導体モジュール及び電磁圧接方法
【課題】導体同士の接合面積を小さくすることができる導体モジュール及び電磁圧接方法を提供する。
【解決手段】一対のFPC11、12の被覆部15に各々設けた導体13の片面を露出する導体13の幅よりも小さい露出穴16同士を重ねる。導体13よりも厚い導電性の飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界HのうちFPC11、12の厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P12に露出穴16が位置するように、コイル21上に飛翔材26を挟んだ状態で一対のFPC11、12を配置する。その後、コイル21に電流を流して導体13同士を電磁圧接する。
【解決手段】一対のFPC11、12の被覆部15に各々設けた導体13の片面を露出する導体13の幅よりも小さい露出穴16同士を重ねる。導体13よりも厚い導電性の飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界HのうちFPC11、12の厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P12に露出穴16が位置するように、コイル21上に飛翔材26を挟んだ状態で一対のFPC11、12を配置する。その後、コイル21に電流を流して導体13同士を電磁圧接する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体モジュール及び電磁圧接方法に係り、特に、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュール及び平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する電磁圧接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリからの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配策している。前述したワイヤハーネスは、電線と該電線の端部に取り付けられる金属板としての端子金具と、を備えている。前記電線は、芯線と、該芯線を被覆する被覆部と、を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
そこで、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などのフラット回路体を用いることが提案されている。
【0005】
フラット回路体は、平角状の導体と、前記導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部と、を備えて扁平な帯状に形成されている。導体は、複数設けられている。導体は、それぞれ、直線状に延在している。複数の導体は、互いに並列に配置されている。被覆部は、導体同士を互いに絶縁している。
【0006】
一般的に、前述したフラット回路体の導体同士の接合は、はんだを用いて行っている。はんだを用いた接合の場合、合金層生成による耐久性低下や、割れ、環境負荷などの問題がある。また、フラット回路体以外の部分(はんだ)が必要となり、コスト上昇の要因となってしまう。
【0007】
はんだを用いることなく直接、接合する方法としては、例えば超音波接合やレーザ接合が可能であると考えられる(特許文献1)。しかしながらこれらの手法では、導体の接合面と反対側の面を覆う被覆部を残した状態で接合すると、被覆部にまで接合エネルギーが加えられてしまうため、被覆部が破損してしまう。このため、導体の接合面と反対側の面も露出する必要があり、使用環境下において腐食する、電気的絶縁が取れないといった問題が生じる。
【0008】
そこで、被覆部が破損することなく、導体の接合面と反対側の面を被覆部で覆った状態で導体同士を接合する方法として、特許文献2に示すような電磁圧接方法が提案されている。この電磁圧接方法について説明する。まず、図11に示すように、導体モジュール1を構成する一対のフラット回路体101、102の端部の被覆部103、104を各々除去して全ての導体105の片面を露出させ、露出した導体105の片面同士を重ねる。そして、これら重ねた部分をコイル106上に配置する。
【0009】
このとき、図12に示すように、コイル106の長手方向と導体105の長手方向とが互いに直交するように配置される。即ち、全ての導体105の端部がコイル106上に配置される。このコイル106に電流を流して、磁界を発生させると、導体105に渦電流が発生する。そして、コイル106周りに発生する磁束と、渦電流によりコイル106側の導体105周りに発生する磁束とが反発し合い、コイル106側の導体105がコイル106から離れる方向に飛翔し、もう一方の導体105に衝突する。この衝突時の高圧力により、複数の導体105同士を同時に接合することができる。
【0010】
しかしながら、上述した従来の電磁圧接方法では、露出部分の距離L2がコイル106の幅よりも小さい導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない、という問題があった。このため、導体105の露出部分の距離L2をコイル106の幅よりも大きく設ける必要があり、回路の小型化、高集積化の妨げになってしまう。
【0011】
そこで、コイル106の幅を小さくして、導体105の露出部分の距離L2を小さくすることが考えられる。しかしながら、コイル106の幅を小さくすると、コイル106の熱容量が小さくなり、コイル106に大電流を流した際の発熱によりコイル106が溶けてしまう。また、接合時の磁気圧によりコイル106が容易に変形してしまう、という問題があった。さらに、従来では、被覆部103、104に挟まれた全ての導体108同士が接合してしまい、接合する導体108を選択することができない、という問題があった。
【特許文献1】特開平11−192562号公報
【特許文献2】特開2006−310016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、導体同士の接合面積を小さくすることができる導体モジュール及び電磁圧接方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、露出部分の距離L2がコイル106の幅よりも小さい導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない原因を鋭意探求したところ以下に述べることが分かった。図11に示す電磁圧接方法を用いて導体105同士を接合させると、図13に示すように、2箇所の接合部P21、P22が設けられる。この2箇所の接合部P21、P22ができる原因としては、導体と交わるコイルから発生する磁界のうち導体の飛翔方向であるフラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置が接合部P21、P22となり、ピークとなる位置が2箇所あるからと考えられる。そして、この接合部P1、P2間の距離L1は、コイル106の幅にほぼ等しい。よって、従来の電磁圧接方法では、コイル106の幅よりも小さい距離L2だけ露出した導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない、ということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、請求項1記載の発明は、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュールにおいて、前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴が、前記一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、そして、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されていることを特徴とする導体モジュールに存する。なお、電磁圧接とはコイルが発生する磁界によって導体の一方が導体の他方に向かって飛翔して導体同士が衝突したときの圧力により導体同士を接合することを言う。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴同士を重ね、前記導体と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導体モジュールに存する。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けられた前記露出穴同士を重ね、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導体モジュールに存する。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記一対の被覆部間に複数の前記導体が設けられ、前記露出穴が、前記一対のフラット回路体に設けられた前記複数の導体の一部のみを露出するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導体モジュールに存する。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記露出穴が設けられている被覆部が、前記被覆部の溶融材を導体の一面に塗布して設けられ、前記被覆部に設けた露出穴が、前記被覆部の前記露出穴以外の部分にレジスト膜を設けた後に前記被覆部をエッチングして設けられたことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の導体モジュールに存する。
【0019】
請求項6記載の発明は、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、前記導体と交わる前記コイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記露出穴を配置する工程と、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法に存する。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置する工程と、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法に存する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、導体の片面を露出する導体の幅よりも小さい露出穴が、一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、一対のフラット回路体に各々設けた露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されている。従って、一対のフラット回路体に各々設けた露出穴同士を重ね、導体又は飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうちフラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に露出穴が位置するように、コイル上に一対のフラット回路体を配置して電磁圧接すれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。
【0022】
請求項2及び6記載の発明によれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。
【0023】
請求項3及び7記載の発明によれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。また、導体が薄くてコイル側の導体周りに発生する磁束が小さいと導体同士の衝突力が小さく電磁圧接できない場合があるが、導体よりも厚い飛翔材を設けることにより、飛翔材周りに大きな磁束を発生して、飛翔材が導体を押して導体同士を大きな力で衝突させるため、確実に導体同士を接合することができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、露出穴がフラット回路体に設けられた複数の導体の一部のみを露出するように設けているので、複数の導体のうち接合したい導体同士のみを選択的に接合することができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、接着剤を用いなくても露出穴を設けた被覆部を導体に貼り付けることができる。このため、露出穴から漏れ出した接着剤により露出穴から露出した導体同士の接合が不良となることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明における電磁溶接方法は、図1に示す導体モジュール1を組み立てる。導体モジュール1は、図1及び図2に示すように、2つのFPC11、12(フラット回路体)を備えている。
【0027】
FPC11、12はそれぞれ、断面形状が矩形に形成されている。FPC11、12は、図1及び図2に示すように、断面矩形の複数の導体13と、この導体13の両面を挟んで被覆するシート状の一対の被覆部14、15と、を備えている。導体13は、導電性を有する金属で構成されている。導体13は、可撓性を有している。被覆部14、15は、絶縁性と可撓性を有する合成樹脂で構成されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、前述したFPC11、12はそれぞれ、端末の被覆部15に露出穴16が設けられている。露出穴16は、導体13の片面を露出するように設けられている。露出穴16は、円形状の穴であり、その直径が導体13の幅W3よりも小さくなるように設けられている。即ち、露出穴16は、導体13の長手方向及び幅方向の両方向とも導体13の幅W3よりも小さくなるように設けられている。そして、図3に示すように、導体モジュール1は、一対のFPC11、12に各々設けた露出穴16が互いに重なった状態で露出穴16から露出した導体13同士が電磁圧接されている。
【0029】
上述したFPC11、12は図4に示す手順で形成されている。まず、導体13を基板30上に搭載した後、被覆部15の溶融材を導体13の両面のうち一方に塗布して被覆部15を形成する(図4(A))。次に、被覆部15上にエッチング液から被覆部15を保護するレジスト膜31を形成する。そして、露出穴16に相当する部分に光を当ててレジスト膜31を除去する(図4(B))。これにより、被覆部15の露出穴16以外の部分にレジスト膜31を設けることができる。次に、被覆部15をエッチングして露出穴16を形成した後、レジスト膜31を除去する(図4(C))。その後、基板30を剥がして、被覆部14を接着剤32により導体13の両面のうち他方に貼り付けると、上述した構成のFPC11、12を得ることができる。
【0030】
前記導体モジュール1は、露出穴16から露出した導体13同士が、電磁溶接装置20(図5に示す)によって互いに接合されて得られる。電磁溶接装置20は、図5に示すように、コイル21と、固定具22と、電源23と、コンデンサ24と、スイッチ25と、飛翔材26を備えている。コイル21は、導電性を有する金属で構成され、平板状に形成されている(即ち、金属板で構成されている)。コイル21は、一対の幅広部27と、幅狭部28とを一体に備えている。一対の幅広部27は、互いに間隔をあけて配置されている。幅広部27の平面形状は、矩形状である。一対の幅広部27の後述の電流が流れる方向(図5中に矢印Kで示す)に直交する方向の幅は、互いに等しいと共に、該電流が流れやすい幅となっている。
【0031】
幅狭部28は、一対の幅広部27間に配されて、両端が一対の幅広部27に連なっている。幅狭部28の平面形状は、矩形状である。幅狭部28の断面形状は、図6に示すように固定具22側の角部にRが付けられたかまぼこ型となっている。幅狭部28の長手方向は、前述した電流が流れる方向Kと平行である。幅狭部28の電流が流れる方向Kに対して直交する方向の幅は、幅広部27の前述した幅よりも狭いと共に、前述した電流を集中して流す幅となっている。
【0032】
前述したコイル21は、電流が流れると磁界を発生して、その厚みと幅を二等分する軸芯Pを中心とした周方向に磁界Hを発生する。また、電磁溶接装置20は、コイル21の上方に前述したFPC11、12を置くことが可能である。なお、本明細書に記したコイル21とは、電流が流れると磁界を発生させるものである。即ち、本明細書に記したコイル21とは、導線をコイル状(螺旋状)に巻いた所謂コイルや、直線状に形成された導線や、平板状の金属板など如何なる形状の物品であっても良い。
【0033】
固定具22は、四角柱状に形成され、その端面が前記コイル21の表面と間隔をあけて相対する。固定具22は、前述した端面がコイル21に接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり離れることをいう。固定具22は、コイル21との間にFPC11、12を挟むことが可能である。勿論、このとき、固定具22の端面が、前記FPC11、12などに重ねられる。
【0034】
コンデンサ24は、図5に示すように、スイッチ25を介して電源23又はコイル21に接続される。コンデンサ24は、電荷を予め定められた所定の電気エネルギーまで蓄積する。スイッチ25の一つの接点は、前述したコイル21の一対の幅広部27のうち一方の幅広部27に接続しているとともに、電源23とコンデンサ24は、他方の幅広部27に接続している。スイッチ25の他の一つの接点は、電源23に接続している。スイッチ25の残りの一つの接点は、コンデンサ24に接続している。
【0035】
スイッチ25は、電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給する状態と、コンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給する状態と、電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給しないとともにコンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給しない状態と、が切り替え自在となっている。
【0036】
コンデンサ24は、スイッチ25がコンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給する状態になると、蓄積した電気エネルギーを一度にスイッチ25を介して一対の幅広部27に向けて出力する。このため、コンデンサ24は、瞬間的に大電流(電源23からの電流より大きな電流)をコイル21に流す。
【0037】
飛翔材26は、導電性を有する金属で構成され、平板状に形成されている(即ち、金属板で構成されている)。飛翔材26の厚さは、導体13の厚さよりも大きく設けられている。飛翔材26は、コイル21と一対のFPC11、12との間に配置される。
【0038】
前述した電磁溶接装置20は、コイル21上に互いに溶接する一対の溶接対象物を置き、コイル21と固定具22とでこれらの溶接対象物を挟んだ状態で、スイッチ25により電源23からの電荷を所定の電気エネルギーまでコンデンサ24に蓄積して、スイッチ25によりコンデンサ24から瞬間的に大電流をコイル21に流す。そして、電磁溶接装置20は、コイル21上の一対の溶接対象物に磁界を作用させることで、該一対の溶接対象物双方に渦電流を流して、これら一対の溶接対象物を加熱する。また、電磁溶接装置20は、コイル21上の飛翔材26に磁界を作用させることで、飛翔材26に渦電流を流す。さらに、電磁溶接装置20は、コイル21から発生する磁界によりコイル21周りに生じる磁束と、前述した渦電流により飛翔材26回りに生じる磁束と、が反発して、飛翔材26が固定具22側に向かって飛翔する。このとき、飛翔材26がコイル21側の溶接対象物を押して一対の溶接対象物を互いに衝突させて、これら溶接対象物同士を溶接する(機械的に接合する)。
【0039】
次に、上述した電磁溶接装置20を用いたFPC11、12の接合手順について説明する。まず、図6に示すように、一対のFCP11、12の各々に設けた露出穴16同士を重ねる。その後、飛翔材26を挟んだ状態で一対のFPC11、12をコイル21の幅狭部28上に配置する。このとき、飛翔材26上の後述するピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置する。なお、図6ではピーク点P12上に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置している。また、図7に示すように、FPC11、12は、導体13の長手方向とコイル21の幅狭部28の長手方向とが直交するように配置される。
【0040】
これにより、後述するピーク点P11、P12の何れか一方に全ての露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置することができる。このとき、勿論、スイッチ25を電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給しないと共にコンデンサ24からの電気エネルギーをコイル21に供給しない状態にしておく。即ち、コイル21上には、図6に示すように飛翔材26、FPC12の被覆部14、FPC12の導体13、FPC12の被覆部15、FPC11の被覆部15、FPC11の導体13、FPC11の被覆部14の順に搭載される。このとき、FPC11、12は導体13同士を衝突させるために互いに距離をあけて配置される。
【0041】
次に、ピーク点P11、P12について図8を参照して説明する。コイル21に電流を流すと、電流が流れる方向(図8中矢印Kで示す)を軸とした軸周りに磁界Hが発生する。磁界Hは、コイル21に近づくに従って大きくなり、コイル21から離れるに従って小さくなる。また、飛翔材26と交わる磁界Hは、コイル21に近づくに従ってFPC11、12の厚さ方向の成分の割合が小さくなり、コイル21から離れるに従って厚さ方向の成分の割合が大きくなる。よって、飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界のうちFPC11、12の厚さ方向の成分H1が、ピークとなる位置が存在する。
【0042】
また、磁界Hは、コイル21側の空間から飛翔材26と交わった後に飛翔材26から再びコイル21側の空間に抜ける。よって、上述したピークとなる位置は2箇所存在する。このピークとなる位置が背景技術で説明した2つの接合部P21、P22となると考えられる。そして、この2箇所のピークとなる位置をピーク点P11、P12として、ピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置する。
【0043】
話を接合手順に戻すと、その後、図6に示すように、前述したFPC11の被覆部14に固定具22の端面を重ねる。そして、スイッチ25を切り替えて、電源23からの電荷をコンデンサ24に蓄積する。コンデンサ24に所定の電気エネルギーが蓄積された後、スイッチ25を切り替えて、コンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをスイッチ25を介してコイル21に供給する。すると、瞬間的(急激)に大電流(電源23からの電流より大きな電流)が、コイル21に流れる。
【0044】
コイル21に流れる電流によりコイル21周りには磁界が発生する。この磁界がFPC11、12の導体13に作用して、一対のFPC11、12の導体13双方に渦電流を流して、これら一対のFPC11、12の導体13を加熱する。また、上記磁界が飛翔材26に作用して、飛翔材26に渦電流が流れる。そして、コイル21から発生する磁界によりコイル21周りに生じる磁束と、渦電流により飛翔材26周りに生じる磁束と、が反発して、飛翔材26が固定具22側に向かって飛翔する。このとき、飛翔材26がコイル21側のFPC12を押して一対のFPC11、12の導体13同士を互いに衝突させて、溶接する。これにより、導体モジュール1を得る。
【0045】
ところで、上述した飛翔材26上のピーク点P11、P12は、コイル21の形状、大きさ、コイル21に流す電流に依存して異なる。そこで、飛翔材26のピーク点P11、P12上に露出穴16を配置するために、予め固定具22とコイル21との間にコイル21の幅よりも広い幅を有する一対の溶接対象物を挟んで、コイル21に電流を流して一対の溶接対象物同士を溶接する。このとき、一対の溶接対象物に生じる接合部P21、P22の位置をピーク点P11、P12として、コイル21との相対位置を求める。そして、求めたコイル21に対するピーク点P11、P12の相対位置上に露出穴16を配置する。
【0046】
上述した実施形態によれば、一対のFPC11、12の被覆部15に各々設けた導体13の片面を露出する導体13の幅よりも小さい露出穴16同士を重ね、飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界のうちFPC11、12の厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、コイル21上に露出穴16を配置して、コイル21に電流を流して導体13同士を電磁圧接している。これにより、導体13の幅よりも小さい露出穴16を設けることができ、導体13同士の接合面積を小さくすることができる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、導体13が薄くてコイル21側の導体13周りに発生する磁束が小さいと導体13同士の衝突力が小さく電磁圧接できない場合があるが、導体13よりも厚い飛翔材26を設けることにより、飛翔材26周りに大きな磁束を発生して、飛翔材26が導体13を押して導体13同士を大きな衝突力で衝突させるため、確実に導体13同士を接合することができる。
【0048】
また、露出穴16を設けた被覆部15を接着材32で導体13の片面に貼り付けると、露出穴16から接着剤32が漏れ出して導体13同士の接合が不良となる恐れがあるが、上述した実施形態によれば、図4に示すように、接着剤32を用いなくても露出穴16を設けた被覆部15を導体13の片面に貼り付けることができるため、導体13同士の接合が不良となることを防ぐことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態によれば、コイル21の幅広部27の断面はかまぼこ形であったが、本発明はこれに限ったものではない。コイル21の形状は如何なる形状であってもよい。例えば、図9に示すように、断面矩形状であってもよい。図8に示すかまぼこ形のコイル21では、コイル21の幅広部27の幅方向の側面よりも内側にピーク点P11、P12が存在するが、断面矩形状のコイル21の場合、図9に示すようにコイル21の幅広部27の幅方向の側面に沿って、つまり角部にピーク点P11、P12が存在することが分かっている。よって、ピーク点P11、P12上に対する露出穴16の位置決めを容易にできる。
【0050】
また、上述した実施形態では、露出穴16は円状に設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。露出穴16の形状は如何なる形状であってもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、FPC12とコイル21との間に飛翔材26を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。コイル21側のFPC12を構成する導体13に十分な厚みがあれば、飛翔材26を設けなくても良い。この場合、露出穴16は導体13に交わる磁界のうち厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P11、P12に配置すればよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、被覆部14、15に挟まれた複数の導体13の全てに露出穴16を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。図10に示すように、複数の導体13のうち接合したい一部のみに露出穴16を設けることも考えられる。これにより、複数の導体13のうち接合したい導体13同士のみを選択的に接合することができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、固定具22とコイル21との間に一対のFPC11、12を配置していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、固定具22に代えてコイル21を用いて、一対のコイル21の間に一対のFPC11、12を配置するようにしてもよい。
【0054】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の導体モジュールの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す導体モジュールの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1に示すFPCの形成手順を示す断面図である。
【図5】本発明の導体モジュールを組み立てる際に用いられる電磁溶接装置の構成を示す説明図である。
【図6】図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部断面で示す説明図である。
【図7】図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部上面で示す説明図である。
【図8】飛翔材上のピーク点を説明するための図である。
【図9】他の実施形態における図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部断面で示す説明図である。
【図10】他の実施形態における導体モジュールの分解斜視図である。
【図11】従来の電磁圧接方法の一例を説明するための導体モジュールの断面図である。
【図12】従来の電磁圧接方法の一例を説明するための導体モジュールの上面図である。
【図13】従来の電磁圧接方法で接合された導体モジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 導体モジュール
11 FPC(フラット回路体)
12 FPC(フラット回路体)
13 導体
14 被覆部
15 被覆部
16 露出穴
21 コイル
22 固定具
26 飛翔材
31 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体モジュール及び電磁圧接方法に係り、特に、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュール及び平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する電磁圧接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリからの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配策している。前述したワイヤハーネスは、電線と該電線の端部に取り付けられる金属板としての端子金具と、を備えている。前記電線は、芯線と、該芯線を被覆する被覆部と、を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
そこで、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などのフラット回路体を用いることが提案されている。
【0005】
フラット回路体は、平角状の導体と、前記導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部と、を備えて扁平な帯状に形成されている。導体は、複数設けられている。導体は、それぞれ、直線状に延在している。複数の導体は、互いに並列に配置されている。被覆部は、導体同士を互いに絶縁している。
【0006】
一般的に、前述したフラット回路体の導体同士の接合は、はんだを用いて行っている。はんだを用いた接合の場合、合金層生成による耐久性低下や、割れ、環境負荷などの問題がある。また、フラット回路体以外の部分(はんだ)が必要となり、コスト上昇の要因となってしまう。
【0007】
はんだを用いることなく直接、接合する方法としては、例えば超音波接合やレーザ接合が可能であると考えられる(特許文献1)。しかしながらこれらの手法では、導体の接合面と反対側の面を覆う被覆部を残した状態で接合すると、被覆部にまで接合エネルギーが加えられてしまうため、被覆部が破損してしまう。このため、導体の接合面と反対側の面も露出する必要があり、使用環境下において腐食する、電気的絶縁が取れないといった問題が生じる。
【0008】
そこで、被覆部が破損することなく、導体の接合面と反対側の面を被覆部で覆った状態で導体同士を接合する方法として、特許文献2に示すような電磁圧接方法が提案されている。この電磁圧接方法について説明する。まず、図11に示すように、導体モジュール1を構成する一対のフラット回路体101、102の端部の被覆部103、104を各々除去して全ての導体105の片面を露出させ、露出した導体105の片面同士を重ねる。そして、これら重ねた部分をコイル106上に配置する。
【0009】
このとき、図12に示すように、コイル106の長手方向と導体105の長手方向とが互いに直交するように配置される。即ち、全ての導体105の端部がコイル106上に配置される。このコイル106に電流を流して、磁界を発生させると、導体105に渦電流が発生する。そして、コイル106周りに発生する磁束と、渦電流によりコイル106側の導体105周りに発生する磁束とが反発し合い、コイル106側の導体105がコイル106から離れる方向に飛翔し、もう一方の導体105に衝突する。この衝突時の高圧力により、複数の導体105同士を同時に接合することができる。
【0010】
しかしながら、上述した従来の電磁圧接方法では、露出部分の距離L2がコイル106の幅よりも小さい導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない、という問題があった。このため、導体105の露出部分の距離L2をコイル106の幅よりも大きく設ける必要があり、回路の小型化、高集積化の妨げになってしまう。
【0011】
そこで、コイル106の幅を小さくして、導体105の露出部分の距離L2を小さくすることが考えられる。しかしながら、コイル106の幅を小さくすると、コイル106の熱容量が小さくなり、コイル106に大電流を流した際の発熱によりコイル106が溶けてしまう。また、接合時の磁気圧によりコイル106が容易に変形してしまう、という問題があった。さらに、従来では、被覆部103、104に挟まれた全ての導体108同士が接合してしまい、接合する導体108を選択することができない、という問題があった。
【特許文献1】特開平11−192562号公報
【特許文献2】特開2006−310016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、導体同士の接合面積を小さくすることができる導体モジュール及び電磁圧接方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、露出部分の距離L2がコイル106の幅よりも小さい導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない原因を鋭意探求したところ以下に述べることが分かった。図11に示す電磁圧接方法を用いて導体105同士を接合させると、図13に示すように、2箇所の接合部P21、P22が設けられる。この2箇所の接合部P21、P22ができる原因としては、導体と交わるコイルから発生する磁界のうち導体の飛翔方向であるフラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置が接合部P21、P22となり、ピークとなる位置が2箇所あるからと考えられる。そして、この接合部P1、P2間の距離L1は、コイル106の幅にほぼ等しい。よって、従来の電磁圧接方法では、コイル106の幅よりも小さい距離L2だけ露出した導体105をコイル106上に配置しても、導体105同士を接合することができない、ということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、請求項1記載の発明は、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュールにおいて、前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴が、前記一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、そして、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されていることを特徴とする導体モジュールに存する。なお、電磁圧接とはコイルが発生する磁界によって導体の一方が導体の他方に向かって飛翔して導体同士が衝突したときの圧力により導体同士を接合することを言う。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴同士を重ね、前記導体と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導体モジュールに存する。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けられた前記露出穴同士を重ね、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導体モジュールに存する。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記一対の被覆部間に複数の前記導体が設けられ、前記露出穴が、前記一対のフラット回路体に設けられた前記複数の導体の一部のみを露出するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導体モジュールに存する。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記露出穴が設けられている被覆部が、前記被覆部の溶融材を導体の一面に塗布して設けられ、前記被覆部に設けた露出穴が、前記被覆部の前記露出穴以外の部分にレジスト膜を設けた後に前記被覆部をエッチングして設けられたことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の導体モジュールに存する。
【0019】
請求項6記載の発明は、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、前記導体と交わる前記コイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記露出穴を配置する工程と、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法に存する。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置する工程と、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法に存する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、導体の片面を露出する導体の幅よりも小さい露出穴が、一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、一対のフラット回路体に各々設けた露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されている。従って、一対のフラット回路体に各々設けた露出穴同士を重ね、導体又は飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうちフラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に露出穴が位置するように、コイル上に一対のフラット回路体を配置して電磁圧接すれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。
【0022】
請求項2及び6記載の発明によれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。
【0023】
請求項3及び7記載の発明によれば、導体の幅よりも小さい露出穴を設けることができ、導体同士の接合面積を小さくすることができる。また、導体が薄くてコイル側の導体周りに発生する磁束が小さいと導体同士の衝突力が小さく電磁圧接できない場合があるが、導体よりも厚い飛翔材を設けることにより、飛翔材周りに大きな磁束を発生して、飛翔材が導体を押して導体同士を大きな力で衝突させるため、確実に導体同士を接合することができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、露出穴がフラット回路体に設けられた複数の導体の一部のみを露出するように設けているので、複数の導体のうち接合したい導体同士のみを選択的に接合することができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、接着剤を用いなくても露出穴を設けた被覆部を導体に貼り付けることができる。このため、露出穴から漏れ出した接着剤により露出穴から露出した導体同士の接合が不良となることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明における電磁溶接方法は、図1に示す導体モジュール1を組み立てる。導体モジュール1は、図1及び図2に示すように、2つのFPC11、12(フラット回路体)を備えている。
【0027】
FPC11、12はそれぞれ、断面形状が矩形に形成されている。FPC11、12は、図1及び図2に示すように、断面矩形の複数の導体13と、この導体13の両面を挟んで被覆するシート状の一対の被覆部14、15と、を備えている。導体13は、導電性を有する金属で構成されている。導体13は、可撓性を有している。被覆部14、15は、絶縁性と可撓性を有する合成樹脂で構成されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、前述したFPC11、12はそれぞれ、端末の被覆部15に露出穴16が設けられている。露出穴16は、導体13の片面を露出するように設けられている。露出穴16は、円形状の穴であり、その直径が導体13の幅W3よりも小さくなるように設けられている。即ち、露出穴16は、導体13の長手方向及び幅方向の両方向とも導体13の幅W3よりも小さくなるように設けられている。そして、図3に示すように、導体モジュール1は、一対のFPC11、12に各々設けた露出穴16が互いに重なった状態で露出穴16から露出した導体13同士が電磁圧接されている。
【0029】
上述したFPC11、12は図4に示す手順で形成されている。まず、導体13を基板30上に搭載した後、被覆部15の溶融材を導体13の両面のうち一方に塗布して被覆部15を形成する(図4(A))。次に、被覆部15上にエッチング液から被覆部15を保護するレジスト膜31を形成する。そして、露出穴16に相当する部分に光を当ててレジスト膜31を除去する(図4(B))。これにより、被覆部15の露出穴16以外の部分にレジスト膜31を設けることができる。次に、被覆部15をエッチングして露出穴16を形成した後、レジスト膜31を除去する(図4(C))。その後、基板30を剥がして、被覆部14を接着剤32により導体13の両面のうち他方に貼り付けると、上述した構成のFPC11、12を得ることができる。
【0030】
前記導体モジュール1は、露出穴16から露出した導体13同士が、電磁溶接装置20(図5に示す)によって互いに接合されて得られる。電磁溶接装置20は、図5に示すように、コイル21と、固定具22と、電源23と、コンデンサ24と、スイッチ25と、飛翔材26を備えている。コイル21は、導電性を有する金属で構成され、平板状に形成されている(即ち、金属板で構成されている)。コイル21は、一対の幅広部27と、幅狭部28とを一体に備えている。一対の幅広部27は、互いに間隔をあけて配置されている。幅広部27の平面形状は、矩形状である。一対の幅広部27の後述の電流が流れる方向(図5中に矢印Kで示す)に直交する方向の幅は、互いに等しいと共に、該電流が流れやすい幅となっている。
【0031】
幅狭部28は、一対の幅広部27間に配されて、両端が一対の幅広部27に連なっている。幅狭部28の平面形状は、矩形状である。幅狭部28の断面形状は、図6に示すように固定具22側の角部にRが付けられたかまぼこ型となっている。幅狭部28の長手方向は、前述した電流が流れる方向Kと平行である。幅狭部28の電流が流れる方向Kに対して直交する方向の幅は、幅広部27の前述した幅よりも狭いと共に、前述した電流を集中して流す幅となっている。
【0032】
前述したコイル21は、電流が流れると磁界を発生して、その厚みと幅を二等分する軸芯Pを中心とした周方向に磁界Hを発生する。また、電磁溶接装置20は、コイル21の上方に前述したFPC11、12を置くことが可能である。なお、本明細書に記したコイル21とは、電流が流れると磁界を発生させるものである。即ち、本明細書に記したコイル21とは、導線をコイル状(螺旋状)に巻いた所謂コイルや、直線状に形成された導線や、平板状の金属板など如何なる形状の物品であっても良い。
【0033】
固定具22は、四角柱状に形成され、その端面が前記コイル21の表面と間隔をあけて相対する。固定具22は、前述した端面がコイル21に接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり離れることをいう。固定具22は、コイル21との間にFPC11、12を挟むことが可能である。勿論、このとき、固定具22の端面が、前記FPC11、12などに重ねられる。
【0034】
コンデンサ24は、図5に示すように、スイッチ25を介して電源23又はコイル21に接続される。コンデンサ24は、電荷を予め定められた所定の電気エネルギーまで蓄積する。スイッチ25の一つの接点は、前述したコイル21の一対の幅広部27のうち一方の幅広部27に接続しているとともに、電源23とコンデンサ24は、他方の幅広部27に接続している。スイッチ25の他の一つの接点は、電源23に接続している。スイッチ25の残りの一つの接点は、コンデンサ24に接続している。
【0035】
スイッチ25は、電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給する状態と、コンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給する状態と、電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給しないとともにコンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給しない状態と、が切り替え自在となっている。
【0036】
コンデンサ24は、スイッチ25がコンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをコイル21に供給する状態になると、蓄積した電気エネルギーを一度にスイッチ25を介して一対の幅広部27に向けて出力する。このため、コンデンサ24は、瞬間的に大電流(電源23からの電流より大きな電流)をコイル21に流す。
【0037】
飛翔材26は、導電性を有する金属で構成され、平板状に形成されている(即ち、金属板で構成されている)。飛翔材26の厚さは、導体13の厚さよりも大きく設けられている。飛翔材26は、コイル21と一対のFPC11、12との間に配置される。
【0038】
前述した電磁溶接装置20は、コイル21上に互いに溶接する一対の溶接対象物を置き、コイル21と固定具22とでこれらの溶接対象物を挟んだ状態で、スイッチ25により電源23からの電荷を所定の電気エネルギーまでコンデンサ24に蓄積して、スイッチ25によりコンデンサ24から瞬間的に大電流をコイル21に流す。そして、電磁溶接装置20は、コイル21上の一対の溶接対象物に磁界を作用させることで、該一対の溶接対象物双方に渦電流を流して、これら一対の溶接対象物を加熱する。また、電磁溶接装置20は、コイル21上の飛翔材26に磁界を作用させることで、飛翔材26に渦電流を流す。さらに、電磁溶接装置20は、コイル21から発生する磁界によりコイル21周りに生じる磁束と、前述した渦電流により飛翔材26回りに生じる磁束と、が反発して、飛翔材26が固定具22側に向かって飛翔する。このとき、飛翔材26がコイル21側の溶接対象物を押して一対の溶接対象物を互いに衝突させて、これら溶接対象物同士を溶接する(機械的に接合する)。
【0039】
次に、上述した電磁溶接装置20を用いたFPC11、12の接合手順について説明する。まず、図6に示すように、一対のFCP11、12の各々に設けた露出穴16同士を重ねる。その後、飛翔材26を挟んだ状態で一対のFPC11、12をコイル21の幅狭部28上に配置する。このとき、飛翔材26上の後述するピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置する。なお、図6ではピーク点P12上に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置している。また、図7に示すように、FPC11、12は、導体13の長手方向とコイル21の幅狭部28の長手方向とが直交するように配置される。
【0040】
これにより、後述するピーク点P11、P12の何れか一方に全ての露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置することができる。このとき、勿論、スイッチ25を電源23からの電気エネルギーをコンデンサ24に供給しないと共にコンデンサ24からの電気エネルギーをコイル21に供給しない状態にしておく。即ち、コイル21上には、図6に示すように飛翔材26、FPC12の被覆部14、FPC12の導体13、FPC12の被覆部15、FPC11の被覆部15、FPC11の導体13、FPC11の被覆部14の順に搭載される。このとき、FPC11、12は導体13同士を衝突させるために互いに距離をあけて配置される。
【0041】
次に、ピーク点P11、P12について図8を参照して説明する。コイル21に電流を流すと、電流が流れる方向(図8中矢印Kで示す)を軸とした軸周りに磁界Hが発生する。磁界Hは、コイル21に近づくに従って大きくなり、コイル21から離れるに従って小さくなる。また、飛翔材26と交わる磁界Hは、コイル21に近づくに従ってFPC11、12の厚さ方向の成分の割合が小さくなり、コイル21から離れるに従って厚さ方向の成分の割合が大きくなる。よって、飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界のうちFPC11、12の厚さ方向の成分H1が、ピークとなる位置が存在する。
【0042】
また、磁界Hは、コイル21側の空間から飛翔材26と交わった後に飛翔材26から再びコイル21側の空間に抜ける。よって、上述したピークとなる位置は2箇所存在する。このピークとなる位置が背景技術で説明した2つの接合部P21、P22となると考えられる。そして、この2箇所のピークとなる位置をピーク点P11、P12として、ピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、FPC11、12をコイル21上に配置する。
【0043】
話を接合手順に戻すと、その後、図6に示すように、前述したFPC11の被覆部14に固定具22の端面を重ねる。そして、スイッチ25を切り替えて、電源23からの電荷をコンデンサ24に蓄積する。コンデンサ24に所定の電気エネルギーが蓄積された後、スイッチ25を切り替えて、コンデンサ24に蓄積された電気エネルギーをスイッチ25を介してコイル21に供給する。すると、瞬間的(急激)に大電流(電源23からの電流より大きな電流)が、コイル21に流れる。
【0044】
コイル21に流れる電流によりコイル21周りには磁界が発生する。この磁界がFPC11、12の導体13に作用して、一対のFPC11、12の導体13双方に渦電流を流して、これら一対のFPC11、12の導体13を加熱する。また、上記磁界が飛翔材26に作用して、飛翔材26に渦電流が流れる。そして、コイル21から発生する磁界によりコイル21周りに生じる磁束と、渦電流により飛翔材26周りに生じる磁束と、が反発して、飛翔材26が固定具22側に向かって飛翔する。このとき、飛翔材26がコイル21側のFPC12を押して一対のFPC11、12の導体13同士を互いに衝突させて、溶接する。これにより、導体モジュール1を得る。
【0045】
ところで、上述した飛翔材26上のピーク点P11、P12は、コイル21の形状、大きさ、コイル21に流す電流に依存して異なる。そこで、飛翔材26のピーク点P11、P12上に露出穴16を配置するために、予め固定具22とコイル21との間にコイル21の幅よりも広い幅を有する一対の溶接対象物を挟んで、コイル21に電流を流して一対の溶接対象物同士を溶接する。このとき、一対の溶接対象物に生じる接合部P21、P22の位置をピーク点P11、P12として、コイル21との相対位置を求める。そして、求めたコイル21に対するピーク点P11、P12の相対位置上に露出穴16を配置する。
【0046】
上述した実施形態によれば、一対のFPC11、12の被覆部15に各々設けた導体13の片面を露出する導体13の幅よりも小さい露出穴16同士を重ね、飛翔材26と交わるコイル21から発生する磁界のうちFPC11、12の厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P11、P12の何れか一方に露出穴16が位置するように、コイル21上に露出穴16を配置して、コイル21に電流を流して導体13同士を電磁圧接している。これにより、導体13の幅よりも小さい露出穴16を設けることができ、導体13同士の接合面積を小さくすることができる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、導体13が薄くてコイル21側の導体13周りに発生する磁束が小さいと導体13同士の衝突力が小さく電磁圧接できない場合があるが、導体13よりも厚い飛翔材26を設けることにより、飛翔材26周りに大きな磁束を発生して、飛翔材26が導体13を押して導体13同士を大きな衝突力で衝突させるため、確実に導体13同士を接合することができる。
【0048】
また、露出穴16を設けた被覆部15を接着材32で導体13の片面に貼り付けると、露出穴16から接着剤32が漏れ出して導体13同士の接合が不良となる恐れがあるが、上述した実施形態によれば、図4に示すように、接着剤32を用いなくても露出穴16を設けた被覆部15を導体13の片面に貼り付けることができるため、導体13同士の接合が不良となることを防ぐことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態によれば、コイル21の幅広部27の断面はかまぼこ形であったが、本発明はこれに限ったものではない。コイル21の形状は如何なる形状であってもよい。例えば、図9に示すように、断面矩形状であってもよい。図8に示すかまぼこ形のコイル21では、コイル21の幅広部27の幅方向の側面よりも内側にピーク点P11、P12が存在するが、断面矩形状のコイル21の場合、図9に示すようにコイル21の幅広部27の幅方向の側面に沿って、つまり角部にピーク点P11、P12が存在することが分かっている。よって、ピーク点P11、P12上に対する露出穴16の位置決めを容易にできる。
【0050】
また、上述した実施形態では、露出穴16は円状に設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。露出穴16の形状は如何なる形状であってもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、FPC12とコイル21との間に飛翔材26を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。コイル21側のFPC12を構成する導体13に十分な厚みがあれば、飛翔材26を設けなくても良い。この場合、露出穴16は導体13に交わる磁界のうち厚さ方向の成分がピークとなるピーク点P11、P12に配置すればよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、被覆部14、15に挟まれた複数の導体13の全てに露出穴16を設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。図10に示すように、複数の導体13のうち接合したい一部のみに露出穴16を設けることも考えられる。これにより、複数の導体13のうち接合したい導体13同士のみを選択的に接合することができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、固定具22とコイル21との間に一対のFPC11、12を配置していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、固定具22に代えてコイル21を用いて、一対のコイル21の間に一対のFPC11、12を配置するようにしてもよい。
【0054】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の導体モジュールの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す導体モジュールの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1に示すFPCの形成手順を示す断面図である。
【図5】本発明の導体モジュールを組み立てる際に用いられる電磁溶接装置の構成を示す説明図である。
【図6】図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部断面で示す説明図である。
【図7】図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部上面で示す説明図である。
【図8】飛翔材上のピーク点を説明するための図である。
【図9】他の実施形態における図5に示された電磁溶接装置のコイル上に導体を重ねた状態を一部断面で示す説明図である。
【図10】他の実施形態における導体モジュールの分解斜視図である。
【図11】従来の電磁圧接方法の一例を説明するための導体モジュールの断面図である。
【図12】従来の電磁圧接方法の一例を説明するための導体モジュールの上面図である。
【図13】従来の電磁圧接方法で接合された導体モジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 導体モジュール
11 FPC(フラット回路体)
12 FPC(フラット回路体)
13 導体
14 被覆部
15 被覆部
16 露出穴
21 コイル
22 固定具
26 飛翔材
31 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュールにおいて、
前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴が、前記一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、そして、
前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されている
ことを特徴とする導体モジュール。
【請求項2】
前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴同士を重ね、前記導体と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体モジュール。
【請求項3】
前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けられた前記露出穴同士を重ね、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体モジュール。
【請求項4】
前記一対の被覆部間に複数の前記導体が設けられ、
前記露出穴が、前記一対のフラット回路体に設けられた前記複数の導体の一部のみを露出するように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の導体モジュール。
【請求項5】
前記露出穴が設けられている被覆部が、前記被覆部の溶融材を導体の一面に塗布して設けられ、
前記被覆部に設けた露出穴が、前記被覆部の前記露出穴以外の部分にレジスト膜を設けた後に前記被覆部をエッチングして設けられた
ことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の導体モジュール。
【請求項6】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、
前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、
前記導体と交わる前記コイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記露出穴を配置する工程と、
前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、
を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法。
【請求項7】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、
前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、
前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置する工程と、
前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、
を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法。
【請求項1】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられると共に前記導体同士が互いに接合された一対のフラット回路体を有する導体モジュールにおいて、
前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴が、前記一対のフラット回路体の各々の前記被覆部に設けられ、そして、
前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴から露出した導体同士が、電磁圧接されている
ことを特徴とする導体モジュール。
【請求項2】
前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けた前記露出穴同士を重ね、前記導体と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体モジュール。
【請求項3】
前記一対のフラット回路体の導体同士の接合部が、前記一対のフラット回路体に各々設けられた前記露出穴同士を重ね、前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置した後に、前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体モジュール。
【請求項4】
前記一対の被覆部間に複数の前記導体が設けられ、
前記露出穴が、前記一対のフラット回路体に設けられた前記複数の導体の一部のみを露出するように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の導体モジュール。
【請求項5】
前記露出穴が設けられている被覆部が、前記被覆部の溶融材を導体の一面に塗布して設けられ、
前記被覆部に設けた露出穴が、前記被覆部の前記露出穴以外の部分にレジスト膜を設けた後に前記被覆部をエッチングして設けられた
ことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の導体モジュール。
【請求項6】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、
前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、
前記導体と交わる前記コイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記露出穴を配置する工程と、
前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、
を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法。
【請求項7】
平角状の導体、及び、該導体の両面を挟んで被覆する一対のシート状の被覆部、が設けられた一対のフラット回路体の前記導体同士を接合する方法において、
前記一対のフラット回路体の被覆部に各々設けた前記導体の片面を露出する前記導体の幅よりも小さい露出穴同士を重ねる工程と、
前記導体よりも厚い導電性の飛翔材と交わるコイルから発生する磁界のうち前記フラット回路体の厚さ方向の成分がピークとなる位置に前記露出穴が位置するように、前記コイル上に前記飛翔材を挟んだ状態で前記一対のフラット回路体を配置する工程と、
前記コイルに電流を流して前記導体同士を電磁圧接する工程と、
を順次行うことを特徴とする電磁圧接方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−67357(P2010−67357A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229738(P2008−229738)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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