説明

基板洗浄装置および基板洗浄方法

【課題】薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができ、また、処理空間形成部や処理液供給部以外の周辺ユニットについて耐薬品性を考慮する必要がなくなり、さらに処理液供給部のメンテナンス性を向上させることができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】被処理基板Wの周縁部の洗浄を行う基板洗浄装置は、被処理基板Wを支持するとともに回転させる回転支持部22と、回転支持部22により支持される被処理基板Wの周縁部を覆うような処理空間36を形成する処理空間形成部30と、を備えている。また、処理空間36内にある被処理基板Wの周縁部に処理液を供給する処理液供給部40が設けられている。処理液供給部40は、処理空間形成部30により形成される処理空間36に外部から挿入可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板の周縁部の洗浄を行う基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程においては、被処理基板としての半導体ウエハやLCD用ガラス基板等(以下、ウエハという)に付着するレジスト、パーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーション(汚染物、以下単に汚れともいう)を除去するために基板洗浄装置が用いられている。ウエハ等を洗浄する基板洗浄装置の一つとして、例えばスピン式のものが知られている。
【0003】
従来のこの種のスピン式の基板洗浄装置は、チャンバー内に配設されたスピンチャックにてウエハを下方から支持するとともに、スピンチャックを低速回転させた状態で、チャンバー内に設置された供給ノズルによりウエハの表面に薬液および純水を順に供給して、薬液処理およびリンス処理を順に行い、その後、スピンチャックを高速回転させて乾燥処理を行っている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、ウエハ全面ではなくウエハの周縁部のみを洗浄する基板洗浄装置として、例えば特許文献2に示すようなものが知られている。特許文献2に示すような基板洗浄装置においては、処理液の供給ノズルが設けられ、ウエハの周縁部のみを覆うような略コの字状の部材を設置し、この略コの字状の部材によりウエハの周縁部を挟んだ状態で当該周縁部に対して供給ノズルから処理液を供給するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−160546号公報
【特許文献2】特開2007−165488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば特許文献1等に示すような従来の一般的な基板洗浄装置においては、チャンバー内に供給ノズルが設置されている。このため、この供給ノズルからウエハの表面に噴射される薬液が蒸発し、この薬液の蒸発により生成される薬液のガスがチャンバー内で広がり、チャンバー内が薬液の雰囲気で満たされることとなる。しかしながら、近年の基板洗浄装置においては、チャンバーの大型化や、供給ノズル等の周辺ユニットをチャンバー内に内蔵することによる構造の複雑化により、薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を多くなってしまい、また、この薬液のガスの排気のコントロールが難しくなるという問題がある。また、供給ノズルからウエハの表面に噴射される薬液がチャンバー内で飛散する場合があり、周辺ユニットを耐薬品性の有するものとしなければならないという問題がある。さらに、供給ノズルがチャンバー内に設置されているので、この供給ノズルのメンテナンスを容易に行うことができないという問題がある。
【0007】
また、例えば特許文献2等に示すような、ウエハの周縁部のみを洗浄する基板洗浄装置においても、チャンバー内に略コの字状の部材が設置されており、供給ノズルはこの略コの字状の部材に設けられているので、この供給ノズルから噴射される薬液が蒸発することによりチャンバー内が薬液の雰囲気で満たされたり、また、供給ノズルから噴射される薬液がチャンバー内で飛散したりするという問題がある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、被処理基板の洗浄を行うための処理空間を小型化するとともにシンプルなものとし、このことにより薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができ、また、処理空間形成部や処理液供給部以外の周辺ユニットについて耐薬品性を考慮する必要がなくなり、さらに処理液供給部のメンテナンス性を向上させることができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板洗浄装置は、被処理基板の周縁部の洗浄を行う基板洗浄装置であって、被処理基板を支持するとともに回転させる回転支持部と、前記回転支持部により支持される被処理基板の周縁部を覆うような処理空間を形成する処理空間形成部と、前記処理空間形成部により形成される処理空間に外部から挿入可能となっており、当該処理空間内にある被処理基板の周縁部に処理液を供給する処理液供給部と、を備えたことを特徴とする。ここで、前記処理空間形成部により形成される処理空間は、概して、前記回転支持部により支持される被処理基板全面ではなく当該被処理基板の周縁部のみを覆うようになっている。
【0010】
このような基板洗浄装置によれば、処理空間形成部により、被処理基板の周縁部を覆うような処理空間を形成し、外部から処理空間に処理液供給部を挿入し、被処理基板を回転させながら、処理空間に挿入された処理液供給部により被処理基板の周縁部に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。このように、被処理基板の洗浄を行うための処理空間を形成し、この処理空間を小型化するとともにシンプルなものとしているので、薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができる。また、処理液が処理空間から外部に流出することが抑制されることにより、処理空間形成部や処理液供給部以外の周辺ユニット、具体的には例えば回転支持部等について耐薬品性を考慮する必要がなくなる。さらに、処理液供給部は通常時は処理空間形成部の外部にあるため、この処理液供給部のメンテナンスをオペレータは容易に行うことができるようになり、処理液供給部のメンテナンス性が向上する。
【0011】
本発明の基板洗浄装置においては、前記処理液供給部は、被処理基板の表裏両面における周縁部にそれぞれ処理液を供給するようになっていることが好ましい。
【0012】
本発明の基板洗浄装置においては、前記処理空間形成部には、前記処理液供給部が通過可能な開口が設けられており、前記処理液供給部は、当該処理液供給部が前記処理空間内に位置するような処理位置と、前記処理液供給部が前記処理空間の外部に退避した退避位置との間で、前記開口を介して往復移動自在となっており、前記処理液供給部が前記処理空間に挿入されたときに、当該処理液供給部と前記処理空間形成部との間がシールされるようになっていることが好ましい。
【0013】
本発明の基板洗浄装置においては、前記処理空間の外部に、当該処理空間に向かってガスを噴射するガス供給部が設けられており、前記ガス供給部からガスが前記処理空間に向かって噴射されることにより、この処理空間内の処理液または処理液のガスが前記処理空間から外部に流出しないようになっていることが好ましい。
【0014】
本発明の基板洗浄装置においては、前記処理空間内に連通し、当該処理空間から処理液やガスを吸引して排液や排気を行う吸引部を更に備えたことが好ましい。
【0015】
本発明の基板洗浄装置においては、前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整を行う位置調整部を更に備えたことが好ましい。ここで、前記位置調整部は、被処理基板の側面に当接可能な複数の位置調整部材を有し、少なくとも1つの位置調整部材は、前記回転支持部により支持される被処理基板に向かって移動自在となっており、被処理基板がこれらの複数の位置調整部材に挟まれることにより前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整が行われることがより好ましい。そして、前記複数の位置調整部材のうち少なくとも1つの位置調整部材が前記処理液供給部に設けられており、当該処理液供給部は、前記位置調整部により前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整が行われる際に、当該処理液供給部に設けられた位置調整ピンが被処理基板の位置合わせに適した位置となるような位置に移動させられることが更に好ましい。
【0016】
本発明の基板洗浄装置においては、前記回転支持部により支持される被処理基板の下方に距離を隔てて設けられ、ガスを上方に向かって噴射するガス噴射部分と、ガスを下方に吸引するガス吸引部分とを有するガス噴射・吸引部を更に備えたことが好ましい。
【0017】
本発明の基板洗浄方法は、被処理基板の周縁部の洗浄を行う基板洗浄方法であって、処理空間形成部により、被処理基板の周縁部を覆うような処理空間を形成する工程と、外部から前記処理空間に処理液供給部を挿入する工程と、被処理基板を回転させながら、前記処理空間に挿入された前記処理液供給部により被処理基板の周縁部に処理液を供給する工程と、を備えたことを特徴とする。ここで、前記処理空間形成部により形成される処理空間は、概して、被処理基板全面ではなく被処理基板の周縁部のみを覆うようになっている。
【0018】
このような基板洗浄方法によれば、被処理基板の洗浄を行うための処理空間を形成し、この処理空間を小型化するとともにシンプルなものとしているので、薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができる。また、処理液が処理空間から外部に流出することが抑制されることにより、処理空間形成部や処理液供給部以外の周辺ユニットについて耐薬品性を考慮する必要がなくなる。さらに、処理液供給部は通常時は処理空間形成部の外部にあるため、この処理液供給部のメンテナンスを容易に行うことができるようになり、処理液供給部のメンテナンス性が向上する。
【0019】
本発明の基板洗浄方法においては、前記処理空間形成部には、前記処理液供給部が通過可能な開口が設けられており、外部から前記処理空間に処理液供給部を挿入する際に、当該処理液供給部が前記処理空間の外部に退避した退避位置から、前記処理液供給部が前記処理空間内に位置するような処理位置まで、前記開口を介して前記処理液供給部を移動させることが好ましい。
【0020】
本発明の基板洗浄方法においては、前記処理空間の外部から当該処理空間に向かってガスを噴射し、この処理空間内の処理液または処理液のガスが前記外部領域に流出しないようにすることが好ましい。
【0021】
本発明の基板洗浄方法においては、前記処理液供給部により被処理基板の周縁部に処理液を供給する際に、前記処理空間から処理液やガスを吸引して排液や排気を行うことが好ましい。
【0022】
本発明の基板洗浄方法においては、被処理基板の下方に距離を隔てて設けられたガス噴射・吸引部により、ガスを上方に向かって噴射するとともに、ガスを下方に吸引することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、被処理基板の洗浄を行うための処理空間を小型化するとともにシンプルなものとし、このことにより薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができ、また、処理空間形成部や処理液供給部以外の周辺ユニットについて耐薬品性を考慮する必要がなくなり、さらに処理液供給部のメンテナンス性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による基板洗浄装置の構成を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態の基板洗浄装置の構成を示す側面図であって、ウエハを収容するカップが開かれるとともに処理液供給部材が退避位置にあるときの状態を示す図であり、図2は、ウエハを収容した後にカップが閉じるとともに処理液供給部材が処理位置に移動したときの状態を示す図である。
また、図3は、図1および図2に示す基板洗浄装置を上方から見た、ウエハ位置調整機構の構成の概略を示す概略構成図であり、図4は、図1および図2に示す基板洗浄装置における処理液供給部材の構成の詳細をウエハとともに示す側断面図であり、図5は、図4に示す処理液供給部材を上方から見た上面図である。
また、図6は、図1および図2に示す基板洗浄装置におけるカップの開閉を行うカップ開閉機構の構成を示す側面図であって、カップが開かれたときの状態を示す図であり、図7は、カップが閉じられたときの状態を示す図である。
【0025】
まず、本実施の形態の基板洗浄装置10の全体構成の概略について図1および図2を用いて説明する。
図1および図2に示すように、基板洗浄装置10は、ベース20と、当該ベース20から上方に延びるよう設けられ、半導体ウエハW(以下、単にウエハWという)を裏面から支持するスピンチャック22と、スピンチャック22を回転させるスピンチャック駆動モータ26とを備えている。また、ベース20の上方には、スピンチャック22により支持されるウエハWを収容するカップ30が設けられている。このカップ30は、スピンチャック22により支持されるウエハWを上下から挟むような、上カップ部分32および下カップ部分34より構成されている。上カップ部分32および下カップ部分34は、図6および図7に示すようなカップ開閉機構60(後述)によりそれぞれ昇降自在(すなわち、図1の上下方向に移動自在)となっており、具体的には、これらの各カップ部分32、34は、図1に示すような内部のウエハWにアクセス可能な位置と、図2に示すような内部のウエハWが完全に閉じられるような位置との間で昇降するようになっている。さらに、カップ30の外方において、ベース20上には処理液供給機構40が設けられている。この処理液供給機構40は、カップ30により形成される処理空間36(後述)に外部から挿入可能となっており、当該処理空間36内にあるウエハWの周縁部に薬液(例えば、フッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸)や純水等の処理液、および窒素ガス(N2ガス)を供給するようになっている。
【0026】
以下、このような基板洗浄装置10の各構成要素について図1乃至図7を用いて詳述する。
【0027】
まず、ウエハWを支持するとともに回転させる回転駆動部について説明する。図1および図2に示すように、スピンチャック22がベース20から上方に延びるよう設置されている。このスピンチャック22は、ウエハWを支持する略円板形状の支持プレート22aと、支持プレート22aの下方に連結される略円筒形状の回転体22bとから構成されている。回転体22bにはプーリー22dが取り付けられており、このプーリー22dには循環ベルト28を介してスピンチャック駆動モータ26が接続されている。ここでスピンチャック駆動モータ26を駆動させると、循環ベルト28を介して回転駆動力がプーリー22dに伝達され、支持プレート22aおよび回転体22bが一体的に、図1や図2の矢印方向に回転するようになっている。
【0028】
図1および図2に示すように、スピンチャック22の支持プレート22aおよび回転体22bの中心部分には貫通孔22cが形成されており、また、この貫通孔22cの下端部分に連通する吸引器(図示せず)が設けられている。支持プレート22a上にウエハWが載置されたときに吸引器が吸引動作を行うことにより、ウエハWは支持プレート22aに吸着されて当該ウエハWは支持プレート22aにより保持されるようになっている。
【0029】
次に、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部を覆うような処理空間36を形成する処理空間形成部について説明する。ここで、処理空間36は、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の全周にわたって形成されるようになっている。
【0030】
図1および図2に示すように、ベース20の上方に、スピンチャック22により支持されるウエハWを収容するカップ30が設けられている。前述のように、このカップ30は、上カップ部分32および下カップ部分34により構成されている。ここで、上カップ部分32は略円板形状のものからなり、その中心部分には、当該上カップ部分32から下方にN2ガスを供給するための貫通孔32aが設けられている。この貫通孔32aの上端部分は図示しないN2ガス供給源に接続されており、このN2ガス供給源からN2ガスが貫通孔32aに供給されることにより、上カップ部分32において貫通孔32aから下方にN2ガスが供給されることとなる。
【0031】
一方、下カップ部分34は、図1および図2に示すように、中心部分に開口が形成された略円環形状(ドーナツ形状)のものとなっている。この下カップ部分34の中心部分に形成された開口は、当該下カップ部分34が昇降する際にスピンチャック22や後述するガス噴射・吸引機構50が通過するよう設けられている。ここで、下カップ部分34は、略円環形状のベース部材34aと、このベース部材34aの外周縁近傍において当該ベース部材34aの上面に形成され、後述する処理空間36の側壁となるような略円環形状の側壁部材34bとから構成されている。側壁部材34bは、スピンチャック22により支持されるウエハWよりも外方に位置するようになっている。側壁部材34bの上面には例えばゴム等のOリングからなるシール部材34cが設けられており、図2に示すように、上カップ部分32の下面と、下カップ部分34の側壁部材34bの上面とがシール部材34cを介して接合することにより、上カップ部分32と下カップ部分34との間でシールがなされるようになっている。
【0032】
また、側壁部材34bには、後述する処理液供給機構40の処理液供給部材46が通過するための貫通孔34dや、後述するウエハ位置調整機構70のアーム76が通過するための貫通孔34eがそれぞれ水平方向に延びるよう設けられている。また、図1乃至図3に示すように、下カップ部分34において側壁部材34bよりも内方には、ベース部材34a上において側壁部材34bの内側にある液体やガスを吸引する吸引管34fが設けられている(図1乃至図3、とりわけ図3参照)。この吸引管34fの基部には図示しない吸引器が設けられており、当該吸引器により処理空間36内にある液体やガスが吸引管34fを介して吸引されるようになっている。
【0033】
さらに、ベース部材34aの内周縁近傍においてこのベース部材34aの上面に、すなわち略円環形状の側壁部材34bよりも内側に、略円環形状のN2ガス供給部材34gが形成されている。このN2ガス供給部材34gは、スピンチャック22により支持されるウエハWよりもわずかに下方に位置するようになっている。図1および図2に示すように、N2ガス供給部材34gの上面にはN2ガスを噴射するN2ガス供給ノズル34hが設けられている。このN2ガス供給ノズル34hは、N2ガス供給部材34gの上面からN2ガスをウエハWの裏面に向かって斜め上方に噴射するようになっている。
【0034】
これらの上カップ部分32および下カップ部分34は、後述するカップ開閉機構60によりそれぞれ昇降自在(すなわち、図1の上下方向に移動自在)となっており、図2に示すように、上カップ部分32の下面と、下カップ部分34の側壁部材34bの上面とがシール部材34cを介して接合されたときに、この上カップ部分32の下面、下カップ部分34のベース部分34a、側壁部分34b、およびN2ガス供給部材34gに囲まれた処理空間36が形成される。図2に示すように、この処理空間36は、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部を覆うようになっている。ここで、図2に示すように、処理空間36はスピンチャック22により支持されるウエハWの全面ではなくウエハWの周縁部のみを覆うようになっていることに留意されたい。また、前述の吸引管34fは処理空間36に連通するようになっており、当該吸引管34fにより、処理空間36内にある処理液やガスが吸引されて排液や排気が行われるようになっている。
【0035】
次に、このようなカップ30における上カップ部分32および下カップ部分34をそれぞれ昇降させるカップ開閉機構60について図6および図7を用いて詳述する。なお、図6は、基板洗浄装置10におけるカップ30の開閉を行うカップ開閉機構60の構成を示す側面図であって、カップ30が開かれたときの状態を示す図であり、図7は、カップ30が閉じられたときの状態を示す図である。
【0036】
図6および図7に示すように、カップ開閉機構60は、上カップ部分32の側部に取り付けられた上部サポート部材62と、この上部サポート部材62に対向するよう下カップ部分34の側部に取り付けられた下部サポート部材64と、上部サポート部材62および下部サポート部材64の間に挟まれるよう設置され、鉛直方向(図6の上下方向)において伸縮を行う昇降シリンダ66と、上部サポート部材62および下部サポート部材64の案内を行う案内部材68とを有している。
【0037】
ここで、図6および図7に示すように、昇降シリンダ66が上部サポート部材62と下部サポート部材64との間に鉛直方向に沿って設けられ、この昇降シリンダ66が鉛直方向において伸縮を行うことにより、上部サポート部材62と下部サポート部材64との間の距離が変化し、このことにより上カップ部分32と下カップ部分34との間の距離が変化する。すなわち、昇降シリンダ66が鉛直方向において伸縮を行うことにより、図6に示すような上カップ部分32と下カップ部分34とが離間してカップ30が開かれるような位置と、図7に示すような上カップ部分32と下カップ部分34とが接合してカップ30が閉じられるような位置との間で、各カップ部分32、34が昇降するようになる。
【0038】
ここで、上部サポート部材62および下部サポート部材64の案内を行う案内部材68には、鉛直方向に延びる案内レール68eが取り付けられている。この案内レール68eには、下方から順に第1ストッパ68a、第2ストッパ68b、第3ストッパ68cおよび第4ストッパ68dが設置されている。また、上部サポート部分62には上部リニアスライド62aが取り付けられるとともに、下部サポート部分64には下部リニアスライド64aが取り付けられている。ここで、上部リニアスライド62aは、第3ストッパ68cと第4ストッパ68dとの間で案内レール68eに沿って移動するようになっており、下部リニアスライド64aは、第1ストッパ68aと第2ストッパ68bとの間で案内レール68eに沿って移動するようになっている。
【0039】
図6に示すように、上カップ部分32および下カップ部分34が最も離間した位置にあるときに、上部リニアスライド62aは第4ストッパ68dに接触するとともに下部リニアスライド64aは第1ストッパ68aに接触するようになっている。すなわち、第1ストッパ68aは、下部リニアスライド64aの下限位置、つまり下カップ部分34の下限位置を決めるようになっており、第4ストッパ68dは、上部リニアスライド62aの上限位置、すなわち上カップ部分32の上限位置を決めるようになっている。また、図7に示すように、上カップ部分32および下カップ部分34が接合した位置にあるときに、上部リニアスライド62aは第3ストッパ68cに接触するとともに下部リニアスライド64aは第2ストッパ68bに接触するようになっている。すなわち、第2ストッパ68bは、下部リニアスライド64aの上限位置、つまり下カップ部分34の上限位置を決めるようになっており、第3ストッパ68cは、上部リニアスライド62aの下限位置、すなわち上カップ部分32の下限位置を決めるようになっている。
【0040】
このような案内部材68が設けられていることにより、カップ30の上カップ部分32および下カップ部分34は鉛直方向における所望の範囲内の領域において昇降を行うようになる。
【0041】
次に、処理空間36内にあるウエハWの周縁部に処理液を供給する処理液供給部について図1乃至図5を用いて説明する。図1および図2に示すように、処理液供給機構40は、モータ42と、基端がモータ42に設けられ、当該モータ42の駆動により水平方向(図1の左右方向)に伸縮を行うボールネジ44と、ボールネジ44の先端(図1の左端)に取り付けられた処理液供給部材46と、モータ42をベース20上に固定する固定部材48とを有している。
【0042】
図1および図2に示すように、ボールネジ44は水平方向(図1の左右方向)に延びるようモータ42に設けられており、モータ42の駆動によりボールネジ44がモータ42に対して図1の左方向に伸縮するようになっている。そして、このボールネジ44の先端には処理液供給部材46が取り付けられており、この処理液供給部材46もボールネジ44と一体的に、ウエハWの径方向に沿って図1の左右方向に移動するようになっている。処理液供給部材46は、図1および図2に示すようにウエハWを挟むような略コの字状となっており、コの字の間隙部分46nに挟まれたウエハWに対して薬液や純水等の処理液、およびN2ガスを供給するようになっている。
【0043】
ここで、前述のように、下カップ部分34の側壁部材34bには貫通孔34dが設けられているが、処理液供給部材46の高さは、図2に示すようなカップ30が閉じた状態のときに当該処理液供給部材46が貫通孔34dを通過することができるような大きさに設定されている。すなわち、図2に示すようなカップ30が閉じた状態のときに、処理液供給部材46は下カップ部分34の貫通孔34dを通過するよう、図1の左右方向に移動するようになっている。更に詳しく説明すると、処理液供給部材46は、モータ42の駆動によりボールネジ44が伸縮することによって、図1に示すような、当該処理液供給部材46が処理空間36の外部に退避した退避位置と、図2に示すような、処理液供給部材46が処理空間36内に位置するような処理位置との間で、貫通孔34dを介して往復移動するようになっている。なお、図1および図2に示すように、処理液供給部材46の退避位置は、スピンチャック22に対して処理位置よりも外側にあるようになっている。そして、ウエハWがスピンチャック22により支持されたときに、処理液供給部材46が処理位置にあるときには、この処理液供給部材46におけるコの字の間隙部分46nにウエハWが挟まれるようになっている(図2参照)。
【0044】
処理液供給部材46の構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。図4および図5に示すように、処理液供給部材46には、ウエハWの中心に近いものから順に、上下一対のN2ガス供給ノズル46a、上下一対の純水供給ノズル46bおよび上下一対の薬液供給ノズル46cがそれぞれウエハWを挟むよう設けられている。
【0045】
上下一対のN2ガス供給ノズル46aは、それぞれ処理液供給部材46の内部に設けられたN2ガス供給管46gを介して図示しないN2ガス供給源に接続されており、当該上下一対のN2ガス供給ノズル46aは、N2ガス供給源から送られたN2ガスを、ウエハWの表裏両面における周縁部に噴射するようになっている。また、上下一対の純水供給ノズル46bは、それぞれ処理液供給部材46の内部に設けられた純水供給管46hを介して図示しない純水供給源に接続されており、当該上下一対の純水供給ノズル46bは、純水供給源から送られた純水を、ウエハWの表裏両面における周縁部に噴射するようになっている。なお、図5に示すように、純水供給ノズル46bは、ウエハWの回転方向(図5における矢印参照)において薬液供給ノズル46cの上流側に設けられている。また、上下一対の薬液供給ノズル46cは、それぞれ処理液供給部材46の内部に設けられた薬液供給管46iを介して図示しない薬液供給源に接続されており、当該上下一対の薬液供給ノズル46cは、薬液供給源から送られた薬液を、ウエハWの表裏両面における周縁部に噴射するようになっている。なお、図4および図5の矢印に示すように、各ノズル46a、46b、46cはN2ガスや処理液をウエハWの径方向外方(図4や図5における右方)に向かって噴射するようになっている。
【0046】
また、処理液供給部材46には、コの字の間隙部分46nにある液体やガスを吸引する吸引管46dが設けられている。この吸引管46dの基端部分には図示しない吸引器が設けられており、当該吸引器によりコの字の間隙部分46nにある液体やガスが吸引管46dを介して吸引されるようになっている。
【0047】
また、図1に示すように、処理液供給部材46には、当該処理液供給部材46が下カップ部分34における側壁部材34bの貫通孔34dに挿入されたときに、この貫通孔34dを塞ぐ略円環形状の蓋部材46pが設けられている。また、この蓋部材46pにおけるカップ30側の表面には、例えばゴム等のOリングからなるシール部材46qが設けられており、蓋部材46pが側壁部材34bの貫通孔34dを塞いだときに、この蓋部材46pと側壁部材34bとの間でシール部材46qによりシールがなされるようになっている。このことにより、処理液供給部材46が処理空間36に挿入されたときに、当該処理液供給部材46と下カップ部分34との間がシール部材46qによりシールされるようになっている。
【0048】
次に、スピンチャック22に対するウエハWの位置の調整、具体的にはウエハWのセンタリングを行う位置調整部について図1乃至図3を用いて説明する。
【0049】
図1および図2に示すように、ウエハ位置調整機構70は、ベース部分72と、ベース部分72上に設けられた本体部分74と、本体部分74に設けられたアーム76と、アーム部分の先端に設けられた位置調整ピン78aとを有している。ここで、ウエハ位置調整機構70のベース部分72は、カップ30の下カップ部分34に対して処理液供給機構40とは反対側の位置に取り付けられている。すなわち、ウエハ位置調整機構70は、カップ30の下カップ部分34と一体的に昇降するようになっている。また、ベース部分72の上面には、スピンチャック22により支持されるウエハWの径方向に延びる案内レール72aが設けられており、この案内レール72a上で、本体部分74の下端に設けられたリニアスライド74aが図1の左右方向に移動するようになっている。
【0050】
また、本体部分74にはアーム76が取り付けられており、このアーム76は、本体部分74に設けられた例えばバネ等の押圧機構(図示せず)により常時スピンチャック22に向かって力が加えられるようになっている。このアーム76は、図1および図2に示すようにカップ30の下カップ部分34の側壁部材34bに設けられた貫通孔34eを貫通するようになっている。また、アーム76には、この貫通孔34eを塞ぐフランジ部材76aが取り付けられており、このフランジ部材76aによりアーム76と側壁部材34bとの間のシールがなされている。
アーム76の先端には、例えば小さな円柱形状の位置調整ピン78aが回転自在に設けられている。この位置調整ピン78aは、スピンチャック22に対するウエハWの位置の調整を行うために用いられるようになっている。
【0051】
一方、図3に示すように、前述の処理液供給機構40の処理液供給部材46の先端にも、一対の位置調整ピン78b、78cが距離を隔てて設けられている。これらの位置調整ピン78b、78cも、位置調整ピン78aと同様に例えば小さな円柱形状のものから構成されており、スピンチャック22に対するウエハWの位置の調整を行うために用いられるようになっている。
【0052】
これらの位置調整ピン78a、78b、78cは、スピンチャック22により支持されるウエハWの径方向、より具体的には図3の左右方向に沿って移動自在となっている。そして、これらの位置調整ピン78a、78b、78cは、ウエハWの側面に当接するようになっている。ここで、図3に示すように、ウエハWが位置調整ピン78a、78b、78cに挟まれることにより、スピンチャック22に対するウエハWの位置の調整が行われるようになっている。
【0053】
より具体的に説明すると、処理液供給部材46は、前述のような処理位置や退避位置以外にも、処理位置よりもスピンチャック22側にあり、各位置調整ピン78b、78cがウエハWの位置合わせに適した位置となるようなセンタリング位置にも移動するようになっている。そして、処理液供給部材46がセンタリング位置にあるときにおいて、ウエハ位置調整機構70の本体部分74がスピンチャック22に向かって移動し、すなわち図3の右方に移動し、アーム76に取り付けられた位置調整ピン78aがウエハWをスピンチャック22に向かって押圧することにより、各位置調整ピン78a、78b、78cによりウエハWが挟まれた状態となり、このことによりスピンチャック22に対するウエハWの位置合わせが行われるようになる。
【0054】
また、ベース20の上方において、スピンチャック22により支持されるウエハWの下方には、ガス噴射・吸引機構50が設けられている。このガス噴射・吸引機構50は、スピンチャック22により支持されるウエハWの下方にわずかな距離を隔てて設けられたガス噴射・吸引部材52と、ベース20上に設けられガス噴射・吸引部材52を固定するための固定部材54とを有している。
【0055】
ガス噴射・吸引部材52の上面には、N2ガス等のガスを上方に向かって噴射する複数のガス噴射具と、ガスを下方に吸引する複数のガス吸引具がそれぞれ設けられている。ここで、ガス噴射具およびガス吸引具は、それぞれガス噴射・吸引部材52の上面に均一にまんべんなく設けられており、ガス噴射具による上方へのガスの噴射力と、ガス吸引具による下方へのガスの吸引力はほぼ同等の大きさとなっている。このことにより、スピンチャック22に支持されるウエハWにおける鉛直方向の揺動、とりわけウエハWの周縁部における鉛直方向の揺動を抑制することができるようになる。
【0056】
次に、このような構成からなる基板洗浄装置10によるウエハWの洗浄方法について説明する。
【0057】
まず、ウエハWが基板洗浄装置10に送られる前に、カップ開閉機構60によりカップ30の上カップ部分32および下カップ部分34が鉛直方向において離間され、図6に示すようにカップ30が開かれた状態とされる。カップ30が開かれた状態において、図示しない搬送アームによりウエハWが基板洗浄装置10の外部からカップ30の内部(上カップ部分32と下カップ部分34の間の領域)に搬送される。そしてウエハWは搬送アームによりスピンチャック22の支持プレート22a上に載置される。この時点では、スピンチャック22に対するウエハWの位置合わせはまだ行われていない。
【0058】
次に、カップ開閉機構60によりカップ30の上カップ部分32が降下するとともに下カップ部分34が上昇してこれらのカップ部分32、34が接合し、図7に示すようにカップ30が閉じた状態となる。このような状態で、処理液供給機構40の処理液供給部材46を図1に示すような退避位置から図3に示すようなセンタリング位置まで移動させる。この際に、処理液供給部材46は、スピンチャック22に近づくよう、図3に示すようなセンタリング位置まで移動させられる(なお、図3に示すような処理液供給部材46のセンタリング位置は、図2に示すような処理位置よりもスピンチャック22に近い位置となっている)。そして、処理液供給部材46が図3に示すようなセンタリング位置にあるときにおいて、ウエハ位置調整機構70の本体部分74がスピンチャック22に向かって移動し、これに合わせてアーム76の先端に設けられた位置調整ピン78aもウエハWの径方向に沿ってスピンチャック22に向かって(すなわち、図3の右方向に)移動する。そして、ウエハWに位置調整ピン78aが当接すると、この位置調整ピン78aはウエハWを図3の右方向に押圧する。このことにより、ウエハWは各位置調整ピン78a、78b、78cに挟まれるようになり、ウエハWのスピンチャック22に対する位置合わせ、すなわちウエハWのセンタリングが行われる。ウエハWのスピンチャック22に対する位置合わせが行われた後、スピンチャック22の貫通孔22cに連通する吸引器により吸引が行われ、支持プレート22a上にあるウエハWはこの支持プレート22aに固定されることとなる。また、ウエハWが支持プレート22aに固定された後、処理液供給部材46が図
3に示すようなセンタリング位置から図2に示すような処理位置に戻り、各位置調整ピン78b、78cがウエハWから離間する。また、ウエハ位置調整機構70の本体部分74がスピンチャック22から離れるよう退避し、位置調整ピン78aがウエハWから離間する。
【0059】
次に、スピンチャック駆動モータ26によりスピンチャック22が図1および図2の矢印に示すように回転させられ、スピンチャック22により支持されるウエハWも一体的に回転させられる。この際に、ガス噴射・吸引部材52のガス噴射具により、ウエハWに向かってN2ガス等のガスが噴射され、同時に、ガス噴射・吸引部材52のガス吸引具により、下方へのガスの吸引が行われる。
【0060】
そして、図2に示すような処理位置にある処理液供給部材46の薬液供給ノズル46cから、ウエハWの表裏両面における周縁部に薬液が噴射される。このようにして、ウエハWの周縁部の薬液処理がまず行われる。このようなウエハWの薬液処理の間、スピンチャック22は低速回転される。次に、ウエハWの周縁部の薬液処理が終了したら、処理液供給部材46の純水供給ノズル46bからウエハWの表裏両面における周縁部に純水が噴射され、薬液が除去される。このようなウエハWのリンス処理の間も、スピンチャック22は低速回転される。その後、純水の供給を停止し、スピンチャック22を高速回転させることにより、ウエハWの周縁部の乾燥を行う。
【0061】
なお、上述のようなウエハWの薬液処理、リンス処理および乾燥処理の間、処理液供給ノズル46のN2ガス供給ノズル46aからN2ガスが常時噴射されている。このことにより、図4に示すように、ウエハWの薬液処理やリンス処理において、各ノズル46b、46cから噴射される薬液や純水が、処理液供給部材46におけるコの字の間隙部分46nから外部に流出することを抑制することができる。また、ウエハWの乾燥処理において、N2ガス供給ノズル46aからN2ガスが噴射されることにより、ウエハWの乾燥を促進させることができる。
【0062】
また、上述のようなウエハWの薬液処理、リンス処理および乾燥処理の間、処理液供給部材46の吸引管46dにより、コの字の間隙部分46nにある液体やガスが吸引される。このため、薬液供給ノズル46cから噴射される薬液や、純水供給ノズル46bから噴射される純水、およびこれらが蒸発することにより生成される薬液ガスや水蒸気が吸引管46dにより吸引されるようになり、これらの処理液やそのガスが処理空間36から外部に流出することを抑制することができる。
【0063】
さらに、上述のようなウエハWの薬液処理、リンス処理および乾燥処理の間、カップ30の下カップ部分34に設けられたN2ガス供給ノズル34hからN2ガスが処理空間36に向かって噴射される。また、上述のようなウエハWの薬液処理、リンス処理および乾燥処理の間、カップ30の上カップ部分32の貫通孔32aから下方にN2ガスが供給され、このN2ガスは処理空間36に向かうようになっている。このことにより、処理空間36にある処理液やそのガスが当該処理空間36から外部に流出することをより一層抑制することができる。
【0064】
また、上述のようなウエハWの薬液処理、リンス処理および乾燥処理の間、ガス噴射・吸引部材52のガス噴射具により、ウエハWに向かってN2ガス等のガスが噴射され、同時に、ガス噴射・吸引部材52のガス吸引具により、下方へのガスの吸引が行われる。このため、ウエハWを回転させている間、このウエハWにおける鉛直方向の揺動、とりわけウエハWの周縁部における鉛直方向の揺動を抑制することができる。
【0065】
ウエハWの乾燥処理が終了した後、ウエハWの回転を停止させ、処理液供給部材46のN2ガス供給ノズル46aからのN2ガスの噴射を停止させる。この際に、吸引管46dや吸引管34fによる吸引、およびN2ガス供給ノズル34hからのN2ガスの噴射も停止させる。また、ガス噴射・吸引部材52によるガスの噴射および吸引もそれぞれ停止させる。そして、貫通孔22cによる吸引も停止させ、スピンチャック22の支持プレート22aに対するウエハWの固定を解除する。
【0066】
その後、カップ開閉機構60によりカップ30を開いた状態とし、図示しない搬送アームによりウエハWをカップ30内から外部へ搬送する。このようにして、基板洗浄装置10によるウエハWの一連の洗浄工程が終了する。
【0067】
以上のように本実施の形態の基板洗浄装置10および基板洗浄方法によれば、カップ30の上カップ部分32および下カップ部分34により、ウエハWの周縁部を覆うような処理空間36を形成し、外部から処理空間36に処理液供給部材46を挿入し、ウエハWを回転させながら、処理空間36に挿入された処理液供給部材46によりウエハWの周縁部に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。ここで、上述のように形成される処理空間36は、スピンチャック22により支持されるウエハWの全面ではなくウエハWの周縁部のみを覆うようになっている。このように、ウエハWの洗浄を行うための処理空間36を形成し、この処理空間36を小型化するとともにシンプルなものとしているので、薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができる。また、薬液が処理空間36から外部に流出することが抑制されているので、カップ30や処理液供給部材46以外の周辺ユニット、具体的には例えばスピンチャック22やガス噴射・吸引機構50等について耐薬品性を考慮する必要がなくなる。さらに、処理液供給部材46は通常時はカップ30の外部にあるため、この処理液供給部材46のメンテナンスをオペレータは容易に行うことができるようになり、処理液供給部材46のメンテナンス性が向上する。
【0068】
また、処理液供給部材46は、ウエハWの表裏両面における周縁部にそれぞれ薬液や純水を供給するようになっているので、ウエハWの表裏両面における周縁部について薬液処理およびリンス処理等の洗浄処理を行うことができる。
【0069】
また、処理液供給部材46が処理空間36に挿入されたときに、蓋部材46pおよびシール部材46qにより処理液供給部材46とカップ30の下カップ部分34との間がシールされるようになっているので、処理空間36内にある薬液やそのガスが貫通孔34dから外部に流出することを防止することができるようになる。
【0070】
また、処理空間36の外部において、カップ30の下カップ部分34には、処理空間36に向かってN2ガスを噴射するN2ガス供給ノズル34hが設けられている。そして、このN2ガス供給ノズル34hからN2ガスが処理空間36に向かって噴射されることにより、処理空間36内にある薬液やそのガスが処理空間36から外部に流出しないようになっている。さらに、処理液供給部材46には、薬液供給ノズル46cや純水供給ノズル46b以外にも、N2ガス供給ノズル46aが設けられており、このN2ガス供給ノズル46aからN2ガスが処理空間36に噴射されることにより、処理空間36内にある薬液やそのガスが処理空間36から外部に流出しないようになっている。
【0071】
また、処理空間36内に連通し、この処理空間36から液体やガスを吸引して排液や排気を行う吸引管34fがカップ30の下カップ部分34に設けられている。このため、吸引管34fにより処理空間36からの排液や排気を行うことによって、処理空間36内にある薬液やそのガスが処理空間36から外部に流出することをより一層防止することができる。
【0072】
また、ウエハ位置調整機構70が設けられていることにより、スピンチャック22に対するウエハWの位置合わせを容易に行うことができる。とりわけ、ウエハ位置調整機構70に設けられた位置調整ピン78aおよび処理液供給部材46に設けられた位置調整ピン78b、78cによりスピンチャック22に対するウエハWの位置合わせ、すなわちウエハWのセンタリングを行っているので、シンプルな構成によりウエハWのセンタリングを精度良く行うことができる。
【0073】
なお、本発明による基板洗浄装置および基板洗浄方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0074】
例えば、ウエハWの周縁部に薬液や純水等の処理液を供給する処理液供給部材としては、ウエハWの表裏両面における周縁部にそれぞれ処理液を供給するものに限定されることはなく、ウエハWの表面(上面)または裏面(下面)のみにおける周縁部に処理液を供給するものであってもよい。また、更に他の処理液供給部材としては、ウエハWの表裏両面における周縁部に同時に処理液を供給する代わりに、ウエハWの表裏両面のいずれかにおける周縁部に選択的に処理液を供給することができるものであってもよい。
【0075】
また、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部を覆うような処理空間を形成する処理空間形成部として、上述のような上カップ部分32および下カップ部分34からなるカップ30を用いる代わりに、図8および図9に示すような、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の一部を覆うような略コの字状の部材を備えた構成とすることができる。
【0076】
このような変形例に係る基板洗浄装置について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本発明における基板洗浄装置の他の構成を示す側面図であって、処理液供給部材が退避位置にあるときの状態を示す図であり、図9は、図8に示す基板洗浄装置において、処理液供給部材が処理位置にあるときの状態を示す側面図である。なお、図8および図9に示す実施の形態において、図1乃至図7に示す基板洗浄装置と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
図8および図9に示すように、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の一部分を覆うような処理空間88を形成する処理空間形成部として、略コの字状の処理空間形成機構80が用いられている。処理空間形成機構80は、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の一部分を覆うよう設けられた略コの字状部材81と、この略コの字状部材81をベース20に固定する固定部材82とを有している。そして、略コの字状部材81のコの字の間隙部分が処理空間88となっている。
【0078】
略コの字状部材81は、互いに分離可能な上部分81aおよび下部分81bから構成されている。略コの字状部材81の下部分81bは固定部材82によりベース20に固定されている。一方、略コの字状部材81の上部分81aは昇降機構(図示せず)により鉛直方向(図8の上下方向)に昇降させられるようになっている。ウエハWが搬送アームによりスピンチャック22の支持プレート22a上に載置されたり、この支持プレート22a上からウエハWが搬送アームにより持ち上げられたりする際には、略コの字状部材81の上部分81aは下部分81bから上方に大きく離間するようになっている。
【0079】
略コの字状部材81の下部分81bには、後述する処理液供給機構90の処理液供給部材96が通過するための貫通孔83が水平方向に延びるよう設けられている。また、略コの字状部材81の下部分81bには、コの字の間隙部分である処理空間88にある液体やガスを吸引する吸引管84が設けられている。この吸引管84の基部には図示しない吸引器が設けられており、当該吸引器により処理空間88にある液体やガスが吸引管84を介して吸引されるようになっている。
【0080】
さらに、略コの字状部材81の上部分81aおよび下部分81bには、スピンチャック22により支持されるウエハWを挟むよう、上下一対のN2ガス供給ノズル85、86がそれぞれ設けられている。このN2ガス供給ノズル85、86は、略コの字状部材81の処理空間88よりもスピンチャック22側に設けられており、N2ガスを処理空間88に向かって噴射するようになっている。
【0081】
このように、処理空間88の外部において、処理空間88に向かってN2ガスを噴射するN2ガス供給ノズル85、86が設けられており、このN2ガス供給ノズル85、86からN2ガスが処理空間88に向かって噴射されることにより、処理空間88内にある薬液やそのガスが処理空間88から外部に流出しないようになっている。
【0082】
また、図8および図9に示すような基板洗浄装置においては、ウエハWの周縁部に薬液や純水等の処理液を供給する処理液供給部として、図1乃至図7に示すような処理液供給機構40の代わりに、別の構成の処理液供給機構90が用いられている。この処理液供給機構90も、処理液供給機構40と同様に、処理空間形成機構80により形成される処理空間88に外部から挿入可能となっており、当該処理空間88内にあるウエハWの周縁部に薬液(例えば、フッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸)や純水等の処理液、および窒素ガス(N2ガス)を供給するようになっている。以下、図8および図9に示すような処理液供給機構90の構成について説明する。
【0083】
処理液供給機構90は、支柱部材92と、支柱部材92の上部に取り付けられた処理液供給部材96と、支柱部材92の下端に設けられたベース部材94とを有している。
【0084】
ここで、ベース20には、スピンチャック22により支持されるウエハWの径方向に沿って、図8の左右方向に延びる案内レール24が設けられており、処理液供給機構90のベース部材94は案内レール24上を図8の左右方向に移動するようになっている。この案内レール24の両端部には、それぞれベース部材94の移動範囲を規制するためのストッパ24a、24bが設けられている。
【0085】
支柱部材92の上部に取り付けられた処理液供給部材96は、図1乃至図7、とりわけ図4および図5に示すような処理液供給部材46と略同一の構成となっている。すなわち、処理液供給部材96は、支柱部材92およびベース部材94と一体的に、ウエハWの径方向に沿って図8の左右方向に移動するようになっている。そして、この処理液供給部材96は、図8および図9に示すようにウエハWを挟むような略コの字状となっており、コの字の間隙部分96nに挟まれたウエハWに対して薬液や純水等の処理液、およびN2ガスを供給するようになっている。
【0086】
ここで、前述のように略コの字状部材81の下部分81bには貫通孔83が設けられているが、処理液供給部材96の高さは、当該処理液供給部材96が貫通孔83を通過することができるような大きさに設定されている。すなわち、処理液供給部材96は略コの字状部材81の貫通孔83を通過するよう、図8の左右方向に移動するようになっている。更に詳しく説明すると、処理液供給部材96は、ベース部材94が案内レール24上で移動することによって、図8に示すような、当該処理液供給部材96が処理空間88の外部に退避した退避位置と、図9に示すような、処理液供給部材96が処理空間88内に位置するような処理位置との間で、貫通孔83を介して往復移動するようになっている。なお、図8および図9に示すように、処理液供給部材96の退避位置は、スピンチャック22に対して処理位置よりも外側にあるようになっている。そして、ウエハWがスピンチャック22により支持されたときに、処理液供給部材96が処理位置にあるときには、この処理液供給部材96におけるコの字の間隙部分96nにウエハWが挟まれるようになっている。
【0087】
また、図8および図9に示すように、処理液供給部材96には、例えばゴム等のOリングからなるシール部材96aが設けられており、この処理液供給部材96が略コの字状部材81の貫通孔83を介して処理空間88に挿入されて当該処理液供給部材96が処理位置に移動したときに、処理液供給部材96と略コの字状部材81との間でシール部材96aによりシールがなされるようになっている。
【0088】
以上のように図8および図9に示すような基板洗浄装置においても、略コの字状部材81を有する処理空間形成機構80により、ウエハWの周縁部の一部を覆うような処理空間88を形成し、外部から処理空間88に処理液供給部材96を挿入し、ウエハWを回転させながら、処理空間88に挿入された処理液供給部材96によりウエハWの周縁部に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。このように、ウエハWの洗浄を行うための処理空間88を形成し、この処理空間88を小型化するとともにシンプルなものとしているので、薬液の蒸発により生成される薬液のガスの排気量を少なくすることができるとともにこの薬液のガスの排気のコントロールを容易に行うことができる。また、薬液が処理空間88から外部に流出することが抑制されているので、略コの字状部材81や処理液供給部材96以外の周辺ユニット、具体的には例えばスピンチャック22等について耐薬品性を考慮する必要がなくなる。さらに、処理液供給部材96は通常時は略コの字状部材81の外部にあるため、この処理液供給部材96のメンテナンスを容易に行うことができるようになり、処理液供給部材96のメンテナンス性が向上する。
【0089】
また、処理液供給部材96が処理空間88に挿入されたときに、シール部材96aにより処理液供給部材96と略コの字状部材81との間がシールされるようになっているので、処理空間88内にある薬液やそのガスが貫通孔83から外部に流出することを防止することができるようになる。
【0090】
また、処理空間88の外部において、略コの字状部材81には、処理空間88に向かってN2ガスを噴射する上下一対のN2ガス供給ノズル85、86が設けられている。そして、これらのN2ガス供給ノズル85、86からN2ガスが処理空間88に向かって噴射されることにより、処理空間88内にある薬液やそのガスが処理空間88から外部に流出しないようになっている。
【0091】
また、処理空間88内に連通し、この処理空間88から液体やガスを吸引して排液や排気を行う吸引管84が処理空間形成機構80に設けられている。このため、吸引管84による処理空間88からの排液や排気を行うことにより、処理空間88内にある薬液やそのガスが処理空間36から外部に流出することをより一層防止することができる。
【0092】
なお、更に他の処理空間形成部の構成としては、図8および図9に示すようなスピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の一部分を覆うような処理空間形成機構80に限定されることはなく、他の処理空間形成機構として、断面が図8および図9に示すような略コの字形状となっており、スピンチャック22により支持されるウエハWの周縁部の一部分ではなく全部を覆うような処理空間形成機構を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一の実施の形態の基板洗浄装置の構成を示す側面図であって、ウエハを収容するカップが開かれるとともに処理液供給部材が退避位置にあるときの状態を示す図である。
【図2】本発明の一の実施の形態の基板洗浄装置の構成を示す側面図であって、ウエハを収容した後にカップが閉じるとともに処理液供給部材が処理位置に移動したときの状態を示す図である。
【図3】図1および図2に示す基板洗浄装置を上方から見た、ウエハ位置調整機構の構成の概略を示す概略構成図である。
【図4】図1および図2に示す基板洗浄装置における処理液供給部材の構成の詳細をウエハとともに示す側断面図である。
【図5】図4に示す処理液供給部材を上方から見た上面図である。
【図6】図1および図2に示す基板洗浄装置におけるカップの開閉を行うカップ開閉機構の構成を示す側面図であって、カップが開かれたときの状態を示す図である。
【図7】図1および図2に示す基板洗浄装置におけるカップの開閉を行うカップ開閉機構の構成を示す側面図であって、カップが閉じられたときの状態を示す図である。
【図8】本発明における基板洗浄装置の他の構成を示す側面図であって、処理液供給部材が退避位置にあるときの状態を示す図である。
【図9】図8に示す基板洗浄装置において、処理液供給部材が処理位置にあるときの状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0094】
10 基板洗浄装置
20 ベース
22 スピンチャック
22a 支持プレート
22b 回転体
22c 貫通孔
22d プーリー
24 案内レール
24a、24b ストッパ
26 スピンチャック駆動モータ
28 循環ベルト
30 カップ
32 上カップ部分
32a 貫通孔
34 下カップ部分
34a ベース部材
34b 側壁部材
34c シール部材
34d 貫通孔
34e 貫通孔
34f 吸引管
34g N2ガス供給部材
34h N2ガス供給ノズル
36 処理空間
40 処理液供給機構
42 モータ
44 ボールネジ
46 処理液供給部材
46a N2ガス供給ノズル
46b 純水供給ノズル
46c 薬液供給ノズル
46d 吸引管
46g N2ガス供給管
46h 純水供給管
46i 薬液供給管
46n 間隙部分
46p 蓋部材
46q シール部材
48 固定部材
50 ガス噴射・吸引機構
52 ガス噴射・吸引部材
54 固定部材
60 カップ開閉機構
62 上部サポート部材
62a 上部リニアスライド
64 下部サポート部材
64a 下部リニアスライド
66 昇降シリンダ
68 案内部材
68a 第1ストッパ
68b 第2ストッパ
68c 第3ストッパ
68d 第4ストッパ
68e 案内レール
70 ウエハ位置調整機構
72 ベース部分
72a 案内レール
74 本体部分
74a リニアスライド
76 アーム
76a フランジ部材
78a、78b、78c 位置調整ピン
80 処理空間形成機構
81 略コの字状部材
81a 上部分
81b 下部分
82 固定部材
83 貫通孔
84 吸引管
85、86 N2ガス供給ノズル
88 処理空間
90 処理液供給機構
92 支柱部材
94 ベース部材
96 処理液供給部材
96a シール部材
96n 間隙部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の周縁部の洗浄を行う基板洗浄装置であって、
被処理基板を支持するとともに回転させる回転支持部と、
前記回転支持部により支持される被処理基板の周縁部を覆うような処理空間を形成する処理空間形成部と、
前記処理空間形成部により形成される処理空間に外部から挿入可能となっており、当該処理空間内にある被処理基板の周縁部に処理液を供給する処理液供給部と、
を備えたことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記処理空間形成部により形成される処理空間は、前記回転支持部により支持される被処理基板全面ではなく当該被処理基板の周縁部のみを覆うようになっていることを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記処理液供給部は、被処理基板の表裏両面における周縁部にそれぞれ処理液を供給するようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記処理空間形成部には、前記処理液供給部が通過可能な開口が設けられており、
前記処理液供給部は、当該処理液供給部が前記処理空間内に位置するような処理位置と、前記処理液供給部が前記処理空間の外部に退避した退避位置との間で、前記開口を介して往復移動自在となっており、
前記処理液供給部が前記処理空間に挿入されたときに、当該処理液供給部と前記処理空間形成部との間がシールされるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記処理空間の外部に、当該処理空間に向かってガスを噴射するガス供給部が設けられており、前記ガス供給部からガスが前記処理空間に向かって噴射されることにより、この処理空間内の処理液または処理液のガスが前記処理空間から外部に流出しないようになっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記処理空間内に連通し、当該処理空間から処理液やガスを吸引して排液や排気を行う吸引部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整を行う位置調整部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記位置調整部は、被処理基板の側面に当接可能な複数の位置調整部材を有し、少なくとも1つの位置調整部材は、前記回転支持部により支持される被処理基板に向かって移動自在となっており、被処理基板がこれらの複数の位置調整部材に挟まれることにより前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整が行われることを特徴とする請求項7記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
前記複数の位置調整部材のうち少なくとも1つの位置調整部材が前記処理液供給部に設けられており、当該処理液供給部は、前記位置調整部により前記回転支持部に対する被処理基板の位置の調整が行われる際に、当該処理液供給部に設けられた位置調整ピンが被処理基板の位置合わせに適した位置となるような位置に移動させられることを特徴とする請求項8記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
前記回転支持部により支持される被処理基板の下方に距離を隔てて設けられ、ガスを上方に向かって噴射するガス噴射部分と、ガスを下方に吸引するガス吸引部分とを有するガス噴射・吸引部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
被処理基板の周縁部の洗浄を行う基板洗浄方法であって、
処理空間形成部により、被処理基板の周縁部を覆うような処理空間を形成する工程と、
外部から前記処理空間に処理液供給部を挿入する工程と、
被処理基板を回転させながら、前記処理空間に挿入された前記処理液供給部により被処理基板の周縁部に処理液を供給する工程と、
を備えたことを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項12】
前記処理空間形成部により形成される処理空間は、被処理基板全面ではなく被処理基板の周縁部のみを覆うようになっていることを特徴とする請求項11記載の基板洗浄方法。
【請求項13】
前記処理空間形成部には、前記処理液供給部が通過可能な開口が設けられており、
外部から前記処理空間に処理液供給部を挿入する際に、当該処理液供給部が前記処理空間の外部に退避した退避位置から、前記処理液供給部が前記処理空間内に位置するような処理位置まで、前記開口を介して前記処理液供給部を移動させることを特徴とする請求項11または12記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記処理空間の外部から当該処理空間に向かってガスを噴射し、この処理空間内の処理液または処理液のガスが前記外部領域に流出しないようにすることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項15】
前記処理液供給部により被処理基板の周縁部に処理液を供給する際に、前記処理空間から処理液やガスを吸引して排液や排気を行うことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項16】
被処理基板の下方に距離を隔てて設けられたガス噴射・吸引部により、ガスを上方に向かって噴射するとともに、ガスを下方に吸引することを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−147152(P2009−147152A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323552(P2007−323552)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】