説明

地図データ更新システム、地図データ更新方法、ナビゲーション装置、および情報センター

【課題】ナビゲーション装置の地図データを更新すること。
【解決手段】経路探索部207aは、GPSユニット202によって特定された自車位置から地図データ上で車両が回避すべき回避地点までの経路を探索(全方面探索)する。地図データ要求部207bは、情報センター300に対して、探索した経路を含む範囲の更新用地図データの送信を要求する。情報センター300では、地図データ送信部303bは、ナビゲーション装置200から更新用地図データの送信要求があった場合に、該当する範囲の更新用地図データを地図データベース302から読み込んでナビゲーション装置200へ送信する。地図データ更新部207cは、地図データ記録装置204に記録されている地図データを更新用地図データを用いて更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置の地図データを更新するための地図データ更新システム、地図データ更新方法、ナビゲーション装置、および情報センターに関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置は、取得した渋滞情報に基づいて2次的な渋滞予想を行い、渋滞を回避するように推奨経路を探索する(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】2004−198209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置においては、地図データが古い場合には、推奨経路に既に封鎖されている道路などの通行できない道路が推奨経路に含まれてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置と、ナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを接続し、ナビゲーション装置は、自車位置を特定し、地図データ上で車両が回避すべき回避地点を特定し、自車位置から回避地点までの経路を探索し、情報センターに対して、探索した経路を含む範囲の更新用地図データの送信を要求し、情報センターから更新用地図データを取得した場合に、地図データ記録手段に記録されている範囲の地図データを更新用地図データを用いて更新し、情報センターは、ナビゲーション装置から更新用地図データの送信要求があった場合に、上記範囲の更新用地図データを更新用地図データ記録手段から読み込んでナビゲーション装置へ送信することを特徴とする。
本発明はまた、車両に搭載されたナビゲーション装置とナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを接続し、ナビゲーション装置は、自車位置を特定し、情報センターに対して、自車位置を通知すると共に、地図データを更新するための更新用地図データの送信を要求し、情報センターから更新用地図データを取得した場合に、地図データ記録手段に記録されている地図データを更新用地図データを用いて更新し、情報センターは、複数の前記ナビゲーション装置から更新用地図データの送信要求があった場合に、それぞれの車両の自車位置を特定し、各車両間の経路を探索し、探索した経路を含む範囲の更新用地図データを更新用地図データ記録手段から読み込んでナビゲーション装置へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ナビゲーション装置は、自車位置から回避すべき回避地点までの経路を探索し、情報センターに対して探索した経路を含む範囲の更新用地図データの送信を要求し、情報センターから受信した更新用地図データを用いて地図データを更新するようにした。これによって、自車両が回避すべき地点までの経路を更新後の地図データを用いて探索することができ、既に存在しなくなっている道路などが経路として選択されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
―第1の実施の形態―
図1は、第1の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。地図データ更新システム100は、ナビゲーション装置200と情報センター300とが無線通信回線を介して接続されている。
【0008】
ナビゲーション装置200は、車両に搭載され、自車両の車速を検出する車速センサ201と、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信して自車両の現在位置(自車位置)を検出するGPSユニット202と、自車両の進行方向を検出するジャイロセンサ203と、地図データを記録する地図データ記録装置204と、使用者によって操作される入力スイッチ205と、情報センター300と通信するための通信装置206と、CPUやメモリ、およびその他周辺回路で構成される制御装置207と、自車両周辺の地図や操作用画面などの各種情報を表示するモニタ208と、ガイダンス音声などの音声を出力するスピーカ209とを備えている。
【0009】
地図データ記録装置204は、例えばハードディスクドライブ(HDD)などデータの読み込みおよび書き込みが可能な記録装置が用いられ、ナビゲーション装置200で使用する地図データが記録されている。この地図データは、道路地図をノードとリンクで表現した道路データを含んでいる。道路データでは、交差点にノードが対応し、各ノード間を結ぶ線分、すなわち道路区間がリンクに対応する。本実施の形態では、各ノードには識別番号としてノードIDが付与されており、各リンクには識別番号としてリンクIDが付与されている。なお、この地図データは、各リンクごとに道路の幅に関する情報が付加されている。
【0010】
また、この地図データは、道路地図を複数の範囲に分割した管理範囲単位に記録されている。各管理範囲には、それぞれの管理範囲を一意に識別するための管理範囲IDが割り当てられており、各管理範囲の地図データのバージョンを示すバージョン情報が管理範囲IDに対応付けて記録されている。このバージョン情報によって、各管理範囲ごとの地図が最新のものであるか否かを判断することができる。また、地図データ記録装置204に記録されている地図データには、過去に事故が発生した地点(事故発生地点)と、その地点における事故の発生回数(事故発生回数)とを対応付けた事故発生情報が含まれている。
【0011】
通信装置206は、例えば携帯電話などが用いられ、情報センター300と通信を行うことができる。ここで、通信装置206として携帯電話を用いた場合には、ナビゲーション装置200と情報センター300とは携帯電話会社の基地局を介して通信を行う。また、通信装置206として携帯電話以外の無線通信モジュールを用いて、ナビゲーション装置200と情報センター300とが直接通信できるようにしてもよい。
【0012】
制御装置207は、経路探索部207aと、地図データ要求部207bと、地図データ更新部207cとを機能的に備えている。経路探索部207aは、GPSユニット202で検出された自車位置から使用者によって設定された目的地までの経路を、地図データ記録装置204から読み込んだ地図データに基づいて探索する。このとき、地図データ記録装置204から上述した事故発生情報を読み込んで、過去の事故発生回数が所定回数以上である事故発生地点を事故多発地点として特定する。そして、経路探索部207aは、自車両が事故に巻き込まれることを防止するため、また、事故多発地点では事故による渋滞が発生する可能性が高いことから渋滞を回避するために、事故多発地点を回避した経路を探索する。
【0013】
経路探索部207aはまた、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたときに、地図データ記録装置204から上述した事故発生情報を読み込む。そして、事故発生回数が所定回数以上である事故発生地点のうち、自車位置からあらかじめ設定された所定範囲内に存在する地点を対象地点として抽出し、当該対象地点までの全方面探索を行う。このとき、対象地点が複数ある場合には、全ての対象地点に対して全方面探索を行う。経路探索部207aは、全方面探索によって得られた対象地点までの経路に基づいて、各経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報を地図データから取得する。
【0014】
ここで全方面探索とは、目的地までの経路を探索する前の準備として行われる処理であり、あらかじめ自車位置を中心とした全方面に対して所定範囲内に存在する道路を探索して、目的地までの経路を探索する際に候補となり得る1つ以上の経路を探索するための処理である。なお、全方面探索は公知の技術であるため、その詳細については説明を省略する。
【0015】
地図データ要求部207bは、経路探索部207aによって取得された対象地点までの経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報とを対応付けた地図データ要求用情報を生成する。そして、当該地図データ要求用データを通信装置206を介して情報センター300へ送信して、情報センター300に対して地図データ
更新用データの送信を要求する。
【0016】
例えば、図2に示すように、自車位置が地点2aであり、対象地点が地点2bであるときに、全方面探索によって経路2cおよび2dが探索された場合について説明する。この場合には、地図データ要求部207bは、経路2cおよび2dが通過する全ての管理範囲、すなわち図2に示す更新対象管理範囲の管理範囲ID、およびバージョン情報を含む地図データ要求用データを生成して送信する。これに対して、経路2cおよび2dが通過しない管理範囲、すなわち図2に示す更新除外管理範囲については、情報を地図データ要求用データに含めない。
【0017】
情報センター300においては、ナビゲーション装置200から受信した地図データ要求用データに基づいて、各管理範囲の地図データが最新の地図データであるかを判定する。そして、地図データ要求用データの中に最新の地図データでない管理範囲が含まれている場合には、情報センター300が有する地図データベースからその管理範囲の最新の地図データを取得して、管理範囲ID、最新の地図データ(更新用地図データ)、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データをナビゲーション装置200へ送信する。
【0018】
これに対して、地図データ要求用データの中の地図データが全て最新の地図データである場合には、情報センター300は、地図データの更新が不要なことを示す更新不要情報を含む更新不要データを生成してナビゲーション装置200へ送信する。なお、情報センター300による処理の詳細については後述する。
【0019】
地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信した場合には、地図データ更新用データから各管理範囲の管理範囲IDとその管理範囲の最新の地図データとを取得する。そして、地図データ記録装置204に記録されている該当する管理範囲の地図データを更新する。また、地図データ更新部207cは、地図データを更新した管理範囲のバージョン情報を地図データ更新用データに含まれている該当する管理範囲のバージョン情報で更新する。これに対して、情報センター300から更新不要データを受信した場合には、地図データ更新部207cは、地図データの更新を行わず処理を終了する。
【0020】
以上の処理によって、ナビゲーション装置200の電源がオンされた時点で、自車位置から所定範囲内の事故多発地点(対象地点)までの地図データを最新のものに更新することができる。そして、経路探索部207aは、使用者によって目的地が設定されたときに、上述したように事故多発地点を回避する経路を探索するに当たって、最新の地図データを用いて経路を探索することができる。これによって、既に存在しなくなっている道路などが経路として選択されることがなくなり、確実に事故多発地点を回避する経路を探索することができる。
【0021】
次に、ナビゲーション装置200から上述した地図データ要求用データを受信した場合の情報センター300による処理について説明する。図1に示すように、情報センター300は、通信装置301と、地図データベース302と、制御装置303とを備えている。通信装置301は、ナビゲーション装置200が備える通信装置206との間で無線通信を行うための装置である。地図データベース302は、上述した管理範囲単位の最新の地図データ(更新用地図データ)が格納されている。なお、各管理範囲には、上述したナビゲーション装置200の地図データ記録装置204に記録されている地図データと同様の体系で管理範囲IDが付与され、さらにバージョン情報が対応付けられている。
【0022】
制御装置303は、CPUやメモリ、およびその他周辺回路で構成され、バージョン比較部303aと、地図データ送信部303bとを機能的に備えている。バージョン比較部303aは、受信した地図データ要求用データに含まれる各管理範囲ごとのバージョン情報と、地図データベース302に記録されている地図データの該当する管理範囲のバージョン情報とを比較して、地図データ要求用データに含まれる管理範囲IDのうち、地図データが最新ではない管理範囲IDを抽出する。
【0023】
地図データ送信部303bは、バージョン比較部303aによって抽出された管理範囲IDの最新の地図データを地図データベース302から取得し、管理範囲IDごとに取得した最新の地図データと、管理範囲IDと、バージョン情報とを対応付けた地図データ更新用データを作成する。そして、地図データ送信部303bは、作成した地図データ更新用データを通信装置301を介してナビゲーション装置200へ送信する。これによって、ナビゲーション装置200における地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信することができる。
【0024】
図3は、第1の実施の形態におけるナビゲーション装置200の処理を示すフローチャートである。図3に示す処理は、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたときに起動するプログラムとして、制御装置207によって実行される。
【0025】
ステップS10において、経路探索部207aは、上述した対象地点が存在するか否かを判断する。対象地点が存在しないと判断した場合には、処理を終了する。これに対して、対象地点が存在すると判断した場合には、ステップS20へ進む。ステップS20では、経路探索部207aは、上述したように対象地点までの全方面探索を行って、ステップS30へ進む。ステップS30では、経路探索部207aは、全方面探索によって得られた対象地点までの経路に基づいて、各経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報を地図データから取得する。その後、ステップS40へ進む。
【0026】
ステップS40では、地図データ要求部207bは、経路探索部207aによって取得された対象地点までの経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報とを対応付けた地図データ要求用情報を生成する。その後、ステップS50へ進み、地図データ要求部207bは、地図データ要求用データを通信装置206を介して情報センター300へ送信して、ステップS60へ進む。
【0027】
ステップS60では、地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信したか否かを判断する。地図データ更新用データを受信したと判断した場合には、ステップS70へ進む。ステップS70では、地図データ更新部207cは、地図データ更新用データから各管理範囲の管理範囲IDとその管理範囲の最新の地図データとを取得し、地図データ記録装置204に記録されている該当する管理範囲の地図データを更新する。また、地図データを更新した管理範囲のバージョン情報を地図データ更新用データに含まれている該当する管理範囲のバージョン情報で更新する。
【0028】
これに対して、ステップS60で図データ更新用データを受信していないと判断した場合には、ステップS80へ進む。ステップS80では、地図データ更新部207cは、情報センター300から更新不要データを受信したか否かを判断する。更新不要データを受信していないと判断した場合には、ステップS60へ戻って処理を繰り返す。これに対して、更新不要データを受信したと判断した場合には、そのまま処理を終了する。
【0029】
図4は、第1の実施の形態における情報センター300の処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、ナビゲーション装置200から上述した地図データ要求用データを受信した場合に起動するプログラムとして、制御装置303によって実行される。
【0030】
ステップS110において、バージョン比較部303aは、受信した地図データ要求用データに含まれる各管理範囲ごとのバージョン情報と、地図データベース302に記録されている地図データの該当する管理範囲のバージョン情報とを比較する。その後、ステップS120へ進み、バージョン比較部303aは、バージョン情報の比較を行った結果、地図データベース302にナビゲーション装置200よりもバージョンが新しい地図データの管理範囲があるか否かを判断する。すなわち、地図データベース302に最新の地図データがあるか否かを判断する。
【0031】
最新の地図データがあると判断した場合にはステップS130へ進む。ステップS130では、地図データ送信部303bは、上述した地図データ更新用データを生成した後ステップS140へ進み、生成した地図データ更新用データを通信装置301を介してナビゲーション装置200へ送信して処理を終了する。一方、最新の地図データがないと判断した場合にはステップS150へ進む。ステップS150では、地図データ送信部303bは、上述した更新不要データを生成した後ステップS160へ進み、生成した更新不要データを通信装置301を介してナビゲーション装置200へ送信して処理を終了する。
【0032】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)自車位置から所定範囲内の事故多発地点(対象地点)までの経路を探索し、その経路が通過する管理範囲の最新の地図データを情報センターから取得して、地図データ記録装置204に記録されている地図データ更新するようにした。これによって、使用者によって目的地が設定されたときに、最新の地図データを用いて事故多発地点を回避する経路を探索することができる。
【0033】
(2)目的地までの経路を探索するに当たっては、地図データ記録装置204から事故発生情報を読み込んで、過去の事故発生回数が所定回数以上である事故発生地点を事故多発地点として特定し、事故多発地点を回避した経路を探索するようにした。これによって、自車両が事故に巻き込まれることを防止することができる。さらに事故多発地点では事故による渋滞が発生する可能性が高いことを加味して、渋滞を回避するための経路を探索することができる。
【0034】
(3)対象地点までの経路が通過する管理範囲についてのみ地図データ要求用データに情報を含めて、情報センター300へ最新の地図データの送信を要求するようにした。これによって、自車両が回避する必要がある事故多発地点までの経路を含む管理範囲のみ最新の地図データを取得すればよく、送受信するデータのデータ量を削減して高速に通信を行うことが可能となる。
【0035】
―第2の実施の形態―
第2の実施の形態では、交通情報を取得し、使用者によって目的地が設定された場合に、取得した交通情報に基づいて渋滞、事故、または工事などの自車両の走行を妨げる事象が発生している地点(事象発生地点)を回避するような経路を探索するナビゲーション装置を備える地図データ更新システムについて説明する。そして、ナビゲーション装置は、あらかじめ自車位置から事象発生地点までの全方面検索を行って、自車位置から事象発生地点までの最新の地図データ(更新用地図データ)を情報センターから取得する。なお、図3に示したナビゲーション装置200の処理を示すフローチャート、および図4に示した情報センター300の処理を示すフローチャートについては、第1の実施の形態と同一のため説明を省略する。
【0036】
図5は、第2の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、図5においては、第1の実施の形態で上述した図1と同じ構成要素には同じ符号を付加し、相違点を中心に説明する。ナビゲーション装置200は、交通情報取得装置210をさらに備えている。この交通情報取得装置210は、交通情報を発信している交通情報発信局からFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコンなどを介して渋滞、事故、または工事などの道路上で発生している事象情報を含む交通情報を取得することができる。
【0037】
経路探索部207aは、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたときに、交通情報取得装置210から上述した事象情報を取得する。そして、事象情報に基づいて自車位置からあらかじめ設定された所定範囲内に存在する渋滞、事故、または工事などの事象が発生している地点を対象地点として抽出し、当該対象地点までの全方面探索を行う。このとき、対象地点が複数ある場合には、全ての対象地点に対して全方面探索を行う。経路探索部207aは、全方面探索によって得られた対象地点までの経路に基づいて、各経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報を地図データから取得する。
【0038】
地図データ要求部207bは、経路探索部207aによって取得された対象地点までの経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報とを対応付けた地図データ要求用情報を生成し、当該地図データ要求用データを通信装置206を介して情報センター300へ送信する。
【0039】
例えば、図6に示すように、自車位置が地点2aであり、対象地点が工事が行われている地点6aおよび事故が発生している地点6bであるときに、全方面探索によって対象地点6aまでの経路6cおよび対象地点6bまでの経路6dが探索された場合について説明する。この場合には、地図データ要求部207bは、経路6cおよび6dが通過する全ての管理範囲、すなわち図6に示す更新対象管理範囲の管理範囲ID、およびバージョン情報を含む地図データ要求用データを生成して送信する。これに対して、経路6cおよび6dが通過しない管理範囲、すなわち図6に示す更新除外管理範囲については、情報を地図データ要求用データに含めない。
【0040】
情報センター300においては、第1の実施の形態と同様に、バージョン比較部303aは、地図データ要求用データに含まれる各管理範囲のバージョン情報と、地図データベース302に記録されている地図データの対応する管理範囲のバージョン情報とを比較して、地図データ要求用データに含まれる各管理範囲の地図データが最新の地図データであるかを判定する。
【0041】
そして、地図データ要求用データの中に最新の地図データでない管理範囲が含まれている場合には、バージョン比較部303aは、地図データベース302からその管理範囲の最新の地図データを取得して、管理範囲ID、最新の地図データ、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データをナビゲーション装置200へ送信する。また、地図データ要求用データの中の地図データが全て最新の地図データである場合には、バージョン比較部303aは、地図データの更新が不要なことを示す更新不要情報を含む更新不要データを生成してナビゲーション装置200へ送信する。
【0042】
地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信した場合には、地図データ更新用データから各管理範囲の管理範囲IDとその管理範囲の最新の地図データとを取得する。そして、地図データ記録装置204に記録されている該当する管理範囲の地図データを更新する。また、地図データ更新部207cは、地図データを更新した管理範囲のバージョン情報を地図データ更新用データに含まれている該当する管理範囲のバージョン情報で更新する。これに対して、情報センター300から更新不要データを受信した場合には、地図データ更新部207cは、地図データの更新を行わず処理を終了する。
【0043】
以上説明した第2の実施の形態によれば、ナビゲーション装置200の電源がオンされた時点で、自車位置から所定範囲内の事象発生地点(対象地点)までの地図データを最新のものに更新することができる。そして、経路探索部207aは、使用者によって目的地が設定されたときに、最新の地図データを用いて事象発生地点を回避する経路を探索することができる。
【0044】
―第3の実施の形態―
第3の実施の形態では、警察車両、救急車、消防車などの緊急車両が発信する電波を受信して緊急車両が走行している地点(緊急車両走行地点)を特定し、この緊急車両走行地点を回避するような経路を探索するナビゲーション装置を備える地図データ更新システムについて説明する。そして、ナビゲーション装置は、あらかじめ自車位置から緊急車両走行地点までの全方面検索を行って、自車位置から緊急車両走行地点までの最新の地図データを情報センターから取得する。なお、図3に示したナビゲーション装置200の処理を示すフローチャート、および図4に示した情報センター300の処理を示すフローチャートについては、第1の実施の形態と同一のため説明を省略する。
【0045】
図7は、第3の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、図7においては、第1の実施の形態で上述した図1と同じ構成要素には同じ符号を付加し、相違点を中心に説明する。ナビゲーション装置200は、緊急車両発信電波受信装置211をさらに備えている。この緊急車両発信電波受信装置211は、緊急車両が自車位置を本部に報告するために発信している緊急車両の現在位置を示す情報を含む電波を受信することができる。
【0046】
経路探索部207aは、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたときに、緊急車両発信電波受信装置211による受信電波に基づいて緊急車両が現在走行している地点を特定する。そして、特定した地点のうち自車位置からあらかじめ設定された所定範囲内に存在する地点を対象地点として抽出し、当該対象地点までの全方面探索を行う。このとき、自車位置から所定範囲内に複数の緊急車両が走行していることにより対象地点が複数ある場合には、全ての対象地点に対して全方面探索を行う。経路探索部207aは、全方面探索によって得られた対象地点までの経路に基づいて、各経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報を地図データから取得する。
【0047】
地図データ要求部207bは、経路探索部207aによって取得された対象地点までの経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲IDと各管理範囲のバージョン情報とを対応付けた地図データ要求用情報を生成し、当該地図データ要求用データを通信装置206を介して情報センター300へ送信する。
【0048】
例えば、図8に示すように、自車位置が地点2aであり、対象地点が地点8aであるときに、全方面探索によって対象地点8aまでの経路8bおよび8cが探索された場合について説明する。この場合には、地図データ要求部207bは、経路8bおよび8cが通過する全ての管理範囲、すなわち図8に示す更新対象管理範囲の管理範囲ID、およびバージョン情報を含む地図データ要求用データを生成して送信する。これに対して、経路8bおよび8cが通過しない管理範囲、すなわち図8に示す更新除外管理範囲については、情報を地図データ要求用データに含めない。
【0049】
情報センター300においては、第1の実施の形態と同様に、バージョン比較部303aは、地図データ要求用データに含まれる各管理範囲のバージョン情報と、地図データベース302に記録されている地図データの対応する管理範囲のバージョン情報とを比較して、地図データ要求用データに含まれる各管理範囲の地図データが最新の地図データであるかを判定する。
【0050】
そして、地図データ要求用データの中に最新の地図データでない管理範囲が含まれている場合には、バージョン比較部303aは、地図データベース302からその管理範囲の最新の地図データを取得して、管理範囲ID、最新の地図データ、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データをナビゲーション装置200へ送信する。また、地図データ要求用データの中の地図データが全て最新の地図データである場合には、バージョン比較部303aは、地図データの更新が不要なことを示す更新不要情報を含む更新不要データを生成してナビゲーション装置200へ送信する。
【0051】
地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信した場合には、地図データ更新用データから各管理範囲の管理範囲IDとその管理範囲の最新の地図データとを取得する。そして、地図データ記録装置204に記録されている該当する管理範囲の地図データを更新する。また、地図データ更新部207cは、地図データを更新した管理範囲のバージョン情報を地図データ更新用データに含まれている該当する管理範囲のバージョン情報で更新する。これに対して、情報センター300から更新不要データを受信した場合には、地図データ更新部207cは、地図データの更新を行わず処理を終了する。
【0052】
以上説明した第3の実施の形態によれば、ナビゲーション装置200の電源がオンされた時点で、自車位置から所定範囲内の緊急車両走行地点(対象地点)までの地図データを最新のものに更新することができる。そして、経路探索部207aは、使用者によって目的地が設定されたときに、最新の地図データを用いて緊急車両走行地点を回避する経路を探索することができる。
【0053】
―第4の実施の形態―
第4の実施の形態では、複数の車両がナビゲーション装置を搭載している場合に、情報センターは、各車両のナビゲーション装置からそれぞれ送信される情報に基づいて、各車両へ地図データ要求用データの送信が必要か否かを判断する地図データ更新システムについて説明する。また、各車両が搭載するナビゲーション装置は、情報センターから近くを走行している他車両の走行位置に関する情報を取得し、当該他車両との出会い頭の事故を起こす危険をなくすために、他車両が走行している地点(他車両走行地点)を回避するような経路を探索する。
【0054】
図9は、第4の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、図9においては、第1の実施の形態で上述した図1と同じ構成要素には同じ符号を付加し、相違点を中心に説明する。情報センター300のCPU303は、第1〜第3の実施の形態で上述したバージョン比較部303aに替えて地図データ送信判定部303cを備えている。
【0055】
経路探索部207aは、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたとき、および自車両の走行時に所定時間ごとに、GPSユニット202で検出された自車位置を中心とした所定範囲内を対象として全方面検索を行って、自車位置から所定範囲内に存在する交差点の位置情報(周辺交差点位置情報)、例えば緯度経度情報を取得する。
【0056】
地図データ要求部207bは、自車両が走行中である場合には、理図データ記録装置204から自車両が走行中の道路の道幅を取得する。そして、この道幅情報と、あらかじめ設定されている自車両の車幅情報と、経路探索部207aによって取得された周辺交差点位置情報と、自車位置情報とを含む地図データ要求用データを生成し、当該地図データ要求用データを通信装置206を介して情報センター300へ送信する。
【0057】
情報センター300においては、地図データ送信判定部303cは、ナビゲーション装置200から受信した地図データ要求用データに含まれる周辺交差点位置情報により特定される交差点が地図データベース302に記録されている地図データ内に存在するか否かを判断する。その結果、存在すると判断した場合には、ナビゲーション200側の地図データは最新の地図データであると判定する。これに対して、存在しないと判断した場合には、ナビゲーション200側の地図データは最新の地図データではないと判定する。すなわち、交差点の位置情報を地図の特徴を表す情報として使用し、ナビゲーション装置200側の地図の特徴を表す情報と、情報センター300側の地図の特徴を表す情報とが異なる場合には、ナビゲーション装置200側の地図データは古いものであると判定する。
【0058】
ナビゲーション200側の地図データは最新の地図データではないと判定した場合には、地図データ送信判定部303cは、地図データ要求用データに含まれる自車位置情報に基づいて、各車両が現在走行している地点を特定する。そして、複数台の車両が所定範囲の範囲内を走行している場合には、各車両間の経路(車々間経路)を探索して、その経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲ID、最新の地図データ、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データを生成する。
【0059】
例えば、図10に示すように、車両10aと車両10bとが近くを走行している場合には、地図データ送信判定部303cは、両者の間の経路10cおよび10dを探索する。そして、地図データ送信判定部303cは、経路10cおよび10dが通過する全ての管理範囲、すなわち図10に示す更新対象管理範囲の管理範囲ID、最新地図データ、およびバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データを生成する。これに対して、経路10cおよび10dが通過しない管理範囲、すなわち図10に示す更新除外管理範囲については、情報を地図データ更新用データに含めない。
【0060】
地図データ送信判定部303cはまた、複数台の車両が近くを走行中である場合には、それらの車両が走行している道路の道幅情報と各車両の車幅情報とに基づいて、各車両が走行中の道路に他の車両が進入してきた場合に、両者がすれ違うことができるか否かを判断する。その結果、すれ違うことができない道路があると判断した場合には、その道路を走行中の車両以外の車両が搭載するナビゲーション装置200に対して、その道路へは進入できないことを通知するための進入不可データを生成する。進入不可データは、例えば、リンクIDとそのリンクIDの道路へは進入できないことを示す情報とを対応付けたものとする。
【0061】
地図データ送信部303bは、地図データ要求用データを送信してきた各ナビゲーション装置200に対して、それぞれのナビゲーション装置200用に生成された地図データ更新用データまたは更新不要データと、進入不可データとを通信装置301を介して送信する。
【0062】
ナビゲーション装置200においては、地図データ更新部207cは、通信装置206を介して情報センター300から地図データ更新用データを受信した場合には、地図データ更新用データから各管理範囲の管理範囲IDとその管理範囲の最新の地図データとを取得する。そして、地図データ記録装置204に記録されている該当する管理範囲の地図データを更新する。また、地図データ更新部207cは、地図データを更新した管理範囲のバージョン情報を地図データ更新用データに含まれている該当する管理範囲のバージョン情報で更新する。これに対して、情報センター300から更新不要データを受信した場合には、地図データ更新部207cは、地図データの更新を行わない。
【0063】
これによって、他車両との間の地図データを最新のものに更新することができる。そして、経路探索部207aは、使用者によって目的地が設定されたときに、他車両との出会い頭の事故を避けるために他車両が走行している地点を回避する経路を探索するに当たって、最新の地図データを用いて経路を探索することができる。このため、既に存在しなくなっている道路などが経路として選択されることがなくなり、確実に他車両が走行している地点を回避する経路を探索することができる。
【0064】
また、経路探索部207aは、通信装置206を介して情報センター300から進入不可データを受信した場合に、その進入不可データに基づいて進入不可となっている道路を特定する。そして、もしその進入不可道路を経由する経路が既に誘導経路として設定されている場合には、進入不可道路を回避した経路を再探索して、誘導経路を設定し直す。また、報センター300から進入不可データ受信した後に、使用者によって目的地が設定され、経路探索が指示された場合にも、進入不可経路を回避した経路を探索するようにする。
【0065】
これによって、他車両が走行していることにより、自車両が走行するほど道幅に余裕のない道路を回避して経路を探索することができ、道幅の狭い道路での出会い頭の事故を防止することができる。また、すれ違うことができない道路に2台の車両が進入してしまった結果、いずれかの車両が引き返さなければならなくなるような状況を事前に回避することができる。
【0066】
図11は、第4の実施の形態におけるナビゲーション装置200の処理を示すフローチャートである。図11に示す処理は、車両のイグニションスイッチがオンされてナビゲーション装置200の電源がオンされたときに起動するプログラムとして、制御装置207によって実行される。なお、図11においては、第1の実施の形態で上述した図3における処理と同一の処理については同じステップ番号を付加して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0067】
ステップS31において、経路探索部207aは、GPSユニット202で検出された自車位置を中心とした所定範囲内を対象として全方面検索を行って、自車位置から所定範囲内に存在する交差点の位置情報(周辺交差点位置情報)を取得する。その後、ステップS40へ進み、地図データ要求部207bは、自車両が走行中の道路の道幅を取得し、道幅情報、自車両の車幅情報、周辺交差点位置情報、および自車位置情報を含む地図データ要求用データを生成する。
【0068】
また、ステップS90において、経路探索部207aは、通信装置206を介して情報センター300から進入不可データを受信したか否かを判断する。進入不可データを受信したと判断した場合には、ステップS91へ進み、進入不可道路を経由する経路が既に誘導経路として設定されているか否かを判断する。進入不可道路を経由する経路が既に誘導経路として設定されていると判断した場合には、ステップS92へ進み、経路探索部207aは、進入不可道路を回避した経路を再探索して、誘導経路を設定し、ステップS93へ進む。一方、進入不可データを受信していない場合、および進入不可道路を経由する経路が誘導経路として設定されていない場合には、そのままステップS93へ進む。
【0069】
ステップS93では、ナビゲーション装置200の電源がオフされたか否かを判断する。電源がオフされたと判断した場合には処理を終了する。これに対して、電源がオフされていないと判断した場合にはステップS94へ進み、前回、地図データ要求用データを情報センター300へ送信してからあらかじめ設定された所定時間が経過した否かを判断する。所定時間経過したと判断した場合には、ステップS20へ戻って処理を繰り返す。
【0070】
図12は、第4の実施の形態における情報センター300の処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、ナビゲーション装置200から上述した地図データ要求用データを受信した場合に起動するプログラムとして、制御装置303によって実行される。なお、図12においては、第1の実施の形態で上述した図4における処理と同一の処理については同じステップ番号を付加して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0071】
ステップS111において、地図データ送信判定部303cは、上述したように、受信した地図データ要求用データに含まれる周辺交差点位置情報により特定される交差点が地図データベース302に記録されている地図データ内に存在するか否かを判断して、ナビゲーション200側の地図データは最新の地図データであるか否かを判定する。その後、ステップS120へ進み、上記判定結果に基づいて、地図データベース302にナビゲーション装置200よりも新しい地図データがあるか否かを判断する。すなわち、地図データベース302に最新の地図データがあるか否かを判断する。
【0072】
地図データベース302に最新の地図データがあると判断した場合には、ステップS130へ進み、地図データ送信判定部303cは、地図データ要求用データに含まれる自車位置情報に基づいて、各車両が現在走行している地点を特定する。そして、複数台の車両が所定範囲の範囲内を走行している場合には、各車両間の経路を探索して、その経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲ID、最新の地図データ、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データを生成する。
【0073】
また、ステップS170において、地図データ送信判定部303cは、複数台の車両が近くを走行中である場合に、各車両が走行している道路の道幅情報と各車両の車幅情報とに基づいて、上述した進入不可道路の存在を判定して、ステップS171へ進む。ステップS171では、進入不可道路が存在するか否かを判断する。進入不可道路が存在すると判断した場合には、ステップS172へ進み、上述した進入不可データを生成してステップS173へ進む。これに対して、進入不可道路が存在しないと判断した場合には、そのままステップS173へ進む。
【0074】
ステップS173では、地図データ送信部303bは、地図データ要求用データを送信してきた各ナビゲーション装置200に対して、それぞれのナビゲーション装置200用に生成された地図データ更新用データまたは更新不要データと、進入不可データとを通信装置301を介して送信する。
【0075】
以上説明した第4の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)情報センター300は、地図データ要求用データに含まれる自車位置情報に基づいて、各車両が現在走行している地点を特定し、複数台の車両が所定範囲の範囲内を走行している場合には、各車両間の経路を探索して、その経路が通過する全ての管理範囲の管理範囲ID、最新の地図データ、および最新の地図データのバージョン情報を対応付けた地図データ更新用データを生成して、ナビゲーション装置200へ送信するようにした。また、ナビゲーション装置200では、受信した地図データ更新用データに基づいて、地図データ記録装置204に記録されている地図データを更新するようにした。これによって、ナビゲーション装置200側では、他車両との間の地図データを最新のものに更新することができ、経路探索部207aは、使用者によって目的地が設定されたときに、最新の地図データを使用して他車両が走行している地点を回避する経路を探索することができる。
【0076】
(2)情報センター300では、複数台の車両が近くを走行中である場合には、それらの車両が走行している道路の道幅情報と各車両の車幅情報とに基づいて、上述した進入不可データを生成してナビゲーション装置200へ送信するようにした。また、ナビゲーション装置200は、受信した進入不可データに基づいて進入不可となっている道路を特定し、進入不可道路を経由する経路が既に誘導経路として設定されている場合には、進入不可道路を回避した経路を再探索して、誘導経路を設定し直すようにした。これによって、他車両が走行していることにより、自車両が走行するほど道幅に余裕のない道路を回避する経路を探索することができ、道幅の狭い道路での出会い頭の事故を防止することができる。また、すれ違うことができない道路に2台の車両が進入してしまった結果、いずれかの車両が引き返さなければならなくなるような状況を事前に回避することができる。
【0077】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の地図データ更新システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した第1〜第4の実施の形態では、地図データは管理範囲単位に分割されているものとし、この管理範囲単位に地図データの要求、更新地図データの送信要否の判定、および地図データの更新を行う例について説明した。しかしながら、管理範囲以外の地図上の範囲を特定する単位ごとに処理を行うようにしてもよい。すなわち、全方面探索で探索した経路を含む所定範囲ごとに、各範囲を特定するための情報を管理範囲IDに替えて用いてもよい。
【0078】
(2)上述した第1〜第4の実施の形態では、ナビゲーション装置200を車両に搭載する例について説明したが、これに限定されず、その他の移動体に搭載するようにしてもよい。
【0079】
(3)上述した第1〜第3の実施の形態では、自車両が回避すべき地点、すなわち事故発生地点、事象発生地点、および緊急車両走行地点を対象地点として特定する例について説明したが、これ以外の自車両の走行を妨げる要因が発生しうる地点も対象地点として特定してもよい。
【0080】
(4)上述した第4の実施の形態では、地図データ要求用データに周辺交差点位置情報を含め、情報センター300の地図データ送信判定部303cは、この周辺交差点位置情報に基づいて、ナビゲーション装置200へ最新の地図データを送信する必要があるか否かを判定するようにした。しかしながら、交差点に限らず、その他の地図の特徴を表す情報、例えば道路の形状に関する情報や建物の位置に関する情報などを地図データ要求用データに含めるようにし、地図データ送信判定部303cは、これらの地図の特徴を現す情報に基づいて地図データが最新であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0081】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【0082】
特許請求の範囲の構成要素と実施の形態との対応関係について説明する。GPSユニット202は自車位置特定手段に、地図データ記録装置203は地図データ記録手段に相当する。経路探索部207aは回避地点特定手段および経路探索手段に、地図データ要求部207bは地図データ要求手段に、地図データ更新部207cは地図データ更新手段に相当する。地図データベース302は更新用地図データ記録手段に、バージョン比較部303a、および地図データ送信部303bは地図データ送信手段に相当する。交通情報取得装置210は交通情報取得手段に、緊急車両発信電波受信装置211は受信手段に、地図データ送信判定部303cは車々間経路探索手段、および地図データ送信手段に相当する。なお、以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における地図データの更新対象となる管理範囲の具体例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置200の処理を示すフローチャート図である。
【図4】第1の実施の形態における情報センター300の処理を示すフローチャート図である。
【図5】第2の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態における地図データの更新対象となる管理範囲の具体例を示す図である。
【図7】第3の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施の形態における地図データの更新対象となる管理範囲の具体例を示す図である。
【図9】第4の実施の形態における地図データ更新システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図10】第4の実施の形態における地図データの更新対象となる管理範囲の具体例を示す図である。
【図11】第4の実施の形態におけるナビゲーション装置200の処理を示すフローチャート図である。
【図12】第4の実施の形態における情報センター300の処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0084】
100 地図データ更新システム
200 ナビゲーション装置
201 車速センサ
202 GPSユニット
203 ジャイロセンサ
204 地図データ記録装置
205 入力スイッチ
206、301 通信装置
207、303 制御装置
207a 経路探索部
207b 地図データ要求部
207c 地図データ更新部
303a バージョン比較部
303b 地図データ送信部
303c 地図データ送信判定部
208 モニタ
209 スピーカ
210 交通情報取得装置
211 緊急車両発信電波受信装置
300 情報センター
302 地図データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを備える地図データ更新システムであって、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
地図データを記録する地図データ記録手段と、
前記地図データ上で前記車両が回避すべき回避地点を特定する回避地点特定手段と、
前記自車位置から前記回避地点までの経路を探索する経路探索手段と、
前記情報センターに対して、前記経路探索手段で探索した経路を含む範囲の更新用地図データの送信を要求する地図データ要求手段と、
前記情報センターから前記更新用地図データを取得した場合に、前記地図データ記録手段に記録されている前記範囲の地図データを前記更新用地図データを用いて更新する地図データ更新手段とを備え、
前記情報センターは、
前記更新用地図データを記録する更新用地図データ記録手段と、
前記ナビゲーション装置から前記更新用地図データの送信要求があった場合に、前記範囲の更新用地図データを前記更新用地図データ記録手段から読み込んで前記ナビゲーション装置へ送信する地図データ送信手段を備えることを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データ更新システムにおいて、
前記地図データは、過去に事故が発生した地点に関する情報を含み、
前記回避地点特定手段は、前記地図データに基づいて過去に事故が多発している事故多発地点を特定し、この事故多発地点を前記回避地点とすることを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項3】
請求項1に記載の地図データ更新システムにおいて、
交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、
前記回避地点特定手段は、前記交通情報に基づいて自車両の走行を妨げる事象が発生している事象発生地点を特定し、この事象発生地点を前記回避地点とすることを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項4】
請求項1に記載の地図データ更新システムにおいて、
緊急車両が発する緊急車両の位置を特定するための電波を受信する受信手段をさらに備え、
前記回避地点特定手段は、前記受信手段で受信した電波に基づいて前記緊急車両が走行している緊急車両走行地点を特定し、この緊急車両走行地点を前記回避地点とすることを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の地図データ更新システムにおいて、
前記地図データ要求手段は、前記経路探索手段で探索した経路を含む範囲を特定するための情報と、前記地図データ記録手段に記録されている前記範囲内の地図データのバージョンを示す情報とを含むデータとを前記情報センターへ送信し、
前記地図データ送信手段は、前記ナビゲーション装置から受信した前記範囲内の地図データのバージョンと、前記更新用地図データ記録手段に記録されている前記範囲内の更新用地図データのバージョンとを比較して、前記更新用地図データのバージョンの方が新しい場合に、前記更新用地図データを前記ナビゲーション装置へ送信することを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項6】
車両に搭載されたナビゲーション装置と前記ナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを備える地図データ更新システムであって、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
地図データを記録する地図データ記録手段と、
前記情報センターに対して、前記自車位置を通知すると共に、前記地図データを更新するための更新用地図データの送信を要求する地図データ要求手段と、
前記情報センターから前記更新用地図データを取得した場合に、前記地図データ記録手段に記録されている地図データを前記更新用地図データを用いて更新する地図データ更新手段とを備え、
前記情報センターは、
前記更新用地図データを記録する更新用地図データ記録手段と、
複数の前記ナビゲーション装置から前記更新用地図データの送信要求があった場合に、それぞれの車両の前記自車位置を特定し、各車両間の経路を探索する車々間経路探索手段と、
前記車々間経路探索手段で探索した経路を含む範囲の更新用地図データを前記更新用地図データ記録手段から読み込んで前記ナビゲーション装置へ送信する地図データ送信手段を備えることを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項7】
請求項6に記載の地図データ更新システムにおいて、
前記地図データおよび前記更新用地図データは、それぞれ地図の特徴を表す情報を含み、
前記地図データ要求手段は、前記地図データに含まれる前記地図の特徴を表す情報を前記情報センターへ送信し、
前記地図データ送信手段は、前記ナビゲーション装置から受信した前記地図の特徴を表す情報と、前記更新用地図データに含まれる前記地図の特徴を表す情報とを比較して、双方の前記地図の特徴を表す情報が異なる場合に、前記更新用地図データを前記ナビゲーション装置へ送信することを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項8】
車両に搭載されたナビゲーション装置と前記ナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを接続し、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定し、
地図データ上で前記車両が回避すべき回避地点を特定し、
前記自車位置から前記回避地点までの経路を探索し、
前記情報センターに対して、探索した経路を含む範囲の更新用地図データの送信を要求し、
前記情報センターから前記更新用地図データを取得した場合に、地図データ記録手段に記録されている前記範囲の地図データを前記更新用地図データを用いて更新し、
前記情報センターは、
前記ナビゲーション装置から前記更新用地図データの送信要求があった場合に、前記範囲の更新用地図データを更新用地図データ記録手段から読み込んで前記ナビゲーション装置へ送信することを特徴とする地図データ更新方法。
【請求項9】
車両に搭載されたナビゲーション装置と前記ナビゲーション装置に更新用の地図データを提供する情報センターとを接続し、
前記ナビゲーション装置は、
自車位置を特定し、
前記情報センターに対して、前記自車位置を通知すると共に、前記地図データを更新するための更新用地図データの送信を要求し、
前記情報センターから前記更新用地図データを取得した場合に、地図データ記録手段に記録されている地図データを前記更新用地図データを用いて更新し、
前記情報センターは、
複数の前記ナビゲーション装置から前記更新用地図データの送信要求があった場合に、それぞれの車両の前記自車位置を特定し、各車両間の経路を探索し、
探索した経路を含む範囲の更新用地図データを更新用地図データ記録手段から読み込んで前記ナビゲーション装置へ送信することを特徴とする地図データ更新方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報センター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−122232(P2008−122232A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306469(P2006−306469)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】