説明

太陽光発電と風力発電を複合した発電装置

本発明は、太陽光発電装置と風力発電装置を真に複合化させた発電装置を提供することを課題とする。発電装置は、ベースA5と、太陽光を受けるソーラーパネルA1と、当該ソーラーパネルを支持するパネル受台A2と、パネル受台をベース上で回転不能な状態で支持する支柱A3と、支柱の周囲に回転可能に取り付けられた軸受けに固定され、その周囲に風を受ける複数の翼A8を備える風車A7と、風車が受けた回転エネルギを電気エネルギに変換し発電する発電機A10とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、自然エネルギを利用して発電する太陽光発電と風力発電を複合した発電装置に関する。特に、太陽光と風の自然エネルギを利用して効率よく発電する環境にやさしい太陽光発電と風力発電を複合した発電装置に関する。
【背景技術】
近年、地球環境の温暖化対策として炭酸ガス等の大気を汚染する気体の排出量を制限する動きがでてきている。そして、炭酸ガス等を排出するエネルギに代わって、クリーンなエネルギを利用することが急速に進んでいる。
そこで、太陽光を利用した太陽光発電や風を利用した風力発電等のクリーンな自然エネルギを利用してエネルギを生み出す方法及び装置の研究開発が進められている。
例えば、市街地や山間、海岸地域において大型プロペラによる風力発電装置と太陽光発電装置とを組み合わせて設置し、互いに発電した電力を収集蓄積して利用する装置が発明されている(「特開平7−131998号公報」を参照)。これは、従来からある太陽光発電装置と風力発電装置を単に組み合わせたものであり、日射がない場合は風力で発電し、風のない場合には太陽光で発電し、両装置が有する従来からの発電上の弱点を補完できる装置を提供している。
また、住居内への電力供給を行う自然エネルギ発電利用システムが発明されている(「特開2003−65208号公報」を参照)。これは、傾斜屋根面上に箱型煙突状の自然エネルギ発電利用システムを設置し、風力発電と太陽光発電を組み合わせて、停電時と非停電時に異なる電力供給をするものである。
しかし、これらは、太陽光発電装置と風力発電装置を同じ場所又は近くに設置するものの、両者は発電装置としては独立しており相互に影響や作用を及ぼしあうものではなかった。また、各装置の設置場所は限定されていた。
そこで、本発明は、太陽光発電装置と風力発電装置を真に複合化させて、効率的に発電できるようにした複合発電装置を提供することを課題とする。また、本発明は、設置する場所の立地条件等に柔軟に対応可能な太陽光発電と風力発電を複合した発電装置を提供することを課題とする。
【発明の開示】
上記課題を解決するために請求の範囲第1項に記載の発明は、太陽光発電と風力発電を組み合わせた発電装置において、ベースと、太陽光を受けるソーラーパネルと、当該ソーラーパネルを支持するパネル受台と、パネル受台をベース上で回転不能な状態で支持する支柱と、支柱の周囲に回転可能に取り付けられた軸受けに固定され、その周囲に風を受ける複数の翼を備える風車と、風車が受けた回転エネルギを電気エネルギに変換し発電する発電機とを備えたことを特徴とする発電装置を提供する。
これにより、太陽光発電装置と風力発電装置を一体とし、複合した発電装置を提供することが出来るようになる。すなわち、最小の設置面積で太陽光や風といった自然エネルギを同時に効率よく利用可能になる。また、ソーラーパネルでの発電は四季を通じて一日数時間と限られた発電を、風のエネルギと複合させることにより、昼夜や四季を問わず発電可能になる。また、太陽光発電と風力発電を同時に行うことが出来る効果を有する。
上記課題を解決するために請求の範囲第2項に記載の本発明は、請求の範囲第1項に記載の発電装置において、パネル受台は、ソーラーパネルの角度を調整するソーラーパネル角可変システムを備えており、立地環境、日時に応じて太陽光を受ける量が可変であることを特徴とする。
これにより、突風や強風における風車の破損を防ぐことが可能になる。すなわち、安全装置付きの発電装置を提供することが可能になる。
上記課題を解決するために請求の範囲第3項に記載の本発明は、請求の範囲第1項又は第2項に記載の発電装置において、翼は、受けた風を偏向してソーラーパネルに送る角度、形状を有しており、それにより、ソーラーパネルを冷却可能であることを特徴とする。
これにより、ソーラーパネルの外気温や直射日光の温度上昇による発電低下を防止することが出来るようになる。また、これにより、安定した電力供給が行えるようになる。
上記課題を解決するために請求の範囲第4項に記載の発明は、太陽光発電と風力発電を組み合わせた発電装置において、ベースと、太陽光を受けるソーラーパネルと、当該ソーラーパネルを支持すると共にその周囲に風を受ける複数の翼を備える風車と、風車を支持すると共にベースに対して回転可能に立設された支柱と、風車が受けた回転エネルギを電気エネルギに変換し発電する発電機とを備えることを特徴とする発電装置を提供する。
請求の範囲第1項に記載の発明と同様に、最小の設置面積で太陽光や風といった自然エネルギを同時に効率よく利用可能になる。また、ソーラーパネルでの発電は四季を通じて一日数時間と限られた発電を、風のエネルギと複合させることにより、昼夜や四季を問わず発電可能になる。また、太陽光発電と風力発電を同時に行うことが出来る効果を有する。
上記課題を解決するために請求の範囲第5項に記載の本発明は、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の発電装置において、風車は、翼の角度を、受ける風の強さにより可変とする翼角可変ステムを備えていることを特徴とする。
例えば、風から受ける圧力が大きい時には翼の角度は風を逃がす角度になり、風圧が小さい時には翼の角度は風を受ける角度になるようにすると、風速の強弱にかかわらず破損することなく効率的に発電することが出来るようになる。
上記課題を解決するために請求の範囲第6項に記載の本発明は、請求の範囲第4項又は第5項に記載の発電装置において、ソーラーパネルの表面上に乱流壁が備えられており、それにより、ソーラーパネル表面上の空気の流れを乱し、ソーラーパネルを冷却することを特徴とする。
これにより、ソーラーパネルの外気温や直射日光の温度上昇による発電低下を防止することが出来るようになる。また、これにより、安定した電力供給が行えるようになる。
上記課題を解決するために請求の範囲第7項に記載の本発明は、請求の範囲第4項〜第6項のいずれか一項に記載の発電装置において、ソーラーパネルの端部に直接又は間接に翼を設けて、風車とソーラーパネルを一体としたことを特徴とする。
これにより、構成部品を最小としつつ太陽光発電と風力発電を同時に行うことが出来る効果を有する。
上記課題を解決するために請求の範囲第8項に記載の本発明は、請求の範囲第4項〜第7項のいずれか一項に記載の発電装置において、ソーラーパネルに平行して設けられる大型リング板と、当該大型リング板の周辺部の上下に設けられる複数対の案内ローラとを含み、大型リング板及び複数対の案内ローラの一方は、ソーラーパネルに直接に又は間接に、そして、他方はベースに固定して配置されることを特徴とする。
これにより、ソーラーパネル及び/又は風車に対する風により生じる浮き上がりや歪みを抑制することが出来るようになるので、ソーラーパネルや風車の破損防止を行うことが出来るようになる。
上記課題を解決するために請求の範囲第9項に記載の本発明は、請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記載の発電装置において、持ち運びが可能であることを特徴とする。
これにより、住宅やビルの屋上、車、船舶等に設置することが可能になる。また、屋外でのキャンプ場や、災害地等にも持っていくことが出来るようになる。
上記課題を解決するために請求の範囲第10項に記載の本発明は、請求の範囲第1項〜第9項のいずれか一項に記載の発電装置において、ソーラーパネルは、折りたたみ可能であり、また、風車の回転中心から翼までの長さは可変であり、立地環境、日時に応じて発電量を調節可能であることを特徴とする。
これにより、立地条件、日時等の環境の変化に対応した発電が可能になる。また、持ち運びが容易になる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の第一実施形態における主要部の平面図である。
第2図は、第1図に示された発電装置の一部を断面とした側面図である。
第3図は、第1図に示された発電装置に使用されている翼角可変システム付き風車の平面図である。
第4図は、風車に固定した翼角可変システムを説明するための拡大斜視図である。
第5図は、第4図の翼角可変システムが風を受けて翼の角度を変化させた状態を示す拡大斜視図である。
第6図は、本発明に係る発電装置の第一実施形態においてソーラーパネルをジャバラによって傾斜させた状態を示す一部を断面とした側面図である。
第7図は、本発明に係る発電装置の第二実施形態の平面図である。
第8図は、第7図に示された発電装置の一部を断面とした側面図である。
第9図は、第7図に示された発電装置に使用されている大型リング板の平面図である。
第10図は、本発明に係る発電装置の第三実施形態におけるソーラーパネルを示す平面図である。
第11図は、第10図に示されたソーラーパネルを用いた本発明に係る発電装置の第三実施形態の一部を断面とした側面図である。
第12図は、本発明に係る発電装置の第四実施形態の外観斜視図である。
第13図は、第12図に示された発電装置の側面図である。
第14図は、第12図に示された発電装置の中央縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
第1図〜第5図を用いて本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の第一実施形態を説明する。
太陽光発電をする太陽光発電装置部分は、ソーラーパネルA1と、パネル受台A2と、ソーラーパネルA1で発電したエネルギを外部に導くソーラーパネル配線A6と、支柱A3と、主柱台座A4と、ベースA5とを備えている。
ソーラーパネルA1は、太陽電池を並べたものである。つまり、太陽電池の構成の基となるセルを並べたものである。そして、セルを並べた表面を反射防止膜やガラス等で覆い、枠に入れているモジュールである。ソーラーパネルの基となる材料としては、シリコン系であるか非シリコン系であるか、または化合物半導体であるか否かを問わない。また、単結晶や多結晶の結晶系であるかアモルファス系であるか否かを問わない。さらに、ソーラーパネルA1の形状は円形であるが、四角形等の多角形であることを本発明は排除しない。
パネル受台A2は、ソーラーパネルA1を表面に載せて支持する円形の台である。それ故、ソーラーパネルA1に歪み等が生じない又は生じにくい構成、材料からなっていれば良い。
主柱A3は、ソーラーパネルA1をパネル受台A2ごと支える部材である。本実施形態では、この支柱A3の周囲に、後述する風力発電をする風車A7及び風車A7が受けた回転エネルギを発電機A10に伝達する多段駆動プーリーA9(軸受けを内蔵している)が回転可能に装着される。すなわち、本実施形態においては、パネル受台A2、従って、その上に取り付けられるソーラーパネル1は回転せず、後述する風車7及び多段駆動プーリーA9のみが主柱A3を中心に回転する。尚、中央にある固定的な主柱A3の中には、ソーラーパネルA1で発生した電流を外部に送るソーラーパネル配線A6が通っている。この主柱A3は、本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の構造的な柱であるので、頑強な材料から出来ていることが望ましい。第一実施形態では、鋼で出来ている。しかし、本発明は、Al合金、Ti合金、Mg合金等の金属材料ばかりで無く、合成樹脂から作製することを排除しない。また、本発明は、ソーラーパネル配線A6が、パネル受台A2から補強アームA18の中又は周囲を通り、外部にエネルギを伝えることを排除しない。
主柱台座A4は、主柱A3を支える礎である。それ故、主柱A3等をしっかりと固定するために、ベースA5に固定される。第一実施形態ではボルトで固定している。そして、主柱台座A4は、主柱A3の中を通ってきたソーラーパネル配線A6を主柱台座A4から外部に通す孔を有している。主柱台座A4は、主柱A3と同じ材料から作製されている。但し、本発明は、異なる材料から作製されることを排除しない。
一方、風力発電をするために風を受ける風力発電装置部分は、回転ローターである風車A7と、多段駆動プーリーA9と、小型プーリーA11と、多段駆動プーリーから小型プーリーへ回転エネルギを伝達するベルトA12と、小型プーリーで得た回転エネルギから電気エネルギに変換する発電機A10とを含んでいる
回転ローターである風車A7は、翼A8と、ストッパー突起半回転支持棒A14と、切込付きカバーA15と、帰正コイルバネA16とを含んで構成されている(第3図参照)。尚、第3図において回転ローターである風車A7の中央の取付箇所には、ベアリングが備えられているが、図示していない。そして、このベアリング等の部材により、風車A7は主柱A3に対して摩擦抵抗無く回転することが可能となる。
風車に固定したストッパー突起半回転支持棒、切り込み付きカバー、帰正コイルバネの取り付け状態を示す拡大斜視図を第4図に示す。また、強風等を受けて翼A8の角度が変化した状態の拡大斜視図を第5図に示す。
第4図は強風が吹いていない通常時を示している。風車A7には、翼A8が固定されている切り込み付きカバーA15がボルトにより固定されている。ストッパー突起半回転支持棒A14は、その内部に軸方向に移動可能に且つ周方向に回転可能に装着されている。そして、切り込み付きカバーA15の切り込みA15aには、ストッパー突起A14aが突出している。また、ストッパー突起半回転支持棒A14の一端は翼A8内を通って、その先端は翼A8の内壁面に回転可能に接合されている。さらに、ストッパー突起半回転支持棒A14の反対側には突起A14bが突設されており、帰正コイルバネA16の一端が係止している。帰正コイルバネA16の他端は切込付きカバーA15の端部に固定されている。
第4図に示した翼A8は、強風等を受けると第5図のようにストッパー突起半回転支持棒A14を中心に風を受け止めにくい角度、すなわち風を可能な限り逃がす角度まで回転する。この結果、第5図に示すように切り込みA15aのストッパー突起A14aは、約90度回転する。すなわち、切り込みの大きさ分であって、且つ移動可能な位置まで回転する。そして、この回転に伴い、帰正コイルバネA16に復元するための力が蓄えられる。他方、風が弱くなり、帰正コイルバネA16に蓄えられた力が翼A8にかかる風の力よりも大きくなると、第5図に示した状態から第4図の通常の状態まで戻ることが可能になる。このように、強風等により風車が破損するのを防ぐ安全装置としてこのような翼角可変システムを第一実施形態では設けている。尚、強風のレベルは、各々の実施形態や実施環境によって異なるので、その場その場で適した弾性力を有する帰正コイルバネA16を選択することが望ましい。また、翼の形状を本発明は限定しない。それ故、各々の実施形態や実施環境に応じた形状とすることを排除しない。また、風車の回転中心から翼までの長さを可変とすることもできる。これによって、発電量を調節することができる。
多段駆動プーリーA9は、主柱A3の外側の回転体に取り付けられる。そして、この回転体は、風車A7と連動して主柱A3に対して回転する。この多段駆動プーリーA9には、ベルトA12が取り付けられる。このベルトA12は、Vベルトである。それ故、多段駆動プーリーA9も、ベルトA12に適した溝を備えている。
小型プーリーA11は、ベルトA12に適した溝を備えている。そして、多段駆動プーリーA9からベルトA12を介して伝達された回転エネルギを受ける。そして、小型プーリーA11は、発電機A10にそのエネルギを伝達する。この結果、発電機A10は、発電することを可能にする。尚、発電機A10からは配線A13が突出していて、発電したエネルギを外部に出力することが可能になっている。
多段駆動プーリーA9、小型プーリーA11及びベルトA12は、規格化された製品を用いることが望ましい。また、材料は、種々の材料を用いることを排除するものではない。
次に、前述した本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置における電力の流れを説明する。
まず、太陽光発電に関しては、太陽光を受けたソーラーパネルA1が発電し、ソーラーパネル配線A6を介して、外部に出力する。一方、風力発電に関しては、風車A7が翼A8で受けた風により回転し、回転エネルギを多段駆動プーリーA9、ベルトA12、小型プーリーA11を介して発電機A10へ伝達する。そして、発電機A10で発電し、外部に配線A13を介して出力する。
このようにして、本第一の実施形態では、太陽光及び風を用いて発電することを可能にする。また、風力発電のための風車A7が本発明に係る発電装置内に配置されているので、省スペースが可能になる。さらに、ベースA5は、どこかに固定することも出来るが固定していない。それ故、容易に移動が可能である。例えば、本発明に係る発電装置を1m四方の箱に入る大きさに作製すれば、一般の家庭においても購入し設置するのみで、容易にクリーンに発電をすることが出来る効果を有する。尚、本発明は、本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の大きさを限定しない。
ところで、第一実施形態では、ソーラーパネルの角度を調整するソーラーパネル角可変システムを備えている。それ故、立地環境、日時に応じて太陽光を受ける量を変化させることが可能である。ソーラーパネル角可変システムが作動した状態を第6図に示す。本実施形態では、ソーラーパネル角可変システムとしてのジャバラA19を用いてソーラーパネルの角度を調整する。これにより、傾斜地等においても、適切に日の当たる方向にソーラーパネルA1を向けることが可能になる。尚、本実施形態において、ソーラーパネルを支持するパネル受台A2は、傾斜可能なパネル受台A2aと補強アームA18に固定されているパネル受台A2bとから構成されている。
本実施形態では、図示しないリモコンで、ソーラーパネルA1の角度を調節している。しかし、本発明は、直接にコントロール手段を設けることを排除しない。尚、本発明は、ジャバラA19以外の手段を排除しない。尚、風雨等から本装置を守るために防水カバーA17や補強アームA18を設けることが好ましい。
次に、第7図〜第9図を用いて本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の第二実施形態を説明する。尚、上記第一実施形態における説明と同様となる部材等の説明は省略する。
太陽光発電をする太陽光発電装置部分は、ソーラーパネルB1と、回転テーブルB2と、ソーラーパネルB1で生じる電流を外部に導くソーラーパネル配線B14と、主柱である回転軸B6と、回転軸B6を回転自在に支持する主柱台座B7と、主柱台座B7を固定するベースB17とを備えて構成されている。
ソーラーパネルB1は、ソーラーパネルA1と同じ構成を備えている。しかし、本実施形態のソーラーパネルB1は、パネル受台である回転テーブルB2上に固定されているので、回転可能である。そして、その回転中心の下部からソーラーパネルB1で発電したエネルギを出力可能にするソーラーパネル配線B14が出ている。このように、ソーラーパネルB1で発電した電力は、ソーラーパネル配線B14、スリップリングB13、スリップリング台座側面に設けた配線、そして、太陽電池コントローラを通ってバッテリに至りそこに蓄えられる。これにより、発電したエネルギは、利用に供される。このように、バッテリ等の蓄電池を本発明装置の内外に設けて発電した電力を蓄えることも本発明では可能である。
ところで、ソーラーパネルB1は、概して、太陽光を受け温度が所定の値を超えると発電する能力が低下する。それ故、効率よく発電するためにはソーラーパネルB1を冷却する必要がある。そのために、本実施形態では、ソーラーパネルB1を4つに区切るように回転テーブルB2上に乱流壁B19が突設されている(第7図参照)。乱流壁B19は、ソーラーパネルB1への太陽光の照射を妨げない程度の高さ、つまり、影の出来にくい程度の高さを有している。この乱流壁B19に風が当たることにより、風が乱される。その結果、ソーラーパネルB1は、乱れた風により、より効率的に冷却される効果を有するようになる。
一方、風力発電をする風力発電装置部分は、回転テーブルB2と、翼B3と、回転テーブルB2に固定された駆動プーリーB8と、小型プーリーB10と、駆動プーリーから小型プーリーへ回転エネルギを伝達するベルトB9と、小型プーリーで得た回転エネルギから電気エネルギに変換する発電機B11とを含んでいる。
回転テーブルB2の周囲には、複数個の翼B3が固定されている。そして、この翼B3で風を受けて、回転テーブルB2は回転するので、この部位がいわゆる風車となる。この風車が受ける回転エネルギである運動エネルギは、回転軸B6に備えられた駆動プーリーB8からベルトB9を介して小型プーリーB10に伝達される。その結果、発電機B11で発電され、配線B12から出力される。このように、発電機により発電された電力は、発電機用コントローラを通し前述した同様のバッテリに充電する。防水カバーB16で雨水の浸入等を防ぐこともできる。
図示された第二実施形態では、風収集板B20を備えている。この風収集板B20は、角度を変えることが可能であるが、本実施形態では先端側が所定の角度で折れ曲がっている。この風収集板B20を設けたことにより、風は風収集板B20に当たり、翼B3に風を集めることが可能である。それ故、この風収集板B20の形状及び設置角度は、設置する環境に応じて適宜変化させることが可能である。尚、本発明は、風収集板B20を取り付け取り外し可能に備えることを排除しない。
ところで、翼B3は回転テーブルB2の周囲に直接設けられている。それ故、翼B3が風を受けることにより、回転テーブルB2には揚力等が働き、回転テーブルB2を持ち上げようとする。前述のように、回転テーブルB2に固定されるソーラーパネルB1は、概して、ねじり、歪み等の変形を加えられることにより、破損しやすい。そこで、これらの変形を最小限に抑える必要がある。そのため、本実施形態では、回転テーブルB2の動きを抑制すべく、ベースB17に対して固定される大型リング板B5と、その周辺部を挟み込むように回転テーブルB2の下面に設置される上下一対の複数対の案内ローラB4とが設けられている。
大型リング板B5(第9図参照)は、回転テーブルB2の下側に且つ回転テーブルB2とぼぼ平行となるように、複数の支持柱B15で固定される。一方、上下一対の案内ローラB4は、回転テーブルB2の下面に周方向に等間隔で複数対設けられる。通常時の風力では、どの位置の上下一対の案内ローラB4も大型リング板B5に触れることはなく、回転テーブルB2と共に回転している。しかし、一本の回転軸B6が支える回転テーブルB2には、強風等により、浮き上がりや歪みが生じる。この時、回転テーブルB2側に固定された上下一対の案内ローラB4は、ベースB17に対して固定される大型リング板B5と接触しその表面に沿って走行する。これにより、それ以上に歪み等が回転テーブルB2、すなわちソーラーパネルB1に生じることを防ぐことができる。これらの安全装置により、歪み等を制御することが可能になる。
このように、第二実施形態においては、概略は第一実施形態と同じである。しかし、乱流壁B19を有していて、ソーラーパネルB1を冷却可能である点が異なる。また、風収集板B20により、風を収集可能にする点が異なる。さらに、回転テーブルB2を介して、ソーラーパネルB1が風車の一部となっていることが異なる。さらに、ソーラーパネルB1の破損を防ぐために大型リング板B5と上下一対の案内ローラB4を用いる点が異なる。しかし、本発明は、第一実施形態と第二実施形態の全て又は一部を複合的に組み合わせた実施形態を排除しない。
次に、第10図及び第11図を用いて本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の第三実施形態を説明する。尚、第三実施形態は、第二実施形態と比較してソーラーパネル、回転テーブル、翼の形状が異なるものに該当するので、本実施形態の説明では、第二実施形態におけるものと同様の符号を用いる。
図示されているように、本実施形態の回転テーブルは、扇風機の羽根又は換気扇の羽根の形状を有しており、同時に翼としの役割を果たすように用いられている。これにより太陽光発電と風力発電を複合した発電が同じ部材を用いて行うことができる。このように第10図及び第11図では、ソーラーパネルは翼の役目も果たしているので、風を翼が受けると、ソーラーパネル上を風が流れることになる。これにより、熱せられたソーラーパネルは、発電しながらも冷却される効果を有するようになる。尚、図中では、ソーラーパネルと翼の機能を複合して、複合翼B18としている。
ところで、第三実施形態において、翼の角度を調節したり、形状を調節したりすることにより、よりソーラーパネル上を風が流れるようにすることも可能である。これにより、効率的にソーラーパネルを冷却することが可能になる。尚、上記した第一実施形態や第二実施形態においても、翼A8、B3の角度や形状を調節することにより、ソーラーパネルA1、B1に翼A8、B3が受けた風を送るようにすることも可能である。この場合にも、同様にソーラーパネルA1、B1は適切に冷却される効果を有する。
次に、第12図〜第14図を用いて本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置の第四実施形態を説明する。尚、上記した第一実施形態〜第三実施形態の説明と同様となる部材等の説明は省略する。
回転テーブルC2の周囲には、複数個の翼C3が固定されている。そして、この翼C3で風を受けて、回転テーブルC2は回転するので、いわゆる風車となる。本実施形態においては、翼C3の形状は、中央で80度ほど折れた形状をしている。しかし、本発明は翼C3の折れ曲がった部分が流線型となっている場合を排除するものではない。また、他の形状を排除するものではない。
図示された第四実施形態と、上記第2実施形態とでは、大型リング板C5と上下一対の案内ローラC4の取り付け部位が逆転している点で異なっている。すなわち、大型リング板C5(第14図参照)は、回転軸C6を中心に回転する回転テーブルC2の下側に固定され、他方、上下一対の案内ローラC4はベースC18に立設された支持柱C15に固定される。そして、大型リング板C5の周辺部が、上下一対の案内ローラC4の中間となるようにセットされる。大型リング板C5は中央に円形の開口部を有するリング形状をしている。
また、本実施形態では、雨水等の防水を可能にする防水カバーC16及び防水スカートC17が設けられている。防水カバーC16は、ベースC18に固定されて全周に配されている。また、防水スカートC17は、回転テーブルC2の下部であって、防水カバーC16の外側に備えられている。これにより、当該発電装置内には、雨水等が浸入することを防ぐことが可能になる。尚、防水カバーC16と防水スカートC17の間に、さらに防水を行うためにゴム製のパッキン等を備えるのが良い。または、防水カバーC16と防水スカートC17の先端部分を互いに接触しない程度に、係合する形状とすることもできる。尚、本実施形態の大型リング板C5は、第8図に示されたもの比較して板幅が狭く、大型リング板C5に生じる浮き上がりや歪みによる変形が、回転テーブルC2の変形とより連動するようになる。また、大型リング板C5は幅が狭いので、大型リング板C5を介して的確に上下一対の案内ローラC4により支持することが出来るようになる。
さらに、運搬等を容易にするために、本発明は、ソーラーパネルを折りたたみ可能にしたり、風車を伸縮自在にしたりすることを排除しない。
以上、本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置として4つの実施形態を示した。しかし、本発明はこれらに限定しない。また、これらの4つの実施形態を複合的に組み合わせた実施形態を本発明は排除しない。さらに、本発明は、太陽光や風を利用することに加えて、潮の流れ及び干満や地熱等の自然のエネルギを複合的に用いる装置とすることを排除しない。
【産業上の利用可能性】
以上のように本発明に係る太陽光発電と風力発電を複合した発電装置によれば、地球上豊かにある太陽光や風を利用して、クリーンに電力エネルギを創出することが可能になる。また、日常の生活の場である住宅やビルはもちろんのこと、災害地、山間地、海岸、孤島、海上、湖上等においても、適切に発電を行うことが可能になる。そして、その場その場の環境の変化に応じた適切な発電を可能にする。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電と風力発電を組み合わせた発電装置において、
ベースと、
太陽光を受けるソーラーパネルと、
当該ソーラーパネルを支持するパネル受台と、
パネル受台をベース上で回転不能な状態で支持する支柱と、
前記支柱の周囲に回転可能に取り付けられた軸受けに固定され、その周囲に風を受ける複数の翼を備える風車と、
風車が受けた回転エネルギを電気エネルギに変換し発電する発電機と、
を備えたことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の発電装置において、
前記パネル受台は、ソーラーパネルの角度を調整するソーラーパネル角可変システムを備えており、立地環境、日時に応じて太陽光を受ける量が可変であることを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求の範囲第1項又は第2項に記載の発電装置において、
前記翼は、受けた風を偏向して前記ソーラーパネルに送る角度、形状を有しており、それにより、前記ソーラーパネルを冷却可能であることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
太陽光発電と風力発電を組み合わせた発電装置において、
ベースと、
太陽光を受けるソーラーパネルと、
当該ソーラーパネルを支持すると共にその周囲に風を受ける複数の翼を備える風車と、
風車を支持すると共にベースに対して回転可能に立設された支柱と、
風車が受けた回転エネルギを電気エネルギに変換し発電する発電機と、
を備えたことを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の発電装置において、
前記風車は、前記翼の角度を、受ける風の強さにより可変とする翼角可変ステムを備えていることを特徴とする発電装置。
【請求項6】
請求の範囲第4項又は第5項に記載の発電装置において、
前記ソーラーパネルの表面上に乱流壁が備えられており、それにより、前記ソーラーパネル表面上の空気の流れを乱し、前記ソーラーパネルを冷却することを特徴とする発電装置。
【請求項7】
請求の範囲第4項〜第6項のいずれか一項に記載の発電装置において、
前記ソーラーパネルの端部に直接又は間接に前記翼を設けて、前記風車と前記ソーラーパネルを一体としたことを特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求の範囲第4項〜第7項のいずれか一項に記載の発電装置において、
前記ソーラーパネルに平行して設けられる大型リング板と、
当該大型リング板の周辺部の上下に設けられる複数対の案内ローラとを含み、前記大型リング板及び複数対の案内ローラの一方は、前記ソーラーパネルに直接に又は間接に、そして、他方はベースに固定して配置されることを特徴とする発電装置。
【請求項9】
請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記載の発電装置において、
持ち運びが可能であることを特徴とする発電装置。
【請求項10】
請求の範囲第1項〜第9項のいずれか一項に記載の発電装置において、
前記ソーラーパネルは、折りたたみ可能であり、
また、前記風車の回転中心から翼までの長さは可変であり、
立地環境、日時に応じて発電量を調節可能であることを特徴とする発電装置。

【国際公開番号】WO2004/081376
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【発行日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503457(P2005−503457)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000474
【国際出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(595068416)
【Fターム(参考)】