説明

回転電機及び回転電機用エンドプレート

【課題】永久磁石を冷却した後の冷媒によりコイルエンド部が冷却される構造の回転電機において、高いエネルギ効率を実現することができる回転電機を提供する。
【解決手段】コイルエンド部13を有するステータStの径方向内側で回転可能に支持されるとともに、永久磁石25が配設されたロータRoを備え、ロータ軸22から供給される冷媒により、永久磁石25及びコイルエンド部13が冷却される構造の回転電機MGであって、永久磁石25を冷却した後の冷媒がロータRo内を径方向内側に流通する冷媒帰還路34と、冷媒帰還路34の径方向内側の端部に連通し、径方向でロータ軸22に近接した位置に設けられた、ロータRoからコイルエンド部13に向けて冷媒が噴出される冷媒噴出口35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルエンド部を有するステータの径方向内側でロータ軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石が配設されたロータを備えた回転電機、及びそのような回転電機に用いられる回転電機用エンドプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
コイルエンド部を有するステータの径方向内側でロータ軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石が配設されたロータを備えた回転電機が従来から用いられている。このような回転電機では、磁界を発生させるべくステータを構成するコイルに電流を流すと、ジュール熱の発生により当該コイルが発熱する。コイルの発熱は、コイル自体の電気抵抗を上昇させてジュール熱による損失を一層増大させる。また、ロータが回転するのに伴って永久磁石に渦電流が発生し、当該渦電流に起因するジュール熱により永久磁石が発熱する。永久磁石の発熱は、不可逆な熱減磁を招来して永久磁石自体の磁気特性を低下させる。
【0003】
一般に、モータ(電動機)やジェネレータ(発電機)等として用いられる回転電機においては、より小さな体格でより大きな出力が可能であるものが求められることから、回転電機のエネルギ効率を高めることは重要な課題の一つである。したがって、上述したような問題による影響をできるだけ小さくしてエネルギ効率を高めるため、コイルや永久磁石の発熱を効率的に抑制することが求められる。
【0004】
コイルや永久磁石の冷却を行うための回転電機の構造としては、ロータ軸から供給される冷媒により永久磁石を冷却するとともに、永久磁石を冷却した後の冷媒によりコイルエンド部を冷却する構造が従来から知られている。例えば、以下の特許文献1では、ロータ軸から供給された冷媒としての油が、ロータコアの軸方向一端部に配設されたエンドプレート内を通ってロータコア内のコア内油路に供給され、ロータコアの内部を冷却することで間接的に永久磁石の冷却を行うことが提案されている。また、ロータコアの軸方向他端部に配設されたエンドプレートの、径方向でロータコアのコア内油路に対応する位置に設けられた油噴出口からコイルエンド部に向けて油が噴出されることで、コイルエンド部の冷却を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−182375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された回転電機では、上記のとおりコイルエンド部に向けて油を噴出するための油噴出口が、エンドプレートにおいて径方向でロータコアのコア内油路に対応する位置に設けられている。ここで、ロータコアを介してその内部を流通する油と永久磁石との間の熱交換を効率的に行う観点からは、ロータコアのコア内油路の径方向位置は、永久磁石により近い位置、言い換えれば、よりロータの径方向外側の位置とすることが好ましい。
しかし、油噴出口を設ける位置をロータの径方向外側にすればするほど、コア内油路及び冷媒噴出口の回転半径が大きくなるため、ロータの回転に伴って冷媒は大きな運動エネルギを有することになる。そして、この冷媒噴出口の径方向位置で冷媒をコイルエンド部に向けて噴出すると、ロータの回転速度が大きく、或いは冷媒の流量が大きいほど、冷媒により持ち出される運動エネルギが大きくなる。冷媒により持ち出される運動エネルギは損失となるので、特許文献1に記載された回転電機では、回転電機全体のエネルギ効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、コア内油路及び冷媒噴出口の回転半径が大きくなるほど、ロータの回転に伴う油の周方向の移動速度も大きくなる。よって、油噴出口から噴出する油が大きな初速で噴射されるため、当該噴出された油とコイルエンド部とが接触して熱交換を行うための十分な時間を確保することができない場合があった。このような不都合は、ロータの回転速度(角速度)が大きくなるほど油の周方向の移動速度が大きくなってより大きな初速で噴射されるため生じ易い。したがって、コイルエンド部の冷却効率の点でも、改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、永久磁石を冷却した後の冷媒によりコイルエンド部が冷却される構造の回転電機において、高いエネルギ効率を実現することができる回転電機を提供することを目的とする。
また、そのような回転電機を容易に具現化することができる回転電機用エンドプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための、本発明に係るコイルエンド部を有するステータの径方向内側でロータ軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石が配設されたロータを備え、ロータ軸から供給される冷媒により前記永久磁石が冷却されるとともに、前記永久磁石を冷却した後の前記冷媒により前記コイルエンド部が冷却される構造の回転電機の特徴構成は、前記永久磁石を冷却した後の前記冷媒が前記ロータ内を径方向内側に流通する冷媒帰還路と、前記冷媒帰還路の径方向内側の端部であって、径方向で前記ロータ軸に近接した位置に設けられた、前記ロータから前記コイルエンド部に向けて前記冷媒が噴出される冷媒噴出口と、を備えた点にある。
【0010】
ここで、本願では「軸方向」、「径方向」及び「周方向」の各方向は、回転電機のロータを基準として定めるものとする。
また、「ロータ軸に近接した位置」とは、基本的にはロータの外径端よりもロータ軸に近い位置を意味する。ただし、ロータがその内部に軸方向に延びるコア内冷媒路を備える場合であって、当該コア内冷媒路が径方向でロータの外径端よりもロータ軸に近い位置に設けられている場合には、当該コア内冷媒路に対応する位置よりも径方向内側の位置を意味するものとする。
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0011】
上記の特徴構成によれば、永久磁石を冷却した後の冷媒が流通する冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通する冷媒噴出口が、径方向でロータ軸に近接して設けられているので、例えば永久磁石(或いは、ロータがコア内冷媒路を備える場合には、当該コア内冷媒路)が配置された位置に対応する径方向位置に冷媒噴出口が設けられる場合と比較して、ロータが回転した際の冷媒噴出口の回転半径が小さくなる。そのため、冷媒により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。
また、ロータの回転に伴う冷媒の周方向の移動速度をより小さくして、冷媒噴出口から噴出する冷媒の初速をより小さくすることができる。よって、噴出された冷媒とコイルエンド部とが接触して熱交換を行うための時間を十分に確保することができ、コイルエンド部の冷却効率を向上させることができる。
したがって、上記の特徴構成によれば、高いエネルギ効率を実現することができる回転電機を提供することができる。
【0012】
ここで、前記ロータ内に、前記ロータ軸から供給される前記冷媒が前記冷媒噴出口へ向かって一方向に流通する、前記冷媒帰還路を含む冷媒流通経路が形成され、前記冷媒流通経路における前記冷媒の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、冷媒流通経路内において、冷媒を円滑に流通させることができる。よって、ロータ内の冷媒流通経路における管路抵抗を小さくすることができ、エネルギ損失を低減することができる。したがって、この点からも回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。
また、冷媒流通経路内において冷媒を均一に一方向に流通させることができるので、冷媒流通経路の途中で冷媒が滞留するのを抑制し、コア及び当該コアに保持された永久磁石を均一に冷却することができる。
【0014】
また、前記ロータは、前記ロータ軸に固定されるとともに前記永久磁石を保持する略円筒形状のロータコアと、径方向内側に前記ロータ軸が挿通される軸挿通孔を有し前記ロータコアの軸方向端面に取り付けられるエンドプレートと、を備え、前記エンドプレートに、前記軸挿通孔側に開口して前記ロータ軸に設けられる軸内冷媒路に連通する冷媒供給路と、前記冷媒噴出口と、が設けられ、前記冷媒噴出口が、前記冷媒供給路に連通するとともに軸方向で前記ロータコアとは反対側に開口している構成とすると好適である。
【0015】
この構成によれば、ロータコアの軸方向端面に取り付けられるエンドプレートに、軸挿通孔側、及びロータコアとは反対側となるコイルエンド側に開口するように、それぞれ冷媒供給路、及び冷媒噴出口を設けるだけの簡単な構成で、永久磁石及びコイルエンド部を冷却するための構造を実現することができる。そして、この場合においても冷媒噴出口が径方向でロータ軸に近接して設けられるので、簡単な構成で容易に回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。
また、この構成では、冷媒供給路を介してロータ軸から供給される冷媒をロータ軸に近接した位置に設けられる冷媒噴出口へ導くための冷媒流通経路の全体を、エンドプレート内に形成することができる。よって、ロータコアの形状を特に変更することなく、冷媒噴出口を径方向でロータ軸に近接して設けることができる。したがって、製造工程を特に複雑化させることがなく、コストアップにつながることもほとんどない。
【0016】
また、前記冷媒噴出口が、前記ロータ軸の外周面と前記エンドプレートの内周面との間に形成されている構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、冷媒噴出口が径方向でロータ軸の外周面の位置に略等しい位置に設けられることになる。そのため、永久磁石を冷却した後の冷媒をロータ軸内に戻すことなくコイルエンド部に向けて噴射する構成において、冷媒噴出口の回転半径を最大限小さくすることができる。よって、ロータの回転に伴う冷媒の周方向の移動速度を十分に小さくして、冷媒噴出口から噴出する冷媒の初速を十分に小さくすることができる。したがって、冷媒により持ち出される運動エネルギを十分に小さくすることができ、回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。
なお、この構成では、冷媒噴出口の回転半径が十分に小さくなるので、ロータの回転速度(角速度)が大きい場合にもより確実に上記の効果を得ることができるので、特に有効である。
また、この構成では、エンドプレートの内周面を構成する軸挿通孔と冷媒噴出口とを一体的に形成することができるので、製造性を向上させることもできる。
【0018】
また、前記冷媒供給路は、径方向で前記永久磁石が配設された位置である磁石位置まで前記エンドプレート内を径方向に延びる構成で、前記エンドプレートに、前記冷媒供給路に連通するとともに、少なくとも前記永久磁石の軸方向端面に沿って周方向に延びて前記冷媒帰還路に連通するプレート内冷媒路が更に設けられている構成とすると好適である。
【0019】
この構成によれば、エンドプレートのうち磁石位置に対応する位置を含む領域を確実に冷却することにより、永久磁石を間接的に適切に冷却することができる。なお、コアと永久磁石との間に軸方向に延びる空洞部が設けられている場合には、当該空洞部に冷媒を軸方向に流通させることで、永久磁石を直接的に冷却することができる。また、冷媒供給路を流通して磁石位置まで到達した冷媒を冷媒帰還路に流通させることで、冷媒噴出口から冷媒を適切に噴出させることができる。したがって、永久磁石及びコイルエンド部の双方を効率的に冷却することができる。
【0020】
また、前記プレート内冷媒路が、径方向で前記磁石位置を周方向に延びる第一周方向冷媒路と、前記磁石位置よりも径方向内側を周方向に延びる第二周方向冷媒路と、を備え、周方向に蛇行した冷媒流通経路を形成している構成とすると好適である。
【0021】
この構成によれば、エンドプレートのうち、径方向における磁石位置に対応する位置を含む径方向に幅広い領域を確実に冷却することができる。よって、永久磁石をより効率的に冷却することができる。したがって、永久磁石及びコイルエンド部をより効率的に冷却することができる。
【0022】
また、前記エンドプレートとして、第一エンドプレート及び第二エンドプレートを備えるとともに、前記ロータは、前記ロータコア内に、周方向に分散配置されて軸方向に延びる複数のコア内冷媒路を更に備え、前記コア内冷媒路は、軸方向一方側で前記第一エンドプレートに設けられた前記冷媒供給路に連通するとともに、軸方向他方側で前記第二エンドプレートに設けられた前記冷媒噴出口に連通している構成とすると好適である。
【0023】
この構成によれば、コア内冷媒路を軸方向一方側から軸方向他方側へと流通する冷媒により、ロータコアをその内部から確実に冷却して、永久磁石を間接的に適切に冷却することができる。また、軸方向他方側において、第二エンドプレートに設けられた冷媒噴出口から冷媒を適切に噴出させることができる。したがって、永久磁石及びコイルエンド部の双方を効率的に冷却することができる。
【0024】
また、複数の前記コア内冷媒路のうち、対をなす前記コア内冷媒路のそれぞれについて、一組の前記コア内冷媒路を軸方向に流通する前記冷媒の流通方向が、互いに対向している構成とすると好適である。
【0025】
この構成によれば、対をなすコア内冷媒路のそれぞれを流通する冷媒について、ロータコアの軸方向中央部に仮想される面に対して略鏡対称な冷媒流通経路を形成することができる。よって、ロータコアを軸方向に略均一に冷却することができる。また、そのような一組のコア内冷媒路を複数組、周方向に分散させてロータコアに形成することで、ロータコア全体を略均一に冷却することができる。更に、軸方向両端部におけるコイルエンド部を略均一に冷却することができる。
このように、永久磁石及びコイルエンド部を略均一に冷却することで、冷却効率を向上させることができるとともに、回転電機の性能を安定化させることができる。
【0026】
本発明に係る、回転電機のロータを構成するロータコアの軸方向端面に取り付けられる略円板形状の回転電機用エンドプレートの特徴構成は、径方向内側に設けられた、前記ロータの回転軸が挿通される軸挿通孔と、径方向で前記軸挿通孔側に開口する冷媒供給口と、径方向に延びる冷媒帰還路と、軸方向で前記ロータコアに取り付けられる側とは反対側に開口するとともに、前記冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通し、径方向で前記軸挿通孔に近接して設けられた冷媒噴出口と、前記冷媒供給口と前記冷媒帰還路とを連通する冷媒流通経路と、を備えた点にある。
【0027】
この特徴構成によれば、冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通する冷媒噴出口が、径方向で軸挿通孔に近接して設けられているので、当該軸挿通孔を介してロータ軸に取付けられた状態でロータが回転した際の、冷媒噴出口の回転半径を小さくすることができる。そのため、冷媒供給口から冷媒を供給し、エンドプレート内に冷媒を流通させて冷媒噴出口から噴出させる際、ロータの回転に伴う冷媒の周方向の移動速度を小さくして、噴出する冷媒の初速を小さくすることができる。よって、冷媒により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。また、噴出された冷媒とコイルエンド部とが接触して熱交換を行うための時間を十分に確保することができ、コイルエンド部の冷却効率を向上させることができる。したがって、高いエネルギ効率を実現可能な回転電機を具現化することのできる回転電機用エンドプレートを提供することができる。
なお、冷媒供給口と冷媒帰還路とを連通する冷媒流通経路を流通する冷媒により当該エンドプレートが冷却される構成とすることで、エンドプレートの冷却に基づいて間接的にロータが備える永久磁石を冷却することができる。したがって、上記の特徴構成によれば、ロータ軸から供給される冷媒によりエンドプレートの冷却に基づいて間接的に永久磁石を冷却し、永久磁石を冷却した後の冷媒によりコイルエンド部を冷却する構造の回転電機であって、エネルギ効率に優れた回転電機を、容易に実現することができる回転電機用エンドプレートを提供することができる。
【0028】
本発明に係る、回転電機のロータを構成するロータコアの軸方向端面に取り付けられる略円板形状の回転電機用エンドプレートのもう一つの特徴構成は、径方向内側に設けられた、前記ロータの回転軸が挿通される軸挿通孔と、径方向で前記軸挿通孔側に開口する冷媒供給口と、径方向に延びる冷媒帰還路と、軸方向で前記ロータコアに取り付けられる側である取付側に開口する第一開口部及び第二開口部と、軸方向で前記取付側とは反対側に開口するとともに、前記冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通し、径方向で前記軸挿通孔に近接して設けられた冷媒噴出口と、前記冷媒供給口と前記第一開口部、及び前記第二開口部と前記冷媒帰還路とをそれぞれ連通する冷媒流通経路と、を備えた点にある。
【0029】
この特徴構成によれば、冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通する冷媒噴出口が、径方向で軸挿通孔に近接して設けられているので、当該軸挿通孔を介してロータ軸に取付けられた状態でロータが回転した際の、冷媒噴出口の回転半径を小さくすることができる。そのため、冷媒供給口から第一開口部及び第二開口部を介して冷媒を供給し、エンドプレート内に冷媒を流通させて冷媒噴出口から噴出させる際、ロータの回転に伴う冷媒の周方向の移動速度を小さくして、噴出する冷媒の初速を小さくすることができる。よって、冷媒により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機全体のエネルギ効率を向上させることができる。また、噴出された冷媒とコイルエンド部とが接触して熱交換を行うための時間を十分に確保することができ、コイルエンド部の冷却効率を向上させることができる。したがって、高いエネルギ効率を実現可能な回転電機を具現化することのできる回転電機用エンドプレートを提供することができる。
なお、冷媒供給口と第一開口部とを連通する冷媒流通経路、及び第二開口部と冷媒帰還路とを連通する冷媒流通経路が、それぞれロータコア内に設けられたコア内冷媒路の両端部に連通する構成とし、当該コア内冷媒路を流通する冷媒によりロータコアが冷却される構成とすることで、ロータコアの冷却に基づいて間接的にロータが備える永久磁石を冷却することができる。したがって、上記の特徴構成によれば、ロータ軸から供給される冷媒によりロータコアの冷却に基づいて間接的に永久磁石を冷却し、永久磁石を冷却した後の冷媒によりコイルエンド部を冷却する構造の回転電機であって、エネルギ効率に優れた回転電機を、容易に実現することができる回転電機用エンドプレートを提供することができる。
【0030】
ここで、上記の特徴構成を備えた回転電機用エンドプレートにおいて、前記冷媒帰還路を含む前記冷媒流通経路が、前記コアとの取付面に対して窪んだ形状の溝部として形成され、前記溝部の断面積が当該溝部の全体に亘って略同一とされている構成とすると好適である。
【0031】
この構成によれば、回転電機のコアの軸方向端面に対して回転電機用エンドプレートを取り付けることで、溝部により、コアとエンドプレートとの間に簡易に冷媒帰還路を含む冷媒流通経路を形成することができる。その際、冷媒流通経路における冷媒の流通方向に直交する面の断面積を、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とすることができる。よって、冷媒流通経路内において冷媒を円滑に流通させることができ、管路抵抗を小さくしてエネルギ損失を低減することができる。したがって、この点からもエネルギ効率に優れた回転電機を容易に実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る回転電機を備えたハイブリッド駆動装置の軸方向展開図である。
【図2】第一の実施形態に係る回転電機の軸方向断面図である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】第一の実施形態に係るロータの分解斜視図である。
【図6】第二の実施形態に係るロータの分解斜視図である。
【図7】第二の実施形態に係る第一エンドプレートの軸方向に直交する面の断面図である。
【図8】第二の実施形態に係る第二エンドプレートの軸方向に直交する面の断面図である。
【図9】第三の実施形態に係るエンドプレートの軸方向に直交する面の断面図である。
【図10】第四の実施形態に係るエンドプレートの軸方向に直交する面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第一の実施形態〕
本発明に係る回転電機の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る回転電機MGは、コイルエンド部13を有するステータStの径方向内側でロータ軸22の軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石25が配設されたロータRoを備えている(図2を参照)。そして、ロータ軸22から供給される冷媒により永久磁石25が冷却されるとともに、永久磁石25を冷却した後にロータRoから噴出される冷媒により、コイルエンド部13が冷却される構造を有する。本実施形態に係る回転電機MGは、このような構成において、冷媒がロータ21から噴出される冷媒噴出口35が、ロータ21の軸方向端部Leにおいて、ロータ軸22に近接して設けられている点に特徴を有する。
これにより、回転電機MGのロータRoが備える永久磁石25及びコイルエンド部13を適切に冷却しつつ、冷媒により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減することが可能となっており、回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。
以下、本実施形態に係る回転電機MGについて、詳細に説明する。なお、以下では、本実施形態に係る回転電機MGを、ハイブリッド駆動装置1が備える回転電機に適用した場合を例として説明する。
【0034】
1.駆動装置の構成
まず、本実施形態に係る回転電機MGを備えたハイブリッド駆動装置1の全体構成について説明する。図1は、ハイブリッド駆動装置1の軸方向展開図である。このハイブリッド駆動装置1は、駆動力源としてのエンジンEに連結されるとともに、二つの回転電機MG1、MG2を備えた2モータスプリット方式のハイブリッド駆動装置とされている。
本実施形態においては、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の双方に本発明が適用されている。したがって、本明細書においては、特に区別する必要がない場合にはこれらを「回転電機MG」と称して包括的に説明するものとする。
【0035】
図1に示すように、ハイブリッド駆動装置1は、エンジンEに駆動連結される入力軸Iと、図示しない車輪に駆動連結される出力軸Oと、第一回転電機MG1と、第二回転電機MG2と、動力分配装置としての遊星歯車機構PGと、カウンタギヤ機構Cと、ディファレンシャル装置Dと、を主要な構成として備えている。
本実施形態においては、遊星歯車装置PG及び第一回転電機MG1が入力軸Iと同軸上に配置されるとともに、第二回転電機MG2、カウンタ減速機構C、及びディファレンシャル装置Dは、それぞれ入力軸Iと異なる軸上に互いに平行に配置されている。すなわち、このハイブリッド駆動装置1は、入力軸I、遊星歯車装置PG、及び第一回転電機MG1が配置される第一軸A1、第二回転電機MG2が配置される第二軸A2、カウンタ減速機構Cが配置される第三軸A3、並びにディファレンシャル装置Dが配置される第四軸A4、を備えた四軸構成とされている。これらの各構成部品は、ケース2内に収容されている。
【0036】
入力軸Iは、エンジンEに駆動連結されている。ここで、エンジンEは燃料の燃焼により駆動される内燃機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。入力軸Iは、ダンパdを介してエンジンEのクランクシャフト等のエンジン出力軸Eoに駆動連結されている。また、入力軸Iは、遊星歯車装置PGのキャリアcaに連結されている。
【0037】
第一回転電機MG1は、ケース2に固定された第一ステータSt1と、この第一ステータSt1の径方向内側に回転自在に支持された第一ロータRo1と、を有している。第一回転電機MG1の第一ロータRo1は、遊星歯車装置PGのサンギヤsと一体回転するように連結されている。
また、第二回転電機MG2は、ケース2に固定された第二ステータSt2と、この第二ステータSt2の径方向内側に回転自在に支持された第二ロータRo2と、を有している。この第二回転電機MG2の第二ロータRo2は、第二回転電機出力ギヤhと一体回転するように連結されている。
【0038】
第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、インバータ装置Inを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2は、インバータ装置Inにより制御され、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての双方の機能を果たすことが可能とされている。
【0039】
なお、本実施形態においては、第一ステータSt1及び第二ステータSt2の双方が本発明における「ステータ」に相当し、第一ロータRo1及び第二ロータRo2の双方が本発明における「ロータ」に相当する。したがって、本明細書においては、特に区別する必要がない場合には、これらをそれぞれステータSt及びロータRoと称して包括的に説明するものとする。
【0040】
遊星歯車装置PGは、複数のピニオンギヤを支持するキャリアcaと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs及びリングギヤrと、を回転要素として有している。サンギヤsは、第一回転電機MG1の第一ロータRo1の回転軸と一体回転するように連結されている。キャリアcaは、入力軸Iと一体回転するように連結されている。リングギヤrは出力回転要素として、出力ギヤgと一体回転するように連結されている。この遊星歯車装置PGは動力分配装置としての機能を果たす。すなわち、キャリアcaを介して伝達されるエンジンEの回転駆動力を、サンギヤs及びリングギヤrを介してそれぞれ第一回転電機MG1及び出力ギヤgに分配する。
【0041】
この際、エンジンEは、効率が高く排気ガスの少ない状態に(一般に最適燃費特性に沿うように)維持されるよう制御されつつ車両側からの要求駆動力に応じた正トルクを出力し、このトルクが入力軸Iを介してキャリアcaに伝達される。一方、第一回転電機MG1は、負トルクを出力することにより、入力軸Iのトルクの反力をサンギヤsに伝達する。すなわち、第一回転電機MG1は、入力軸Iのトルクの反力を支持する反力受けとして機能し、それにより入力軸Iのトルクが出力ギヤgに分配される。
【0042】
このように、本例におけるハイブリッド駆動装置1では、第一回転電機MG1は、主に遊星歯車装置PGを介して入力される入力軸I(エンジンE)の回転駆動力により発電を行い、蓄電装置を充電し、或いは第二回転電機MG2を駆動するための電力を供給するジェネレータとして機能する。ただし、車両の高速走行時やエンジンEの始動時等には第一回転電機MG1は力行して駆動力を出力するモータとして機能する場合もある。
一方、第二回転電機MG2は、主に車両の走行用の駆動力を補助するモータとして機能する。ただし、車両の減速時等には車両の慣性力を電気エネルギとして回生するべく第二回転電機MG2はジェネレータとして機能する場合もある。
【0043】
出力ギヤgはカウンタ減速機構Cに駆動連結されている。カウンタ減速機構Cはディファレンシャル装置Dに駆動連結されている。したがって、遊星歯車装置PGにより分配され、出力ギヤgに伝達されたエンジンEの回転駆動力は、カウンタ減速機構C、ディファレンシャル装置D、及び出力軸Oを介して図示しない車輪に伝達可能とされている。
カウンタギヤ機構Cには第二回転電機出力ギヤhも駆動連結されている。よって、第二回転電機MG2の回転駆動力は、カウンタ減速機構C、ディファレンシャル装置D、及び出力軸Oを介して図示しない車輪に伝達可能となっている。これにより、車両の走行用の駆動力を補助することが可能とされている。
ディファレンシャル装置Dは、当該ディファレンシャル装置Dに伝達された回転駆動力を分配して二つの車輪に伝達する。
【0044】
また、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、オイルポンプOPを備えている。本例では、オイルポンプOPは、インナロータとアウタロータとを有する内接型のギヤポンプとされている。インナロータの回転軸は、図示しないギヤ列を介して入力軸Iに駆動連結されており、入力軸I(エンジンE)の回転駆動力によりオイルポンプOPが駆動される。オイルポンプOPにより吐出された油は、入力軸I、第一回転電機MG1のロータ軸22a、及び第二回転電機MG2のロータ軸22bの内周部に設けられた軸内油路41i、41a、41bを介して、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2を冷却するため、或いは遊星歯車装置PG、出力ギヤg、及びカウンタ減速機構C等を潤滑するため等の目的に供される。本実施形態においては、この油が本発明における「冷媒」に相当する。また、軸内油路41a、41bが本発明における「軸内冷媒路」に相当する。
【0045】
2.回転電機の構成
次に、本実施形態に係る回転電機MGの構成について説明する。図2に示すように、回転電機MGは、ケース2に固定されたステータStと、このステータStの径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有している。
ステータStは、略円筒形状のステータコア12と、ステータコア12に巻装されたコイルとを備えている。ステータコア12は、複数枚の電磁鋼板を積層して構成されている。また、ステータコア12は、周方向に分散配置されて軸方向に延びる複数のスロット(不図示)を有しており、当該スロットに導体で構成されたコイルが巻装されている。本実施形態においては、ステータStは三相交流で駆動される回転電機MGに用いられるステータStとされており、U相、V相、及びW相の三相のコイルを備えている。そして、それぞれのコイルのうち、ステータコア12の軸方向両側に突出する部分がコイルエンド部13とされる。
【0046】
ロータRoは、ロータ軸22に固定された略円筒形状のロータコア23と、ロータコア23に保持された複数の永久磁石25と、ロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられるエンドプレート26a、26bと、を備えている。
ロータ軸22は、回転電機MGの軸方向両側で軸受を介してケース2に回転可能に支持されている。ロータ軸22の内周部には軸内油路41が形成されている。また、回転電機MGの軸方向端部Leにおいて、軸内油路41に連通するとともに軸内油路41から径方向外側に延びてロータ軸22の外周面に開口する軸内供給油路42が形成されている。
【0047】
ロータコア23は、複数枚の電磁鋼板を積層して構成されている。また、図3及び図4に示すように、ロータコア23は、その内部に、周方向に分散配置されて軸方向に延びる、空洞部からなる複数の磁石挿入部24を有している。そして、複数の永久磁石25が2つ一組の磁石挿入部24間にそれぞれ軸方向に挿入されて固定保持されている。本例では、2つ一組の永久磁石25が計4つの磁石挿入部24によりV字状に固定されている。その際、各永久磁石25は、ロータRoの周方向に沿ってステータStに対する磁界の向きが交互に反対となるように配置されている。すなわち、ロータRoの径方向外側から見て、ロータRoの周方向に沿ってN極とS極とが交互に現れるように各永久磁石25が配置されている。
【0048】
本実施形態においては、ロータコア23の内部に、周方向に分散配置されるとともに軸方向に延びる複数のコア内油路45が更に形成されている。図示の例では、コア内油路45は、軸挿通孔31の内周面からコア内油路45までの径方向長さが、軸挿通孔31の内周面からロータコア23の外周面までの径方向長さの約1/3となるような径方向位置に形成されている。また、本例では、8つのコア内油路45が周方向に均等に分散配置されている。本実施形態においては、コア内油路45が本発明における「コア内冷媒路」に相当する。
【0049】
軸方向両端部Leにおいて、ロータコア23の軸方向端面23aには、エンドプレート26a、26bが取り付けられている。これらのエンドプレート26a、26bは、ロータコア23の磁石挿入部に挿入された永久磁石25をロータコア23と一体的に保持するとともに、当該ロータコア23をロータ軸22に固定するためのリテーナとしての機能を有する。本実施形態においては、エンドプレート26a、26bのうちいずれか一方が本発明における「第一エンドプレート」に相当し、いずれか他方が本発明における「第二エンドプレート」に相当する。なお、以下では、便宜的に軸方向一方側(図2における左側)のエンドプレートを第一エンドプレート26aとし、軸方向他方側(図2における右側)のエンドプレートを第二エンドプレート26bとして説明する。なお、特に区別する必要がない場合には、これらをエンドプレート26と称して包括的に説明するものとする。
【0050】
エンドプレート26は、アルミニウム、圧粉磁心、又は冷間圧延鋼板等により形成され、ロータコア23の軸方向端面23aの全体を覆う略円板形状に形成されている。エンドプレート26の径方向内側(径方向中央部)には、ロータRoのロータ軸22が挿通される軸挿通孔31が設けられている。この軸挿通孔31の周囲がエンドプレート26の内周面26iとなっている。このエンドプレート26の内周面26iは、ロータコア23の内周面と連続する同一面上に位置するように形成されている。そして、同一面上に位置するエンドプレート26の内周面26i及びロータコア23の内周面とロータ軸22の外周面22oとが当接した状態で、ロータ軸22にロータコア23及びエンドプレート26が固定されている。
【0051】
これらロータ軸22、ロータコア23及びエンドプレート26の内部には、冷媒としての油が流通する冷媒流通経路が形成されている。上記のとおり、ロータ軸22の内部には軸内油路41及び軸内供給油路42が形成されており、ロータコア23の内部にはコア内油路45が形成されている。エンドプレート26の内部には、軸内油路41及び軸内供給油路42とコア内油路45とを連通させる冷媒流通経路と、コア内油路45とロータRoの外部とを連通させる冷媒流通経路とが形成されている。本実施形態においては、これらの冷媒流通経路において冷媒としての油は一方向に流通するとともに、油の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている。以下では、エンドプレート26の構成について、主に冷媒流通経路の構成に焦点を当てて詳細に説明する。
【0052】
3.エンドプレートの構成
図3〜5に示すように、本実施形態に係るエンドプレート26は、軸挿通孔31、油供給口32a、供給油路32、第一開口部38、第二開口部39、帰還油路34、及び油噴出口35を備えて構成されている。
油供給口32aは、径方向で軸挿通孔31側に開口する開口部である。本実施形態においては、4つの油供給口32aが周方向に均等に分散して形成されている。油供給口32aは、軸方向でロータ軸22に形成された軸内供給油路42に対応する位置に設けられている。それぞれの油供給口32aからは、供給油路32がエンドプレート26内を径方向外側に延びるように形成されている。これにより、供給油路32は、油供給口32aを介してロータ軸22に形成された軸内供給油路42に連通している。本例では、供給油路32はロータコア23内のコア内油路45に対応する径方向位置まで延びている。なお、本実施形態においては、油供給口32aが本発明における「冷媒供給口」に相当し、供給油路32が本発明における「冷媒供給路」に相当する。
【0053】
第一エンドプレート26aにおいては、供給油路32の径方向外側の端部は、周方向に延びる連絡油路37の一方側の端部に接続されている。連絡油路37の他方側の端部は、第一開口部38に連通している。ここで、第一開口部38は、軸方向でロータコア23に取り付けられる面(以下、取付面26tと称する)側に開口する開口部である。この第一開口部38は、ロータコア23内のコア内油路45に対応する径方向位置に形成されている。また、本例では、4つの第一開口部38が、周方向に均等に分散された状態に対して所定の偏りをもって分散して形成されている。エンドプレート26の取付面26tには、更に4つの第二開口部39が、同じく周方向に均等に分散された状態に対して所定の偏りをもって分散して形成されている。これら4つの第一開口部38及び4つの第二開口部39を合わせた計8つの開口部は、コア内油路45の周方向位置に対応して周方向に均等に分散して形成されている。第二開口部39は、径方向に延びる帰還油路34の径方向外側の端部に連通している。帰還油路34は、第二開口部39から径方向内側に延びて、その径方向内側の端部が油噴出口35に接続されている。なお、本実施形態においては、帰還油路34が本発明における「冷媒帰還路」に相当し、油噴出口35が本発明における「冷媒噴出口」に相当する。
【0054】
一方、第二エンドプレート26bにおいては、供給油路32の径方向外側の端部は、直接第一開口部38に連通している。第二エンドプレート26bにおける第一開口部38及び第二開口部39の配置に関しては、第一エンドプレート26aと同様であるのでここでは説明を省略する。第二開口部39は、周方向に所定長さだけ延びた後屈曲して径方向に延びる帰還油路34の一方側の端部(周方向端部)に連通している。帰還油路34の他方側端部(径方向内側の端部)は、油噴出口35に接続されている。
【0055】
本実施形態においては、供給油路32、連絡油路37及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている。本実施形態においては、供給油路32、連絡油路37及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tに対して凹状に窪んだ形状の溝部として形成されている。本例では、図5に示すように、これらの油路はエンドプレート26の取付面26tを切削して、取付面26tと一体的に形成されている。本実施形態においては、これらの供給油路32、連絡油路37及び帰還油路34をなす溝部の断面積は、これらの溝部の全体に亘って略同一とされている。ここで「溝部の断面積」は、エンドプレート26の取付面26tに対して凹状に窪んだ部分の断面積であって、エンドプレート26がロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられた状態で、これらの油路を冷媒としての油が流通する際の油の流通方向に直交する面の断面積を表す概念として用いている。本実施形態においては更に、これらの断面積はコア内油路45における油の流通方向に直交する面の断面積と略等しくなるように設定されている。また、本実施形態においては、そのように形成された、第一エンドプレート26aにあっては連絡油路37の上記他端側の端部、第二エンドプレート26bにあっては供給油路32の径方向外側の端部が、第一開口部38とされている。同様に、そのように形成された帰還油路34の径方向外側の端部が、第二開口部39とされている。すなわち、本実施形態においては、第一開口部38及び第二開口部39も、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている。
【0056】
油噴出口35は、軸方向で取付面26t側及び取付面26tとは反対側の双方に開口するとともに、径方向で軸挿通孔31に近接して設けられている。本実施形態においては、油噴出口35は、ロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成されている。本例では、図5に示すように、油噴出口35は、エンドプレート26の内周面26i(軸挿通孔31の周囲)の一部を切り欠いて、内周面26iと一体的に形成されている。このようにして形成された油噴出口35は、径方向でエンドプレート26の最内周側に位置することになる。
【0057】
本実施形態においては、図2に示すように、二つのエンドプレート26a、26bがロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられた状態で、第一エンドプレート26aに形成された供給油路32と第二エンドプレート26bに形成された油噴出口35とが連通するとともに、第二エンドプレート26bに形成された供給油路32と第一エンドプレート26aに形成された油噴出口35とが連通するように構成されている。具体的には、第一エンドプレート26aの供給油路32と第二エンドプレート26bの油噴出口35とは、第一エンドプレート26aの連絡油路37及び第一開口部38と、コア内油路45と、第二エンドプレート26bの第二開口部39及び帰還油路34と、を介して相互に連通している。また、第二エンドプレート26bの供給油路32と第一エンドプレート26aの油噴出口35とは、第二エンドプレート26bの第一開口部38と、コア内油路45と、第一エンドプレート26aの第二開口部39及び帰還油路34と、を介して相互に連通している。そして、これらの油路により形成される冷媒流通経路内を流通する冷媒としての油は、供給油路32から油噴出口35へ向かって一方向に流通することになる。
【0058】
4.回転電機の冷却構造
次に、本実施形態に係る回転電機MGの冷却構造について説明する。なお、図2においては、冷媒としての油の流通方向を矢印で示している。
エンジンEの回転駆動力によりオイルポンプOPから吐出された油は、ロータ軸22の内部に形成された軸内油路41に供給される。回転電機MGの駆動中は、ロータRoの回転に伴い、軸内油路41に供給された油は、遠心力により軸内油路41の内周面に沿って軸方向に流通する。そして、同じく遠心力により、軸方向一方側に形成された軸内供給油路42を介して第一エンドプレート26aの供給油路32に油が流入する。また、遠心力により、軸方向他方側に形成された軸内供給油路42を介して第二エンドプレート26bの供給油路32に油が流入する。なお、第一エンドプレート26aの供給油路32から第二エンドプレート26bの油噴出口35に至る冷媒流通経路と、第二エンドプレート26bの供給油路32から第一エンドプレート26aの油噴出口35に至る冷媒流通経路とは、ロータコア23の軸方向中央部に仮想される面に対して略鏡対称となるので、重複する記載を避けるため、以下では前者の冷媒流通経路による冷却に関してのみ説明する。
【0059】
供給油路32に流入した油は、径方向外側に向かって流通した後、連絡油路37を流通し、第一開口部38を介してロータコア23内のコア内油路45に流入する。回転電機MGの駆動中は、ロータRoの回転に伴い、コア内油路45に流入した油は、遠心力によりコア内油路45の径方向外側の内周面に沿って軸方向に流通する。その際、油とロータコア23を構成する電磁鋼板との間での熱伝導によりロータコア23が冷却される。ロータコア23が冷却されると、当該ロータコア23を構成する電磁鋼板と永久磁石25との間での熱伝導により永久磁石25が冷却される。このようにして油がロータコア23を冷却することにより、永久磁石25が間接的に冷却される。
【0060】
コア内油路45を軸方向に流通しながらロータコア23及び永久磁石25を冷却した油は、第二開口部39を介して第二エンドプレート26bの帰還油路34に流入する。帰還油路34に流入した油は径方向内側に向かって流通する。その後、油は油噴出口35に到達し、油噴出口35からコイルエンド部13に向けて噴出される。なお、エンドプレート26には油噴出溝36が放射状に形成されており、回転するエンドプレート26から見ると、油は油噴出溝36に沿って径方向に移動する。そして、油はロータ23の軸方向両端部Leであって、その径方向外側に配置されたステータStのコイルエンド部13に到達し、油とコイルエンド部13を構成する導体との間での熱伝導によりコイルエンド部13が冷却される。
【0061】
油噴出口35から油が噴出される際には、油は、噴出される直前の周方向の移動速度を初速として、油噴出口35の回転軌跡の接線方向に噴射される。ここで、本実施形態においては、油噴出口35は、ロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成されており、径方向でエンドプレート26の最内周側に位置している。そのため、油噴出口35の回転半径はコア内油路45の回転半径よりも十分に小さくなっており、噴出される直前の油の周方向の移動速度はコア内油路45の周方向の移動速度よりも十分に小さい。したがって、冷媒としての油により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機MG全体のエネルギ効率を向上させることができるようになっている。また、油は十分に小さな初速で噴出されることになるので、油とコイルエンド部13を構成する導体とが接触して熱交換を行うための時間を十分に確保することができる。よって、コイルエンド部13の冷却効率を向上させることができる。このように、冷却効率を向上させることによっても、結果的に回転電機MGのエネルギ効率を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、ロータコア23とエンドプレート26との間に形成される冷媒流通経路(供給油路32、連絡油路37及び帰還油路34)における油の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている。本実施形態においては更に、これらの断面積はコア内油路45における油の流通方向に直交する面の断面積と略等しくなるように設定されている。そのため、第一エンドプレート26aの供給油路32からコア内油路45を介して第二エンドプレート26bの油噴出口35に至る冷媒流通経路、及び第二エンドプレート26bの供給油路32からコア内油路45を介して第一エンドプレート26aの油噴出口35に至る冷媒流通経路、のそれぞれの全体に亘って油を円滑に流通させることができる。よって、各冷媒流通経路における管路抵抗を小さくすることができ、エネルギ損失を低減することができるようになっている。
【0063】
また、本実施形態においては、上述したように第一エンドプレート26aの供給油路32から第二エンドプレート26bの油噴出口35に至る冷媒流通経路と、第二エンドプレート26bの供給油路32から第一エンドプレート26aの油噴出口35に至る冷媒流通経路とは、ロータコア23の軸方向中央部に仮想される面に対して略鏡対称となっている。そして、図5を参照して理解できるように、周方向に分散配置された複数のコア内油路45のうち、対をなすコア内油路45のそれぞれについて、一組のコア内油路45を流通する油の流通方向が、互いに対向する構成となっている。なお、図5においては、流通する油の流通方向が互いに対向する関係となる一組のコア内油路45を、二点鎖線で囲んで示している。これにより、一組のコア内油路45のそれぞれが、ロータコア23を軸方向に均一に冷却することが可能となっている。
【0064】
また、本例では、そのような一組のコア内油路45が計4組、周方向に均等に分散して配置されている。これにより、ロータコア23全体を軸方向及び周方向に均一に冷却することが可能となっており、更に軸方向両端部Leにおけるコイルエンド部13全体を均一に冷却することが可能となっている。このように、本実施形態に係る回転電機MGは、永久磁石及びコイルエンド部を均一に冷却可能とすることで、上述したエネルギ効率の向上とともに性能の安定化が図られている。
【0065】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について、図6〜図8を参照して説明する。本実施形態においては、回転電機MGのロータRoが備えるエンドプレート26内に形成された冷媒流通経路の構成が、上記第一の実施形態と相違している。それ以外の構成に関しては、基本的には上記第一の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係る回転電機MGの構成及び冷却構造について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
【0066】
図7及び図8に示すように、本実施形態においては、エンドプレート26内に形成された供給油路32は、ロータコア23内のコア内油路45に対応する径方向位置を越えて、永久磁石25が配設された位置(以下、磁石位置と称する)まで径方向に延びている。供給油路32の径方向外側の端部は、磁石位置において永久磁石25の軸方向端面に沿って周方向に延びる周方向油路33aの一方側の端部に接続されている。このとき、周方向油路33aと、永久磁石25を固定保持するための空洞部からなる磁石挿入部24とは、軸方向から見て少なくとも一部が重複している。周方向油路33aの他方側の端部は、径方向内側に延びる径方向油路33cに接続されている。なお、本実施形態においては、周方向油路33aと径方向油路33cとの組み合わせにより、本発明における「プレート内冷媒路」が構成されている。
【0067】
径方向油路33cの径方向内側の端部は、取付面26tに開口する第一開口部38に連通している。また、エンドプレート26には、取付面26tに開口する第二開口部39が形成されている。これら第一開口部38及び第二開口部39は、ロータコア23内のコア内油路45に対応する径方向位置に形成されている。第二開口部39は、径方向油路33cの径方向内側の端部に接続されている。径方向油路33cの径方向外側の端部は、周方向油路33aの一方側の端部に接続されている。周方向油路33aの他方側の端部は、帰還油路34の径方向外側の端部に接続されている。帰還油路34の径方向内側の端部は、ロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成された油噴出口35に接続されている。
【0068】
本実施形態においては、供給油路32、周方向油路33a、径方向油路33c及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている。本例では、図6に示すように、供給油路32、周方向油路33a、径方向油路33c及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tを切削して形成された溝部として、取付面26tと一体的に形成されている。本実施形態においては、供給油路32、周方向油路33a、径方向油路33c及び帰還油路34をなす溝部の断面積は、これらの溝部の全体に亘って略同一とされている。本実施形態においては更に、これらの断面積はコア内油路45における油の流通方向に直交する面の断面積と略等しくなるように設定されている。
【0069】
本実施形態においては、第一エンドプレート26aと第二エンドプレート26bとは、供給油路32と油噴出口35との位置が入れ替わっている点を除いて、略同一形状に形成されている。そして、二つのエンドプレート26a、26bがロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられた状態で、第一エンドプレート26aに形成された供給油路32と第二エンドプレート26bに形成された油噴出口35とが連通するように構成されている。具体的には、第一エンドプレート26aの供給油路32と第二エンドプレート26bの油噴出口35とは、第一エンドプレート26aの周方向油路33a、径方向油路33c及び第一開口部38と、コア内油路45と、第二エンドプレート26bの第二開口部39、径方向油路33c、周方向油路33a及び帰還油路34と、を介して相互に連通している。第二エンドプレート26bに形成された供給油路32と第一エンドプレート26aに形成された油噴出口35との関係も同様である。
【0070】
以上のような構成を備えた本実施形態に係る回転電機MGの冷却構造は、基本的には第一の実施形態に係る回転電機MGの冷却構造と同様である。したがって、本実施形態に係る回転電機MGでも、油噴出口35から噴出される油の初速を十分に小さくすることが可能とされており、これにより、油により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。
【0071】
また、本実施形態においては、ロータコア23とエンドプレート26との間に形成される冷媒流通経路(供給油路32、周方向油路33a、径方向油路33c及び帰還油路34)における油の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている。本実施形態においては更に、これらの断面積はコア内油路45における油の流通方向に直交する面の断面積と略等しくなるように設定されている。そのため、第一エンドプレート26aの供給油路32からコア内油路45を介して第二エンドプレート26bの油噴出口35に至る冷媒流通経路、及び第二エンドプレート26bの供給油路32からコア内油路45を介して第一エンドプレート26aの油噴出口35に至る冷媒流通経路、のそれぞれの全体に亘って油を円滑に流通させることができる。よって、各冷媒流通経路における管路抵抗を小さくすることができ、エネルギ損失を低減することができるようになっている。
【0072】
また、本実施形態においては、供給油路32及び油噴出口35のいずれか一方に連通し、磁石位置において永久磁石25に沿って周方向に延びる複数の周方向油路33aが、永久磁石25に対応して周方向に均等に分散して配置されている。そして、それぞれの周方向油路33aの両端部は、当該周方向油路33aから見て径方向内側に延びる供給油路32、径方向油路33c、及び帰還油路34のいずれかに接続されている。これにより、エンドプレート26内の冷媒流通経路を冷媒としての油が流通することで、エンドプレート26全体を適切に冷却することができる。エンドプレート26が冷却されると、当該エンドプレート26と永久磁石25との間での熱伝導、或いは、更にロータコア23を介した熱伝導により、永久磁石25が冷却される。このようにして油がエンドプレート26を冷却することにより、永久磁石25が間接的に冷却される。
【0073】
また、第一開口部38を介してロータコア23内のコア内油路45に流入した油は、回転電機MGの駆動中は、ロータRoの回転に伴い、当該コア内油路45の径方向外側の内周面に沿って軸方向に流通する。その際、油とロータコア23を構成する電磁鋼板との間での熱伝導によりロータコア23が冷却される。ロータコア23が冷却されると、当該ロータコア23を構成する電磁鋼板と永久磁石25との間での熱伝導により永久磁石25が冷却される。このようにして油がロータコア23を冷却することにより、永久磁石25が間接的に冷却される。
【0074】
更に、本実施形態においては、上記のとおり周方向油路33aが、軸方向から見て少なくとも一部が永久磁石25を固定保持するための空洞部からなる磁石挿入部24と重複する位置に設けられている。よって、周方向油路33aを流通する油の一部が磁石挿入部24に流入することが可能となっている。これにより、磁石挿入部24内を冷媒としての油が軸方向に流通することで、油と永久磁石25との間での熱伝導により永久磁石25を直接的に冷却することができる。
【0075】
このように、本実施形態においては、エンドプレート26及びロータコア23の双方を冷却するとともに、永久磁石25を直接冷却することにより、永久磁石25をより一層効率的に冷却することが可能となっている。このように、本実施形態に係る回転電機MGでは、より一層の冷却効率の向上が図られており、これによっても結果的にエネルギ効率をより一層向上させることが可能となっている。
【0076】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態においては、回転電機MGのロータRoが備えるエンドプレート26内に形成された冷媒流通経路の構成が、上記第一の実施形態と相違している。また、ロータコア23内にコア内油路45が形成されていない点で、上記第一の実施形態とは相違している。それ以外の構成に関しては、基本的には上記第一の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係る回転電機MGの構成及び冷却構造について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
【0077】
本実施形態に係るエンドプレート26は、軸挿通孔31、油供給口32a、供給油路32、帰還油路34、及び油噴出口35を備え、これらが単一のエンドプレート26内において連通するように構成されている。
油供給口32aは、径方向で軸挿通孔31側に開口する開口部である。本実施形態においては、2つの油供給口32aが周方向に均等に分散して形成されている。油供給口32aは、軸方向でロータ軸22に形成された軸内供給油路42に対応する位置に設けられている。それぞれの油供給口32aからは、供給油路32がエンドプレート26内を径方向外側に延びるように形成されている。本例では、供給油路32はロータコア23に配設された永久磁石25に対応する径方向位置(磁石位置)まで延びている。供給油路32の径方向外側の端部は、周方向油路33aの一方側の端部に接続されている。
【0078】
周方向油路33aは、径方向で、磁石位置において永久磁石25に沿って周方向に延びるように形成されている。本例では、周方向油路33aは、2つの供給油路32のうちの一方から他方に向かって周方向に延びるように、円弧状に形成されている。このとき、周方向油路33aと、永久磁石25を固定保持するための空洞部からなる磁石挿入部24とは、軸方向から見て少なくとも一部が重複している。そして、周方向油路33aの他方側の端部は、他方側の供給油路32よりも周方向手前側であって、他方側の供給油路32に最も近い位置に配置された永久磁石25の周方向位置において、帰還油路34の径方向外側の端部に接続されている。本実施形態においては、供給油路32、周方向油路33a及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている。本例では、図示は省略するが、供給油路32、周方向油路33a及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tを切削して形成された溝部として、取付面26tと一体的に形成されている。本実施形態においては、供給油路32、周方向油路33a及び帰還油路34をなす溝部の断面積は、これらの溝部の全体に亘って略同一とされている。帰還油路34の径方向内側の端部は、ロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成された油噴出口35に接続されている。
【0079】
このように、本実施形態においては、供給油路32から油噴出口35に至る冷媒流通経路が、単一のエンドプレート26内で完結している。なお、本実施形態においては、油供給口32a、供給油路32、周方向油路33a、帰還油路34、及び油噴出口35が、それぞれ本発明における「冷媒供給口」、「冷媒供給路」、「プレート内冷媒路」、「冷媒帰還路」、及び「冷媒噴出口」に相当する。
【0080】
本実施形態においては、同一形状の2つのエンドプレート26が、軸方向両側においてそれぞれロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられている。このような構成を備えた回転電機MGの冷却構造は、次のようになる。
すなわち、供給油路32に流入した油は、径方向外側に向かって流通した後、周方向油路33aを流通する。その際、エンドプレート26内の周方向油路33aを冷媒としての油が流通することで、エンドプレート26のうち永久磁石25に沿った領域が冷却される。これにより、エンドプレート26のうち当該領域と永久磁石25との間での熱伝導、或いは、更にロータコア23を介した熱伝導により、永久磁石25が冷却される。このようにして油がエンドプレート26を冷却することにより、永久磁石25が間接的に冷却される。
【0081】
更に、本実施形態においては、上記のとおり周方向油路33aが、軸方向から見て少なくとも一部が永久磁石25を固定保持するための空洞部からなる磁石挿入部24と重複する位置に設けられている。よって、周方向油路33aを流通する油の一部が磁石挿入部24に流入することが可能となっている。これにより、磁石挿入部24内を冷媒としての油が軸方向に流通することで、油と永久磁石25との間での熱伝導により永久磁石25を直接的に冷却することができる。
【0082】
周方向油路33aを流通しながらエンドプレート26及び永久磁石25を冷却した油は、帰還油路34を径方向内側に向かって流通する。その後、油は油噴出口35に到達し、油噴出口35からコイルエンド部13に向けて噴出される。そして、油はロータ23の径方向外側に配置されたステータStのコイルエンド部13に到達し、油とコイルエンド部13を構成する導体との間での熱伝導によりコイルエンド部13が冷却される。
【0083】
上記のとおり、本実施形態においても、油噴出口35はロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成されている。したがって、本実施形態に係る回転電機MGでも、油噴出口35から噴出される油の初速を十分に小さくすることが可能とされており、油により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。また、コイルエンド部13の冷却効率の向上が図られている。
【0084】
また、本実施形態においては、ロータコア23とエンドプレート26との間に形成される冷媒流通経路(供給油路32、周方向油路33a及び帰還油路34)における油の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている。そのため、これらの油路内に油を円滑に流通させることができる。よって、当該冷媒流通経路における管路抵抗を小さくすることによっても、エネルギ損失を低減して回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。
【0085】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態について、図10を参照して説明する。本実施形態においては、回転電機MGのロータRoが備えるエンドプレート26内に形成された冷媒流通経路の構成が、上記第三の実施形態と相違している。それ以外の構成に関しては、基本的には上記第三の実施形態と同様である。以下では、本実施形態に係る回転電機MGの構成及び冷却構造について、上記第三の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第三の実施形態と同様とする。
【0086】
本実施形態に係るエンドプレート26は、その内部に、周方向に蛇行した冷媒流通経路が形成されている。このような蛇行した冷媒流通経路を形成するため、本実施形態に係るエンドプレート26は、プレート内冷媒路を構成する油路として、第一周方向油路33aと第二周方向油路33bとを備えている。ここで、第一周方向油路33aは、ロータコア23に配設された永久磁石25に対応する径方向位置(磁石位置)を周方向に延びる油路であり、上記第三の実施形態における「周方向油路33a」に対応する油路である。第二周方向油路33bは、磁石位置よりも径方向内側を周方向に延びる油路である。
【0087】
供給油路32の径方向外側の端部に接続された第一周方向油路33aは、径方向で、磁石位置において永久磁石25に沿って周方向に延びるように円弧状に形成されている。本例では、V字状に固定された一組の永久磁石25のそれぞれに沿って、周方向に延びる第一周方向油路33aが形成されている。このとき、それぞれの第一周方向油路33aと、永久磁石25を固定保持するための空洞部からなる磁石挿入部24とは、軸方向から見て少なくとも一部が重複している。また、第二周方向油路33bは、エンドプレート26の内周面26i(軸挿通孔31の周囲)よりも径方向外側であって軸挿通孔31に比較的近い径方向位置を、周方向に延びるように形成されている。そして、第一周方向油路33aの他方側の端部と第二周方向油路33bの一方側の端部、及び第二周方向油路33bの他方側の端部と第一周方向油路33aの一方側の端部とが径方向油路33cにより順次接続されて、周方向に蛇行した冷媒流通経路が形成されている。
【0088】
周方向で供給油路32から最も離れた位置にある第一周方向油路33aの他方側の端部は、帰還油路34の径方向外側の端部に接続されている。本実施形態においては、供給油路32、第一周方向油路33a、第二周方向油路33b、径方向油路33c及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている。本例では、図示は省略するが、供給油路32、第一周方向油路33a、第二周方向油路33b、径方向油路33c及び帰還油路34は、エンドプレート26の取付面26tを切削して形成された溝部として、取付面26tと一体的に形成されている。本実施形態においては、供給油路32、第一周方向油路33a、第二周方向油路33b、径方向油路33c及び帰還油路34をなす溝部の断面積は、これらの溝部の全体に亘って略同一とされている。帰還油路34の径方向内側の端部は、ロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成された油噴出口35に接続されている。
【0089】
以上のような構成を備えた本実施形態に係る回転電機MGの冷却構造は、基本的には第三の実施形態に係る回転電機MGの冷却構造と基本的には同様である。したがって、本実施形態に係る回転電機MGでも、エンドプレート26が冷却されることにより、永久磁石25が間接的に冷却される。また、磁石挿入部24を軸方向に流通する油により永久磁石25が直接的に冷却される。ただし、本実施形態においては、第一周方向油路33a、第二周方向油路33b、及び径方向油路33cにより周方向に蛇行した冷媒流通経路が形成されているので、第三の実施形態と比較して、エンドプレート26全体をより効率的に冷却することができるようになっている。
【0090】
上記のとおり、本実施形態においても、油噴出口35はロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成されている。したがって、本実施形態に係る回転電機MGでも、油噴出口35から噴出される油の初速を十分に小さくすることが可能とされており、油により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。また、コイルエンド部13の冷却効率の向上が図られている。
【0091】
また、本実施形態においては、ロータコア23とエンドプレート26との間に形成される冷媒流通経路(供給油路32、第一周方向油路33a、第二周方向油路33b、径方向油路33c及び帰還油路34)における油の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている。そのため、これらの油路内に油を円滑に流通させることができる。よって、当該冷媒流通経路における管路抵抗を小さくすることによっても、エネルギ損失を低減して回転電機MG全体のエネルギ効率の向上が図られている。
【0092】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態においては、ロータRoのロータコア23の軸方向端面23aに取り付けられるエンドプレート26に冷媒流通経路が形成され、油噴出口35がエンドプレート26に設けられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばコア内油路45を備えるロータRoがエンドプレート26を備えていない場合に、軸方向両端部Leにおけるロータコア23内に帰還油路34及び油噴出口35を形成する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0093】
(2)上記の各実施形態においては、油噴出口35がロータ軸22の外周面22oとエンドプレート26の内周面26iとの間に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、径方向でロータRoの外径端よりもロータ軸22に近い位置であって、かつ、ロータRoがコア内油路45を備える場合には当該コア内油路45に対応する径方向位置よりも径方向内側の位置に、油噴出口35が形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。そのような位置に油噴出口35が形成された構成としても、少なくとも永久磁石25やコア内油路45に対応する径方向位置からコイルエンド部13に向かって油が噴出される場合と比較して、油が噴出される際の初速を小さくすることができるので、油により持ち出される運動エネルギを小さくしてエネルギ損失を低減し、回転電機MG全体のエネルギ効率を向上させることができる。また、コイルエンド部13の冷却効率を向上させることができる。
【0094】
(3)上記の各実施形態においては、供給油路32及び帰還油路34等が、エンドプレート26の取付面26tとロータコア23の軸方向端面23aとの間に形成されている場合を例として説明した。また、それに伴い、上記第一及び第二の実施形態においては、そのように形成された供給油路32(或いは、連絡油路37)の端部が第一開口部38とされるとともに、帰還油路34の径方向外側の端部が第二開口部39とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば供給油路32及び帰還油路34等をそれぞれエンドプレート26の内部に形成する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
この場合、上記第一及び第二の実施形態においては、そのように形成された供給油路32(或いは、連絡油路37)の端部、及び帰還油路34の径方向外側の端部からエンドプレート26内を軸方向に延びて取付面26tに開口する開口部として、第一開口部38及び第二開口部39を形成する構成とすると好適である。
【0095】
(4)上記第一及び第二の実施形態においては、第一エンドプレート26a及び第二エンドプレート26bの双方に、供給油路32及び油噴出口35の双方が設けられ、第一エンドプレート26aの供給油路32から第二エンドプレート26bの油噴出口35に至る冷媒流通経路と、第二エンドプレート26bの供給油路32から第一エンドプレート26aの油噴出口35に至る冷媒流通経路が形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一エンドプレート26a及び第二エンドプレート26bのいずれか一方に供給油路32が設けられるとともに、第一エンドプレート26a及び第二エンドプレート26bの他方に油噴出口35が設けられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、コア内油路45を流通する油は、第一エンドプレート26a及び第二エンドプレート26bのいずれか一方から第一エンドプレート26a及び第二エンドプレート26bの他方へと向かって一方向に流通する構成となる。
【0096】
(5)上記第三の実施形態においては、周方向油路33aが、供給油路32の径方向外側の端部と帰還油路34の径方向外側の端部とを接続するように円弧状に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、磁石位置において永久磁石25を冷却することができるように、周方向に分散配置された永久磁石25に沿って延びるように形成されていれば良く、例えば周方向油路33aを折れ線状の油路として形成しつつ、供給油路32の径方向外側の端部と帰還油路34の径方向外側の端部とを接続する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0097】
(6)上記第四の実施形態においては、第一周方向油路33aが、供給油路32の径方向外側の端部と径方向油路33cの径方向外側の端部との間、互いに隣接する2つの径方向油路33cの径方向外側の端部間、及び径方向油路33cの径方向外側の端部と帰還油路34の径方向外側の端部との間、を接続するように円弧状に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの第一周方向油路33aを、例えば直線状の油路として形成する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。なお、第二周方向油路33bに関しても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、コイルエンド部を有するステータの径方向内側でロータ軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石が配設されたロータを備えた回転電機、及びそのような回転電機に用いられる回転電機用エンドプレートに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
13 コイルエンド部
22 ロータ軸
23 ロータコア
25 永久磁石
26a 第一エンドプレート
26b 第二エンドプレート
31 軸挿通孔
32 供給油路(冷媒供給路)
32a 油供給口(冷媒供給口)
33a 第一周方向油路(第一周方向冷媒路、プレート内冷媒路)
33b 第二周方向油路(第二周方向冷媒路、プレート内冷媒路)
33c 径方向油路(プレート内冷媒路)
34 帰還油路(冷媒帰還路)
35 油噴出口(冷媒噴出口)
38 第一開口部
39 第二開口部
41 軸内油路(軸内冷媒路)
45 コア内油路(コア内冷媒路)
MG1 第一回転電機
MG2 第二回転電機
St1 第一ステータ
St2 第二ステータ
Ro1 第一ロータ
Ro2 第二ステータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルエンド部を有するステータの径方向内側でロータ軸芯周りに回転可能に支持されるとともに、周方向に複数の永久磁石が配設されたロータを備え、
ロータ軸から供給される冷媒により、前記永久磁石及び前記コイルエンド部が冷却される構造の回転電機であって、
前記永久磁石を冷却した後の前記冷媒が前記ロータ内を径方向内側に流通する冷媒帰還路と、
前記冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通し、径方向で前記ロータ軸に近接した位置に設けられた、前記ロータから前記コイルエンド部に向けて前記冷媒が噴出される冷媒噴出口と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記ロータ内に、前記ロータ軸から供給される前記冷媒が前記冷媒噴出口へ向かって一方向に流通する、前記冷媒帰還路を含む冷媒流通経路が形成され、
前記冷媒流通経路における前記冷媒の流通方向に直交する面の断面積が、当該冷媒流通経路の全体に亘って略同一とされている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ロータは、前記ロータ軸に固定されるとともに前記永久磁石を保持する略円筒形状のロータコアと、径方向内側に前記ロータ軸が挿通される軸挿通孔を有し前記ロータコアの軸方向端面に取り付けられるエンドプレートと、を備え、
前記エンドプレートに、前記軸挿通孔側に開口して前記ロータ軸に設けられる軸内冷媒路に連通する冷媒供給路と、前記冷媒噴出口と、が設けられ、
前記冷媒噴出口が、前記冷媒供給路に連通するとともに軸方向で前記ロータコアとは反対側に開口している請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記冷媒噴出口が、前記ロータ軸の外周面と前記エンドプレートの内周面との間に形成されている請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記冷媒供給路は、径方向で前記永久磁石が配設された位置である磁石位置まで前記エンドプレート内を径方向に延びる構成で、
前記エンドプレートに、前記冷媒供給路に連通するとともに、少なくとも前記永久磁石の軸方向端面に沿って周方向に延びて前記冷媒帰還路に連通するプレート内冷媒路が更に設けられている請求項3又は4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記プレート内冷媒路が、径方向で前記磁石位置を周方向に延びる第一周方向冷媒路と、前記磁石位置よりも径方向内側を周方向に延びる第二周方向冷媒路と、を備え、周方向に蛇行した冷媒流通経路を形成している請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記エンドプレートとして、第一エンドプレート及び第二エンドプレートを備えるとともに、
前記ロータは、前記ロータコア内に、周方向に分散配置されて軸方向に延びる複数のコア内冷媒路を更に備え、
前記コア内冷媒路は、軸方向一方側で前記第一エンドプレートに設けられた前記冷媒供給路に連通するとともに、軸方向他方側で前記第二エンドプレートに設けられた前記冷媒噴出口に連通している請求項3から6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
複数の前記コア内冷媒路のうち、対をなす前記コア内冷媒路のそれぞれについて、
一組の前記コア内冷媒路を軸方向に流通する前記冷媒の流通方向が、互いに対向している請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
回転電機のロータを構成するロータコアの軸方向端面に取り付けられる略円板形状の回転電機用エンドプレートであって、
径方向内側に設けられた、前記ロータの回転軸が挿通される軸挿通孔と、
径方向で前記軸挿通孔側に開口する冷媒供給口と、
径方向に延びる冷媒帰還路と、
軸方向で前記ロータコアに取り付けられる側とは反対側に開口するとともに、前記冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通し、径方向で前記軸挿通孔に近接して設けられた冷媒噴出口と、
前記冷媒供給口と前記冷媒帰還路とを連通する冷媒流通経路と、
を備えた回転電機用エンドプレート。
【請求項10】
回転電機のロータを構成するロータコアの軸方向端面に取り付けられる略円板形状の回転電機用エンドプレートであって、
径方向内側に設けられた、前記ロータの回転軸が挿通される軸挿通孔と、
径方向で前記軸挿通孔側に開口する冷媒供給口と、
径方向に延びる冷媒帰還路と、
軸方向で前記ロータコアに取り付けられる側である取付側に開口する第一開口部及び第二開口部と、
軸方向で前記取付側とは反対側に開口するとともに、前記冷媒帰還路の径方向内側の端部に連通し、径方向で前記軸挿通孔に近接して設けられた冷媒噴出口と、
前記冷媒供給口と前記第一開口部、及び前記第二開口部と前記冷媒帰還路とをそれぞれ連通する冷媒流通経路と、
を備えた回転電機用エンドプレート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−239799(P2010−239799A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85958(P2009−85958)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】