説明

多軸タービン発電機システム及び制御方法

少なくとも第1のスプール及び第2のスプールを含む多軸ガスタービンエンジンによって、発電システムが駆動される。第1のスプールは、第1の軸に取り付けられるタービン及び圧縮機を備え、第2のスプールは少なくとも、第1の軸に機械的に連結されていない第2の軸に取り付けられるタービンを有する。主発電機が、スプールの一方と連結され、補助発電機/モータもまた、スプールの一方と連結される。発電機それぞれの速度制御を使用して、エンジンの動作が制御される。補助発電機/モータは、そのスプールから動力を抽出する発電モード、又はそのスプールに動力を注入するモータモードで動作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、多軸タービンエンジンによって生成される機械的動力からの電力の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
分散型発電は、長年にわたって多くの討議の論題であった概念であるが、今まで、分散型発電システムの広範囲にわたる展開はなかった。分散型発電とは、電力が必要とされる場所に配置される小型発電システムの使用を指し、したがって、従来の公益設備グリッドシステムとは区別される。従来の公益設備グリッドシステムでは、大型中央電力プラントが電力を生成し、電力は、その後、かなりの距離にわたって、一般にグリッドと呼ぶ送電線システムを通して複数のユーザに送られる。しばしば、数メガワットの電力を生成することができる公益設備によって運転される従来の電力プラントと対照的に、分散型発電システムは、一般に、2メガワットより小さく、より典型的には、60〜600キロワットの範囲内の大きさに作られる。
【0003】
分散型発電が、広範囲の展開を達成することに失敗した原因は、主に、コストによる可能性がある。米国のほとんどのエリアで、実際には、世界のほとんどで、分散型発電システムに投資し、それを運転することよりも、グリッドから電力を購入することの方が、ほとんどのユーザにとって単純に安価であった。分散型発電システムからの電力コストを比較的高くさせる主要な要因は、こうしたシステムで使用される小型エンジンの、特に、部分負荷動作条件における効率が比較的低いことであった。
【0004】
通常、分散型発電システムの発電機は、サイズに応じて、マイクロタービン又はミニタービンと呼ばれることが多い、小型タービンエンジンによって駆動される。タービンエンジンは、一般に、燃料の化学エネルギーを熱エネルギーに変換することによって熱いガスを生成するために、燃料と空気の混合気を燃焼させる燃焼器と、自らが取り付けられている軸を回転させるために、高温のガスを膨脹させるタービンと、該軸に取り付けられるか、又は、該軸と連結され、燃焼器に供給される空気を圧縮するように動作可能な圧縮機とを備える。多軸タービンエンジンもまた、いくつかの用途で使用される。たとえば、ターボチャージャ付きタイプの二軸エンジンは、低圧タービン(LPT:Low-Pressure Turbine)及び低圧圧縮機(LPC:Low-Pressure Compressor)が取り付けられている軸を含む低圧スプールと、高圧タービン(HPT:High-Pressure Turbine)及び高圧圧縮機(HPC:High-Pressure Compressor)が取り付けられている別の軸を含む高圧スプールとを含む。LPCによって加圧された作動流体はHPCに給送され、HPCにおいてさらに圧縮されてから燃焼器に給送される。燃焼ガスは、まずHPTを通過し、続いてLPTを通過する。高圧軸には主発電機が取り付けられる。このような二軸エンジンは、同じタービン入口温度においては、高圧軸から利用可能な動力を、一軸エンジンと比べて1.5〜2.0倍大きくすることができる。他の発電用多軸エンジンでは、一方の軸が圧縮機及びタービンを支持してガス発生器又は「ガス化装置」を形成し、他方の軸がガス化装置からのエグゾーストによる給送を受ける出力タービンを支持する。発電機は、出力タービン軸に取り付けられる。
【0005】
分散型発電システムから要求される電力が比較的少量であるため、タービンエンジンは、それに対応して小型である。エンジン内で起こる空気力学に関連する理由及び他の理由から、タービンエンジンの効率は、エンジンのサイズが減少すると低下する傾向がある。
したがって、マイクロタービン及びミニタービンは、必然的に、大きなエンジンと比べて効率の面で欠点を有する。
【0006】
さらに、サイズにかかわりなく、タービンエンジンの部分負荷効率は、理由の1つとしてエンジンが部分負荷条件で動作する特別な方法のために、周知の通りに低い。より詳細には、エンジンサイクルにおいて、作動流体のピーク温度を実質的に表す高圧タービン入口温度は、エンジンからの電力出力が「設計」点より減少するにつれて低下することが、タービンエンジンでは典型的に当てはまる。設計点は、通常、100パーセント定格負荷条件であり、エンジンは、通常、そのピーク効率が実質的に設計点において起こるように設計される。エンジンの熱力学サイクルの効率に影響を与える主要な変数は、作動流体のピーク温度であることがよく知られている。全ての他のものが同じであるとすると、ピーク温度が高いほど、効率が高く、逆に、ピーク温度が低いほど、効率が低い。したがって、部分負荷条件で動作している時に、そのサイクル中の作動流体のピーク有効温度(すなわち、タービン入口温度)が、設計点における温度より大幅に低くなるようにエンジンが制御される場合、エンジンの効率は、かなり不利益を受ける傾向がある。
【0007】
一部の従来技術のガスタービン、特に、推進用の航空機ガスタービンエンジン及び一定速度発電機システム用の大型ガスタービンにおいて、エンジン効率が過度に不利益を受けないよう空気流量を減らすために、可変幾何形状システムが、部分負荷条件において使用されてきた。たとえば、軸流圧縮機において、可変入口案内羽根(IGV:variable Inlet Guide Vanes)が使用されてきた。部分負荷条件において、IGVが閉鎖されて、所与の圧縮機速度とするために、空気流量を減らす。遠心圧縮機の場合、同様な効果を達成するために、入口静翼が、可変にされることがある。さらに他の例では、空気流量を制御するために、タービンの速度、したがって、圧縮機の速度を制御するのに、可変第1段タービン羽根又はノズルが採用されてきた。こうした可変幾何形状システムは、費用がかかり、軸受け及び他の可動部品が、磨耗を受け易いため、1年のうち高いパーセンテージの時間にわたって運転のために利用可能でなければならず、必要であれば、実質的に連続して動作可能でなければならず、同様に、利用される負荷によって要求される電力の変化に迅速に応答可能でなければならない発電システムにとっては、これらのシステムは実用的ではない。さらに、可変幾何形状機構は、マイクロタービン及びミニタービンで実施することは、そのエンジンのサイズが小さいため実用的でない。そのため、部分負荷条件においてエンジン性能を最適化する可変幾何形状方法の代替方法に対する必要性が存在する。
【0008】
排出量(酸化窒素、未燃焼炭化水素、及び一酸化炭素を含むが、これらに限定しない)は、課題であることがわかった分散型発電の別の態様を示す。一般に、所与の電力出力について、NO排出量は、燃料の燃焼温度(火炎温度としても知られる)を最小にすることによって減少するか、又は、最小にされる傾向があり、その温度は、一般に、ピーク熱力学温度(タービン入口温度)より高く、そのため、効率に悪影響を与えることなく、窒素の酸化物の生成を低減する。火炎温度を下げる主要な方法は、燃焼ゾーンの前に、燃料と空気を予混合して、空気に対する燃料の低い相対比を有する混合気、すなわち、希薄混合気を生成することである。予混合することはまた、火炎ゾーン全体の温度が、NOの局所的な生成をもたらす可能性があるホットスポットの無い状態で非常に均一に近いことを確実にする。しかしながら、混合気は希薄にされるため、一酸化炭素(CO)、未燃焼炭化水素(UHC)、及び圧力変動が増加する。希薄失火限界に達するまで、混合気がさらに希薄にされるため、これらの傾向が続き、火炎ゾーンがより不安定になる。この限界より希薄な混合気の場合、火炎を維持することができない。実際には、一酸化炭素及び未燃焼炭化水素の排出量及び/又は圧力脈動は、希薄失火限界に達する前に、許容できないほどに高くなる。
【0009】
希薄失火限界は、燃焼器への入口温度を増加させること、及び、触媒燃焼を使用するこ
とによって、より希薄な状況へ移されてもよい。触媒燃焼の使用は、希薄な予混合燃焼用の動作状況を実質的に増加させ、NO排出量が非常に低くなり、CO排出量及びUHC排出量が許容可能になり、圧力脈動が実質的になくなる。しかしながら、触媒燃焼は、低触媒活動限界と呼ぶ、動作に対する別の制約を生じさせる。触媒燃焼器への入口温度は、触媒燃焼を維持するために、この限界を超えて維持されなければならない。
【0010】
多くの従来のマイクロタービンにおいて、エンジン制御は、部分負荷条件において、燃焼器入口温度が低下する傾向にあり、燃料/空気混合気がより希薄になるようなものである。従来の希薄予混合燃焼の場合、これは、排出物の増加をもたらす傾向があり、触媒燃焼の場合、燃焼器入口温度の低下が、触媒燃焼の持続の失敗につながる可能性がある。実際には、希薄予混合及び触媒燃焼器は、負荷が減少するにつれて、燃焼器入口温度が低下し、徐々に希薄条件が広まるために、ガスタービンの負荷範囲のほんの一部にわたって動作可能である。
【0011】
場合によっては、燃焼器入口温度を高めるために、プレバーナが燃焼器の前に使用されてきた。さらに、可変幾何形状燃焼器が使用されてきており、燃焼器の周りで空気の一部が迂回させられて、動作安定性を可能にするレベルに燃料/空気比が維持される。プレバーナによる解決は、プレバーナの過剰温度又は他の故障が主バーナに損傷を与える可能性があり、また、システムのコストを増すという点で信頼性において不利益を呈する。さらに、プレバーナによる解決は、プレバーナを通して起こる圧力損失の結果として、動作コストにおいても不利益を呈し、この圧力損失は、プレバーナが使用されていない時でさえも生じる。可変幾何形状は、燃料/空気比を維持する時に使用されるのに加えて、圧力損失の不利益をなくすために適用することができる。しかしながら、可変幾何形状による解決は、高価で、複雑で、過度の磨耗、信頼性の低下、及び保守コストの増加を受け易い。
【0012】
述べたように、二軸エンジンは、電力出力がより大きいという点で利点を有するが、特に、(所望に応じて)2つの軸間が機械的に結合されていないため全ての制御を流量の調節によって行わなければならない場合に、エンジンの制御をさらに複雑にもする。二軸エンジンは、2つの軸間に機械的結合機構が存在する自動車用途のために開発されてきた。こうしたエンジンは、一般に、軸間に複雑な機械クラッチ及びギア列を必要とする。こうした機構は、製造費用が高く、磨耗し易く、且つ損失が大きい。これらは一般に、保守せずに60,000時間以上の動作寿命が望ましい発電用途には適していない。
【0013】
多くの考えられ得るユーザにとっては、これらの要因が組み合わさって、分散型発電システムによる発電が、大規模公益設備から電力を購入することより魅力のないものになっている。
【0014】
[発明の概要]
本発明は、多軸エンジンを用いた発電システム及び方法を提供することによって、上記ニーズに対処し、他の利点を達成する。発電システム及び方法において、任意の動作条件で、所与の電力出力について、燃料/空気比が制御されて、エンジン内の作動流体に与える高いピーク温度が維持されるように、エンジンを通る空気流量を制御することによって、エンジン効率を実質的に最適化することができる。本発明の方法及びシステムは、エンジンの可変幾何形状機構に対する必要性をなくし、可変幾何形状燃焼器に対する必要性をなくし、また、プレバーナに対する必要性を最小にするか又はなくすことができる。
【0015】
本発明の方法態様によれば、発電システムにおける二軸タービンエンジンの動作を制御する方法が提供される。システムは、第1のタービン及び第1の圧縮機が取り付けられて第1のスプール又はガス化装置スプールを形成する、第1の軸を有する。第1のスプールは、空気/燃料混合気を燃焼又は反応させて第1のタービンを駆動する高温のガスを生成
する、燃焼器を含む。システムは、少なくとも第2のタービンが取り付けられて第1のスプールとは独立して(すなわち、スプール間には機械的結合機構がない)回転可能な第2のスプールを形成する、第2の軸も含む。第1のタービンからの排気は第2のタービンに給送され、第2のタービンが第2のスプールを駆動する。軸の回転が、交流電流を生成するように主発電機を動作させ、主発電機の速度の変化が、軸の速度の対応する変化、したがって、その軸上の圧縮機を通る空気流量の変化をもたらすように、主発電機が軸の一方に連結される。軸の他方には補助発電機/モータが連結される。発電モードでは、補助発電機/モータはその軸によって駆動され、軸から動力を抽出して電力を生成する。モータモードでは、補助発電機/モータは、電力を供給され、その軸に機械的動力を注入する。補助発電機/モータの動力抽出/注入能力を用いて、発電機/モータが取り付けられている軸の速度制御を含む、エンジンシステムにおける種々の所望の効果が達成される。発電機/モータが取り付けられているスプールのこうした速度制御によって、関連する圧縮機を通る空気流量及び/又は圧縮機の圧力比を任意の動作条件で制御することができ、それにより圧縮機の動作線が制御される。動作線は、圧縮機の圧力比対流量グラフ(圧縮機「マップ」と呼ばれる)上の線であり、これに沿って、圧縮機がタービンの動力出力を変化させながら動作する。マップ上の動作線の場所は、概して、周囲温度の関数である。本発明により提供される動作線の制御を使用して、1つ又は複数の効果を達成することができ、その効果としては、任意の動作条件でのエンジンの効率を最適化すること、及び/又は圧縮機マップのサージ領域を回避すること、及び/又はエンジンシステムに含まれる回収熱交換器の過熱を防止すること、及び/又は触媒燃焼器入口温度を触媒最小動作温度より高く維持することが挙げられる。さらに、発電機/モータは、始動器としての役割を果たすように、始動中に自らが取り付けられている軸を回転可能に駆動することができるため、別個の始動器を省くことができる。
【0016】
この方法は、エンジンを動作させるステップと、主発電機が連結されているスプールを通る空気流量を制御することによって、スプールの速度及び空気流量を制御するために、主発電機の速度を制御するステップと、補助発電機/モータが連結されているスプールからの動力の抽出及び当該スプールへの動力の注入それぞれを行なうことによって、そのスプールの速度及び空気流量を制御するために、発電モード又はモータモードで補助発電機/モータを動作させるステップとを含む。コントローラが、主発電機及び補助発電機/モータに、又はそれらに関連するパワーエレクトロニクスユニットに接続されて、それらの動作を制御する。
【0017】
タービンエンジンは、種々の構成を有することができる。一実施形態では、第1の圧縮機及びタービンを備える第1のスプールは、高圧スプールである。第2のタービンを有する第2のスプールは、第2の圧縮機も含み、低圧スプールを形成する。低圧圧縮機によって加圧された空気は、高圧圧縮機に給送され、高圧圧縮機においてさらに加圧されてから燃焼器に給送される。燃焼ガスは高圧タービンに給送され、高圧タービンは低圧タービンに排気する。したがって、この実施形態では、エンジンは実質的にはターボチャージャ付きエンジンである。主発電機は高圧軸に取り付けられ、補助発電機/モータは低圧軸に取り付けられる。主発電機の速度制御を使用して、高圧スプールの速度、したがって空気流量及び圧力比を制御することができる。補助発電機/モータの速度制御を使用して、低圧スプールの速度、したがって空気流量及び圧力比を制御することができる。好ましくは、主発電機及び補助発電機/モータは、両スプールの速度、したがって空気流及び圧力比の同時制御を行なうように協調させて合わせて使用される。
【0018】
本発明の代替的な実施形態では、エンジンは、上記のような低圧スプール及び高圧スプールを有するように構成されるが、主発電機が低圧スプールと連結され、補助発電機/モータが高圧スプールと連結される。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、第2のスプールは圧縮機を含まず、第2のタービンは出力タービンである。第1のスプール又はガス化装置は、出力タービンに対する給送を行なう。主発電機はガス化装置軸と連結することができ、補助発電機/モータは出力タービン軸と連結することができるか、又は主発電機は出力タービン軸と連結することができ、補助発電機/モータはガス化装置軸と連結することができる。
【0020】
本発明の種々の実施形態では、さらなる特徴を含んでもよい。たとえば、熱交換器又は回収熱交換器を用いて、燃料と混合される空気を予熱するか、又は空気・燃料混合気を予熱することができる。回収熱交換器は、空気又は混合気と、エンジンから放出される排気との間の熱交換を引き起こす。非常に低い部分負荷条件では、ピークサイクル温度が、100パーセント負荷点と同じレベルに維持される場合、回収熱交換器に入る排気の温度は、最大許容値(たとえば、材料の限界によって指示される)を超える可能性がある。したがって、本発明によれば、こうした条件において、回収熱交換器に入る排気の温度が所定の最大許容値を超えないように、エンジンを通る空気流量を制御し、それによって、燃料/空気比を制御するように、主発電機及び補助発電機の速度が制御される。
【0021】
当該技術分野で既知のように、エンジンの低圧圧縮機と高圧圧縮機との間に中間冷却器を含んで、中間冷却の利益を得ることも可能である。
【0022】
本発明の別の態様では、燃料は、燃焼器において触媒反応を持続するのに必要とされる所定の最小入口温度を有する触媒燃焼器で燃焼する。多くの従来のエンジン制御方式において、燃焼器入口温度は、エンジン負荷が100パーセント負荷条件より低下するにつれて、低下する傾向がある。したがって、温度が、触媒反応に必要とされる最小温度より低下する可能性がある。本発明によれば、部分負荷条件における燃焼器への入口温度が、所定の最小入口温度と少なくとも同程度であるように燃料/空気比が制御される。燃料/空気比は、先に述べたような主発電機及び補助発電機/モータを介したスプールの速度の制御によって達成される、空気流量の制御を介して制御される。
【0023】
本発明の一実施形態に従って、負荷に供給するための電力を生成するシステムは、第1の圧縮機及び第1のタービンが取り付けられている第1の軸を含む第1のスプールと、少なくとも第2のタービンが取り付けられている第2の軸を含む第2のスプールとを備える。第2のスプールは、第1のスプールとは独立して回転可能である。このシステムは、空気・燃料混合気を燃焼又は反応させて、第1の圧縮機を駆動する第1のタービンに給送される高温のガスを生成する、燃焼器を含む。第1のタービンからの排気は、第2のタービンに給送される。このシステムはさらに、軸の一方と連結される主発電機と、軸の他方と連結される補助発電機/モータとを備える。パワーエレクトロニクスユニットが、主発電機及び補助発電機/モータそれぞれからの交流電流を受け取るとともに、負荷へ供給するために所定の周波数の交流出力電流を合成するために、主発電機及び補助発電機/モータに連結される。一実施形態におけるパワーエレクトロニクスユニットは、非交流電圧において非交流の直流電流を生成するために、主発電機及び補助発電機/モータからの交流電流に対して動作するように構成され且つ仕組まれるAC/DCモジュール又は整流器と、負荷に供給するために、所定の周波数及び相対位相で交流出力電流及び電圧を合成するために、非交流の直流電流に対して動作するように構成され且つ仕組まれるDC/ACモジュール又はインバータとを備える。一実施形態では、整流器は、主発電機及び補助発電機/モータからの交流電流と無関係に、非交流の直流電流のレベルを変える電流制御信号に応答することができる。
【0024】
システムはまた、システムからの電力出力を測定するように動作可能な発電機電力センサと、負荷によって要求される電力を測定するように動作可能な負荷電力センサとを含むことが好ましい。コントローラは、負荷によって要求される電力に、システムからの電力
出力を実質的に一致させるために燃料システムを制御するように動作可能であり、同時に、主発電機が連結されているスプールの速度(したがって、スプールの空気流量)を制御するために主発電機の速度を制御するように動作可能である。補助発電機/モータは、上述のような種々の効果を達成するために、自らが連結されているスプールから動力を抽出するか、又は当該スプールに動力を注入するように動作する。
【0025】
一般的な用語で本発明を述べたが、ここで、必ずしも一定比例尺で描かれていない添付図面が参照されるであろう。
【0026】
[本発明の詳細な説明]
ここで、本発明は、本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示される添付図面を参照して、以降でより完全に述べられるであろう。実際に、これらの発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書で述べる実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。これらの実施形態は、本開示が当てはまる法的な要件を満たすように提供される。同じ数字は、全体を通して同じ要素を指す。
【0027】
本発明の一実施形態による発電システム10が、図1に概略的に示される。システムは、燃料と空気の混合気を燃やして高温の燃焼ガスを生成するガスタービンエンジン20を含み、燃焼ガスは、その後、膨脹して機械的動力を生じる。示す実施形態では、タービンエンジンは、低圧スプール及び高圧スプールを含む。低圧スプールは、回転可能な軸24の一端に取り付けられた低圧圧縮機22、及び軸の他端に取り付けられた低圧タービン26を備える。高圧スプールは、第2の軸30の一端に取り付けられた高圧圧縮機28、及び軸30の他端に取り付けられた高圧タービン32を含む。低圧圧縮機22は、加圧空気をその排出側から高圧圧縮機28のインテーク側に供給するように配列され、高圧圧縮機28は加圧空気をさらに圧縮する。高圧圧縮機への給送前に加圧空気を冷却するために、オプションの中間冷却器23を低圧圧縮機と高圧圧縮機との間に設けることができる。続いて、圧縮空気は、回収熱交換器又は熱交換器34を通して給送され、以下でさらに述べるように、回収熱交換器又は熱交換器34において、エンジン排気との熱交換によって空気が予熱される。続いて、空気は、燃料制御弁38を介して供給される燃料とともに燃焼器36に給送される。別法として、空気及び燃料を、燃焼器の上流の種々の点のいずれかにおいて混合してもよい。たとえば、燃料を空気とともに低圧圧縮機に導入することができ、エンジンの圧縮システムにおいて混合を行なうことができ、これは、別個の燃料圧縮機をなくすことができ、且つ燃料を熱交換器34において予熱することができるため、有利である。燃焼器は、拡散火炎、触媒反応、希薄予混合等を含むが、それらに限定されない、種々のタイプであることができる。燃料/空気混合気は、燃焼器内で燃やされ、高温の燃焼ガスが高圧タービン32に供給され、高圧タービン32は、ガスを膨脹させ、タービンが回転可能に駆動されるようにする。高圧タービンは、次に、軸30を回転させて、軸30が高圧圧縮機28を駆動する。
【0028】
高圧タービン32からの排気は、低圧タービン26に給送され、低圧タービン26は、ガスをさらに膨脹させ、タービンが回転可能に駆動されるようにすることによって、低圧圧縮機22を駆動する。低圧タービン26からの排気は、熱交換器34を通過させられて、燃焼器に導入されるべき空気又は空気・燃料混合気を予熱する。
【0029】
高圧軸30には、主発電機40が取り付けられるか、又は連結される。発電機は、永久磁石発電機又は巻線発電機或いはそれらの組み合わせを含む、種々のタイプであることができる。高圧軸は、主発電機を回転可能に駆動し、主発電機は、交流電流を生成するように動作可能である。主発電機は、軸と発電機との間に、1対1の速度関係が存在するように、軸に直接取り付けるか、又は、軸に接続することができ、若しくは、別法として、発電機及び軸は、異なる速度関係が存在するように、ギア列等を通して接続することができ
る。いずれにしても、主発電機40が動作する速度は、高圧軸30の速度、したがって、エンジンの高圧スプールが動作する速度を示す。
【0030】
システム10はまた、燃焼器36に燃料を供給する燃料システムを含む。燃料システムは、一般に、燃料ポンプ(図示せず)、及び燃料流量を制御するために適当な制御信号によって制御可能な燃料絞り弁38を含む。先に述べたように、燃料は、エンジン内の種々の点のいずれかにおいて空気と混合するように導入することができる。
【0031】
システム10はさらに、低圧軸24に取り付けられるか、又は連結される、補助発電機/モータ42を含む。補助発電機/モータ42は、発電モード又はモータモードで選択的に動作可能である。発電モードでは、補助発電機/モータは、低圧タービン26によって回転可能に駆動され、交流電流を生成する。モータモードでは、電力が補助発電機/モータに供給され、補助発電機/モータは、軸24を回転可能に駆動するモータとして動作する。補助発電機/モータは、以下でさらに述べるように、主発電機40とともに、エンジン20の動作に対して種々の所望の効果を達成するように制御される。
【0032】
システム10はまた、パワーエレクトロニクスユニット44を含む。示す実施形態では、パワーエレクトロニクスユニットは、主発電機40の速度が変わるにつれて周波数が変わることができる、主発電機40によって生成される交流電流を、非交流の直流電流に変換するように動作可能で、さらに、(一定の限度内で)交流入力電流の特性と無関係に直流電流のレベルを制御する電流制御モードで動作可能な、主整流器46を含む。こうした有効電流制御は、一般に、高周波数でのスイッチング動作を実施し、電流が、入力電流波形の各期間の一部の間でのみ流れることを効果的に可能にする半導体スイッチングデバイスを利用するパルス幅変調(PWM)方式に基づく。電流が流れることを可能にする、この「時間窓」は、主整流器からの「平均」電流出力を変えるために、継続時間を変えることができる。パワーエレクトロニクスユニットはまた、主整流器と同様に、発電モードで補助発電機/モータ42によって生成される交流電流を、非交流の直流電流に変換するように動作可能な、さらに、(一定の限度内で)交流入力電流の特性と無関係に直流電流のレベルを制御する電流制御モードで動作可能な、補助整流器48も含む。
【0033】
パワーエレクトロニクスユニットはさらに、一定周波数の交流出力電流を合成するために整流器46、48からの出力を処理する、インバータ50を含む。多くの国で、標準電源周波数は60サイクル/秒であるが、他の国では、標準電源周波数は50サイクル/秒である。インバータからの出力周波数は、システム10が動作するはずの特定のロケーションで使用される標準電源周波数に一致するように選択される。
【0034】
システム10は、パワーエレクトロニクスユニット44と接続されるコントローラ60を含む。コントローラは、電流が入力電流波形の各期間の一部の間でのみ各整流器に流れることを可能にするようにスイッチング動作を実施する半導体スイッチングデバイス(図示せず)の動作を制御することによって、有効電流制御された整流器46、48の動作を制御するように動作可能である。電流が流れることを可能にする時間窓を制御することによって、コントローラは、各整流器からの非交流の直流電流出力の平均レベルを制御する。この電流制御は、主発電機40が回転する速度を調節するために使用される。さらに、補助発電機/モータ42が発電モードで動作している場合、電流制御は補助発電機/モータの速度を調節するために使用される。以下でさらに述べるように、主発電機及び補助発電機の速度の制御によって、ガスタービンエンジン部品のそれぞれのマップ上での動作点は、一定の所望の効果を達成するように有益に影響を受けることができる。
【0035】
システム10はまた、種々のパラメータを測定する、コントローラ60に接続されるいくつかのセンサを含む。たとえば、出力電力メータ(図示せず)が、システムによってど
れだけの量の電力が生成されているかを測定するために配列される。1つ又は複数のエンジンセンサ62、64が、エンジンサイクルに関連する1つ又は複数の熱力学的変数又は性能変数(たとえば、空気流量、電力、燃料流量、圧縮機入口圧力、圧縮機排出圧力等)を監視する。これらの変数は、エンジン部品がそのマップ上のどこで動作しているか、すなわち、エンジンが、その設計点又は設計点付近で動いているのか、設計点から大幅にずれて動いているのかを判定するのに使用される。示す実施形態では、センサ62は高圧スプールと関連し、センサ64は低圧スプールと関連する。センサ62は、高圧タービン32への入口におけるタービン入口温度、又はタービン入口温度を引き出すか又は推定することができる別のパラメータを測定することができる。高圧タービンのタービン入口温度は、エンジン内の作動流体のピーク温度を表し、エンジン全体の効率と重要な関係がある。そのため、他のパラメータとともに、HPT入口温度を測定することによって、エンジンの相対的な熱力学的効率を引き出すことが可能である。センサ64も同様に、低圧タービン26の入口温度、又はこの温度を引き出すか又は推定することができる別のパラメータを測定することができる。システムは、圧縮機の動作点を引き出すことができるように、圧縮機それぞれの流量、速度、及び圧力比(又は同等のパラメータ)のうち少なくとも2つを測定するセンサ(図示せず)も含むことが好ましい。
【0036】
コントローラ60は、上記センサそれぞれに接続される。コントローラは、エンジンの任意の動作条件で、エンジン全体の効率が実質的に最大になるように、主発電機及び補助発電機を調節することによって、エンジンの動作を調節することができる。概して、これは、タービンそれぞれへのタービン入口温度を最大化することを伴う。タービン入口温度の制御は、主に、エンジンの回転部品の速度の関数である空気流量の制御を介して、燃焼器内で燃やされる混合気の燃料/空気比を制御することによって達成される。しかしながら、場合によっては、タービン入口温度は、考慮に入れなければならない他の制約を無視して調節することはできない。
【0037】
たとえば、部分負荷条件において、エンジンが適切に制御されていない場合、回収熱交換器34への入口温度は、材料の限界によって指示される最大許容可能レベルを超える可能性がある。したがって、センサ66は、排気流において回収熱交換器34への入口温度を測定する。コントローラ60は、回収熱交換器入口温度を監視するセンサ66に接続されることが有利であり、コントローラは、主発電機及び補助発電機を調節することによってエンジンの動作を調節して、温度が材料の限度を超えることを防止し、一方、タービン入口温度を、この付加的な制約内でできる限り高く維持する。
【0038】
コントローラがエンジン動作の制御を行なうための特定の制御方式は、本発明にとって重要ではない。たとえば、エンジンのスプールそれぞれについて、コントローラは、コントローラによって監視されるタービン入口温度対適切なパラメータの所定のスケジュールをメモリに記憶しておいてもよい。監視されるパラメータは、エンジン部品がそのマップ上のどこで動作しているのかを示すものである。適した制御アルゴリズムがコントローラによって使用されることにより、タービン入口温度が、所定のスケジュールによって指示される値に実質的に一致するようになるように、(整流器からのDC電流を制御することによる等、一部の適した方法で、発電機速度を制御することによって)空気流を制御することができる。これは、1つの可能性のある制御方式の単純化した例に過ぎず、他の方式が、本発明に従って使用されてもよい。
【0039】
述べたように、補助発電機/モータは、発電モード又はモータモードで動作可能である。本明細書ではこれまで、発電モードでの速度制御を述べてきた。しかしながら、モータモードも速度制御に使用することができる。モータモードでは、補助発電機/モータは、低圧スプールに動力を注入することによって低圧スプールを加速させる。注入される動力の量によってスプール速度が上昇する程度が決まる。逆に、発電モードでは、補助発電機
/モータはスプールから動力を抽出し、抽出された動力の量によってスプール速度が低下する程度が決まる。適切なモードの選択及び補助発電機/モータの適切な制御によって、スプールの速度を実質的な速度範囲にわたって調節することができる。コントローラ60は、モード選択、及び補助発電機/モータの調節を実施する。モータモードでは、電力が補助発電機/モータに供給されてこれを駆動する。電力は、パワーエレクトロニクスユニット44内の適当な回路(図示せず)を介して主発電機から得ることができる。主発電機からの高周波数、高電圧(たとえば、約400〜900ボルト)の電流を使用して、最初に電流を低周波数及び低電圧に変換する必要なく、補助発電機/モータを駆動することができる。ACモータ制御の分野で既知のように、ボルト/ヘルツ制御、センサレスベクトル制御、磁束ベクトル制御、又は界磁指向制御を含むが、それらに限定されない種々の制御方式を、モータモードでの補助発電機/モータの制御に用いることができる。
【0040】
本発明の別の特徴は、エンジンの始動中に関連するスプールを駆動するための、モータモードでの補助発電機/モータの使用である。したがって、別個の始動器を省くことができる。始動中は、バッテリー及びインバータ又は他の電源等、適した供給源から、電力を補助発電機/モータに供給することができる。
【0041】
図2は、例示的なタービン入口温度対相対発電機負荷の特性を示し、システム10のエンジンにおける異なる点の種々の温度(実線)を、従来技術のタイプの制御手法がとられる場合に存在するであろう対応する温度(点線)と比較する。本発明によれば、100パーセントの相対発電機負荷値(すなわち、エンジンについての設計点)において、高圧タービン入口温度は、約1200Kの最大許容可能タービン入口温度に実質的に等しい。HPT入口温度は、約40パーセントの相対発電機負荷に下がるまでこの値に維持される。対照的に、従来技術の制御手法では、タービン入口温度は、負荷が100パーセントより低下するにつれて、徐々に低下する。その結果、同じ相対負荷において、従来技術の制御方式についてよりも、本発明による制御方式についての方が全体のエンジン効率が高い。
【0042】
40パーセントの相対負荷において、低圧タービン出口温度(回収熱交換器入口温度に実質的に等しい)が、約900Kの最大許容可能回収熱交換器温度まで上昇したことがわかる。さらに低い負荷において、HPT入口温度が約1200Kに維持された場合、LPT出口温度は、最大許容可能回収熱交換器温度を超えるであろう。それに応じて、本発明によれば、HPT入口温度は、回収熱交換器入口温度が最大許容可能レベルを超えることを防止するのに十分な量だけ、1200Kより低下することが可能になる。
【0043】
システムの制御に影響を及ぼし得る別の要因は、燃焼器36が触媒燃焼器である場合に生じる。述べたように、触媒燃焼器は、触媒反応を持続するために維持しなければならない最小入口温度を有する。従来技術の制御手法では、約50パーセントの相対負荷未満では、燃焼器入口温度は、約800Kのこの最小温度未満に低下することを、図2で見ることができる。しかしながら、本発明によれば、燃焼器入口温度は、エンジンのいずれの動作点においても触媒最小温度未満に低下しないように、主発電機及び補助発電機/モータを調節することによって制御することができる。このために、システムは、コントローラ60に接続された燃焼器入口温度センサ68を含むことが好ましい。コントローラは、燃焼器入口温度を監視して、温度を触媒最小温度以上に常に維持するのに適した方法で、発電機を制御する。図2では、たとえば、本発明の制御手法を用いた燃焼器入口温度が、100パーセント負荷点の約800Kから40パーセント負荷点の約860Kまで上昇することがわかる。40パーセント負荷未満では、燃焼器入口温度は約860Kのほぼ一定のままである。そのため、本発明は、効率の改善が部分負荷条件において実現されることを可能にする一方、全ての動作点において常に触媒燃焼器の適切な動作も可能にする。
【0044】
燃焼器入口温度は、一般に、従来技術の制御手法より本発明の制御手法においての方が
、より高いことを、図2で見ることができるであろう。有利なことには、より高い燃料/空気比及びより高い燃焼器入口温度は、一般に、予混合低排出量燃焼器について低い排出量を容易にする。
【0045】
これまで述べた制御方式は、タービン入口温度が、直接測定され、制御パラメータとして使用されると仮定した。しかしながら、場合によっては、タービン入口温度センサが動作しなければならないことになる極端な使用環境のために、タービン入口温度を測定することは、実用的でない場合ある。したがって、別法として、エンジンサイクルにおいて、他の熱力学的変数を測定し、サイクル計算に基づいてタービン入口温度を導き出すことが可能である。さらに別の代替として、コントローラは、適した制御パラメータ(たとえば、エンジン空気流量)対相対発電機負荷のスケジュ−ルを記憶する可能性があり、熱力学的変数が測定され、制御パラメータを引き出すことが可能になるであろう。コントローラは、その後、スケジュールされた値に実質的に等しくなるように、実際の(すなわち、導き出した)制御パラメータを駆動する。
【0046】
使用される特定の制御方法、及び当該方法を実施するために測定されるパラメータは重要ではない。本発明の基本概念は、主発電機及び補助発電機/モータを調節することによって、エンジンの動作を制御することを伴う。
【0047】
同時に、負荷に追従する動作モードでは、発電機システム10からの電力出力は、負荷によって要求される電力に一致するように制御されなければならない。電力出力は、主に、燃料流量の関数である。それに応じて、負荷追従モードでは、コントローラは、同時に、上述したように空気流を制御し、一方、要求に合うように電力出力(適した電力メータ(図示せず)によって測定される)も制御する。負荷追従制御方式は、よく知られており、そのため、本明細書ではさらには述べない。
【0048】
特定の用途に応じて、システム10はまた、負荷追従以外のモードで動作してもよい。こうした場合、既に述べた同じタイプの速度及び空気流制御がやはり採用されるであろう。
【0049】
本発明は、エンジンを通る空気流量を制御し、それによって、エンジン効率を最適化し、おそらくは、先に述べたように他の効果を達成するために、主発電機速度及び補助発電機速度を電気的に制御することを伴う。永久磁石発電機の場合、既に述べたように、整流器を制御することによって、発電機の制御が達成される。巻線発電機の場合、いくつかの制御方式が可能である。1つの方式では、コントローラが、励磁システム(図示せず)を制御して、発電機速度を調節する。AC/DC及びDC/AC変換は、必要でない場合があり、代わりに、AC/AC変換器を使用して、負荷に供給するための所望の周波数のAC出力電流が合成されてもよい。別法として、整流器及びインバータが、先に述べたように使用されてもよく、その場合、発電機速度の調節は励磁システムを制御することによって実施することができるため、整流器は電流制御式である必要はない。
【0050】
別の方式では、発電機速度制御は、励磁システムの制御と整流器の制御との組み合わせによって達成されてもよい。
【0051】
発電機速度を制御する方法の詳細は、本発明にとって重要ではなく、本発明に従って、これを達成する種々の方式を使用することができる。
【0052】
有利なことには、本発明は、一定幾何形状の圧縮機、タービン、及び燃焼器部品を有するエンジンの熱力学的サイクルにわたる制御を可能にする。
【0053】
主発電機及び補助発電機を調節することによって得ることができる別の有益な結果は、圧縮機、特に高圧圧縮機よりもサージ問題が生じやすい低圧圧縮機の動作のサージ領域が回避されることである。サージは、周囲温度が低い場合等、一定の動作条件では特に厄介である。周囲温度が低下するにつれて、圧縮機の圧力比対流量マップ上で、低圧圧縮機の動作線は上昇し、したがってサージ線に向かって移動する。補助発電機/モータを用いてエンジン動作を調節することで、そうしない場合よりも低い動作線で圧縮機が動作することが可能になり、それによって、サージに直面する可能性が減る。図3は、低圧圧縮機の代表的マップを示す。−30℃の周囲温度での動作線が、補助発電機/モータを有さない従来技術のエンジンと、低圧圧縮機の挙動を制御するように調節される補助発電機/モータを有する本発明によるエンジンとに関して示される。高流量条件では、従来技術のエンジンの動作線には、サージマージンがあるとしてもほとんどないことがわかる。しかしながら、補助発電機/モータ制御を利用すると、動作線が実質的に下降するため、サージマージンがはるかに大きくなる。
【0054】
圧縮機の動作線の場所を制御することで、圧縮機が広範囲の条件にわたってそのマップのピーク効率領域又はその付近で動作することを可能にすることもできる。補助発電機/モータ制御を伴わない従来のエンジンシステムでは、たとえば、周囲温度の大きな変動は、マップ上の動作線の大きな移動につながる傾向がある。特に、周囲温度が低下するにつれて、動作線は所与の流れにおいてより大きな圧力比まで移動し、そのためマップのピーク効率領域から離れ得る。一例として、図4は、補助発電機/モータ制御を伴わない従来技術のエンジンの低圧圧縮機マップを示す。+30℃での動作線はマップのピーク効率領域付近にあるが、−30℃では、線は著しく上昇しているため、もはやピーク効率領域付近にはないことがわかる。広範囲の温度にわたって、圧縮機がピーク効率領域付近で動作するように、動作線を制御することが望ましいであろう。本発明の補助発電機/モータ制御は、この目的を達成する。
【0055】
図5は、補助発電機/モータ制御が低圧スプールで使用される場合の低圧圧縮機マップを示す。322K(約+50℃)、298K(+25℃)、288K(+15℃)、及び236K(−37℃)の周囲温度に関して、動作線が示される。この86℃にわたる範囲では、補助発電機/モータ制御が使用されるため動作線の移動は比較的小さい。この結果を達成するために、補助発電機/モータは必要に応じて、低圧スプールに動力を注入するか、又は低圧スプールから動力を抽出する。これは図6に示されており、図6は、図5のマップ上に表されている4つの異なる周囲温度での補助発電機/モータ動力対主発電機動力を示す。236K(−37℃)という低い周囲温度では、補助発電機/モータは低圧スプールに動力を注入して加速させ(すなわち、モータモード)、それによってマップ上の動作線を下降させていることがわかる。322K(約+50℃)という高い周囲温度では、補助発電機/モータはスプールから動力を抽出して減速させ(すなわち、発電機モード)、それによって動作線を上昇させている。
【0056】
本発明は、図1に示す二軸エンジンのタイプに限定されない。図7〜図10は、本発明の4つの他の代替的な実施形態を示す。図7には、ガス化装置によって給送を受ける出力タービンを有するエンジン120を含む、発電システム110が示される。ガス化装置は、軸130に取り付けられている圧縮機128と、同じく軸130に取り付けられているタービン132とを含む。ガス化装置は、先に述べた実施形態におけるように、回収熱交換器34、燃焼器36、及び燃料絞り弁38を含む。出力タービン126が、ガス化装置から排気を受け取ってそれを膨脹させることによって、出力タービンを回転可能に駆動するように仕組まれる。主発電機40が、出力タービンによって駆動されるように、出力タービン126が取り付けられている軸に取り付けられるか、又は連結される。補助発電機/モータ42が、ガス化装置の軸130に取り付けられるか、又は連結され、タービン132によって駆動される。パワーエレクトロニクスユニット44が、先の実施形態におけ
るように、発電機と接続される。先の実施形態におけるように、エンジンセンサ62、64と同様に、回収熱交換器入口温度センサ66及び燃焼器入口温度センサ68が含まれる。コントローラ60が、パワーエレクトロニクスユニット及び種々のセンサと接続され、補助発電機/モータを調節することによってガス化装置の速度を調節するように動作可能であり、且つ主発電機を調節することによって出力タービン126の速度を調節するように動作可能である。こうした速度制御を使用して、先に述べた目的のいずれかを達成することができる。
【0057】
図8には、ガス化装置によって給送を受ける出力タービンを有するエンジン220を含む、発電システム210が示される。ガス化装置は、軸230に取り付けられている圧縮機228と、同じく軸230に取り付けられているタービン232とを含む。ガス化装置は、先に述べた実施形態におけるように、回収熱交換器34、燃焼器36、及び燃料絞り弁38を含む。出力タービン226が、ガス化装置から排気を受け取ってそれを膨脹させることによって、出力タービンを回転可能に駆動するように仕組まれる。主発電機40が、ガス化装置の軸230に取り付けられるか、又は連結され、タービン232によって駆動される。補助発電機/モータ42が、出力タービンによって駆動されるように、出力タービンが取り付けられる軸に取り付けられるか、又は連結される。パワーエレクトロニクスユニット44が、先の実施形態におけるように、発電機と接続される。先の実施形態におけるように、エンジンセンサ62、64と同様に、回収熱交換器入口温度センサ66及び燃焼器入口温度センサ68が含まれる。コントローラ60が、パワーエレクトロニクスユニット及び種々のセンサと接続され、主発電機を調節することによってガス化装置の速度を調節するように動作可能であり、且つ補助発電機/モータを調節することによって出力タービン226の速度を調節するように動作可能である。こうした速度制御を使用して、先に述べた目的のいずれかを達成することができる。
【0058】
本発明のさらなる実施形態が、図9に示される。発電システム310は、実質的に図1の実施形態において述べたような二軸エンジン20を含む。主発電機40が、低圧タービン26によって駆動されるように、低圧軸24に取り付けられるか、又は連結される。補助発電機/モータが、高圧タービンによって駆動されるか、又は高圧タービンを駆動するように、高圧軸30に取り付けられるか、又は連結される。パワーエレクトロニクスユニット44が、先の実施形態におけるように、発電機と接続される。先の実施形態におけるように、エンジンセンサ62、64と同様に、回収熱交換器入口温度センサ66及び燃焼器入口温度センサ68が含まれる。コントローラ60が、パワーエレクトロニクスユニット及び種々のセンサと接続され、主発電機を調節することによって低圧スプールの速度を調節するように動作可能であり、且つ補助発電機を調節することによって高圧スプールの速度を調節するように動作可能である。こうした速度制御を使用して、先に述べた目的のいずれかを達成することができる。
【0059】
最後に、本発明は、エンジンがガスタービンであるターボチャージャ付きエンジンサイクルに限定されず、ターボチャージャ付きレシプロエンジンサイクルに適用することができる。図10は、ターボチャージャ付きレシプロエンジンに適用されるものとして本発明の1つの可能性のある例を示す。発電システム410は、種々のタイプの燃料のいずれかを燃やすように構成され得るとともに、種々のタイプの熱力学的サイクルで動作し得る、レシプロエンジン又は内燃エンジン420を含む。排気駆動式ターボチャージャが、エンジンと連結され、軸424に取り付けられている圧縮機422と、軸に取り付けられて圧縮機を駆動するタービン426とを備える。圧縮機422内で圧縮された空気は、エンジンインテークに供給され(オプションで、最初に中間冷却器(図示せず)内で冷却されている)、燃料と混合され、エンジンのシリンダに供給されて、そこで燃焼させられ、燃焼ガスは、排気システムを通して排気され、タービン426に供給される。タービンは、排気を膨脹させて、圧縮機を駆動するための機械的動力を生成する。エンジン420の出力
軸421には、発電用の主発電機40が取り付けられるか、又は連結される。ターボチャージャの軸424には、補助発電機/モータ42が取り付けられるか、又は連結される。先の実施形態におけるように、パワーエレクトロニクスユニット44が発電機と接続される。先の実施形態におけるように、センサ62、64を含んでもよい。コントローラ60が、パワーエレクトロニクスユニット及び種々のセンサと接続され、補助発電機/モータを調節することによってターボチャージャの速度を調節するように動作可能である。コントローラは、所望であれば、先に述べたように、主発電機を調節することによってレシプロエンジンの速度を調節することもできる。こうした速度制御を使用して、先に述べた目的のいずれかを達成することができる。これらの目的は、実質的に、燃料及び空気がシリンダに導入される前に予混合されてから圧縮の熱によって着火されるレシプロエンジン、すなわち、希薄予混合燃焼を用いたレシプロエンジンである、予混合圧縮着火(HCCI)エンジンに特に当てはまる。燃焼の技術分野における当業者は、希薄予混合燃焼の要件及び制約がレシプロエンジン及びタービンに関して同じであり、したがって本発明の利点がHCCIエンジンに当てはまることを、容易に理解するであろう。
【0060】
本明細書で述べる本発明の多くの変更形態及び他の実施形態を、当業者が思いつくと思われ、これらの発明は、当業者に関連し、先の説明及び関連する図面において提示された教示の利益を有する。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されないこと、及び、変更形態及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図されることは理解されたい。本明細書において、特定の用語が採用されるが、用語は、一般的で、且つ、記述的な意味でのみ使用され、制限する目的で使用されない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態による発電システムの線図である。
【図2】従来技術の制御方法(点線)を、本発明の一実施形態による制御方法(実線)と比較する、相対発電機負荷の関数としての、エンジン内の種々の点における温度のプロットである。
【図3】−30℃の周囲温度で補助発電機/モータ制御を伴う場合及び伴わない場合両方の動作線を示す、図1のエンジンの低圧圧縮機のマップのプロットである。
【図4】補助発電機/モータ制御を伴わない従来技術のエンジンの低圧圧縮機マップを示す。
【図5】いくつかの異なる周囲温度に関する動作線も示す、補助発電機/モータ制御が低圧スプールで使用される場合の低圧圧縮機マップを示す。
【図6】いくつかの異なる周囲温度に関する、補助発電機/モータ動力対主発電機動力を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態による発電システムの概略図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による発電システムの概略図である。
【図9】本発明の第4の実施形態による発電システムの概略図である。
【図10】本発明の第5の実施形態による発電システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に供給するための電力を生成するシステムであって、
第1の軸、該第1の軸に取り付けられる第1の圧縮機、該第1の軸に取り付けられる第1のタービン、及び燃料と該第1の圧縮機からの圧縮空気の混合気を燃焼又は反応させて、該第1のタービン内で膨脹させて該第1の圧縮機を駆動する機械的動力を生成する高温のガスを生成するように動作可能な燃焼器を含む、第1のスプールと、
第2の軸、及び該第2の軸に取り付けられた少なくとも第2のタービンを含み、該第2のタービンは、前記第1のタービンから排気されるガスを受け取るとともに、該ガスを膨脹させて機械的動力を生成するように仕組まれた第2のスプールであって、前記第1のスプールとは独立して回転可能である、第2のスプールと、
を有するガスタービンエンジンと、
前記第1のスプール及び前記第2のスプールの一方によって回転可能に駆動されるように、該第1のスプール及び該第2のスプールの一方に連結される主発電機であって、前記負荷に供給するための交流電流を生成するように動作可能な、主発電機と、
前記第1のスプール及び前記第2のスプールの他方に連結される補助発電機/モータであって、発電モード又はモータモードで選択的に動作可能であり、該発電モードでは、該補助発電機/モータが連結されている該スプールから機械的動力を抽出して、前記負荷に供給するための交流電流を生成するように動作可能であり、該モータモードでは、供給源から電力を受け取って、該電力を、該補助発電機/モータが連結されている該スプールに注入される機械的動力に変換するように動作可能である、補助発電機/モータと、
を備える、負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項2】
前記主発電機及び前記補助発電機/モータの動作を制御するように構成され且つ仕組まれるコントローラをさらに備える、請求項1に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項3】
前記主発電機及び前記補助発電機/モータと連結されるパワーエレクトロニクスユニットをさらに備え、
前記パワーエレクトロニクスユニットは、前記主発電機及び前記補助発電機/モータからの前記交流電流を処理し、且つ前記負荷に供給するために一定の所定周波数の交流出力電流を合成するように動作可能である、請求項2に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項4】
前記パワーエレクトロニクスユニットは、非交流電圧において第1の非交流の直流電流を生成するために、前記主発電機からの前記交流電流に対して動作するように構成され且つ仕組まれる第1の整流器と、
非交流電圧において第2の非交流の直流電流を生成するために、前記補助発電機/モータからの前記交流電流に対して動作するように構成され且つ仕組まれる第2の整流器と、
前記負荷に供給される前記交流出力電流を合成するために、前記第1及び第2の整流器からの前記非交流の直流電流に対して動作するように構成され且つ仕組まれるインバータと、
を備える、請求項3に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項5】
前記第1の整流器は、前記主発電機からの前記交流電流とは独立して、前記第1の非交流の直流電流のレベルを変える電流制御信号に応答し、
前記コントローラは、前記電流制御信号を前記第1の整流器に供給して、該第1の整流器による前記第1の非交流の直流電流出力のレベルを制御することによって、主発電機速度を制御するように動作可能である、請求項4に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項6】
前記第1の圧縮機から前記圧縮空気を、及び前記第2のタービンから排気を受け取るように仕組まれた熱交換器をさらに備え、
前記熱交換器は、前記燃焼器内での燃焼前に前記圧縮空気を予熱するために、前記排気から該圧縮空気へ熱を伝える、請求項1に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項7】
前記燃焼器は触媒燃焼器である、請求項6に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項8】
燃焼器入口温度を示す変数を測定するように動作可能なセンサをさらに備え、
前記コントローラは、前記センサに接続され、前記燃焼器入口温度を、触媒動作に必要とされる所定の最小温度より高く維持するように、前記第1のスプールを通る空気流を制御するように動作可能である、請求項7に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項9】
前記熱交換器に入る前記排気の温度を示す変数を測定するように動作可能な、前記熱交換器に関連するセンサをさらに備え、
前記コントローラは、前記熱交換器に関連するセンサに接続され、前記熱交換器に入る前記排気の温度を所定の最大温度より低く維持するように、前記第1のスプールを通る空気流を制御するように動作可能である、請求項8に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項10】
前記第2のスプールは、前記第2の軸に取り付けられている第2の圧縮機を含み、且つ前記第2のタービンによって駆動され、
前記第2の圧縮機は、空気を圧縮して該圧縮空気を前記第1の圧縮機に供給するように仕組まれ、
前記第1の圧縮機は、前記圧縮空気をさらに圧縮する、請求項1に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項11】
前記主発電機は、前記第1のスプールと連結され、前記補助発電機/モータは、前記第2のスプールと連結される、請求項10に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項12】
前記第2の圧縮機と前記第1の圧縮機との間に配列される中間冷却器をさらに備え、
前記中間冷却器は、前記圧縮空気が前記第1の圧縮機に供給される前に、前記第2の圧縮機からの該圧縮空気を冷却するように動作可能である、請求項11に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項13】
前記第1の圧縮機から前記圧縮空気を、及び前記第2のタービンから排気を受け取るように仕組まれた熱交換器をさらに備え、
前記熱交換器は、前記燃焼器内での燃焼前に前記圧縮空気を予熱するために、前記排気から該圧縮空気へ熱を伝える、請求項11に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項14】
前記主発電機は、前記第2のスプールと連結され、前記補助発電機/モータは前記第1のスプールと連結される、請求項10に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項15】
前記第2のタービンは、出力タービンである、請求項1に記載の負荷に供給するための
電力を生成するシステム。
【請求項16】
前記主発電機は、前記出力タービンの前記第2の軸と連結され、前記補助発電機/モータは、前記第1の軸と連結される、請求項15に記載の負荷に供給するための電力を生成するシステム。
【請求項17】
多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法であって、
前記多軸ガスタービンエンジンは、少なくとも第1のスプール及び第2のスプールを有し、
前記第1のスプールは、第1の軸、該第1の軸に取り付けられる第1の圧縮機、前記第1の軸に取り付けられる第1のタービン、及び燃料と該第1の圧縮機からの圧縮空気の混合気を燃焼又は反応させて、該第1のタービン内で膨脹させて該第1の圧縮機を駆動する機械的動力を生成する高温のガスを生成するように動作可能な燃焼器を含み、
前記第2のスプールは、第2の軸、及び該第2の軸に取り付けられる少なくとも第2のタービンを含み、
前記第2のタービンは、前記第1のタービンから排気されるガスを受け取るとともに、該ガスを膨脹させて機械的動力を生成するように仕組まれ、
前記第2のスプールは、前記第1のスプールとは独立して回転可能であり、
前記方法は、
前記第1のスプール及び前記第2のスプールの一方によって駆動されるように、該第1のスプール及び該第2のスプールの一方と連結される、主発電機を設けるステップであって、該主発電機は、交流電流を生成するように動作可能である、主発電機を設けるステップと、
前記第1のスプール及び前記第2のスプールの他方と連結される、補助発電機/モータを設けるステップであって、該補助発電機/モータは、発電モード又はモータモードで選択的に動作可能であり、該発電モードでは、該補助発電機/モータが連結されている該スプールから機械的動力を抽出して、前記負荷に供給するための交流電流を生成するように動作可能であり、該モータモードでは、供給源から電力を受け取って、該電力を、該補助発電機/モータが連結されている該スプールに注入される機械的動力に変換するように動作可能である、補助発電機/モータを設けるステップと、
前記補助発電機/モータを前記発電モード及び前記モータモードの選択された一方で動作させるステップと、
前記多軸ガスタービンエンジンの動作条件に影響を与えるために、前記選択されたモードでの前記補助発電機/モータの動作を制御するステップと、
を含む、多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項18】
前記動作させるステップは、前記補助発電機/モータが連結されている前記スプールから動力を抽出して該スプールを減速させるために、該補助発電機/モータを前記発電モードで動作させることを含む、請求項17に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項19】
前記制御するステップは、前記補助発電機/モータが連結されている前記スプールの回転速度を調節するために、該補助発電機/モータの回転速度を調節することを含む、請求項18に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項20】
前記動作させるステップは、前記補助発電機/モータが連結されている前記スプールに動力を注入して該スプールを加速させるために、該補助発電機/モータを前記モータモードで動作させることを含む、請求項17に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項21】
前記動作させるステップは、前記多軸ガスタービンエンジンの始動中に実施され、
前記補助発電機/モータは、始動器としての役割を果たす、請求項20に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項22】
前記主発電機が連結されている前記スプールの回転速度を調節するために、該主発電機の回転速度を調節するステップをさらに含む、請求項17に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項23】
前記調節するステップは、交流電流を非交流の直流電流に変換するように動作可能な、有効電流制御された整流器において、前記主発電機からの交流電流を整流すること、及び該主発電機の回転速度を調節するために、該直流電流のレベルを調節することを含む、請求項22に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項24】
前記主発電機は、前記第1のスプールと連結され、前記補助発電機/モータは、前記第2のスプールと連結され、
前記第2のスプールは、前記第2の軸に取り付けられ、且つ空気を圧縮して該圧縮空気を前記第1の圧縮機に供給するように仕組まれ、
前記方法はさらに、
前記第2のスプールによって生成される前記機械的動力を変えるために、前記補助発電機/モータを前記発電モードで動作させるステップと、
前記第1のスプールの回転速度を調節するために、前記補助発電機/モータの動作を調節するステップと、
を含む、請求項23に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項25】
前記第1のスプール及び前記第2のスプールの回転速度は、前記多軸ガスタービンエンジンの効率が実質的に最大になるように、前記主発電機及び前記補助発電機/モータを調節することによって制御される、請求項24に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項26】
前記圧縮機の少なくとも一方の、圧縮機マップ上の動作線を下降させ、それによって前記圧縮機マップのサージ領域を回避するために、前記主発電機及び前記補助発電機/モータを調節することによって、前記第1のスプール及び前記第2のスプールの回転速度を調節することを含む、請求項24に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項27】
前記多軸ガスタービンエンジンは、前記第1の圧縮機からの前記圧縮空気及び前記第2のタービンからの排気を受け取るように仕組まれた熱交換器を含み、
前記熱交換器は、前記燃焼器内での燃焼前に前記圧縮空気を予熱するために、前記排気から前記圧縮空気へ熱を伝え、
前記方法は、
前記熱交換器への入口温度を該熱交換器の所定の最大許容可能温度以下に常に維持するために、前記主発電機及び前記補助発電機/モータを調節することによって、前記第1のスプール及び前記第2のスプールの回転速度を調節するステップをさらに含む、請求項24に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項28】
前記燃焼器は、触媒燃焼器であり、
前記方法は、
前記燃焼器への入口温度を該燃焼器の適切な動作に必要な触媒最小温度以上に常に維持するために、前記主発電機及び前記補助発電機/モータを調節することによって、前記第
1のスプール及び前記第2のスプールの回転速度を調節するステップをさらに含む、請求項24に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項29】
前記多軸ガスタービンエンジンを始動させるステップをさらに含み、
始動中、前記補助発電機/モータは、前記モータモードで動作して、該補助発電機/モータが連結されている前記スプールを回転可能に駆動する、請求項17に記載の多軸ガスタービンエンジンを有する発電システムを動作させる方法。
【請求項30】
ターボチャージャ付きエンジンシステムであって、
高温の燃焼ガスを生成するために空気と燃料の混合気を燃焼させるように動作可能であり、且つ機械的動力を生成するために前記燃焼ガスを膨脹させるように動作可能であるエンジンであって、燃料と混合すべき空気を受け取るインテーク、及び膨脹した燃焼ガスを放出するエグゾーストを有する、エンジンと、
軸に取り付けられる回転圧縮機及び該軸に取り付けられるタービンを備えるターボチャージャであって、前記回転圧縮機は、空気を圧縮して、前記エンジンの前記インテークに前記空気を供給するように動作可能であり、前記タービンは、前記エンジンの前記エグゾーストから膨脹した燃焼ガスを受け取り、該燃焼ガスをさらに膨脹させて、前記軸を駆動する機械的動力を生成するように仕組まれる、ターボチャージャと、
前記エンジンによって駆動されるように仕組まれる主発電機であって、負荷に供給するための電流を生成するように動作可能である、主発電機と、
前記ターボチャージャの前記軸によって駆動されるように仕組まれる補助発電機/モータであって、発電モード又はモータモードで選択的に動作可能であり、該発電モードでは、該ターボチャージャから機械的動力を抽出して、前記負荷に供給するための交流電流を生成するように動作可能であり、該モータモードでは、供給源から電力を受け取って、該電力を、該ターボチャージャに注入される機械的動力に変換するように動作可能である、補助発電機/モータと、
を備えるターボチャージャ付きエンジンシステム。
【請求項31】
前記主発電機及び前記補助発電機/モータの動作を制御するように構成され且つ仕組まれるコントローラをさらに備える、請求項30に記載のターボチャージャ付きエンジンシステム。
【請求項32】
前記エンジンは、レシプロエンジンである、請求項30に記載のターボチャージャ付きエンジンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−505261(P2007−505261A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526283(P2006−526283)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029424
【国際公開番号】WO2005/028832
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506002775)メス インターナショナル,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】