説明

固定具、被固定部材の固定構造、被固定部材の固定方法及び固定具の固定解除方法

【課題】部品点数が少なく、作業性の良い、固定具、被固定部材の固定構造、被固定部材の固定方法及び固定具の固定解除方法を得る。
【解決手段】クリップ14の挿入部22を貫通孔16へ挿入して貫通孔16内を通過させると、爪部32は復元し、爪部32の上面が貫通孔16の周縁部に当接可能となる。この状態で、操作片26をボディパネル10の固定孔18へ挿通し、固定孔18内を通過させると、操作片26は復元し、操作片26が固定孔18の周縁部に当接可能となる。この状態から、操作部56を傾倒させて、ロックバー52をロック溝44に係合させる。これにより、操作片26はその移動が規制されると共に、ハウジング12がボディパネル10に固定される。このように、クリップ14のみでハウジング12をボディパネル10に固定させることができるため、従来と比較して部品点数を削減することができ、作業性も良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被固定部材を固定部材に固定する際に用いられる固定具、被固定部材の固定構造、被固定部材の固定方法及び固定具の固定解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリアコンビネーションランプをボディパネルに取付けるため、例えば、特許文献1では、車体パネル板(ボディパネル)の所定位置に形成された各取付孔に各々第1部材を取付け、ランプ台(リアコンビネーションランプのハウジング)には係止枠を形成し、該係止枠に第2部材をそれぞれ取付けている。そして、この第2部材を第1部材に装着させることで、ランプ台を車体パネル板に取付けているが、部品点数が多く、作業性が良くない。
【特許文献2】特開2000−108781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記事実を考慮して、部品点数が少なく、作業性の良い、固定具、被固定部材の固定構造、被固定部材の固定方法及び固定具の固定解除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、固定部材に形成された固定孔と被固定部材に形成された被固定孔へ挿通され、前記被固定部材を前記固定部材に固定する固定具であって、前記固定孔及び前記被固定孔へ挿入される本体部と、前記本体部の一端側の側面から張り出して形成され、縮径して前記被固定孔内へ挿入され、被固定孔を通過後に復元して該被固定孔の周縁部に係止される係止部と、前記本体部の他端側に傾倒可能に取付けられ、前記係止部が前記被固定孔の周縁部に係止された状態で、傾倒して前記固定部材に当たり前記係止部と共に該固定部材及び前記被固定部材を挟持する操作片と、前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、を有することを特徴とする。
【0005】
請求項1に記載の発明では、固定孔及び被固定孔へ挿入される本体部には、本体部の一端側の側面から張り出す係止部を設けており、該係止部を縮径させて被固定孔内へ挿入する。そして、係止部が被固定孔を通過すると、該係止部は復元するが、係止部が復元した状態で、係止部は被固定孔の周縁部に係止される。
【0006】
また、本体部の他端側には、操作片が傾倒可能に取付けられており、係止部が被固定孔の周縁部に係止された状態で、該操作片を傾倒させると、操作片が固定部材に当たり係止部と共に固定部材及び被固定部材を挟持する。そして、ロック手段によって、操作片の傾倒状態が維持される(いわゆる本止め)。
【0007】
これにより、被固定部材が固定部材に固定される。このように、固定具のみで被固定部材を固定部材に固定させることができるため、従来と比較して部品点数を削減することができ、作業性も良い。
【0008】
ここで、操作片が係止部と共に固定部材及び被固定部材を挟持した状態で、操作片が固定部材に当たるようにしているが、該操作片が固定部材側へ食い込むようにすることで、本体部の一端側から他端側へクリップを引き込む力(反力)が作用する。この引き込み力を利用することで、ボルト・ナットの代替えとしてこの固定具を用いることができる。
【0009】
また、この固定具によると、係止部を被固定孔の周縁部に係止させた状態で、操作片を傾倒させるだけで、固定具で締付けた状態で被固定部材を固定部材に固定させることができる。このため、工具などによる締付け作業をなくし、操作片を傾倒させるワンタッチ作業での組み付けが可能であり、被固定部材を固定部材に確実、かつ容易に固定させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、固定具において、固定部材に形成された固定孔と被固定部材に形成された被固定孔へ挿通され、前記被固定部材を前記固定部材に固定する固定具であって、前記固定孔及び被固定孔へ挿入される本体部と、前記本体部の一端側の側面に設けられ、前記被固定孔を通過した後、被固定孔の周縁部に抜け止めされる抜け止め部と、前記本体部の他端側に傾倒可能に取付けられ、前記抜け止め部が前記被固定孔に抜け止めされた状態で、傾倒して前記固定部材に当たり、前記抜け止め部と共に該固定部材及び前記被固定部材を挟持する操作片と、前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、を有する。
【0011】
前述の請求項1に記載の発明では、本体部に係止部を設け、該係止部を弾性変形させて被固定孔の周縁部に係止させるようにしたが、請求項2に記載の発明では、例えば、本体部に、凸部又は凹部形状の抜け止め部を設け、被固定孔の孔壁には該抜け止め部が通過可能な切欠き部又は張出し部を設ける。
【0012】
これにより、抜け止め部が切欠き部又は張出し部を通過した後、被固定孔の周縁部又は該張出し部によって本体部が抜け止めされるようにする。したがって、本体部に係止部のような弾性変形部を設ける必要がなくなる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の固定具において、前記抜け止め部が前記被固定孔への前記本体部の挿入方向に沿って形成された抜け止めリブであり、前記抜け止めリブの端面が前記被固定孔の孔壁に形成された切欠き部を通過した後、該本体部を回転させることで、前記抜け止めリブが前記被固定孔の周縁部に抜け止めされる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、抜け止め部として本体部には本体の挿入方向に沿って抜け止めリブを形成している。このため、被固定孔の孔壁には該抜け止めリブが通過可能な切欠き部を設けることとなるが、抜け止めリブの端面が該切欠き部を通過した後、本体部を回転させると、抜け止めリブは被固定孔の周縁部と対面し、該被固定孔の周縁部に抜け止めされることとなる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、固定部材に被固定部材を固定する固定具であって、前記固定部材に設けられ、前記被固定部材に形成された挿入孔内へ挿入される本体部と、前記本体部に傾倒可能に取付けられ、傾倒して前記挿入孔の周縁部に当たり、前記固定部材と共に前記被固定部材を挟持する操作片と、前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、を有する。
【0016】
請求項4に記載の発明では、本体部を固定部材に設けており、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明のように、本体部を固定部材に取付けるための取付工程が不要となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、固定具において、固定部材に被固定部材を固定する固定具であって、前記被固定部材に設けられ、前記固定部材に形成された挿入孔内へ挿入される本体部と、前記本体部に傾倒可能に取付けられ、傾倒して前記挿入孔の周縁部に当たり、前記被固定部材と共に前記固定部材を挟持する操作片と、前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、を有する。
【0018】
請求項5に記載の発明では、本体部を被固定部材に設けており、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明のように、本体部を被固定部材に取付けるための取付工程が不要となる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の固定具において、前記操作片が略U字状を成し、両端部に設けられたピンが前記本体部に設けられた軸孔に係合して傾倒可能とされている。
【0020】
請求項6に記載の発明では、操作片を略U字状に形成し、該操作片の両端部にピンを設けている。本体部には軸孔を設け、該軸孔に操作片のピンを係合させてこの操作片を傾倒可能にしている。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の固定具において、前記ロック手段による前記操作片のロック状態で、前記固定部材を押圧する押圧部を前記操作片の軸部に設けている。
【0022】
請求項7に記載の発明では、操作片の軸部に押圧部を設け、操作片のロック状態で固定部材を押圧することで、該押圧部を固定部材側へ食い込ませるようにして、クリップに引き込む力を作用させる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の固定具において、前記操作片が弾性部材で形成され、縮幅して前記固定孔又は前記挿入孔内へ挿入されて、固定孔又は挿入孔を通過後に復元する。
【0024】
請求項8に記載の発明では、操作片を弾性部材で形成し、操作片を縮幅させて固定孔又は挿入孔内へ挿入する。これにより、操作片が固定孔又は挿入孔を通過すると、該操作片は復元するが、操作片と係止部の間には、固定部材及び被固定部材が配置されることとなり、固定具が抜け止めされた状態となる(いわゆる仮止め)。
【0025】
つまり、この固定具では、仮止めと本止めの機構を両方併せ持っているため、固定具を仮止めするための別部材を必要とすることなく、構成部品点数の削減及び工具レス化を実現させることができる。また、固定具を固定部材に先付けすることも可能である。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載の固定具において、前記ロック手段は、前記操作片又は前記本体部に設けられた係合部と、前記本体部又は前記操作片に設けられ前記係合部が係合し傾倒した前記操作片の傾倒状態を維持するロック溝と、を含んで構成されている。
【0027】
請求項9に記載の発明では、操作片(又は本体部)に係合部を設け、本体部(又は操作片)に係合部が係合するロック溝を設け、係合部がロック溝に係合した状態で、操作片の傾倒状態を維持するようにしている。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の固定具において、前記係合部が前記操作片に設けられ、前記係合部が係合して該操作片を前記本体部の軸線方向に沿って起立させる被係合部が本体部に設けられている。
【0029】
請求項10に記載の発明では、係合部を操作片に設け、係合部が係合して操作片を本体部の軸線方向に沿って起立させる被係合部を本体部に設けている。操作片を起立させることで、操作片を固定孔内へ挿入するときに、操作片が傾倒しないようにすることができるため、操作しやすい。
【0030】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載の固定具において、前記操作片が起立した状態で、前記固定孔又は前記挿入孔の孔壁に当接し、該固定孔又は前記挿入孔に対して前記本体部の中心位置を決めるセンタリング手段を前記操作片に設けたことを特徴とする。
【0031】
請求項11に記載の発明では、操作片にセンタリング手段を設け、操作片が起立した状態で、該センタリング手段が固定孔又は挿入孔の孔壁に当接するようにしている。これにより、固定孔又は挿入孔に対して本体部の中心位置を決めている。
【0032】
操作片を縮幅させた状態で固定孔又は挿入孔の孔壁にセンタリング手段を当接させるようにすることで、センタリング手段で突っ張った状態で固定具が保持されることとなり、固定孔又は挿入孔に対して固定具を確実にセンタリングさせることができる。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11の何れか1項に記載の固定具において、前記係合部を前記操作片の傾倒方向と交差する方向へ移動させることで、該係合部が前記ロック溝にロックされた状態が解除される。
【0034】
請求項12に記載の発明では、操作片の位置を変えるだけで、係合部がロック溝からロック解除される。
【0035】
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12の何れか1項に記載の固定具において、前記被係合部と前記ロック溝を繋ぎ、前記係合部がロック溝から被係合部に至るまでに通過する復帰溝を設けた。
【0036】
請求項13に記載の発明では、被係合部とロック溝を繋ぎ、ロック溝から被係合部に至るまでに係合部が通過する復帰溝を設けており、係合部がロック溝にロックされるときに該係合部が通過する通路と、係合部がロック溝からロック解除された後、該係合部が通過する通路(復帰溝)とを変えている。
【0037】
これにより、係合部がロック溝にロックされた状態から解除させるときに、係合部を該ロック溝にロックさせるための通路を通過しなくてもよいので、係合部がロック溝にロックされた状態の係合力と係合部をロック溝からロック解除するときの係合解除力とを独立させることができる。したがって、係合部とロック溝との係合力を大きくすると共に、係合部のロック溝からの係合解除力を小さくすることができる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜3、6〜13の何れか1項に記載の固定具において、前記本体部の一端側に位置し前記被固定部材に当たり前記操作片の傾倒方向への本体部の傾倒を規制する規制部を設けた。
【0039】
係止部が被固定孔の周縁部に係止された状態で操作片を傾倒させると、該操作片が固定部材に当たり係止部又は抜け止め部と共に固定部材及び被固定部材を挟持するが、請求項14に記載の発明では、本体部の傾倒を規制する規制部を設けることで、操作片を傾倒させるとき、該規制部が被固定孔の周縁部に当接して、本体部の傾倒が規制される。これにより、ロック手段による操作片のロック状態を確実に得ることができる。なお、係止部を規制部として兼用するようにしても良い。
【0040】
請求項15に記載の発明は、請求項2、3、6〜13の何れか1項に記載の固定具において、前記規制部が前記抜け止め部を兼用する。
【0041】
請求項15に記載の発明では、規制部を抜け止め部として兼用するため、別途抜け止め部を設ける必要がない。
【0042】
請求項16に記載の発明は、被固定部材の固定構造において、請求項1〜15の何れか1項に記載の固定具を用いて、被固定部材を固定部材に固定させる。
【0043】
請求項16に記載の発明では、請求項1〜15の何れか1項に記載の発明の効果と略同一の効果を得ることができる。
【0044】
請求項17に記載の発明は、被固定部材を固定部材に固定させる被固定部材の固定方法であって、請求項1、6〜15の何れか1項に記載の固定具の前記係止部を前記被固定孔へ挿入し通過させる第1挿入工程と、前記第1挿入工程後、前記固定具の前記操作片を前記固定孔へ挿入し通過させる第2挿入工程と、前記第2挿入工程後、該操作片を傾倒させて、前記係止部と共に前記固定部材及び前記被固定部材を挟持して、被固定部材を固定部材に固定する固定工程と、を有する。
【0045】
請求項17に記載の発明では、第1挿入工程において、固定具の係止部を被固定孔へ挿入し通過させ、係止部を被固定孔の周縁部に係止させた後、第2挿入工程において、固定具の操作片を固定孔へ挿入し通過させる。これにより、操作片と係止部の間に、固定部材と被固定部材を配置することができる。
【0046】
そして、固定工程において、操作片を傾倒させると、係止部と共に固定部材及び被固定部材を挟持して、被固定部材を固定部材に固定させることができる。
【0047】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の被固定部材の固定方法において、前記第1挿入工程で、前記固定具の前記本体部が前記被固定部材に仮止めされる。
【0048】
請求項18に記載の発明では、第1挿入工程で、固定具の本体部を被固定部材に仮止めすることができる。このように、固定工程とは別に仮止め固定を設け、これらを両方併せ持つことで、構成部品点数の削減及び工具レス化を実現させることができる。
【0049】
請求項19に記載の発明は、請求項1〜15の何れか1項に記載の固定具の解除方法であって、前記操作片の傾倒状態を解除する傾倒状態解除工程と、前記傾倒状態解除工程後、前記操作片を回転させ起立させる操作片起立工程と、前記操作片起立工程後、前記操作片を前記固定孔又は前記挿入孔から引抜く操作片引抜き工程と、を有する。
【0050】
請求項19に記載の発明では、傾倒状態解除工程において、操作片の傾倒状態を解除した後、操作片起立工程において、操作片を回転させ起立させる。そして、操作片引抜き工程において、操作片を固定孔又は挿入孔から引抜き、固定部材と被固定部材を引き離す。
【発明の効果】
【0051】
本発明は、上記構成としたので、部品点数が少なく、被固定部材を固定部材に固定させる際の作業性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態に係るクリップについて説明する。
【0053】
図1に示すように、ボディパネル(固定部材)10には、例えば、コンビネーションランプ用のハウジング(被固定部材)12が固定されるようになっているが、このハウジング12は該クリップ(固定具)14を介してボディパネル10に固定される。
【0054】
ここでは、ハウジング12が略円錐台状を成しており、中央部はフラット面12Aとされ、該フラット面12Aの中央部に、貫通孔16(被固定孔)が形成されている。そして、この貫通孔16には、一対の切欠き部16Aが互いに対向した位置に配置されている。一方、ボディパネル10には、ハウジング12をボディパネル10に取付ける際のハウジング12の貫通孔16と対応する位置に固定孔18が形成されている。
【0055】
図1〜図3に示すように、クリップ14は、樹脂で成形され、本体部20を備えており、該本体部20は、ハウジング12の貫通孔16に挿入可能な略円筒状の挿入部22と、該挿入部22の反対側に設けられた略角柱状の軸部24と、を含んで構成され、軸部24には、該軸部24に対して操作片26が傾倒可能に取付けられるようになっている。なお、説明の便宜上、軸部24側を上部とし、挿入部22側を下部とする。
【0056】
挿入部22はハウジング12の貫通孔16に挿入可能な大きさとされており、挿入部22の外周面には、貫通孔16の切欠き部16A内を挿通可能な、断面が略矩形状を成す一対の位置決めリブ30が形成されている。
【0057】
この位置決めリブ30の位置を切欠き部16Aの位置に合わせることで、ハウジング12に対するクリップ14の向きが決められる。そして、この位置決めリブ30が形成されている側を、便宜上、挿入部22(本体部20)の前後面とする。なお、この位置決めリブ30の形状は切欠き部16Aの形状によって異なる。
【0058】
また、挿入部22の側面からは、外側へ向かって爪部(係止部)32が張り出している。この爪部32は断面が略三角形状を成しており、爪部32の上面は、挿入部22の軸線Pに対して略直交している。また、爪部32の周囲には、爪部32の上面側が自由端側となるように、略逆U字状の切込み部28が形成されており、爪部32の基部を中心に爪部32が縮径可能とされている。
【0059】
さらに、爪部32の上面には、挿入部22の外周面と略同一径の外周面を有する円弧リブ34が立設している。この円弧リブ34はハウジング12の貫通孔16の孔壁に当接可能とされ、ハウジング12に爪部32が係止された状態で、貫通孔16の内側に配置されて、爪部32を保持する(図6参照)。
【0060】
一方、軸部24には、軸部24の側面を貫通する軸孔36が形成されている。この軸孔36には、後述する操作片26に設けられたシャフト(ピン)38が挿入可能となっている。また、軸部24の幅方向の中央には、軸部24の上面から前面側中央に掛けて、側面視にて(図4参照)凸状の円弧面を有するガイド溝40が凹設されている。
【0061】
このガイド溝40の上端部には、略直方体状の係合孔42が凹設されている。また、ガイド溝40の下端部には、ガイド溝40と直交するロック溝44がガイド溝40よりも一段下がった状態で凹設されている。そして、ロック溝44の下部に位置する軸部24の前壁46の両側には、軸部24の側面から張り出す張出部48が設けられている。
【0062】
軸孔36に取付けられる操作片26は、略U字状を成しており、操作片26の内面の両端側には、互いに向かって突出するシャフト38が設けられている。このシャフト38が軸孔36に挿入され、該シャフト38を介して、操作片26を軸部24に対して傾倒可能としている。
【0063】
ここで、シャフト38及び軸部24のうち、どちらか一方を楕円形状とし、操作片26の傾倒角度に応じて、シャフト38と軸部24との間のクリアランスを変え、操作片26がロックされる位置において、該クリアランスが最小となるようにしている。
【0064】
また、シャフト38とシャフト38の間には、隙間を設けるようにしており、操作片26を縮幅可能としている。そして、この操作片26を縮幅させた状態で、ボディパネル10の固定孔18への挿入が可能となる。
【0065】
なお、この操作片26はハウジング12の貫通孔16の孔径よりも幅広となっている(図7参照)。また、該隙間は操作片26を固定孔18へ挿入させるため縮幅に必要な量とし、シャフト38と軸部24の係り代をできるだけ大きくしてシャフト38が軸部24から容易に外れないようにしている。
【0066】
また、操作片26の両端部の略中央には、センタリングリブ50(センタリング手段)が設けられており、図7に示すように、操作片26が軸部24の軸線方向に沿った状態で軸部24よりも長く設定されている。このため、操作片26をボディパネル10の固定孔18へ挿通させた状態で、このセンタリングリブ50が固定孔18の孔壁に当接可能となる。
【0067】
また、操作片26の自由端部の内側からは、図3及び図4に示すように、操作片26の後方へ向かうように斜め下方へ延出する略角柱状のロックバー52が設けられている。このロックバー52は係合孔42に係合或いは係合解除可能となっており、ロックバー52が係合孔42に係合された状態では、操作片26の起立状態(図3参照)が維持される。
【0068】
また、ロックバー52はガイド溝40内を移動可能となっており、操作片26の起立状態から操作片26をさらに傾倒させると、ロックバー52と係合孔42との係合状態が解除され、ロックバー52がガイド溝40に沿って移動する。
【0069】
さらに、ロックバー52はロック溝44に係合、或いは係合解除可能となっており、ロック溝44に係合された状態で、ロックバー52は移動規制され、操作片26がロックされる(図4の仮想線で示される状態)。
【0070】
なお、ロックバー52とロック溝44との係合状態を解除させるときに必要な応力は、ロックバー52と係合孔42との係合状態を解除させるときに必要な応力よりも大きくなるようにしている。これにより、操作片26の操作性を上げると共に、操作片26によるロック状態が確実に維持されることとなる。
【0071】
また、操作片26の自由端側の外面からは、センタリングリブ50の反対側へ向かって、操作片26の自由端部から突出する長さとなるように一対の延出部54が延出し、この延出部54の端部同士を繋いで略三角形状を成す操作部56が設けられている。
【0072】
この操作部56を押圧することで、操作片26が傾倒することとなる。操作部56には中央部を仕切って略三角形状の肉盗み58を凹設し、成形後に操作部56がひけないようにしている。また、この肉盗み58を設けることで、肉盗み58の外縁部はリブ60が形成されることとなるため、操作部56の剛性を高めることができる。
【0073】
操作片26は弾性変形可能としているが、該操作片26を傾倒させるための操作部56が容易に弾性変形してしまうと、その操作性に不都合が生じるため、操作部56の剛性を高くして、操作性を向上させている。また、操作片26から操作部56を延出させることで、操作部材62(操作片26及び操作部56)の長さは長くなるため、操作性が良くなる。
【0074】
一方、操作片26のシャフト38側の前面には、押圧部64が突設している。図8(A)、(B)に示すように、挿入部22の爪部32が貫通孔16内を通過し、操作片26が固定孔18を通過した状態で、ボディパネル10とハウジング12の肉厚(t)よりも、爪部32の上面と該操作片26の押圧部64の距離の方が短くなるようにしている。
【0075】
これにより、操作片26を傾倒させ、ロックバー52をロック溝44に係合(ロック)させた状態で、操作片26の押圧部64がボディパネル10に当接し、押圧部64と爪部32の上面とで、ボディパネル10とハウジング12を挟持する。これによって、ハウジング12がボディパネル10に固定されることとなる(図9参照)。
【0076】
次に、本発明の第1の実施形態に係るクリップの作用について説明する。
【0077】
図4に示すように、まず、クリップ14の操作片26のロックバー52を係合孔42に係合させ、操作片26を起立させた状態で、図1に示すクリップ14の挿入部22の位置決めリブ30をハウジング12の貫通孔16の切欠き部16Aに位置合わせして、該挿入部22を貫通孔16へ挿入させる。
【0078】
図5に示す状態でクリップ14を押圧し、貫通孔16の内縁部を介して挿入部22の爪部32を縮径させる。これによって挿入部22が貫通孔16内へ挿入可能となる。そして、図6に示すように、爪部32が貫通孔16内を通過すると、爪部32は復元し、爪部32の上面が貫通孔16の周縁部に当接可能となる(第1挿入工程)。また、爪部32の円弧リブ34が貫通孔16の内側に配置され、爪部32が貫通孔16内で保持される。
【0079】
この状態で、ハウジング12は爪部32と操作片26の間に配置されることとなり、クリップ14はハウジング12に仮止めされることとなる(仮止め工程)。
【0080】
次に、操作片26をボディパネル10の固定孔18へ挿通させる。図6に示す状態でクリップ14を押圧し、固定孔18の内縁部を介して操作片26を縮幅させる。これによって操作片26が固定孔18内へ挿入可能となる。
【0081】
そして、図7に示すように、操作片26が固定孔18内を通過すると、操作片26は復元し、操作片26が固定孔18の周縁部に当接可能となる(第2挿入工程)。この状態で、センタリングリブ50が固定孔18の孔壁に当接し、固定孔18の軸芯に対してクリップ14が位置決めされる。
【0082】
ここで、操作片26を縮幅させた状態で固定孔18の孔壁にセンタリングリブ50を当接させるようにすることで、センタリングリブ50で突っ張った状態でクリップ14が保持されることとなり、固定孔18に対して、クリップ14を確実にセンタリングさせることができる。
【0083】
そして、この状態から、図4に示すように、ガイド溝40に沿って操作片26を傾倒させる。このとき、係合孔42と係合するロックバー52の係合状態が解除され、操作片26が傾倒可能となり、ロックバー52がガイド溝40に沿って移動する。そして、ロックバー52がロック溝44に係合するまで、操作片26を傾倒させる。
【0084】
ロックバー52がロック溝44に係合されることで、図8(B)に示すように、操作片26はその移動が規制されると共に、ボディパネル10とハウジング12は、挿入部22の爪部32の上面と操作片26の押圧部64との間で挟持され、これによって、ハウジング12がボディパネル10に固定される(固定工程)。このように、クリップ14のみでハウジング12をボディパネル10に固定させることができるため、従来と比較して部品点数を削減することができ、作業性も良い。
【0085】
ここで、挿入部22の爪部32が貫通孔16内を通過し、操作片26が固定孔18を通過した状態で、図10に示すように(なお、図10は説明用の概念図である)、ボディパネル10とハウジング12の肉厚(t)よりも、爪部32の上面と該操作片26の押圧部64の距離(h)の方が短く(h<t)なるようにすることで、ハウジング12がボディパネル10に固定された状態で、押圧部64をボディパネル10に押し付ける力Fが作用する。
【0086】
このため、該押圧部64にはその反力Nが発生することとなり、この反力Nは、操作片26を介してシャフト38へ伝達され、クリップ14を引き込む引き込み力Aとなる。
【0087】
ここで、クリップ14への引き込み力Aと押圧部64による押し付け力Fとが同一直線状とならないように、シャフト38の軸芯の位置と押圧部64がボディパネル10と接触する位置をクリップ14の水平方向でずらしている。これにより、本体部20にはシャフト38を中心に矢印B方向へのモーメントが発生することとなる。
【0088】
このため、押圧部64をさらにボディパネル10へ押し付ける力Fが作用し、クリップ14への引き込み力Aが増大して、ボディパネル10とハウジング12を挟持する挟持力が増す。これにより、ハウジング12をボディパネル10に確実に固定させることができる。このように、クリップ14への引き込み力Aを利用することで、ボルト・ナットの代替えとしてこのクリップ14を用いることができる。
【0089】
また、操作片26の傾倒角度に応じて、シャフト38と軸部24との間のクリアランスを変え、操作片26がロックされる位置において、該クリアランスが最小となるようにすることで、クリップ14への引き込み力を軸部24からシャフト38へ確実に伝達することができる。
【0090】
また、爪部32の上面を、挿入部22の軸線に対して略直交するように形成しているため、ハウジング12をボディパネル10に固定させた状態で、爪部32の上面がハウジング12の貫通孔16の周縁部に面接触することとなる。これにより、爪部32の上面に集中応力が作用して爪部32が撓んだりすることを防止する。
【0091】
このように、このクリップ14によると、爪部32を貫通孔16の周縁部に係止させ、操作片26を固定孔18へ通過させた後、操作片26を傾倒させるだけで、クリップ14で締付けた状態でハウジング12をボディパネル10に固定させることができる。
【0092】
このため、工具などによる締付け作業をなくし、操作片26を傾倒させるワンタッチ作業での組み付けが可能であり、ハウジング12をボディパネル10に確実、かつ容易に固定させることができる。このように、クリップ14のみでハウジング12をボディパネル10に固定させることができるため、従来と比較して部品点数を削減することができ、作業性も良い。
【0093】
また、係合孔42と係合するロックバー52を操作片26の後方へ向かうように斜め下方へ延出させるようにすることで、操作片26を傾倒させると、ロックバー52は撓んだ状態でガイド溝40内を移動することとなる。このため、該ロックバー52がロック溝44に係合するとき、ロックバー52の復元によりロックバー52がロック溝44の側壁の外縁部を弾くので、操作片26には節度感が得られる。
【0094】
そして、このロックバー52がロック溝44に係合された状態で、操作片26を元の位置に戻そうとすると、ロックバー52にはロック溝44の側壁に対して突っ張る方向への応力が生じ、ロックバー52のロック状態を維持するための荷重が高くなる。
【0095】
つまり、操作片26が起立した状態から操作片26を傾倒させるときに必要な荷重よりも、操作片26をロック溝44からロック解除させるときに必要な荷重を高荷重とすることができ、操作片26の操作性が良く、また、ロック解除され難いクリップ14を得ることができる。
【0096】
また、操作片26を弾性部材で形成し、この操作片26を縮幅させて、固定孔18内へ挿入する。操作片26が固定孔18を通過すると、該操作片26は復元するが、この状態で、操作片26と爪部32の間には、ボディパネル10及びハウジング12が配置されることとなり、クリップ14が抜け止めされた状態となるため、クリップ14を仮止めすることができる。なお、この仮止めは、挿入部22の爪部32が貫通孔16内を通過した状態でも成立する。
【0097】
つまり、このクリップ14では、仮止めと本止めの機構を両方併せ持っているため、クリップ14を仮止めするための別部材を必要とすることなく、構成部品点数の削減及び工具レス化を実現させることができる。また、挿入部22の爪部32を貫通孔16へ通過させる前に、操作片26を固定孔18へ通過させても良く、クリップ14をボディパネル10に先付けすることができる。
【0098】
さらに、操作片26のロックバー52を軸部24の係合孔42に係合させることで、操作片26を本体部20の軸線方向に沿って確実に起立させることができるようにしている。これにより、操作片26が所定位置に位置決めされ、操作片26を固定孔18内へ挿入するときに、操作片26が誤って傾倒したりすることがないため、操作しやすい。
【0099】
また、このロックバー52を操作片26の自由端部から延出させることで、操作片26の自由端側の剛性を上げることができ、操作片26の操作性を向上させることができる。
【0100】
なお、ここでは、操作片26を起立させ、或いは操作片26を傾倒させた状態でロックすることができれば良いため、軸部24はこの形状に限るものではない。
【0101】
例えば、図11に示すように、略角柱状の軸部66の幅方向中央部に、軸部66の上面から前壁に掛けてガイド溝68を凹設し、該ガイド溝68の上端部に係合孔70を設け、ガイド溝68の下端部にロック孔72を設ける。そして、係合孔70或いはロック孔72とガイド溝68とを区画する区画リブ74、76をそれぞれ設ける。
【0102】
一方、操作片78の自由端部の内側からは、略角柱状のロックバー80を垂下させ、該ロックバー80を、図12に示すように、区画リブ74によってガイド溝68と区画される係合孔70と係合(実線)させることで、操作片78を起立させることができる。
【0103】
また、ロックバー80を、区画リブ76によってガイド溝68と区画されるロック孔72と係合(仮想線)させることで、操作片78をロックするというものでも良い。ここで、操作片78に対するロックバー80の角度や区画リブ74、76の傾きを変えることにより操作片78の操作性を変えることができる。
【0104】
また、操作片78をロックするのに、ロックバー80以外を用いても良い。例えば、図13及び図14に示すように、操作片82の内面の中央には、操作片82の肉厚を若干薄くする凹部84が操作片82の延出方向へ沿って設けられており、この凹部84には、操作片82の内面との間に隙間を設けた状態で、該凹部84の両側壁を架け渡す弾性片86が設けられている。
【0105】
一方、略角柱状の軸部87の幅方向中央部には、軸部87の上面から前壁87Aに掛けてガイド溝88を凹設し、該ガイド溝88の上端部には係合孔90を設けている。また、軸部87の前壁87Aの両側部中央からは、係止爪92が張り出しており、下面が軸部66の軸線に対して略直交するようになっている。
【0106】
操作片82を傾倒させると、弾性片86が該係止爪92に当接し、一旦操作片82の移動が規制されるが、操作片82をさらに押圧すると、弾性片86が操作片82の凹部84側に弾性変形し、係止爪92を通過可能となる。そして、弾性片86が係止爪92を通過すると、弾性片86が復元し、係止爪92に係止されて、操作片82がロックされる、というものでも良い。
【0107】
次に、本発明の第2の実施形態に係るクリップについて説明する。なお、第1の実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0108】
第1の実施形態では、図3に示すように、ロックバー52を操作片26と共に、移動させ、該ロックバー52の位置によって、仮止め或いは本止めとなるようにしたが、ここでは、図15及び図16に示すように、ロックバー52の変わりに、支柱100を軸部102に固定し、該支柱100で操作片104を係止、或いは係止解除させるようにする。
【0109】
支柱100は、軸部102の上面から、軸部102の上部斜め後方へ向かって延出し、操作片104が起立した状態で、操作片104の内側となる位置で、軸部102の前方側へ向かって水平方向に折れ曲がり、先端部には上下面から張り出す係止部106が形成されている。
【0110】
この係止部106には、操作片104の自由端部が当接可能となっており、操作片104の自由端部が係止部106の内面に当接した状態で、操作片104が軸部102の軸線方向に沿って起立する位置となるように設定されている。そして、操作片104が係止部106の内面に当接した状態で、操作片104は移動規制され、起立した状態が維持される。
【0111】
また、軸部102の前壁108の両側部中央からは、張出し片110が張出している。一方、操作片104の内面中央部には、その前面側に突起部112が突設されている。操作片104を傾倒させると、該突起部112が張出し片110に当接して、移動規制されるが、操作片104をさらに押圧すると、突起部112を介して操作片104が弾性変形し、該突起部112が張出し片110を乗り越える。
【0112】
この突起部112が張出し片110を乗り越えた後、操作片104が復元して、突起部112が張出し片110の下面に係止される。これにより、操作片104がロックされることになる。
【0113】
この場合、係止部106は移動しないため、操作片104のロック状態において、係止部106が邪魔になる場合もあるが、操作片104を起立させ、或いは操作片104を傾倒させた状態でロックすることができれば良く、ボディパネル10への取付け位置によっては問題とはならない。
【0114】
次に、本発明の第3の実施形態に係るクリップについて説明する。なお、第1の実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0115】
第1の実施形態では、図3に示すように、クリップ14の本体部20の上部に設けられた軸部24の幅方向の中央にガイド溝40を凹設して、ガイド溝40の上端部には係合孔42を凹設し、ガイド溝40の下端部にはロック溝44を凹設している。そして、操作片26に設けられたロックバー52の先端部は、係合孔42又はロック溝44の間をガイド溝40に沿って移動する。
【0116】
このため、本実施形態では、図17〜19に示すように、ガイド溝40の両側に、ロック溝44から係合孔42へ繋がる復帰溝94を設けている。この復帰溝94はロック溝44よりも一段下がった高さとなっており、ガイド溝40と同様、復帰溝94は側面視にて凸状の円弧面を成して係合孔42へ繋がっている。係合孔42の両側には、復帰溝94と繋がる案内面94Aが設けられており、復帰溝94を移動するロックバー52の先端部が、係合孔42へスムーズに案内されるようにしている。
【0117】
復帰溝94とガイド溝40の間はガイド溝40の側壁40Aによって区画されており、ガイド溝40(又は復帰溝94)を移動するロックバー52の先端部が復帰溝94(又はガイド溝40)へ行かないようにしている。
【0118】
また、図20に示すように、ロックバー52の裏面中央には、突起部52Aが突設されている。この突起部52Aを操作片26の傾倒方向と交差(ここでは略直交)する方向へ押圧することでロックバー52の先端部をロック溝44から復帰溝94へ移動させることができる。
【0119】
ロックバー52は、操作片26の自由端部の内側から延出しており、ロックバー52の自由状態では、ロックバー52の先端部はガイド溝40と対面する。このため、ロックバー52が復帰溝94に位置している状態では、ロックバー52には復元力が蓄積された状態となっている。
【0120】
したがって、ロックバー52が復帰溝94を移動するとき、ロックバー52は、ロック溝44の側壁44A及びガイド溝40の側壁40Aを付勢しながら移動することとなるが、係合孔42ではロックバー52の移動を規制する壁部が無いため、ロックバー52の先端部は案内面94Aを経て係合孔42へ案内され、係合孔42に係合される。
【0121】
このように、係合孔42とロック溝44を繋ぎ、ロックバー52の先端部がロック溝44にロックされた状態から解除させるときにロックバー52の先端部が係合孔42へ至るまでに通過する復帰溝94を設けることで、ロックバー52の先端部がロック溝44にロックされるときに該ロックバー52の先端部が通過する通路(ガイド溝40)と、ロックバー52の先端部がロック溝44からロック解除されるときに該ロックバー52の先端部が通過する通路(復帰溝)とを変えることができる。
【0122】
これにより、ロックバー52の先端部をロック溝44にロックされた状態から解除させるときに、ロック溝44を乗り越えて、該ロック溝44からロック解除させる必要がないため、ロックバー52の先端部がロック溝44にロックされた状態の係合力とロックバー52の先端部をロック溝44からロック解除するときの係合解除力とを独立させることができる。このため、ロックバー52の先端部とロック溝44との係合力を大きくすると共に、ロックバー52の先端部のロック溝44からの係合解除力を小さくすることができる。
【0123】
また、第1の実施形態では、図3に示すように、挿入部22の外周面に、貫通孔16の切欠き部16A内を挿通可能な、断面が略矩形状を成す一対の位置決めリブ30を形成したが、本実施形態では、図17及び図21に示すように、操作片26の傾倒方向(矢印A方向)の反対側に位置する挿入部22の外周面に、規制爪(規制部)96を設け、該規制爪96の反対側を位置決めリブ30としている。
【0124】
この規制爪96の外面は、外側へ向かって張り出している。この規制爪96は断面が略三角形状を成しており、規制爪96の上面は、挿入部22の軸線Pに対して略直交している。また、規制爪96の周囲には、規制爪96の上面側が自由端側となるように、略逆U字状の切込み部96Aが形成されており、規制爪96の基部を中心に該規制爪96が縮径可能とされている。
【0125】
これにより、クリップ14をハウジング12に仮止めする仮止め工程において、図21に示す状態でクリップ14を押圧し、貫通孔16の内縁部を介して挿入部22の爪部32と共に規制爪96を縮径させ、爪部32及び規制爪96を貫通孔16内へ挿入して、図22(A)に示すように、爪部32及び規制爪96の上面を貫通孔16の周縁部に当接させる。
【0126】
爪部32が貫通孔16の周縁部に係止された状態で、図22(B)に示すように、操作片26を傾倒させると、該操作片26がボディパネル10に当たり爪部32又は規制爪96と共にボディパネル10及びハウジング12を挟持する。
【0127】
第1実施形態において説明したように、クリップ14では、ハウジング12がボディパネル10に固定された状態で、押圧部64をボディパネル10へ押し付ける押し付け力Fが作用するため、該押圧部64にはその反力Nが発生し、この反力Nが操作片26を介してシャフト38へ伝達され、クリップ14を引き込む引き込み力Aとなる。
【0128】
そして、このクリップ14への引き込み力Aは押圧部64による押し付け力Fとは同一直線上にないため、本体部20にはシャフト38を中心に矢印B方向へのモーメントが発生することとなるが、操作片26を傾倒させるとき、クリップ14がその軸線Pに対して傾いてしまうおそれがある。このため、本実施形態では、挿入部22の、操作片26の傾倒方向の反対側に、本体部20の傾倒を規制する規制爪96を設けている。
【0129】
この規制爪96は、挿入部22を貫通孔16内へ挿入すると、貫通孔16の周縁部に当接する。このため、本体部20の矢印B方向の傾倒は規制され、操作片26を傾倒させても本体部20が傾倒することはない。したがって、操作片26のロック状態を確実に得ることができる。
【0130】
なお、ここでは、爪部32とは別に規制爪96を設けたが、爪部32を操作片26の回転方向の延長線上に設けることで該爪部32を規制部としても良い。
【0131】
次に、本発明の第3の実施形態に係るクリップの取り外し方法について説明する。
【0132】
前述したように、図19に示すロックバー52がロック溝44に係合されることで、ボディパネル10とハウジング12が、挿入部22の爪部32の上面と操作片26の押圧部64との間で挟持され、ハウジング12がボディパネル10に固定されるが、この状態からクリップ14を取り外す。
【0133】
まず、図20に示すように、ロックバー52に設けられた突起部52Aをロックバー52の傾倒方向と直交する方向へ押圧し、ロックバー52の先端部を復帰溝94へ移動させる(仮想線)。これにより、ロックバー52の先端部とロック溝44との係合状態が解除される(傾倒状態解除工程)。
【0134】
この状態から、操作片26を回転させるが、ロックバー52の先端部は復帰溝94を移動する。そして、ロックバー52の先端部が復帰溝94の案内面94Aへ到達すると、ロックバー52は復元力によって操作片26の中央部へ戻ろうとして係合孔42と係合する。これにより、図22(A)に示すように、操作片26が起立状態となる(操作片起立工程)。
【0135】
次に、操作片26を固定孔18から引き抜くとき、操作片26が固定孔18の周縁部に当接し縮幅する。これにより、操作片26のボディパネル10の固定孔18への挿入が可能となり、操作片26を固定孔18から引抜き、ボディパネル10とハウジング12が引き離される(操作片引抜き工程)。そして、挿入部22の爪部32及び規制爪96を縮径させて、クリップ14をハウジング12から取り外す。
【0136】
なお、本実施形態では、挿入部22の側面に一対の爪部32を設け、貫通孔16を通過するとき縮径させて、貫通孔16を通過した後に復元させ該爪部32が貫通孔16の周縁部に係止されるようにしているが、挿入部22が貫通孔16を通過し抜けないようにすることができればよいため、これに限るものではない。
【0137】
例えば、図23に示すように、挿入部22の外周面には、操作片26の傾倒方向の反対側に、本体部20の傾倒を規制する規制爪96を設け、該規制爪96の反対側に、挿入部22の軸方向に沿って抜け止めリブ(抜け止め部)98を設ける。この抜け止めリブ98及び規制爪96は軸部24との間に、ハウジング12の肉厚分の隙間を設ける。
【0138】
そして、規制爪96及び抜け止めリブ98をハウジング12の貫通孔16に形成された切欠き部16Aに位置合わせして挿入部22を貫通孔16へ挿入した後、本体部20を回転させる。このとき、抜け止めリブ98の位置が切欠き部16Aの位置と重ならないようにする。これにより、抜け止めリブ98及び規制爪96は、貫通孔16の周縁部と対面することとなり、貫通孔16の周縁部に抜け止めされる。
【0139】
このため、挿入部22に爪部32のような弾性変形部を設ける必要がなくなる。また、ここでは、抜け止めリブ98と規制爪96とを別々に設けたが、規制爪96を抜け止め部として兼用させても良い。
【0140】
さらに、ここでは、挿入部22の軸方向に沿って抜け止めリブ98を形成し、該抜け止めリブ98を切欠き部16Aに位置合わせして挿入部22を貫通孔16へ挿入した後、本体部20を回転させることで、抜け止めリブ98が抜け止めされるようにしたが、これに限るものではない。
【0141】
例えば、抜け止めリブ98を挿入部22の軸方向に沿って形成したが、挿入部22の軸方向に対して交差するようにして(直線又は曲線)抜け止め部(図示省略)を形成し、挿入部22の挿入時に抜け止め部の形状に沿って挿入部22を貫通孔16内へ挿入するようにする。これにより、挿入部22を貫通孔16へ挿入した後に、本体部20を回転させる必要が無くなる。
【0142】
また、ここでは、挿入部22に抜け止めリブ98を設けたが、挿入部22を貫通孔16内へ挿入した後、挿入部22が抜け止めされれば良いため、挿入部22に溝部(図示省略)を形成し、貫通孔16には該溝部へ挿入可能なフランジ部を設けても良い。
【0143】
また、上記実施形態では、本体部20に挿入部22を設けたが、この挿入部22は必ずしも必要ではない。例えば、図24に示すように、操作片26が取付けられる本体部20をハウジング12に直接設けるようにしても良い。このように、本体部20がハウジング12に設けられた状態は、本体部20がハウジング12に一体成形されても良いし、図示しない固定手段を介して本体部20をハウジング12に固定させるようにしても良い。また、ここでは本体部20をハウジング12に設けたがボディパネル10側に本体部20を設けても良い。
【0144】
次に、本発明の第4の実施形態に係るクリップについて説明する。なお、第1の実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
【0145】
第1の実施形態では、図2に示すように、クリップ14を本体部20と操作片26の二部品で構成したが、本実施形態では、一体成形により、クリップ113を本体部114と操作片116を一部品で構成する。
【0146】
図25に示すように、本体部114は、挿入部118と軸部120とを含んで構成されるが、軸部120は略逆T字状を成している。挿入部118と繋がる軸部120の頭部122は挿入部118よりも幅が狭くなっており、軸部120の脚部124はさらに幅が狭くなっている。
【0147】
この脚部124の外面からは、軸部120の頭部122側に、それぞれシャフト126が突出している。このシャフト126には、略逆U字状の操作片116が傾倒可能となる。操作片116の両端側には、操作片116の内面から外面に掛けて軸孔128が貫通している。
【0148】
この軸孔128にシャフト126が挿入され、操作片116が傾倒可能となる。この状態で、操作片116の内面と軸部120の脚部124との間には、隙間が設けられる。操作片116は樹脂で成形され、弾性変形可能であるため、該隙間が設けられたことによって、縮幅可能となっている。
【0149】
また、操作片116の内面中央部からは、脚部124の端部へ向かってセンタリングリブ130がそれぞれ立設している。このセンタリングリブ130と脚部124との間には隙間が設けられており、操作片116を縮幅可能としている。そして、センタリングリブ130が脚部124に当接することで、クリップ113の傾きを抑制するようにしている。
【0150】
ここで、本体部114と操作片116を一部品で構成し、かつ、軸部120に対して操作片116を傾倒させるため、軸部120のシャフト126と操作片116の軸孔128の間には、成形時における金型の型締め時において、金型が挿入された状態となる。
【0151】
そして、この金型の強度、寿命等を考慮すると、該金型の肉厚は0.5mm以上とする必要がある。このため、シャフト126と軸孔128の間には、0.5mm分の隙間が生じることとなり、この分、ガタツキが発生することとなる。
【0152】
しかし、二部品間の構成でありながら、一つの金型で成形するできるため、組立工数や金型費用を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0153】
以上、これらの実施形態はあくまでも一例であって、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って本発明の範囲は上記の具体例に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るクリップを用いたハウジングの固定構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態態に係るクリップの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るクリップの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るクリップの動作を説明する断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るクリップの正面図であり、クリップをハウジングの貫通孔に挿入させる状態を示している。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るクリップの正面図であり、ハウジングに仮止めされたクリップをボディパネルの固定孔に挿入させる状態を示している。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るクリップの正面図であり、クリップをボディパネルの固定孔に挿入させた状態を示している。
【図8】(A)は、図7の側面図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係るクリップを介してハウジングがボディパネルに固定された状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るクリップを介してハウジングがボディパネルに固定された状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るクリップの作用を説明する説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るクリップの第1変形例を示す斜視図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るクリップの第1変形例の動作を説明する断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るクリップの第2変形例を示す斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るクリップの第2変形例の動作を説明する側面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るクリップを示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るクリップの動作を説明する側面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係るクリップを用いたハウジングの固定構造を示す分解斜視図である。
【図18】本発明の第3の実施形態態に係るクリップの分解斜視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係るクリップの斜視図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るクリップのロックバーの動作を説明する部分拡大斜視図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係るクリップの側面図であり、クリップをハウジングの貫通孔に挿入させる状態を示している。
【図22】本発明の第3の実施形態に係るクリップの側面図であり、(A)は、クリップをボディパネルの固定孔に挿入させた状態を示しており、(B)は、クリップを介してハウジングがボディパネルに固定された状態を示している。
【図23】本発明の第3の実施形態に係るクリップの変形例を示すハウジングの固定構造の分解斜視図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係るクリップ及びハウジングの変形例を示すハウジングの固定構造の分解斜視図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係るクリップを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0155】
10 ボディパネル(固定部材)
12 ハウジング(被固定部材)
14 クリップ(固定具)
16 貫通孔(被固定孔)
16A 切欠き部
18 固定孔
20 本体部(本体)
22 挿入部
24 軸部
26 操作片
32 爪部(係止部)
42 係合孔(被係合部)
44 ロック溝(ロック手段)
50 センタリングリブ(センタリング手段)
52 ロックバー(係合部、ロック手段)
66 軸部
70 係合孔(被係合部)
72 ロック孔(ロック溝、ロック手段)
78 操作片
80 ロックバー(ロック手段)
82 操作片
86 弾性片(ロック手段)
87 軸部
90 係合孔(被係合部)
92 係止爪(ロック手段)
94 復帰溝
96 規制爪(規制部)
98 抜け止めリブ(抜け止め部)
100 支柱(被係合部)
104 操作片
110 張出し片(ロック手段)
112 突起部(ロック手段)
113 クリップ(固定具)
114 本体部
116 操作片
130 センタリングリブ(センタリング手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に形成された固定孔と被固定部材に形成された被固定孔へ挿通され、前記被固定部材を前記固定部材に固定する固定具であって、
前記固定孔及び前記被固定孔へ挿入される本体部と、
前記本体部の一端側の側面から張り出して形成され、縮径して前記被固定孔内へ挿入され、被固定孔を通過後に復元して該被固定孔の周縁部に係止される係止部と、
前記本体部の他端側に傾倒可能に取付けられ、前記係止部が前記被固定孔の周縁部に係止された状態で、傾倒して前記固定部材に当たり、前記係止部と共に該固定部材及び前記被固定部材を挟持する操作片と、
前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、
を有する固定具。
【請求項2】
固定部材に形成された固定孔と被固定部材に形成された被固定孔へ挿通され、前記被固定部材を前記固定部材に固定する固定具であって、
前記固定孔及び被固定孔へ挿入される本体部と、
前記本体部の一端側の側面に設けられ、前記被固定孔を通過した後、被固定孔の周縁部に抜け止めされる抜け止め部と、
前記本体部の他端側に傾倒可能に取付けられ、前記抜け止め部が前記被固定孔に抜け止めされた状態で、傾倒して前記固定部材に当たり、前記抜け止め部と共に該固定部材及び前記被固定部材を挟持する操作片と、
前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、
を有する固定具。
【請求項3】
前記抜け止め部が前記被固定孔への前記本体部の挿入方向に沿って形成された抜け止めリブであり、前記抜け止めリブの端面が前記被固定孔の孔壁に形成された切欠き部を通過した後、該本体部を回転させることで、前記抜け止めリブが前記被固定孔の周縁部に抜け止めされる請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
固定部材に被固定部材を固定する固定具であって、
前記固定部材に設けられ、前記被固定部材に形成された挿入孔内へ挿入される本体部と、
前記本体部に傾倒可能に取付けられ、傾倒して前記挿入孔の周縁部に当たり、前記固定部材と共に前記被固定部材を挟持する操作片と、
前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、
を有する固定具。
【請求項5】
固定部材に被固定部材を固定する固定具であって、
前記被固定部材に設けられ、前記固定部材に形成された挿入孔内へ挿入される本体部と、
前記本体部に傾倒可能に取付けられ、傾倒して前記挿入孔の周縁部に当たり、前記被固定部材と共に前記固定部材を挟持する操作片と、
前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と、
を有する固定具。
【請求項6】
前記操作片が略U字状を成し、両端部に設けられたピンが前記本体部に設けられた軸孔に係合して傾倒可能とされた請求項1〜5の何れか1項に記載の固定具。
【請求項7】
前記ロック手段による前記操作片のロック状態で、前記固定部材を押圧する押圧部を前記操作片の軸部に設けた請求項1〜6の何れか1項に記載の固定具。
【請求項8】
前記操作片が弾性部材で形成され、縮幅して前記固定孔又は前記挿入孔内へ挿入されて、固定孔又は挿入孔を通過後に復元する請求項1〜7の何れか1項に記載の固定具。
【請求項9】
前記ロック手段は、前記操作片又は前記本体部に設けられた係合部と、前記本体部又は前記操作片に設けられ前記係合部が係合し傾倒した前記操作片の傾倒状態を維持するロック溝と、を含んで構成された請求項1〜8の何れか1項に記載の固定具。
【請求項10】
前記係合部が前記操作片に設けられ、前記係合部が係合して該操作片を前記本体部の軸線方向に沿って起立させる被係合部が本体部に設けられた請求項9に記載の固定具。
【請求項11】
前記操作片が起立した状態で、前記固定孔又は前記挿入孔の孔壁に当接し、該固定孔又は前記挿入孔に対して前記本体部の中心位置を決めるセンタリング手段を前記操作片に設けたことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の固定具。
【請求項12】
前記係合部を前記操作片の傾倒方向と交差する方向へ移動させることで、該係合部が前記ロック溝にロックされた状態が解除される請求項8〜11の何れか1項に記載の固定具。
【請求項13】
前記被係合部と前記ロック溝を繋ぎ、前記係合部がロック溝から被係合部に至るまでに通過する復帰溝を設けた請求項9〜12の何れか1項に記載の固定具。
【請求項14】
前記本体部の一端側に位置し前記被固定部材に当たり前記操作片の傾倒方向への本体部の傾倒を規制する規制部を設けた請求項1〜3、6〜13の何れか1項に記載の固定具。
【請求項15】
前記規制部が前記抜け止め部を兼用する請求項2、3、6〜13の何れか1項に記載の固定具。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に記載の固定具を用いて、被固定部材を固定部材に固定させる被固定部材の固定構造。
【請求項17】
被固定部材を固定部材に固定させる被固定部材の固定方法であって、
請求項1、6〜15の何れか1項に記載の固定具の前記係止部を前記被固定孔へ挿入し通過させる第1挿入工程と、
前記第1挿入工程後、前記固定具の前記操作片を前記固定孔へ挿入し通過させる第2挿入工程と、
前記第2挿入工程後、該操作片を傾倒させて、前記係止部と共に前記固定部材及び前記被固定部材を挟持して、被固定部材を固定部材に固定する固定工程と、
を有する被固定部材の固定方法。
【請求項18】
前記第1挿入工程で、前記固定具の前記本体部が前記被固定部材に仮止めされる請求項17に記載の被固定部材の固定方法。
【請求項19】
請求項1〜15の何れか1項に記載の固定具の解除方法であって、
前記操作片の傾倒状態を解除する傾倒状態解除工程と、
前記傾倒状態解除工程後、前記操作片を回転させ起立させる操作片起立工程と、
前記操作片起立工程後、前記操作片を前記固定孔又は前記挿入孔から引抜く操作片引抜き工程と、
を有する固定具の固定解除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−47305(P2009−47305A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155329(P2008−155329)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】