説明

回路板およびその製造方法

【課題】電子部品の熱エネルギーの伝達速度を高めることができる回路板を提供すること。
【解決手段】回路板は、金属パターン層と、熱伝導板部材と、電気絶縁層と、少なくとも1つの電気絶縁材料とを備えている。熱伝導板部材は平面を有する。電気絶縁層は金属パターン層と平面との間に配置され、かつ平面を局所的に覆っている。電気絶縁材料は電気絶縁層に覆われていない平面を覆うとともに、熱伝導板部材に接触している。電気絶縁層は電気絶縁材料を露出させ、電気絶縁材料の熱伝導率は電気絶縁層の熱伝導率より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路板およびその製造方法に関し、特に熱エネルギーの伝達速度を速めることができる回路板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯電話やコンピュータなどの電子装置(electronic device)、およびテレビや冷蔵庫などの家電用品は、能動部品(active component)または受動部品(passive component)などの複数の電子部品(electronic component)を備えている。これらの電子部品の大半が回路基板上に実装され、回路基板が有する回路によって電気信号を送受信している。このように、電気信号はこれらの電子部品の間で伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電子部品は動作時に幾らかの熱エネルギーを発生し、しかも、一部の電子部品、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)や電源デバイス(power device)は、動作時に大量の熱エネルギーを発生する。したがって、電子部品の熱エネルギーの伝達速度をいかに速められるかが、現在の研究課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は電子部品の熱エネルギーの伝達速度を速めることができる回路板を提供する。
【0005】
本発明は上記回路板を製造できる回路板の製造方法を提供する。
【0006】
本発明は金属パターン層、熱伝導板部材、電気絶縁層および少なくとも1つの電気絶縁材料を備える回路板を提供する。熱伝導板部材は平面を有する。電気絶縁層は金属パターン層と平面との間に配置され、かつ平面を部分的に覆っている。電気絶縁材料は、絶縁層に覆われていない平面を覆うとともに、熱伝導板部材に接触している。電気絶縁層は電気絶縁材料を露出させ、電気絶縁材料の熱伝導率(thermal conductivity)は電気絶縁層の熱伝導率より大きい。
【0007】
本発明の一実施例において、上記熱伝導板部材は熱伝導層および本体層を備え、熱伝導層は本体層と電気絶縁層との間に位置するとともに、電気絶縁材料に接触している。
【0008】
本発明の一実施例において、上記熱伝導板部材は、複数の熱伝導基板、少なくとも1つの熱伝導パターン、および少なくとも1つの内部電気絶縁層(inner electrically insulating layer)を備える。熱伝導基板は上記平面を有し、熱伝導パターンはこれらの熱伝導基板の間に配置されている。内部電気絶縁層はこれらの熱伝導基板の間に配置され、熱伝導パターンと内部電気絶縁層はともにこれらの熱伝導基板に接触し、熱伝導パターンの熱伝導率は内部電気絶縁層の熱伝導率より大きい。
【0009】
本発明の一実施例において、上記電気絶縁材料は、さらに金属パターン層に接触している。
【0010】
本発明の一実施例において、上記回路板は、少なくとも1つの内部金属パターン層(inner metallic pattern layer)、少なくとも1つの外部電気絶縁層(outer electrically insulating layer)および少なくとも1つの外部電気絶縁材料(outer electrically insulating material)をさらに備える。内部金属パターン層は金属パターン層と電気絶縁層との間に配置されている。外部電気絶縁層は内部金属パターン層と金属パターン層との間に配置され、かつ内部金属パターン層を覆っている。外部電気絶縁材料は内部金属パターン層と金属パターン層との間に配置され、かつ外部電気絶縁層中に位置しており、外部電気絶縁材料の熱伝導率は外部電気絶縁層の熱伝導率より大きい。上記外部電気絶縁材料と外部電気絶縁層はともに金属パターン層と内部金属パターン層に接触している。
【0011】
本発明の一実施例において、上記回路板は、少なくとも1つの電子部品をさらに備え、電子部品は部品本体および複数の接続パッドを備える。部品本体は底面を有し、これらの接続パッドが底面上に配置されているとともに、金属パターン層に電気的に接続されており、少なくとも1つの接続パッドが電気絶縁材料に熱的に結合されている(thermally coupling to)。
【0012】
本発明はさらに、回路板の製造方法を提供し、この回路板の製造方法において、熱伝導板部材の平面上に電気絶縁層および少なくとも1つの電気絶縁材料を形成し、さらに電気絶縁層上に位置する金属パターン層を形成する。電気絶縁層は平面を局所的に覆い、電気絶縁材料は電気絶縁層に覆われていない平面を覆うとともに、熱伝導板部材に接触しており、電気絶縁材料の熱伝導率は電気絶縁層の熱伝導率より大きい。
【0013】
本発明の一実施例において、上記電気絶縁層および電気絶縁材料は積層(lamination)または印刷(printing)によって形成されている。
【0014】
本発明の一実施例において、上記電気絶縁層および電気絶縁材料を形成する方法は、少なくとも1つの開口を有する半硬化プリプレグ(prepreg)を平面上に積層すること、および開口内に位置する放熱パッドを平面上に積層することを含む。
【0015】
本発明の一実施例において、上記電気絶縁層および電気絶縁材料を形成する方法は、2つの塗料を平面に塗布する(apply)ことを含む。
【0016】
本発明の一実施例において、上記電気絶縁層および電気絶縁材料が金属箔(metal foil)上に形成され、かつ電気絶縁層および電気絶縁材料はともに金属箔に接触している。
【0017】
本発明の一実施例において、上記金属パターン層を形成する方法は、まず、電気絶縁層および電気絶縁材料上に金属箔を積層することを含む。金属箔を積層した後、金属箔の一部を取り除く。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、電気絶縁材料の熱伝導率が電気絶縁層の熱伝導率より大きく、かつ電気絶縁材料は電気絶縁層に覆われていない平面を覆うとともに、熱伝導基板に接触しているため、動作している電子部品が熱エネルギーを発生するときに、電気絶縁材料および熱伝導基板が熱エネルギーの伝達速度を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の回路板の断面図である。
【図2】本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。
【図3】は本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。
【図4】は本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。
【図5A】本発明の一実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【図5B】本発明の一実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【図5C】本発明の一実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【図6A】本発明のもう1つの実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【図6B】本発明のもう1つの実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【図6C】本発明のもう1つの実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の上述の特徴および長所をより分かりやすくするために、以下、特に実施例を挙げ、図面と併せて、詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施例の回路板の断面図である。図1を参照すると、回路板100は、金属パターン層110、熱伝導板部材120、電気絶縁層130および電気絶縁材料140を備え、熱伝導板部材120は平面122を有し、電気絶縁層130および電気絶縁材料140はともに金属パターン層110と平面122との間に配置されている。
【0022】
電気絶縁層130は平面122を局所的に覆い、すなわち、電気絶縁層130は平面122を全面的に覆っていず、平面122の一部は電気絶縁層130によって覆われてはいない。電気絶縁材料140は、電気絶縁層130に覆われていない平面122を覆っており、電気絶縁層130は電気絶縁材料140を露出させている。電気絶縁材料140は、熱伝導板部材120に接触し、さらに金属パターン層110に接触することができるので、熱伝導板部材120と金属パターン層110に熱的に結合することができ、熱伝導(thermal conduction)方式で電気絶縁材料140と熱伝導板部材120との間で熱エネルギーを伝達できるようになっている。
【0023】
熱伝導板部材120は、例えば1W/MKよりも大きな高い熱伝導率(high thermal conductivity)を有し、熱伝導板部材120は、金属板または炭素材料板(carbon−material board)である。炭素材料板とは、一般的に主として炭素で構成された板材を指し、例えば炭素繊維板(carbon fiber board)またはグラファイト板(graphite board)である。金属板は合金板(alloy board)、または実質的に単一の金属から作製された板材であり、例えばアルミマグネシウム合金板、アルミ板または銅板である。
【0024】
電気絶縁材料140は、セラミック(ceramic layer)、放熱パッド(thermal pad)または放熱接着剤層(thermal adhesive layer)であり、放熱パッドは固体である。放熱接着剤層とは、一般的に高い熱伝導率を有する接着性物質(adhesive)で形成されたフィルム層を指し、この接着性物質は、例えば放熱接着剤であり、放熱接着剤は液状またはのり状である。また、放熱パッドおよび放熱接着剤はいずれも、金属顆粒、炭素粉体または炭化ケイ素(化学式:SiC)粉体など、高い熱伝導能力を有する複数の顆粒を含んでいる。
【0025】
図1には1つの電気絶縁材料140を示しているが、他の実施例において、回路板100は複数の電気絶縁材料140を備えていてもよい。つまり、回路板100が備える電気絶縁材料140の数は1個でも複数個でもよい。したがって、図1に示す電気絶縁材料140の数は例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
電気絶縁材料140の熱伝導率は電気絶縁層130の熱伝導率より大きいので、電気絶縁材料140の熱エネルギーの伝達速度は電気絶縁層130の熱エネルギーの伝達速度より大きい。電気絶縁層130の熱伝導率は1W/MKより低くてよく、例えば、電気絶縁層130の熱伝導率は0.3W/MK〜0.5W/MKであり、電気絶縁材料140の熱伝導率は2.0W/MKより高くてよい。本発明の明細書に記載された熱伝導率は絶対温度300Kで測定したものである。また、電気絶縁層130および電気絶縁材料140はいずれも積層または印刷によって形成される。
【0027】
電気絶縁層130および電気絶縁材料140を積層によって形成する場合には、電気絶縁層130は半硬化プリプレグであり、電気絶縁材料140は放熱パッドでよい。すなわち、電気絶縁層130および電気絶縁材料140の形成方法は、半硬化プリプレグおよび放熱パッドを積層することで形成できる。また、半硬化プリプレグを積層する前に、半硬化プリプレグに対して打ち抜き(punch)、くり抜き(routing)またはレーザアブレーション(laser ablation)を行って、電気絶縁層130上に開口H1を形成し、開口H1内に放熱パッドを配置して形成してもよい。
【0028】
電気絶縁層130および電気絶縁材料140を印刷によって形成する場合には、電気絶縁材料140はセラミック層または放熱接着剤層でよく、電気絶縁層130および電気絶縁材料140は、液状、のり状またはペースト状の塗料を塗布して形成する。塗料は、例えば樹脂(resin)または成分として樹脂を含有する塗料である。また、電気絶縁層130および電気絶縁材料140を印刷によって形成する場合には、上述した塗料を塗布した後に、塗料を加熱乾燥するか、または紫外線等の光線を照射して塗料を硬化させる。
【0029】
回路板100は、発光ダイオード、電源デバイス、ダイパッケージ(die package)またはダイ(die)などの電子部品150をさらに備えている。電子部品150は、部品本体152および複数の接続パッド154d、154wを備え、部品本体152は底面B1を有する。これらの接続パッド154d、154wは底面B1上に配置されている。接続パッド154dはダミーパッド(dummy pad)であり、接続パッド154wはワークパッド(working pad)である。電子部品150が動作するとき、電流は接続パッド154wのみを通過し、接続パッド154dを通過しない。
【0030】
図1に示す電子部品150の数は1個のみであるが、他の実施例において、回路板100は複数の電子部品150を備えてもよい。すなわち、回路板100が備える電子部品150の数は、1個でも複数個でもよい。したがって、図1に示す電子部品150の数は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0031】
電子部品150は、図1に示すように、フリップチップ(flip chip)方式で金属パターン層110に電気的に接続される。詳しく言うと、回路板100は、電子部品150と熱伝導板部材120とを接続する複数のはんだブロック160をさらに備え、各々のはんだブロック160は、そのうちの1つの接続パッド154wまたは154dに接続され、かつこれらのはんだブロック160は、これらの接続パッド154w、154dおよび金属パターン層110に接触している。したがって、これらの接続パッド154w、154dは、これらのはんだブロック160を介して金属パターン層110に電気的に接続されているとともに、さらにこれらのはんだブロック160および金属パターン層110を介して電気絶縁材料140に熱的に結合されている。
【0032】
図1に示す実施例において、接続パッド154w、154dは、はんだブロック160および金属パターン層110を介して電気絶縁材料140に熱的に結合されているが、他の実施例において、接続パッド154dがダミーパッドであるとき、接続パッド154dは金属パターン層110を介さず、はんだブロック160のみを介して電気絶縁材料140に熱的に結合することができる。接続パッド154dは、さらに電気絶縁材料140に直接接触し、はんだブロック160を必要とせずに電気絶縁材料140に熱的に結合することができる。したがって、はんだブロック160がなく、かつ電気絶縁材料140も金属パターン層110に接触していない場合でも、接続パッド154dは電気絶縁材料140に直接熱的に結合することができる。
【0033】
上述したように、接続パッド154w、154dが電気絶縁材料140と熱的に結合し、電気絶縁材料140が熱伝導板部材120と熱的に結合されているため、動作する電子部品150が熱エネルギーを発生するときには、電気絶縁材料140および熱伝導板部材120は熱エネルギーの伝達速度を高め、電子部品150が過熱(overheating)を生じる確率を低減することができる。
【0034】
また、電気絶縁材料140が電気絶縁層130に覆われていない平面122を覆っており、かつ電気絶縁層130によって露出されているので、電気絶縁材料140は熱伝導板部材120の平面122を全面的に覆ってはいず、したがって回路板100の電気絶縁材料140の使用量を制限することができる。
次に、熱伝導率の大きい電気絶縁材料140は、その材料コストが一般に熱伝導率の小さい電気絶縁層130の材料コストよりも高い。したがって、電気絶縁材料140の使用量が制限できることによって、本実施例は回路板100の全体の製造コストを低減させることができる。
【0035】
電子部品150は、フリップチップの他に、他の方式で金属パターン層110に電気的に接続されていてもよい。例えば、電子部品150はワイヤボンディング(wire bonding)方式で金属パターン層110に電気的に接続されてしてもよい。したがって、図1に示す電子部品150と金属パターン層110との間の電気的接続方式は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0036】
部品本体152は、底面B1に結合されている側面S1をさらに有し、電気絶縁材料140は、熱伝導板部材120に接触する接触面142および接触面142に結合されている側縁部144を有する。底面B1の面積は、電気絶縁材料140に覆われた平面122の面積よりも小さい。すなわち、底面B1の面積は接触面142の面積よりも小さい。
【0037】
次に、本実施例において、電気絶縁材料140は側面S1から突出し、部品本体152は側縁部144から突出しなくてよいので、部品本体152は完全に接触面142内に位置することができる。このように、電子部品150からの熱エネルギーの大半が電気絶縁材料140によって伝達され、電子部品150が過熱を生じる確率をさらに低減することができる。
【0038】
図2は本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。図2を参照すると、本実施例の回路板200は前述した実施例の回路板100に類似し、例えば、両者は幾つか同様の部品を備えるが、両者の相違点は、回路板200に含まれる熱伝導板部材220および電子部品250にある。
【0039】
詳しく言うと、熱伝導板部材220は多層構造(multilayer structure)を有する。電子部品250に含まれる部品本体252は、底面B2および底面B2に結合されている側面S2を有する。その底面B2の面積は、電気絶縁材料140に覆われた平面226の面積よりも大きい。すなわち、底面B2の面積は接触面142の面積よりも大きく、しかも電気絶縁材料140は部品本体252の側面S2から突出していない。
【0040】
熱伝導板部材220は熱伝導層222および本体層224を備える。熱伝導層222は本体層224と電気絶縁層130との間に位置し、かつ電気絶縁材料140に接触している。熱伝導層222は、例えば1W/MKより大きな高い熱伝導率を有する。熱伝導層222は金属層または炭素材料層(carbon−material layer)である。ここで、炭素材料層とは、一般に、例えば炭素繊維層、グラファイト層またはダイヤモンド薄膜(diamond films)、主として炭素から構成されるフィルム層を指す。したがって、熱伝導板部材220も熱エネルギーの伝達速度を高め、電子部品250が過熱を生じる確率を低減することができる。
【0041】
電子部品250は、複数の接続パッド154d、154wをさらに備え、1個の接続パッド154dのみが電気絶縁材料140に熱的に結合されているが、図2に示すように、接続パッド154w、154dもともに電気絶縁材料140に熱的に結合してもよい。また、図2に示す回路板200において、熱伝導板部材220を図1中の熱伝導板部材120に置き換えることができる。したがって、図2に示す接続パッド154d、154wおよび熱伝導板部材220は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0042】
図3は本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。図3を参照すると、本実施例の回路板300は図2に示す回路板200に類似し、例えば、両者とも幾つかの同様の部品を備え、しかも電子部品150または250(図1と図2を参照する)は、フリップチップまたはワイヤボンディングなどの方式で回路板300の金属パターン層110に電気的に接続されている。回路板300と200との二者には相違点が存在する。それは、回路板300に含まれる熱伝導板部材320が熱伝導板部材220と異なることにある。
【0043】
詳しく説明すると、熱伝導板部材320は複数の熱伝導基板324、少なくとも1つの熱伝導パターン326、および少なくとも1つの内部電気絶縁層328を備える。図3に示すように、熱伝導パターン326と内部電気絶縁層328はいずれもこれらの熱伝導基板324の間に配置され、熱伝導パターン326と内部電気絶縁層328はいずれもこれらの熱伝導基板324に接触している。
【0044】
そのうちの1つの熱伝導基板324は平面322を有し、金属パターン層110、電気絶縁層130、および電気絶縁材料140はいずれも平面322上に配置されている。電気絶縁層130および電気絶縁材料140はいずれも金属パターン層110と平面322との間に配置され、かついずれも平面322に接触している。電気絶縁層130は平面322を局所的に覆い、電気絶縁材料140は電気絶縁層130に覆われていない平面322を覆っている。また、図3に示す実施例において、電気絶縁材料140も金属パターン層110に接触してもよい。
【0045】
熱伝導基板324は、例えば1W/MKより大きな高い熱伝導率を有するため、これらの熱伝導基板324は熱エネルギーの伝達速度を速めることができる。また、各々の熱伝導基板324は、金属板または炭素繊維板もしくはグラファイト板などの炭素材料板であり、金属板は合金板または実質的に単一の金属から作製された板材でよく、例えばアルミマグネシウム合金板、アルミ板または銅板である。
【0046】
熱伝導パターン326の材料は電気絶縁材料140の材料と同じで、セラミック層、放熱パッドまたは放熱接着剤層でよい。熱伝導パターン326の形成方法は電気絶縁材料140の形成方法と同じである。内部電気絶縁層328は、材料および形成方法においてはいずれも電気絶縁層130と同じでよいので、熱伝導パターン326と内部電気絶縁層328はいずれも積層または印刷によって形成される。
【0047】
熱伝導パターン326の材料は電気絶縁材料140の材料と同じであり、内部電気絶縁層328の材料は電気絶縁層130の材料と同じであり、熱伝導パターン326の熱伝導率は内部電気絶縁層328の熱伝導率より大きい。したがって熱伝導パターン326の熱エネルギーの伝達速度は内部電気絶縁層328の熱エネルギーの伝達速度より大きい。また、内部電気絶縁層328の熱伝導率は1W/MKより低くてよく、例えば、内部電気絶縁層328の熱伝導率は0.3W/MK〜0.5 W/MKでよく、熱伝導パターン326の熱伝導率は2.0W/MKより高くてよい。
【0048】
上記から分かるように、金属パターン層110に電気的に接続された電子部品150または250が動作するとき、熱伝導パターン326およびこれらの熱伝導基板324は電子部品150または250が発生した熱エネルギーを迅速に伝達することができる。このように、熱伝導板部材320は熱エネルギーの伝達速度を高め、電子部品150または250が過熱を生じる確率を低減することができる。
【0049】
図3に示す熱伝導基板324の数は2個であり、熱伝導パターン326と内部電気絶縁層328の数はいずれも1個しかないが、他の実施例において、回路板300は3個またはそれ以上の熱伝導基板324、複数の熱伝導パターン326および複数の内部電気絶縁層328を備えていてよい。ここで、各々の熱伝導パターン326と各々の内部電気絶縁層328はいずれも隣接する2個の熱伝導基板324に位置している。したがって、図3に示す熱伝導基板324、熱伝導パターン326および内部電気絶縁層328の三者の数は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0050】
図4は本発明のもう1つの実施例の回路板の断面図である。図4を参照すると、本実施例の回路板400は図1中の回路板100に類似し、例えば、二者は幾つかの同様の部品を備え、しかも電子部品150または250(図1および図2を参照する)は、フリップチップまたはワイヤボンディングなどの方式で回路板400の金属パターン層110に電気的に接続される。下記の内容を簡潔にするために、以下、主に回路板100と400の両者の相違点について説明するが、回路板100と400の両者は同じ技術的特徴を有するのでその説明を省略する。
【0051】
回路板400は、金属パターン層110、電気絶縁層130、電気絶縁材料140、熱伝導板部材420、少なくとも1つの内部金属パターン層470、少なくとも1つの外部電気絶縁層480、および少なくとも1つの外部電気絶縁材料490を備え、熱伝導板部材420は熱エネルギーの伝達速度を高めることができる、上記した実施例中の熱伝導板部材120、220または320の何れかでよい。
【0052】
内部金属パターン層470は金属パターン層110と電気絶縁層130との間に配置され、外部電気絶縁層480と外部電気絶縁材料490はいずれも内部金属パターン層470と金属パターン層110との間に配置される。外部電気絶縁層480は内部金属パターン層470を覆い、外部電気絶縁材料490は外部電気絶縁層480中に位置している。
【0053】
外部電気絶縁層480は外部電気絶縁材料490を露出させ、外部電気絶縁材料490と外部電気絶縁層480はいずれも金属パターン層110と内部金属パターン層470に接触するとともに、内部金属パターン層470を覆っている。しかし、他の実施例において、電気絶縁材料140は外部電気絶縁材料490に接触させ、外部電気絶縁材料490を内部金属パターン層470に接触しないようにしてもよい。
【0054】
外部電気絶縁材料490の熱伝導率は外部電気絶縁層480の熱伝導率より大きい。例を挙げて言うと、外部電気絶縁層480の熱伝導率は1W/MKより低くてよく、例えば0.3W/MK〜0.5W/MKでよいが、外部電気絶縁材料490の熱伝導率は2.0W/MKより高くてよい。外部電気絶縁材料490の材料および形成方法はいずれも電気絶縁材料140と同じでよく、外部電気絶縁層480の材料および形成方法もいずれも電気絶縁層130と同じでよい。外部電気絶縁材料490と外部電気絶縁層480はいずれも積層または印刷によって形成されてよい。
【0055】
金属パターン層110に電気的に接続された電子部品150または250が動作するとき、外部電気絶縁材料490、電気絶縁材料140およびこれらの熱伝導基板324は電子部品150または250が発生した熱エネルギーを迅速に伝達することができる。このように、外部電気絶縁材料490、内部金属パターン層470、電気絶縁材料140および熱伝導板部材420は熱エネルギーの伝達速度を高め、電子部品150または250が過熱を生じる確率を低減することができる。
【0056】
図4に示す内部金属パターン層470、外部電気絶縁層480および外部電気絶縁材料490の三者の数はいずれも1個であるが、他の実施例において、回路板400は複数の内部金属パターン層470、複数の外部電気絶縁層480および複数の外部電気絶縁材料490を備えてよいことを説明しておくべきである。
【0057】
外部電気絶縁層480は内部金属パターン層470と交互に積層されてよく、各々の外部電気絶縁材料490はそのうちの1つの外部電気絶縁層480中に位置している。したがって、図4に示す内部金属パターン層470、外部電気絶縁層480および外部電気絶縁材料490の三者の数は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0058】
また、現在、回路板技術分野で対称構造(symmetrical structure)を有する回路板が既に現れており、回路板400も対称構造を有してもよい。詳細に説明すると、他の実施例において、回路板400は複数の金属パターン層110、複数の電気絶縁層130、複数の電気絶縁材料140、複数の内部金属パターン層470、複数の外部電気絶縁層480および複数の外部電気絶縁材料490を備えてもよい。
【0059】
これらの金属パターン層110、電気絶縁層130、電気絶縁材料140、内部金属パターン層470、外部電気絶縁層480および外部電気絶縁材料490は、それぞれ熱伝導板部材420を対称面とし、熱伝導板部材420の対向している2つの平面422および424に線対称に配置され、金属パターン層110は回路板400の最外側に配置される。これらの電気絶縁層130および電気絶縁材料140はそれぞれ平面422と424を覆うおよび平面422と424に接触している。
【0060】
上記の対称構造は従来の回路板の一部によく見られるため、対称構造を有する回路板400が図示されなくても、回路板技術分野の当業者は上記の実施例に基づいて対称構造を有する回路板400の構造を知り得る。言い換えれば、対称構造を有する回路板400が図面で開示されていなくても、本発明の属する技術分野における当業者は上記の発明に関する充分かつ明確な説明に基づいて対称構造を有する回路板400を理解し実施することができるものである。
【0061】
図5A〜図5Cは本発明の一実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。
図5A〜図5Cで開示されている製造方法を用いて図1〜図4中の回線板100、200、300または400を製造することができる。図5Aを参照すると、まず、熱伝導板部材420の平面422上に電気絶縁層130および少なくとも1つの電気絶縁材料140を形成し、電気絶縁層130は平面422を局所的に覆うが、電気絶縁材料140は、電気絶縁層130に覆われていない平面422を覆うとともに、熱伝導板部材420に接触している。
【0062】
電気絶縁層130および電気絶縁材料140は積層または印刷によって形成される。詳細に説明すると、電気絶縁層130および電気絶縁材料140を積層によって形成する場合、電気絶縁層130は半硬化プリプレグでよいが、電気絶縁材料140は放熱パッドでよい。電気絶縁層130および電気絶縁材料140の両者の形成方法において、まず、少なくとも1つの開口H1を有する半硬化プリプレグ(すなわち、電気絶縁層130)を平面422上に積層する。ここで、開口H1を形成する方法には、半硬化プリプレグに対して打ち抜き、くり抜きまたはレーザアブレーションを行うことが含まれ得る。
【0063】
次いで、放熱パッド(すなわち、電気絶縁材料140)を平面422上に積層し、放熱パッドは開口H1内に位置している。ここまで、電気絶縁層130および電気絶縁材料140の二者は平面422上に形成されることができた。以上の電気絶縁層130および電気絶縁材料140の二者の形成過程から分かるように、電気絶縁層130は電気絶縁材料140が形成される前に形成することができる。
【0064】
しかし、他の実施例においては、電気絶縁材料140を形成するために、予め平面422上に放熱パッドを積層してもよい。この後、開口H1を有する半硬化プリプレグを平面422上に積層して電気絶縁層130を形成するので、電気絶縁層130は電気絶縁材料140が形成された後に形成することができる。したがって、電気絶縁層130および電気絶縁材料140の二者が形成される前後の順序は、本発明において制限されない。
【0065】
電気絶縁層130および電気絶縁材料140を印刷によって形成する場合、電気絶縁材料140はセラミック層または放熱接着剤層でよく、電気絶縁層130は樹脂層でよい。電気絶縁層130および電気絶縁材料140はいずれも液状、のり状またはペースト状の塗料によって形成される。
【0066】
電気絶縁層130および電気絶縁材料140の形成方法には、2種の塗料を塗布することが含まれ得る。1種の塗料は電気絶縁層130の形成に用いられ、もう1種の塗料は電気絶縁材料140の形成に用いられる。また、塗料を平面422上に塗布してよい。塗料を塗布した後、塗料を加熱乾燥するか、または紫外線等の光線を照射して塗料を硬化させる。
【0067】
図5Bを参照すると、次に、電気絶縁層130および電気絶縁材料140上に金属箔510を積層する。金属箔510は、例えば銅箔、アルミニウム箔、錫箔、銀箔、金箔または樹脂付き銅箔(Resin Coated Copper、RCC)である。
【0068】
図5Bと図5Cを参照すると、金属箔510を積層した後、金属箔510の一部を取り除いて電気絶縁層130に位置する金属パターン層110を形成する。金属箔510の一部を取り除く方法には、リソグラフィー(lithography)およびエッチング(etching)が含まれ得る。これで、熱エネルギーの伝達速度を高めることができる回路板500はほぼ完成した。
【0069】
以上の図5Bおよび図5Cで開示されている金属パターン層110の形成方法の他に、金属パターン層110は、積層、リソグラフィーおよびエッチングを用いずに他の方法で形成してもよい。金属パターン層110の形成方法には、例えば無電解めっきおよび電気めっきが含まれ得る。このようにして、金属パターン層110を形成することもできる。
【0070】
図6A〜図6Cは本発明のもう1つの実施例の回路板の製造方法の流れを示す断面図である。図6A〜図6Cで開示されている製造方法を用いて図1〜図4中の回線板100、200、300または400を製造することもできる。図6Aを参照すると、まず、金属箔510上に電気絶縁層130および電気絶縁材料140を形成する。ここで、電気絶縁層130および電気絶縁材料140はいずれも金属箔510に接触している。電気絶縁層130および電気絶縁材料140の形成方法は、金属箔510上に2種の塗料を塗布する。これらの塗料はいずれも粘性を有し、かついずれも樹脂成分を含有している。
【0071】
図6Bを参照すると、次に、熱伝導板部材420を提供し、熱伝導板部材420の平面422上に金属箔510を積層する。電気絶縁層130および電気絶縁材料140は金属箔510と平面422との間に位置している。電気絶縁層130および電気絶縁材料140を形成するための塗料はいずれも粘性を有している。したがって金属箔510を積層した後、電気絶縁層130および電気絶縁材料140はいずれも金属箔510と熱伝導板部材420とを結合することができる。
【0072】
図6Bと図6Cを参照すると、金属箔510を積層した後、金属箔510の一部を取り除いて金属パターン層110を形成する。金属箔510の一部を取り除く方法には、リソグラフィーおよびエッチングが含まれ得る。これで、熱エネルギーの伝達速度を高めることができる回路板600が完成した。
【0073】
本発明を前述の実施例をもって上記のとおりに開示したが、それは本発明を限定するものではなく、当業者が、本発明の精神および範囲を逸脱せずに行った変更および修飾など同等の置き替えも、やはり本発明の特許保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0074】
100、200、300、400、500、600 回路板
110 金属パターン層
120、220、320、420 熱伝導板部材
122、226、322、422 平面
130 電気絶縁層
140 電気絶縁材料
142 接触面
144 側縁部
150、250 電子部品
152、252 部品本体
154d、154w 接続パッド
160 はんだブロック
222 熱伝導層
224 本体層
324 熱伝導基板
326 熱伝導パターン
328 内部電気絶縁層
470 内部金属パターン層
480 外部電気絶縁層
490 外部電気絶縁材料
510 金属箔
B1、B2 底面
H1 開口
S1、S2 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属パターン層と、
平面を有する熱伝導板部材と、
前記金属パターン層と前記熱伝導板部材の平面との間に配置され、かつ前記平面を局所的に覆う少なくとも1つの電気絶縁層と、
前記電気絶縁層に覆われていない前記熱伝導板部材の平面を覆うとともに、前記熱伝導板部材に接触している少なくとも1つの電気絶縁材料と
を備え、
前記電気絶縁層が前記電気絶縁材料を露出させ、かつ前記電気絶縁材料の熱伝導率が前記電気絶縁層の熱伝導率より大きい回路板。
【請求項2】
前記熱伝導板部材が熱伝導層と本体層を備え、前記熱伝導層が前記本体層と前記電気絶縁層との間に位置するとともに、前記電気絶縁材料に接触している、請求項1に記載の回路板。
【請求項3】
前記熱伝導板部材が、
そのうちの1つが前記平面を有する複数の熱伝導基板と、
前記複数の熱伝導基板の間に配置されている少なくとも1つの熱伝導パターンと、
前記複数の熱伝導基板の間に配置されている少なくとも1つの内部電気絶縁層と
を備え、
前記熱伝導パターンと前記内部電気絶縁層がいずれも前記複数の熱伝導基板に接触し、前記熱伝導パターンの熱伝導率が前記内部電気絶縁層の熱伝導率より大きい、請求項1に記載の回路板。
【請求項4】
前記電気絶縁材料が、さらに前記金属パターン層に接触している、請求項1、2または3に記載の回路板。
【請求項5】
前記金属パターン層と前記電気絶縁層との間に配置されている少なくとも1つの内部金属パターン層と、
前記内部金属パターン層と前記金属パターン層との間に配置され、かつ前記内部金属パターン層を覆っている少なくとも1つの外部電気絶縁層と、
前記内部金属パターン層と前記金属パターン層との間に配置され、かつ前記外部電気絶縁層中に位置している少なくとも1つの外部電気絶縁材料と
をさらに備え、
前記外部電気絶縁材料の熱伝導率が前記外部電気絶縁層の熱伝導率より大きく、前記外部電気絶縁材料と前記外部電気絶縁層がいずれも前記金属パターン層および前記内部金属パターン層に接触している、請求項1、2または3に記載の回路板。
【請求項6】
少なくとも1つの電子部品をさらに備え、前記電子部品が、
底面を有する部品本体と、
前記底面上に配置され、かつ前記金属パターン層に電気的に接続され、少なくとも1つが前記電気絶縁材料に熱的に結合されている複数の接続パッドとを備える、請求項1、2または3に記載の回路板。
【請求項7】
熱伝導板部材の平面上に電気絶縁層および少なくとも1つの電気絶縁材料を形成するステップと、
前記熱伝導板部材の平面を前記電気絶縁層が局所的に覆い、前記電気絶縁層に覆われていない前記前記熱伝導板部材の平面を前記電気絶縁材料が覆い、
前記前記電気絶縁層および電気絶縁材料は熱伝導板部材に接触しており、
前記電気絶縁材料の熱伝導率が前記電気絶縁層の熱伝導率より大きく、
前記電気絶縁層上に位置させて金属パターン層を形成するステップと
を含む回路板の製造方法。
【請求項8】
前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料が積層または印刷によって形成される、請求項7に記載の回路板の製造方法。
【請求項9】
前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料を形成するステップが、
少なくとも1つの開口を有する半硬化プリプレグを前記平面上に積層すること、および
前記開口内に位置する放熱パッドを前記平面上に積層すること
を含む、請求項7または8に記載の回路板の製造方法。
【請求項10】
前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料を形成するステップが、2つの塗料を前記平面に塗布することを含む、請求項7または8に記載の回路板の製造方法。
【請求項11】
前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料が金属箔上に形成され、かつ前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料がいずれも前記金属箔に接触している、請求項7に記載の回路板の製造方法。
【請求項12】
前記金属パターン層を形成するステップが、
前記電気絶縁層および前記電気絶縁材料上に金属箔を積層すること、および
前記金属箔を積層した後に該金属箔の一部を取り除くこと
を含む、請求項7に記載の回路板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−39070(P2012−39070A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26971(P2011−26971)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509319292)欣興電子股▲フン▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】