説明

安全性を向上させたトリック再生を可能にする選択的暗号化

本発明に相当する所定の実施例は、デジタルビデオコンテンツを選択的に暗号化する方法を含む。その方法は、デジタルビデオコンテンツを含む複数のパケットを受信するステップ、フレーム開始(SOF)ヘッダを含むパケットを識別するステップ、SOFヘッダを含むパケットに埋め込み部を挿入してSOFヘッダを含むパケットのコンテンツを前又は後ろのパケットに移動し、さらに、SOFヘッダを含む埋め込まれるパケットを生成するステップ、暗号化対象の所定のパケットを選択基準によって選択するステップを含み、選択されたパケットにはSOFヘッダを含むパケットは含まれていないことを特徴とし、さらに方法は、選択されたパケットを暗号化するステップ、暗号化されていないSOFヘッダを含む埋め込まれたパケットを維持し、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを生成するステップを含む。対応するデコーディング方法だけでなく、エンコーディング装置及びデコーディング装置も示す。他の実施例は、この要約に記載されている特徴から逸脱していないことから、この要約は制限することを意図していない。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
MPEG(ムービングピクチャエキスパートグループ)向けデジタルビデオなどのようなデジタルビデオを様々なトリック再生モードで再生するとき、通常、Iフレーム、Pフレーム、又は、Bフレームへのアクセスが要求される。Iフレーム、Pフレーム、又は、Bフレームは、イメージを直接的に表示するのに用いることができる情報を含んでいる。一方で、イメージは、先行及び/又は後続のIフレーム及びPフレームを参照及び修正することによって、Bフレームを用いて生成される。例として、再生を2倍速又は4倍速で実行するとき、再生アルゴリズムは、IフレームからIフレームへ、又は、PフレームからPフレームへジャンプし、所定のフレームをスキップさせてビデオフレームの表示速度を上げる。Bフレームは1倍速より遅くするために必要となる。
【0002】
残念ながら、コンテンツが従来の暗号化技術を用いて暗号化さているとき、トリック再生は困難又は不可能となる。Iフレーム、Pフレーム、及び/又は、Bフレームを検索するためにコンテンツを復号しなければならないからである。したがって、このことは、配信システム通じて配信される際に、同一の暗号化を用いたコンテンツの記録を不可能にする。暗号化されていないコンテンツの場合、これらのフレームは、フレーム開始(SOF)からのオフセットを計算することによってアクセスされる。Candeloreなどによる米国特許番号7,151,833号において、この課題を改善するために、選択的暗号化が用いられている。この特許文献において開示されている所定の実施例によって、選択的にデジタルビデオコンテンツを暗号化及びデコードする方法が示されている。そこでは、ある種のパケットは選択基準に従い暗号化のために選択されており、選択されたパケットには、フレーム開始(SOF)のヘッダを含んでいるパケットは含まれていない。暗号化されていないSOFヘッダを含むパケットを保持しながら、選択されたパケットが暗号化され、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツが形成される。選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをストレージメディアに記録する点において、オフセットはSOFヘッダからIフレーム及びPフレームの少なくとも一つに対して計算され、計算したオフセットは、オフセットテーブルとして記録される。そして、オフセットテーブルは、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツのトリック再生を可能にするようアクセスされる。この方式において、トリック再生が適宜達成することができる。
【0003】
関連文献の相互参照
本出願は、2006年12月19日に特許されたCandeloreなどによる米国特許7,151,833号に関連する。それは、参照によってここに組み込まれる。
【0004】
著作権情報
本特許関連文献の開示の一部は著作権の保護対象の元となるものを含む。著作権者は、特許商標庁の特許についてのファイル又は記録で見られるように、特許関連文献又はその開示のファクシミリによる複製について異論を唱えない。しかし、他の方法によるものは、いかなる著作権であっても全て留保する。
【0005】
目的及び効果とともに、動作の構成及び方法を図示する所定の例示的な実施例は、添付の図面と一緒に用いられる詳細な説明の参照によって最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の所定の実施例に相当する選択的暗号化プロセス及びデコーディングプロセスを示すフローチャートである。
【図2】本発明の所定の実施例に相当する選択的暗号化プロセス及びデコーディングプロセスの一実施例を示す。
【図3】本発明の所定の実施例に相当する選択的暗号化プロセス及びデコーディングプロセスの他の実施例を示す。
【図4】本発明の所定の実施例に相当する暗号化プロセッサ又はデコーダの一方の機能を果すことができるプログラムされたプロセッサである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、図面及び詳細な説明の実施例に示されており、さらに、多くの異なる形態の実施例を受け入れることができる。その場合、このような実施例の開示が原理についての例として考慮されているものであって、開示及び説明されている特定の実施例に発明を限定する意図はないことが理解される。下記の記述において、同じ参照数字は、図面のいくつかの表示において同一部分、同じような部分、又は、対応部分を説明するよう用いられる。
【0008】
ここで用いられる用語“ある”は、一又は二以上として定義される。ここで用いられる用語“複数”は、二又はそれ以上として定義される。ここで用いられる用語“他”は、少なくとも二番目以降のものとして定義される。ここで用いられる用語“含む”及び/又は“有する”は、備えるとして定義される(すなわち、限定のない用語である)。ここで用いられる用語“連結”は、接続として定義されるが、直接的及び機械的であることを必要としない。ここで用いられる用語“プログラム”、“コンピュータプログラム”、又は、それと同様な用語は、コンピュータシステム上で実行されるために設計されている指示の順序として定義される。“プログラム”又は“コンピュータプログラム”は、サブルーチン、ファンクション、プロシージャ、オブジェクトのメソッド、オブジェクト実装、実行可能なアプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ/コンピュータシステム上で実行するために設計されているその他の指示の順序を含む。
【0009】
本出願全体を通して見られる“一実施例”、“所定の実施例”、“ある実施例”、又は、それらと同様な用語は、実施例とともに示されている特定の特徴、構造、又は、特性が、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれていることを意味する。したがって、そのような語句の記載、又は、本明細書全体のさまざまな個所における記載は、同一の実施例への言及とはかぎらない。さらに、特定の特徴、構造、又は、特性は、一又は二以上の実施例において制限されることなく、任意かつ適切な方法で組み合わせることができる。
【0010】
ここで用いられる用語“又は”は、一つ又は組み合わせを含むものとして又はそれを意味するものとして理解される。したがって、“A、B、又は、C”は、“Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、A、B、及び、Cのいずれかを”意味する。この定義の例外は、要素、ファンクション、ステップ、又は、動作の組み合わせが本質的に双方で排他的であるときのみに発生する。
【0011】
さらに、ここで用いられる用語“プログラム”は、第2の意味(第1の意味である上記定義に対して)で用いられる。第2の意味において、用語は、“テレビジョンプログラム”の意味で用いられる。この意味において、この用語は、電子番組ガイド(EPG)として解釈される、及び、電子番組ガイドにおいて報告されるようなオーディオビデオコンテンツのまとまった順序を意味するよう用いられる。さらに、その用語は、コンテンツがムービー、スポーツイベント、複数のパートシリーズの一部、又は、ニュース放送などであるかを問わず単一のテレビジョンプログラムとして用いられる。この用語は、電子番組ガイドにおいてプログラムとして報告されていない商用のスポーツコンテンツ及び他のプログラム的なコンテンツを含むよう解釈される。
【0012】
用語“スクランブル”及び“暗号化”、そして、それらの変化形は、ここでは同意義として用いられる。ここで用いられる用語“ビデオ”は、正確な意味での映像情報だけではなく、対話型の意味でも含まれ(例えば“ビデオテープレコーダ”)、ビデオ信号だけでなく、関連するオーディオ及びデータも含まれるよう用いられる。本明細書は、“二重選択的暗号化”の実施例を用いるが、当業者であれば、本発明から逸脱することなく複数部分の暗号化を実現するよう用いることができる。ここでは、用語“部分の暗号化”及び“選択的暗号化”は、同意義で用いられる。
【0013】
ここで用いられる用語“レガシー”は、既存のケーブルシステム及び衛星システムで用いられる既存技術に言及するよう用いられる。ここで開示されている典型的な実施例は、テレビジョンセットトップボックスによってデコードされるが、そのような技術は、全てのタイプのテレビジョン受信機に組み入れられることを意図している。その全てのタイプのテレビジョン受信機は、分離した筐体に収容されているか、レコーディング機器及び/又は再生機器、又は、条件付きアクセス復号モジュール又はテレビジョンのセットそれ自体と一緒に収容されている。本明細書では、“単一部分の暗号化”の実施例を用いるが、本発明から逸脱することなく二重部分の暗号化又は複数部分の暗号化を実現するよう本発明を利用することが可能であることは、当業者であれば認識できるであろう。
【0014】
一般に、共有である上述の特許及びここに参照している相互参照出願は、部分暗号化又は選択的暗号化としてここに参照される方法の様々な側面に関連する発明を開示する。より詳細には、開示するシステムにおいて、デジタルコンテンツの特定の抽出部である選択部分は2つ(又はそれ以上)の暗号化技術を用いて暗号化されるとともに、そのコテンツの他の部分は暗号化されずに残される。暗号化する部分を適切に選択することによって、コンテンツを全抽出して暗号化する必要なく、複数の復号システムのもとで使用するためのコンテンツを効果的に暗号化することができる。ある実施例において、データのオーバーヘッドはわずかな割合ではあるが、複数の暗号化方式を用いてコンテンツを効果的に暗号化するために必要となる。これは、単一システムにおいて、複数の製造者によるセットトップボクッス又は条件付きアクセス(CA)受信機の他の実装を利用することができるケーブルシステム又は衛星システムを可能にする。つまり、ケーブルシステム会社又は衛星システム会社が自由にセットトップボックスの提供者を比較して探せるようになる。
【0015】
本発明は、暗号化されたデジタルビデオコンテンツでトリック再生を可能にするという課題に選択的暗号化技術を適用する。上記特許出願の文献に記載されている部分暗号化プロセスは、任意かつ適切な暗号化方法を利用する。しかしながら、これら暗号化技術は、上記特許出願の文献に記載の技術を用いることで、全データストリームを暗号化するというよりむしろデータストリームに対して選択的に適用される。制限する意図は無いが、一般には、選択的暗号化プロセスは、暗号化する情報についてインテリジェントな選択を用いる。これにより、プログラム全体へのデュアル暗号化が行われなくなる。暗号化するデータの適切な選択によって、システムへのハッキング及び未支払状態での不正な商用コンテンツの再生を行おうとする人からプログラムマテリアルを強固にスクランブル及び隠すことができる。オーディオ及びビデオデータを提供するよう用いられるMPEG(又は同様なフォーマット)データは、フレームからフレームへの冗長な情報に対する高い依存性を利用する。色度(クロミナンス)データ及び輝度(ルミナンス)データを表すあるデータを“アンカー”データとして送信することができる。そして、そのようなデータは、スクリーン中を頻繁かつ単純に転々と移動し、ブロックの動作を表す動きベクトル(motion vector)を送ることによって後続のフレームを生成する。色度データ及び輝度データの変化も、アンカーデータの絶対値の記録というよりむしろ変化としてエンコードされる。よって、例としては、このアンカーデータ又は他のキーデータの暗号化は、不可視であるビデオを効果的に描画することができる。
【0016】
本発明に相当する所定の実施例によると、暗号化対象の選択されているビデオデータは、以下のうちの一つ又は以下のものの組み合わせとすることができる(上記特許文献により詳細に記載されている)。それらは、ビデオフレームのアクティブ領域に現れるビデオスライスヘッダや、ビデオフレームのアクティブ領域を表すデータ、ビデオフレーム内の際立ったパターン(star pattern)のデータ、シーンの変化を表すデータ、Iフレームパケット、Iフレームに続く最初のPフレームにおける動きベクトルを含むパケット、intra_slice_flagのしるしのセットを有するパケット、intra_sliceのしるしのセットを有するパケット、intra_codedマクロブロックを含むパケット、intra_codedマクロブロックを含むスライスのためのデータ、ビデオスライスヘッダの後の最初のマクロブロックからのデータ、ビデオスライスヘッダ及びアンカーデータ並びにビデオデータを漸次再生するためのPフレームデータを含むパケット、ビデオフレーム上の垂直モートパターン(moat pttern)及び/又は水平モートパターンに配置されているデータ、利用が困難となっているビデオ及び/又はオーディオを再生する任意かつ他の選択されたデータなどである。いくつかのそのような技術及びそれと同様な他の技術は、上記特許出願の文献に開示されている。それらのいずれかは、後述するとおり、本発明とともに用いることができ、SOFヘッダを含むパケットさえ暗号化しなければ、コンテンツの一部のみを暗号化することができる。
【0017】
現在、パーソナルビデオレコーダ(PVR)へのコンテンツ配信に関する課題が存在する。そのパーソナルビデオレコーダは、最初にスクランブル解除をしなければならないコンテンツのトリック再生を可能にするセットトップボックスが利用可能である。夜にカルーセルからコンテンツを“適宜的に(opportunistically)”ダウンロードする場合、コンテンツのスクランブルの解除(又はローカルで再度スクランブルすること)は、安全上の問題を有する。ローカルでコンテンツを再度スクランブルするのに用いるキーは、条件付きアクセス(CA)要素によるキーほど安全ではない。ハードドライブ上のコンテンツは、適切な視聴料を支払うことなくアクセスされる。理想的には、セットトップボックスのローカルドライブへ“適宜的”又は思索的に配信されるコンテンツを、ハードドライブ上でスクランブル状態のCAに残存させることである。
【0018】
本発明に相当するある実施例によると、選択的暗号化は、コンテンツの選択的部分を暗号化するよう用いられるが、クリア(暗号化されていない)状態であるSOFヘッダを含むパケットを残存させる。暗号化されていないSOFヘッダを残すことによって、トリック再生回路及びトリック再生アルゴリズムは適切に動作することができる。具体的には、それは、SOFヘッダのピクチャフレームの開始コード及びpicture_coding_type識別子である。その識別子は、フレームが、I又はBであるか、それともPであるかを表す。I、B、又はPは、トリック再生回路及びトリック再生アルゴリズムが検索する対象である。残りのコンテンツは、同時継続出願に記載の選択的暗号化方式、又は、任意かつ他の適切な選択的暗号化用コンテンツの選択基準によって、全て又は選択的に暗号化することができる。
【0019】
米国特許7,151,833号は、クリアな状態でフレーム開始(SOF)を含むパケットを残す方法によってトリック再生の問題を解決する。これにより、トリック再生のインデックスファイルは、ストリームを受信する装置(プレイアウト装置)によって生成される。残念ながら、トリック再生を効果的に提供する間、SOFを含むパケットにおける保護が必要な情報(sensitive information)は、傍受及び不正使用に対して脆弱である。SOFを有するパケットは、パックヘッダ又はシーケンスヘッダを含む。通常、パックヘッダ又はシーケンスヘッダは、I SOFの前に配信される。例として、そのような保護が必要な情報には、コンテンツを適切に伸張するのに必要な動的情報が含まれる。動的情報は、1)量子化テーブル、2)ピクチャコーディング情報である。また、情報は、利用制御情報と同様な識別を含んでもよい。利用制御情報は1)著作権情報、2)組み込み型コピー制御情報(CCI)である。SOFパケットは、フレームにおける最初のいくつかのスライスなどの実際のコンテンツを含むことができる。クリアな状態でこの情報を残すことによって、ハッカーは、後述又は他の形態の選択的暗号化のようなPassage(商標)の複数の選択的暗号化をリバースエンジニアリングすることができる。さらに、コテンツの識別が危険にさらされるだけではなく、コンテンツもまた、コピー又は配信について制限されることなく常に自由にコピーされて操作されてしまう。
【0020】
本発明に相当する実施例は、保護が必要な情報、又は、ピクチャ開始コード及び識別子を他のパケットに置き換えることによって、特許7,151,833号の発明を改善する。通常、その識別子は、SOFパケットの挿入部(効果的にそれを移動させる)においてクリアな状態である。これらの場合において、保護が必要な情報を有するパケットが暗号化される。
【0021】
このアプローチは、相互参照文献(そこでは、重要な情報(クリティカルな情報)は、二重化及び暗号化され、他のデータはクリアな状態のままである)に記載されているようなPassage(商標)の選択的暗号化とともに用いることがきる。通常SOFパケット内に有る保護が必要な情報を、選択して保護(二重化及び暗号化)することができるからである。言い換えれば、例えば、トリック再生を可能にするためにクリアな状態で残されている重要なデータを有するIフレームピクチャヘッダのパケットの代わりに、それのペイロードは、暗号化のために“重要なパケット”として選択することができる後続のパケット(すなわち、次のパケット)に換えられる。この方式において、保護が必要な情報は、暗号化のために選択され、適切にトリック再生を実行する機能が維持される。他の方法においては、フィールドを識別するpicture_coding_typeを有するピクチャヘッダの前のパックヘッダ又はシーケンスヘッダが存在し得る。パックヘッダ又はシーケンスヘッダは、保護が必要な情報を含む。この方法において、パックヘッダ又はシーケンスヘッダは保護され、それは、フィールドを識別するpicture_coding_typeを有するピクチャヘッダである。そのピクチャヘッダは、クリアな状態のままである異なるパケットに移動させられる。したがって、本発明に相当する所定の実施例によって、保護が必要な情報は、(ピクチャ開始コード及び識別子を有する)SOFパケットから分離される。これにより、フレームは、Iフレーム、Pフレーム、又は、Bフレームとして識別される。しかし、保護が必要な情報は、暗号化されている異なるパケットに置き換えられる。したがって、保護が必要な情報は、クリアな状態ではないが、フレームの識別は、トリック再生用インデックスファイルの生成ができることを保証するようクリアな状態のままである。しかし、保護が必要な情報は、暗号化されている。
【0022】
図1は、本発明に相当する所定の実施例によって、104から開始するプロセス100を示す。パケットの選択基準は、どのパケットを暗号化するか決定するために108で設定される。例えば、そのような選択基準は、上記の選択暗号化用の選択基準(SOFヘッダパケットを除いた全コンテンツの完全暗号化も含む)のいずれかによって設定されてもよく、また、時おり変化させてもよい。選択基準が設定されると、112でパケットが受信される。116で、パケットが選択基準を満たさない場合、120ではパケットの暗号化を行わず、そして、126に進む。116で、パケットが選択基準を満たす場合、制御は126に直接進む。その場合、パケットがSOFヘッダを含むか検査される。含む場合、128において、パケットの暗号化が行われない。含まない場合、130においてパケットの暗号化が行われる。
【0023】
制御が128から132へ進む。そして、132で、保護が必要な情報、又は、暗号化によって保護が望まれる情報は、所定の方法でデータを挿入することにより埋められる。その方法は、保護すべきと考える情報の場所をデータストリームにおける後続の位置に変えることでる。その埋めることは、任意の方法によって達成することができる。その方法は、ピクチャフレーム開始コード及び識別子からストリームの他の場所に保護が必要な情報を移動させることで行われる。制限ではないが、そのような方法は、ここでは、埋め込みと呼ぶ。望ましい実施例において、埋め込み機能は、“Specification of the Transport Stream syntax and semantics”のセクション2.4.3及びITU−T勧告H.222.0(07/95版)(また、ITU−T勧告H222.0(1995E)又はISO/IEC13818−1:1996(E)としても知られている)における表2−2及び2−6に記載されているような適応フィールドを用いて実行され得る。それらの全内容は参照によってここに組み込まれる。ある実施例において、適応フィールドによる方法は、挿入バイトを直接用いることができ、又は、“プライベートデータ”を用いて偽データを生成することができる。この技術を用いることで、既存の適応フィールドが存在しない場合、適応フィールドは生成される。挿入バイトを用いる場合、挿入バイトは、上述のITU−T H222.0で定義されている通り“1111 1111”の値を有する。さらに、偽データを生成する場合、それは任意の値とすることができる。挿入バイト及び挿入プロセスは、上記表のセクション2.4.3、同様にそれの20頁及び38頁(その文献のレイアウトに依存するが)に記載されている。フィールドを次のパケットに移動する、その他の考え得る方法は、ストリームシンタックスを用いることである。ストリームシンタックスの例は、“next_start_code()”機能を使用する。その機能は、ビット及びバイトを埋め込む方法のような様々なヘッダ構造をパーシングすることの一種である。“0000 0000”の値を設定する任意のバイト数を用いることができる。適応フィールド又はストリームシンタックスを用いるそのようなバイトは、本発明の実施例に相当する埋め込みを達成するよう用いられ得る。他の埋め込みの方法は当業者であれば想到することができるであろう。
【0024】
次に、制御は130又は132から134へ進む。134で、最後のパケットではない場合、112で、次のパケットを受ける。プロセスは、コンテンツの最後(最後のパケット)に到達するまで繰り返される。134で、最後のパケットを受けたとき、プロセスは138で終了する。この明細書の目的のために、最後のパケットはSOFヘッダを含まないと仮定する。そのようなパケットからの情報は、(最後のパケットであるかもしれない)後続のパケットに埋め込まれるからである。
【0025】
したがって、本発明に相当する一実施例によって、選択的にデジタルビデオコンテンツを暗号化する方法は、デジタルビデオコンテンツを含む複数のパケットを受けることと、パケットを識別することと、フレーム開始(SOF)ヘッダを含むパケットを識別することと、パケットに埋め込みを挿入し、SOFヘッダの位置を、SOFヘッダを有するパケットから保護が必要なデータを維持するために埋め込みを用いて調整することと、選択基準に従い暗号化対象の所定のパケットを選択することとを含む。さらに、その選択されたパケットには、SOFヘッダを含む埋め込まれたパケットは含まれておらず、選択されたパケットを暗号化し、さらに、暗号化されていないSOFヘッダを含む埋め込まれたパケットを保持し、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを形成する。
【0026】
ある実施例において、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、電子ストレージメディアに保存され、及び/又は、受信機に送られる。ある実施例において、選択基準は、SOFヘッダを有するパケットを除く全てのパケットの選択を含む。ある実施例において、選択基準は、SOFヘッダを含むパケットを除いた所定のパケットの選択を含み、その場合、所定のパケットは、SOFヘッダを含むパケットを除いて残ったパケット全てより少ないことを示す。ある実施例において、方法は、プログラムされたプロセッサ上で実行される。ある実施例において、埋め込まれたパケットは、適応フィールドのプライベートデータフィールドにおいて、挿入バイト又は偽データの挿入によって埋め込まれ、データを後続のパケットに進め、及び/又は、ゼロの文字を埋めることを用いたとしても、SOFヘッダを後続のパケットに進める。そのゼロの文字は、デコーダにおけるnext_start_codeの検索機能によってフィルターにかけられる。ある実施例において、選択は、SOFヘッダを含む埋め込まれたパケットの前又は後ろのパケットを選択することを含む。電子ストレージメディアは、プログラムされたプロセッサ上で実行されるこの方法を実行する指示を記憶することができる。
【0027】
他の実施例において、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをデコーディングする方法は、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信することを含んでおり、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、フレーム開始(SOF)ヘッダを含んでいる暗号化されていないパケットを有する。SOFヘッダを含んでいる暗号化されていないパケットは埋め込まれ、これにより、SOFヘッダを含んでいるパケットに元からあるコンテンツは、後続のパケットまで進み、その後続のパケットは、後続のパケットに移動したSOFと一緒に暗号化されている元のパケットにおいて暗号化又は維持されている。さらに、その方法は、Iフレーム及びPフレームうちの少なくとも一つについてSOFへッダからのオフセットを計算し、計算したオフセットをオフセットテーブルとして記憶する。
【0028】
さらに、ある実施例において、方法は、オフセットテーブルにアクセスし、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツのトリック再生を可能にする。ある実施例において、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツは、電子ストレージメディアに記憶されている。ある実施例において、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツは、コンテンツ提供者から受信機に送信される。ある実施例において、暗号化されているデジタルビデオコンテンツは、SOFヘッダを含むパケットを除いて全て暗号化されている。ある実施例において、パケットはSOFヘッダを含み、所定の他のパケットは暗号化されておらず、さらに、さらなる所定のパケットは暗号化されている。ある実施例において、埋め込むパケットは、適応フィールドにおける挿入バイトの組み入れ又はプライベートフィールドにおける偽データの組み入れによって埋め込まれ、データを後続のパケットまで進める。ある実施例において、選択は、SOFヘッダを含むパケットの前のパケット又は後のパケットを選択することを含む。ある実施例において、プロセスは、プログラムされたプロセッサ上で実行され得る。ある実施例において、電子ストレージメディアは、プログラムされたプロセッサ上で実行されるこの方法を実行する指示を記憶する。
【0029】
図2は、クリアなデータストリーム204を選択的に暗号化されたデータストリーム208に変換するプロセスの実施例を示す。クリアなストリーム204は一連のパケットを有する。そのパケットは、それぞれプログラム識別子(PID)Aを有する。パケット212及び214はSOFヘッダを有し、さらに、パケット218、220、222、224、及び226は、ビデオデータストリームの一部を形成する他の情報を有する。この例の暗号化プロセスの一部として、SOFヘッダを含んでいるパケットを除く全てのパケットは暗号化されている。したがって、パケット212及び214は、暗号化が望まれている任意の情報を埋め込むことによって処理され、パケット213及び215が生成される。これにより、そのデータを後続のパケットに換えられ、そして、それらの埋め込まれた形態で、選択的に暗号化されているストリーム208に送られる。パケット218、220、222、224、及び、226は、暗号化され、それぞれ、暗号化されたパケット238、240、242、244、及び、246を生成する。この実施例において、例示を簡単にするために、SOFヘッダパケット間のパケット数の関係を1対1と仮定する。しかしながら、これは必ずしも、SOFパケット212及び214からのデータが他のパケットに置き換えられるとは限らない。実際、238、240、242、244、・・・、246のストリームは、218、220、222、224、・・・、226によって表されるパケットの数より多くのパケットを含むことができる。さらに、例として、パケット218のコンテンツは、(少なくとも)238がパケット212から前方に埋め込まれたデータを取り込んでいることから、パケット238のコンテンツと1対1の対応を有していない。しかしながら、例ではあるが、238、240、242、244・・・として表されているパケットは、パケット218、220、222、224・・・とパケット212からの保護が必要な情報を加えた情報全てを含んでいる。したがって、このプロセスは、特定のコンテンツに依存して、パケットを含んでいる各SOFヘッダ間のパケットの数を多くてもパケット一つずつ増加させるが、パケットを含んでいる2つのSOF間のパケットの数は全く増加させない。
【0030】
(例えば、テレビ、PVR、テレビ用セットトップボックス、又は、セットバックボックスにおける)デコーダにおいて、(例として)SOFヘッダ213及び215が暗号化されていないという事実は、240でトリック再生のためのオフセットの計算を可能にする。これらオフセットは、254で、ローカルのトリック再生用オフセットテーブルに記憶することができ、適切なIフレーム及び/又はPフレームへの高速なアクセスを可能にすることでトリック再生が行われる。SOFヘッダパケットにおける保護が必要なコンテンツを前方向に移動させることから、そのコンテンツは暗号化によって保護され続ける。
【0031】
図3は、クリアなデータストリーム304を選択的に暗号化されているデータストリーム308に変換するプロセスの実施例を示す。本実施例において、選択的暗号化の選択基準は、SOFヘッダを含んでいないパケットを部分的にのみ暗号化することである。しかしながら、選択基準は、SOFヘッダを含んでいるパケットの後のパケットを暗号化するべきである(保護が必要な情報をSOFヘッダから何処に移動させるかを予測する。他の実施例において、保護が必要な情報をストリームにおける他の場所に制限なく移動させることができる。)。クリアなストリーム304は、一連のパケットを有する。そのパケットは、それぞれプログラム識別子(PID)Aを有する。パケット312及び314はSOFヘッダを有し、さらに、パケット318、320、322、324、及び326は、ビデオストリームの一部を形成する他の情報を有する。この例の暗号化プロセスの一部として、SOFヘッダ以外の情報を含んでいる所定のパケットのみを暗号化する。図示している通り、パケット312及び314は埋め込まれ、暗号化の保護対象である保護が必要な情報を移動させる。そして、その埋め込まれたパケットは選択的に暗号化されているストリーム308へパケット313及び315として送られる。パケット318、322、及び、326は暗号化され、それぞれ、暗号化されたパケット338、342、及び、346が生成される。その場合、図示されているように、パケット338及び346は、保護が必要な情報を含んでいるパケットであり、その情報は、SOFヘッダを含んでいるパケットから移動させられた情報である。さらに、図2の実施例のように、一つ以下の追加のパケットを、SOFヘッダを有するパケットそれぞれの間で要求することができる。そのSOFヘッダを有するパケットはデータの埋め込みからなる。
【0032】
(例えば、テレビ、PVR、テレビ用セットトップボックス、又は、セットバックボックスにおける)デコーダにおいて、SOFヘッダが暗号化されていないという事実は、340でトリック再生のためのオフセットの計算を可能にする。これらオフセットは、354で、ローカルのトリック再生用オフセットテーブルに記憶することができ、適切なIフレーム及び/又はPフレームへの高速なアクセスを可能にすることでトリック再生が行われる。
【0033】
選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツがストリーム208又は308として生成されるとき、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツは、電子ストレージメディアに記憶することができ、又は、一又は二以上の受領側に送信することができる(例えば、ケーブルコンテンツ提供者又は衛星コンテンツ提供者によって、受信機及びデコーダとして機能する受信契約者のセットトップボックスへダウンロード、ストリーミング、又は、放送する)。
【0034】
本発明の所定の実施例は、SOFヘッダパケットをクリアな状態で維持するが、暗号化の対象となる保護が必要なデータを、データを埋め込むことによって取り除く。これは、株式会社ブロードコムによって製造販売されているモデル番号7030などのような商用的に利用可能なデコーダ用チップが、Iフレーム、Pフレーム、及び、Bフレームへのバイトのオフセットを計算することを可能にする。トリック再生の動作のために、オフセットは、デコーダ(例えば、セットトップボックス)が、例ではあるが他のコンテンツのデコードを行うことなくIフレームごと又は4つのIフレームごとに再生することを可能にする。上述の通り、SOFヘッダは暗号化されておらず、さらに、残りのコンテンツも完全に暗号化されている必要がない。
【0035】
上記プロセス(エンコーディングとデコーディングの両方)は、図4のコンピュータ400として示されているようなサーバ/エンコーダとして機能するプログラムされている汎用目的の任意かつ適切なプロセッサ上で実行され得る。コンピュータ400は、プログラミングに依存して、暗号化プロセッサ又はデコーダのどちらかに相当し得る。コンピュータ400は、一又は二以上の中央演算処理装置(CPU)410を有する。その中央演算処理装置は、一又は二以上の関連バス414を有し、その関連バス414は、既知の方法で中央演算処理装置410とランダムアクセスメモリ418及び不揮発性メモリ422とを接続するよう用いられる。ディスプレイやプリンターなどの出力装置426は、MSOの使用のための出力又はユーザのための出力を表示又は印刷するために、さらには、グラフィックユーザインタフェース(GUI)などのようなユーザインタフェースを提供するために用いられる。エンコーダの例において、出力装置426は、暗号化されたコンテンツ又は選択的に暗号化されたコンテンツを送信するための送信機を含む。同様に、キーボード、マウス、リムーバブルメディアリーダ430などのような入力装置は、操作者による情報の入力のために用いられる。テレビ受信機の実施例において、入力装置430は、テレビ受信機を含む。エンコーダの例において、入力装置は、エンコード及び暗号化されているコンテンツのソースを含む。コンピュータ400が(例えば、テレビ用STBの一部を形成する)デコーダとして用いられる場合、コンピュータ400は、大量な情報を記憶するための内蔵ディスク及び/又は外付けディスク、又は、他のマスストレージ(例えばディスクストレージ及び/又は光学ストレージ)434を備える。その情報は、以下に限定しないが、オペレーティングシステム、(暗号化エンコード用の)暗号化プロセス、又は、オフセット算出及びローカルのオフセットテーブルを含む。MSOで用いられる場合、コンピュータシステム400は、ケーブルシステムへの接続のためのインタフェース438を有する。単一のコンピュータとして用いる場合、デジタルコンテンツの提供者は、リンクされた複数のコンピュータを利用する。そのコンピュータは、ここに開示した機能を実行する。コンピュータシステムは、テレビ用セットトップボックス、PVR、又は、デコーディング処理を実行するそれらと同様なものなどのようなテレビ用受信機装置の一部として実装することができる。そのような装置の例は、既知であり、本出願で関連参照する7,151,833号でも示されている。したがって、ここでは明確には開示していない。
【0036】
ある実施例よると、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをデコーディングするためのデコーダは、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信する受信機を有する。その場合、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、暗号化されていないパケットを有し、暗号化されていないパケットは、フレーム開始(SOF)ヘッダを含んでいる。暗号化されていないパケットは、埋め込みが行われるSOFヘッダを含んでいる。その埋め込みは、SOFヘッダを含んでいるパケットに元から有るコンテンツを、暗号化されているパケットの前に進める又は左におくことで行われる。オフセット算出器は、少なくとも一つのIフレーム及びPフレームのためのオフセットをSOFヘッダから計算する。ストレージ装置は算出したオフセットをオフセットテーブルとして記憶する。
【0037】
ある実施例において、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツのトリック再生を可能にするようオフセットテーブルにアクセスする。ある実施例において、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、電子ストレージメディアに記憶される。ある実施例において、選択的暗号化デジタルビデオコンテンツは、コンテンツ提供者から受信機に送られる。ある実施例において、暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、SOFヘッダを含むパケットを除いて全て暗号化される。ある実施例において、SOFヘッダを含むパケット、さらに、他の所定のパケットは暗号されておらず、一方で、さらなる他のパケットは暗号化される。ある実施例において、他の所定のパケットは、SOFヘッダを含む埋め込まれたパケットの直後に続くパケットを含む。ある実施例において、オフセット算出器は、プログラムされたプロセッサによって実装される。ある実施例において、埋め込まれたパケットは、適応フィールドのプライベートデータフィールドにおける挿入バイトの組み入れによって埋め込まれ、その組み入れは、後続のパケット又は異なるパケットへデータを進める。パケットは、ストリームシンタックス用埋め込み文字を用いて埋め込まれる。その埋め込み文字は、デコーダのICによってフィルタがかけられる。ある実施例において、オフセットテーブルは、電子ストレージメディアに記憶される。
【0038】
ある実施例において、デジタルビデオコンテンツの選択的暗号化のための選択暗号化用エンコーダは、デジタルビデオコンテンツを含む複数のパケットを受信するためのエンコーダを有する。プロセッサは、フレーム開始(SOF)ヘッダを含むパケットを識別する。さらに、プロセッサは、SOFヘッダを含むパケットに埋め込み部を挿入し、SOFヘッダに関してパケットのコンテンツの位置を移動させる。プロセッサは、選択基準にしたがい、暗号化のための所定のパケットを選択する。これにより、選択されているパケットには、フレーム開始(SOF)ヘッダを含んでいる埋め込まれたパケットは含まれない。暗号化器は選択されたパケットを暗号化する一方で、暗号化されていないSOFヘッダを含んでいるパケットを保持し、選択的に暗号化されているデジタルビデオコンテンツを形成する。
【0039】
ある実施例において、電子ストレージメディアは、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを記憶する。ある実施例は、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信機に送信するための送信機である。ある実施例において、選択基準は、SOFヘッダを含むパケットを除いたパケット全ての選択を含む。ある実施例において、選択基準は、SOFヘッダを含むパケットの選択を除いた所定のパケットの選択を含んでおり、この場合、その所定のパケットとは、SOFヘッダを含むパケットを除く残りのパケット全てより少ないことを意味する。ある実施例において、他のパケットには、SOFヘッダを含む埋め込まれたパケットの直前又は直後のパケットを含む。ある実施例において、埋め込まれたパケットは、挿入バイト又は埋め込みバイトの組み込みよって埋め込まれ、データをパケットの前又は後ろに移動させる。又は、他の方法で、保護が必要なデータを他のパケットに移動させる。
【0040】
当業者であれば、本発明に相当する実施例がプログラムされたプロセッサ(例えば、コンピュータ400)の使用に基づく典型的な実施例に関して記載されていることは理解されるであろう。しかしながら、本発明は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと同様なものなどである専用ハードウエア及び/又は専用プロセッサなどと同様なハードウエアの構成要素を用いて実装できることから、典型的な実施例に限定されるべきではない。同様に、汎用的なコンピュータ、マイクロプロセッサベースのコンピュータ、マイクロコントローラ、光学コンピュータ、アナログコンピュータ専用プロセッサ、及び/又は、専用配線論理(hard wired logic)は、本発明の他の均等な実施例を構成するよう用いることができる。さらに、本発明は、再生メカニズムを有する汎用パーソナルコンピュータに関して記載されているが、再生は、本発明から逸脱することなく専用メカニズムで実行することができる。
【0041】
当業者であれば、上述の実施例を実装するのに用いたプログラムのステップ及び関連データがディスクストレージだけでなく他のストレージの形態を用いて実装可能であることは理解されるであろう。本発明から逸脱しない範囲において、他のストレージは、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置、光学ストレージ要素、磁気ストレージ要素、光磁気ストレージ要素、フラッシュメモリ、コアメモリ、及び/又は、他の同様なストレージ技術などである。
【0042】
ここで実施例に記載されているような本発明は、プログラムの指示を実行するプログラムされたプロセッサを用いて実装される。その指示は、上述の形態で広範に記載されている。さらに、その指示は、任意かつ適切な電子ストレージメディアに記憶され、又は、任意かつ適切な通信メディアを介して送信され、そしてその他として、任意のコンピュータが読み取り可能なメディア又は伝播用メディアの中で提供される。しかしながら、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、上述のプロセスが多くのバリエーションで、そして、多くの適切なプログラム言語で実装可能であることを理解するであろう。例えば、所定の動作の実行順序は、本発明から逸脱することなく頻繁に変更され得る。そして、追加の動作が加えられ、さらに、ある動作は削除されることがある。本発明から逸脱することなく、エラー取得を追加、及び/又は、機能拡張することができ、そして、ユーザインタフェース及び情報表示を変更することができる。そのような変更は、均等であると意図及び考えられる。
【0043】
本発明の所定の態様を具体化するソフトウエアのコード及び/又はデータは、コンピュータ読み取り可能なメディア、伝送媒体、ストレージメディア、又は、伝播メディアにおいて用いられ得る。それらメディアは、以下に限定しないが、上述のような電子ストレージ装置、さらには、搬送波、電気信号、データ構造(例えば、ツリー構造、リンクリスト構造、テーブル構造、パケット構造、フレーム構造など)、光学的信号、伝播用信号、放送信号、送信メディア(例えば、回路接続、ケーブル、ツイストペア、光ファイバーケーブル、導波管、アンテナなど)、及び、そのようなコード及び/又はデータを記憶、搬送、又は、通過させる他のメディアを含む。そのようなメディアは、ソフトウエアのコード及び/又はデータの記憶するか、それとも、そのようなコード及び/又はデータをある場所から他の場所へ送信するよう機能する。典型的な実施例において、MPEGに準拠したパケット、スライス、テーブル、及び、他のデータ構造が用いられる。しかし、これを限定と考慮すべきではない。他のデータ構造も本発明から逸脱することなく同様に用いることができるからである。
【0044】
ある実施例が記載されている一方で、上述の説明を考慮することで、当業者にとって多くの代替案、変形、置換、及び、変更が明らかであることは明確である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルビデオコンテンツを選択的に暗号化する方法であって、
前記デジタルビデオコンテンツを含む複数のパケットを受信するステップと、
フレーム開始(SOF)ヘッダを含むパケットを識別するステップと、
SOFヘッダを含む前記パケットに埋め込み部を挿入し、当該SOFヘッダを含むパケットのコンテンツを異なるパケットに移動するステップと、
暗号化対象の所定のパケットを選択基準によって選択するステップと、
を含み、
選択された前記パケットには前記SOFヘッダを含むパケットは含まれていないことを特徴とし、
さらに、方法は、
前記SOFヘッダを含むパケットであって、暗号化されていない当該パケットを維持し、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを形成するステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを電子ストレージメディアに記憶するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信機に送信するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケット以外の全てのパケットを選択することを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケットの前方のパケットを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケットの後方のパケットを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケット以外の所定のパケットを選択することを含み、当該所定のパケットは、前記SOFヘッダを含むパケットを除いた残りのパケットの全てより少ないことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、プログラムされたプロセッサ上で実行されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、埋め込まれた前記パケットは、適応フィールドのプライベートデータフィールドにおける挿入バイトの組み込み又は偽データの組み込みによって埋め込まれ、データを異なるパケットに移動させることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、埋め込まれた前記パケットは、ストリームシンタックスによりフィルタがかけられる埋め込みバイトの使用によって埋め込まれることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記選択するステップは、前記SOFヘッダを含む埋め込まれた前記パケットの後にあるパケットを選択することを特徴とする方法。
【請求項12】
プログラムされたプロセッサ上で実行される指示であって、請求項1に記載のデジタルビデオコンテンツを選択的に暗号化する方法を実行する指示を記憶する電子ストレージメディア。
【請求項13】
選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをデコーディングする方法であって、
フレーム開始(SOF)ヘッダを含む暗号化されていないパケットを有する前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信するステップを含み、
SOFヘッダを含む前記暗号化されていないパケットには埋め込みが行われ、これにより、当該SOFヘッダを含むパケットに元からあるコンテンツが暗号化されたパケットに置き換えられることを特徴とし、
さらに、方法は、
Iフレーム及びPフレームの少なくとも一つのためのオフセットを前記SOFヘッダから計算するステップと、
計算された前記オフセットをオフセットテーブルとして記憶するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記オフセットテーブルにアクセスし、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツのトリック再生を可能にするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツが電子ストレージメディアに記憶されていることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツがコンテンツ提供者から受信機に送信されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、前記暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、前記SOFヘッダを含むパケットを除いて全て暗号化されていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、前記SOFヘッダを含むパケット、そして、所定の他のパケットは暗号化されていないが、所定のさらなる他のパケットは暗号化されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、埋め込まれた前記パケットは、適応フィールドのプライベートデータフィールドにおける挿入バイトの組み込み又は偽データの組み込みによって埋め込まれ、データを異なるパケットに移動させることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法において、前記選択するステップは、前記SOFヘッダを含む埋め込まれた前記パケットの後にあるパケットを選択することを含む方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法において、プログラムされたプロセッサ上で実行されることを特徴とする方法。
【請求項22】
プログラムされたプロセッサ上で実行される指示であって、請求項13に記載の選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをデコーディングする方法を実行する指示を記憶する電子ストレージメディア。
【請求項23】
選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツをデコーディングするデコーダであって、
フレーム開始(SOF)ヘッダを含む暗号化されていないパケットを有する前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信する受信機を備え、
SOFヘッダを含む前記暗号化されていないパケットには埋め込みが行われ、これにより、当該SOFヘッダを含むパケットに元からあるコンテンツが暗号化されている異なるパケットに移動させられることを特徴とし、
さらに、デコーダは、
Iフレーム及びPフレームの少なくとも一つのためのオフセットを前記SOFヘッダから計算するオフセット算出器と、
計算された前記オフセットをオフセットテーブルとして記憶する手段と、
を備えることを特徴とするデコーダ。
【請求項24】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記オフセットテーブルにアクセスし、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツのトリック再生を可能にする手段をさらに含むことを特徴とするデコーダ。
【請求項25】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツが電子ストレージメディアに記憶されていることを特徴とするデコーダ。
【請求項26】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツがコンテンツ提供者から受信機に送信されることを特徴とするデコーダ。
【請求項27】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記暗号化されたデジタルビデオコンテンツは、前記SOFヘッダを含むパケットを除いて全て暗号化されていることを特徴とするデコーダ。
【請求項28】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記SOFヘッダを含むパケット、そして、所定の他のパケットは暗号化されていないが、所定のさらなる他のパケットは暗号化されていることを特徴とするデコーダ。
【請求項29】
請求項28に記載のデコーダにおいて、前記所定の他のパケットは、前記SOFヘッダを含んでいる埋め込まれた前記パケットの直後のパケットを含むことを特徴とするデコーダ。
【請求項30】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記オフセット算出器はプログラムされたプロセッサによって実装されることを特徴とするデコーダ。
【請求項31】
請求項23に記載のデコーダにおいて、埋め込まれた前記パケットは、適応フィールドのプライベートデータフィールドにおける挿入バイトの組み込み又は偽データの組み込みによって埋め込まれ、データを異なるパケットに移動させることを特徴とするデコーダ。
【請求項32】
請求項23に記載のデコーダにおいて、埋め込まれた前記パケットは、ストリームシンタックスによりフィルタがかけられる埋め込みバイトの使用によって埋め込まれることを特徴とするデコーダ。
【請求項33】
請求項23に記載のデコーダにおいて、前記オフセットテーブルは電子ストレージメディアに記憶されていることを特徴とするデコーダ。
【請求項34】
デジタルビデオコンテンツの選択的暗号化用エンコーダであって、
前記デジタルビデオコンテンツを含む複数のパケットを受信する手段と、
開始フレーム(SOF)ヘッダを含むパケットを識別する手段と、
SOFヘッダを含む前記パケットに埋め込み部を挿入し、当該SOFヘッダを含むパケットのコンテンツを異なるパケットに移動し、前記SOFヘッダを含んでいる当該埋め込まれたパケットを生成する手段と、
選択基準にしたがい暗号化対象の所定のパケットを選択するプログラムされたプロセッサと、
を備え、
選択された前記パケットである選択パケットには、開始フレーム(SOF)ヘッダを有する前記埋め込まれたパケットが含まれていないことを特徴とし、
さらに、エンコーダは、
前記選択パケットを暗号化し、さらに、暗号化されていない前記SOFヘッダを含む前記埋め込まれたパケットを維持することで、選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを生成する暗号化器を備えることを特徴とするエンコーダ。
【請求項35】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを記憶するための電子ストレージメディアをさらに備えることを特徴とするエンコーダ。
【請求項36】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記選択的に暗号化されたデジタルビデオコンテンツを受信機に送信するための送信機をさらに備えることを特徴とするエンコーダ。
【請求項37】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケット以外のパケット全てを選択することを含むことを特徴とするエンコーダ。
【請求項38】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記選択基準は、前記SOFヘッダを含むパケット以外の所定のパケットを選択することを含み、当該所定のパケットは、前記SOFヘッダを含むパケットを除いた残りのパケットの全てより少ないことを特徴とするエンコーダ。
【請求項39】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記所定の他のパケットは、前記SOFヘッダを含んでいる前記埋め込まれたパケットの直後のパケットを含むことを特徴とするエンコーダ。
【請求項40】
請求項34に記載のエンコーダにおいて、前記埋め込まれたパケットは、適応フィールドにおける挿入バイトの組み込み又はプライベートデータフィールドにおける偽データの組み込みによって埋め込まれ、データを異なるパケットに移動させることを特徴とするエンコーダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−531562(P2010−531562A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512257(P2010−512257)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/065437
【国際公開番号】WO2009/038830
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593181638)ソニー エレクトロニクス インク (371)
【Fターム(参考)】