説明

回転位置検出装置

【課題】カメラの前方視界の妨げず、鋼管内面の撮影上で逆光状態とならずに、鋼管内面の周方向の位置を特定することを可能にすることにある。
【解決手段】鋼管検査測定装置102に固定されるベース部材21と、偏心位置を揺動中心22cとしてベース部材21に取り付けられ時計方向の側面位置の第1可動接点22a及び反時計方向の側面位置の第2可動接点22bを有する可動端子22と、重心が揺動中心22cより下方に位置し静止した可動端子22の第1可動接点22aに対向し可動端子22が時計方向に揺動した際に第1可動接点22aと接触する第1固定接点23aを有する第1固定端子23と、重心が揺動中心22cより下方に位置し静止した可動端子22の第2可動接点22bに対向し可動端子22が反時計方向に揺動した際に第2可動接点22bと接触する第2固定接点24aを有する第2固定端子24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鋼管製送電用鉄塔や鋼管製通信用鉄塔等のように、鉛直方向(重力方向)に対して傾斜して設置された鋼管内部に挿入して当該鋼管の内面を検査するための鋼管検査測定装置に用いられる回転位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すような鋼管製送電用鉄塔や鋼管製通信用鉄塔等の鋼管構造物100では、その四隅等の最外部に主要強度部材としての鋼管101が配置されており、各鋼管101内の腐食状態等を検査することにより当該鋼管構造物100の維持管理が行われている。鋼管101内の腐食状態等の検査は、例えば図8(a)に示すような鋼管検査測定装置102を鋼管101の頂部101a(図1参照)より当該鋼管101内に挿入し、当該鋼管検査測定装置102の下方の先端部に設けたカメラ103で鋼管101の内面99を撮影することにより行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記のように構成された鋼管検査測定装置102においては、鋼管101の内面99に発見した腐食部の当該鋼管101における高さ方向の位置については鋼管検査測定装置102を吊下げるロープ105の繰り出し長さによって特定することができるが、当該腐食部の鋼管101の内面99における円周方向の位置については特定することができないという問題があった。
【0004】
このため本出願人は、鋼管構造物100を構成する各鋼管101が図1に示すように鉛直方向に対してわずかではあるが傾斜していると共に、鋼管101に挿入する鋼管検査測定装置102の中心軸104も当該鋼管101の中心軸に沿うように傾斜した状態になることに着目して、図8(b)及び図9に示すようにカメラ103の先端部の前方に水準器を有する位置指示部材10を設け、この位置指示部材10を鋼管101の内面99と共にカメラ103で撮影するように構成した回転位置検出装置を提供している(特許文献2)。
【0005】
このように構成された回転位置検出装置においては、鋼管検査測定装置102の傾斜方向を検出することができることから、撮影した鋼管101の内面99の腐食部が傾斜方向に対して周方向に何度の位置にあるかを検出することができる。そして、実際の鋼管101については既に傾斜方向がわかっていることから、撮影した鋼管101の内面99の腐食部が実際の鋼管101の内面99における傾斜方向に対して周方向に何度の位置にあるかを特定することができる。
【0006】
なお、鋼管検査測定装置102の傾斜方向は、当該鋼管検査測定装置102の中心軸104に直交する平面の傾斜する方向としてとらえることができる。また、鋼管101の傾斜方向も、当該鋼管101の中心軸に直交する平面の傾斜する方向としてとらえることができる。そして、鋼管検査測定装置102を鋼管101に挿入することにより、当該鋼管検査測定装置102の傾斜方向と鋼管101の傾斜方向とがほぼ一致した状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−229868号公報
【特許文献2】特開2005−308415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記回転位置検出装置においては、位置指示部材10をカメラ103の前方に配置することになることから、カメラ103の前方の視界が部分的に遮られた状態になるという問題があった。また、カメラ103の側方に配置されたライト13の光が位置指示部材10で反射し、その反射した光がカメラ103に入射することから、鋼管101の内面を撮影する上では逆光状態と同様の状態での撮影となるという問題があった。
【0009】
本発明は、カメラの前方視界の妨げとなることがなく、かつ鋼管の内面を撮影する上で逆光状態と同様の状態となるのを防止することができ、しかも鋼管の内面における周方向の位置を特定することのできる回転位置検出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、鉛直方向に対して傾斜した状態に設置された鋼管内に先端部から挿入して当該先端部に配置したカメラ及び照明を用いて前記鋼管の内面を撮影する鋼管検査測定装置に設けることにより、実際の鋼管の内面における周方向の位置を前記カメラで撮影した画面から特定することを可能にする回転位置検出装置であって、前記鋼管内に挿入されることによって当該鋼管に沿って中心軸が傾斜した状態となる前記鋼管検査測定装置に固定されるベース部材と、重心から偏心した位置を揺動中心として前記ベース部材に揺動自在に取り付けられ、時計方向に揺動する側の側面に第1可動接点を有し、反時計方向に揺動する側の側面に第2可動接点を有する可動端子と、重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態となった前記可動端子の前記第1可動接点に対向する位置に配置され、当該可動端子が時計方向に揺動した際に前記第1可動接点と接触することになる第1固定接点を有する第1固定端子と、重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態となった前記可動端子の前記第2可動接点に対向する位置に配置され、当該可動端子が反時計方向に揺動した際に前記第2可動接点と接触することになる第2固定接点を有する第2固定端子とを備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1固定端子と前記第2固定端子は、前記第1固定接点と前記第2固定接点によって、前記可動端子の揺動角度を5度以上20度以下に規制するように、前記ベース部材に取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記可動端子は、ベース部材に固定的に保持される通電パイプを介して揺動自在に支持され、前記通電パイプには、補助端子が接続されており、前記補助端子と前記第1可動接点及び前記第2可動接点とは、前記通電パイプ及び前記可動端子を介して通電されるようになっていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記可動端子は、通電性を有するベアリングを介して前記通電パイプに揺動自在に連結されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態の前記可動端子が前記第1固定接点と前記第2固定接点との間のほぼ中央に位置した状態において、被写体を撮影する上での前記カメラの上下方向が鉛直方向の上下に対応した状態になるように当該カメラの光軸回りの向きが設定されていることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、第1可動接点と第1固定接点との接触による通電開始時及び第2可動接点と第2固定接点との接触による通電開始時よりそれぞれ遅れてON信号を出力し、そのON信号を出力する前に前記通電が解除された際には前記ON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持するフィルタ回路を有し、このフィルタ回路からのOFF信号の出力に基づいて、第1可動接点と第1固定接点とが非接触であること及び第2可動接点と第2固定端子とが非接触であることを検出するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、鋼管内に挿入されることによって当該鋼管に沿って中心軸が傾斜した状態となる鋼管検査測定装置に固定されるベース部材と、重心から偏心した位置を揺動中心にしてベース部材に揺動自在に取り付けられ、時計方向及び反時計方向の各側面にそれぞれ配置された第1可動接点及び第2可動接点を有する可動端子とを備えているので、鋼管検査測定装置を傾斜した鋼管内に挿入することにより、可動端子はその重心が揺動中心に対して最も下方に位置する方向に回動しようとする。
【0017】
この際、可動端子が時計方向に揺動した場合には第1可動接点が第1固定接点に当接する可能性があり、また可動端子が反時計方向に揺動した場合には第2可動接点が第2固定接点に当接する可能性がある。ここで、第1可動接点が第1固定接点に当接した場合には、カメラ及び回転位置検出装置を有する鋼管検査測定装置の一部あるいは全体をその中心軸回りに時計方向に回動することにより、第1可動接点が第1固定接点から離れることになり、更に時計方向に回動することにより今度は第2可動接点が第2固定接点に当接することになる。
【0018】
このため、第1可動接点と第1固定接点との第1の通電状態の有無を検出すると共に、第2可動接点と第2固定接点との第2の通電状態の有無を検出することにより、可動端子が第1固定接点と第2固定接点との間に位置した状態になることを検出することができる。即ち、第1の通電状態も、第2の通電状態も共にOFFの状態になった場合には、可動端子が第1固定接点と第2固定接点とのいずれにも接触することなく、これらの間に重力の作用によりとどまった状態になっていることがわかる。
【0019】
この場合、可動端子の重心が揺動中心に対して最も下方に位置し当該可動端子が第1固定接点と第2固定接点との間のほぼ中央の位置に停止した状態において(即ち、可動端子等によってほぼ鉛直方向を検知した状態において)、被写体を測定する上でのカメラの上下方向が鉛直方向の上下方向となるように当該カメラの光軸回りの向きを設定しておくことにより、第1の通電状態及び第2の通電状態が共にOFFになった時点におけるカメラで撮影した画面の上下方向(即ち、カメラの上下方向)が被写体の鉛直方向とほぼ一致することになる。即ち、鋼管検査測定装置の中心軸が鋼管に沿って傾斜した状態になることから、カメラで撮影した画面の上下方向が実際の鋼管の傾斜方向(ここでは、鋼管の中心軸に直交する平面の傾斜する方向とする。)とほぼ一致することになる。
【0020】
従って、第1及び第2の通電状態が共にOFFになった状態においてカメラで撮影した画面から、実際の鋼管内面における周方向の位置を特定することができる。即ち、カメラで撮影した鋼管の内面における例えば腐食部がその画面の上下方向に対して周方向に何度の角度位置にあるかを確認することによって、実際の鋼管の内面に発生した腐食部が鋼管の傾斜方向に対して周方向に何度旋回した位置にあるかを検出することができる。
【0021】
なお、可動端子等によって鉛直方向を検知した状態において、カメラの上下方向が鉛直方向となるように設定されていない場合でも、当該カメラの上下方向と鉛直方向とのなす角度が特定されていれば、カメラの画面から実際の鋼管の内面における周方向の位置を特定することが可能である。
【0022】
また、回転位置検出装置はカメラと共に回動する鋼管検査測定装置に設けておけばよく、当該回転位置検出装置をカメラの前方に設ける必要がないので、当該回転位置検出装置がカメラの前方視界の妨げとなることがない。また、カメラの前方を照らす例えばライトの光が回転位置検出装置に反射して、鋼管の内面を撮影する上での逆光と同様の現象を伴うこともないので、鋼管の内面を鮮明に撮影することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、第1固定接点と第2固定接点によって、可動端子の揺動角度を5度以上20度以下に規制するように、第1固定端子と第2固定端子がベース部材に取り付けられているので、鋼管の内面の周方向の位置を傾斜方向に対してプラスマイナス2.5度以上10度以下の精度で特定することができる。従って、カメラで撮影した画面から、実際の鋼管内面における周方向の位置を正確に特定することができ、鋼管の内面における例えば腐食部が狭い範囲に生じている場合でも、その腐食部の位置を正確に把握することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、可動端子がベース部材に固定的に保持される通電パイプを介して揺動自在に支持されており、通電パイプに接続された補助端子が当該通電パイプ及び可動端子を介して第1可動接点及び第2可動接点と通電されるようになっているので、第1可動接点及び第2可動接点に通電するための導線を補助端子に接続することができる。従って、可動端子の自由な揺動が導線により妨げられるのを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、可動端子が通電性を有するベアリングを介して通電パイプに揺動自在に連結されているので、補助端子から第1可動接点及び第2可動接点への通電性を維持しながら、可動端子の揺動がよりスムーズなるという利点がある。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、重力の作用により重心が揺動中心より下方に位置し静止した状態の可動端子が第1固定接点と第2固定接点との間のほぼ中央に位置した状態において、被写体を撮影する上でのカメラの上下方向が鉛直方向の上下に対応した状態になるように当該カメラの光軸回りの向きが設定されているので、第1可動接点と第1固定接点との第1の通電状態及び第2可動接点と第2固定接点との第2の通電状態が共にOFF状態となるように鋼管検査測定装置の一部又は全体を回動することによって、カメラで撮影された画面の上下方向と被写体としての鋼管の傾斜方向とがほぼ一致した状態になる。従って、例えば腐食部が実際の鋼管内面の傾斜方向に対して周方向に何度の位置に発生しているかを容易かつ確実に検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、第1可動接点と第1固定接点との通電開始時及び第2可動接点と第2固定接点との通電開始時よりそれぞれ遅れてON信号を出力し、そのON信号が出力する前に前記通電が解除された際にはON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持するフィルタ回路を有し、このフィルタ回路からのOFF信号の出力に基づいて、第1可動接点と第1固定接点及び第2可動接点と第2固定端子とがそれぞれ非接触であることを検出するようになっているので、第1可動接点と第1固定接点との通電時間や第2可動接点と第2固定端子との通電時間が短時間である場合には、これらの接点が互いに接触していないとみなすことができる。従って、可動端子の重心が揺動中心のほぼ下方に位置するように回転位置検出装置が回動された状態において、何らかの振動源や自励振動等に起因して、可動端子が第1固定端子及び第2固定端子に交互に当接するような現象(例えばハンチング現象)が現れた場合でも、上述した第1及び第2の通電状態が共にOFFになったものとみなして、カメラで撮影した画面から、実際の鋼管内面における周方向の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例として示した回転位置検出装置を備えた鋼管検査測定装置で鋼管の内部を検査する被検査体としての鋼管構造物を示す説明図である。
【図2】同回転位置検出装置を備えた鋼管検査測定装置を鋼管内に挿入した状態を示す説明図である。
【図3】同回転位置検出装置を備えた鋼管検査測定装置を示す要部断面図である。
【図4】同回転位置検出装置を示す図であって、(a)は要部破断正面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図であり、(c)は(a)のC−C線に沿う断面図であり、(d)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図5】同回転位置検出装置を示す図であって、(a)は可動端子が揺動中心から下方に垂れ下がり、第1固定接点と第2固定接点との間の中央の位置で静止した状態を示す要部破断正面図であり、(b)は検出部を(a)の状態から中心軸回りに反時計方向に回動することによって第1可動接点を第1固定接点に当接させた状態を示す要部破断正面図であり、(c)は検出部を(b)の状態から時計方向に回動することにより、可動端子が下方に垂れ下がり、第1可動接点が第1固定接点から離れる直前の状態を示す要部破断正面図であり、(d)は検出部を(c)の状態から更に時計方向に回動することにより、第2可動接点が第2固定接点に当接した直後の状態を示す要部破断正面図である。
【図6】同回転位置検出装置を備えた鋼管検査測定装置で内部を検査する各鋼管の傾斜方向を示す図であって、図1のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】同回転位置検出装置における制御装置に関する図であって、(a)は制御装置を示すブロック図であり、(b)は制御装置の遅延回路を示す図であり、(c)は制御装置のフィルタ回路の作用を示す説明図である。
【図8】(a)は第1の従来例として示した鋼管検査測定装置を鋼管内に挿入した状態を示す説明図であり、(b)は第2の従来例として示した位置指示部材を取り付けた鋼管検査測定装置を鋼管内に挿入した状態を示す説明図である。
【図9】第2の従来例として示した位置指示部材を鋼管検査測定装置に取り付けた状態を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態について実施例に基づいて図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施例で示す回転位置検出装置20は、図1〜6に示すように、鉛直方向に対して傾斜した状態に設置された鋼管101の頂部101aより当該鋼管101内に挿入して、下方の先端部に配置したビデオカメラ(カメラ)103及びLED(ライト、照明)13を用いて鋼管101の内面99を撮影し腐食等の有無を検査する鋼管検査測定装置102に設けることにより、ビデオカメラ103で撮影した鋼管101の内面99における周方向の位置を特定することを可能にするものである。
【0030】
鋼管検査測定装置102は、図2及び図3に示すように、外観が総体的に円筒状の形態をなすように形成されている。この鋼管検査測定装置102は、鋼管101の内面99に向けて複数の脚部を張り出すことによって、当該鋼管検査測定装置102の中心軸104を鋼管101の中心軸に対応した位置に保持するように構成された本体部102aと、この本体部102aの先端側に配置され、当該本体部102aに対して同軸状に回転駆動される検出部102bとを備えている。
【0031】
ビデオカメラ103は、その光軸(撮影中心軸)を検出部102bの中心軸104に一致させるようにして、当該検出部102bの先端部に設けられ、鋼管検査測定装置102の前方及び当該前方における鋼管101の内面99を撮影するようになっている。また、LED13は、ビデオカメラ103の撮影方向である前方及び当該前方における鋼管101の内面99を照らし出すようになっている。
【0032】
回転位置検出装置20は、図3及び図4に示すように、ベース部材21と、可動端子22と、第1固定端子23と、第2固定端子24と、カバー部25とを備えた構成になってている。
【0033】
ベース部材21は、図3に示すように、絶縁部材によって平板状に形成されたものであり、検出部102bの中心軸104に直交(単に交差していてもよい)するようにして、当該検出部102bにねじN1によって固定されるようになっている。
【0034】
可動端子22は、図4(a)に示すように、正面視おいて略長方形状に長く形成されており、重心に対して長手方向の一方に偏心した位置を揺動中心22cとしてベース部材21に揺動自在に取り付けられている。この可動端子22は、揺動中心22cに対して重心側に位置する側面であって揺動中心22c回りに時計方向に揺動する側の一方の側面に配置された第1可動接点22aと、揺動中心22cに対して重心側に位置する側面であって揺動中心22c回りに反時計方向に揺動する側の他方の側面に配置された第2可動接点22bとを有している。第1可動接点22a及び第2可動接点22bは、可動端子22における時計方向及び反時計方向の各側面の一部(図4(a)中で斜線で示す部分)によって形成されている。
【0035】
第1固定端子23は、重力の作用により重心が揺動中心22cより下方に位置し静止した状態(即ち、図4において、揺動中心22cから下方に垂れ下がって静止した状態)となった可動端子22の第1可動接点22aに対向する位置に配置され、当該可動端子22が時計方向に揺動した際に第1可動接点22aと接触することになる第1固定接点23aを有している。
【0036】
第2固定端子24は、同じく重力の作用により重心が揺動中心22cより下方に位置し静止した状態(即ち、図4において、揺動中心22cから下方に垂れ下がって静止した状態)となった可動端子22の第2可動接点22bに対向する位置に配置され、当該可動端子22が反時計方向に揺動した際に第2可動接点22bと接触することになる第2固定接点24aを有している。
【0037】
また、第1固定端子23と第2固定端子24は、実施する際に好適な一例を示すと、可動端子22が5度以上20度以下(この例では20度)の範囲で揺動した際に、第1固定接点23aが第1可動接点22aに又は第2固定接点24aが第2可動接点22bに接触することになるように、ベース部材21にねじN2によって取り付けられたものとなっている。また、換言すれば、可動端子22は、第1可動接点22a及び第2可動接点22bによって、5度以上20度以下(この例では20度)の範囲に揺動角度θ(図4(a)参照)が制限されるようになっている。なお、揺動角度θについては、後述する回転駆動装置40による検出部102bを回転駆動するトルク、当該回転駆動装置40によって回転駆動される検出部102bの回転速度、当該検出部102bの回転中心回りの慣性モーメント、可動端子22の質量、当該可動端子22の回転中心回りの慣性モーメント、鋼管101の傾斜角度等によって最適な角度を選定すべきである。
【0038】
可動端子22は、図4(b)〜(d)に示すように、ベース部材21に固定的に保持される通電パイプ26を介して揺動自在に支持されるようになっている。通電パイプ26には、補助端子27が接続されるようになっている。そして、補助端子27と第1可動接点22a及び第2可動接点22bとは、通電パイプ26及び可動端子22を介して通電されるようになっている。また、この例では、可動端子22は、通電性を有するベアリング28を介して通電パイプ26に揺動自在に連結されている。このため、補助端子27と第1可動接点22a及び第2可動接点22bとは、通電パイプ26、ベアリング28及び可動端子22を介して通電されるようになっている。
【0039】
また、ベアリング28は、内輪をねじN3の円筒軸部N3aに嵌合すると共に、その内輪の軸方向の各端面を通電パイプ26及び押圧リングで挟んだ状態で、ねじN3をベース部材21にねじ込むことにより、通電パイプ26と共にベース部材21に固定されるようになっている。
【0040】
補助端子27は、その一部が通電パイプ26とベース部材21との間に配置されることにより、ねじN3の締め付け力により、通電パイプ26と共にベース部材21に固定されるようになっていると共に、当該通電パイプ26との電気的な接続がなされるようになっている。
【0041】
ねじN3は、ベース部材21における検出部102bの中心軸104と同軸状の位置にねじ込まれるようになっている。また、カバー部25は、ねじN4によってベース部材21に固定されるようになっている。
【0042】
また、揺動中心22cから下方に垂れ下がって静止した状態の可動端子22が第1固定接点23aと第2固定接点24aとの間のほぼ中央に位置した状態となるように検出部102bの中心軸104回りの回転角度を調整した状態において、被写体を撮影する上でのビデオカメラ103の上下方向が鉛直方向の上下に対応した状態になるように当該ビデオカメラ103の光軸回りの向きが設定されている。
【0043】
検出部102bは、図3に示すように、本体部102aに設けられた回転駆動装置40によって、本体部102aと同軸状に回転駆動されるようになっている。回転駆動装置40は、電動モータ40aと、この電動モータ40aの回転力を出力軸40bに伝えるギヤ40c、40dとを備えている。出力軸40bは、複数のベアリングによって本体部102aに支持され中心軸104と同軸状に回転するようになっていると共に、その先端部が検出部102bの基端部に同軸状に連結されている。
【0044】
なお、補助端子27は、図4(a)に示すように、第1導線A1に接続され、第1固定端子23は、第2導線A2に接続され、第2固定端子24は、第3導線A3に接続されている。そして、第1導線A1は、制御装置(図示せず)の例えばプラスの直流電圧出力端子に接続されるようになっている。また、第2導線A2は、同制御装置の第1の入力端子に接続されるようになっており、第3導線A3は、同制御装置の第2の入力端子に接続されるようになっている。即ち、制御装置は、第2導線A2又は第3導線A3に発生する電圧を検出することにより、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触の有無、及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触の有無を検知することが可能になっている。そして、制御装置は、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触を検知した場合には、図4(a)に示す時計方向に検出部102bを回動すべく電動モータ40aを駆動し、第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触を検知した場合には、反時計方向に検出部102bを回動すべく電動モータ40aを駆動し、いずれの接触をも検知しないときには、電動モータ40aの駆動を停止するように制御するようになっている。
【0045】
また、鋼管101の傾斜方向は、当該鋼管101の中心軸に直交する平面の傾斜する方向としてとらえることができる。この場合、直角四角形の四隅に鋼管101が配置された構造の鋼管構造物100においては、図6に示すように、鋼管構造物100を水平面で断面視(図1のVI−VI線に沿う断面)した際の当該鋼管構造物100の中心位置(塔心)C1と、各鋼管101の中心位置C2とを結ぶ直線の方向と、鋼管101の傾斜方向の水平方向成分とが通常一致することになる。
【0046】
上記のように構成された回転位置検出装置20を備えた鋼管検査測定装置102においては、当該鋼管検査測定装置102を鋼管101内に挿入することにより、ビデオカメラ103で鋼管101の内面99を撮影することができ、その撮影した画像を鋼管101の外部に設置したモニタ画面に表示することができる。鋼管検査測定装置102の中心軸104が鋼管101の中心軸にほぼ一致した状態になることから、モニタ画面の中心位置をほぼ中心とする鋼管101の内面99を表示することができる。そして、鋼管検査測定装置102を吊持するロープ105を繰り出すことにより、鋼管101の内面99を下方に向って順次映し出すことができる。
【0047】
そこで、例えば鋼管101の内面99に腐食部があることをモニタ画面上で発見した際には、ロープ105の繰り出しを停止することにより、鋼管検査測定装置102の移動を停止する。これにより、ロープ105の繰り出し長さに基づいて、腐食部が存在する鋼管101の高さ方向の位置を特定することができる。
【0048】
また、鋼管検査測定装置102を停止した状態において、例えば図5(b)に示すように、第1可動接点22aが第1固定接点23aに当接している場合には、検出部102bを中心軸104回りに時計方向に回動することにより、第1可動接点22aが第1固定接点23aから離れることになる。第1可動接点22aが第1固定接点23aから離れる直前において、図5(c)に示すように、可動端子22の重心が揺動中心22cに対して最も下方に位置する状態になる。そして、更に検出部102bを時計方向に回動することにより、図5(a)に示す状態になってから、図5(d)に示すように、可動端子22の重心が揺動中心22cに対して最も下方に位置する状態のままで第2可動接点22bが第2固定接点24aに当接した状態になる。
【0049】
このため、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの第1の通電状態の有無を検出すると共に、第2可動接点22bと第2固定接点24aとの第2の通電状態の有無を検出することにより、可動端子22が第1固定接点23aと第2固定接点24aとの間に位置した状態になることを検出することができる。即ち、上記第1の通電状態も、第2の通電状態も共にOFFの状態になったことを検出することにより、可動端子22が第1固定接点23aと第2固定接点24aとの間に位置し、可動端子22の重心が揺動中心22cに対して最も下方に位置する状態になっていることを検出することができる。
【0050】
そして、可動端子22が第1固定接点23aと第2固定接点24aとの間のほぼ中央に垂れ下がった状態において、被写体を測定する上でのビデオカメラ103の上下方向が鉛直方向の上下方向となるように当該ビデオカメラ103の光軸回りの向きが設定されているので、上述のようにOFFになった状態において、ビデオカメラ103で撮影したモニタ画面の上下方向が被写体の鉛直方向とほぼ一致することになる。即ち、鋼管検査測定装置102の中心軸104が鋼管101の中心軸に沿って傾斜した状態になることから、ビデオカメラ103で撮影した画面の上下方向が実際の鋼管101の傾斜方向とほぼ一致することになる。
【0051】
従って、ビデオカメラ103で撮影した鋼管101の内面99における腐食部がモニタ画面の上下方向に対して周方向に何度の角度位置にあるかを確認することによって、実際の鋼管101の内面99に発生した腐食部が傾斜方向に対して周方向に何度の位置にあるかを検出することができる。
【0052】
なお、可動端子22が下方に垂れ下がった状態において、ビデオカメラ103の上下方向が鉛直方向となるように設定されていない場合でも、当該ビデオカメラ103の上下方向と鉛直方向とのなす角度が特定されていれば、モニタ画面の画像から実際の鋼管101の内面99における周方向の位置を特定することが可能である。
【0053】
また、回転位置検出装置20はビデオカメラ103と共に回動する検出部102bに設けておけばよく、当該回転位置検出装置20をビデオカメラ103の前方に設ける必要がないので、当該回転位置検出装置20がビデオカメラ103の前方視界を妨げることがない。また、ビデオカメラ103の前方を照らすLED13の光が回転位置検出装置20に反射して、鋼管101の内面99を撮影する上での逆光と同様の現象が生ずることもないので、鋼管101の内面99を鮮明に撮影することができる。
【0054】
更に、可動端子22が5度以上20度以下の範囲で揺動した際に第1固定接点23a又は第2固定接点24aが第1可動接点22a又は第2可動接点22bに接触することになるので、鋼管101の内面99の周方向の位置を傾斜方向に対してプラスマイナス2.5度以上10度以下の精度で特定することができる。従って、ビデオカメラ103で撮影した画面から、鋼管101の内面99における周方向の位置を正確に特定することができ、当該内面99における腐食部等が狭い範囲に生じていても、その腐食部等の位置を正確に把握することができる。
【0055】
また、可動端子22がベース部材21に固定的に保持される通電パイプ26を介して揺動自在に支持されており、通電パイプ26に接続された補助端子27が当該通電パイプ26及び可動端子22を介して第1可動接点22a及び第2可動接点22bと通電されるようになっているので、第1可動接点22a及び第2可動接点22bに通電するための第1導線A1を補助端子27に接続することができる。従って、可動端子22の自由な揺動が第1導線A1により妨げられるのを防止することができる。
【0056】
しかも、可動端子22がベアリング28を介して通電パイプ26に揺動自在に連結されているので、可動端子22の揺動がよりスムーズになるという利点がある。
【0057】
なお、可動端子22の揺動角度θの範囲を5度以上20度以下としたのは、5度未満であると、検出部102bを回動して可動端子22の重心が揺動中心22cに対して最も下方に位置する状態になった際に、可動端子22が外力等により揺動し、第1可動接点22a又は第2可動接点22bが第1固定接点23a又は第2固定接点24aに接触しやすくなって、可動端子22を第1固定接点23aと第2固定接点24aの間に移動させることが困難になるからであり、また20度を超えると、傾斜方向の検出精度が落ちるからである。
【0058】
また、鋼管検査測定装置102の一部である検出部102bを回動することにより、ビデオカメラ103で撮影した画面の上下方向を実際の鋼管101の傾斜方向にほぼ一致させるようにしたが、鋼管検査測定装置102の全体を中心軸104回りに回動することにより、ビデオカメラ103で撮影した画面の上下方向を実際の鋼管101の傾斜方向にほぼ一致させるようにしてもよい。
【0059】
更に、上記実施例においては、第2導線A2及び第3導線A3に発生する電圧に基づいて、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触の有無、及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触の有無を検知して、可動端子22の重心が揺動中心22cに対して最も下方に位置するように、電動モータ40aを駆動すべく制御する制御装置を備えた例を示したが、この制御回路は、図7(a)に示すように、遅延回路5a、トリガ回路5b及び電動モータ駆動回路52を有する制御回路5によって構成してもよい。
【0060】
遅延回路5aは、図7(b)に示すように、第2導線A2及び第3導線A3のそれぞれに抵抗R及びコンデンサCを順次直列に接続した構成になっている。即ち、第2導線A2及び第3導線A3は、それぞれの一端が第1固定端子23及び第2固定端子24のそれぞれに接続されており、各抵抗Rは、その一端が第2導線A2及び第3導線A3のそれぞれの他端に接続されている。各コンデンサCは、その一端が各抵抗Rの他端に接続され、その他端が接地されている。
【0061】
そして、第1固定端子23側におけるコンデンサCの両端間の電圧が第1の出力信号V1として取り出されるようになっていると共に、第2固定端子24側におけるコンデンサCの両端間の電圧が第2の出力信号V2として取り出されるようになっている。なお、第1導線A1はプラスの直流電圧出力端子に接続されている。
【0062】
また、第1の出力信号V1の電圧は、遅延回路5aにおけるRC積分回路の特性に基づいて、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触によってONとなる第1の入力信号Vaに対して、過渡的に遅れて上昇することになる。第2の出力信号V2の電圧についても、第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触によってONとなる第2の入力信号Vbに対して過渡的に遅れて上昇することになる。これを図示すると、図7(c)に示すようになる。
【0063】
そして、トリガ回路5bは、図7(c)に示すように、第1の出力信号V1又は第2の出力信号V2が閾値TL以上の電圧に達した際に、電動モータ40aを駆動制御するための第1の制御信号VR及び第2の制御信号VLをON信号として出力するようになっている。
【0064】
第1の制御信号VRは、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触による通電開始時にONとなった第1の入力信号Vaより遅れてON信号となるが、そのON信号を出力する前に前記通電が解除されて第1の入力信号VaがOFFとなると、前記ON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持することになる。一方、第2の制御信号VLについては、第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触による通電開始時にONとなる第2の入力信号Vbより遅れてON信号となり、そのON信号を出力する前に前記通電が解除されて第1の入力信号VaがOFFとなると、前記ON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持することになる。
【0065】
この例においては、図7(a)に示すように、遅延回路5aとトリガ回路5bによってフィルタ回路51が構成されたものとなっている。即ち、フィルタ回路51は、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの接触による通電開始時及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとの接触による通電開始時よりそれぞれ遅れてON信号となる第1の制御信号VR及び第2の制御信号VLを出力し、そのON信号を出力する前に前記通電が解除された際には前記ON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持するようになっている。
【0066】
電動モータ駆動回路52は、第1の制御信号VRがON信号になることによって、ベース部材21を図4において時計方向に回動させるべく電動モータ40aを駆動する制御を行うと共に、第2の制御信号VLがON信号になることによって、ベース部材21を反時計方向に回動させるべく電動モータ40aを駆動する制御を行うようになっており、かつ第1の制御信号VR及び第2の制御信号VLが共にOFF信号となった際には電動モータ40aを停止する制御を行うようになっている。即ち、電動モータ駆動回路52は、フィルタ回路51からのOFF信号の出力に基づいて、第1可動接点22aと第1固定接点23aとが非接触であること及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとが非接触であることを検出し、電動モータ40aを停止する制御を行うようになっている。
【0067】
上記のように構成された制御装置5を備えた回転位置検出装置20においては、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの通電開始時及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとの通電開始時よりそれぞれ遅れてON信号を出力し、そのON信号が出力する前に前記通電が解除された際にはON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持するフィルタ回路51を有し、このフィルタ回路51からのOFF信号の出力に基づいて、第1可動接点22aと第1固定接点23a及び第2可動接点22bと第2固定接点24aとがそれぞれ非接触であることを検出するようになっているので、第1可動接点22aと第1固定接点23aとの通電時間や第2可動接点22bと第2固定接点24aとの通電時間が短時間である場合には、これらの接点が互いに接触していないとみなすことができる。
【0068】
従って、図7(c)の(イ)〜(ホ)に示すように、可動端子22の重心が揺動中心22cのほぼ下方に位置するようにベース部材21が回動された状態において、何らかの振動源や自励振動等に起因して、可動端子22が第1固定端子23及び第2固定端子24に交互に当接するような現象(例えばハンチング現象)が現れた場合でも、上述した第1及び第2の通電状態が共にOFFになったものとみなして、電動モータ40aの駆動を停止することができると共に、カメラで撮影した画面から、鋼管101の内面99における周方向の位置を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、鋼管製送電用鉄塔や鋼管製通信用鉄塔だけでなく、鉛直方向に対して傾斜(鉛直方向に対して直交する方向、即ち水平方向を含む)して設置された鋼管であれば、どのような鋼管構造物にも使用できる。
【符号の説明】
【0070】
20 回転位置検出装置
21 ベース部材
22 可動端子
22a 第1可動接点
22b 第2可動接点
22c 揺動中心
23 第1固定端子
23a 第1固定接点
24 第2固定端子
24a 第2固定接点
26 通電パイプ
27 補助端子
28 ベアリング
51 フィルタ回路
101 鋼管
102 鋼管検査測定装置
103 ビデオカメラ(カメラ)
104 中心軸
θ 揺動角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に対して傾斜した状態に設置された鋼管内に先端部から挿入して当該先端部に配置したカメラ及び照明を用いて前記鋼管の内面を撮影する鋼管検査測定装置に設けることにより、実際の鋼管の内面における周方向の位置を前記カメラで撮影した画面から特定することを可能にする回転位置検出装置であって、
前記鋼管内に挿入されることによって当該鋼管に沿って中心軸が傾斜した状態となる前記鋼管検査測定装置に固定されるベース部材と、
重心から偏心した位置を揺動中心として前記ベース部材に揺動自在に取り付けられ、時計方向に揺動する側の側面に第1可動接点を有し、反時計方向に揺動する側の側面に第2可動接点を有する可動端子と、
重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態となった前記可動端子の前記第1可動接点に対向する位置に配置され、当該可動端子が時計方向に揺動した際に前記第1可動接点と接触することになる第1固定接点を有する第1固定端子と、
重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態となった前記可動端子の前記第2可動接点に対向する位置に配置され、当該可動端子が反時計方向に揺動した際に前記第2可動接点と接触することになる第2固定接点を有する第2固定端子とを備えていることを特徴とする回転位置検出装置。
【請求項2】
前記第1固定端子と前記第2固定端子は、前記第1固定接点と前記第2固定接点によって、前記可動端子の揺動角度を5度以上20度以下に規制するように、前記ベース部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転位置検出装置。
【請求項3】
前記可動端子は、ベース部材に固定的に保持される通電パイプを介して揺動自在に支持され、
前記通電パイプには、補助端子が接続されており、
前記補助端子と前記第1可動接点及び前記第2可動接点とは、前記通電パイプ及び前記可動端子を介して通電されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転位置検出装置。
【請求項4】
前記可動端子は、通電性を有するベアリングを介して前記通電パイプに揺動自在に連結されていることを特徴とする請求項3に記載の回転位置検出装置。
【請求項5】
重力の作用により前記重心が前記揺動中心より下方に位置し静止した状態の前記可動端子が前記第1固定接点と前記第2固定接点との間のほぼ中央に位置した状態において、被写体を撮影する上での前記カメラの上下方向が鉛直方向の上下に対応した状態になるように当該カメラの光軸回りの向きが設定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回転位置検出装置。
【請求項6】
第1可動接点と第1固定接点との接触による通電開始時及び第2可動接点と第2固定接点との接触による通電開始時よりそれぞれ遅れてON信号を出力し、そのON信号を出力する前に前記通電が解除された際には前記ON信号を出力せずにOFF信号の出力を維持するフィルタ回路を有し、このフィルタ回路からのOFF信号の出力に基づいて、第1可動接点と第1固定接点とが非接触であること及び第2可動接点と第2固定端子とが非接触であることを検出するようになっていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の回転位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−95091(P2011−95091A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249104(P2009−249104)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(306033025)日本鉄塔工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】