説明

圧電薄膜共振器及びそれを用いた発振器並びにそれを内蔵した半導体集積回路

【課題】 共振器の小型化、薄型化を図り、それを同一基板に内臓する半導体ICを実現することにある。
【解決手段】 TCXO等に用いられる共振器を薄膜技術で実現するものであり、Si等のベース基板15上に圧電薄膜共振器24を形成し、その共振周波数が共振器の厚さではなく、横方向の寸法でほぼ決定する構成とする。これにより、共振器の薄膜化、小型化、更にSi系ICとの一体化を可能にするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,圧電薄膜を用いた共振器およびそれを用いた発振器並びにそれを内蔵した半導体集積回路(以下、半導体ICと略称)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共振器として、MEMS技術を用いた静電形の共振器の発表例がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、1.7GHzから数GHz帯で有望な高周波フィルタとしてFBAR (Film-Bulk-Acoustic-wave Resonator:薄膜バルク共振器)を用いたフィルタがある(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照)。
【0004】
また、その他この種の技術に関連するものとして、例えば、適切な組成とカットを有する圧電基板上に表面横波(STW)を発生させて伝搬させる表面横波装置に関するもの(例えば、特許文献1参照)及び振動モードとして横波弾性表面波(STW)を用いた弾性表面波素子に関するもの(例えば、特許文献2参照)が、従来、ある。
【0005】
【特許文献1】特開平5−240762号公報
【特許文献2】特開2002−76835号公報
【非特許文献1】1998年アイ・イー・イー・イー、ウルトラソニックス、シンポジューム、プロシーディング、第945頁〜第948頁[ W. T. Hsu and T. C. Nguyen, 敵eometric Stress Compensation for Enhanced Thermal Stability in Micromechanical Resonators, in 1998 IEEE Ultrason. Symp. Proc., pp. 945-948 ( 1998.) ]
【非特許文献2】エレクトロニクス、レターズ、ヴォリューム35、1999年、第794頁[ R. Ruby, P. Bradley, J. D. Larson III, and Y. Oshmyansky, 撤CS 1900 MHz Duplexer Using Thin Film Acoustic Resonators (FBAR), Electronics, Letters, Vol. 35, No. 10, pp. 794(1999)]
【非特許文献3】2000年アイ・イー・イー・イー、ウルトラソニクス、シンポジューム、プロシーディング、第869頁〜第974頁[ T. D. Larson III, R. Ruby, P. Bradley, J. Wen, S. L. Kok, and A. Chien, 撤ower Handling and Temperature Coefficient Studies in FBAR Duplexers for the 1900 MHz PCS Bands, in 2000 IEEE Ultrason. Symp. Proc., pp. 869-974, ( 2000).]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話、パーソナルコンピュータ、ディジタルカメラ等の電子機器では、機器内の電子部品(回路)の同期を取るために、数MHzから数10MHzの基準発振器を数種類内臓している。従来、水晶共振器を用いた発振器が用いられて来た。しかし、水晶共振器は水晶のブロックを切り出し、その振動方向の厚さが共振周波数で振動の波長の約2分の1になるまで研磨等で薄くし、形成していた。そのため、本質的に容積が大きく、さらに発振器を形成する場合はSi系のICとの一体化は不可能である。
【0007】
一方、MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems)技術は、ベース基板としてSiを用いるためSi系ICとの共存が可能である。上記非特許文献1に開示された技術は、MEMS技術を用いた静電形の共振器の例である。
【0008】
しかし、MEMS技術を用いた共振器は、Si系ICとの一体化等のメリットはあるが、基本的には電極間の容量結合を用いて電気振動との結合を行うため、電気的なインピーダンスが非常に高くなり、発振器を構成する場合には電気系との不整合が生ずるなどの多くの課題がある。
【0009】
FBARフィルタは、図2に断面模式図を示すようにAlN(窒化アルミ)圧電薄膜16をSi基板15上に形成した構成を基本とする。さらに、AlN薄膜16の上下面に電極4及び電極5となるMo(モリブデン)等の金属膜を形成する。
【0010】
図2に示すように、AlN薄膜16の振動する部分に対応するSi基板表面に窪み17を形成することでAlN薄膜が自由に振動出来るものである。なお、図2(a)は、電極4に正(+)、電極5に負(−)の電圧を印加した状態を、図2(b)は、その逆極性の電圧を印加した場合の状態を、それぞれ示している。
【0011】
RFフィルタを構成するには、図2のようなFBARフィルタを単一のSiチップ内に複数個作成し、それ等のFBARを回路理論に従い、例えばラダー形、ラチス形等の構成に結線するものである。
【0012】
図2のFBAR(薄膜バルク共振器)は従来から概念はあり、基本的な実験結果も古くから発表されているが実用化には至っていなかった。近年になり、急速に実用化に至ったのは、圧電薄膜16として、例えばAlNの薄膜を非常に高精度に形成するスパッタ装置、CVD装置等が開発されたことが一つの要因である。
【0013】
FBARフィルタは、ベース基板15がSiで、FBARを形成するプロセス装置もSi系ICを作成する装置と共通する物が多い。将来的にはFBARフィルタとSi系ICとの共存、一体化も可能なものである。
【0014】
図2のFBARあるいはそれ等を組み合わせたFBARフィルタは、Si系ICとの相性が良く、プロセス装置も多くの部分が共用可能である。従って、FBARを従来の水晶共振器と同様に用い、Si系の能動素子(IC)と組み合わせることにより発振器が構成出来る。
【0015】
FBARをSi系IC内に同時に作りこめば、極めて小型の発振器が実現できる。しかし、ここに非常に大きな課題がある。それは、FBARの圧電膜16を含む振動部分の厚さが、共振周波数で振動の波長(λ)の約2分の1必要である点である。
【0016】
これは、例えば、2GHz帯のFBARでは、λ/2≒2.5μmとなることを意味する。
現在のスパッタ装置、CVD装置では0から数μm厚の薄膜を高精度に形成することが出来、圧電膜16の厚さ2.5μmのFBARもほぼ理想的に実現することが出来る。
【0017】
ここで、課題は現在使用されている数10MHz帯の水晶型発振器を想定し、例えば20MHz帯の共振器をFBARで実現することを考える。この場合、圧電膜の厚さは、λ/2≒250μmとなる。この厚さは、もはや薄膜とは言えず、このような厚さの膜をスパッタ、CVD等の薄膜形成技術で形成することは極めて困難であり、かつ現実的でない。
【0018】
したがって、本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解消し、小型化、薄膜化が容易な改良された共振器及びそれを用いた発信器並びにそれを半導体集積回路と同一基板に組み込んだ新規な半導体ICを提供することにある。
【0019】
従来のFBARは、図2に示すように印加電圧によって、FBARのほぼ中心線にある重心19gは変位せず、振動は重心19gを境に変位の方向が逆転している。すなわち、電極4に正(+)、電極5に負(−)の電圧を印加した図2(a)では、圧電薄膜16の中心(重心19gの位置)を境に上半分が上方向へ変位19aする場合は、下半分は下方向へ変位19bする。また、電極電位が反転した図2(b)では、変位も反転し上半分が下方向へ変位19aする場合は、下半分は上方向へ変位19bする。
【0020】
一般に、このような振動は、振動のエネルギが圧電薄膜16の上下へ向かって伝搬し、薄膜の上下面で振動が反射することによって定在波が発生し、共振現象を呈する。また、振動の伝搬方向は上下であり、圧電薄膜16の振動の変位の主成分の方向も上下であるため、このような振動は縦波による振動と言われる。例えば、AlNの縦波の音速は、Vl≒10360m/sであるため、2GHz帯では、λ/2=(Vl/(2×109))/2≒2.5μmとなる。波長は周波数に逆比例するため、20MHz帯では、λ/2=(Vl/(2×109))/2≒250μmと膜厚が厚過ぎ非現実的な値となる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その代表的なものの一例を示せば、以下のようになる。すなわち、本発明の圧電薄膜共振器の特徴は、少なくとも一層以上の圧電薄膜を含む二層以上の誘電体薄膜部分と、前記圧電薄膜内の少なくとも一層の上下に形成された少なくとも一対の電極と、前記電極に周期的に極性が反転する電圧を印加する給電端子とを備え、前記電極に印加する電圧に基づいて前記誘電体薄膜部分が振動する圧電薄膜共振器であって、前記誘電体薄膜内の振動の変位は、共振周波数において、全ての前記誘電体薄膜の面に垂直な変位成分が支配的で、かつ前記面に垂直な断面に沿って、前記面に垂直な変位の方向が一様である誘電体薄膜部分を具備している点にある。
【0022】
また、上記圧電薄膜共振器において、圧電薄膜共振器の外周に固定部分と非固定部分とを設け、前記少なくとも一対の電極に前記給電端子から周期的に極性が反転する電圧を印加し、前記電極間に生じる電位差に基づいて前記非固定部分を振動させることにより前記圧電薄膜の面方向に定在波を発生させるようにした点にある。
【0023】
また、本発明の圧電薄膜発振器の特徴は、コルピッツ型発振回路が有する共振器を、上記圧電薄膜共振器で構成した点にある。
【0024】
更にまた、本発明の半導体集積回路の特徴は、半導体装置が組み込まれた同一基板内に圧電薄膜発振器が一体的に形成され半導体集回路であって、前記圧電薄膜発振器を上記圧電薄膜共振器で構成した点にある。
【発明の効果】
【0025】
上記説明のように本発明によれば、圧電薄膜共振器を容易に形成できる。また、本発明によれば、圧電薄膜共振器の小型化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に上記本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0027】
まず、本発明では、図2の従来のFBARのような重心19gが変位しない振動に代わって、圧電薄膜の重心自体が変位する振動を用いる。
【0028】
具体的には、振動の変位主成分の方向は圧電薄膜の厚さ方向、つまり上下であることに変わりはないが、圧電薄膜の断面内では常に一様であり、かつ従来のFBARのように重心19gを境に変位の方向が逆転することはない。従来の図2では、電極に印加する電圧の極性により圧電薄膜16の中心部が断面内で伸縮する。
【0029】
また、本発明では、振動のエネルギは圧電薄膜の左右へ向かって伝搬する。すなわち、左右の端辺で反射することによって定在波が発生し、共振現象を呈するものである。振動の変位主成分の方向は上下であり、振動の伝搬方向は左右のため、横波を用いた振動である。
【0030】
圧電薄膜16を例えばAlNとした時、横波の音速は、Vsv≒6057m/sであるため、20MHz帯では、λ/2=(Vsv/(2×109))/2≒150μmとなる。ただし、本値は横波であることから、圧電薄膜の厚さではなく、圧電薄膜の幅方向の寸法である。このような理由から本発明においては、圧電薄膜の厚さ規制でなく、幅方向の寸法を正確に規制することが必要である。圧電薄膜の厚さに関しては、共振周波数との関係は非常に小さく、むしろ電気的なインピーダンスを決める要因となる。
【0031】
以上の実施形態によれば、Siベースの基板に周知の薄膜形成技術で圧電薄膜共振器を容易に形成でき、しかも圧電薄膜の膜厚自体は周波数を決定する要因にはならず、薄膜共振器の幅方向の寸法が共振周波数を決定する。従って、従来の2GHz帯FBARと同様の極めて薄い圧電膜で数10MHz帯の共振器が形成でき、共振器の幅方向の寸法は20MHzでも約150μmと極めて小さい。
【0032】
更に高い周波数では、周波数に逆比例してこの幅方向の寸法は小さくなる。従って、従来の水晶振動子を用いた共振器に比べて格段の小型化が図れる。
【0033】
また、この共振器は、半導体ICの製造プロセスと同様の薄膜形成技術を用いて製造できるため基板を半導体ICと共用することにより共振器を内蔵した半導体ICを実現することができる。例えばSi系ICと同一チップ内に共存することにより、基準発振器等の一層の小型化が実現できるものである。
【0034】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明に係わる共振器の第一実施例を示す断面構造である。先ずは、この図に基づいて本発明の基本的構成と原理について説明する。図1は、分極18の方向が同一である2層の圧電性を持った誘電体薄膜、すなわち圧電薄膜16a、16bが、Si等のベース基板15等の上部に形成されている。2枚の圧電薄膜16a、16bの間に電極1が、それを挟んで上下の圧電薄膜上に電極2、3が形成されている。図中の18は圧電薄膜16の分極、20はクランプパターンをそれぞれ示している。
電極1と電極2、3間に高周波電圧を印加すると、電極1が正、電極2、3が負の図1(a)の場合は、上層の圧電薄膜16b内では電界の向きと分極の向きが等しいため圧電薄膜は圧縮する。下層の圧電薄膜16aでは電界の向きと分極の向きが逆のため圧電薄膜は伸張する。従って、2枚の圧電薄膜16a、16bの上層16bは薄く、下層16aは厚くなる。これは、圧電薄膜の厚さ方向の重心19gが下へ、すなわち-Z方向へ移動することに対応する。
【0036】
逆に、電極1が負、電極2、3が正の図1(b)の場合は、上層の圧電薄膜16b内では電界の向きと分極の向きが同じで、下層の圧電薄膜16a内では電界の向きと分極の向きが逆のため、上層16bは厚く、下層16aは薄くなる。この場合は、圧電薄膜の重心19gは上へ、すなわち+Z方向へ移動する。
【0037】
ここで、分極と言うのは、例えば圧電薄膜16がAlNからなる結晶構造のダイアグラム例を図3に示すが、6方晶系(6mm属)の場合は、6角柱の組み合わせで結晶の面が形成される。6角柱はAl原子層とN原子層が交互に繰り返して成長する。この6角柱の方向がC軸方向と言われ、かつC軸方向に分極している。すなわち、C軸(分極)方向の電界成分により6角柱自体が圧縮、伸張するものである。
【0038】
図1において、圧電薄膜16の重心19gの上下移動は、圧電薄膜の左右を図に示すクランプパターン20を用いて固定した場合、左右の両端部を固定辺、中心部分(重心19gに相当)を腹とする振動を励起する。この振動は、図2のFBARとは異なり、2枚の圧電薄膜16a、16b内の変位の方向がそれぞれ同じであり、FBARのように重心19gを境に逆転することは無い。
【0039】
また、図1の左右方向をX方向とすると、振動はX方向へ向かって伝搬し、左右の固定辺で反射することで定在波が生じる。図1から分かるように振動の伝搬方向と変位主成分の方向は垂直なため横波を用いた共振器となる。すなわち、本発明の共振器は、図2に示した従来の重心19gは移動せずに縦波を用いる共振器とは、根本的に構成が異なる。
【0040】
本発明共振器の共振周波数は、以下で定まる。圧電薄膜が例えば、AlNの横波の速度は、Vsv=6057 m/sであり、左右端部の固定辺間の間隔をLとすると、Lが横波の波長の約2分の1で共振する。従って、fr≒Vsv/(2×L)で与えられる。これは、先にも述べたように、L≒150μmでfr≒20MHzの共振器が可能である。また、図1の薄膜共振器の圧電薄膜16の厚さは、共振周波数を決める直接の要因には成らない特徴がある。つまり、これが、本発明の共振器を薄く小型化できる理由である。
【0041】
図1では、2次元的な議論を行ったが、実際の共振器は、紙面に垂直な方向をY方向とすると、Y方向にも有限の寸法を持つため、Y方向の定在波も考慮する必要がある。例えば、fr≒20MHzとすると、Y方向の寸法がX方向の寸法と比較して十分大きい場合は、X方向の幅は上と同様にL≒150μmである。Y方向の寸法とX方向の寸法がほぼ等しい、すなわち正方形に近い場合は、L≒210μmとなる。
【0042】
図1の左右のクランプパターン20は、必ずしも必要ではない。一般に、Si等のベース基板15に図2のような窪み17を形成する場合、あるいは図1のように基板15にバックエッチにより穴21を形成する場合は、幅方向の制御が難しい。幅方向の変動は、共振周波数の変動となるため高い精度の制御が必要である。従って、図2のような窪み17、図1のような穴21を制御性良く形成出来るならクランプパターン20は不要となる場合もある。制御性に問題がある場合は、クランプパターン20が重要な意味を持つ。一般にクランプパターン20は、ドライエッチングあるいはリフトオフ等で形成することにより、幅方向の変動を十分小さく抑えることが出来る。
【0043】
また、クランプパターン20を構成する材料として、圧電薄膜とは音響インピーダンスZo=ρV (ρ:密度、V:音速)が大きく異なる材料を用いることで、振動を固定辺で大部分反射させることが出来る。クランプパターン20への振動エネルギの漏洩は、共振器のQ値(Quality Factor:性能指数)の劣化となるため極力小さくする必要がある。
【0044】
以上の説明のように本発明においては、図1の構成により、圧電薄膜16の横方向の寸法が共振周波数を支配的に決定する薄膜共振器が可能である。
【0045】
本発明の共振器は、Si系のICとの一体化も可能であり、サイズは従来の水晶共振器を用いた物に比べて飛躍的に小型化が可能である。すなわち、図面は省略したが、半導体装置を組み込んだIC基板15に本発明の共振器を一体的に組み込むことで、共振器内臓のICが実現できる。
【0046】
また、図1では、Si等のベース基板15にバックエッチにより底面から穴21を開ける例を示したが、図2のようにベース基板15に窪み17を形成し、その上に共振器部を形成しても全く同様の効果が得られる。
【0047】
図4は、図1に示した本発明の共振器の断面から奥行き方向を見た実際の共振器の構成例を示したものである。図4(a)は、断面はXZ面で図1(a)、(b)と同じであり、断面からY方向の斜視図を示している。図4(b)は、断面はYZ面で、図1(a)、(b)とは垂直な断面から、-X方向の斜視図を示している。電極1の形状に関しては、隠れた部分を破線で示している。本電極1への給電は、振動への影響がほぼ無くなる程度に細くした給電電極6を用いて行う。電極2、3への給電は電極自体が十分大きいため、適当な部分より引き出し、上下は不図示のヴィアホール等で結び付けることによって任意の場所から給電を行うことが出来る。
【0048】
これら電極1〜3を構成する電極材料に関しては、金属薄膜上に高配向の圧電薄膜16が形成出来ることが必須条件となる。種々の検討の結果、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、金(Au)等の単体金属もしくはこれらの金属元素を含む合金が良いことが分かった。
【実施例2】
【0049】
図5、図6、図7に本発明の他の実施例を示す。一般に、AlN等の圧電材料、電極を構成する金属材料等は温度が高くなると音速が遅くなる負の温度特性を持っている。これは、共振器を形成した場合、温度が高くなると共振周波数が下がることを意味する。この負の温度係数のため、実施例1に示した本発明の共振器を用いて発振器を構成する場合、その用途が限られる。図5、6、7の例は、このような課題を解決するものである。
【0050】
非常に少ない例ではあるが、酸化シリコン(SiO2)ように温度が高くなると音速が早くなる材料が存在する。図5の例は、図1の構成の共振器の上面に温度特性が、例えばAlN等と逆のSiO2膜等の温度補償用誘電体膜7を形成した例である。一般に、SAW (Surface Acoustic Wave:弾性表面波)フィルタでは、圧電基板上に温度特性が逆の誘電体膜を形成することにより、フィルタの温度特性が改善されることが知られている。
【0051】
薄膜共振器に関しては、図5の構成でシミュレーションおよび基礎的な実験を行った結果、同様の効果が得られることが分かった。
【0052】
また、図6、図7は、圧電薄膜16の振動の対称性を保つために、図6においては、上下2枚の圧電薄膜の表面に圧電薄膜16とは逆温度特性を持った誘電体膜7を形成した例であり、図7は、2枚の圧電薄膜16a、16bの間に温度補償用の誘電体膜7を形成すると共に、その両側の略中央部に電極2、3よりも短い電極1、8を設けた例である。これらは、シミュレーションならびに基礎的な実験の結果、図5と同等の効果が得られることを確認している。
【実施例3】
【0053】
図8、図9、図10に本発明の他の実施例を示す。図8は、クランプパターン20の近傍では、2層の圧電薄膜の一方を取り除き(この例では上層の圧電薄膜16bの端を除去)隙間22を設け、等価的に圧電薄膜を薄くする。これにより、振動のエネルギがクランプパターン20を介して漏洩することを防ぎ、共振器のQ値の向上を図ったものである。
【0054】
また、図9は、図8にさらに温度補償膜を導入し、図5の温度特性の向上と図8のQ値の向上との両立を図ったものである。
【0055】
更にまた、図10は、クランプパターン20の近傍で薄膜の層数を少なくしている点は同じであるが、温度補償用の誘電体膜7とその両面にある金属薄膜(電極2、3)を介してクランプパターン20で固定するものである。
【0056】
以上の例の他に、例えば金属薄膜(電極2、3)のみを介してクランプパターン20で、少なくとも圧電薄膜16及び誘電体膜7を含む共振器の主要部を固定するなど種々の変形が考えられるが、同じ範疇に含まれることは自明である。
【実施例4】
【0057】
図11、図12、図13に他の実施例を示す。図11は、誘電体は2層構造で、下層は圧電薄膜16、上層は温度補償用の誘電体膜7である。多層構造の誘電体薄膜の重心が上下に変位することで、共振現象が生ずる点に於いて変わりは無い。このような観点から見ると、図11の構造でも、下層の圧電薄膜16が圧縮、伸張することで、結果的に2層の誘電体薄膜の重心が上下に変位する。電極に給電される電気信号が、誘電体薄膜で振動に変換される変換効率は、図1の上下層共に圧電薄膜16である場合に比べて若干低くなる。しかし、この変換効率の低下分は、特に発振器等を構成する場合には、回路のインピーダンス等の工夫により十分補正可能なものである。この例は、単純な薄膜の構成でも本発明の目的を達成できるものである。
【0058】
図12、図13は、図11の構成を基本に、クランプパターン20による固定辺の近傍で誘電体層の層数を少なくすることにより振動のエネルギの漏洩を低減するものである。すなわち、実施例3で説明したように、図12では、誘電体層の一部である圧電薄膜16上の温度補償膜用誘電体膜7とクランプパターン20との間に隙間22を設けることにより、また、図13では、誘電体層の一部である温度補償膜用誘電体膜7上の圧電薄膜16とクランプパターン20との間に隙間22を設けることにより、共にエネルギの漏洩を低減し、これにより共振器のQ値を高めることが出来る。
【実施例5】
【0059】
図14に、本発明の他の実施例を示す。断面は、図4(b)と同様にYZ面で、図面は-X方向の斜視図を示している。本実施例の構成は、クランプパターン20による固定はX方向のみで、Y方向は両端に隙間23が設けられことで自由端を構成し固定していない。
【0060】
このような構造は、現在の半導体デバイスの製造に用いられているプロセス技術、特にドライエッチング技術等を用いれば容易に形成出来る。
【0061】
本実施例の構成では、Y方向には定在波がほとんど生じず、X方向に定在波が生ずる振動となる。X方向のクランプパターン間隔をLとすると、共振周波数は、fr≒Vsv/(2×L)で与えられる。fr≒20MHzとするとL≒150μmである。本実施例は、Y方向には自由端でクランプパターンがないため、振動エネルギの漏洩が抑えられ、Q値の向上が期待出来る。また、図5等と同様に、温度補償用の誘電体膜7を導入することによって、共振器の温度特性が改善出来ることは自明である。
【実施例6】
【0062】
図15に本発明の他の実施例を示す。断面は、図4(a)と同様にXZ面で、図はY方向の斜視図を示している。本実施例の構成は、クランプパターン20による固定はY方向のみで、X方向は自由端で固定はされていない。つまり、実施例5に示した図14とは逆向きの構成である。
【0063】
なお、図15では図14の電極1に相当する部分が2分割されて電極9、10を構成しており、電極9には共振器を構成する同一面内で一方の電位が給電用電極パターン13から印加され、電極10には共振器を構成する同一面内で他方の電位が給電用電極パターン14から印加される。図中の11及び12は共振器を構成するフローティング電極である。
【0064】
図16は、図15に示した本実施例を構成する共振器全体を上から見た透視平面図である。図15、図16では、電極9と10の形状に関しては、隠れた部分を破線で表している。本構成の特徴は、従来1枚であった電極9と10が図のように2枚で構成され、電気的な+/−の給電は、電極9と10との間で行われる点である。電極11と12は、図1の場合とは異なり、給電は行われず、フローティング電極である。
【0065】
図17(a)及び(b)は、上記図15及び図16に示した共振器の動作状態を説明する模式図で、電極9と10の間に給電した場合の振動の形状を示す。
【0066】
図17(a)のように、一方の電極9に正、10に負の電圧が印加された場合、電極9から上下の電極11、12へ走る電気力線が生ずるため図1(a)のように下方向、すなわち−Z方向の変位が生ずる。他方の電極10は負電圧のため、上下の電極11、12から電極10へ走る電気力線が生じるため図1(b)のように上方向、すなわち+Z方向の変位が生ずる。
【0067】
電極9に負、電極10に正の電圧が印加された場合は、図17(b)のように変位の方向が逆転する。したがって、振動の形態は、変位の主成分がZ方向であることに変わりは無い。しかし、X軸に沿って中央で変位の方向が反転する定在波で表されるものである。Y方向には、クランプパターン20によって両辺が固定されているため、固定辺が節、中心部分が腹となるような定在波が生ずる。
【0068】
X方向の自由辺間隔をLx、Y方向の固定辺間隔をLyとすると、共振周波数frは、1/Lx2+1/Ly2≒(2fr)2/Vsv2で与えられる。したがって、Lx≒Ly≒Lとすると、fr≒20MHzでは、L≒210μmとなる。本構成はX方向にクランプパターンがないため、振動エネルギの漏洩が抑えられQ値の向上が期待出来る。
【0069】
また、図5等と同様に温度補償用の誘電体膜7を導入することによって、共振器の温度特性が向上出来ることは自明である。
【0070】
また、図18に、図16と類似の共振器の透視平面図を示す。本実施例の構成は、Y方向のクランプパターン20の近傍で、振動部分のX方向の幅を狭める構成である。このようにすることにより、クランプパターン20で固定する辺は、振動の変位が極めて小さい狭い部分に限定されるため振動エネルギの漏洩を非常に小さく抑えることが出来、共振器のQ値の一層の向上が期待出来る。
【実施例7】
【0071】
図19に本発明の他の実施例を示す。基本構造は、図1と同じであるが、将来のSi系ICへの混載を考えた場合に有利な構造である。図1のようなベース基板のバックエッチは用いず、一様なSi基板上に振動部分がエアギャップを介して浮いた形で構成されるものである。これは、図2のFBARと若干似た点もあるが、図2のようにSiベース基板を掘り込むことも必要としない点が、ICとの混載に適している。また、エアギャップの形成方法は種種あるが、一般的には、初めに犠牲層を形成し、その上に必要な圧電薄膜層、電極等を形成し、ほぼ最終工程でエッチングにより犠牲層除去することで実現可能である。また、図19の構成は、一例であり、図5から図18の構成を図19に示すようにエアギャップ25を介して形成した物も含まれることは自明である。
【実施例8】
【0072】
図20、21に本発明の他の実施例を示す。図15、16、17、18の構造を図19のようなエアギャップを用いる構成で実現したものである。図20(a)は、給電用電極13、14に高周波電圧を印加すると、図20(b)にXZの断面を示すように、図17と同様の振動を行なわせることが出来る。この場合、クランプパターンで固定する辺は図18と同様にX方向の幅を狭めているため、振動エネルギの漏洩を非常に小さく抑えることが出来る構造である。
【0073】
図21(a)は、図20(a)と似ているが、基本動作は図1とほぼ同じである。すなわち、電極1と電極2、3間に高周波電圧を印加する。図21(b)に、同様にXZの断面を示すように、電極1が正、電極2、3が負の場合は重心は-Z方向へ、電極1が負、電極2、3が正の場合は重心は+Z方向へ移動する。
【0074】
図21(a)から分かるように、本構造ではX方向の両端は非固定で、クランプパターンによる固定は中央部分で行われるため、振動はX軸に沿っては左右対称となる。図18と同様に固定する辺はX方向の幅を狭めているため、振動エネルギの漏洩を非常に小さく抑えることが出来る。
【0075】
図20、21では、振動はX軸に沿っては左右反対称か、あるいは左右対称の例を示したが、特性的には必ずしも左右の対称性は必要なく、非対称な振動を用いる場合も本発明に含まれることは自明である。
【実施例9】
【0076】
図22は、本発明の共振器24をモノリシック内蔵した半導体ICの等価回路図である。コルピッツ形発振器の共振器部に本発明の圧電薄膜共振器24を用いるものである。共振器24は、上記実施例1〜8に例示した構成であり、薄膜技術で作成されるため、従来の共振器に比べて極めて小型、薄型化が可能である。また、ベース基板はSi系の基板15を用いるため、図示のように同一基板上に形成される周辺の能動素子と一体化されている。
【0077】
また、温度補償膜7を導入した共振器は温度特性にも優れる。更に、周辺回路の一部に可変容量等を用いた回路的な温度補償機能も付加すれば、従来のTCXO (Temperature Compensated Crystal Oscillator:温度補償型水晶発振器)と同等の性能が超小型、かつ薄型で実現出来る。
【0078】
本発明は、例えば、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ等の電子機器で必ず数個用いるTCXO等の基準発振器に関する。従来、水晶共振器を用いていたため小型化、薄型化、さらにはSi系ICとの一体化には限界があったが、本発明により心臓部の共振器部分がSiベースの薄膜技術で形成出来るため、TCXO等の小型化、薄型化、かつSi系ICとの一体化が可能と成り、その産業的な利用価値は測り知れない程大きい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図2】従来のFBAR共振器の断面図である。
【図3】圧電体結晶の6方晶系(AlN等)の結晶構造を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例を説明する共振器の断面斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図10】本発明の第3の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図11】本発明の第4の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図12】本発明の第4の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図13】本発明の第4の実施例を説明する共振器の断面図である。
【図14】本発明の第5の実施例を説明する共振器の断面斜視図である。
【図15】本発明の第6の実施例を説明する共振器の断面斜視図である。
【図16】本発明の第6の実施例を説明する共振器の平面透視図である。
【図17】本発明の第6の実施例を説明する共振器の断面模式図である。
【図18】本発明の第6の実施例を説明する共振器の平面透視図である。
【図19】本発明の第7の実施例を説明する共振器の断面模式図である。
【図20】本発明の第8の実施例を説明する共振器の平面透視図である。
【図21】本発明の第8の実施例を説明する共振器の平面透視図である。
【図22】本発明の第9の実施例を説明する共振器を組み込んだ半導体ICの等価回路図である。
【符号の説明】
【0080】
1、4、8…共振器を構成する一方の電位が印加される電極、
2、3、5…共振器を構成する他方の電位が印加される電極、
6、13、14…給電用電極パターン、
7…温度補償用誘電体膜、
9…共振器を構成する同一面内で一方の電位が印加される電極、
10…共振器を構成する同一面内で他方の電位が印加される電極、
11、12…共振器を構成するフローティング電極、
15…基板、
16…圧電薄膜、
16a…下層の圧電薄膜、
16b…上層の圧電薄膜、
17…基板の窪み、
18…圧電薄膜の分極、
19a、19b…圧電薄膜の変位、
19g…圧電薄膜の重心、
20…クランプパターン、
21…基板の穴、
22、23…クランプパターン20と誘電体層間の隙間、
24…共振器、
25…エアギャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一層以上の圧電薄膜を含む二層以上の誘電体薄膜部分と、
前記圧電薄膜内の少なくとも一層の上下に形成された少なくとも一対の電極と、
前記電極に周期的に極性が反転する電圧を印加する給電端子とを備え、前記電極に印加する電圧に基づいて前記誘電体薄膜部分が振動する圧電薄膜共振器であって、
前記誘電体薄膜内の振動の変位は、共振周波数において、全ての前記誘電体薄膜の面に垂直な変位成分が支配的で、かつ前記面に垂直な断面に沿って、前記面に垂直な変位の方向が一様である誘電体薄膜部分を具備していることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項2】
請求項1記載の圧電薄膜共振器において、前記誘電体薄膜部分は少なくとも一層の圧電薄膜と少なくとも一層の非圧電薄膜とを含み、前記非圧電薄膜は前記圧電薄膜と温度に対して逆の特性を有することを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項3】
請求項1記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜は六方晶形(6mm属)の結晶で、そのC軸は前記圧電薄膜の面に垂直であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項4】
請求項1記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜はAlNもしくはZnOを含むことを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項5】
請求項1記載の圧電薄膜共振器において、圧電薄膜共振器の外周に固定部分と非固定部分とを設け、前記少なくとも一対の電極に前記給電端子から周期的に極性が反転する電圧を印加し、前記電極間に生じる電位差に基づいて前記非固定部分を振動させることにより前記圧電薄膜の面方向に定在波を発生させるようにしたことを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項6】
請求項1記載の圧電薄膜共振器において、前記電極を構成する金属薄膜はMo、W、Ti、Pt及びAuの群から選ばれる単体金属もしくはこれら単体金属元素を含む合金であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項7】
請求項2記載の圧電薄膜共振器において、前記非圧電薄膜はSiO2であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項8】
請求項5記載の圧電薄膜共振器において、前記誘電体薄膜部分は少なくとも一層の圧電薄膜と少なくとも一層の非圧電薄膜とを含み、前記非圧電薄膜は前記圧電薄膜と温度に対して逆の特性を有することを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項9】
請求項5記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜は六方晶形(6mm属)の結晶で、そのC軸は前記圧電薄膜の面に垂直であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項10】
請求項5記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜はAlNもしくはZnOを含むことを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項11】
請求項5記載の圧電薄膜共振器において、前記固定部分の誘電体薄膜の層数または電極を構成する金属薄膜の層数は、前記非固定部分の誘電体薄膜の層数または前記金属薄膜の層数に比べ一方あるいは両方とも少ないことを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項12】
請求項11記載の圧電薄膜共振器において、前記誘電体薄膜部分は少なくとも一層の圧電薄膜と少なくとも一層の非圧電薄膜とを含み、前記非圧電薄膜は前記圧電薄膜と温度に対して逆の特性を有することを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項13】
請求項11記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜は六方晶形(6mm属)の結晶で、そのC軸は前記圧電薄膜の面に垂直であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項14】
請求項11記載の圧電薄膜共振器において、前記圧電薄膜はAlNもしくはZnOを含むことを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項15】
請求項12記載の圧電薄膜共振器において、前記非圧電薄膜はSiO2であることを特徴とする圧電薄膜共振器。
【請求項16】
コルピッツ型発振回路が有する共振器を、少なくとも一層以上の圧電薄膜を含む二層以上の誘電体薄膜部分と、前記圧電薄膜内の少なくとも一層の上下に形成された少なくとも一対の電極と、前記電極に周期的に極性が反転する電圧を印加する給電端子とを備え、前記電極に印加する電圧に基づいて前記誘電体薄膜部分が振動する圧電薄膜共振器で構成すると共に、前記誘電体薄膜内の振動の変位は、共振周波数において、全ての前記誘電体薄膜の面に垂直な変位成分が支配的で、かつ前記面に垂直な断面に沿って前記面に垂直な変位の方向が一様である誘電体薄膜部分を具備していることを特徴とする圧電薄膜発振器。
【請求項17】
半導体装置が組み込まれた同一基板内に圧電薄膜発振器が一体的に形成され半導体集回路であって、前記圧電薄膜発振器は少なくとも一層以上の圧電薄膜を含む二層以上の誘電体薄膜部分と、前記圧電薄膜内の少なくとも一層の上下に形成された少なくとも一対の電極と、前記電極に周期的に極性が反転する電圧を印加する給電端子とを備え、前記電極に印加する電圧に基づいて前記誘電体薄膜部分が振動する圧電薄膜共振器で構成すると共に、前記誘電体薄膜内の振動の変位は、共振周波数において、全ての前記誘電体薄膜の面に垂直な変位成分が支配的で、かつ前記面に垂直な断面に沿って前記面に垂直な変位の方向が一様である誘電体薄膜部分を具備していることを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−203304(P2006−203304A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10148(P2005−10148)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】