説明

導電膜の形成方法、配線基板、電子デバイスおよび電子機器

【課題】導電性および基板との密着性に優れ、厚膜化が可能な導電膜の形成方法、かかる導電膜の形成方法により形成された導電膜を有する配線基板、信頼性の高い電子デバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の導電膜の形成方法は、基板2上に、所定パターンの導電膜3を形成する方法であり、基板2上に、導電膜3のパターンとほぼ等しいパターンとなるように、液滴吐出法により金属粒子31aを含有する金属膜31を形成し、その後、無電解メッキを少なくとも1回行うことにより、金属膜31の表面を覆うようにメッキ膜32を形成して、導電膜3を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜の形成方法、配線基板、電子デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線(導電膜)の形成方法として、例えば、無電解メッキ法による方法(例えば、特許文献1参照。)や、金属粒子を用いた方法(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
ところが、無電解メッキ法により、基板上に配線を形成した場合、配線と基板との密着性が低く、また、無電解メッキ法によるメッキ膜は、膜応力が高い。このため、配線を厚膜で形成した場合、容易に基板から剥離してしまうという問題がある。
【0003】
また、密着性が低いことから、信頼性に足る品質の配線が得られないという問題がある。
一方、金属粒子で配線を形成する場合、この金属粒子は、インク液滴として基板上に供給するため、インク液滴中の金属粒子の含有量や描画精度に限界がある。このため、金属粒子同士の間に間隙が形成され易く、比較的大面積のものを形成すると、クラックや断線が生じ易いという問題がある。
また、一般に、インク液滴中には、金属粒子を固定するためのバインダーが含まれるため、低抵抗な配線が得に難いという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−131135号公報
【特許文献2】特開2003−315813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、導電性および基板との密着性に優れ、厚膜化が可能な導電膜の形成方法、かかる導電膜の形成方法により形成された導電膜を有する配線基板、信頼性の高い電子デバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の導電膜の形成方法は、基板上に、所定パターンの導電膜を形成する導電膜の形成方法であって、
前記基板上に、前記導電膜のパターンとほぼ等しいパターンとなるように、液滴吐出法により金属粒子を含有する金属膜を形成し、
その後、無電解メッキを少なくとも1回行うことにより、前記金属膜の表面を覆うようにメッキ膜を形成して、前記導電膜を得ることを特徴とする。
これにより、導電性および基板との密着性に優れ、厚膜の導電膜が得られる。
【0007】
本発明の導電膜の形成方法では、前記金属膜の平均厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
これにより、例えば金属膜がバインダーを含有する場合でも、得られる導電膜の導電性の低下を防止しつつ、メッキ膜のコアとして十分に機能させることができる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記金属粒子は、金、銀、銅、ニッケル、パラジウムまたはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、これらの金属粒子は、特に、導電性に優れるため、得られた導電膜全体としての導電性の向上を図ることができる。
【0008】
本発明の導電膜の形成方法では、前記無電解メッキを行うのに先立って、前記金属膜の表面に触媒を選択的に付与することが好ましい。
これにより、メッキ膜をより効率よく形成することができる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記無電解メッキは、複数回行われ、
2回目以降の各回の前記無電解メッキを行うのに先立って、前の回で形成された膜の表面に触媒を選択的に付与することが好ましい。
これにより、メッキ膜をより効率よく形成することができる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記触媒は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、スズまたはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料として構成されていることが好ましい。
これらの触媒は、特に高い触媒作用を有することから好ましい。
【0009】
本発明の導電膜の形成方法では、前記無電解メッキは、複数回行われ、
各回の前記無電解メッキにおいて、同種の無電解メッキ液を用いることが好ましい。
これにより、密着性の良い導電膜が得られる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記無電解メッキは、複数回行われ、
複数回の前記無電解メッキのうちの少なくとも1回において、他の回と異種の無電解メッキ液を用いることが好ましい。
これにより、より性能に優れた導電膜が得られる。
【0010】
本発明の導電膜の形成方法では、前記メッキ膜は、ニッケル、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、より性能に優れた導電膜が得られる。
本発明の導電膜の形成方法では、1回目の前記無電解メッキにより形成する膜の平均厚さは、100〜1000nmであることが好ましい。
これにより、応力の上昇を抑えつつ、金属膜が基板から剥離し易くなるのを防止でき、密着性の良い導電膜が得られる。
【0011】
本発明の導電膜の形成方法では、前記メッキ膜の平均厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
これにより、十分な膜強度を有するとともに、高い導電性を有する導電膜が得られる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記金属膜を形成するのに先立って、前記基板上に前記金属膜の下地層を形成することが好ましい。
下地層は、各種の目的で設けることができる。
【0012】
本発明の導電膜の形成方法では、前記下地層は、前記金属膜と前記基板との密着性を向上させる機能を有するものであることが好ましい。
これにより、導電膜の基板に対する密着性がより向上し、基板からの剥離をより確実に防止することができる。
本発明の導電膜の形成方法では、前記下地層は、絶縁性を有するものであることが好ましい。
これにより、導電膜を高い配線密度で形成した場合でも、導電膜同士の間において短絡が生じるのを防止することができる。また、基板として金属製のものを用いることができるようになり、基板の選択の幅が広がるという利点もある。
本発明の導電膜の形成方法では、前記基板は、非金属製のものであることが好ましい。
無電解メッキを用いながらも、非金属製の基板上に導電膜を密着性よく形成することができる。
【0013】
本発明の配線基板は、基板と、
該基板上に、本発明の導電膜の形成方法により形成された導電膜とを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い配線基板が得られる。
本発明の配線基板は、基板と、
該基板上に、所定のパターンで設けられ、金属粒子を含有する金属膜と、該金属膜の表面を覆うように設けられたメッキ膜とを備える導電膜とを有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い配線基板が得られる。
本発明の電子デバイスは、本発明の配線基板を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の導電膜の形成方法、配線基板、電子デバイスおよび電子機器の好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<導電膜の形成方法>
まず、本発明の導電膜の形成方法について説明する。
図1は、本発明の配線基板の一例を示す部分断面斜視図である。
本発明の導電膜の形成方法は、図1に示すように、所定のパターンで設けられ、金属粒子31aを含有する金属膜31と、この金属膜31の表面を覆うように設けられたメッキ膜32とを備える導電膜3を形成する方法である。
【0015】
<<第1実施形態>>
まず、本発明の導電膜の形成方法の第1実施形態について説明する。
図2は、本発明の導電膜の形成方法の第1実施形態を示す図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図2に示す導電膜の形成方法は、金属膜形成工程[1A]と、メッキ膜形成工程[2A]とを有している。
【0016】
以下、各工程について順次説明する。
まず、図2(a)に示すように、導電膜3を形成すべき基板2を準備する。
基板2としては、例えば、Siウエハ、石英ガラス基板、ガラス基板、プラスチックフィルムのような非金属製の基板、金属製の基板等の各種の基板を用いることができる。また、これらを基材とし、その表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜等が形成されたものを基板として用いてもよい。
これらの中でも、基板2としては、非金属製の基板が好適である。本発明の導電膜の形成方法によれば、後述するように無電解メッキを用いながらも、非金属製の基板2上に導電膜3を密着性よく形成することができる。
【0017】
[1A]金属膜形成工程
まず、基板2上に、例えばインクジェット法等の液滴吐出法により、図2(b)に示すように、金属粒子31aを含有する金属膜形成材料310を吐出して、図2(c)に示すような金属膜31を形成する。
このとき、金属膜31は、目的とする導電膜3のパターンとほぼ等しいパターンとなるように形成する。液滴吐出法を用いることにより、レジスト層(マスク)を用いることなく、金属膜31を容易かつ寸法精度よくパターニングすることができる。
この金属膜31は、後述するメッキ膜32を成長させるためのコア(芯部)として機能するとともに、基板2とメッキ膜32との接合するための接合層として機能する。
【0018】
金属粒子31aは、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらを含む合金等で構成されたものを用いることができるが、特に、金、銀、銅、ニッケル、パラジウムまたはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料として構成されたものを用いるのが好ましい。これらの金属粒子31aは、特に、導電性に優れるため、得られた導電膜3全体としての導電性の向上を図ることができる。
また、これらの金属粒子31aは、金属膜形成材料310中での分散性を向上させるために、例えば有機物等によりコーティングして用いるようにしてもよい。
【0019】
金属粒子31aの平均粒径は、特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、1〜50nm程度であるのがより好ましい。金属粒子31aの粒径が小さ過ぎると、金属粒子31a同士が凝集し易くなり、金属膜形成材料310中での分散性が低下するおそれがある。一方、金属粒子31aの粒径が大き過ぎると、液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。
【0020】
金属膜形成材料310の調整に用いる(金属粒子31aを分散させる)分散媒としては、室温での蒸気圧が0.001〜200mmHg(約0.133〜26600Pa)程度であるのが好ましく、0.001〜50mmHg(約0.133〜6650Pa)程度であるのがより好ましい。分散媒の蒸気圧が低過ぎると、分散媒の蒸発が不十分となり、金属膜31中に分散媒が残留し易くなる傾向を示し好ましくない。一方、分散媒の蒸気圧が高過ぎると、金属膜形成材料310を基板2上に吐出後、分散媒が急激に蒸発してしまい、良好な金属膜31を形成することが困難となるおそれがある。また、金属膜形成材料310を液滴吐出法により液滴として吐出する際に乾燥によるノズル詰まりが起こり易くなり、安定な液滴吐出が困難となるおそれがある。
【0021】
このような分散媒としては、特に限定されないが、水の他に、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンのような炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンのようなエーテル類、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0022】
これらの中でも、分散媒としては、水、アルコール類、炭化水素類、エーテル類が好ましく、水、炭化水素類がより好ましい。これらの分散媒は、金属粒子31aを均一に分散させ易く、調整された金属膜形成材料310の保存安定性が高く、また、液滴吐出法へ適用し易いという利点もある。
なお、前述したような分散媒は、単独または任意の2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
また、金属膜形成材料310中の金属粒子31aの含有量(分散質濃度)は、目的とする金属膜31の膜厚等に応じて適宜調整するようにすればよく、特に限定されないが、1〜80wt%程度であるのが好ましく。10〜60wt%程度であるのがより好ましい。 なお、金属粒子31aの含有量を前記上限値を超えて多くすると、金属粒子31a同士が凝集し易くなり、均一な膜厚の金属膜31が得難くなるおそれがある。
【0024】
金属膜形成材料310の表面張力は、0.02〜0.07N/m程度であるのが好ましく、0.02〜0.05N/m程度であるのがより好ましい。液滴吐出法により金属膜形成材料310を吐出する際に、表面張力が低過ぎると、金属膜形成材料310のノズル面に対する濡れ性が増大して飛行曲りが生じ易くなるおそれがあり、一方、表面張力が高過ぎると、ノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量、吐出タイミングの制御が困難になるおそれがある。
【0025】
表面張力を調整するため、金属膜形成材料310には、基板2との接触角を必要以上に低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等の表面張力調節剤を微量添加するようにしてもよい。例えば、ノニオン系表面張力調節剤は、金属膜形成材料310の基板2に対する濡れ性を良好化し、形成される金属膜31のレベリング性を改良し、金属膜31に微細な凹凸が発生すること等を好適に防止する。
また、金属膜形成材料310は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでいてもよい。
【0026】
このような金属膜形成材料310の粘度は、1〜50mPa・s程度であるのが好ましく、5〜30mPa・s程度であるのがより好ましい。液滴吐出法により金属膜形成材料310を吐出する際に、粘度が低過ぎると、ノズル周辺部が金属膜形成材料310の流出により汚染され易くなるおそれがあり、一方、粘度が高過ぎると、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり、円滑な金属膜形成材料310の吐出が困難となるおそれがある。
【0027】
基板2上に、所定のパターンとなるように供給された金属膜形成材料310には、必要に応じて、例えば加熱処理等を施すことにより、金属膜31としてもよい。これにより、金属膜31がバインダーを含有する場合は、金属膜31の表面付近からバインダーを除去して、金属粒子31aを露出させることができる。
形成する金属膜31の平均厚さは、特に限定されないが、1〜10μm程度であるのが好ましく、1〜5μm程度であるのがより好ましい。金属膜31の厚さが薄過ぎると、後述するメッキ膜32のコアとして十分に機能できなくなるおそれがあり、一方、金属膜31を前記上限値を超えて厚くすると、例えば金属膜31がバインダーを含有する場合、そのバインダーの種類や量等によっては、得られる導電膜3の導電性が極端に低下するおそれがある。
【0028】
[2A]メッキ膜形成工程
次に、無電解メッキを少なくとも1回(本実施形態では、4回)行うことにより、金属膜31の表面を覆うようにメッキ膜32を形成する。これにより、導電膜3を得る。
まず、図2(d)に示すように、金属膜31の表面に触媒5を選択的に付与する。これにより、第1の膜321(メッキ膜32)をより効率よく形成することができる。
【0029】
これは、触媒5を含有する触媒付与液を、金属膜31の表面に供給する(接触させる)ことにより行われる。
金属膜31の表面に触媒付与液を供給する方法としては、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スリットコート法、キャップコート法、ディスペンサー法、スプレーコート法、ロールコート法、インクジェット法(液滴吐出法)等の各種塗布法が挙げられ、これらのうちの1種または任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、あるいは、スズ−パラジウム混合溶液またはこれらを含む合金等が挙げられるが、これらの中でも、パラジウム、白金、スズ−パラジウム混合溶液またはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料とするものが好適である。これらの触媒5は、特に高い触媒作用を有することから好ましい。
【0031】
触媒付与液は、例えば、前記触媒の塩(ハロゲン化物等)を溶媒に溶解することにより調整することができる。
このような触媒付与液を金属膜31の表面に接触させると、金属粒子31aの表面に触媒5が金属単体として析出する。
このため、触媒付与液を金属膜31の表面に接触させるのに先立って、金属膜31の表面には活性化処理を施しておくのが好ましい。この活性化処理としては、例えば、金属粒子31aの表面のコーティング剤や酸化膜等を除去する処理(ライトエッチング)が挙げられる。これにより、金属粒子31aの表面に触媒をより確実に析出(付着)させることができる。
【0032】
このライトエッチングによる金属粒子31aの表面の除去量は、例えば、エッチング液の濃度、エッチング時間等を設定することにより調製(制御)することができる。
また、金属膜31の表面に触媒を付与する際の条件、例えば、触媒付与液中の塩濃度、触媒付与液の温度、金属膜31の表面への触媒付与液の接触時間等も、それぞれ、特に限定されない。
なお、金属膜31中の金属粒子31aが触媒作用を有する場合には、金属膜31の表面への触媒付与は、省略することができる。
【0033】
次に、無電解メッキ液中に、金属膜31が形成された基板2を浸漬することにより、1回目の無電解メッキを行う。これにより、図2(e)に示すように、金属膜31の表面には、触媒5を核として第1の膜321が形成される。
ここで、第1の膜321の平均厚さは、特に限定されないが、100〜1000nm程度であるのが好ましく、150〜800nm程度であるのがより好ましい。第1の膜321が前記下限値未満であると、金属膜がアイランド状で十分に膜になっていない可能性があり、その結果、不均一な膜質となるおそれがあり、一方、第1の膜321の厚さを前記上限値を超えて厚くすると、金属膜31が基板2から剥離し易くなるおそれがある。
第1の膜321の膜厚は、例えば、無電解メッキ液中の金属塩の濃度、無電解メッキ液の温度、無電解メッキ液中への基板2の浸漬時間等を適宜設定することにより調製(制御)することができる。
【0034】
次いで、前記と同様にして、第1の膜321の表面に触媒を付与した後、無電解メッキ液中に基板2を浸漬すること(2回目の無電解メッキを行うこと)により、図2(f)に示すように、第2の膜322を形成する。
このようにして、無電解メッキを繰り返して行って、図2(g)に示すように、順次、第3の膜323、第4の膜324を形成する。これにより、メッキ膜32が得られる。
このように、メッキ膜32を複数回の無電解メッキにより形成することにより、金属膜31との密着性を維持しつつ、膜厚の大きいものを確実に得ることができる。
【0035】
この場合、各回の無電解メッキで形成する膜の厚さを、ほぼ等しくしてもよいが、異なるように、特に、後の回で形成する膜の厚さが大きくなるようにするのが好ましい。これにより、基板2に対してより密着性の高い導電膜3を得ることができる。
また、この場合、各回で用いる無電解メッキ液を同種のものを用いてもよく、少なくとも1回異種のものを用いるようにしてもよい。
【0036】
無電解メッキ液として同種のものを用いる場合には、例えば、金属膜そのものの相性を考慮する必要がなく、密着性が良好であるという利点がある。
一方、無電解メッキ液として、少なくとも1回異種のものを用いる場合には、次のような利点がある。
すなわち、I:例えば、最終回の無電解メッキ液に無電解金メッキ液を用いて、導電膜3の表面付近を金で構成することにより、導電膜3を保護することができるようになるとともに、他の配線との接続を容易に行い得るものとすることができる。
【0037】
また、II:例えば、メッキ膜32をニッケルと、金または銅との積層膜とすることにより、導電性を維持しつつ、比較的安価なニッケルを用いるため、コストの削減を実現できる。
また、III:例えば、膜応力が互いに反対方向の膜を積層することにより、メッキ膜32の膜応力を消失または緩和させることができ、メッキ膜32の金属膜31からの剥離をより確実に防止することができる。ここで、一般に、膜応力が圧縮方向に強く現れる膜としては、例えば、ニッケル−リン膜等が挙げられ、膜応力が引っ張り方向に強く現れる膜としては、ニッケル−ボロン膜や銅膜等が挙げられる。
なお、無電解メッキの回数は、4回に限定されず、1回、2回、3回または5回以上行うようにしてもよい。
【0038】
メッキ膜32の平均厚さは、特に限定されないが、1〜10μm程度であるのが好ましく、1〜5μm程度であるのがより好ましい。これにより、十分な膜強度を有するとともに、高い導電性を有する導電膜3が得られる。
また、メッキ膜32の構成材料としては、前記のニッケル、銅、金の他、例えば、銀等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば積層等して)用いるのが好ましい。これらのものは、導電膜としての導電性が良好であるという点で優れている。
以上の工程を経て、本発明の配線基板1が得られる。
このような配線基板1は、導電膜3が高い導電性を有し、かつ、密着性高く基板2上に設けられ、容易に剥離することがないため、信頼性の高いものとなる。
【0039】
<<第2実施形態>>
次に、本発明の導電膜の形成方法の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の導電膜の形成方法の第2実施形態を示す図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態の導電膜の形成方法について、前記第1実施形態の導電膜の形成方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態では、基板2上に、金属膜31を形成するのに先立って下地層4を形成し、それ以外は、前記第1実施形態と同様である。
図3に示す導電膜の形成方法は、下地層形成工程[1B]と、金属膜形成工程[2B]と、メッキ膜形成工程[3B]とを有している。
【0040】
[1B]下地層形成工程
まず、図3(a)に示すように、基板2上に、下地層4を形成する。
ここで、下地層4は、金属膜31と基板2との密着性を向上させる機能を有するものである。この下地層4を設けることにより、金属膜31と基板2との密着性が向上するため、基板2が可撓性を有するものである場合等でも、金属膜31(導電膜3)が基板2から剥離するのを確実に防止することができる。
【0041】
また、この下地層4は、絶縁性を有するものであるのが好ましい。これにより、導電膜3を高い配線密度で形成した場合でも、導電膜3同士の間において短絡が生じるのを防止することができる。また、基板2として金属製のものを用いることができるようになり、基板2の選択の幅が広がるという利点もある。
このような下地層4の構成材料(絶縁材料)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0042】
下地層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜25μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。下地層4の厚さが薄過ぎると、下地層4の構成材料等によっては、基板2と金属膜31との十分な密着性が得られなかったり、十分な絶縁性が発揮されなかったり等するおそれがある。一方、下地層4の厚さを前記上限値を超えて大きくしても、それ以上の効果の増大が期待できず、基板2が可撓性を有する場合、その可撓性が低下するおそれがある。
また、下地層4は、このような材料またはその前駆体を溶解または分散した下地層形成材料を、基板2上に供給した後、例えば、乾燥、加熱処理、紫外線照射等することにより形成することができる。
【0043】
下地層形成材料を基板2上に供給する方法としては、触媒付与液を供給する方法として挙げたのと同様の各種塗布法を用いることができる。
なお、下地層4は、基板2と金属膜31との密着性の向上させる目的以外の他の目的や、この他の目的と密着性向上の目的との双方を目的として設けるようにしてもよい。
また、図示の構成では、下地層4は、基板2の全面に形成しているが、これに限定されず、例えば、導電膜3とほぼ等しいパターンで形成するようにしてもよい。
【0044】
[2B]金属膜形成工程
前記工程[1A]と同様にして行う。これにより、図3(b)に示すように、下地層4上に金属膜31を形成する。
[3B]メッキ膜形成工程
前記工程[2A]と同様にして行う。これにより、図3(c)に示すように、金属膜31の表面を覆うように、メッキ膜4を形成する。
以上の工程を経て、本発明の配線基板1が得られる。
第2実施形態では、下地層4を設けるため、導電膜3の基板2に対する密着性がより向上し、基板2からの剥離をより確実に防止することができる。
【0045】
<電子デバイス>
上述したような配線基板1は、各種の半導体装置や、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイ装置のような表示装置等の電子デバイスに適用することができる。
なお、以下では、本発明の電子デバイスを、プラズマディスプレイ装置に適用した場合を一例として説明する。
【0046】
図4は、本発明の電子デバイスをプラズマディスプレイ装置に適用した場合の実施形態を示す分解斜視図である。
図4に示すプラズマディスプレイ装置500は、互いに対向して配置されたガラス基板501とガラス基板502と、これらの間に形成された放電表示部510とから概略構成されている。
【0047】
放電表示部510は、複数の放電室516が集合されてなり、複数の放電室516のうち、赤色放電室516(R)、緑色放電室516(G)、青色放電室516(B)の3つの放電室516が対になって1画素を構成するように配置されている。
ガラス基板501の上面には、所定の間隔でストライプ状にアドレス電極511が形成され、これらのアドレス電極511と基板501の上面とを覆うように誘電体層519が形成されている。
さらに、誘電体層519上において、アドレス電極511、511間に位置して各アドレス電極511に沿うように隔壁515が形成されている。
【0048】
なお、隔壁515においては、その長手方向の所定位置においてアドレス電極511と直交する方向にも所定の間隔で仕切られている(図示せず)。
これにより、基本的には、アドレス電極511の幅方向左右両側に隣接する隔壁と、アドレス電極511と直交する方向に延設された隔壁により仕切られる長方形状の領域が形成され、これらの長方形状の領域に対応するように放電室516が形成されている。そして、これらの長方形状の領域が3つ対になって1画素が構成されている。
【0049】
また、隔壁515で区画される長方形状の領域の内側には、蛍光体層517が設けられている。蛍光体層517は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するものであり、赤色放電室516(R)の底部には、赤色蛍光体層517(R)が、緑色放電室516(G)の底部には緑色蛍光体層517(G)が、青色放電室516(B)の底部には青色蛍光体層517(B)が各々設けられている。
【0050】
一方、ガラス基板502側には、先のアドレス電極511と直交する方向に複数の透明表示電極512がストライプ状に、所定の間隔で形成されている。この透明表示電極512は、例えば、ITO、FTO、ATO等の透明導電性材料で構成されている。
また、この透明表示電極512に接触して、金属製のバス電極512aが形成されている。バス電極512aは、透明表示電極512の抵抗値を低減させる機能を有するものである。
さらに、これらの透明表示電極512およびバス電極512aを覆うようにして、誘電体層513が形成され、さらにMgOなどからなる保護膜514が形成されている。
【0051】
そして、ガラス基板501とガラス基板502とが、アドレス電極511と透明表示電極512とを互いに直交させるように対向させて相互に貼り合わされ、蛍光体層517と保護膜514とで囲まれる空間部分を排気して希ガスを封入することにより、放電室516が形成されている。
なお、ガラス基板502側に形成される透明表示電極512は、各放電室516に対して2本ずつ配置されるように形成されている。
【0052】
アドレス電極511と透明表示電極512とは、図示しない交流電源に接続され、各電極に通電することにより、所望の位置の放電表示部510において、蛍光体層517を励起発光させて、カラー表示ができるようになっている。
このようなプラズマディスプレイ装置500において、例えば、アドレス電極511が形成されたガラス基板501が、本発明の配線基板で構成されている。
【0053】
<電子機器>
本発明の電子デバイスは、各種電子機器に適用することができる。
<<パーソナルコンピュータ>>
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0054】
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が前述の表示装置(電子デバイス)を備えている。
【0055】
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、前述の表示装置(電子デバイス)を表示部に備えている。
【0056】
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0057】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、前述の表示装置(電子デバイス)が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0058】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
【0059】
なお、本発明の電子機器は、図5のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図6の携帯電話機、図7のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
【0060】
以上、導電膜の形成方法、配線基板、電子デバイスおよび電子機器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の導電膜の形成方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、本発明の電子デバイスおよび電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【実施例】
【0061】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.配線基板の製造
(実施例1)
まず、金属膜形成材料として、平均粒径:約5nmの銀粒子が有機溶剤に分散した液体(真空冶金社製、「パーフェクトシルバー」)の分散媒を、テトラデカンに置換して調整した。
【0062】
なお、金属膜形成材料中の銀粒子の含有量を60wt%、金属膜形成材料の粘度を8mPa・s、表面張力を0.05N/mとした。
この金属膜形成材料を、セイコーエプソン製のインクジェットプリンターヘッド(市販プリンター商品名PM950Cと同等ヘッドを耐有機溶剤使用に改造したもの)を用いて、ガラス基板上に図1に示すようなパターンで吐出した。
【0063】
次に、所定パターンでガラス基板上に吐出された金属膜形成材料を、大気中、室温(25℃)×2時間で乾燥させた後、窒素雰囲気中、400℃×1時間で焼成した。
得られた金属膜は、細線部(平均厚さ:3μm、平均幅:20μm)と、パッド部(平均厚さ:3μm、平面積:0.15mm)であった。
次に、金属膜に対して、ライトエチングを施した。
【0064】
次に、パラジウム塩を含有する触媒付与液(メルテックス社製、「アクチベーター」)中に、金属膜が形成されたガラス基板を1分間浸漬させた。
これにより、金属膜の表面にパラジウム(触媒)を付与した。
次に、このガラス基板を触媒付与液中から取り出し、水洗した後、ニッケルメッキ液(メルテックス社製、「無電解ニッケルメッキ液」)中に2分間浸漬させた。
これにより、金属膜にニッケルメッキを施し、金属膜の表面を覆うように、平均厚さ:約160nmのニッケル膜を形成した。
【0065】
次に、ガラス基板を水洗した後、前記と同様の触媒付与液に2分間させ、さらに水洗の後、前記と同様のニッケルメッキ液に3分間浸漬させた。
次に、かかる操作を、ニッケルメッキ液への浸漬時間を、3分、5分、5分に変更して繰り返し行った。
最後に、置換金メッキを行った。これにより、メッキ膜を形成して、導電膜を得た。
なお、得られた導電膜は、平均厚さ:8μm(メッキ膜の平均厚さ:5μm)であり、細線部およびパッド部の表面は、いずれも緻密であることが確認された。
以上の工程を経て、配線基板を得た。
【0066】
(実施例2)
基板としてポリイミドフィルムを用い、ガラス基板に固定した状態で、ポリイミドフィルム上に前記実施例1と同様にして導電膜を形成した。
なお、無電解メッキのプロセスは、前記実施例1と同様であるが、ニッケルメッキの回数を3回とした。
また、ニッケルメッキ液への浸漬時間を、1分、3分、7分とした。
なお、得られた導電膜は、平均厚さ:6μm(メッキ膜の平均厚さ:3μm)であり、細線部およびパッド部の表面は、いずれも緻密であることが確認された。
【0067】
(実施例3)
以下に示すように形成した下地層を設けた以外は、前記実施例1と同様にして、配線基板を製造した。
ガラス基板上に、スピンコート法によりエポキシ樹脂前駆体を供給した後、280℃×1時間焼成した。これにより、平均厚さ:5μmの下地層を形成した。
(実施例4)
前記実施例3と同様にして、下地層を設けた以外は、前記実施例2と同様にして、配線基板を製造した。
【0068】
(比較例1)
金属膜を省略した以外は、前記実施例1と同様にして、配線基板を製造した。
(比較例2)
金属膜を省略した以外は、前記実施例2と同様にして、配線基板を製造した。
(比較例3)
金属膜を省略した以外は、前記実施例3と同様にして、配線基板を製造した。
(比較例4)
金属膜を省略した以外は、前記実施例4と同様にして、配線基板を製造した。
【0069】
2.評価
各実施例および各比較例で製造された配線基板について、それぞれ、テープピール試験を行った。
なお、このテープピール試験は、JIS H 8504(めっきの密着性試験方法)に示される試験方法のうち、(8)引き剥がし試験方法の(a)テープ試験方法に準じて行った。
【0070】
各実施例で製造された配線基板は、いずれも、導電膜の基板からの剥離が観察されず、問題のないことが確認された。
これに対し、各比較例で製造された配線基板は、いずれも、導電膜の基板からの剥離が目視により明らかであった。
また、各実施例で製造された配線基板は、いずれも、導電膜の電気的特性についても問題がないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の配線基板の一例を示す部分断面斜視図である。
【図2】本発明の導電膜の形成方法の第1実施形態を示す図(縦断面図)である。
【図3】本発明の導電膜の形成方法の第2実施形態を示す図(縦断面図)である。
【図4】本発明の電子デバイスをプラズマディスプレイ装置に適用した場合の実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・配線基板 2・・・基板 3・・・導電膜 31・・・金属膜 31a・・・金属粒子 310・・・金属膜形成材料 32・・・メッキ膜 321・・・第1の膜 322・・・第2の膜 323・・・第3の膜 324・・・第4の膜 4・・・下地層 5・・・触媒 500・・・プラズマディスプレイ装置 501、502・・・ガラス基板 510・・・放電表示部 511・・・アドレス電極 512・・・透明表示電極 512a・・・バス電極 513・・・誘電体層 514・・・保護膜 515・・・隔壁 516・・・放電室 517・・・蛍光体層 519・・・誘電体層 1100・・・パーソナルコンピュータ 1102・・・キーボード 1104・・・本体部 1106・・・表示ユニット 1200・・・携帯電話機 1202・・・操作ボタン 1204・・・受話口 1206・・・送話口 1300・・・ディジタルスチルカメラ 1302・・・ケース(ボディー) 1304・・・受光ユニット 1306・・・シャッタボタン 1308・・・回路基板 1312・・・ビデオ信号出力端子 1314・・・データ通信用の入出力端子 1430・・・テレビモニタ 1440・・・パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、所定パターンの導電膜を形成する導電膜の形成方法であって、
前記基板上に、前記導電膜のパターンとほぼ等しいパターンとなるように、液滴吐出法により金属粒子を含有する金属膜を形成し、
その後、無電解メッキを少なくとも1回行うことにより、前記金属膜の表面を覆うようにメッキ膜を形成して、前記導電膜を得ることを特徴とする導電膜の形成方法。
【請求項2】
前記金属膜の平均厚さは、1〜10μmである請求項1に記載の導電膜の形成方法。
【請求項3】
前記金属粒子は、金、銀、銅、ニッケル、パラジウムまたはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料として構成されている請求項1または2に記載の導電膜の形成方法。
【請求項4】
前記無電解メッキを行うのに先立って、前記金属膜の表面に触媒を選択的に付与する請求項1ないし3のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項5】
前記無電解メッキは、複数回行われ、
2回目以降の各回の前記無電解メッキを行うのに先立って、前の回で形成された膜の表面に触媒を選択的に付与する請求項1ないし4のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項6】
前記触媒は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、スズまたはこれらを含む合金のうちの少なくとも1種を主材料として構成されている請求項4または5に記載の導電膜の形成方法。
【請求項7】
前記無電解メッキは、複数回行われ、
各回の前記無電解メッキにおいて、同種の無電解メッキ液を用いる請求項1ないし6のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項8】
前記無電解メッキは、複数回行われ、
複数回の前記無電解メッキのうちの少なくとも1回において、他の回と異種の無電解メッキ液を用いる請求項1ないし6のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項9】
前記メッキ膜は、ニッケル、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を主材料として構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項10】
1回目の前記無電解メッキにより形成する膜の平均厚さは、100〜1000nmである請求項5、7ないし9のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項11】
前記メッキ膜の平均厚さは、1〜10μmである請求項1ないし10のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項12】
前記金属膜を形成するのに先立って、前記基板上に前記金属膜の下地層を形成する請求項1ないし11のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項13】
前記下地層は、前記金属膜と前記基板との密着性を向上させる機能を有するものである請求項12に記載の導電膜の形成方法。
【請求項14】
前記下地層は、絶縁性を有するものである請求項12または13に記載の導電膜の形成方法。
【請求項15】
前記基板は、非金属製のものである請求項1ないし14のいずれかに記載の導電膜の形成方法。
【請求項16】
基板と、
該基板上に、請求項1ないし15のいずれかに記載の導電膜の形成方法により形成された導電膜とを備えることを特徴とする配線基板。
【請求項17】
基板と、
該基板上に、所定のパターンで設けられ、金属粒子を含有する金属膜と、該金属膜の表面を覆うように設けられたメッキ膜とを備える導電膜とを有することを特徴とする配線基板。
【請求項18】
請求項16または17に記載の配線基板を備えることを特徴とする電子デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−128228(P2006−128228A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311589(P2004−311589)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】