説明

圧電トランス駆動回路

【課題】 複数の放電管を有する多灯式の圧電トランス駆動回路において、従来よりも確実に出力電流の異常検出を行い駆動回路を停止することができる保護回路を具備した圧電トランス駆動回路を提供すること。
【解決手段】 複数の圧電トランスの出力側にそれぞれ冷陰極管10が接続され、それぞれの負荷低圧側端子11に負荷電流比較回路14への電流入力のための配線と分岐して電流判定回路12が接続されている。電流判定回路12の出力はすべてOR回路13に入力される。電流判定回路12は各負荷の出力電流が予め設定された電流値を満たすか否かを判定しその結果を出力する。OR回路13では上記電流判定回路12の出力が1つでも電流値が規定値以下と判定した場合、駆動回路20に対して異常停止信号を出力し、駆動回路20の動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷となる放電管を点灯させることを目的として交流電圧を発生させる圧電トランス駆動回路に関し、特に放電管や圧電トランスの異常の検出および保護を行う機能を有する圧電トランス駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に圧電トランスは、圧電材料に一次側及び二次側電極を設置し、一次側電極に圧電トランスの共振周波数付近の入力交流電圧を印加して圧電トランスを共振させ、機械的振動により二次側電極に発生する出力交流電圧を取り出す素子である。
【0003】
この種の圧電トランスを駆動する圧電トランス駆動回路としては、例えば特許文献1に記載された回路が知られている。図7は特許文献1に記載された従来の圧電トランス駆動回路のブロック図である。図7において、駆動回路201は、圧電トランス102の一次電極106に接続し、周波数掃引発振器205からの周波数掃引信号を圧電トランス102の駆動に必要な交流波形に変換して、圧電トランス102を駆動する。圧電トランス102の二次電極107は放電管である負荷103の負荷高圧側端子108に接続して、圧電トランス102により昇圧した電圧を負荷高圧側端子108に与える。負荷103の負荷低圧側端子109は負荷電流比較回路3104に接続し、負荷からの流出電流を負荷電流比較回路3104に流入する。負荷電流比較回路3104では、流入してきた負荷電流を電圧に変換し予め与えられている設定電流値に相当する基準電圧VrefA110と比較する。負荷電流比較回路3104は周波数掃引発振器205に接続されており上記比較結果を周波数掃引発振器205に与える。周波数掃引発振器205は負荷電流比較回路3104の比較結果に従って周波数掃引の方向を決定する。
【0004】
更に、図7において、出力電圧比較回路3206が圧電トランス102の二次電極107に接続されており、出力電圧比較回路3206の判定結果を周波数掃引発振器205に与える。出力電圧比較回路3206は圧電トランス102の二次電極107に出力される電圧を分圧整流する機能を有しており、該分圧整流した電圧を予め設定してある基準電圧VrefB212と比較することにより、二次電極107に出力される電圧が予め設定した出力電圧を越えているか否かを判定する機能を有しており、その判定結果を周波数掃引発振器205に与える。周波数掃引発振器205は、出力電圧比較回路3206の判定結果が予め設定してある出力電圧を越えたと判定した場合は、周波数の掃引方向を周波数が減少する方向から周波数を増加する方向に反転し周波数掃引方向を切り換える機能を有している。この機能により、負荷が何らか理由でオープンになった場合、圧電トランス102の駆動周波数は昇圧比の低い状態に移行し出力電圧を減少させる。
【0005】
時分割駆動制御回路306は、外から与えられるデューティ制御電圧Vduty307に従って圧電トランスの駆動周波数に対して100分の1以下の低い周波数で出力デューティが制御された信号を発生する。駆動回路201は時分割駆動制御回路306からの駆動停止信号により圧電トランス102の一次電極106に与える駆動電圧の出力を一時的に停止する機能を有しており、圧電トランスの平均出力電力が制御される。
【0006】
図8は負荷電流の異常があった場合に圧電トランスや放電管の保護のため駆動回路を停止する保護回路を有する従来の圧電トランス駆動回路の一例を示す。図8に示すように、負荷103の負荷低圧側端子109側に保護回路200が接続され、そこに入力される負荷電流を監視して、あらかじめ設定された電流値に満たないときは駆動回路201を停止させる。
【0007】
【特許文献1】特許第2751842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、圧電トランスの駆動回路において、上述のような保護回路を有する場合、負荷である放電管が複数存在する多灯式の圧電トランス駆動回路であっても、従来の保護回路は1つの放電管の出力電流のみを監視してその値があらかじめ設定された電流値に満たないときに駆動回路を停止させていた。圧電トランス駆動回路においては、一つの駆動回路で制御する複数の放電管にそれぞれ接続された全ての圧電トランスは周波数制御により同じ周波数で駆動されるため、1つの圧電トランスの出力を監視し制御すれば他の圧電トランスの出力も制御する圧電トランスとほぼ同じ電流値を示すため、1つの出力のみの監視でも十分とされていたからである。
【0009】
しかし、このように1つの放電管の出力のみを監視している場合、圧電トランスの特性のばらつきがあった場合、監視している放電管以外の放電管で出力電流が設定値以下となっても検出できない場合が生ずる。また、圧電トランスの特性が均一でも、監視している放電管以外の放電管に劣化などの何らかの問題が生じ出力電流が設定値に満たない場合が生じても検出が出来ない。すなわち、従来の保護回路は機能的に不十分であるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の課題は、複数の放電管を有する多灯式の圧電トランス駆動回路において、従来よりも確実に出力電流の異常検出を行い駆動回路を停止することができる保護回路を具備した圧電トランス駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の圧電トランスの駆動回路は、入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路において、前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流をそれぞれ検知し、該電流値の少なくとも1つが予め設定された電流値に満たないとき前記駆動回路を停止させる保護回路を有することを特徴とする。
【0012】
また、入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路において、前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流の合計値を検知し、該電流の合計値が予め設定された電流値に満たないとき前記駆動回路を停止させる保護回路を有していてもよい。
【0013】
また、入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路において、前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流をそれぞれ検知する手段および前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流の合計値を検知する手段を有し、前記それぞれの電流値の少なくとも1つまたは前記電流の合計値が予め設定された電流値に満たないとき、前記駆動回路を停止させる保護回路を有していてもよい。
【0014】
また、前記保護回路は、前記負荷の他方の端子から流出された電流が変換された電圧値と予め定めた基準の電圧値とを比較することにより、前記予め設定された電流値に満たないか否かを判定してもよい。
【0015】
また、前記駆動回路が駆動されていない期間は、前記保護回路の動作を停止させるかまたは前記保護回路は前記駆動回路を停止させる出力を出力しないように構成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、複数の放電管を有する多灯式の圧電トランス駆動回路において、各負荷のそれぞれの電流を監視すること、または各負荷の電流の合計値を監視することにより出力電流の異常を判定し駆動回路を停止するので、従来よりも確実に出力電流の異常検出を行い駆動回路を停止することができる保護回路を具備した圧電トランス駆動回路が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図である。本実施の形態は、図7に示した従来の圧電トランス駆動回路と同様に、複数の圧電トランスと、それらの圧電トランスを駆動する駆動回路と、その駆動回路に周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備えている。図1では圧電トランス、出力電圧比較回路、周波数掃引発信器などは省略して示している。
【0019】
図1において、複数の圧電トランスの出力側にそれぞれ複数の負荷である複数の冷陰極管10が接続され、それぞれの負荷低圧側端子11に負荷電流比較回路14への電流入力のための配線と分岐して電流判定回路12が接続されている。電流判定回路12の出力はすべてOR回路13に入力される。電流判定回路12は各負荷の出力電流が予め設定された電流値を満たすか否かを判定しその結果を出力する。OR回路13では上記電流判定回路12の出力が1つでも電流値が規定値以下と判定した場合、駆動回路20に対して異常停止信号を出力し、駆動回路20の動作を停止させる。すなわち、本実施の形態においては電流判定回路12とOR回路13とで保護回路を構成している。
【0020】
本実施の形態の電流判定回路12は電流電圧変換回路と比較器から構成されている。本実施の形態の電流判定回路12に使用される電流電圧変換回路の一例を図2(a)、図2(b)に示し、比較器の一例を図3に示す。図2(a)および図2(b)では、入力端21または23から入力される電流は入力抵抗25と接地抵抗26により電圧に変換され、入力抵抗と接地抵抗の抵抗値の比から決まる出力電圧値が出力端22または24より出力される。図3において、比較器はオペアンプ31により構成されている。その反転入力端子32には基準電圧を印加し、非反転入力端子33には上記の電流電圧変換回路の出力端22または24が接続され、上記出力電圧値が上記基準電圧と比較されて結果が出力端子34から出力される。
【0021】
上記のように、本実施の形態においては、例えば複数の冷陰極管を使用する液晶ディスプレイを点灯させる圧電トランス駆動回路において、複数のうちの一本が破損などの異常状態にある場合に、電流判定回路12により閾値である基準電圧との比較を行い、異常と判断した場合に駆動回路を停止させる。
【0022】
冷陰極管がn本存在する液晶ディスプレイ等のバックライトにおいては、負荷から流出される電流(以下管電流)を監視する電流判定回路もn個具備され、何れか一つの管電流値が予め設定されている閾値よりも小さい場合には、異常と判断され駆動回路を停止する。
【0023】
本実施の形態を4本の冷陰極管を持つ液晶バックライトに適用した場合の電流判定回路における管電流の閾値の設定例および管電流の測定例を下記に示す。
【0024】
管電流閾値 定常管電流 冷陰極管1の異常時の管電流
冷陰極管1 3mA 6mA 割れ 0mA
冷陰極管2 3mA 6mA 6mA
冷陰極管3 3mA 6mA 6mA
冷陰極管4 3mA 6mA 6mA
【0025】
冷陰極管1が割れる異常があった場合に、その冷陰極管1から出力される管電流は0となるために設定された閾値を下回る。それにより異常と判断され駆動回路を停止する。
【0026】
なお、本実施の形態において、負荷低圧側端子11から電流判定回路12と分岐して負荷電流比較回路14に入力される電流は、そのうちの1つの出力電流が電圧に変換されて第1の基準電圧と比較されて駆動周波数にフィードバックされてもよく、また、すべての出力電流が合流されて電圧に変換されて第1の基準電圧と比較されて駆動周波数にフィードバックされてもよい。
【0027】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図である。本実施の形態の圧電トランス駆動回路は保護回路の構成以外は実施の形態1と同じである。図4において、複数の圧電トランスの出力側にそれぞれ複数の負荷である複数の冷陰極管10が接続され、それぞれの負荷低圧側端子11に電流判定回路42が接続されている。ここで、電流判定回路42は、図2(b)の電流電圧変換回路と図3の比較器により構成されている。それぞれの電流判定回路42の出力は、すべてOR回路43に入力される。電流判定回路42は各負荷の出力電流が予め設定された電流値を満たすか否かを判定しその結果を出力し、OR回路13では上記電流判定回路12が1つでも電流値が規定値以下と判定した出力をした場合、駆動回路20に対して異常停止信号を出力し、駆動回路20の動作を停止させる。すなわち、本実施の形態においては電流判定回路42とOR回路43とで保護回路を構成している。
【0028】
また、本実施の形態においては、負荷電流比較回路44における電流電圧変換回路は電流判定回路42の電流電圧変換回路と共通化され、電流判定回路42の比較器に入力される電圧と同一の電圧が負荷電流比較回路44に入力され、それらの電圧の1つまたは複数が第1の基準電圧と比較されて駆動周波数にフィードバックされる。
【0029】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図である。本実施の形態の圧電トランス駆動回路は保護回路の構成以外は実施の形態1と同じである。図5において、複数の圧電トランスの出力側にそれぞれ複数の負荷である複数の冷陰極管10が接続され、それぞれの負荷低圧側端子11から分岐して出力電流が取り出され、それぞれのラインに挿入されたダイオード55を経由してその出力は合流され、電流判定回路52に接続されている。
【0030】
本実施の形態においては、冷陰極管が複数本存在する液晶ディスプレイ等のバックライトにおいて、各負荷の管電流を監視する電流判定回路52には管電流を合計した電流値に基づいて判定する回路が具備されており、その合計した管電流値が予め設定されている合計管電流の閾値よりも小さい場合には、異常と判断され駆動回路20を停止する異常時停止信号を出力する。ここで、電流判定回路52は基本的には図2に示した電流電圧比較回路と図3に示した比較器との組み合わせで構成されている。
【0031】
本実施の形態を4本の冷陰極管を持つ液晶バックライトに適用した場合の電流判定回路52における管電流の閾値の設定例および管電流の測定例を下記に示す。
【0032】
閾値 定常合計管電流 冷陰極管の異常時の電流値
合計管電流 20mA 24mA 割れ 18mA
【0033】
ここでは冷陰極管一本あたりの定常時の管電流は6mA、合計管電流値は24mAであり、閾値は20mAとした。この場合、冷陰極管1本が破損した場合の合計管電流値は18mAとなり、閾値を下回るため異常と判定し、駆動回路を停止する。
【0034】
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図である。本実施の形態の圧電トランス駆動回路は保護回路の構成以外は実施の形態1と同じである。図6において、複数の圧電トランスの出力側にそれぞれ複数の負荷である複数の冷陰極管10が接続され、それぞれの負荷低圧側端子11から分岐して出力電流が取り出され、それぞれの個別の管電流値を判定するための電流判定回路62が接続されている。さらに、本実施の形態においては、それぞれの負荷低圧側端子11から別途分岐して出力電流が取り出され、それぞれのラインに挿入されたダイオード65を経由してその出力は合流され、合計管電流値を判定するための電流判定回路66に接続されている。
【0035】
それぞれの個別の電流判定回路62の出力はすべてOR回路63に入力される。電流判定回路62は各個別の管電流が予め設定された電流値を満たすか否かを判定しその結果を出力し、OR回路63では上記電流判定回路12が1つでも電流値が規定値以下と判定した出力をした場合、駆動回路60に対して異常停止信号を出力し、駆動回路60の動作を停止させる。一方、電流判定回路66では合計した管電流値が予め設定されている合計管電流の閾値よりも小さい場合には、異常と判断し駆動回路60を停止する異常時停止信号を出力する。
【0036】
上述のように、本実施の形態においては、複数存在する負荷から流出される各電流を個別に予め設定された電流値に満たないか否かを判定すると同時に、各電流値を合計しその値を別の基準と比較し判定する保護回路を具備するものであり、両者の結果に基づいて駆動回路が停止される。
【0037】
本実施の形態を4本の冷陰極管を持つ液晶バックライトに適用した場合の電流判定回路62および66における管電流の閾値の設定例および管電流の測定例を下記に示す。ここでは冷陰極管のインピーダンスの異常等を想定し、冷陰極管が異常であっても電流が流れる場合を例とする。
【0038】
電流判定回路62での設定値・測定値
閾値 定常管電流 異常時の管電流
冷陰極管1 5mA 6mA 3mA
冷陰極管2 5mA 6mA 6mA
冷陰極管3 5mA 6mA 6mA
冷陰極管4 5mA 6mA 6mA
【0039】
電流判定回路66での設定値・測定値
閾値 定常電流値 異常時の電流値
合計管電流 20mA 24mA 21mA
【0040】
各管電流を個別に判定しさらに合計電流値によって判定するため、上記の例の場合には、合計管電流のみでの判定では異常は検出できないが、個別に判定する回路も具備するため、異常が検出される。
【0041】
次に、管電流がアンバランスとなった場合の管電流の閾値の設定例および管電流の測定例を示す。
【0042】
電流判定回路62での設定値・測定値
閾値 定常管電流 異常時の管電流
冷陰極管1 3mA 6mA 4.5mA
冷陰極管2 3mA 6mA 6mA
冷陰極管3 3mA 6mA 4mA
冷陰極管4 3mA 6mA 5mA
【0043】
電流判定回路66での設定値・測定値
閾値 定常電流値 異常時の電流値
合計管電流 20mA 24mA 19.5mA
【0044】
この場合には、各管電流を個別に判定しただけでは閾値を下回らないため、異常は検出されないが、合計管電流値としては閾値を下回り異常と判定される。
【0045】
本実施の形態のように個別の管電流値と合計管電流値の両方の値によって異常を判定することにより、様々な異常モードを想定して閾値の設定をそのモードによって変えることで、それらに対応した異常モードの検出が可能となる。
【0046】
(実施の形態5)
本実施の形態は駆動回路が駆動されていない期間に、電流判定回路およびOR回路からなる保護回路の動作を停止させるか、または保護回路から駆動回路を停止させる出力を出力しないように構成された圧電トランス駆動回路である。図7に示した従来の圧電トランス駆動回路のように、圧電トランスの平均出力電力を制御して調光機能をもたせるために駆動回路の駆動を周期的に停止する時分割駆動制御回路を有する場合に、駆動回路の停止時間には管電流が0となるため、この場合に保護回路が異常信号を出力してその後まで駆動回路を停止してしまうのを防ぐ目的である。
【0047】
本実施の形態の具体的構成は基本的には上記の実施の形態1〜4と同じであるが、本実施の形態においては、時分割駆動制御回路からの駆動回路停止信号を入力してその停止信号の期間に保護回路の動作を停止させる回路、またはその停止信号の期間には保護回路からの異常時停止信号の出力を遮断する回路を備える点が異なっている。
【0048】
以上のように、本発明では複数の放電管を有する圧電トランス駆動回路において、各負荷のそれぞれの電流を監視すること、または各負荷の電流の合計値を監視すること、またはその両者を監視することにより出力電流の異常を判定し駆動回路を停止するので、従来よりも確実に出力電流の異常検出を行い駆動回路を停止することができる。
【0049】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではないことは言うまでもなく、使用目的に応じて具体的な回路構成などは設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図。
【図2】電流判定回路に使用される電流電圧変換回路の一例を示す図。
【図3】比較器の一例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態2の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図。
【図5】本発明の実施の形態3の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図。
【図6】本発明の実施の形態4の圧電トランス駆動回路の一部および保護回路を示す構成図。
【図7】従来の圧電トランス駆動回路のブロック図。
【図8】保護回路を有する従来の圧電トランス駆動回路の一例を示す図。
【符号の説明】
【0051】
10 冷陰極管
11、109 負荷低圧側端子
12、42、52、62、66 電流判定回路
13、43、63 OR回路
20、60、201 駆動回路
14、44、54、64、3104 負荷電流比較回路
55、65 ダイオード
21、23 入力端
22、24 出力端
25 入力抵抗
26 接地抵抗
31 オペアンプ
32 反転入力端子
33 非反転入力端子
34 出力端子
200 保護回路
102 圧電トランス
103 負荷
106 一次電極
107 二次電極
108 負荷高圧側端子
205 周波数掃引発振器
3206 出力電圧比較回路
306 時分割駆動制御回路
110 基準電圧VrefA
212 基準電圧VrefB
307 デューティ制御電圧Vduty

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路であって、
前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流をそれぞれ検知し、該電流値の少なくとも1つが予め設定された電流値に満たないとき前記駆動回路を停止させる保護回路を有することを特徴とする圧電トランス駆動回路。
【請求項2】
入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路であって、
前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流の合計値を検知し、該電流の合計値が予め設定された電流値に満たないとき前記駆動回路を停止させる保護回路を有することを特徴とする圧電トランス駆動回路。
【請求項3】
入力交流電圧が印加される一次電極と該一次電極と絶縁され出力交流電圧を出力する二次電極とを有する複数の圧電トランスと、該圧電トランスの前記一次電極に必要な交流波形を出力して駆動する駆動回路と、該駆動回路に前記交流波形の周波数信号を出力する周波数掃引発振器と、前記圧電トランスの二次電極にそれぞれ一方の端子が接続された複数の負荷と、該負荷の他方の端子から流出された電流を入力して電圧に変換しその値を予め設定してある第1の基準電圧と比較して前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える負荷電流比較回路と、前記圧電トランスの二次電極からの出力を入力し分圧整流しその値を予め設定してある第2の基準電圧と比較した結果により前記周波数掃引発振器の周波数の掃引方向を決定する信号を与える出力電圧比較回路とを備える圧電トランス駆動回路であって、
前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流をそれぞれ検知する手段および前記複数の負荷の前記他方の端子から流出された電流の合計値を検知する手段を有し、前記それぞれ検知された電流値の少なくとも1つまたは前記電流の合計値が予め設定された電流値に満たないとき、前記駆動回路を停止させる保護回路を有することを特徴とする圧電トランス駆動回路。
【請求項4】
前記保護回路は、前記負荷の他方の端子から流出された電流が変換された電圧値と予め定めた基準の電圧値とを比較することにより、前記予め設定された電流値を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電トランス駆動回路。
【請求項5】
前記駆動回路が駆動されていない期間は、前記保護回路の動作を停止させるかまたは前記保護回路は前記駆動回路を停止させる出力を出力しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電トランス駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−100604(P2009−100604A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271883(P2007−271883)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】