説明

基板洗浄装置

【課題】洗浄部近傍の吸引状態を確実に検出することが可能でかつ吸引気流に含まれる揮発性ガスと接触せずに安価な流量検出手段にて検出する。
【解決手段】揮発性洗浄剤が供給される洗浄部10と、洗浄部10を基板1の洗浄箇所に沿って相対移動させる移動手段3と、洗浄部10の近傍の雰囲気を吸引して排出する排気手段20とを備え、排気手段20は、洗浄部10の近傍に開口する吸込口21と排気ファン22を接続する吸引経路23と、吸引経路23に分岐接続された外気吸入経路24と、外気吸入経路24に吸入される吸入流量を検出する流量検出手段25とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用やプラズマディスプレイ用のガラス基板などの各種基板の所要箇所を揮発性洗浄剤を用いて洗浄する基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば上記ガラス基板の製造工程においては、図7に示すように、ガラス基板41の端縁部に形成された電極42に各種部品44を実装する工程がある。その実装工程では、工程(a)で、供給されたガラス基板41における電極42が配置されている端縁部に付着している異物を除去する洗浄工程を行い、次に工程(b)で、電極配置端縁部に異方性導電膜(ACF)43を貼り付けるACF貼付工程を行い、次に工程(c)で、電極配置位置に部品44を供給して仮圧着した後、熱と圧力を加えて本圧着する工程が行われる。
【0003】
上記基板端縁部の表面付着物を洗浄する基板洗浄装置としては、吐出ヘッドから洗浄テープに洗浄剤を供給した後、洗浄テープを押し付け部材の基板表面に対向する面に供給し、押し付け部材にて洗浄テープを基板端縁部に押し付け、その状態で押し付け部材と基板を相対移動させて基板端縁部を洗浄し、その後押し付け部材による押し付けを解除するという動作を行うようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、上記押し付け部材における、基板表面に対向する面より洗浄テープの送り方向上手側の楔面に洗浄剤を吐出する吐出孔を設けたもの(特許文献2参照)や、洗浄テープに所要量の洗浄剤が確実に供給されているか否かを検出できるように、洗浄テープに洗浄剤を滴下させるノズルと、洗浄剤が滴下した部分の色調を変化させる洗浄剤と、色調の変化を検出するカメラを備えたものも知られている(特許文献3参照)。
【0005】
また、基板端縁の不要薄膜を溶解除去する基板端縁洗浄装置として、基板端縁に向けて溶剤を吐出する溶剤吐出手段と、溶剤にて溶解された溶解物を溶剤とともに吸引する吸引手段と、溶剤吐出手段と吸引手段を同時に作動させた後、さらに吸引手段のみを作動させて基板端縁に溶剤が残らないように制御する制御手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2001−170593号公報
【特許文献2】特開2006−58906号公報
【特許文献3】特開2003−220369号公報
【特許文献4】特許第3373047号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1〜3に記載された基板洗浄装置においては、洗浄剤を含んだ洗浄テープを押し付け部材にて基板端縁部に押し付けている洗浄部で、洗浄剤中の有機溶剤などの揮発性の溶剤が揮発し、洗浄部の周辺に揮発ガスが滞留したり拡散したりするため、工場建屋内の全体的な換気とは別に洗浄部近傍で局所的な排気を行わないと、周辺の雰囲気の悪化を来たすという問題がある。そこで、特許文献1〜3に記載された基板洗浄装置においても、特許文献4に記載されているような吸引手段を設けて洗浄部の近傍の雰囲気を排気ファンで吸引して排気するように構成されている。
【0007】
また、上記ガラス基板に対する部品の実装工程を、省人化又は無人化工場における自動生産によって行っている場合、上記吸引手段が確実に作動していない状態を生じると、作業者や管理者が気づかないうちに、基板洗浄装置の周辺で洗浄剤の揮発ガスの濃度が異常に高くなっている危険性がある。そこで、上記吸引手段には、排気ファンによる排気が正常に行われているか否かを確認できるように、その吸引経路、または排気ファン出口側の排気経路に流量センサ又は圧力センサなどの排気検出手段が配設されている。
【0008】
しかし、吸引気流には揮発ガスが含まれているため、上記排気検出手段には耐薬品性と防爆構造を有する特殊仕様のものを用いる必要があり、設備コストが高くなるという問題がある。また、そのような排気検出手段は配設箇所に制限を受けることになり、かつそれに伴って排気検出手段の配設箇所より上流側で吸引経路が外れたり破損したりしてそこから外気が流入した場合には、洗浄部近傍の雰囲気の吸引が正常に行われていないのにそれを検出できない事態が発生するという問題がある。さらに、上記排気検出手段の構成では、その配設箇所で吸引経路の流路断面積が狭くなるので、排気ファンによる排気効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、洗浄部近傍での吸引状態を確実に検出することが可能でかつ吸引気流に含まれる揮発性ガスと接触せずに安価な流量検出手段にて検出することができ、また吸引経路の流路断面積を狭くする必要がなく、高い排気効率が得られる基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基板洗浄装置は、揮発性洗浄剤が供給される洗浄部と、洗浄部近傍の雰囲気を吸引して排出する排気手段とを備えた基板洗浄装置において、排気手段は、洗浄部近傍に開口する吸込口と排気ファンを接続する吸引経路と、吸引経路に分岐接続された外気吸入経路と、外気吸入経路に吸入される吸入流量を検出する流量検出手段とを備えたものである。
【0011】
この構成によれば、洗浄部近傍に開口する吸込口と排気ファンを接続する吸引経路に分岐接続した外気吸入経路に流量検出手段を設けているので、排気ファンが作動させて吸込口から洗浄部近傍の揮発ガスを含む雰囲気を吸引すると、揮発ガスを含まない外気が外気吸入経路に吸入され、その吸入流量を流量検出手段にて検出することで、吸引気流に含まれる揮発性ガスと接触せずに安価な流量検出手段にて洗浄部近傍の吸引状態を確実に検出することができ、また外気吸入経路の分岐接続部を吸込口に配置すると、排気ファンの回転が低下したり止まったりした場合だけでなく、分岐接続部より下流の吸引経路で吸引管が外れたり破損したりして吸込口での吸引状態が悪化した場合も確実に検出することができ、また流量検出のために吸引経路の流路断面積を狭くする必要がなく、かつ外気吸入経路に吸入される外気の流量は少なくて良いので、排気ファンの排気効率を向上することができる。
【0012】
また、洗浄部は基板の洗浄箇所に洗浄部材を押し付け可能な押圧子を備え、押圧子における洗浄箇所に対向する面に洗浄部材を供給する洗浄部材供給手段と、洗浄部材に揮発性洗浄剤を含ませる洗浄剤供給手段と、洗浄部が基板の洗浄箇所に沿って相対移動する様に基板を移動させる移動手段とを設け、押圧子にて揮発性洗浄剤を含んだ洗浄部材を基板の洗浄箇所に接触させて基板の洗浄箇所に沿って相対移動させることで、基板の洗浄箇所を洗浄することができ、かつその洗浄部近傍の雰囲気を上記排気手段にて確実に吸引して排気することができる。
【0013】
また、吸引経路を、吸込口を有する吸込口部材と吸引管にて構成し、吸込口部材における吸込口と吸引管の接続部との間に外気吸入経路の接続口を設けると、外気吸入経路の分岐接続を簡単に行え、かつその分岐接続部が吸込口の近傍に配置されるので、上記のように排気ファンが回転していない場合だけでなく、吸引管が吸込口より下流のどの箇所で外れたり、破損したりした場合についても、確実に検出することができる。
【0014】
また、吸引経路と外気吸入経路の流路断面積の比を、吸引経路の流路断面積をA、外気吸入経路の流路断面積をBとして、A≧50*B、好適にはA≧100*Bとすると、吸引経路に外気吸入経路を分岐接続しても、吸引経路に吸入される外気の流量が極めて少ないため、排気ファンによる排気効率が低下することはない。
【0015】
また、外気吸入経路の先端開口を、洗浄部の上部空間から離れた位置に配置すると、吸入される外気に揮発性ガスが含まれる恐れを無くすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基板洗浄装置によれば、洗浄部近傍の揮発ガスを含む雰囲気を吸引する際に外気吸入経路に吸入される揮発ガスを含まない外気の流量を流量検出手段にて検出するので、安価な流量検出手段にて洗浄部近傍の吸引状態を検出でき、また外気吸入経路の分岐接続部を吸込口に配置することで、排気ファンの回転が低下したり止まったりした場合だけでなく、分岐接続部より下流の吸引経路で吸引管が外れたり破損したりして吸込口での吸引状態が悪化した場合も確実に検出することができ、また流量検出のために吸引経路に狭い流路部を設ける必要がなく、かつ外気吸入経路に吸入される外気の流量は少なくて良いので、排気ファンの排気効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を、液晶表示パネルのガラス基板の端縁部を洗浄してその端縁部に付着した異物を除去する基板洗浄装置に適用した一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0018】
図1〜図3において、本実施形態の基板洗浄装置は、ガラス基板などの基板1を基板洗浄装置に搬入する基板搬送手段2と、基板搬送手段2から基板1を受け取って洗浄動作に伴う移動を行う移動手段3と、基板1の洗浄を行う洗浄機構部4とを備え、各々基台5上に配設されている。なお、基板1の搬出は、後続工程であるACF貼付装置(図示せず)に設けられた、基板搬送手段2と同様の基板搬送手段(図示せず)にて行われる。
【0019】
基板搬送手段2は、基板1を載置して両持支持する一対の支持アーム6a、6aを有する基板載置部6と、基板載置部6を基板搬送方向であるX方向に往復移動させる駆動機構7にて構成されている。駆動機構7は、基板載置部6を移動自在に支持する支持レール部7aと、モータ7cにて駆動されて基板載置部6を移動させる送りねじ機構7bにて構成されている。
【0020】
移動手段3は、基板1の中央部を載置支持する基板保持部8と、基板保持部8をX方向と、それに直行するY方向と、垂直なZ方向と、Z軸回りのθ方向の移動及び位置決めを行う移動テーブル9にて構成されている。この移動手段3は、基板1を基板保持部8上に保持し、基板1の端縁部の洗浄箇所の一端を洗浄機構部4における後述の洗浄部10に位置決めするとともに、洗浄動作に伴って洗浄部10が洗浄箇所に沿ってその他端まで相対移動するように基板1を移動させる。
【0021】
洗浄機構部4について説明すると、洗浄部10は、図2〜図6に示すように、基板保持部8にて保持された基板1の端縁部の上下に対向するように配置された一対の押圧子11a、11bを備え、両押圧子11a、11bをチャック機構(図示せず)にて開閉駆動するように構成されている。この押圧子11a、11bにて、基板1の端縁部の洗浄箇所の上下両面に洗浄部材である洗浄テープ12を押し付けるように構成されている。なお、押圧子11a、11b及びチャック機構(図示せず)は、基板1の高さ位置との位置ずれを吸収できるように上下方向に弾性的に支持されている。
【0022】
洗浄テープ12は、押圧子11a、11bのそれぞれに対応して設けられた、洗浄部材供給手段としての供給リール13a、13bから適宜ガイドローラ14を介して押圧子11a、11bに供給され、押圧子11a、11bにおける基板1の洗浄箇所に対向する押圧面15の上手側に設けられた傾斜ガイド面16を通過して押圧面15に導かれる。押圧面15にて基板1の洗浄箇所に接触されて洗浄を行った後の洗浄テープ12は、適宜ガイドローラ14を介して回収リール17a、17bに巻き取られる。洗浄テープ12は、供給リール13a、13bと回収リール17a、17bにて1回もしくは所定回数の洗浄動作毎にピッチ送りされる。
【0023】
押圧子11a、11bの傾斜ガイド面16には、エタノールやイソプロピルアルコールなどの揮発性洗浄剤を洗浄テープ12に向けて吐出するように、洗浄剤供給手段としての吐出孔18が開口されている。揮発性洗浄剤は、洗浄テープ12がピッチ送りされる前に、洗浄剤供給部(図示せず)から供給配管及び押圧子11a、11bに設けられた流路を介して吐出孔18に所定量づつ圧送されて洗浄テープ12に向けて吐出される。揮発性洗浄剤は、洗浄テープ12に含まれると、単に洗浄テープ12が濡れて色が変化することを含め洗浄テープ12の色を変化させるものが用いられている。また、押圧子11a、11bの傾斜ガイド面16に対向して、洗浄テープ12の色の変化状態を検出する検出センサ19が配設され、洗浄テープ12に所要量の揮発性洗浄剤が適正に吐出されたことを確認できるように構成されている。
【0024】
本実施形態の基板洗浄装置には、洗浄部10の周辺の雰囲気を吸引する排気手段20が設けられている。排気手段20は、洗浄部10の下部近傍に開口する吸込口21と、基台5の下部に配設された排気ファン22と、吸込口21と排気ファン22を接続する吸引経路23と、吸引経路23に分岐接続された外気吸入経路24と、外気吸入経路24に吸入される吸入流量を検出する流量検出手段25にて構成されている。排気ファン22の排出口は排気ダクト22aにて工場設備の排気ダクト(図示せず)に接続されている。
【0025】
吸引経路23は、吸込口部材26と吸引管27にて構成されている。吸込口部材26は、一端部上面に吸込口21が設けられ、他端部に吸引管27を接続する接続部28が下方に突出させて設けられた細長い箱体にて構成されている。この吸込口部材26の下面の吸込口21と接続部28の間の位置に、外気吸入経路24を接続する接続口29が設けられている。外気吸入経路24の先端は洗浄部10の上部空間から離れた斜め上方位置に配置され、その開口端にはフィルタ30が取り付けられ、その直下に流量検出手段25が配置されている。
【0026】
具体例を示すと、吸引管27には内径が55mm程度のパイプが用いられ、外気吸入経路24には内径が4mm程度のチューブ材が用いられ、排気ファン22として最大風量が1800l/minのものが用いられる。この排気ファン22にて1000〜1800l/min程度の風量で吸引した場合、吸引管27にはほぼ同流量の吸引エアが流れ、それに伴って外気吸入経路24には1.5〜3.0l/minの流量のエア流量が流れる。このエア流量は、0.3〜10.0l/minの流量を検出することができる流量検出手段25にて精度良く検出することができる。ここで、吸引経路23の流路断面積をA、外気吸入経路24の流路断面積をBとして、A>Bで、好適にはA≧50*B、径差で7倍以上、さらに好適にはA≧100*B、径差で10倍以上とすることで、吸込口21からの雰囲気の吸引力に影響を与えず十分な吸引力を確保しつつ吸引経路23を流れる吸引気流の流量を精度良く検出することができる。
【0027】
次に、以上の構成の基板洗浄装置にて基板1の端縁部の洗浄を行う工程を説明する。基板搬送手段2にて基板1が基板洗浄装置に搬入されると、基板1を移動手段3の基板保持部8上に受け取る。移動手段3は、基板1の洗浄箇所である端縁部の一端が、洗浄部10における一対の押圧子11a、11bの間に位置するように基板1を移動させて位置決めする。次に、洗浄部10のチャック機構(図示せず)にて一対の押圧子11a、11b間の隙間を閉じ、押圧子11a、11bの押圧面15にて洗浄テープ12が基板1の洗浄箇所に接触された状態にする。
【0028】
洗浄テープ12は、押圧面15に供給される前の傾斜ガイド面16に対向位置しているときに吐出孔18から洗浄剤が吐出されて、所要量の洗浄剤を含んだ状態で押圧面15と基板1の洗浄箇所の間に供給されている。また、洗浄テープ12に含んだ洗浄剤の滲み31(図6参照)を検出センサ19にて検出することで、洗浄テープ12に洗浄剤を十分に含んでいることが確認されている。
【0029】
また、基板洗浄装置の電源がオンされたときに、排気手段20の排気ファン22が作動され、洗浄部10の近傍の雰囲気が吸込口21から吸引され、吸引経路23、排気ファン22、排気ダクト22aを通して工場の排気ダクト(図示せず)に排出される。これによって、洗浄部10の近傍に放散した揮発ガスが吸引されて効率的に外部に排出され、揮発ガスが滞留する危険が確実に解消されている。
【0030】
また、その排気が適切に行われているか否かが、吸引経路23中の吸引気流に伴って外気吸入経路24に吸入される外気の流入流量を流量検出手段25で検出することによって精度良く検出される。例えば、正常な吸引運転時には流量検出手段25による検出流量が3.0l/min程度であるとして、その場合の下限流量閾値を1.5l/minに設定し、検出流量がこの下限流量閾値まで低下すると、排気ファン22の故障や吸引経路23での吸引管27の外れ・破損等により適正な吸引が行われていないと判断して、警報を発したり、基板洗浄装置の運転を停止したりする。
【0031】
このように押圧子11a、11bの押圧面15にて洗浄テープ12が基板1の洗浄箇所に接触され、吸引手段20が正常に作動している状態で、移動手段3を作動させて押圧子11a、11bを基板1の端縁部に沿って洗浄箇所の他端に向けて相対移動させる様に基板1を移動させることで、基板1の洗浄箇所を洗浄する。なお、この洗浄動作は、洗浄方向は1方向のみで行われ、かつ基板1の洗浄箇所に対し1回又は所定回数の洗浄動作が行われる。
【0032】
その後、チャック機構(図示せず)にて一対の押圧子11a、11bを開き、移動手段3にて基板1を洗浄部10から離間させ、後続工程のACF貼付装置の基板搬送装置(図示せず)に受け渡す。そして、基板搬送手段2にて次の基板1が搬入され、以上の洗浄工程が繰り返される。また、1回もしくは、所定回数の洗浄動作毎に吐出孔18から洗浄剤が吐出され、洗浄テープ12に洗浄剤を十分に含んでいることが確認された後、供給リール13a、13bと回収リール17a、17bにて洗浄テープ12がピッチ送りされる。
【0033】
なお、排気ファン22による排気量及びその時の入力電力と、流量検出手段25による検出流量との関係を予め求めておいて、流量検出手段25による検出流量に基づいて排気ファン22を駆動制御することで、排気ファン22の排気量、すなわち吸込口21での吸引気流の流量が所定流量となるように制御しても良い。また、流量検出手段25による検出流量によって、吸込口21の近傍での吸引状態をモニターできるようにしても良い。
【0034】
本実施形態によれば、排気ファン22を作動させて吸込口21から洗浄部10の近傍の揮発ガスを含む雰囲気を吸引する際に、揮発ガスを含まない外気が外気吸入経路24に吸入され、その吸入流量を流量検出手段25にて検出するようにしているので、洗浄部10からの吸引気流に含まれる揮発ガスと接触せずに安価な流量検出手段25にて洗浄部10近傍の吸引状態を確実に検出することができ、コスト低下を図ることができる。また、外気吸入経路24の先端開口を、洗浄部10の上部空間から離れた位置に配置しているので、吸入される外気に揮発ガスに含まれる恐れを無くすことができる。
【0035】
また、吸引経路23を、吸込口21を有する吸込口部材26と吸引管27にて構成し、
吸込口部材26における吸込口21と吸引管27の接続部28との間に外気吸入経路24の接続口29を設けているので、外気吸入経路24の分岐接続を簡単に行え、かつ外気吸入経路24の分岐接続部が吸込口21の近傍に配置されるので、排気ファン22の回転が低下したり止まったりした場合だけでなく、吸込口部材26より下流の吸引経路23で吸引管27が外れたり破損したりしたために、吸込口21での吸引状態が悪化した場合にも確実に検出することができ、洗浄部10近傍の雰囲気の吸引状態を確実に検出して、高い安全性を確保できる。
【0036】
また、従来のように流量検出手段の配置部で吸引経路23の流路断面積を狭くする必要がなく、かつ外気吸入経路24に吸入される外気の流量は少なくて良いので、排気ファン22の排気効率を向上することができる。すなわち、吸引経路23と外気吸入経路24の流路断面積の比を、図5に示すように、吸引経路23の流路断面積をA、外気吸入経路の流路断面積をBとして、A≧50*B、好適にはA≧100*Bとすることで、吸引経路23に外気吸入経路24を分岐接続しても、吸引経路23に吸入される外気の流量が極めて少ないため、排気ファン22による排気効率が低下することはない。
【0037】
なお、上記実施形態では、洗浄部10を、揮発性洗浄剤を含んだ洗浄テープ12を押圧子11a、11bにて基板1の洗浄箇所に接触させるように構成し、この洗浄部10が移動手段3にて基板1の洗浄箇所に沿って相対移動するように基板1を移動させているので、コンパクトな構成の洗浄部10にて基板1の洗浄箇所を洗浄することができ.かつその洗浄部10近傍の雰囲気を上記排気手段20にて確実に吸引して排気することができるが、本発明における洗浄部はこれに限定されるものではなく、基板の洗浄箇所に向けて洗浄剤を直接吐出するようにした基板洗浄装置において、洗浄剤の回収手段を設けるとともに、揮発したガスを含む雰囲気を上記排気手段にて吸引して排気するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の基板洗浄装置によれば、洗浄部近傍の揮発ガスを含む雰囲気を吸引する際に外気吸入経路に吸入される揮発ガスを含まない外気の流量を流量検出手段にて検出するので、安価な流量検出手段にて洗浄部近傍の吸引状態を検出でき、また外気吸入経路の分岐接続部を吸込口の近傍に配置することで、排気ファンの回転が低下したり止まったりした場合だけでなく、分岐接続部より下流の吸引経路で吸引管が外れたり破損したりして吸込口での吸引状態が悪化した場合も確実に検出することができ、洗浄部近傍の揮発性ガスによる雰囲気の悪化を確実に防止した状態で基板を洗浄することができるので、各種基板に各種部品を実装する部品実装装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の基板洗浄装置の一実施形態の全体概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態の要部構成を示す側面図。
【図3】図2の部分拡大側面図。
【図4】同実施形態における排気手段の構成を示す正面図。
【図5】図4の部分拡大正面図。
【図6】同実施形態における洗浄部と排気手段の要部構成を示す斜視図。
【図7】ガラス基板に対する部品実装工程を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
3 移動手段
10 洗浄部
11a、11b 押圧子
12 洗浄テープ(洗浄部材)
13a、13b 供給リール(洗浄部材供給手段)
18 吐出孔(洗浄剤供給手段)
20 排気手段
21 吸込口
22 排気ファン
23 吸引経路
24 外気吸入経路
25 流量検出手段
26 吸込口部材
27 吸引管
28 接続部
29 接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性洗浄剤が供給される洗浄部と、洗浄部近傍の雰囲気を吸引して排出する排気手段とを備えた基板洗浄装置において、排気手段は、洗浄部近傍に開口する吸込口と排気ファンを接続する吸引経路と、吸引経路に分岐接続された外気吸入経路と、外気吸入経路に吸入される吸入流量を検出する流量検出手段とを備えたことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
洗浄部は基板の洗浄箇所に洗浄部材を押し付け可能な押圧子を備え、押圧子における洗浄箇所に対向する面に洗浄部材を供給する洗浄部材供給手段と、洗浄部材に揮発性洗浄剤を含ませる洗浄剤供給手段と、洗浄部が基板の洗浄箇所に沿って相対移動する様に基板を移動させる移動手段とを設け、押圧子にて揮発性洗浄剤を含んだ洗浄部材を基板の洗浄箇所に接触させて洗浄箇所に沿って移動させることを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
吸引経路を、吸込口を有する吸込口部材と吸引管にて構成し、吸込口部材における吸込口と吸引管の接続部との間に外気吸入経路の接続口を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
吸引経路の流路断面積をA、外気吸入経路の流路断面積をBとして、A≧50*Bであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
外気吸入経路の先端開口を、洗浄部の上部空間から離れた位置に配置したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−221154(P2008−221154A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64434(P2007−64434)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】