説明

外床材

【課題】簡易な構造でありながら、夜間等における運転や歩行を安全とし、透水性が良く且つ廃棄物の有効利用に寄与できる外床材を提供する。
【解決手段】所定の形状に圧縮成型して形成された透水性基板2に、セラミック発熱体4を内蔵してなる外床材1であって、上記基板は、表面に発光体6を埋設するとともに、貝殻又は廃瓦の粉砕片Bにバインダーを混練した後、圧縮成型型で圧縮して多孔性構造体として形成され、該多孔性構造体の裏面には凹所3を形成して、その内部に、上記セラミック発熱体が防水処理されて収容されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック発熱体を内蔵してなり、融雪機能を備えた外床材に関し、詳しくは所定の形状に圧縮成型して形成され、多孔性構造体でなる透水性基板の表面に、発光体が埋設されている外床材に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪の多い寒冷地においては、公共の道路や歩道、一般家庭や店舗の出入口、駐車スペースまでのアプローチ等の除雪作業が、日常生活の大きな問題とされている。そこで、従来より、融雪剤を散布して雪を融かし易くしたり、路面上の雪を積もりにくくするために、発熱体が内蔵された外床材を敷設したりすることがなされてきた。
【0003】
下記特許文献1には、融雪用熱量を供給する加熱手段の外周を額縁状に形成する枠体により囲い、加熱手段の上面を枠体に係止する表面プレートにより覆うよう構成し、表面プレートは、複数の加熱手段の上面を一体に覆うように構成された融雪装置用発熱パネルが記載されている。
下記特許文献2には、コンクリート材料で成形さえた基盤と、基盤上の雪を融かす融雪装置と、雪の融水を浸透させる通気性多孔質の融水浸透部材と、前記融水浸透部材に浸透した融水を外部に排出する排水部とを備えた融雪パネルが記載されている。
【特許文献1】特開2004−324148号公報
【特許文献2】特開2005−315063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものは、加熱手段を覆う表面プレートに透水性がないため、これを道路等に敷設する場合には、融水を速やかに排水できるよう対策を講じる必要があった。また上記特許文献2のものは、基板の内部に無数の連続した空隙を有した通水性のある多孔質(ポーラス)でなる融水浸透部材と、排水部とを備えているため、融水の排水性対策がなされたものではあるが、基板を形成した後、無数の空隙や排水部を形成させる必要があるため、製造工程が複雑となり、施行が面倒でコストアップの懸念があった。
【0005】
ところで、上述のような融雪機能を備えた外床材が敷設される寒冷地においては、夜道に車の運転や歩行する場合、上部から照らされる街灯の灯りだけでは、路面上のどこに雪が積もっているか、どこの路面の雪が溶けているかの判別が困難であり、大変危険が伴うという問題がある。
また、近年、廃棄物投棄による海洋汚染、土壌汚染が問題視され、廃棄物の海洋投棄が禁止されたり、土壌に埋立可能な廃棄物が制限される等の実情からリサイクル意識が高まり、廃棄物の有効利用に関する研究開発が活発になされている。
水産系廃棄物においては、その中でも発生量が多く、問題視されているものとして、ホタテなどの扁平貝の貝殻があり、大量且つ恒常的な有効利用策の確立が課題となっている。また廃材となった瓦は、粉砕して焼却されたり、埋立処理されるが、有害物質を含んだ釉瓦の廃棄処理は有害物質を取り除く費用がかさむため問題とされていた。
【0006】
本発明は、このような事情にもとづいて提案されたもので、簡易な構造でありながら、夜間等における運転や歩行を安全とし、透水性が良く且つ廃棄物の有効利用に寄与できる外床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る外床材は、所定の形状に圧縮成型して形成された透水性基板に、セラミック発熱体を内蔵してなるものであって、上記基板は、表面に発光体を埋設するとともに、貝殻又は廃瓦の粉砕片にバインダーを混練した後、圧縮成型型で圧縮して多孔性構造体として形成され、該多孔性構造体の裏面には凹所を形成して、その内部に、上記セラミック発熱体が防水処理され、収容されていることを特徴とする。
外床材は、寒冷地のビル、ホテル、住戸の玄関先や道路等に適用でき、発熱させることによって融雪、雨水乾燥を可能とする。さらに、土間に使用すれば、外床式の床暖房としても利用できるだけでなく、夏場にも使用でき、ヒートアイランド効果も高い。
【0008】
請求項2の発明に係る外床材は、請求項1において、上記発光体は、上記セラミック発熱体が通電加熱されているときに、点灯制御される構成にしていることを特徴とする。ここでいう点灯制御は、点灯、消灯だけでなく、点滅させることも含むものである。
請求項3の発明に係る外床材は、請求項1において、発光体には、クロックタイマ、照度センサの少なくとも一方が付設されており、所定の時刻或いは所定の照度に応じて、上記発光体が自動的に点灯制御されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明に係る外床材は、請求項1乃至3のいずれか1項において、基板には温度計を内蔵しており、上記発光体は、計測した温度に応じて、上記発光体の点灯、点滅態様を変化させるようにしていることを特徴とする。
請求項5の発明に係る外床材は、請求項1乃至4のいずれか1項において、バインダーは、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と硬化剤とでなるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明に係る外床材は、請求項1乃至5のいずれか1項において、上記貝殻の粉砕片は、ホタテ貝等の扁平貝の貝殻を粉砕したものであることを特徴とする。
扁平貝としては、ホタテ貝の他、アサリ、アコヤガイ等、水産系廃棄物として廃棄され、扁平な貝が用いられる。
請求項7の発明に係る外床材は、請求項1乃至6のいずれか1項において、セラミック発熱体には、温度センサ付きの電流制御器を付設しており、所定温度を超えたときには通電を遮断し、所定温度以内には通電を許容する構造にしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の外床材によれば、基板の表面には発光体が埋設されているため、例えば夜道の車の運転や歩行時において、該発光体が誘導灯となり、安全に運転等をすることができる。また発光体の照度から、雪の溶け具合等を判別することもできる。
基板は、多孔性構造体として形成されるので、透水性保水性を有するものとすることができる。よって、夏場は打ち水等の保水して外床材の表面を冷却させる効果があるので、ヒートアイランド対策に有効である。また冬場は雨水や融けた雪が多孔性構造体に浸透し、排水されやすい構造となっているので、外床材上に融水や雨水が溜まったり、溜まった水が凍結するといったことを防ぐことができる。
【0012】
更に多孔性構造体は、貝殻又は廃瓦を粉砕した粉砕片で形成されるので、廃棄物となった貝殻や廃棄処分が難しい瓦(例えば釉瓦)を用いれば、廃棄物の大量且つ恒常的な有効利用策とすることができ、貝殻又は廃瓦自体の色をそのまま外床材の色として活かすことができる。
そして、該多孔性構造体の下方に形成した凹所には、セラミック発熱体が収容されており、ニクロム線のような電気部品を必要としないので断線のおそれがなく、製造が容易でコストも低い。また内蔵されるセラミック発熱体には、防水処理が施されているため、水が浸入して濡れてしまうことがなく、安全で、内部の電極のさびや炭素質膜の短絡、漏電を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の外床材によれば、発光体は、セラミック発熱体が通電加熱されているときに、点灯制御される構成にしているので、セラミック発熱体が通電すると、発光体も点灯し、セラミック発熱体の通電が遮断されると、発光体も消灯する構成とすることができる。
請求項3に記載の外床材によれば、発光体には、クロックタイマ、照度センサの少なくとも一方が付設されており、所定の時刻或いは、所定の照度に応じて、発光体を自動的に制御することができる。よって例えばクロックタイマを備えたものとすれば、発光体は所定時刻を経過すると点灯し、所定時刻が到来すると消灯させることができる。また照度センサを備えたものとすれば、発光体は昼間の明るい間は消灯し、夜間の暗い間は発光体を点灯させることができる。
【0014】
請求項4に記載の外床材によれば、基板には温度計を内蔵しており、発光体は、計測した温度に応じて、発光体の点灯、点滅態様を変化させるようにしているので、発光体の点灯、点滅態様を視認すれば、現在の気温をすぐ把握することができる。
請求項5に記載の外床材によれば、粉砕片に空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と硬化剤とでなるバインダーを混練した後、所定の成形型に入れ、圧縮して形成されるものなので、製造工程が簡易で、大量生産することができ、低コスト化を実現できる。
また粉砕片に混練されるバインダーは、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と、硬化剤とでなるものとしているので、粉砕片同士を十分な強度で固化させることができる。
【0015】
請求項6に記載の外床材によれば、貝殻の粉砕片は、ホタテ貝等の扁平貝の貝殻を粉砕したもので形成できるので、水産系廃棄物の中でも、大量に発生するにもかかわらず、廃棄制限を受け問題となっていたホタテ貝を代表とする扁平貝の有効利用策を提供することができる。
【0016】
請求項7に記載の外床材によれば、セラミック発熱体には、温度センサ付きの電流制御器を付設しており、所定温度を超えたときには通電を遮断し、所定温度以内には通電を許容する構造にしているため、過度の加熱、過電流が防止でき、適切な温度での発熱を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面とともに説明する。
【実施例】
【0018】
図1(a)は、本発明の外床材の使用例を示す図、図1(b)は外床材に収容されているセラミック発熱体の接続状態を示す図、図2は本発明の外床材の一実施例を示す分解斜視図、図3は図2に示した外床材のX−X線の縦断面図、図4は、本発明の外床材に埋設された発光体の制御処理の基本動作の一例を示すフローチャートである。
【0019】
図において、1は外床材、2は透水性を有した基板、2aはリード線4aを収容するための収容部、2bはリード線4aを挿通させるコード孔、2cは発光体6を挿通させる孔部、3はセラミック発熱体4を収容させるための凹所、4はセラミック発熱体、4aは絶縁被膜で覆われたリード線、4bはリード線4a同士を接続する接続部であり、対応した雄、雌接続部を有し、その全体を絶縁保護カバーで被覆している。4cはセラミック発熱体4にリード線4aを接続し、固着させている接続固着部、4dは絶縁皮膜で覆われたリード線4aの一部を剥離して導体を露出させた導体露出部、5は絶縁外皮、6は発光体、6aは回路基板、6bは透光体、Bは貝殻や廃瓦を粉砕した粉砕片である。
【0020】
図1(a)は、本発明の外床材の使用例を示す図であり、図中Aは外床材の基板の表面部分を説明するための拡大図である。本発明の外床材1は、図1(a)に示すように複数枚を並べて、冬場は積雪する寒冷地の道路や歩道、一般家庭や店舗の出入口、駐車スペースまでのアプローチ等の地表面に敷設して使用されるものである。
外床材1は、所定の形状に圧縮成型して形成された透水性基板2に、セラミック発熱体4を内蔵してなり、上記基板2の表面には、発光体6が埋設されている。基板2の中央には該発光体6を埋設させるための孔部2cが設けられている。
図例の外床材1は、発光体6を基板2の中央に1箇所だけ設けた例を示しているがこれに限定されるものではなく、発光体6の色も一色に限定されるものではない。
【0021】
図2は本発明の外床材の一実施例を示す分解斜視図、図3は図2に示した外床材のX−X線の縦断面図であり、発光体及びセラミック発熱体が基板に組込まれた状態を示している。
図に示すように、外床材1の貫通された孔部2cの基板2表面側には、発光体6の光を透すガラス製やプラスチック製でなる透光体6bが嵌め込まれており、回路基板6aに実装された発光体6を孔部2cに挿入して構成されている。ここで透光体6をなすガラスやプラスチックに光を拡散させる拡散剤を混入させてもよい。この透光体6bは図3に示すように中央部が厚く形成された凸レンズ状になっており、発光体6の光が拡散されやすいよう形成される。
【0022】
そして発光体6の点灯制御は、セラミック発熱体4が通電加熱に応じて行うものとすることができる。
これによれば、セラミック発熱体4が通電すると、発光体6も点灯し、セラミック発熱体4の通電が遮断されると、発光体6も消灯する構成とすることができる。
発光体4の駆動源は、セラミック発熱体4の通電を利用してもよいし、回路基板6aに内蔵した電池、或いは、リード線を配し外部から供給するものとしてもよい。
【0023】
外床材1はリード線4aによって相互に接続され、外部電力より通電されることによって、セラミック発熱体4を発熱させ、基板2の上方の温度を上昇させて、融雪や雨水乾燥に利用することができる。土間に使用すれば、外床式の床暖房としても利用可能である。尚、外部電力としては、通常の給電コンセント、発電機、太陽電池等から供給を受けることができる。
外床材1の基板2には、使用しないリード線4aや外床材1を敷設させる際に接続されたリード線4aを収容するための収容部2aが形成されている。該収容部2aには、リード線4aが挿通されるコード孔2bが形成されており、図1(b)に示すように、リード線4a同士を接続することにより、電気的に通電するよう構成されている。
【0024】
基板2の下方面(裏側)には図2及び図3に示すように、凹所3が穿設されており、絶縁外皮5によって防水処理が施されたセラミック発熱体4が収容される構造となっている。図3のように、絶縁外皮5によってセラミック発熱体4が被膜されるように構成すれば、融水等の水の浸入を防ぐことができる。絶縁外皮5としては、耐熱性のよい樹脂や塗料、アスファルト、熱に強いフッ素ゴム等を用いることができる。
尚、ここでは図示していないが、凹所3の開口部には、ビス等で開閉可能な裏蓋を設けたものとしてもよい。
【0025】
これによれば、基板2の表面には発光体6が埋設されているため、例えば車道や歩道の外床材1として用いられた場合、夜間の車の運転や歩行時において、該発光体6が誘導灯となり、安全に運転等をすることができる。また発光体6の照度から、雪の溶け具合等を判別することもできる。
更に基板2の凹所3には、セラミック発熱体4が内蔵されているので、ニクロム線のような電気部品を必要せず、断線のおそれがない。また製造が容易でコストも低い。そして該セラミック発熱体4は、絶縁外皮5によって防水処理が施されているため、水が浸入して濡れてしまうことがなく、安全で、内部の電極のさびや炭素質膜の短絡、漏電を防止することができる。
【0026】
セラミック発熱体4の構成は特に限定されるものではないが、素焼き基板や陶板の上面に炭素質膜を所定形状に形成し、少なくとも1以上の孤立した炭素質膜セグメントを形成し、その孤立した炭素質膜セグメントに通電路を設けて通電させ、その炭素質膜セグメントを発熱させるようにしたものでもよい。
そして、セラミック発熱体4に、温度センサ付きの電流制御器を付設すれば、発熱温度が所定温度を超えたときに通電を遮断し、所定温度以内には通電を許容する構造にすることができる。
これによれば、セラミック発熱体4による過度の加熱、過電流が防止でき、外床材1を適切な温度に維持できる。
【0027】
外床材1の基板2は、貝殻又は廃瓦を粉砕した粉砕片Bに、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と硬化剤とでなるバインダーを混練した後、圧縮成形型で圧縮して、形成された多孔性構造体でなることを特徴とする。
粉砕片Bはホタテ貝、アサリ、アコヤガイ等の扁平貝の貝殻を粉砕したものや廃瓦を用いることができる。
ここでホタテ貝は高純度の炭酸カルシウムでなり、不純物を含有していないものであるため、これを粉砕すると、一様に白っぽい粉砕片を得ることができる。よって、これを外床材1の基板2に用いると、美観がよい。また経年変化、磨耗に強いという特性もあるため、耐久性のよいものとすることができる。
また粉砕片Bとして廃瓦を用いれば、瓦がそもそも有している保水性、透水性という特性を外床材1の主材として活かすことができる。
【0028】
粉砕片Bの粒径は、直径1mm〜8mm程度のものを用いることができるが、概ね直径3mm〜6mmのものとすることが望ましい。
粉砕片Bの粒径が、直径3mmより小さいものとすると、粒径が小さすぎて、多孔性構造体を形成することができない。また粉砕片Bの粒径が、直径6mmより大きいものとすると、粒径が大きすぎて、透水性が悪くなる傾向となる。
なお、貝殻や廃瓦の粉砕方法は限定するものではないが、通常石灰石等を粉砕する際に用いられる粉砕機や回転式せん断粉砕機等により粉砕することが挙げられる。
【0029】
粉砕片Bを所定形状に圧縮成型する際に用いられるバインダーとしては、上述のように、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と硬化剤とでなるものが用いられる。
配合比としては、粉砕片B100重量部に対して、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂のいずれかが6〜70重量部である。また硬化剤の配合比は、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂のいずれかが100重量部に対して、0.2〜3重量部であることが望ましい。
【0030】
空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂は、空気乾燥性を有する不飽和ポリエステル樹脂であれば特に制限されず、第1段反応して不飽和多塩基酸と多価アルコールとを反応させて水酸価50〜120の不飽和ポリエステルを生成させた後、第2段反応として第1段反応で生成した不飽和ポリエステルに有機多塩基酸及びアリルアルコールのアルキレンオキシド付加物を含む空気乾燥性付与剤を反応させ、次いで得られた不飽和ポリエステルに重合性単量体を配合して得られるものを使用することができる。
【0031】
空気乾燥性ビニルエステル樹脂は、空気乾燥性を有するビニルエステル樹脂であれば特に制限されず、エポキシ樹脂に対して不飽和−塩基酸と、不飽和−塩基酸の一部に換えて多価アリルエーテルモノアルコールと二塩酸無水物との反応による半エステルカルボン酸とを加えて反応させた生成化合物、または更に上記生成化合物中の水酸基に二塩基酸無水物を付加半エステルカルボン酸化後、アリルグリシジルエーテル又はグリシジルアクリレートを反応させることによって合成することができる。ここで得られる空気乾燥性ビニルエステル樹脂は、通常作業性を考慮してスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等の反応性稀釈モノマーで稀釈して使用される。
【0032】
基板2は、粉砕片Bと上記配合比でなるバインダーとを混練した後、所定の形状でなる成形型に流し込み、加熱圧縮成型し、硬化させることにより、多孔性構造体を得ることができる。
また添加材として、混練された粉砕片Bと上記バインダーとに、繊維糸材を更に加えたものとしてもよい。繊維糸材としては、グラスウール、グラスファイバー、バサルトファイバー等を用いることができる。このように繊維糸材を混入させたものとすれば、透水性を妨げることがなく、基板2の荷重強度を高めることができ、外床材1としての用途が広がる。例えば重量のある輸送媒体の通過にも耐えうる外床材1とすることができる。
【0033】
このように、基板2は、多孔性構造体として形成されるので、透水性保水性を有するものとすることができる。よって、夏場は打ち水等の保水して外床材1の表面を冷却させる効果があるので、ヒートアイランド対策に有効である。また冬場は雨水や融けた雪が多孔性構造体に浸透し、排水されやすい構造となっているので、外床材1上に融水や雨水が溜まったり、溜まった水が凍結するといったことを防ぐことができる。
なお、外床材1の主材を、上述のように貝殻のみ又は廃瓦のみとしてもよいし、貝殻と廃瓦とを混合させたものとしてもよいことは言うまでもない。
【0034】
次に外床材1に埋設された発光体6の点灯制御について説明する。上述のように、セラミック発熱体4の通電に連動させたものとする他、各種センサ等を用いて点灯制御するものとすることができる。
図4は、該発光体制御処理の基本動作の一例を示すフローチャート(100〜111)である。ここでは発光体6に、クロックタイマと照度センサとが付設された場合の基本動作の一例を説明する。
まず、クロックタイマは点灯時刻を監視し、点灯開始時刻が到来すると発光体6を点灯し(103)、点灯終了時刻が到来すると発光体6を消灯する(106)。そして照度センサは常時周りの明るさを測定するよう構成され、点灯開始時刻が到来する前であっても、照度センサの測定値がしきい値に満たない場合は、夜間であるとして、発光体6を点灯し(109)、該測定値がしきい値を超えている場合は、昼間であるとして発光体6を消灯する(109)。
このように、発光体6に、クロックタイマ及び照度センサが付設されたものとすれば、所定の時刻或いは所定の照度に応じて、発光体6を自動的に制御することができる。
【0035】
発光体6の制御処理については、上記態様に限られず、クロックタイマのみが付設されたものとしてもよいし、照度センサのみが付設されたものとしてもよいことは言うまでもない。よって、クロックタイマが付設されたものとすれば、所定の点灯開始時刻を経過すると発光体6が点灯し、所定の点灯終了時刻が到来すると発光体6を消灯させることができる。また、照度センサが付設されたものとすれば、時刻に関係なく、所定のしきい値を上回っている間は、明るいとして発光体6を消灯し、所定のしきい値を下回っている間は、暗いとして発光体6を点灯させることができる。
【0036】
この他、基板2に温度計を内蔵させ、発光体6を連動制御するものとすることができる。
外床材1の基板2の表面には、発光体6が複数個設けられており、発光体6の色を温度変化に応じて点灯態様を変化させる。例えば、点灯態様を気温が0℃以上のときは赤1個、気温が−10℃は赤2個、気温が−20℃は赤3個等と設定すれば、発光体6を単に夜間時の誘導灯としての役割だけでなく、外気温の目安を知ることができる機能を備えたものとすることができる。
ここで発光体6の点灯態様は上記の態様に限定されず、発光体6の色も赤、青、緑等、様々なものとし、その点灯態様にメッセージ性を持たせることにより、より一層夜間等における運転や歩行を安全とすることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態は上述に限定されるものではなく、例えば本発明の外床材1の全体形状は、四角形の他、三角形、円形等、用途に応じた形状とすることができる。また、発光体6、リード線4a、セラミック発熱体4等の構成も図例のものに限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は、本発明の外床材の使用例を示す図、(b)は外床材に収容されているセラミック発熱体の接続状態を示す図である。
【図2】本発明の外床材の一実施例を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示した外床材のX−X線の縦断面図である。
【図4】本発明の外床材に埋設された発光体の制御処理の基本動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 外床材
2 (透水性)基板
2a 収容部
2b コード孔
2c 孔部
3 凹所
4 セラミック発熱体
4a リード線
4d 導体露出部
5 絶縁外皮
6 発光体
B 粉砕片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に圧縮成型して形成された透水性基板に、セラミック発熱体を内蔵してなる外床材であって、
上記基板は、表面に発光体を埋設するとともに、貝殻又は廃瓦の粉砕片にバインダーを混練した後、圧縮成型型で圧縮して多孔性構造体として形成され、該多孔性構造体の裏面には凹所を形成して、その内部に、上記セラミック発熱体が防水処理され、収容されていることを特徴とした外床材。
【請求項2】
請求項1において、
上記発光体は、上記セラミック発熱体が通電加熱されているときに、点灯制御される構成にしていることを特徴とした外床材。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記発光体には、クロックタイマ、照度センサの少なくとも一方が付設されており、所定の時刻或いは、所定の照度に応じて、上記発光体が自動的に点灯制御されるようにしたことを特徴とした外床材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
上記基板には温度計を内蔵しており、上記発光体は、計測した温度に応じて、上記発光体の点灯、点滅態様を変化させるようにしたことを特徴とした外床材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
上記バインダーは、空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂又は空気乾燥性ビニルエステル樹脂と硬化剤とでなることを特徴とした外床材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
上記貝殻の粉砕片は、ホタテ貝等の扁平貝の貝殻を粉砕したものであることを特徴とした外床材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
上記セラミック発熱体には、温度センサ付きの電流制御器を付設しており、所定温度を超えたときには通電を遮断し、所定温度以内には通電を許容する構造にしていることを特徴とした外床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−31773(P2008−31773A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208197(P2006−208197)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【特許番号】特許第3936382号(P3936382)
【特許公報発行日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(505402695)
【Fターム(参考)】