説明

塗布具

【課題】液体を各吐出口からそれぞれ吐出した際の当該吐出口付近に生じる目詰まりを防止することができる塗布具を提供すること。
【解決手段】塗布具1は、外筒21と、外筒21内に挿入されたガスケットを外筒21の長手方向に沿って移動操作する押し子26とを備えた第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填して用いられるものである。この塗布具1は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各外筒21を並べて保持する塗布具本体7と、第1のシリンジ2の押し子26と第2のシリンジ3の押し子26とを一括して前方に向かって押圧操作する操作部材8と、操作部材8に対する押圧力を解除したときに、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各外筒21に対して各押し子26を後退させる押し子後退手段としての複数の弾性片93とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種以上の液体を混合して患部等に噴射し、癒着防止材や生体組織接着材などを形成する方法が知られており、そのための塗布具が開発されている。
【0003】
このような塗布具は、混合すると凝固する成分同士、例えばトロンビンを含有する溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液を互いに分別した状態で、患部付近まで送り、患部で混合しながら塗布するという構成によるものである。
【0004】
従来の塗布具としては、異なる種類の液体をそれぞれ含有する2つのシリンジからそれぞれ流路が並んだ状態で設置され、両流路の先端、すなわち、各吐出口からそれぞれ液体が噴出し、混合される構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。液体を噴出するには、各シリンジの押し子(プランジャ)をそれぞれ押圧操作することにより、それを行うことができる。
【0005】
各シリンジの押し子の押圧操作後には、液体の吐出は停止するが、流路内の残圧によって、各吐出口から液体が外方に向かって突出した状態となる。この状態では、液体同士が混合することとなり、よって、これら液体同士が凝固してしまう。その結果、各吐出口に目詰まりが生じる。そして、この目詰まりが生じた状態の塗布具で再び塗布を行なおうとしても、前記凝固した液体が各吐出口からの液体の吐出を妨害し、再塗布を行なうことができないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−282368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液体を各吐出口からそれぞれ吐出した際の当該吐出口付近に生じる目詰まりを防止することができる塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備え、前記シリンジ外筒と前記ガスケットとで囲まれた空間に液体が充填された第1のシリンジおよび第2のシリンジを装填して用いられる塗布具であって、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各シリンジ外筒を並べて保持する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各口部から流出した液体をそれぞれ吐出する2つの吐出口を有するノズルと、
前記第1のシリンジの前記押し子と前記第2のシリンジの前記押し子とを一括して前方に向かって押圧操作する操作部材と、
前記操作部材に対する押圧力を解除したときに、前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジのうちの少なくとも一方のシリンジの前記シリンジ外筒に対して前記押し子を後退させる押し子後退手段とを備えることを特徴とする塗布具。
【0009】
(2) 前記押し子後退手段の作動により前記押し子が後退した際、前記ノズル内に残留した液体の先端が前記吐出口よりも後方に引き込まれる上記(1)に記載の塗布具。
【0010】
(3) 前記押し子後退手段は、前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各押し子をそれぞれ後退させるものである上記(1)または(2)に記載の塗布具。
【0011】
(4) 前記塗布具本体と前記操作部材とを連結し、前記塗布具本体および前記操作部材に対して前記押し子の長手方向に沿って移動可能に設置された長尺な連結部材を備え、
前記押し子後退手段は、前記連結部材に設けられている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の塗布具。
【0012】
(5) 前記押し子後退手段は、前記連結部材の後端部に設置され、前記押し子の後端部を後方向に向かって付勢する付勢部材を有する上記(4)に記載の塗布具。
【0013】
(6) 前記押し子は、その後端に板状のフランジが形成されたものであり、
前記付勢部材は、前記フランジを付勢する少なくとも1枚の弾性片で構成されている上記(5)に記載の塗布具。
【0014】
(7) 前記弾性片は、前記押し子の中心軸を介して一対配置されている上記(6)に記載の塗布具。
【0015】
(8) 前記押し子は、その後端に板状のフランジが形成されたものであり、
前記付勢部材は、前記フランジを付勢する少なくとも1つのコイルバネで構成されている上記(5)に記載の塗布具。
【0016】
(9) 前記押し子の前記押し子後退手段の作動によって後退した際の戻り量を規制する規制手段を備える上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の塗布具。
【0017】
また、前記弾性片は、前記連結部材の長手方向に対し傾斜しているのが好ましい。
前記弾性片は、前記連結部材と一体的に形成されているのが好ましい。
【0018】
前記連結部材は、中空体で構成され、
前記操作部材は、板状をなし、その前面から前方に向かって突出し、前記連結部材にその後端側から挿入される突出部を有し、
前記突出部には、前記連結部材の内周部に係合することにより前記規制手段として機能する係合部が形成されているのが好ましい。
【0019】
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各シリンジ外筒は、それぞれ、その後端外周に外筒側フランジが突出形成されたものであり、
前記塗布具本体は、その後端側に設けられ、前記各外筒側フランジが係合する係合部を有するのが好ましい。
【0020】
前記ノズルは、ガスを供給するガス供給手段に接続され、その接続状態で前記ガス供給手段からのガスとともに前記液体を噴出するよう構成されているのが好ましい。
【0021】
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジには、それぞれ、液組成が異なる液体が充填されるのが好ましい。
【0022】
前記液組成が異なる2液体は、それらを混合することによりゲル化するものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、操作部材に対する押圧操作を解除したときに、押し子後退手段により、第1のシリンジおよび第2のシリンジのうちの少なくとも一方のシリンジの押し子を後退させることができるため、当該シリンジから流出しノズル内に残留した液体の先端が吐出口よりも後端側に引き込まれる。これにより、液体を吐出した際に、各吐出口付近で液体同士が混合して固化するのを防止することができる。これにより、液体吐出後の各吐出口付近に生じる目詰まりを防止することができる。また、この目詰まりが生じていない状態の塗布具を再度使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の塗布具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の塗布具(第1実施形態)を示す分解斜視図、図2〜図6は、それぞれ、図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)、図8は、図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。なお、説明の都合上、図1中の右上側を「前」または「先端」、左下側を「後」または「基端」といい、図2〜図6中(図7も同様)の左側を「前」または「先端」、右側を「後」または「基端」といい、図8中の下側を「前」または「先端」、上側を「後」または「基端」という。また、図1中、上側を「上」または「上方」といい、下側を「下」または「下方」という。
【0025】
本発明の塗布具1は、液組成が異なる2種の液体(第1の液体L1、第2の液体L2)を混合しながら塗布するものである(図4参照)。図1〜図6に示すように、この塗布具1は、第1の液体L1を収納する第1のシリンジ(供給手段)2と、第2の液体L2を収納する第2のシリンジ(供給手段)3とをそれぞれ装填して用いられる。
【0026】
まず、塗布具1の構成について説明する前に、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の構成について説明する。第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とは、液体を収納する最大容積が異なること以外はほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ2について説明する。なお、本実施形態では、第1のシリンジ2は、その最大容積(内径)が第2のシリンジ3の最大容積(内径)よりも小さいものである。
【0027】
図8に示すように、本実施形態における第1のシリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)26とを備えている。ガスケット24は、押し子26の先端に連結されている。
【0028】
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した縮径部(口部)22が一体的に突出形成されている。
【0029】
外筒21の後端外周には、フランジ(外筒側フランジ)23が一体的に突出形成されている。
また、外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0030】
外筒21の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0031】
このような外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周部には、複数(2つ)のリング状の突部が全周にわたって形成されており、これらの突部が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0032】
また、ガスケット24には、その後端面に開放する中空部25が形成されている。この中空部25は、後述する押し子26のヘッド部28が螺入(嵌入)される。中空部25の内面には、雌ネジが形成されている。
【0033】
ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0034】
押し子26は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部27を有している。
本体部27の先端側には、ガスケット24の中空部25内に挿入され、ガスケット24と連結されるヘッド部(連結部)28が形成されている。ヘッド部28の外周には、中空部25の内面の雌ネジと螺合し得る雄ネジが形成されている。この雄ネジを雌ネジと螺合することにより、ガスケット24と押し子26とが連結される。なお、ガスケット24と押し子26は、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
【0035】
また、本体部27の後端には、円盤状(板状)のフランジ29が形成されている。
また、押し子26の構成材料としては、前述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0036】
第1のシリンジ2は、塗布具1に装填される以前に、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)20に、第1の液体L1が充填される。
【0037】
第2のシリンジ3も、第1のシリンジ2と同様に、外筒21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を移動操作する押し子26とで構成され、空間20に第2の液体L2が充填される。各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
第1のシリンジ2に充填される第1の液体L1と、第2のシリンジ3に充填される第2の液体L2とは、それらの組成(成分)が異なるものである。
【0039】
本発明においては、第1の液体L1と第2の液体L2とは、塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、トロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0040】
また、癒着防止材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、スクシンイミジル基で修飾したカルボキシメチルデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は、リン酸水素二ナトリウムを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0041】
このような組み合わせの第1の液体L1および第2の液体L2は、それらを混合すると、変質、すなわち、ゲル化(固化)する。ゲル化することにより、例えば、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合したもの(以下、「混合液」という)が、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合液が目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。
【0042】
なお、第1の液体L1および第2の液体L2の種類および組み合わせは、上述したものに限定されないことは、言うまでもない。
【0043】
このような構成の第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各押し子26を一括して押圧操作することより、後述するノズル4の第1の流路44に第1の液体L1を、第2の流路45に第2の液体L2を容易かつ確実に供給することができる。また、各押し子26の押圧操作は、塗布具1の操作者(使用者)により手動で行なわれる。このため、操作者は、混合液の塗布を自身の任意のタイミングで行なうことができる。
【0044】
図1〜図6に示すように、第1の液体L1が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2のシリンジ3とが装填される塗布具1は、塗布具本体7と、ノズル4と、操作部材8と、塗布具本体7と操作部材8とを連結する連結部材9とを有している。
【0045】
図1および図2に示すように、塗布具本体7は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各外筒21を並べて(並列に)保持するものである。この塗布具本体7は、基部71と、基部71の後端に設けられた後板(第1の後板)73と、基部71の後板73付近に設けられた指掛け部751とを有している。
【0046】
図1に示すように、基部71は、その上方に向かって開口する、横断面がほぼ半円弧状をなす凹部711および712が並列に設けられている。凹部711には、第1のシリンジ2の外筒21が収納され、凹部712には、第2のシリンジ3の外筒21が収納される。
【0047】
また、基部71では、凹部711と凹部712との大きさ(内径)が異なっている。すなわち、凹部711は、その大きさが凹部712よりも小さくなっている。これにより、凹部711に第1のシリンジ2の外筒21を確実に装填し、凹部712に第2のシリンジ3の外筒21を確実に装填することができる。換言すれば、凹部711に第2のシリンジ3の外筒21が装填され、凹部712に第1のシリンジ2の外筒21が装填されるのが確実に防止される。このように、塗布具1は、逆刺し防止機能を有するものとなっている。
【0048】
また、凹部711と凹部712との間には、後端に向かって開口する長尺なガイド部713が形成されている。このガイド部713には、後述する連結部材9のレール部91が挿入される。操作部材8の前方へ向かって押圧操作することにより、レール部91がガイド部713に案内されることとなり、よって、前記押圧操作を円滑に行うことができる。
【0049】
基部71の後端には、後板73が設けられている。この後板73には、凹部711および712のそれぞれに対応する位置に、凹部(係合部)731および732が形成されている。第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、凹部731には、第1のシリンジ2のフランジ23(基端部)が係合し(挿入され)、凹部732には、第2のシリンジ3のフランジ23(基端部)が係合する。このように、塗布具本体7では、後板73に各フランジ23が係合することにより、第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とを確実に並列に固定することができる。
【0050】
基部71の後板73付近には、上方向かって突出した板片で構成された指掛け部751が設けられている。塗布具1を使用するときには、使用者の指を指掛け部751に掛けることができる。例えば、指掛け部751に人差し指を掛け、後板73に中指を掛け、操作部材8に親指を掛けることにより、塗布具1を確実に把持することができる。そして、この状態で、親指で操作部材8を押圧操作することにより、混合液を塗布することができる(図4参照)。
【0051】
塗布具本体7は、当該塗布具本体7を構成する各部(基部71、後板73)が一体的に形成されたものであってもよいし、各部がそれぞれ別体で構成されこれらを接合したものであってもよい。
【0052】
塗布具本体7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。このような材料を用いた場合、例えば金型成形により塗布具本体7を容易に製造することができる。
【0053】
図2〜図6に示すように、塗布具本体7に保持された第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各外筒21の縮径部22には、ノズル4が接続される。ノズル4は、無菌ガスG(以下、単に「ガスG」と言う)とともに、第1のシリンジ2の縮径部22から流出した第1の液体L1と、第2のシリンジ3の縮径部22から流出した第2の液体L2とをそれぞれ噴出する(吐出する)ものである(図4参照)。
【0054】
ノズル4について説明する前に、ガスGを供給するボンベ(ガス供給手段)300について説明する。ボンベ300は、チューブ10を介して、ノズル4の第3の流路(ガス流路)46と連通して(接続されて)いる。このボンベ300は、その内部空間に高圧の(圧縮された)ガスGが充填されており、当該ガスGを接続状態の塗布具1(ノズル4)に供給することができる。また、ボンベ300には、塗布具1に対するガスGの供給/供給停止を制御する開閉自在なバルブ(コック)301が設置されている。塗布具1を使用するときには、バルブ301を開状態にする。
【0055】
ノズル4は、3本のチューブを有している。各チューブは、それぞれ、第1の液体L1を前方へ送る第1の流路(液体移送路)44を画成するものと、第2の液体L2を前方へ送る第2の流路(液体移送路)45を画成するものと、ボンベ300からのガスGを前方へ送る第3の流路46を画成するものとがある。また、各チューブは、それぞれ、軟質の樹脂材料(弾性材料)で構成されている。この軟質の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリエステル、シリコン等が挙げられ、これらの中でも、特にポリブタジエンを用いるのが好ましい。各チューブの構成材料にポリブタジエンを用いた場合、適度な可撓性、耐薬品性、および薬品の吸着防止性に優れる。
【0056】
図2(図3〜図6も同様)に示すように、このようなチューブで画成された第1の流路44、第2の流路45および第3の流路46の基端部は、それぞれ、第1のシリンジ2の縮径部22、第2のシリンジ3の縮径部22およびチューブ10と液密(気密)に接続されている。
【0057】
また、ノズル4は、第1の流路44、第2の流路45、第3の流路46が内部を挿通するカバー部材43を有している。カバー部材43は、第1の流路44、第2の流路45、第3の流路46を保護する機能を有している。このカバー部材43は、例えば第1の流路44を画成するチューブと同様のチューブで構成されている。
【0058】
カバー部材43の先端部を構成するノズルヘッド42には、その内部に中空部425が形成されている。中空部425は、先端壁部424に開口する、隣接した一対の開口部を有している。各開口部は、それぞれ、ガスGを吐出する第3の吐出口(気体吐出口(ガス噴出口))423として機能する。
【0059】
また、第1の流路44は、その先端が2つの第3の吐出口のうちの一方の第3の吐出口の内側に位置し(同心的に配置され)、先端壁部424に開口している。この先端壁部424に開口した開口部が第1の液体L1を吐出する第1の吐出口421として機能する。
【0060】
第2の流路45も第1の流路44と同様に、その先端が他方の第3の吐出口の内側に位置し、先端壁部424に開口している。この先端壁部424に開口した開口部が第2の液体L2を吐出する第2の吐出口422として機能する。
【0061】
なお、第1の吐出口421と第2の吐出口422との大きさは、図示の構成では互いに同等となっているが、これに限定されず、例えば、大きさが互いに異なっていてもよい。
【0062】
第3の流路46は、その先端が中空部425に開口している。ガスGは、バルブ302が開状態のとき、そのボンベ300からチューブ10、第3の流路46、中空部425を順に経て、各第3の吐出口423からそれぞれ噴出する。
【0063】
このような構成のノズル4では、各第3の吐出口423からガスGが高速に吐出する。そして、操作部材8を操作した際には、この高速に吐出したガスGに、第1の吐出口421から吐出した第1の液体L1と、第2の吐出口422から吐出した第2の液体L2とが巻き込まれる(混合する)。このとき、第1の液体L1および第2の液体L2は、それぞれ、霧状となって噴出する。これにより、第1の液体L1と第2の液体L2とが確実に混合され、患部に塗布される。
【0064】
図1に示すように、連結部材9は、塗布具本体7と操作部材8とを連結するものである。この連結部材9は、長尺なレール部91と、レール部91の後端に設けられた後板(第2の後板)92とを有している。
【0065】
図2に示すように、レール部91は、その横断面形状がほぼ四角形をなすものである。このレール部91の両側面には、それぞれ、長手方向に沿った溝911が形成されている。各溝911には、それぞれ、塗布具本体7のガイド部713の基端開口部の縁部に突出形成された突部714が挿入される(係合する)。これにより、連結部材9が塗布具本体7に対してその長手方向に沿って移動する際、各突部714がそれぞれ溝911内を摺動することとなり、よって、その移動が円滑に行われる。
【0066】
また、レール部91は、中空部912を有するもの(中空体)である。このレール部91の基端開口部913から操作部材8の突出部82が挿入される。挿入された操作部材8は、レール部91(連結部材9)に対してその長手方向に沿って移動することができる(図4参照)。
【0067】
また、レール部91の上面には、中空部912に連通する上面開口部914が形成されている。この上面開口部914を介して、ボンベ300に接続されたチューブ10が中空部912に挿入され、第3の流路46と接続されて(連通して)いる。
【0068】
後板92は、レール部91に直交するように、当該レール部91と一体的に形成されている。この後板92には、その一部がU字状に欠損した2つの欠損部921、922が形成されている。第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、欠損部921には、第1のシリンジ2の押し子26の本体部27が挿入され、欠損部922には、第2のシリンジ3の押し子26の本体部27が挿入される。
また、後板92の縁部には、つば部923が後方に向かって突出形成されている。
【0069】
連結部材9の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。このような材料を用いた場合、例えば金型成形により連結部材9を容易に製造することができる。
【0070】
操作部材8は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各押し子26を一括して前方に向かって押圧操作するものである。図2に示すように、この操作部材8は、板状をなし、その前面に設けられた2つの嵌合部811、812および突出部82と、背面に設けられた凹部83とを有している。
【0071】
各嵌合部811、812は、それぞれ、前方に向かって円環状(リング状)に突出した部位である。第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、嵌合部811には、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29が嵌合し、嵌合部812には、第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29が嵌合する。これにより、第1のシリンジおよび第2のシリンジの各押し子26同士を連結することができ、よって、この連結された押し子26同士を確実に一括して操作することができる。
【0072】
突出部82は、前方に向かって棒状に(板状に)突出した部位である。この突出部82は、前述したように、連結部材9のレール部91の中空部912に挿入される。操作部材8を押圧操作した際、突出部82の外周部821がレール部91の内周部915に案内され、その押圧操作を容易に行うことができる(図4参照)。また、操作部材8が後退する際にも、突出部82の外周部821がレール部91の内周部915に案内され、操作部材8が確実に後退することができる(図5参照)。
【0073】
また、突出部82には、その先端部に外周側に突出した爪部(係合部)822が形成されている。この爪部822は、レール部91の内周部915の内径が途中で拡径した拡径部916に挿入されている(図2〜図6参照)。爪部822は、拡径部916内を長手方向に沿って移動することができる。図5に示すように、各押し子26が後退した際、爪部822は、拡径部916の後端部(段差部)917に係合する。これにより、各押し子26が後退した際の戻り量(後方への移動限界)が規制される。このように、塗布具1では、爪部822と拡径部916とが前記戻り量を規制する規制手段として機能する。また、爪部822が拡径部916の後端部917に係合することにより、操作部材8が連結部材9から不本意に離脱するのも防止することができる。
【0074】
また、操作部材8の背面には、皿状に凹没した凹部83が形成されている。操作部材8を押圧操作する際には、例えば親指の腹を凹部83に当接する(添える)ことができ、よって、その押圧操作を容易に行うことができる。
【0075】
操作部材8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。このような材料を用いた場合、例えば金型成形により操作部材8を容易に製造することができる。
【0076】
さて、連結部材9には、操作部材8に対する押圧力を解除したときに、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各押し子26をそれぞれ後退させる押し子後退手段としての2対の弾性片(付勢部材)93が設けられている。図1〜図6に示すように、各1対の弾性片93は、それぞれ、第1のシリンジ2の押し子26を後退させるものと、第2のシリンジ3の押し子26を後退させるものである。各一対の弾性片93の構成は、ほぼ同じであるため、以下、第1のシリンジ2の押し子26を後退させるものについて代表的に説明する。
【0077】
各弾性片93は、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29を後方に向かって付勢する小片である。第1のシリンジ2の押し子26を前方に向かって押圧した状態(図4に示す状態)からその押圧を解除した状態(図5に示す状態)になったときに、各弾性片93の付勢力により、押し子26のフランジ29が後方に向かって押圧される。これにより、第1のシリンジ2の押し子26を外筒21に対して確実に後退させることができ、よって、第1の流路44中の(第1の流路44に残留した)第1の液体L1の先端P1が第1の吐出口421よりも後端側に引き込まれる(図6参照)。
【0078】
また、各弾性片93は、操作部材8を押圧操作したときのガスケット24と外筒21と摺動抵抗よりも、その段発力が小さくなっている。これにより、操作部材8を押圧操作したとき、各弾性片93が変形するとともに、ガスケット24も前方へ向かって移動することができる。
【0079】
図2(図3〜図6も同様)に示すように、各弾性片93は、連結部材9の後板92(後端部)の背面に、欠損部921(押し子の中心軸)を介して、対向配置されている。これにより、押し子26のフランジ29を当該押し子26を介した両側から均等に付勢力を付与することができる。
【0080】
また、各弾性片93は、それぞれ、連結部材9のレール部91の長手方向に対し傾斜している。すなわち、各弾性片93は、それぞれ、その欠損部921に対して近位となる近位部931が、遠位となる遠位部932よりも後方に位置している。各弾性片93がそれぞれこのような姿勢となっていることにより、近位部931が押し子26のフランジ29に確実に当接し、当該フランジ29を介して操作部材8からの押圧力を迅速に受けることができる。これにより、各弾性片93が確実に変形し(撓み)、押し子26のフランジ29に対して付勢力を付与することができる(図4参照)。
【0081】
また、各弾性片93は、それぞれ、当該後板92と一体的に形成されている。これにより、各弾性片93を後板92と別体で構成した場合よりも塗布具1の部品点数が抑えられ、よって、塗布具1の構造を簡単なものとすることができる。
【0082】
また、押し子後退手段を構成する弾性片93は、各第1のシリンジ2および第2のシリンジ3対してそれぞれ2枚(一対)配置されているが、これに限定されず、例えば、1枚または3枚以上配置されていてもよい。
【0083】
次に、使用可能状態となった、すなわち、第1の液体L1が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2のシリンジ3とが装填され、かつボンベ300に接続された状態の塗布具1の作動状態について説明する。
【0084】
図2に示すように、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3には、それぞれ、患部に塗布するのに必要な(十分な)程度の液量の第1の液体L1および第2の液体L2が充填されている。また、ボンベ300は、バルブ301が閉状態となっている。このような塗布具1に対して、まず、例えば塗布具本体7の指掛け部751に人差し指を掛け、後板73の下部に中指を掛け、操作部材8の凹部83に親指を掛ける。
【0085】
図2に示す状態からバルブ301を操作して開状態とする。これにより、塗布具1に対してガスGを供給可能となり、当該ガスGがチューブ10を介して第3の流路46に供給され、よって、ノズル4の各第3の吐出口423からガスGが噴出される(図3参照)。
【0086】
次に、図4に示すように、親指で操作部材8を各弾性片93の付勢力に抗して押圧操作すると、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各押し子26が前方に向かって移動する。これにより、第1のシリンジ2から第1の液体L1が押し出されるとともに、第2のシリンジ3からも第2の液体L2が押し出される。この押し出された第1の液体L1は、第1の流路44を流下して、第1の吐出口421に至り、そこから噴出する(図4参照)。また、第2の液体L2は、第1の液体L1とほぼ同様に、第2の流路45を流下して、第2の吐出口422に至り、そこから噴出する(図4参照)。噴出された第1の液体L1および第2の液体L2は、前述したようにガスGの作用により、それぞれ霧状になり、互いに混合して患部に塗布される。
【0087】
また、各弾性片93は、それぞれ、第1のシリンジ2または第2のシリンジ3の各押し子26のフランジ29を介して、操作部材8からの押圧力を受ける。このため、各弾性片93は、それぞれ、撓む(図4参照)。そして、遂には、各弾性片93は、それぞれ、後板92の背面に当接して、それ以上の撓みが停止する。
【0088】
患部に対する所定量の塗布が完了した後、親指の操作部材8に対する押圧力を緩めていく(押圧を解除していく)と、まず、各押し子26の移動が停止し、よって、第1の液体L1および第2の液体L2の噴出がそれぞれ停止する(図5参照)。さらに、親指の操作部材8に対する押圧力を緩めていくと、その押圧力よりも各弾性片93の付勢力が上回り、各押し子26がそれぞれ、操作部材8の爪部822が連結部材9の拡径部916の後端部917に係合するまで後退する(図5参照)。各押し子26の後退により、第1の液体L1の先端P1が第1の吐出口421よりも後方に引き込まれ、第2の液体L2の先端P2も第2の吐出口422よりも後方に引き込まれる。
【0089】
このように第1の液体L1の先端P1と第2の液体L2の先端P2とが引き込まれることにより、第1の吐出口421や第2の吐出口422付近で、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合して固化するのを防止することができる。これにより、塗布具1の使用後、すなわち、塗布後の、第1の吐出口421や第2の吐出口422付近に生じる目詰まりを確実に防止することができる。そして、この目詰まりが生じていない状態の塗布具1を再度、患部への塗布に用いることができる。
【0090】
次に、ボンベ300のバルブ301を操作して、再度閉状態とする。これにより、第3の流路46へのガスGの供給が停止し、よって、ガスGの各第3の吐出口423からの噴出も停止する(図6参照)。
【0091】
なお、図5、図6に示すように、第1の液体L1の先端P1と第2の液体L2の先端P2とは、長手方向に対してズレて位置している。すなわち、第1の液体L1の先端P1は、第2の液体L2の先端P2よりも前方に位置している。これは、第1のシリンジ2の外筒21の内径が第2のシリンジ3の外筒21の内径よりも小さく、かつ、操作部材8の爪部822が連結部材9の拡径部916の後端部917に係合した際に各押し子26の戻り量が同じとなることにより、生じている。この状態の塗布具1を再度、患部への塗布に用いる場合、操作部材8を操作すると、第1の液体L1と第2の液体L2とをほぼ同時にノズル4から噴出することができる。ここで、「戻り量」とは、各弾性片93の付勢力によって押し子26が後退した際の当該押し子26の移動量(操作部材8の連結部材9に対する移動量のことである。
【0092】
また、第1の液体L1の先端P1と第2の液体L2の先端P2とを長手方向に対してほほ同じ位置となるようにさせたい場合には、各押し子26の戻り量が異なるように、例えば、操作部材8の爪部822の連結部材9の拡径部916に対する係合箇所を適宜設定する。このような状態の塗布具1を再度、患部への塗布に用いると、第2の液体L2を第1の液体L1よりも若干先行して噴出することができる。
【0093】
<第2実施形態>
図7は、本発明の塗布具(第2実施形態)の後端側の部分を示す部分縦断面図である。
【0094】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0095】
本実施形態は、押し子後退手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0096】
図7に示す塗布具1Aでは、押し子後退手段として2対のコイルバネ(付勢部材)94が設けられている。各1対のコイルバネ94は、それぞれ、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29を付勢するものと、第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29を付勢するものである。各一対のコイルバネ94の構成は、ほぼ同じであるため、以下、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29を付勢するものについて代表的に説明する。
【0097】
各コイルバネ94は、後板92に設けられた収納部924内に収納されている。収納部924は、リング状の空間925が形成されたものであり、その空間925内に各コイルバネ94を収納することができる。各コイルバネ94の先端941は、収納部924の先端壁部926に当接している。また、各コイルバネ94の基端942は、リング状の板部材で構成された座部95に当接している。各コイルバネ94は、それぞれ、操作部材8からの押圧力を、フランジ29および座部95を介して受けることができる。
【0098】
このような構成の塗布具1Aでは、第1のシリンジ2の押し子26を前方に向かって押圧した状態(図4に示す状態)からその押圧を解除した状態(図5に示す状態)になったときに、各コイルバネ94の付勢力により、押し子26のフランジ29が後方に向かって押圧される。これにより、第1のシリンジ2の押し子26を確実に後退させることができ、よって、第1の流路44中の第1の液体L1の先端P1が第1の吐出口421よりも後端側に引き込まれる。これにより、前述したように、第1の吐出口421や第2の吐出口422付近で、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合して固化するのを防止することができる。これにより、塗布具1Aの使用後の、第1の吐出口421や第2の吐出口422付近に生じる目詰まりを確実に防止することができる。
【0099】
なお、押し子後退手段を構成するコイルバネ94は、各第1のシリンジ2および第2のシリンジ3対してそれぞれ2つ(一対)配置されているが、これに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上配置されていてもよい。
【0100】
以上、本発明の塗布具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、塗布具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0101】
また、本発明の塗布具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0102】
また、押し子後退手段は、第1のシリンジおよび第2のシリンジの各押し子をそれぞれ後退させるよう構成されたものであるのに限定されず、これらのシリンジのうちの一方のシリンジの押し子を後退させるよう構成されたものであってもよい。
【0103】
また、押し子後退手段は、第1のシリンジおよび第2のシリンジの各押し子をそれぞれ後方に向かって押圧することにより、当該各押し子を後退させるよう構成されているが、これに限定されず、例えば、各押し子をそれぞれ後方に向かって引張ることにより、当該各押し子を後退させるよう構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の塗布具(第1実施形態)を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
【図3】図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
【図4】図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
【図5】図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
【図6】図1に示す塗布具の概略部分縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
【図7】本発明の塗布具(第2実施形態)の後端側の部分を示す部分縦断面図である。
【図8】図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1、1A 塗布具
2 第1のシリンジ(供給手段)
20 空間
21 外筒
22 縮径部(口部)
23 フランジ(外筒側フランジ)
24 ガスケット
25 中空部
26 押し子(プランジャ)
27 本体部
28 ヘッド部
29 フランジ
3 第2のシリンジ(供給手段)
4 ノズル
42 ノズルヘッド
421 第1の吐出口
422 第2の吐出口
423 第3の吐出口(気体吐出口)
424 先端壁部
425 中空部
43 カバー部材
44 第1の流路(液体移送路)
45 第2の流路(液体移送路)
46 第3の流路(ガス流路)
7 塗布具本体
71 基部
711、712 凹部
713 ガイド部
714 突部
73 後板(第1の後板)
731、732 凹部
751 指掛け部
8 操作部材
811、812 嵌合部
82 突出部
821 外周部
822 爪部(係合部)
83 凹部
9 連結部材
91 レール部
911 溝
912 中空部
913 基端開口部
914 上面開口部
915 内周部
916 拡径部
917 後端部(段差部)
92 後板(第2の後板)
921、922 欠損部
923 つば部
924 収納部
925 空間
926 先端壁部
93 弾性片(付勢部材)
931 近位部
932 遠位部
94 コイルバネ
941 先端
942 基端
95 座部
10 チューブ
300 ボンベ(ガス供給手段)
301 バルブ
L1 第1の液体
L2 第2の液体
P1、P2 先端
G ガス(無菌ガス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを備え、前記シリンジ外筒と前記ガスケットとで囲まれた空間に液体が充填された第1のシリンジおよび第2のシリンジを装填して用いられる塗布具であって、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各シリンジ外筒を並べて保持する塗布具本体と、
前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各口部から流出した液体をそれぞれ吐出する2つの吐出口を有するノズルと、
前記第1のシリンジの前記押し子と前記第2のシリンジの前記押し子とを一括して前方に向かって押圧操作する操作部材と、
前記操作部材に対する押圧力を解除したときに、前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジのうちの少なくとも一方のシリンジの前記シリンジ外筒に対して前記押し子を後退させる押し子後退手段とを備えることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記押し子後退手段の作動により前記押し子が後退した際、前記ノズル内に残留した液体の先端が前記吐出口よりも後方に引き込まれる請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記押し子後退手段は、前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの前記各押し子をそれぞれ後退させるものである請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記塗布具本体と前記操作部材とを連結し、前記塗布具本体および前記操作部材に対して前記押し子の長手方向に沿って移動可能に設置された長尺な連結部材を備え、
前記押し子後退手段は、前記連結部材に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布具。
【請求項5】
前記押し子後退手段は、前記連結部材の後端部に設置され、前記押し子の後端部を後方向に向かって付勢する付勢部材を有する請求項4に記載の塗布具。
【請求項6】
前記押し子は、その後端に板状のフランジが形成されたものであり、
前記付勢部材は、前記フランジを付勢する少なくとも1枚の弾性片で構成されている請求項5に記載の塗布具。
【請求項7】
前記弾性片は、前記押し子の中心軸を介して一対配置されている請求項6に記載の塗布具。
【請求項8】
前記押し子は、その後端に板状のフランジが形成されたものであり、
前記付勢部材は、前記フランジを付勢する少なくとも1つのコイルバネで構成されている請求項5に記載の塗布具。
【請求項9】
前記押し子の前記押し子後退手段の作動によって後退した際の戻り量を規制する規制手段を備える請求項1ないし8のいずれかに記載の塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−240427(P2009−240427A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88633(P2008−88633)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】