説明

基板洗浄装置

【課題】基板の表面にウォーターマークが形成されることを防止することができる基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】
本発明の基板洗浄装置は、基板Wを水平に保持する基板保持機構1と、基板保持機構1に保持された基板Wを回転させる回転機構2と、基板Wに洗浄液を供給する液供給ノズル4と、基板Wの周囲に配置され、基板Wとほぼ同一速度で回転する回転カバー3とを備える。この回転カバー3は、基板Wを囲む内周面を有し、内周面は、その下端から上端まで、径方向内側に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に洗浄液(例えば、純水や薬液)を供給して基板を洗浄し、洗浄した基板を乾燥させる基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の洗浄は、半導体デバイスの製造において、製品の歩留まりを向上させるために重要な工程である。この基板洗浄工程は、例えば研磨工程の後に行われ、基板に付着した不要な残渣を除去する。図28および図29に基板洗浄装置の一例を示す。基板洗浄装置は、基板Wを保持する基板保持機構100と、基板保持機構100を回転させるモータ101と、基板Wの周囲に配置される固定カバー102と、基板Wの表面に洗浄液として純水を供給するノズル103とを備えている。基板Wの洗浄時には、基板Wを低速で回転させながら、基板Wの表面に純水が供給される。基板Wの乾燥時には、基板Wを高速(例えば、約1500min−1)で回転させ、これにより基板Wの表面から純水を除去する。基板Wから振り落とされた純水は固定カバー102に捕らえられ、回収される。
【0003】
純水が固定カバー102に衝突する際に、純水が液滴となって跳ね返り、基板Wの表面に再度付着することがある。また、基板Wを高速で回転させると、固定カバー102の内側に旋回流が発生し、純水の微小な飛沫(ミスト)が旋回流によって運ばれ、基板Wの表面に付着してしまう。基板Wに付着した純水の液滴や飛沫は、基板Wの表面にウォーターマークを形成する。このウォーターマークは、基板Wに形成されたデバイスに悪影響を及ぼし、製品の歩留まりを低下させてしまう。また、純水以外の洗浄液(例えば薬液)を使用した場合に、前述と同様の理由で基板Wを逆汚染してしまうことがある。したがって、いかにしてウォーターマークの形成や逆汚染を防止するかが重要となっている。
【0004】
最近では、ウォーターマークの形成を抑制する乾燥方法として、ロタゴニ乾燥が提案されている。このロタゴニ乾燥は、並列する2つのノズルからそれぞれIPA蒸気(イソプロピルアルコールとNガスとの混合気)と純水を回転する基板の表面に供給しながら、2つのノズルを基板の径方向に沿って移動させて基板の表面を乾燥させる方法である。このロタゴニ乾燥によれば、基板を比較的低速(例えば、150〜300min−1)で回転させても基板を十分に乾燥させることができる。しかしながら、300min−1以下の回転速度でも、純水が固定カバーに衝突したときに、水滴またはミストとなって基板の表面に付着することがある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−97515号公報
【特許文献2】特開2006−32637号公報
【特許文献3】特開平8−78368号公報
【特許文献4】特開2000−100763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、基板の表面でのウォーターマークの形成や逆汚染を防止することができる基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を水平に保持する基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された前記基板を回転させる回転機構と、前記基板に洗浄液を供給する液供給ノズルと、前記基板の周囲に配置され、前記基板と略同一の速度で回転する回転カバーとを備え、前記回転カバーは、前記基板を囲む内周面を有し、前記内周面は、その下端から上端まで、径方向内側に傾斜していることを特徴とする基板洗浄装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記回転カバーの外周面全体を覆う固定カバーをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板と前記回転カバーとを、回転軸に沿って相対移動させる相対移動機構をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転カバーの下端に位置する上部開口を有する排出孔をさらに備え、前記排出孔は、下方外側に傾斜していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転カバーの内周面の断面形状は、曲線から構成されており、前記曲線の水平面に対する角度は、前記内周面の上端から下端に向かって徐々に大きくなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転カバーの内周面に液体吸収体を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記回転カバーの内側に、該回転カバーと一体に回転する内側回転カバーを設け、前記内側回転カバーの外周面は、円弧状の縦断面を有しており、前記内側回転カバーの外周面の上端は、前記基板保持機構に保持された基板の上面と同一またはやや下方に位置していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記内側回転カバーと前記回転カバーとは、複数のサポートアームによって連結されており、前記サポートアームは、前記内側回転カバーと前記回転カバーとの隙間に配置され、該隙間に気体の下降流を形成するような翼形状の断面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転カバーが基板と略同一速度で回転するので、基板と回転カバーとの相対速度がほぼ0となる。その結果、洗浄液が回転カバーに衝突した際に発生する液滴や飛沫の量が少なくなり、ウォーターマークの発生や基板の逆汚染が防止できる。また、基板から回転カバーに移動した洗浄液は、遠心力により回転カバーの内周面に沿って速やかに排出される。したがって、回転カバーの内周面上に洗浄液が留まることがなく、洗浄液の液滴やミストの発生を抑制することができる。さらに、基板と回転カバーとの相対速度がほぼ0であるので、回転カバーの内側には気体の旋回流はほとんど形成されない。したがって、洗浄液のミストが旋回流に運ばれて基板に付着することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る基板洗浄装置について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。図2は図1の基板洗浄装置の平面図である。
図1に示すように、基板洗浄装置は、基板Wを水平に保持する基板保持機構1と、基板保持機構1を介して基板Wをその中心軸周りに回転させるモータ(回転機構)2と、基板Wの周囲に配置される回転カバー3と、基板Wの表面(フロント面)に洗浄液として純水を供給するフロントノズル4とを備えている。洗浄液としては、純水以外に薬液が挙げられる。
【0012】
基板保持機構1は、基板Wの周縁部を把持する複数のチャック10と、これらチャック10が固定される円形の第1のステージ11Aと、この第1のステージ11Aを支持する中空状の第1の支持軸12Aと、第1のステージ11Aを収容する凹部を有する円形の第2のステージ11Bと、第2のステージ11Bを支持する中空状の第2の支持軸12Bとを有している。第1の支持軸12Aは、第2の支持軸12Bの内部を通って延びている。すなわち、第1のステージ11A、第2のステージ11B、第1の支持軸12A、および第2の支持軸12Bは、同軸上に配置されている。回転カバー3は、第2のステージ11Bの端部に固定され、第2のステージ11Bと回転カバー3とは同軸上に配置されている。チャック10に保持された基板Wと回転カバー3とは同軸上に位置する。
【0013】
第1の支持軸12Aと第2の支持軸12Bとは直動ガイド機構15によって連結されている。この直動ガイド機構15は、第1の支持軸12Aと第2の支持軸12Bの長手方向(回転軸方向)の相対移動を許容しつつ、第1の支持軸12Aと第2の支持軸12Bとの間でトルクの伝達を可能とするものである。直動ガイド機構15の具体例としては、ボールスプライン軸受が挙げられる。
【0014】
第2の支持軸12Bの外周面にはモータ2が連結されている。モータ2のトルクは、直動ガイド機構15を介して第1の支持軸12Aに伝達され、これによりチャック10に保持された基板Wが回転する。第1のステージ11Aと第2のステージ11Bとは、直動ガイド機構15を介して常に同期して回転する。すなわち、基板Wと回転カバー3とは一体に回転し、両者の相対速度は0となる。なお、基板Wと回転カバー3との間に若干の速度差があってもよい。この場合は、基板Wと回転カバー3をそれぞれ別々の回転機構により回転させることができる。なお、本明細書において、基板Wと回転カバー3とを略同一の速度で回転させるとは、基板Wと回転カバー3とを同一の方向に略同一の角速度で回転させることをいい、互いに逆方向に回転させることを含まない。
【0015】
第1の支持軸12Aには、上下動機構としてのアクチュエータ23が連結機構24を介して連結されている。連結機構24は、第1の支持軸12Aの回転を許容しつつ、アクチュエータ23の回転軸方向の駆動力を第1の支持軸12Aに伝達する。図3に示すように、アクチュエータ23は、連結機構24を介して第1のステージ11A、第1の支持軸12A、およびチャック10(すなわち基板W)を上下動させる。このように、アクチュエータ23は、基板Wと回転カバー3とを回転軸に沿って相対移動させる相対移動機構として機能する。
【0016】
第1の支持軸12Aの内部には、洗浄液供給源に接続されたバックノズル17と、乾燥気体供給源に接続されたガスノズル18とが配置されている。洗浄液供給源には、洗浄液として純水が貯留されており、バックノズル17を通じて基板Wの裏面に純水が供給されるようになっている。また、乾燥気体供給源には、乾燥気体として、Nガスまたは乾燥空気などが貯留されており、ガスノズル18を通じて基板Wの裏面に乾燥気体が供給されるようになっている。
【0017】
フロントノズル4は、基板Wの中心を向いて配置されている。このフロントノズル4は、図示しない純水供給源(洗浄液供給源)に接続され、フロントノズル4を通じて基板Wの表面の中心に純水が供給されるようになっている。また、基板Wの上方には、ロタゴニ乾燥を実行するための2つのノズル20,21が並列して配置されている。ノズル20は、基板Wの表面にIPA蒸気(イソプロピルアルコールとNガスとの混合気)を供給するためのものであり、ノズル21は基板Wの表面の乾燥を防ぐために純水を供給するものである。これらノズル20,21は基板Wの径方向に沿って移動可能に構成されている。
【0018】
図4は、基板保持機構1を示す平面図である。図1および図4に示すように、第2のステージ11Bには、複数の排出孔25が形成されている。これら排出孔25は、回転カバー3の下端に位置する上部開口と、第2のステージ11Bの下面に位置する下部開口とを有している。排出孔25は、図4に示すように、回転カバー3の周方向に延びる長孔であり、排出孔25は、その下部開口に向かって径方向外側に傾斜している。上述したフロントノズル4およびバックノズル17から供給された洗浄液(純水)やノズル21から供給された純水は、ガスノズル18からのガスや周囲雰囲気(通常は空気)とともにこの排出孔25を通じて排出される。
【0019】
第2のステージ11Bには、第1のステージ11Aと第2のステージ11Bとの間に入り込んだ液体(洗浄液,純水)を排出するための複数の補助排出孔26が形成されている。この補助排出孔26は、第1のステージ11Aと第2のステージ11Bとの隙間に位置する上部開口と、第2のステージ11Bの下面に位置する下部開口とを有している。補助排出孔26は、上述した排出孔25と同様に、その下部開口に向かって径方向外側に傾斜している。
【0020】
排出孔25と補助排出孔26の下部開口の下方には、排液路30と排気路31とが設けられている。これら排液路30および排気路31は、いずれも環状に形成されており、排液路30は排気路31の径方向外側に配置されている。このような構成によれば、排出孔25と補助排出孔26から排出された液体および気体は、遠心力により分離され、液体は排液路30に、気体は排気路31に流入する。
【0021】
図5は、液体が流れる流路を示す図であり、図6は、気体が流れる流路を示す図である。排気路31は吸引源(例えば真空ポンプ)32に連結されている。これにより、図6に示すように、基板Wの表面から、排出孔25、排気路31を通って流れるダウンフローが形成される。
【0022】
第2のステージ11Bの下方には、第2のステージ11Bの下面と微小な隙間を介して円板状の固定板35が配置されている。この固定板35は、回転する第2のステージ11Bによって周囲の気体が撹乱されることを防止するためのものである。第2のステージ11Bの周縁部には、下方に延びる円筒状のスカート28が固定されている。このスカート28は、排出孔25および補助排出孔26から排出された液体が周囲に飛び散らないようにするため、および液体の放出位置を基板Wから遠ざけるために設けられている。
【0023】
回転カバー3は、基板保持機構1により保持された基板Wを囲むように形成された内周面を有している。回転カバー3の内周面の上端は、基板Wよりも上方に位置している。内周面の直径(回転カバー3の内径)は、内周面の上端に向かって徐々に減少するように形成されている。すなわち、回転カバー3の内周面は全体として径方向内側に傾斜し、内周面と水平面とのなす角度θ(図1参照)は90度未満となっている。
【0024】
図1に示すように、回転カバー3の内周面の断面形状は2つの傾斜線から構成されている。しかしながら、回転カバー3の内周面の断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、回転カバー3の内周面は、曲線から構成される断面形状(円弧形状)を有してもよい。図7に示す例においては、内周面と水平面とのなす角度は、回転カバー3の上端から下端に向かって徐々に大きくなっている(θ1<θ2)。この構成例によれば、液体の衝突の衝撃を和らげることができるとともに、遠心力の作用によって液体を内周面に沿って速やかに流下させることができる。この構成例において、内周面の上端での角度をほぼ0度とすることが好ましい。
【0025】
回転カバー3の上端には、図2に示すように、チャック10の形状に沿って切り欠き3aが形成されている。回転カバー3の上端の直径は、基板Wの直径よりも僅かに大きく形成されている。
【0026】
図1に示すように、回転カバー3の下端は、排出孔25の上部開口の一部と重複する位置にある。これは、回転カバー3の内周面を伝って下方に流れる液体をスムーズに排出孔25に導くためである。もし、排出孔25の上部開口が回転カバー3の下端から離間した位置にあると、液体が第2のステージ11Bの上面に衝突し、液体が排出孔25にスムーズに流れ込まない。本実施形態の配置によれば、液体が第2のステージ11Bの上面にぶつかることがないので、液体は排出孔25にスムーズに流れ込む。
【0027】
次に、本実施形態に係る基板洗浄装置の動作について説明する。
まず、モータ2により基板Wおよび回転カバー3を回転させる。この状態で、フロントノズル4およびバックノズル17から純水を基板Wの表面(上面)および裏面(下面)に供給し、基板Wの全面を純水でリンスする。基板Wに供給された純水は、遠心力により基板Wの表面および裏面全体に広がり、これにより基板Wの全体がリンスされる。回転する基板Wから振り落とされた純水は、回転カバー3に捕らえられ、排出孔25に流れ込む。基板Wのリンス処理の間、2つのノズル20,21は、基板Wから離れた所定の待機位置にある。
【0028】
次に、フロントノズル4からの純水の供給を停止し、フロントノズル4を基板Wから離れた所定の待機位置に移動させるとともに、2つのノズル20,21を基板Wの上方の作業位置に移動させる。そして、基板Wを150〜300min−1の速度で低速回転させながら、ノズル20からIPA蒸気を、ノズル21から純水を基板Wの表面に向かって供給する。このとき、基板Wの裏面にもバックノズル17から純水を供給する。そして、2つのノズル20,21を同時に基板Wの径方向に沿って移動させる。これにより、基板Wの表面(上面)が乾燥される。
【0029】
その後、2つのノズル20,21を所定の待機位置に移動させ、バックノズル17からの純水の供給を停止する。そして、基板Wを1000〜1500min−1の速度で高速回転させ、基板Wの裏面に付着している純水を振り落とす。このとき、ガスノズル18から乾燥気体を基板Wの裏面に吹き付ける。このようにして基板Wの裏面が乾燥される。
【0030】
基板Wの表面(上面)を乾燥させる間、上述したように、基板Wの表面および裏面には純水が供給される。純水は、遠心力によって基板Wから振り落とされ、回転カバー3に移動する。回転カバー3と基板Wとは同一速度で回転しているので、純水が回転カバー3の内周面に衝突する際に、純水が飛散することがほとんどない。また、同一速度で回転する回転カバー3と基板Wとの間の空間内には気体の旋回流がほとんど形成されないので、旋回流によって純水の飛沫が基板Wに運ばれることがない。したがって、ウォーターマークの形成を防止することができる。さらに、回転カバー3の内周面は径方向内側に傾斜しているので、回転カバー3が回転することにより、遠心力が純水に作用して純水が内周面に沿って速やかに流下し、排出孔25に流入する。
【0031】
基板Wの乾燥が終了すると、ガスノズル18からの乾燥気体の供給を停止させる。そして、図3に示すように、アクチュエータ23により、基板Wが回転カバー3よりも上方に位置するまで、基板Wを上昇させる。乾燥された基板Wは、図示しない搬送ロボットのハンドにより基板保持機構1から取り出される。
【0032】
なお、基板Wの表面を乾燥させるときと、基板Wの裏面を乾燥させるときとで、基板Wの高さを変えることが好ましい。例えば、基板Wの表面を乾燥させるときは、図1に示す通常の位置とし、基板Wの裏面を乾燥させるときは、図8に示すように、基板Wを回転カバー3の上端の位置まで上昇させる。より具体的には、基板Wの表面と裏面と間に回転カバー3の内周面の上端が位置するまで基板Wの位置を上げる。図8に示す位置では、基板Wと回転カバー3との距離が最も小さくなり、基板Wの裏面側から表面側に液滴やミストが流れ込むことが防止できる。
【0033】
図9は本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。なお、図9において、第1の実施形態の部材と同一の部材には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、特に説明しない本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0034】
本実施形態では、基板保持機構1は、単一のステージ11と、このステージ11を支持する中空の支持軸12と、ステージ11の上面に固定された複数のチャック10とを有している。回転カバー3はステージ11の周縁部に固定されており、回転カバー3と基板Wとの相対位置は常に一定となっている。
【0035】
ステージ11の下方には、少なくとも3本のプッシュロッド40と、これらプッシュロッド40を上下動させるアクチュエータ23が配置されている。ステージ11には、プッシュロッド40の位置に対応して複数の通孔11aが形成されている。固定板35にも通孔11aと同一の位置に孔(図示せず)が形成されている。なお、ステージ11に補助排出孔は形成されていない。
【0036】
基板Wは、第1の実施形態と同様の動作シーケンスにより乾燥される。乾燥処理後は、図10に示すように、アクチュエータ23によりプッシュロッド40が上昇し、プッシュロッド40は通孔11aを通り抜けて基板Wを持ち上げる。その後、乾燥された基板Wは、図示しない搬送ロボットのハンドにより搬送される。
【0037】
図11は、本実施形態の回転カバー3の変形例を示す拡大図である。図11に示すように、回転カバー3には補助回転カバー42が設けられている。この補助回転カバー42は回転カバー3の内周面に固定され、両者は一体に回転する。補助回転カバー42の内周面は、その上端に向かって径方向内側に傾斜している。補助回転カバー42の上端は基板Wとほぼ同じ高さに位置し、回転カバー3の上端と補助回転カバー42の上端はほぼ同一の直径を有している。補助回転カバー42の上端には、図2に示す切り欠き3aと同様の形状の切り欠き(図示せず)が形成されている。補助回転カバー42の下端には排出孔44が形成されている。
【0038】
この構成例によれば、基板Wの表面側空間と裏面側空間は補助回転カバー42で仕切られるので、基板Wの表面と裏面の乾燥処理の相互影響を少なくすることができる。すなわち、補助回転カバー42によって、基板Wの表面側空間と裏面側空間との間での、液体のミストの相互流入を防止することができる。また、基板Wの表裏面の乾燥処理順序を変更することができる。すなわち、基板Wの裏面を先に乾燥させ、次いで表面を乾燥させることができる。この場合の具体的な乾燥動作は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
図12は、本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。なお、図12において、第1の実施形態の部材と同一の部材には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、特に説明しない本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、回転カバー3の周囲に固定カバー45が配置されている点である。この固定カバー45は回転せず、回転カバー3の外周面の全体を覆うように配置されている。回転カバー3の外周面と固定カバー45の内周面との間には微小な隙間が形成されている。固定カバー45には排気ポート46が設けられている。固定カバー45の上端の直径は、回転カバー3の上端の直径とほぼ同一、または僅かに大きく形成されている。固定カバー45の下端は、スカート28の下端よりも下方に位置している。すなわち、固定カバー45は、回転カバー3およびスカート28の外周面全体を覆う形状を有している。
【0041】
この固定カバー45を設ける目的は次の通りである。基板Wとともに回転カバー3が回転すると、回転カバー3の外周面近傍で、気体が乱れ、旋回流がわずかながら発生する。このような旋回流は、液体の飛沫(ミスト)を再び基板Wの表面に運んでしまうおそれがある。また、洗浄空間を形成する洗浄室の壁面に付着している液体および雰囲気を、旋回流が基板Wにまで運んでしまうおそれがある。固定カバー45は、このような旋回流の発生を防ぎ、ウォーターマークの形成や基板Wの逆汚染を防止する。
【0042】
固定カバー45と回転カバー3との間の隙間はできるだけ小さいことが好ましい。これは、回転カバー3の回転に起因して生じる隙間内の気体の乱れを抑制し、気体が基板側に逆流することを防止するためである。本実施形態においては、排気ポート46を図示しない吸引源に連結し、乾燥工程中に回転カバー3と固定カバー45との隙間から気体を強制的に排気することが好ましい。吸引源を作動させることにより、図13に示すように、回転カバー3と固定カバー45との微小な隙間に気体の流れが形成される。結果として、一旦この隙間に流入した気体は、回転カバー3の回転に伴って基板側に逆流することがない。
【0043】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置の変形例を示す断面図である。図14に示すように、回転カバー3の外周面には、複数のフィン50が固定されている。このようなフィン50を設けることにより、固定カバー45と回転カバー3との隙間に流入した気体が、回転カバー3の回転によって逆流することを防止することができる。なお、フィン50に代えて、螺旋溝を回転カバー3の外周面に形成し、回転カバー3の回転に伴って隙間内の気体が下方に流れるようにしてもよい。
【0044】
なお、第3の実施形態に係る固定カバー45を、第1および第2の実施形態の基板洗浄装置にも適用できることはいうまでもない。
【0045】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。なお、図15において、第1の実施形態の部材と同一の部材には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、特に説明しない本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
図15に示すように、回転カバー3の内周面には液体吸収体53が固定されている。この液体吸収体53は回転カバー3の内周面のほぼ全体を覆っている。液体吸収体53の具体例としては、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジや、多孔質部材、メッシュクロスなどが挙げられる。液体吸収体53は、基板Wからの液体を捕捉しやすいように親水性であることが好ましい。また、液体吸収体53は、捕捉した液体を液体吸収体53の内部を通って排出孔25に導くことができるように、連続孔を有することが好ましい。
【0047】
本実施形態によれば、基板Wから振り落とされた液体が回転カバー3に衝突する際の衝撃を吸収することができる。なお、本実施形態の液体吸収体53を、第1、第2および第3の実施形態の基板洗浄装置にも適用できることはいうまでもない。
【0048】
図16は、本発明の第5の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。なお、図16において、第3の実施形態の部材と同一の部材には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、特に説明しない本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
図16に示すように、固定カバー45の周囲には洗浄室51が配置されており、この洗浄室51の下部には排気ポート47が形成されている。この排気ポート47と固定カバー45の排気ポート46は図示しない吸引源に連結されている。本実施形態によれば、上記吸引源および排気路31に接続される吸引源32を稼動することにより、洗浄室51内全体に気体のダウンフローを形成することができる。特に、排気ポート47を通じて洗浄室51内の気体を排気することにより、固定カバー45の外周面に沿った気体のダウンフローを形成することができる。これにより、固定カバー45の外周面と洗浄室51の内面との間に存在する液滴やその周囲雰囲気、および洗浄室51内のミストの基板Wへの再付着を防止することができる。
【0050】
図17は、本発明の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。
図17に示すように、この基板洗浄装置は、基板Wを水平に保持する基板保持機構60と、基板保持機構60を介して基板Wの中心周りに回転させるモータ(回転機構)2と、基板Wの周囲に配置される固定カバー70と、基板Wの表面に洗浄液として純水を供給するフロントノズル4とを備えている。基板保持機構60は、ステージ61と、このステージ61を支持する中空の支持軸62と、ステージ61の上面に固定された複数のチャック10とを有している。
【0051】
支持軸62の内部には、洗浄液供給源に接続されたバックノズル17と、乾燥気体供給源に接続されたガスノズル18とが配置されている。洗浄液供給源には、洗浄液として純水が貯留されており、バックノズル17を通じて基板Wの裏面に純水が供給されるようになっている。また、乾燥気体供給源には、乾燥気体として、Nガスまたは乾燥空気などが貯留されており、ガスノズル18を通じて基板Wの裏面に乾燥気体が供給されるようになっている。
【0052】
フロントノズル4は、基板Wの中心を向いて配置されている。このフロントノズル4は、図示しない純水供給源(洗浄液供給源)に接続され、フロントノズル4を通じて基板Wの表面の中心に純水が供給されるようになっている。また、基板Wの上方には、ロタゴニ乾燥を実行するための2つのノズル20,21が並列して配置されている。ノズル20は、基板Wの表面にIPA蒸気(イソプロピルアルコールとNガスとの混合気)を供給するためのものであり、ノズル21は基板Wの表面の乾燥を防ぐために純水を供給するものである。これらノズル20,21は基板Wの径方向に沿って移動可能に構成されている。
【0053】
固定カバー70は、径方向内側に傾斜する内周面を有している。固定カバー70の上端は基板Wよりも上方に位置している。固定カバー70の内周面には液体吸収体53が固定されている。この液体吸収体53は固定カバー70の内周面のほぼ全体を覆っている。液体吸収体53の具体例としては、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジや、多孔質部材、メッシュクロスなどが挙げられる。液体吸収体53は、基板Wからの液体を捕捉しやすいように親水性であることが好ましい。また、液体吸収体53は、捕捉した液体は液体吸収体53の内部を通って流下するように、連続孔を有することが好ましい。
【0054】
ステージ61および固定カバー70の下方には、液体(フロントノズル4、バックノズル17から供給された洗浄液としての純水や、ノズル21から供給された純水)を回収するための液受け63が配置されている。液受け63の底部には排出ポート64が設けられている。この排出ポート64は図示しない吸引源に接続されており、液受け63によって回収された液体は、周囲の気体とともに排出ポート64を通って強制的に排出されるようになっている。
【0055】
この基板洗浄装置は、第1の実施形態と同様の処理シーケンスで基板Wの乾燥処理を行う。すなわち、まず、モータ2により基板Wを回転させる。この状態で、フロントノズル4およびバックノズル17から純水を基板Wの表面および裏面に供給し、基板Wの全面を純水でリンスする。純水は、回転する基板Wから振り落とされ、固定カバー70に捕らえられ、液受け63により回収される。基板Wのリンス処理の間、2つのノズル20,21は、基板Wから離れた所定の待機位置にある。
【0056】
次に、純水の供給を停止し、フロントノズル4を基板Wから離れた所定の待機位置に移動させるとともに、2つのノズル20,21を基板Wの上方の作業位置に移動させる。そして、基板Wを150〜300min−1の速度で低速回転させながら、ノズル20からIPA蒸気を、ノズル21から純水を基板Wの表面に向かって供給する。このとき、基板Wの裏面にもバックノズル17から純水を供給する。そして、2つのノズル20,21を同時に基板Wの径方向に沿って移動させる。これにより、基板Wの表面(上面)が乾燥される。
【0057】
その後、2つのノズル20,21を所定の待機位置に移動させ、バックノズル17からの純水の供給を停止する。そして、基板Wを1000〜1500min−1の速度で高速回転させ、基板Wの裏面に付着している純水を振り落とす。このとき、ガスノズル18から乾燥気体を基板Wの裏面に吹き付ける。このようにして基板Wの裏面が乾燥される。
【0058】
この構成例によれば、基板Wから振り落とされた液体が固定カバー70に衝突する際の衝撃を液体吸収体53によって吸収することができる。
【0059】
図18は、他の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。なお、特に説明しない本例の構成及び動作は、図17に記載した基板洗浄装置と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0060】
図18に示すように、ステージ61及び支持軸62を囲むように円筒状の遮蔽カバー65が設けられている。この遮蔽カバー65の上端はステージ61とほぼ同じ高さに位置し、遮蔽カバー65の下端は液受け63に固定されている。なお、この例では、上述した液体吸収体53は設けられていない。この例によれば、回転するステージ61および支持軸62が遮蔽カバー65によって覆われるので、ステージ61および支持軸62の回転に伴う周囲気体の旋回流の形成を防止することができる。したがって、旋回流に起因して液体のミストが基板Wの表面に再付着してしまうことが防止される。
【0061】
なお、図17および図18に示す構成に、第1の実施形態に係る回転カバーを付加してもよい。
【0062】
図19および図20は、他の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。なお、特に説明しない本例の構成及び動作は、図17に記載した基板洗浄装置と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0063】
この例では、固定カバー70は上下動可能に構成されている。上述したように、基板Wの表面を乾燥処理するときと基板Wの裏面を乾燥処理するときとでは、基板Wの回転速度が異なる。したがって、乾燥すべき基板Wの面に応じて固定カバー70の位置を変えることが好ましい。より具体的には、基板Wの表面を乾燥させる場合は、図19に示すように、固定カバー70を通常の位置とする。上述したように、基板Wの表面を乾燥するときは、基板Wは低速で回転される。したがって、基板Wから振り落とされた液滴はある程度自由落下して固定カバー70の内周面に衝突する。固定カバー70と基板Wの周縁部との距離は大きいので、固定カバー70と衝突したときに、液滴の基板Wへの跳ね返りが防止される。
【0064】
一方、基板Wの裏面を乾燥するときは、基板Wは高速で回転される。したがって、基板Wから振り落とされた液滴はほぼ直線的に進み、固定カバー70の内周面に高い速度で衝突する。さらに、チャック10やステージ61の高速回転に伴い、基板W周囲の気体が乱れ、旋回流が発生する。このような旋回流は、液滴やミストを基板Wの表面に運んでしまうため、好ましくない。そこで、固定カバー70の位置を下げた状態で基板Wの裏面を乾燥処理する。より具体的には、固定カバー70の上端が基板Wとほぼ同じ高さになるまで固定カバー70を下げる。この位置では、基板Wの周縁部と固定カバー70との距離が小さくなるので、基板Wの裏面側から表面側に液滴やミストが流れ込むことが防止される。
【0065】
図21は、本発明の第6の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。なお、図21において、第1の実施形態の部材と同一の部材には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、特に説明しない本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0066】
図21に示すように、回転カバー3の径方向内側には、内側回転カバー75が設けられている。内側回転カバー75は、ステージ11の第1のステージ11Aに固定されている。回転カバー(第1の回転カバー)3と内側回転カバー(第2の回転カバー)75とは、複数のサポートアーム80を介して連結されている。したがって、内側回転カバー75と回転カバー3とは、一体に回転するように構成されている。内側回転カバー75と回転カバー3との間には、隙間が形成されている。
【0067】
図22(a)は、内側回転カバー75と回転カバー3の縦断面を示す拡大図であり、図22(b)は、内側回転カバー75およびチャック10を示す平面図である。内側回転カバー75の外周面は、滑らかな円弧形状の縦断面を有している。水平面に対する内側回転カバー75の外周面の角度は、その上端から下端にかけて、徐々に大きくなっている。より具体的には、内側回転カバー75の上端での外周面の角度はほぼ0度であり、下端での角度はほぼ90度である。
【0068】
内側回転カバー75の上端は、チャック10に保持された基板Wの上面よりもやや下方に位置している。すなわち、外周面の上端は基板Wの上面よりも下方に位置し、内周面の上端は基板Wの下面よりも上方に位置している。内側回転カバー75の上端は、基板Wの周縁部に近接して配置されており、その上端の直径は、基板Wの直径よりも僅かに大きく形成されている。内側回転カバー75の内周面も、外周面と同様に、滑らかな円弧形状の縦断面を有することが好ましい。図22(b)に示すように、内側回転カバー75の上端には、チャック10の形状に沿った切り欠き75aが形成されている。
【0069】
基板Wの端部から下方向になだらかな放物線を描くように続く外周面を持つ内側回転カバー75を設けることにより、基板Wを回転させたときに基板W上の液体の表面張力を利用して液体を内側回転カバー75の外周面に沿って下方に滑らかに導き、液切れを防止して液滴や飛沫の発生を防止することができる。本実施形態では、基板Wの上面よりも内側回転カバー75の外周面の上端は少しだけ低い位置にあるので、基板Wと内側回転カバー75との隙間に液溜まりが生じにくい。一方、内側回転カバー75の端部が基板Wよりも高い位置にあると、基板Wと内側回転カバー75との間で液切れが生じ、液滴や飛沫を生じさせてしまう。したがって、内側回転カバー75の外周面の上端は、基板Wの上面と同一の位置とするか、好ましくは基板Wの上面よりもやや低い位置とする。
【0070】
回転カバー3の内周面は、内側回転カバー75の外周面とほぼ同じ形状を有している。すなわち、回転カバー3の内周面は、滑らかな円弧形状の縦断面を有している。水平面に対する回転カバー3の内周面の角度は、その上端から下端にかけて、徐々に大きくなっている。より具体的には、回転カバー3の上端での内周面の角度はほぼ0度であり、下端での角度はほぼ90度である。なお、図示はしないが、回転カバー3の上端にも、内側回転カバー75の切り欠きと同形状の切り欠きが形成されている。
【0071】
各サポートアーム80は、内側回転カバー75の外周面と回転カバー3の内周面に固定されている。すなわち、サポートアーム80は、内側回転カバー75の外周面と回転カバー3の内周面との間に形成される隙間に配置されている。図23(a)は、内周面カバーに固定されたサポートアーム80を上方から見た図であり、図23(b)は図23(a)に示すサポートアーム80を径方向外側から見た図である。なお、図23(a)および図23(b)においては、説明のために外側回転カバーは省略されている。サポートアーム80は、翼形状を有しており、内側回転カバー75および回転カバー3が回転すると、内側回転カバー75と回転カバー3との隙間に気体の下降流が形成されるようになっている。
【0072】
内側回転カバー75および回転カバー3は、基板Wとともに一体に回転する。基板Wの上面に供給された液体(例えば、純水)は、遠心力により基板Wから内側回転カバー75に移動し、その外周面に沿って流下する。このとき、翼として機能するサポートアーム80により、内側回転カバー75と回転カバー3との隙間には、気体の下降流が形成される。したがって、液体のミストや液滴は、この下降流に強制的に運ばれ、これにより、ミストや液滴が基板Wの表面に付着することが防止される。内側回転カバー75と回転カバー3との間隔は、液体を滑らかに下方に流し、ミストが基板W上の空間に拡散しないように、適宜調整される。
【0073】
なお、内側回転カバー75および回転カバー3に付着した液滴を離れにくくするために、これらカバー3A,3Bの表面を親水化処理することが好ましい。また、内側回転カバー75および回転カバー3に付着した液体を下方に導きやすくするために、内側回転カバー75の外周面および/または回転カバー3の内周面にスパイラル溝を形成することが好ましい。
【0074】
内側回転カバー75、回転カバー3、および基板Wは、洗浄室51に収容されている。この洗浄室51の底面には、排気口51aおよび排液口51bが形成されている。基板Wに供給された純水などの液体は、排液口51bから排出され、また、サポートアーム80の回転によって下降流を形成する気体は、排気口51aから排出される。なお、排気口51aに真空ポンプを接続して、洗浄室51内の気体を強制的に排気するようにしてもよい。
【0075】
図24は、上述した第7の実施形態に係る基板洗浄装置に、固定カバーを付加した変形例を示す断面図である。この固定カバー85は、回転カバー3の周囲に配置されている。固定カバー85は回転せず、固定カバー85の下端は、回転カバー3の下端よりも下方に位置している。すなわち、固定カバー85は、回転カバー3の外周面の全体を覆うように配置されている。回転カバー3の外周面と固定カバー85の内周面との間には微小な隙間が形成されている。なお、図示はしないが、固定カバー85の上端には、チャック10の形状に沿った切り欠きが形成されている。固定カバー85の上端の直径は、回転カバー3の上端の直径とほぼ同一、または僅かに大きく形成されている。この固定カバー85を設ける理由は、上述の固定カバー45を設ける理由と同じである。
【0076】
次に、上記実施形態に係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の一例について説明する。図25は、本発明の第1乃至第7の実施形態のいずれかに係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の配置構成を示す平面図である。図26は図25に示す研磨装置の概要を示す斜視図である。図25に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング100を備えており、ハウジング100の内部は隔壁101a,101b,101cによってロード/アンロード部120と研磨部130(130a,130b)と洗浄部140とに区画されている。
【0077】
ロード/アンロード部102は、複数の基板をストックするウェハカセットを載置する2つ以上(図25では3つ)のフロントロード部120を備えている。これらのフロントロード部120は、研磨装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に隣接して配列されている。フロントロード部120には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。ここで、SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0078】
また、ロード/アンロード部102には、フロントロード部120の並びに沿って走行機構121が敷設されており、この走行機構121上にフロントロード部120の配列方向に沿って移動可能な第1搬送ロボット122が設置されている。第1搬送ロボット122は走行機構121上を移動することによってフロントロード部120に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。この第1搬送ロボット122は上下に2つのハンドを備えており、例えば、上側のハンドをウェハカセットに研磨された基板を戻すときに使用し、下側のハンドを研磨前の基板を搬送するときに使用して、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。
【0079】
ロード/アンロード部102は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域であるため、ロード/アンロード部102の内部は、装置外部、研磨部130、及び洗浄部140のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。また、第1搬送ロボット122の走行機構121の上部には、HEPAフィルタやULPAフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルや有毒蒸気、ガスが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。
【0080】
研磨部130は、基板の研磨が行われる領域であり、第1研磨ユニット131Aと第2研磨ユニット131Bとを内部に有する第1研磨部130aと、第3研磨ユニット131Cと第4研磨ユニット131Dとを内部に有する第2研磨部130bとを備えている。これらの第1研磨ユニット131A、第2研磨ユニット131B、第3研磨ユニット131C、及び第4研磨ユニット131Dは、図25に示すように、装置の長手方向に沿って配列されている。
【0081】
第1研磨ユニット131Aは、研磨パッドを保持する研磨テーブル132Aと、基板を保持しかつ基板を研磨テーブル132A上の研磨パッドの研磨面に対して押圧するためのトップリング133Aと、研磨パッドの研磨面に研磨液(例えば、スラリ)やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル134Aと、研磨パッドのドレッシングを行うためのドレッサ135Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素)の混合流体を霧状にして、ノズルから研磨面に噴射するアトマイザ136Aとを備えている。
【0082】
同様に、第2研磨ユニット131Bは、研磨テーブル132Bと、トップリング133Bと、研磨液供給ノズル134Bと、ドレッサ135Bと、アトマイザ136Bとを備えており、第3研磨ユニット131Cは、研磨テーブル132Cと、トップリング133Cと、研磨液供給ノズル134Cと、ドレッサ135Cと、アトマイザ136Cとを備えており、第4研磨ユニット131Dは、研磨テーブル132Dと、トップリング133Dと、研磨液供給ノズル302Dと、ドレッサ135Dと、アトマイザ136Dとを備えている。
【0083】
第1研磨部130aには、長手方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロード部側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間で基板を搬送する第1リニアトランスポータ150が配置されている。この第1リニアトランスポータ150の第1搬送位置TP1の上方には、第1搬送ロボット122から受け取った基板を反転する反転機151が配置されており、その下方には上下に昇降可能なリフタ152が配置されている。また、第2搬送位置TP2の下方には上下に昇降可能なプッシャ153が、第3搬送位置TP3の下方には上下に昇降可能なプッシャ154が、第4搬送位置TP4の下方には上下に昇降可能なリフタ155がそれぞれ配置されている。
【0084】
また、第2研磨部130bには、第1リニアトランスポータ150に隣接して、長手方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロード部側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間で基板を搬送する第2リニアトランスポータ160が配置されている。この第2リニアトランスポータ160の第5搬送位置TP5の下方には上下に昇降可能なリフタ166が、第6搬送位置TP6の下方にはプッシャ167が、第7搬送位置TP7の下方にはプッシャ168がそれぞれ配置されている。
【0085】
図26に示すように、第1リニアトランスポータ150は、直線往復移動可能な4つのステージ、すなわち、第1ステージ、第2ステージ、第3ステージ、および第4ステージを備えている。これらのステージは上下に2段の構成となっている。すなわち、下段には第1ステージ、第2ステージ、第3ステージが配置され、上段には第4ステージが配置されている。
【0086】
下段のステージと上段のステージとは、設置される高さが異なっているため、下段のステージと上段のステージとは互いに干渉することなく自由に移動可能となっている。第1ステージは、第1搬送位置TP1と(基板の受け渡し位置である)第2搬送位置TP2との間で基板を搬送し、第2ステージは、第2搬送位置TP2と(基板の受け渡し位置である)第3搬送位置TP3との間で基板を搬送し、第3ステージは、第3搬送位置TP3と第4搬送位置TP4との間で基板を搬送する。また、第4ステージは、第1搬送位置TP1と第4搬送位置TP4との間で基板を搬送する。
【0087】
第2リニアトランスポータ160は、第1リニアトランスポータ150と実質的に同一の構成を有している。すなわち、上段に第5ステージおよび第6ステージが配置され、下段に第7ステージが配置されている。第5ステージは、第5搬送位置TP5と(基板の受け渡し位置である)第6搬送位置TP6との間で基板を搬送し、第6ステージは、第6搬送位置TP6と(基板の受け渡し位置である)第7搬送位置TP7との間で基板を搬送し、第7ステージは、第5搬送位置TP5と第7搬送位置TP7との間で基板を搬送する。
【0088】
研磨時にはスラリを使用することを考えるとわかるように、研磨部130は最もダーティな(汚れた)領域である。したがって、研磨部130内のパーティクルが外部に飛散しないように、各研磨テーブルの周囲から排気が行われており、研磨部130の内部の圧力を、装置外部、周囲の洗浄部140、ロード/アンロード部102よりも低くすることでパーティクルの飛散を防止している。また、通常、研磨テーブルの下方には排気ダクト(図示せず)が、上方にはフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられ、これらの排気ダクト及びフィルタを介して清浄化された空気が噴出され、ダウンフローが形成される。
【0089】
洗浄部140は、研磨後の基板を洗浄する領域であり、第2搬送ロボット124と、第2搬送ロボット124から受け取った基板を反転する反転機141と、研磨後の基板を洗浄する4つの洗浄ユニット142〜145と、反転機141及び洗浄ユニット142〜145の間で基板を搬送する搬送ユニット146とを備えている。
【0090】
第2搬送ロボット124、反転機141、及び洗浄ユニット142〜145は、研磨装置の長手方向に沿って直列に配置されている。また、これらの洗浄ユニット142〜145の上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。また、洗浄部140の内部は、研磨部130からのパーティクルの流入を防止するために研磨部130よりも高い圧力に常時維持されている。
【0091】
搬送ユニット146は、基板を把持する複数のアームを有しており、これらアームによって複数の基板を反転機141及び洗浄ユニット142〜145の間で同時に水平方向に移動させることができるようになっている。洗浄ユニット142及び洗浄ユニット143としては、例えば、上下に配置されたロール状のスポンジを回転させて基板の表面及び裏面に押し付けて基板の表面及び裏面を洗浄するロールタイプの洗浄ユニットを用いることができる。また、洗浄ユニット144としては、例えば、半球状のスポンジを回転させながら基板に押し付けて洗浄するペンシルタイプの洗浄ユニットを用いることができる。洗浄ユニット145は、上述したいずれかの実施形態に係る基板洗浄装置である。なお、各洗浄ユニット142〜144において、上述したロールタイプの洗浄ユニットやペンシルタイプの洗浄ユニットに加えて、洗浄液に超音波を当てて洗浄するメガソニックタイプの洗浄ユニットを付加的に設けてもよい。
【0092】
反転機151と第1搬送ロボット122との間にはシャッタ1110が設置されており、基板の搬送時にはシャッタ1110を開いて第1搬送ロボット122と反転機151との間で基板の受け渡しが行われる。また、反転機141と第2搬送ロボット124との間、反転機141と1次洗浄ユニット142との間、第1研磨部130aと第2搬送ロボット124との間、及び第2研磨部130bと第2搬送ロボット124との間にもそれぞれシャッタ111,112,113,114が設置されており、基板の搬送時にはこれらのシャッタ111,112,113,114を開いて基板の受け渡しが行われる。
【0093】
研磨テーブル132Aの上には研磨パッド(図示せず)が固定されている。研磨テーブル132Aは、その下方に配置されるモータ(図示せず)に連結されており、軸心周りに回転可能になっている。図26に示すように、トップリング133Aは、トップリングシャフト137Aを介してモータ及び昇降シリンダ(図示せず)に連結されている。これにより、トップリング133Aは昇降可能かつトップリングシャフト137A周りに回転可能となっている。このトップリング133Aの下面には、基板Wが真空吸着等によって保持される。研磨パッドの上面は、基板Wが摺接される研磨面を構成している。
【0094】
トップリング133Aの下面に保持された基板Wはトップリング133Aによって回転させられつつ、回転している研磨テーブル132A上の研磨パッドに押圧される。このとき、研磨液供給ノズル134Aから研磨パッドの研磨面(上面)に研磨液が供給され、基板Wと研磨パッドとの間に研磨液が存在した状態で基板Wが研磨される。研磨テーブル132Aおよびトップリング133Aは、基板Wと研磨面とを相対移動させる機構を構成している。第2研磨ユニット300B,第3研磨ユニット300C、および第4研磨ユニット300Dは、第1研磨ユニット300Aと同一の構成を有しているので、その説明を省略する。
【0095】
このような構成を有する研磨装置によれば、1枚の基板を4つの研磨ユニットで連続的に研磨するシリーズ処理、および2枚の基板を同時に研磨するパラレル処理を行うことができる。
【0096】
基板をシリーズ処理する場合には、基板は、フロントロード部120のウェハカセット→第1搬送ロボット122→反転機151→リフタ152→第1リニアトランスポータ150の第1ステージ→プッシャ153→トップリング133A→研磨テーブル132A→プッシャ153→第1リニアトランスポータ150の第2ステージ→プッシャ154→トップリング133B→研磨テーブル132B→プッシャ154→第1リニアトランスポータ150の第3ステージ→リフタ155→第2搬送ロボット124→リフタ166→第2リニアトランスポータ160の第5ステージ→プッシャ167→トップリング133C→研磨テーブル132C→プッシャ167→第2リニアトランスポータ160の第6ステージ→プッシャ168→トップリング133D→研磨テーブル132D→プッシャ168→第2リニアトランスポータ160の第7ステージ→リフタ166→第2搬送ロボット124→反転機141→搬送ユニット146→洗浄ユニット142→搬送ユニット146→洗浄ユニット143→搬送ユニット146→洗浄ユニット144→搬送ユニット146→洗浄ユニット145→第1搬送ロボット122→フロントロード部120のウェハカセットという経路で搬送される。
【0097】
基板をパラレル処理する場合には、一方の基板は、フロントロード部120のウェハカセット→第1搬送ロボット122→反転機151→リフタ152→第1リニアトランスポータ150の第1ステージ→プッシャ153→トップリング133A→研磨テーブル132A→プッシャ153→第1リニアトランスポータ150の第2ステージ→プッシャ154→トップリング133B→研磨テーブル132B→プッシャ154→第1リニアトランスポータ150の第3ステージ→リフタ155→第2搬送ロボット124→反転機141→搬送ユニット146→洗浄ユニット142→搬送ユニット146→洗浄ユニット143→搬送ユニット146→洗浄ユニット144→搬送ユニット146→洗浄ユニット145→第1搬送ロボット122→フロントロード部120のウェハカセットという経路で搬送される。
【0098】
また、他方の基板は、フロントロード部120のウェハカセット→第1搬送ロボット122→反転機151→リフタ152→第1リニアトランスポータ150の第4ステージ→リフタ155→第2搬送ロボット124→リフタ166→第2リニアトランスポータ160の第5ステージ→プッシャ167→トップリング133C→研磨テーブル132C→プッシャ167→第2リニアトランスポータ160の第6ステージ→プッシャ168→トップリング133D→研磨テーブル132D→プッシャ168→第2リニアトランスポータ160の第7ステージ→リフタ166→第2搬送ロボット124→反転機141→搬送ユニット146→洗浄ユニット142→搬送ユニット146→洗浄ユニット143→搬送ユニット146→洗浄ユニット144→搬送ユニット146→洗浄ユニット145→第1搬送ロボット122→フロントロード部120のウェハカセットという経路で搬送される。
【0099】
次に、上記実施形態に係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の他の例について説明する。図27は、本発明の第1乃至第7の実施形態のいずれかに係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の配置構成を示す平面図である。
この研磨装置は、多数の基板をストックするウェハカセット204を収容するロード・アンロード部201を備えている。ロード・アンロード部201内の各ウェハカセット204に到達可能となるように、走行機構200の上に2つのハンドを有した搬送ロボット202が配置されている。走行機構200にはリニアモータからなる走行機構が採用されている。リニアモータからなる走行機構を採用することにより、大口径化し重量が増した基板の高速且つ安定した搬送ができる。
【0100】
搬送ロボット202の走行機構200を対称軸に、ウェハカセット204とは反対側に2台の洗浄ユニット212が配置されている。これら洗浄ユニット212は、上述した第1乃至第7の実施形態のいずれかに係る基板洗浄装置である。各洗浄ユニット212は、搬送ロボット202のハンドが到達可能な位置に配置されている。また2台の洗浄ユニット212の間で、搬送ロボット202が到達可能な位置に、4つの基板載置台を備えたウェハステーション206が配置されている。
【0101】
各洗浄ユニット212とウェハステーション206に到達可能な位置に2台の搬送ロボット208が配置されている。洗浄ユニット212と隣接するように、搬送ロボット208のハンドが到達可能な位置に洗浄ユニット214が配置されている。搬送ロボット208のハンドの到達可能な位置にロータリトランスポータ210が配置され、このロータリトランスポータ210と基板受渡し可能な位置に、研磨ユニット250が2台配置されている。なお、搬送ロボット208を1台のみを設けてもよい。
【0102】
研磨装置は、研磨前あるいは研磨後に、洗浄及び乾燥処理を経た基板表面における膜の膜厚等の表面状態を測定する測定部としてのITM(In-line Thickness Monitor)224を備えている。つまり、図27に示すように、走行機構200の延長線上には、搬送ロボット202が研磨後の基板をウェハカセット204内に収納する前、もしくは搬送ロボット202が研磨前の基板をウェハカセット204から取出した後に、光学的手段による基板表面へ入射し反射した光学信号により、半導体ウェハ等の基板表面における銅膜やバリア層等の研磨状態を測定するITM(測定部)224が配置されている。
【0103】
各研磨ユニット250は、研磨テーブル230、トップリング231、研磨テーブル230上の研磨パッド(図示せず)に研磨液を供給する研磨液供給ノズル232、研磨パッドのドレッシングを行うためのドレッサ218、及びドレッサ218を洗浄するための水槽222を有している。
【0104】
次に、図27に示す基板処理装置の動作について説明する。
まず、表面に銅膜などの導電膜を形成した基板を多数収容したウェハカセット204をロード・アンロード部201に装着する。そして、1枚の基板をウェハカセット204から搬送ロボット202で取出してウェハステーション206へ載置する。搬送ロボット208は、ウェハステーション206から基板を受け取り、必要に応じて、基板Wを反転させた後、ロータリトランスポータ210に渡す。次に、ロータリトランスポータ210を水平に回転させ、このロータリトランスポータ210で支持した基板を、一方の研磨ユニット250のトップリング231で保持する。
【0105】
そして、トップリング231で保持した基板を研磨テーブル100の上方の研磨位置に移動させる。そして、トップリング231及び研磨テーブル100を共に回転させながら、基板を下降させ、基板を研磨パッドの研磨面に押圧する。そして、研磨液供給ノズル102から研磨液を供給しながら、基板を研磨する。
【0106】
研磨された基板は、ロータリトランスポータ210及び搬送ロボット208を経由し、必要に応じて反転された後、洗浄ユニット214に搬送される。研磨を行った研磨ユニット250にあっては、研磨パッドの研磨面のドレッサ218によるコンディショニングを行って、次の研磨に備える。
【0107】
そして、洗浄ユニット214で、基板の表面の洗浄リンス処理を行い、さらに、上述したように、基板を乾燥させる。そして、乾燥された基板を搬送ロボット208でウェハステーション206に搬送して載置する。搬送ロボット202(または206)は、洗浄された基板をウェハステーション206から取出し、例えば上面洗浄のペンスポンジとスピンドライ機能を有する洗浄ユニット212に搬送し、この洗浄ユニット212で基板を洗浄し乾燥させる。そして、洗浄乾燥後の基板を搬送ロボット202により元のウェハカセット204に戻す。
【0108】
この研磨装置は、研磨ユニット250、洗浄ユニット212、洗浄ユニット214を2セット備えているので、上述した研磨、洗浄、乾燥を含む一連の処理を2枚の基板に対して同時に行うことができる。なお、2台の研磨ユニット250を、1枚のウェハに対して使用することもできる。
【0109】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の基板洗浄装置の平面図である。
【図3】基板を上昇させた状態を示す図である。
【図4】基板保持機構を示す平面図である。
【図5】液体が流れる流路を示す図である。
【図6】気体が流れる流路を示す図である。
【図7】第1の実施形態における回転カバーの内周面の他の例を示す断面図である。
【図8】基板を回転カバーの上端の位置まで上げた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図10】プッシュロッドにより基板を持ち上げた状態を示す図である。
【図11】第2の実施形態の回転カバーの変形例を示す拡大図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図13】気体が流れる流路を示す図である。
【図14】第3の実施形態に係る基板洗浄装置の変形例を示す断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図17】本発明の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。
【図18】本発明の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。
【図19】本発明の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。
【図20】本発明の参考例に係る基板洗浄装置を示す模式図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係る基板洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図22】図22(a)は、内側回転カバーと外側回転カバーの縦断面を示す拡大図であり、図22(b)は、内側回転カバーおよびチャックを示す平面図である。
【図23】図23(a)は、内周面カバーに固定されたサポートアームを上方から見た図であり、図23(b)は図23(a)に示すサポートアームを径方向外側から見た図である。
【図24】第7の実施形態に係る基板洗浄装置に、固定カバーを付加した変形例を示す断面図である。
【図25】本発明の第1乃至第7の実施形態のいずれかに係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の配置構成を示す平面図である。
【図26】図25に示す研磨装置の概要を示す斜視図である。
【図27】本発明の第1乃至第7の実施形態のいずれかに係る基板洗浄装置を備えた研磨装置の他の例を示す平面図である。
【図28】従来の基板洗浄装置の一例を示す断面図である。
【図29】図28に示す基板洗浄装置の平面図である。
【符号の説明】
【0111】
1 基板保持機構
2 モータ(回転機構)
3 回転カバー
4 フロントノズル(液供給ノズル)
10 チャック
11 ステージ
11A 第1のステージ
11B 第2のステージ
12 支持軸
12A 第1の支持軸
12B 第2の支持軸
15 直動ガイド機構
17 バックノズル
18 ガスノズル
20,21 ノズル
23 アクチュエータ
24 連結機構
25 排出孔
26 補助排出孔
28 スカート
30 排液路
31 排気路
32 吸引源
35 固定板
40 プッシュロッド
42 補助回転カバー
45 固定カバー
46 排気ポート
50 フィン
51 洗浄室
53 液体吸収体
60 基板保持機構
61 ステージ
62 支持軸
63 液受け
65 遮蔽カバー
70 固定カバー
75 内側回転カバー
80 サポートアーム
85 固定カバー
102 フロントロード部
132A,131B,131C,131D 研磨ユニット
132A,132B,132C,132D 研磨テーブル
133A,133B,133C,133D トップリング
134A,134B,134C,134D 研磨液供給ノズル
135A,135B,135C,135D ドレッサ
136A,136B,136C,136D アトマイザ
137A,137B,137C,137D トップリングシャフト
140 洗浄部
141〜145 洗浄ユニット
146 搬送ユニット
204 ウェハカセット
206 ウェハステーション
210 ロータリトランスポータ
212 乾燥ユニット
214 洗浄ユニット
218 ドレッサ
222 水槽
224 ITM
250 研磨ユニット
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された前記基板を回転させる回転機構と、
前記基板に洗浄液を供給する液供給ノズルと、
前記基板の周囲に配置され、前記基板と略同一の速度で回転する回転カバーとを備え、
前記回転カバーは、前記基板を囲む内周面を有し、
前記内周面は、その下端から上端まで、径方向内側に傾斜していることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記回転カバーの外周面全体を覆う固定カバーをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記基板と前記回転カバーとを、回転軸に沿って相対移動させる相対移動機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記回転カバーの下端に位置する上部開口を有する排出孔をさらに備え、
前記排出孔は、下方外側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記回転カバーの内周面の断面形状は、曲線から構成されており、
前記曲線の水平面に対する角度は、前記内周面の上端から下端に向かって徐々に大きくなることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記回転カバーの内周面に液体吸収体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記回転カバーの内側に、該回転カバーと一体に回転する内側回転カバーを設け、
前記内側回転カバーの外周面は、円弧状の縦断面を有しており、
前記内側回転カバーの外周面の上端は、前記基板保持機構に保持された基板の上面と同一またはやや下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記内側回転カバーと前記回転カバーとは、複数のサポートアームによって連結されており、
前記サポートアームは、前記内側回転カバーと前記回転カバーとの隙間に配置され、該隙間に気体の下降流を形成するような翼形状を有することを特徴とする請求項7に記載の基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−117794(P2009−117794A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142672(P2008−142672)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】