説明

回路モジュールおよびその製造方法

製造方法および回路モジュールであり、回路モジュールは、絶縁層1と、第1の金属を含む材料からなる接触領域7を備え、前記絶縁層1内に設けられた少なくとも1つのコンポーネント6とを備えている。前記絶縁層1の表面上に、少なくとも第1の層12と第2の層32とを備えた導体22が設けられ、少なくとも第2の層32は第2の金属を含む。回路モジュールは、電気的接触を形成するための、接触領域7と導体22との間の接触要素を備える。接触要素は部分的に、接触領域7の材料表面上に、第3の金属を含む中間層2を備え、前記第1、第2、第3の金属はそれぞれ異なる金属であり、前記中間層2と前記接触領域7との間の接触表面積ACONT1は、接触領域7の表面積APADより小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁層と、その絶縁層内部に配置され接触領域を有する少なくとも1つのコンポーネントと、を備える回路モジュールに関する。また、この回路モジュールは、絶縁層の表面に導体を備え、コンポーネントは、この導体を介して接続することで外部にある回路の一部となる。回路モジュールは、電気接触を確立するためにコンポーネントの接触領域と導体との間に接触要素を備える。
【0002】
本発明はまた、前記回路モジュールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術として、絶縁材料内にコンポーネントが配置された回路モジュールを製造する、種々の方法を説明する。背景技術ではまた、コンポーネントの接触端子に対する電気的接触を接触要素によって形成するためのいくつかの解決方法、およびコンポーネントに接続する導体パターン層を製造する方法を開示する。
【0004】
回路モジュールおよび製造方法を評価するときに、例えば実現可能な価格や機械的耐久性、厚さ(薄さ)といった、その方法によって実現される回路モジュールの特性などに着目することができる。電気接点の品質や耐久性、モジュール全体の電気的特性の信頼性や品質もまた適宜重要な要因とすることができる。また、使用する製造方法の例えば信頼性や歩留まり、効率性、価格、環境配慮も製造に関する重要な検証対象特性になる。製造方法の実現可能性は、原料の利用可能性や、その方法において回路モジュール内に異なる種類のコンポーネントを配置する能力にも影響される。
【0005】
上記事項を鑑みると、製造方法および回路モジュールに対する要件は、非常に多種に渡りまた用途により異なる。従って、当該分野においては、新規なあるいは改良された特性やその組み合わせを提供できる新規な回路モジュール構造や製造方法の開発が依然必要となっている。
【0006】
1つの開発の道筋としては、コンポーネントを電子モジュール内部にバンプレスに、すなわちコンポーネントの接触領域の頂点にバンプを成長させずにコンポーネントを配置することがある。製造中に、バンプ形成のために別の製造場所へコンポーネントを移動させる必要がないため、コストに関する利点が得られる。
【0007】
出願人が所有する特許および出願書類には、バンプフリーコンポーネントに関連して使用される製造技術が開示されている。この開示技術は、接触領域の材料に銅を使用したコンポーネントに特に適している。出願人の刊行物のうち、本発明に最も関連するものは以下の特許文献1〜8である。
【0008】
しかし現在では、銅は、半導体工程において導体材料としてはほとんど使用されていない。最も一般的な導体材料はアルミニウムである。一方、回路基板の製造において、銅は導体の主要材料である。回路モジュールの銅導体は、アルミニウム接触領域の上に直接成長させることができるが、銅とアルミニウムとの間の接触は脆弱であり、この種のモジュールは、回路モジュールに機械的応力が加わるような用途においては最適ではない。
【0009】
アルミニウムの接触領域あるいはアルミニウムを含んだ接触領域の利用に関する可能性を改良するということは、回路モジュールおよび製造方法において、バンプレス形態の通常の半導体回路を半導体製造工程およびその表面の不動態化処理直後に使用できることを意味する。アルミニウムは、半導体産業において最も広く利用されている導体材料なので、回路モジュールの接触要素とアルミニウムとの間で良好な互換性を保つことは、好適な半導体回路が豊富にそして経済的に利用可能になるということである。こうした製造方法を開発する試みは、コンポーネント実装技術の分野においては数十年間にわたりすでに実施されてきている。この種のコンポーネント実装に関する解決において目指すところは、比較的小型のコンポーネントパッケージを、後に回路基板が装着されるコンポーネントの周りに製造する技術である。実装技術とは異なり、本願発明が関する回路モジュールの製造技術の目指すところは、コンポーネントごとの実装ステージを完全に省いて、同一処理で回路基板全体を製造する能力についてである。もちろん、このことは、コンポーネント実装のみを製造することに対して回路モジュールの製造方法の適用可能性を排除するものではない。
【0010】
特許文献9は、コンポーネントの接触領域が、V字形状の開口部が形成された絶縁シートと接触することを特徴とする方法を開示している。まず、チタン(Ti)またはクロム(Cr)の層を開口部とアルミニウム接触領域の表面上に成長させる。この中間金属層は、銅がアルミニウムと半導体コンポーネントとに拡散すること防止するとともに、銅とアルミニウムとの接着性を改善することを意図している。また、この中間層は、その後の電気化学成長(電気めっき)中に電気導体として機能し、中間金属層が開口部の側壁もまた確実に覆うようにする。チタンまたはクロム層の成長には、スパッタリング法を使用する必要があるので、前記開口部は明確なV字形状を有さなければならない。スパッタリングは、(回路モジュール上の)広範囲の面に使用する場合高価である上、開口部のV字形状により利用可能な導電密度が減少する。対応するタイプの縮小構造が、特許文献10〜12に開示されている。
【0011】
また、特許文献13では、アルミニウム接触領域の表面上にニッケル層を成長させて中間金属層を形成することで、スパッタリングに関連する問題を解決しようとしている。この発明では、ニッケルの成長は、化学的成長方法(無電解めっき)によって実施している。絶縁材料内に接触用として設けられた開口部の側壁を覆うさらに別の層を、化学的成長方法でニッケル層の上に成長させている。この方法では、各コンポーネントをまずその側面および背面で絶縁層に装着し、その後、フォトパターン形成可能な高分子をコンポーネントの表面上および接触領域上部に拡げている。高分子を露光し現像することで、高分子をパターン形成し、接触用の開口部を形成する。
【0012】
1つの実施可能なものとしては、回路モジュールにおける回路基板部の導体表面上にバンプを成長させ、例えば超音波ボンディングによるフリップチップ実装方法でコンポーネントを導体に取り付けることが挙げられる。このような方法は、出願人が所有する特許文献14に開示されている。生産性および接点の品質に関する問題は、フリップチップ技術を使用した方法に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2004/089048号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/027602号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/125298号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/013230号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/056643号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/134216号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2006/134217号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2007/107630号パンフレット
【特許文献9】米国特許第4246595号
【特許文献10】米国特許第4783695号
【特許文献11】米国特許第4894115号
【特許文献12】米国特許第5353195号
【特許文献13】米国特許第6396148号
【特許文献14】国際公開第2006/134220号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、バンプレスコンポーネントの利用を想定した新規な接触要素構造体を開発するとともに、そのような構造体を使用した回路モジュールおよび製造技術を開発することである。
【0015】
本願発明の1つの観点によれば、回路モジュールにバンプレスコンポーネントが使用され、その接触領域の材料は、回路モジュールの導体層の導体部とは異なる金属または金属合金からなる。コンポーネントの接触領域と回路モジュールの導体部とは、接触領域の材料上に設けられ第3の金属または金属合金を含む中間層からなる接触要素により相互に接続しており、前記第3の金属または金属合金は、接触領域の材料とは異なる材料からなる。また、各接触要素の中間層とコンポーネントの接触領域との間の接触表面積は、接触領域の表面積より小さい。
【0016】
本願発明の別の観点によれば、製造方法は、上記回路モジュールを作成するためのものであり、その製造方法において、高分子層により導体箔または導体パターン層にコンポーネントが取り付けられ、高分子層を通して接触要素が形成されている。接触要素を形成する際に、高分子層内の接触領域上でかつ接触領域の位置にコンタクトホール(接触孔)を形成する。コンタクトホールの寸法は、コンタクトホールとそれに対応する接触領域との間の接触表面積が、接触領域の合計表面積より小さくなるようにする。その後、コンタクトホールは、例えば1つあるいはそれ以上の化学的金属成長法により中間層で接触領域の表面を被覆することで開始するようにして、導体材料で埋められる。
【0017】
よって、回路モジュールに適用する際に複数の利点を備えた、新規な種類の回路モジュールと製造方法が得られる。
【0018】
また、本願発明は、更なる利点を備えた多くの特別な実施形態を有する。
【0019】
一実施形態において、回路モジュールに複数のコンポーネントが使用され、その接触領域の材料にはアルミニウムを含み、そのアルミニウムを含む接触領域の表面上において、接触要素は亜鉛を含む層を備える。また、この接触要素は、亜鉛を含む層と接触領域との間の接触表面積が実際の接触領域の全表面積より小さくなるように形成される。
【0020】
亜鉛を含む層でアルミニウムの接触領域の表面上を被覆することで、アルミニウム表面が再度酸化することが防止でき、アルミニウムとその隣の層との間で良好な接触状態を形成することができるため、亜鉛を含む層は、電気的接触の品質について有益であると認められている。また、亜鉛を含む層によって、アルミニウムとその他の材料からなる中間層との間の境界面における接触による横方向の応力に対する機械的耐久性を改善する。
【0021】
本発明者らは、コンポーネントを有するブランクに少なくとも2回のジンケート処理を施すダブルジンケート処理により、極めて良好な機械的耐久性を実現できたことを観察した。よって、アルミニウム接触表面上に、より平滑で密な亜鉛の層を成長することができる。シングルジンケート処理を実施後は、接触表面上のいくつかの領域にだけ亜鉛が存在したり、その層が多孔性のものであったりするので、好適な実施形態においてはダブルジンケート処理を使用した。
【0022】
特に実施形態において、垂直方向において接触要素が実質的に均等な幅を有する場合またはコンポーネントに向かって緩やかに狭くなる場合、例えば接触要素に接続している導体の幅を狭くすることができるので、接触領域より狭い接触要素を使用できるようになり、その一部において利点が得られることとなる。
【0023】
コンポーネント取り付け前にコンタクト開口部(接触開口部)を導体パターン層の導体箔内に形成する製造工程の実施形態において、導体箔または導体パターン層の材料をマスクとして使用することで、コンタクト開口部に対してコンポーネントを位置決めして取り付けることができるとともに、接触要素形成に必要なコンタクトホールを、前記コンタクト開口部を通じて形成することができる。このような実施形態において、接触要素と接触領域との間の位置決めに関して、利点が得られる。また、例えばCOレーザを使用することでホールを開けることができるので、コンタクトホールを形成することに関して、利点が得られる。
【0024】
レーザを利用してコンタクトホールを開ける実施形態において、コンタクトホールを、一度に1つのコンポーネントまたはコンポーネントグループについて開けることができる。従って、第1の中間層を、第1のコンポーネントの接触領域上にコンタクトホールを通じてまず形成し、その後、第2の中間層を、第2のコンポーネントの接触領域上に、後ほど穿孔するコンタクトホールを通じて形成することができる。よって、接触領域の材料がそれぞれ異なり、同一の中間層成長工程では接触領域のそれぞれの材料が互いに異なる複数のコンポーネントの場合であっても、同一工程において適合させることができる。
【0025】
本実施形態において、これらのコンポーネントをそれぞれ別の高分子層により導体に取り付けることも可能である。これにより、コンポーネントと導体との間の絶縁特性を、異なる機械的、電気的要件に適合するように調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図2】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図3】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図4】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図5】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図6】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図7】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図8】第1の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図9】第1の実施形態による回路モジュールの1つの例を示す図である。
【図10】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図11】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図12】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図13】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図14】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図15】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図16】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図17】第2の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図18】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図19】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図20】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図21】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図22】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図23】第3の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する中間段階を示す図である。
【図24】第4の実施形態による製造方法を使用した場合の回路モジュールに関する1つの中間段階を示す図である。
【図25】回路モジュールの接触要素のために形成されたコンタクトホールとその寸法の1つの可能な例を示す図である。
【図26】可能なコンタクトホールの例を示す図である。
【図27】図26のコンタクトホール中に形成された中間層のいくつかの実施形態を示す図である。
【図28】第1の接触要素構造体を示す図である。
【図29】第2の接触要素構造体を示す図である。
【図30】第3の接触要素構造体を示す図である。
【図31】第4の接触要素構造体を示す図である。
【図32】第5の接触要素構造体を示す図である。
【図33】第6の接触要素構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図9は、本実施形態による製造方法の1つの適用例を示している。本実施形態において、例えば金属からなる導体箔12から製造が開始される。好適な導体箔12は、例えば厚みが1〜70μmの範囲、典型的には3〜12μmの範囲の銅膜である。むき出しの導体箔12の代りに、導体箔12と、その表面上の図1の破線で示される絶縁層13と、を含む層状のシートをベース材料として使用することも可能である。以下に説明する実施形態において、前記導体箔12の代りに、このような層状シート12、13を使用することも可能である。
【0028】
図1に示しているものとは別に、導体箔12の第2の表面上にサポート膜を備えた層状シートを使用することも可能である。このサポート膜は、導体箔に装着されるコンポーネントに対して、導体箔の反対側の面上に設けられる。層状シートが絶縁層13も含む場合、前記サポート膜は、この絶縁層13とは反対側の導体箔上にある。このサポート膜は、例えば機械的剛性を改善し、導体箔12または層状シート12、13の製造工程開始時の取り扱い安さを向上するために使用することができる。しかし、このサポート膜は、この工程の後ほどの段階で除去されるものである。製造をサポート膜から開始し、その上にパターン形成されたあるいはパターン未形成の導体箔12を形成することも可能である。独立して記載してはいないものの、サポート膜を使用した場合も、本適用例中に記載する工程例や段階をそれぞれ対応して実施することもできる。以下の説明においては、サポート膜を使用した実施形態の場合で特に注意を喚起する場合にのみ、サポート膜を参照している。実際のサポート膜は、例えばアルミニウム(Al)、鋼鉄、銅などの電気的導電性材料や高分子のような絶縁材料で形成することができる。サポート膜の厚さは、例えば25〜400μmとすることができる。またサポート膜の厚さは、典型的には35〜105μmの範囲にある。
【0029】
次に、コンタクト開口部8を、製造中のモジュール内でコンポーネントの接触端子の位置に配置されるように、導体箔12上に形成する。これにより、各コンタクト開口部8が、コンポーネントの接触端子毎に導体箔12内に形成される。本実施形態においては、コンタクト開口部8は、UVレーザを使用することで製造することもできる。このコンタクト開口部8は、例えばドリル加工やフライス加工、エッチングによって機械的に製造することができる。サポート膜を使用した実施形態の場合、好ましくは、このコンタクト開口部8は、導体箔12を完全に貫通するように反対方向から形成する。しかし、このコンタクト開口部は必ずしもシートを貫通する必要はなく、コンタクト開口部8が、サポート膜の材料の表面まで延在するように、あるいは完全に貫通させずにサポート膜の材料内に凹み部を形成するようにその方法を設計することも可能である。また、導体箔が厚膜であるが後工程のエッチングによって薄膜化される場合、このコンタクト開口部は導体箔を完全に通過する必要はない。
【0030】
図1の実施形態において、コンタクト開口部8は、その大きさが、コンタクト開口部8に配置される接触材料の接触表面積より小さくなるように形成される。コンタクト開口部は、典型的には円形であるが、他の形状を採用することも可能である。コンタクト開口部8の形状と大きさは、接触端子の接触表面がコンタクト開口部8を完全に覆うことができるように決定される。
【0031】
図2において、コンポーネントの接続領域に設けられた導体箔12の表面上に、接着層5を拡げる(展延させる)ことにより、製造工程を継続する。接着層はコンタクト開口部8も覆うこととなる。あるいは、接着剤5をコンポーネントの表面に拡げることも可能である。接着剤はまた、コンポーネントと導体箔12との両方の表面上に拡げることも可能である。典型的には、接着剤を局部的に拡げることで、接着層5がコンポーネントの接続領域内にのみ存在することとなる。
【0032】
接着剤という語は、ベース部としての導体箔12または絶縁層13 にコンポーネントを装着することができるようにする材料のことを言う。接着剤の1番目の特性として、接着剤は、比較的液体の状態で塗布され表面上で拡げることができ、または、例えばフィルム状で表面形状に一致するようにしてよい。接着剤の2番目の特性としては、接着剤は、少なくともコンポーネントが何らかの別の方法で構造体に固定されるまでコンポーネントを所定の位置に(導体箔12に対して)保持することができるように、塗布後に少なくとも部分的に硬化するあるいは硬化させることができる。接着剤の3番目の特性は、接着能力、すなわち接着された表面に対する固定力である。
【0033】
接着という語は、その一部において、接着剤によって接着対象部分のそれぞれが接合することをいう。実施形態においては、接着剤は、コンポーネントと、ベース部としての導体箔12または絶縁層13との間に塗布され、コンポーネントが、ベース部に対して適切な位置に設置され、そして接着剤は、コンポーネントとベース部とに接触し、少なくとも部分的にコンポーネントとベース部との間を埋める。その後、接着剤は(少なくとも部分的に)硬化されまたは接着剤は(少なくとも部分的に)積極的に硬化し、接着剤によりコンポーネントがそのベース部に装着される。実施形態によっては、コンポーネントの接触突起部が接着層を介して接着中に突出し、ベース部に接触してもよい。
【0034】
実施形態において使用される接着剤は、典型的にはエポキシ系接着剤であり、例えば熱硬化エポキシ接着剤である。この接着剤は、使用する接着剤がベース部とコンポーネントとに対して十分な接着力を有するように選択される。1つの好適な特性として、接着剤は、接着剤の熱膨張と周囲の材料の熱膨張とが処理中に大きく異ならないような、適切な熱膨張係数を有する。また、接着剤は、短時間で硬化すること、好適には長くても数秒で硬化することが好ましい。この時間内において、少なくとも部分的に接着剤が硬化し、接着剤によってコンポーネントが所定の位置に保持されることが好ましい。最終的に硬化するまでには長い時間を要することも可能であり、後工程の段階に連続して最終硬化がなされるように設計することも可能である。また、接着剤を選択する際には、熱応力、化学的応力、機械的応力などの後工程の段階において発生する応力を考慮する。接着剤の導電性は、好ましくは絶縁材料の導電性とほぼ同程度である。
【0035】
次に、接触端子7、17を備えるコンポーネント6、16を用意する。コンポーネント6、16は半導体コンポーネントであり、例えば演算処理装置やメモリーチップその他の超小型回路である。コンポーネント6の接触端子は、基本的にはコンポーネント表面の高さに設置されている接触領域7である。このようなコンポーネント6の接触領域7は、半導体コンポーネントの製造工程中に半導体工場にて製作される。接触領域7は、典型的には工程内で使用される金属上の導体パターンの表面を形成する。半導体コンポーネントの前記製造工程中に使用される金属は、典型的にはアルミニウムであるが、その他の金属や金属合金、その他の導体材料もまた使用できる。例えば、銅を使用することは、半導体コンポーネント製造工程においては一般的になっている。
【0036】
コンポーネント16の接触端子は、コンポーネント表面の水平面から突出しているコンタクトバンプ(接触バンプ)17である。このコンタクトバンプ17は、半導体コンポーネント16の製造後に、典型的には別の工場で行われるバンプ製作工程において製作される。コンタクトバンプ17は、1つまたは複数の金属や金属合金その他の導体材料を含むことができる。典型的には、コンタクトバンプ17の外表面すなわち接触表面は、銅や金からなる。
【0037】
コンポーネント6、16は、それぞれの接触端子7、17が対応するコンタクト開口部8に位置決めされ、接着層5に対して押圧するように、コンタクト開口部8に対して揃えて配置される。その後、接着剤は、位置決め後にコンポーネント6、16および導体箔12の相対移動を防止または最小限にするように少なくとも部分的に硬化する。位置決めおよび接着においてその目的は、コンタクト開口部8を、対応する接触端子7、17の中心に位置させることである。
【0038】
その後、コンポーネント6、16に対して開口部が形成された絶縁シート11と、未硬化あるいは予め硬化された高分子からなる統合絶縁シート10とを導体箔12の上部に積層する。積層中、絶縁シート10、11は共に溶解し、コンポーネント6、16の周りに統合絶縁シート1を形成する。図2の実施形態において、絶縁シート11は高分子が染み込んだ繊維状マット、または、予め硬化された高分子を含み繊維材料で強化されたシートである。この高分子は、例えばエポキシでもよく、繊維強化は、例えばグラスファイバーマットでもよい。好適な絶縁シート11材料の典型的な例としては、FR4型グラスファイバー強化エポキシ樹脂がある。もちろんその他の強化材と高分子材料の組み合わせを使用してもよい。いくつかの絶縁シート11を使用する場合、シートはそれぞれお互い異なるものとしてもよい。
【0039】
図2および図3において、繊維材料は波状の斜線19で示されている。以降図中では、繊維材料19は図示しないが、これらの構造体には繊維材料19もまた含むこととする。1枚の絶縁シート11または複数の絶縁シート11中に含まれる繊維材料19は、強化剤として機能し、機械的強度を備えた電子モジュールを提供する。図2の例において、ホール4は、絶縁シート11中のコンポーネント6、16に対応する位置に設けられている。絶縁シート11には、特に絶縁シート11に含まれた繊維材料19中に、コンポーネント用開口部を形成するために、ホールが開けられている。ホールがなければ、コンポーネントは、繊維材料層19に対して積層中に押圧されることとなる。一方、ホールが設けられていない絶縁シート10は、実施形態によって、繊維強化されてもよいし、強化されなくてもよい。
【0040】
絶縁シート10、11を選択する際には、典型的には、積層段階中にコンポーネント周囲に流れる高分子が、絶縁シート中に設けられたコンポーネント6、16用ホール4を埋めるのに十分な程度の流動性を有するような高分子を絶縁シート10、11が含むようにする。そして、図3に示す、1つまたはそれ以上の強化剤からなる繊維材料19を有する緊密な高分子層を絶縁層1が含んでいる構造体が得られる。高分子層が繊維層19に緊密に結合されていると共に緊密な高分子がコンポーネントを表面に装着しているため、コンポーネント6、16を含み、繊維材料19によって強化され、緊密で統一され機械的に高強度な絶縁層が形成される。
【0041】
図2の例においては、統合絶縁シート10が使用されているが、この統合絶縁シート10を構造体から省いてもよい。この場合、1枚の絶縁シート11または複数の絶縁シート11を選択する際には、絶縁シート11のコンポーネント6、16周辺に形成されたホール4を埋めるのに十分な流動性を備えた高分子を絶縁シート11が既に含んでいるようにする。しかし、典型的には、別の絶縁シート10を使用してホール4を確実に埋める方が容易である。
【0042】
好ましくは導体箔12と同様の材質で同程度の厚さを有する導体箔14も、絶縁シート10、11とともに層状にして、一体の構造体とする。これにより、絶縁層1とコンポーネント6、16が、対応する導体箔12、14間に残ることとなる。図3は、モジュール製造におけるこの中間段階を示している。図3の中間段階においては、接着剤が接触端子7、17の接触表面上および典型的にはコンタクト開口部18内にある。図4で示す段階においては、この接着剤は取り除かれ、接触端子7、17の接触表面に延在するコンタクト開口部18が、コンタクト開口部8の位置に形成される。
【0043】
図3に関し、構造体はまた、繊維材料19の統合層がコンポーネント6、16と導体箔14との間に広がるように製造されていると言うことができる。このような構造は、コンポーネント6、16の厚さが絶縁層1の厚さより十分に下回る場合に使用することができる。この構造体は、例えば繊維材料19の層を含む統合絶縁シート10が、この構造体上に重ね合わせることができるように製造される。
【0044】
図1の説明に関連して描かれているように、本実施形態においてサポート膜が導体箔12の表面上に使用されている場合、積層後すなわち図3および図4で示す中間段階においてサポート膜を取り除くことが最も好適である。
【0045】
積層および除去可能なサポート層の除去後、コンタクト開口部8内部かつコンタクト開口部8と接触端子7、17間に形成されている接着層を除去する。図中の実施形態において、接着剤の除去は、COレーザを使用したレーザ除去法により実施される。COレーザは、エポキシ系接着剤などの有機絶縁物質を蒸発させる能力は良好であるが、銅やその他の金属を蒸発させる能力は不十分であるので、導体箔12を、コンタクト開口部18を形成するためのマスクに使用することができる。このようにして、COレーザのビーム径より小さい径のコンタクト開口部18を作ることができる。COレーザの最小ビーム径は典型的には75μm程度であり、これは精密な電子モジュール構造体を製造することを考慮すると非常に大きい。それゆえ、上記特性により、重要な利点が得られることになる。また、典型的にはUVレーザを使用すれば、明らかにさらに精密な構造体を製造することができる。UVレーザの最小ビーム径は、例えば25μmであるが、UVレーザは、コンタクト開口部8からおよびコンタクト開口部8と接触端子7、17間から接着剤を除去するのには適していない。
【0046】
従って、導体マスクを使用することで、高精度に限定され、精密に位置決めされたコンタクトホール18を、本実施形態において使用する接着剤5などのような絶縁材料中においても製造することができる。また、COレーザを使用することで、接触端子7、17を破損、損傷するという重大な危険を冒すこと無しに、同じ工程段階中において接触端子7、17の接触表面の洗浄をすることができる。本実施形態において、導体箔12は銅であり、コンポーネントの接触端子7、17もまた金属である。そのため、これらの部材はCOレーザに対して影響を受けにくく、よって、当該工程は、接触端子7、17の接触表面が十分に洗浄された状態を確実に実現するように設計することができる。これらのことから、上記方法の利点は、UVレーザによりコンタクト開口部8を導体箔12中に高精度に形成でき、その後、このコンタクト開口部を、精度は劣るが構造体に対しては安全なCOレーザによりコンタクトホール18を形成するためのマスクとして、使用することができる点にある。
【0047】
導体箔12のコンタクトホール8がこの工程段階のみで製造されるとしたら、導体箔12を貫通するために必要なエネルギーは、接触端子7、17と導体箔12との間にある接着剤やその他の絶縁体を貫通するために必要なエネルギーよりは遙かに大きくなるため、例えばUVレーザのような導体箔12の金属部を加工するための方法によって、接触端子7、17もまた容易に損傷することになる。このような製造方法においては、正確な深さで穿孔(ドリル)を精密に停止することは非常に困難である。また、積層中の変形や固い金属膜を通してコンポーネントの接触端子7、17を視認できないため、ドリルを位置決めすることは非常に困難である。導体箔12中に予め製造されていたコンタクトホール8を使用することで、コンポーネントの位置決めやコンタクトホール18の製造におい非常に大きな利点が得られる。
【0048】
図5において、好適な導体材料で形成された中間層2が、コンタクトホール18内に形成されている。この中間層2は、好適な化学的導体材料成長法(無電解めっき)を使用して形成されている。この中間層2はまた、2つ以上の異なる材料の層からなり、それぞれ2つ以上の対応する方法により形成されてもよい。この中間層2の第1の目的は、接触端子7、17と導体箔12とをお互いに接続するコンタクトホール18の側壁面に対する導体膜を形成することである。この中間層2の第2の目的は、接触端子7、17の材料とそれらに接合する導体パターン材料との間の材料アダプターを提供することである。このような材料アダプターは、回路モジュールの導体パターン層の材質が銅であり、接触端子7、17の材料が銅(Cu)以外の例えばアルミニウム(Al)である場合に、例えば機械的あるいは電気的接触の品質および耐久性を確実に保つために必要となる。
【0049】
中間層2を形成する際に、好適な化学成長法を使用する。これは、例えばスパッタリングを使用する場合とは異なり、そのような方法を使用することで、コンタクトホール18の垂直方向表面上に導体材料を成長させることができるためである。コンタクトホール18の側壁面は導電性ではないため、この段階では電気化学法(電気めっき)を使用することはできない。また、V字形状のコンタクト開口部を使用して、中間層2をスパッタリングで形成することもできる。この目的に好適なスパッタリング可能な材料としては、例えばチタンウォルフラム(TiW)およびクロム(Cr)がある。ニッケル(Ni)および金(Au)の層を、このTiWやCr層の上に成長させることもできる。図5の例において、化学法によって成長させたニッケルを図5の例の中間層2として使用しているが、中間層2は、導体箔12と14の表面上で同時に成長している。中間層2のその他の例としては、接触端子7、17の表面上に亜鉛を含む層を形成し、その上にニッケル(Ni)の層を更に形成する。その他の可能な例は、図26から図33の記載に関連して説明している。
【0050】
本実施形態においては、中間層2を形成後、レジスト層3,典型的にはフォトレジスト層をモジュールの両面に拡げる工程に移行する。レジスト層3は、導体パターン層の導体パターンの所望部分からレジスト3を取り除くことができるように、露光および現像により導体パターンマスクを使用してパターン形成する。この中間段階を図6に示す。その後、モジュールを電気化学槽に入れ、モジュールの中間層2に電圧を印加する。導体パターン槽の所望の導体が、レジスト槽3の開口部内で成長する。導体材料はコンタクトホール18内にも成長し、図7で見られるように、接触要素に導体コアを形成する。図7の例において、導体22、24は電気化学的に成長した銅である。最後に、厚膜のエッチングマスク層を導体22、24の表面に成長させる。例えばズス(Sn)の層をエッチングマスクとしてしてもよい。
【0051】
次に、レジスト層3を除去し、図の実施形態において、除去したレジストの下から中間層2が現れる。この中間層2の出現部分は、例えばエッチングにより除去されるが、同様の方法を、導体22、24の外側に出現した導体箔12、14の部分に対しても使用する。このエッチングマスク層は、導体22、24の最外表面をエッチングの影響から保護する。そして、図8に示すような、導体22に電気的に接続する2つのコンポーネント6、16を含み、2つの導体パターン層(導体22、24)を備えた電子モジュールが得られる。
【0052】
図6および7の例では、導体22、24を、レジスト層3中に形成された開口部内で所定の形状に直接成長させる。しかし、本例および後に述べる例のように、導体22、24を別の方法で形成することもできる。別の形成方法として、導体材料の統合層をモジュールブランク表面の全面にわたって成長させ、その後リソグラフィー法により導体層のパターン形成を行い、導体22、24を形成する。詳述すると、例えば図5の中間段階から、電気化学法により両方の中間層2表面に銅を成長させるようにして処理することも可能である。この場合、コンタクト開口部8もまた銅で埋められる。その後、レジスト層を銅層上に拡げ、レジストをパターン形成し、中間層2および導体箔12、14あるいは銅の余分な部分をエッチングする。そして、レジストマスクを除去する。いずれの形成方法を使用しても、図8に示される構造体が結果として得られる。
【0053】
図8は、既に完成した回路モジュールの概略を示すが、通常、製造工程はその後も続き、更なる絶縁層および導体層を、図8の構造体にビアにより電気的に接続する回路モジュール表面上に形成しする。なお、ビアを図8のモジュール中に形成し、導体22と導体24とを接続することもできる。このようなビアは、接触要素の形成中に、上記工程段階に対応する方法や同様の方法で形成することができる。
【0054】
図8のモジュールは、モジュール表面を保護層20により保護するようにして、図9に示す方法でさらに精製することができる。また、図9の例において、導体パターン22、24上に形成されたベース部21とその表面上に形成された接触ボール23とを備えた外部接触要素をモジュール内に形成する。
【0055】
図10〜図16は、図5に示す中間段階に対応する段階までの第2の実施形態による製造方法を示す。製造工程を図16の中間段階からさらに継続させて、例えば図6〜図9に示すようにあるいは好適なその他の方法で、導体22、24の材料を全面にわたってまず成長させ、その後導体22、24を形成するためにパターン形成することができる。図1〜図5で述べた技術的特徴およびパラメータを、図10〜図16に示す工程段階に適用することができ、以下の実施形態においては、製造工程やその利点の詳細を繰り返す必要はない。一方、図1〜図9に示す実施形態と図10〜図16に示す実施形態との間で本質的に異なる点を以下に述べる。
【0056】
図10〜図16の実施形態において、図1と同様に、コンタクト開口部8が形成された導体箔12から製造工程が始まる。その後、スペーサー15を、導体箔12表面上のコンポーネントが将来取り付けられる場所に設置する。スペーサー15は、好適な絶縁材料、例えば予め硬化された接着剤やその他の導体箔12表面に対して十分な接着力を有する高分子からなる。スペーサー15は、硬化高分子でもよく、この場合、例えば別の接着剤により導体箔12表面に取り付けることができる。
【0057】
スペーサー15は、様々な理由により使用することができる。コンポーネント6と導体箔12との間に絶縁厚さを大きくするためのスペーサーを使用するのも1つの利用方法である。例えば回路モジュールやコンポーネント6の電気的動作により規定される要件から、絶縁厚さを大きくする必要が生じる。この場合、スペーサー15を使用して、コンポーネント6と導体箔12との間の絶縁特性を適宜設定することができる。選択する特性としては、例えば所望の固有抵抗や火花放電抵抗があり、スペーサー15と接着剤5の材料選択により影響を受ける。スペーサーは、コンポーネントと導体箔12との間の短絡防止に使用することもできる。このように使用する際には、コンポーネント6の表面が導体箔に非常に近い位置で押圧される実施形態において、意図しない電気接触がコンポーネント表面上の導体構造体と導体箔との間で発生する危険がある場合、特に問題となる。また、コンポーネント6の内部回路要素とコンポーネント6の設置場所近傍に延在する導体22との間の容量性結合を弱めるために、スペーサーを使用してもよい。
【0058】
スペーサー15に加えて、あるいはスペーサー15の代わりに、同じ目的で、図1に関連して述べたように、導体箔12表面を完全に覆う絶縁層13を使用することもできる。
【0059】
図10〜図16の例において、スペーサー15をバンプレスコンポーネント6に接続して使用しているが、バンプを有するコンポーネント16の接触端子は、導体箔12表面に近い位置で延在するように形成しなくてはならず、こうすることにより、コンポーネント16の対向面と導体箔14と間に十分な絶縁ギャップを設けることができる。本実施形態において、回路基板モジュールの電気的および/または機械的特性を最適にするために、コンポーネントに合わせて選択されたスペーサー15を、回路モジュール内に設置する。お互いに異なる場所から得られ異なる特性を有するコンポーネント6、16を、使用する回路基板製造工程に合わせるために、同じモジュールに、様々な種類のスペーサー15を含むこともでき、よってスペーサー15は連続生産時に使用することができる。最適化が求められる機械特性の1つの例に、絶縁層1の(同時にモジュール全体の)厚さがあるが、これは、例えば図12に見られるような選択された好適なスペーサー15により抑えることができる。
【0060】
図11によると、コンポーネントの接触領域において導体箔12とスペーサー15の表面上に接着層5を拡げることで製造工程は継続する。コンポーネント6、16は、コンタクト開口部8に対して位置決めされ、所定の位置に接着される。その後、図11の例において、絶縁シート10、11および導体箔14を導体箔12上に積層する。次に、コンタクト開口部8より大きな開口部をコンタクト開口部8の位置に形成するようにパターン形成されたフォトレジスト層30を、導体箔12および14の表面上に拡げる、あるいは導体層全体上を電気泳動で被覆する。フォトレジスト層30を使用して、非選択的な方法により成長した中間層材料の成長をコンタクト開口部およびコンタクト開口部8近傍に限定する。このような手順は、上記例に関連して使用することができるが、図10〜図16の例においては不可欠なものではない。図12は、これらの段階後のモジュールを示している。コンポーネント6の接触端子7は、スペーサー15および接着剤5によって被覆されている。コンポーネント16のコンタクトバンプ17表面上のコンタクト開口部8に対応する位置に接着剤が存在している。
【0061】
図13に示す段階において、コンポーネント6のコンタクト開口部8に対応する位置にコンタクトホール18を形成する。コンタクトホールは、スペーサー15および接着剤5を貫通し、接触端子7の接触表面に達するホールである。図の実施形態において、コンタクトホール8の穿孔は、図4に関連して説明したように、COレーザを使用してレーザ除去法により実施する。図10〜図16の実施形態において、この段階では、第2のコンポーネント16の接触端子17の位置にはコンタクトホールを穿孔しないことが重要である。
【0062】
図14に示す段階において、好適な材料からなる中間層2をコンポーネント6のコンタクトホール18内に形成する。中間層2の導体材料は、コンポーネント6の接触端子7の材料に基づき選択され、好適な化学的な導体材料成長法により形成される。図の例において、コンポーネントの接触端子7の材料は、アルミニウムであり、中間層2の材料は、おもに亜鉛を含有する金属合金である。上記図5に関連して説明した原理を中間層の成長に用いる。しかし図14の場合、図5の例とは異なり、この段階においては、中間層2は、接触端子7表面上にのみ、つまりコンタクトホール18の底でありコンタクトホール18の端部上ではない場所に選択的な方法により成長させるように実施することができる。本実施形態において、コンタクトホールの端部における中間層2は、コンポーネント16のコンタクトバンプ17に対する中間層の成長に関連して後工程で成長させる。選択的な成長法を使用した実施形態では、コンポーネント16のコンタクトバンプ17を被覆する接着層上に中間層2を成長させないという利点がある。
【0063】
図15に示す段階において、第2のコンポーネント16の開口部8位置においてコンタクトホール28を形成することで製造工程が継続される。その後、図16のモジュールに対して、好適な化学的な導体材料成長法が行われる。図15の例において、成長方法は非選択的なものであり、導体材料は、コンポーネント6のコンタクトホール18内およびコンポーネント16のコンタクトホール28内を含む、モジュールの全ての自由表面上で成長する。しかし、フォトレジスト層30がモジュール表面を保護しているため、中間層2は、コンタクトホール18および28内並びにその周辺部のみで成長する。その後、その表面上で成長したフォトレジストと導体材料とが除去される。フォトレジスト層30を使用したこうした実施形態は、例えばニッケルや、銅以外のその他の金属が例えば非選択的な方法によってフォトレジスト層のホール内で成長している場合に、有益である。導体22および24は、銅層のみから成るように形成される。
【0064】
その他実施形態において、好適に選択された選択的な成長方法を使用してもよく、導体材料を、図14に関して上記したようにものと対応して、コンポーネント16のコンタクトバンプ17の表面上のみに成長させる。いずれの場合においても、この段階では、中間層2は、少なくともコンポーネント16のコンタクトバンプ17の表面上およびコンタクトホール28の側壁面上に成長させる。また、必要に応じて、コンポーネント6の接触端子7に接続している中間層2の表面上および/またはコンポーネント6のコンタクトホール18の側壁面上に成長させてもよい。
【0065】
図10〜図16の例を、フォトレジスト30を使用せずに実施した場合、図16の例においては、コンポーネント16のコンタクトバンプ17の表面材料は好適には銅であり、コンタクトバンプ17の表面に成長させる中間層2の材料は、化学的な成長方法を好適に使用して形成された銅となる。
【0066】
中間層2の形成後、本実施形態においては、例えば図6〜図9の説明に関連して記載された方法により、モジュールの表面上およびコンタクトホール18および28内に位置する接触要素の導体コア上に導体パターンを形成することで製造工程が継続される。
【0067】
別の例として、フォトレジスト層30を除去した後、銅をモジュールの両導体表面上に被覆する。この後、銅層をパターン形成して導体22、24を形成する。これにより、導体22、24が、接触要素の周囲に第1および第2の銅層と例えばそれらの間でニッケルから成る中間層2とで構成された、図17に示す構造体を得ることができる。またこれとは別に、導体22、24を第1および第2の銅層で形成し、その間に解析対象のインターフェースを挟むようにする。図17の構造体を形成したら、これまでの例に関連して記載した方法を必要に応じて継続することができる。
【0068】
図18〜図23は、図10〜図16に示す実施形態の変形例である第3の実施形態による製造方法を示している。図23の中間段階から、例えば図6〜図9に示す方法で製造工程は継続する。図1〜図5および図10〜図16の説明に関連して提示された技術的特徴およびパラメータは、図18〜図23に示す工程段階中に適用することが可能であり、以下の実施形態において製造工程の詳細やその利点の全てを繰り返す必要はない。しかし、以下において、図10〜図16の実施形態と図18〜図23の実施形態との重要な差について説明する。
【0069】
図18〜図23の実施形態において、図10と同様に、コンタクト開口部8が形成された導体箔12から製造工程が開始される。その後、導体箔12の表面のコンポーネント6、16が将来取り付けられる位置にスペーサー15を取り付ける。コンポーネント6および26のスペーサー15は、それぞれ同じとするか、あるいは例えばコンポーネント6のスペーサー15はコンポーネント26のスペーサー15と材料および/または厚さが異なるようにコンポーネントに合わせてそれぞれ選択することができる。
【0070】
図18によると、図11に関連して説明したものと全く同様に、接着層5をコンポーネントの接触領域上に拡げ、ブランクに絶縁シート10、11および導体箔14を積層することで製造工程を継続する。図19は、これらの段階後のモジュールを示している。
【0071】
図20に示す段階では、図13に関連して記載しているように、コンポーネント6のコンタクト開口部8の位置にコンタクトホール18が形成される。この段階では、コンタクトホールは、コンポーネント26の接触端子27の位置にはまだ穿孔されていない。
【0072】
図21に示す段階は、図14に関連して説明した方法の段階に完全に対応する。本実施形態において、2つの層から成る中間層2がコンポーネント6のコンタクトホール18内に形成される。図の例において、コンポーネントの接触端子7の材料はアルミニウムである。本例の2層から成る中間層2は、まず亜鉛を含有する成長層を備えており、その後ニッケル−アルミニウム層が成長される。ニッケル−アルミニウム層は、化学的な方法により成長され、亜鉛を含有する層を封入するために使用される。
【0073】
図22に示す段階では、第2のコンポーネント26のコンタクト開口部8の位置にコンタクトホール28を形成することで製造工程を継続する。その後、図23により、モジュールに対して、好適な化学的な導体材料成長法が行われる。この段階は、図16に関連して説明した方法の段階に対応している。図23の例において、コンポーネント26の接触端子27の表面材料は銅であり、接触端子の表面上に成長された中間層2の材料もまた銅である。
【0074】
図24は、図18〜図23の実施形態の部分的な変形例を示しており、図22に示す段階の後、選択的な成長方法によりコンポーネント26の接触端子27上に第1の中間層を成長させ、その後、非選択的な方法により中間層2の成長を継続させる。図24の例では、コンポーネント26の接触端子27の表面上の材料は金であり、接触端子27の表面上に成長した中間層2は、ニッケルである。
【0075】
図18〜図24の実施例において、中間層2を形成後、例えば図6〜図9の説明に関して述べた方法により、例えばモジュールの表面上に導体パターンを形成し、コンタクトホール18および28内に位置する接触要素に対する導体コアを形成することで継続する。
【0076】
図25は、コンタクトホールの形状およびこの開口部内に形成される接触要素の形状を詳細に示している。図25の例は、上記実施形態を使用した場合に実現可能な1つの考えられる形状を示している。この形状は、導体箔12内に形成されるコンタクト開口部8の形状と、導体箔12とコンポーネントとの間の絶縁特性と、COレーザの動作パラメータとによって影響される。図25のコンタクトホールは回転対称であり、図に示した断面は、コンタクトホールの中心軸を通って切り出されており、すなわち、考えられ得る最も広い断面を示している。図25において、コンタクトホールの大きさと形状は、以下のパラメータを使用して決定する。
−最大幅WMAX この値から最大断面積AMAXが計算できる。
−接触要素とコンポーネント6の接触表面7との間の接触部の幅WCONT この値から、接触要素とコンポーネントの接触表面との間の接触表面積ACONT1が計算できる。
−コンタクト開口部の幅WHOLE この値から、接触要素と導体パターン層の導体部との間の接触表面積ACONT2が計算できる。
【0077】
図25は、コンポーネントの接触表面の幅WPADもまた示しており、接触面の形状が分かれば、この値から、接触表面の表面積APADを計算することができる。接触表面7は、例えば正方形とすることができ、WPADが面の幅を示す場合、接触表面の表面積は、APAD=WPAD×WPADで求めることができる。もちろん、表面積は、実際に表面積を計測することで求めることもでき、対象となる表面積が不規則な形状をしている場合、この方法が現実的な方法となる。
【0078】
図25において、接触表面7は、コンポーネント6表面上に形成されたパッシベーション層9によって囲まれている。この場合、表面積APADは、正確には、自由に接触することができる表面積、つまりパッシベーション層9中に形成された開口部中に出現した面の表面積を示す。更に図25は、導体箔12と接触表面7との間の距離である距離Hを示している。この距離Hは、コンタクトホールの深さに相当し、コンタクトホール内に形成される接触要素の高さとなる。このコンタクトホールは、導体材料によって完全に埋められるので、コンタクトホールのその他の寸法は、接触要素の寸法に相当する。また、パラメータWMAXとWHOLEを使用して、接触要素の対応する寸法を示してもよい。
【0079】
以下に、上記実施形態に関連した典型的なパラメータを示す。
H=1〜50μm、通常は、5〜30μm。
PAD=20〜1000μm、通常は、50〜200μm、さらに通常は約100μm。
HOLE=5〜500μm、通常は、20〜75μm、さらに通常は約30〜50μm。
【0080】
また、一般に、コンタクトホールの確実な充填は、WHOLE≧Hで表される。コンタクトホール18は、ホールの側壁が垂直となるように形成することを意図している。つまり、その目的は、コンタクトホールが、その幅と形状が導体箔12と接触表面7との間の距離Hの全体にわたって一定となるように、すなわち、コンタクトホールがその距離Hにわたってコンタクト開口部8の形状を保つことである。接触表面7に向かって形状が狭くなっても良い。しかし現実的には、上記レーザ処理を使用する場合は、コンタクトホールは接触表面7に向かって広くなるか、はじめは広くそして次に狭くなり、コンタクトホールは、導体箔12と接触表面7との間のどこかの部分で最も広くなることがある。図25は、この種のコンタクトホールを示している。このような最適ではない形状になったとしても、幅の寸法が大きすぎず、ホールへの充填が十分になされていれば、問題とはならない。
【0081】
前述の幅に関する寸法値の中で、コンポーネントの接触表面7の幅WPADは、コンポーネントを選択する際に決定される。必要であれば、WPADは、接触表面7の中心点を通る直線から別途測定しても良い。接触表面7やコンタクト開口部8の形状が不規則な場合、前述の寸法値およびその関係を検討する際に、こうした定義が必要になりうる。しかし、多くの場合、接触表面は正方形であり、接触表面7の幅WPADとして一般的には正方形の面の幅を使用することができる。
【0082】
コンタクト開口部8の幅WHOLEは、製造工程を計画する際に選択されるパラメータである。コンタクト開口部8の幅を選択する際に考慮する1つのパラメータに、使用するコンポーネントの接触表面7の幅がある。コンタクト開口部8の幅を選択する際には、コンタクト開口部8を貫通して形成されるコンタクトホールが、その全断面にわたってコンポーネントの端である接触表面7に接続し、例えばパッシベーション層の表面上の接触領域を外れないようにする。コンタクト開口部が円形の場合、コンタクト開口部の幅WHOLEは、円の中心を通って計測される直径となる。一方、コンタクト開口部の形状が不規則の場合、必要に応じて、幅WHOLEを、コンタクト開口部8の中心点を通る直線に沿って別途計測する。形状が不規則で、コンタクト開口部の幅WHOLEと接触表面の幅WPADとを比較する場合、平行な直線を通って計測した幅のそれぞれの対毎に常に比較するようにする。必要に応じて、幅WHOLEとWPADとを他の前記パラメータに対応する方法で計測してもよい。
【0083】
上記パラメータの比率をコンタクトバンプ17に関して適用することもできる。この場合、接触領域の表面積と幅は、コンタクトバンプの表面積と幅とに置き換えられ、距離Hはコンタクトバンプの表面に対して計測する。
【0084】
コンタクトホールの形状は、ホールのパラメータおよび除去する絶縁物の特性により選択されるレーザパラメータの影響を受ける。製造結果は、もちろん使用したレーザ装置の影響を受ける。工程に選択されたパラメータの適合性はパイロット製造バッチにより検証され、必要に応じてパラメータを変更して所望の結果を達成する。
【0085】
一般に、製造方法において、以下のようなコンタクトホールの形状を達成しようとすることは、賢明なことである。
CONT=0.5〜1.5×WHOLE、好ましくは0.7〜1.2×WHOLE、さらに好ましくは0.8〜1.0×WHOLE、但しWCONT<WPAD
MAXは、WHOLEとWCONTのパラメータのうち大きい方よりも、最大100μm、好ましくは30μm、さらに好ましくは10μmだけ大きい。相対的に提示すると、WMAXは、WHOLEとWCONTのパラメータのうち大きい方よりも最大40%、好ましくは20%、最も好ましくは10%だけ大きい。
【0086】
接触要素の最適な形状としては、WMAXが実質的にWHOLEと同程度の大きさであり、WCONTがWMAXより0〜20%小さい。
【0087】
最も典型的な実施形態において、接触表面7は正方形であり、コンタクト開口部8は円形である。この場合、ACONT1は典型的には表面積APADの10〜75%である。ACONT1およびACONT2は、例えば±20%の精度をもって、典型的にはそれぞれがおおよそ同じ大きさである。
【0088】
図26は、コンタクトホール18のその他の取り得る形状例を示している。図27は、そのようなコンタクトホール内に形成された中間層2の例を部分的に示している。図26および図27の例において、取り付けるコンポーネントはバンプレスである。図27から分かるように、中間層2は、コンポーネントのパッシベーション層9上部には全く延在しておらず、コンポーネントの接触表面7のみに接触している。この特徴により、電子モジュールに内蔵されたコンポーネントがバンプを有するのかそれともバンプレスなのかが完成した電子モジュールからも分かる。バンプ形成工程においてコンポーネントの接触表面7上に成長したバンプは、常に接触表面7全体を埋めており、パッシベーション層9上に僅かに拡がっている。一方、バンプレスコンポーネントが上記実施形態において使用されている場合、中間層2と接触要素とはコンタクトホール18内でのみ成長するので、完成した電子モジュールにおいて、中間層2は、コンポーネントのパッシベーション層9上には延在しておらず、コンポーネントの接触表面7の一部(接触表面7の端部)は、コンタクトホール8の位置決めと形成が成功した場合、中間層2が常に無い状態となる。また、コンタクト開口部8の位置が接触表面7と完全には合わせられていないという、形成しうるコンタクトホール18の位置決めエラーが発生した場合、少なくとも接触表面7の端部領域の一部と端部領域を囲むパッシベーション層9の一部において中間層2が無い状態となる。
【0089】
バンプレスコンポーネントが、銅導体を使用して半導体工程において製造された場合、接触表面7は銅となる。この場合、中間層は、コンタクトホール18の側壁表面上を覆う導体を形成する化学的成長銅から直接形成することができる。この後、コンタクトホール18が埋められ、導体層の厚さを化学銅成長法により増加する。
【0090】
しかし、本願を記載する時点で、半導体工程において最も一般的に使用されている導体材料はアルミニウムである。従って、バンプレスコンポーネントの接触表面7の最も一般的に使用されている材料もまたアルミニウムであり、電子モジュールのアルミニウム接触領域と銅導体との間に、異なる材料で形成された1つあるいはそれ以上の層を備える中間層を使用することが好ましい。以下において、いくつかの実施可能な中間層構造を説明する。
【0091】
中間層構造1
まず、亜鉛を含む層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に成長させる。ジンケート処理で形成された亜鉛を含む層は、コンタクトホール18の側壁の高分子表面上には成長させない。高分子層上には全く成長していないか微少に成長されているニッケルの層を、亜鉛を含む層の表面上に化学的方法により成長させる。銅の層を、ニッケルの表面上に化学的方法により成長させる。化学的成長法によって成長された銅は、確実に高分子上にも成長させるようにして、後ほどの電気化学による成長のために、コンタクトホール18の側壁が導電性を有するようにしておく。
【0092】
中間層構造2
まず、亜鉛を含む層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に成長させる。ジンケート処理で形成された亜鉛を含む層は、コンタクトホール18の高分子表面上には成長させない。銅の層を、亜鉛を含む層の表面上に化学的方法により成長させる。化学的成長法によって成長された銅は、確実に高分子上にも成長させるようにして、後ほどの電気化学による成長のために、コンタクトホール18の側壁が導電性を有するようにしておく。
【0093】
中間層構造3
まず、亜鉛を含む層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に成長させる。ジンケート処理で形成された亜鉛を含む層は、コンタクトホール18の高分子表面上には成長させない。高分子層上には成長していないニッケルの層を、亜鉛を含む層の表面上に化学的方法により成長させる。銅の層を、ニッケル−アルミニウムの表面上に化学的方法により成長させる。化学的成長法によって成長された銅は、確実に高分子上にも成長させるようにして、後ほどの電気化学による成長のために、コンタクトホール18の側壁が導電性を有するようにしておく。
【0094】
中間層構造4
まず、亜鉛を含む層をアルミニウムの接触領域7の表面上に成長させる。ニッケル−アルミニウムの層を、亜鉛を含む層の表面上に化学的方法により成長させる。ニッケルの層を、ニッケル−アルミニウムの表面上に化学的方法により成長させ、銅の層を、ニッケルの表面上に化学的方法により成長させる。
【0095】
中間層構造5
まず、亜鉛を含む層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に成長させる。ニッケルの層を、亜鉛を含む層の表面上に化学的方法により成長させる。
【0096】
中間層構造6
ニッケルの層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に化学的方法により成長させ、中間層2を、ニッケルを成長させた層のみで形成する。
【0097】
中間層構造7
ニッケルの層を、アルミニウムの接触領域7の表面上に化学的方法により成長させ、銅の層を、ニッケルの表面上に化学的方法により成長させる。
【0098】
中間層構造の上記例において、亜鉛を含む層は、例えば約80%の亜鉛と約16%の銅、約2〜3%のニッケル、約2〜3%の鉄を含む。これは、本願に適した合金比率の1つの可能性のある例でしかなく、もちろん適宜合金比率を変えることもできる。中間構造の上記例において、亜鉛を含む層の厚さは、1μm未満であり、通常1層で約0.1μm、複数の層で例えば0.3〜0.4μmである。最も薄い場合で、亜鉛を含む層は製造後に約5〜10nmとすることができる。ニッケルやニッケル−アルミニウムを含む層を亜鉛を含む層上に成長させる場合、少なくとも亜鉛原子を溶解し、ニッケル原子と置換する。完成後の回路モジュールにおいては、亜鉛を含む層が、アルミニウムと隣層の材料との間の境界において、主に亜鉛の濃度プロファイルとして観察可能である。高温下での製造工程段階において、亜鉛は近隣の材料層へ拡散するため、亜鉛を含む層は、最終製品において精密に限定する必要はない。
【0099】
1つの好適な実施形態において、亜鉛を含む層は、ダブルジンケート処理によって成長する。シングルジンケート処理では、亜鉛が、アルミニウム上に非均一で不規則な面を形成する。そのような面上に成長されたニッケル層の接着性は、弱いものであり、微少なマクロビア開口部に使用するのは適していない。成長した亜鉛表面の品質は、ダブルジンケート処理を使用することで著しく改善することができる。典型的には、そのような処理中において、最初のジンケート処理を実施した後、亜鉛を含む層を硝酸(HNO)で取り除き、亜鉛を含む第2の層を被覆する。ダブルジンケート処理により、コンポーネントのアルミニウム接合界面の表面上において、亜鉛を含む緊密で均一な層を得ることができる。
【0100】
ニッケル−アルミニウム層の厚さは、部分的に、例えば0.2〜2μmとすることができる。一方、ニッケル層の厚さは、例えば0.5〜20μm、典型的には2〜10μmとすることができる。これらの層の厚さは、層の厚さの可能性のある例に過ぎず、他の層の厚さもまた使用することができる。
【0101】
実施形態において、電気化学的に成長させた銅層は、例えば厚さ5〜30μm、典型的には10〜20μmとすることができる。化学的成長法により成長した銅は、部分的には、明らかに薄膜化して一般的に形成することができる。実施形態において、その厚さは、例えば0.1〜2μm、典型的には200〜800nmである。
【0102】
上記製造方法において、上述した以外の中間層構造および材料、例えば錫を使用することももちろん可能である。例えばアルカリエッチングを行い、その後にプロパン−2−オールで表面を流し、その直後に温暖な化学的ニッケル槽中において沸点でプロパン−2−オールにより被覆することで、ニッケル層をアルミニウムの表面上に直接成長させることも可能である。また、亜鉛を含む層の表面を、クロムで被覆しても良く、ニッケル表面上を金で被覆しても良い。
【0103】
図28は、更に別の可能性のある接触構造を示している。この構造例においては、バンプのようなものは形成されてはいないが、その接触領域にベース冶金層が予め備えられているコンポーネントを使用することが可能である。図29は、バンプレスコンポーネントにより実施される1つの可能性のある対応する接触構造体である。
【0104】
図28は、コンポーネント表面上のパッシベーション層9を示しており、このパッシベーション層9はコンポーネントの接触領域7の位置に開口部を有する。パッシベーション層9の表面に高分子層25がある。この高分子層25は、1つあるいはそれ以上の高分子層で構成されてもよい。高分子層25の材料には、例えば図1に関連して示された絶縁層13および/または図2に関連して示された接着剤5、図11に関連して示されたスペーサーを含むことができる。この場合2つの層から成るベース冶金層が、コンポーネントの接触領域7表面上に形成されている。第1のベース冶金層26は、例えばスパッタリングで形成されたクロム(Cr)あるいはチタニウムーウォルフラム(TiW)からなる層である。第2のベース冶金層27は、例えばスパッタリングで形成されたニッケル(Ni)、銅(Cu)あるいは金(Au)からなる層である。実際のバンプは、第2のベース冶金層27の表面上に例えば化学的にあるいは電気化学的に成長された金や銅の層を更に備えている。
【0105】
図28の例において、コンポーネントは、前述した例で示されたようなコンタクト開口部8が形成されている導体箔12に高分子層25で取り付けられている。コンタクトホール18または28は、コンタクト開口部8を貫通して形成されており、コンタクトホール18または28の内部では接触要素が第2のベース冶金層27に接触している。この接触要素は、最初に中間層2が1つまたはそれ以上の化学的成長法により形成されるようにして、前述の方法で示された対応する方法で形成される。図28の例において、中間層2は、化学的成長法によって成長された銅から成る。この中間層の上には、銅から成る層32が電気化学的成長法によって成長される。この電気化学的に成長された銅はまた接触要素の導体コア29を形成する。図28から分かるように、導体箔12や中間層2、銅層32は、導体22の材料を構成する。本例においては、導体箔12や中間層2、銅層32は全て銅からなるが、これらの層とその境界面は、完成構造体を解析することで検出可能である。
【0106】
図28と同様に、図29は、コンポーネント表面上においてコンポーネントの接触領域7の位置に開口部が形成されているパッシベーション層9を示している。パッシベーション層9の表面上には、図28に関連して示された高分子層に対応する高分子層25がある。図29の例において、コンポーネントの接触領域7表面は、被覆しない状態で、回路モジュール製造工程に供される。このようなコンポーネントにおいて、接触領域7の外表面すなわち接触表面は、典型的には半導体工場において既に形成されている。図29の例において、接触領域7の材料はアルミニウムである。
【0107】
図29の例において、導体箔12には、前述した例で示されたようなコンタクト開口部8が形成されており、この導体箔12には、コンポーネントが高分子層25により取り付けられている。コンタクトホール18または28は、コンタクト開口部8を貫通して形成されており、コンタクトホール18または28の内部では接触要素が接触領域7に接触している。この接触要素は、最初に中間層2が1つまたはそれ以上の化学的成長法により形成されるような、前述の方法に対応する方法で形成される。図29の例では、中間層2は、いくつかのコンポーネントからなるとともに、いくつかの層からなる。また、図29において、説明の便宜上、中間層は3つのコンポーネントすなわちベース部30と壁部37、導体部38に分けることができる。ベース部30は、接触端子7、17の表面上からコンタクトホール18、28の底部に至るまで成長させた部分であり、壁部37は、コンタクトホール18、28の側壁面上に成長させた部分であり、導体部38は、形成した導体部22の一部を構成するように成長させた部分である。
【0108】
図29の中間層2は、第1の中間層33と、第2の中間層34、第3の中間層35から成る。第1の中間層33は、例えば化学的成長法で亜鉛を含む層を成長させることで形成することができる。図29の例において、導体箔12は銅であり、ジンケート処理を使用した場合、第1の中間層33は、中間層22のベース部30上のみに成長する。ここから、例えば化学的ニッケル成長法により第2の中間層34を形成することで製造工程は継続できる。ニッケルは、中間層のベース部30上と導体部38上の両方で成長し、いくつかの成長方法を使用した場合、高分子層25の表面上の壁部37にもまた成長する。第3の中間層35は、銅からなり、化学的成長法により第2の中間層34上に形成され、ベース部30と壁部37、導体部38上において銅を成長させる。銅の層32は、電気化学的成長法により第3の中間層上で成長され、接触要素の導体コア29もまた構成する。
【0109】
なお、図29の場合、完成回路モジュールにおいて、層33、34は、図に示したような精密な境界を持たず、例えば拡散作用により、それぞれの層はお互いに重なり合うか混ざり合ったような状態に見える。例えば、亜鉛を含む第1の中間層33の場合、亜鉛は、アルミニウムとニッケル34との境界面中およびアルミニウム7とニッケル層34の内部の一部において濃度プロファイルとして存在する。
【0110】
図29の接触構造体中において、他の材料の組み合わせも使用してもよい。例えば、上記中間層構造1〜7から好適に選択された中間層構造体を使用して、図29に示す接触構造体および図30〜図33に示す接触構造体を構成してもよい。また、図29の接触構造体は、第1の中間層33および第2の中間層34をスパッタリングにより形成するようにして、図28に示す材料で形成してもよい。この場合、スパッタリングにより、中間層33と34は、ベース部30と導体部38に形成されるが、コンタクトホール18、28がコンタクト開口部8に向かって広がっていない場合、壁部37には実質的に形成されない。1つの実施可能なものとしては、亜鉛を含む第1の中間層33を使用して、この表面上に直接化学的成長法によりニッケルから成る第3の中間層35を形成するか、層33と層35との間にニッケル−アルミニウムから成る第2の中間層34を備える構造とすることが挙げられる。このような実施形態の場合、ニッケルが、コンタクトホールの側壁に沿って垂直な接触部を構成するので、銅を化学的に成長させる必要はなくなる。
【0111】
図30は、更に別の接触要素構造体を示す。図30の構造体において、中間層2は、第1の中間層33と第2の中間層34、第3の中間層35からなる。第1の中間層33は、例えば化学的成長法で亜鉛を含む層を成長させることで形成することができる。第2の中間層34は、ニッケル−アルミニウムからなり、第3の中間層35は、化学的成長法で成長させたニッケルからなる。図30の構造体において、コンタクトホールはニッケルで埋められ、すなわち接触要素の導体コア29はニッケルからなる。その他の点については、図28および図29に関連して記載された技術的特徴が、図30の構造体の場合にも当てはまる。
【0112】
図31は、更に別の接触要素構造体を示す。図31の構造体において、中間層2は、第1の中間層33と第2の中間層34からなる。第1の中間層33は、例えば化学的成長法で亜鉛を含む層を成長させることで形成することができる。第2の中間層34は、化学的成長法で成長させた銅から、あるいは選択的な化学的成長法で成長させたニッケルからなる。また、図31の構造体は、第1の中間層33および第2の中間層34を化学的に成長させたニッケルの単一層と置き換えるようにして形成してもよい。導体コア29は、典型的には銅からなり、導体22は、第1、第2の銅層12、32で構成される。その他の点については、図28および図29に関連して記載された技術的特徴が、図31の構造体の場合にも当てはまる。
【0113】
図32は、更に別の接触要素構造体を示す。図32の構造体において、中間層2は、第1の中間層33と第2の中間層34、第3の中間層35からなる。第1の中間層33は、例えば化学的成長法で亜鉛を含む層を成長させることで形成することができる。第2の中間層34は、化学的成長法で成長させたニッケルからなる。この方法において、成長方法は選択的であり、ニッケルを導体材料上で成長させる。第3の中間層35は、化学的成長法で成長させた銅からなる。また、図32の構造体は、第1の中間層33を省略することで形成することもできる。導体コア29は典型的には銅からなる。その他の点については、図28および図29に関連して記載された技術的特徴が、図32の構造体の場合にも当てはまる。
【0114】
図33は、更に別の接触要素構造体を示す。フォトレジスト層30を使用する図10〜17に関連して説明された方法を、図32の構造体を形成することに使用することができる。図33の構造体において、中間層2は、第1の中間層33と第2の中間層34、第3の中間層35からなる。第1の中間層33は、例えば化学的成長法で亜鉛を含む層を成長させることで形成することができる。第2の中間層34は、化学的成長法で成長させたニッケルからなる。本例の方法において、成長方法は選択的であり、ニッケルを導体材料上だけに成長させる。第3の中間層35は、化学的成長法で成長させた銅からなる。また、図33の構造体は、第1の中間層33を省略することで形成することもできる。導体コア29は典型的には銅からなる。その他の点については、図28および図29に関連して記載された技術的特徴が、図33の構造体の場合にも当てはまる。
【0115】
従って、これらの実施形態において、回路モジュールを製造するための方法が提示されており、前記方法において、
−導体箔12を用意し、
−第1の金属を含む材料で接触領域7を形成し、この接触領域7を備えたコンポーネント6を用意し、
−前記コンポーネント6を高分子層25により前記導体箔12に取り付け、
−絶縁層1を、導体箔12に取り付けられた前記コンポーネント6の周囲に形成し、
−コンタクトホール18、28を、各コンタクトホール18、28とそれに対応する接触領域7との間の接触表面積ACONT1が、接触領域7の表面積APADより小さくなるように、高分子層25内の接触領域7の位置に形成し、
−少なくとも第3の金属を含む中間層2を、少なくともコンタクトホール18、28内の接触領域7の表面上に成長させ、
−第2の金属からなる層32を、中間層2の表面に接触し、形成されるべき導体22に沿って延在するように成長させ、
−導体箔12をパターン形成することで、さらに必要に応じて、導体箔12の表面上の中間層2および/または第2金属からなる層32をパターン形成することで、導体22を形成する。
【0116】
典型的な実施形態において、コンタクトホール8を、コンポーネントを取り付ける前に導体箔12中に形成し、コンタクト開口部を有する導体箔にこのコンポーネントが取り付けられるようにする。この種の実施形態において最も共通する形態では、コンタクト開口部を接触領域7の表面には延在しないようにして、コンポーネント6を取り付けた後にコンタクトホール18、28を、コンタクト開口部8を通して穿孔する。
【0117】
第1の実施形態において、第1の金属はアルミニウムであり、第2の金属は銅であり、第3の金属は亜鉛である。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、亜鉛以外の金属や金属合金を含んでもよい。
【0118】
第2の実施形態において、第1の金属はアルミニウムであり、第2の金属は銅であり、第3の金属はニッケルである。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、ニッケル以外の金属や金属合金を含むことができる。
【0119】
第3の実施形態において、第1の金属は金であり、第2の金属は銅であり、第3の金属はニッケルである。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、亜鉛以外の金属や金属合金を含むことができる。
【0120】
最も一般的な実施形態において、接触領域7の材料は主にアルミニウムであり、導体の材料は銅であり、それらの間には上記した中間層構造1〜7のうちの1つが挟持されている。
【0121】
中間層構造を形成する際に、少なくとも1つの化学的成長法が典型的には用いられる。
【0122】
前記実施形態は回路モジュールを示しており、この回路モジュールは、
−絶縁層1と、
−第1の金属を含む材料からなる接触領域7を備え、前記絶縁層1内に配置された少なくとも1つのコンポーネント6と、
−前記絶縁層1の表面上に配置され、第1の層12と、少なくとも第2の金属を含んだ第2の層32と、を少なくとも備えた導体22と、
−接触領域7と導体22との間の電気的接触を形成するための接触要素であり、接触領域7の材料表面上に配置された第3の金属を含む中間層2を備えた接触要素と、
を備えた回路モジュールであり、
−第1、第2、第3の金属はそれぞれ異なる金属であり、
−前記中間層2と接触領域7との間の接触表面積ACONT1は、接触領域の表面積APADより小さいことを特徴とする。
【0123】
第1の実施形態において、第1の金属はアルミニウムであり、第2の金属は銅であり、第3の金属は亜鉛である。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、亜鉛以外の金属や金属合金を含んでもよい。
【0124】
第2の実施形態において、第1の金属はアルミニウムであり、第2の金属は銅であり、第3の金属はニッケルである。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、ニッケル以外の金属や金属合金を含むことができる。
【0125】
第3の実施形態において、第1の金属は金であり、第2の金属は銅であり、第3の金属はニッケルである。このような実施形態において、上記したように、中間層2は、ニッケル以外の金属や金属合金を含むことができる。
【0126】
最も一般的な実施形態において、接触領域7の材料は主にアルミニウムであり、導体の材料は銅であり、それらの間には上記した中間層構造1〜7のうちの1つが挟持されている。
【0127】
典型的な実施形態において、接触要素は、電気化学的成長法により形成された銅コア29からなり、さらにこの接触要素は、側壁およびコンポーネント6の方向においては中間層2によって境界が定められており、導体22の方向においては、連続してすなわち境界面無しに導体22の第2の層32の材料と接続している。つまり、接触要素の銅コア29の材料および導体22の第2の層32の材料は、同一の処理において形成されるため、これらの部分はそれぞれ永続的に接合され、それぞれの部分間には境界面は存在しない。一方、導体の第1の層1と第2層22との間には、典型的には境界面またはそれに対応する遷移領域が存在し、例えば結晶構造や金属の不純物濃度を解析することで検知することができる。
【0128】
一実施形態において、接触要素とコンポーネントの接触領域7との間の接触表面の幅WCONTは、接触要素の同じ方向における最大幅WMAXより0〜20%小さい。
【0129】
接触要素は、通常コンタクトホール18、28を完全に埋めてしまい、つまり接触要素は中空ではないので、頑丈な導体材料となる。
【0130】
通常、本実施形態においては、接触要素の高さHを接触要素の最大幅WMAX以下に抑えるようにする。
【0131】
回路モジュールには更なる実施形態がある。その実施形態において、前記絶縁層1は、繊維材料19からなる少なくとも1つの層を備える。この繊維材料19にはコンポーネント6用の開口部と、この繊維材料19とコンポーネント6、16とに接合する均一な高分子層と、がある。
【0132】
上記製造工程およびそのサブ工程は、様々に変形してもよい。例えば、コンポーネントを導体箔12に取り付ける際に上記の実際の接着剤を使用したが、それを、その他の接着機構と置き換えることもできる。1つの例を挙げると、接着特性を有する絶縁層13を導体箔12の表面上において使用してもよい(図1および対応する説明部分を参照)。コンポーネント6を絶縁層13に対して直接押圧することで、接着剤を使用した実施形態に関連して説明した対応する方法で、所定の位置に十分にコンポーネントを取り付けることができる。
【0133】
このような絶縁層13は、例えばテープ状表面を含んでもよく、また高分子あるいは少なくともその表面部分を成形することができる類似材料により構成してもよい。
【0134】
上記方法は、接着剤5や接着特性を使用せずに実施してもよい。この場合、例えば機械的にあるいは減圧吸引処理によってコンポーネントを所定の位置に取り付けてもよい。この減圧処理やその他の同様な暫定的な取付けは、絶縁材料1によりコンポーネント6が所定の位置に十分に固定されるまで、継続するようにしてもよい。
【0135】
取り付けるコンポーネント6は、例えばメモリーチップ、演算処理機構などの集積回路や、ASICである。取付けるコンポーネントは、例えばMEMSやLED、受動素子であってもよい。取り付けるコンポーネントは、ケース内に収めてもよくまた収めなくてもよく、その接触端子は、接触領域7やコンタクトバンプ17で構成してもよい。実際のコンタクトバンプよりも薄い導体コーティングをコンポーネントの接触領域表面上に備えるようにしてもよい。
【0136】
例示した材料とは別の材料を絶縁層1に使用することもできる。絶縁層1は、好適な高分子や高分子を含む材料から形成してもよい。絶縁層1を形成するための材料は、例えば液状や予め硬化した(例えばプリプレグ)状態であってもよい。絶縁層1の形成時に、例えばFR4やFR5型シートなどのガラス繊維強化シートを使用することも可能である。絶縁層1を形成する際に使用するその他の材料例としては、PI(ポリイミド)やアラミド、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)が挙げられる。熱硬化性プラスチックや熱可塑性樹脂の代わりに、あるいはそれらに加えて、例えば好適なLCP(液晶ポリマー)材料を、絶縁層1の形成に使用することもできる。
【0137】
また、当業者であれば、例えば先行技術による方法の一部を使用して、あるいは本明細書に示した実施形態の一部を使用して電子モジュールを作成するなど、前述した本願の特徴を、より大きなものの一部として使用することができることは明らかである。上記電子モジュール構造体の表面上に更なる回路基板層を形成してもよく、例えば表面実装技術によりコンポーネントを取り付けてもよい。
【0138】
当業者であれば、本明細書中において例えばアルミニウムやニッケル、銅などの特定の材料を参照したときに、その記載が、本願においては実質的に上記材料を示していることを理解することができる。よって、前記参照した材料には、前記した主な元素に加えて、本出願の観点から微量の不純物や他の元素も含むこととする。例えば、アルミニウム接触領域は、典型的には最低95%のアルミニウムを含む材料から通常は形成される。
【0139】
一方、特定の元素を含む材料を参照した場合、その元素がその材料の実質的には大部分の含有量を占めることを意味する。また、前記材料には、相当な量のあるいは微量の他の元素が含まれてもよい。例えば、亜鉛を含む層は、アルミニウムと隣の金属との間の接触特性に関して有意性を持つ程度の量の亜鉛を含んでいる。
【0140】
上記した例は、可能性のある方法および構造体を示しており、これらにより本願発明を最大限活用することができる。しかし、本願発明は、前述した例や実施形態のみに限定されるものではなく、本願発明は、全請求の範囲やそれに等しい解釈を考慮して、他の多くの方法および構造体を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体箔12を用意する工程と、
前記導体箔12中に、接触要素を形成するためのコンタクト開口部8を形成する工程と、
第1の金属を含む材料で接触領域7を形成し、前記接触領域7を備えたコンポーネント6を用意する工程と、
前記コンポーネント6を、高分子層25により前記導体箔12に取り付ける工程と、
前記導体箔12に取り付けられた前記コンポーネント6の周囲に絶縁層1を形成する工程と、
各コンタクトホール18、28とそれに対応する接触領域7との間の接触表面積ACONT1が、前記接触領域7の表面積APADより小さくなるように、前記高分子層25内の前記接触領域7の位置にコンタクトホール18、28を形成する工程と、
前記コンタクトホール18、28内の前記接触領域7の少なくとも表面上に、少なくとも第3の金属を含む中間層2を成長させる工程と、
前記中間層2の表面に接触し、形成されるべき導体22に沿って延在するように第2の金属からなる層32を成長させる工程と、
前記導体箔12をパターン形成することで、さらに必要に応じて、前記導体箔12の表面上の前記中間層2および/または前記第2金属からなる前記層32をパターン形成することで、導体22を形成するする工程と、
を備えることを特徴とする、回路モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記コンタクト開口部8を、前記コンポーネント6を取り付ける前に形成し、
前記コンポーネント6を、コンタクト開口部を有する導体箔12に取り付け、
前記コンポーネント6を取り付け後、前記コンタクト開口部8にコンタクトホール18、28を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導体箔12をマスクとして使用して、COレーザで前記コンタクト開口部8に前記コンタクトホール18、28を形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の金属はアルミニウムであり、前記第2の金属は銅であり、前記第3の金属は亜鉛とニッケルのうち少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属は金であり、前記第2の金属は銅であり、前記第3の金属はニッケルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
亜鉛を含む層33をダブルジンケート処理により形成し、前記中間層2は、前記層33を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ニッケルを含む層34を化学的ニッケル成長法により形成し、前記中間層2は、前記層34を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
銅を含む層35を化学的銅成長法により形成し、前記中間層2は、前記層35を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
繊維材料19と予め硬化された高分子とを含む少なくとも1つの絶縁シート11を用意し、
繊維材料19を含む前記絶縁シート11中に、前記コンポーネント6用のホールを形成し、
前記少なくとも1つの絶縁シート11を、前記導体箔12およびそれに関連する構造体に積層するようにして、
絶縁層11を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記コンポーネント6を取り付ける前記導体箔12の表面に、均一な絶縁層13を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記コンポーネント6と前記導体箔12との間にスペーサー15を設けることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記コンポーネント6に加えて、少なくとも1つのその他のコンポーネント16を前記回路モジュールないに設け、その際に、前記高分子層25が少なくとも1つの特性を有する場合、前記コンポーネント6と前記その他のコンポーネント16の取付け方法がそれぞれ異なるようにすることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
取り付けられる前記コンポーネント6はバンプレスコンポーネントであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
絶縁層1と、
第1の金属を含む材料からなる接触領域7を備え、前記絶縁層1内に設けられた少なくとも1つのコンポーネント6と、
前記絶縁層1の表面上に設けられ、第1の層12と、第2の金属を少なくとも含む第2の層32と、を少なくとも備えた導体22と、
前記接触領域7と前記導体22との間の電気的接触を形成するための接触要素であり、前記接触領域7の材料表面上に設けられ、第3の金属を含む中間層2を備えた接触要素と、
を備えた回路モジュールであり、
前記第1、第2、第3の金属はそれぞれ異なる金属であり、
前記中間層2と前記接触領域7との間の接触表面積ACONT1は、接触領域の表面積APADより小さい、ことを特徴とする回路モジュール。
【請求項15】
前記第1の金属はアルミニウムであり、前記第2の金属は銅であり、前記第3の金属は亜鉛とニッケルのうち少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項14に記載の回路モジュール。
【請求項16】
前記第1の金属は金であり、前記第2の金属は銅であり、前記第3の金属はニッケルであることを特徴とする請求項14に記載の回路モジュール。
【請求項17】
前記接触領域7の主な材料は、アルミニウムであることを特徴とする請求項14または15に記載の回路モジュール。
【請求項18】
前記中間層2は、亜鉛を含む層33を備えることを特徴とする請求項14、15または17に記載の回路モジュール。
【請求項19】
前記中間層2は、亜鉛を含む前記層33に加え、少なくとも1つの第2の中間金属層34、35を備えることを特徴とする請求項18に記載の回路モジュール。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の中間金属層35は、化学的成長法により成長させた銅からなることを特徴とする請求項19に記載の回路モジュール。
【請求項21】
前記中間層2は、亜鉛を含む前記層33と銅層35との間に設けられ、ニッケルおよび/またはニッケルとアルミニウムからなる少なくとも1つの層34を備えることを特徴とする請求項20に記載の回路モジュール。
【請求項22】
前記亜鉛を含む層は、亜鉛、銅、ニッケルおよび鉄を含むことを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項23】
前記中間層2の一部は、前記接触領域7と前記導体22との間の接触要素の側壁に沿って延在することを特徴とする請求項14〜22のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項24】
前記接触要素は、電気化学的成長法により形成された銅コア29を備え、その側壁およびコンポーネント6の方向においては前記中間層2によって境界が定められており、前記導体22の方向においては、連続してすなわち境界面無しに前記導体22の前記第2の層32の材料と接続していることを特徴とする請求項23に記載の回路モジュール。
【請求項25】
前記接触要素の側壁に沿って延在する前記中間層2の部分37は、化学的成長法によって成長させた銅または化学的成長法によって成長させたニッケルを含むことを特徴とする請求項23または24に記載の回路モジュール。
【請求項26】
前記導体22は、
前記絶縁層1の表面上に設けられた銅からなる第1の層12と、
前記第1の銅層の表面上に設けられた銅からなる第2の層32と、
を備えることを特徴とする請求項14〜25のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項27】
前記導体22は、
前記絶縁層1の表面上に設けられた銅からなる第1の層12と、
前記第1の銅層の表面上に設けられた中間層2と、
前記中間層の表面上に設けられた銅からなる第2の層32と、
を備えることを特徴とする請求項14〜25のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項28】
前記第1の銅層および前記第2の銅層との間の中間層2の部分は、化学的成長法によって成長させた銅または化学的成長法によって成長させたニッケルからなることを特徴とする請求項27に記載の回路モジュール。
【請求項29】
前記接触要素と前記コンポーネントの前記接触領域7との間の接触表面の幅WCONTは、前記接触要素の同じ方向における最大幅WMAXより0〜20%小さいことを特徴とする請求項14〜28のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項30】
前記接触要素の高さHは、前記接触要素の最大幅WMAX以下であることを特徴とする請求項14〜29のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項31】
前記絶縁層1は、繊維材料19からなる少なくとも1つの層を備え、前記繊維材料19には、前記コンポーネント6用の開口部と、前記繊維材料19と前記コンポーネント6、16とに接合する統合高分子層と、が設けられていることを特徴とする請求項14〜30のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項32】
前記回路モジュールは、前記導体22と前記コンポーネント6との間に高分子層25を備えており、前記高分子層25には、前記接触要素用コンタクトホール18、18が設けられ、前記接触要素は前記コンタクトホール18、28を完全に埋めることを特徴とする請求項14〜31のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項33】
前記導体22と前記コンポーネント6との間に設けられた前記高分子層25は、第1の高分子層15および第2の高分子層5を備えており、前記第1の高分子層15は第1の高分子からなり、前記第2の高分子層5は硬化した接着剤からなることを特徴とする請求項32に記載の回路モジュール。
【請求項34】
前記第1の高分子層15および前記第2の高分子層5は局部的であり、それぞれ前記コンポーネント6のみにおいて必ず存在することを特徴とする請求項33に記載の回路モジュール。
【請求項35】
前記コンポーネントは、その表面上にパッシベーション層9を備えており、前記接触領域は、前記パッシベーション層内の開口部内に位置しており、前記中間層2は、前記パッシベーション層内の開口部にわたって延在することを特徴とする請求項14〜34のいずれかに記載の回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2011−523773(P2011−523773A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508961(P2011−508961)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050383
【国際公開番号】WO2009/138560
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508280209)インベラ エレクトロニクス オサケユキチュア (5)
【Fターム(参考)】