説明

回転情報検出装置、画像形成装置

【課題】容易に組み立て組み付けができ回転板に対して高精度で検出手段を配置することができる回転情報検出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供すること
【解決手段】画像形装置の駆動軸101に設けられ駆動軸101の回転速度を検出するため所定のスリット121を形成したスリット円板110と、スリット円板110に設けられたスリット121対向して配置され、前記パターンを検出するセンサ113と、前記駆動軸101に遊嵌される検出手段支持部材114、及び、前記検出手段支持部材114に嵌め合わされることにより固定されるケーシング部材115からなり、筺体10に固定されるケース部材と、を備えてなり、前記センサ113は、検出手段支持部材114のセンサ係合部114aに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸に設けられ、回転軸の回転情報を検出するための位置情報を形成した回転情報形成部材と、前記位置情報を読み取り、前記回転情報形成部材の回転情報を検出する検出手段とを備えた回転情報検出装置に係り、特に、回転情報形成部材に対して高精度で検出手段を配置することができる回転情報検出装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式により、画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の感光体ドラムの駆動部にあっては、感光体ドラムの回転速度変動を極力小さく抑えるために、感光体ドラムの駆動軸に回転情報検出装置としてスリット円板を設け、検出した速度変動データに基づき、駆動源の速度制御を行うようにしている。このような、回転情報検出装置は、前記感光体ドラムに限らず、画像形成装置の中で、回転速度変動を抑制すべき回転部材に適用される。
【0003】
また、このような回転情報検出装置は、画像形成装置に限らず、様々な産業分野において、回転部材の速度変動を低減するために設けられ、回転情報検出装置で検出した速度変動データに基づき、駆動源の速度制御を行う構成を有する装置に適用されている。
【0004】
このような、回転情報検出装置として、以下のものがある。特許文献1には回転軸に嵌合する円板状に形成され、周方向に沿って複数の検出パターンが配列された回転部材と、この回転部材と非接触の状態で上記検出パターンを読み出すパターン検出素子とから構成されるスリット円板を上記回転軸に組み付けるための組立構造であって、上記回転部材と、上記パターン検出素子と、上記パターン検出素子が固定される取付基板と、上記回転部材を覆うようにして上記取付基板に固定される保持器とから構成され、上記回転部材の軸方向の一端には環状段部を形成する一方、上記保持器にはこの環状段部に遊嵌する規制孔を形成し、また、上記取付基板には当該取付基板と上記回転部材との間に所定の間隙を形成すると共に上記環状段部と規制孔との抜けを防止する規制突部を形成したことを特徴とするスリット円板の組立構造が記載されている。
【0005】
特許文献2には、円周方向に複数のスリットを形成した回転板に導光体を組み合わせ、回転板を透過した信号用発光素子の放射する光を導光体により偏向して受光素子に入射する光学式スリット円板が記載されている。
【0006】
特許文献3には、光源手段と、該光源手段からの光束が入射する放射格子を有し相対回転するディスクと、該ディスクの放射格子からの変調光を透過する放射格子を有し前記ディスクに対向配置した平面基板と、該平面基板の放射格子からの変調光を受光する受光手段と、前記光源手段及び前記平面基板及び前記受光手段を固定する本体ユニットと、前記ディスクを固定したディスクユニットとを有し、前記受光手段からの信号を用いて前記ディスクと前記平面基板との相対回転変位情報を求める回転変位情報検出装置において、前記本体ユニットと前記ディスクユニットを別体とし、前記ディスクユニットにおいて前記ディスクを固定するディスクハブを2体の部品で構成し、該2体の部品を軸方向に相対的に移動可能としたことを特徴とする回転変位情報検出装置が記載されている。
【0007】
特許文献4には、回転軸に装着されて回転駆動されるディスクを備え、ディスクの外周近傍の面には等ピッチによってマーキングが施され、マーキングの施工位置とは異なるディスク中心寄りの位置に、ディスクの中心を挟んで対向する穴あるいは突起部で構成された把持部を設け、回転軸から抜き取る際にマーキングに接触しない構成とするとともに、マーキングへの塵埃の付着を防止する構成を備えたものが記載されている。
【0008】
特許文献5には、モータの回転力で回転駆動される回転体と、回転体の回転軸を中心に環状に配設された複数の被検出部と、被検出部を検出する検出器と、被検出部のうちの2つの被検出部を両端に有する第1の区間と、両端に被検出部を有するとともに少なくとも一端は第1の区間の被検出部とは異なる第2の区間とが設定されているとき、回転体の回転時に、第1の区間と第2の区間が検出器を通過する通過時間を検出器からの信号に基づいて検出する通過時間検出手段と、通過時間検出手段で検出された通過時間に基づいて、回転体の所望周期に関する回転周期変動の振幅と位相を生成する振幅位相生成手段と、振幅位相生成手段で生成された振幅と位相に基づき、回転周期変動を低減するようにモータの回転を制御する回転制御手段とを備えたも回転体駆動制御装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特第3171003号公報
【特許文献2】特開平9−280896号公報
【特許文献3】特開平10−132611号公報
【特許文献4】特開2005−314080号公報
【特許文献5】特開2005−312262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した電子写真方式の画像形成装置では、感光体の表面を一様な電位となるように帯電し、形成する画像情報に基づき画像部、非画像部とを分けて、露光装置により感光体表面を露光することにより、静電潜像を形成する。感光体表面上の静電潜像の画像部には、現像装置によりトナーを付着させられ、トナー像(顕像)を形成される。トナー像はその後、転写部で、用紙に転写され、用紙が定着部を通過することにより、トナーが溶融され、用紙上に定着される。このような工程により用紙に画像が形成される。
【0011】
このような工程で、様々な構成要素が所定の速度で駆動されているが、中でも感光体表面の速度が一定であることが重要となる。感光体表面の速度が一定でないと、露光部、転写部において、画像の伸び縮みが生じることになる。感光体はベルト状の場合もあるが、図示のように、ドラム形状である場合が多く、ドラム形状の場合には、その回転速度に変動の無いことが重要となる。
【0012】
特に、近年のカラー複写機、プリンタでは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色でカラー画像を形成しており、画像形成路上に、各色のトナー像を形成するための4本の感光体ドラムを並べる方式(以下、タンデム方式)が主流となっている。感光体ドラムが1本で、その周囲に各色の現像器を4器並べ、感光体ドラム上に1色のトナー像を形成するたびに、中間転写ベルト上にトナー像を移動させ、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ねた後、4色からなるトナー像を1度に用紙に転写する方式も存在するが、画像形成の生産性の面から、現在のカラー画像形成装置においては、タンデム方式が占める割合が多い。
【0013】
タンデム方式の各感光体ドラムに速度変動がある場合には、別々の色が本来合わさっているべき部分で、色が合わずに形成される「色ズレ」という不具合が生じてしまう。
【0014】
1色だけで画像を形成する場合には認識され難い程度の画像の伸び縮みであっても、4色の画像を重ねる場合、合わさるべき色が合っていない「色ズレ」は認識されやすい。明確にずれていると認識されない程度のズレ量であっても、画像の濃淡や、色のムラとなって現れてしまう。
【0015】
従って、感光体の回転速度の変動を抑え、一定速度で駆動することは画像品質を良好に維持するために重要である。
【0016】
感光体ドラムの回転速度を一定にするための技術としては、感光体ドラムを駆動する軸上に、周方向に一定間隔でパターンを設けた円板状の部材であるスリット円板を設け、上記パターンの通過を光学的に検知する検出素子(センサ)を設け、パターン個々の通過時間を検出することにより、感光体ドラム駆動軸の回転速度を検出し、検出した速度変動を打ち消すように、モータ等の駆動源を制御することで、感光体ドラムの回転速度を一定に維持する方式が一般的である。
【0017】
感光体駆動軸に生じる速度変動の要因としては、感光体駆動軸に大径のギヤを嵌合し、モータ軸に設けた小径ギヤを上記感光体駆動軸の大径ギヤに噛合せて、モータ回転速度を減速して、感光体駆動軸を駆動するという代表的な構成の場合、モータ軸1回転周期の速度変動と、感光体軸1回転の速度変動によるものが大きい。モータ軸1回転周期の速度変動は、モータ軸の偏心や、モータ軸に設けたギヤの累積ピッチ誤差等により生じ、感光体軸1回転の速度変動は、大径ギヤの偏心や、ギヤの累積ピッチ誤差等により生じるが、これらの成分を抑えることで、感光体の速度変動を低減する効果が大きい。
【0018】
即ち、スリット円板上のパターンは、周方向に、多数であるほど、分解能が高く、回転速度を高精度に検出可能であるが、特許文献5に記載のものでは、検出対象を、上記、感光体1回転周期の速度変動とモータ1回転周期の速度変動に絞り、安価な構成で、感光体ドラムの速度変動を低減することを可能としている。
【0019】
しかし、このようなスリット円板構成により回転速度を検出する際に、重要となるのが、スリット円板、及び、センサの取付精度である。スリット円板のパターン形成部分は円板状部材であり、取り付けるべき駆動軸に対しては、軸に嵌合する円筒状部材とその周方向に突き出た鍔状部材を設けた部材を介して取り付ける。軸と円筒部分、円筒部分とスリット円板上のパターンに関して、それぞれの回転中心が一致することが理想である。それでも、駆動軸回転中心とスリット円板パターンの中心の同軸度を0にすることはできず、いくらかの偏心は生じてしまうが、偏心による精度劣化は、検出部材(センサ)を2個用い、軸心に対して対称の位置に設けて検出することで、相殺することが可能である。
【0020】
但し、2個のセンサの回転中心からの距離が極力等しくすること、即ち、センサ取付精度が重要になってくる。センサの取付精度は、センサの発光素子と受光素子の中心同士を結んだ線(光軸)、即ちセンサ検出位置と、スリット円板上のパターンとの位置関係が重要である。センサ読み取り位置の半径が変われば、読み取り周長が変わり、ひいては、パターン通過時間が変わるため、回転速度を誤検出することになる。従って、駆動軸中心からセンサまでの距離を高精度に確保する必要がある。
【0021】
また、2個のセンサが、駆動軸心に対してなす角度についても、正確に180度であれば問題ないが、その角度が数度ずれれば、回転速度の検出に誤りが生じる。
【0022】
これらの精度が不十分で、回転速度を検出した場合には、そのデータをもとにモータの回転を制御しても、理想どおりの一定の回転速度とは隔たりが生じてしまう。
【0023】
また、スリット円板、センサを感光体軸周りに組み付ける際にも、特許文献1に記載に記載されているような課題がある。即ち、スリット円板の検出パターンを読み出す検出素子(センサ)は円板状のスリット円板の周縁を跨ぐようにして配設するので、回転部材を先に感光体ドラムの駆動軸に固定してしまったのでは、検出素子を後から感光体ドラムの支持フレームに固定する際に、回転部材と検出素子とが接触してしまう可能性が高く、また、検出素子を先に支持フレームに固定してしまったのでは、回転部材を感光体ドラムの駆動軸に嵌合させつつその周縁を検出手段の中に挿入することは不可能である。
【0024】
従って、スリット円板及び検出素子を互いに位置決めしながら、夫々を感光体ドラムの駆動軸あるいは支持フレームに対して同時に固定する組立作業は非常に煩雑である。
【0025】
また、このようなエンコーダの組立作業は手元の作業スペースは小さくならざるを得ず、回転部材や検出素子が組立作業中に周辺機器と接触し、破損を生じる恐れがある。
【0026】
特許文献1に記載のものでは、取付け基板にセンサを組み付け、センサの読み取り部にエンコーダを挟みながら、保持器の中に、センサ、エンコーダを内包しながら、保持器を取付け基板に固定し、これらを一体で組み付けた上で、感光体駆動軸に嵌めていく構成とすることで、組み付けに際して生じる不具合を低減し、組み付け性を向上させている。しかしながら、この構成では、エンコーダに対する、センサの取付け精度を維持するには、不十分である。
【0027】
そこで、本発明は、容易に組み立て組み付けができ回転板に対して高精度で検出手段を配置することができる回転情報検出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
請求項1の発明は、回転軸に設けられ、回転軸の回転情報を検出するための位置情報を形成した回転情報形成部材と、前記位置情報を読み取り、前記回転情報形成部材の回転情報を検出する検出手段と、前記回転軸に直接又は軸受を介して嵌合する嵌合基部及び前記検出手段を支持する支持部を一体に備える検出手段支持部材と、を有することを特徴とする回転情報検出装置である。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1記載の回転情報検出装置において、前記検出手段支持部材には、前記検出手段に係合して検出手段の位置を規制して保持する検出手段保持部を備えたことを特徴とする。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の回転情報検出装置において、検出手段支持部材は、ポリアセタール樹脂を含む合成樹脂で形成したことを特徴とする。
【0031】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の回転情報検出装置において、回転情報形成部材は、回転情報形成部材を回転軸とともに回転するべく回転軸に結合する連結部材を備え、連結部材の回転軸への取付け穴の開口部には勾配を形成したことを特徴とする。
【0032】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の回転情報検出装置において、前記検出手段支持部材と組み合わされ、検出手段支持部材との間に前記検出手段と前記回転情報形成部材を内包するケーシング部材を備え、前記ケーシング部材と回転軸との間に所定間隔の隙間を備え、前記連結部材の一部を回転軸とケーシング部材の隙間より突出させ、連結部材の突出した部分において、連結部材を回転軸に固定することを特徴とする。
【0033】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか記載の回転情報検出装置において、検出手段支持部材、ケーシング部材の一方、あるいは両方に、被回転情報検出部材又は、連結部材の軸方向の位置を規制する凸部を設けたことを特徴とする。
【0034】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のあるいずれか記載の回転情報検出装置において、前記検出手段を、回転軸の法線方向から、検出手段支持部材、又は検出手段支持部材とケーシング部材に対して着脱可能としたことを特徴とする。
【0035】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか記載の回転情報検出装置において、検出手段支持部材、ケーシング部材の一方、あるいは両方一部又は全てを透明材料で形成したことを特徴とする。
【0036】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか記載の回転情報検出装置において、前記検出手段の入力/出力の信号線の結合部を、検出手段支持部材、又はケーシング部材に設けたことを特徴とする。
【0037】
請求項10の発明は請求項1乃至10のいずれか記載の回転情報検出装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る回転情報検出装置によれば、検出手段を検出手段支持部材に配置できるので、検出手段を回転情報形成部材に対して容易且つ高精度で配置することができるという効果がある。
【0039】
また、本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成装置内に配置される回転体の回転を高精度で検出することができるので回転体の回転制御を高精度で行うことができ、安定した画像形成を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0041】
以下本発明の実施例に係る回転情報検出装置の構成を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は第1の実施例に係る回転情報検出装置の構造を示す断面図、図2は図1に示した回転情報検出装置の構造を示す拡大断面図、図3は図1に示した回転情報検出装置の構造を示す分解斜視図である。
【0042】
本例では、回転情報検出装置100は、画像形成装置の感光体ドラム1駆動用の回転軸である駆動軸101に取付けられている。感光体ドラム1は、駆動軸101により装置枠体支持されており、駆動軸101は、画像形成装置本体のベース部である筺体10に対して、軸受部材である玉軸受102で支持されている。
【0043】
また、本例では、駆動軸101の左端は図示していないが、右端と同じように玉軸受により画像形成装置本体に支持されている。本例では、駆動軸101の端部には、大径ギヤ106が取付けられており、この大径ギヤ106は、駆動源であるモータ103の駆動軸に設けられたピニオンギヤ104と噛合い、モータの回転により大径ギヤ106、駆動軸101、感光体ドラム1が回転駆動される。なお、モータ103及びピニオンギヤ104は筺体10に固定されたモータブラケット105に配置されている。
【0044】
駆動ブラケット11は、感光体以外の画像形成要素を駆動する部材(図示していない)の支持体であり、画像形成装置本体の筺体にネジ止め等で固定されている。モータ103を支持するモータブラケット105は、画像形成装置本体の筺体10、あるいは、駆動ブラケット11に対して、ネジ130aで固定される。本例では、回転情報検出装置100は駆動ブラケット11とモータブラケット105の間に配置されている。
【0045】
以下本例に係る回転情報検出装置100について説明する。本例では、回転情報検出装置100は、図3に示すように、検出手段支持部材114とケーシング部材115とから構成されるケーシング120内に、回転情報形成部材であるスリット円板110を連結部材111を介して駆動軸101に固定することにより配置して、スリット円板110に形成されたスリット121をケーシング120に配置された検出手段であるセンサ113で検出して、駆動軸101の回転情報を検出する。
【0046】
本例では、検出手段支持部材114内に、連結部材111及び押え部材112を取付けたスリット円板110を組み付け、更にモータブラケット105を取付け、更に、センサ113を検出手段支持部材114とケーシング部材115で形成されるケーシング120に組み付ける。この組み上がった回転情報検出装置100に駆動軸101を挿入しつつ駆動ブラケット11にネジ130aで取付けるものである。
【0047】
次に検出手段支持部材114について説明する。検出手段支持部材114は、摺動性のよい合成樹脂例えばPOM樹脂で構成されており、全体あるいは一部を透明に形成することができる。検出手段支持部材114を透明としておくと、組み立て時に、それぞれの部材の位置を確認しながら行うことができるので作業性が向上すると共に、組み付け後や、稼動途中で、異常の有無を確認することが容易になる。
【0048】
また、その検出手段支持部材114はその略中央部において、駆動軸101が貫通するように軸貫通部114dが形成され、駆動軸101は、この軸貫通部114dに貫通するよう配置される。なお、軸貫通部114dには、駆動軸101の挿入を容易にするテーパ部114fが形成されている。
【0049】
また、検出手段支持部材114には、検出手段の外形を嵌め込み固定するセンサ係合部114aが形成されている。このセンサ係合部114aにセンサ113を嵌め込んで係合することで、センサ113を位置決め固定でき、センサ113の精度よく配置することができる他、センサ113のネジ止め等の手間を省くことができ、部品点数を低減することができる。
【0050】
また、検出手段支持部材114には、スリット円板110側に向け環状の凸部114bを設けており、スリット円板110を支持する前記連結部材111の半径方向の位置を規制している。凸部114bと連結部材111には一定の隙間を有し、スリット円板110、連結部材111は、ケーシング部材に対して、ある程度余裕を持って、ケーシング部材に保持された状態で、駆動軸101に嵌合される。
【0051】
本例では、検出手段支持部材114と、この検出手段支持部材114を貫通して配置される駆動軸101とは摺動して接触することになる。本例では、検出手段支持部材114をPOM樹脂で形成するものとしている。このため、検出手段支持部材114と駆動軸101との摺動抵抗は少ないものとできる。
【0052】
画像形成速度が速く駆動軸101の回転が速い場合には、検出手段支持部材114は軸受部材を介して、駆動軸を介在させる構成とすることで無理な負荷が生じることを避けることができる。軸受部材は、具体的には、玉軸受、滑り軸受など、駆動軸の速度に応じて選択すればよい。
【0053】
次にスリット円板110について説明する。スリット円板110は連結部材111と押え部材112とで駆動軸101に取付けられる。スリット円板110は、円板形状をなした金属の薄板であり、その外周寄りに、周方向に所定間隔のスリット121でパターンが形成してある。本例ではそれぞれのスリット121の通過時間をセンサ113により検出することで、スリット円板110の回転速度を検出することができ、この結果、駆動軸101、感光体ドラム1の回転速度を検出することができる。
【0054】
本例では、スリット円板110は、金属薄板にスリット121を設けることでパターンを形成しているが、透明の薄板部材に光を透過しない色でパターンを書き込むことで形成することができる。
【0055】
本例では、スリット円板110が薄板金属部材としているため、スリット円板110を駆動軸101に直接固定することができない。そのため、本例では、スリット円板110は、連結部材111により駆動軸101に固定されている
【0056】
次に、連結部材111について説明する。本例では、連結部材111は駆動軸101に嵌合する円筒部111aと周方向に突き出した鍔部111bとを備えている。スリット円板110は、その中央部の穴を連結部材111の円筒部111aの外周に嵌合し、鍔部111bと押え部材112の間で固定するものとしている。
【0057】
本例では、円筒部111aは、ケーシング部材115が組み付けられた状態で、ケーシング部材115の外部に突出する。そして、この突出した円筒部111aにおいてネジ131により駆動軸101に固定される。従って、検出手段支持部材114、連結部材111、ケーシング部材115を組み付け回転情報検出装置100を組み立てた後、駆動軸101を回転情報検出装置100に挿通し、ネジ131を締め付け、連結部材111を駆動軸101に固定することができる。
【0058】
ここで、押え部材112は円環板状の部材であり、スリット円板110が連結部材111から浮いたりすることを防止し、スリット円板110の平面性を保つ。本実施例ではスリット円板110と鍔部111b、押え部材112とは、接着により固定しているが、両面テープ、熱溶着、ネジ止め等で固定することができる。また、連結部材111には、連結部材111を駆動軸101に挿入しやすくするため、外方向に拡開したテーパ部111cを形成するものとしている。
【0059】
次にセンサ113について説明する。センサ113は光学的にパターンを検出するものであり、本実施例では、センサ113は、発光素子と受光素子とを備え、その間が遮光されるか否かで物体の通過を検出する透過型のセンサをとしている。本例のような透過型のセンサでは、発光部と受光部とで、スリット円板のパターンを挟むような位置関係に配置する必要がある。
【0060】
本例では、センサ113には、信号線113aが接続され、センサ113からの信号が外部に取り出されるようになっている。
【0061】
また、本実施例では、センサ113は、スリット円板110の取付け偏心による検出誤差を相殺するために、駆動軸回転中心に挟んで対称の位置に2個設けられている。このセンサ113は上述したように検出手段支持部材114のセンサ係合部114aに配置され、ケーシング部材115を被せることにより固定される。なお、センサについては、発光素子と受光素子が、検出パターンに対して同じ方向に位置することが可能な反射型センサを使用することができる。
【0062】
ここで、このような回転情報検出装置100では、スリット円板110に円周方向に形成したスリット121によるパターンの回転中心と、駆動軸心との同軸度は極力一致することが望ましく、駆動軸101、連結部材111、スリット円板110のそれぞれの部材について、上記同軸度に影響する寸法を管理する必要がある。
【0063】
次にケーシング部材115について説明する。ケーシング部材115は、検出手段支持部材114にスリット円板110、センサ113をセットした後、スリット円板110、センサ113を覆うように、検出手段支持部材114と組み付けられる。ケーシング部材115は、摺動性のよい合成樹脂例えばPOM樹脂で構成されており、全体あるいは一部を透明に形成することができる。ケーシング部材115を透明としておくと、組み立て時に、それぞれの部材の位置を確認しながら行うことができるので作業性が向上すると共に、組み付け後や、稼動途中で、異常の有無を確認することが容易になる。
【0064】
また、ケーシング部材115には、スリット円板110側に向け環状の凸部115aを設けており、スリット円板110を支持する前記連結部材111の半径方向の位置を規制している。凸部115aと押え部材112には一定の隙間を有し、スリット円板110、連結部材111、押え部材112は、ケーシング部材に対して、ある程度ガタを持って、ケーシング部材に保持された状態で、駆動軸101に嵌合される。なお、ケーシング部材115に設けた凸部115aが押え部材112と摺動する場合には、押え部材112を摺動性のよい材質にしておくことが望ましい。
【0065】
また、そのケーシング部材115はその略中央部において、連結部材111の前記円筒部111aが貫通するように軸貫通部115bが形成されている。
【0066】
以上説明したように、本例に係る回転情報検出装置100によれば、駆動軸101への組み付けの前に、検出手段支持部材114、ケーシング部材115、スリット円板110、センサ113の組み立て、回転情報検出装置100を組み立てればよい。そして、組み立てられた100を、駆動軸101に嵌合させると共に駆動ブラケット11に取付ける。そして、回転情報検出装置100のケーシング部材115から突出する円筒部111aを駆動軸101に取付ければよい。このため、回転情報検出装置100を構成する部材を別々に駆動軸周りに組み付けていく場合よりも作業性を良好にすることができる。
【0067】
そして、駆動軸101を回転情報検出装置100に差し込むとき、検出手段支持部材114の軸貫通部114dにはテーパ部114fが、連結部材111にはテーパ部111cが形成されているので、駆動軸101は容易に回転情報検出装置100内に配置することができる。
【0068】
また、センサ113の受光部は、検出手段支持部材114のセンサ係合部114aに配置するスリット円板110に対して正確な位置に配置することができる。
【0069】
次に本発明に係る回転情報検出装置の第2の実施例について説明する。図4は、本例に係る回転情報検出装置の第2の実施例を示す斜視図である。本例では、センサ係合部114aを検出手段支持部材114、スリット円板110、ケーシング部材115を組み立てた後で、スリット円板110の法線方向から、センサ113を挿入して固定できる構成としたものである。本例によれば、検出手段支持部材114と、ケーシング部材115の組み付け及びセンサ113の取付けが容易なものとなり、回転情報検出装置100の組み立て性は更に良好なものとなる。
【0070】
次に本発明に係る回転情報検出装置の第3の実施例について説明する。図5は第3の実施例に係る回転情報検出装置を示す断面図である。
【0071】
本例は、回転情報検出装置100を画像形成装置本体の筺体10にネジ130bで直接固定するものである。本例では、検出手段支持部材114は、画像形成装置の筺体10に設置される玉軸受102に嵌合するように配置している。また、本例は、センサ113には信号線113aの端部に配置されたコネクタ113bが接続されるソケット113cをセンサ113自体又は、センサ113直近部に設けるものとした。
【0072】
本例によれば、センサ113と信号線113aとを容易に分離接続することができるようになり、回転情報検出装置100を画像形成装置本体に組み付けた後、画像形成装置本体からの信号線のコネクタ113bを、回転情報検出装置表面に配置したソケット113cに接続することで結線が完了するから、回転情報検出装置100からは、信号線113aが飛び出さず回転情報検出装置100の組み立て性が更に良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施例に係る回転情報検出装置の構造を示す断面図である、
【図2】図1に示した回転情報検出装置の構造を示す拡大断面図である。
【図3】図1に示した回転情報検出装置の構造を示す分解斜視図である。
【図4】第2の実施例に係る回転情報検出装置の外観を示す斜視図である。
【図5】第3の実施例に係る回転情報検出装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・感光体ドラム
10・・・筺体
11・・・駆動ブラケット
100・・・回転情報検出装置
101・・・駆動軸(回転軸)
102・・・玉軸受(軸受)
103・・・モータ
104・・・ピニオンギヤ
105・・・モータブラケット
106・・・大径ギヤ
110・・・スリット円板(回転板)
111・・・連結部材
111a・・・円筒部
111b・・・鍔部
111c・・・テーパ部
112・・・押え部材
113・・・センサ(検出手段)
113a・・・信号線
113b・・・コネクタ
114・・・検出手段支持部材
114a・・・センサ係合部
114b・・・凸部
114d・・・軸貫通部
114f・・・テーパ部
115・・・ケーシング部材
115a・・・凸部
115b・・・軸貫通部
120・・・ケーシング(ケース部材)
121・・・スリット
130a,130b・・・ネジ
131・・・ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設けられ、回転軸の回転情報を検出するための位置情報を形成した回転情報形成部材と、
前記位置情報を読み取り、前記回転情報形成部材の回転情報を検出する検出手段と、
前記回転軸に直接又は軸受を介して嵌合する嵌合基部及び前記検出手段を支持する支持部を一体に備える検出手段支持部材と、
を有することを特徴とする回転情報検出装置。
【請求項2】
前記検出手段支持部材には、前記検出手段に係合して検出手段の位置を規制して保持する検出手段保持部を備えたことを特徴とする請求項1記載の回転情報検出装置。
【請求項3】
検出手段支持部材は、ポリアセタール樹脂を含む合成樹脂で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の回転情報検出装置。
【請求項4】
回転情報形成部材は、回転情報形成部材を回転軸とともに回転するべく回転軸に結合する連結部材を備え、
前記連結部材の回転軸への取付穴の開口部には勾配を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の回転情報検出装置。
【請求項5】
前記検出手段支持部材と組み合わされ、検出手段支持部材との間に前記検出手段と前記回転情報形成部材を内包するケーシング部材を備え、
前記ケーシング部材と回転軸との間に所定間隔の隙間を備え、前記連結部材の一部を回転軸とケーシング部材の隙間より突出させ、
連結部材の突出した部分において、連結部材を回転軸に固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の回転情報検出装置。
【請求項6】
検出手段支持部材、ケーシング部材の一方、あるいは両方に、被回転情報検出部材又は、連結部材の軸方向の位置を規制する凸部を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の回転情報検出装置。
【請求項7】
前記検出手段を、回転軸の法線方向から、検出手段支持部材、又は検出手段支持部材とケーシング部材に対して着脱可能としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか回転情報検出装置。
【請求項8】
検出手段支持部材、ケーシング部材の一方、あるいは両方一部又は全てを透明材料で形成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の回転情報検出装置。
【請求項9】
前記検出手段の入力/出力の信号線の結合部を、検出手段支持部材、又はケーシング部材に設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の回転情報検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至10のいずれか記載の回転情報検出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−2946(P2008−2946A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172515(P2006−172515)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】