説明

多数の電荷蓄積素子を有するCT検出器フォトダイオード

【課題】多数の電荷蓄積素子ピクセルを備えており、多数のピクセルが一つの読み出しチャネルを共有し且つ線源揺動を支援するようにして接続されたピクセルを有するCT検出器を提供する。
【解決手段】CT検出器(20)が、単一のフォトダイオード(54)と、交互に蓄積され読み出される多数の電荷蓄積素子(C1、C2)とを有するピクセル(62)を含んでいる。フォトダイオード(54)は前面照射型ダイオードであって、データ取得時に発生される電荷を交互に蓄積する一対のキャパシタ(C1、C2)を備えている。多数のピクセル(62、68)が単一の読み出し増幅器(A1)に接続される。電荷は、各々のフォトダイオード(54)から連続的に取得されて、電荷蓄積素子(C1、C2)に蓄積されるが、読み出しは、一度に単一の電荷蓄積素子から行なわれる。各々の電荷蓄積素子(C1、C2)は独立に読み出されるが、これら電荷蓄積素子(C1、C2)は一つの共通の読み出しチャネル又はポート(A1)に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、診断撮像に関し、さらに具体的には、多数の電荷蓄積素子を備えたフォトダイオードを有する放射線撮影用検出器アセンブリに関する。多数の電荷蓄積素子は検出器飽和を起こり難くするばかりでなく、ビュー内X線源揺動(wobble)を支援する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムでは、X線源が患者又は手荷物のような被検体又は物体に向かってファン形(扇形)のビームを放出する。以下では、「被検体」及び「対象」「物体」との用語は、撮像されることが可能な任意物を包含するものとする。ビームは、被検体によって減弱された後に、放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイで受光される減弱後のビーム放射線の強度は典型的には、被検体によるX線の減弱に依存する。検出器アレイの各々の検出器素子が、各々の検出器素子によって受光された減弱後のビームを示す別個の電気信号を発生する。電気信号はデータ処理システムへ伝送されて解析され、ここから最終的に画像が形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各々の検出器素子は、X線の受光に応答して光を放出するシンチレータ・セルによって特徴付けられる。光はフォトダイオードによって収集され、フォトダイオードはシンチレータ・セルに入射したX線を示す電気信号出力を供給する。次いで、感知された光から発生される電荷が、直接又はFETスイッチ・アレイを介してのいずれかでデータ取得システム(DAS)へ伝送される。CT検出器のz方向撮像範囲が拡大し、また分解能を高めるようにピッチが微細化するにつれて、DASに接続されるフォトダイオードの数が増加して必要とされる相互接続(インターコネクト)の数が大幅に増加する。最も広く実用化されているCT検出器は数千個の検出器素子を含んでおり、結果として、同程度の数の検出器素子に対する同程度の数の接続が一つの共通のDAS入力チャネルを共有する。他の公知の検出器は、各々のピクセルに電荷蓄積体を設けており、多くのピクセルの間で単一の増幅器を共有している。例えば、公知の一検出器は、各々のフォトダイオード・ピクセル毎に単一のDASチャネルを利用する。他の公知の検出器は、8個ものピクセルが単一のDASチャネルに並列接続されるように構成されている。しかしながら、フォトダイオード・ピクセルを並列に接続すると、分解能が低下するので望ましくない。もう一つの公知の検出器設計では、各々のピクセルに蓄積キャパシタ及びFETスイッチを設けている。この構成をしばしば蓄積ダイオード設計と呼ぶ。かかる設計では、蓄積キャパシタはしばしば、フォトダイオード自体の固有のキャパシタンスによって提供される。かかる構成は、1個の増幅器を多くのピクセルの間で共有することを可能にし、各々のピクセルは分解能を低下させないように個々に読み出されるが、この構成は所謂線源「揺動」を許さない。線源揺動は、各々のピクセルでの積算信号を同じ時間区間にわたってサンプリングすること必要とする。このことは、従来の蓄積ダイオード検出器設計では可能でない。
【0004】
従って、多数の電荷蓄積素子ピクセルを備えており、多数のピクセルが一つの読み出しチャネルを共有し且つ線源揺動を支援するようにして接続されたピクセルを有するCT検出器を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の欠点を克服するCT検出器用のピクセルのアレイに関するものである。各々のピクセルが多数の電荷蓄積素子を有するように設計されている。
【0006】
CT検出器ピクセルが、感光素子、好ましくはフォトダイオードと、好ましくはビュー毎に交互に充電されて読み出される多数の電荷蓄積素子とを含んでいる。フォトダイオードは好ましくは、前面照射型ダイオードであり、電荷蓄積素子は、感光素子によって発生される電荷を交互に蓄積する一対のキャパシタである。電荷蓄積は、FETスイッチ及びピクセル構造の付設電子回路によって制御される。フォトダイオードからの電荷は選択された電荷蓄積素子の1個に絶えず伝達される。蓄積された電荷は後刻に読み出される。このようなものとして、各々の電荷蓄積素子は独立に読み出されるが、多数の検出器ピクセルからの多数の電荷蓄積素子が一つの共通の読み出しチャネル又はポートに接続されている。このようにして、電荷蓄積素子の数が増加しても読み出しチャネルの数を同じにすることができる。
【0007】
一つの好適実施形態では、データ取得を所定数の連続ビューに分割する。このことに関して、例えば奇数番号のビュー時の光誘起電荷を一方の電荷蓄積素子に蓄積し、偶数番号のビューの光誘起電荷を他方の電荷蓄積素子に蓄積する。偶数番号のビュー時には、第一の電荷蓄積素子に蓄積された電荷をDASへ伝送する。奇数番号のビューでは、第二の電荷蓄積素子に蓄積された電荷をDASへ伝送すると共に、電荷を第一の電荷蓄積素子に蓄積する。このような充電及び読み出しの交替がデータ取得時にわたって続行される。ビューは、光電荷が各々のピクセル素子によって検出されて、この電荷がキャパシタの1個に伝達されるときの時間として定義される。ビュー時間の最後に、ピクセル・スイッチは電気的に再構成されて、電荷は他方のピクセル・キャパシタへ伝達される。
【0008】
従って、一観点によれば、本発明は、ピクセルのアレイを含んでいる。各々のピクセルは部分的には、シンチレータによって放出される光を電荷へ変換するように設計されている光変換素子として作用するフォトダイオードを含んでいる。ピクセルはまた、単一の光変換素子に接続されており第一の取得時の電荷を蓄積する第一の電荷蓄積キャパシタ素子と、第一の電荷蓄積素子とは異なっており、単一の光変換素子に接続されており第二の取得時の電荷を蓄積する第二の電荷蓄積素子とを有している。さらにもう一つの観点では、任意の一時刻に、2個の電荷蓄積素子の一方のみをスイッチ(FETスイッチ等)によって選択して、単一の光変換素子に接続する。
【0009】
本発明のもう一つの観点によれば、CT検出器が、X線の受光に応答して所定強度にある光を放出するシンチレータを有するものとして提供される。CT検出器はさらに、シンチレータによって放出される光の強度を示す電気信号を供給するフォトダイオードを有する。フォトダイオードは、集光表面と、集光表面によって発生される電荷を蓄積する一対のキャパシタとを有する。
【0010】
もう一つの観点によれば、本発明は、X線源と、ピクセルのアレイで構成されるX線検出器とを有するCTシステムを含んでいる。各々の検出器は、ピクセルのアレイに対して光を放出するように構成されている複数のシンチレータを含んでいる。各々のピクセルは、第一及び第二の電荷蓄積素子を有する。CTシステムはさらに、ピクセルのアレイから電気信号を受信するように接続されているDASチャネルを有する。また、コントローラが設けられており、上述の複数のピクセルの各々のピクセルの第一及び第二の電荷蓄積素子の一方のみが任意の一時刻に読み出しのためにDASチャネルへ電荷を伝達するように、各々のピクセルの第一及び第二の電荷蓄積素子をDASチャネルに交互に接続する。
【0011】
本発明のさらにもう一つの観点によれば、CT撮像の方法が提供され、この方法は、データ取得を所定数のビューに分けて画定するステップと、各々のビューについて、第一のX線源位置及び第一のX線源位置から揺動した後の第二のX線源位置においてCTデータを取得するステップとを含んでいる。この方法はさらに、第一のX線源位置にあるX線源によるデータ取得時にピクセルのアレイにおいて各々のピクセルの第一の電荷蓄積素子の電荷を積算するステップと、第二のX線源位置にあるX線源による画像取得時に各々のピクセルの第二の電荷蓄積素子の電荷を積算するステップとを含んでいる。
【0012】
本発明のその他様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面は、本発明を実施するために現状で想到される一つの好適実施形態を示す。
【0014】
4スライス型計算機式断層写真法(CT)システムに関連して本発明の動作環境を説明する。但し、当業者であれば、本発明がシングル・スライス型構成又は他のマルチ・スライス型構成での利用にも同等に適用可能であることが認められよう。本発明は、「第三世代」CTスキャナに関して説明されるが、他のCTシステムにも同等に適用可能である。
【0015】
図1及び図2には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10が、「第三世代」CTスキャナに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。ガントリ12はX線源14を有しており、X線源14は、X線のファン・ビーム16をガントリ12の対向する側に設けられている検出器アレイ18に向かって投射する。検出器アレイ18は複数の検出器モジュール20によって形成されており、検出器モジュール20は一括で、患者22を透過した投射X線を感知する。各々の検出器モジュール20がピクセル要素(ピクセル)のアレイを含んでいる。各々のピクセルは部分的には、フォトダイオードのような感光素子と、1又は複数のキャパシタのような電荷蓄積素子とを含んでいる。各々のピクセルは、入射X線ビームの強度を表わし、従って患者22を透過する際に減弱したビームを表わす電気信号を発生する。X線投影データを取得するための1回の走査の間に、ガントリ12、及びガントリ12に装着されている構成部品が回転中心24の周りを回転する。
【0016】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26はX線制御器28とガントリ・モータ制御器30とを含んでおり、X線制御器28はX線源14に電力信号及びタイミング信号を供給し、ガントリ・モータ制御器30はガントリ12の回転速度及び位置を制御する。制御機構26内に設けられているデータ取得システム(DAS)32が検出器20からのアナログ・データをサンプリングして、後続の処理のためにこれらのデータをディジタル信号へ変換する。画像再構成器34が、サンプリングされてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は大容量記憶装置38に画像を記憶させる。DASはまた、検出器へ信号を送って、FETスイッチを動作させたり、検出器にバイアス電圧を供給したりすることができる。
【0017】
コンピュータ36はまた、キーボードを有するコンソール40を介して操作者から指令及び走査用パラメータを受け取る。付設されている表示器42によって、操作者は再構成された画像及びコンピュータ36からのその他のデータを観測することができる。操作者が供給した指令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、電動式テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22及びガントリ12を配置する。具体的には、テーブル46は患者22の各部分をガントリ開口48を通して移動させる。
【0018】
図3及び図4に示すように、検出器アレイ18は複数の検出器モジュール20を含んでいる。コリメータ(図示されていない)が、X線ビーム16が検出器モジュールに入射する前にX線ビーム16をコリメートするように、これら複数の検出器モジュールの上に配置されている。図3に示す一実施形態では、検出器アレイ18は57個の検出器モジュール20を含んでおり、各々の検出器モジュール20が16×16のピクセル・アレイ寸法を有している。結果として、アレイ18は16行及び912列(16×57個の検出器)を有し、ガントリ12の各回の回転で同時に16枚のスライスのデータを収集することができる。各々の検出器モジュール20はシンチレータ・アレイ48を含んでおり、アレイ48は、X線の受光時に発光する複数のシンチレータ50を含んでいる。各々の検出器モジュール20はまた、複数のピクセル54で集合的に形成されたピクセル・アレイ52を含んでいる。上で参照したように、各々のピクセル54は、感光素子と、1又は複数の電荷蓄積素子とを含んでいる。各々の検出器モジュール20は、装着用ブラケット58によって図3の検出器フレーム56に固定されている。
【0019】
本発明は、上述のような検出器アレイに組み入れることができると共に図1〜図2に示すようなCTシステム又は他の放射線撮影システムに組み入れることのできる多数の電荷蓄積素子例えばキャパシタを備えたフォトダイオードを有するCT検出器に関するものである。フォトダイオードは好ましくは、前面照射型構成のものであって、その集光表面の上に構成された一対のキャパシタを含んでいる。さらに、一方のキャパシタが充電されているときに、他方のキャパシタは電荷を保持する静的モード又は読み出し状態のいずれかにある。読み出し状態では、キャパシタは電荷増幅器のような電荷読み出し素子に接続される。このような充電及び読み出しの交替がデータ取得時にわたって続行される。
【0020】
図5は、本発明による多数の電荷蓄積素子を有する単一のピクセルの回路概略図である。当業者は、回路60及び付設された構成要素は本発明の実施形態の一例を示すものであって、他の回路及び/又は構成要素を同等に用い得ることを容易に認められよう。回路60は、第一のキャパシタC1及び第二のキャパシタC2、フォトダイオード、並びにスイッチS1〜S5を含んでいる。後述するように、スイッチS1〜S5は好ましくはFETを含んでおり、これらのスイッチが充電状態、読み出し状態及びリセット状態の間でキャパシタを調節する。このことに関して、スイッチS1及びS2が各々のキャパシタを読み出し増幅器A1に選択的に接続する。このようなものとして、キャパシタC1及びC2の両方が一つの共通の読み出しポートを共有する。回路60はまた、ビューとビューとの間にキャパシタC1及び/若しくはC2、又は単にCd(V)によって表わされるダイオード・キャパシタンスを選択的にリセットするのに用いられるリセット・スイッチS5を含んでいてよい。多数のピクセル回路(図示されていない)もまた増幅器A1に接続され得ることが認められよう。多数のピクセル回路の1個の回路のみの1個のスイッチS1又はS2のみを1回に閉じるようにすると、個々のピクセル蓄積キャパシタからの信号の読み出しの間に干渉が生じなくなる。
【0021】
回路の動作について説明する。スイッチS5は常態では開いている。第一の取得時に、スイッチS3が閉じて、スイッチS1、S2及びS4が開く。結果として、フォトダイオードによって発生される電荷がキャパシタC1に積算される。この第一の取得時には、スイッチS4が開いている結果として、キャパシタC2では電荷は積算されない。第一の取得ビューのデータの収集後に、スイッチS3が開いてスイッチS4が閉じ、第二のビューのために第二のキャパシタC2での電荷の取得を開始する。第二のビューの電荷の取得時に、スイッチS1が閉じて、キャパシタC1に収集された電荷を読み出し増幅器A1に伝送する。第二の取得の完了時に、スイッチS4が開く。この後に、スイッチS2が閉じて、キャパシタC2に蓄積された電荷をDASへ送る。残りの取得については、以上の切換えアルゴリズムを、キャパシタC1及びC2が交互に電荷を蓄積し読み出されるように繰り返す。
【0022】
図6には、本発明の一観点による2個のピクセルが概略図示されている。ピクセル62は部分的には、FETスイッチ64で構成されており、残りのフォトダイオード、キャパシタ及びスイッチは要素66として概略図示されている。第二のピクセル68も同様に、FET70及び要素72を含むように構成される。図6では、FET64は、図5の回路のスイッチS1又はS2と等価であり、FET70は、図5の回路のスイッチS1又はS2の他方と等価となる。単純化のために、他のスイッチ及び他の要素は断面に示されていない。当業者には、図5に示す回路要素の全てが、標準的な半導体加工を用いて、半導体基材74の内部及び表面に構成され得ることが理解されよう。図6は、スイッチS1及びS2とDAS増幅器(例えばA1)との間の接続がシリコン基材74を貫通する導電性接続76によるものであるような一つの好適実施形態を示している。
【0023】
図6に示す構成は、本発明の一実施形態を示す。明確に述べると、しばしば貫通バイア型相互接続と呼ばれる相互接続76が、基材74の厚みを貫通してキャパシタから電荷を送る。このことに関して、フォトダイオードでは、ピクセルと増幅器との間の寄生キャパシタンスが低減するため、取得ビューあたりの電子雑音が小さくなり有利である。さらに、貫通バイア型相互接続76はフォトダイオードをタイル構成にして二次元(2D)アレイとすることを支援し、広い撮像範囲を有する検出器に特に有利である。
【0024】
図7には、本発明のもう一つの実施形態によるフォトダイオードが示されている。この実施形態の一例では、電荷は、検出器アレイの表面78上の相互接続トレースによって、FETスイッチ64、70からアレイのエッジへ送られ従ってDAS増幅器へ送られる。
【0025】
所載のように、CT検出器フォトダイオード・アレイの各々のフォトダイオードは、交互に充電され読み出される一対のキャパシタを含んでいる。一実施形態では、この交替は、単一回のガントリ回転の範囲内で画定される幾つかのビューと協働する。すなわち、一つのビューについては、キャパシタの一方が該キャパシタに積算される電荷を有する。次のビューについては、他方のキャパシタが該キャパシタに積算される電荷を有する。この実施形態によれば、1000個のビューを有するように画定されたガントリ1回転について、一方のキャパシタは該キャパシタに500ビューについて積算された電荷を有し、他方のキャパシタは該キャパシタに残り500ビューについて積算された電荷を有する。
【0026】
しかしながら、本発明のもう一つの実施形態によれば、各々のビューが一対のビュー切片に分割される。各々のビュー切片は、所与のビューについて一意のX線源位置によって画定される。このことに関して、電荷は、第一のX線源位置に位置するX線源によるデータ取得について、一方のキャパシタに所与のビューの間に積算される。次いで、X線源は、この所与のビューについて、揺動して新たな又は第二のX線源位置へ移る。次いで、この新たなX線源位置において、各々のフォトダイオードの他方のキャパシタが電荷収集に用いられる。結果として、両方のキャパシタが該当キャパシタに各々のビューにおいて積算された電荷を有するが、一方のキャパシタは一つの位置にあるX線源によって収集された電荷を蓄積し、他方のキャパシタは新たなX線源位置まで揺動した後のX線源に関連する電荷を蓄積する。このように、1000回のビュー取得について、各々のキャパシタは1000個のビューについての電荷を蓄積するが、各々のキャパシタは異なるX線源位置に関連付けされる電荷を蓄積する。
【0027】
従って、図8には、本発明の好適実施形態による撮像工程が示されている。工程80は、ステップ82において、X線源を所与のビュー取得のために配置することにより開始する。このX線源位置では、電荷はダイオード・アレイの各々のフォトダイオードの第一のキャパシタに積算される(ステップ84)。このX線源位置でのデータ収集の後に、ステップ86においてX線源を揺動させて新たなX線源位置まで移動させる。但し、この新たな「揺動」後の位置で収集されるデータは依然として、ステップ84においてデータが収集された同じビューに対応する。X線源を新たなX線源位置まで揺動させて(ステップ86)、ステップ88において第一のキャパシタに蓄積された電荷を読み出す。好ましくは、これと同時に、ダイオード・アレイ90の各々のフォトダイオードの第二のキャパシタに電荷が積算される。このことに関して、一方のキャパシタが電荷蓄積に用いられているときに、他方のキャパシタはデータ収集に用いられているか又は読み出されている。次いで、ステップ90において電荷が収集された後に、X線源を新たなビュー位置まで移動させる(ステップ94)。これと同時に、ダイオード・アレイの各々のフォトダイオードの第二のキャパシタから電荷が読み出される(ステップ92)。一旦、第二のキャパシタがデータ収集について読み出されたら、次回のビュー取得のためにあらゆる未収集の残存電荷を排出するように両方のキャパシタを接地させる(ステップ96)。そして、残りの取得ビューにわたってステップ82〜ステップ96を繰り返す。
【0028】
有利なこととして、本発明はまた、検出器アレイの多数のピクセルをシステムDASの共有される一つの読み出しチャネルに接続することを可能にする。このことを図9に示す。図示のように、検出器アレイ52は一連のピクセル54を含んでいる。上で述べたように、各々のピクセル54は、X線の受光に応答して光を放出するシンチレータから得られる電荷を交互に蓄積する多数の電荷蓄積素子を含んでいる。読み出しチャネルは読み出し増幅器98として概略図示されている。この構成では、各々の読み出しチャネル98は、自チャネルに接続されたフォトダイオード54から電荷を相次いで読み出す。このことに関して、システムDASは、所与のビューの間に多数のフォトダイオードからデータを読み出すことが可能である。例えば、所与のビューが1ミリ秒長として画定され、各々のフォトダイオードに蓄積される電荷を100マイクロ秒で読み出すことができる場合には、各々のDASチャネルを、10個のピクセルからの読み出しを行なうように接続することができる。かかる例では、本発明はこれにより、増幅器チャネルの数を10分の1に減少させる。或いは反対に、DASチャネルの数を10倍に増加させることなく可能なピクセルの数を増加させる。さらに、本発明はビュー当たり二組のデータの取得を支援するため、本発明は、1000ビューを有するように画定されたガントリ1回転の例であれば、DASチャネルの必要数を10分の1に減少させるか又はピクセルの数を10倍に増加させつつ単一のガントリ回転において2000ビュー分のデータの取得を実効的に可能にし、これにより画像分解能及び感度を高める。
【0029】
図10を参照して述べると、小荷物/手荷物検査システム100が、小荷物又は手荷物を通すことのできる開口104を内部に有する回転式ガントリ102を含んでいる。回転式ガントリ102は、X線源106と、シンチレータ・セルで構成されたシンチレータ・アレイを有する検出器アセンブリ108とを収容している。また、コンベヤ・システム110が設けられており、コンベヤ・システム110は、構造114によって支持されており走査のために小荷物又は手荷物116を自動的に且つ連続的に開口104に通すコンベヤ・ベルト112を含んでいる。物体116をコンベヤ・ベルト112によって開口104内に送り込み、次いで撮像データを取得し、コンベヤ・ベルト112によって開口104から小荷物116を除去することを、制御された連続的な態様で行なう。結果として、郵便物検査官、手荷物積み降ろし員及び他の保安人員が、小荷物116の内容物を爆発物、刃物、銃及び密輸品等について非侵襲的に検査することができる。
【0030】
従って、本発明は、シンチレータによって放出される光を電荷へ変換するように設計されている単一の光変換素子を有するフォトダイオードを含んでいる。フォトダイオードはまた、単一の光変換素子に接続されており第一の取得時の電荷を蓄積する第一の電荷蓄積素子と、第一の電荷蓄積素子とは異なっており、単一の光変換素子に接続されており第二の取得時の電荷を蓄積する第二の電荷蓄積素子とを有する。
【0031】
本発明は好適実施形態について説明されており、明示的に述べたもの以外の均等構成、代替構成及び改変が可能であり、特許請求の範囲に属することが認められよう。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】CTイメージング・システムの見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック模式図である。
【図3】CTシステム検出器アレイの遠近図である。
【図4】検出器の遠近図である。
【図5】本発明の一観点による多数の電荷蓄積素子を有するピクセルの回路概略図である。
【図6】本発明の一観点によるピクセルの模式図である。
【図7】本発明のもう一つの観点によるピクセルの模式図である。
【図8】本発明の一観点による撮像工程のステップを示す流れ図である。
【図9】本発明のもう一つの観点による共有された読み出しチャネルを備えたフォトダイオード・アレイの概略レイアウト図である。
【図10】非侵襲型小荷物検査システムと共に用いられるCTシステムの見取り図である。
【符号の説明】
【0033】
10 計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム
12 ガントリ
14 X線源
16 X線のファン・ビーム
18 検出器アレイ
20 複数の検出器モジュール
22 患者
24 回転中心
26 制御機構
28 X線制御器
30 ガントリ・モータ制御器
32 データ取得システム(DAS)
34 画像再構成器
36 コンピュータ
38 大容量記憶装置
40 コンソールを介した操作者
42 表示器
44 テーブル・モータ制御器
46 電動式テーブル
48 ガントリ開口
50 複数のシンチレータ
52 ピクセル・アレイ
54 複数のピクセル
56 検出器フレーム
58 装着ブラケット
60 回路
62 ピクセル
64 FETスイッチ
66 要素
68 第二のピクセル
70 FET
72 要素
74 半導体基材
76 導電性接続
78 表面
80 工程
82 X線源を配置する
84 ダイオード・アレイの各々のフォトダイオードの第一のキャパシタに電荷を積算する
86 X線源を揺動させる
88 第一のキャパシタから電荷を読み出す
90 ダイオード・アレイの各々のフォトダイオードの第二のキャパシタに電荷を積算する
92 第二のキャパシタから電荷を読み出す
94 X線源を次のビュー位置へ移動させる
96 キャパシタをリセットする
98 読み出し増幅器
100 小荷物/手荷物検査システム
102 回転式ガントリ
104 開口
106 X線源
108 検出器アセンブリ
110 コンベヤ・システム
112 コンベヤ・ベルト
114 構造
116 小荷物又は手荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレータ(50)により放出される光を電荷へ変換するように設計されている単一の光変換素子(54)と、
1又は複数のスイッチ(64)を介して前記単一の光変換素子(54)に接続されており第一の取得時の電荷を蓄積する第一の電荷蓄積素子(C1)と、
該第一の電荷蓄積素子(C1)と異なっており、前記1又は複数のスイッチ(64)を介して前記単一の光変換素子(54)に接続されており第二の取得時の電荷を蓄積する第二の電荷蓄積素子(C2)と、
を備えたX線検出ピクセル(62)。
【請求項2】
前記第一及び前記第二の電荷蓄積素子(C1、C2)は、前記単一の光変換素子(54)の集光表面(78)の実質的に表面に又はその近傍に配設されている、請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項3】
前記1又は複数のスイッチ(64)は、前記第一及び前記第二の電荷蓄積素子(C1、C2)を電荷収集状態と電荷読み出し状態との間で選択的に切り換える、請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項4】
前記1又は複数のスイッチ(64)は、閉じると前記電荷蓄積素子(C1、C2)及び前記単一の光変換素子(54)の少なくとも一つを無電荷状態にするリセット・スイッチ(55)をさらに含んでいる、請求項3に記載のピクセル(62)。
【請求項5】
前記電荷蓄積素子(C1、C2)はキャパシタである、請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項6】
前記第一及び前記第二の電荷蓄積素子(C1、C2)は、前記1又は複数のスイッチ(64)を介して一つの共通の読み出しポート(A1)に接続されている、請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項7】
前記1又は複数のスイッチ(64)は、所与の位置にあるX線源(14)によるビュー取得時には前記第一の電荷蓄積素子(C1)に電荷を蓄積させ、前記所与の位置からずれた位置にある前記X線源(14)による前記ビュー取得時には前記第二の電荷蓄積素子(C2)に電荷を蓄積させるように構成されている、請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項8】
他のピクセル(68)により共有されるデータ取得システム(32)・チャネルに接続されている請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項9】
2個の電荷蓄積素子(C1、C2)を含んでいる請求項1に記載のピクセル(62)。
【請求項10】
計算機式断層写真法(CT)システム(10)の計算機式断層写真法(CT)検出器(20)に組み入れられている請求項1に記載のピクセル(62)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−130464(P2007−130464A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301405(P2006−301405)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】