説明

圧力センサおよびその製造方法

【課題】圧力媒体による配線の腐食を防止できる圧力センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】センサチップ3を貫通するように配線部4を設け、配線部4が保護キャップ5によって覆われるようにすると共に、配線部4のうちセンサチップ3の裏面から露出する第2埋込配線4cとケース2の搭載面2aから露出するターミナル2cとを接続するバンプ4dを封止材7にて囲み、圧力媒体と大気とから分離されるようにする。配線部4は、センサチップ3を構成する半導体基板3aのうちゲージ抵抗3c以外の部分とは絶縁されるようにする。これにより、配線部4が圧力媒体と接触するような場所に露出しない構造となり、配線部4が腐食されることを防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ダイアフラム式のセンサチップに形成されたダイアフラムにて圧力を受け、ダイアフラムに形成されたピエゾ素子から出力される圧力に応じた検出信号に基づいて圧力の検出を行う圧力センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示される圧力センサでは、ゴムやゲルによりボンディングワイヤを覆うことで、測定対象となる圧力媒体の流動性および腐食等の環境性からボンディングワイヤを保護し、信頼性を確保している。
【0003】
また、例えば特許文献2に示される圧力センサでは、シリコンチップのうちゲージ抵抗(ピエゾ素子)が形成された領域をガラスにて覆う構造が提案されている。
【特許文献1】特開2001−343298号公報
【特許文献2】特許第3073442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両制御の高精度化、多機能化が進む中で、圧力媒体の腐食性が格段に悪いものの圧力計測を行う必要性が生じている。しかしながら、特許文献1に示される圧力センサでは、ゴムやゲルによってボンディングワイヤおよび周辺の接続構造を覆っているだけであるため、このような腐食性の悪い圧力媒体の圧力測定を行う場合、ゴムやゲルの劣化などを引き起こし、結局ボンディングワイヤおよび周辺の接続構造を保護できなくなるという可能性がある。また、特許文献2に示される圧力センサでは、単にゲージ抵抗をガラスにて覆っているだけであり、結局配線が露出した構造となるため、圧力媒体による腐食を防止できない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、圧力媒体による配線の腐食を防止できる圧力センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、受圧面に導入された圧力媒体の圧力に応じて保護キャップ(5)が歪むと、該歪みに応じた力が第1ダイアフラム(3b)に伝わることでゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が配線部(4)およびターミナル(2c)を通じて出力されるように圧力センサを構成し、配線部(4)は、半導体基板(3a)のうち少なくとも裏面から設けられた穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共にゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4b、4c、4e)と、埋込配線(4b、4c、4e)のうち半導体基板(3a)の裏面から露出する部分とケース(2)の搭載面(2a)に部分的に露出されたターミナル(2c)の該露出部分との間に配置された電気的導通可能な接合部材(4d、4f)とを含み、埋込配線(4b、4c、4e)が保護キャップ(5)にて覆われることでケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、ケース(2)の搭載面(2a)と半導体基板(3a)の裏面との間には、ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と大気が導入される空間(9b)との差圧を保持し、かつ、圧力媒体と大気とから接合部材(4d、4f)を分離する環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)が備えられていることを特徴としている。
【0007】
このように、埋込配線(4b、4c、4e)が保護キャップ(5)によって覆われ、かつ、封止材(7)にて接合部材(4d、4f)が圧力媒体と大気とから分離されるようにしている。このため、埋込配線(4b、4c、4e)や接合部材(4d、4f)が圧力媒体と接触することを防止でき、埋込配線(4b、4c、4e)や接合部材(4d、4f)が腐食されることを防止することが可能となる。
【0008】
なお、ここではケース(2)内に大気が導入され、大気圧に対する圧力媒体の圧力の相対圧力測定用の圧力センサについて記載したが、センサチップ(3)のうち半導体基板(3a)の裏面に板状の台座(15)を貼り付け、この台座(15)を搭載面(2a)に配置する絶対圧測定用の圧力センサについても上記特徴を採用することができる。また、このような絶対圧測定用の圧力センサの場合、台座(15)を搭載面(2a)と接触させるような構造とすることもできる。また、台座(15)を用いる場合においても、台座(15)に貫通穴(15a)を形成し、この貫通穴(15a)を通じて大気導入が為されるようにすれば、相対圧力測定用の圧力センサとすることもできる。
【0009】
例えば、保護キャップ(5)を基板(10)の裏面側に凹部(5a)が形成されることで薄肉化された第2ダイアフラム(5b)を含む構成にすると共に、凹部(5a)側をセンサチップ(3)側に向け、該凹部(5a)内に第1ダイアフラム(3b)が入るようにして、半導体基板(3a)の表面に接合し、保護キャップ(5)における凹部(5a)と半導体基板(3a)の表面との間に圧力伝達媒体(6)を充填し、受圧面に導入された圧力媒体の圧力に応じて保護キャップ(5)の第2ダイアフラム(5b)が歪み、該歪みに応じた力が圧力伝達媒体(6)を介して第1ダイアフラム(3b)に伝わるような構成にすることができる。
【0010】
また、埋込配線(4e)を半導体基板(3a)のうち裏面のみから設けられた穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込み、半導体基板(3a)の表面には達しないように構成すれば、保護キャップ(5)を半導体基板(3a)の表面において、ゲージ抵抗(3c)と異なる導電型として形成されたエピタキシャル成長層もしくはシリコン窒化膜にて構成される被覆膜(20)で構成することができる。
【0011】
また、このような構造の圧力センサでは、半導体基板(3a)と保護キャップ(5)とを直接接合しても良いが、接合用中間層となる酸化膜もしくは金属膜を介して接合することもできる。
【0012】
なお、上記した本発明の圧力センサでは、保護キャップ(5)の表面を受圧面として保護キャップ(5)が歪むと、該歪みに応じた力が第1ダイアフラム(3b)に伝わるような構造としているが、保護キャップ(5)のうち第1ダイアフラム(3b)と対応する部分に貫通孔(5c)を設け、貫通孔(5c)を通じて直接第1ダイアフラム(3b)に圧力媒体の圧力が印加される構造としても良い。この場合にも、埋込配線(4b、4c、4e)が保護キャップ(5)にて覆われることでケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されるようにすれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0013】
ただし、この場合において、半導体基板(3a)と保護キャップ(5)とを接合用中間層となる酸化膜もしくは金属膜を介して接合する場合、保護キャップ(5)と半導体基板(3)との接続用中間層となる酸化膜もしくは金属膜の高さより、埋込配線(4)の高さが低いことが条件となる。
【0014】
また、このような構造に関しても、相対圧力測定用の圧力センサに限らず、絶対圧測定用の圧力センサに対して上記特徴を採用することができる。そして、このような絶対圧測定用の圧力センサの場合、台座(15)を搭載面(2a)と接触させるような構造とすることもできる。
【0015】
また、封止材(7)に関しては、環状部材(7a、7b)を第1環状部材(7a)と該第1環状部材(7a)を囲むように配置される第2環状部材(7b)とを有した構成とし、電気的導通可能な接合部材(4d、4f)が第1、第2環状部材(7a、7b)の間に配置されるようにすることができる。例えば、ケース(2)の搭載面(2a)に大気が導入される空間(9b)に大気を導入するための大気導入孔(2b)が備えられている場合、第1環状部材(7a)が大気導入孔(2b)を囲むように配置される構造にできる。
【0016】
一方、封止材(7)を1つの環状部材にて構成し、該封止材(7)内に接合部材としてのバンプ(4d)が埋め込まれるようにしても良い。この場合、封止材(7)がバンプ(4d)よりも大気導入孔(2b)側および大気導入孔(2b)に対して外側にはみ出すように配置されれば良い。
【0017】
なお、接合部材としてバンプ(4d)を用いる場合には、接合前の状態において、バンプ(4d)をセンサチップ(3)側とケース(2)側の双方それぞれに配置しておき、接合後にそれらが接合されることで一体化されるような構成としても良い。
【0018】
また、ケース(2)を空間(9)および搭載面(2a)を構成する上部ケース(21)と、上部ケース(21)の搭載面(2a)を挟んでセンサチップ(3)とは反対側に配置され、ターミナル(2c)が備えられた下部ケース(22)とを有した構成とし、上部ケース(21)に、埋込配線(4c)と対応する位置に穴(21a)を形成し、該穴(21a)を通じてターミナル(2c)を露出させると共に、穴(21a)内に接合部材(4f)を配置することで、埋込配線(4c)とターミナル(2c)とを電気的に接続する構造とすることもできる。
【0019】
この場合、上部ケース(21)に対して複数備えられた配線部(4)と同数の穴(21a)を形成し、封止材(7)にて、穴(21a)をすべて囲むように構成することができる。また、上部ケース(21)に対して複数備えられた配線部(4)と同数の穴(21a)を形成し、封止材(7)を穴(21a)と同数備え、該穴(21a)の1つ1つが該封止材(7)の1つ1つによって囲まれた構成とすることもできる。さらに、上部ケース(21)に対して複数備えられた配線部(4)と同数の穴(21a)を形成し、封止材(7)を穴(21a)よりも少ない数備え、該穴(21a)の複数が該封止材(7)のうちの1つによって囲まれるように構成することもできる。
【0020】
また、ケース内における圧力媒体が導入される空間(9a)のうちケース(2)とセンサチップ(3)と封止材(7)の間に圧力媒体から封止材(7)を保護するための保護材(8)を充填すれば、より封止材(7)を排ガスなどの腐食性の高い圧力媒体から保護することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の圧力センサは、例えば、以下の製造方法により製造することが可能である。
【0022】
具体的には、半導体基板(3a)を用意する工程と、半導体基板(3a)に第1ダイアフラム(3b)およびゲージ抵抗(3c)を備えるセンサチップ(3)を形成する工程と、半導体基板(3a)の表裏を貫通する穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成すると共に、内壁絶縁膜(18)を介して穴内に導体を埋め込むことで、ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4b、4c)を形成する工程を持つ。センサチップ(3)を形成する工程と、埋込配線(4a〜4c)を形成する工程の順序はどちらが先であっても構わない。
【0023】
さらに、ゲージ抵抗(3c)の表面に層間絶縁膜(13)を酸化もしくはデポジション等により形成したのち、この層間絶縁膜(13)にコンタクトホール(13a)を形成し、このコンタクトホール(13a)を通じてゲージ抵抗(3c)および埋込配線(4b、4c)と電気的に接続される表面パターン(4a)を形成する工程を行い、その後、ゲージ抵抗(3c)および表面パターン(4a)を含めて、半導体基板(3a)の表面に酸化膜(16)と窒化膜(17)の少なくとも一方を含む保護膜を形成する工程を行う。その後、必要に応じて半導体基板(3a)の表面に形成された保護膜のうちの窒化膜(17)の外縁部、つまり保護キャップ(5)との接合部分に形成された部分を除去する工程を行う様にしても良い。
【0024】
続いて、基板(10)の裏面側に凹部(5a)が形成されることで薄肉化された第2ダイアフラム(5b)を含む保護キャップ(5)を形成する工程を行った後、保護キャップ(5)を、凹部(5a)側をセンサチップ(3)側に向け、該凹部(5a)内に第1ダイアフラム(3b)および埋込配線(4b、4c)が入るようにして、半導体基板(3a)の表面に接合する工程を行う。さらに、保護キャップ(5)およびセンサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられたケース(2)を用意する工程を行った後、大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を搭載面(2a)と半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、保護キャップ(5)と共にセンサチップ(3)を搭載面(2a)に搭載し、バンプ(4d)にて、埋込配線(4b、4c)のうち半導体基板(3a)の裏面から露出する部分とターミナル(2c)のうち搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、封止材(7)にて、ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と大気が導入される空間(9b)を分離する工程を行う。このような各工程を含んだ製造方法により、上記圧力センサを製造できる。
【0025】
また、半導体基板(3a)を用意する工程と、半導体基板(3a)に第1ダイアフラム(3b)およびゲージ抵抗(3c)を備えるセンサチップ(3)を形成する工程と、半導体基板(3a)の表裏を貫通すると共にゲージ抵抗(3c)の一部を経こませる穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成する工程と、内壁絶縁膜(18)のうちゲージ抵抗(3c)の上に形成された部分にコンタクトホール(18a)を形成したのち、内壁絶縁膜(18)を介して穴内に導体を埋め込むことで、コンタクトホール(18a)を通じてゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4a〜4c)を形成する工程とを行う。センサチップ(3)を形成する工程と、埋込配線(4a〜4c)を形成する工程の順序はどちらが先であっても構わない。
【0026】
続いて、基板(10)の表裏を貫通する貫通孔(5c)が形成された保護キャップ(5)を形成する工程を行った後、貫通孔(5c)内に第1ダイアフラム(3b)が配置され、保護キャップ(5)にて埋込配線(4b、4c)が覆われるように、保護キャップ(5)を半導体基板(3a)の表面に接合する工程を行う。さらに、保護キャップ(5)およびセンサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられ、かつ、測定対象となる圧力媒体が導入される空間(9a)および大気導入孔(2b)を通じて大気が導入される空間(9b)を形成するケース(2)を用意する工程を行った後、大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を搭載面(2a)と半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、保護キャップ(5)と共にセンサチップ(3)を搭載面(2a)に搭載し、バンプ(4d)にて、埋込配線(4b、4c)のうち半導体基板(3a)の裏面から露出する部分とターミナル(2c)のうち搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、封止材(7)にて、ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と大気が導入される空間(9b)を分離する工程を行う。このような各工程を含んだ製造方法により、上記圧力センサを製造できる。
【0027】
さらに、半導体基板(3a)を用意する工程と、半導体基板(3a)に第1ダイアフラム(3b)およびゲージ抵抗(3c)を備えるセンサチップ(3)を形成する工程と、半導体基板(3a)の裏面からゲージ抵抗(3c)に達するように穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成すると共に、内壁絶縁膜(18)を介して穴内に導体を埋め込むことで、ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4e)を形成する工程を持つ。
【0028】
続いて、半導体基板(3a)の表面に貼合わせ用のシリコン、エピタキシャル成長層もしくはシリコン窒化膜で構成される被覆膜(20)からなる保護キャップ(5)を形成することで、該半導体基板(3a)の表面を保護キャップ(5)で覆う工程を行う。このとき、貼合せ用のシリコンを用いる場合には、半導体基板(3a)の表面にセンサチップ(3)全体を保護するための酸化膜を形成しておき、この酸化膜を介して貼合せ用のシリコンを張り合わせることができる。また、エピタキシャル成長層とする場合には、ゲージ抵抗(3c)と異なる導電型とする。
【0029】
その後、保護キャップ(5)およびセンサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられ、かつ、測定対象となる圧力媒体が導入される空間(9a)および大気導入孔(2b)を通じて大気が導入される空間(9b)を形成するケース(2)を用意する工程を行った後、大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を搭載面(2a)と半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、保護キャップ(5)と共にセンサチップ(3)を搭載面(2a)に搭載し、バンプ(4d)にて、埋込配線(4b、4c)のうち半導体基板(3a)の裏面から露出する部分とターミナル(2c)のうち搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、封止材(7)にて、ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と大気が導入される空間(9b)を分離する工程を行う。このような各工程を含んだ製造方法により、上記圧力センサを製造できる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した圧力センサについて説明する。本実施形態で説明する圧力センサは、例えば車両における排圧センサとして使用される。
【0033】
図1は、本実施形態の圧力センサ1の概略構成を示した図であり、図1(a)は圧力センサ1の断面図(図1(b)のA−A断面に相当)、図1(b)は、圧力センサ1のレイアウト構成を示した正面図である。以下、この図を参照して、本実施形態の圧力センサ1について説明する。
【0034】
図1(a)に示されるように、圧力センサ1は、ケース2、センサチップ3、配線部4、保護キャップ5、圧力伝達媒体6、封止材7、保護材8等を有した構成とされている。
【0035】
ケース2は、圧力センサ1の外形を形成すると共に、内部に空間9を構成するものであり、このケース2の空間9内にセンサチップ3等が収容される。ケース2の空間9を構成する壁面の一面(紙面下方側の面)はセンサチップ3の搭載面2aとされる。この搭載面2aの例えば中央位置には、大気導入孔2bが形成され、この大気導入孔2bと対応する位置にセンサチップ3の裏面が位置合わせして搭載される。
【0036】
ケース2の搭載面2aには、配線部4との電気的接続が行われるターミナル2cの一端が露出させられている。また、ケース2にはコネクタ部2dが形成されており、このコネクタ部2dからターミナル2cの他端が突き出すように露出されることで、圧力センサ1と外部との電気的な接続が可能となっている。また、ケース2のうち大気導入孔2bと対向する位置には、圧力導入孔2eが形成され、この圧力導入孔2eを通じて圧力媒体が導入される。この搭載面2aにセンサチップ3等が収容されると、空間9は、圧力導入孔2eを通じて圧力媒体が導入される空間9aと大気導入孔2bを通じて大気が導入される空間9bとに区画される。
【0037】
センサチップ3は、例えばn型シリコンからなる半導体基板3aにて構成され、半導体基板3aの裏面がエッチングなどにより凹まされた薄肉のダイアフラム3bと、このダイアフラム3bに形成されたp型のゲージ抵抗3cを含む電気回路を備えた構成とされている。ゲージ抵抗3cの表面は、酸化膜13に加えて酸化膜16や窒化膜17などの絶縁膜からなる保護膜にて覆われることで保護されている。そして、センサチップ3の裏面側がケース2の搭載面2aと対向配置され、大気導入孔2bを通じて、センサチップ3の裏面側からダイアフラム3bに対して大気が導入されることで、圧力基準となる大気圧がダイアフラム3bに加えられるように構成されている。これにより、大気圧に対する圧力媒体の圧力の測定、つまり相対圧力測定が行えるようになっている。
【0038】
配線部4は、層間絶縁膜としても機能するシリコン酸化膜13に形成されたコンタクトホール13aを通じてゲージ抵抗3cと電気的に接続された(ゲージ抵抗3cを含む電気回路に接続された場合を含む)ものであり、ターミナル2cを介してゲージ抵抗3cを含む電気回路と外部との電気的に接続を行う。具体的には、配線部4は、半導体基板3aの表面にシリコン酸化膜13を介してパターニングされた表面パターン4aと、半導体基板3aの表面側から空けられた第1孔に内壁絶縁膜18を介して埋め込まれた第1埋込配線4bと、半導体基板3aの裏面側から空けられた第2孔に内壁絶縁膜18を介して埋め込まれた第2埋込配線4cと、半導体基板3aの裏面とケース2の搭載面2aとの間に配置された電気的導通可能な接合部材としてのバンプ4dとにより構成されている。
【0039】
半導体基板3aは第1孔と第2孔とを貫通孔として表裏面が貫通しており、これら第1孔および第2孔に内壁絶縁膜18を介して形成された第1埋込配線4bおよび第2埋込配線4cが半導体基板3aの内部で接続されている。バンプ4dは、第2埋込配線4cおよびケース2の搭載面2aから露出するターミナル2cに接触させられている。このため、表面パターン4aと第1、第2埋込配線4b、4cおよびバンプ4dを介して、ゲージ抵抗3cを含む電気回路とターミナル2cとが電気的に接続された構造となる。
【0040】
保護キャップ5は、センサチップ3を覆うことで配線部4などを保護すると共に、圧力媒体を受圧するためのものである。保護キャップ5のうち、センサチップ3の表面側と対向する裏面には凹部5aが形成されており、この凹部5aが形成された部分が薄肉のダイアフラム5bとされていると共に、保護キャップ5のうちの凹部5aよりも外側の部分がセンサチップ3における表面側の外縁部に接合されている。そして、保護キャップ5の凹部5a内にゲージ抵抗3cや配線部4が含まれることで、保護キャップ5にてゲージ抵抗3cや配線部4が圧力媒体と接触しない構造になっている。この保護キャップ5は、例えば、Si等の半導体材料やセラミックス等により構成され、半導体材料の場合には、エッチングにて凹部5aを形成することができ、セラミックス等の場合には成形型の形状により凹部5aを形成することができる。なお、センサチップ3と保護キャップ5との接合は何も介さないで直接行われていても良いが、これらの間に接続用中間層となる酸化膜もしくは金属膜等を挟むこともできる。そして、このような接続用中間層を用いる場合には、センサチップ3の表面の保護膜(酸化膜16、窒化膜17)を省略することも可能であるため、保護膜を省略すればセンサチップ3側の製造工程を低減することも可能になる。
【0041】
圧力伝達媒体6は、センサチップ3と保護キャップ5との間、つまり保護キャップ5における凹部5a内に充填された圧力伝達用として機能するものである。保護キャップ5のダイアフラム5bで圧力媒体を受圧すると、ダイアフラム5bの歪みが圧力伝達媒体6に伝わるため、圧力伝達媒体6を介してセンサチップ3側のダイアフラム3bに圧力媒体の圧力に応じた力が加えられる。このような圧力伝達媒体6としては、例えばオイル、水等の液体、水素、希ガスなどの気体、樹脂にて構成されたゲル等を用いることができる。
【0042】
封止材7は、圧力媒体が導入される空間9aと大気が導入される空間9bとを区画し、これらの圧力差を保持するためのものである。本実施形態の場合、封止材7は、ダイアフラム3bを囲む2つの環状部材7a、7bで構成されており、一方の環状部材7aがバンプ4dよりも内側に配置され、他方の環状部材7bがバンプ4dよりも外側において一方の環状部材7aの外周を囲むように配置されている。このため、一方の環状部材7aにて大気がバンプ4d側に浸入することを防止し、他方の環状部材7bにてにて圧力媒体や保護材8がバンプ4d側に浸入することを防止している。この封止材7としては、例えば封止用非導電フィルム(NCF)などを用いることができる。
【0043】
保護材8は、封止材7を排ガスなどの腐食性の高い圧力媒体から保護するためのものである。保護材8は、ケース2とセンサチップ3および封止材7の間に充填される。この保護材8としては、例えばシリコーンゲルやクロロシリコーンゲル等を用いることが可能となるが、本実施形態の圧力センサ1では、配線部4がボンディングワイヤで構成されていないため、単なる樹脂を用いることもできる。
【0044】
このように構成された圧力センサ1では、配線部4が保護キャップ5によって覆われ、かつ、封止材7にて圧力媒体と大気とから分離されるようにしている。これにより、配線部4が圧力媒体と接触するような場所に露出しない構造となり、配線部4が腐食されることを防止することが可能となる。なお、本実施形態では、図1(a)に示すように、ターミナル2cの一部が環状部材7bよりも外側、つまり保護材8と接触する側に配置される構造となっているが、ターミナル2cはボンディングワイヤのように細い部材とは異なり、腐食することで接触不良が発生することはあまりないため問題はないが、ターミナル2cの露出部分がすべて環状部材7bよりも内側になるようにすれば、より腐食の問題を無くすことが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態の圧力センサ1の製造方法について説明する。図2、図3は、本実施形態の圧力センサ1の製造工程を示した断面図である。
【0046】
まず、図2(a)に示す工程では、保護キャップ5を形成するための基板として、シリコン基板10を用意する。次に、図2(b)に示す工程では、シリコン基板10の裏面側にシリコン窒化膜などのマスク11を配置したのち、マスク11の表面にレジスト12を配置し、さらに、図2(c)に示す工程では、フォトリソグラフィにてレジスト12をパターニングして凹部5aの形成予定位置においてレジスト12を除去する。
【0047】
続いて、図2(d)に示す工程では、レジスト12をマスクとして、マスク11を開口させたのち、図2(e)に示す工程では、マスク11を用いたエッチングにより、シリコン基板10の裏面に凹部5aを形成する。これにより、凹部5aにて薄肉化された部分がダイアフラム5bとなり、図2(f)に示すようにマスク11を除去すると保護キャップ5が完成する。
【0048】
次に、図3(a)に示す工程では、半導体基板3aとしてn型のシリコン基板を用意し、図3(b)に示す工程では、半導体基板3aの表面を酸化することでシリコン酸化膜13を形成する。さらに、シリコン酸化膜13の上に図示しないレジスト等を配置して、p型不純物をイオン注入したのち、それを活性化することでゲージ抵抗3cを形成する。
【0049】
続いて、図3(c)に示す工程では、半導体基板3aの裏面にマスク14を形成したのち、フォト・エッチング工程により、マスク14のうちのダイアフラム3bの形成予定位置を開口させる。その後、マスク14を用いたエッチングにより、半導体基板3aの裏面を凹ませ、ダイアフラム3bを形成する。その後、マスク14を除去する。これにより、センサチップ3が完成する。
【0050】
さらに、図3(d)に示す工程では、半導体基板3aの表面をマスク(図示せず)で覆った後、マスクのうち第1孔と対応する場所を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより半導体基板3aの表面から第1孔を形成する。続いて、マスクを除去したのち、第1孔内に熱酸化もしくはデポジションにて内壁絶縁膜18を形成し、この内壁絶縁膜18を介して第1孔を埋め込むように例えばAlをデポジションしたのち、このAlをパターニングする。また、ゲージ抵抗3c上の所定位置が開口するマスク(図示せず)を配置し、このマスクを用いたエッチングによりシリコン酸化膜13にコンタクトホール13aを形成する。そして、シリコン酸化膜13上に例えばAlをデポジションしたのち、このAlをパターニングする。これにより、配線部4のうちの表面パターン4aおよび第1埋込配線4bが配置される。
【0051】
さらに、半導体基板3aの裏面をマスク(図示せず)で覆った後、マスクのうち第2孔と対応する場所を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより半導体基板3aの裏面から第2孔を形成する。続いて、マスクを除去したのち、第1孔内に熱酸化もしくはデポジションにて内壁絶縁膜18を形成し、この内壁絶縁膜18を介して第2孔を埋め込むように例えばAlをデポジションし、エッチバックしてAlを第2孔にのみ残す。これにより、配線部4のうちの第2埋込配線4cが配置される。
【0052】
そして、図3(e)に示す工程では、ゲージ抵抗3cおよび表面パターン4aを含む半導体基板3aの表面全面に酸化膜16を熱酸化もしくはデポジション等で形成すると共に、その上に窒化膜17をデポジション等で形成し、窒化膜17のうちの外縁部、つまり半導体基板3a上における保護キャップ5と接合される領域を除去する。このとき、保護膜17の外縁部に改めて酸化膜もしくは金属膜からなる接続用中間層を形成するのであれば、窒化膜17の外縁部を除去する必要は無い。
【0053】
ここまでの工程を経たセンサチップ3と図2(a)〜(e)の工程を経て形成された保護キャップ5を水素や希ガス等で満たされた図示しないチャンバ内に入れた状態で、保護キャップ5を半導体基板3aの表面に接合することで、これらの間に水素や希ガスからなる圧力伝達媒体6を充填する。なお、圧力伝達媒体6を液体により構成する場合には、保護キャップ5を裏面が上に向くようにした状態でその液体を凹部5a内に充填し、半導体基板3aを保護キャップ5の上方から保護キャップ5側に下ろすようにした状態で接合すれば良い。
【0054】
この後、ターミナル2cがインサート成形されたケース2を用意し、ケース2における搭載面2aにバンプ4dおよび封止材7を配置したのち、搭載面2aに保護キャップ5を接合したセンサチップ3を配置する。そして、保護キャップ5およびセンサチップ3を搭載面2a側に押し付けることで、バンプ4dがターミナル2cおよび第2埋込配線4cと接合され、かつ、封止材7が搭載面2aと半導体基板3aの裏面とに密着した状態となる。この後、ケース2とセンサチップ3および封止材7の間の隙間に保護材8を充填することで、図1に示す圧力センサ1が完成する。
【0055】
なお、図1では、ケース2を一部材のように記載してあるが、2部材で構成し、保護キャップ5で覆われたセンサチップ3を収容した後に2部材を一体化しても良いし、保護キャップ5で覆われたセンサチップ3を挿入できる程度に圧力導入孔2eを大きく形成しても良い。
【0056】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して保護キャップ5の構成を変更したものであり、他の構造に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図4は、本実施形態の圧力センサ1の断面図である。この図に示すように、本実施形態では、半導体基板3aの表面に凹部3dを形成すると共に、この凹部3d内に配線部4における表面パターン4aを埋め込み、さらに、保護キャップ5を半導体基板3aの表面に密着させ、保護キャップ5に形成された貫通孔5cを通じて直接センサチップ3のダイアフラム3bに圧力媒体が接触する構造としている。そして、表面パターン4aの表面は保護キャップ5にて完全に覆われ、表面パターン4aが圧力媒体に接しないような構造とされている。
【0058】
このような構造とされていても、表面パターン4aが圧力媒体によって腐食することを防止できるため、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0059】
次に、本実施形態の圧力センサ1の製造方法について説明する。図5、図6は、本実施形態の圧力センサ1の製造工程を示した断面図である。
【0060】
まず、図5(a)〜図5(d)に示す工程では、図2(a)〜(d)と同様の工程を行う。ただし、保護キャップ5を形成するための基板として用いるシリコン基板10を図2(a)のものと比べて薄いものにすると良い。そして、図5(e)に示す工程では、マスク11を用いたエッチングにより、シリコン基板10の裏面から表面に貫通する貫通孔5cを形成する。そして、図5(f)に示す工程でマスク11を除去する。これにより、保護キャップ5が完成する。
【0061】
次に、図6(a)〜(c)に示す工程では、図3(a)〜(c)と同様の工程を行う。そして、図6(d)に示す工程では、半導体基板3aの表面をマスク(図示せず)で覆った後、表面パターン4aと対応する場所、具体的にはダイアフラム3bの外側の所望場所を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより、凹部3dを形成する。
【0062】
その後、図6(e)に示す工程では、図3(d)と同様の工程を行うことで第1孔および第2孔を形成し、内壁絶縁膜18を形成するが、内壁絶縁膜18を凹部3d内にも形成する。そして、内壁絶縁膜18のうちゲージ抵抗3c上の所定位置を開口させるマスク(図示せず)を配置したのち、そのマスクを用いたエッチングにてコンタクトホール18aを形成する。さらに、その上からデポジションしたAlにより凹部3d内を埋め込むようにし、その後のパターニングにより、表面パターン4aの上面と半導体基板3aの表面とが面一となるようにする。
【0063】
この後、図6(f)に示す工程において、表面パターン4aおよびゲージ抵抗3cを含めた半導体基板3aの表面に酸化膜16および窒化膜17を含む保護膜を形成したのち、窒化膜17のうちの外縁部を除去する。そして、表面パターン4aが覆われるように保護キャップ5をセンサチップ3に接合する。そして、ケース2とセンサチップ3および封止材7の間の隙間に保護材8を充填することで、図4に示す圧力センサ1が完成する。
【0064】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して保護キャップ5および配線部4の構造を変えたものであり、他の構造に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
図7は、本実施形態の圧力センサ1の断面図である。この図に示すように、本実施形態では、配線部4を半導体基板3aの裏面から設けた埋込配線4eとバンプ4dのみにより構成し、埋込配線4eがゲージ抵抗3cまで届くような構造にすると共に、半導体基板3aの表面にエピタキシャル成長層20を形成し、これを保護キャップ5としている。つまり、埋込配線4eが半導体基板3aの表面まで達しない状態でゲージ抵抗3cと接触する構造とし、ゲージ抵抗3cを含む半導体基板3aの表面にゲージ抵抗3cとは導電型が異なるエピタキシャル成長層20(すなわちゲージ抵抗3cがp型であればエピタキシャル成長層20はn型、ゲージ抵抗3cがn型であればエピタキシャル成長層20はp型)を設けることで、ゲージ抵抗3cを含む電気回路も圧力媒体の影響を受けないような構造となるようにしている。また、埋込配線4eが形成される穴内には内壁絶縁膜18が形成されており、この内壁絶縁膜18を介して埋込配線4eが穴内に埋め込まれている。このため、埋込配線4eと半導体基板3aにおけるゲージ抵抗3c以外の部分とが絶縁されている。
【0066】
このような構造とされていても、表面パターン4aが圧力媒体によって腐食することを防止できるため、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。なお、本実施形態の構造の場合、エピタキシャル成長層20の厚み分もダイアフラム3bの厚みとして加算されることになるが、エピタキシャル成長層20の厚みを考慮に入れて半導体基板3aの裏面側のエッチング量を制御すれば良い。
【0067】
なお、ここでは、半導体基板3aの表面を被覆するための被覆膜としてエピタキシャル成長層20を用いたが、エピタキシャル成長層20の代わりにシリコン窒化膜のような膜を被覆膜として用いても良い。また、貼合せ用のシリコンを被覆膜として用いることもできる。貼合せ用のシリコンを用いる場合には、半導体基板3aの表面にセンサチップ3全体を保護するための酸化膜を形成しておき、この酸化膜を介して貼合せ用のシリコンを貼り合わせることができる。これらを被覆膜として用いる場合にも、窒化膜や貼合せ用のシリコン、さらには貼合せ用のシリコンを貼り合せる際に酸化膜を用いる場合には、その酸化膜もダイアフラム3bの厚みとして加算されることになるため、それを考慮して半導体基板3aの裏面側のエッチング量を制御する必要がある。
【0068】
次に、本実施形態の圧力センサ1の製造方法について説明する。図8は、本実施形態の圧力センサ1の製造工程を示した断面図である。
【0069】
まず、図8(a)に示す工程では、図3(a)、(b)と同様の工程を行う。ただし、ゲージ抵抗3cをダイアフラム3bの外側まで延設しておく。続く、図8(c)に示す工程では、半導体基板3aの裏面をマスク(図示せず)で覆った後、マスクのうち埋込配線4eと対応する場所を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより半導体基板3aの裏面からゲージ抵抗3cに達する穴を形成する。続いて、マスクを除去したのち、この孔内に熱酸化もしくはデポジションにて内壁絶縁膜18を形成する。さらに、この内壁絶縁膜18を介して、孔内に半導体基板3aの裏面の孔を埋め込むように例えばAlをデポジションし、エッチバックしてAlを孔にのみ残す。これにより、配線部4のうちの埋込配線4eが配置される。埋込配線を形成した後、500℃以上の高温に曝される場合は埋込配線としてタングステン(W)等の高融点金属を使うことができる。また裏面には裏面のコンタクト穴以外の場所にSiO2等の絶縁膜を形成すると電気絶縁性が向上する。この実施形態ではエピタキシャル成長前に孔の形成、内壁絶縁膜18、埋込配線4eを形成したが、孔の形成、内壁絶縁膜18、埋込配線4eの形成前にエピタキシャル成長層20を形成してもよい。この場合、低融点のAl等を問題なく形成できる。
【0070】
この後は、図8(c)に示す工程において、図3(c)と同様の工程を行い、図示しないが、必要に応じてゲージ抵抗3cの上に酸化膜16や窒化膜17と同様の構造の保護膜を形成したのち、図8(d)に示す工程において、半導体基板3aの表面にシリコンをエピタキシャル成長させることで、エピタキシャル成長層20を形成する。そして、ケース2とセンサチップ3および封止材7の間の隙間に保護材8を充填し、バンプ4dを介してターミナル2cに接続すると共にアニール等を施すことで導通を確保することで、図7に示す圧力センサ1が完成する。
【0071】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して封止材7の構成を変更したものであり、他の構造に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
図9は、本実施形態の圧力センサ1の断面図である。この図に示すように、本実施形態では、封止材7が1部材にて構成されており、この封止材7内にバンプ4dが埋め込まれている。そして、保護キャップ5にて覆われたセンサチップ3をケース2の搭載面に搭載する際に、封止材7を押し潰してバンプ4dと第2埋込配線4cおよびターミナル2cとが接触するようになっている。このように、封止材7を一部材とすることも可能である。
【0073】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の構造を絶対圧測定用の圧力センサに適用したものであり、他の構造に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
図10は、本実施形態の圧力センサの断面図である。この図に示されるように、半導体基板3aの裏面側にガラス若しくはSiなどで構成された台座15が貼り付けられいる。この台座15に対して当該台座15を貫通するように第2孔が備えられ、この第2孔に内壁絶縁膜18を介して第2埋込配線4cが備えられている。そして、台座15によって半導体基板3aの裏面側に形成された凹み、つまりダイアフラム3bを形成するための凹みが密閉されることで基準圧室3eが形成されている。なお、本実施形態の場合、圧力センサ1が絶対圧測定用とされるため、第1実施形態と異なり大気導入孔2b(図1参照)は形成されていない。
【0075】
以上のような構造により、本実施形態の圧力センサ1が構成されている。このように、圧力センサ1を絶対圧測定用としても良く、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。なお、図10については、台座15をSiで構成し、かつ、内壁絶縁膜18を熱酸化にて形成した場合の図として記載してあるが、台座15をガラスで構成した場合、もしくは、内壁絶縁膜18を熱酸化ではなくデポジションにて形成した場合には、第1孔と第2孔の側面が熱酸化によって食われないため、第1孔と第2孔の内壁面上に内壁絶縁膜18が形成された形状となる。
【0076】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態の構造の圧力センサ1を第5実施形態と同様に絶対圧測定用とし、さらに、封止構造および外部との電気的な接続構造を変更したものであり、他の構造に関しては第2、第5実施形態と同様であるため、第2、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0077】
図11は、本実施形態の圧力センサ1の概略構成を示した図であり、図11(a)は圧力センサ1の断面図(図11(b)のB−B断面に相当)、図11(b)は、圧力センサ1のレイアウト構成を示した正面図である。
【0078】
図11(a)に示すように、ケース2がセンサチップ3および台座15を収容する空間9を構成する上部ケース21とターミナル2cが備えられた下部ケース22とを備えた構成とされている。センサチップ3および台座15の構造に関しては、第2実施形態に示したセンサチップ3の裏面に第5実施形態で示した台座15を貼り合わせた構造とされているだけであるため、特に異なる点は無いが、上部ケース21の搭載面2aに各第2埋込配線4cに対応した穴21aが形成してあり、この穴21aによってターミナル2cの一部が露出させられることで第2埋込配線4cとターミナル2cとの電気的接続が行われていること、および、台座15の裏面と上部ケース21の搭載面2aとの間に配置された1つの封止材7にてすべての第2埋込配線4cを囲むようにしていることが異なる。
【0079】
穴21aは、図11(b)に示されるように複数個形成されており、外部との接続に必要な数形成されている。本図では、電源供給用と接地用およびセンサ出力用に3つの穴21aを備えた構造としているが、これらの数に関しては単なる例示であり、3つ未満もしくは3つを超える数であっても構わない。
【0080】
ターミナル2cは、少なくとも第2埋込配線4cと電気的に接続される部位が下部ケース22の表面から露出させられた構造とされており、上部ケース21と下部ケース22とを接合すると、ターミナル2cのうち第2埋込配線4cと接合される各部が上部ケース21に空けられた各穴21aに位置するように構成されている。ターミナル2cと各第2埋込配線4cとの電気的な接続は、ボンディングワイヤや樹脂コーティングされた配線もしくは導電性バネ部材などで構成された配線部4の一部を構成する接合部材4fにて行われている。接合部材4fがボンディングワイヤにて構成される場合には、上部ケース21と下部ケース22とを貼り合わせる前に第2埋込配線4cとターミナル2cに対するボンディングを行い、接合部材4fが樹脂コーティングされた配線にて構成される場合には、上部ケース21と下部ケース22とを貼り合わせる前に第2埋込配線4cとターミナル2cに対してバンプ又ははんだ等を用いて配線を接合し、接合部材4fが導電性バネ部材で構成される場合には、第2埋込配線4cとターミナル2cとの間で導電性バネ部材を弾性変形させた状態で上部ケース21と下部ケース22とを接合すれば良い。なお、上部ケース21と下部ケース22とは、例えば接着剤等を介して接合すれば良い。
【0081】
このように、上部ケース21の搭載面2aに外部接続用の穴21aを形成しておき、この穴21aを通じて各第2埋込配線4cとターミナル2cとの電気的接続を行うようにしても構わない。このような構造としても、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0082】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して封止材7の構造を変更したものであり、他の構造に関しては第6実施形態と同様であるため、第2、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0083】
図12は、本実施形態の圧力センサ1の概略構成を示した図であり、図12(a)は圧力センサ1の断面図(図12(b)のC−C断面に相当)、図12(b)は、圧力センサ1のレイアウト構成を示した正面図である。
【0084】
図12(a)、(b)に示すように、本実施形態では、封止材7を穴21aの数と同じ数用意し、各穴21aを封止材7で1つずつ囲み、各穴21a毎に封止される構造としている。
【0085】
このように、1つの封止材7につき1つの穴21aを封止するような構造としても第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して封止材7の構造を変更したものであり、他の構造に関しては第6実施形態と同様であるため、第2、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0087】
図13は、本実施形態の圧力センサ1の概略構成を示した図であり、図13(a)は圧力センサ1の断面図(図13(b)のD−D断面に相当)、図13(b)は、圧力センサ1のレイアウト構成を示した正面図である。
【0088】
図12(a)、(b)に示すように、本実施形態では、封止材7を複数にしているが、穴21aの数よりも少ない数とし、各封止材7にて1つもしくは複数の穴21aを囲むようにしている。
【0089】
このように、1つの封止材7につき1つもしくは複数の穴21aを封止するような構造としても第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して封止材7を用いないようにした点が異なるが、他の構造に関しては第6実施形態と同様であるため、第2、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0091】
図14は、本実施形態の圧力センサ1の断面図である。この図に示したように、台座15の裏面が直接上部ケース21の搭載面2aと接する構造としている。台座15の裏面は平坦とされているため、台座15を上部ケース21の搭載面2aに配置すると密着するが、台座15をSiで構成する場合には密着性を高めるために絶縁膜などをコーティングすると好ましい。このような構造の圧力センサ1は、センサチップ3に対して台座15を接合したのち、台座15の裏面を上部ケース21の搭載面2aに密着させた状態で保護材8を上部ケース21の空間9に充填することで製造される。例えば、穴21aを通じてセンサチップ3および台座15を吸引した状態で保護材8を充填する。このような吸引は、相対圧測定を行う構造の場合にはダイアフラムに直接吸引力がかかるため好ましくないが、絶対圧測定を行う構造の場合にはダイアフラムに直接吸引力がかからないため、問題なく吸引を行うことができる。
【0092】
このように、台座15の裏面が直接上部ケース21の搭載面2aと接する構造としても、第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態等に対してセンサチップ3の製造方法を異ならせたものである。ただし、他の製造方法に関しては第1第2実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0094】
具体的には、上記第1、第2実施形態では、センサチップ3を形成する際に、ダイアフラム3bを形成した後で配線部4における第1、第2埋込配線4b、4cを形成する工程等を行うようにしたが、本実施形態では、ダイアフラム3bの形成前に第1、第2埋込配線4b、4cの形成工程を行う。この製造方法について、第1実施形態の構造を例に挙げて説明する。図15および図16は、第1実施形態の圧力センサを本実施形態の製造方法にて製造する場合の断面図である。
【0095】
まず、図15(a)に示す工程では、図3(a)、(b)に示した工程を行うことにより、半導体基板3aの表面にシリコン酸化膜13を形成する工程、およびゲージ抵抗3cを形成する工程を行う。次に、図15(b)に示す工程では、シリコン酸化膜13の表面をマスク(図示せず)で覆った後、マスクのうち第1孔と対応する場所を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより半導体基板3aおよびシリコン酸化膜13の表面から第1孔を形成する。これにより、第1孔および第2孔にて半導体基板3aの表裏を貫通する貫通孔が構成される。
【0096】
続いて、図15(c)に示す工程では、第1孔および第2孔を形成する際に用いたマスクを除去したのち、第1孔および第2孔を含む貫通孔内を熱酸化もしくはデポジションにより内壁絶縁膜18にて覆う。その後、図15(d)に示す工程では、シリコン酸化膜13のうちゲージ抵抗3cを部分的に露出させるように、マスク(図示せず)を用いてシリコン酸化膜13を部分的に除去してコンタクトホール13aを形成する。そして、半導体基板3aの表面側および裏面側から例えばAlからなる金属層を部分的に注入することにより、内壁絶縁膜18を介して貫通孔内を第1、第2埋込配線4b、4cで埋込み、さらに半導体基板3aの表面側に例えばAlからなる金属層を成膜したのちパターニングすることで表面パターン4aを形成する。これにより、表面パターン4aがコンタクトホール13aを通じてゲージ抵抗3cに電気的に接続され、表面パターン4aを通じて第1、第2埋込配線4b、4cがゲージ抵抗3cと電気的に接続される。
【0097】
次に、図15(e)に示す工程では、ゲージ抵抗3cおよび表面パターン4aを含む半導体基板3aの表面全体を覆うように、酸化膜16および窒化膜17を含む保護膜を形成する。このとき形成する保護膜としては、酸化膜16と窒化膜17の少なくとも一方であれば良く、必ずしも2つとも形成する必要はない。
【0098】
続く、図16(a)に示す工程では、半導体基板3aの裏面にマスク(図示せず)を形成したのち、フォト・エッチング工程により、マスクのうちのダイアフラム3bの形成予定位置を開口させる。そして、マスクを用いたエッチングにより、半導体基板3aの裏面を凹ませ、ダイアフラム3bを形成したのち、マスクを除去する。これにより、センサチップ3が完成する。
【0099】
さらに、図16(b)に示す工程では、保護膜のうち窒化膜17の外縁部、つまりこの後の工程において保護キャップ5と接合される領域を除去する。そして、図16(c)に示す工程では、露出させられた酸化膜16の表面に保護キャップ5を接合する。このとき、酸化膜16が接合用中間層として機能するため、用意に保護キャップ5を半導体基板3aに接合することが可能となる。また、このとき、水素や希ガス等で満たされた図示しないチャンバ内に入れた状態で、保護キャップ5を半導体基板3aに接合すれば、これらの間に水素や希ガスからなる圧力伝達媒体6を充填することができるし、保護キャップ5を裏面が上に向くようにした状態で液体を凹部5a内に充填すれば、圧力伝達媒体6を液体にて構成することもできる。
【0100】
このように、ダイアフラム3bの形成前に第1、第2埋込配線4b、4cの形成工程を行うことも可能である。そして、このような順番にすると、第1、第2埋込配線4b、4cの形成工程を薄肉のダイアフラム3bが存在していない状態で行えるため、第1、第2埋込配線4b、4cの形成工程中にダイアフラム3bが破損したりすることを防止できるという効果も得られる。
【0101】
なお、ここでは第1実施形態の構造を例に挙げて説明したが、勿論、第2実施形態の構造に関しても同様の順番の製造方法を採用することができる。また、第1、第2実施形態と同様の構造を有する各実施形態に関しても同様に、本実施形態で説明した順番の製造方法を採用することができる。
【0102】
(他の実施形態)
上記実施形態では、センサチップ3の裏面から露出した第2埋込配線4cや埋込配線4eとケース2の搭載面2aから露出したターミナル2cとの電気的接続をバンプ4dにて行ったが、他の導電性接合部材、たとえば導電性接着剤などにより行っても良い。
【0103】
さらに、第4実施形態では、第1実施形態に対して封止材7を変更したものと説明したが、第2、第3実施形態に対して封止材7を変更した構成としても良い。
【0104】
また、上記第6〜第8実施形態では、第2埋込配線4cとターミナル2cとの電気的接続が接合部材4fを介して行われる例を示したが、ターミナル2cを曲げ加工しておき、その曲げ加工した部分にて接合部材を構成することで、上部ケース21と下部ケース22とを接合したときに、ターミナル2cのうちの曲げ加工しておいた部分が第2埋込配線4cと電気的に接続されるような構造としても構わない。
【0105】
また、上記第6〜第9実施形態では、第2実施形態の構造のセンサチップ3に対して圧力センサ1を絶対圧測定用とする場合に、各実施形態の構造を採用する例を説明したが、勿論、第1実施形態の構造(つまり第5実施形態の構造)や第3実施形態の構造に対して第6〜第9実施形態の構造を採用することもできる。
【0106】
さらに、上記第6〜第9実施形態では、ターミナル2cと各第2埋込配線4cとの電気的な接続が接合部材4fにて行われている場合について説明したが、接合部材4fをボンディングワイヤとする場合には、ボンディングがし易い形態とするのが望ましい。このため、例えば、図17に示す圧力センサの断面図のように、上部ケース21側の下面にターミナル2cが露出するように構成しておき、各第2埋込配線4cの表面とターミナル2cの表面に対して同方向からボンディングが行えるようにすると良い。これにより、ボンディングによる電気的な接続も容易に行うことが可能となる。
【0107】
また、上記第6〜第9実施形態では、台座15を用いる構造を絶対圧測定用の圧力センサに適用した場合について説明したが、これら各実施形態と同様の構造を第1実施形態等で説明した相対圧測定用の圧力センサに適用することも可能である。図18は、第6実施形態に示した構造を相対圧測定用の圧力センサとした場合の断面図である。この図に示されるように、台座15の表裏を貫通するように大気穴15aが形成されていると共に、ケース2に対しても大気導入孔2bが形成され、これら大気穴15aおよび大気導入孔2bを通じてダイアフラム3bの裏面に大気を導入できるようになっている。このような構造とすれば、相対圧測定用の圧力センサとすることが可能となる。なお、ここでは第6実施形態に示した構造を相対圧測定用の圧力センサとする場合について説明したが、第7〜第9実施形態に関しても同様の構造とすることで相対圧測定用の圧力センサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる圧力センサの概略構成を示した図であり、(a)は断面図((b)のA−A断面に相当)、(b)は、レイアウト構成を示した正面図である。
【図2】図1に示す圧力センサの製造工程を示した断面図である。
【図3】図2に続く圧力センサの製造工程を示した断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図5】図4に示す圧力センサの製造工程を示した断面図である。
【図6】図5に続く圧力センサの製造工程を示した断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図8】図7に示す圧力センサの製造工程を示した断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態にかかる圧力センサの概略構成を示した図であり、(a)は断面図((b)のB−B断面に相当)、(b)は、レイアウト構成を示した正面図である。
【図12】本発明の第7実施形態にかかる圧力センサの概略構成を示した図であり、(a)は断面図((b)のC−C断面に相当)、(b)は、レイアウト構成を示した正面図である。
【図13】本発明の第8実施形態にかかる圧力センサの概略構成を示した図であり、(a)は断面図((b)のD−D断面に相当)、(b)は、レイアウト構成を示した正面図である。
【図14】本発明の第9実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図15】本発明の第10実施形態にかかる圧力センサにおけるセンサチップの製造工程を示した断面図である。
【図16】図15に続くセンサチップの製造工程を示す断面図である。
【図17】他の実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【図18】他の実施形態にかかる圧力センサの断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1…圧力センサ、2…ケース、2a…搭載面、2b…大気導入孔、2c…ターミナル、2d…コネクタ部、2e…圧力導入孔、3…センサチップ、3a…半導体基板、3b…ダイアフラム、3c…ゲージ抵抗、3d…凹部、4…配線部、4a…表面パターン、4b、4c…第1、第2埋込配線、4d…バンプ、4e…埋込配線、5…保護キャップ、5a…凹部、5b…ダイアフラム、5c…貫通孔、6…圧力伝達媒体、7…封止材、7a、7b…環状部材、8…保護材、10…シリコン基板、11…マスク、12…レジスト、13…シリコン酸化膜、14…マスク、15…台座、20…エピタキシャル成長層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記第1ダイアフラム(3b)を覆うように、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)および前記センサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記保護キャップ(5)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入すると共に、前記センサチップ(3)を構成する前記半導体基板(3a)の裏面側に大気を導くように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記保護キャップ(5)が歪むと、該歪みに応じた力が前記第1ダイアフラム(3b)に伝わることで前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)のうち少なくとも裏面から設けられた穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4b、4c、4e)と、前記埋込配線(4b、4c、4e)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ケース(2)の前記搭載面(2a)から部分的に露出された前記ターミナル(2c)の該露出部分との間に配置された電気的導通可能な接合部材(4d、4f)とを含み、前記埋込配線(4b、4c、4e)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間には、前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)と前記大気が導入される空間(9b)との差圧を保持し、かつ、前記圧力媒体と前記大気とから前記バンプ(4d)を分離する環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)が備えられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記センサチップ(3)のうち前記半導体基板(3a)の裏面に貼り付けられた板状の台座(15)と、
前記第1ダイアフラム(3b)を覆うように、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)と前記センサチップ(3)および前記台座(15)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記保護キャップ(5)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入するように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記保護キャップ(5)が歪むと、該歪みに応じた力が前記第1ダイアフラム(3b)に伝わることで前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)のうち少なくとも裏面から設けられた穴内および前記台座(15)の表裏を貫通するように形成された穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4b、4c、4e)と、前記埋込配線(4b、4c、4e)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ケース(2)の前記搭載面(2a)に部分的に露出された前記ターミナル(2c)の該露出部分との間に配置された接合部材(4d、4f)とを含み、前記埋込配線(4b、4c、4e)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)と前記台座(15)の裏面との間には、前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から前記接合部材(4d、4f)を分離することで、前記圧力媒体から前記接合部材(4d、4f)を分離する環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)が備えられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記センサチップ(3)のうち前記半導体基板(3a)の裏面に貼り付けられた板状の台座(15)と、
前記第1ダイアフラム(3b)を覆うように、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)と前記センサチップ(3)および前記台座(15)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記保護キャップ(5)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入するように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記保護キャップ(5)が歪むと、該歪みに応じた力が前記第1ダイアフラム(3b)に伝わることで前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)のうち少なくとも裏面から設けられた穴内および前記台座(15)の表裏を貫通するように形成された穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4b、4c、4e)を含み、前記埋込配線(4b、4c、4e)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)に対して前記台座(15)が直接接触するように配置されることで、前記埋込配線(4b、4c、4e)が直接前記ターミナル(2c)に接続され、かつ、この接続箇所が前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
前記埋込配線(4b、4c)は、前記半導体基板(3a)の表面に層間絶縁膜(13)を介して形成された表面パターン(4a)と電気的に接続され、
前記表面パターン(4a)は、酸化膜(16)と窒化膜(17)の少なくとも1つによって覆われていると共に、前記層間絶縁膜(13)に形成されたコンタクトホール(13a)を通じて前記ゲージ抵抗(3c)と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記保護キャップ(5)は、基板(10)の裏面側に凹部(5a)が形成されることで薄肉化された第2ダイアフラム(5b)を含み、前記凹部(5a)側を前記センサチップ(3)側に向け、該凹部(5a)内に前記第1ダイアフラム(3b)が入るようにして、前記半導体基板(3a)の表面に接合されており、
前記保護キャップ(5)における前記凹部(5a)と前記半導体基板(3a)の表面との間には、圧力伝達媒体(6)が充填され、前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記保護キャップ(5)の前記第2ダイアフラム(5b)が歪み、該歪みに応じた力が前記圧力伝達媒体(6)を介して前記第1ダイアフラム(3b)に伝わるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記埋込配線(4e)は、前記半導体基板(3a)のうち裏面のみから設けられた穴内に前記内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれ、前記半導体基板(3a)の表面には達しないように構成されており、
前記保護キャップ(5)は、前記半導体基板(3a)の表面において、前記ゲージ抵抗(3c)と異なる導電型として形成されたエピタキシャル成長層もしくはシリコン窒化膜にて構成される被覆膜(20)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項7】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記第1ダイアフラム(3b)と対応する部分が貫通孔(5c)とされ、前記第1ダイアフラム(3b)の周囲において、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)および前記センサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記第1ダイアフラム(3b)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入すると共に、前記センサチップ(3)を構成する前記半導体基板(3a)の裏面側に大気を導くように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記第1ダイアフラム(3b)が歪むと前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)の表裏を貫通する貫通孔内に埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4a〜4c)と、前記埋込配線(4a〜4c)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ケース(2)の前記搭載面(2a)に部分的に露出された前記ターミナル(2c)の該露出部分との間に配置された接合部材(4d、4f)とを含み、前記埋込配線(4a〜4c)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間には、前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)と前記大気が導入される空間(9b)との差圧を保持し、かつ、前記圧力媒体と前記大気とから前記バンプ(4d)を分離する環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)が備えられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項8】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記センサチップ(3)のうち前記半導体基板(3a)の裏面に貼り付けられた板状の台座(15)と、
前記第1ダイアフラム(3b)と対応する部分が貫通孔(5c)とされ、前記第1ダイアフラム(3b)の周囲において、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)、前記センサチップ(3)および前記台座(15)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記第1ダイアフラム(3b)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入するように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記第1ダイアフラム(3b)が歪むと前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)の表裏を貫通する貫通孔内および前記台座(15)の表裏を貫通するように形成された穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4a〜4c)と、前記埋込配線(4a〜4c)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ケース(2)の前記搭載面(2a)に部分的に露出された前記ターミナル(2c)の該露出部分との間に配置された接合部材(4d、4f)とを含み、前記埋込配線(4a〜4c)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間には、前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)と前記接合部材(4d、4f)を分離することで、前記接合部材(4d、4f)を前記圧力媒体から分離する環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)が備えられていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項9】
半導体基板(3a)にて構成され、該半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化された第1ダイアフラム(3b)を含み、前記第1ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が形成されたセンサチップ(3)と、
前記センサチップ(3)のうち前記半導体基板(3a)の裏面に貼り付けられた板状の台座(15)と、
前記第1ダイアフラム(3b)と対応する部分が貫通孔(5c)とされ、前記第1ダイアフラム(3b)の周囲において、前記半導体基板(3a)の表面に接合された保護キャップ(5)と、
前記保護キャップ(5)、前記センサチップ(3)および前記台座(15)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、前記第1ダイアフラム(3b)の表面を受圧面として該受圧面に測定対象となる圧力媒体を導入するように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)の外部との電気的な接続を行うためのターミナル(2c)と、
前記ゲージ抵抗(3c)と前記ターミナル(2c)との電気的接続を行うための配線部(4)とを備え、
前記受圧面に導入された前記圧力媒体の圧力に応じて前記第1ダイアフラム(3b)が歪むと前記ゲージ抵抗(3c)の抵抗値が変化し、該変化に応じた検出信号が前記配線部(4)および前記ターミナル(2c)を通じて出力されるように構成され、
前記配線部(4)は、前記半導体基板(3a)の表裏を貫通する貫通孔内および前記台座(15)の表裏を貫通するように形成された穴内に内壁絶縁膜(18)を介して埋め込まれていると共に前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続された埋込配線(4a〜4c)を含み、前記埋込配線(4a〜4c)が前記保護キャップ(5)にて覆われることで前記ケース(2)内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されており、
前記ケース(2)の前記搭載面(2a)に対して前記台座(15)が直接接触するように配置されることで、前記埋込配線(4c〜4c)が直接前記ターミナル(2c)に接続され、かつ、この接続箇所が前記圧力媒体が導入される空間(9a)から分離されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項10】
前記穴は前記ゲージ抵抗(3a)の表面の一部にも形成され、該ゲージ抵抗(3a)のうち前記穴が形成された部分にも前記内壁絶縁膜(18)が形成されており、
前記埋込配線(4a)は、酸化膜(16)と窒化膜(17)の少なくとも1つによって覆われていると共に、前記ゲージ抵抗(3a)の表面の前記内壁絶縁膜(18)に形成されたコンタクトホール(18a)を通じて前記ゲージ抵抗(3a)と電気的に接続されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記半導体基板(3a)の表面に接続用中間層となる酸化膜もしくは金属膜を介して前記保護キャップ(5)が接合されていることを特徴とする請求項1ないし5および7ないし10のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記封止材(7)を構成する前記環状部材(7a、7b)は、第1環状部材(7a)と該第1環状部材(7a)を囲むように配置される第2環状部材(7b)とを有して構成され、
前記接合部材(4d、4f)は、前記第1、第2環状部材(7a、7b)の間に配置されていることを特徴とする請求項1、2、8、9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項13】
前記ケース(2)の搭載面(2a)には、前記大気が導入される空間(9b)に大気を導入するための大気導入孔(2b)が備えられ、
前記第1環状部材(7a)は、前記大気導入孔(2b)を囲むように配置されていることを特徴とする請求項12に記載の圧力センサ。
【請求項14】
前記封止材(7)は、1つの環状部材にて構成されており、該封止材(7)内に前記接合部材としてのバンプ(4d)が埋め込まれていることを特徴とする請求項1、2、8、9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記ケース(2)の搭載面(2a)には、前記大気が導入される空間(9b)に大気を導入するための大気導入孔(2b)が備えられ、
前記封止材(7)は前記バンプ(4d)よりも前記大気導入孔(2b)側および該大気導入孔(2b)に対して外側にはみ出していることを特徴とする請求項14に記載の圧力センサ。
【請求項16】
前記ケース(2)は、前記空間(9)および前記搭載面(2a)を構成する上部ケース(21)と、前記上部ケース(21)の搭載面(2a)を挟んで前記センサチップ(3)とは反対側に配置され、前記ターミナル(2c)が備えられた下部ケース(22)とを有して構成され、
前記上部ケース(21)には、前記埋込配線(4c)と対応する位置に穴(21a)が形成されており、該穴(21a)を通じて前記ターミナル(2c)が露出されていると共に、前記穴(21a)内に前記接合部材(4f)が配置されることで、前記埋込配線(4c)と前記ターミナル(2c)とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項17】
前記配線部(4)は複数備えられていると共に、前記上部ケース(21)に形成された前記穴(21a)も前記配線部(4)の数と同数形成されており、
前記封止材(7)は、前記穴(21a)をすべて囲むように構成された環状部材であることを特徴とする請求項16に記載の圧力センサ。
【請求項18】
前記配線部(4)は複数備えられていると共に、前記上部ケース(21)に形成された前記穴(21a)も前記配線部(4)の数と同数形成されており、
前記封止材(7)は、前記穴(21a)と同数備えられ、該穴(21a)の1つ1つが該封止材(7)の1つ1つによって囲まれていることを特徴とする請求項16に記載の圧力センサ。
【請求項19】
前記配線部(4)は複数備えられていると共に、前記上部ケース(21)に形成された前記穴(21a)も前記配線部(4)の数と同数形成されており、
前記封止材(7)は、前記穴(21a)よりも少ない数備えられ、該穴(21a)の複数が該封止材(7)のうちの1つによって囲まれていることを特徴とする請求項16に記載の圧力センサ。
【請求項20】
前記ケース内における前記圧力媒体が導入される空間(9a)のうち前記ケース(2)と前記センサチップ(3)と前記封止材(7)の間には、前記圧力媒体から前記封止材(7)を保護するための保護材(8)が充填されていることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【請求項21】
半導体基板(3a)を用意する工程と、
前記半導体基板(3a)にて構成され、前記半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化されたダイアフラム(3b)を含み、前記ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が備えられたセンサチップ(3)を形成する工程と、
前記半導体基板(3a)の表裏を貫通する穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成すると共に、前記内壁絶縁膜(18)を介して前記穴内に導体を埋め込むことで、前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4b、4c)を形成する工程と、
前記ゲージ抵抗(3c)の表面に層間絶縁膜(13)を形成したのち、この層間絶縁膜(13)にコンタクトホール(13a)を形成し、このコンタクトホール(13a)を通じてゲージ抵抗(3c)および埋込配線(4b、4c)と電気的に接続される表面パターン(4a)を形成する工程と、
前記ゲージ抵抗(3c)および前記表面パターン(4a)を含めて、前記半導体基板(3a)の表面に酸化膜(16)と窒化膜(17)の少なくとも一方を含む保護膜を形成する工程と、
基板(10)の裏面側に凹部(5a)が形成されることで薄肉化された第2ダイアフラム(5b)を含む保護キャップ(5)を形成する工程と、
前記保護キャップ(5)を、前記凹部(5a)側を前記センサチップ(3)側に向け、該凹部(5a)内に前記ダイアフラム(3b)および前記埋込配線(4b、4c)が入るようにして、前記半導体基板(3a)の表面に接合する工程と、
前記保護キャップ(5)および前記センサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、前記搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられ、かつ、測定対象となる圧力媒体が導入される空間(9a)および前記大気導入孔(2b)を通じて大気が導入される空間(9b)を形成するケース(2)を用意する工程と、
前記大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、前記保護キャップ(5)と共に前記センサチップ(3)を前記搭載面(2a)に搭載し、前記バンプ(4d)にて、前記埋込配線(4b、4c)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ターミナル(2c)のうち前記搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、前記封止材(7)にて、前記ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と前記大気が導入される空間(9b)を区画する工程と、を含んでいることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項22】
半導体基板(3a)を用意する工程と、
前記半導体基板(3a)にて構成され、前記半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化されたダイアフラム(3b)を含み、前記ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が備えられたセンサチップ(3)を形成する工程と、
前記半導体基板(3a)の表裏を貫通すると共に前記ゲージ抵抗(3c)の一部を経こませる穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成する工程と、
前記内壁絶縁膜(18)のうち前記ゲージ抵抗(3c)の上に形成された部分にコンタクトホール(18a)を形成したのち、前記内壁絶縁膜(18)を介して前記穴内に導体を埋め込むことで、前記コンタクトホール(18a)を通じて前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4a〜4c)を形成する工程と、
基板(10)の表裏を貫通する貫通孔(5c)が形成された保護キャップ(5)を形成する工程と、
前記貫通孔(5c)内に前記ダイアフラム(3b)が配置され、前記保護キャップ(5)にて前記埋込配線(4b、4c)が覆われるように、前記保護キャップ(5)を前記半導体基板(3a)の表面に接合する工程と、
前記保護キャップ(5)および前記センサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、前記搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられ、かつ、測定対象となる圧力媒体が導入される空間(9a)および前記大気導入孔(2b)を通じて大気が導入される空間(9b)を形成するケース(2)を用意する工程と、
前記大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、前記保護キャップ(5)と共に前記センサチップ(3)を前記搭載面(2a)に搭載し、前記バンプ(4d)にて、前記埋込配線(4b、4c)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ターミナル(2c)のうち前記搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、前記封止材(7)にて、前記ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と前記大気が導入される空間(9b)を分離する工程と、を含んでいることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項23】
半導体基板(3a)を用意する工程と、
前記半導体基板(3a)にて構成され、前記半導体基板(3a)の裏面が凹まされて薄肉化されたダイアフラム(3b)を含み、前記ダイアフラム(3b)にゲージ抵抗(3c)が備えられたセンサチップ(3)を形成する工程と、
前記半導体基板(3a)の裏面から前記ゲージ抵抗(3c)に達するように穴を形成したのち、該穴内に内壁絶縁膜(18)を形成すると共に、前記内壁絶縁膜(18)を介して前記穴内に導体を埋め込むことで、前記ゲージ抵抗(3c)に電気的に接続される埋込配線(4e)を形成する工程と、
前記半導体基板(3a)の表面に貼合わせ用のシリコン、エピタキシャル成長層もしくはシリコン窒化膜で構成される被覆膜(20)からなる保護キャップ(5)を形成することで、該半導体基板(3a)の表面を前記保護キャップ(5)で覆う工程と、
前記保護キャップ(5)および前記センサチップ(3)を収容する空間(9)および搭載する搭載面(2a)を有し、該搭載面(2a)に大気導入孔(2b)が形成されていると共に、前記搭載面(2a)から部分的に露出するターミナル(2c)が備えられ、かつ、測定対象となる圧力媒体が導入される空間(9a)および前記大気導入孔(2b)を通じて大気が導入される空間(9b)を形成するケース(2)を用意する工程と、
前記大気導入孔(2b)を囲む環状部材(7a、7b)にて構成された封止材(7)および該封止材(7)中に配置される導体のバンプ(4d)を前記搭載面(2a)と前記半導体基板(3a)の裏面との間に挟んだ状態で、前記保護キャップ(5)と共に前記センサチップ(3)を前記搭載面(2a)に搭載し、前記バンプ(4d)にて、前記埋込配線(4b、4c)のうち前記半導体基板(3a)の裏面から露出する部分と前記ターミナル(2c)のうち前記搭載面(2a)から露出した部分とを電気的に接続しつつ、前記封止材(7)にて、前記ケース(2)内における圧力媒体が導入される空間(9a)と前記大気が導入される空間(9b)を分離する工程と、を含んでいることを特徴とする圧力センサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−80095(P2009−80095A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19203(P2008−19203)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】