説明

圧力容器

圧力負荷された流動性またはガス状の媒体のための圧力容器であって、巻き体として被着されかつ合成樹脂内に埋め込まれている繊維から成る第1の補強部(22)が設けられており、第1の補強部(22)に対して付加的に第2の補強部(23)が設けられており、該第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の破断伸びよりも小さな破断伸びを有しており、第1の補強部(22)がそれ自体単独で、圧力容器(20)内の媒体の圧力から生ぜしめられる力を全体的に受け止めるために十分であり、第2の補強部(23)の破断を表示するための手段が設けられている圧力容器(20)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の圧力容器、すなわち圧力負荷された流動性またはガス状の媒体のための圧力容器であって、巻き体として被着されかつ合成樹脂内に埋め込まれている繊維から成る第1の補強部が設けられている形式のものに関する。このような種類の圧力容器は、圧力負荷されたガス状または液状の媒体の貯蔵時に使用される。
【0002】
背景技術
このような圧力容器は、ドイツ連邦共和国特許第19751411号明細書から公知である。この圧力容器は、著しい強度を有していないブロー成形されたプラスチックライナと、このプラスチックライナを外側で取り囲む、合成樹脂内に埋め込まれた繊維から成る1つの補強部とを有している。繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維およびホウ素繊維ならびにAI2O3(アルミナ)繊維およびこれらの繊維から成る混合物が挙げられる。個別の繊維種類は、互いに異なる性質および種々異なる破断伸び(破断点伸度)を有している。これらの繊維は、巻き体の形でプラスチックライナに巻き付けられて、プラスチックマトリックス内に埋め込まれている。このプラスチックマトリックスは、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂もしくは熱可塑性樹脂、たとえばポリアミド、ポリエチレンまたはポリプロピレンから成っている。全ての実施形態に共通することは、このようにして得られた補強部が、内蔵されたガスまたは液体の圧力負荷から生じる力に耐えるために十分となる強度を有していることである。破断伸びはとりわけ、それぞれ含有されている繊維の性質および配置から得られる。過剰負荷が生じると、圧力容器の破裂が生ぜしめられる恐れがあり、このことは甚大なリスクに結び付く恐れがあり、このリスクとは圧力容器に過剰負荷が加えられると突発的に、予見不能に、つまり予見不能でコントロール不能に破裂することにある。このような故障挙動に基づき、公知の圧力容器では比較的高い安全率を有する繊維複合補強部で圧力容器を被覆することが通常である。したがって、繊維複合材から成る補強部を備えた圧力容器は、過剰寸法設定されている。高価で高強度の炭素繊維から成る補強部を備えた圧力容器の使用の他に、廉価なガラス繊維も使用される。ガラス繊維の耐久性はあまり満足できるものではない。したがって、この場合、安全率は特に高くなる。
【0003】
発明の開示
本発明の根底を成す課題は、このような圧力容器を改良して、改善された耐用寿命およびより節約的な材料使用にもかかわらず、過剰負荷が早期に表示され、予見不能な破裂が排除されるような圧力容器を提供することである。
【0004】
この課題は、本発明によれば請求項1の上位概念部に記載の圧力容器において特徴部に記載の特徴により解決される。本発明の有利な改良形は請求項2以下に記載されている。
【0005】
したがって本発明によれば、第1の補強部に対して付加的に第2の補強部が設けられており、該第2の補強部が、第1の補強部の破断伸びよりも小さな破断伸びを有しており、第1の補強部がそれ自体単独で、圧力容器内の媒体の圧力から生ぜしめられる力を全体的に受け止めるために十分であり、過剰負荷時に第2の補強部の破断が生じ、第1の補強部の機能損傷が生じることなしに、第2の補強部の破断が検知可能に表示される。
【0006】
第2の補強部は、標準の作動圧力では、第1の補強部に並列に有効であり、このことは第1の補強部の負荷を軽減し、第1の補強部の改善された耐用寿命と同時に、減じられた重量を生ぜしめる。伸びは、装入された媒体の圧力の高さに対して平行に徐々に増大する。圧力容器の過剰負荷は、第1の補強部の破断伸びと比べて小さく設定された、第2の補強部の破断伸びにより、まず第2の補強部の破断しか生ぜしめない。次いで全負荷が、第1の補強部に移行する。この場合、第1の補強部は、この全負荷を単独で受け止めるために十分な強度を有している。このような破断は常に圧力容器の飛躍的な伸びと、外観の認識可能な変化とに結びついていて、これらは種々の手段によって表示され得る。
【0007】
第2の補強部の破断を視覚的に認識することは困難ではない。その場合、前記手段を、第2の補強部自体によって形成することができる。場合によっては極めて微細となる破断をより良好に認識可能にするために、圧力容器は、第2の補強部の色に関連して対照色の、コントロール塗装を備えていてよい。
【0008】
破断は、電気的、機械的または光学的に有効な信号発信器によっても容易にかつ信頼性良く検出され得る。
【0009】
本発明によれば、このことは、圧力容器の破裂の危険を逃し、そのような事故が発生する前の適宜な時機に、たとえば圧力容器を電気的または機械的に遮断しかつ/または空にすることにより排除するために利用される。したがって第2の補強部における破断の発生は、いかなるリスクにも結びついていない。したがって、通常では圧力負荷されたガスまたは液体である封入された媒体の成分がコントロールされずに流出することを懸念しなくて済む。
【0010】
したがって、第2の補強部の破断時に得られる信号は、本発明の枠内では、圧力容器を遮断して、それ以上の使用を不可能にするか、または内蔵された媒体を意図的に、つまりコントロールされた状態で逃出させるためのインジケータとして使用される。その後に圧力容器は、運転中止されて、新しい圧力容器によって代えられなければならない。たとえば水素貯蔵部に使用される最大700バールまでの貯蔵圧に関して、適宜な時機での過剰負荷表示は安全面の点で重要となる。使用者には、「フェールセーフ特性」が提供される。つまり、局所的な、コントロールされた表示可能な故障にもかかわらず、システムは全体的に機能性および安全性を維持している。第2の補強部の故障後に、最終的な破裂圧力まで引き続き圧力が上昇することが理論的には可能であるが、しかし電気的、機械的または光学的な遮断機構が圧力容器の機能に組み込まれている場合には、このような圧力上昇はシステム上排除されている。このような自動的な遮断機構は、特に圧力容器の全自動的な排出、または遮断を行うことができる。
【0011】
第2の補強部は有利には、第1の補強部の破断伸びの最大で90%、有利には第1の補強部の破断伸びの50%〜70%に達する破断伸びを有している。これによって第2の補強部が、第1の補強部よりも著しく早期に故障し、この第2の補強部の故障時に、第1の補強部の損傷が生じないことが確保されている。第1第2の両補強部の互いに異なる破断伸びは、有利には、互いに関連した意図的な材料選択によって制御され、特に、場合によっては第1の補強部に含まれている繊維が、第2の補強部に含まれている繊維の破断伸びよりも大きな破断伸びを有していることにより制御される。
【0012】
両補強部の、要求された互いに異なる破断伸びは、構造的にも得ることができる。この場合、たとえば第1の補強部と第2の補強部とが同じ繊維を含有していて、第1の補強部の、圧力容器の円筒状の領域に配置された繊維と、圧力容器の軸線とが成す角度が、第2の補強部の、圧力容器の円筒状の領域に配置された繊維と、圧力容器の軸線とが成す角度よりも少なくとも20°、有利には少なくとも30°小さく設定される。この手段により、第2の補強部の破断伸びは、やはり第1の補強部の破断伸びよりも小さく形成される。両補強部における繊維の角度差が増大するにつれて、第2の補強部の破断伸びはますます減少する。これらの繊維は一般的に、両補強部内で互いに交差した状態で配置されていて、プラスチックマトリックスにより互いに接着されている。
【0013】
第2の補強部が第1の補強部よりも高い剛性を有していると有利である。このことは、第1の補強部が運転中に著しく負荷軽減されるという利点を有しており、このことは圧力容器の耐用寿命を改善する。第2の補強部の剛性が、第1の補強部の剛性よりも少なくとも10%、有利には少なくとも50%高く形成されていると望ましい。これにより、第1の補強部の著しい負荷軽減が生じる。第2の補強部の剛性が、第1の補強部の剛性よりも数倍高く設定されていると有利である。
【0014】
有利な1実施態様によれば、第1の補強部が金属から成っていて、たとえば深絞り加工されかつ/または溶接されたスチールまたは他の金属から成る圧力タンクの形を有している。この種の材料は、比較的小さな破断伸びを有している。この種の材料はそれ自体単独でも多岐に使用されていて、市販のねじ締結装置によって特に簡単に組み付けることができる。第2の補強部は、たとえば、プリロードをかけられた樹脂含浸された繊維ストランドを用いた巻付けプロセスと、後続の合成樹脂硬化とによって問題なく被着され得る。したがってこの構造では、内部にプラスチックライナを使用する必要がない。
【0015】
両補強部が、巻き体として被着されかつプリロードをかけられて合成樹脂内に埋め込まれた繊維を含んでいると有利であることが判っている。このような均質に形成された圧力容器は、特に小さい重量しか有しておらず、種々の負荷に対して安定的である。
【0016】
両補強部は、層を成して上下に重なり合って配置されていてよい。この場合、層の数は任意である。これらの層は、互いに内外に移行するように、または混合されて形成されていてもよい。しかしこの場合、個々の補強部のそれぞれの破断伸びをコントロールすることは、比較的困難になる。したがって、この構成は特別事例のために残されている。
【0017】
第2の補強部が第1の補強部を外側で取り囲こむ構成が使用されると有利である。このような構成では、第2の補強部の破断が特に簡単に認識可能であり、インジケータとして使用され得る。
【0018】
別の有利な実施形態では、第1の補強部が第2の補強部を外側で取り囲んでいる。このような構成は、比較的に脆い第2の補強部が、よりフレキシブルな第1の補強部により、起こりうる機械的な損傷から付加的に保護されるという利点を有している。
【0019】
第2の補強部が、第1の補強部の肉厚さの5%〜50%の肉厚さを有していると有利である。この範囲では、圧力容器の耐用寿命の良好な改善の他にも、過剰負荷の良好な表示が得られる。
【0020】
補強部を形成する繊維は、公知の繊維の多様な範囲から選択され得る。この場合、主として要求に応じて第1の補強部および第2の補強部の破断伸びを、相互に調和させることが極めて重要となる。金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ピッチ系繊維、ポリエステル繊維および/またはバサルト(玄武岩)繊維が使用されると有利であることが判った。
【0021】
第2の補強部が目標破断個所を有していると、故障発生事例を特に簡単かつ確実に認識することができる。したがって第2の補強部は、過剰負荷の発生時に正確にこの目標破断個所で破断するようになり、事情によっては極めて監視困難となる領域では破断しなくなる。したがって、使用される信号発信器を、この1個所に対応配置するだけで済む。これにより信号発信器を、極めて小型にかつ軽量に形成することができる。
【0022】
信号発信器が、電気的または機械的な制御信号を送出するために適していると有利であることが判った。この制御信号はたとえば、故障発生を表示するか、または圧力負荷された媒体を、別の圧力容器に迂回させかつ/または圧力容器を遮断するか、または媒体を意図的に圧量容器から逃出させるために使用され得る。
【0023】
以下に本発明の実施例を添付の図面に付き詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】圧力容器を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示した圧力容器の規定通りの使用時に生じる伸びを、種々の圧力段階において示す線図である。
【0025】
発明の実施形態
図1は、圧力負荷された流動性の媒体のための圧力容器20を示している。この圧力容器20は、プラスチック、この実施例では熱可塑性の材料から成るブロー成形中空体または回転成形中空体の形の、内側に配置されたライナ21を有している。このライナ21は、第1の補強部22によって外側で取り囲まれており、この第1の補強部22は、この第1の補強部22の上に層状に位置する第2の補強部23によって取り囲まれている。さらに、圧力負荷可能な媒体を供給するための接続部25が設けられている。この接続部25は、公知先行技術に相当していてよい。
【0026】
第1の補強部22はガラス繊維を有している。このガラス繊維は、巻き体として被着され合成樹脂内に埋め込まれている。これらの繊維は、合成樹脂含浸された、機械的にプリロード(予荷重)をかけられた繊維ストランドの形で、ライナ21に巻き付けられる。この場合、巻付け回数、繊維の種類および太さならびに合成樹脂の選択および硬化は、公知のモデルに相当していてよいが、しかし基本的には個別事例に課せられた要求に左右される。第1の補強部22の厚さは、公知先行技術による単層式の構造に比べて、著しく減じられていてよい。なぜならば、従来のような多大な安全マージンを組み込むことがもはや必要でないからである。著しい重量増加に繋がるこのような安全マージンの代わりに、第2の補強部が使用される。第2の補強部は、第1の補強部の負荷を部分的に軽減し、過剰負荷が生じたときには主としてインジケータ機能を有しており、したがって著しく軽量となる。
【0027】
第1の補強部22に対して付加的に第2の補強部23が設けられている。この第2の補強部23は、第1の補強部22と同じように形成されて、被着されている。第2の補強部23の半径方向の厚さは、第1の補強部22の半径方向の厚さの約10%である。第1の補強部22だけが、圧力容器20に封入された媒体から生ぜしめられる力に単独で耐えるために十分となる支持能力を有している。
【0028】
特に第2の補強部23は、第1の補強部22の破断伸びよりも小さな破断伸びを有している点で、第1の補強部22と異なっている。したがって、連続的な圧力増大により圧力容器が過剰負荷されると、第1の補強部22は、常に時間的にずらされて第2の補強部23よりも遅く破断する。第1の補強部22は、金属、たとえば深絞り加工されたスチールから成っていてもよい。第1の補強部22にはガラス繊維またはバサルト繊維が使用され、第2の補強部に炭素繊維が使用されると有利である。第2の補強部23の炭素繊維の剛性は、第1の補強部22のガラス繊維の剛性よりも3倍大きく設定されている。これによってこの実施例では第1の補強部22の著しい負荷軽減が生じる。
【0029】
さらに圧力容器20は、信号発信器24を備えている。この信号発信器24は、少なくとも第2の補強部23の破断を表示するために適している。この信号発信器24は、図1に示す実施例では引張力センサ24から成っている。この引張力センサ24は、圧力容器20の互いに反対の側に位置する端部を互いに接続している。引張力センサ24は、符号24aで示すように周方向に配置されていてもよく、第2の補強部の破断、つまりその場合に予想され得る、コントロールされた、飛躍的な伸び変化にのみ応答する。
【0030】
図1に示す圧力容器20では、両補強部22,23が、層状に上下に重なり合って巻き体として被着され、かつ合成樹脂内に埋め込まれて拘束されている繊維から成っている。
【0031】
第2の補強部は、過剰負荷時に破断が発生する領域を空間的に限定するために、目標破断個所(図示せず)を有していてよい。この目標破断個所は、第2の補強部23に設けられた切込みによって形成されていてよい。
【0032】
第2の補強部が破断した場合に送出される信号は、電気的、光学的または機械的な制御信号であってよい。この制御信号は、圧力容器20を遮断するために適しているか、もしくは封入された媒体をコントロールされた状態で圧力容器から逃出させるために適している。
【0033】
本発明の機能は、図2に示した線図からさらに明らかにされる。この線図には、圧力が伸びとの関係で示されている。圧力スケール14は、圧力容器20内に存在する液状またはガス状の媒体の圧力を示している。伸びスケール15は、圧力容器20を取り囲こむ補強部22および補強部23の、圧力容器内に存在する圧力から生ぜしめられる伸びを示している。圧力スケール14には、複数の圧力段階が記入されている。圧力段階16は無圧の使用状態を、圧力段階10は作動圧力(たとえば200バール)を、圧力段階13は破裂圧力(たとえば500バール)を示している。
【0034】
線図に描かれた曲線5は、炭素繊維しか含有していない第2の補強部23しか有していない圧力容器における連続的な圧力増大時の伸び経過を示しており、曲線7は、ガラス繊維しか含有していない第1の補強部22しか有していない圧力容器の伸び経過を示している。
【0035】
これに対して本発明による圧力容器は、第1の補強部と、第2の補強部とを一緒に有している。この場合、第1の補強部および第2の補強部は、上で説明したように形成され、互いに内外に取り囲み合った層の形に配置されている。これによって全体的には、すぐに使える状態の圧力容器の、圧力段階12までの曲線6に相応する伸び経過が得られる。
【0036】
圧力容器20の内部の圧力増大が引き続き圧力段階12を超えて増大すると、まず炭素繊維しか含有していない第2の補強部23が、そのより小さな破断伸びのために、圧力段階12で破断する。この破断は、まだ無傷の第1の補強部22を有する圧力容器20の飛躍的な伸び変化8を誘発する。この伸び変化8は、信号発信器24によって機械的または電気的に表示され、このことは圧力容器20を遮断することを可能にする。いまだ損傷されていない第1の補強部22は、この間も単独で、圧力容器20の破裂や漏れが生じることなく、圧力容器20内の圧力負荷された媒体から生ぜしめられた力をそれ自体で受け止めることができる。したがって、この場合に生じた、容易に認識可能な圧力容器20の伸び変化を表す曲線8が描かれる。引き続き圧力上昇が行われると、第2の補強部23の欠如に基づいて、圧力上昇に比例して増大する伸び9が生じ、最終的に圧力段階13に到達すると、予め計算された破裂圧力において最終的な故障が生じる。
【0037】
第1の補強部22および第2の補強部23の寸法設定は主として使用事例に関連している。
【0038】
試験圧力11は、作動圧力10よりも上方に位置していて、一般にはこのような圧力容器の引取り者もしくは認可官庁と取り決められる。
【0039】
特に本発明によればインジケーション段階12が重要となる。このインジケーション段階12は、試験圧力11よりもさらに高い圧力をかけられた際の、第2の補強部に限ったコントロールされた破断を表示し、本発明によれば、圧力容器20が過剰負荷を受けていて、適宜な時機に遮断されるかまたは排出されなければならないことを示すインジケータとして役立つ。これにより前警告なしのコントロールされていない破裂が回避されている。
【0040】
この圧力よりもさらに上に、圧力容器20が全体的に破壊される破裂圧力13が位置している。この値は、本発明による圧力容器の実際の使用時には、遮断機構のためにもはや到達され得ない。しかしこの破裂圧力13の値は、引取り者に、予め規定された使用に関する所定の安全性を付与するために納入取決めにおいて明示され得る。第2の補強部23のコントロールされた破断が生じた場合に、第1の補強部22の機能を損なうような損傷が起こらないようにするために、圧力段階12と圧力段階13との間にはある程度の間隔が設けられていなければならない。
【0041】
前記作用は基本的に、補強部を、層の順序を逆にして、つまり第1の補強部が第2の補強部を外側で取り囲むように構成した場合にも同じく得られる。この構成は、比較的に脆い第2の補強部が、よりフレキシブルな第1の補強部によって、起こり得る機械的な損傷から付加的に保護されるという利点を有している。この場合、第2の補強部に発生し得る亀裂の検出は、上述したように、第1の補強部にこの場合にも生ぜしめられる形状変化につき視覚的に行われるか、または2次的なインジケータ、たとえば抵抗測定装置、抵抗線ひずみゲージなどを用いて行われ得る。
【0042】
本発明の利点は特に、圧力容器の製造時における、従来よりも節約的な材料消費、ひいてはこれにより減じられた重量が得られると同時に、コントロールされていない破裂を完全に排除し、ひいては従来と比べて高い安全性を得ることができる点にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力負荷された流動性またはガス状の媒体のための圧力容器であって、巻き体として被着されかつ合成樹脂内に埋め込まれている繊維から成る第1の補強部(22)が設けられている形式のものにおいて、第1の補強部(22)に対して付加的に第2の補強部(23)が設けられており、該第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の破断伸びよりも小さな破断伸びを有しており、第1の補強部(22)がそれ自体単独で、圧力容器(20)内の媒体の圧力から生ぜしめられる力を全体的に受け止めるために十分であり、過剰負荷時に第2の補強部(23)の破断が生じ、第1の補強部(22)の機能損傷が生じることなしに、第2の補強部(23)の破断が検知可能に表示されることを特徴とする、圧力負荷された液状またはガス状の媒体のための圧力容器。
【請求項2】
第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の破断伸びの最大で50%〜90%である破断伸びを有している、請求項1記載の圧力容器。
【請求項3】
第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の剛性よりも少なくとも10%だけ高い剛性を有している、請求項1または2記載の圧力容器。
【請求項4】
第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の破断伸びの最大で50%〜70%である破断伸びを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項5】
第1の補強部(22)が、場合によっては深絞り加工されかつ/または溶接された金属薄板から成っている、請求項1から4までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項6】
第1の補強部(22)および第2の補強部(23)が、巻き体として巻き付けられかつ合成樹脂内に埋め込まれている繊維を含有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項7】
第1の補強部(22)および第2の補強部(23)が、層状に上下に重なり合って配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項8】
第1の補強部(22)が、第2の補強部(23)を外側で取り囲んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項9】
第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)を外側で取り囲んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項10】
第2の補強部(23)が、第1の補強部(22)の肉厚さの5%〜50%である肉厚さを有している、請求項6から9までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項11】
第1の補強部(22)および第2の補強部(23)が、同じ繊維を含有していて、第1の補強部(22)の、圧力容器(20)の円筒状の領域に配置された繊維と、圧力容器(20)の軸線とが成す角度が、第2の補強部(23)の、圧力容器(20)の円筒状の領域に配置された繊維と、圧力容器(20)の軸線とが成す角度よりも少なくとも20°小さく設定されている、請求項6から10までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項12】
第1の補強部(22)および第2の補強部(23)が、互いに異なる破断伸びを有する繊維を含有している、請求項6から11までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項13】
圧力容器の壁の外観および/または伸びの飛躍的な変化を視覚化するための手段が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項14】
前記手段が、圧力容器の壁の伸びを検出するための信号発信器(24)を有している、請求項13記載の圧力容器。
【請求項15】
第2の補強部(23)が、目標破断個所を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項16】
前記信号発信器(24)が、電気的または機械的な制御信号を送出するために適している、請求項12から15までのいずれか1項記載の圧力容器。
【請求項17】
前記制御信号が、圧力容器(20)を遮断するために適している、請求項16記載の圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−503801(P2010−503801A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527705(P2009−527705)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006096
【国際公開番号】WO2008/031471
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509075251)イクスペリオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】XPERION GmbH
【住所又は居所原語表記】Planckstrasse 15, D−32052 Herford, Germany
【Fターム(参考)】