説明

固体撮像装置

【課題】ブルーミング発生を抑え、かつ動作電圧を低電圧化することが可能な固体撮像装置を提供する。
【解決手段】固体撮像装置は、半導体基板に形成されたCCD型の固体撮像装置であって、オーバーフロードレイン構造のオーバーフローバリアの高さを規定する基板電圧Vsubを半導体基板に印加するVsub電圧発生回路26を備え、Vsub電圧発生回路26は、直列接続された複数の抵抗素子を含み、電圧分割により基板電圧を出力する抵抗回路と、前記複数の抵抗素子のいずれかに並列に接続されたポリシリコンのパターンであるヒューズ6とを含み、ヒューズ6は、コンタクト2が設けられた2つのジョイント基部1と、2つのジョイント基部1に挟まれて位置し、コンタクト2を介して電圧が印加されることにより電流が流れて溶断する溶断部10とを含み、溶断部10は、W方向の長さがジョイント基部1より小さく、W方向の長さが異なる領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス状に配列された複数の光電変換素子に蓄積された信号電荷を読み出して、二次元の画像信号を得るように構成された固体撮像装置に用いられるヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置(イメージセンサ)は、ビデオカメラ及びデジタルカメラ等の撮像部、あるいはファックス及びイメージスキャナ等の画像認識部を構成し、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサが広く用いられている。このようなCCD型の固体撮像装置では、半導体基板に光電変換素子、垂直転送CCD、水平転送CCD、および出力アンプ等が形成される。半導体基板に印加される基板電圧は電圧発生回路により生成され、電圧発生回路には定電流源、抵抗およびヒューズが用いられる。ヒューズに関する技術として例えば特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−117524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4は、CCD型固体撮像装置の構成を示す図である。
この固体撮像装置には、n型半導体基板28に入射した光量に応じた量の信号電荷を生成する複数のホトダイオード(光電変換素子)21と、ホトダイオード21に蓄積された信号電荷を読み出す読み出しゲート22と、読み出された信号電荷を垂直方向へ転送する垂直転送CCD23と、垂直転送CCD23から転送されてきた信号電荷を水平方向へ転送する水平転送CCD24と、水平転送CCD24から転送されてきた信号電荷量を検出し、電圧信号へ変換し、外部へ出力する出力アンプ25が設けられている。
【0005】
この固体撮像装置は、ホトダイオード21で発生した過剰電荷をn型半導体基板28に排出するオーバーフロードレイン構造を有する。オーバーフロードレイン構造の固体撮像装置では、Vsub電圧発生回路26にて発生した基板電圧Vsubがクランプダイオード27を介してn型半導体基板28に印加され、基板電圧Vsubによってホトダイオード21とn型半導体基板28の裏面側との間にオーバーフローバリアが形成される。基板電圧Vsubの値に応じてオーバーフローバリアのポテンシャル電位を調整できるため、全てのホトダイオード21の過剰電荷をn型半導体基板28へ排出し、後述するブルーミングの抑制ができる。
【0006】
ここで、図5を用いてブルーミングについて説明する。
図5(a)は固体撮像装置の断面図(図4のB−B’間の断面図)であり、図5(b)は図5(a)のC−D−E間の各部位(n型半導体基板28の平面方向および厚さ方向に沿った各部位)のポテンシャルを示す図である。
【0007】
図5(a)に示されるように、n型半導体基板28にpウェル領域30が形成され、pウェル領域30内にホトダイオード21、読み出しゲート22および垂直転送CCD23が形成され、pウェル領域30上に読み出しゲート22と垂直転送CCD23の転送電極29が形成されている。
【0008】
ホトダイオード21に信号電荷を蓄積する際は、読み出しゲート22のポテンシャルが電位VTVBとなるよう転送電極29に電圧が印加される。
【0009】
ホトダイオード21で発生した信号電荷は、pウェル領域30のポテンシャルが電位Vsub1VBよりも低くなる電位に達するまで、ホトダイオード21に蓄積される。
【0010】
なお、pウェル領域30のポテンシャルを電位Vsub1VBにするためにn型半導体基板28にVsub電圧発生回路26で発生した基板電圧Vsubが印加され、n型半導体基板28の電位が電位Vsub1にされる。
【0011】
ところが、n型半導体基板28に印加する基板電圧Vsubが適切でなく、n型半導体基板28の電位が電位Vsub2になると、pウェル領域30のポテンシャルは電位Vsub2VBとなり、読み出しゲート22の電位VTVBより低くなってしまう。
【0012】
そうなるとホトダイオード21で発生した信号電荷はn型半導体基板28に排出される前に、垂直転送CCD23に溢れ出す。この溢れ出した信号電荷が要因となって画質異常となる。これがブルーミングといわれている。ブルーミングを抑制するためにはn型半導体基板28に印加する基板電圧Vsubは適切な値に設定されなければいけない。
【0013】
しかしながら製造バラツキによって最適な基板電圧Vsubが固体撮像装置の個体ごとによって異なるため、Vsub電圧発生回路26には例えば図6に示すような定電流源と抵抗とヒューズとから構成される回路が用いられ、ヒューズをトリミングすることによって、基板電圧Vsubを精度よく発生させている。
【0014】
図6はVsub電圧発生回路26の回路構成の一例を示す図である。
Vsub電圧発生回路26は、n型半導体基板28に設けられ、入力端子VDDとGND間に、複数の抵抗素子32、33、34、35、36、37を直列に接続して構成された抵抗分割回路と、定電流源20と、複数のヒューズ106とを備えている。Vsub電圧発生回路26は、入力端子VDDから電源電圧の供給を受け、基板電圧Vsubを出力する。図6の複数の抵抗素子32、33、34、35、36、37およびヒューズ106はポリシリコンで形成されることが多い。
【0015】
複数の抵抗素子32、33、34、35、36、37の各接続点に、パッド38が形成(接続)され、複数のヒューズ106は、それぞれ対応する抵抗素子33、34、35、36に並列に接続される。複数のパッド38のうち対応するパッド38間に電圧を印加し、ヒューズ106に電流を流してジュール熱を発生させてヒューズ106は溶断される。ジュール熱をJ、ヒューズ106の抵抗値をR、溶断するヒューズ106に対応したパッド38の間に印加する電圧をV、ヒューズ106に流れる電流をA、印加時間をTとすると、ジュール熱JはJ=V×A×T=R×A×A×Tと表すことができる。
【0016】
不要なヒューズ106を選択的に溶断することにより定電流源20で決定される電流Iと抵抗素子32、33、34、35、36、37による電圧降下とで所望の基板電圧Vsubを発生させることができる。それにより、固体撮像装置個々の製造バラツキをヒューズ106の選択で補償しつつ、最適な基板電圧Vsubを精度よく設定することができる。
【0017】
ところで、図6記載のヒューズ106において、最適な基板電圧Vsubを得るために不要なヒューズ106を溶断する際、各ヒューズ106の両端に並列に接続されたパッド38のうち、溶断するヒューズ106に接続されているパッド38に電圧を印加して溶断しているが、近年の固体撮像装置の動作電圧は低電圧化の傾向にあるため、この電圧は低いほうが望ましい。
【0018】
これに関し、特許文献1記載のヒューズ106では、ヒューズ106の断面積を小さくすることによって、ヒューズ106に流れる電流密度を高め、低電圧での溶断を容易にしている。
【0019】
以下、図7および図8(a)〜図8(g)を参照しながら特許文献1に示されているヒューズ106について説明する。
【0020】
図7は特許文献1のポリシリコンからなるヒューズ106の構成の概要を示す図である。
【0021】
このヒューズ106は、パッド(図示せず)に接続されるAL配線(図示せず)などに接続される電極としてのコンタクト102を両端に有する。ヒューズ106は、さらに、ポリシリコンによって形成されたジョイント基部101を両端に有し、ジョイント基部101と同じ工程のポリシリコンによって形成され、両端のジョイント基部101に挟まれた領域である溶断部140を有している。
【0022】
溶断部140のポリシリコンのW方向の長さ(幅)は一例として0.8μm〜2.0μmであり、L方向の長さは6.0μm〜10.0μmであり、その厚みは150nm〜250μmである。なお、溶断部140を流れる電流の向きと平行な方向をL方向、L方向に対して垂直に交差する方向をW方向としている。
【0023】
図8(a)〜図8(g)はヒューズ106の製造方法を示す断面図(図7のF〜F’における断面図)である。
【0024】
まず、図8(a)に示すようにn型半導体基板111を準備する。
その後、図8(b)に示すようにn型半導体基板111の上にLOCOS法によってフィールド酸化膜112を形成する。
【0025】
その後、図8(c)に示すようにCVD(Chemical−Vapor−Deposition)法などによって厚みが150nm〜250nmのポリシリコン膜113を形成する。続いてポリシリコン膜113に対して所定の抵抗値を有するように、n型不純物のイオン注入、一例として不純物濃度2E20/cm-3のリンのイオン注入を行う。
【0026】
その後、図8(d)に示すようにフォトレジスト114をスピンコーターなどで塗布する。続いて、ジョイント基部101と溶断部140の形状が描かれた図示しないフォトマスクを用い、露光装置でフォトレジスト114を露光する。
【0027】
その後、図8(e)に示すようにフォトマスクを介して露光された部分以外のフォトレジスト114を除去する。
【0028】
その後、図8(f)に示すようにフォトレジスト114をマスクとしてポリシリコン膜113に対して等方性エッチング、いわゆるウェットエッチングを行う。
【0029】
その後、図8(g)に示すようにフォトレジスト114を除去し、図7のコンタクト102を形成し、ALなどで配線をおこなう。
【0030】
このようにして、図7のヒューズ106を形成する。
しかしながら、図7のヒューズ106では、ヒューズの切断電圧を十分低減することができず、固体撮像装置の動作電圧を低電圧化することは困難である。
【0031】
また、図8(f)の工程において、等方性エッチング、いわゆるウェットエッチングを行っているため、ポリシリコン膜113にサイドエッチングによる侵食領域が形成され、ポリシリコン膜113の溶断部140の断面の幅が全体で細くなる(断面積が小さくなる)。溶断部140の断面の幅が細くなることにより、ヒューズ106全体の抵抗値は上昇し、結果的に溶断に必要なジュール熱を得るには高い電圧を印加せねばならない。
【0032】
また、ヒューズ106の抵抗値が高くなるため、Vsub電圧発生回路26において、ヒューズ106と抵抗素子33からなる合成抵抗、ヒューズ106と抵抗素子34からなる合成抵抗、ヒューズ106と抵抗素子35からなる合成抵抗、ヒューズ106と抵抗素子36からなる合成抵抗がそれぞれ高くなるため、電圧降下が大きくなり、基板電圧Vsubの設定できる範囲が狭くなってしまう。例えば、固体撮像装置の最適な基板電圧Vsubが図6のVDD端子に印加する電圧に近い場合は最適な基板電圧Vsubを設定できず、ブルーミング発生の要因となる。
【0033】
また、固体撮像装置では図5の転送電極29および図6の抵抗素子32、33、34、35、36、37は図8(b)のポリシリコン膜113を用いて形成するが、ウェットエッチングを用いてこれらを形成すると転送電極29および抵抗素子32、33、34、35、36、37の形状がバラツキ、結果的に特性不具合を招く。具体的には転送電極29の形状が変化することにより、ホトダイオード21に蓄積された信号電荷が垂直転送CCD23へ完全に読み出せない読み出し不良が発生し、画質異常となる。また、図6の抵抗素子32、33、34、35、36、37の抵抗値がばらつくことにより、図6の最適な基板電圧Vsubを精度よく設定できなくなる。このためブルーミングの抑制が精度よく出来なくなり、画質異常となる。
【0034】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、ブルーミング発生を抑え、かつ動作電圧を低電圧化することが可能な固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の一態様による固体撮像装置は、半導体基板に形成されたCCD型の固体撮像装置であって、複数の光電変換素子で発生した過剰電荷を前記半導体基板に排出するオーバーフロードレイン構造を有し、前記オーバーフロードレイン構造のオーバーフローバリアの高さを規定する基板電圧を前記半導体基板に印加する電圧発生回路を備え、前記電圧発生回路は、直列接続された複数の抵抗素子を含み、電圧分割により基板電圧を出力する抵抗回路と、前記複数の抵抗素子のいずれかに並列に接続されたポリシリコンのパターンであるヒューズとを含み、前記ヒューズは、電極が設けられた2つの基部と、前記2つの基部に挟まれて位置し、前記電極を介して電圧が印加されることにより電流が流れて溶断する溶断部とを含み、前記溶断部は、前記溶断部を流れる電流の向きと平行な方向をL方向、該L方向に対して垂直な方向をW方向として前記W方向の長さが前記基部より小さく、前記溶断部は、前記W方向の長さが異なる複数の領域を含むことを特徴とする。
【0036】
ここで、前記溶断部の前記W方向の長さが異なる複数の領域のいずれかは、前記W方向の長さと前記L方向の長さとが同一であってもよい。
【0037】
本態様によれば、W方向の長さとL方向の長さとが同じ領域を溶断部に設けてヒューズ全体の抵抗値を低くすることができる。従って、ヒューズの切断電圧を十分に低減させることができるので、固体撮像装置の動作電圧を低電圧化することができる。同時に、電圧発生回路においてヒューズと抵抗素子とからなる合成抵抗を低減することできるので、基板電圧の設定範囲を広げてブルーミング発生を抑えることができる。
【0038】
また、電圧発生回路においてヒューズの選択で最適な基板電圧を精度よく設定することができるので、ブルーミング発生をさらに抑えることができる。
【0039】
また、前記溶断部は、第一領域と、前記第一領域を挟んで位置する、前記第一領域と前記W方向の長さが異なる領域であって、同じ前記W方向の長さを有する第二領域および第三領域とを含み、前記第一領域、前記第二領域および前記第三領域のそれぞれでは、前記L方向の長さと前記W方向の長さとが同一であり、前記第二領域および前記第三領域の前記L方向の長さは、前記第一領域の前記L方向の長さより大きく、前記第二領域および前記第三領域のW方向の長さは、前記第一領域の前記W方向の長さより大きくてもよい。
【0040】
本態様によれば、溶断部の各領域についてW方向の長さとL方向の長さとを同じにし、ヒューズ全体の抵抗値を低くすることができる。
【0041】
また、前記ヒューズは、第一領域と、前記第一領域を挟んで位置する、前記第一領域と前記W方向の長さが異なる領域であって、同じ前記W方向の長さを有する第二領域および第三領域を含み、前記第二領域および前記第三領域のそれぞれでは、前記L方向の長さと前記W方向の長さとが同一であり、前記第一領域では、前記L方向の長さが前記W方向の長さより大きく、前記第二領域および前記第三領域の前記L方向の長さは、前記第一領域の前記L方向の長さより大きく、前記第二領域および前記第三領域の前記W方向の長さは、前記第一領域の前記W方向の長さより大きくてもよい。
【0042】
本態様によれば、ジュール熱が第二溶断部領域および第三溶断部領域に発散しにくくなるため、安定してヒューズの溶断が行える。
【0043】
また、前記ヒューズは、異方性エッチングによってポリシリコンをパターニングして形成されてもよい。
【0044】
本態様によれば、等方性エッチング(ウェットエッチング)を用いてヒューズを形成した場合と比較してヒューズ形成におけるサイドエッチングによるポリシリコンの侵食は抑えられ、溶断部の断面積のバラツキが低減されるため、ヒューズの形状を安定化させて基板電圧のバラツキを抑えることができる。同時に、ポリシリコンで形成された配線層の形状、例えば抵抗素子および転送電極の形状がばらつかなくなり、結果的に画質異常およびブルーミングなどの特性不具合を抑えることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る固体撮像装置によると、ブルーミング発生を抑え、かつ動作電圧を低電圧化することが可能な固体撮像装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るヒューズの構成の概要を示す図である。
【図2】同実施形態に係るヒューズの製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るヒューズの構成の概要を示す図である。
【図4】CCD型固体撮像装置の構成を示す図である。
【図5】(a)CCD型固体撮像装置の断面図(図4のB−B‘間の断面図)である。(b)図5(a)のC−D−E間の各部位のポテンシャルを示す図である。
【図6】CCD型固体撮像装置のVsub電圧発生回路の回路構成の一例を示す図である。
【図7】特許文献1のヒューズの構成の概要を示す図である。
【図8】特許文献1のヒューズの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0048】
本実施形態の固体撮像装置は、半導体基板に形成されたCCD型の固体撮像装置であって、複数の光電変換素子で発生した過剰電荷を半導体基板に排出するオーバーフロードレイン構造を有する。同固体撮像装置の構成は、図4と同じであるため、ここでは詳細な説明を省く。
【0049】
本実施形態の固体撮像装置は、オーバーフロードレイン構造のオーバーフローバリアの高さを規定する基板電圧Vsubを半導体基板に印加するVsub電圧発生回路26を備える。Vsub電圧発生回路26は、ヒューズ106に変えて異なる構成のヒューズ6が用いられるという点を除いて、直列接続された複数の抵抗素子を含み、電圧分割により基板電圧を出力する抵抗回路と、複数の抵抗素子のいずれかに並列に接続されたポリシリコンのパターンであるヒューズとを含むという点は図6の回路構成と同じであるため、ここでは詳細な説明を省く。
【0050】
以下、図1および図2(a)〜図2(g)を参照しながら本実施形態の固体撮像装置のVsub電圧発生回路26に用いられるヒューズ6について説明する。
【0051】
図1は本実施形態のポリシリコンからなるヒューズ6の構成の概要を示す図である。
このヒューズ6は、パッド(図示せず)に接続されるAL配線(図示せず)などに接続される電極としてのコンタクト2を両端に有する。ヒューズ6は、コンタクト(電極)2が設けられた2つのジョイント基部1と、2つのジョイント基部1に挟まれて位置し、コンタクト2を介して電圧が印加されることにより電流が流れて溶断する溶断部10とを含む。言い換えると、ヒューズ6は、ポリシリコンによって形成されたジョイント基部1を両端に有し、ジョイント基部1と同じ工程で形成されるポリシリコン(ジョイント基部1と同じ材料のポリシリコン)によって形成され、両端のジョイント基部1に挟まれた領域である溶断部10を備えている。また、ジョイント基部1は電流密度を緩和するためにテーパー形状とされている。
【0052】
溶断部10は、溶断部10を流れる電流の向きと平行な方向をL方向、該L方向に対して垂直な方向をW方向としてW方向の最大の長さがジョイント基部1より小さい。溶断部10はW方向の長さが異なる複数の領域(部位)を含み、このW方向の長さが異なる複数の領域のいずれかではW方向の長さとL方向との長さが同じである。具体的には、溶断部10は、第一溶断部領域3と、第一溶断部領域3を挟んで位置する、第一溶断部領域3とW方向の長さが異なる領域であって、同じW方向の長さを有する第二溶断部領域4および第三溶断部領域5との3つの領域を含む。
【0053】
第一溶断部領域3、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のそれぞれでは、L方向の長さとW方向の長さとが同一である。第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のL方向の長さは第一溶断部領域3のL方向の長さより大きく、かつ第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のW方向の長さは第一溶断部領域3のW方向の長さより大きい。
【0054】
第一溶断部領域3のポリシリコンのW方向の長さ(幅)は一例として0.8μm〜2.0μmであり、L方向の長さは0.8μm〜2.0μmであり、W方向の長さとL方向の長さは同一である。またその厚みは150nm〜250μmである。
【0055】
第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のそれぞれのポリシリコンのW方向の長さは一例として1.2μm〜4.0μmであり、L方向の長さは1.2μm〜4.0μmであり、W方向の長さとL方向の長さはそれぞれ同一である。またその厚みは同じで150nm〜250μmである。
【0056】
図2(a)〜(g)は本実施形態のヒューズ6の製造方法を示す断面図(図1のA−A’における断面図)である。
【0057】
まず、図2(a)に示すようにn型半導体基板11を準備する。
その後、図2(b)に示すようにn型半導体基板11の上にLOCOS法によってフィールド酸化膜12を形成する。
【0058】
その後、図2(c)に示すようにCVD(Chemical−Vapor−Deposition)法などによって厚みが150nm〜250nmのポリシリコン膜13を形成する。続いてポリシリコン膜13に対して所定の抵抗値を有するようにn型不純物のイオン注入、一例として不純物濃度2E20/cm-3のリンのイオン注入を行う。
【0059】
その後、図2(d)に示すようにフォトレジスト14をスピンコーターなどで塗布する。続いて、ジョイント基部1と第一溶断部領域3、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5から構成される溶断部10の形状が描かれた図示しないフォトマスクを用い、フォトレジスト14を露光装置で露光する。
【0060】
その後、図2(e)に示すようにフォトマスクを介して露光された部分以外のフォトレジスト14を除去する。
【0061】
その後、図2(f)に示すようにフォトレジスト14をマスクとして異方性エッチング、いわゆるドライエッチングをポリシリコン膜13に対して行う。
【0062】
その後、図2(g)に示すようにフォトレジスト14を除去し、図1のコンタクト2を形成し、ALなどで配線をおこなう。以上のように、図1のヒューズ6は、異方性エッチングによってポリシリコンをパターニングして形成される。
【0063】
ここで本実施形態のヒューズ6の抵抗値を図7のヒューズ106の抵抗値と比較して考えてみる。
【0064】
図7のヒューズ106における溶断部140のL方向の長さと本実施形態のヒューズ6における第一溶断部領域3、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のL方向のトータルの長さとの両方を6μmと同一にした場合について考える。
【0065】
図7のヒューズ106における溶断部140のL方向の長さを6μm、W方向の長さを1μmとした場合、単位長当たりのシート抵抗比は6μm÷1μm=6となる。一方、本実施形態のヒューズ6において、第一溶断部領域3のL方向の長さを1μm、W方向の長さを1μmとし、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のL方向の長さを2.5μm、W方向の長さを2.5μmとした場合、第一溶断部領域3、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5のシート抵抗比はそれぞれ1となり、第一溶断部領域3、第二溶断部領域4および第三溶断部領域5を含めたトータルでのシート抵抗比は3となる。
【0066】
このように本実施形態のヒューズ6では、ヒューズ6の溶断部10の各領域においてL方向の長さおよびW方向の長さが同一であり、L方向の長さが図7のヒューズ106と同一であってもシート抵抗比は半減しており、ヒューズ全体の抵抗値は図7のヒューズ106より低くなり、結果的にヒューズの切断電圧を低減させることができる。
【0067】
また、本実施形態のヒューズ6の抵抗値は図7のヒューズ106より低いため、図6におけるヒューズと抵抗素子33からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子34からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子35からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子36からなる合成抵抗がそれぞれ低くなるため、ヒューズ6を溶断しない場合の合成抵抗での電圧降下が小さくなり、基板電圧Vsubの設定できる電圧範囲は図7のヒューズ106を用いたVsub電圧発生回路26より広くなる。例えば、固体撮像装置の最適な基板電圧Vsubが図6のVDD端子に印加する電圧に近い場合でも最適な基板電圧Vsubを設定でき、ブルーミングの抑制を精度よく行える。
【0068】
しかも本実施形態のヒューズ6の製造方法では異方性エッチング(ドライエッチング)にてヒューズ6の形状を形成しているため、サイドエッチングによるポリシリコンの侵食は抑えられ、等方性エッチングを用いてヒューズを形成した場合と比較して溶断部10の断面積のバラツキが低減される。従って、安定したヒューズ6の溶断が可能となるとともに、ポリシリコンで形成された配線層の形状、例えば抵抗素子および転送電極の形状がばらつかなくなり、結果的に画質異常およびブルーミングなどの特性不具合を抑えることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0070】
本実施形態の固体撮像装置は、半導体基板に形成されたCCD型の固体撮像装置であって、複数の光電変換素子で発生した過剰電荷を半導体基板に排出するオーバーフロードレイン構造を有する。同固体撮像装置の構成は、図4と同じであるため、ここでは詳細な説明を省く。
【0071】
本実施形態の固体撮像装置は、オーバーフロードレイン構造のオーバーフローバリアの高さを規定する基板電圧Vsubを半導体基板に印加するVsub電圧発生回路26を備える。Vsub電圧発生回路26は、ヒューズ106に変えて異なる構成のヒューズ46が用いられるという点を除いて、直列接続された複数の抵抗素子を含み、電圧分割により基板電圧を出力する抵抗回路と、複数の抵抗素子のいずれかに並列に接続されたポリシリコンのパターンであるヒューズとを含むという点は図6の回路構成と同じであるため、ここでは詳細な説明を省く。
【0072】
以下、図3を参照しながら本実施形態の固体撮像装置のVsub電圧発生回路26に用いられるヒューズ46について説明する。
【0073】
図3は本実施形態のポリシリコンからなるヒューズ46の構成の概要を示す図である。
このヒューズ46は、パッド(図示せず)に接続されるAL配線(図示せず)などに接続される電極としてのコンタクト2を両端に有する。ヒューズ46は、コンタクト(電極)2が設けられた2つのジョイント基部1と、2つのジョイント基部1に挟まれて位置し、コンタクト2を介して電圧が印加されることにより電流が流れて溶断する溶断部40とを含む。言い換えると、ヒューズ46は、ポリシリコンによって形成されたジョイント基部1を両端に有し、ジョイント基部1と同じ工程で形成されるポリシリコン(ジョイント基部1と同じ材料のポリシリコン)によって形成され、両端のジョイント基部1に挟まれた領域である溶断部40を備えている。また、ジョイント基部1は電流密度を緩和するためにテーパー形状とされている。
【0074】
溶断部40は、溶断部40を流れる電流の向きと平行な方向をL方向、該L方向に対して垂直な方向をW方向としてW方向の長さがジョイント基部1より小さい。溶断部40はW方向の長さが異なる複数の領域(部位)を含み、このW方向の長さが異なる複数の領域のいずれかではW方向とL方向との長さが同じである。具体的には、溶断部40は、第一溶断部領域43と、第一溶断部領域43を挟んで位置する、第一溶断部領域43とW方向の長さが異なる領域であって、同じW方向の長さを有する第二溶断部領域44および第三溶断部領域45との3つの領域を含む。
【0075】
第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のそれぞれでは、L方向の長さとW方向の長さとが同一である。第一溶断部領域43では、L方向の長さがW方向の長さより大きい。第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のL方向の長さは第一溶断部領域43のL方向の長さより大きく、かつ第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のW方向の長さは第一溶断部領域43のW方向の長さより大きい。
【0076】
第一溶断部領域43のポリシリコンのW方向の幅は一例として0.8μm〜2.0μmであり、L方向の長さは1μm〜4μmであり、W方向の長さとL方向の長さは異なる。またその厚みは150nm〜250μmである。
【0077】
第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のそれぞれのポリシリコンのW方向の幅は一例として1.2μm〜4.0μmであり、L方向の長さは1.2μm〜4.0μmであり、W方向の長さとL方向の長さはそれぞれ同一である。その厚みは同じで150nm〜250μmである。
【0078】
図3のヒューズ46は、第一溶断部領域43においてL方向の長さがW方向の長さより大きく、第一溶断部領域43の中心から第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のそれぞれの端部までの距離が離れているという点で図1のヒューズ6と異なる。
【0079】
本実施形態のヒューズ46の製造方法を示す断面図は図2と同じであり、ヒューズ46も異方性エッチングによってポリシリコンをパターニングして形成されるため、ここではヒューズ46の製造方法の説明を割愛する。
【0080】
ここで本実施形態のヒューズ46の抵抗値を図7のヒューズ106の抵抗値と比較して考えてみる。
【0081】
図7のヒューズ106における溶断部140のL方向の長さと本実施形態のヒューズ46における第一溶断部領域43、第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のL方向のトータルの長さとの両方を6μmにした場合について考える。
【0082】
図7のヒューズ106における溶断部140のL方向の長さを6μm、W方向の長さを1μmとした場合、単位長当たりのシート抵抗比は6μm÷1μm=6となる。一方、本実施形態のヒューズ46において、第一溶断部領域43のL方向の長さを2μm、W方向の長さを1μmとし、第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のL方向の長さを2μm、W方向の長さを2μmとした場合、第一溶断部領域43のシート抵抗比は2、第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のシート抵抗比はそれぞれ1となり、第一溶断部領域43、第二溶断部領域44および第三溶断部領域45を含めたトータルでのシート抵抗比は4となる。
【0083】
このように本実施形態のヒューズ46では、ヒューズ6の溶断部10の第二溶断部領域44および第三溶断部領域45においてL方向の長さおよびW方向の長さが同一であり、L方向の長さが図7のヒューズ106と同一であってもシート抵抗比は低減しており、ヒューズ全体の抵抗値は図7のヒューズ106より低くなり、結果的にヒューズの切断電圧を低減させることができる。
【0084】
また、本実施形態のヒューズ46では、第一溶断部領域43のL方向の長さがW方向の長さより大きくなり、第一溶断部領域43の中心から第二溶断部領域44および第三溶断部領域45のそれぞれの端部までの距離が図1のヒューズ6より離れている。従って、ジュール熱が第二溶断部領域44および第三溶断部領域45に発散しにくくなるため、安定してヒューズ46の溶断が行える。
【0085】
また、本実施形態のヒューズ46の抵抗値は図7のヒューズ106より低いため、図6におけるヒューズと抵抗素子33からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子34からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子35からなる合成抵抗、ヒューズと抵抗素子36からなる合成抵抗がそれぞれ低くなるため、電圧降下が小さくなり、基板電圧Vsubの設定できる電圧範囲は図7のヒューズ106を用いたVsub電圧発生回路26より広くなる。例えば、固体撮像装置の最適な基板電圧Vsubが図6のVDD端子に印加する電圧に近い場合でも最適な基板電圧Vsubを設定でき、ブルーミングの抑制を精度よく行える。
【0086】
しかも本実施形態のヒューズ46の製造方法では異方性エッチング(ドライエッチング)にてヒューズ46の形状を形成しているため、サイドエッチングによるポリシリコンの侵食は発生せず、等方性エッチングを用いてヒューズを形成した場合と比較して溶断部40の断面積のバラツキが低減される。従って、安定したヒューズ46の溶断が可能となるとともに、ポリシリコンで形成された配線層の形状、例えば抵抗素子および転送電極の形状がばらつかなくなり、結果的に画質異常およびブルーミングなどの特性不具合を抑えることができる。
【0087】
以上、本発明の固体撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0088】
例えば、上記実施形態において、固体撮像装置は、n型半導体基板に形成されるとしたが、p型半導体基板に形成されてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、溶断部は、幅広の第二溶断部領域、幅狭の第一溶断部領域、および幅広の第三溶断部領域が順次並んで構成され、溶断部では、L方向に向かってW方向の長さが段階的に小さくなり、かつ大きくなる。しかし、溶断部は、第二溶断部領域および第三溶断部領域のいずれかを含まず、溶断部では、L方向に向かってW方向の長さが段階的に小さくなる又は大きくなるだけでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、固体撮像装置に有用であり、特に固体撮像装置に用いられるポリシリコンからなるヒューズを形成する方法等に有用である。
【符号の説明】
【0091】
1、101 ジョイント基部
2、102 コンタクト
3、43 第一溶断部領域
4、44 第二溶断部領域
5、45 第三溶断部領域
6、46、106 ヒューズ
10、40、140 溶断部
11、28、111 n型半導体基板
12、112 フィールド酸化膜
13、113 ポリシリコン膜
14、114 フォトレジスト
20 定電流源
21 ホトダイオード
22 読み出しゲート
23 垂直転送CCD
24 水平転送CCD
25 出力アンプ
26 Vsub電圧発生回路
27 クランプダイオード
29 転送電極
30 pウェル領域
32、33、34、35、36、37 抵抗素子
38 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成されたCCD型の固体撮像装置であって、
複数の光電変換素子で発生した過剰電荷を前記半導体基板に排出するオーバーフロードレイン構造を有し、
前記オーバーフロードレイン構造のオーバーフローバリアの高さを規定する基板電圧を前記半導体基板に印加する電圧発生回路を備え、
前記電圧発生回路は、直列接続された複数の抵抗素子を含み、電圧分割により基板電圧を出力する抵抗回路と、前記複数の抵抗素子のいずれかに並列に接続されたポリシリコンのパターンであるヒューズとを含み、
前記ヒューズは、電極が設けられた2つの基部と、前記2つの基部に挟まれて位置し、前記電極を介して電圧が印加されることにより電流が流れて溶断する溶断部とを含み、
前記溶断部は、前記溶断部を流れる電流の向きと平行な方向をL方向、該L方向に対して垂直な方向をW方向として前記W方向の長さが前記基部より小さく、
前記溶断部は、前記W方向の長さが異なる複数の領域を含む
固体撮像装置。
【請求項2】
前記溶断部の前記W方向の長さが異なる複数の領域のいずれかは、前記W方向の長さと前記L方向の長さとが同一である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記溶断部は、第一領域と、前記第一領域を挟んで位置する、前記第一領域と前記W方向の長さが異なる領域であって、同じ前記W方向の長さを有する第二領域および第三領域とを含み、
前記第一領域、前記第二領域および前記第三領域のそれぞれでは、前記L方向の長さと前記W方向の長さとが同一であり、
前記第二領域および前記第三領域の前記L方向の長さは、前記第一領域の前記L方向の長さより大きく、
前記第二領域および前記第三領域のW方向の長さは、前記第一領域の前記W方向の長さより大きい
請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記ヒューズは、第一領域と、前記第一領域を挟んで位置する、前記第一領域と前記W方向の長さが異なる領域であって、同じ前記W方向の長さを有する第二領域および第三領域を含み、
前記第二領域および前記第三領域のそれぞれでは、前記L方向の長さと前記W方向の長さとが同一であり、
前記第一領域では、前記L方向の長さが前記W方向の長さより大きく、
前記第二領域および前記第三領域の前記L方向の長さは、前記第一領域の前記L方向の長さより大きく、
前記第二領域および前記第三領域の前記W方向の長さは、前記第一領域の前記W方向の長さより大きい
請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記ヒューズは、異方性エッチングによってポリシリコンをパターニングして形成される
請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−253914(P2011−253914A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126359(P2010−126359)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】