説明

基板搬送中継装置

【課題】移動速度を上げなくても搬送時間を短縮することができる基板搬送中継装置を提供する。
【解決手段】基板搬送中継装置25は、移送ロボットと搬送ロボットとの間で基板6を受渡す際にそれを中継する装置である。基板搬送中継装置25は2つの支持体28,29を備え、各々の支持体28,29が2つの支持部38,39,43,44を有している。これら支持部38,39,43,44は、上昇することで前記搬送ロボットのハンドと基板を受渡しできるように構成されている。また、基板搬送中継装置25は、2つの支持体28,29を夫々昇降させる第1昇降機構32及び第2昇降機構34を備えている。第2昇降機構34は、第1昇降機構32が第1支持体28を上方に移動させる場合には第2支持手段29を下方に移動させ、第1昇降機構32が第1支持体28を下方に移動させる場合には第2支持体29を上方に移動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのロボット間で受渡しされる基板を中継する基板搬送中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理するための基板処理システムが知られている。基板処理システムには、移送ロボットと、搬送ロボットと、基板搬送中継装置とを備えている。移送ロボットは、フープと基板搬送中継装置との間で基板を移送させるように構成されており、搬送ロボットは、半導体処理を行なうチャンバと基板搬送中継装置との間で基板を搬送するように構成されている。そして、基板搬送中継装置は、移送及び搬送されてくる基板を載置可能に構成され、移送ロボットと搬送ロボットとの間での基板の受渡しができるようになっている。
【0003】
このような基板処理システムの搬送ロボットの一例として、例えば特許文献1に記載されるような基板処理装置がある。この基板処理装置は、ロードロックチャンバ部を備えている。ロードロックチャンバ部は、基板搬送中継装置に相当するバッファユニットを有しており、このバッファユニットのボードによりフープから搬送された基板が載置されるようになっている。また、ボードは上下方向に昇降可能になっており、ボードを上昇させることでトランスファーチャンバ部に備わるトランスファーモジュールがボードに載置された基板を受取れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−206139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板処理システムでは、基板製造工程にかかる製造時間を短縮することが求められている。しかし、基板を処理する処理時間を短くすることは難しく、基板の搬送時間を短くすることで製造時間を短縮することが求められている。特許文献1に記載の基板処理装置において搬送時間を短縮する方法としては、移送ロボット及び搬送ロボットの移動速度を上げることによって時間短縮を短縮することが考えられる。しかし、位置精度や制御精度の観点から移動速度にも上限値があり、移動速度を上げることによって短縮できる搬送時間にも限りがある。
【0006】
そこで本発明は、移動速度を上げなくても搬送時間を短縮することができる基板搬送中継装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板搬送中継装置は、基板を保持するためのハンドを備える2つのロボット間で前記基板を受渡す際に前記基板を中継する基板搬送中継装置であって、前記基板を支持するための第1支持部を有し、上昇することで前記ハンドに支持されている基板を前記第1支持部により受け取って支持し、下降することで前記第1支持部により支持している基板を前記ハンドに引渡す第1の支持体と、前記第1支持部の上方において前記基板を支持するための第2支持部を有し、上昇することで前記ハンドに支持されている基板を前記第2支持部により受け取って支持し、下降することで前記第2支持部により支持している基板を前記ハンドに引渡す第2の支持体と、前記第1支持体を昇降させるよう構成された第1昇降機構と、前記第2支持体を昇降させるよう構成された第2昇降機構と、を備え、前記第2昇降機構は、前記第1昇降機構が前記第1支持体を上方に移動させる場合には前記第2支持体を下方に移動させ、前記第1昇降機構が前記第1支持体を下方に移動させる場合には前記第2支持体を上方に移動させるように構成されているものである。
【0008】
本発明に従えば、第1支持体を下降させることで、第1支持部により支持された基板をハンドに引渡し、かつ第2支持体を上昇させることで、ハンドに保持された基板を第2支持部により受取って支持することができる。逆に、第1支持体を上昇させることで、ハンドに保持された基板を第1支持部により受取って支持し、かつ第2支持体を下降させることで、第2支持部により支持された基板をハンドに引渡すことができる。従って、基板搬送中継装置からハンドへの基板の引渡しと、ハンドから基板搬送中継装置への基板の受取りを同時に行うことができる。これにより、ハンドと基板搬送中継装置との間の受渡し時間を短縮し、搬送時間を短くすることができる。
【0009】
上記発明において、少なくとも一方の前記ロボットは、少なくとも第1ハンド及び第2ハンドの2つのハンドを有しており、前記第1ハンド及び第2ハンドは、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を夫々保持するためのN(Nは2以上の整数)個の保持部を夫々有しており、前記第1支持体は、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を上下方向に並ぶように夫々支持するためのN個の第1支持部を有し、前記第2支持体は、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を上下方向に並ぶように夫々支持可能なN個の第2支持部を有し、N個の前記第1支持部は、前記第1ハンドのN個の保持部と対応させて設けられており、前記第1支持体が昇降することで前記対応する保持部との間で前記基板を受渡するよう構成されており、N個の前記第2支持部は、前記第2ハンドのN個の保持部と対応させて設けられており、前記第2支持体が昇降することで前記対応する保持部との間で前記基板を受渡するよう構成されていることが好ましい。
【0010】
上記構成に従えば、複数の基板を同時に中継装置からハンドに引渡し、且つ複数の基板を同時にハンドから中継装置に受取ることができる。それ故、1つの作業でより多くの基板を受渡しすることができる。これにより、搬送時間を短縮することができる。
【0011】
上記発明において、前記第1支持部及び第2支持部は、水平な所定方向において空間を挟んで配置され、前記基板の外縁部を支持するようにそれぞれ前記第1支持体及び第2支持体に形成された一対の爪状の部分であることが好ましい。
【0012】
上記構成に従えば、一対の爪状の部分の間に空間が存在するので、一対の爪状の部分に基板を支持した状態で、その下方にハンドの保持部を位置させて第1支持体を下降させることで、一対の爪状の部分からハンドに基板を引渡すことができ、逆に一対の爪状の部分及び上方にハンドの保持部を位置させて第1支持体を上昇させることで、ハンドから一対の爪状の部分に基板を受取ることができる。第2支持体についても同様であり、ロボットと基板搬送中継装置との間の基板の受渡しが容易である。
【0013】
上記発明において、前記第1昇降機構は、前記第1支持体を昇降させる昇降シリンダ機構であり、前記第2昇降機構は、前記第1支持体の昇降に合わせてその昇降と逆方向に第2支持体を昇降させるラックアンドピニオン機構であることが好ましい。
【0014】
上記構成に従えば、簡単な構成により実現することができ、部品点数を抑えることができる。これにより、基板搬送中継装置の製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動速度を上げなくても搬送時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る搬送ロボットを備える基板処理システムを示す平面図である。
【図2】図1に示す基板処理システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す基板処理システムが備える基板搬送中継装置を示す正面図である。
【図4】図4に示す基板搬送中継装置を右側方から側面図である。
【図5】図4に示す基板搬送中継装置の第1及び第2支持体を夫々上昇及び下降させた状態を示す正面図である。
【図6】図1に示す搬送ロボットが備える第1及び第2ハンドを拡大して示す拡大斜視図である。
【図7】搬送ロボットによる搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】基板搬送中継装置に基板を受渡しする際の第1及び第2ハンド及び基板搬送中継装置の支持体の動きを示す概略図である。
【図9】搬送処理を実行する際の搬送ロボットの動きを拡大して示す拡大平面図である。
【図10】第2実施形態の基板処理システムにおいて、基板搬送中継装置に基板を受渡する際の第1及び第2ハンド及び基板搬送中継装置の支持体の動きを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、前述する図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る搬送ロボット50を備える基板処理システム1について説明する。なお、実施形態における上下、左右、及び前後等の方向の概念は、説明の便宜上使用するものであって、搬送ロボット50及び基板処理システム1に関して、それらの構成の配置及び向き等をその方向に限定することを示唆するものではない。また、以下に説明する搬送ロボット50及び基板処理システム1は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0018】
<基板処理システム>
基板処理システム1は、半導体ウエハやガラス基板等の基板に対して、熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理、及び平坦化処理等の様々なプロセス処理を施すための装置である。基板処理システム1は、図1に示すようにフロントエンドモジュール(略称:EFEM)2と、プロセスモジュール3と、制御装置4とを備えている。
【0019】
[EFEM]
フロントエンドモジュール2は、基板6をプロセスモジュール3に移送するための装置であり、ハウジング7及び移送ロボット8を備えている。ハウジング7は、平面視で大略矩形状になっており、ハウジング7の一方の側面部(図1の左側面部)には、複数のフープ9(本実施形態では、4つのフープ9)が装着されている。フープ9は、複数の基板6を上方に積み上げて収容できるように構成されており、その中の基板6は、ミニエンバイロメントにより清浄度が保たれている。また、フープ9には、連結口9aが形成され、この連結口9aに対応するようにハウジング7にも連結口7aが形成されている。これにより、各フープ9内とハウジング7内とが連結口9a,7aを介して繋がっている。また、各連結口7a,9aには、ドアが設けられており、このドアによって連結口7a,9aを開閉することができるようになっている。このように構成されるハウジング7内には、移送ロボット8が収容されている。
【0020】
移送ロボット8は、基板6をプロセスモジュール3に移送するためのロボットであり、例えば水平3軸ロボットによって構成されている。移送ロボット8は、基台11と、3つのアーム12,13,14と、ハンド15とを備えている。基台11は、ハウジング7に固定されており、基台11には、上下方向に昇降又は伸縮可能な軸部材(図示せず)が設けられている。また、軸部材の上端部には、第1アーム12が設けられている。
【0021】
また、第1アーム12は、その基端部が軸部材に取付けられ、軸部材に対して回動可能に構成されている。また、第1アーム12の先端部には、第2アーム13の基端部が回動可能に取付けられ、第2アーム13の先端部には、第3アーム14が回動可能に取付けられている。更に、第3アーム14の先端部には、ハンド15が固定されている。ハンド15は、第3アーム14に固定されている基端部から先端部に向かって幅広に形成され、またハンド15の中間部分から先端部にかけて二股状に分かれている。更にハンド15の上面には、その上に基板6を載せて挟持するための挟持機構(図示せず)が取付けられ、ハンド15の上に基板6を載せて保持できるようになっている。
【0022】
また、移送ロボット8は、図2に示すように昇降ユニット16、及び第1乃至第3回動ユニット17〜19を備えている。昇降ユニット16は、基台11に設けられている。昇降ユニット16は、軸部材を上下方向に昇降又は伸縮させる機能を有しており、例えばシリンダ機構とポンプとによって構成されている。他方、第1乃至第3回動ユニット17〜19は、基台11、第1アーム12及び第2アーム13の中に夫々設けられている。第1乃至第3回動ユニット17〜19は、第1アーム12、第2アーム13、及び第3アーム14を夫々回動するように構成されており、例えば、電動機とギヤ機構やベルト機構等の伝達機構とによって構成されている。これら4つのユニット16〜19は、制御装置4に接続され、その動作が制御装置4によって制御されている。
【0023】
このような構成を有する移送ロボット8は、昇降ユニット16により軸部材を上下に動かすことでハンド15を昇降させ、また第1乃至第3回動ユニット17〜19により3つのアーム12,13,14を回動させることでハンド15を任意の位置に移動させることができる。これらの動きを組み合わせることで、移送ロボット8は、フープ9内にある基板6をハンド15上に保持し、そして基板6をプロセスモジュール3へと移送することができる。このように基板6が移送されてくるプロセスモジュール3は、フロントエンドモジュール2の他方側の側面部(図1の右側面部)に設けられている。
【0024】
[プロセスモジュール]
プロセスモジュール3は、ロードロックチャンバ21と、ロボットチャンバ22と、プロセスチャンバ23とを備えている。ロードロックチャンバ21は、ロードロック室24を形成する真空チャンバであり、フロントエンドモジュール2内に設けられている。フロントエンドモジュール2とロードロックチャンバ21との間には、第1ゲート71が設けられており、この第1ゲート71を介してフロントエンドモジュール2内とロードロック室24とが繋がるようになっている。ロードロック室24は、移送ロボット8のハンド15が第1ゲート71を通ってその中程まで進行できるようになっており、その中程には、基板搬送中継装置25が設けられている。基板搬送中継装置25は、基板6を中継するための装置であり、複数の基板6を載せて支持できるように構成されている。以下では、基板搬送中継装置25の具体的な構成について説明する。
【0025】
基板搬送中継装置25は、図3及び図4に示すように、台枠26と、昇降駆動ユニット27と、2つの支持体28,29とを備えている。台枠26は、大略直方体状に形成されており、そこには昇降駆動ユニット27の構成の少なくとも一部が設けられている。昇降駆動ユニット27は、昇降用シリンダ機構30と、昇降板31と、第1昇降機構32と、連動機構33と、第2昇降機構34と、圧力供給源45とを有している。
【0026】
昇降用シリンダ機構30は、シリンダ30aとロッド30bとを有している。シリンダ30aは、台枠26に固定されており、ロッド30bは、シリンダ30aに進退可能に設けられている。また、シリンダ30aは、台枠26外に設けられたポンプ等の圧力供給源45に接続されており、圧力供給源45からの圧力供給を受けることによりロッド30bが上下方向に伸縮するようになっている。このロッド30bの先端部には、昇降板31が固定されている。
【0027】
昇降板31は、台枠26の長手方向(図3の左右方向)に延在する平板であり、ロッド30bに連動して昇降するようになっている。昇降板31には、昇降案内機構35が取付けられている。昇降案内機構35は、台枠26に固定されているスライド機構であり、昇降する昇降板31を上下方向に案内する機能を有している。また、昇降板31の長手方向両端部には、第1昇降機構32が夫々設けられている。即ち、昇降板31には、一対の第1昇降機構32が設けられている。なお、一対の第1昇降機構32は、互いが回転対称となる位置に夫々設けられており、以下では、図4の右側に配置されている第1昇降機構32の構成についてだけ説明し、左側に配置されている第1昇降機構32の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
第1昇降機構32は、第1昇降可動部36と、第1スライド機構37とを有している。第1昇降可動部36は、右側面視でL字状に形成された板状部材であり、昇降板31に立設されている。立設する第1昇降可動部36は、昇降板31から上方に延在する第1延在部36aとその上側部分から前方へと屈曲している第1屈曲部36bとを有しており、この第1屈曲部36bには、第1スライド機構37が設けられている。
【0029】
第1スライド機構37は、ガイドレール37aとスライド部37bとを有している。ガイドレール37aは、上下方向に延在するように台枠26の上部に立設されており、ガイドレール37aには、スライド部37bが設けられている。スライド部37bは、大略直方体状になっており、ガイドレール37aに沿って上下方向移動するようになっている。第1昇降可動部36は、このスライド部37bに固定されており、第1スライド機構37によって上下方向に案内されている。また、第1昇降可動部36の第1延在部36aには、図3に示す第1支持体28が設けられている。
【0030】
第1支持体28は、2つの第1支持部38,39を有している。2つの第1支持部38,39は、平面視で大略円弧状に形成されており、その両端部には、爪部38a,39aが夫々設けられている。爪状の部材である爪部38a、39aは、両端部に設けられて対を成しており、第1支持部38,39は、この一対の爪部38aによって基板6の外縁部を支持できるように構成されている。これら2つの第1支持部39は、平面視で互いに重なるように、且つ上下方向に間隔をあけて配置されており、その間隔は、ハンド15及び後述するブレード55,56を挿入することができる程度になっている。
【0031】
第1支持体28は、左右両側の第1昇降可動部36に設けられて対を成しており、この一対の第1支持体28は、互いに対向し、左右に離れるように位置している。これにより、2つの第1支持部38、39がその間に空間を挟んで配置されて対を成し、一対の第1支持部38,39によって基板6の外縁部の回転対称な位置を夫々支持し、第1支持体28により2枚の基板6を同時に支持することができる。
【0032】
このように構成される一対の第1支持体28は、左右両側の第1昇降可動部36に固定されており、一対の第1昇降可動部36は、昇降板31と一緒に動くようになっている。それ故、一対の第1支持体28は、昇降用シリンダ機構30を動かすことで互いに連動して昇降し、基板6を平行な状態に保ったまま昇降することができるように構成されている。このように構成される第1昇降機構32の昇降動作に連動して第2昇降機構34を動かすために、第1昇降可動部36には連動機構33が設けられている。
【0033】
連動機構33は、いわゆるラックアンドピニオン機構によって構成されており、図4に示すように2つのラック部材33a,33bとピニオン部材33cとを有している。第1ラック部材33aは、第1昇降可動部36の背面側に設けられており、ピニオン部材33cに噛合している。ピニオン部材33cは、台枠26に設けられている取付け台40に回動可能に取付けられており、第1ラック部材33aが昇降することでピニオン部材33cが回動するようになっている。また、ピニオン部材33cには、第2ラック部材33bが噛合している。第2ラック部材33bは、ピニオン部材33cを挟んで第1ラック部材33aと反対側(即ち、後側)に位置しており、ピニオン部材33cが回動すると第1ラック部材33aと反対方向に移動するように構成されている。即ち、第2ラック部材33bは、第1ラック部材33aが下降すると上昇し、第1ラック部材33aが上昇すると下降するように構成されている。このように構成される第2ラック部材33bは、第2昇降機構34に一体的に設けられている。
【0034】
第2昇降機構34は、第2昇降可動部41と、第2スライド機構42とを有している。第2昇降可動部41は、右側面視でL字状に形成された板状部材であり、上下方向に延在する第2延在部41aと、その上側部分から前方へと屈曲している第2屈曲部41bとを有している。第2延在部41aは、第1昇降可動部36の延在部36aに並設されており、この延在部36aの方に向いている前面部の下端側に第2ラック部材33bが一体的に設けられている。第2屈曲部41bには、延在部36aに繋がる根元の部分に第2スライド機構42が設けられている。
【0035】
第2スライド機構42は、第1スライド機構37と同様に、ガイドレール42aとスライド部42bとを有している。ガイドレール42aは、上下方向に延在するように台枠26の上部に立設されており、このガイドレール42aには、それに沿って移動可能にスライド部42bが設けられている。このスライド部42bは、第2屈曲部41bの根元の部分に固定されている。また、第2屈曲部41bの先端部は、第1スライド機構37のガイドレール37aまで延在しており、スライド部37cが固定されている。このスライド部37cは、第1スライド機構37のガイドレール37aに沿って昇降可能に設けられている。このように第2昇降可動部41は、第1及び第2スライド機構37,42によって昇降可能に案内されており、その第2屈曲部41bの中間部分には、第2支持体29が設けられている。
【0036】
第2支持体29は、2つの第2支持部43,44を有している。第2支持部43,44は、平面視で大略円弧状に形成されており、その両端部には、爪部43a,44aが夫々設けられている。爪状の部材である爪部43a,44aは、両端部に設けられて対を成しており、第2支持部43,44は、この一対の爪部43a,44aによって基板6の外縁部を支持できるように構成されている。これら第2支持部43,44は、平面視で互いに重なるように、且つ上下方向に間隔をあけて位置しており、その間隔は、ハンド15及び後述するブレード55,56を挿入することができる程度になっている。
【0037】
第2支持体29は、左右両側の第2昇降可動部41に設けられて対を成しており、この一対の第2支持体29は、互いに対向し、左右に離れるように位置している。これにより、2つの支持部43、44がその間に空間を挟んで配置されて対を成し、一対の第2支持部43,44によって基板6の外縁部の回転対称な位置を夫々支持し、第2支持体29により2枚の基板6を同時に支持することができる。
【0038】
このように構成される一対の第2支持体29は、左右両側の第2昇降可動部41に固定されており、第2昇降可動部41は、第1昇降可動部36に連動して動くようになっている。それ故、一対の第2支持体29は、一対の第1昇降可動部36が連動するのと同様に、互いが連動して昇降し、基板6を平行な状態に保ったまま昇降することができるようになっている。また、第2昇降可動部41は、第1昇降可動部36が動く方向と反対方向に動くようになっているので、一対の第2支持体29もまた、一対の第1支持体28が動く方向と反対方向に動かすことができる。例えば、図5に示すように一対の第1支持体28を下方に移動させると、一対の第2支持体29を上方に移動させることができる。従って、一対の第1支持体28と一対の第2支持体29とは、その上下方向の間隔を上下方向に最も近接する基準間隔とそれよりも上下方向に離された離隔間隔との間で変更することができるように構成されている。
【0039】
このように構成される基板搬送中継装置25は、圧力供給源45を駆動して昇降用シリンダ機構30に空圧を供給することによって、第1及び第2支持体28,29を反対方向に夫々上昇及び下降させるようになっている。この圧力供給源45を含む昇降駆動ユニット27は、制御装置4に接続され、その動作(具体的には、圧力供給源45の供給動作)が制御装置4によって制御されている。
【0040】
更に、基板搬送中継装置25は、図2,3及び5に示すように4つのレーザセンサ46〜49を有している。4つのレーザセンサ46〜49は、第1及び第2支持部38,39,43,44に対応させて夫々設けられている。第1〜第4レーザセンサ46〜49の各々は、対応する支持部38,39,43,44の中間部分に設けられている。レーザセンサ46〜49は、いわゆる透過型又は反射型のレーザセンサであり、各支持部38,39に基板6が載置されているか否かを検知する機能を有している。レーザセンサ46〜49は、制御装置4に接続され、検知結果を制御装置4に送信するようになっている。
【0041】
このように構成される基板搬送中継装置25は、図1に示すように第1ゲート71から入ってロードロックチャンバ21の中程に位置している。この中程から更に先に進むと、開閉可能な第2ゲート72が設けられており、この第2ゲート72の先にロボットチャンバ22が設けられている。ロボットチャンバ22は、真空引きされた真空チャンバであり、その中に搬送ロボット50が収容されている。
【0042】
搬送ロボット50は、基台51と、2つのハンド52,53とを備えている。基台51は、ロボットチャンバ22に回動可能に取付けられており、そこには、2つのハンド52,53が設けられている。第1及び第2ハンド52,53は、同じ構成を有している。以下では、第1ハンド52の構成についてだけし、第2ハンド53の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
第1ハンド52は、ハンド本体54と、2つのブレード55,56とを有している。ハンド本体54は、平面視で大略平板形状になっており、基台51に対して進退可能に構成されている。ハンド本体54は、進退することで基台51から少なくとも一部が突出する受渡し位置と平面視で基台51と重なるように引っ込められた回動位置との間を移動することができるように構成されている。更に詳細に説明すると、ハンド本体54は、例えば、その基端部が図示しないスライダ機構を介して基台51に取り付けられており、このスライダ機構によって進退するように構成されている。また、ハンド本体54の先端部には、2つのブレード55,56が一体的に取付けられている。
【0044】
2つのブレード55,56は、図6に示すようにハンド本体54の進行方向と同じ方向に延在しており、その中間部分から先端部にかけて二股状に分かれて平面視で大略U字状を有している。なお、図6は、説明の便宜上、第1及び第2ハンド52,53のハンド本体54から先の部分だけを示している。2つのブレード55,56は、上下方向に間隔を空け、且つ互いに平面視で重なるようにしてハンド本体54に取付けられている。また、2つのブレード55,56は、それらの間に少なくとも基板6が挿入できる程度に上下方向に間隔をあけて位置している。なお、ブレード55,56の間隔は、2つの第1支持部38,39の間隔、及び2つの第2支持部43,44と等しいことが好ましい。また、2つのブレード55,56は、その上に基板6を夫々載置しできるように構成されており、それらの上面には、載置した基板6を挟持して保持する図示しない保持機構が取付けられている。このようにして構成されている第1ハンド52は、2つのブレード55,56上に基板6を同時に載置することができ、同時に2枚の基板6を保持することができる。
【0045】
他方、第2ハンド53は、第1ハンド52と平面視で重なるようにしてその下方に位置しており、第1ハンド52との間に第2ハンド53の上側のブレード55に基板6が挿入できる程度の間隔を少なくとも有するようにして基台51に取付けられている。このようにして取付けられた第2ハンド53は、第1ハンド52と同じ方向に且つ互いに独立して進退するように構成されている。また、搬送ロボット50には、図2に示すように、回動ユニット57、第1進退ユニット58、第2進退ユニット59及び昇降ユニット60を備えており、これらのユニット57〜60によって第1及び第2ハンド52,53を回動、進退及び昇降させるように構成されている。以下では、各ユニットの動作について説明する。
【0046】
回動ユニット57は、ロボットチャンバ22に設けられている。回動ユニット57は、いわゆる電動機であり、基台51を回動駆動する機能を有している。また、第1及び第2進退ユニット58,59は、基台51に設けられている。第1進退ユニット58は、第1ハンド52を進退させる機能を有しており、第2進退ユニット59は、第2ハンド53を進退させる機能を有している。第1及び第2進退ユニット58,59は、例えば電動機と、ベルト等の動力伝達機構と、前述するスライド機構とによって構成されている。また、昇降ユニット60は、基台51に設けられている。昇降ユニット60は、例えばシリンダ機構及び圧力供給源によって構成され、第1及び第2ハンド52,53を昇降させる機能を有している。これら4つのユニット57〜60は、制御装置4に接続され、その動作が制御装置4によって制御されている。
【0047】
このように構成される搬送ロボット50は、回動ユニット57により基台51を回動させることで第1及び第2ハンド52,53の進退可能な方向(即ち、向き)を変更し、第1及び第2進退ユニット58,59により第1及び第2ハンド52,53を進退させることができる。これらの動きを組み合わせることで、第1及び第2ハンド52,53を基板搬送中継装置25がある待機位置まで移動させて基板搬送中継装置25で支持されている基板6を受取り、受取った基板6をロボットチャンバ22の周りに設けられている複数のプロセスチャンバ23内に搬送することができる。
【0048】
プロセスチャンバ23は、真空引きされたチャンバであり、その中に基板6を載置して前述する様々なプロセス処理を施すための装置を備えている。プロセスチャンバ23は、ロボットチャンバ22に外周部に設けられており、基台51の回動中心L1に対して放射状に位置している。本実施形態では、プロセスモジュール3は、4つのプロセスチャンバ23を有しており、基板搬送中継装置25に対して基台51の回動方向一方及び他方側に夫々2つずつ設けられている。
【0049】
本実施形態において、第1及び第2ハンド52,53のブレード55,56は、この回動方向一方及び他方側に夫々設けられているプロセスチャンバ23の数及び基板搬送中継装置25の各支持体28,29が有する支持部38,39、43,44の数に対応させて設けられている。即ち、回動方向一方及び他方側に夫々設けられているプロセスチャンバ23の数が2つであり、また各支持体28,29が有する支持部の数が3つであるため、ブレード55,56の数も2つとなっている。なお、4つのプロセスチャンバ23は、基板搬送中継装置25に対して回動方向一方側にある2つのプロセスチャンバ23が第1及び第2プロセスチャンバ23A、23Bであり、その2つのうち基板搬送中継装置25に近い方が第1プロセスチャンバ23Aである。他方、基板搬送中継装置25に対して回動方向他方側にある2つのプロセスチャンバ23が第3及び第4プロセスチャンバ23C、23Dであり、その2つのうち基板搬送中継装置25に近い方が第3プロセスチャンバ23Cである。
【0050】
また、プロセスチャンバ23は、第3ゲート73を介してロボットチャンバ22に設けられており、第3ゲート73を開くことでプロセスチャンバ23内とロボットチャンバ22内とが繋がり、閉じることでプロセスチャンバ23内とロボットチャンバ22内とが遮断されるようになっている。この第3ゲート73は、基台51の回動中心L1を向いており、第1及び第2ハンド52,53の上に基板6を載せたままそれらを通すことができるように構成されている。それ故、基台51を回動させて第1及び第2ハンド52,53の進行方向を第3ゲート73の開口面に合わせ、第1及び第2ハンド52,53を前進させることで、その上にある基板6を搬送位置にあるプロセスチャンバ23内の載置台(図示せず)に搬送し、プロセスチャンバ23内の載置台上の基板をその上に載せることができる。また載せた後、ハンド本体54を後退させることでプロセスチャンバ23外へと基板6を搬出することができる。
【0051】
[制御装置]
このように構成される基板処理システム1は、制御装置4を備えており、この制御装置4によって各ロボット8,50及び装置25の動きが制御されている。制御装置4は、記憶部62と、制御部63と、移送ロボット駆動部64と、中継装置駆動部65と、搬送ロボット駆動部66とを有している。記憶部62は、プログラムや様々な情報を記憶する機能を有しており、制御部63と接続されている。制御部63は、第1乃至第4レーザセンサ46〜49に接続されており、何れの支持部38,39,43,44にて基板6が支持されているかを判定し、その結果を記憶部62に記憶させる機能も有している。また、制御部63は、移送ロボット駆動部64と、中継装置駆動部65と、搬送ロボット駆動部66と、ゲート駆動部67とに接続されており、記憶部62に記憶されるプログラムに基づいて前記駆動部64〜67の動作を制御する機能を有している。
【0052】
移送ロボット駆動部64は、移送ロボット8の昇降ユニット16に接続されており、昇降ユニット16を駆動してハンド15を昇降する機能を有している。また、移送ロボット駆動部64は、移送ロボット8の第1乃至第3回動ユニット17〜19にも接続されており、第1乃至第3回動ユニット17〜19を駆動して移送ロボット8のアーム12〜14を回動させる機能を有している。
【0053】
中継装置駆動部65は、基板搬送中継装置25の昇降駆動ユニット27に接続されており、昇降駆動ユニット27を駆動して支持部38,39,43,44を昇降する機能を有している。また、搬送ロボット駆動部66は、搬送ロボット50の回動ユニット57と、第1進退ユニット58と、第2進退ユニット59と、昇降ユニット60とに接続されている。搬送ロボット駆動部66は、回動ユニット57により第1及び第2ハンド52,53の向きを変え、第1及び第2進退ユニット58,59により第1及び第2ハンド52,53を夫々独立して進退させ、更に昇降ユニット60によりハンド本体54を昇降させる機能を有している。
【0054】
更に、制御部63には、ゲート駆動部67が接続されており、このゲート駆動部67は、第1乃至第3ゲート71〜73を開閉する開閉ユニット(図示せず)を駆動して前記第1乃至第3ゲート71〜73を開閉する機能を有している。基板処理システム1では、このような機能を有する制御装置4が記憶部62に記憶されるプログラムに基づいて移送ロボット8、基板搬送中継装置25、及び搬送ロボット50の動作を制御して、以下のような移送処理及び搬送処理を実行する。以下では、まず移送処理について図1乃至6を参照しながら説明する。
【0055】
[移送処理]
ハウジング7にフープ9を取り付けて基板処理システム1を稼動させると、プロセスチャンバ23等の真空引きが終了した後、移送処理が実行される。移送処理では、まず、制御装置4が第1乃至第3回動ユニット17〜19の動作を制御して第1乃至第3アーム12〜14を回動させてハンド15をフープ9前まで移動させる。次に、制御装置4は、前記フープ9内の指定された基板6の真下に配置すべく、昇降ユニット16の動作を制御してハンド15の高さを調整する。その後、制御装置4は、第1乃至第3アーム12〜14を回動させてハンド15をフープ9内へと挿入し、更に昇降ユニット16によりハンド15を上昇させてハンド15の上に基板6を載せて保持する。保持した後、制御装置4は、第1乃至第3アーム12〜14を回動させてハンド15をフープ9内から抜き出し、第1ゲート71を開けて昇降ユニット16によりハンド15を下降させながら基板搬送中継装置25まで移動させる。
【0056】
ハンド15を基板搬送中継装置25まで移動させる際、制御装置4は、そのハンド15が平面視で一対の第2支持部44,44の間に位置し、且つハンド15上の基板6の外周縁部の少なくとも一部分が一対の第2支持部44,44の両端部に重なるように第1乃至第3アーム12〜14の動きを制御する。更に、ハンド15の高さは、一対の第2支持部44,44よりも若干高い位置になるように配置されている。このようにハンド15が配置されると、制御装置4は、昇降ユニット16を動かしてハンド15を下降させる。これにより、ハンド15上の基板6が一対の第2支持部44,44の上に載せられ、一対の第2支持体29に基板6が引渡される。
【0057】
その後、制御装置4は、第1乃至第3アーム12〜14を回動させてハンド15を基板搬送中継装置25から抜き出す。この際、制御装置4が第1及び第2レーザセンサ46,47により第1支持体28に基板6が載せられていることを検出していると、制御装置4は、第1乃至第3アーム12〜14を回動させてハンド15をその基板6の直下に配置する。配置した後、制御装置4は、昇降ユニット16を動かしてハンド15を上昇させて基板6をハンド15上に載せて受取り、再びハンド15を基板搬送中継装置25から抜き出す。抜き出したハンド15は、処理済の基板6を収容するための別のフープ9の前まで戻され、載せられている基板6を前記フープ9内に収容する。その後も制御装置4は、ハンド15を動かして別の指定された基板6を前述と同様の方法で一対の第2支持部43,43に引渡し、またハンド15により一対の第1支持体28上の基板6を受け取る。制御装置4は、このような受渡し作業を繰り返して行うように移送ロボット駆動部64の動作を制御している。
【0058】
[搬送処理]
また、制御装置4は、移送ロボット8により基板6を移送する移送処理と並行して図7に記載のフローチャートに示されるような搬送処理を実行している。搬送処理は、移送処理と同様に、プロセスチャンバ23等の真空引きが終了した後に実行される。搬送処理が開始されてステップS1に移行すると、第1の搬送過程が始まり、制御装置4は、まず基台51を回動させて第1及び第2ハンド52,53を基板搬送中継装置25の方に向けて、第1及び第2ハンド52,53を基板搬送中継装置25内に挿入できるようにする。この状態になると、ステップS2へと移行する。
【0059】
ステップS2では、第1乃至第4レーザセンサ46〜49からの信号に基づいて制御装置4が基板搬送中継装置25の第1及び第2支持体28,29上の基板6の有無を検出し、搬送可能条件を満たすか否かを判定する。ここで搬送可能条件とは、第1支持体28に基板6が載置されておらず、且つ第2支持体29に2枚の基板6が載置されていることである。制御装置4は、搬送可能条件を満たしていないと判定すると搬送ロボット50を待機させ、搬送可能条件を満たすまで判定を繰り返す。搬送可能条件を満たすと判定すると、ステップS3へと移行する。
【0060】
ステップS3では、まず制御装置4が第2ゲート72を開け、次に第1及び第2進退ユニット58,59を動かして第1及び第2ハンド52,53を基板搬送中継装置25がある待機位置まで前進させる。この際、基板搬送中継装置25では、一対の第1支持体28及び一対の第2支持体29が離隔位置(図5参照)に位置しており、第1ハンド52の2つのブレード55,56は、一対の第2支持部43,43及び一対の第2支持部44,44上の基板6のすぐ下に夫々位置し、後述する工程で第2ハンド53の2つのブレード55,56に載せられた基板6が一対の第1支持部38,38及び一対の第1支持部39,39のすぐ上に夫々位置する(図8(a)参照)。このように第1及び第2ハンド52,53を待機位置まで前進させると、ステップS4に移行する。
【0061】
ステップS4では、制御装置4が基板搬送中継装置25の昇降駆動ユニット27を動かして一対の第1支持体28を上昇させる。これにより、第2ハンド53上の2枚の基板6が一対の第1支持部38,38及び第1支持部39,39に載せられて持ち上げられ(図8(b)参照)、2枚の基板6が第2ハンド53から一対の第1支持体28へと引渡される。また、一対の第1支持体28の上昇に連動して一対の第2支持体29が下降し、一対の第2支持部43,43及び第2支持部44,44上の基板6が第1ハンド52の2つのブレード55,56上に載せられる(図8(c)参照)。これにより、一対の第2支持体29上の2枚の基板6が第1ハンド52に引渡される。基板搬送中継装置25と搬送ロボット50との間の基板6の受渡しが終了すると、ステップS5へと移行する。
【0062】
ステップS5では、制御装置4が第1及び第2進退ユニット58,59により第1及び第2ハンド52,53を後退させて基板搬送中継装置25から抜く。そして、制御装置4は、基台51とハンド本体54とが重なる回動位置まで第1及び第2ハンド52,53を後退させ、第2ゲート72を閉じる。第1及び第2ハンド52,53が回動位置まで戻ると、ステップS6へ移行する。
【0063】
ステップS6では、制御部63が記憶部62に記憶されている変数X(初期値0)に1を加算する。変数Xに1が加算されると、ステップS7に移行する。ステップS7では、制御装置4が基台51を回動させて第1及び第2ハンド52,53の向きを変えて、第1及び第2ハンド52,53を第Xプロセスチャンバ23(X=1,2,3,4)の第3ゲート73に向ける。例えばX=1の場合、第1及び第2ハンド52,53は、第1プロセスチャンバ23Aの第3ゲート73に向けられる。このように向きが変えられると、ステップS8へと移行する。
【0064】
ステップS8では、制御装置4がまず第3ゲート73を開け、次に第2ハンド53を前進させて第1プロセスチャンバ23Aの載置台(図示せず)まで移動させる。この載置台には、第1プロセスチャンバ23Aで処理された処理済の基板6が載置されており、第2ハンド53の高さは、その上側のブレード55が処理済の基板6の下側に位置するように制御装置4によって調整されている。なお、第2ハンド53の高さの調整は、前進させる前及び前進中の何れで行なってもよい。載置台まで移動させた後、制御装置4は、昇降ユニット60により第2ハンド53を上昇させて載置台に載せられた上側のブレード56上に載せて持ち上げる。このようにして、搬送ロボット50は、第1プロセスチャンバ23A内の処理済の基板6を第2ハンド53によって受取る。受取った後、制御装置4は、第2進退ユニット59により第2ハンド53を後退させ、第2ハンド53が回動位置に戻ると、ステップS9へと移行する。
【0065】
ステップS9では、第1進退ユニット58により第1ハンド52を前進させて第1プロセスチャンバ23Aの載置台まで移動させる。第1ハンド52の高さは、その下側のブレード55上の未処理の基板6が載置台よりも高く位置するように制御装置4によって調整されている。なお、第1ハンド52の高さの調整は、前進させる前及び前進中の何れで行なってもよい。載置台まで移動させた後、制御装置4は、昇降ユニット60により第1ハンド52を下降させて下側のブレード55上の基板6を載置台に載せて離す。これにより、第1プロセスチャンバ23A内に未処理の基板6が第2ハンド53から載置台へと引渡される。引渡した後、制御装置4は、第1進退ユニット58により第1ハンド52を後退させて第3ゲート73を閉じる。そして、第1ハンド52が回動位置に戻ると、ステップS10へと移行する。
【0066】
ステップS10では、変数Xが第1乃至第3条件のうちの何れの条件を充足するかを判定する。第1条件は、X≠N,N×2であり、第2条件は、X=Nであり、第3条件は、X=N×2である。ここで、Nは、第1及び第2ハンド52,53が夫々有するブレードの数であり、本実施形態にではN=2である。例えばX=1の場合、第1条件を充足すると判定され、ステップS6へと戻る。ステップS6では、Xに1が加算されてステップS7へ移行する。ステップS7では、第1及び第2ハンド52,53を図9の矢符Aのように回動させて第X+1プロセスチャンバ23の第3ゲート73、即ち第2プロセスチャンバ23Bの第3ゲート73に向け、ステップS8に移行する。
【0067】
ステップS8では、制御装置4が第2ハンド53を前進させて第2プロセスチャンバ23Bの載置台上の処理済の基板6を受取る。この際、第2ハンド53の上側のブレード56には、既に処理済の基板6が載置されている。それ故、第2ハンド53の高さは、その下側のブレード55が載置台上の処理済の基板6の下側に位置するように制御装置4によって調整される。そして、制御装置4は、第2ハンド53を載置台まで移動させ、移動後に上昇させて載置台上の基板6を下側のブレード55上に載せて持ち上げる。このようにして、搬送ロボット50は、第2プロセスチャンバ23B内の処理済の基板6を第2ハンド53によって受取る。受取った後、制御装置4は、第2ハンド53を後退させ、第2ハンド53が回動位置に戻ると、ステップS9へと移行する。
【0068】
ステップS9では、制御装置4が第1ハンド52を前進させて第2プロセスチャンバ23Bの載置台上に未処理の基板6を引渡す。この際、第1ハンド52の上側のブレード56にしか未処理の基板6が載置されていない。それ故、第1ハンド52の高さは、その上側のブレード56上の未処理の基板6が載置台よりも高く位置するように制御装置4によって調整されている。そして、制御装置4は、載置台まで移動させ、移動後に第1ハンド52を下降させて上側のブレード56上の基板6を載置台に載せて離す。これにより、搬送ロボット50から第2プロセスチャンバ23Bの載置台に未処理の基板6が引渡される。制御装置4は、第1ハンド52を後退させて第3ゲート73を閉じる。そして、第1ハンド52が回動位置に戻ると、第1及び第2プロセスチャンバ23A,23Bへと基板6を搬送する第1の搬送過程が終了する。第1の搬送過程が終了すると、再びステップS10へと移行する。
【0069】
このときのステップS10では、変数Xが2であるので、制御部63が第2条件を充足すると判定し、ステップS1へと戻り、第2の搬送過程が開始される。ステップS1では、制御装置4が第1及び第2ハンド52,53を第2プロセスチャンバ23Bから矢符Bのように回動させて第1及び第2ハンド52,53を基板搬送中継装置25に向ける。そして、ステップS2において、搬送可能条件を充足するか否かを判定し、充足すると判定された場合、ステップS3にて第1及び第2ハンド52,53を前進させ、ステップS4にて基板搬送中継装置25の第1及び第2支持体28,29を昇降させて基板搬送中継装置25と第1及び第2ハンド52,53との間で未処理の基板6と処理済の基板6との受渡しを行なう。更に、ステップS5にて第1及び第2ハンド52,53を後退させると、ステップS6へと移行する。
【0070】
ステップS6では、Xに1が加算されてステップS7へ移行し、ステップS7では、第1及び第2ハンド52,53を図9の矢符Cのように回動させて第3プロセスチャンバ23Cに向ける。そして、第1プロセスチャンバ23Aにて処理済及び未処理の基板6を受渡した方法と同様にして、第3プロセスチャンバ23Cで基板6の受渡しを行い(ステップS8及びS9)、受渡しが終了するとステップS10に移行する。
【0071】
このときのステップS10では、変数Xが3であるので、制御部63が第1条件を充足すると判定し、ステップS6へと戻る。ステップS6では、Xに1が加算されてステップS7へ移行し、ステップS7では、第1及び第2ハンド52,53を図9の矢符Dのように回動させて第4プロセスチャンバ23Dに向ける。そして、第1プロセスチャンバ23Aにて処理済及び未処理の基板6を受渡した方法と同様にして、第4プロセスチャンバ23Dで基板6の受渡しを行い(ステップS8及びS9)、受渡しが終了すると第3及び第4プロセスチャンバ23A,23Bへと基板6を搬送する第2の搬送過程が終了する。第2の搬送過程が終了すると、ステップS10に移行する。
【0072】
このときのステップS10では、変数Xが4であるので、制御部63が第3条件を充足すると判定し、ステップS11に移行する。ステップS11では、XからNを引く、即ちX=X−Nの減算を行なってX=0とする。この減算が行なわれると、ステップS1に戻り、再び第1の搬送過程が始まる。
【0073】
このように本実施形態の搬送ロボット50では、待機位置にある基板搬送中継装置25において第1ハンド52の2つのブレード55,56により2枚の基板6を同時に受取り、第2ハンド53の2つのブレード55,56により2枚の基板6を同時に引渡すことができる。また、第1ハンド52に保持した2枚の基板6を2つのプロセスチャンバ23に連続して引渡し、また第2ハンド53により2枚の処理済の基板6を2つのプロセスチャンバ23内から連続して受取ることができる。これにより、2つのプロセスチャンバ23で基板6の受渡しをした後に基板搬送中継装置25に戻せばよくなり、1つの搬送過程における第1ハンド52及び第2ハンド53の移動距離を短くすることができ、全ての搬送位置に対して基板が搬送されるまでの搬送時間を短くすることができる。
【0074】
また、本実施形態の基板処理システム1では、搬送ロボット50の搬送処理に並行して移送ロボット8の移送処理が行なわれ、搬送処理を行なっている間に移送処理によりフープ9から基板搬送中継装置25に2枚の基板6が移送されるようになっている。それ故、基板搬送中継装置25とフープ9との間の受渡しの時間を省略することができるので、搬送時間の短縮を図ることができる。また、移送ロボット8が搬送処理を行なっている間に移送処理で基板搬送中継装置25に載置された処理済の2枚の基板6を受取るようになっているので、第2ハンド52のブレード55,56に保持された処理済の基板6を基板搬送中継装置25にて受取りと同時に引渡すことで基板搬送中継装置25からフープ9へと移送が必要なくなる。それ故、搬送時間を短縮することができる。
【0075】
また、本実施形態の搬送ロボット50では、第1搬送過程及び第2搬送過程で搬送すべきプロセスチャンバ23の数と、第1及び第2ハンド52,53が有するブレード55,56の数とが同数となっており、第1の搬送過程及び第2搬送過程で夫々搬送すべきプロセスチャンバ23全てに対して連続的に受渡し作業を行うことができる。これにより、各プロセスチャンバ23に対する受渡し作業が終了するたびに基板搬送中継装置25へ戻す必要がなく、搬送時間を短くすることができる。
【0076】
更に、基板搬送中継装置25に対して回動方向一方側と他方側とに同数のプロセスチャンバ23を形成し、一方側に配置されたプロセスチャンバ23A,23Bへの搬送過程を第1搬送過程、他方側に配置されたプロセスチャンバ23A,23Bへの搬送過程を第2搬送過程として分けることで、搬送ロボット50が一回転して、搬送ロボット50の各構成と制御装置とを繋ぐ図示しないケーブル等のねじれてしまうことを防ぐことができる。また、基板搬送中継装置25の回動方向両側に同数配置することで、第1搬送過程及び第2搬送過程の移動距離を略同一にし、第1搬送過程及び第2搬送過程における総移動距離を短くすることができる。これにより、搬送時間の短縮を実現することができる。更に、2つの搬送過程に分けることで、ブレード55,56の数を抑えつつ、移動距離を抑えることができる。それ故、部品点数の増加を抑えると搬送時間の短縮を同時に実現することができる。
【0077】
また、本実施形態では、第1及び第2ハンド52,53と基板搬送中継装置25との間で受渡し作業を同時に行うことができるので、第1及び第2ハンド52,53と基板搬送中継装置25との間の受渡し時間を短縮することができる。また、第1ハンド52及び第2ハンド53と基板搬送中継装置25との間で受渡し作業を同時に行うことで、第1ハンド52及び第2ハンド53を動かす必要がない。それ故、第1ハンド52及び第2ハンド53の移動距離を短くすることができ、搬送時間を短縮することができる。
【0078】
更に、本実施形態の基板搬送中継装置25では、ラックアンドピニオン機構により第1及び第2支持体28,29の連動を実現することで部品点数を抑えることができる。これにより、基板搬送中継装置25の製造コストを抑えることができる。
【0079】
<その他の実施形態>
本実施形態では、搬送ロボット50の第1及び第2ハンド52,53を同時に基板搬送中継装置25に向かって前進させていたが、図10に示すように先に第2ハンド53を前進させて基板搬送中継装置25の一対の第1支持体28上の2枚の基板6を受取り(図10(a))、その後第1ハンド52を前進させてその上の基板6を基板搬送中継装置25に引渡すようになっていってもよい(図10(b))。この場合、基板搬送中継装置25は、昇降駆動ユニット27を有している必要はなく、基板搬送中継装置25から2枚の基板6を受取る際に第2ハンド53を上昇させ、基板搬送中継装置25に2枚の基板6を受渡す際に第1ハンド52を下降させればよい。
【0080】
このように、第1ハンド52を進退及び昇降させることで2枚の基板6を基板搬送中継装置25から受取ることができ、また第2ハンド53を進退及び昇降させるだけで2枚の基板6を進退及び昇降させるだけで基板搬送中継装置25に置くことができる。それ故、保持する時間及び置く時間を短縮することができる。
【0081】
また、第1及び第2ハンド52,53の数及びそれが有するブレードの数、並びにプロセスチャンバ23の数及び配置位置は、上述する数及配置位置に限定されず、ハンドやブレードが2つ以上あってもよく、またプロセスチャンバ23が4つ以上あってもよい。また、ブレードの数とプロセスチャンバ23との数と基板搬送中継装置25の支持部の数が前述するような関係になくてもよく、少なくとも1つの搬送過程において搬送するプロセスチャンバ23の数よりブレード及び支持部の数が多ければよい。
【符号の説明】
【0082】
6 基板
8 移送ロボット
15 ハンド
25 基板搬送中継装置
28 第1支持体
29 第2支持体
30 昇降用シリンダ機構
33 連動機構
32 第1昇降機構
34 第2昇降機構
38,39 第1支持部
43,44 第2支持部
50 搬送ロボット
52 第1ハンド
53 第2ハンド
55,56 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するためのハンドを備える2つのロボット間で前記基板を受渡す際に前記基板を中継する基板搬送中継装置であって、
前記基板を支持するための第1支持部を有し、上昇することで前記ハンドに支持されている基板を前記第1支持部により受け取って支持し、下降することで前記第1支持部により支持している基板を前記ハンドに引渡す第1の支持体と、
前記第1支持部の上方において前記基板を支持するための第2支持部を有し、上昇することで前記ハンドに支持されている基板を前記第2支持部により受け取って支持し、下降することで前記第2支持部により支持している基板を前記ハンドに引渡す第2の支持体と、
前記第1支持体を昇降させるよう構成された第1昇降機構と、
前記第2支持体を昇降させるよう構成された第2昇降機構と、を備え、
前記第2昇降機構は、前記第1昇降機構が前記第1支持体を上方に移動させる場合には前記第2支持体を下方に移動させ、前記第1昇降機構が前記第1支持体を下方に移動させる場合には前記第2支持体を上方に移動させるように構成されている、基板搬送中継装置。
【請求項2】
少なくとも一方の前記ロボットは、少なくとも第1ハンド及び第2ハンドの2つのハンドを有しており、
前記第1ハンド及び第2ハンドは、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を夫々保持するためのN(Nは2以上の整数)個の保持部を夫々有しており、
前記第1支持体は、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を上下方向に並ぶように夫々支持するためのN個の第1支持部を有し、
前記第2支持体は、上下方向に所定間隔で並設され、前記基板を上下方向に並ぶように夫々支持可能なN個の第2支持部を有し、
N個の前記第1支持部は、前記第1ハンドのN個の保持部と対応させて設けられており、前記第1支持体が昇降することで前記対応する保持部との間で前記基板を受渡するよう構成されており、
N個の前記第2支持部は、前記第2ハンドのN個の保持部と対応させて設けられており、前記第2支持体が昇降することで前記対応する保持部との間で前記基板を受渡するよう構成されている、請求項1に記載の基板搬送中継装置。
【請求項3】
前記第1支持部及び第2支持部は、水平な所定方向において空間を挟んで配置され、前記基板の外縁部を支持するようにそれぞれ前記第1支持体及び第2支持体に形成された一対の爪状の部分である、請求項2に記載の基板搬送中継装置。
【請求項4】
前記第1昇降機構は、前記第1支持体を昇降させる昇降シリンダ機構であり、
前記第2昇降機構は、前記第1支持体の昇降に合わせてその昇降と逆方向に第2支持体を昇降させるラックアンドピニオン機構である、請求項1乃至3の何れか1つに記載の基板搬送中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138404(P2012−138404A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288085(P2010−288085)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】