説明

射出成形機および型調節方法

【課題】改良された型調節機構を備える射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機および型調節方法が提供される。射出成形機は、固定プラテンの一方側に取り付けられ、タイバーと同軸の型調節機構を有する。それぞれの型調節機構は支持フレーム(11)、モータ(12)、型調節駆動ホイール(13)、型調節被駆動ホイール(14)、位置調節用油圧シリンダ(15)、センサおよび制御システムを有する同一構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関し、特に、射出成形機用の型調節機構(mold-adjusting mechanism)および型調節方法(method for mold-adjusting)に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の射出成形機は、クランプユニット、射出ユニット、油圧駆動機構、電子制御機構および機械フレームを主に有する。型は、一定位置に調節され、樹脂の射出前に強力なクランプ力でクランプされ、樹脂が冷やされ硬化するまで保持される。そして、型を開き、生産物が得ることができる。
【0003】
現在の型調節機構には、4つのタイバー(tie bar)の同時調節を必要とするものがある。言い換えれば、4つのタイバーが同期して調節されなければならない。射出成形機のサイズが大きいことから、4つのタイバーの間隔は対応して大きく、従い、これらのタイバーを同期して調節することは困難である。タイバーの同期調節を必要としない射出成形機はあるが、生産サイクル毎の型調節動作は依然として存在し、従い生産サイクルが引き延ばされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術によってもたらされるこのような問題および不便に鑑み、改良が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、型調節機構を備える射出成形機を提供する。この型調節機構はそれぞれのタイバーを別個に調節でき、生産サイクル毎に型を調節することが不要となる。
【0006】
本発明は、型調節機構を備える射出成形機で実施される型調節方法をも提供する。
【0007】
射出成形機が、固定プラテンと、前記固定プラテンの一方側に配置される可動プラテンと、前記固定プラテンと前記可動プラテンとを貫通し、その中間にギアの歯を備える複数のタイバーと、前記タイバーの外周に配置され、前記ギアの歯と噛み合う縮小開口部を備える前記止めナットを有し、前記固定プラテンの他方側に配置されて前記複数のタイバーとそれぞれ同軸の複数の型調節機構をさらに有し、それぞれの前記型調節機構が次を有する:
前記固定プラテンの前記他方側に固定される支持フレームと、
前記支持フレームに取り付けられるモータと;
一端が前記モータの軸に取り付けられ、他端が前記支持フレームに取り付けられる型調節駆動ホイールと;
前記型調節駆動ホイールに適合する型調節被駆動ホイールと;
前記支持フレームに取り付けられ、外部油圧回路に接続される位置調節用油圧シリンダであって、前記型調節被駆動ホイールがそのピストンロッドに可動に取り付けられる位置調節用油圧シリンダと;
前記タイバーの前記ギアの歯と前記止めナットの前記縮小開口部との噛み合わせの検出のために、前記止めナットに取り付けられる第1のセンサと;
前記モータ、前記第1のセンサおよび前記外部油圧回路に接続される制御システムであって、前記第1のセンサが前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていないことを検出したときに、前記モータを制御して回転させ;前記第1のセンサが前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていることを検出したときに、前記射出成形機を制御して動作させる制御システム。
【0008】
前記射出成形機が4つのタイバーを有する。
【0009】
前記射出成形機の型調節被駆動ホイールが、第2のセンサと警告装置をさらに備え、 前記第2のセンサがリミットスイッチであり;
前記第2のセンサと前記警告装置の双方が前記制御システムに接続され、前記型調節被駆動ホイールが前記リミットスイッチを越えたときに、前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発する。
【0010】
射出成形機の型調節被駆動ホイールが、第3のセンサと警告装置をさらに備え、 前記第3のセンサが位置センサであり;
前記第3のセンサと前記警告装置の双方が前記制御システムに接続され、前記制御システムが前記第1のセンサから、前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていることを示す信号を受信したときに、 前記型調節被駆動ホイールの端面が前記タイバーを圧迫していることを前記位置センサが検出していれば、前記制御システムが前記射出成形機を制御して動作させ、そうでなければ前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発する。
【0011】
前記型調節被駆動ホイールを圧迫する前記タイバーの端部が、前記型調節被駆動ホイールの端面を圧迫する前記タイバーの端部に固定される延長部をさらに有する。
【0012】
前記型調節駆動ホイールと前記型調節被駆動ホイールの双方がギアである。
【0013】
前記射出成形機で実施される型調節方法が次のステップを有する:
ステップ1:前記外部油圧回路が前記制御システムによって制御され、位置調節用油圧シリンダに油を供給する;
ステップ2:前記型調節被駆動ホイールが駆動されて前記複数のタイバーを圧迫する;
ステップ3:前記第1のセンサが前記制御システムによって制御され、前記タイバーの前記ギアの歯と前記止めナットの前記縮小開口部の噛み合わせを検知する;
ステップ4:前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っているかの、前記第1のセンサからの信号が決定される;
ステップ5:もしYesであれば、ステップ6に進み;さもなければ前記モータが前記制御システムによって制御されて回転し、その後、ステップ3に進む;
ステップ6:前記射出成形機が前記制御システムによって制御されて動作し、前記位置調節用油圧シリンダへの前記外部油圧回路が前記制御システムによって制御されてアンロードする(接続が解除される、取り外される)。
【0014】
前記型調節方法が、ステップ6によって追従されるステップを有し、前記ステップにおいて前記制御システムが前記第2のセンサを制御し、前記型調節被駆動ホイールの端面が前記複数のタイバーを圧迫しているかを検出し;もしYesであれば、ステップ6に進み;さもなければ前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発する。
【0015】
前記型調節方法が、ステップ3に進む前に、ステップ5において前記モータの回転が前記制御システムによって制御されるステップに引き続くステップをさらに有し、
前記ステップにおいて、前記制御システムが前記第3のセンサを制御し、前記モータが前記型調節被駆動ホイールを駆動したときに、前記型調節被駆動ホイールが前記第3のセンサを越えたかを検知し;
もしYesであれば、前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発し、さもなければステップ3に進む。
【0016】
上述の技術解決手法においては、動作が単純化され、工程サイクル(processing cycle)毎での 型調節に替えて、型の交換時での1回のみの型調節が必要となり、さらに、4つのタイバーについて同時の型調節は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る射出成形機に取り付けられる型調節機構の断面図である。
【図2】本発明に係る射出成形機に取り付けられる型調節機構の側面図であり、1のタイバーのみが表され、型調節機構のカバーは図に表されていない。
【図3】図2中の射出成形機の型調節機構の部分拡大図である。
【図4】射出成形機に取り付けられる型調節機構の透視図であり、1のタイバーのみが表され、型調節機構のカバーは図に表されていない。
【図5】図4中の射出成形機の型調節機構の部分拡大図である。
【図6】射出成形機に取り付けられる型調節機構の透視図であり、1のタイバーのみが表され、型調節機構のカバーが図に表されている。
【図7】本発明に係る射出成形機に取り付けられる型調節機構の側面図であり、1のタイバーのみが表され、型調節機構のカバーが図に表されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次の図および実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
図1〜7に示されるように、型調節機構1を備える射出成形機が本発明によって提供される。射出成形機の型調節機構1は、固定プラテン2、固定プラテンの一方側に配置される可動プラテン3、固定プラテン2と可動プラテン3とを貫通し(provided through)、その中間にギアの歯41を備える複数のタイバー4、および複数のタイバー4(タイバーまたはガイドバー(guide bar)としても参照される)の外周(around)に配置され、ギアの歯41と噛み合う縮小開口部(奥行き方向に径が小さくなる領域(テーパ)を有する開口部、shrinking opening)(図示せず)を備える止めナット5を有する。勿論、射出成形機は、機械フレーム、射出ユニットおよびいくつかの他の構成要素を有する。これらの構成要素は本発明の特徴ではないことから、引き続く詳細な説明では省略している。
【0020】
型調節機構1は固定プラテン2の他方側に配置され、その位置がタイバー4と同一レベルである(level with)、すなわち、それぞれのタイバー4のための型調節機構がある。従って、4つの型調節機構1のために、同一の構造を備える4つのタイバー4がある。それぞれの型調節機構1は、支持フレーム11、モータ12、型調節駆動ホイール(mold-adjusting driving wheel)13、型調節被駆動ホイール(mold-adjusting driven wheel)14、位置調節用油圧シリンダ(hydraulic cylinder for positioning)15および第1のセンサ16を有する。さらに、型調節機構1は制御システムをさらに有する(図示せず)。
【0021】
支持フレーム11はユニットフレーム(unit frame)として固定プラテン2の他方側に取り付けられ、型調節機構の構成要素は支持フレーム11に固定される。支持フレーム11は実情(actual situation)に応じていくつかの部分に区分されてもよい。
【0022】
モータ12は支持フレーム11に取り付けられる。モータ12は制御システムに接続され、制御システムによって制御されるギアモータである。
【0023】
型調節駆動ホイール13の一端はモータ12の軸に取り付けられ、他端は支持フレームに取り付けられる。型調節駆動ホイール13を一端がモータの軸に取り付けられ、他端が支持フレームに同軸で取り付けられるギアとすることで、モータ12の回転によって、モータの軸に固定された型調節駆動ホイール13が回転するようにしてもよい。
【0024】
型調節被駆動ホイール14は型調節駆動ホイール13と対となる(mate with)ように構成され、位置調節用油圧シリンダ15のピストンロッドに可動に取り付けられても良い。型調節駆動ホイール13はギアであるから、型調節被駆動ホイール14も型調節駆動ホイール13と噛み合うギアである。その結果、型調節駆動ホイール13がモータ12によって駆動されるとき、型調節駆動ホイール13と噛み合う型調節被駆動ホイール14も駆動される。型調節被駆動ホイール14は第2のセンサ141および警告装置(warning device)(図示せず)をさらに有しても良い。第2のセンサ141および警告装置の双方が制御システムに接続される。型調節被駆動ホイール14が第2のセンサ141を越えたとき、警告装置は制御システムに制御されて警報を発する。第2のセンサ141はリミットスイッチである。型調節被駆動ホイール14は第3のセンサ142をさらに有しても良く、第3のセンサ142は位置センサである。第3のセンサ142は制御システムに接続される。型調節被駆動ホイール14の端面がタイバー4を圧迫した(間接または直接に圧迫する、間接または直接に接触する、against)ときに、射出成形機は制御システムに制御されて動作する。そして、型調節被駆動ホイール14の端面がタイバー4を圧迫しないときに、警告装置は制御システム14に制御されて警報を発する。タイバー4は、型調節被駆動ホイール14を圧迫する端部に配置される延長部7をさらに備える。延長部7はタイバー4に固定され型調節被駆動ホイール14の端面を圧迫する。
【0025】
位置調節用油圧シリンダ15は支持フレーム11に取り付けられ、外部油圧回路に接続される。制御システムは、外部油圧回路を制御して位置調節用油圧シリンダ15に油を供給するため、または外部油圧回路をアンロードするために、外部油圧回路に接続される。型調節被駆動ホイール14は位置調節用油圧シリンダ15のピストンロッドに取り付けられる。型調節被駆動ホイール14は中心孔の内部に雌ネジ(interior threads)を備えるギアである。雄ネジ(peripheral threads )がピストンロッドに設けられ雌ネジと噛み合うことで、型調節被駆動ホイール14がピストンロッドに沿って移動可能となる。ピストンロッドは階段状のロッドである。即ち、ボス(突起、boss)がピストンロッドに設けられる。ボスは支持フレームを圧迫することで、ピストンロッドの最大伸縮距離(maximum extendable distance)を一定とする。
【0026】
止めナット5に取り付けられる第1のセンサ16は、タイバー4のギアの歯と止めナットの縮小開口部の噛み合わせの検出のために用いられる。
【0027】
制御システムは、モータ12、第1のセンサ16および外部油圧回路に接続される。第1のセンサ16がタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部と噛み合っていないことを検出したときに、モータ12は制御システムに制御されて回転する。そして、第1のセンサ16がタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部と噛み合っていることを検出したときに、射出成形機は制御システムに制御されて動作する。
【0028】
動作に先立って、型が射出成形機に取り付けられねばならない。図2に示すように、固定プラテン2と可動プラテン3間の距離は所望の型高さ(mold height)に想定されている。言い換えれば、型が、動作のために準備されると想定されている。止めナット5が、可動プラテン3に続いて、型−取り付けの工程中にタイバー4に沿って移動することから、止めナットの縮小開口部がタイバー4のギアの歯41に適合することを確保できない。従い、ギアの歯が正確に適合せず、従い食い違い(dislocation)が生じる可能性がある。この場合、もし止めナットが締め付けられると、歯が互いに衝突することで、締め付けを行えず、タイバー4および止めナット5が損傷する可能性がある。この観点からすると、型調節方法には、止めナット5とタイバー4の相対的位置を調節することが求められる。
【0029】
本発明によれば、既述の型調節機構で実施される型調節方法は次のステップを有する。
ステップ1:外部油圧回路が制御システムに制御されて、位置調節用油圧シリンダに油を供給する;
ステップ2:型調節被駆動ホイールが駆動されてタイバーを圧迫する;
ステップ3:第1のセンサが制御システムに制御されて、タイバーのギアの歯と止めナットの縮小開口部の噛み合わせを検出する;
ステップ4:タイバーのギアの歯が止めナットの縮小開口部と噛み合うかの、第1のセンサからの信号が決定される;
ステップ5:もしYesなら、ステップ7に進み;さもなければモータが制御システムに制御されて回転し、ステップ6に進む;
ステップ6: 第3のセンサは制御システムに制御されて、型調節被駆動ホイールがモータによって駆動されたときに、型調節被駆動ホイールが第3のセンサを越えたか検知し;もしYesであれば、警告装置が制御システムに制御されて警報を発し、射出成形機がシャットダウンされ、さもなければステップ3に進む。
ステップ7:第2のセンサが制御システムに制御されて、型調節被駆動ホイールの端面がタイバーを圧迫するかを検知し;もしYesであれば、ステップ6に進み;さもなければ制御システムが警告装置を制御して警報を発する。
ステップ8:射出成形機は制御システムに制御されて動作し、位置調節用油圧シリンダへの外部油圧回路が制御システムに制御されてアンロードする。
【0030】
型調節ステップのさらなる詳細を説明する。
【0031】
ステップ1において、外部油圧回路は制御システムに制御されて位置調節用油圧シリンダ15に油を供給することで、位置調節用油圧シリンダ15のピストンロッドが油によって駆動されて動くようにする。ピストンロッドが階段状の形状であることで、ピストンロッドのボスが支持フレームによってブロックされる。言い換えれば、ピストンロッドの最大伸縮距離が固定される。そして、油圧が連続して印加されることで、ピストンロッドが支持フレーム(または機械フレーム)に接触し、これらが固定的に接続されているかのようになる。
【0032】
ステップ2において、型調節被駆動ホイールは駆動されて、タイバーを圧迫する。位置調節用油圧シリンダのように追加的な駆動装置が射出成形機に備えられて、タイバー4を駆動することで、タイバー4が駆動されて、型調節被駆動ホイール14を圧迫する。図1に示すように、タイバー4および型調節被駆動ホイール14の形状は射出成形機の一体構造(integral structure)を考慮して変更される。カバー143は型調節被駆動ホイール14の右端に固定される。そして、延長部7はタイバー4の左端に固定される。図1に示すように、カバー143と延長部7の間に距離がある。すなわち、カバーは延長部7を圧迫していない。延長部7が外力に押されてカバー143を圧迫すると、カバー143は型調節被駆動ホイール14に固定的に接続され、延長部7がタイバー4に固定的に接続される。言い換えれば、タイバー4が型調節被駆動ホイール14を圧迫することと同様である。型調節被駆動ホイール14はネジによってピストンロッドと噛み合うことで、型調節被駆動ホイール14は移動する代わりに、ピストンロッドに対して回転するのみとなる。従い、型調節被駆動ホイール14を動かす機能が無くても、タイバーは型調節被駆動ホイールを圧迫する。
【0033】
ステップ3〜5において、第1のセンサ16は制御システムに制御され、タイバー4のギアの歯41と止めナット5の縮小開口部の噛み合わせを検出する。そして、第1のセンサ16も制御システムに制御されて、タイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部と適合する(噛み合う、match)かを検出する。
【0034】
第1のセンサ16がタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部に適合しないことを検出した場合、モータ12が制御システムに制御されて回転する。その後、型調節駆動ホイール13がモータ12に駆動され、型調節被駆動ホイール14が型調節駆動ホイール13に駆動される。カバー143がタイバー4を圧迫することから、第1のセンサ16がタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部と噛み合うことを検出したときに、型調節被駆動ホイール14がタイバー4を右方に押す。ここで、制御システムがモータ12をロックし、型調節駆動ホイール13および型調節被駆動ホイール14は左方にも右方にも移動できないようになる。このとき、モータ12、型調節駆動ホイール13、型調節被駆動ホイール14および位置調節用油圧シリンダ15の全てが固定され、カバー143が固定された位置に留まることが確保される。従い、延長部7がカバー143を圧迫すると、いちいち型調節することなく、止めナット5がタイバー6に適合することが確保される。
【0035】
タイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部に適合しない場合、最大で歯1つ分の距離がずれる(dislocate)。リミットスイッチ等の、型調節被駆動ホイール14上の第2のセンサ141はこの距離を少なくとも1のギアの歯の幅に制限する。タイバー4が型調節被駆動ホイール14によって調節された場合、型調節被駆動ホイール14が第2のセンサ141によって制限された距離を越えたときに、警告装置は制御システムに制御されて警報を発する。そしてもしYesなら、リミットスイッチによって制限された距離以内で、ステップ3に進む。即ち、制御システムは第1のセンサ16を制御して、タイバー4のギアの歯41と止めナット5の縮小開口部の間の噛み合わせを検出する。このことで、型調節被駆動ホイール14がピストンロッドから外れて回転しないようになる。
【0036】
上述のステップに続いて、制御システムはステップ3に戻る。既述の調節のため、第1のセンサ16はタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部と噛み合ったことを検出する。その後、制御システムはモータ12をロックし、第3のセンサ142を制御して、タイバー4が型調節被駆動ホイール14を圧迫するかを検出する。もしタイバー4が型調節被駆動ホイール14を圧迫しなければ、制御システムは射出成形機をシャットダウンするように制御し、警告装置を制御して警報を発する。この場合、タイバー4の一端が止めナット5で締め付けられているが、タイバー4が射出成形機の動作によってもたらされる圧力を支えることが無いように、他端は浮かされている(be suspended)。
【0037】
もしタイバー4が型調節被駆動ホイール14を圧迫すると、制御システムが位置調節用油圧シリンダ15への外部油圧回路をアンロードし、その後、制御システムが止めナット5を制御してタイバー4をクランプし、射出成形機の動作を制御する。射出成形機が動作することから、タイバー4は力によって変形し、通常は延びる。位置調節用油圧シリンダがアンロードすることで、タイバー4が長い距離を移動可能となることで、タイバーの耐用年数が長くなる。
【0038】
射出成形機の動作中、射出成形機内での衝撃力(impact force)が大きいため、型調節被駆動ホイール14がタイバー4を圧迫しなかったり、またはタイバー4のギアの歯41が止めナット5の縮小開口部に適合しなかったりするかもしれない。従い、既述のステップのいくらかが、それぞれのサイクルでの検出のために制御システムによって実行される。以下のステップは既述のステップのいくらかを含んでも良いが、これらは同一ではない。そして、実行されるとき、これらは既述のステップと関連が無い。
【0039】
ステップA:外部油圧回路が制御システムに制御されて、位置調節用油圧シリンダに油を供給する;
ステップB:第1のセンサが制御システムに制御されて、タイバーのギアの歯と止めナットの縮小開口部との噛み合いを検知する;
ステップC:タイバーのギアの歯が止めナットの縮小開口部と噛み合うかについて、第1のセンサからの信号が判定される;
ステップD:もしYesなら、ステップEに進み;さもなければ警告装置が制御システムに制御されて警報を発する;
ステップE:第2のセンサが制御システムに制御されて、型調節被駆動ホイールの端面がタイバーを圧迫するかを検出する;もしYesであれば、ステップ Fに進み、さもなければ制御システムが警告装置を制御して警報を発し、射出成形機をシャットダウンする。
ステップF:射出成形機が制御システムに制御されて動作し、位置調節用油圧シリンダへの外部油圧回路は制御システムに制御されてアンロードする(unload)。
【0040】
言い換えれば、それぞれの射出工程において、制御システムは型調節被駆動ホイールがタイバーを圧迫するか、およびタイバーのギアの歯が止めナットの縮小開口部に適合するかを検出する。もし異常な状況が生じれば、制御システムは制御し警報を発する。もし異常な状況が生じなければ、制御システムは射出成形機を制御して動作する。従い、それぞれの生産サイクルでの型調節動作は不要となり、射出成形機の安全性(security)が保証される。
【0041】
本発明の以上の記述は説明のためのものである。開示した形態の発明に徹底したり(exhaustive )限定したりすることは意図していない、本明細書を読んだ当業者には変更、変形は明らかであろう。この変更、変形も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 型調節機構
11 支持フレーム
12 モータ
13 型調節駆動ホイール
14 型調節被駆動ホイール
141 第2のセンサ
142 第3のセンサ
143 カバー
15 位置調節用油圧シリンダ
16 第1のセンサ
2 固定プラテン
3 可動プラテン
4 タイバー
41 ギアの歯
5 止めナット
7 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機であって、固定プラテンと、前記固定プラテンの一方側に配置される可動プラテンと、前記固定プラテンと前記可動プラテンとを貫通し、その中間にギアの歯を備える複数のタイバーと、前記タイバーの外周に配置され、前記ギアの歯と噛み合う縮小開口部を備える前記止めナットを有し、前記固定プラテンの他方側に配置されて前記複数のタイバーとそれぞれ同軸の複数の型調節機構をさらに有し、それぞれの前記型調節機構が:
前記固定プラテンの前記他方側に固定される支持フレームと、
前記支持フレームに取り付けられるモータと;
一端が前記モータの軸に取り付けられ、他端が前記支持フレームに取り付けられる型調節駆動ホイールと;
前記型調節駆動ホイールに適合する型調節被駆動ホイールと;
前記支持フレームに取り付けられ、外部油圧回路に接続される位置調節用油圧シリンダであって、前記型調節被駆動ホイールがそのピストンロッドに可動に取り付けられる位置調節用油圧シリンダと;
前記タイバーの前記ギアの歯と前記止めナットの前記縮小開口部との噛み合わせの検出のために、前記止めナットに取り付けられる第1のセンサと;
前記モータ、前記第1のセンサおよび前記外部油圧回路に接続される制御システムであって、前記第1のセンサが前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていないことを検出したときに、前記モータを制御して回転させ;前記第1のセンサが前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていることを検出したときに、前記射出成形機を制御して動作させる制御システムと
を有する射出成形機。
【請求項2】
請求項1記載の射出成形機であって、4つのタイバーを有する射出成形機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の射出成形機であって、前記型調節被駆動ホイールが第2のセンサと警告装置を備え;
前記第2のセンサがリミットスイッチであり;
前記第2のセンサと前記警告装置の双方が前記制御システムに接続され、前記型調節被駆動ホイールが前記リミットスイッチを越えたときに、前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発する
射出成形機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の射出成形機であって、前記型調節被駆動ホイールが第3のセンサと警告装置を備え;
前記第3のセンサが位置センサであり;
前記第3のセンサと前記警告装置の双方が前記制御システムに接続されることで、前記制御システムが前記第1のセンサから、前記タイバーの前記ギアの歯が前記止めナットの前記縮小開口部と噛み合っていることを示す信号を受信したときに、前記型調節被駆動ホイールの端面が前記タイバーを圧迫していることを前記位置センサが検出していれば、前記制御システムが前記射出成形機を制御して動作させ、そうでなければ前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発する、
射出成形機。
【請求項5】
請求項4記載の射出成形機であって、前記型調節被駆動ホイールを圧迫する前記タイバーの端部が、前記型調節被駆動ホイールの端面を圧迫する前記タイバーの端部に固定される延長部をさらに有する
射出成形機。
【請求項6】
請求項1または2に記載の射出成形機であって、前記型調節駆動ホイールと前記型調節被駆動ホイールの双方がギアである
射出成形機。
【請求項7】
前記射出成形機で実施される型調節方法であって、
ステップ1:前記外部油圧回路が前記制御システムによって制御され、位置調節用油圧シリンダに油を供給するステップと;
ステップ2:前記型調節被駆動ホイールが駆動されて前記複数のタイバーを圧迫するステップと;
ステップ3:前記第1のセンサが前記制御システムによって制御され、前記タイバーの前記ギアの歯と前記止めナットの前記縮小開口部の噛み合わせを検知するステップと;
ステップ4:前記第1のセンサが前記制御システムによって制御され、前記タイバーの前記ギアの歯と前記止めナットの前記縮小開口部の噛み合わせを検知するステップと;
ステップ5:もしYesであれば、ステップ6に進み;さもなければ前記モータが前記制御システムによって制御されて回転し、その後、ステップ3に進むステップと;
ステップ6:前記射出成形機が前記制御システムによって制御されて動作し、前記位置調節用油圧シリンダへの前記外部油圧回路が前記制御システムによって制御されてアンロードするステップと
を具備する型調節方法。
【請求項8】
請求項7記載の型調節方法であって、ステップ6によって追従されるステップを有し、
前記ステップにおいて、前記制御システムが前記第2のセンサを制御し、前記型調節被駆動ホイールの端面が前記複数のタイバーを圧迫しているかを検出し;もしYesであれば、ステップ6に進み;さもなければ前記警告装置が前記制御システムによって制御されて警報を発する
型調節方法。
【請求項9】
請求項7記載の型調節方法であって、ステップ3に進む前に、ステップ5において前記モータの回転が前記制御システムによって制御されるステップに引き続くステップをさらに有し、
前記ステップにおいて、前記制御システムが前記第3のセンサを制御し、前記モータが前記型調節被駆動ホイールを駆動したときに、前記型調節被駆動ホイールが前記第3のセンサを越えたかを検知し、もしYesであれば、前記制御システムが前記警告装置を制御して警報を発し、さもなければステップ3に進む
型調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531248(P2010−531248A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513619(P2010−513619)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001193
【国際公開番号】WO2009/000151
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509344906)震雄▲資▼▲産▼管理有限公司 (3)
【Fターム(参考)】