説明

地点検索装置、検索方法

【課題】POI等の検索を効率化し、ユーザーに対して好適な地点情報を迅速に提示する。
【解決手段】
地域毎に地点情報が管理され、上記地域単位で上記地点情報の検索が行われる形態とされた地点情報データベースに対して検索を行う地点検索装置として、入力される自己位置情報と、地図情報から得られる地域境界情報に基づいて、検索対象地域を選定する。そして検索対象地域と選定した1又は複数の地域のみを対象として、地点情報データベースから地点情報の検索を行って、検索結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地点情報データベースに対する検索を行う地点検索装置及び検索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−207346号公報
【特許文献2】特開2000−74685号公報
【0003】
一般に車載用等のナビゲーション装置では、ユーザーが目的地を設定することに応じて好適な経路を算出し、表示部において地図画像上で経路を表示するナビゲーション動作が行われる。
このナビゲーション動作のためには、まずユーザーが目的地を入力することが必要であるが、この目的地の入力のためには様々な方式があり、例えば目的地の住所や地名等を入力する方式や、地図上で位置を指定する方式、さらには目的地を検索して選択する方式などがある。
検索による方式としてPOI(Point of Interest)入力方式が知られている。例えばユーザーの操作に応じて、POI情報としての地点情報をカテゴリ別などで分類したデータベースに対して検索を行い、検索結果をリスト表示する。そしてユーザーがリストアップされたエントリの1つを指定することで、目的地として登録できるものである。
検索のためのユーザーの入力は、例えばメニュー形式などでカテゴリを指定し、指定されたカテゴリをキーとして検索を行ったり、或いはユーザーがキーとなる文字等を入力し、これに基づいて検索するなど、多様な形態がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでPOI情報としては、レストラン、各種店舗、スポーツ施設、娯楽施設など、多様な地点情報が含まれているが、POIデータベースに含まれる地点情報が充実するほど、データベースに対する検索負担が大きくなる。特に、地域範囲として全日本や全ヨーロッパなど広域のPOIデータベースを構築すると、それだけ検索するデータ量が膨大となり、検索時間が長時間化して、ユーザーに対してレスポンスの良いPOI検索を提供できないという課題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、POI等の地点情報の検索を、効率的に実行しつつ、ユーザーによって適切な検索結果が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地点検索装置は、地域毎に地点情報が管理され、上記地域単位で上記地点情報の検索が行われる形態とされた地点情報データベースに対して検索を行う地点検索装置として、入力される自己位置情報と、地図情報から得られる地域境界情報に基づいて、検索対象地域を選定し、検索対象地域と選定した1又は複数の地域のみを対象として、上記地点情報データベースから上記地点情報の検索を行う検索手段と、上記検索手段で検索された地点情報に基づく表示を実行させる表示制御手段とを備える。
また上記検索手段は、上記自己位置情報を基準にした所定範囲を選定用範囲とし、該選定用範囲に含まれる地域を、検索対象地域と選定する。
また上記検索手段は、上記地点情報に基づく表示に対するユーザ入力履歴に応じて、上記検索対象地域の選定条件を変更する。
【0007】
本発明の検索方法は、地域毎に地点情報が管理され、上記地域単位で上記地点情報の検索が行われる形態とされた地点情報データベースに対する地点情報の検索方法として、自己位置を判別する自己位置判別ステップと、上記自己位置判別ステップで判別された自己位置と、地図情報から得られる地域境界情報から、検索対象地域を選定する検索対象地域選定ステップと、上記検索対象地域選定ステップで選定された1又は複数の地域のみを対象として、上記地点情報データベースから上記地点情報の検索を行う検索ステップとを備える。
【0008】
このような本発明では、例えばPOI地点情報検索において、その地点情報データベースに対する効率的な検索方式を提供する。
ナビゲーション装置等で用いる地図情報やPOI情報等のデータベースは、近年、部分的なデータ内容の更新の利便性を考慮して、地域毎などでデータを管理する形態が採られることが多い。例えば日本で用いるPOIデータベースとしては、都道府県毎に別々にPOI情報を管理するデータベース形態を採ったり、ヨーロッパで使用するデータベースでは、国毎にPOI情報を管理する形態を採るなどである。この場合、国や都道府県などとしての各地域毎に検索用のインデックスが形成され、各地域単位でのPOI検索が可能とされる。
ここで、単にユーザーの選択したカテゴリ等に基づいて検索を行う場合、通常は、上記構造のデータベースにおいて、全ての地域を対象として検索することになるが、その場合、検索対象が大きく、検索処理の負荷が高くなる。即ち検索時間が長くなってしまう。一方、検索の際にユーザーに地域を特定させれば、その地域についてのみの検索でよいが、ユーザーは検索したい範囲として地域を意識していないこともあり、また地域入力を煩わしく思うこともある。また、県境や国境付近においては、特定の地域のみでは適切な検索ができない。例えば或る地点情報が、自己位置から近いにもかかわらず、検索から外れてしまうことも考えられる。
ここにおいて本発明では、自己位置、例えば自車位置を基準にして、地域を選定し、その地域を対象としてデータベースを検索するようにすることで、全ての地域に対して検索する必要をなくし、また、そのユーザーにとって近い範囲の地点情報、つまり現実的に有効と考えられる地点情報を提示できるようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、自己位置を基準として1又は複数の地域を選定し、その設定された地域を対象としてデータベース検索を行うため、高速なデータベース検索が可能となると共に、ユーザーにとって実質的に必要な地域を検索対象とすることになるため有用な地点情報を抽出できるという効果がある。即ちデータベース検索を効率化し、ナビゲーション装置等でのPOIリスト表示などを、的確且つレスポンスよく実現できる。
また、検索結果に対するユーザーの入力履歴に応じて、検索対象地域の選定条件を更新していくことで、その特定のユーザーにとって、より好適な検索ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の地点検索装置、検索方法を車載用のナビゲーション装置において実現する例としての実施の形態を説明する。
図1にナビゲーション装置としてのハードウエア構成を示す。ナビゲーション装置は、演算処理部1、操作入力部2、出力部3、位置検出部4、センサ部5、記憶装置部6を有する。これらの各部は、一体的に設けられても良いし、それぞれ別の筐体の装置部とされ、有線又は無線で通信可能に接続されるものであってもよい。もちろん、これらの構成の一部が一体で、他が別体の装置であってもよい。
【0011】
操作入力部2は ユーザの操作を受け、その操作情報を演算処理部1に伝達する装置部である。例えば 演算処理部1を含む本体筐体のパネル上に設けられた各種のキーやジョグダイヤル、スティック等の操作子として実現されたり、本体筐体とは別体に設けられたリモートコマンダーとして実現される。リモートコマンダーとされる場合、リモートコマンダー上に設けられたキーやダイヤル等の操作子の操作情報を、赤外線や電波により演算処理部1に送信したり、或いは演算処理部1を有する筐体と有線接続されて操作情報を送信する。
また操作入力部2としては、表示画面上のタッチパネルとされる場合もある。その場合、出力部3における表示部と一体的に設けられる。さらには上記表示部に表示されたメニュー画面やアイコン表示に対してマウスや所定のポインティングデバイスによってクリックを行う形態も操作入力部2の一態様として考えられる。
また、操作入力部2としては、マイクロホンを備え、音声を入力できるようにしてもよいし、カメラ部を備え、画像入力ができるようにしても良い。そして、これらの場合、操作入力部2には、音声認識装置、画像認識装置を備え、入力された音声や画像を、操作情報として演算処理部1に供給できるようにしても良いし、演算処理部1側に音声認識装置、画像認識装置を備えるようにして、入力された音声や画像を、演算処理部1側で操作情報や、各種入力情報として認識できるようにしてもよい。
【0012】
出力部3は、演算処理部1による演算結果として出力された出力データをユーザに伝達する装置部であり、画像の出力装置であるディスプレイ(表示部)や 音声出力装置であるスピーカ等である。
【0013】
位置検出部4は、当該ナビゲーション装置の位置、即ち当該ナビゲーション装置が搭載された自動車の位置を検出する装置部であり、例えばGPS(Global Positioning System)を利用したGPS測位装置である。既に公知の通り、GPS測位装置は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信することで、静止衛星からの位置を計算し、自車の地図上の位置として緯度、経度を求める。
位置検出部4は測位した自車位置としての緯度、経度の情報を演算処理部1に供給する。
【0014】
センサ部5は、車の走行状況や挙動等を検出する装置部である。例えば、車輪の回転数を検知する車速センサ、車体の回転角速度を検知する振動ジャイロセンサ、車の加速度を検知する加速度センサ、車の振動を検知する振動センサなどである。また、車の走行操作装置の状態を検出する装置、例えばパーキングブレーキスイッチやブレーキランプスイッチ、ステアリング舵角センサ、スロットル開度センサなども想定される。
センサ部5によるこれらの検出情報は、演算処理部1に供給される。演算処理部1では、これらのセンサ部5からの検出情報と、位置検出部4からの位置情報とを併せて用いることで、より精度の高い自車位置検出を実行することができる。
【0015】
記憶装置部6は、地図データやPOI(Point of Interest)情報データベース、検索情報、若しくは音楽/映像コンテンツデータなどの大量のデータを保持する記憶装置である。例えばCD−ROMやDVD−ROMの様な光ディスクを記録媒体としたディスクドライブ装置や、ハードディスクドライブの様な磁気記録媒体に対する記録再生装置とされる。また固体メモリを内蔵したメモリカードを記録媒体とするカードリーダ/ライタとされてもよいし、固体メモリによる記憶装置部とされてもよい。
この記録装置部6は、演算処理部1を有する本体筐体に一体的に設けられても良いし、別体とされて有線又は無線で演算処理部1と通信可能とされてもよい。
【0016】
演算処理部1は、ナビゲーション装置としての必要な演算処理を行う装置部であり、例えばCPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、インターフェース部15を備えて構成される。
ROM12には動作プログラムや各種処理に用いる定数、固定情報が記憶される。なお、動作プログラムは、記憶装置部6における記録媒体に格納され、動作時に演算処理部内にロードされるようにしてもよい。
RAM13は、ワーク領域やプログラムのロード領域に用いられたり、一時的な情報の蓄積に用いられる。
不揮発性メモリ14は書換え可能かつシステムの電源供給が途絶えた時にも記憶したデータを保持できるメモリであり、例えば電池によりバックアップされたSRAMやフラッシュメモリ等である。この不揮発性メモリ14には、各種処理に用いる係数やユーザが登録した情報や指定した経路情報、過去の走行履歴情報などが記憶される。
CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて、ナビゲーション装置として必要な情報処理や制御処理を行う。これらの情報処理や制御処理のために、RAM13をワーク領域として用いたり、ROM12や不揮発性メモリ14に記憶された情報を参照する。
インターフェース15は、演算処理部1と他の各部、即ち操作入力部2、出力部3、位置検出部4、センサ部5、記憶装置部6との間での入出力を行う。インターフェース部15は、操作入力部2からの操作情報や各種入力情報、位置検出部4からの位置情報、センサ部5による検出情報を入力し、CPU11に伝達する。またインターフェース部15は、CPU11が出力する制御情報や画像データ、音声データを出力部3に供給し、ナビゲーション装置としての必要な表示出力、音声出力を実行させる。またインターフェース部15はCPU11からのアクセス要求を記憶装置部6に伝え、記憶装置部6に所要のデータ再生、さらに場合によってはデータ記録を実行させる。またインターフェース部15は、記憶装置部6から読み出された地図データ等を演算処理部1内に取り込む。
【0017】
なお、本例では地図情報やPOIデータベースは記憶装置部6における記録媒体に記憶されているものとするが、これらは、例えば外部のサーバ等において格納し、通信によってデータを取得できるようにしてもよい。
即ち外部サーバとの通信手段や、ハードディスクドライブ等のデータ格納部を備え、当該ナビゲーション装置が外部サーバと通信して地図情報やPOIデータベースを取得し、ハードディスクドライブ等に格納するようにしてもよい。
【0018】
図2に、CPU11が有する機能、即ちROM12等に記憶されたプログラムに基づいた演算処理により実現される機能を示す。
CPU11の機能として、ナビゲーション処理制御機能21、データ読込機能22、自車状況判別機能23、ナビゲーション画像描画機能24、POI検索機能25、操作検知機能26、画像/音声出力機能27が設けられる。これらの機能は、それぞれが個別のプログラムモジュールで実現されても良いし、1つのプログラム内に複数の機能を実行するためのプログラムが混在しても良い。
【0019】
ナビゲーション処理制御機能21は、ナビゲーション装置として必要とされる処理動作を統括的に制御する機能であり、他の各機能に対して処理の指示やタイミング制御を行い、系統的なナビゲーション動作を実行させる。またユーザーの目的地や中継地点の登録、経路探索等の処理や、自車の進行に伴った案内表示、ガイド音声等の出力制御を行う。
【0020】
データ読込機能22は、記憶装置部6に対するアクセス処理を行う。即ちデータ読込機能22は、ナビゲーション処理制御機能21の指示に基づいて、記憶装置部6に対するアクセス指示や地図データの読込を行う。例えば自車位置やユーザーに指定された位置、或いはユーザーが指定した経路情報などに応じて、必要とされる範囲の地図情報をRAM13に読み込む。
また例えばPOI検索機能25の指示に応じて、記憶装置部6に格納されているPOIデータベースに対する検索のためのアクセス制御も行う。
なお、もちろん地図データやPOIデータ以外の記憶装置部6において記憶されている各種データの読込も行う。また記憶装置部6がデータ書込可能な装置部であれば、データ書込制御も行う。
【0021】
自車状況判別機能23は、位置検出部4からの位置情報とセンサ部5からの検出情報に基づいて、自車位置や自車の挙動を判別する。
【0022】
ナビゲーション画像描画機能24は、データ読込機能22によって読み込まれた地図情報や、自車状況判別機能23で判別された自車位置、POIデータベース検索結果、さらにはユーザ操作、ユーザの登録情報等に応じて、出力部3のディスプレイに表示する画像データを生成する。画像データとしては、地図画像、メニュー画像、アイコン画像、各種イメージ画像、各種案内画像などであり、これら各種画像データを、出力部3のディスプレイに表示させるために、ナビゲーション処理制御機能21の指示に基づいて生成する。
【0023】
POI検索機能25は、POIデータベースに対する検索処理を行う。具体的なPOI検索処理例については後述するが、検索対象地域の選定や、カテゴリ等の入力に応じたPOI検索制御を行う。なお、POIデータベースが記憶装置部6に格納されているとする例の場合、POI検索機能25は、検索動作に際して、データ読込機能22による記憶装置部6への検索アクセスを実行させる。
【0024】
操作検知機能26は、操作入力部2からの操作情報や各種の入力情報の検出を行い、入力された情報をナビゲーション処理制御機能21に伝える。ナビゲーション処理制御機能21は操作検知機能26によって検出された操作情報等に基づいて、各機能を制御し、必要な動作を実行させる。
【0025】
画像/音声出力機能27は、ナビゲーション処理制御機能21の指示に従って、出力部3からユーザーに提示する画像データや音声データを出力する。出力する画像データとは、ナビゲーション画像描画機能24で生成された地図画像やメニュー画像、各種案内画像などである。
【0026】
次に図3によりPOIデータベースの構造について説明する。
POIデータベースは、データベース管理情報40として全体の構造についての管理情報が記述され、このデータベース管理情報による管理下に、エリア毎に分けられた検索用データ構造41A、41B・・・41Zが形成される。
ここでいうそれぞれの「エリア」とは、特定の地域であり、国、州、都道府県などの単位である。例えば欧州のように多くの国家が国境を接している地域では上記「エリア」を国の単位とし、また米国では州、日本では都道府県、中国では省の単位とすることが考えられる。但し、もちろんこれに限らず、例えば欧州において県に相当する地域を単位としても良い。さらに、地域に応じて異なる単位としてもよい。例えば日本において都府県を単位とするが、北海道については支庁単位とするなどである。もちろん例えば複数の県を1つのエリアとしてもよい。
そしてこれらのように「エリア」をどのように設定するかは、POIデータベースにおける検索用データ構造41の設定の都合に応じたものとすればよく、POIデータベースの更新都合や、検索性、地域に応じた使用性、地域毎のPOIデータ数の多寡などを考慮して決められればよい。
【0027】
各検索用データ構造41(41A、41B・・・41Z)は、それぞれそのエリアに含まれる実際の地点データをカテゴリ等に基づいて検索できる構造とされている。
例えば検索用データ構造41Aには、エリアAにおける地点データ、つまりPOI情報を集めた地点データユニットが設けられる。1つの地点データユニットには、多数の地点データ(POI情報)が含まれる。
1つの検索用データ構造内に存在する地点データユニット数は、そのエリアにおけるPOI情報数に依存する。
地点データユニット内に記憶されるPOI情報の数や、各POI情報のアドレス、データサイズなどは、その地点データユニット内の地点データヘッダに記述される。
【0028】
各検索用データ構造41において、地点データユニット内のPOI情報を検索するためにデータインデックスが設けられる。
例えば検索用データ構造41Aには、エリアA用のデータインデックスが設けられ、このデータインデックスによって、検索用データ構造41A内の地点データユニットに記憶されているPOI情報を検索できる。
他の検索用データ構造41B〜41Zも同様である。
【0029】
この図3のような構造のPOIデータベースによれば、エリア単位でのPOI検索が可能となる。例えばエリアBを検索対象とした場合、検索用データ構造41BにおけるエリアBのデータインデックスを探索すればよい。エリアを特定しないで検索を行うのであれば、各検索用データ構造41A〜41Zの全てのデータインデックスを探索していくことになる。
【0030】
続いて本実施の形態におけるPOI検索動作について説明する。
図4に、POI検索の際のCPU11の処理を示す。この処理は、ユーザーがPOI検索を指示する操作を行うことに応じて、CPU11で図2に示した各機能が働いて実行される。
ユーザーが操作入力部2から、例えばカテゴリ等を指定してPOI検索を指示する操作を行ったことを操作検知機能26が検知したら、ナビゲーション処理制御機能21の指示に応じてPOI検索機能25が動作し、図4の処理が順次実行される。
まずステップF101で、POI検索機能25は、位置検出部4から供給される位置情報に基づいて自車状況判別機能23により判別される自車位置を取得する。
またPOI検索機能25は、ステップF102で、データ読込機能22によって読み込まれている地図情報から境界情報を取得する。境界情報とは、上記POIデータベースにおいて分けられている各エリアの境界の情報であり、例えば国境、州境、県境などの情報である。
【0031】
自車位置情報及び境界情報を取得したら、POI検索機能25は、ステップF103で検索対象エリアの選定を行う。この場合、POI検索機能25は、自車位置を基準として所定範囲内に含まれるエリアを検索対象エリアと選定する。
図5(a)に検索対象エリアの選定例を示す。いま、図5(a)に示すように自車位置50がエリアA内の位置であるとし、また、この自車位置50は、エリアB、エリアCとの境界付近であるとする。
このとき、POI検索機能25は、自車位置50を中心として、半径Xkmの範囲を選定用範囲51とする。そして、この選定用範囲51に含まれるエリアを検索対象エリアとする。この図5(a)の場合、エリアA、B、Cが検索対象エリアに該当する。
この例の場合、3つのエリアが検索対象エリアに該当するが、もちろん検索対象エリアが1つのエリア、2つのエリア、あるいは4以上のエリアとなる場合もある。例えば自車位置50が、エリアA内で他のエリアとの境界から離れた位置である場合、つまり選定用範囲51内にエリア境界が存在しない場合は、エリアAのみが検索対象エリアとなるし、また自車位置50が、多数のエリアの境界が入り組んでいる地点にあれば、多数のエリアが検索対象エリアに該当することになる。
【0032】
なお、選定用範囲51については、自車位置50を中心とする半径Xkmの円とするのは一例であり、例えば自車位置50を中心とする正方形、長方形、三角形、楕円形などの範囲を選定用範囲51としてもよい。また、必ずしも自車位置を中心としなければならないものではない。例えば基準とする自車位置50から、その進行方向に向かって長い楕円や、円、或いは扇状、逆三角形等の範囲を選定用範囲51としてもよい。
【0033】
POI検索機能25は、ステップF103で検索対象エリアを選定したら、ステップF104で検索を実行する。この場合、POI検索機能25はデータ読込機能22による記憶装置部6へのアクセスを介して、POIデータベースの検索を行う。このとき、検索対象エリアのみで検索を行う。例えば図5(a)の状況であって、エリアA,B,Cが検索対象エリアと選定された場合、図3のPOIデータベースにおいて、検索用データ構造41A,41B,41Cについてのみデータインデックスを参照して検索を行う。他の検索用データ構造41D〜41Zについては検索しない。
【0034】
そして検索結果としてのPOI情報が得られたら、ステップF105で検索結果のリスト表示出力を行う。即ちPOI検索機能25は、検索結果として得られた目的地候補としてのPOI情報をナビゲーション画像描画機能24に受け渡し、検索結果リストの表示用の画像データを生成させる。生成された画像データは、画像/音声出力機能27によって出力部3に供給され、その表示部において表示される。
図6(a)に検索結果リストの表示例を示す。これはレストランというカテゴリでユーザーが検索指示を行った場合の結果表示の例であり、リスト表示21として、検索された多数のPOI情報としてのレストラン名等が表示される。1画面で表示できない場合は、スクロールバー26やページ送りアイコン22,23等を用いたユーザー操作により、他の候補が表示される。
また、検索結果リスト表示や、検索結果からの目的地設定を終了させるための終了アイコン24や、検索対象の範囲又は条件を変更して再検索を実行させる再検索指示アイコン25などが表示される。
なお、リスト表示21には、名称と共に、図示するようにエリア名等が表示されていても良い。
そして、上述のように検索対象エリアと選定された特定のエリア(エリアA,B,C)での検索結果であるため、リストアップされた候補は、全てエリアA,B,Cのいずれかに含まれるものである。
【0035】
このような検索結果のリスト表示21を見て、ユーザーは目的地として希望する候補を選択したり、再検索を指示したり、或いはPOI検索動作を終了させるなどの操作を行う。CPU11は、その操作検知機能26によりステップF106,F107,F108で表示内容に対するユーザーの操作を監視する。
【0036】
ユーザーがリストアップされた候補の中で、1つを選択する操作を行った場合、CPU11は処理をステップF107からF110に進め、選択された候補についての詳細表示を行う。即ち選択された候補についての詳細情報に基づいてナビゲーション画像描画機能24により詳細画像を生成させ、出力部3において表示させる。例えば図6(a)で3番目の候補が選択された場合、図6(b)のような詳細画像が表示される。この詳細画像では、店舗名等の名称31、店や施設の紹介や内容等の説明32、その店の地図33等、POIデータとして登録されている詳細な情報が表示される。
また、ユーザーの操作用のアイコンとして目的地としての登録アイコン34やリスト表示に戻るための戻りアイコン35等が表示される。
【0037】
ユーザーは、図6(a)のようなリスト表示を見て、或る候補を選択し、図6(b)のような詳細画像を確認して、その候補を目的地として登録するか否かを考えることができる。目的地に登録したい場合は、図6(b)の画面で登録アイコン34を選択する操作を行い、また他の候補を探したい場合は戻りアイコン35を選択する操作を行えばよい。
詳細画像表示中は、CPU11はステップF111,F112でユーザー操作を監視する。そしてユーザーが登録アイコン34を選択した場合は、ステップF112からF113に進み、その詳細表示中の候補を目的地として登録する。即ちナビゲーション処理制御機能21は、そのPOI情報を目的地として設定する。目的地として設定されたPOI情報については、その後、ナビゲーション処理制御機能21によってルート探索処理等が行われ、ナビゲーション地図表示上に反映される。なおこのステップF113の時点では、目的地として設定したPOI情報を、ユーザーが選択したことのあるPOI情報として選択履歴情報に追加する。例えば不揮発性メモリ14において選択履歴情報の記憶領域を確保しておき、ステップF113で目的地登録が行われる毎に、その目的地(POI情報)を履歴に追加する。
そしてステップF105に戻り、画面上の表示を図6(a)の検索結果リストの表示に戻す。
またCPU11は、詳細表示中にユーザーが戻りアイコン35を選択した場合は、ステップF111からF105に戻り、画面上の表示を図6(a)の検索結果リストの表示に戻す。
【0038】
ステップF105での検索結果リストの表示状態において、ユーザーが希望の候補がないと考えた場合は、再検索指示アイコン25を選択することで、検索範囲や検索条件を変更して再検索させることができる。
CPU11は、ユーザーが再検索指示アイコン25を選択する操作を行った場合は、ステップF106からF109に進め、検索対象エリアの追加や変更を行う。例えば一例としては、検索対象エリアの選定のための選定用範囲51の設定を変更する。例えば上述のように選定用範囲51が、自車位置50を中心として半径Xkmの円であるとしたら、これを、半径Ykmの円に拡大する(X<Y)。
そしてステップF103に戻り、新たな選定用範囲51を用いて、検索対象エリアの再選定を行う。図5(b)に、選定用範囲51を拡大した例を示している。このように選定用範囲51を拡大することで、今度はエリアA,B,Cに加えて、エリアDも検索対象エリアに該当することになる。
そしてステップF104で再びPOIデータベースの検索を実行するが、このときは、エリアDのデータインデックスも対象に加えて検索を行う。そしてステップF105でエリアA,B,C,Dについての検索結果をリストアップした表示を実行させることになる。
【0039】
なお、ここでは選定用範囲51を拡大して検索対象エリアを追加する例を挙げているが、ステップF109での検索範囲や検索条件の変更方式は多様に考えられる。
例えば選定用範囲51を拡大ではなく、縮小してもよい。
また選定用範囲51が自車の進行方向に向かう範囲としていた場合は、その逆方向(自車の後方)を選定用範囲51に加えるような変更も考えられる。
また、単に選定用範囲51の変更のみでなく、既に検索したエリアについては検索対象エリアから除いたり、或いは選定用範囲51には含まれないが、現在の検索対象エリア、或いは自車位置を含むエリアに隣接するエリアを検索対象エリアに加えたりすることなども考えられる。
【0040】
ステップF105での検索結果リストの表示に対して、ユーザーが終了アイコン24を選択する操作を行った場合は、CPU11は処理をステップF108からF114に進める。
ステップF114では、POI検索処理を終了させる際の処理として、その時点での選択履歴情報を確認し、所定の条件と照合して、必要であれば選択履歴に基づいて検索対象エリアの選定条件を更新する。そしてPOI検索処理を終える。
検索対象エリアの選定条件が更新された場合、その選定条件は次回のPOI検索処理においてステップF103の処理に用いられる。
【0041】
ステップF114の選択履歴に応じた選定条件更新は、ユーザーに合わせた学習機能となる。例えば選択履歴として、ユーザーが特定のエリア内の候補のみを常に目的地として選択している場合、そのユーザーにとっては、その特定のエリア以外は検索する必要がないと判断し、以降のPOI検索動作時には、当該特定のエリアのみを検索対象エリアとするように、検索対象エリアの選定条件を変更する。図5(a)の各エリアA,B,C,Dが国である場合を想定する。ユーザーがエリアAの国民であって、常に自国であるエリアA内のPOI情報を目的地として選択していることが履歴情報から明らかな場合、このユーザは国外を目的地とすることはほとんどないと判断できる。そこで、図5(a)のように選定用範囲51がエリアB、Cを含んだとしても、エリアAのみを対象とするように選定条件を加えることで、エリアAのみを対象する効率的な検索が実行できる。当然、それだけ検索時間も早くなり、また無駄な候補がリストアップされないためユーザーの目的地登録のための操作も容易となる。例えばこのようにユーザーの選択履歴に応じて選定条件を更新することで、いわゆる学習効果として、そのユーザーに好適なPOI検索を実現できる。
なお、例えばこのように特定のエリアのみを検索するように選定条件を変更した後において、ユーザーが他のエリアを含む検索を希望することがあり得るが、そのような場合は、ステップF106、F109での再検索指示に応じた処理により対応できる。
【0042】
CPU11が以上の処理によりPOI検索を行うことで、図2のようなPOIデータベースを用いた検索が効率化される。即ち、検索用データ構造41A〜41Zの全てのデータインデックスから検索するのではなく、選定された検索対象エリアについてのデータインデックスを用いた検索が行われるためである。これにより迅速な検索が実現され、ユーザーに対してレスポンスの良い検索結果表示を行うことができる。また、リストアップされる候補も、自車位置を基準として近いエリア内の候補に絞られるため、ユーザーにとって現実的に目的地となり得る目的地候補であり、使用性がよいものとなる。
【0043】
以上、実施の形態について説明してきたが、本発明は多様な変形例が考えられる。例えば目的地設定のための検索における例で説明したが、目的地設定のためではなく、自車周辺の施設等を知りたい場合の検索などにおいても本発明の検索処理は好適である。
また、リストデータや詳細画像の表示形態や、その画面上のアイコン等、さらには操作に応じた表示の切換などについては、上記例に限定されないことは当然である。
また実施の形態では車載用のナビゲーション装置で説明したが、例えば携帯用のナビゲーション装置でも同様に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態のナビゲーション装置の構成のブロック図である。
【図2】実施の形態のナビゲーション装置のCPUの機能の説明図である。
【図3】実施の形態のPOIデータベースの説明図である。
【図4】実施の形態のPOI検索処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態の検索対象エリアの選定の説明図である。
【図6】実施の形態の検索結果表示例の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 演算処理部、2 操作入力部、3 出力部、4 位置検出部、5 センサ部、6 記憶装置部、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 不揮発性メモリ、15 インターフェース部、21 ナビゲーション処理制御機能、22 データ読込機能、23 自車状況判別機能、24 ナビゲーション画像描画機能、25 POI検索機能、26 操作検知機能、27 画像/音声出力機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地域毎に地点情報が管理され、上記地域単位で上記地点情報の検索が行われる形態とされた地点情報データベースに対して検索を行う地点検索装置として、
入力される自己位置情報と、地図情報から得られる地域境界情報に基づいて、検索対象地域を選定し、検索対象地域と選定した1又は複数の地域のみを対象として、上記地点情報データベースから上記地点情報の検索を行う検索手段と、
上記検索手段で検索された地点情報に基づく表示を実行させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする地点検索装置。
【請求項2】
上記検索手段は、上記自己位置情報を基準にした所定範囲を選定用範囲とし、該選定用範囲に含まれる地域を、検索対象地域と選定することを特徴とする請求項1に記載の地点検索装置。
【請求項3】
上記検索手段は、上記地点情報に基づく表示に対するユーザ入力履歴に応じて、上記検索対象地域の選定条件を変更することを特徴とする請求項1に記載の地点検索装置。
【請求項4】
地域毎に地点情報が管理され、上記地域単位で上記地点情報の検索が行われる形態とされた地点情報データベースに対する地点情報の検索方法として、
自己位置を判別する自己位置判別ステップと、
上記自己位置判別ステップで判別された自己位置と、地図情報から得られる地域境界情報から、検索対象地域を選定する検索対象地域選定ステップと、
上記検索対象地域選定ステップで選定された1又は複数の地域のみを対象として、上記地点情報データベースから上記地点情報の検索を行う検索ステップと、
を備えたことを特徴とする検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−258441(P2006−258441A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72475(P2005−72475)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】