説明

導電性組成物及び該導電性組成物の使用法

導電性組成物は、導電性金属、第一の樹脂成分、及びイソシアネート成分であり、該第一の樹脂成分と反応性の第二の樹脂成分を含む。金属酸化物及び潤滑剤が、この金属の表面上に不純物として存在する。該第二の樹脂成分は、第一の温度にてブロッキングされており、また該第一の温度よりも高い第二の温度にてアンブロッキングされて、第一及び第二の融剤を生成する。この第一の融剤は、該潤滑剤と反応して、該金属表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を、少なくとも部分的に除去する。該金属表面からの該金属酸化物及び該潤滑剤除去又は浄化は、該組成物の導電率を高める。また、方法を提供し、この方法では、基板上に該組成物のトレースを堆積し、また該組成物を該第二の温度に加熱して、該第二の樹脂成分を、アンブロッキングさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に導電性組成物及び該導電性組成物の使用法に関するものである。より具体的には、本発明は、特に導電性金属のトレースを、印刷回路基板(PCB)上に堆積し、回路内に、電気及び電子部品を接続し、また電気及び電子部品を製造する際に、リードフレームにダイを取付けるために使用される、導電性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当分野において導電性インキとも言われる、導電性組成物は、当分野において公知である。これら導電性組成物の使用方法も、当分野において公知である。例えば、導電性組成物は、PCB等の基板上に導電性金属とレースを形成するのに使用される。導電性を確保するために、該導電性組成物は、導電性金属粒子を含む。典型的には、これら粒子は、粉末又はフレーク状態にある。導電性金属粒子の一例としての、銀のフレークは、導電性組成物において使用するのに好ましい、優れた導電体である。というのは、この銀のフレークが、単位質量当たりの極めて大きな表面積を持ち、そのために、特定の導電性金属トレース内の該銀フレークが、相互に接触して、確実に連続的な導電性金属銀の「通路」を形成するのに役立つからである。
銀フレークは、その導電性に対して、負の影響を与える、様々なファクタに対して敏感である。このようなファクタの一つは、該銀フレークの製造に関連する。銀フレークは、ステアリン酸等の潤滑剤の存在下で、銀粉末を圧延することにより作られる。銀フレークの製造中に、潤滑剤としてのステアリン酸中で、銀粉末が銀フレークに圧延され、このステアリン酸は、溶媒で除去される。しかし、ステアリン酸を除去し得る前に、該銀フレークの表面と反応して、該潤滑剤の塩、特にステアリン酸銀を生成し、また該溶媒は、このステアリン酸銀を除去することはできない。該ステアリン酸銀は、該銀フレーク上に残留する不純物であり、また該銀フレークの導電性に対して、負の影響を与える。というのは、該ステアリン酸銀は導電性ではあるが、純粋な、即ち未-酸化の、かつ潤滑剤が適用されていない銀よりも、導電性が大幅に劣っているからである。
【0003】
銀フレークの導電率に負の影響を与えるもう一つのファクタは、銀フレークが空気中で酸化を受けることであり、そのために該銀フレークの表面上に酸化銀が生成される。酸化銀は、該銀フレーク上に残留する、他の型の不純物である。該銀フレークは、これらが圧延されると即座に、またこれらを該導電性組成物中に配合した後においてさえ、酸化作用を受ける。この酸化銀は導電性であるが、ステアリン酸銀と同様に、純粋な銀よりも、導電性は大幅に劣っている。酸化銀及びステアリン酸銀の不純物が依然として表面上に存在する、銀フレークを含む従来技術の導電性組成物の導電率は、一般にこのような導電性組成物が、20〜50mΩ/□(milliohm per square)程度の抵抗率を持つことを理解することによって、理解することができる。
【0004】
最後に、従来技術の導電性組成物の加熱は、この加熱中及びその後の何れにおいても、該導電性組成物の導電率に有利な影響を与えることはないことをも、理解すべきである。簡単に言えば、加熱は、この従来技術の導電性組成物の導電性に影響を与えることはない。その上、硬化を必要とする該従来技術の導電性組成物では、その硬化を、公知の炉又はオーブンにおいて、極めて高い温度にて加熱することにより行っている。これらの高い温度は、通常安価で、非-弾性状態にあるポリスチレン等のプラスチック材料で作られているPCB等の基板に、しばしば溶融等の損傷を与える。
該従来技術の導電性組成物が、上記のような、ステアリン酸銀及び酸化銀等の不純物に関連する欠陥を包含する、諸欠陥を持つことから、該導電性金属粒子が純粋状態にあることにより、改善された導電率を持つ、導電性組成物を提供することが望ましい。同様に、この導電性組成物の使用法を提供することも望ましいことである。
【発明の開示】
【0005】
導電性組成物は、導電性金属、イソシアネート成分、及び該イソシアネート成分と反応性の樹脂成分を含む。一態様において、この導電性金属は、40〜95質量部なる範囲の量で存在し、該イソシアネート成分は、2〜20質量部なる範囲の量で存在し、かつ該樹脂成分は、1〜20質量部なる範囲の量で存在し、ここで上記全ての質量部は、該導電性組成物100質量部を基準とするものである。
もう一つの態様において、該導電性金属は表面を有し、また金属酸化物及び潤滑剤が、この表面上に存在し、また本発明の導電性組成物が、第一の樹脂成分と、該第一の樹脂成分と反応性の第二の樹脂成分を含む。該第二の樹脂成分は、第一の温度においてブロッキングされ、かつ該第一の温度よりも高い第二の温度においてアンブロッキングされる。アンブロッキングの際に、該第二の樹脂成分は、第一の融剤と、第二の融剤とを生成する。該第一の融剤は、少なくとも該金属酸化物と反応し、また該第二の融剤は、少なくとも該潤滑剤と反応する。これら反応は、少なくとも部分的に該金属酸化物及び該潤滑剤を、該導電性金属表面から除去し、結果として本発明の導電性組成物の導電率を高める。
この導電性組成物を使用する本発明の方法は、該導電性組成物のトレースを、基板上に堆積し、該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度まで加熱して、該第二の樹脂成分のアンブロッキングを生じさせる工程を含む。アンブロッキングした際に、該第一及び第二樹脂成分は反応して、硬化し、また該第一及び第二融剤が生成する。該第一及び第二融剤は、該金属酸化物及び該潤滑剤を、該導電性金属表面から除去し、結果として該導電性組成物製トレースの導電率を高める。本発明の該導電性組成物の加熱は、該基板に障害を与えない。
【0006】
該第一及び第二融剤による、該金属酸化物及び該潤滑剤の、該導電性金属表面からの除去は、溶融による該導電性金属の浄化又は洗浄と呼ぶことも可能である。該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度にて加熱しつつ行われる、溶融による該導電性金属の浄化は、該導電性金属が、フレーク状態にある銀であると仮定した場合、該銀フレークが近接状態になり、また接触して、「貴金属の低温溶接」と呼ばれる過程によって合一し、該銀フレークが一緒に溶接され、かつ相互に結合する可能性がある程に、該導電性金属を浄化する。導電性金属トレースが形成され、この導電性金属トレースは、銀フレーク上に依然大量に存在する酸化銀及び/又は潤滑剤を含む、導電性組成物から製造した導電性金属トレースと比較して、大幅に改善された導電率を持つ。例えば、本発明の導電性組成物は、該銀フレーク表面上に依然大量に存在する酸化銀及び/又は潤滑剤を含む、導電性組成物の導電率の、2〜10倍程度良好な、改善された導電率を持つ。この改善された導電性の特別な一つの例として、本発明の導電性組成物の抵抗率は、一般に3〜10mΩ/□程度である。
【0007】
本発明の導電性組成物の加熱は、該組成物の導電率に有利に影響する。というのは、この加熱が、該第一の温度においてブロッキングされている該第二の樹脂成分を分解して、該第一及び第二融剤を生成し、上記のように、これらが該導電性金属表面上の該金属酸化物及び該潤滑剤と反応し、又はこれらを溶融するからである。
従って、本発明は、該導電性金属粒子が純粋な状態にあるために、改善された導電率を持つ、導電性組成物を提供する。それ故に、本発明の該導電性組成物から形成されたトレースの導電率は、改善される。何となれば、これらのトレースが、ステアリン酸等の如何なる潤滑剤、酸化銀等の如何なる酸化物、又はステアリン酸銀等の該潤滑剤及び該銀フレークの如何なる反応生成物をも通さない、導電性通路を確立するからである。本発明は、また該導電性組成物の使用方法をも提供する。
本発明のその他の利点は、添付した図面を考慮して、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明を更に良く理解した場合に、容易に理解されるであろう。該添付図面及び詳細な説明は、例示のみの目的で与えられるものであり、何等本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明は、本発明を実施するための、現時点において最良の形態である。この説明は、本発明の一般的な原理を示すために行われ、また本発明を限定する意味でなされるものではない。本発明の範囲は、最良には、添付した特許請求の範囲を参照することによって決定される。
本発明は、導電性組成物及び該導電性組成物の使用方法を記載する。特に、図1A及び1Bを参照すると、本発明の導電性組成物は、典型的には、導電性トレース10を形成するために、基板、例えばPCB等の非-導電性基板に適用される。PCBは、特にポリスチレン等の低融点プラスチック製であり得、これは従来の炉又はオーブンに配置するのに、理想的なものとは言えない。この導電性トレース10は、広範囲に渡る基板上に堆積することができるものと理解すべきである。換言すれば、この基板は、該PCBから他の組成物の層、例えば半田又は接着性組成物に至る、あらゆる型の基板であり得る。
一態様において、該導電性組成物は、導電性金属、イソシアネート成分、及び該イソシアネート成分と反応性の樹脂成分を含む。典型的には、導電性金属粒子である、該導電性金属は、40〜95質量部、好ましくは60〜95質量部なる範囲の量で存在する。該用語「粒子」とは、本明細書においては導電性金属粉末、導電性金属フレーク等を含むものとする。
【0009】
好ましくは、該導電性金属は銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、鉄、モリブデン、イリジウム、レニウム、水銀、ルテニウム、オスミウム、及びこれらの組合わせからなる群から選択される。より好ましくは、該導電性金属は貴金属を含む。本発明の最も好ましい態様において、該貴金属は、粒子、特にフレーク11の状態にある銀である。本発明の該導電性組成物において使用するのに適した一種の銀フレーク11は、フェロメット(FerroMet)から市販品として入手できるシルバーフレーク(Silver Flake) 52である。説明のみの目的において、残りの説明は、該導電性金属として、銀のフレーク11又はフレーク11について行われる。この説明形態は、便宜的なものであって、限定的なものと理解すべきではない。
該導電性金属は表面を有し、その上には金属酸化物及び潤滑剤が存在する。この銀フレーク11なる用語により、各フレーク11は、表面を持ち、また該金属酸化物は、典型的には酸化銀であり、また該潤滑剤は、典型的にはステアリン酸銀である。上記のように、ステアリン酸銀は、銀粉末から銀フレーク11を圧延する際に使用されたステアリン酸が、該銀フレーク11の表面と反応した場合に生成する。結果的に、本発明の目的にとって、ここで使用するような用語「潤滑剤」とは、一般に該ステアリン酸銀を意味するが、銀粉末の銀フレーク11への圧延に起因して残留している、あらゆるステアリン酸をも意味する。
【0010】
該イソシアネート成分は、2〜20質量部、好ましくは4〜12質量部なる範囲の量で存在する。このイソシアネート成分は、初めにアンブロックトイソシアネート成分を含むことができるが、これは好ましくはブロックトイソシアネート成分を含む。最も好ましいブロックトイソシアネート成分は、ブロックトヘキサメチレンジイソシアネートであるが、他のイソシアネート、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等をも包含する。但し、これらに限定されない。このイソシアネート成分は、イソシアネート-プレポリマーをも含むことができ、これは一般にイソシアネートとポリオール等のポリマーとの反応生成物である。
該ブロックトイソシアネートは、ブロッキング剤でブロッキングされている。このブロッキング剤は、ε-カプロラクタム(ECAP)、メチル-エチルケトオキシム(MEKO)、ジエチルマロネート(DEM)、ジメチルピラゾール(DMP)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の導電性組成物に配合するのに適した、様々なブロックトイソシアネートは、ペンシルバニア州、ピッツバーグの、バイエル社(Bayer Corporation)から市販品として入手できる、バイハイデュール(Bayhydur) BL 116、及び英国、ランカシャーのバクセンデンケミカルズリミテッド(Baxenden Chemicals Limited)から市販品として入手できる、トリクセン(TrixeneTM) BI 7950、トリクセンBI 7962、及びトリクセンBI 7990を含むが、これらに限定されない。トリクセンBI 7950は、ブロッキング剤としてのDMPによりブロッキングされており、トリクセンBI 7962は、ブロッキング剤としてのDEMによりブロッキングされており、またトリクセンBI 7990は、ブロッキング剤としてのDMPとDEMとのブレンドによりブロッキングされている。
【0011】
一般に、このイソシアネート成分は、該金属酸化物及び該潤滑剤と反応して、少なくとも部分的に、該導電性金属表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去して、該導電性組成物の導電率を高める。ここで使用する用語「〜と反応性」とは、該導電性金属表面の該金属酸化物及び該潤滑剤の幾分かと反応し、又は単にこれらを浄化し、洗浄し、あるいはまたこれを除去することを意味する。該イソシアネートがブロックトイソシアネートを含む、最も好ましい態様において、該ブロックトイソシアネートは、80〜250℃なる温度にて、即ち該導電性組成物を加熱した際に、アンブロッキング又は遊離される。この導電性組成物の加熱については、以下において付随的に説明する。該ブロックトイソシアネートを、アンブロッキングする正確な温度は、選択された特定のブロッキング剤に依存して変えることができる。
一旦アンブロッキングされると、アンブロックトイソシアネート及び遊離のブロッキング剤が形成される。これらアンブロックトイソシアネート及び遊離のブロッキング剤は、該金属酸化物、特に酸化銀及び該潤滑剤、特にステアリン酸銀及び/又はステアリン酸と反応性であって、該導電性金属、特に該銀フレーク11の表面から、少なくとも部分的に、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去する。該銀フレーク11の表面からの、該金属酸化物及び該潤滑剤の除去は、該導電性組成物の導電率を高める。というのは、純粋の、即ち酸化されておらず、かつ潤滑剤が適用されていない銀は、酸化銀及びステアリン酸銀等の不純物を担持する銀フレーク11よりも、導電性が高いからである。
【0012】
該イソシアネート成分と反応性の、該樹脂成分は、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部なる量で存在する。一態様において、この樹脂成分は、該イソシアネート成分と反応して、硬化の際にポリウレタンを形成する、ヒドロキシ官能性樹脂を含む。このポリウレタンは、典型的に非-発泡性のポリウレタンである。最も好ましいヒドロキシ官能性樹脂は、フェノキシ樹脂であり、これは典型的にはビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物である。このような樹脂は、サウスカロライナ州、ロックヒルのインケム社(InChem Corp.)から、PKHP-200ソリッドグレードフェノキシレジン(Solid Grade Phenoxy Resin)として、市場から入手できる。この態様において、該ヒドロキシ-官能性樹脂における、OH官能基に対する該イソシアネート成分中のNCO官能基の比は、1:1〜1:2なる範囲にある。もう一つの態様において、該樹脂成分は、該イソシアネート成分と反応して、硬化した際にポリウレアを生成する、アミン-官能性樹脂を含む。
本発明の導電性組成物は、場合によって、該導電性組成物を塗布するための溶媒を含む。それ故、この溶媒は、該イソシアネート成分及び該樹脂成分を溶解して、溶液とするのに十分な型及び量であることが理想的である。該導電性組成物が溶媒を含む場合、該溶媒は、該イソシアネート成分及び該樹脂成分を溶解するために、5〜20質量部、好ましくは6〜12質量部なる範囲の量で存在する。好ましくは、該溶媒はエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの組合わせからなる群から選択される。エチレングリコールモノブチルエーテルは、ブチルセロソルブとして市場から入手でき、またジエチレングリコールモノブチルエーテルは、ブチルカルビトールとして市場から入手でき、これらは両者共に、ミシガン州、ミッドランドのダウケミカル(Dow Chemical)社から入手できる。勿論、その他の溶媒も、本発明の導電性組成物に配合するのに適したものであり得ることを理解すべきである。
【0013】
別の態様、即ち該導電性組成物の最適の用途にとって好ましい態様では、該導電性組成物は、本質的に、該導電性金属、該イソシアネート成分、該イソシアネート成分と反応性の該樹脂成分、及び該イソシアネート成分及び該樹脂成分を溶解するための溶媒を含む。この特別な態様において、該導電性組成物は、40〜95質量部なる範囲の量で存在し、該イソシアネート成分は、2〜20質量部なる範囲の量で存在し、該樹脂成分は、1〜20質量部なる範囲の量で存在し、該溶媒は、5〜20質量部なる範囲の量で存在する。上記の態様におけるように、該イソシアネート成分は、該導電性金属表面上に存在する該金属酸化物及び該潤滑剤と反応して、少なくとも部分的に、該導電性金属表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去する。結果として、該導電性組成物の導電率は、増大する。
更なる態様において、該導電性組成物は、該導電性金属、第一の樹脂成分、及び該第一の樹脂成分と反応性の第二の樹脂成分を含む。該導電性金属は上記の通りであり、またその表面上に存在する金属酸化物及び潤滑剤を含む。好ましくは、該導電性金属は、銀フレーク11である。該第一の樹脂成分は、既に上に記載した樹脂成分と等価である。従って、該第一の樹脂成分が、少なくとも一つの該ヒドロキシ-官能性樹脂と、該アミン-官能性樹脂とを含むことが最も好ましい。
該第二の樹脂成分は、第一の温度においてブロッキングされており、かつ該第一の温度よりも高い第二の温度においてアンブロッキングされている。即ち、該第二の樹脂成分は、高い温度の下で、アンブロッキング又は遊離状態になる。好ましくは、該第一の温度は、80℃未満であり、また該第二の温度は、80〜250℃なる範囲にある。
【0014】
該第二の温度における、該第二の樹脂成分のアンブロッキングは、第一の融剤と第二の融剤とを生成する。該第一の融剤は、少なくとも該金属酸化物と反応性であり、また恐らく該潤滑剤とも反応性である。該第二の潤滑剤は、少なくとも該潤滑剤と反応性であり、また恐らく該金属酸化物とも反応性である。更にまた、該導電性金属が銀フレーク11である場合、該潤滑剤は、該銀フレーク11の加工に起因して残留しているステアリン酸としての、ステアリン酸銀を含むことができる。該第一及び第二の融剤の反応は、該導電性金属表面から、少なくとも部分的に、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去し、結果的に該導電性組成物の導電率を高める。該第一及び第二の融剤は、該第二の樹脂成分をアンブロッキングした際に、該導電性金属、即ち該銀フレーク11から不純物を効果的に浄化するのに十分な量で生成し、結果的に該銀フレーク11は、相互に密に接触し、かつ融合して少なくとも50%該導電性組成物の抵抗を減じ、これに応じて導電率を改善する。該導電性組成物の抵抗は、10mΩ/□以下である。また、該銀フレーク11は、貴金属の低温溶接を起こして、該銀フレーク11が溶接され、かつ相互に接合されてもよい。
【0015】
この特定の態様では、該第二の樹脂成分が、ブロックトイソシアネートを含むことが好ましい。しかし、該第二の樹脂成分が、イソシアネート以外の他のブロックト化学試薬であっても良いことを理解すべきである。但し、該化学試薬は、該第一の樹脂成分と反応性であり、該第一の温度にてブロッキングされ、かつ該第二の温度にてアンブロッキングされて、上記した如く、該第一及び第二の融剤を生成するものである必要がある。該第二の樹脂成分が、ブロックトイソシアネートである場合、上に記載したものと同一のブロッキング剤でブロッキングされていることが好ましい。即ち、該ブロックトイソシアネートが、ε-カプロラクタム、メチル-エチルケトオキシム、ジエチルマロネート、ジメチルピラゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるブロッキング剤でブロッキングされていることが好ましい。
該第二の樹脂成分が、ブロックトイソシアネートであるような態様において、該ブロックトイソシアネートのアンブロッキングは、該第一の融剤としてのアンブロックトイソシアネート及び該第二の融剤としての遊離ブロッキング剤を生成する。多くの上に示された該ブロッキング剤によって、このブロックトイソシアネートのアンブロッキングの際に生成する該遊離のブロッキング剤は、該第二の融剤として機能するアミンである。従って、このアンブロックトイソシアネートは、少なくとも該金属酸化物と、及び恐らくは該潤滑剤とも反応し、また該遊離のブロッキング剤は、少なくとも該潤滑剤と、及び恐らくは該金属酸化物とも反応する。該アンブロックトイソシアネート及び該遊離のブロッキング剤は、本質的に該導電性金属表面から、即ち該銀フレーク11の表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去して、該金属の導電率を高める。
【0016】
本発明は、更に該導電性組成物の使用方法によって具体化される。この方法は、基板上に、該導電性組成物のトレース10を堆積する工程を含む。上に述べたように、該導電性組成物のトレース10は、広範囲に渡る基板上に堆積することができる。この基板が、回路基板である場合、このトレース10は、該回路基板上に堆積される。あるいはまた、該導電性組成物のトレース10を、該基板上に堆積して、回路内に電気及び電子部品を接続することもでき、あるいは該基板上に堆積して、電気及び電子部品の製造中に、ダイをリードフレームに結合することができる。しかし、本発明の方法は、このような用途に限定されるものではない。
本発明の方法は、更に該導電性組成物を、少なくとも上記した第二の温度、すなわち少なくとも80℃に加熱して、該第二の樹脂成分のアンブロッキングを引起す工程をも含む。より具体的には、該導電性組成物を、好ましくは80〜250℃なる範囲、より好ましくは100〜200℃なる範囲、及び最も好ましくは180〜200℃なる範囲の温度に加熱する。これら温度範囲における該導電性組成物の加熱は、該第二の樹脂成分のアンブロッキングあるいは分解を引起し、該第一及び第二の融剤を生成する。勿論、理想的な温度範囲は、該第二の樹脂成分の特定の型及び量、並びに該第二の樹脂成分と組合わせた特定のブロッキング剤の特定の型及び量に依存して変えることができる。
【0017】
加熱した場合、該第一及び第二の樹脂成分は反応して、硬化を起こし、また該第一及び第二の融剤を生成して、該導電性金属の表面から、金属酸化物及び潤滑剤を除去し、結果として上記した該導電性組成物のトレース10の導電率を高める。全体として、典型的にはアンブロックトイソシアネートである該第一の融剤、及び典型的にはアミンを基本とする化合物である該第二の融剤は、該導電性金属の表面上に存在する、あらゆる不純物、即ち金属酸化物及び潤滑剤両者を除去するための、極めて効果的な融剤である。図2A及び2Bを参照すると、加熱する前に、該トレース10が、まず非-焼結状態となり(un-sintered)、かつ該銀フレーク11が、一般的には分離する。他方、図3A及び3Bを参照すると、加熱後に、該トレース10は焼結され、かつ該導電性組成物及び該トレース10の該銀フレーク11は、より密な、改善された接触状態になる。このより密な、改善された接触状態は、該導電性組成物及び該トレース10の導電率を改善する。
該導電性組成物を、180〜200℃なる範囲の最も好ましい温度に加熱した場合、2つの主な利点が実現される。第一に、該導電性組成物は、「迅速硬化(snap cure)」されて、極めて迅速な処理を実現する。第二に、該導電性組成物の導電率が、大幅に高められ、該組成物は、より低い温度範囲にて加熱した組成物よりも、2〜10倍高い導電性を持つことになるであろう。該第一及び第二の樹脂成分及び該第一及び第二の融剤は、上で詳細に説明したものと同一である。
【0018】
必要ではないが、該導電性組成物を、適当なマイクロ波オーブンを用いて、マイクロ波輻射に暴露することにより、該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度に加熱することが好ましい。本発明の最も好ましい態様では、該導電性組成物を、可変周波数のマイクロ波輻射に暴露することにより、該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度に加熱する。該可変周波数のマイクロ波輻射由来のエネルギー波は、該導電性組成物を該第二の温度に加熱する。可変周波数のマイクロ波輻射を利用して、該導電性組成物を加熱する場合には、該導電性組成物は、典型的に3〜20分なる期間に渡り、この種の輻射に暴露される。
本発明の導電性組成物の加熱は、該導電性組成物及びこの導電性組成物で作られた該トレース10の導電率に有利な作用を与える。というのは、この加熱が、上記第一の温度においてブロッキング状態にある、該第二の樹脂成分の分解を引起して、該第一及び第二の融剤を生成し、これらの融剤が、上記の如く、該導電性金属表面上の該金属酸化物及び該潤滑剤と反応し、もしくはこれらを溶融するからである。
【0019】
その上、上記温度での該導電性組成物の加熱、及び好ましい態様における、可変周波数のマイクロ波輻射による該組成物の加熱は、基板に悪影響を及ぼさない。該第一及び第二の樹脂成分は、硬化を生じ、該銀フレーク11は溶融し、及び/又は相互に密に接触して、導電率を改善し、一方非-導電性の基板は、如何なる加熱によっても有意な影響を受けない。というのは、該基板は、該可変周波数のマイクロ波輻射による加熱を被らないからである。
図4及び5を参照すると、本発明の導電性組成物に関する、幾つかの応用が例示されている。図4を参照すると、この導電性組成物は、ダイ結合用の接着剤として使用されている。部品21は、パッド24に接続されるリード23によって、基板22と接着されている。このパッド24は、本発明の導電性組成物から作られており、これは本発明によれば、接着剤としても機能する。図5を参照すると、本発明の導電性組成物は、電子部品としてのダイをリードフレームに接続するために使用されている。電子部品31は、本発明によれば接着剤33としても機能する、該導電性組成物の作用によって、物理的かつ電気的にリードフレーム32に接続されている。
【実施例】
【0020】
ここに提示するような、本発明の導電性組成物及び該導電性組成物の使用方法を例示する、以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明を何等限定するためのものではない。本件特許出願における、質量部に関する全ての言及は、該導電性組成物の100質量部を基準とするものである。
以下の表を参照すると、該導電性組成物は、以下に規定する質量部(pbw)にて、各成分を添加し、かつ反応させることにより製造された。ここに概説した各成分のpbw、特に該導電性金属、該イソシアネート成分、及び該樹脂成分のpbwは、硬化のための最適の反応、及びより低い抵抗率、即ち高い導電性を得るために重要である。
【0021】
【表1】

上記表において、第一樹脂成分は、PKHP-200ソリッドグレードフェノキシレジン(Solid Grade Phenoxy Resin)(インケム社(InChem Corp.))であり;第二樹脂成分#1は、バイハイデュール(Bayhydur) BL 116(バイエル社(Bayer Corporation))であり;第二樹脂成分#2は、トリクセン(TrixeneTM) BI 7950(バクセンデン(Baxenden))であり;第二樹脂成分#3トリクセンBI 7962(バクセンデン)であり;第二樹脂成分#4トリクセンBI 7990(バクセンデン)であり;導電性金属は、シルバーフレーク(Silver Flake) 52(フェロメット(FerroMet))であり;及び溶媒は、ブチルセロソルブ(butyl Cellosolve) (ダウケミカル(Dow Chemical)社)である。
【0022】
該導電性組成物の実施例2〜4を、ガラス基板に描写し、まず予備焼成として、80℃にて5分間乾燥し、該溶媒を蒸発除去した。次いで、これらの実施例を、180℃にて5分間硬化させ、ブロックトイソシアネートが配合されていないコントロール実施例のドローダウンと比較した。このコントロール実施例は、まず予備焼成として、80℃にて1分間乾燥し、該溶媒を蒸発除去し、次いで180℃にて5分間硬化させた。該導電性組成物の抵抗及びフィルム形成性を、実施例2〜4とコントロール実施例との間の抵抗率の効果的な比較を行うために、評価した。結果を以下の表にまとめた。
【0023】
【表2】

【0024】
上記の表に含まれるデータは、本発明の導電性組成物の抵抗率が、一般に3〜10mΩ程度であり、また実施例2〜4の導電性組成物の規格化された抵抗率が、少なくとも50%、該コントロール実施例の規格化された抵抗率よりも低いことを証明している。勿論、導電率に及ぼされる対応する効果も実現されている。
別の実施例において、実施例1の導電性組成物を、耐衝撃性ポリスチレン(HIP)基板及びカプトン(KaptonTM)(デュポン(DuPont)社)ポリイミドフィルム基板上に、トレースとして堆積した。次いで、これらの導電性組成物及び夫々の基板を、可変周波数のマイクロ波(VFM)輻射に暴露することにより加熱して、様々な直線及び螺旋状(蛇行)のトレースを作成した。これら実験の結果を、以下の表にまとめた。


















【0025】
【表3】

【0026】
更なる実施例において、実施例1の導電性組成物を、基板としての裸状態のFR4ボード上に堆積し、この導電性組成物の完全な硬化を達成するに要する加熱並びに硬化条件を見積もった。硬化条件を見積もるために、以下の3つの物性を観測した:
(1) 体積抵抗率及びシート抵抗:体積抵抗率は、4-極プローブに接続された、較正済みのカイスレイ(Keithley) 2400マルチメータを用いて測定する。該導電性組成物を、幅約2.54mm(0.1インチ)×3Mのスコッチ(Scotch)#600透明テープの厚み(約0.033mm(約0.0013インチ))にて適用した。シート抵抗は、該カイスレイマルチメータによる、約25.4mm(1インチ)×約2.54mm(0.1インチ)に対する読みによって測定した(10枚の正方形片)。
(2) 接着性/テープ引張接着強さ:3Mのスコッチテープ(Scotch Tape)#810を使用し、「X」を、該硬化した導電性組成物に銘記し、該テープを、この銘記した「X」上に接着し、次いで該テープを引剥がし、このテープと共に引剥がされた物質の量について、主観的に観測する。
(3) 溶媒耐性:アセトンを使用した。チーズクロスの小片を、アセトンに浸漬した。次いで、このチーズクロス片を、該硬化した導電性組成物に擦り付けた。該基板から材料が除去されるまでの、摩擦回数を計数する。摩擦回数が100回に達したら、この物性テストを停止する。
この実験の結果を、以下の表にまとめた。
【0027】
【表4】

【0028】
上記のように、実施例1の導電性組成物には、第二の樹脂成分として、バイハイデュールBL 116ブロックトイソシアネートが配合されており、この樹脂成分は約130〜140℃なる範囲の温度まで、アンブロッキングされない。従って、上記表のデータが立証されたので、100℃×10分なる条件下で加熱された該導電性組成物は、硬化せず、結果としてこのサンプルのシート抵抗は高いままに維持される。
勿論、他のイソシアネートが、該第二の樹脂成分として選択された場合には、該ブロックトイソシアネートのアンブロッキングする温度を、変えることができる。例えば、DMPでブロッキングされているトリクセンBI 7950は、約120℃にてアンブロッキングされ、またDEMでブロッキングされているトリクセンBI 7962は、約80℃にてアンブロッキングされる。従って、トリクセンBI 7962を選択した場合、100℃×10分なる加熱条件は、硬化を完結し、かつ導電率を高めるのに十分であり得る。
明らかに、上記の教示に照らせば、本発明の多数の改良並びに変更が可能である。本発明は、添付した特許請求の範囲に具体的に記載されたもの以外で、実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】1Aは、基板、特にPCB上に堆積されて、導電性金属トレースを形成している、本発明の導電性組成物の斜視図を示すものであり、また1Bは、この導電性金属トレースの側面図である。
【図2】2Aは、該導電性金属トレースの側面図であり、ここで該導電性組成物は未-焼結状態にあり、そのため該組成物及びトレース中の導電性金属粒子は、一般に相互に不連続で、隔置されており、また2Bは、該導電性金属粒子の空間的な配置に注目した、図2Aの拡大した側面図である。
【図3】3Aは、加熱の目的で、マイクロ波輻射に暴露した後の、図2Aに示した導電性組成物及び導電性金属トレースを示す側面図であり、ここで該導電性金属粒子は、相互に接触し、かつ溶融して、連続した導電性金属の通路を形成しており、また3Bは、該導電性金属粒子が接続及び溶融し、連続した導電性金属の通路を形成している点に注目した、図3Aの拡大した側面図である。
【図4】該導電性組成物の、電気及び電子部品の製造における、ダイ接着用の接着剤としての、好ましい用途を示す斜視図である。
【図5】該導電性組成物の、電子部品のダイをリードフレームに接続するための、もう一つの好ましい用途を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・導電性トレース
11・・・銀フレーク
21・・・部品
22・・・基板
23・・・リード
24・・・パッド
31・・・電子部品
32・・・リードフレーム
33・・・接着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性組成物であって、
40〜95質量部なる範囲の量で存在する導電性金属と、
2〜20質量部なる範囲の量で存在するイソシアネート成分と、
前記イソシアネート成分と反応性であり、かつ1〜20質量部なる範囲の量で存在する樹脂成分と、
を含み、上記全ての質量部が、該導電性組成物100質量部を基準とするものであることを特徴とする、導電性組成物。
【請求項2】
該導電性金属が、銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、鉄、モリブデン、イリジウム、レニウム、水銀、ルテニウム、オスミウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
該導電性金属が、貴金属を含む、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項4】
該貴金属が、粒子状態にある銀を含む、請求項3記載の導電性組成物。
【請求項5】
該イソシアネート成分が、ブロックトイソシアネートを含む、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項6】
該ブロックトイソシアネートが、ブロックトヘキサメチレンジイソシアネートを含有する、請求項5記載の導電性組成物。
【請求項7】
該ブロックトイソシアネートが、ε-カプロラクタム、メチル-エチルケトオキシム、ジエチルマロネート、ジメチルピラゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるブロッキング剤でブロッキングされている、請求項5記載の導電性組成物。
【請求項8】
該ブロックトイソシアネートが、80〜250℃なる温度にてアンブロッキングされて、アンブロックトイソシアネート及び遊離のブロッキング剤とを生成する、請求項7記載の導電性組成物。
【請求項9】
金属酸化物及び潤滑剤が、該導電性金属の表面上に存在し、また前記アンブロックトイソシアネート及び前記遊離のブロッキング剤が、前記金属酸化物及び前記潤滑剤と反応性であって、前記導電性金属の該表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を少なくとも部分的に除去して、該導電性組成物の導電率を高める、請求項8記載の導電性組成物。
【請求項10】
金属酸化物及び潤滑剤が、該導電性金属の表面上に存在し、また該イソシアネート成分が、該金属酸化物及び該潤滑剤と反応性であって、該導電性金属の該表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を少なくとも部分的に除去して、該導電性組成物の導電率を高める、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項11】
該樹脂成分が、硬化した際に、該イソシアネート成分と反応して、ポリウレタンを生成する、ヒドロキシ-官能性樹脂を含む、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項12】
該ヒドロキシ-官能性樹脂がフェノキシ樹脂を含む、請求項11記載の導電性組成物。
【請求項13】
該ヒドロキシ-官能性樹脂における、OH官能基に対する該イソシアネート成分中のNCO官能基の比が、1:1〜1:2なる範囲にある、請求項11記載の導電性組成物。
【請求項14】
該樹脂成分が、硬化した際に、該イソシアネート成分と反応して、ポリウレアを生成する、アミン-官能性樹脂を含む、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項15】
更に、該イソシアネート成分及び該樹脂成分を溶解するために、5〜20質量部なる範囲の量で存在する溶媒をも含む、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項16】
該溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15記載の導電性組成物。
【請求項17】
該導電性金属が、65〜90質量部なる範囲の量で存在する、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項18】
該イソシアネート成分が、4〜12質量部なる範囲の量で存在する、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項19】
該樹脂成分が、2〜10質量部なる範囲の量で存在する、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項20】
該溶媒が、6〜12質量部なる範囲の量で存在する、請求項15記載の導電性組成物。
【請求項21】
10mΩ/□以下の抵抗を持つ、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項22】
請求項1記載の該導電性組成物から製造した、導電性トレースを持つことを特徴とする、基板。
【請求項23】
導電性組成物であって、本質的に、
40〜95質量部なる範囲の量で存在する導電性金属と、
2〜20質量部なる範囲の量で存在するイソシアネート成分と、
該イソシアネート成分と反応性であり、かつ1〜20質量部なる範囲の量で存在する樹脂成分と、
該イソシアネート成分及び該樹脂成分を溶解するために、5〜20質量部なる範囲の量で存在する溶媒と、
を含み、上記全ての質量部が、該導電性組成物100質量部を基準とするものであることを特徴とする、上記導電性組成物。
【請求項24】
金属酸化物及び潤滑剤が、該導電性金属の表面上に存在し、また該イソシアネート成分が、該金属酸化物及び該潤滑剤と反応性であって、該導電性金属の該表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を少なくとも部分的に除去して、該導電性組成物の導電率を高める、請求項23記載の導電性組成物。
【請求項25】
導電性組成物であって、
金属酸化物及び潤滑剤が存在する表面を持つ導電性金属、及び
第一の樹脂成分、
を含み、
該導電性組成物が、該第一の樹脂成分と反応性の、第二の樹脂成分によって特徴付けられ、該第二の樹脂成分が、第一の温度においてブロッキングされ、かつ該第一の温度よりも高い第二の温度においてアンブロッキングされて、第一の融剤、及び第二の融剤を生成し;
該第一の融剤が、少なくとも該金属酸化物と反応し、かつ該第二の融剤が、少なくとも該潤滑剤と反応して、該導電性金属の該表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を少なくとも部分的に除去して、該導電性組成物の導電率を高めることを特徴とする、上記導電性組成物。
【請求項26】
該第二の樹脂成分が、ブロックトイソシアネートを含む、請求項25記載の導電性組成物。
【請求項27】
該ブロックトイソシアネートがε-カプロラクタム、メチル-エチルケトオキシム、ジエチルマロネート、ジメチルピラゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるブロッキング剤でブロッキングされている、請求項26記載の導電性組成物。
【請求項28】
該ブロックトイソシアネートが、アンブロッキングされた場合に、該第一の融剤としてのアンブロックトイソシアネート及び該第二の融剤としての遊離ブロッキング剤を生成する、請求項26記載の導電性組成物。
【請求項29】
該第一の樹脂成分が、ヒドロキシ-官能性樹脂及びアミン-官能性樹脂の少なくとも一方を含む、請求項26記載の導電性組成物。
【請求項30】
該第一の温度が、80℃未満であり、かつ該第二の温度が、80〜250℃なる範囲内にある、請求項25記載の導電性組成物。
【請求項31】
10mΩ/□以下の抵抗を持つ、請求項25記載の導電性組成物。
【請求項32】
導電性組成物の使用方法であって、
基板上に該導電性組成物のトレースを堆積する工程であって、該導電性組成物が、
1) 金属酸化物及び潤滑剤が存在する表面を持つ導電性金属、
2) 第一の樹脂成分、及び
3) 該第一の樹脂成分と反応性の、第二の樹脂成分、
を含み、該第二の樹脂成分が、第一の温度においてブロッキングされ、かつ該第一の温度よりも高い第二の温度においてアンブロッキングされて、3a) 第一の融剤、及び3b) 第二の融剤を生成する工程、
該第一の融剤が、少なくとも該金属酸化物と反応し、かつ該第二の融剤が、少なくとも該潤滑剤と反応して、該導電性金属の該表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を少なくとも部分的に除去する工程、及び
該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度まで加熱して、該第二の樹脂成分のアンブロッキングを生じさせて、該第一及び第二樹脂成分を硬化反応させ、かつ該第一及び第二融剤を生成して、該導電性金属表面から、該金属酸化物及び該潤滑剤を除去し、該導電性組成物の該トレースの導電率を高める工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項33】
該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度まで加熱する上記工程が、更に該導電性組成物を、マイクロ波輻射処理に付して、該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度まで加熱する工程として定義される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該導電性組成物をマイクロ波輻射処理に付す上記工程が、更に該導電性組成物を、可変周波数のマイクロ波輻射処理に付す工程として定義される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
該導電性組成物を、可変周波数のマイクロ波輻射処理に付す上記工程が、更に該導電性組成物を、3〜20分なる範囲の時間に渡り、可変周波数のマイクロ波輻射処理に付す工程として定義される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
該第一の温度が、80℃未満であり、かつ該第二の温度が、80〜250℃なる範囲内であって、該導電性組成物を、少なくとも該第二の温度まで加熱する上記工程が、更に該導電性組成物を、少なくとも80℃に加熱する工程として定義される、請求項32記載の方法。
【請求項37】
該基板が、回路基板であり、かつ該導電性組成物の該トレースを、該基板上に堆積する上記工程が、更に該導電性組成物の該トレースを、該回路基板上に堆積する工程として定義される、請求項32記載の方法。
【請求項38】
該導電性組成物の該トレースを、該基板上に堆積する上記工程が、更に該導電性組成物の該トレースを、該基板上に堆積して、回路内に、電気及び電子部品を接続する工程として定義される、請求項32記載の方法。
【請求項39】
該導電性組成物の該トレースを、該基板上に堆積する上記工程が、更に該導電性組成物の該トレースを、基板上に堆積して、電気及び電子部品を製造する際に、リードフレームにダイを取付ける工程として定義される、請求項32記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−514418(P2006−514418A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569679(P2004−569679)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029782
【国際公開番号】WO2004/084238
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】