説明

塗布システム

【課題】塗布禁止領域に付着した流動性材料を除去し、塗布領域のみに流動性材料が定着した基板を容易に得る。
【解決手段】塗布システム1は、処理ユニット群2、インデクサ3およびマルチ搬送ロボット4を備え、処理ユニット群2は、有機EL塗布ユニット24、有機ELベークユニット25および有機EL除去ユニット26を含む。塗布システム1では、処理ユニット群2において、有機EL塗布ユニット24により塗布領域および塗布禁止領域に有機EL液が塗布され、有機EL除去ユニット26により塗布禁止領域にレーザ光が照射されて塗布禁止領域から有機EL液が除去される。その後、有機ELベークユニット25により基板に対する加熱処理が行われることにより、有機EL液が基板上に定着して有機EL層が形成される。このように、塗布システム1では、塗布領域のみに有機EL液が定着されて有機EL層が形成された基板9を容易に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL(Electro Luminescence)材料を利用した有機EL表示装置の開発が行われており、例えば、高分子有機EL材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置の製造では、ガラス基板(以下、単に「基板」という。)に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成、隔壁の形成、正孔輸送材料を含む塗布液の塗布、加熱処理による正孔輸送層の形成、有機EL材料を含む塗布液の塗布、加熱処理による有機EL層の形成、陰極の形成、および、絶縁膜の形成による封止が順次行われる。
【0003】
このような有機EL表示装置の製造では、生産性の向上や装置コストの低減、有機EL表示装置の高品質化等を目的として様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1の製造装置では、基板に対して有機正孔注入材料を含むインクを噴出して塗布するインクジェット装置、有機EL材料を含むインクを噴出して塗布するインクジェット装置、および、インクが塗布された基板を加熱して正孔注入層や有機発光層を形成する複数の乾燥炉をロボットアームの周囲に略円周状に配置し、各工程を連続して行うことにより有機EL素子の生産性の向上が図られている。
【0004】
特許文献2の製造装置では、基板を搬送する複数の搬送装置を直線状に配列し、これらの搬送装置の一方側に正孔注入/輸送材料または有機EL材料を含むインクを塗布するインクジェット装置を配置し、他方側にインクが塗布された基板に対する加熱処理を行う加熱装置および冷却装置を配置することにより、インクジェット装置と加熱装置等との間の振動や熱の伝達を抑制して発光素子の品質向上が図られている。
【0005】
特許文献3では、正孔輸送材料または有機EL材料を含む液体をノズルから連続的に吐出しつつノズルを走査することにより基板に液体を塗布する塗布ユニット、および、当該液体が塗布された基板に対して加熱処理を行うベークユニットを備える薄膜形成装置が開示されている。当該薄膜形成装置では、減圧雰囲気を必須とする工程を実施するユニットが含まれていないため、装置コストの低減および制御の簡素化が実現される。また、特許文献3の薄膜形成装置では、インクジェット装置による塗布を行う特許文献1や特許文献2の装置に比べて、基板に対する液体の均一な塗布を高スループットにて行うことができる。
【特許文献1】特開2003−142260号公報
【特許文献2】特開2003−217844号公報
【特許文献3】特開2004−111073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板の表面には、有機EL材料等を含む液体が塗布されるべき塗布領域(すなわち、発光領域)の周囲に、ドライバ回路が組み込まれた領域や絶縁膜による封止のために必要な領域が設けられている。有機EL表示装置の製造では、正孔輸送層や有機EL層の形成工程においてこれらの塗布領域の周囲の領域(以下、「塗布禁止領域」という。)に有機EL材料等を含む流動性材料が付着する可能性があり、流動性材料が付着した状態で後工程が行われると、電極の特性劣化や封止不良等が発生する可能性がある。
【0007】
このため、塗布禁止領域に付着した流動性材料の除去を行う必要があるが、有機EL表示装置では、基板に塗布された後の有機EL材料等に水分や溶剤等が付着すると有機EL層の特性に悪影響が及ぼされるため、エッジリンスや酸洗浄等、溶剤を用いた除去方法を利用することができない。また、1枚の基板から複数の有機EL表示装置を製造する(いわゆる、多面取りを行う)場合、塗布禁止領域が基板の外周以外の部位にも設けられるため、エッジリンスによる除去を行うことはできない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、塗布禁止領域に付着した流動性材料を除去し、塗布領域のみに流動性材料が定着した基板を容易に得ることを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、処理ユニット群と、前記処理ユニット群による処理前の未処理基板および前記処理ユニット群による処理後の処理済基板が載置されるインデクサと、前記インデクサおよび前記処理ユニット群に対して基板の受け渡しを行い、前記インデクサから前記処理ユニット群の少なくとも一部を経由して前記インデクサへと至る所定の搬送経路に沿って前記基板を搬送する基板搬送機構とを備え、前記処理ユニット群が、基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記基板上の塗布禁止領域を含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布ユニットと、前記塗布禁止領域に塗布された流動性材料に向けてエネルギー波または微粒子を照射して前記塗布禁止領域から前記流動性材料を除去する除去ユニットと、前記流動性材料が塗布された前記基板を加熱して前記流動性材料を前記基板上に定着させるベークユニットとを含む。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群が、前記基板を一時的に保持するバッファユニットをさらに含む。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群のうち、前記除去ユニットが、他のいずれの処理ユニットよりも前記インデクサに近い位置に配置される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布システムであって、前記除去ユニットにより前記基板上の前記塗布禁止領域に向けて行われる前記エネルギー波の照射が、レーザ光の照射である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布システムであって、前記基板が、有機EL表示装置用のガラス基板である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の塗布システムであって、前記流動性材料が正孔輸送材料を含む。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の塗布システムであって、前記流動性材料が有機EL材料である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の塗布システムであって、前記除去ユニットが、前記ベークユニットにより加熱される前の前記基板から前記流動性材料を除去する。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の塗布システムであって、前記基板搬送機構が、前記基板を前記塗布ユニットから前記除去ユニットへと搬送する際に保持する保持部と、前記基板を前記除去ユニットから前記ベークユニットへと搬送する際に保持するもう1つの保持部とを備える。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の塗布システムであって、前記塗布ユニットが、複数の流動性材料をそれぞれ吐出する複数のノズルを備え、前記複数の流動性材料が、互いに色が異なる複数の有機EL材料をそれぞれ含む。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項7に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットをさらに含み、前記塗布ユニットが、一の色の有機EL材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの塗布ユニットが、前記一の色とは異なる他の一の色の有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布する。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の塗布システムであって、前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域からの前記第1流動性材料の除去および前記第2流動性材料の除去を並行して行う。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群がもう1つのベークユニットをさらに含み、前記基板搬送機構が、前記塗布ユニット、前記ベークユニット、前記もう1つの塗布ユニット、前記もう1つのベークユニットおよび前記除去ユニットの順に前記基板を搬送する。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項5に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットをさらに含み、前記塗布ユニットが、正孔輸送材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの塗布ユニットが、有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布する。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群が、もう1つの除去ユニットをさらに含み、前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第1流動性材料を除去し、前記もう1つの除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第2流動性材料を除去する。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項2に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットおよびもう1つの除去ユニットをさらに含み、前記塗布ユニットおよび前記除去ユニットが前記バッファユニットの一方側に配列されるとともに前記もう1つの塗布ユニットおよび前記もう1つの除去ユニットが前記バッファユニットの他方側に配列され、前記塗布ユニットが、正孔輸送材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第1流動性材料を除去し、前記もう1つの塗布ユニットが、有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第2流動性材料を除去する。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項1ないし16に記載の塗布システムであって、前記処理ユニット群による前記基板の処理が常圧下において行われる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、塗布領域のみに流動性材料が定着した基板を容易に得ることができる。請求項2および12の発明では、基板の処理時間を短縮することができる。請求項3の発明では、塗布ユニットおよびベークユニットを容易に増設することができる。
【0027】
請求項4の発明では、流動性材料を位置精度良く除去することができる。請求項8の発明では、流動性材料を容易に除去することができる。請求項9の発明では、流動性材料が搬送機構を介してベークユニットに付着することを防止することができる。
【0028】
請求項10の発明では、複数の流動性材料を並行して基板に塗布することができる。請求項11および13の発明では、複数の流動性材料を各流動性材料に適した塗布条件下で基板に塗布することができる。請求項13の発明では、さらに、複数の流動性材料を各流動性材料に適した温度条件にて加熱することができる。
【0029】
請求項16の発明では、正孔輸送材料の処理に係る処理ユニットと有機EL材料の処理に係る処理ユニットとの間における雰囲気の移動を抑制することができる。請求項17の発明では、塗布システムの構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る塗布システム1の構成を示す図である。塗布システム1は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)に流動性材料を塗布するシステムであって、本実施の形態では、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置用の基板に、正孔輸送材料および有機EL材料をそれぞれ含む流動性材料が塗布される(以下の実施の形態においても同様)。塗布システム1では、TFT回路、ITO電極および隔壁が形成された基板上に正孔輸送材料の層(以下、「正孔輸送層」という。)および有機EL材料の層(以下、「有機EL層」という。)が形成される。
【0031】
ここで、「正孔輸送層」とは、正孔を有機EL層へと輸送する狭義の正孔輸送層のみを意味するのではなく、狭義の正孔輸送層の他に正孔の注入を行う正孔注入層も含む。また、「正孔輸送材料」とは、狭義の正孔輸送材料の他に正孔注入材料も含む。
【0032】
図1に示すように、塗布システム1は、複数の処理ユニットを含む処理ユニット群2、処理ユニット群2による処理が行われる前の未処理基板および処理が行われた後の処理済基板が載置される基板搬入搬出部としてのインデクサ3、並びに、処理ユニット群2およびインデクサ3に対して基板の受け渡しを行い、インデクサ3から処理ユニット群2の少なくとも一部を経由してインデクサ3へと至る所定の搬送経路に沿って基板を搬送する基板搬送機構であるマルチ搬送ロボット4を備える。塗布システム1では、処理ユニット群2の複数の処理ユニットによる基板の処理が常圧下において行われる。
【0033】
処理ユニット群2は、正孔輸送材料を含む流動性材料である正孔輸送液を基板に向けて連続的に吐出して基板に正孔輸送液を塗布する正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送液が塗布された基板を加熱することにより正孔輸送液を基板上に定着させて(すなわち、正孔輸送液を乾燥させて正孔輸送液に含まれる正孔輸送材料を基板上に固着させて)正孔輸送材料の層(すなわち、正孔輸送層)を基板上に形成する正孔輸送ベークユニット22、有機EL材料を含む流動性材料である有機EL液を正孔輸送層が形成された基板に向けて連続的に吐出して基板に有機EL液を塗布する有機EL塗布ユニット24、および、有機EL液が塗布された基板を加熱することにより有機EL液を基板上に定着させて(すなわち、有機EL液を乾燥させて有機EL液に含まれる有機EL材料を基板上に固着させて)有機EL材料の層(すなわち、有機EL層)を基板上の正孔輸送層上に形成する有機ELベークユニット25を含む。
【0034】
図2は、基板9を示す平面図である。図2では、基板9上において正孔輸送液および有機EL液が塗布されて正孔輸送層および有機EL層が形成される領域(以下、「塗布領域」という。)91に平行斜線を付す。本実施の形態では、基板9上に4つの塗布領域91が設けられ、1枚の基板9から4つの有機EL表示装置が製造される。4つの塗布領域91の周囲の格子状の領域92は、ドライバ回路の組み込みや後工程における絶縁膜による封止等に利用されるため、正孔輸送層や有機EL層が形成されるべきではない領域であり、以下、「塗布禁止領域92」という。
【0035】
図1に示すように、処理ユニット群2は、正孔輸送塗布ユニット21により正孔輸送液が塗布された基板9の塗布禁止領域92から正孔輸送液を除去する正孔輸送除去ユニット23、および、有機EL塗布ユニット24により有機EL液が塗布された基板9の塗布禁止領域92から有機EL液を除去する有機EL除去ユニット26をさらに含む。正孔輸送除去ユニット23では、基板9上の塗布禁止領域92に塗布された正孔輸送液に向けてエネルギー波を照射することにより塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去される。有機EL除去ユニット26においても同様に、基板9上の塗布禁止領域92に塗布された有機EL液に向けてエネルギー波を照射することにより塗布禁止領域92から有機EL液が除去される。本実施の形態では、正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26により基板9上の塗布禁止領域92に向けて行われるエネルギー波の照射は、レーザ光の照射による光エネルギーの照射であり、塗布禁止領域92上の正孔輸送液および有機EL液は、レーザアブレーションによって気化することにより塗布禁止領域92上から除去される(以下の実施の形態においても同様)。
【0036】
処理ユニット群2では、マルチ搬送ロボット4が移動する直線状の移動路41の一方側に、正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送ベークユニット22および正孔輸送除去ユニット23が配列されており、移動路41の他方側に有機EL塗布ユニット24、有機ELベークユニット25および有機EL除去ユニット26が配列されている。塗布システム1では、処理ユニット群2のうち、正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26が、他のいずれの処理ユニット(すなわち、正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送ベークユニット22、有機EL塗布ユニット24および有機ELベークユニット25)よりもインデクサ3に近い位置に配置される。
【0037】
インデクサ3は、複数枚の基板9をそれぞれ収容する複数のカセット90が載置されるカセット載置部31、処理ユニット群2側に設けられてカセット90に対する基板9の搬出および搬入を行うインデクサロボット32を備える。インデクサ3は、クリーンルーム通路(図示省略)に面しており、クリーンルーム通路を走行する運搬装置(図示省略)により、処理前の未処理基板が収容されたカセット90がインデクサ3に搬入されてカセット載置部31に載置され、また、処理後の処理済基板が収容されたカセット90がインデクサ3から搬出される。
【0038】
インデクサロボット32は、マルチ搬送ロボット4の移動路41と略垂直な直線状の移動路33を移動して各カセット90に対応する位置に位置する。また、インデクサロボット32がマルチ搬送ロボット4との間で基板9の受け渡しを行うことにより、インデクサ3と処理ユニット群2との間における基板9の移送が行われる。
【0039】
図3は、インデクサロボット32およびマルチ搬送ロボット4を示す図である。図3に示すように、インデクサロボット32は、基板9を保持する2つのハンド321,322、ハンド321,322を基台部323に対して個別に進退させる進退機構324,325、および、基台部323を移動する基台部移動機構(図示省略)を備える。進退機構324,325は多関節アーム型であり、ハンド321,322を姿勢を保持した状態で水平方向に進退させる。インデクサロボット32の基台部323は、基台部移動機構により、移動路33(図1参照)上を水平方向に移動するとともに垂直方向に昇降し、さらに、垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。
【0040】
マルチ搬送ロボット4も、インデクサロボット32と同様に、基板9を保持する保持部である2つのハンド421,422、ハンド421,422を基台部423に対して個別に進退させる進退機構424,425、および、基台部423を移動する基台部移動機構(図示省略)を備える。進退機構424,425は多関節アーム型であり、ハンド421,422を姿勢を保持した状態で水平方向に進退させる。また、基台部移動機構により、基台部423が移動路41に沿って水平方向に移動するとともに垂直方向に昇降し、さらに、垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。
【0041】
図1に示す塗布システム1では、インデクサロボット32から基板9を受け取ったマルチ搬送ロボット4が、移動路41上を移動して処理ユニット群2の各処理ユニットにアクセスし、基板9を保持するハンド421,422が進退機構424,425により進退することにより、各処理ユニットに対する基板9の搬入および搬出が行われ、さらに、マルチ搬送ロボット4からインデクサロボット32へと処理後の基板9が渡されることにより基板9が処理ユニット群2から搬出される。このように、塗布システム1では、マルチ搬送ロボット4により基板9が所定の搬送経路に沿って搬送される。
【0042】
ここで、「搬送経路」とは、基板搬送機構により搬送される基板9が移動する経路を意味する。例えば、本実施の形態のように、移動するマルチ搬送ロボット4により基板9が搬送される場合には、搬送経路は、ハンド421,422により保持された状態でマルチ搬送ロボット4が移動することにより基板9が移動する経路、および、ハンド421,422が進退機構424,425により進退することにより基板9が移動する経路となり、また、固定された複数の搬送アーム等により基板9が各ユニット間を順次搬送される場合には、搬送経路は当該複数の搬送アームにより基板9が移動する経路となる。
【0043】
図4は、正孔輸送除去ユニット23の構成を示す正面図である。正孔輸送除去ユニット23は、基板9を保持する基板保持部231、基板9を互いに垂直な2つの水平方向(すなわち、図4中の左右方向および奥行き方向)に移動する基板移動機構232、基板9の塗布禁止領域92にレーザ光を照射して塗布された正孔輸送液を除去する除去ヘッド233、および、これらの構成を制御する制御部234を備える。
【0044】
図5は、除去ヘッド233の内部構成を拡大して示す正面図である。図5では、除去ヘッド233のハウジング2330に収容される構成を説明するため、ハウジング2330の内部を描いている。図5に示すように、除去ヘッド233は、レーザ光を出射するレーザ照射部2331、レーザアブレーションにより気化された除去物(すなわち、正孔輸送液)を吸引する吸引部2332、および、これらの構成を収容するハウジング2330を備える。
【0045】
レーザ照射部2331は、高強度のパルスレーザ光を発振するレーザ発振器2333、レーザ発振器2333からのレーザ光を拡大する拡大光学系2334、拡大光学系2334からのレーザ光の断面形状をスリット状(幅の狭い矩形状)に整形するマスク2335、および、マスク2335により整形されたレーザ光を集束させつつ基板9へと導く縮小光学系2336を備える。図5では、レーザ発振器2333から基板9へと導かれるレーザ光の主軸を破線にて示している。吸引部2332は、基板9に向けて突出する吸引ノズル2337を備え、レーザ照射部2331からのレーザ光が照射される基板9上の領域の上方において周囲のガスを吸引する。
【0046】
図4に示す正孔輸送除去ユニット23により基板9上の塗布禁止領域92(図2参照)から正孔輸送液が除去される際には、まず、基板移動機構232により基板9が移動されて除去開始位置に位置する。すなわち、基板9の塗布禁止領域92の端部が、除去ヘッド233の縮小光学系2336の下方に位置する。
【0047】
続いて、基板9が静止した状態において、吸引部2332による吸引が開始されるとともにレーザ照射部2331から塗布禁止領域92に向けてパルスレーザ光の照射が開始される。塗布禁止領域92では、レーザ光の照射が繰り返し行われることにより、レーザアブレーションが繰り返し生じ、これにより、基板9の塗布禁止領域92に付着している正孔輸送液が気化されて除去される。気化された正孔輸送液は、吸引部2332により周囲のガスと共に吸引される。その結果、気化した正孔輸送液が基板9や正孔輸送除去ユニット23に再付着することが防止される。
【0048】
正孔輸送除去ユニット23では、所定のパルス数のレーザ光が基板9上の一の照射領域に照射されると、基板移動機構232により基板9が移動されて塗布禁止領域92におけるレーザ光が照射される領域が移動する。そしてレーザ光の照射および基板9の移動が繰り返されることにより、基板9上の塗布禁止領域92の全域に対してレーザ光が照射され、塗布禁止領域92に付着した正孔輸送液が除去される。
【0049】
有機EL除去ユニット26は、図4に示す正孔輸送除去ユニット23と同様の構造を有するため、図示を省略する。有機EL除去ユニット26は、正孔輸送除去ユニット23と同様に、基板9を保持する基板保持部、基板9を移動する基板移動機構、基板9の塗布禁止領域92にレーザ光を照射して塗布された有機EL液を除去する除去ヘッド、および、これらの構成を制御する制御部を備える。
【0050】
除去ヘッドの内部構成も、図5に示す正孔輸送除去ユニット23の除去ヘッド233と同様である。有機EL除去ユニット26でも、正孔輸送除去ユニット23と同様に、除去ヘッドのレーザ照射部からのパルスレーザ光の照射によるレーザアブレーションにより、基板9の塗布禁止領域92から有機EL液を気化させて除去し、吸引部により気化した有機EL液を周囲のガスと共に吸引することにより、除去された有機EL液が、基板9や有機EL除去ユニット26に再付着することが防止される。
【0051】
図6および図7は、有機EL塗布ユニット24の構成を示す平面図および正面図である。図7に示すように、有機EL塗布ユニット24は、図示しないヒータによる加熱機構を内蔵するとともに基板9を保持する基板保持部241、および、基板保持部241を所定の移動方向(すなわち、図6中における上下方向)に水平移動するとともに垂直方向に向く軸を中心として回転する基板移動機構242を備え、また、図6および図7に示すように、基板9上に形成されたアライメントマーク(図示省略)を撮像して検出するアライメントマーク検出部243、基板保持部241上の基板9に向けて有機EL液を吐出して塗布する塗布ヘッド244、塗布ヘッド244を基板保持部241の移動方向とは垂直な水平方向(すなわち、図6中における左右方向)に移動するヘッド移動機構245、および、これらの構成を制御する制御部を備える。
【0052】
塗布ヘッド244は、有機EL液をそれぞれ吐出する3本のノズル247a,247b,247c、および、3本のノズル247a〜247cに有機EL液をそれぞれ供給する塗布液供給部248a,248b,248cを備える。ノズル247a〜247cは、図6中における左右方向(すなわち、塗布ヘッド244の移動方向)に略直線状に配列されるとともに図6中における上下方向(すなわち、基板9の移動方向)に僅かにずれて配置される。図6中における上下方向に関し、ノズル247aとノズル247bとの間の距離、および、ノズル247bとノズル247cとの間の距離は、基板9上に予め形成されている図6中の左右方向に伸びる隔壁間のピッチ(以下、「隔壁ピッチ」という。)と等しくされる。
【0053】
塗布液供給部248aは、有機EL液を貯溜する貯溜タンク、貯溜タンクから有機EL液を吸引するポンプ、有機EL液の流量を検出する流量計、および、有機EL液中の異物を除去するフィルタを備え、流量計からの出力に基づいてポンプが制御部により制御されることにより、有機EL液が予め設定された設定流量にてノズル247aに供給されて基板9に向けて吐出される(塗布液供給部248b,248c、および、ノズル247b,247cにおいても同様)。塗布ヘッド244では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と互いに色が異なる3種類の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液がそれぞれ、3つの塗布液供給部から3本のノズル247a〜247cに供給されて吐出される。
【0054】
有機EL塗布ユニット24により有機EL液の塗布が行われる際には、まず、基板9が基板保持部241に載置されて保持され、アライメントマーク検出部243からの出力に基づいて基板移動機構242が駆動されて基板9が図6中に実線にて示す塗布開始位置に位置する。塗布ヘッド244は予め図6および図7中に実線にて示す位置に位置している。
【0055】
続いて、塗布液供給部248a〜248cが制御されてノズル247a〜247cから有機EL液の吐出が開始されるとともに、ヘッド移動機構245が駆動されて塗布ヘッド244(すなわち、ノズル247a〜247c)の移動が開始される。有機EL塗布ユニット24では、塗布ヘッド244の3本のノズル247a〜247cから3種類の有機EL液を基板9に向けて連続的に吐出しつつ、ノズル247a〜247cを基板9に対して図6中の左側から右側へと相対的に移動することにより、基板9上に有機EL液がストライプ状に塗布される。基板9上の塗布領域91には上述のように複数の隔壁が予め形成されており、3種類の有機EL液は隔壁間の隣接する3つの溝部に塗布される。
【0056】
塗布ヘッド244が図6および図7中に二点鎖線にて示す位置まで移動すると、基板移動機構242が駆動され、基板9が基板保持部241と共に図6中の上側に隔壁ピッチの3倍の距離だけ移動する。そして、塗布ヘッド244が有機EL液を吐出しつつ図6中において右側から左側へと移動することにより、基板9上に3種類の有機EL液がストライプ状に塗布される。
【0057】
図8は、基板9を示す平面図であり、図9は、図8中のA−Aの位置における基板9の断面図である。有機EL塗布ユニット24では、塗布ヘッド244の左右方向への移動、および、基板9のピッチ移動が繰り返されることにより、図8および図9に示すように、基板9上の塗布禁止領域92を含む領域(すなわち、塗布禁止領域92のうち塗布領域91の左右の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝部)に有機EL液93がストライプ状に塗布される。なお、図8では、図示の都合上、基板9上に塗布された有機EL液93の幅およびピッチを実際よりも大きく描いている。
【0058】
有機EL塗布ユニット24では、有機EL液93の塗布が行われている間、塗布ヘッド244のノズル247a〜247c(図6および図7参照)から有機EL液93が連続的に吐出されている。有機EL塗布ユニット24では、塗布禁止領域92のうち基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図8中において左右方向に伸びる領域)に対して、塗布ヘッド244を基板9上から待避させた状態で、基板9を当該領域の幅(すなわち、図8中の上下方向の幅)と等しい距離だけ移動することにより、当該領域への有機EL液93の塗布が回避される。
【0059】
基板9が図6中に二点鎖線にて示す塗布終了位置まで移動すると、ノズル247a〜247cからの有機EL液93の吐出が停止されて基板9に対する有機EL液93の塗布が終了する。そして、上述の有機EL除去ユニット26において、基板9の塗布禁止領域92から有機EL液93が除去されることにより、図10に示すように、基板9の塗布領域91上にのみ有機EL液93が残置される。
【0060】
正孔輸送塗布ユニット21は、図6および図7に示す有機EL塗布ユニット24と同様の構成を有するため、図示を省略する。正孔輸送塗布ユニット21は、有機EL塗布ユニット24と同様に、基板9を保持する基板保持部、基板保持部を移動するとともに回転する基板移動機構、アライメントマークを撮像して検出するアライメントマーク検出部、基板9に向けて正孔輸送液を塗布する塗布ヘッド、塗布ヘッドを移動するヘッド移動機構、および、これらの構成を制御する制御部を備える。
【0061】
正孔輸送塗布ユニット21の塗布ヘッドは、正孔輸送塗布ユニット21の塗布ヘッド244と同様に、正孔輸送液をそれぞれ吐出する3本のノズル、および、3本のノズルに正孔輸送液をそれぞれ供給する塗布液供給部を備え、基板9の移動方向に関するノズルの間隔は隔壁ピッチに等しくされる。正孔輸送塗布ユニット21では、3本のノズルに単一種類の正孔輸送液が供給されて吐出され、基板9上の隔壁間の隣接する3つの溝部に塗布される。正孔輸送塗布ユニット21でも、有機EL塗布ユニット24と同様に、塗布禁止領域92のうち基板9の移動方向に垂直に伸びる領域に対して、塗布ヘッドを基板9上から待避させた状態で基板9を移動することにより、正孔輸送液の塗布が回避される。
【0062】
図11は、正孔輸送ベークユニット22を示す斜視図である。図11に示すように正孔輸送ベークユニット22は、正孔輸送液が塗布された基板9を加熱して正孔輸送液を基板9上に定着させる加熱部221、および、加熱部221により加熱された基板9を常温まで冷却する冷却部222を備える。図11では、図示の都合上、加熱部221と冷却部222とを分離させて描いているが、実際は冷却部222上に加熱部221が重ねて配置されている。
【0063】
加熱部221は、ヒータ(図示省略)が内蔵されたホットプレート2211、および、ホットプレート2211を内部に収容するハウジング2212を備え、ハウジング2212には、基板9の搬出入に利用される開口2213が形成されている。加熱部221では、ヒータにより加熱されて高温となっているホットプレート2211上に基板9が載置されることにより(あるいは、ホットプレート2211上においてホットプレート2211と微小距離だけ離れた位置に保持されることにより)基板9が加熱され、基板9に塗布された正孔輸送液から溶媒成分が蒸発して正孔輸送液が基板9上に定着し、基板9上に正孔輸送層が形成される。
【0064】
冷却部222は、内部に冷媒が流れるクールプレート2221、および、クールプレート2221を内部に収容するハウジング2222を備え、ハウジング2222には、基板9の搬出入に利用される開口2223が形成されている。冷却部222では、加熱部221により加熱された基板9がクールプレート2221上に載置されて冷却されることにより、高温の基板9を常温まで迅速に冷却することができる。
【0065】
有機ELベークユニット25は、図11に示す正孔輸送ベークユニット22と同様の構成を有するため、図示を省略する。有機ELベークユニット25は、正孔輸送ベークユニット22と同様に、有機EL液が塗布された基板9を加熱して有機EL液を基板9上に定着させる加熱部、および、加熱部により加熱された基板9を常温まで冷却する冷却部を備える。加熱部は、ヒータが内蔵されたホットプレート、および、ホットプレートを内部に収容するハウジングを備え、冷却部は、内部に冷媒が流れるクールプレート、および、クールプレートを内部に収容するハウジングを備える。
【0066】
有機ELベークユニット25でも、正孔輸送ベークユニット22と同様に、加熱部のホットプレート上に基板9が載置されることにより、基板9に塗布された有機EL液から溶媒成分が蒸発して有機EL液が基板9上に定着し、基板9上に有機EL層が形成される。そして、加熱後の基板9が冷却部のクールプレート上に載置されることにより、高温の基板9が迅速に常温まで冷却される。
【0067】
次に、塗布システム1の動作について説明する。図12.Aないし図12.Cは、塗布システム1の動作の流れを示す図である。図1に示す塗布システム1では、TFT回路、ITO電極および隔壁が形成された複数の基板9が収容されているカセット90が、インデクサ3のカセット載置部31上に予め載置されており、まず、インデクサ3のインデクサロボット32(図3参照)により、カセット載置部31上のカセット90から基板9が取り出され、マルチ搬送ロボット4により、インデクサロボット32のハンド321に保持された基板9が受け取られてハンド421(図3参照)に保持される(ステップS11)。
【0068】
続いて、マルチ搬送ロボット4が、移動路41上を正孔輸送塗布ユニット21の前まで移動し、ハンド421に保持された基板9が正孔輸送塗布ユニット21に搬入されて基板保持部に載置される(ステップS12)。正孔輸送塗布ユニット21では、基板9に向けて正孔輸送液が吐出され、塗布禁止領域92上を含む基板9上の領域(すなわち、塗布領域91の隔壁間の溝部および塗布禁止領域92)に正孔輸送液がストライプ状に塗布される(ステップS13)。
【0069】
正孔輸送液の塗布が終了すると、マルチ搬送ロボット4により基板9が正孔輸送塗布ユニット21から搬出され(ステップS14)、正孔輸送除去ユニット23へと搬送されて正孔輸送除去ユニット23に搬入される(ステップS15)。このとき、基板9は、マルチ搬送ロボット4のハンド421により保持されて搬送される。また、基板9上では、正孔輸送塗布ユニット21により塗布された正孔輸送液の溶媒成分の一部が基板保持部の加熱機構により蒸発し、正孔輸送液がある程度乾燥した状態(いわゆる、生乾きの状態)にて塗布禁止領域92および塗布領域91上に付着している。正孔輸送除去ユニット23では、除去ヘッド233(図5参照)からのレーザ光の照射によるレーザアブレーションにより、基板保持部231に保持された基板9の塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去される(ステップS16)。
【0070】
塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去されると、マルチ搬送ロボット4により基板9が正孔輸送除去ユニット23から搬出され(ステップS17)、正孔輸送ベークユニット22へと搬送されて正孔輸送ベークユニット22に搬入される(ステップS21)。基板9が正孔輸送除去ユニット23から正孔輸送ベークユニット22へと搬送される際には、基板9は、マルチ搬送ロボット4のハンド422(すなわち、正孔輸送塗布ユニット21から正孔輸送除去ユニット23へと搬送する際に保持する保持部とは異なるもう1つの保持部)により保持される。
【0071】
正孔輸送ベークユニット22では、塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去された基板9が、加熱部221のホットプレート2211(図11参照)に載置されて加熱され、塗布領域91において隔壁間の溝部に塗布された正孔輸送液が、基板9(のITO電極)上に定着して正孔輸送層が形成される(ステップS22)。続いて、マルチ搬送ロボット4により基板9が加熱部221から搬出されて冷却部222へと搬入され、クールプレート2221(図11参照)上に載置されて常温まで冷却される(ステップS23)。
【0072】
基板9の冷却が終了すると、マルチ搬送ロボット4により基板9が正孔輸送ベークユニット22から搬出され(ステップS24)、有機EL塗布ユニット24に搬入される(ステップS25)。有機EL塗布ユニット24では、基板保持部241に保持された基板9に向けて3種類の有機EL液が吐出され、塗布禁止領域92を含む基板9上の領域(すなわち、塗布禁止領域92、および、塗布領域91の隔壁間の溝部に形成された正孔輸送層上の領域)に3種類の有機EL液がストライプ状に塗布される(ステップS26)。
【0073】
有機EL液の塗布が終了すると、マルチ搬送ロボット4により基板9が有機EL塗布ユニット24から搬出され(ステップS27)、有機EL除去ユニット26へと搬入される(ステップS31)。基板9上では、有機EL塗布ユニット24により塗布された有機EL液の溶媒成分の一部が基板保持部241の加熱機構により蒸発し、有機EL液がある程度乾燥した状態(いわゆる、生乾きの状態)にて塗布禁止領域92および塗布領域91(の正孔輸送層)上に付着している。有機EL除去ユニット26では、除去ヘッドからのレーザ光の照射によるレーザアブレーションにより、基板保持部に保持された基板9の塗布禁止領域92から有機EL液が除去される(ステップS32)。
【0074】
塗布禁止領域92から有機EL液が除去されると、マルチ搬送ロボット4により基板9が有機EL除去ユニット26から搬出され(ステップS33)、有機ELベークユニット25に搬入される(ステップS34)。基板9が有機EL除去ユニット26から有機ELベークユニット25へと搬送される際には、基板9は、マルチ搬送ロボット4のハンド421,422のうち、有機EL塗布ユニット24から有機EL除去ユニット26へと基板9を搬送する際に利用されたハンドとは異なるハンドにより保持される。
【0075】
有機ELベークユニット25では、塗布禁止領域92から有機EL液が除去された基板9が加熱部のホットプレートにより加熱され、基板9の正孔輸送層上に塗布された有機EL液が基板9(の正孔輸送層)上に定着して有機EL層が形成される(ステップS35)。続いて、マルチ搬送ロボット4により基板9が加熱部から搬出されて冷却部へと搬入され、クールプレートにより常温まで冷却される(ステップS36)。
【0076】
基板9の塗布領域91において正孔輸送層上に積層される有機EL層の形成が終了すると、基板9が、マルチ搬送ロボット4により有機ELベークユニット25から搬出され(ステップS37)、インデクサ3へと搬送されてインデクサロボット32により受け取られ、カセット載置部31上のカセット90に収容される(ステップS38)。塗布システム1では、カセット90に所定枚数の処理済基板が収容されると、当該カセット90が塗布システム1外に搬出され、他の装置により陰極の形成、および、絶縁膜による封止が行われて有機EL表示装置が製造される。
【0077】
以上に説明した塗布システム1において、正孔輸送層の形成に係る構成に注目すると、処理ユニット群2が、基板9に正孔輸送液を塗布する正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送液が塗布された基板9の塗布禁止領域92から正孔輸送液を除去する正孔輸送除去ユニット23、および、基板9を加熱して正孔輸送液を基板9上に定着させる正孔輸送ベークユニット22を含む。これにより、塗布領域91のみに正孔輸送液が定着して正孔輸送層が形成された基板9を容易に得ることができる。また、正孔輸送液の塗布、塗布禁止領域92からの正孔輸送液の除去、および、正孔輸送液の定着を1つのシステム内にて行うことができるため、基板9の処理時間を短縮することができるとともに塗布システム1の製造コストを低減することができる(本段落にて説明した事項は、以下の第2ないし第7の実施の形態において同様である。)。
【0078】
正孔輸送除去ユニット23では、正孔輸送ベークユニット22により加熱される前の基板9の塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去される。すなわち、正孔輸送液が基板9に定着する前に除去することができるため、正孔輸送液を容易に除去することができる(第2、第4ないし第7の実施の形態において同様)。
【0079】
また、正孔輸送除去ユニット23では、レーザ光の照射によるレーザアブレーションにより正孔輸送液が除去される。レーザ光の照射においては、レーザ光が照射される領域を高精度に規定することができるため、正孔輸送液を位置精度良く除去することができる。また、波長を制御したレーザ光の照射では、正孔輸送液に影響を与える可能性があるオゾン(O)が発生しないため、高品質な正孔輸送層の形成を実現することができる(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0080】
次に、有機EL層の形成に係る構成に注目すると、正孔輸送層の形成に係る構成と同様に、有機EL塗布ユニット24により基板9に有機EL液が塗布され、有機EL除去ユニット26により塗布禁止領域92から有機EL液が除去され、さらに、有機ELベークユニット25により基板9の塗布領域91に有機EL液が定着されることにより、塗布領域91のみに有機EL液が定着されて有機EL層が形成された基板9を容易に得ることができる。また、有機EL液の塗布、塗布禁止領域92からの有機EL液の除去、および、有機EL液の定着を1つのシステム内に行うことができるため、基板9の処理時間の短縮および塗布システム1の製造コストの低減を実現することができる(第4および第6の実施の形態において同様)。
【0081】
有機EL除去ユニット26では、有機ELベークユニット25により加熱される前の基板9の塗布禁止領域92から有機EL液が除去される。すなわち、有機EL液が基板9に定着する前に除去することができるため、有機EL液を容易に除去することができる(第2、第4ないし第7の実施の形態において同様)。
【0082】
また、有機EL除去ユニット26でも、正孔輸送除去ユニット23と同様に、レーザ光の照射によるレーザアブレーションにより有機EL液を除去することにより、有機EL液を位置精度良く除去することができる。また、波長を制御したレーザ光の照射では、有機EL液に影響を与える可能性があるオゾンが発生しないため、高品質な有機EL層の形成を実現することができる(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0083】
有機EL塗布ユニット24では、特に、3色の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液を並行して基板9に塗布することができる。これにより、複数の有機EL液の塗布のために複数の有機EL塗布ユニットを設ける必要がなく、塗布システム1の小型化を実現することができる。また、複数の有機EL塗布ユニット間における基板9の移動を省略することができるため、基板9の処理時間を短縮することもできる(第4および第6の実施の形態において同様)。
【0084】
次に、塗布システム1全体に注目すると、処理ユニット群2が、基板9に正孔輸送液を塗布する正孔輸送塗布ユニット21、および、基板9に有機EL液を塗布する有機EL塗布ユニット24を含むことにより、正孔輸送液と有機EL液とを1つのシステム内において塗布することができるため、基板9の処理時間をさらに短縮することができる。塗布システム1は、有機EL表示装置用の基板9に正孔輸送液および有機EL液を塗布するシステムに特に適している(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0085】
処理ユニット群2では、正孔輸送除去ユニット23により基板9の塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去され、有機EL除去ユニット26により塗布禁止領域92から有機EL液が除去される。仮に、共通の除去ユニットにより正孔輸送液および有機EL液の除去が行われるとすると、除去ユニットに正孔輸送液が付着した場合、その後に搬入される基板9上の定着前の有機EL液に正孔輸送液が混入してしまう可能性がある。また、除去ユニットに有機EL液が付着した場合、その後に搬入される基板9上の定着前の正孔輸送液に有機EL液が混入してしまう可能性がある。塗布システム1では、処理ユニット群2に正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26を設けることにより、基板9上における正孔輸送液と有機EL液との混合を確実に防止することができる。さらには、処理ユニット群2に複数の除去ユニットを設けることにより、基板9の処理時間を短縮することもできる(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0086】
ところで、正孔輸送液と有機EL液とでは、除去を効率的に行うためのレーザ光の特性(例えば、波長や周波数、(レーザ)フルエンス等)が異なる。塗布システム1では、処理ユニット群2に正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26を設けることにより、正孔輸送液および有機EL液のそれぞれを、異なる特性を有するレーザ光により除去することができるため、正孔輸送液の除去および有機EL液の除去をそれぞれ効率的に行うことができる(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0087】
塗布システム1では、処理ユニット群2のうち、正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26が、他のいずれの処理ユニットよりもインデクサ3に近い位置に配置される。これにより、処理ユニット群2において、他の正孔輸送塗布ユニット、正孔輸送ベークユニット、有機EL塗布ユニットおよび有機ELベークユニットを、複数の処理ユニットの配列の外側(すなわち、インデクサ3から遠い側)に容易に増設することができる(第2、第3、第6および第7の実施の形態において同様)。
【0088】
また、塗布システム1では、基板9が、マルチ搬送ロボット4により正孔輸送塗布ユニット21から正孔輸送除去ユニット23へと搬送される際にハンド421により保持され、正孔輸送除去ユニット23から正孔輸送ベークユニット22に搬送される際にハンド422により保持されるため、正孔輸送液がマルチ搬送ロボット4(のハンド421,422)を介して正孔輸送ベークユニット22に付着することを確実に防止することができる。その結果、正孔輸送ベークユニット22に順次搬入される基板9に、不要な正孔輸送液が付着することを確実に防止することができる(第2、第3、第6および第7の実施の形態において同様)。
【0089】
同様に、基板9がマルチ搬送ロボット4により有機EL塗布ユニット24から有機EL除去ユニット26へと搬送される際にハンド421により保持され、有機EL除去ユニット26から有機ELベークユニット25に搬送される際にハンド422により保持されるため、有機EL液がマルチ搬送ロボット4(のハンド421,422)を介して有機ELベークユニット25に付着することを確実に防止することができる。その結果、有機ELベークユニット25に順次搬入される基板9に、不要な有機EL液が付着することを確実に防止することができる(第2、第3、第6および第7の実施の形態において同様)。
【0090】
塗布システム1では、処理ユニット群2における基板9に対する処理が全て常圧下で行われるため、塗布システム1の構成を簡素化して製造コストをより低減することができる(第2ないし第7の実施の形態において同様)。
【0091】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る塗布システム1aについて説明する。図13は、塗布システム1aの構成を示す図である。図13に示すように、塗布システム1aでは、処理ユニット群2が、図1に示す塗布システム1の有機EL塗布ユニット24に代えて、赤色(R)の有機EL材料を含む有機EL液(以下、「有機EL液(R)」という。)を基板9に塗布する第1有機EL塗布ユニット24a、緑色(G)の有機EL材料を含む有機EL液(以下、「有機EL液(G)」という。)を基板9に塗布する第2有機EL塗布ユニット24b、および、青色(B)の有機EL材料を含む有機EL液(以下、「有機EL液(B)」という。)を基板9に塗布する第3有機EL塗布ユニット24cを含む。以下、必要に応じて、第1有機EL塗布ユニット24a〜第3有機EL塗布ユニット24cを「有機EL塗布ユニット24a〜24c」と総称する。また、その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0092】
有機EL塗布ユニット24a〜24cの構造は、図6および図7に示す有機EL塗布ユニット24とほぼ同様であるが、基板9の移動方向に関して塗布ヘッドの3本のノズルのそれぞれの間隔が基板9上の隔壁ピッチの3倍とされ、3本のノズルから同色の有機EL液(すなわち、有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)のうちのいずれかであり、以下、これら3種類を区別する必要がない場合には、第1の実施の形態同様に、「有機EL液」と総称する。)が吐出される点で異なる。
【0093】
第1有機EL塗布ユニット24aでは、有機EL液(R)を吐出するノズルおよび基板9の移動が繰り返されることにより、塗布禁止領域92および塗布領域91上の隔壁間の複数の溝部に有機EL液(R)がストライプ状に塗布される。第1有機EL塗布ユニット24aにより塗布されるストライプ状の有機EL液(R)は、基板9の移動方向に関して隔壁ピッチの3倍の間隔をあけて配列される。換言すれば、有機EL液(R)が塗布された2本の溝部の間には、有機EL液(R)が塗布されない2本の溝部が挟まれている。
【0094】
第2有機EL塗布ユニット24bでも同様に、有機EL液(G)を吐出するノズルおよび基板9の移動が繰り返されることにより、有機EL液(R)が塗布された塗布禁止領域92を含む基板9上の領域(すなわち、有機EL液(R)が塗布された複数の溝部の一方側に隣接する複数の溝部、および、有機EL液(R)が塗布された塗布禁止領域92)に、有機EL液(G)が隔壁ピッチの3倍の間隔をあけてストライプ状に塗布され、第3有機EL塗布ユニット24cでも、有機EL液(R)が塗布された溝部と有機EL液(G)が塗布された溝部との間の溝部に、有機EL液(B)が隔壁ピッチの3倍の間隔をあけてストライプ状に塗布される。
【0095】
図14は、塗布システム1aの動作の流れの一部を示す図である。図14に示す動作(ステップS51〜S59)の前後における動作の流れはそれぞれ、図12.Aないし図12.Cに示すステップS11〜S24、および、ステップS31〜S38と同様である。
【0096】
塗布システム1aでは、第1の実施の形態同様に、インデクサ3のカセット90からインデクサロボット32により取り出された基板9が、マルチ搬送ロボット4により受け取られて正孔輸送塗布ユニット21に搬入され、正孔輸送塗布ユニット21において塗布禁止領域92を含む基板9上の領域に正孔輸送液が塗布された後、正孔輸送塗布ユニット21から搬出される(図12.A:ステップS11〜S14)。
【0097】
正孔輸送塗布ユニット21から搬出された基板9は、正孔輸送除去ユニット23に搬入されて塗布禁止領域92から正孔輸送液が除去され、正孔輸送除去ユニット23から搬出されて正孔輸送ベークユニット22に搬入される(ステップS15〜S21)。そして、基板9が加熱部221により加熱されることにより正孔輸送液が基板9の塗布領域91上に定着して正孔輸送層が形成され、冷却部222により常温まで冷却された基板9が正孔輸送ベークユニット22から搬出される(ステップS22〜S24)。
【0098】
正孔輸送ベークユニット22から搬出された基板9は、マルチ搬送ロボット4により搬送されて第1有機EL塗布ユニット24aに搬入され(図14:ステップS51)、塗布禁止領域92を含む基板9上の領域(すなわち、塗布禁止領域92上および正孔輸送層上の領域)に有機EL液(R)がストライプ状に塗布される(ステップS52)。続いて、基板9が第1有機EL塗布ユニット24aから搬出されて第2有機EL塗布ユニット24bに搬入され(ステップS53,S54)、有機EL液(G)がストライプ状に塗布される(ステップS55)。次に、基板9が第2有機EL塗布ユニット24bから搬出されて第3有機EL塗布ユニット24cに搬入され(ステップS56,S57)、有機EL液(B)がストライプ状に塗布されて基板9に対する3種類の有機EL液(すなわち、有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B))の塗布が終了する(ステップS58)。
【0099】
基板9に対する3種類の有機EL液の塗布が終了すると、マルチ搬送ロボット4により基板9が第3有機EL塗布ユニット24cから搬出され(ステップS59)、有機EL除去ユニット26へと搬入される(図12.C:ステップS31)。有機EL除去ユニット26では、塗布禁止領域92からの有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)の除去が並行して行われ、その後、基板9が有機EL除去ユニット26から搬出されて有機ELベークユニット25に搬入される(ステップS32〜S34)。
【0100】
有機ELベークユニット25では、基板9が加熱部により加熱されることにより有機EL液が基板9の塗布領域91上に定着して有機EL層が形成された後、冷却部により基板9が常温まで冷却される(ステップS35,S36)。その後、基板9が有機ELベークユニット25から搬出され、インデクサ3へと搬送されてインデクサロボット32により受け取られる(ステップS37,S38)。
【0101】
塗布システム1aでは、処理ユニット群2が、基板9に3種類の有機EL液をそれぞれ順次塗布する有機EL塗布ユニット24a〜24c、基板9の塗布禁止領域92から3種類の有機EL液を除去する有機EL除去ユニット26、並びに、基板9を加熱して有機EL液を定着させる有機ELベークユニット25を含むため、塗布領域91のみに有機EL液が定着して有機EL層が形成された基板9を容易に得ることができ、また、基板9の処理時間を短縮するとともに塗布システム1aの製造コストを低減することができる(第3、第5および第7の実施の形態において同様)。
【0102】
上述のように、処理ユニット群2では、3種類の有機EL液がそれぞれ個別の処理ユニットである有機EL塗布ユニット24a〜24cにより基板9に塗布される。このため、3種類の有機EL液を、それぞれに適した塗布条件下で基板9に塗布することができ、その結果、3種類の有機EL液の塗布の質を向上することができる(第3、第5および第7の実施の形態において同様)。
【0103】
また、塗布禁止領域92からの有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)の除去を1つの有機EL除去ユニット26により並行して行うことにより、基板9の処理時間をより短縮することができる(第5および第7の実施の形態において同様)。なお、塗布システム1aでは、有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)の塗布順序は自由に変更されてよい。
【0104】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る塗布システム1bついて説明する。図15は、塗布システム1bの構成を示す図である。図15に示すように、塗布システム1bでは、処理ユニット群2が、図13に示す有機ELベークユニット25に代えて、有機EL液(R)が塗布された基板9を加熱する第1有機ELベークユニット25a、有機EL液(G)が塗布された基板9を加熱する第2有機ELベークユニット25b、および、有機EL液(B)が塗布された基板9を加熱する第3有機ELベークユニット25cを含む。以下、必要に応じて、第1有機ELベークユニット25a〜第3有機ELベークユニット25cを「有機ELベークユニット25a〜25c」と総称する。有機ELベークユニット25a〜25cの構造は、図11に示す正孔輸送ベークユニット22と同様である。その他の構成は図13と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0105】
図16は、塗布システム1bの動作の流れの一部を示す図である。図16に示す動作(ステップS61〜S67)の前後における動作の流れは、図12.Aないし図12.Cに示すステップS11〜S24、および、ステップS38と同様であるため、以下では説明を簡略化する。
【0106】
塗布システム1bでは、マルチ搬送ロボット4によりインデクサロボット32から基板9が受け取られた後、基板9が正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送除去ユニット23、正孔輸送ベークユニット22、の順に搬送されることにより、基板9に対する正孔輸送液の塗布、塗布禁止領域92からの正孔輸送液の除去、および、正孔輸送液の定着が行われて基板9上に正孔輸送層が形成される(ステップS11〜S24)。
【0107】
正孔輸送層が形成されると、マルチ搬送ロボット4により、第1有機EL塗布ユニット24aおよび第1有機ELベークユニット25aの順に基板9が搬送され、基板9に対する有機EL液(R)の塗布、および、基板9の加熱による有機EL液(R)の定着が行われて基板9の正孔輸送層上に赤色(R)の有機EL材料の層が形成される(ステップS61,S62)。
【0108】
続いて、マルチ搬送ロボット4により、第2有機EL塗布ユニット24bおよび第2有機ELベークユニット25bの順に基板9が搬送され、基板9に対する有機EL液(G)の塗布、および、基板9の加熱による有機EL液(G)の定着が行われて基板9の正孔輸送層上に緑色(G)の有機EL材料の層が形成される(ステップS63,S64)。
【0109】
さらに、マルチ搬送ロボット4により、第3有機EL塗布ユニット24cおよび第3有機ELベークユニット25cの順に基板9が搬送され、基板9に対する有機EL液(B)の塗布、および、基板9の加熱による有機EL液(B)の定着が行われて基板9の正孔輸送層上に青色(B)の有機EL材料の層が形成される(ステップS65,S66)。
【0110】
3種類の有機EL液の塗布および定着が終了すると、基板9が第3有機ELベークユニット25cから搬出されて有機EL除去ユニット26に搬入され、有機EL除去ユニット26において、塗布禁止領域92に定着した3種類の有機EL液に対してレーザ光が照射されて有機EL液の除去が行われる(ステップS67)。その後、有機EL除去ユニット26から搬出された基板9はインデクサ3へと搬送されてインデクサロボット32により受け取られる(ステップS38)。
【0111】
塗布システム1bでは、3種類の有機EL液がそれぞれ、個別の処理ユニットである有機EL塗布ユニット24a〜24cにより基板9に塗布され、さらに、それぞれの塗布後に、個別の処理ユニットである有機ELベークユニット25a〜25cにより加熱されて基板9に定着する。このため、3種類の有機EL液を、それぞれに適した塗布条件下で基板9に塗布することができ、さらに、それぞれに適した温度条件にて加熱することができる。その結果、3種類の有機EL液の塗布および加熱処理の質を向上することができる。また、個別に塗布された3種類の有機EL液を1つの有機EL除去ユニット26により並行して除去することにより、基板9の処理時間をより短縮することができる。
【0112】
次に本発明の第4の実施の形態に係る塗布システム1cについて説明する。図17は、塗布システム1cの構成を示す図である。図17に示すように、塗布システム1cは、図1に示す移動路41を移動するマルチ搬送ロボット4に代えて、インデクサ3と処理ユニット群2との間、および、処理ユニット群2の各処理ユニットの間に配置される固定型の複数の搬送アーム4aを搬送機構として備える。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0113】
塗布システム1cでは、複数の搬送アーム4aにより、基板9が、インデクサ3から正孔輸送塗布ユニット21、正孔輸送除去ユニット23、正孔輸送ベークユニット22、有機EL塗布ユニット24、有機EL除去ユニット26および有機ELベークユニット25を順に経由してインデクサ3へと至る所定の搬送経路に沿って搬送される。そして、各ユニットにおいてそれぞれ処理されることにより、第1の実施の形態同様に、基板9の塗布領域91に正孔輸送層および有機EL層が形成される。
【0114】
塗布システム1cでは、基板9を正孔輸送除去ユニット23から正孔輸送ベークユニット22へと搬送する搬送アーム4aが、正孔輸送塗布ユニット21から正孔輸送除去ユニット23へと搬送する搬送アーム4aとは別のものとされるため、正孔輸送液が搬送アーム4aを介して正孔輸送ベークユニット22に付着することを確実に防止することができる。その結果、正孔輸送ベークユニット22に順次搬入される基板9に、不要な正孔輸送液が付着することを確実に防止することができる(第5の実施の形態において同様)。
【0115】
同様に、基板9を有機EL除去ユニット26から有機ELベークユニット25へと搬送する搬送アーム4aが、有機EL塗布ユニット24から有機EL除去ユニット26へと搬送する搬送アーム4aとは別のものとされるため、有機EL液が搬送アーム4aを介して有機ELベークユニット25に付着することを確実に防止することができる。その結果、有機ELベークユニット25に順次搬入される基板9に、不要な有機EL液が付着することを確実に防止することができる(第5の実施の形態において同様)。
【0116】
図18は、本発明の第5の実施の形態に係る塗布システム1dの構成を示す図である。図18に示すように、塗布システム1dは第2の実施の形態に係る塗布システム1a(図13参照)とほぼ同様の構成を備えるが、マルチ搬送ロボット4に代えて複数の搬送アーム4aが設けられる点で異なる。その他の構成は図13と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0117】
図18に示す塗布システム1dでは、第2の実施の形態と同様に、正孔輸送層の形成終了後の基板9に対して有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)が順次塗布され、塗布禁止領域92から3種類の有機EL液が除去された後に加熱処理が行われて有機EL層が形成される。
【0118】
図19は、本発明の第6の実施の形態に係る塗布システム1eの構成を示す図である。図19に示すように、塗布システム1eでは、処理ユニット群2が、図1に示す塗布システム1の複数の処理ユニットに加えて、処理ユニット群2における処理途上の基板9を一時的に保持するバッファユニット27をさらに含む。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0119】
処理ユニット群2では、各処理ユニットにおける処理時間が異なる。例えば、正孔輸送ベークユニット22および有機ELベークユニット25における基板9の加熱および冷却に要する時間は、正孔輸送塗布ユニット21および有機EL塗布ユニット24における正孔輸送液および有機EL液の塗布に要する時間よりも長く、また、正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26における正孔輸送液および有機EL液の除去に要する時間よりも長い。
【0120】
塗布システム1eでは、処理途上の基板9を一時的にバッファユニット27のカセット(図示省略)に収納して保持することにより、複数の基板9の処理を行う際に、各処理ユニット間の処理時間(すなわち、タクトタイム)の差を調整し、基板9の処理順序に柔軟性を持たせることができるため、基板9の処理時間を短縮することができる。例えば、搬送途上の基板9を一時的にバッファユニット27に収納して、処理時間が長い正孔輸送ベークユニット22および有機ELベークユニット25に対する基板9の搬出入を優先させることができる。この観点からは、バッファユニット27は正孔輸送ベークユニット22および有機ELベークユニット25に最も近い位置に配置されることが好ましい。
【0121】
また、正孔輸送ベークユニット22において1枚の基板9に対する加熱処理を行っている間、正孔輸送液の塗布および塗布禁止領域92からの除去が終了した後続の基板9をバッファユニット27に収納しておくことにより、正孔輸送塗布ユニット21において複数の基板9に対して連続的に正孔輸送液の塗布を行うことができる。正孔輸送塗布ユニット21では、正孔輸送液の吐出を停止すると、吐出を再開した際の流量等の安定に多少の時間を要するため、複数の基板9に対して塗布を行う際には、基板9の搬入を待っている間も吐出を停止しないことが好ましい。このため、仮に基板9の搬入を待つ時間が長いと、正孔輸送液の使用量が増大してしまう。塗布システム1eでは、バッファユニット27を設けることにより、複数の基板9に対する連続的な塗布を実現し、正孔輸送液の使用量を低減することができる(有機EL液の塗布についても同様)。
【0122】
図20は、本発明の第7の実施の形態に係る塗布システム1fの構成を示す図である。図20に示すように、塗布システム1fの処理ユニット群2は、正孔輸送層の形成に係る処理ユニットとして正孔輸送除去ユニット23、3つの正孔輸送塗布ユニット21および正孔輸送ベークユニット22を含み、有機EL層の形成に係る処理ユニットとして有機EL除去ユニット26、第1有機EL塗布ユニット24a、第2有機EL塗布ユニット24b、第3有機EL塗布ユニット24cおよび有機ELベークユニット25を含む。処理ユニット群2は、また、処理途上の基板9を一時的に保持するバッファユニット27aを備える。バッファユニット27aは、処理ユニットの配列に沿って伸びる横長の形状とされる。
【0123】
処理ユニット群2では、正孔輸送層の形成に係る処理ユニットがバッファユニット27aの一方側に配列され、有機EL層の形成に係る処理ユニットが他方側に配列される。塗布システム1fは、基板9の搬送機構として2台のマルチ搬送ロボット4を備え、正孔輸送層の形成に係る複数の処理ユニットとバッファユニット27aとの間、および、有機EL層の形成に係る複数の処理ユニットとバッファユニット27aとの間にはそれぞれ、マルチ搬送ロボット4が移動する移動路41が設けられる。
【0124】
塗布システム1fでは、正孔輸送ベークユニット22の内部に3つの加熱部(図示省略)が設けられており、3つの正孔輸送塗布ユニット21により正孔輸送液が塗布された3枚の基板9が、塗布禁止領域92からの有機EL液の除去後、3つの加熱部により並行して加熱されて正孔輸送層が形成される。正孔輸送層の形成に係る処理が終了した3枚の基板9は、一方のマルチ搬送ロボット4によりバッファユニット27aに収納され、他方のマルチ搬送ロボット4により順次バッファユニット27aから取り出されて有機EL層の形成に係る処理ユニットに順に搬送されることにより有機EL層が形成される。
【0125】
塗布システム1fでは、バッファユニット27aを挟んで、正孔輸送層の形成に係る処理ユニットと有機EL層の形成に係る処理ユニットとを分離して配置することにより、正孔輸送層および有機EL層の形成に係る処理時間の差を調整することができるとともに、正孔輸送層の形成に係る処理ユニットと有機EL層の形成に係る処理ユニットとの間における雰囲気の移動を抑制することができる。その結果、基板9に対する処理の質を向上することができる。
【0126】
次に、塗布システムの他の例を示す。以下の例では、処理ユニット群2から正孔輸送層の形成に係る処理ユニットが省略されており、他のシステムや装置等、外部において正孔輸送層の形成が行われた基板9が塗布システムに搬入される。
【0127】
図21に示す塗布システム1gは、インデクサ3、マルチ搬送ロボット4および処理ユニット群2を備え、処理ユニット群2は、有機EL除去ユニット26、有機EL塗布ユニット24および有機ELベークユニット25をそれぞれ2つずつ含む。図22に示す塗布システム1hの処理ユニット群2は、2つの有機EL除去ユニット26、第1有機EL塗布ユニット24a、第2有機EL塗布ユニット24b、第3有機EL塗布ユニット24cおよび有機ELベークユニット25を含む。図23に示す塗布システム1jの処理ユニット群2は、図22に示す有機ELベークユニット25に代えて、第1有機ELベークユニット25a、第2有機ELベークユニット25bおよび第3有機ELベークユニット25cを含む。
【0128】
図24および図25に示す塗布システム1k,1mは、インデクサ3、複数の搬送アーム4aおよび処理ユニット群2を備える。塗布システム1kでは、基板9が有機EL塗布ユニット24、有機EL除去ユニット26および有機ELベークユニット25の順に搬送されて処理されることにより、基板9上に有機EL層が形成される。塗布システム1mでは、基板9が第1有機EL塗布ユニット24a、第2有機EL塗布ユニット24b、第3有機EL塗布ユニット24c、有機EL除去ユニット26および有機ELベークユニット25の順に搬送される。
【0129】
なお、塗布システムでは、必ずしも3種類の有機EL液が塗布される必要はなく、1種類または2種類、あるいは、4種類以上の有機EL液が塗布されてもよい。また、塗布システムでは、処理ユニット群2から有機EL層の形成に係る処理ユニットが省略され、正孔輸送層の形成のみが行われてもよい。
【0130】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0131】
例えば、第6の実施の形態に係る塗布システム1eでは、処理ユニット群2に複数のバッファユニット27が含まれてもよい。バッファユニット27は、他の構成を有する処理ユニット群2に設けられてもよく、例えば、図21ないし図23に示す塗布システム1g,1h,1jの処理ユニット群2に設けられてもよい。また、第2および第3の実施の形態に係る塗布システム1a,1bに設けられてもよい。塗布システム1a,1bの正孔輸送塗布ユニット21では、基板9の塗布領域91の全ての溝部に対して正孔輸送液の塗布が行われるが、第1有機EL塗布ユニット24a、第2有機EL塗布ユニット24bおよび第3有機EL塗布ユニット24cではそれぞれ、1/3の本数の溝部に対して有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)の塗布が行われる。したがって、正孔輸送塗布ユニット21における処理時間は、有機EL塗布ユニット24a〜24cのそれぞれにおける処理時間の約3倍となる。塗布システム1a,1bでは、バッファユニット27により、このような各ユニットにおける処理時間の差を調整することもできる。
【0132】
正孔輸送除去ユニット23および有機EL除去ユニット26における正孔輸送液および有機EL液の除去は、必ずしもレーザ光の照射によるものには限定されず、例えば、プラズマやコロナ等、他のエネルギー波の照射により行われてもよい。また、ドライアイス(CO)等の微粒子の照射によるブラスト法により行われてもよい。なお、塗布システムの小型化の要請がある場合には、1つの除去ユニットにより、塗布禁止領域92からの正孔輸送液および有機EL液の除去が行われてもよい。
【0133】
上記実施の形態に係る塗布システムでは、基板9の塗布禁止領域92全体に対してレーザ光の照射が行われてもよい。例えば、正孔輸送除去ユニット23では、塗布禁止領域92のうち一の方向に伸びる領域にレーザ光が照射されて正孔輸送液が除去され、基板移動機構232により基板9が90°だけ回転した後、当該一の方向に垂直に伸びる領域に対してレーザ光が照射される。このように、塗布禁止領域92のうち正孔輸送塗布ユニット21において正孔輸送液の塗布が行われない領域にもレーザ光を照射することにより、何らかの異常等により当該領域に付着した異物を除去することができる(有機EL除去ユニット26等においても同様)。
【0134】
有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)を基板9にそれぞれ塗布する有機EL塗布ユニット24a〜24cでは、有機EL液を吐出するノズルが、1本または2本、あるいは、4本以上設けられてもよい(正孔輸送塗布ユニット21においても同様)。また、有機EL液(R)、有機EL液(G)および有機EL液(B)を並行して塗布する有機EL塗布ユニット24では、ノズルの本数は3の倍数であればよい。
【0135】
上記実施の形態に係る塗布システムでは、塗布対象となる基板は、必ずしも有機EL表示装置用のガラス基板には限定されず、また、塗布される流動性材料も、正孔輸送液や有機EL液以外のものであってよい。塗布システムは、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置に利用される基板に対する流動性材料の塗布に用いられてもよく、半導体基板に対する流動性材料の塗布に用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】第1の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図2】基板を示す平面図である。
【図3】インデクサロボットおよびマルチ搬送ロボットを示す図である。
【図4】正孔輸送除去ユニットの構成を示す正面図である。
【図5】除去ヘッドを拡大して示す正面図である。
【図6】有機EL塗布ユニットの構成を示す平面図である。
【図7】有機EL塗布ユニットの構成を示す正面図である。
【図8】基板を示す平面図である。
【図9】基板を示す断面図である。
【図10】基板を示す断面図である。
【図11】正孔輸送ベークユニットを示す斜視図である。
【図12.A】塗布システムの動作の流れを示す図である。
【図12.B】塗布システムの動作の流れを示す図である。
【図12.C】塗布システムの動作の流れを示す図である。
【図13】第2の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図14】塗布システムの動作の流れの一部を示す図である。
【図15】第3の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図16】塗布システムの動作の流れの一部を示す図である。
【図17】第4の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図18】第5の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図19】第6の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図20】第7の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図21】他の塗布システムの構成を示す図である。
【図22】他の塗布システムの構成を示す図である。
【図23】他の塗布システムの構成を示す図である。
【図24】他の塗布システムの構成を示す図である。
【図25】他の塗布システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
1,1a〜1m 塗布システム
2 処理ユニット群
3 インデクサ
4 マルチ搬送ロボット
4a 搬送アーム
9 基板
21 正孔輸送塗布ユニット
22 正孔輸送ベークユニット
23 正孔輸送除去ユニット
24 有機EL塗布ユニット
24a 第1有機EL塗布ユニット
24b 第2有機EL塗布ユニット
24c 第3有機EL塗布ユニット
25 有機ELベークユニット
25a 第1有機ELベークユニット
25b 第2有機ELベークユニット
25c 第3有機ELベークユニット
26 有機EL除去ユニット
27,27a バッファユニット
92 塗布禁止領域
247a〜247c ノズル
421,422 ハンド
S11〜S17,S21〜S27,S31〜S38,S51〜S59,S61〜S67 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
処理ユニット群と、
前記処理ユニット群による処理前の未処理基板および前記処理ユニット群による処理後の処理済基板が載置されるインデクサと、
前記インデクサおよび前記処理ユニット群に対して基板の受け渡しを行い、前記インデクサから前記処理ユニット群の少なくとも一部を経由して前記インデクサへと至る所定の搬送経路に沿って前記基板を搬送する基板搬送機構と、
を備え、
前記処理ユニット群が、
基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記基板上の塗布禁止領域を含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布ユニットと、
前記塗布禁止領域に塗布された流動性材料に向けてエネルギー波または微粒子を照射して前記塗布禁止領域から前記流動性材料を除去する除去ユニットと、
前記流動性材料が塗布された前記基板を加熱して前記流動性材料を前記基板上に定着させるベークユニットと、
を含むことを特徴とする塗布システム。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群が、前記基板を一時的に保持するバッファユニットをさらに含むことを特徴とする塗布システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群のうち、前記除去ユニットが、他のいずれの処理ユニットよりも前記インデクサに近い位置に配置されることを特徴とする塗布システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布システムであって、
前記除去ユニットにより前記基板上の前記塗布禁止領域に向けて行われる前記エネルギー波の照射が、レーザ光の照射であることを特徴とする塗布システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布システムであって、
前記基板が、有機EL表示装置用のガラス基板であることを特徴とする塗布システム。
【請求項6】
請求項5に記載の塗布システムであって、
前記流動性材料が正孔輸送材料を含むことを特徴とする塗布システム。
【請求項7】
請求項5に記載の塗布システムであって、
前記流動性材料が有機EL材料であることを特徴とする塗布システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の塗布システムであって、
前記除去ユニットが、前記ベークユニットにより加熱される前の前記基板から前記流動性材料を除去することを特徴とする塗布システム。
【請求項9】
請求項8に記載の塗布システムであって、
前記基板搬送機構が、
前記基板を前記塗布ユニットから前記除去ユニットへと搬送する際に保持する保持部と、
前記基板を前記除去ユニットから前記ベークユニットへと搬送する際に保持するもう1つの保持部と、
を備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項10】
請求項7に記載の塗布システムであって、
前記塗布ユニットが、複数の流動性材料をそれぞれ吐出する複数のノズルを備え、
前記複数の流動性材料が、互いに色が異なる複数の有機EL材料をそれぞれ含むことを特徴とする塗布システム。
【請求項11】
請求項7に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットをさらに含み、
前記塗布ユニットが、一の色の有機EL材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの塗布ユニットが、前記一の色とは異なる他の一の色の有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布することを特徴とする塗布システム。
【請求項12】
請求項11に記載の塗布システムであって、
前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域からの前記第1流動性材料の除去および前記第2流動性材料の除去を並行して行うことを特徴とする塗布システム。
【請求項13】
請求項12に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群がもう1つのベークユニットをさらに含み、
前記基板搬送機構が、前記塗布ユニット、前記ベークユニット、前記もう1つの塗布ユニット、前記もう1つのベークユニットおよび前記除去ユニットの順に前記基板を搬送することを特徴とする塗布システム。
【請求項14】
請求項5に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットをさらに含み、
前記塗布ユニットが、正孔輸送材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの塗布ユニットが、有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布することを特徴とする塗布システム。
【請求項15】
請求項14に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群が、もう1つの除去ユニットをさらに含み、
前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第1流動性材料を除去し、前記もう1つの除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第2流動性材料を除去することを特徴とする塗布システム。
【請求項16】
請求項2に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群が、もう1つの塗布ユニットおよびもう1つの除去ユニットをさらに含み、
前記塗布ユニットおよび前記除去ユニットが前記バッファユニットの一方側に配列されるとともに前記もう1つの塗布ユニットおよび前記もう1つの除去ユニットが前記バッファユニットの他方側に配列され、
前記塗布ユニットが、正孔輸送材料を含む第1流動性材料を前記基板に塗布し、前記除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第1流動性材料を除去し、前記もう1つの塗布ユニットが、有機EL材料を含む第2流動性材料を前記基板に塗布し、前記もう1つの除去ユニットが、前記塗布禁止領域から前記第2流動性材料を除去することを特徴とする塗布システム。
【請求項17】
請求項1ないし16に記載の塗布システムであって、
前記処理ユニット群による前記基板の処理が常圧下において行われることを特徴とする塗布システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12.A】
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【図12.B】
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【図12.C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−95377(P2007−95377A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280506(P2005−280506)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】