の表中の数値は試験したイヌすべてのパラメータの平均値である(N=3匹の雄およびN=3匹の雌)。
【0116】
【表1】

【0117】
[00123] 上述のように、エアロゾルを用いて毎日10分間、5日間連続してイヌを治療した。最初と最後の日(1日目および5日目)の、吸入開始の2分後、投与の直後、ならびに投与した20分、1.5時間、6時間、および24時間後(すなわち吸入開始の10分、30分、100分、370分および1450分後)に、毒物動態学的分析用に血漿試料を採取した。5日目には、投与直前にも試料を採取した。試料は、プロクロルペラジンの血漿濃度分析を行うまで−80℃で保存した。
【0118】
[00124] 試料中のプロクロルペラジンの血漿濃度を、確証された分析方法を用いる液体クロマトグラフィー−質量分析/質量分析(「LC−MS/MS」)によって測定した。2ng/mL〜400ng/mLの公称濃度範囲にまたがる検量線を使用した。各試験試料(EDTAを含むイヌの血漿)に一定分量の内部標準(トリチウム化プロクロルペラジン)を加えた。その後、試料を炭酸水素ナトリウム溶液およびアセトニトリルと混合して分析した(注入体積5μL)。クロマトグラフィー装置は、UpChurchA−355PeekプリカラムフィルターおよびA−707Peek Fritならびに長さ50mmおよび内径3mmのPhenomenex Synergi Hydro−RP(4μmビーズ、孔径80オングストローム)メインカラムを用いたAgilent1100シリーズのHPLCであった。クロマトグラフィー条件は、温度は45℃であり、移動相A(「A」)は10mMの酢酸アンモニウム緩衝水溶液(pH3)であり、移動相B(「B」)は0.05%のギ酸のアセトニトリル溶液であり、開始条件は最初の0.5分間が30%のBであり、その後2.5分間かけて90%のBへ傾斜し(2分間維持する)、その後0.2分間かけて30%のBへと傾斜し(0.8分間維持する)、ランニング時間は合計で6分間、流速は合計で0.5mL/分であった。MS/MS装置は、エレクトロスプレー陽イオン化およびMRMスキャン(multiple reaction monitoring scanning)のできるMDS Sciex API3000システムであった。上記条件下で、プロクロルペラジン(分子量374)は、内部標準(分子量377)と同様に3.3分に溶出された。この分析方法の変動係数は、6ng/mL、60ng/mL、および300ng/mLの較正標準を用いて決定した。変動係数は≦5%であることが判明した。
【0119】
[00125] イヌからの結果は以下の通りであった(同じ性別の3匹のイヌ間のプロクロルペラジンの平均濃度、ng/mL±標準偏差)。
【0120】
【表2】

【0121】
個別の動物の結果は図1A(治療前から治療後24時間まで)および図1B(図1Aに示すものと同一のデータであるが治療開始時から治療後6.4時間までに注目している)に示す。
【0122】
[00126] 5日目における投与前のプロクロルペラジンの濃度は、雄では3匹のイヌで19ng/mL、30ng/mL、および10ng/mLであり、雌では3匹のイヌで40ng/mL、23ng/mL、および341ng/mLであった。
【0123】
[00127] 本試験では、エアロゾルを投与した後にプロクロルペラジンの血漿濃度が迅速に上昇し、プロクロルペラジンの吸入のほぼ最後に血漿濃度のピークが得られた。プロクロルペラジンの血漿濃度の上昇率は>4ng/mL/分、>8ng/mL/分、およびさらには>20ng/mL/分であることが判明した。およそ少なくとも0.5ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、4ng/mL、8ng/mL、およびさらには15ng/mLの治療的血漿レベルがプロクロルペラジンの投与を開始した10分以内、さらにはプロクロルペラジンの投与を開始した2分以内に得られた。
【0124】
実施例2:ビーグル犬における、17日間の繰返し投与により吸入されたプロクロルペラジン凝縮エアロゾルの毒性試験
[00128] 本試験では、ビーグル犬の17日間の繰返し投与試験における、口咽頭吸入によって送達した3つの異なる投与量のプロクロルペラジンのエアロゾルの潜在的な毒性を調査した。
【0125】
[00129] 本試験は実施例1と同じ場所で実施し、実施例1と同じ標準操作手順および優良試験所基準の要件を用いた。ビーグル犬を同じ供給元から購入し、実施例1に記載のように飼育および特定した。動物室の環境条件は実施例1に記載のものと同じであった。実施例1と同様に、動物を実験室環境に慣れさせるために、動物の受け取りから治療の開始までの間に約3週間の順化期間をもたせた。
【0126】
[00130] 抗精神病薬の投与を開始する前にすべての動物の体重を量り、ランダム化手順を用いて治療群を割り当てた。ランダム化は、体重をパラメータとして用いた層別化によるものであった。雄と雌とは別々にランダム化した。同腹仔がすべての群にわたって均一に分布されていることを保証するために、最終的な動物の割り当てを確認した。動物を割り当てた群は以下の通りである:繰返し投与、プロクロルペラジン2mg/kg(3匹の雄および3匹の雌)、繰返し投与、プロクロルペラジン0.5mg/kg(3匹の雄および3匹の雌)、繰返し投与、プロクロルペラジン0.125mg/kg(3匹の雄および3匹の雄)ならびに溶媒対照繰返し投与(3匹の雄および3匹の雌)。
【0127】
[00131] 口咽頭吸入装置および設定は実施例1に記載したものと同一であった。実施例1と同様に、治療の間、動物に拘束帯をした。
【0128】
[00132] 溶媒対照群は、プロクロルペラジンで被覆した箔の代わりに清浄なステンレス鋼箔を載せた抗精神病薬加熱装置に通した、事前に乾燥させた圧縮空気に曝した。プロクロルペラジンが存在しないこと以外は、溶媒対照群における曝露は、稼動および加熱装置に空気を通すこと、イヌはイヌ用マスクを通してのみ呼吸すること、ならびにイヌを拘束して同様に取り扱うことに関して、2mg/kgの繰返し投与群と同一であった。
【0129】
[00133] 投与量が正しかったことを保証するために、試験品エアロゾルの雰囲気の特性を決定した。それぞれの標的エアロゾル濃度を確立するために必要な曝露システムの稼動条件は、代表的な動物曝露マスクに収集された開口型ガラス繊維フィルター試料からのプロクロルペラジン含有量の重量分析およびHPLC分析によって決定した。
【0130】
[00134] また、プロクロルペラジンについて0.125mg/kgおよび2mg/kg投与量レベルでチャンバのガス体の濃度の均質性も決定した。これは、混合チャンバの外周の周りに位置する2つの等距離に配置したイヌ用呼吸口から重量分析およびHPLC分析用もフィルター試料を2つ組で採取することを含んでいた。チャンバ内における全プロクロルペラジン分布のばらつき、およびプロクロルペラジン分布の呼吸口内のばらつきを評価するために、参照呼吸口からも追加の試料を採取した。この分析から得られた結果により均一なエアロゾル分布が実証された。
【0131】
[00135] 各プロクロルペラジン投与量についてエアロゾル粒径分布の分析を、カスケードインパクターを用いて実施した。本方法には、一連の粒子径範囲への分類、次いで重量分析およびHPLC分析が含まれていた。空気動力学的中央粒径およびその幾何標準偏差(MMAD±GSD)は、Andersen Operating Manual TR#76−900016に基づいたコンピュータプログラムを用いて、重量分析データから計算した。試験中に測定された典型的な空気動力学的中央粒径およびGSDは1.4μm±2.2であった。
【0132】
[00136] 動物呼吸ゾーンのサンプリング口からのエアロゾルの実際のマスクの排気濃度を、重量分析および/またはHPLC方法を用いて、曝露したそれぞれの日に少なくとも1度測定した。
【0133】
[00137] それぞれの処理レベルにおいて達成された活性成分(プロクロルペラジン)(mg/kg/日)の投与量は以下のように決定した。
【0134】
【表3】

【0135】
[00138] 薬物エアロゾルを送達し、送達投与量を計算するために、上記手法を用いてイヌをプロクロルペラジンのエアロゾルで治療した。標的投与量0.125mg/kg、0.5mg/kgおよび2mg/kgが、それぞれ必要な投与期間13分間、15分間、および7分間で達成されることを保証するために、より高い投与量でより高いチャンバエアロゾル濃度となるよう曝露期間を調節した(したがって、7分間のものだけが最も大きな全投与量2mg/kgを送達し、より長い投与はより低い投与量の送達に使用した)。投与は試験日1、5、9、13、および17に行い、他の日には薬物を与えなかった。治療期間の間、動物を薬効の徴候について観察した。2mg/kgの投与量レベルでは、イヌは投与後に活動が低下し、衰弱していることが認められた。さらに、ときおり咳嗽が起こった。どの投与量レベルでも気管支収縮の標準的な徴候(喘鳴、長い呼気相、および呼吸困難)は見つからなかった。
【0136】
[00139] ペントバルビタールナトリウムを静脈内注射することによる麻酔、次いで腋窩または大腿動脈を切開することによる放血によって、治療期間の完了時に動物を検死した。動物室から検死区域へと移送する前に、筋肉内注射によって動物に鎮痛性の注射用塩酸ケタミンU.S.P.およびキシラジンを投与した。自己分解による変化を避けるために、安楽死させた動物のすべてで死体の完全な総病理検査をすぐに実施した。予定された検死の前は、すべての動物で終夜食餌を与えなかった。検死中には、どの動物でも治療に関連した発見は検出されなかった。すべての肉眼的病変の組織病理学的検査を実施した。ここでも、治療に関連した発見は観察されなかった。さらに、喉頭、気管、主気管支、気管支を含めた肺、および鼻腔の組織病理学的検査を実施した。治療に関連した異常は観察されなかった。
【0137】
実施例3:偏頭痛におけるプロクロルペラジンの静脈内範囲投与量の有効性試験
[00140] 以下の試験では、患者にプロクロルペラジンを10mg未満の投与量で静脈内投与することにより、中程度から重篤な偏頭痛または緊張型頭痛の緩和がもたらされたことが示された。頭痛の治療における静脈内プロクロルペラジンの有効性を評価するためにいくつかの他の試験が既に行われているが、静脈内または筋肉内投与経路による10mg以上の投与量でしか行われていない。試験の潜在的な参加者を、試験に登録する前にスクリーニングした(本明細書中で以降「スクリーニング」)。潜在的な参加者の全般的健康を病歴、身体検査、12誘導心電図(「EGC」)、血液化学プロフィール、血液検査、および尿検査によって評価した。生命徴候を、潜在的な参加者が少なくとも5分間座位をとった後に一度評価し、および潜在的な参加者が少なくとも3分間立位をとった後に再度評価した。血液試料は標準の医療指針に従って採取した。血液および尿の試料は、地域の試験所による指示に従って発送した。血液を抗凝血性の排気した静脈血採取チューブ(例えばVacutainer(商標))に採取し、血清を標準の手順に従って分離した。以下の分析物について定量分析を行った:アルカリホスファターゼ、アルブミン、炭酸水素塩、カルシウム、総コレステロール、塩素、クレアチンキナーゼ(CK)、クレアチニン、グルコース、無機リン、カリウム、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ナトリウム、総ビリルビン、総タンパク質、尿素、および尿酸。また、血液を、抗凝血剤を含む排気した静脈血採取チューブ(例えばVacutainer(商標))に採取し、標準の手順に従って血液検査の試験を行った。以下の分析物について定量分析を行った:ヘモグロビン、ヘマトクリット、指数付き赤血球数、白血球数、白血球分画、および血小板数。
【0138】
[00141] 中間尿試料を清浄な容器に採取した。以下の分析物について定性分析を行った:比重、pH、アセトン、アルブミン、グルコース、ウロビリノーゲン、タンパク質、血液、およびビリルビン。
【0139】
[00142] すべての試験来院時に、標準手順に従って12誘導ECGを行い、有資格医師がそれを解釈した。スクリーニングの基準期間の前の28日間に対象が服用したすべての薬物(処方箋および非処方箋、生薬または治験薬)を記録した。このような薬物はすべて、試験責任者によって見直し、評価され、またはこれらが潜在的な参加者が試験に参加する適格性に影響を与えるかどうかを判定するために指定された。
【0140】
[00143] また、潜在的な参加者を様々な危険因子についてスクリーニングした。過去12カ月の間に薬物またはアルコール依存性の徴候を有する潜在的な参加者を除外した(タバコ依存症を除く)。妊娠する危険性のある女性の潜在的な参加者は、スクリーニング時およびプロクロルペラジンを投与するために診療所に入所した時の両方で妊娠試験に陰性でない限りは登録しなかった。男性および女性の参加者はどちらも試験の間中、医学的に許容されるかつ有効な避妊法を使用することに同意し、参加者はインフォームドコンセントを与えるのに十分英語を理解し、さらに試験来院スケジュールを遵守し、プロトコルに指定された評価を完了することに同意した。
【0141】
[00144] フェノチアジン類、抗コリン剤および関連する薬物に対するアレルギーの病歴、不耐性、または禁忌症の病歴が知られている潜在的な参加者は、試験に含めるのに適格ではなかった。試験治療のための診療所に入所する前の24時間以内に他の頭痛薬を服用した潜在的な参加者も除外した。リチウムまたはモノアミンオキシダーゼ阻害剤を服用している潜在的な参加者も試験に含めなかった。スクリーニングの前の3カ月以内に治験薬を投与された潜在的な参加者も同様に除外した。褐色細胞腫、発作性疾患、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、不安定狭心症、失神、冠動脈疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、脳卒中、一過性虚血性発作、管理されていない高血圧、または臨床的に意味のあるECG異常の病歴が知られている潜在的な参加者も除外した。
【0142】
[00145] 本試験は、中程度から重篤の偏頭痛または緊張型頭痛を有する患者における、静脈内プロクロルペラジン(Stemetil(登録商標)注射用)の二重盲検、ランダム化、プラセボ対照、範囲投与量の単一施設での治験であった。男性および女性の対象80人(22人の男性および58人の女性)、年齢が19.4〜59.1歳の対象が試験に参加していた。すべての対象が、3カ月前からの間に1カ月あたり1〜6回の発作の平均頻度の、自己申告による中程度から重篤な頭痛の病歴(前兆のあるもしくはない偏頭痛、または緊張型頭痛)を有していた。プロクロルペラジンを投与するために診療所に来所時の医師による評価によれば、これらの対象のうち、51人が中程度から重篤な偏頭痛を有しており、29人が中程度から重篤な緊張型頭痛を有していた。2つの頭痛群の間にも、治療群の間にわたっても、年齢、性別、または体重に関して明らかな差は存在しなかった。
【0143】
[00146] プロクロルペラジンを投与するために診療所に入所した際に、試験参加者の試験における適格性が継続していることを再確認した。対象が少なくとも5分間座位をとった後に参加者の生命徴候を測定した。収縮期および拡張期血圧の起立性測定値も測定した。対象が5分間仰臥位をとった後に仰臥位血圧を測定した。その後、対象を起立させて、起立させた1分および3分後に測定を繰り返した。適格性の再確認において、患者の頭痛の重篤度に対する自己認識によって決定された治療前の頭痛を標準の4ポイント分類尺度で記録した。0は頭痛が存在しないことを示し、1は軽い頭痛を示し、2は中程度の頭痛を示し、3は重篤な頭痛を示していた。治療前の嘔気、鎮静、およびアカシジアの重篤度を同様に4ポイントで記録した。光恐怖および音恐怖の有無を2ポイント尺度で記録した(光によってあなたの頭痛はよりひどくなりますか?0−いいえ、1−はい;音によってあなたの頭痛はよりひどくなりますか?0−いいえ、1−はい)。
【0144】
[00147] 上記評価を完了した15分後に、試験参加者に単一投与量の静脈内プロクロルペラジン(1.25mg、2.5mg、5mg、または10mg)またはプラセボ(生理食塩水)を、正常の生理食塩水で作成した5mLの標準体積中で投与した。投与は注入ポンプによって2±1分間かけて行った。試験参加者も、薬物治療活動を実施した試験センターのスタッフも、どちらの治療薬を投与したかを知らなかった。
【0145】
[00148] 治療に対する応答は、薬物投与の15、30、60、および120分後に、頭痛、嘔気、鎮静、アカシジアの重篤度、ならびに光恐怖および音恐怖の有無について、上記尺度を用いて患者を評価することによって決定された。診療所から退所した後、参加者に同じ質問をし、その応答を治療の4、8、および24時間後に日誌に記録した。
【0146】
[00149] 各対象は、プロクロルペラジン投与の15、30、60、および120分後に体験した頭痛の緩和量も評価した。診療所から退所した後、これらの測定値も対象によって評価され治療の4、8、および24時間後に日誌に記録された。対象は、試験治療によってもたらされた鎮痛量を、5ポイント分類尺度を用いて評価した(1−鎮痛なし、2−ある程度の鎮痛、3−中程度の鎮痛、4−大きな鎮痛、および5−完全な鎮痛)。
【0147】
[00150] 各対象は、対象の日誌中で治療の120分および24時間後における試験治療の有効性も評価した。対象は5ポイント分類尺度を用いて、試験治療の鎮痛に対する満足度を評価した(1−非常に不満足、2−不満足、3−どちらでもない、4−満足、5−非常に満足)。
【0148】
[00151] 偏頭痛の重篤度はプロクロルペラジンの投与を開始した60分間に5mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.55)によって最も有効に軽減され、これは10mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.50)よりもさらに有効であった。また、2.5mgの投与量(重篤度の軽減の平均−1.18)はプラセボ(重篤度の軽減の平均−1.10)よりも有効であった。図4Cおよび4Dを参照されたい。緊張型頭痛の重篤度は、プロクロルペラジンの投与開始後60分において1.25mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−2.00)、5mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.50)、および10mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.60)によって最も有効に軽減された。両種類の頭痛をあわせて、5mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.53)および10mgの投与量(重篤度の軽減の平均:−1.53)が最も有効であり、5mgの投与量は10mgの投与量と同程度に有効であった。図4Aおよび4Bを参照されたい。
【0149】
[00152] プロクロルペラジン投与の15および30分後に、5mgおよび10mgの投与量が頭痛重篤度の最も大きな軽減をもたらし、ここでも5mgが10mgと同程度にまたはそれ以上に有効であった。図4Cを参照されたい。図2も参照されたい。
【0150】
[00153] プラセボと比較して低い投与量のプロクロルペラジンさえもが顕著な利点を有することは、治療開始の1および2時間後における無痛患者(自己申告の頭痛重篤度尺度において頭痛が存在しないことによって定義される)のパーセンテージに基づいて認められた。具体的には、治療の1時間後に、プラセボ治療の患者の11.8%のみが無痛であったが、1.25mgのプロクロルペラジンを受けた患者では26.7%が無痛であった。5mgの投与量では64.7%まで上昇し、これは10mgの投与量群における66.7%と類似していた。治療の2時間後では、プラセボ治療の患者の35.3%のみが無痛であったが、これと比較して、2.5mgの投与量群では43.8%、5mgの投与量群では70.6%、10mgの投与量群では60%であった。
【0151】
[00154] 患者の無痛に関する類似のデータ、この場合、鎮痛尺度において完全な鎮痛として測定されるデータを図3に示す。1時間では、この尺度によって(一部の他の尺度とは対照的に)鎮痛に対してプロクロルペラジン投与量≦2.5mgの利益は少ししかないが、5mgではこの尺度によって、事実上すべての尺度と同じく格別に有効であることに注目されたい。治療の4時間後には、驚くべきことに、1.25mgほどの低い投与量がプラセボ(0mg)よりも有意義に高い有効性を示す。さらに驚くべきことに、24時間では最も低い試験した投与量の1.25でさえも非常に有効であり、一方プラセボは有効でなかった。偏頭痛の自然経過はしばしば72時間まで持続する頭痛を含むので、24時間での結果は偏頭痛において重要である。
【0152】
[00155] 図3に示した結果に同調するがこの場合偏頭痛の罹患者に特定すると、プロクロルペラジンの投与を開始した24時間後に、1.25mg、5mgまたは10mgの投与量を受けた対象の84〜88%が無痛であり、これと比較してプラセボを受けた偏頭痛を有する対象では半数未満であり、偏頭痛の治療における1.25mgの低投与量でのプロクロルペラジンの有効性の強力な証拠が提供される。緊張型頭痛の罹患者では、2.5mgの投与量を受けた参加者の80%が24時間で無痛であり、5mgまたは10mgのプロクロルペラジンを受けた者では≧80%であり、一方プラセボを受けた患者の少数が無痛であり、緊張型頭痛の治療における2.5mgの低投与量でのプロクロルペラジンの有効性の強力な証拠が提供される。
【0153】
[00156] 5mgまたは10mgの投与量を受けた参加者の90%以上がプロクロルペラジンの投与を開始した15分後に少なくともある程度の鎮痛を得、これらの治療群内で少なくともある程度の鎮痛の得なかった対象は存在しなかった。5mgおよび10mgの投与量を受けた者と比較して0mg、1.25mg、および2.5mgの投与量を受けた参加者では鎮痛はそれほど迅速に得られなかった。無痛になったと報告した偏頭痛の患者の最も大きな割合は、2時間および24時間のどちらにおいても5mgおよび10mgの投与量群に存在した。緊張型頭痛を有する参加者はさらに頻繁に、1.25mgまたは5mgの投与量を受けた後に、2時間および24時間に無痛になったと報告した。10mgの投与量によっても、緊張型頭痛を有する参加者の大きな割合が24時間で無痛となったと報告した。
【0154】
[00157] プロクロルペラジンの投与を開始した2および24時間後における、治療に対する対象の全体的評価は、5mgおよび10mgの投与量を支持しており、また少なくとも偏頭痛を有する患者では2.5mgの投与量がプラセボよりも好ましく、これらの低い≦5mgのプロクロルペラジン投与量の臨床的価値がさらに確認された。
【0155】
[00158] 80人の対象のうち53人が投与量に関連する有害事象を体験した。すべての有害事象の94%が軽いから中程度の強度であり、6%だけが重篤であると判断された。最も頻繁に観察された有害事象は眠気および不穏状態であり、これらは有害事象のそれぞれ52%および18%を占めていた。有害作用は、他の治療群と比較して5mgおよび10mgの投与量群でより頻繁に報告された。古典的なプロクロルペラジンの副作用であるアカシジアは、他の群よりも10mgの投与量群でより多く起こった。これらの有害事象のデータは、<10mgの投与量を使用することの顕著な臨床的価値を提示する上記の有効性データをさらに支持する。
【0156】
[00159] 頭痛の救急薬は80人の対象のうち9人(11%)しか服用しなかった。これらの対象のうち、3人が2.5mgの投与量を受け、2人がプラセボを受け、3人が1.25mgの投与量を受け、1人が5mgの投与量を受け、10mgの投与量を受けた者はいなかった。これは、数値は低かったが、他の群と比較して5mgおよび10mg群では頭痛薬を使用する傾向が低いことを示している。頭痛の種類間において頭痛薬の使用に明らかな差はなかった。頭痛薬には、アドビル、エクセドリン、イブプロフェン、プロプラノロール、タイレノール、タイレノール#2、およびタイレノール#3が含まれていた。
【0157】
[00160] 全体的に、1.25mg、2.5mg、および5mgの試験した低いプロクロルペラジン投与量すべてで、偏頭痛および緊張型頭痛の患者のどちらにおいても特定の時点および特定の臨床的評価項目で相当の臨床的な有効性が示された。本試験では、5mgの投与量は10mgの投与量と同等に有効であった。
【0158】
[00161] 上記の結果は1治療群あたり15〜17人の患者に基づいたものである。特定の投与量レベルにおける上述の臨床上の利点の統計的有意性の精度を決定するためには、上記で検査したものよりも大きなサンプルサイズが必要となるが、上記データは、統計学の専門家が適切な複合手段を構築することによって1.25mg〜5mgの低いプロクロルペラジン投与量の全体的な有効性の統計的有意性を確立するのに十分であろう。しかし、統計的有意性を投与量ごとに決定するためには、複数比較する際に伴う統計的な問題を避けるために試験前に評価項目を定義することに加えて、1群あたり少なくとも30人の患者を用いることが有利であり、1群あたり50、75、100、150、200、または300人の患者を用いた場合に統計的有意性が観察される可能性が際立って高い。頭痛薬の中心的な臨床治験においては、1群あたりこのような患者数が登録されていることが一般的である。
【0159】
実施例4:特定の一般的な方法
[00162] 方法1では、抗精神病薬で被覆したアルミニウム箔基材を調製する。アルミニウム箔の基材(10cm×5.5cm;0.0005インチ厚)をアセトンで前洗浄した。最少量の溶媒中の抗精神病薬溶液を箔基材上に被覆して約7〜8cm×2.5cmの領域を覆った。溶媒を蒸発させた。被覆された箔を300ワットのハロゲンチューブ(Feit Electric Company、Pico Rivera、CA)の周りに巻き、これを、一端をゴム栓で密閉したガラスチューブ内に挿入した。60ボルトの交流(Variacによって制御されるラインパワーで駆動)を5〜15秒間、または一部の試験では90ボルトを3.5〜6秒間電球に流し、熱蒸気(エアロゾルを含む)を生じさせてガラスチューブ壁上で収集した。一部の試験では、揮発の前にこのシステムをアルゴンで洗浄した。ガラスチューブ壁上に収集された物質を回収し、以下の決定を行った:(1)放出された量、(2)放出されたパーセント、および(3)エアロゾルの純度(225nmの光の吸収による検出を備えた逆相HPLC分析による)。最初の抗精神病薬の質量は、抗精神病薬を被覆する前後にアルミニウム箔基材を秤量することによって見出した。抗精神病薬膜の厚さは:膜厚(cm)=抗精神病薬の質量(g)/[抗精神病薬の密度(g/cm)×基材の面積(cm)]によって得た。
【0160】
[00163] 方法2では、抗精神病薬で被覆したステンレス鋼シリンダー型基材を調製した。薄い壁を有する中空のステンレス鋼シリンダー、例えば壁厚0.12mm、直径13mm、および長さ34mmを有するものをジクロロメタン、メタノール、およびアセトンで洗浄し、その後乾燥させ、残留揮発性物質をすべて除去してステンレス鋼表面を熱的に不動態化するために少なくとも1度焼いた。その後、基材を抗精神病薬被覆溶液(以下の方法5に開示するように調製した)で浸漬被覆した。浸漬被覆は、コンピュータ制御の浸漬被覆機を用いて行い、基材表面の外側に抗精神病薬の薄い層を生じさせた。5〜25cm/秒の速度で基材を薬物溶液に入れ、その後溶媒から取り出した。(より大量の物質を基材上に被覆させるためには、基材をより迅速に溶媒から取り出すか、または使用した溶液をより濃くした。)その後、基材を30分間、換気フード内で乾燥させた。ジメチルホルムアミド(DMF)または水混合物のどちらかを浸漬被覆溶媒として使用した場合は、基材を乾燥器内で最低1時間真空乾燥させた。これらの試験では、シリンダーの抗精神病薬で被覆した部分は一般に8cmの表面積を有する。抗精神病薬の単位密度を仮定することによって、最初の抗精神病薬被膜の厚さを計算した。基材上に被覆された抗精神病薬の量は、被膜をメタノールまたはアセトニトリルで抽出し、抽出された物質を基材上に被覆された薬物の質量を決定する定量的HPLC方法で分析することによって決定される。
【0161】
[00164] 方法3では、抗精神病薬で被覆したアルミニウム箔基材を調製した。アルミニウム箔の基材(3.5cm×7cm;0.0005インチ厚)をアセトンで前洗浄した。最少量の溶媒中の抗精神病薬溶液を箔基材上に被覆した。溶媒を蒸発させた。被覆された箔を300ワットのハロゲンチューブ(Feit Electric Company、Pico Rivera、CA)の周りに巻き、これを、両端をParafilm(商標)で密閉したT字型内ガラスチューブ内に挿入した。気流のためにParafilm(商標)を10〜15の針で穿刺した。3つめの開口部を1リットルの3つ口ガラスフラスコに連結した。ガラスフラスコをさらに、1.1リットルの空気をフラスコに引き込むことができるピストンに連結した。90ボルトの交流(Variacによって制御されるラインパワーで駆動)を6〜7秒間電球に流し、熱蒸気(エアロゾルを含む)を生じさせ、これを1リットルフラスコに内に引き込んだ。エアロゾルを30分間1リットルフラスコの壁に堆積させた。フラスコ壁上に収集された物質を回収し、225nmでの吸収による検出を備えた逆相HPLCによって以下の決定を行った:(1)放出された量、(2)放出されたパーセント、および(3)エアロゾルの純度。さらに、基材上に残留するすべての物質を回収して定量した。
【0162】
[00165] 方法4では、抗精神病薬で被覆したステンレス鋼箔基材を調製した。1.3cm×7.0cmの寸法を有する清浄な304ステンレス鋼箔の条片(0.0125cm厚、Thin Metal Sales)を抗精神病薬溶液で浸漬被覆した。その後、箔の浸漬した端の最後の2〜3cmから抗精神病薬を洗い流すために、箔を部分的に溶媒に3回浸漬した。あるいは、この領域の抗精神病薬被膜をかみそりの刃で丁寧に削り落とした。最終的な被覆面積は箔の両面で2.0〜2.5cm×1.3cmであり、全面積は5.2〜6.5cmであった。調製した箔の数個を標準としてメタノールまたはアセトニトリルで抽出した。抗精神病薬の量は定量的HPLC分析によって決定した。既知の抗精神病薬で被覆した表面積を用いて、厚さを:膜厚(cm)=抗精神病薬の質量(g)/[抗精神病薬の密度(g/cm)×基材の面積(cm)]によって得た。抗精神病薬の密度が分かっていない場合は、1g/cmの値を仮定した。ミクロン単位の膜厚は、cm単位の膜厚に10,000を掛けることによって得られる。
【0163】
[00166] 乾燥後、抗精神病薬で被覆した箔を、Delrin(登録商標)ブロック(通気路)および電極として役割を果たした真鍮バーから作成された揮発チャンバ内に入れた。通気路の寸法は高さ1.3cm×幅2.6cm×長さ8.9cmであった。抗精神病薬で被覆した箔を、抗精神病薬で被覆した部分が2組の電極に間にあるように揮発チャンバ内に入れた。揮発チャンバの蓋を固定した後、電極を1ファラドの容量に連結した(Phoenix Gold)。揮発チャンバの背面を2ミクロンのテフロンフィルター(Savillex)およびフィルターハウジングに連結し、これらをハウジングの真空器(house vacuum)に連結した。十分な通気を開始し(約30L/分=1.5m/秒)、この時点でコンデンサーを14ボルト〜17ボルトの電源から充電した。回路をスイッチで閉じ、抗精神病薬で被覆した箔を約200ミリ秒間の間に約280〜430℃の温度(赤外線カメラ(FLIR Thermacam SC3000)で測定した)まで抵抗によって加熱させた。(比較目的のためには、図4A、静止空気における熱電対の測定を参照されたい。)抗精神病薬が気化した後、通気を停止し、テフロン(登録商標)フィルターをアセトニトリルで抽出した。フィルターから抽出した抗精神病薬を、純度パーセントを決定するために不純物を検出することを目的とした勾配法を用いて、一般に225nmでのHPLC UV吸光によって分析した。また、最初に基材上に被覆された抗精神病薬の質量に基づいて収率を決定するために、抽出した抗精神病薬を定量した。回収率は、基材およびチャンバ壁上に残留している抗精神病薬をすべて定量し、これをフィルターから回収した抗精神病薬の量に加え、これを最初に基材上に被覆された抗精神病薬の質量と比較することによって決定した。
【0164】
[00167] 方法5は、抗精神病薬被覆溶液の調製について記載する。抗精神病薬を適切な溶媒に溶かした。一般的な溶媒の選択には、メタノール、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、3:1のクロロホルム:メタノール混合物、1:1のジクロロメタン:メチルエチルケトン混合物、ジメチルホルムアミド、および脱イオン水が含まれていた。化合物を溶かすために必要に応じて超音波処理および/または熱を使用した。生じた抗精神病薬の濃度は約50mg/mL〜200mg/mLであった。
【0165】
実施例5:クロルプロマジン
[00168] 抗精神病薬であるクロルプロマジン(分子量319、融点<25℃、経口量300mg)を、方法1に従ってアルミニウム箔基材(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。
【0166】
[00169] 9.60mgのクロルプロマジンを基材に塗布して、クロルプロマジン膜の計算した厚さ4.8μmを得た。基材を方法1に記載のように90ボルトで5秒間加熱した。クロルプロマジンエアロゾル粒子の純度は96.5%であると決定された。気化後に8.6mgがガラスチューブ壁から回収され、収率89.6%が得られた。
【0167】
実施例6:クロザピン
[00170] 抗精神病薬であるクロザピン(分子量327、融点184℃、経口量150mg)を、方法1に従ってアルミニウム箔基材(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。14.30mgのクロザピンを基材に塗布して、クロザピン膜の計算した厚さ7.2μmを得た。基材を方法1に記載のように90ボルトで5秒間加熱した。クロザピンエアロゾル粒子の純度は99.1%であると決定された。気化後に2.7mgがガラスチューブ壁から回収され、収率18.9%が得られた。
【0168】
[00171] 膜厚が1.3μmとなるようクロザピンを被覆した別の基材(2.50mgのクロザピン)を同じ方法によって調製し、方法1に記載のようにアルゴン雰囲気下、90ボルトで3.5秒間加熱した。クロザピンエアロゾル粒子の純度は99.5%であると決定された。気化後に1.57mgがガラスチューブ壁から回収され、収率62.8%が得られた。
【0169】
実施例7:ハロペリドール
[00172] 抗精神病薬であるハロペリドール(分子量376、融点149℃、経口量2mg)を、方法1に従ってアルミニウム箔基材(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。2.20mgのハロペリドールを基材に塗布して、ハロペリドール膜の計算した厚さ1.1μmを得た。基材を方法1に記載のように108ボルトで2.25秒間加熱した。ハロペリドールエアロゾル粒子の純度は99.8%であると決定された。気化後に0.6mgがガラスチューブ壁から回収され、収率27.3%が得られた。
【0170】
[00173] ハロペリドールを方法1に従ってさらにアルミニウム箔基材上に被覆した。実施例4を参照されたい。2.1mgのハロペリドールを方法1に記載のように90ボルトで3.5秒間加熱した場合、生じたハロペリドールエアロゾル粒子の純度は96%であると決定された。1.69mgのエアロゾル粒子が収集され、エアロゾルの収率60%が得られた。2.1mgのハロペリドールを使用し、揮発の前にシステムをアルゴンで洗浄した場合、ハロペリドールエアロゾル粒子の純度は97%であると決定された。エアロゾルの収率は29%であった。
【0171】
実施例8:ロキサピン
[00174] 抗精神病薬であるロキサピン(分子量328、融点110℃、経口量30mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。7.69mgのロキサピンを基材に塗布して、計算されたロキサピン膜厚9.2μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。ロキサピンエアロゾル粒子の純度は99.7%であると決定された。気化後に3.82mgがフィルターから回収され、収率50%が得られた。全質量6.89mgが試験装置および基材から回収され、全回収率89.6%が得られた。
【0172】
実施例9:オランザピン
[00175] 抗精神病薬であるオランザピン(分子量312、融点195℃、経口量10mg)を、方法2に従って8個のステンレス鋼シリンダー基材(8〜9cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。各基材上のオランザピン膜の計算された厚さは、約1.2μm〜約7.1μmの範囲であった。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。各基材のオランザピンエアロゾル粒子の純度が決定され、結果を図5に示す。2.9mgのオランザピンを付着させることによって、3.4μmの厚さを有する基材を調製した。コンデンサーを20.5ボルトに充電することによってこの基材からオランザピンを揮発させた後、1.633mgがフィルターから回収され、収率54.6%が得られた。フィルターから回収されたオランザピンエアロゾルの純度は99.8%であることが判明した。全質量が試験装置および基材から回収され、全回収率約100%が得られた。熱蒸気の形成を視覚的に監視するために、オランザピンで被覆した基材の加熱中に高速写真を撮影した。写真により、加熱を開始した30ミリ秒後に熱蒸気が最初に目に見え、熱蒸気の大部分が80ミリ秒までに形成されていたことが示された。熱蒸気の発生は130ミリ秒までに完了していた。
【0173】
[00176] オランザピンを、方法3に従ってアルミニウム箔基材(24.5cm)上にも被覆した。実施例4を参照されたい。11.3mgのオランザピンを基材に塗布して、オランザピン膜の計算した厚さ4.61μmを得た。基材を方法3に記載のように90ボルトで6秒間加熱した。オランザピンエアロゾル粒子の純度は>99%であると決定された。7.1mgが収集され、収率62.8%が得られた。
【0174】
実施例10:プロクロルペラジン
[00177] 抗精神病薬であるプロクロルペラジン遊離塩基(分子量374、融点60℃、経口量5mg)を、方法4に従って4個のステンレス鋼箔基材(5cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。各基材上のプロクロルペラジン膜の計算された厚さは、約2.3μm〜約10.1μmの範囲であった。コンデンサーを15ボルトに充電することによって、基材を方法4に記載のように加熱した。各基材のプロクロルペラジンエアロゾル粒子の純度が確認され、結果を図6に示す。
【0175】
[00178] プロクロルペラジンを方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上にも被覆した。実施例4を参照されたい。1.031mgのプロクロルペラジンを基材に塗布して、計算されたプロクロルペラジン膜厚1.0μmを得た。コンデンサーを19ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。プロクロルペラジンエアロゾル粒子の純度は98.7%であると決定された。気化後に0.592mgがフィルターから回収され、収率57.4%が得られた。全質量1.031mgが試験装置および基材から回収され、全回収率100%が得られた。
【0176】
実施例11:プロマジン
[00179] 抗精神病薬であるプロマジン(分子量284、融点<25℃、経口量25mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。プロマジン膜の計算された厚さは5.3μmであった。基材を方法1に記載のように90ボルトで5秒間加熱した。プロマジンエアロゾル粒子の純度は94%であると決定された。気化後に10.45mgがガラスチューブ壁から回収され、収率99.5%が得られた。
【0177】
実施例12:プロメタジン
[00180] 抗精神病薬であるプロメタジン(分子量284、融点60℃、経口量12.5mg)を、方法1に従ってアルミニウム箔基材(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。5.10mgのプロメタジンを基材に塗布して、プロメタジン膜の計算した厚さ2.6μmを得た。基材を方法1に記載のように60ボルトで10秒間加熱した。プロメタジンエアロゾル粒子の純度は94.5%であると決定された。気化後に4.7mgがガラスチューブ壁から回収され、収率92.2%が得られた。
【0178】
実施例13:クエチアピン
[00181] 抗精神病薬であるクエチアピン(分子量384、経口量75mg)を、方法2に従って8個のステンレス鋼シリンダー基材(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。各基材上のクエチアピン膜の計算された厚さは、約0.1μm〜約7.1μmの範囲であった。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。各基材のクエチアピンエアロゾル粒子の純度が決定され、結果を図7に示す。クエチアピン膜厚1.8μmを有する基材を、1.46mgのクエチアピンを付着させることによって調製した。コンデンサーを20.5ボルトに充電することによってクエチアピンの基材を揮発させた後、0.81mgがフィルターから回収され、収率55.5%が得られた。フィルターから回収されたクエチアピンエアロゾルの純度は99.1%であることが判明した。全質量1.24mgが試験装置および基材から回収され、全回収率84.9%が得られた。
【0179】
実施例14:トリフルオペラジン
[00182] 抗精神病薬であるトリフルオペラジン(分子量407、融点<25℃、経口量7.5mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(9cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。1.034mgのトリフルオペラジンを基材に塗布して、計算されたトリフルオペラジン膜厚1.1μmを得た。コンデンサーを19ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。トリフルオペラジンエアロゾル粒子の純度は99.8%であると決定された。気化後に0.669mgがフィルターから回収され、収率64.7%が得られた。全質量1.034mgが試験装置および基材から回収され、全回収率100%が得られた。
【0180】
[00183] トリフルオペラジン2HCl塩(分子量480、融点243℃、経口量7.5mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(9cm)上に被覆した。具体的には、0.967mgのトリフルオペラジンを基材に塗布して、計算されたトリフルオペラジン膜厚1.1μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。トリフルオペラジンエアロゾル粒子の純度は87.5%であると決定された。気化後に0.519mgがフィルターから回収され、収率53.7%が得られた。全質量0.935mgが試験装置および基材から回収され、全回収率96.7%が得られた。熱蒸気の形成を視覚的に監視するために、トリフルオペラジンで被覆した基材の加熱中にトリフルオペラジン2HClの高速写真を撮影した。写真により、加熱を開始した25ミリ秒後に熱蒸気が最初に目に見え、熱蒸気の大部分が120ミリ秒までに形成されていたことが示された。熱蒸気の発生は250ミリ秒までに完了していた。
【0181】
実施例15:ゾテピン
[00184] 抗精神病薬であるゾテピン(分子量332、融点91℃、経口量25mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。0.82mgのゾテピンを基材に塗布して、計算されたゾテピン膜厚1μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。ゾテピンエアロゾル粒子の純度は98.3%であると決定された。気化後に0.72mgがフィルターから回収され、収率87.8%が得られた。全質量0.82mgが試験装置および基材から回収され、全回収率100%が得られた。熱蒸気の形成を視覚的に監視するために、ゾテピンで被覆した基材の加熱中に高速写真を撮影した。写真により、加熱を開始した30ミリ秒後に熱蒸気が最初に目に見え、熱蒸気の大部分が60ミリ秒までに形成されていたことが示された。熱蒸気の発生は110ミリ秒までに完了していた。
【0182】
実施例16:アモキサピン
[00185] 抗精神病薬であるアモキサピン(分子量314、融点176℃、経口量25mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。6.61mgのアモキサピンを基材に塗布して、計算されたアモキサピン膜厚7.9μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトに充電することによって、基材を方法Dに記載のように加熱した。アモキサピンエアロゾル粒子の純度は99.7%であると決定された。気化後に3.13mgがフィルターから回収され、収率47.4%が得られた。全質量6.61mgが試験装置および基材から回収され、全回収率100%が得られた。
【0183】
実施例17:アリピプラゾール
[00186] 抗精神病薬であるアリピプラゾール(分子量448、融点140℃、経口量5mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。1.139mgのアリピプラゾールを基材に塗布して、計算されたアリピプラゾール膜厚1.4μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。アリピプラゾールエアロゾル粒子の純度は91.1%であると決定された。気化後に0.251mgがフィルターから回収され、収率22%が得られた。全質量1.12mgが試験装置および基材から回収され、全回収率98%が得られた。熱蒸気の形成を視覚的に監視するために、アリピプラゾールで被覆した基材の加熱中に高速写真を撮影した。写真により、加熱を開始した55ミリ秒後に熱蒸気が最初に目に見え、熱蒸気の大部分が300ミリ秒までに形成されていたことが示された。熱蒸気の発生は1250ミリ秒までに完了していた。
【0184】
[00187] 試験用に、アリピプラゾールで被覆した第2の基材を調製した。1.139mgを方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆し、計算されたアリピプラゾール膜厚1.4μmを得た。実施例4を参照されたい。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。アリピプラゾールエアロゾル粒子の純度は86.9%であると決定された。気化後に0.635mgがフィルターから回収され、収率55.8%が得られた。全質量1.092mgが試験装置および基材から回収され、全回収率95.8%が得られた。熱蒸気の形成を視覚的に監視するために、アリピプラゾールで被覆した基材の加熱中に高速写真を撮影した。写真により、加熱を開始した30ミリ秒後に熱蒸気が最初に目に見え、熱蒸気の大部分が200ミリ秒までに形成されていたことが示された。熱蒸気の発生は425ミリ秒までに完了していた。
【0185】
実施例18:ドロペリドール
[00188] 抗精神病薬であるドロペリドール(分子量379、融点147℃、経口量1mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。ドロペリドール膜の計算された厚さは1.1μmであった。基材を方法1に従って90ボルトで3.5秒間加熱した。ドロペリドールエアロゾル粒子の純度は51%であると決定された。気化後に0.27mgがガラスチューブ壁から回収され、収率12.9%が得られた。
【0186】
[00189] 膜厚が1.0μmとなるようドロペリドールを被覆した別の基材を同じ方法によって調製し、アルゴン雰囲気下、90ボルトで3.5秒間加熱した。ドロペリドールエアロゾル粒子の純度は65%であると決定された。気化後に0.24mgがガラスチューブ壁から回収され、収率12.6%が得られた。
【0187】
実施例19:フルフェナジン
[00190] 抗精神病薬であるフルフェナジン(分子量438、融点<25℃、経口量1mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。フルフェナジン膜の計算された厚さは1.1μmであった。基材を方法1に記載のように90ボルトで3.5秒間加熱した。フルフェナジンエアロゾル粒子の純度は93%であると決定された。気化後に0.7mgがガラスチューブ壁から回収され、収率33.3%が得られた。
【0188】
[00191] フルフェナジンの2HCl塩の形(分子量510、融点237℃)も試験した。フルフェナジン2HClを方法2に従って金属基材(10cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。フルフェナジン膜の計算された厚さは、0.8μmであった。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。フルフェナジン2HClエアロゾル粒子の純度は80.7%であると決定された。気化後に0.333mgがフィルターから回収され、収率42.6%が得られた。全質量0.521mgが試験装置および基材から回収され、全回収率66.7%が得られた。
【0189】
実施例20:ペルフェナジン
[00192] 抗精神病薬であるペルフェナジン(分子量404、融点100℃、経口量2mg)を、方法1に従ってアルミニウム箔基材(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。2.1mgのペルフェナジンを基材に塗布して、ペルフェナジン膜の計算した厚さ1.1μmを得た。基材を方法1に記載のように90ボルトで3.5秒間加熱した。ペルフェナジンエアロゾル粒子の純度は99.1%であると決定された。気化後に0.37mgがガラスチューブ壁から回収され、収率17.6%が得られた。
【0190】
実施例21:ピモジド
[00193] 抗精神病薬であるピモジド(分子量462、融点218℃、経口量10mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。ピモジド膜の計算された厚さは4.9μmであった。基材を方法1に記載のように90ボルトで5秒間加熱した。ピモジドエアロゾル粒子の純度は79%であると決定された。エアロゾルの収率は6.5%であった。
【0191】
実施例22:プロクロルペラジン2HCl
[00194] 抗精神病薬であるプロクロルペラジン2HCl(分子量446、経口量5mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。0.653mgのプロクロルペラジンを基材に塗布して、計算されたプロクロルペラジン膜厚0.8μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。プロクロルペラジンエアロゾル粒子の純度は72.4%であると決定された。気化後に0.24mgがフィルターから回収され、収率36.8%が得られた。全質量0.457mgが試験装置および基材から回収され、全回収率70%が得られた。
【0192】
実施例23:リスペリドン
[00195] 抗精神病薬であるリスペリドン(分子量410、融点170℃、経口量2mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。リスペリドン膜の計算された厚さは1.4μmであった。基材を方法1に記載のように90ボルトで3.5秒間加熱した。リスペリドンエアロゾル粒子の純度は79%であると決定された。エアロゾルの収率は7.9%であった。
【0193】
[00196] リスペリドンをステンレス鋼シリンダー(8cm)上にも被覆した。0.75mgのリスペリドンを手動で基材に塗布して、計算されたリスペリドン膜厚0.9μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトに充電することによって、基材を方法1に記載のように加熱した。リスペリドンエアロゾル粒子の純度は87.3%であると決定された。エアロゾル粒子の収率は36.7%であった。全質量0.44mgが試験装置および基材から回収され、全回収率59.5%が得られた。
【0194】
実施例24:チオチキセン
[00197] 抗精神病薬であるチオチキセン(分子量444、融点149℃、経口量10mg)を、方法1に従って一片のアルミニウム箔(20cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。チオチキセン膜の計算された厚さは1.3μmであった。基材を方法1に記載のように90ボルトで3.5秒間加熱した。チオチキセンエアロゾル粒子の純度は74.0%であると決定された。気化後に1.25mgがガラスチューブ壁から回収され、収率48.1%が得られた。
【0195】
実施例25:ジプラシドン
[00198] 抗精神病薬であるジプラシドン(分子量413、経口量20mg)を、方法2に従ってステンレス鋼シリンダー(8cm)上に被覆した。実施例4を参照されたい。0.74mgのジプラシドンを基材に塗布して、計算されたジプラシドン膜厚0.9μmを得た。コンデンサーを20.5ボルトまで充電することによって、基材を方法2に記載のように加熱した。ジプラシドンエアロゾル粒子の純度は87.3%であると決定された。気化後に0.28mgがフィルターから回収され、収率37.8%が得られた。全質量0.44mgが試験装置および基材から回収され、全回収率59.5%が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】図1Aは、実施例1に記載のように、12mg/kgのプロクロルペラジンの10分間の吸入によって治療したイヌにおける、投与終了後の時間(時間)対プロクロルペラジンの血漿濃度(ng/mL)を示すグラフである。図1Bは、図1Aと同じデータを示すグラフであるが、治療の開始から治療後6.4時間までの期間に焦点を当てて拡大したものである。
【図2】図2は、実施例2に記載のように、静脈内に0〜10mgのプロクロルペラジンを用いて治療した対象における、60分における頭痛の軽減(4.0ポイント尺度)に対するプロクロルペラジンの投与量(mg)を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例2に記載のように、プロクロルペラジンの静脈内投与の開始後1時間、4時間、および24時間における無痛患者のパーセントに対するプロクロルペラジンの投与量(mg)を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例2に記載のように、プロクロルペラジンの静脈内投与量決定試験の予備結果を示す図である。図4Aは、静脈内に0〜10mgのプロクロルペラジンを用いて治療した対象における、基準からの疼痛の全重篤度の変化(−2.0尺度)に対する時間(分)を示すグラフである。図4Bは、静脈内に0〜10mgのプロクロルペラジンを用いて治療した対象における、1時間および2時間において無痛の患者のパーセントを示す棒グラフである。図4Cは、静脈内に0〜10mgのプロクロルペラジンを用いて治療した対象における、基準からの偏頭痛の重篤度の変化(−2.0尺度)に対する時間(分)を示すグラフである。図4Dは、静脈内に0〜10mgのプロクロルペラジンを用いて治療した対象における、1時間および2時間において偏頭痛のない対象のパーセントを示す棒グラフである。
【図5】図5は、実施例9に記載のように、オランザピン遊離塩基について、オランザピン膜厚の関数としての熱蒸気の純度をマイクロメートルで示すグラフである。
【図6】図6は、実施例10に記載のように、プロクロルペラジン遊離塩基について、プロクロルペラジン膜厚の関数としての熱蒸気の純度をマイクロメートルで示すグラフである。
【図7】図7は、実施例13に記載のように、クエチアピン遊離塩基について、クエチアピン膜厚の関数としての熱蒸気の純度をマイクロメートルで示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭痛の緩和を必要としている患者に抗精神病薬を含む組成物を吸入によって投与することを含む、頭痛の治療方法。
【請求項2】
患者における抗精神病薬のピーク血漿濃度が吸入開始の15分以内に得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者における抗精神病薬の治療的全身濃度が吸入開始の15分以内に得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の血漿中の抗精神病薬の濃度が、吸入開始の2分以内に、ピーク血漿濃度の少なくとも30パーセントとなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
吸入の開始後15分以下の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
吸入の開始後2時間以下の時点および吸入の開始後12時間以上の時点で、頭痛の緩和が基準と比較して統計的に有意である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
吸入の開始後5分以下の時点で頭痛の重篤度が軽減されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
吸入の開始後15分以下の時点で頭痛の重篤度が軽減されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
吸入の開始後30分以下の時点および吸入の開始後4時間以上の時点で、頭痛の重篤度が軽減されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
吸入の開始後2時間以下の時点および吸入の開始後12時間以上の時点で、頭痛の重篤度が軽減されている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
吸入の開始後15分以下の時点で、患者の頭痛がない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
吸入の開始後2時間以下の時点および吸入後12時間以上の時点で、患者の頭痛がない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
吸入した組成物の空気動力学的中央粒径が約1ミクロン〜3ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗精神病薬が非フェノチアジン系抗精神病薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
非フェノチアジン系抗精神病薬がハロペリドール、ドロペリドール、クロルプロチキセン、チオチキセン、ロキサピン、モリンドン、ピモジド、フルペンチキソール、ズクロペンチキソール、およびメルペロンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
抗精神病薬がフェノチアジン系抗精神病薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
フェノチアジン系抗精神病薬がプロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロメタジン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、およびアセトフェナジンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
フェノチアジン系抗精神病薬が約1mg〜18mgのプロクロルペラジンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
フェノチアジン系抗精神病薬が約1mg〜9mgのプロクロルペラジンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
フェノチアジン系抗精神病薬が約1mg〜5mgのプロクロルペラジンである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
患者が単回または複数回の投与量の抗精神病薬を自己投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
患者が抗精神病薬の第1投与量を自己投与し、所定の時間間隔の後に緩和を評価し、十分な頭痛の緩和が得られていない場合は、単回または複数回の追加の投与量の抗精神病薬を自己投与する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1投与量が約1mg〜18mgの抗精神病薬であり、単回または複数回の追加の投与量が約1mg〜18mgの抗精神病薬である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
頭痛の緩和を必要としている患者に約1mg〜18mgのプロクロルペラジンを吸入によって投与することを含む、頭痛の治療方法であって、プロクロルペラジンのピーク血漿濃度がプロクロルペラジンの投与を開始した15分以内に得られるようにプロクロルペラジンを投与し、頭痛の重篤度の軽減がプロクロルペラジンを投与した2時間以内に得られる方法。
【請求項25】
頭痛の重篤度の軽減が少なくとも12時間持続する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
頭痛が偏頭痛、緊張型頭痛、または群発性頭痛のうちの少なくとも1つである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
頭痛の緩和を必要としている患者に9mg未満の抗精神病薬を投与することを含む、偏頭痛の治療方法であって、抗精神病薬のピーク血漿濃度が抗精神病薬の投与を開始した15分以内に得られ、頭痛の重篤度の軽減が抗精神病薬の投与を開始した1時間以内に得られ、頭痛の重篤度の軽減が抗精神病薬の投与を開始した少なくとも12時間後まで持続する方法。
【請求項28】
抗精神病薬がプロクロルペラジンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
6mg未満のプロクロルペラジンを投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
吸入によって投与を行う、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
プロクロルペラジンを含む凝縮エアロゾルを吸入する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
抗精神病薬および吸入送達装置を含む、頭痛の治療キット。
【請求項33】
抗精神病薬がフェノチアジン系抗精神病薬である、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
フェノチアジン系抗精神病薬がプロクロルペラジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、プロメタジン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、およびアセトフェナジンから選択される、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
フェノチアジン系抗精神病薬が約1mg〜18mgのプロクロルペラジンである、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
フェノチアジン系抗精神病薬の複数回の投与量を提供する、請求項34に記載のキット。
【請求項37】
使用説明書をさらに含む、請求項32に記載のキット。
【請求項38】
吸入送達装置が凝縮エアロゾルを生じる、請求項32に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−514633(P2006−514633A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555621(P2004−555621)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037426
【国際公開番号】WO2004/047841
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(503412296)アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】