説明

地図表示装置

【課題】検索結果の施設の見落しを防止することができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】表示モニタ16の表示画面に詳細地図を表示しているときに施設検索を行うと、検索された施設の区画31a〜31cが無彩色の詳細地図30に重ねて表示される。施設の区画31a〜31cはそれぞれ同じ色で表示され、赤色や青色などの有彩色を含んだ色彩で表示される。無彩色の詳細地図30に検索された施設以外の施設のアイコンや施設名称などが表示されるが、これらも無彩色で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索した施設を識別可能な態様で地図上に表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検索した施設の位置に重ね合わせて地図上にアイコンを表示する車載用ナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−148019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のような従来の車載用ナビゲーション装置では、施設の位置に表示されたアイコンが地図の表示色や地図に表示された文字などに紛れてしまい、その結果、検索結果の施設を見落としてしまうという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の地図表装置は、表示画面上に表示される地図のデータ(以下、地図データ)を記憶する地図データ記憶手段と、表示画面上に表示される施設のデータ(以下、施設データ)を記憶する施設データ記憶手段と、施設データ記憶手段を参照して施設データを検索する検索手段と、検索手段で検索された施設データの情報を道路地図より強調して表示する強調表示手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、強調手段は、検索手段で検索された施設データの情報を有彩色で表示し、その他の地図データを無彩色で表示することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の地図表示装置において、強調手段は、検索手段で検索された複数の施設データの情報を同一の有彩色で表示することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2または3に記載の地図表示装置において、強調手段は、無彩色で表示される地図データに含まれる文字情報は表示しないことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、検索手段で検索された施設データの情報とともに表示手段に表示される地図データは圧縮ないし間引いて表示することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、表示モニタにカーソルを表示するカーソル表示制御手段を備え、カーソルが検索手段によって検索された施設に重なると、重なった施設の詳細な情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、検索された施設データの情報を道路地図より強調して表示する。したがって、検索結果の施設の見落しを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1は、通常の有彩色を含んだ道路地図のほかに、無彩色(モノトーン)の道路地図を表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記憶されたDVD−ROM110が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは、車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは、車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、道路地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、道路地図上にその現在地(自車位置マーク)を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ19は、DVD−ROM110から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM110以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
地図表示用データは、有彩色地図表示用データと無彩色地図表示用データを含む。有彩色地図データは、有彩色を含んだ表示色の道路地図を周知の態様で表示するときに使用する。無彩色地図表示用データは、無彩色の道路地図を表示するときに使用し、主に施設の検索結果を道路地図上に表示するときに使用する。有彩色地図表示用データと、無彩色地図表示用データとは、道路地図の表示色を除いて同じデータ構造を有している。
【0012】
地図データには、さらに道路地図に表示される施設のデータ(施設データ)が含まれている。施設データには、各種施設の位置、名称、種別、そのほか住所や営業時間などの詳細情報が含まれる。また、施設を詳細地図に表示するとき、施設の区画を有彩色を含んだ色彩で表示できるようにするため、施設の区画の形状や位置の情報が施設データに含まれている。
【0013】
制御回路11は、入力装置18によって入力された検索条件に基づいて施設データの検索を行う。この施設検索の検索結果は、リストとして表示されるほかに、道路地図上に表示される。道路地図上に表示された検索結果の詳細については後述する。
【0014】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図や上記の検索結果などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定や検索条件の入力などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を手動で操作することにより、目的地を設定する。
【0015】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路と区別して画面表示される。これにより、ユーザは道路地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0016】
次に、本発明の実施形態における施設検索の検索結果の表示について図2および図3を参照して説明する。ここで、ナビゲーション装置1は、「ホテル」を検索したものとして説明する。
【0017】
図2は、表示モニタ16の表示画面に無彩色で描画した広域地図20上に施設検索の結果を有彩色で表示した図である。検索された施設「ホテル」は、無彩色の広域地図20に、アイコン21a〜21dとして、その施設の位置に表示される。アイコン21a〜21bはそれぞれ同じ色で表示され、赤色や青色などの有彩色を含んだ色彩で表示される。無彩色の広域地図20には、検索された施設以外の施設のアイコンや施設名称などが表示されるが、これらも無彩色で表示される。無彩色の広域地図20には、自車位置マーク22が表示されるが、自車位置マークは、通常の広域地図を表示しているときと同じ色彩で表示される。無彩色の広域地図20をスクロールすることによって、表示画面に表示されていない検索結果の施設を表示画面に表示させることができる。
【0018】
図3は、表示モニタ16の表示画面に詳細地図を表示したときの施設検索の検索結果の表示を説明するための図である。詳細地図30には、検索された施設「ホテル」は無彩色の詳細地図30に重ねて表示される。詳細地図30には施設の区画が表示されるので、検索された施設はアイコンとして表示されず、施設の区画31a〜31cとして表示される。施設の区画31a〜31cはそれぞれ同じ色で表示され、赤色や青色などの有彩色を含んだ色彩で表示される。無彩色の広域地図20と同様に、無彩色の詳細地図30にも、検索された施設以外の施設のアイコンや施設名称などが表示されるが、これらも無彩色で表示される。無彩色の詳細地図30に、自車位置マーク32が表示される場合も、自車位置マークは、周知の態様の詳細地図を表示しているときと同じ色彩で表示される。無彩色の詳細地図30をスクロールすることによって、表示画面に表示されていない検索結果の施設を表示画面に表示させることができる。
【0019】
次に、本発明の実施形態における地図上の検索結果表示処理について図4のフローチャートを参照して説明する。図4の処理は、施設検索が完了するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0020】
ステップS401では、ディスクドライブ19によってDVD−ROM110に記憶されている無彩色地図表示用データを読み込む。読み込む地図データの範囲は、施設検索を行う前に読み込んでいた有彩色地図表示用データと同じである。ステップS402では、ディスクドライブ19によってDVD−ROM110に記憶されている施設データより検索結果の施設のデータを読み込む。
【0021】
ステップS403では、地図の縮尺率が所定値以上であるか、つまり、検索された施設の区画が表示される縮尺率であるかを判定する。地図の縮尺率が所定値以上の場合はステップS403が肯定判定され、ステップS404へ進む。地図の縮尺率が所定値に満たない場合はステップS403が否定判定され、ステップS407へ進む。ステップS404では、無彩色の地図に重ねて検索結果の施設の区画を、有彩色を含んだ色彩で描画する。ステップS405では、検索結果の施設を描画して生成した画像データを画像メモリ15に格納する。ステップS406では、画像メモリ15より画像データを読み出して、検索結果の施設を表示した地図を表示モニタ16に表示する。
【0022】
ステップS407では、無彩色の地図に重ねて検索結果の施設のアイコンを、有彩色を含んだ色彩で描画する。そして、ステップS405へ進む。
【0023】
以上の本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)広域地図20や詳細地図30を無彩色で表示し、検索結果の施設21a〜21d,31a〜31cを有彩色を含んだ色彩で表示する。無彩色の中に有彩色が表示されると、有彩色は非常に目立つので、ユーザは検索結果の施設21a〜21d,31a〜31cを見落すことはない。
【0024】
(2)無彩色の地図20,30に表示した複数の検索結果の施設21a〜21d,31a〜31cは、それぞれ同じ色彩で表示されるので、施設のアイコン21a〜21dやアイコン31a〜31cを見てすぐにホテルであることがわかる。一方、施設のアイコン21a〜21dやアイコン31a〜31cを異なる色彩で表示すると、ホテルを検索したにもかかわらず別の施設ではないかと勘違いする場合がある。
【0025】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)検索結果の施設を地図上に表示するとき、無彩色の広域地図20や詳細地図30を使用したが、図5に示すように、無彩色の地図30、すなわち、検索された施設を示す領域以外に存在する施設名や道路名などの文字を表示しないようにしてもよい。地図30に重ねて表示された検索施設31a〜31cが明確になり、さらに、検索結果の施設31a〜31cを見落とさなくなる。
【0026】
(2)図6に示すように、表示画面に表示したカーソル61を検索結果の施設31bに重ねると、施設についての詳細な情報62が表示されるようにしてもよい。この場合、カーソルの位置が、検索結果の施設の表示位置に所定範囲で一致すると、DVD−ROM110に記憶されている施設データを読み出して、表示モニタ16に表示する。簡単な操作で検索した施設の詳細な情報を知ることができ、便利である。
【0027】
(3)検索結果の施設を地図上に表示する場合、施設検索は、自車位置から所定範囲内(自車位置周辺)または表示モニタ16に表示されている地図の範囲内で行うようにしてもよい。地図に表示されない施設を検索しても無駄だからである。
【0028】
(4)検索結果である施設のアイコンを有彩色で表示し、背景の道路地図などを無彩色で表示することにより、検索結果を強調表示するようにした。しかし、検索結果を強調表示できれば実施形態に限定されない。たとえば、検索された施設のアイコンを表示する際、背景の道路地図を間引いたり圧縮したりすることにより、検索結果を強調してもよい。図7は、図2の背景の道路地図の細街路を間引いた場合の例である。
【0029】
地図表示装置であれば、ナビゲーション装置1に限定されない。たとえば、携帯情報端末でもよい。
【0030】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0031】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の地図データ記憶手段および施設データ記憶手段はDVD−ROM110に対応し、検索手段は制御回路11、ディスクドライブ19およびDVD−ROM110に対応する。強調表示手段およびカーソル表示制御手段は制御回路11に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示モニタの表示画面に広域地図を表示したときの施設検索の検索結果の表示を説明するための図である。
【図3】表示モニタの表示画面に詳細地図を表示したときの施設検索の検索結果の表示を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態における検索結果表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】無彩色の地図に文字を表示しないときの施設検索の検索結果の表示を説明するための図である。
【図6】表示画面に表示したカーソルを検索結果の施設に重ねることによる施設の詳細な情報の表示を説明するための図である。
【図7】背景の道路地図の細街路を間引いた場合の施設検索の検索結果の表示を説明するための図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
15 画像メモリ
16 表示モニタ
18 入力装置
19 ディスクドライブ
20 広域地図
21a〜21d,31a〜31c ホテル
22 自車位置マーク
30 詳細地図
61 カーソル
62 施設の詳細な情報
110 DVD-ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に表示される地図のデータ(以下、地図データ)を記憶する地図データ記憶手段と、
表示画面上に表示される施設のデータ(以下、施設データ)を記憶する施設データ記憶手段と、
前記施設データ記憶手段を参照して前記施設データを検索する検索手段と、
前記検索手段で検索された前記施設データの情報を前記道路地図より強調して表示する強調表示手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記強調手段は、前記検索手段で検索された施設データの情報を有彩色で表示し、その他の地図データを無彩色で表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記強調手段は、前記検索手段で検索された複数の施設データの情報を同一の有彩色で表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の地図表示装置において、
前記強調手段は、無彩色で表示される地図データに含まれる文字情報は表示しないことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記検索手段で検索された施設データの情報とともに前記表示手段に表示される地図データは圧縮ないし間引いて表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記表示モニタにカーソルを表示するカーソル表示制御手段を備え、
前記カーソルが前記検索手段によって検索された施設に重なると、前記重なった施設の詳細な情報を表示することを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−139082(P2008−139082A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323606(P2006−323606)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】