基板処理装置
【課題】移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間の空間におけるプラズマの発生を抑制することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、ウエハWを収容する筒状のチャンバ11と、該チャンバ11内においてチャンバ11の中心軸に沿って移動自在なシャワーヘッド23と、チャンバ11内においてシャワーヘッド23に対向するサセプタ12と、シャワーヘッド23及びチャンバ11の蓋14を接続する伸縮自在なベローズ31とを備え、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PSに高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、シャワーヘッド23及びチャンバ11の側壁13は非接触であり、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33が配設される。
【解決手段】基板処理装置10は、ウエハWを収容する筒状のチャンバ11と、該チャンバ11内においてチャンバ11の中心軸に沿って移動自在なシャワーヘッド23と、チャンバ11内においてシャワーヘッド23に対向するサセプタ12と、シャワーヘッド23及びチャンバ11の蓋14を接続する伸縮自在なベローズ31とを備え、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PSに高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、シャワーヘッド23及びチャンバ11の側壁13は非接触であり、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33が配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、処理室内を移動自在な電極を備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)にプラズマ処理を施す基板処理装置は、ウエハを収容し且つ内部を減圧可能なチャンバと、該チャンバ内部の下方に配された載置台(サセプタ)と、チャンバ内部においてサセプタに対向するように配されたシャワーヘッドとを備える。サセプタはウエハを載置するとともに、高周波電源が接続されてチャンバ内部に高周波電力を印加する電極として機能し、シャワーヘッドはチャンバ内部に処理ガスを導入するとともに、接地されて接地電極として機能する。この基板処理装置では、チャンバ内部に供給された処理ガスを高周波電力によって励起してプラズマを生成し、該プラズマによってウエハにプラズマ処理を施す。
【0003】
ところで、チャンバ内部、特に、シャワーヘッド及びサセプタの間の空間においてプラズマを適切に分布させるために、従来、サセプタを可動に構成してシャワーヘッド及びサセプタの間の処理空間の距離(以下、「ギャップ」という。)を調整可能な基板処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。また、近年、基板処理装置の周辺におけるレイアウト上の制約からサセプタではなくシャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置が検討されている。
【0004】
図12は、シャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0005】
図12の基板処理装置100では、円筒状のチャンバ101内部においてサセプタ102に対向するように配置されたシャワーヘッド103は、チャンバ101の内径とほぼ等しい外径を有する略円板状を呈し、不図示のリフト機構によってチャンバ101内部においてピストンのように上下動する。また、シャワーヘッド103及びチャンバ101の天井部の間には該シャワーヘッド103の上下動に併せて伸縮するベローズ104が介在し、該ベローズ104は外気からチャンバ101内をシールする。なお、図12中において、最も下降した場合のシャワーヘッド103を実線で示し、最も上昇した場合のシャワーヘッド103を破線で示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/003437号パンフレットの第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この基板処理装置100では、シャワーヘッド103の円滑な上下動を実現し、且つシャワーヘッド103及びチャンバ101の側壁101bのこすれによるパーティクルの発生を防止するために、シャワーヘッド103は該側壁101bから或る程度の間隔を保つように構成される。すわなち、シャワーヘッド103は側壁101bへ接触しないため、シャワーヘッド103から側壁101bへ直流電流が流れることはなく、交流電流が流れることも殆どない。その結果、基板処理装置100では、サセプタ102に印加された高周波電力に起因する高周波電流が、図12中の矢印Aで示すように、サセプタ102、処理空間、シャワーヘッド103、ベローズ104、チャンバ101の天井壁101a及び該チャンバ101の側壁101bの順で流れる。
【0008】
ここでベローズ104は耐久性を考慮してステンレスで構成されているため、アルミで構成されている他の部位(チャンバ101やシャワーヘッド103等)よりもインピーダンスが大きい。その結果、ベローズ104に沿って、具体的には、シャワーヘッド103及びチャンバ101の天井壁101aの間において電位差が生じ、シャワーヘッド103及び天井壁101aの間に存在する空間(以下、「上部空間」という。)USに電界が生じる。
【0009】
この電界はギャップから該上部空間USに進入した処理ガスを電離してプラズマを生じさせる。上部空間USで生じたプラズマはチャンバ101の壁面やシャワーヘッド103を消耗させ、またデポを生じさせるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間の空間におけるプラズマの発生を抑制することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極及び前記一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の基板処理装置は、請求項1記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材は少なくとも前記移動電極及び前記一方の端壁のいずれかに取り付けられることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の基板処理装置は、請求項1又は2記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材の比誘電率は10以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の基板処理装置は、請求項3記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンからなることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の基板処理装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記筒状容器の側壁及び前記移動電極の間に他の誘電性部材が配設されることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の基板処理装置は、請求項5記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材の厚さは、前記移動電極から前記側壁への方向に関して5mm以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の基板処理装置は、請求項5又は6記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材はセラミックからなることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の基板処理装置は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材は前記移動電極に取り付けられることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の基板処理装置は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材は前記側壁に取り付けられることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の基板処理装置は、請求項10記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材に対向する前記移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、前記第1の誘電性部材と前記第2の誘電性部材との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の基板処理装置は、請求項10又は11記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の基板処理装置は、請求項10又は11記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の基板処理装置は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする。
【0025】
請求項15記載の基板処理装置は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする。
【0026】
請求項16記載の基板処理装置は、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材及び前記第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の基板処理装置によれば、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されるので、第1の空間に印加される高周波電力に起因し、且つ移動電極、第2の空間、筒状容器の一方の端壁及び該筒状容器の側壁を流れる高周波電流に関し、電圧降下を低誘電性部材に分担させることによって第2の空間における電圧降下代を小さくすることができ、もって、第2の空間における電位差を低減することができる。その結果、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間の空間(第2の空間)における電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。
【0028】
請求項2記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材は少なくとも移動電極及び一方の端壁のいずれかに取り付けられるので、構成を簡素化することができ、基板処理装置の組み立てを容易に行うことができる。
【0029】
請求項3記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材の比誘電率は10以下であるので、低誘電性部材が分担する電圧降下代を適切に調整することができる。
【0030】
請求項4記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンからなる。これらの材料はラジカルに対する耐性が高いため、例え、ラジカルが第1の空間から第2の空間へ進入しても低誘電性部材が消耗するのを防止することができる。また、これらの材料は容易に入手できるので、結果として容易に製造することができ、コストを削減することができる。
【0031】
請求項5記載の基板処理装置によれば、筒状容器の側壁及び移動電極の間に他の誘電性部材が配設されるので、筒状容器の側壁及び移動電極を離間させることができ、もって、筒状容器の側壁及び移動電極の間で異常放電が発生するのを防止することができる。また、他の誘電体部材が筒状容器の側壁及び移動電極の間を埋めるので、第1の空間で生じたプラズマが第2の空間へ進入するのを防止することができる。
【0032】
請求項6記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材の厚さは、移動電極から側壁への方向に関して5mm以上であるので、筒状容器の側壁及び移動電極を確実に離間させることができる。
【0033】
請求項7記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材はセラミックからなる。他の誘電体部材は第1の空間に面するが、セラミックはラジカルだけでなくイオンによるスパッタにも高い耐性を有するので、他の誘電体部材が第1の空間で生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。
【0034】
請求項8記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材は移動電極に取り付けられるので、該移動電極が移動しても常に筒状容器の側壁及び移動電極の間に他の誘電性部材を介在させることができ、もって、異常放電が発生するのを確実に防止することができる。
【0035】
請求項9記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材は側壁に取り付けられるので、移動電極の構造を単純化することができる。
【0036】
請求項10記載の基板処理装置によれば、移動電極に対向する筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と移動電極の側面との重なり面積が、移動電極の移動に伴って変化するので、移動電極と第1の誘電性部材と筒状容器の側壁とで構成される静電結合における静電容量がギャップの変動に伴って変化し、これによって、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0037】
請求項11記載の基板処理装置によれば、第1の誘電性部材に対向する移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積が、移動電極の移動に伴って変化するので、静電容量が比較的細かく変化し、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布をより細かく調整することができる。
【0038】
請求項12及び14記載の基板処理装置によれば、第1又は第2の誘電性部材の筒状容器の中心軸に沿った断面における中心軸に直交する方向の幅は中心軸に沿って一定であるので、移動電極と第1の誘電性部材との重なり面積、又は第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積がギャップの変化に応じて変動し、重なり面積の変動に基づいて高周波電流のグランドパスの容量が変動する。これによって、他系統のグランドパスとの容量配分比を調整し、処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0039】
請求項13及び15記載の基板処理装置によれば、第1又は第2の誘電性部材の筒状容器の中心軸に沿った断面における中心軸に直交する方向の幅は中心軸に沿って順次変化するので、移動電極と第1の誘電性部材との重なり面積、又は第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積がギャップの変化に応じて変動し、重なり面積の変動と、第1の誘電性部材及び/又は第2の誘電性部材の中心軸に直交する方向の幅の変動とに基づいて高周波電流のグランドパスの容量が変動する。これによって、他系統のグランドパスとの容量配分比を調整し、処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0040】
請求項16記載の基板処理装置によれば、第1の誘電性部材及び第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなるので、ラジカルだけでなくイオンスパッタに対する耐性を有する。これによって、第1及び第2の誘電性部材が処理空間内で生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の基板処理装置における上部空間を電気回路的に示す図である。
【図3】図1の基板処理装置の変形例の構成を概略的に示す断面図であり、図3(A)は第1の変形例を示す断面図であり、図3(B)は第2の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】図4の基板処理装置の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】図6におけるシャワーヘッドと第1の誘電性部材との重なり状態を示す模式図である。
【図8】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図9】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図10】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図12】シャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0044】
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。この基板処理装置はウエハにドライエッチング処理を施すように構成されている。
【0045】
図1において、基板処理装置10は、例えば、直径が300mmのウエハWを収容する円筒状のチャンバ11(筒状容器)を有し、該チャンバ11内の図中下方には半導体デバイス用のウエハWを載置する円板形状のサセプタ12(対向電極)が配置されている。チャンバ11は円管状の側壁13と、該側壁13の図中上方の端部を覆う円板状の蓋14(筒状容器の一方の端壁)とを有する。
【0046】
チャンバ11内はTMP(Turbo Molecular Pump)及びDP(Dry Pump)(ともに図示しない)等によって減圧され、また、チャンバ11内の圧力はAPCバルブ(図示しない)によって制御される。
【0047】
サセプタ12には第1の高周波電源15が第1の整合器16を介して接続され、且つ第2の高周波電源17が第2の整合器18を介して接続されており、第1の高周波電源15は比較的低い周波数、例えば、3.2MHzの高周波電力であるバイアス電力をサセプタ12に印加し、第2の高周波電源17は比較的高い周波数、例えば、100MHzの高周波電力であるプラズマ生成電力をサセプタ12に印加する。そして、サセプタ12はチャンバ11内にプラズマ生成電力を印加する。
【0048】
サセプタ12の上部には、静電電極板19を内部に有する静電チャック20が配置されている。静電チャック20は円板状のセラミック部材で構成され、静電電極板19には直流電源21が接続されている。静電電極板19に正の直流電圧が印加されると、ウエハWにおける静電チャック20側の面(以下、「裏面」という。)には負の電位が生じて静電電極板19及びウエハWの裏面の間に電界が生じ、該電界に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、ウエハWは静電チャック20に吸着保持される。
【0049】
また、サセプタ12には、吸着保持されたウエハWを囲うように、リング状部材であるフォーカスリング22が載置される。フォーカスリング22は、導電体、例えば、ウエハWを構成する材料と同じ単結晶シリコンによって構成される。フォーカスリング22は導電体からなるので、プラズマの分布域をウエハW上だけでなく該フォーカスリング22上まで拡大してウエハWの周縁部上におけるプラズマの密度を該ウエハWの中央部上におけるプラズマの密度と同程度に維持する。これにより、ウエハWの全面に施されるドライエッチング処理の均一性を維持することができる。
【0050】
チャンバ11内の上方には、サセプタ12と対向するようにシャワーヘッド23(移動電極)が配置されている。シャワーヘッド23は、多数のガス穴24を有する円板状の導電性の上部電極板25と、該上部電極板25を着脱可能に釣支するクーリングプレート26と、該クーリングプレート26をさらに釣支するシャフト27と、該シャフト27の上端に配される処理ガス受入部28とを有する。シャワーヘッド23は、蓋14及び側壁13を介して接地され、チャンバ11内に印加されるプラズマ生成電力に対する接地電極として機能する。
【0051】
シャフト27は内部を図中上下方向に貫通するガス流路29を有し、クーリングプレート26は内部にバッファ室30を有する。ガス流路29は処理ガス受入部28とバッファ室30を接続し、各ガス穴24はバッファ室30及びチャンバ11内を連通する。シャワーヘッド23において、ガス穴24、処理ガス受入部28、ガス流路29及びバッファ室30は処理ガス導入系を構成し、該処理ガス導入系は処理ガス受入部28に供給された処理ガスをチャンバ11内、具体的には、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PS(第1の空間)へ導入する。
【0052】
シャワーヘッド23において上部電極板25の外径はチャンバ11の内径よりも若干小さく設定されるため、シャワーヘッド23は側壁13に接触しない。すなわち、シャワーヘッド23はチャンバ11内に遊合するように配置される。また、シャフト27は蓋14を貫通し、該シャフト27の上部は基板処理装置10の上方に配置されたリフト機構(図示しない)に接続される。該リフト機構はシャフト27を図中上下方向に移動させるが、このとき、シャワーヘッド23はチャンバ11内において該チャンバ11の中心軸に沿い、ピストンのように上下動する。これにより、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PSの距離であるギャップを調整することができる。なお、シャワーヘッド23の図中上下方向に関する移動量の最大値は70mmである。
【0053】
シャフト27は蓋14と擦れる可能性があり、パーティクルの発生源となりうるため、その側面をベローズ31が覆う。ベローズ31は、例えば、ステンレスからなる伸縮自在な圧力隔壁であり、その一端は蓋14に接続され、その他端はシャワーヘッド23に接続される。また、ベローズ31はチャンバ11内をチャンバ11外部からシールする機能も有する。
【0054】
基板処理装置10では、処理ガス受入部28へ供給された処理ガスが処理ガス導入系を介して処理空間PSへ導入され、該導入された処理ガスは、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力によって励起されてプラズマとなる。該プラズマ中の陽イオンは、サセプタ12に印加されるバイアス電力に起因する負のバイアス電位によってサセプタ12に載置されたウエハWに向けて引きこまれ、該ウエハWにドライエッチング処理を施す。
【0055】
上述した基板処理装置10の各構成部品、例えば、第1の高周波電源15や第2の高周波電源17の動作は、基板処理装置10が備える制御部(図示しない)のCPUがドライエッチング処理に対応するプログラムに応じて制御する。
【0056】
ここで、基板処理装置10では、該シャワーヘッド23が側壁13と接触していないため、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力に起因する高周波電流はシャワーヘッド23を流れた後、上部空間US、蓋14及び側壁13を流れて接地に到達するが、ベローズ31のインピーダンスが大きいため、シャワーヘッド23及び蓋14の間において電位差が生じ、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間US(第2の空間)に電界が生じる可能性がある。
【0057】
本実施の形態では、これに対応して、上部空間USにおける電圧降下代を低減する。具体的には、シャワーヘッド23の上部空間USに対する対向面上に低誘電率材からなる第1のキャパシタ層32を配設し、蓋14の上部空間USに対する対向面上に低誘電率材からなる第2のキャパシタ層33を配設する。このとき、シャワーヘッド23及び蓋14の間は、図2に示すように、電気回路的に3つのキャパシタの直列回路として表すことができる。ここで、第1のキャパシタ層32からなるキャパシタをC1とし、第2のキャパシタ層33からなるキャパシタをC2とし、上部空間USからなるキャパシタをC3とした場合、キャパシタC1やキャパシタC2における電圧降下代を大きくすれば、相対的にキャパシタC3における電圧降下代を小さくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。
【0058】
第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33の構成材料としては、比誘電率が10以下のものであることが好ましい。これにより、第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33が分担する電圧降下代を適切に調整することができる。第1のキャパシタ層32等の構成材料として好適に用いることができるものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等の絶縁性樹脂、エンジニアプラスチック系樹脂、石英(SiO2)、アルミナセラミック(Al2O3)、窒化アルミ(AlN)、窒化珪素(SiN)等が該当し、特に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンを用いると、これらの材料はラジカルに対する耐性が高いため、例えば、プラズマが処理空間PSから上部空間USへ進入しても第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33が消耗するのを防止することができる。
【0059】
本実施の形態に係る基板処理装置10によれば、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33が配設されるので、処理空間PSに印加される高周波電力に起因し、且つシャワーヘッド23、上部空間US、蓋14及び側壁13を流れる高周波電流に関し、電圧降下を第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33に分担させることによって上部空間USにおける電圧降下代を小さくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。その結果、上部空間USにおける電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。これにより、チャンバ11の蓋14やシャワーヘッド23の消耗、また、上部空間USにおけるデポ(パーティクル)の発生を防止することができる。
【0060】
また、基板処理装置10では、第1のキャパシタ層32はシャワーヘッド23に取り付けられ、第2のキャパシタ層33は蓋14に取り付けられるので、基板処理装置10の構成を簡素化することができ、もって、基板処理装置10の組み立てを容易に行うことができる。
【0061】
上述した基板処理装置10では、上部空間USにおいて2つのキャパシタ層を配設したが、配設するキャパシタ層の数はこれに限られず、キャパシタ層が1つでも配設されれば、該キャパシタ層に電圧降下を分担させることができるので、上部空間USにおいて少なくとも1つ以上のキャパシタ層が配設されればよい。例えば、上部空間USにおいて第2のキャパシタ層33のみが蓋14に配設されてもよく(図3(A))、第1のキャパシタ層32のみがシャワーヘッド23に配設されてもよい(図3(B))。
【0062】
なお、上述した第1の実施の形態では、シャワーヘッド23が移動し、シャワーヘッド23及び蓋14の間に上部空間USが存在する場合について説明したが、サセプタが移動し、サセプタ及びチャンバの下壁との間に下部空間が存在する場合には、該下部空間に少なくとも1つのキャパシタ層を配設することによって下部空間における電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0064】
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、シャワーヘッド及びチャンバの側壁の間に低誘電性部材が配設される点で上述した第1の実施の形態と異なるのみである。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0065】
第1の実施の形態で説明したように、シャワーヘッドが移動する基板処理装置では、シャワーヘッドが側壁に接触しないが、処理空間から上部空間へのプラズマの進入を防止するために、シャワーヘッド(上部電極板)及び側壁の隙間は最小限に設定され、導電体である上部電極板が接地電位の側壁に接近する。すわなち、電位差の大きい2物体が接近するため、異常放電が発生する虞がある。本実施の形態では、これに対応して、上部電極板及び側壁を離間させる。
【0066】
図4は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0067】
図4において、基板処理装置40はシャワーヘッド41を備え、該シャワーヘッド41は、外周を誘電体リング42(他の誘電体部材)で囲われた円板状の上部電極板43と、該上部電極板43を着脱可能に釣支するクーリングプレート26等とを有する。誘電体リング42は上部電極板43に取り付けられ、誘電体リング42のシャワーヘッド41から側壁13への方向に関する厚さは5mm以上であり、該誘電体リング42は上部電極板43及び側壁13を離間させる。これにより、側壁13及びシャワーヘッド41の間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【0068】
また、誘電体リング42及び側壁13の隙間は、誘電体リング42や側壁13が熱膨張しても互いに干渉せず、且つ誘電体リング42が蓋14及び上部電極板43の隙間をほぼ埋めるように、0.5mm〜3.0mmに設定される。その結果、処理空間PSで生じたプラズマが上部空間USへ進入するのを防止することができる。
【0069】
さらに、上部電極板43、誘電体リング42及び側壁13はキャパシタを構成し、僅かながら容量結合するので、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力に起因する高周波電流の一部が上部電極板43を流れた後、誘電体リング42及び側壁13を流れて接地に到達する。すなわち、高周波電流を、上部空間USを経由して流れるものと、誘電体リング42を経由して流れるものとに分流することができる。その結果、上部空間USを流れる高周波電流を少なくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。
【0070】
誘電体リング42は処理空間PSで生じたプラズマに晒されるため、誘電体リング42を構成する材料はラジカルだけでなくイオンスパッタに対する耐性を有する必要があり、好ましくは、アルミナセラミック、窒化アルミ、窒化珪素、イットリア(Y2O3)、サファイア、ジルコニア等のセラミック系材料や石英が用いられるが、ポリテトラフルオロエチレン等の絶縁性樹脂やエンジニアプラスチック系樹脂を耐プラズマコーティングで覆った部材を用いてもよい。なお、誘電体リング42の比誘電率としては約2〜30程度であればよい。
【0071】
上述した基板処理装置40では、誘電体リング42を上部電極板43の外周に配設したが、図5に示すように、誘電体リング42の代わりとなる円筒状の誘電体部材44を壁13に取り付けてもよい。この場合も、誘電体部材44が上部電極板25及び側壁13を離間させるので、側壁13及びシャワーヘッド23の間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【0072】
なお、上述した第2の実施の形態では、シャワーヘッド41が移動し、シャワーヘッド41及び側壁13の間に隙間が存在する場合について説明したが、サセプタが移動し、サセプタ及び側壁13の間に隙間が存在する場合には、該隙間を埋めるように誘電体部材を配設することによって側壁13及びサセプタの間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【実施例】
【0073】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0074】
実施例
まず、基板処理装置10における第1のキャパシタ層32を厚さ1mmのテフロン(登録商標)シートを2枚重ねて形成し、第2のキャパシタ層33を1枚の厚さ1mmのテフロン(登録商標)シートで形成し、バイアス電力を印加することなく、所定の値のプラズマ生成電力を印加し、処理空間PS(ギャップ)の距離を所定の値に設定した場合の上部空間USにおけるプラズマの発生の有無を確認し、その結果を下記表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
上記表1における「○」はプラズマが発生しなかったことを示す。
【0077】
比較例
また、基板処理装置10の上部空間USにキャパシタ層を配置せず、バイアス電力を印加することなく、所定の値のプラズマ生成電力を印加し、処理空間PS(ギャップ)の距離を所定の値に設定した場合の上部空間USにおけるプラズマの発生の有無を確認し、その結果を下記表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】
上記表2における「×」はプラズマが発生したことを示し、「△」はプラズマが時々発生したことを示し、「○」はプラズマが発生しなかったことを示す。
【0080】
表1及び表2を比較したところ、上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33を配設することによってプラズマの発生が確実に防止できることが分かった。
【0081】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0082】
この基板処理装置は、移動電極と、該移動電極に対向する筒状容器の側壁との間に静電結合を形成し、サセプタに印加される高周波電力に起因する高周波電流のグランドパスを、移動電極、上部空間US、チャンバの蓋及び側壁を流れて接地に到達するライン(以下、「第1のグランドパス」という。)と、移動電極からチャンバ側壁を流れて接地に到達するライン(以下、「第2のグランドパス」という。)とに複合化させ、そのグランドパスの容量配分比が移動電極の移動に応じて変化するようにしたものである。
【0083】
ウエハに対して所定のプラズマ処理を施す基板処理装置においては、1つのチャンバ内で複数のプラズマ処理を一括プロセスとして連続的に行う場合があり、処理プロセス毎にプロセス条件、特に移動電極としてのシャワーヘッドの適正位置が異なり、適正なギャップが設定される。このような一括プロセスにおいては、ギャップが変更される度に処理空間PS内におけるプラズマ分布の適正化を図ることが好ましく、プラズマ分布を適正化するためのパラメータを増加する技術の開発が望まれていた。
【0084】
本実施の形態は、このような要求を満たすためになされたものであり、その目的は、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる基板処理装置を提供することにある。
【0085】
上記目的を達成するため、本実施の形態に係る基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0086】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0087】
図6において、この基板処理装置50の基本的な構成は、第1の実施の形態に係る基板処理装置(図1参照)と同様である。従って、重複する構成及び作用については説明を省略し、以下に、異なる構成及び作用を中心にして本実施の形態を説明する。
【0088】
基板処理装置において、チャンバ内の処理空間PSにおけるプラズマ分布は、例えば、ギャップ、チャンバ内圧力、処理ガスの種類、高周波電力の印加値等の影響を受ける。
【0089】
本実施の形態に係る基板処理装置は、処理目的に応じて決定され、当該処理目的を達成するためには変更することができない条件はそのまま維持し、且つそれら基本的な処理条件と相まってより適正な処理条件を構築することができるプラズマ分布を実現するものである。そのために、筒状部材としてのチャンバの側壁に誘電性部材を配設し、チャンバ側壁と、該チャンバ側壁に配置された誘電性部材と、これに対向する移動電極との間に静電結合を構成し、該静電結合における静電容量を移動電極の移動に伴って変化させ、これによって第2のグランドパス容量及び第2のグランドパスと第1のグランドパスとの容量配分比を変化させて処理空間PS内におけるプラズマ分布の最適化を図るようにしたものである。
【0090】
従って、基板処理装置50が、図1の基板処理装置10と異なるところは、上部空間USの対向面上に配設された低誘電率材からなる第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33をそれぞれなくし、移動電極としてのシャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設した点である。
【0091】
すなわち、基板処理装置50は、基板を収容する円筒状のチャンバ11(筒状容器)と、該チャンバ11の中心軸に沿って移動自在なシャワーヘッド51(移動電極)とを有し、シャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設したものである。
【0092】
第1の誘電性部材55はリング状を呈しており、円筒状のチャンバ11の側壁53に設けられた所定深さのリング状の凹部に嵌合されている。第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に沿った断面形状は、例えば矩形である。従って、第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に直行する方向の幅(以下、「厚さ」という。)はチャンバ11の中心軸に沿って一定である。第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51の側面とは隙間Gを挟んで対向し、その隙間Gを介した重なり面積(以下、単に「重なり面積」という。)は、シャワーヘッド51の移動に伴って変化する。
【0093】
なお、図6において、第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に沿った長さは、シャワーヘッド51の厚さと同時であるが、これに限定されるものではなく、第1の誘電性部材55の長さは、適宜決定される。
【0094】
図7は、図6におけるシャワーヘッド51と第1の誘電性部材55との重なり状態を示す模式図である。
【0095】
図7において、シャワーヘッド51が、上下方向に沿った移動幅における最下位にある状態、すなわちギャップが最も小さい状態(図7(A))における第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51との重なり面積が最も広く、この面積を1.0とすると、シャワーヘッド51が図7中、次第に上昇し、最下位と最上位の中間点に到達した状態(図7(B))における重なり面積は、0.5となる。また、シャワーヘッド51が最上位に到達した状態(図7(C))における重なり面積は、0となる。
【0096】
図7(D)は、図7(A)〜(C)におけるシャワーヘッド51、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とで構成される静電結合における静電容量の変化を示す図である。図7(D)において、シャワーヘッド51の位置に応じて静電容量が変化している。すなわち、シャワーヘッド51が上方へ移動するに従って静電容量は、次第に増大している。
【0097】
本実施の形態によれば、シャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53にリング状の第1の誘電性部材55が配設され、該第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51の側面との重なり面積が、シャワーヘッド51の移動に伴って変化するようにしたので、シャワーヘッド51、第1の誘電性部材55、及びチャンバ側壁53とで構成される静電結合における静電容量がシャワーヘッド51の移動に伴って変化し、これによって、シャワーヘッド51からチャンバ11の側壁53を経てグランドに流れる第2のグランドパス容量が変化する。そして、第2のグランドパス容量が変化すると、この第2のグランドパス容量と、第1のグランドパス容量との容量分配比が変化し、特に、シャワーヘッド51の周端部を流れる高周波電流の値が変化するため、これによって、処理空間PS内のプラズマ分布が変化する。
【0098】
従って、予め各プラズマ処理条件におけるギャップに対して第1の空間PS内で目的とするプラズマ分布を得るための第1グランドパス容量と第2グランドパス容量の容量分配比、及び当該分配比を得るための、第1の誘電性部材55のチャンバ側壁53上の位置、断面形状、厚さ等を求めておき、適正な第1の誘電性部材55を適正位置に配置しておくことにより、処理目的に応じて異なる各処理条件に対応して処理空間PS内のプラズマ分布の最適化を図ることができる。
【0099】
また、第1の空間PS内のプラズマ分布の最適化を図ることによって、エッチングレートの面内均一化が期待できる。
【0100】
本実施の形態において、第1の誘電性部材55に対向するシャワーヘッド51の側面にリング状の第2の誘電性部材を配設し、第1の誘電性部材55と第2の誘電性部材との重なり面積が、シャワーヘッド51の移動に伴って変化するようにしてもよい。これによって、シャワーヘッド51の移動に伴う静電結合における静電容量の変化幅が細かくなるので、ギャップの変化に応じて処理空間PS内のプラズマ分布をより細かく調整することができる。
【0101】
また、このとき、第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材のチャンバ11の中心軸に沿った断面形状を矩形又は三角形とし、中心軸に直交する方向の厚さを中心軸に沿って一定とするか又は順次変化するようにしてもよい。第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材におけるチャンバ11の中心軸に沿った断面形状を任意に組合せることによって、ギャップの変化に応じた第2のグランドパス容量を種々変化させることができ、これによって、第3の実施の形態における静電結合のバリエーションが増大する。
【0102】
本実施の形態において、第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることが好ましい。これらの材料は、ラジカルだけでなくイオンによるスパッタにも高い耐性を有するので、第1の空間PSで生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。セラミック系の材料としては、例えば、アルミナセラミック、窒化アルミ、窒化珪素、イットリア(Y2O3)、サファイア、ジルコニア等が挙げられ、絶縁性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0103】
なお、上述した第3の実施の形態では、シャワーヘッド51が移動する場合について説明したが、サセプタ12が移動するようにしてもよい。この場合、サセプタ12の側壁が対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設し、サセプタ12、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とを静電結合させ、サセプタ12の移動に伴ってサセプタ12及び第1の誘電性部材55の重なり面積を変化させることによって静電結合における静電容量を変化させ、これによって、処理空間である第1の空間PS内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0104】
図8〜図11は、第3の実施の形態におけるシャワーヘッド51、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【0105】
図8において、第2のグランドパスを形成する静電結合では、図7と同様、チャンバ11の側壁63上に配置され、チャンバ11の中心軸に沿った断面形状が矩形の第1の誘電性部材65がキャパシタにおける誘電体の一部を構成する。
【0106】
シャワーヘッド61が最下位にある状態(図8(A))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65との重なり面積は「0」であり、シャワーヘッド61が最下位から次第に上昇し、最下位と最上位との中間位置に到達した状態(図8(B))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65との重なり面積が後述する正対時(図8(C))の0.5倍になり、シャワーヘッド61が最上位にある状態(図8(C))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65とが正対し、重なり面積が最も広くなる。このとき、静電容量の変化は、図8(D)に示されるように、図8(A)、(B)、(C)の順に減少する。このような静電容量の変化に伴い、シャワーヘッド61,チャンバ11の側壁63を介して接地方向に流れる第2のグランドパスの容量が変化し、これによってシャワーヘッド61の周端部を流れる高周波電流の値を変化させて処理空間PS内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0107】
図9は、第1の誘電性部材75に加え、シャワーヘッド71の側面にリング状の第2の誘電性部材76を配設したものであり、第1の誘電性部材75と第2の誘電性部材76との重なり面積は、図8の場合と同様に変化する。この変形例における第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図9(D)に示されるように、図9(A)、(B)、(C)の順に減少するが、各静電容量値及びその減少勾配は、図8の場合よりも小さくなっている。
【0108】
図10は、図8における第1の誘電性部材に代えて、チャンバ11の中心軸に沿った断面積が図8における第1の誘電性部材の断面積の1/2となり、且つ図10中、下方ほどその厚さが小さくなるような断面形状が直角三角形の第1の誘電性部材85を採用したものである。この変形例における第1の誘電性部材85とシャワーヘッド81の側面との重なり面積は、図8の場合と同様に変化するが、第1の誘電性部材85の厚さが下方ほど小さくなっているので、第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図10(D)に示されるように、図10(A)、(B)、(C)の順に減少し、その減少量は曲線状に変化し、且つ変化量も大きい。
【0109】
また、図11は、図9における第1の誘電性部材及び第2の誘電性部材に代えて、図10における断面直角三角形の第1及び第2の誘電性部材95及び96を適用したものである。この変形例における第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図11(D)に示されるように、図11(A)、(B)、(C)の順に減少し、その減少量は曲線状に変化する。
【0110】
本実施の形態の変形例によれば、移動電極であるシャワーヘッドの移動に伴うギャップの変化に応じて適正な誘電性部材の位置、断面形状、厚さ等を、予め選択して所定位置に配置しておくことによって、各プラズマ処理条件における第1の空間PS内のプラズマの分布の最適化を図ることができ、プラズマ分布を調整するためのパラメータとしてグランドパスの容量分配比を追加することができる。
【符号の説明】
【0111】
W ウエハ
PS 処理空間
US 上部空間
10,40,50 基板処理装置
11 チャンバ
12 サセプタ
13、53,63,73,83,93 側壁
14 蓋
23,41,51,61,71,81,91 シャワーヘッド
25,43 上部電極板
32 第1のキャパシタ層
33 第2のキャパシタ層
42 誘電体リング
44 誘電体部材
55,65,75,85,95 第1の誘電性部材
76,96 第2の誘電性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、処理室内を移動自在な電極を備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)にプラズマ処理を施す基板処理装置は、ウエハを収容し且つ内部を減圧可能なチャンバと、該チャンバ内部の下方に配された載置台(サセプタ)と、チャンバ内部においてサセプタに対向するように配されたシャワーヘッドとを備える。サセプタはウエハを載置するとともに、高周波電源が接続されてチャンバ内部に高周波電力を印加する電極として機能し、シャワーヘッドはチャンバ内部に処理ガスを導入するとともに、接地されて接地電極として機能する。この基板処理装置では、チャンバ内部に供給された処理ガスを高周波電力によって励起してプラズマを生成し、該プラズマによってウエハにプラズマ処理を施す。
【0003】
ところで、チャンバ内部、特に、シャワーヘッド及びサセプタの間の空間においてプラズマを適切に分布させるために、従来、サセプタを可動に構成してシャワーヘッド及びサセプタの間の処理空間の距離(以下、「ギャップ」という。)を調整可能な基板処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。また、近年、基板処理装置の周辺におけるレイアウト上の制約からサセプタではなくシャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置が検討されている。
【0004】
図12は、シャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0005】
図12の基板処理装置100では、円筒状のチャンバ101内部においてサセプタ102に対向するように配置されたシャワーヘッド103は、チャンバ101の内径とほぼ等しい外径を有する略円板状を呈し、不図示のリフト機構によってチャンバ101内部においてピストンのように上下動する。また、シャワーヘッド103及びチャンバ101の天井部の間には該シャワーヘッド103の上下動に併せて伸縮するベローズ104が介在し、該ベローズ104は外気からチャンバ101内をシールする。なお、図12中において、最も下降した場合のシャワーヘッド103を実線で示し、最も上昇した場合のシャワーヘッド103を破線で示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/003437号パンフレットの第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この基板処理装置100では、シャワーヘッド103の円滑な上下動を実現し、且つシャワーヘッド103及びチャンバ101の側壁101bのこすれによるパーティクルの発生を防止するために、シャワーヘッド103は該側壁101bから或る程度の間隔を保つように構成される。すわなち、シャワーヘッド103は側壁101bへ接触しないため、シャワーヘッド103から側壁101bへ直流電流が流れることはなく、交流電流が流れることも殆どない。その結果、基板処理装置100では、サセプタ102に印加された高周波電力に起因する高周波電流が、図12中の矢印Aで示すように、サセプタ102、処理空間、シャワーヘッド103、ベローズ104、チャンバ101の天井壁101a及び該チャンバ101の側壁101bの順で流れる。
【0008】
ここでベローズ104は耐久性を考慮してステンレスで構成されているため、アルミで構成されている他の部位(チャンバ101やシャワーヘッド103等)よりもインピーダンスが大きい。その結果、ベローズ104に沿って、具体的には、シャワーヘッド103及びチャンバ101の天井壁101aの間において電位差が生じ、シャワーヘッド103及び天井壁101aの間に存在する空間(以下、「上部空間」という。)USに電界が生じる。
【0009】
この電界はギャップから該上部空間USに進入した処理ガスを電離してプラズマを生じさせる。上部空間USで生じたプラズマはチャンバ101の壁面やシャワーヘッド103を消耗させ、またデポを生じさせるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間の空間におけるプラズマの発生を抑制することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極及び前記一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の基板処理装置は、請求項1記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材は少なくとも前記移動電極及び前記一方の端壁のいずれかに取り付けられることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の基板処理装置は、請求項1又は2記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材の比誘電率は10以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の基板処理装置は、請求項3記載の基板処理装置において、前記低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンからなることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の基板処理装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記筒状容器の側壁及び前記移動電極の間に他の誘電性部材が配設されることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の基板処理装置は、請求項5記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材の厚さは、前記移動電極から前記側壁への方向に関して5mm以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の基板処理装置は、請求項5又は6記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材はセラミックからなることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の基板処理装置は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材は前記移動電極に取り付けられることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の基板処理装置は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記他の誘電性部材は前記側壁に取り付けられることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の基板処理装置は、請求項10記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材に対向する前記移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、前記第1の誘電性部材と前記第2の誘電性部材との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の基板処理装置は、請求項10又は11記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の基板処理装置は、請求項10又は11記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の基板処理装置は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする。
【0025】
請求項15記載の基板処理装置は、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする。
【0026】
請求項16記載の基板処理装置は、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置において、前記第1の誘電性部材及び前記第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の基板処理装置によれば、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されるので、第1の空間に印加される高周波電力に起因し、且つ移動電極、第2の空間、筒状容器の一方の端壁及び該筒状容器の側壁を流れる高周波電流に関し、電圧降下を低誘電性部材に分担させることによって第2の空間における電圧降下代を小さくすることができ、もって、第2の空間における電位差を低減することができる。その結果、移動電極及び筒状容器の一方の端壁の間の空間(第2の空間)における電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。
【0028】
請求項2記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材は少なくとも移動電極及び一方の端壁のいずれかに取り付けられるので、構成を簡素化することができ、基板処理装置の組み立てを容易に行うことができる。
【0029】
請求項3記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材の比誘電率は10以下であるので、低誘電性部材が分担する電圧降下代を適切に調整することができる。
【0030】
請求項4記載の基板処理装置によれば、低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンからなる。これらの材料はラジカルに対する耐性が高いため、例え、ラジカルが第1の空間から第2の空間へ進入しても低誘電性部材が消耗するのを防止することができる。また、これらの材料は容易に入手できるので、結果として容易に製造することができ、コストを削減することができる。
【0031】
請求項5記載の基板処理装置によれば、筒状容器の側壁及び移動電極の間に他の誘電性部材が配設されるので、筒状容器の側壁及び移動電極を離間させることができ、もって、筒状容器の側壁及び移動電極の間で異常放電が発生するのを防止することができる。また、他の誘電体部材が筒状容器の側壁及び移動電極の間を埋めるので、第1の空間で生じたプラズマが第2の空間へ進入するのを防止することができる。
【0032】
請求項6記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材の厚さは、移動電極から側壁への方向に関して5mm以上であるので、筒状容器の側壁及び移動電極を確実に離間させることができる。
【0033】
請求項7記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材はセラミックからなる。他の誘電体部材は第1の空間に面するが、セラミックはラジカルだけでなくイオンによるスパッタにも高い耐性を有するので、他の誘電体部材が第1の空間で生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。
【0034】
請求項8記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材は移動電極に取り付けられるので、該移動電極が移動しても常に筒状容器の側壁及び移動電極の間に他の誘電性部材を介在させることができ、もって、異常放電が発生するのを確実に防止することができる。
【0035】
請求項9記載の基板処理装置によれば、他の誘電性部材は側壁に取り付けられるので、移動電極の構造を単純化することができる。
【0036】
請求項10記載の基板処理装置によれば、移動電極に対向する筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と移動電極の側面との重なり面積が、移動電極の移動に伴って変化するので、移動電極と第1の誘電性部材と筒状容器の側壁とで構成される静電結合における静電容量がギャップの変動に伴って変化し、これによって、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0037】
請求項11記載の基板処理装置によれば、第1の誘電性部材に対向する移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積が、移動電極の移動に伴って変化するので、静電容量が比較的細かく変化し、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布をより細かく調整することができる。
【0038】
請求項12及び14記載の基板処理装置によれば、第1又は第2の誘電性部材の筒状容器の中心軸に沿った断面における中心軸に直交する方向の幅は中心軸に沿って一定であるので、移動電極と第1の誘電性部材との重なり面積、又は第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積がギャップの変化に応じて変動し、重なり面積の変動に基づいて高周波電流のグランドパスの容量が変動する。これによって、他系統のグランドパスとの容量配分比を調整し、処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0039】
請求項13及び15記載の基板処理装置によれば、第1又は第2の誘電性部材の筒状容器の中心軸に沿った断面における中心軸に直交する方向の幅は中心軸に沿って順次変化するので、移動電極と第1の誘電性部材との重なり面積、又は第1の誘電性部材と第2の誘電性部材との重なり面積がギャップの変化に応じて変動し、重なり面積の変動と、第1の誘電性部材及び/又は第2の誘電性部材の中心軸に直交する方向の幅の変動とに基づいて高周波電流のグランドパスの容量が変動する。これによって、他系統のグランドパスとの容量配分比を調整し、処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0040】
請求項16記載の基板処理装置によれば、第1の誘電性部材及び第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなるので、ラジカルだけでなくイオンスパッタに対する耐性を有する。これによって、第1及び第2の誘電性部材が処理空間内で生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の基板処理装置における上部空間を電気回路的に示す図である。
【図3】図1の基板処理装置の変形例の構成を概略的に示す断面図であり、図3(A)は第1の変形例を示す断面図であり、図3(B)は第2の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】図4の基板処理装置の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】図6におけるシャワーヘッドと第1の誘電性部材との重なり状態を示す模式図である。
【図8】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図9】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図10】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態におけるシャワーヘッドと、誘電性部材と、チャンバ側壁とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【図12】シャワーヘッドが移動自在に構成された基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0044】
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。この基板処理装置はウエハにドライエッチング処理を施すように構成されている。
【0045】
図1において、基板処理装置10は、例えば、直径が300mmのウエハWを収容する円筒状のチャンバ11(筒状容器)を有し、該チャンバ11内の図中下方には半導体デバイス用のウエハWを載置する円板形状のサセプタ12(対向電極)が配置されている。チャンバ11は円管状の側壁13と、該側壁13の図中上方の端部を覆う円板状の蓋14(筒状容器の一方の端壁)とを有する。
【0046】
チャンバ11内はTMP(Turbo Molecular Pump)及びDP(Dry Pump)(ともに図示しない)等によって減圧され、また、チャンバ11内の圧力はAPCバルブ(図示しない)によって制御される。
【0047】
サセプタ12には第1の高周波電源15が第1の整合器16を介して接続され、且つ第2の高周波電源17が第2の整合器18を介して接続されており、第1の高周波電源15は比較的低い周波数、例えば、3.2MHzの高周波電力であるバイアス電力をサセプタ12に印加し、第2の高周波電源17は比較的高い周波数、例えば、100MHzの高周波電力であるプラズマ生成電力をサセプタ12に印加する。そして、サセプタ12はチャンバ11内にプラズマ生成電力を印加する。
【0048】
サセプタ12の上部には、静電電極板19を内部に有する静電チャック20が配置されている。静電チャック20は円板状のセラミック部材で構成され、静電電極板19には直流電源21が接続されている。静電電極板19に正の直流電圧が印加されると、ウエハWにおける静電チャック20側の面(以下、「裏面」という。)には負の電位が生じて静電電極板19及びウエハWの裏面の間に電界が生じ、該電界に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、ウエハWは静電チャック20に吸着保持される。
【0049】
また、サセプタ12には、吸着保持されたウエハWを囲うように、リング状部材であるフォーカスリング22が載置される。フォーカスリング22は、導電体、例えば、ウエハWを構成する材料と同じ単結晶シリコンによって構成される。フォーカスリング22は導電体からなるので、プラズマの分布域をウエハW上だけでなく該フォーカスリング22上まで拡大してウエハWの周縁部上におけるプラズマの密度を該ウエハWの中央部上におけるプラズマの密度と同程度に維持する。これにより、ウエハWの全面に施されるドライエッチング処理の均一性を維持することができる。
【0050】
チャンバ11内の上方には、サセプタ12と対向するようにシャワーヘッド23(移動電極)が配置されている。シャワーヘッド23は、多数のガス穴24を有する円板状の導電性の上部電極板25と、該上部電極板25を着脱可能に釣支するクーリングプレート26と、該クーリングプレート26をさらに釣支するシャフト27と、該シャフト27の上端に配される処理ガス受入部28とを有する。シャワーヘッド23は、蓋14及び側壁13を介して接地され、チャンバ11内に印加されるプラズマ生成電力に対する接地電極として機能する。
【0051】
シャフト27は内部を図中上下方向に貫通するガス流路29を有し、クーリングプレート26は内部にバッファ室30を有する。ガス流路29は処理ガス受入部28とバッファ室30を接続し、各ガス穴24はバッファ室30及びチャンバ11内を連通する。シャワーヘッド23において、ガス穴24、処理ガス受入部28、ガス流路29及びバッファ室30は処理ガス導入系を構成し、該処理ガス導入系は処理ガス受入部28に供給された処理ガスをチャンバ11内、具体的には、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PS(第1の空間)へ導入する。
【0052】
シャワーヘッド23において上部電極板25の外径はチャンバ11の内径よりも若干小さく設定されるため、シャワーヘッド23は側壁13に接触しない。すなわち、シャワーヘッド23はチャンバ11内に遊合するように配置される。また、シャフト27は蓋14を貫通し、該シャフト27の上部は基板処理装置10の上方に配置されたリフト機構(図示しない)に接続される。該リフト機構はシャフト27を図中上下方向に移動させるが、このとき、シャワーヘッド23はチャンバ11内において該チャンバ11の中心軸に沿い、ピストンのように上下動する。これにより、シャワーヘッド23及びサセプタ12の間に存在する処理空間PSの距離であるギャップを調整することができる。なお、シャワーヘッド23の図中上下方向に関する移動量の最大値は70mmである。
【0053】
シャフト27は蓋14と擦れる可能性があり、パーティクルの発生源となりうるため、その側面をベローズ31が覆う。ベローズ31は、例えば、ステンレスからなる伸縮自在な圧力隔壁であり、その一端は蓋14に接続され、その他端はシャワーヘッド23に接続される。また、ベローズ31はチャンバ11内をチャンバ11外部からシールする機能も有する。
【0054】
基板処理装置10では、処理ガス受入部28へ供給された処理ガスが処理ガス導入系を介して処理空間PSへ導入され、該導入された処理ガスは、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力によって励起されてプラズマとなる。該プラズマ中の陽イオンは、サセプタ12に印加されるバイアス電力に起因する負のバイアス電位によってサセプタ12に載置されたウエハWに向けて引きこまれ、該ウエハWにドライエッチング処理を施す。
【0055】
上述した基板処理装置10の各構成部品、例えば、第1の高周波電源15や第2の高周波電源17の動作は、基板処理装置10が備える制御部(図示しない)のCPUがドライエッチング処理に対応するプログラムに応じて制御する。
【0056】
ここで、基板処理装置10では、該シャワーヘッド23が側壁13と接触していないため、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力に起因する高周波電流はシャワーヘッド23を流れた後、上部空間US、蓋14及び側壁13を流れて接地に到達するが、ベローズ31のインピーダンスが大きいため、シャワーヘッド23及び蓋14の間において電位差が生じ、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間US(第2の空間)に電界が生じる可能性がある。
【0057】
本実施の形態では、これに対応して、上部空間USにおける電圧降下代を低減する。具体的には、シャワーヘッド23の上部空間USに対する対向面上に低誘電率材からなる第1のキャパシタ層32を配設し、蓋14の上部空間USに対する対向面上に低誘電率材からなる第2のキャパシタ層33を配設する。このとき、シャワーヘッド23及び蓋14の間は、図2に示すように、電気回路的に3つのキャパシタの直列回路として表すことができる。ここで、第1のキャパシタ層32からなるキャパシタをC1とし、第2のキャパシタ層33からなるキャパシタをC2とし、上部空間USからなるキャパシタをC3とした場合、キャパシタC1やキャパシタC2における電圧降下代を大きくすれば、相対的にキャパシタC3における電圧降下代を小さくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。
【0058】
第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33の構成材料としては、比誘電率が10以下のものであることが好ましい。これにより、第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33が分担する電圧降下代を適切に調整することができる。第1のキャパシタ層32等の構成材料として好適に用いることができるものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等の絶縁性樹脂、エンジニアプラスチック系樹脂、石英(SiO2)、アルミナセラミック(Al2O3)、窒化アルミ(AlN)、窒化珪素(SiN)等が該当し、特に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体又はポリクロロトリフルオロエチレンを用いると、これらの材料はラジカルに対する耐性が高いため、例えば、プラズマが処理空間PSから上部空間USへ進入しても第1のキャパシタ層32や第2のキャパシタ層33が消耗するのを防止することができる。
【0059】
本実施の形態に係る基板処理装置10によれば、シャワーヘッド23及び蓋14の間に存在する上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33が配設されるので、処理空間PSに印加される高周波電力に起因し、且つシャワーヘッド23、上部空間US、蓋14及び側壁13を流れる高周波電流に関し、電圧降下を第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33に分担させることによって上部空間USにおける電圧降下代を小さくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。その結果、上部空間USにおける電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。これにより、チャンバ11の蓋14やシャワーヘッド23の消耗、また、上部空間USにおけるデポ(パーティクル)の発生を防止することができる。
【0060】
また、基板処理装置10では、第1のキャパシタ層32はシャワーヘッド23に取り付けられ、第2のキャパシタ層33は蓋14に取り付けられるので、基板処理装置10の構成を簡素化することができ、もって、基板処理装置10の組み立てを容易に行うことができる。
【0061】
上述した基板処理装置10では、上部空間USにおいて2つのキャパシタ層を配設したが、配設するキャパシタ層の数はこれに限られず、キャパシタ層が1つでも配設されれば、該キャパシタ層に電圧降下を分担させることができるので、上部空間USにおいて少なくとも1つ以上のキャパシタ層が配設されればよい。例えば、上部空間USにおいて第2のキャパシタ層33のみが蓋14に配設されてもよく(図3(A))、第1のキャパシタ層32のみがシャワーヘッド23に配設されてもよい(図3(B))。
【0062】
なお、上述した第1の実施の形態では、シャワーヘッド23が移動し、シャワーヘッド23及び蓋14の間に上部空間USが存在する場合について説明したが、サセプタが移動し、サセプタ及びチャンバの下壁との間に下部空間が存在する場合には、該下部空間に少なくとも1つのキャパシタ層を配設することによって下部空間における電界の発生を抑制し、引いてはプラズマの発生を抑制することができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0064】
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、シャワーヘッド及びチャンバの側壁の間に低誘電性部材が配設される点で上述した第1の実施の形態と異なるのみである。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0065】
第1の実施の形態で説明したように、シャワーヘッドが移動する基板処理装置では、シャワーヘッドが側壁に接触しないが、処理空間から上部空間へのプラズマの進入を防止するために、シャワーヘッド(上部電極板)及び側壁の隙間は最小限に設定され、導電体である上部電極板が接地電位の側壁に接近する。すわなち、電位差の大きい2物体が接近するため、異常放電が発生する虞がある。本実施の形態では、これに対応して、上部電極板及び側壁を離間させる。
【0066】
図4は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0067】
図4において、基板処理装置40はシャワーヘッド41を備え、該シャワーヘッド41は、外周を誘電体リング42(他の誘電体部材)で囲われた円板状の上部電極板43と、該上部電極板43を着脱可能に釣支するクーリングプレート26等とを有する。誘電体リング42は上部電極板43に取り付けられ、誘電体リング42のシャワーヘッド41から側壁13への方向に関する厚さは5mm以上であり、該誘電体リング42は上部電極板43及び側壁13を離間させる。これにより、側壁13及びシャワーヘッド41の間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【0068】
また、誘電体リング42及び側壁13の隙間は、誘電体リング42や側壁13が熱膨張しても互いに干渉せず、且つ誘電体リング42が蓋14及び上部電極板43の隙間をほぼ埋めるように、0.5mm〜3.0mmに設定される。その結果、処理空間PSで生じたプラズマが上部空間USへ進入するのを防止することができる。
【0069】
さらに、上部電極板43、誘電体リング42及び側壁13はキャパシタを構成し、僅かながら容量結合するので、処理空間PSへ印加されたプラズマ生成電力に起因する高周波電流の一部が上部電極板43を流れた後、誘電体リング42及び側壁13を流れて接地に到達する。すなわち、高周波電流を、上部空間USを経由して流れるものと、誘電体リング42を経由して流れるものとに分流することができる。その結果、上部空間USを流れる高周波電流を少なくすることができ、もって、上部空間USにおける電位差を低減することができる。
【0070】
誘電体リング42は処理空間PSで生じたプラズマに晒されるため、誘電体リング42を構成する材料はラジカルだけでなくイオンスパッタに対する耐性を有する必要があり、好ましくは、アルミナセラミック、窒化アルミ、窒化珪素、イットリア(Y2O3)、サファイア、ジルコニア等のセラミック系材料や石英が用いられるが、ポリテトラフルオロエチレン等の絶縁性樹脂やエンジニアプラスチック系樹脂を耐プラズマコーティングで覆った部材を用いてもよい。なお、誘電体リング42の比誘電率としては約2〜30程度であればよい。
【0071】
上述した基板処理装置40では、誘電体リング42を上部電極板43の外周に配設したが、図5に示すように、誘電体リング42の代わりとなる円筒状の誘電体部材44を壁13に取り付けてもよい。この場合も、誘電体部材44が上部電極板25及び側壁13を離間させるので、側壁13及びシャワーヘッド23の間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【0072】
なお、上述した第2の実施の形態では、シャワーヘッド41が移動し、シャワーヘッド41及び側壁13の間に隙間が存在する場合について説明したが、サセプタが移動し、サセプタ及び側壁13の間に隙間が存在する場合には、該隙間を埋めるように誘電体部材を配設することによって側壁13及びサセプタの間で異常放電が発生するのを防止することができる。
【実施例】
【0073】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0074】
実施例
まず、基板処理装置10における第1のキャパシタ層32を厚さ1mmのテフロン(登録商標)シートを2枚重ねて形成し、第2のキャパシタ層33を1枚の厚さ1mmのテフロン(登録商標)シートで形成し、バイアス電力を印加することなく、所定の値のプラズマ生成電力を印加し、処理空間PS(ギャップ)の距離を所定の値に設定した場合の上部空間USにおけるプラズマの発生の有無を確認し、その結果を下記表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
上記表1における「○」はプラズマが発生しなかったことを示す。
【0077】
比較例
また、基板処理装置10の上部空間USにキャパシタ層を配置せず、バイアス電力を印加することなく、所定の値のプラズマ生成電力を印加し、処理空間PS(ギャップ)の距離を所定の値に設定した場合の上部空間USにおけるプラズマの発生の有無を確認し、その結果を下記表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】
上記表2における「×」はプラズマが発生したことを示し、「△」はプラズマが時々発生したことを示し、「○」はプラズマが発生しなかったことを示す。
【0080】
表1及び表2を比較したところ、上部空間USに第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33を配設することによってプラズマの発生が確実に防止できることが分かった。
【0081】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0082】
この基板処理装置は、移動電極と、該移動電極に対向する筒状容器の側壁との間に静電結合を形成し、サセプタに印加される高周波電力に起因する高周波電流のグランドパスを、移動電極、上部空間US、チャンバの蓋及び側壁を流れて接地に到達するライン(以下、「第1のグランドパス」という。)と、移動電極からチャンバ側壁を流れて接地に到達するライン(以下、「第2のグランドパス」という。)とに複合化させ、そのグランドパスの容量配分比が移動電極の移動に応じて変化するようにしたものである。
【0083】
ウエハに対して所定のプラズマ処理を施す基板処理装置においては、1つのチャンバ内で複数のプラズマ処理を一括プロセスとして連続的に行う場合があり、処理プロセス毎にプロセス条件、特に移動電極としてのシャワーヘッドの適正位置が異なり、適正なギャップが設定される。このような一括プロセスにおいては、ギャップが変更される度に処理空間PS内におけるプラズマ分布の適正化を図ることが好ましく、プラズマ分布を適正化するためのパラメータを増加する技術の開発が望まれていた。
【0084】
本実施の形態は、このような要求を満たすためになされたものであり、その目的は、ギャップの変化に応じて処理空間内のプラズマ分布の適正化を図ることができる基板処理装置を提供することにある。
【0085】
上記目的を達成するため、本実施の形態に係る基板処理装置は、基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする。
【0086】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0087】
図6において、この基板処理装置50の基本的な構成は、第1の実施の形態に係る基板処理装置(図1参照)と同様である。従って、重複する構成及び作用については説明を省略し、以下に、異なる構成及び作用を中心にして本実施の形態を説明する。
【0088】
基板処理装置において、チャンバ内の処理空間PSにおけるプラズマ分布は、例えば、ギャップ、チャンバ内圧力、処理ガスの種類、高周波電力の印加値等の影響を受ける。
【0089】
本実施の形態に係る基板処理装置は、処理目的に応じて決定され、当該処理目的を達成するためには変更することができない条件はそのまま維持し、且つそれら基本的な処理条件と相まってより適正な処理条件を構築することができるプラズマ分布を実現するものである。そのために、筒状部材としてのチャンバの側壁に誘電性部材を配設し、チャンバ側壁と、該チャンバ側壁に配置された誘電性部材と、これに対向する移動電極との間に静電結合を構成し、該静電結合における静電容量を移動電極の移動に伴って変化させ、これによって第2のグランドパス容量及び第2のグランドパスと第1のグランドパスとの容量配分比を変化させて処理空間PS内におけるプラズマ分布の最適化を図るようにしたものである。
【0090】
従って、基板処理装置50が、図1の基板処理装置10と異なるところは、上部空間USの対向面上に配設された低誘電率材からなる第1のキャパシタ層32及び第2のキャパシタ層33をそれぞれなくし、移動電極としてのシャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設した点である。
【0091】
すなわち、基板処理装置50は、基板を収容する円筒状のチャンバ11(筒状容器)と、該チャンバ11の中心軸に沿って移動自在なシャワーヘッド51(移動電極)とを有し、シャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設したものである。
【0092】
第1の誘電性部材55はリング状を呈しており、円筒状のチャンバ11の側壁53に設けられた所定深さのリング状の凹部に嵌合されている。第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に沿った断面形状は、例えば矩形である。従って、第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に直行する方向の幅(以下、「厚さ」という。)はチャンバ11の中心軸に沿って一定である。第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51の側面とは隙間Gを挟んで対向し、その隙間Gを介した重なり面積(以下、単に「重なり面積」という。)は、シャワーヘッド51の移動に伴って変化する。
【0093】
なお、図6において、第1の誘電性部材55のチャンバ11の中心軸に沿った長さは、シャワーヘッド51の厚さと同時であるが、これに限定されるものではなく、第1の誘電性部材55の長さは、適宜決定される。
【0094】
図7は、図6におけるシャワーヘッド51と第1の誘電性部材55との重なり状態を示す模式図である。
【0095】
図7において、シャワーヘッド51が、上下方向に沿った移動幅における最下位にある状態、すなわちギャップが最も小さい状態(図7(A))における第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51との重なり面積が最も広く、この面積を1.0とすると、シャワーヘッド51が図7中、次第に上昇し、最下位と最上位の中間点に到達した状態(図7(B))における重なり面積は、0.5となる。また、シャワーヘッド51が最上位に到達した状態(図7(C))における重なり面積は、0となる。
【0096】
図7(D)は、図7(A)〜(C)におけるシャワーヘッド51、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とで構成される静電結合における静電容量の変化を示す図である。図7(D)において、シャワーヘッド51の位置に応じて静電容量が変化している。すなわち、シャワーヘッド51が上方へ移動するに従って静電容量は、次第に増大している。
【0097】
本実施の形態によれば、シャワーヘッド51に対向するチャンバ11の側壁53にリング状の第1の誘電性部材55が配設され、該第1の誘電性部材55とシャワーヘッド51の側面との重なり面積が、シャワーヘッド51の移動に伴って変化するようにしたので、シャワーヘッド51、第1の誘電性部材55、及びチャンバ側壁53とで構成される静電結合における静電容量がシャワーヘッド51の移動に伴って変化し、これによって、シャワーヘッド51からチャンバ11の側壁53を経てグランドに流れる第2のグランドパス容量が変化する。そして、第2のグランドパス容量が変化すると、この第2のグランドパス容量と、第1のグランドパス容量との容量分配比が変化し、特に、シャワーヘッド51の周端部を流れる高周波電流の値が変化するため、これによって、処理空間PS内のプラズマ分布が変化する。
【0098】
従って、予め各プラズマ処理条件におけるギャップに対して第1の空間PS内で目的とするプラズマ分布を得るための第1グランドパス容量と第2グランドパス容量の容量分配比、及び当該分配比を得るための、第1の誘電性部材55のチャンバ側壁53上の位置、断面形状、厚さ等を求めておき、適正な第1の誘電性部材55を適正位置に配置しておくことにより、処理目的に応じて異なる各処理条件に対応して処理空間PS内のプラズマ分布の最適化を図ることができる。
【0099】
また、第1の空間PS内のプラズマ分布の最適化を図ることによって、エッチングレートの面内均一化が期待できる。
【0100】
本実施の形態において、第1の誘電性部材55に対向するシャワーヘッド51の側面にリング状の第2の誘電性部材を配設し、第1の誘電性部材55と第2の誘電性部材との重なり面積が、シャワーヘッド51の移動に伴って変化するようにしてもよい。これによって、シャワーヘッド51の移動に伴う静電結合における静電容量の変化幅が細かくなるので、ギャップの変化に応じて処理空間PS内のプラズマ分布をより細かく調整することができる。
【0101】
また、このとき、第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材のチャンバ11の中心軸に沿った断面形状を矩形又は三角形とし、中心軸に直交する方向の厚さを中心軸に沿って一定とするか又は順次変化するようにしてもよい。第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材におけるチャンバ11の中心軸に沿った断面形状を任意に組合せることによって、ギャップの変化に応じた第2のグランドパス容量を種々変化させることができ、これによって、第3の実施の形態における静電結合のバリエーションが増大する。
【0102】
本実施の形態において、第1の誘電性部材55及び第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることが好ましい。これらの材料は、ラジカルだけでなくイオンによるスパッタにも高い耐性を有するので、第1の空間PSで生じたプラズマによって消耗するのを防止することができる。セラミック系の材料としては、例えば、アルミナセラミック、窒化アルミ、窒化珪素、イットリア(Y2O3)、サファイア、ジルコニア等が挙げられ、絶縁性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0103】
なお、上述した第3の実施の形態では、シャワーヘッド51が移動する場合について説明したが、サセプタ12が移動するようにしてもよい。この場合、サセプタ12の側壁が対向するチャンバ11の側壁53に第1の誘電性部材55を配設し、サセプタ12、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とを静電結合させ、サセプタ12の移動に伴ってサセプタ12及び第1の誘電性部材55の重なり面積を変化させることによって静電結合における静電容量を変化させ、これによって、処理空間である第1の空間PS内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0104】
図8〜図11は、第3の実施の形態におけるシャワーヘッド51、第1の誘電性部材55及びチャンバ11の側壁53とで構成される静電結合の変形例を示す図である。
【0105】
図8において、第2のグランドパスを形成する静電結合では、図7と同様、チャンバ11の側壁63上に配置され、チャンバ11の中心軸に沿った断面形状が矩形の第1の誘電性部材65がキャパシタにおける誘電体の一部を構成する。
【0106】
シャワーヘッド61が最下位にある状態(図8(A))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65との重なり面積は「0」であり、シャワーヘッド61が最下位から次第に上昇し、最下位と最上位との中間位置に到達した状態(図8(B))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65との重なり面積が後述する正対時(図8(C))の0.5倍になり、シャワーヘッド61が最上位にある状態(図8(C))において、シャワーヘッド61と第1の誘電性部材65とが正対し、重なり面積が最も広くなる。このとき、静電容量の変化は、図8(D)に示されるように、図8(A)、(B)、(C)の順に減少する。このような静電容量の変化に伴い、シャワーヘッド61,チャンバ11の側壁63を介して接地方向に流れる第2のグランドパスの容量が変化し、これによってシャワーヘッド61の周端部を流れる高周波電流の値を変化させて処理空間PS内のプラズマ分布の適正化を図ることができる。
【0107】
図9は、第1の誘電性部材75に加え、シャワーヘッド71の側面にリング状の第2の誘電性部材76を配設したものであり、第1の誘電性部材75と第2の誘電性部材76との重なり面積は、図8の場合と同様に変化する。この変形例における第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図9(D)に示されるように、図9(A)、(B)、(C)の順に減少するが、各静電容量値及びその減少勾配は、図8の場合よりも小さくなっている。
【0108】
図10は、図8における第1の誘電性部材に代えて、チャンバ11の中心軸に沿った断面積が図8における第1の誘電性部材の断面積の1/2となり、且つ図10中、下方ほどその厚さが小さくなるような断面形状が直角三角形の第1の誘電性部材85を採用したものである。この変形例における第1の誘電性部材85とシャワーヘッド81の側面との重なり面積は、図8の場合と同様に変化するが、第1の誘電性部材85の厚さが下方ほど小さくなっているので、第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図10(D)に示されるように、図10(A)、(B)、(C)の順に減少し、その減少量は曲線状に変化し、且つ変化量も大きい。
【0109】
また、図11は、図9における第1の誘電性部材及び第2の誘電性部材に代えて、図10における断面直角三角形の第1及び第2の誘電性部材95及び96を適用したものである。この変形例における第2のグランドパスを形成する静電結合における静電容量は、図11(D)に示されるように、図11(A)、(B)、(C)の順に減少し、その減少量は曲線状に変化する。
【0110】
本実施の形態の変形例によれば、移動電極であるシャワーヘッドの移動に伴うギャップの変化に応じて適正な誘電性部材の位置、断面形状、厚さ等を、予め選択して所定位置に配置しておくことによって、各プラズマ処理条件における第1の空間PS内のプラズマの分布の最適化を図ることができ、プラズマ分布を調整するためのパラメータとしてグランドパスの容量分配比を追加することができる。
【符号の説明】
【0111】
W ウエハ
PS 処理空間
US 上部空間
10,40,50 基板処理装置
11 チャンバ
12 サセプタ
13、53,63,73,83,93 側壁
14 蓋
23,41,51,61,71,81,91 シャワーヘッド
25,43 上部電極板
32 第1のキャパシタ層
33 第2のキャパシタ層
42 誘電体リング
44 誘電体部材
55,65,75,85,95 第1の誘電性部材
76,96 第2の誘電性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、
前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、
前記移動電極及び前記一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記低誘電性部材は少なくとも前記移動電極及び前記一方の端壁のいずれかに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記低誘電性部材の比誘電率は10以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記筒状容器の側壁及び前記移動電極の間に他の誘電性部材が配設されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記他の誘電性部材の厚さは、前記移動電極から前記側壁への方向に関して5mm以上であることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記他の誘電性部材はセラミックからなることを特徴とする請求項5又は6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記他の誘電性部材は前記移動電極に取り付けられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記他の誘電性部材は前記側壁に取り付けられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、
前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、
前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
前記第1の誘電性部材に対向する前記移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、前記第1の誘電性部材と前記第2の誘電性部材との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする請求項10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする請求項10又は11記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする請求項10又は11記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記第1の誘電性部材及び前記第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、
前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、
前記移動電極及び前記一方の端壁の間に存在する第2の空間に少なくとも1つの低誘電性部材が配設されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記低誘電性部材は少なくとも前記移動電極及び前記一方の端壁のいずれかに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記低誘電性部材の比誘電率は10以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記低誘電性部材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記筒状容器の側壁及び前記移動電極の間に他の誘電性部材が配設されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記他の誘電性部材の厚さは、前記移動電極から前記側壁への方向に関して5mm以上であることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記他の誘電性部材はセラミックからなることを特徴とする請求項5又は6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記他の誘電性部材は前記移動電極に取り付けられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記他の誘電性部材は前記側壁に取り付けられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を収容する筒状容器と、該筒状容器内において前記筒状容器の中心軸に沿って移動自在な移動電極と、前記筒状容器内において前記移動電極に対向する対向電極と、前記移動電極及び前記筒状容器の一方の端壁を接続する伸縮自在な隔壁とを備え、
前記移動電極及び前記対向電極の間に存在する第1の空間に高周波電力が印加されるとともに処理ガスが導入され、前記移動電極及び前記筒状容器の側壁は非接触である基板処理装置であって、
前記移動電極に対向する前記筒状容器の側壁に第1の誘電性部材が配設され、該第1の誘電性部材と前記移動電極の側面との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
前記第1の誘電性部材に対向する前記移動電極の側面に第2の誘電性部材が配設され、前記第1の誘電性部材と前記第2の誘電性部材との重なり面積が、前記移動電極の移動に伴って変化することを特徴とする請求項10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする請求項10又は11記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする請求項10又は11記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って一定であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第2の誘電性部材の前記筒状容器の中心軸に沿った断面における前記中心軸に直交する方向の幅は前記中心軸に沿って順次変化することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記第1の誘電性部材及び前記第2の誘電性部材は、それぞれ石英、セラミック又は絶縁性樹脂からなることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−258422(P2010−258422A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68354(P2010−68354)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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