説明

圧着装置及びフラットパネルディスプレイの製造装置

【課題】基板に電子回路部品を実装するときに、圧着機構の簡略化及び処理時間の短縮化を図り、多様なパネルサイズの基板に対応することを目的とする。
【解決手段】本発明の圧着装置は、四角形状のパネル基板1の第1の長辺側L1にACF5を介して搭載された複数の電子回路部品2をパネル基板1に対して熱圧着させる第1の長辺圧着機構21と、第1の長辺圧着機構21と直交して配置され、パネル基板1の第1の短辺側S1にACF5を介して搭載された複数の電子回路部品2をパネル基板1に対して熱圧着させる第1の短辺圧着機構と22、を備え、第1の長辺圧着機構21と短辺圧着機構22とは一方の熱圧着中に他方の熱圧着を行っている。また、パネル基板1のうち、第1の長辺圧着機構21の長さは最も長い長辺の長さよりも長く構成し、第1の短辺圧着機構22の長さは最も長い短辺の長さよりも長く構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にACFを介して搭載された電子回路部品を圧着させる圧着装置及びフラットパネルディスプレイの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの1つに液晶ディスプレイがある。液晶ディスプレイは、2枚の透明基板の間に液晶を封入して構成されるパネル基板にドライバICを搭載した電子回路部品を実装する技術が一般的に用いられている。基板の周囲には多数の電極が形成されており、基板上の電極に対してACFを介して電子回路部品を熱圧着することにより、電子回路部品の実装を行っている。
【0003】
基板に対して電子回路部品を実装するときには、仮圧着処理と本圧着処理との2つの処理を行って実装を行う。仮圧着処理では、基板上の電極にACFを形成しておき、基板と電子回路部品とを高精度にアライメントした状態で、バインダ樹脂の熱硬化温度より低い温度で熱圧着を行って、基板と電子回路部品とを仮圧着状態にしておく。ACFは異方性導電性を有するバインダ樹脂であり、熱硬化温度よりも低い温度で熱圧着を行うことにより、所定の粘着力を発揮する。そして、本圧着処理において、仮圧着状態になっている基板と電子回路部品とに対して、熱硬化温度で熱圧着を行うことにより、基板に対して電子回路部品が確実に貼り付けられた状態になり、実装されることになる。
【0004】
ACFを介して基板に対して電子回路部品を実装する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、基板を受ける受け部材を軟質の部材とすることにより、加圧ヘッドの作動時に受け部材が加圧ヘッドに倣うようにして、均一な加圧力を作用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−294954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子回路部品の実装は基板の周囲2辺乃至4辺に対して行われるが、電子回路部品を基板に実装するときには、各辺の夫々に対して個別的に実装を行っている。前述した特許文献1においても、1対の加圧ヘッドと受け部材とを設けた電子回路部品の圧着機構を用いて、基板の各辺に対して電子回路部品を実装している。従って、基板の周囲4辺に対して電子回路部品の実装を行うときには、基板に対する電子回路部品の圧着は4回行われることになり、圧着機構を4箇所に設けて、各圧着機構において各辺の電子回路部品の実装を行うことになる。このため、圧着機構が複雑になり、圧着処理には多くの時間を要することになり、機構の複雑化及び処理時間の遅延化といった問題を招来する。また、従来の圧着機構は、異なるサイズの基板に対応した構成を採用していないため、多様なサイズの基板に対応することができない。
【0007】
そこで、本発明は、基板に電子回路部品を実装するときに、圧着機構の簡略化及び処理時間の短縮化を図り、多様なパネルサイズの基板に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の圧着装置は、四角形状の基板の第1の長辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第1の長辺側圧着手段と、この第1の長辺側圧着手段と直交して配置され、前記基板の第1の短辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第1の短辺側圧着手段とを有し、前記第1の長辺側圧着手段と前記第1の短辺側圧着手段とは、一方の圧着手段が熱圧着中に他方の圧着手段が熱圧着を行う第1の圧着ステージと、前記基板の第2の長辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第2の長辺側圧着手段と、この第2の長辺側圧着手段と直交して配置され、前記基板の第2の短辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第2の短辺側圧着手段とを有し、前記第2の長辺側圧着手段と前記第2の短辺側圧着手段とは、一方の圧着手段が熱圧着中に他方の圧着手段が熱圧着を行う第2の圧着ステージと、前記基板を前記第1の圧着ステージから前記第2の圧着ステージに移行させる際に、前記基板を所定角度回転させる移載手段とから構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1の圧着装置によれば、直交して配置した長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とは、一方の圧着手段が熱圧着中に他方の圧着手段が熱圧着を行っているため、基板の長辺側に搭載されている各電子回路部品と短辺側に搭載されている各電子回路部品とを、一方が熱圧着中に他方を熱圧着することができる。従って、基板の長辺側と短辺側とに搭載された電子回路部品を個別的に熱圧着する従来の方式に比べて、処理をオーバーラップさせることができるため、処理時間を大幅に短縮することができる。また、1つの圧着装置で2辺の電子回路部品の一方を圧着中に他方を圧着しているため、圧着機構の簡略化を図り、装置全体の省スペース化を実現することができる。
【0010】
長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とにより熱圧着を行うときには、長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とが交差するコーナー部に、基板の角隅部を位置合わせした状態で各電子回路部品の熱圧着を行うようにする。熱圧着を行うときには、基板は正確にアライメントしなければならないため、アライメントの基準となる基準位置を少なくとも2箇所に設けてアライメントするようにすることが好ましい。基準位置としては、例えば基板の角隅部、基板の長辺側の任意の1点か基板の短辺側の任意の1点の合計2箇所に設定することができる。基準位置を検出するときには、画像認識を適用することが好ましい。基板の角隅部についてはエッジ部分を画像認識することにより検出することができる。長辺側又は短辺側の任意の基準位置については、アライメントマークや特異点を画像認識することにより検出することができる。勿論、2箇所の基準位置に依らなくても、基板を正確にアライメントすることができる手法であれば、任意の手法を適用することができる。
【0011】
基板に電子回路部品を実装するときには、仮圧着処理と本圧着処理との2つの圧着処理を行うことになる。請求項1の圧着処理は、主に本圧着処理を対象としている。ただし、仮圧着処理においても、長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とを用いて、電子回路部品を基板に対して仮圧着を行うため、仮圧着処理の場合であっても、請求項1の圧着処理を適用することができる。また、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを構成する基板であるため、その形状は長方形が対象となるが、正方形の基板に対しても適用することができる。
【0012】
本発明の圧着装置によれば、寸法の異なる複数種類の基板を圧着処理するように構成することができる。このためには、長辺側圧着手段及び短辺側圧着手段は、圧着処理が行われる基板のうち最も長い長辺の長さよりも長いものを圧着処理が可能な構成とする。
【0013】
そこで、長辺側圧着手段の長さは、処理される各種サイズの基板のうち最も長い長辺の長さよりも長くし、短辺側圧着手段の長さは、処理される各種サイズの基板のうち最も長い短辺の長さよりも長くしている。このため、異なるサイズの基板に対して1つの圧着装置で処理することが可能になり、段取り替えすることを要しなくなる。
【0014】
基板を第1の圧着ステージに搬入して、この基板の2辺に電子回路部品の圧着処理が行われ、第2の圧着ステージでは他の2辺に対して電子回路部品の熱圧着が行われる。第1の圧着ステージから第2の圧着ステージに基板を移行させる際に、基板の姿勢を90度回転させる移載手段が設けられている。また、電子回路部品が熱圧着される前の段階で、基板は圧着手段に対して位置調整されるが、このためにアライメント機構を備えており、基板は基板支持手段に載置されて、基板が水平面上で位置調整される。
【0015】
基板に対して電子回路部品を熱圧着するときには、長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とに基板をアライメントする。基板支持手段はアライメント機能を備えているため、アライメント動作は基板支持手段が行い、熱圧着動作は長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とが行っているため、2つの動作を異なる手段に割り振ることができる。このため、機構が簡略化し、容易に熱圧着を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、四角形状の基板の長辺側と短辺側とに搭載されている電子回路部品に対して、一方の熱圧着中に他方の熱圧着を行う長辺側圧着手段と短辺側圧着手段とを設けたことにより、圧着機構を簡略化することができ、長辺側と短辺側とを同時に処理するために、処理時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パネル基板の平面図である。
【図2】パネル基板と電子回路部品との接続前の状態を示す外観図である。
【図3】パネル基板の電極と電子回路部品の電極とがACFにより接続される状態を示す説明図である。
【図4】圧着ステージの全体構成を説明する図である。
【図5】長辺圧着機構と短辺圧着機構との正面図である。
【図6】加圧刃とパネルサイズとの関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の圧着装置に適用される基板として液晶ディスプレイのパネル基板1を例示している。液晶ディスプレイのパネル基板1は、上下2枚のガラス基板1a、1bを貼り合わせて、両ガラス基板間に液晶を封入した構成としている。ガラス基板1a、1bは長方形の形状をしており、所定長さの長辺と短辺とを有している。
【0019】
図1に示すように、ガラス基板1aはガラス基板1bよりも寸法が大きいものを使用し、ガラス基板1aがガラス基板1bと貼り合わせられる面の周辺部は4辺において、それぞれ所定幅の領域が張り出している。この領域(TAB搭載領域TA)にTAB搭載を行って、複数の電子回路部品2を実装する。そして、その周囲にはPCB3を配置している。電子回路部品2はパネル基板1及びPCB3と電気的に接続されており、PCB3からの信号をパネル基板1に出力している。PCB3はプリント基板であり、パネル基板の各画素を駆動するためのコントローラである。電子回路部品2は、ガラス基板1aの周囲4辺に臨んでいるTAB搭載領域TAに実装される。そして、電子回路部品2の周囲にはPCB3を配置し、PCB3と電子回路部品2とを接続する。
【0020】
図2は、電子回路部品2の接続部分を示している。パネル基板1に形成されているTAB搭載領域TAには、複数の電極が群をなして所定ピッチごとに複数の電極群4を形成している。一方、電子回路部品2はIC回路素子2aとフィルム基板2bとを有して構成しており、フィルム基板2bには多数の電極を形成している。パネル基板1のTAB搭載領域TAに形成されている電極群4の各電極と電子回路部品2のフィルム基板2bに形成されている各電極とは電気的に接続される。このために、異方性導電フィルムであるACF5を用いて接続を行う。
【0021】
ACF5は導電粒子を混在させた熱硬化性の接着剤フィルムである。パネル基板1の電極群4に対してACF5を貼り付けた状態で、電子回路部品2を当接させて上部から熱圧着を行う。図3(a)は熱圧着を行う前の状態を示しているが、この状態から、電子回路部品2に対して熱圧着を行うと、図3(b)に示すように、ACF5のフィルム5aが熱溶融して、パネル基板1と電子回路部品2との間に密着する。このとき、パネル基板1に形成されている電極群4の電極4dと電子回路部品2に形成されている電極2dとの間で、導電粒子5bが挟持されて、その間が電気的に接続された状態になる。そして、ACF5のフィルム5aを熱硬化させることにより、電子回路部品2をパネル基板1に実装させている。なお、ACF5には、熱可塑性の接着剤フィルムを用いてもよい。
【0022】
ところで、電子回路部品2をパネル基板1に実装させるための処理としては、仮圧着処理と本圧着処理とがある。仮圧着処理は、電子回路部品2をパネル基板1に対して高精度にアライメントした状態で、ACF5を介してパネル基板1に電子回路部品2を当接させた状態で僅かに熱圧着を行う。ACF5は熱硬化性の接着剤フィルムであり、ACF5のバインダ樹脂の硬化温度よりも低い温度で加熱を行うことでACF5が多少粘着性を発揮する状態になり、電子回路部品2とパネル基板1とは粘着力により貼り付いた仮圧着状態になる。本圧着処理は、仮圧着処理で仮圧着状態になったパネル基板1と電子回路部品2とに対して、ACF5の熱硬化温度で熱圧着を行って、電子回路部品2をパネル基板1に確実に圧着させる処理である。本圧着処理を経ることにより、ACF5が熱硬化して電子回路部品2とパネル基板1との間が完全に接着された状態になる。
【0023】
以下においては、本圧着処理における圧着装置を例示して説明する。図4に示すように、本圧着処理を行う圧着ステージは、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とを有して主に構成している。圧着ステージで圧着処理がされるパネル基板1には電子回路部品2が仮圧着されている。そして、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とにより、パネル基板1の周囲4辺の各電子回路部品2が本圧着される。ここで、パネル基板1は長方形状をしており、その4つの辺を、第1の長辺側L1、第1の短辺側S1、第2の長辺側L2、第2の短辺側S2として説明する。
【0024】
圧着ステージには、搬送ベルト8等の送り機構に沿って、電子回路部品2が仮圧着されたパネル基板1が、仮圧着ステージから順次搬入される。第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とにおいて、パネル基板1は逐次的に熱圧着処理が行われる。このため、搬送ベルト8には連続してパネル基板1が供給されるようにする。
【0025】
搬送ベルト8により搬送されるパネル基板1は、搬入位置SPで停止する。この位置で停止したパネル基板1は、第1の圧着ステージ6に配置される第1のアライメントテーブル10に受け渡される。搬送ベルト8から第1のアライメントテーブル10にパネル基板1を受け渡すための手段としては、例えば真空吸着手段を有する移載ロボットを使用することができる。搬入位置SPの上部に配置された移載ロボットが、搬送ベルト8上のパネル基板1を真空吸着して、パネル基板1の姿勢を90度回転して、第1のアライメントテーブル10に受け渡し可能な位置にまで移行する。第1のアライメントテーブル10の位置にまで移行した後に、移載ロボットは吸着力を解除して、第1のアライメントテーブル10にパネル基板1を載置する。これにより、受け渡しが可能になる。
【0026】
第1のアライメントテーブル10は、パネル基板1のアライメントを行った後に、圧着処理を行う。圧着処理が終了した後に、別の移載ロボットがパネル基板1を真空吸着して、第2の圧着ステージ7に配置される第2のアライメントテーブル11にパネル基板1を受け渡す。このときに、移載ロボットは、パネル基板1の姿勢を90度回転して、第2のアライメントテーブル11の位置にまで移行する。これにより、受け渡しを行う。第2の圧着ステージ7では、パネル基板1のアライメントを行った後に、圧着処理を行う。圧着処理が終了した後に、さらに別の移載ロボットがパネル基板1を真空吸着して、搬出位置BPにおいて搬送ベルト8にパネル基板1を受け渡す。このときに、移載ロボットは、パネル基板1の回転は行わずにそのままの姿勢で、又は180度回転して搬送ベルト8に移行する。搬送ベルト8に受け渡されたパネル基板1は、圧着ステージから次の処理を行うステージへ搬出されていく。従って、1基以上設けられる移載ロボットが移載手段を構成する。
【0027】
移載ロボットによる移載作業は、全て並列的に行われる。つまり、搬送ベルト8にパネル基板1を受け渡した後の第2の圧着ステージ7には、新たに第1の圧着ステージ6からパネル基板1が受け渡されるようにする。第2の圧着ステージ7にパネル基板1を移行した後の第1の圧着ステージ6には、搬送ベルト8から新たに未処理のパネル基板1が受け渡されるようにする。そして、第1の圧着ステージ6にパネル基板1が移載された後には、圧着処理を行っている間に次のパネル基板1を搬入位置SPに搬入させるようにする。
【0028】
以上のように、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とをパネル基板1が逐次的に搬送されて圧着処理が行われることにより、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とにおいて、並列的に圧着処理を行うことが可能になり、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0029】
第1の圧着ステージ6ではパネル基板1のうち2辺について、第2の圧着ステージ7ではパネル基板1のうち残り2辺について圧着処理を行う。第1の圧着ステージには、第1の長辺側圧着手段としての第1の長辺圧着機構21と第1の短辺側圧着手段としての第1の短辺圧着機構22とを備えており、第2の圧着ステージには、第2の長辺側圧着手段としての第2の長辺圧着機構23と第2の短辺側圧着手段としての第2の短辺圧着機構24とを備えている。
【0030】
第1の長辺圧着機構21は第1の長辺側L1の各電子回路部品2を圧着処理するための機構であり、第1の短辺圧着機構22は第1の短辺側S1の各電子回路部品2を圧着処理するための機構である。第2の長辺圧着機構23は第2の長辺側L2の各電子回路部品2を圧着処理するための機構であり、第2の短辺圧着機構24は第2の短辺側S2の各電子回路部品2を圧着するための機構である。このため、第1の長辺圧着機構21の全長は第1の短辺圧着機構22の全長よりも長く構成している。第2の長辺圧着機構23と第2の短辺圧着機構24との関係も同様である。
【0031】
図4に示すように、第1の長辺圧着機構21と第1の短辺圧着機構22とはL字状となるように直交配置している。第1の長辺圧着機構21と第1の短辺圧着機構22とが交差するコーナー部にパネル基板1の角隅部を位置合わせした状態で圧着処理を行うようにする。パネル基板1をアライメントするには、少なくとも2箇所の基準位置が必要である。本発明の実施形態では、パネル基板1を正確にアライメントするために、パネル基板1の角隅部及びその他の2箇所の合計3箇所を基準位置とする。角隅部以外の2箇所については、パネル基板1の第1の長辺側L1側の1箇所、第1の短辺側S1側の1箇所を夫々基準とする。図4に示す、相互に直交するX軸方向とY軸方向、回転方向(θ方向)の3方向において正確にアライメントをすることができる。勿論、この3方向を正確にアライメントすることができれば、任意の場所を基準とすることができる。なお、図4では、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とを設けているが、これはパネル基板1の周囲4辺に対して圧着処理を行うためである。前述したように、パネル基板1の第1の長辺側L1と第1の短辺側S1との2箇所にのみ電子回路部品2を実装する場合もある。この場合には、第2の圧着ステージ7は不要になり、第1の圧着ステージ6のみで圧着処理は足りることになる。
【0032】
パネル基板1を正確にアライメントすることにより、第1の長辺側L1が第1の長辺圧着機構21により圧着される場所に位置し、第1の短辺側S1が第1の短辺圧着機構22により圧着される場所に位置する。この状態で、第1の長辺圧着機構21と第1の短辺圧着機構22とを同時に作動させることにより、パネル基板1の第1の長辺側L1と第1の短辺側S1との2辺に対して一方を圧着処理中に他方の圧着処理を行っている。
【0033】
第2の圧着ステージ7においても同様であり、第2の長辺圧着機構23と第2の短辺圧着機構24との交差するコーナー部に対してパネル基板1の角隅部を位置合わせして圧着処理を行う。第2の長辺圧着機構23と第2の短辺圧着機構24とを、一方を作動中に他方を作動させることにより、パネル基板1における第2の長辺側L2と第2の短辺側S2との2辺に対して、一方を圧着処理中に他方の圧着処理を行っている。従って、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とにより、パネル基板1の周囲4辺に対して仮圧着状態になっている各電子回路部品2に対して、合計2回の圧着処理で、全ての辺に対しての本圧着処理を終了することができる。
【0034】
ここで、第1の圧着ステージ6と第2の圧着ステージ7とは、第1の長辺圧着機構21と第2の短辺圧着機構24とが対向するような位置関係で、第1の短辺圧着機構22と第2の長辺圧着機構23とが平行となるような位置関係で配置している。この位置関係で各圧着機構を配置すると、第1の圧着ステージ6で圧着処理が終了したパネル基板1を90度回転させるのみで第2の圧着ステージ7で圧着処理を行う姿勢にすることができるため、動作を最小限に抑制することができる。
【0035】
次に、圧着処理を行う圧着機構について、図5を参照して説明する。図5は、圧着機構のうち第1の圧着ステージ6の第1の長辺圧着機構21及び第1の短辺圧着機構22を示している。第1の長辺圧着機構21と第1の短辺圧着機構22とは、長さが異なる以外は、ほぼ同様の構成を採用している。また、第2の圧着ステージ7の第2の長辺圧着機構23及び第2の短辺圧着機構24については、配置の態様が異なるが、第1の圧着ステージ6と構成は同様であるため、説明を省略する。
【0036】
図5は、第1の長辺圧着機構21及び第1の短辺圧着機構22の正面図であるが、L字状に配置した構成となっているため、第1の長辺圧着機構21は側面から見た図になっている。第1の長辺圧着機構21と第1の短辺圧着機構22とは、それぞれ圧着ユニット30を有して構成し、圧着ユニット30は、加圧刃31と昇降ブロック32と上部エアシリンダ33と昇降ガイド部材34とを有して主に構成している。
【0037】
圧着ユニット30の加圧刃31は、パネル基板1に仮圧着状態になっている電子回路部品2に対して熱圧着を行う手段である。加圧刃31は昇降ブロック32に連結しており、昇降ブロック32は昇降ガイド部材34に沿って昇降動作を行う。加圧刃31は熱源であるヒータ31Hを備えており、ヒータ31Hの熱により加圧刃31の全体が加熱される。そして、昇降ブロック32を下降させることにより、パネル基板1に仮圧着状態になっている電子回路部品2に対して加熱及び加圧を行って熱圧着する。
【0038】
圧着ユニット30の下部には第1のアライメントテーブル10が位置している。第1のアライメントテーブル10は、第1のガイドレール50上に配置されており、第1のスライド部51と支持基台52と第2のガイドレール53と第2のスライド部54と回転テーブル55と基板吸着テーブル56と基板受け部57とを備えている。第1のアライメントテーブル10は、パネル基板1を圧着処理するために、水平面上の相互に直交する2軸(X軸方向及びY軸方向)と回転方向(θ方向)に位置調整を行う3つのアライメント機構を有している。
【0039】
第1のスライド部51は第1のガイドレール50に沿って移動可能な手段であり、X軸方向(搬入位置SPから第1の圧着ステージ6に向かう方向)におけるアライメント機構としての機能を発揮する。第1のスライド部51は支持基台52の下部に取り付けられ、支持基台52の上部には第2のガイドレール53を設けている。第2のガイドレール53は第1のガイドレール50の移動方向と直交する方向(Y軸方向)に設けている。第2のスライド部54は第2のガイドレール53に沿って移動を行い、第2のスライド部54は回転テーブル55の下部に取り付けている。第2のスライド部54の移動方向はY軸方向であり、第2のスライド部54はY軸方向におけるアライメント機構としての機能を発揮する。そして、回転テーブル55は回転方向にアライメントするための機構であり、回転テーブル55の上部にはパネル基板1をチャックする基板吸着テーブル56を備えている。基板受け部57は基板吸着テーブル56に取り付けられ、加圧刃31の加圧力を受承するためにパネル基板1を下方から支承する。従って、基板受け部57は、加圧刃31と同様に第1の長辺圧着機構21の全長分の長さを有している。
【0040】
以上により、パネル基板1は、X軸方向とY軸方向とθ方向との3方向にアライメントされる構成となる。アライメントを行う手段としては、前記の3つの基準位置の上部にそれぞれカメラを設けておき、このカメラが撮影した画像に対して画像処理を施す。そして、画像処理の情報に基づいて、前記の3つのアライメント機構を制御して、高精度に位置合わせするようにする。画像認識の手法としては、パネル基板1の角隅部については、当該角隅部のエッジ部分を画像認識するようにして検出する。また、その他の2箇所については、例えばアライメントマークや特異点等を目印に画像認識するようにする。
【0041】
そして、パネル基板1がアライメントされた状態で熱圧着を行う。移載ロボットがパネル基板1を第1のアライメントテーブル10に移載するときには、基板吸着テーブル56上にパネル基板1を載置するが、パネル基板1のうち電子回路部品2が仮圧着されている部位が基板受け部57に搭載されるように移載を行う。これにより、第1のアライメントテーブル10がアライメントを行った後には、加圧刃31を下降させて加圧力を作用させるだけで、電子回路部品2に対する熱圧着が完了する。
【0042】
つまり、熱圧着を行うときには、パネル基板1の正確なアライメント作業と加熱された加圧刃31による圧着作業との2つの作業が必要になるが、アライメント作業は第1のアライメントテーブル10が行い、圧着作業は第1の長辺圧着機構21が行うため、2つの作業は独立の機構により別個に行われる。このため、1つの機構がアライメント作業と圧着作業とを行う場合と比較して、機構が簡単になり、容易にアライメント作業及び圧着作業を行うことができる。
【0043】
ところで、近年のパネルサイズの大型化に伴い、圧着処理されるパネル基板のサイズも大型化している一方、小型サイズのパネル基板にも対応しなければならず、多様なサイズのパネル基板に対応して圧着処理を行う必要がある。このため、各圧着機構で用いる加圧刃31の長さを、圧着処理がされるパネル基板1のうち最大サイズのパネル基板1よりも長く構成している。
【0044】
図6に示すように、第1の長辺圧着機構21の加圧刃31を長辺加圧刃31Xとし、第1の短辺圧着機構22の加圧刃31を短辺加圧刃31Yとする。また、長辺加圧刃31Xの長さをCXとし、短辺加圧刃31Yの長さをCYとする。
【0045】
長辺加圧刃31Xと短辺加圧刃31Yとによりパネル基板1が熱圧着されるが、圧着処理が可能なパネル基板1は多様なサイズとなる。図6で示すパネル基板1L(図中において実線で示す)は処理されるパネル基板1のうち最大サイズのパネル基板であり、パネル基板1S(図中において二点鎖線で示す)は最小サイズのパネル基板である。このとき、長辺加圧刃31Xの長さCXは、処理されるパネル基板1のうち長辺の長さが最も長いものよりも長く構成している。ここでは、パネル基板1Lの長辺PXが最も長いものとなるため、長辺加圧刃31Xの長さCXは「CX≧PX」となるように構成する。同様に、パネル基板1Lの短辺PYが最も長い短辺となるため、短辺加圧刃31Yの長さCYは「CY≧PY」となるように構成する。
【0046】
長辺加圧刃31Xと短辺加圧刃31Yとのコーナー部に、パネル基板1の角隅部を位置合わせして熱圧着を行う。最小サイズのパネル基板1Sを処理する場合には、パネル基板1Sの短辺と長辺との角隅部をコーナー部に位置合わせして熱圧着を行い、最大サイズのパネル基板1Lを処理する場合には、パネル基板1Lの短辺と長辺との角隅部をコーナー部に位置合わせして熱圧着を行う。従って、パネル基板1のサイズとは無関係に角隅部とコーナー部との位置合わせを行うことで、そして長辺加圧刃31X及び短辺加圧刃31Yの長さを、処理されるパネル基板1のうち最大サイズの長辺及び短辺の長さよりも長く構成しているため、多様なサイズのパネル基板1に対応して圧着処理を行うことができる。このため、段取り替えを全く必要としなくなる。
【符号の説明】
【0047】
1 パネル基板 1a ガラス基板
1b ガラス基板 2 電子回路部品
6 第1の圧着ステージ 7 第2の圧着ステージ
21 第1の長辺圧着機構 22 第1の短辺圧着機構
23 第2の長辺圧着機構 24 第2の短辺圧着機構
31 加圧刃 31H ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の基板の第1の長辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第1の長辺側圧着手段と、この第1の長辺側圧着手段と直交して配置され、前記基板の第1の短辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第1の短辺側圧着手段とを有し、前記第1の長辺側圧着手段と前記第1の短辺側圧着手段とは、一方の圧着手段が熱圧着中に他方の圧着手段が熱圧着を行う第1の圧着ステージと、
前記基板の第2の長辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第2の長辺側圧着手段と、この第2の長辺側圧着手段と直交して配置され、前記基板の第2の短辺側に対して複数の電子回路部品を熱圧着させる第2の短辺側圧着手段とを有し、前記第2の長辺側圧着手段と前記第2の短辺側圧着手段とは、一方の圧着手段が熱圧着中に他方の圧着手段が熱圧着を行う第2の圧着ステージと、
前記基板を前記第1の圧着ステージから前記第2の圧着ステージに移行させる際に、前記基板を所定角度回転させる移載手段と
を備える構成としたことを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記基板は基板支持手段に設置されており、前記第1,第2の圧着ステージには、それぞれ前記基板支持手段を水平面上の相互に直交する2軸と回転方向に位置調整を行うアライメント機構が設けられ、前記基板の角隅部を直交配置された前記長辺側圧着手段と前記短辺側圧着手段とのコーナー部に位置を合わせる構成としたことを特徴とする請求項1記載の圧着装置。
【請求項3】
前記長辺側及び短辺側の圧着手段により圧着されるのはサイズの異なる複数種類の基板であり、前記長辺側圧着手段は、前記コーナー部から圧着処理がなされる前記基板のうちの最も長い長辺を圧着処理可能なものであり、前記短辺側圧着手段は、前記コーナー部から圧着処理がなされる前記基板のうちの最も長い短辺を圧着処理可能なものであることを特徴とする請求項2記載の圧着装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧着装置を有するフラットパネルディスプレイの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97095(P2011−97095A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7482(P2011−7482)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2007−290853(P2007−290853)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】