説明

定義された粒径分布を有する改善された結合剤を合成する方法

本発明は、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはビニル芳香族化合物または別のラジカル重合可能なビニル化合物または主にこのようなモノマーからなるモノマー混合物を、連続的な重合法により重合させることによって、塗料の塗布のためのポリマーを製造する方法に関する。殊に、本発明は、ポリマーを溶剤不含で連続的に製造する方法に関し、この方法によって、調節可能な粒体寸法を有する塗料の塗布のための結合剤は製造することができる、本発明により製造されるポリマー顆粒は、微細画分なしの改善された加工可能性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはビニル芳香族化合物または別のラジカル重合可能なビニル化合物または主にこのようなモノマーからなるモノマー混合物を、連続的な重合法により重合させることによって、塗料の塗布のためのポリマーを製造する方法に関する。殊に、本発明は、ポリマーを溶剤不含で連続的に製造する方法に関し、この方法によって、調節可能な顆粒寸法を有する塗料の塗布のための結合剤は製造することができる、本発明により製造されるポリマー顆粒は、微細画分なしの改善された加工可能性を示す。
【0002】
背景技術
塗料の塗布のための(メタ)アクリレート結合材またはビニル芳香族化合物結合剤は、公知技術水準によれば、一般に懸濁重合または溶液重合によって製造される。(メタ)アクリレートは、アクリル酸およびその誘導体、例えばアクリル酸のエステルならびにメタクリル酸およびその誘導体、例えばメタクリル酸のエステルおよび前記成分からなる混合物を含む。
【0003】
これとは異なり、本発明には、連続的な塊状重合法が記載されている。このような方法は、支障のある溶剤なしに実施されることができる。溶剤は、例えば(メタ)アクリレートの重合中に、副反応、例えば連鎖移動反応、望ましくない停止反応またはむしろポリマー類似の反応を生じうる。付加的に溶剤の取扱いは、生産条件下で安全性の危険を意味する。更に、溶剤の選択は、生産プロセスによって、例えば必要とされる反応温度によって限定されていてよい。また、これは、例えば高沸点すぎる溶剤による長すぎる乾燥時間に関連してよりいっそう遅い配合および適用形を損なう。生産に使用される溶剤の他の選択的な方法による除去は、付加的な望ましくない生産工程を必要とし、製造および使用のために2つの異なる溶剤の使用によって付加的に環境を汚染する。更に、生産物中の溶剤残分は、造粒、押出、配合および結合剤の加工の際に妨げになる。更に、塗料の使用において、この付加的な溶剤成分は、例えば光沢、顔料着色または耐候安定性に関連して被膜の品質を損なう。
【0004】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、またはビニル芳香族化合物、または主にこのようなモノマーからなるモノマー混合物の懸濁重合は、原則的に公知である。また、この方法は、溶剤不含で実施される。しかし、塊状重合と比較して、この方法の場合には、大量の水が使用されるという大きな欠点を有する。これは、付加的なプロセス過程、例えば濾過および引続く乾燥を必要とする。この乾燥は、多くの場合に不完全にのみ行なわれる。しかし、既に僅かな残留水含量は、塗料の塗布において、光学的特性、例えば光沢または顔料分散の明らかな妨害をまねく。
【0005】
また、懸濁重合は、連続的に実施されるのではなく、バッチ式運転でのみ実施されうる。このような方法は、連続的運転と比較して融通が利かずかつ非効率的に実施されうる。更に、別の重合法と比較して懸濁重合の欠点は、使用されなければならずかつ後処理後もなお最終製品中に含有されている、数多くの助剤、例えば分配剤、乳化剤、消泡剤または別の助剤にある。これらの助剤は、不純物として塗料において例えば、減少された光沢度、顔料の劣悪な分散または不十分に洗浄除去された、有機溶剤中で不溶性の分配剤による斑点をまねく。また、極性コモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、アミノ官能性(メタ)アクリレートまたはヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの極めて制限された共重合可能性は、欠点である。それぞれのモノマー混合物に対する前記モノマーの割合は、モノマーの水溶性のために著しく制限されなければならない。更に、懸濁重合の大きな欠点は、必要とされる反応温度にある。このような方法は、極めて小さな温度ウィンドウにおいて実施可能である。100℃を上廻る温度は、使用される水のために原則的に劣悪にのみ調節可能である。圧力下および100℃を上廻る温度での理論的実施は、このような条件下で付加的に改善された、水相中でのモノマーの溶解度によって推奨されるものではない。これとは異なり、低すぎる温度の場合、懸濁重合は、極めて緩徐に進行するかまたは完全には進行せず、プロセスに適合した粒径を形成するように調節することは、極めて困難である。塗料の塗布のための結合剤としての懸濁重合体を製造するための1つの例は、欧州特許第0190433号明細書中に見出せる。
【0006】
更に、本発明と比較して懸濁重合の欠点は、生成物の粒径にある。懸濁重合体が数マイクロメートルから最大1センチメートルまでの粒径範囲で生じることは、当業者に公知である。しかし、大きなパール重合体であっても、付加的に大きな割合の微細粒子を有する。この微細粒子の割合は、このような材料の若干の欠点をまねく。一面で、この生成物の割合は、材料の精製、乾燥および包装の際に微細ダストの爆発の危険を生じるまでの問題をまねく。他面、当該の微細粒子の割合を有する生成物は、押出プロセスにおいて使用されることができない。大抵の押出機は、原料を取り込むために、そのために最適な粒子の最小値を必要とする。しばしば起こる、粒子の不均一性も1つの欠点であり、この不均一性は、例えば溶解プロセスにおいて極めて異なる溶解時間をまねく。
【0007】
更に、懸濁重合の欠点は、塊状重合と比較してエネルギー最終量にある:約50%の水相の加熱および重合後に必要とされる、この水相の冷却は、エネルギー費用が掛かり、かつ多大な時間を要する。
【0008】
攪拌タンクまたは容器中での非連続的な塊状重合は、原則的にモノマーの不完全な変換のみを生じ、ひいては残留モノマーの高い割合を生じ、この残留モノマーは、他方で塗料特性を損なうかまたは配合前に費用をかけて除去されなければならない。更に、生成物の造粒は、別々の処理工程で行わなければならず、生産プロセスに組み込むことはできない。
【0009】
ポリ(メタ)アクリレートを製造するための数多くの異なる連続的な塊状重合法は、当業者に公知である。欧州特許第0096901号明細書には、例えばスチレン、α−メチルスチレンおよびアクリル酸からなるモノマー混合物を攪拌タンクに連続的に供給し、同時にポリマーを除去することが記載されている。反応温度として、170℃〜300℃の範囲が記載されている。重合が連続的に運転される攪拌タンク中で不完全にのみ進行する可能性があり、残留モノマーの高い割合を有する生成物を生じなければならないことは、当業者には簡単に明らかである。更に、欧州特許第0096901号明細書には、生成物を後処理するかまたは造粒する処理工程は、全く記載されていない。そうこうするうちに、管状反応器を設けることは、連続的な塊状重合を実施するために著しく重要なことである。WO 98/04593には、アクリレート樹脂を連続的に製造するかまたはスチレン、α−メチルスチレンおよびアクリル酸からコポリマーを連続的に製造することが記載されている。この重合は、180℃〜260℃の温度で実施される。分散剤または乳化剤の使用のために類似組成のポリマーを210℃〜246℃の温度範囲内で製造することは、米国特許第6476170号明細書中に説明されている。WO 99/23119には、接着剤樹脂を管状反応器中で100℃〜300℃の重合温度で製造することの特許保護が請求されており、WO 2005/066216には、溶融接着剤を130℃未満の温度で製造することの特許保護が請求されている。この場合に記載された全ての生成物は、記載された方法において造粒または類似の後処理に掛けられない。これは、一般にワックス状または液状で存在する、接着剤またはヒートシール接着剤の用途における生成物のための通常の遣り方に相当する。また、ラッカーまたはペイントの形での塗料は、用途として記載されていない。
【0010】
同様のことは、WO 98/12229に記載された重合法にも当てはまる。これは、管状反応器の変形である:循環路反応器。前記の特許保護が請求された方法の目的は、成形体の生産のためにポリメタクリレートを製造することであった。生成物の造粒または被膜中での使用は、記載されていない。また、例えば連続的に運転される混練機中での処方の変更は、このような管状反応器におけるよりも明らかに僅かな費用と関連している。また、反応区間は、明らかに短く、または混合、ひいては反応空間中での滞留時間は、効率的である。これは、他方でこのような管状反応器において潜在的に生成物のよりいっそう大きな熱負荷をまねく。
【0011】
(メタ)アクリレートを連続的に塊状重合するための新しい世代は、いわゆるテイラー反応器である。この反応器も幅広の温度範囲内で使用可能である。被膜のための結合剤を製造するための相応する方法の詳細な記載または接着剤またはシール材を製造するための相応する方法の詳細な記載は、WO 03/031056に見出せる。しかし、また、この反応器は、劣悪な混合およびどちらかといえばむしろ長い滞留時間という欠点を有する。
【0012】
WO 03/031056には、実際に本発明による方法の潜在的使用としての塗料が記載されている。しかし、重合後の加工、殊に造粒は、記載されていない。反応器への連続的供給のための他の選択的な方法は、反応押出法である。WO 2007/087465には、接着用途のためのポリ(メタ)アクリレートを連続的に製造するための方法が設けられている。しかし、製品の微細構造を意図的に調節することは、今日まで記載されたことはなかった。
【0013】
反応押出は、混練機技術に原理的に極めて類似している。WO 2006/034875には、熱可塑性樹脂およびエラストマーをガラス転移温度を上廻る温度で逆混合型混練反応器中で連続的に塊状重合、殊に単独重合または共重合するための方法が記載されている。この場合、モノマー、触媒、開始剤等は、連続的に反応器中に導入され、既に反応された生成物と逆混合される。同時に、反応された生成物は、連続的に混合型混練機から除去される。この方法は、例えばMMAの連続的な塊状重合に使用されることができる。未反応のモノマーは、揮発成分除去装置によって分離され、反応器に再び供給されることができる。混練機技術を用いると、不利な反応押出と比較して、比較可能なスループットタイムで明らかによりいっそう高い変換率を達成することができる。反応押出により比較可能な変換率を実現させるために、明らかによりいっそう長い滞留時間を押出区間に計画しなければならないか、または明らかに延長された押出室を計画しなければならない。しかし、これは、材料のよりいっそう高い熱負荷をまねき、製品の変色または不均一な分子量分布のような欠点をもたらしうる。
【0014】
WO 2007/112901には、粘稠な生成物を処理する方法、殊に熱可塑性樹脂およびエラストマーの単独重合または共重合を実施する方法が記載されており、この場合には、90〜98%の変換率が達成される。単数または複数のモノマー、単数または複数の触媒および/または単数または複数の開始剤および/または連鎖調整剤は、逆混合型混練機または混練反応器に連続的に供給され、既に反応された生成物と逆混合され、反応された生成物は、混練機から導出される。この場合、生成物は、混練機中で沸騰温度になるまで加熱され、反応体の一部分は、蒸発され、生成物の発熱量は、沸騰冷却によって吸収される。この方法は、溶剤なしに実施されてもよいし、極めて微少量の溶剤を用いて実施されてもよい。最適な沸騰温度は、圧力を変化させることによって調節される。逆混合は、生成物の予め定められた粘度が達成されるまで行なわれる。粘度は、反応体を連続的に添加することによって維持される。例えば、被膜のための結合剤を製造する際に連続的な塊状重合と組み合わされた、組み込まれた生成物後処理または生成物中の微細粒子の割合を最少化する方法は、引用された刊行物の何れにも記載されていないし、公知技術水準でもない。
【0015】
課題
本発明の課題は、塗料配合物のためのアクリレートまたはメタクリレート(さらに、略して(メタ)アクリレート)を基礎とする改善された結合剤を提供することであった。
【0016】
殊に、本発明の課題は、公知技術水準と比較して改善された加工特性を有する(メタ)アクリレート結合剤を提供することであった。そのために、結合剤は、製造後に顆粒として存在し、微細粒子の割合またはダストの割合、即ち250μmより小さい粒子を0.5質量%未満有する。また、結合剤は、粗大な成分、即ち3mmより大きい粒子を全く含有しない。
【0017】
同時に、本発明の課題は、前記結合剤を連続的な製造方法により製造することであった。この場合、連続的な製造方法は、中断なしに連続的に実施可能な方法を意味し、この方法は、詳細には、モノマーの計量供給、重合、脱ガスおよび造粒の処理工程からなる。
【0018】
更に、溶剤なしに、または10質量%の最大の溶剤の割合で実施することができ、かつ高い変換率で、または極めて僅かな割合の残留モノマーだけを用いて実施することができる環境保護的方法を提供するという課題が課された。
【0019】
付加的に、結合剤は、例えば約214℃の温度で高い熱安定性を有するはずである。これは、ポリマー鎖中に特に僅かな割合の頭−頭結合によって保証されるはずである。
【0020】
もう1つの課題は、本方法を助剤、例えば乳化剤、安定剤または消泡剤の添加なしに実施することができるという、結合剤の高い光沢特性に対して課された要件から判明した。
【0021】
解決策
この課題は、(メタ)アクリレートを高い変換率で溶剤不含で重合させることができる、連続的な塊状重合法の変更された使用によって解決された。懸濁重合と比較して塊状重合法の利点は、助剤、例えば乳化剤、安定剤、消泡剤または別の懸濁助剤の添加なしに製造することができる生成物の純度が高いことにある。
【0022】
更に、利点は、生成物が水から自由であることにある。懸濁重合により製造された結合剤は、しばしば減少された光沢特性を示し、および時々塗料において分散特性も示す。この効果は、ポリマーの微細構造に対してだけでなく、方法により引き起こされた、ポリマーの残留湿分にも帰因する。
【0023】
更に、懸濁重合と比較して塊状重合の利点は、任意の量の親水性コモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、アミノ官能性(メタ)アクリレートまたはヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを使用することである。
【0024】
溶液重合と比較しての利点は、重合プロセスにおける揮発性成分が不在であるかまたは極めて僅かな割合であることであり、或いは一次生成物中の揮発性成分が不在であるかまたは極めて僅かな割合であることである。
【0025】
バッチ式の運転形式における塊状重合と比較しての本発明による利点は、明らかによりいっそう高い達成可能な変換率、ひいては最終製品中の残留モノマーの僅かな割合にある。よりいっそう高い生産速度および処理パラメーターのよりいっそう幅広い変更の可能性は、付加的なファクターである。
【0026】
ラッカーまたは塗料材料のための結合剤を製造するための本発明による方法の特殊な利点は、製品が製造方法の終結時に後加工なしに存在している形にある。重合のための連続的に運転される混練機と、揮発成分除去工程、例えばフラッシュ揮発成分除去装置または揮発成分を除去するため、またはポリマーを熱的に後処理するための揮発成分除去型混練機と、造粒装置との組合せによって、第1に溶剤不含であり、第2に1質量%未満の含水量を有し、第3に専ら、使用されるモノマー、連鎖移動試薬、開始剤に帰因しかつ調節可能な顆粒寸法を有する成分からなる生成物が得られる。
【0027】
この本発明による製造された顆粒は、微細粒子の割合またはダストの割合、即ち250μmより小さい粒子0.5質量%未満を有する。ダストの割合は、後の加工の際に様々な観点から問題になりうる。このような寸法の粒子は、正電荷の形成によって種々の表面上に付着したままになり、すなわち例えばノズルの閉塞をまねく。更に、例えば転換法は、生成物の損失をまねき、特殊な呼吸保護手段を必要とするだけでなく、付加的にダストの爆発の危険を含んでいるダストクラウド(Staubwolken)を形成しうる。
【0028】
更に、本発明により製造された結合剤は、粗大な成分、即ち3mmより大きい粒子を全く含有しない。よりいっそう大きな粒子は、例えばノズルの閉塞をまねくだけでなく、付加的に嵩密度を減少させる。このような粗大な材料の特殊な欠点は、殊に有機溶剤、可塑剤または水中での減少された溶解速度にある。これは、よりいっそう小さな粒子と比較して不利な面積/質量比から簡単に明らかに判明する。
【0029】
前記課題を解決するための好ましい方法は、連続的に運転される混練機技術である。List社の連続的に塊状重合するためのかかる逆混合型混練反応器の記載は、WO 2006/034875またはWO 2007/112901中に見出せる。重合は、ポリマーのガラス転移温度を上廻って実施される。この場合、モノマー、触媒、開始剤等は、連続的に反応器中に導入され、既に反応された生成物と逆混合される。同時に、反応された生成物は、連続的に混合型混練機から除去される。未反応のモノマーは、残留揮発成分除去装置によって分離され、反応器に再び供給されることができる。同時に、この残留揮発成分除去装置中でポリマーの熱的後処理が実施される。
【0030】
本発明による解決策の特殊な視点は、それぞれの生成物またはそれぞれの用途に対する要件に依存して重合温度を個々に選択することができることである。光沢、熱安定性、顔料の分散特性または湿潤特性および結合剤または塗料配合物の加工特性に関連して製造すべき結合剤の性質は、意外なことに組成、分子量、分子量分布、官能性および末端基に依存するだけでなく、ポリマー鎖の微細構造にも依存する。この場合、微細構造は、ポリマーの鎖中のタクティシティーおよび頭−頭結合の割合を意味する。フリーラジカル的に製造されたポリ(メタ)アクリレートがモノマー組成に依存して僅かな割合のアイソタクチックトライアッドだけを有する、シンジオタクチックセグメントとアタクチックセグメントとの間のコポリマー(トライアッド)であることは、当業者に公知である。特に大きなシンジオタクチック画分を有するポリメタクリレートは、技術的に費用の掛かる方法、例えばアニオン重合により特に低い温度で製造することができるか、または金属により開始される基移動重合(GTP)により立体選択的に作用する触媒を用いて製造することができる。これとは異なり、高度にアイソタクチックなポリマーは、殆ど最後の方法によってのみ実現させることができる。重合に立体選択的に影響を及ぼす第3の可能性は、錯形成剤を光学的に活性の試薬の形で重合溶液中に添加することにある。これについては、例えば欧州特許第1611162号明細書を参照。しかし、この方法は、種々の欠点を有する:一面で、前記の錯形成剤は、溶液重合においてのみ効率的に使用可能であり、他面、助剤は、費用を掛けて除去しなければならないかまたは最終製品の光学的性質に影響を及ぼす、もう1つの重合成分である。
【0031】
更に、塗膜の品質の視点は、光沢にある。既に、光沢は、塗料マトリックス中で含水量または溶剤含量によって著しく影響を及ぼされることが説明された。従来法、例えば溶液重合、懸濁重合または乳化重合と比較して混練機中で本発明により連続的に運転される塊状重合の大きな利点は、塊状重合が溶剤、水または何らかのプロセス助剤、例えば乳化剤、消泡剤、安定剤または分配剤の添加なしに実施されうることにある。しかし、この成分は、使用において光沢特性に不利な影響を及ぼす。
【0032】
しかし、意外なことに、微細構造は、塗料の光沢に対する測定可能な大きな効果に貢献することが付加的に確認された。ポリマー組成に依存して、少ないシンジオタクチック画分を有するポリマーは、80℃で製造された、標準と見なされる懸濁重合体と比較して改善された光沢度を有することを示すことができた。
【0033】
更に、本発明の視点は、214℃まで、有利に230℃まで、殊に有利に250℃までの熱安定性を有する(メタ)アクリレートを基礎とする結合剤を製出することにある。記載された温度での熱安定性は、DIN EN ISO 11358に記載された熱重量分析法(TGA)における1質量%未満の質量損失を意味する。殊に、よりいっそう高い温度での重合は、いわゆる頭−頭結合の形成を促進する。ポリ(メタ)アクリレートの場合に2個の第四級炭素原子を互いに結合しているポリマー鎖における前記結合は、150℃を上廻る温度で熱的に不安定性であり、破断の際に鎖の脱重合を開始することができる。これは、減少された生産収量およびポリマー中の高められた残留モノマー含量を生じる。付加的にこのような製品は、不安定な結合のために減少された貯蔵安定性または耐候安定性を示すことができる。
【0034】
よりいっそう高い重合温度でポリ(メタ)アクリレートにおける頭−頭結合の形成は、塊状重合において観察されうる現象であるだけでなく、相応する温度で製造された溶液重合体の場合にも同様に起こる。本発明において、頭−頭結合の問題、ひいては減少された熱安定性の問題は、終結された重合の後で生成物が熱的に後処理されることによって解決された。120℃を上廻る、有利に160℃を上廻る、特に有利に180℃を上廻る温度で、生成物中に含有されている揮発性成分、例えば残留モノマーまたは場合によっては使用される溶剤は、除去することができるだけでなく、頭−頭結合も開かれ、それによって当該のポリマー鎖は、安定化されるかまたは脱重合され、生じる低分子量化合物は、除去される。こうした再び取得されるモノマーは、場合によってはむしろ重合プロセス中に返送されることができる。このような手段は、混練技術において問題なしに接続された処理工程、例えばフラッシュ揮発成分除去装置、揮発成分除去型混練機または揮発成分除去型押出機によって実現可能である。
【0035】
前記方法の変法において、頭−頭結合の熱分解および揮発成分除去は、互いに別々に行なわれる。最初、ポリマーは、溶融管または熱交換器を介して輸送された。この場合には、熱的後処理が行なわれる。それに引き続いて、上記したように揮発性の成分、例えば残留モノマー、溶剤および熱的後処理の際に形成される揮発性成分は、揮発成分除去型混練機、揮発成分除去型押出機またはフラッシュ揮発成分除去装置により除去され、溶融液は、造粒にさらに導かれる。
【0036】
重合されるモノマーは、(メタ)アクリレート、例えば1〜40個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または脂環式のアルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;それぞれ非置換または1〜4回置換されたアリール基を有していてよいアリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート;芳香族化合物で置換された別の(メタ)アクリレート、例えばナフチル(メタ)アクリレート;エーテルのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたは5〜80個のC原子を有するこれらの混合物、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(メトキシ)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートの群から選択されている。また、選択されるモノマーは、それぞれヒドロキシ官能基化された、および/またはアミノ基官能基化された、および/またはメルカプト官能基化された、および/またはオレフィン官能基化された、および/またはカルボキシル官能基化されたアクリレートまたはメタクリレート、例えばアリルメタクリレートまたはヒドロキシエチルメタクリレートを含む。
【0037】
前記に説明した(メタ)アクリレートに加えて、重合されうる組成物は、前記の(メタ)アクリレートと共重合可能または単独重合可能である他の不飽和モノマーを含有していてもよい。これには、とりわけ1−アルケン、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、分枝鎖状アルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;スチレン、ビニル基にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上に1個以上のアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化されたスチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;複素環式化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよびイソプレニルエーテル;マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド、シクロヘキシルマレインイミドおよびジエン、例えばジビニルベンゼン、ならびにそれぞれヒドロキシ官能基化および/またはアミノ官能基化および/またはメルカプト官能基化および/またはオレフィン官能基化された化合物が含まれる。更に、前記コポリマーは、該コポリマーがヒドロキシ官能基および/またはアミノ官能基および/またはメルカプト官能基および/またはオレフィン官能基を1個の置換基中に有するように製造されてもよい。このようなモノマーは、例えばビニルピペリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、水素化ビニルチアゾールおよび水素化ビニルオキサゾールである。
【0038】
一般にモノマー相に添加される重合開始剤として、通常使用されるラジカル開始剤、殊に過酸化物およびアゾ化合物が使用される。場合によっては、種々の開始剤の混合物を使用することは、好ましい。使用量は、一般にモノマー相に対して0.1〜5質量%の範囲内にある。好ましくは、アゾ化合物、例えばアゾビスイソ酪酸ニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(WAKO(登録商標)V40)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル(WAKO(登録商標)V30)または過酸エステル、例えば第三ブチルペルオクトエート、ジ(第三ブチル)ペルオキシド(DTBP)、ジ(第三アミル)ペルオキシド(DTAP)、第三ブチルペルオキシ−(2−エチルヘキシル)カーボネート(TBPEHC)およびさらに高い温度で崩壊する過酸化物がラジカル開始剤として使用される。更に、適当な開始剤の例は、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、モノクロロベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、p−エチルベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルベンゾエートまたはアゾビス−(2,4−ジメチル)−バレロニトリルである。
【0039】
形成されたポリマーの分子量を調節するために、モノマー相には、通常、自体公知の1つ以上の連鎖移動剤8質量%までが添加されてもよい。例えば、次のものが挙げられる:メルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、第三ドデシルメルカプタンまたはメルカプトエタノール;チオグリコール酸またはチオグリコール酸エステル、例えばチオグリコール酸イソオクチルエステルまたはチオグリコール酸ラウリルエステル;脂肪族クロロ化合物;エノールエーテルまたは二量体α−メチルスチレン。
【0040】
分枝鎖状ポリマーが製造される場合には、モノマー相は、約1質量%までの多官能性モノマー、例えばエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレートまたはジビニルベンゼンを含有していてもよい。
【0041】
粘度を連続的運転される反応器中で最適になるように調節するために、前記系には、場合によっては10質量%までの溶剤または可塑剤が添加されてよい。特に高い溶融粘度では、このような添加は、反応溶液の最適な混合を保証するために必要である。好ましくは、モノマー混合物には、最大5質量%が添加される。特に好ましくは、重合は、溶剤または可塑剤の添加なしに実施される。使用可能な添加剤の場合には、制限は存在しない。この添加剤は、例えばアセテート、脂肪族化合物、芳香族化合物、またはポリーテルまたはフタレートであることができる。
【0042】
本発明により製造される生成物のための適用分野は、幅広いものとなる。好ましくは、(メタ)アクリレートを基礎とする塊状重合体は、例えば金属表面、プラスチック表面、セラミック表面または木材表面の塗装に使用される。塗布材料のための例は、構造体用塗料、船舶用塗料またはコンテナ用塗料中の結合剤としての本発明によるポリマーの使用である。同様に、ポリマーは、路面標識、床塗装、印刷用インク、ヒートシールラッカー、反応性ホットメルト接着剤、接着剤材料またはシール材に使用されてよい。
【0043】
以下に記載された例は、本発明のよりいっそう十分な説明のために記載されるが、しかしながら本発明をこれに開示された特徴に限定するためには適したものではない。
【実施例】
【0044】
粒径
粒径および以下、d50値として記載される粒径分布は、ISO 13320−1に記載のCoulter LS 13320を用いて0.04μm〜2000μmの測定範囲内で測定された。
【0045】
2000μmを上廻る粒径は、付加的にRetsch Technology社のCamsizerを用いてISO/FDISm13322−2.2:2006(E)の記載により測定された。
【0046】
ガラス転移温度の測定
ガラス転移温度は、動的示差熱分析(DSC)を用いてDIN ISO 11357−1の記載により測定する。
【0047】
溶解時間の測定
実施例または比較例による合成の変化しなかった生成物を状態調節されたチャンバー内で23℃で24時間温度調節する。4cmの直径を有するディスソルバーディスクをディスソルバー(Getzmann VMAモデル)に取付け、装置のサーモスタットを23℃に調節する。250mlの二重壁容器中に溶剤90mlを装入し、5分間に亘って弱く攪拌しながら温度調節する。その後、ポリマー試料60gを添加し、蓋を直ちに閉鎖し、攪拌機を1200回転/分に設定する。1分間の間隔で蓋を開き、ガラスピペットを用いて試料を目視的評価のために吸引する。その後、この試料を容器中に残存させた。20分後、測定間隔を5分間に延長する。
【0048】
目視的評価で固体物質または浮遊物質がもはや確認することができなくなったら直ちに、攪拌機を取り外し、時間を記録し、全ての試料を対照に対して目視的に評価する。なお、浮遊物質が確認可能である場合には、全体の測定を繰り返した。
【0049】
全ての測定を全部で5回実施し、相応する表中に測定範囲として記載する。
【0050】
実施例B1、組成物1
連続的な塊状重合
メチルメタクリレート20質量%、n−ブチルメタクリレート80質量%、Dugussa社の開始剤TBPEHC0.4質量%およびエチルヘキシルチオグリコレート0.4質量%(TGEH)からなる混合物を連続的にList社の逆混合型混練反応器に、例えばWO 2006/034875の記載と同様に供給し、同時に反応されたポリマーを連続的に反応器から取り出した。反応器内の内部温度は、140℃である。平均滞留時間は、約30分間である。ポリマー溶融液を反応器の直後に、190℃で熱的に不安定な頭−頭結合が中断されている溶融管を介してList社の揮発成分除去型混練機中に移送し、この揮発成分除去型混練機中で180℃の温度で残りの未反応のモノマーをポリマーから除去する。反応器と揮発成分除去型混練機との間には、試料をTGA測定のために採取する方法が存在する。揮発成分除去型混練機の後方で、ポリマー溶融液を直接に直ちに0.8mmの多孔板を備えた、BKG GmbH社のCompact 120 水中グラニュレーター中に導入する。引続き、この顆粒を乾燥器Master 300中で乾燥し、適当な容器中に捕集し、上記したような粒径を測定する。
【0051】
参考例R1、組成1(懸濁重合)
Inter−MGI攪拌機および還流冷却器を備えた、5 lのHWSガラス型反応器中に脱塩水3200mlを装入し、攪拌機を毎分300回転の回転数に調節し、40℃の外部温度に加熱する。ポリアクリル酸200gおよび硫酸水素カリウム0.5gを添加し、攪拌によって分配させる。(80%)n−ブチルメタクリレート1280g、(20%)メチルメタクリレート320g、Peroxan LP 7.5gおよびTGEH4gをビーカー中で混合し、撹拌下に均質化する。モノマー原液を反応器中にポンプ輸送する。内部温度を85℃に調節する。熱の発生が停止した時点で、重合は終結する。バッチ量を冷却する。母液を吸込フィルターによってパール重合体から分離する。粒径を上記の記載と同様に測定する。
【0052】
実施例B2、組成物2
実施例1と同様に行なうが、しかし、反応器に供給された混合物は、n−ブチルメタクリレート65%、メチルメタクリレート34%、メタクリル酸1%、Dr.Spiess Chemische Fabrik GmbH社のラウリルメルカプタン0.8%から構成されている。揮発成分除去型混練機での揮発成分除去後に、ポリマー溶融液を直接にさらに0.8mmの多孔板を備えた、BKG GmbH社のマイクログラニュレーター中に導入する。引続き、顆粒を実施例B1と同様に乾燥させ、捕集し、粒径を測定する。
【0053】
実施例B3、組成物2
実施例2と同様に行なうが、粗大な粒子を得る目的で1.5mmの多孔板を使用することによって、マイクログラニュレーターの孔径の事前設定を変える。
【0054】
参考例R2、組成2(懸濁重合)
参考例1と同様に行なうが、しかし、メチルメタクリレート510g、n−ブチルメタクリレート975g、メタクリル酸15g、Peroxan LP7.5gおよびDr.Spiess Chemische Fabrik GmbH社のラウリルメルカプタン12gを用いる。
【0055】
参考例R3、組成2(塊状重合)
端部がシーリングストリップで密閉された、間隔が10mmである、2つのガラス板の間にメチルメタクリル酸10g、メチルメタクリレート340g、n−ブチルメタクリレート650g、TRIGONOX 21 S 2.5g(Akzo Nobel社)およびDr.Spiess Chemische Fabrik GmbH社のラウリルメルカプタン3.5gを装入する。金型全体を40℃で24時間水浴中に置く。引続き、100℃でさらに8時間温度調節する。冷却後、生成物を金型から取出し、ミルを用いて微粉砕する。
【0056】
【表1】

【0057】
懸濁重合により得られた2つの比較例は、250μm未満の粒径を有する材料それぞれ7.3質量%または31.6質量%を有する当該微細画分を示す。これとは異なり、本発明により製造されたポリマーは、前記寸法の微細材料を含有しない。同時に、本発明による方法により、懸濁重合体R1またはR2と全く同様に粗大な粒子を含有しないポリマー粉末を製造することが可能である。この成分は、溶解速度および塗料の加工可能性に不利な影響を及ぼすであろう。
【0058】
溶解時間
【表2】

【0059】
参考例R4は、710μm未満の粒径を有する実施例B2からの篩分け画分である。参考例R2との比較は、溶解時間に関連して、粒径とは無関係の大きな効果を全く予想できないことを示す。参考例R2と比較しての実施例B2の溶解時間または参考例R1と比較しての実施例B1の溶解時間は、約2倍のD50値または3倍以上のD50値にも拘わらず、20%〜37%だけ、または約130%高いことも示されている。他面、懸濁重合体の場合と同様に生成物中には微細粒子の割合を全く有しないという大きな利点が存在し、それ故に既述したように、明らかに良好な加工可能性を保証することができる。
【0060】
適当な多孔板を選択することによって、実施例B2では付加的に、僅かな変形によって、粗大粒子画分または微細粒子画分の形成のさらなる阻止下に生成物の溶解時間に関連してさらに本発明による方法を最適化することができることを付加的に示すことができた。
【0061】
非連続的に製造された、公知技術水準により微粉砕された塊状重合(参考例R3)と比較しての利点は、3倍ないし4倍の溶解時間に見ることができる。特に大きな粒子を生じる、造粒された本発明による実施例(B3)であっても、なお明らかに急速な溶解度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料配合物のための(メタ)アクリレートを基礎とする結合剤を、連続的な塊状重合により製造するための塊状重合法において、
プロセスa.)を20℃〜250℃である反応温度で実施し、
b.)モノマーを連続的に供給し、
c.)結合剤を重合直後の連続的なプロセス工程で熱的に後処理し、その後に揮発成分除去するかまたは同時に熱的後処理および揮発成分除去を行ない、
d.)結合剤をその直後に第4の連続的なプロセス工程で造粒し、
およびe.)造粒された結合剤は、250μm未満である粒子の成分最大0.5質量%を有する定義された粒径を有することを特徴とする、塗料配合物のための(メタ)アクリレートを基礎とする結合剤を、連続的な塊状重合により製造するための塊状重合法。
【請求項2】
連続的な重合法は、混練機中での重合である、請求項1記載の塊状重合法。
【請求項3】
a.)結合剤を、専らモノマーおよび開始剤ならびに場合による連鎖移動試薬および溶剤最大10質量%からなるモノマー混合物から製造し、
b.)プロセスを助剤、例えば乳化剤、安定剤または消泡剤の添加なしに実施し、
およびc.)前記プロセス中での熱的後処理によって、ポリマーは、少なくとも214℃までの熱安定性を有する、請求項1記載の塊状重合法。
【請求項4】
反応器に後接続された装置中で120℃を上廻る、有利に160℃を上廻る温度で熱的に後処理することによって、
a.)結合剤は、214℃までの熱安定性を有し、
同時に、または熱的後処理の直後のさらなる連続的に運転されるプロセス工程において、
b.)揮発性成分を結合剤から除去する、請求項1記載の塊状重合法。
【請求項5】
造粒によって篩分けなしに結合剤を得、
a.)3mmより大きい成分を全く含まず、および
b.)250μm未満である成分を最大0.5質量%含む、請求項1記載の塊状重合法。
【請求項6】
反応温度は、100℃を上廻り、ガラス転移温度は、80℃で懸濁重合により製造された、同じ組成を有するポリマーの場合よりも2℃低い、請求項1記載の塊状重合法。
【請求項7】
請求項1における塊状重合法により製造可能である、塗料材料のための(メタ)アクリレートを基礎とする結合剤。
【請求項8】
付加的にスチレンおよび/または別のラジカル重合可能なビニル化合物を含有する、請求項7記載の塗料材料のための(メタ)アクリレートを基礎とする結合剤。
【請求項9】
金属表面、プラスチック表面、セラミック表面または木材表面を塗装するための塗料組成物における請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項10】
船舶用塗料またはコンテナ用塗料における請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項11】
構造体用塗料における請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項12】
路面標識または床塗装における請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項13】
印刷用インクにおける請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項14】
反応性ホットメルト接着剤またはヒートシールラッカーにおける請求項7記載の結合剤の使用。
【請求項15】
接着剤材料またはシール材における請求項7記載の結合剤の使用。

【公表番号】特表2012−517515(P2012−517515A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549499(P2011−549499)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050655
【国際公開番号】WO2010/091919
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】