説明

工業用ブラインの精製のための方法、適合化微生物、組成物及び装置

1種若しくはそれ以上の無機塩、1種若しくはそれ以上の有機化合物、及び任意的に、前記1種若しくはそれ以上の無機塩及び前記1種若しくはそれ以上の有機化合物中に含まれる微生物栄養素以外の、1種若しくはそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液を供給し、そして工程(1)において供給したブライン水溶液から有機化合物を除去するための少なくとも1つの単位操作を行って第1の精製ブライン溶液を得ることを含むブラインの精製方法である。前記の少なくとも1つの単位操作はブライン水溶液を酸素の存在下に有機化合物を酸化できるリビング微生物と接触させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本出願と同一出願日に出願した以下の出願に関連する。以下の各出願の開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる:
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66323)(発明の名称:ブラインの精製);
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66324)(発明の名称:塩素化分解によるブライン中の全有機炭素(TOC)の低減);
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66325)(発明の名称:工業用ブラインの精製方法及び精製装置);及び
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66327)(発明の名称:ブラインの精製)。
【0002】
発明の分野
本発明は、工業的プロセスによって生成されたブラインの精製方法及び精製装置に関する。精製されたブラインは、塩素ガス及び水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸塩へのブラインの電解転化のための塩素アルカリ(chlor-alkali)プロセスのような工業プロセスにおいて使用できる。
【背景技術】
【0003】
ブラインは、塩素原子含有化合物を水酸化ナトリウムのような無機塩基と反応させて塩化物塩を含むブライン水溶液を形成する工業プロセスによって発生する。例としては、クロロヒドリン類と水酸化ナトリウムとの反応によるエピクロロヒドリンの製造;塩基がエピクロロヒドリンの塩素原子及びフェノール性水素原子と反応する、エピクロロヒドリンとビスフェノールA又はビスフェノールFのようなポリフェノール化合物との反応によるエポキシ樹脂の製造;並びにイソシアネート類の製造に使用されるホスゲン化プロセス中の塩化水素の除去に使用される塩化水素吸収装置中などにおける、塩化水素と水酸化ナトリウムとの反応による、化学流から塩化水素を除去するための工業廃液のスクラビングが挙げられる。このようなプロセスによって生成されるブライン水溶液は、ブラインが由来するプロセスに関連する1種又はそれ以上の有機化合物を含むことが多い。
【0004】
塩化ナトリウムを、主な塩として、含むブライン水溶液は、塩素アルカリプロセスとして知られる電気分解プロセスによる塩素ガス及び水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸塩の製造において有用である。塩素アルカリプロセスによって製造される塩素ガス、次亜塩素酸塩及び水酸化ナトリウムは、塩素原子及び/又は強塩基を必要とする多くの工業プロセスにおいて有用である。工業プロセスによって生成されるブライン水溶液を塩素アルカリプロセスにおいて使用して工業化学プロセスを一体化し、それによって原料入手コスト及び副生成物廃棄コストを削減できれば望ましいであろう。
【0005】
工業プロセスによって生成されるブライン水溶液の塩素アルカリプロセスにおける使用に関連する問題は、塩素アルカリプロセスは有機化合物を含む不純物に対する許容限度が低いため且つ/又は高純度水酸化ナトリウムのような高純度の生成物が望ましいため、このようなブライン水溶液中における有機化合物のような不純物の存在を一般に非常に低い濃度まで低減させなければならないことである。一般に、工業的塩素アルカリ製造において使用されるブライン水溶液中の有機化合物濃度は全有機炭素(TOC)が50ppm未満、好ましくは10ppm未満でなければならない。
【0006】
ブライン水溶液中の有機化合物濃度を低減させるための既知の方法は、塩素化分解の実施によって有機化合物を酸化させて、ブライン水溶液からストリッピング可能なより揮発性の酸化フラグメント及び/又は二酸化炭素にすることである。塩素化分解は一般に、塩素ガス又は次亜塩素酸塩を高温でブライン水溶液中に導入することによって実施する。このような方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【0007】
有機化合物の除去を塩素化分解にのみ依拠することの不利点は、塩素化分解前の有機化合物の初期濃度が比較的高い場合に、有機化合物濃度を許容レベルまで低減させるのに一般的に相当量の塩素ガス又は次亜塩素酸塩が必要なことである。その場合には、精製プロセスは、塩素アルカリプロセスによって生成される塩素ガス又は次亜塩素酸塩の相当部分を消費し、それによって塩素アルカリプロセスによって生成される塩素ガス又は次亜塩素酸塩の他の工業プロセスへの利用可能性が減少する。
【0008】
塩素化分解にのみ依存することの別の不利点は、酸及び酸エステルのようないくつかの型の化合物は、酸化させてブライン水溶液からストリップするのに充分な揮発性を有する酸化フラグメントに分解するのが一般的により困難なことである。このような酸素含有化合物の濃度を塩素化分解によって許容レベルまで低減させることは、困難で費用がかかる。
【0009】
塩素化分解にのみ依存することの別の不利点は、塩素ガス、次亜塩素酸塩及び任意の塩素化炭化水素の環境への放出を防ぐためにブライン溶液からストリップされた蒸気流の処理が必要なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,240,885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、有機化合物を含むブライン水溶液の精製を更に改良することによって、ブラインを塩素アルカリ電気分解に使用できるようにする見込みがまだ残っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一面は、
(1)1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、並びに、任意的に、前記1種又はそれ以上の無機塩及び前記1種又はそれ以上の有機化合物中に含まれる微生物栄養素以外の1種又はそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液を供給し;そして
(2)工程(1)で供給されたブライン水溶液から有機化合物を除去するための少なくとも1つの単位操作を実施して、第1の精製ブライン溶液を生成せしめる
ことを含んでなり、
前記ブライン水溶液が少なくとも約10重量%の1種又はそれ以上の無機塩を含み、前記1種又はそれ以上の無機塩の少なくとも約80重量%が塩化ナトリウムであり、且つ前記少なくとも1つの単位操作が、
(a)前記ブライン水溶液を酸素の存在下に有機化合物を酸化できるリビング微生物(living microbe)と接触させ;
(b)任意的に、通気(aerated)ブライン水溶液によって充足されない微生物の生物学的栄養素の要求量に比例して、前記通気ブライン水溶液に生物学的栄養素を加え;そして
(c)前記ブライン水溶液から前記微生物を分離して、第1の精製ブライン溶液を得る
ことを含んでなるブラインの精製方法である。
【0013】
本発明の別の面は、酸素と1種又はそれ以上の有機化合物、微生物の生育に必要な前記1種又はそれ以上の有機化合物以外の1種又はそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液の存在下に生育するように適合された微生物である。
【0014】
本発明の別の面は、1種又はそれ以上の有機化合物、酸素の存在下に水性組成物中に浸漬されたリビング微生物の個体群、前記微生物の生育に必要な前記1種又はそれ以上の有機化合物以外の1種又はそれ以上の栄養素並びに少なくとも17重量%の塩化ナトリウムを含む水性組成物である。
【0015】
本発明の別の面は、少なくとも約15重量%の1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、酸素の存在下に水性組成物中に浸漬されたリビング微生物の個体群、及び前記微生物の生育に必要な前記1種又はそれ以上の有機化合物以外の1種又はそれ以上の栄養素を含んでなる通気水性組成物であり、前記1種又はそれ以上の無機塩は少なくとも約80重量%の水酸化ナトリウムを含む。
【0016】
本発明の別の面は、微生物及び細胞外ポリマー物質を含むバイオフィルムで被覆された、約1〜約200μmの範囲の平均粒度及び約1.5g/cm3超の粒子密度を有する粒子を含んでなる組成物である。
【0017】
本発明の別の面は、
(1)リビング微生物、1種又はそれ以上の炭化水素化合物、酸素、浸透圧許容濃度の塩化ナトリウムを含む2種又はそれ以上の無機塩、並びに、任意的に、前記リビング微生物の呼吸、生育及び/又は増殖に必要な前記リビング微生物のための1種又はそれ以上の栄養素を含む水性組成物を供給し;そして
(2)少なくとも一部の微生物を生き残らせることができ且つ塩化ナトリウム濃度の変化に適合させることができる速度で前記水性組成物の塩化ナトリウム濃度を増加させる
ことを含んでなり、
前記工程(2)が前記水性組成物中の他の無機塩に対する塩化ナトリウムの重量比を増加させることを含む、塩化ナトリウムを含む水性ブライン組成物中で炭化水素化合物を酸化できる耐塩性リビング微生物を得る方法である。
【0018】
本発明の別の面は、耐塩性リビング微生物を含む少なくとも1つのバイオリアクター容器を含んでなるブライン精製用バイオリアクターであり、前記耐塩性リビング微生物は、酸素と1種若しくはそれ以上の有機化合物、前記微生物の生長に必要な前記1種若しくはそれ以上の有機化合物以外の1種若しくはそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液の存在下で生長できるように適合された微生物及び/又は耐塩性リビング微生物を得るための前記方法によって得ることができる微生物である。
【0019】
本発明の別の面は、1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、任意的に1種又はそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液、並びに微生物及び細胞外ポリマー物質を含むバイオフィルムで被覆された、約1〜約200μmの範囲の平均粒度及び約1.5g/cm3より大きい粒子密度を有する粒子を含む組成物を含むバイオリアクター容器を含んでなるブライン精製用バイオリアクターである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
以下の詳細は、例示として、本発明の態様の例示的解説のみを目的として記載し、本発明の原則及び概念的な面の最も有用で理解し易い説明と考えられるものを提供するために示す。これに関して、本発明の基本的理解に必要とされるより詳しく本発明の構造上の詳細を示すことはしないが、本発明のいくつかの形態を実際に具体化できる方法が当業者に明らかになる。
【0021】
特に断らない限り、化合物又は成分への言及は、その化合物又は成分を単独で、及び化合物の混合物のように他の化合物又は成分との組合せで含む。
【0022】
本明細書中で使用する単数形(a,an,the)の表現は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0023】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、あらゆる場合において用語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書及び添付した特許請求の範囲中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質によって異なり得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとする意図と見なされないように、各数値パラメーターは報告した有効数字の数を考慮して、普通の丸めを適用することによって解釈しなければならない。
【0024】
更に、本明細書内における数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数値及び範囲を開示するものと見なす。例えば、範囲が約1〜約50であるならば、例えば1、7、34、46.1、23.7又はその範囲内の任意の他の値若しくは範囲を含むと見なす。
【0025】
定義
本明細書中で使用する用語「微生物(microbe)」は、好気呼吸及び有機物分解のできる微生物(microorganisms)を意味する。
【0026】
略語「ATCC」は、「アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)」を意味する。ATCCは、ブタペスト条約の下で国際的に認められた寄託機関である。
【0027】
本明細書中で微生物に関して使用する用語「固定化する(immobilize)」は、微生物の総数の相当数(substantial number)、好ましくは非常に多くを実質的に固体の支持体に付着又は吸着させることを意味する。微生物固定化の例としては、濾材のような多孔質支持体への捕捉及びバイオフィルムによる固体支持体への微生物の付着が挙げられる。
【0028】
本明細書中で使用する用語「バイオフィルム」は、実質的に固体の支持体に付着させられた細胞外ポリマー物質(extra cellular polymer substance)(EPS)のマトリックス中の微生物の集合体を意味する。EPSは、微生物によって生成させることができ、且つ/又は微生物によっては生成されない天然及び/若しくは合成ポリマーによって提供若しくは捕捉されることができる。EPSが微生物によって生成される場合には、EPSはエキソポリサッカライドを含むことができる。エキソポリサッカライドは、固体支持体へのバイオフィルムの付着において重要な役割を果たす。微生物によるEPS生成は一般に、細胞の熱エネルギー(caloric cell energy)源の濃度を細胞活動に必要な最低濃度まで低下させる場合に増加する。
【0029】
用語「BOD」は、「5日間の生物学的酸素要求量」を意味する。
用語「COD」は、「化学的酸素要求量」を意味する。
【0030】
本明細書中で使用する用語「栄養素(nutrient)」は窒素、燐及び/又はブライン水溶液中において有機化合物を分解できる微生物を含むリビング微生物に必要な微量元素を提供する物質を意味する。例としては、酵母エキス、尿素(N)、燐酸(P)、Fe、Mn、Seなどが挙げられる。栄養素はブライン水溶液の有機化合物及び/若しくは無機塩成分に含まれることができ、且つ/又は追加成分としてブライン水溶液に添加することができる。栄養素は好ましくはBOD100重量部当たり平均約5重量部の窒素及び約1重量部の燐を提供するのに充分な濃度で存在する。
【0031】
本明細書中で使用する表現「全有機炭素(total organic carbon)」(以下において「TOC」と略す)は、所定の組成物中の有機化合物の濃度を、その組成物中に存在する有機化合物分子中に存在する炭素原子の全重量に換算して表したものを意味する。換言すれば、TOCは、有機化合物の濃度を重量%又はppmに換算して計算する場合に、有機分子の総重量への、炭素以外の有機分子中原子の寄与を除外する。TOCは、また、二酸化炭素中に存在する炭素原子のような、有機化合物中に存在しない炭素原子を除外する。
【0032】
本明細書中で使用する用語「マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物」(以下、「MAHC」と略す)は、2つの別個のビシナル炭素原子に共有結合された少なくとも2つのヒドロキシル基を含むがエーテル結合基を含まない化合物を意味する。これらは、それぞれがOH基を有する少なくとも2つのsp3混成炭素を含む。MAHCは、より高次の隣接又はビシナル反復単位を含む任意のビシナル−ジオール(1,2−ジオール)又はトリオール(1,2,3−トリオール)含有炭化水素を含む。MAHCの定義は、例えば1つ又はそれ以上の1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ジオール官能基も更に含む。ジェミナル−ジオールは例えばこの種のMAHCから除外する。
【0033】
MAHCは少なくとも約2個、好ましくは少なくとも約3個であって、約60個以下、好ましくは約20個以下、より好ましくは約10個以下、更に好ましくは約4個以下、更に一層好ましくは約3個以下の炭素原子を含む。MAHCは、脂肪族炭素原子の他に、芳香族部分又は例えばハロゲン化物、硫黄、燐、窒素、酸素、珪素及びホウ素ヘテロ原子を含むヘテロ原子並びにそれらの混合物を含むことができる。MAHCは、ポリビニルアルコールのようなポリマーであることもできる。
【0034】
用語「グリセリン」及び「グリセロール」並びにそのエステルは、化合物1,2,3−トリヒドロキシプロパン及びそのエステルの同義語として使用する場合がある。
【0035】
本明細書中で使用する用語「クロロヒドリン」は、少なくとも1つのヒドロキシル基及び2つの別個のビシナル脂肪族炭素原子に共有結合した少なくとも1つの塩素原子を含むがエーテル結合基を含まない化合物を意味する。クロロヒドリンは、塩化水素化によってMAHCの1つ又はそれ以上のヒドロキシル基を共有結合塩素原子に置き換えることによって得ることができる。クロロヒドリンは、少なくとも約2個、好ましくは少なくとも約3個であって、約60個以下、好ましくは約20個以下、より好ましくは約10個以下、更に好ましくは約4個以下、更にいっそう好ましくは約3個以下の炭素原子を含む。クロロヒドリンは、脂肪族炭化水素以外に、芳香族部分又は例えばハロゲン化物、硫黄、燐、窒素、酸素、珪素及びホウ素ヘテロ原子を含むヘテロ原子並びにそれらの混合物を含むことができる。少なくとも2つのヒドロキシル基を含むクロロヒドリンもまた、MAHCである。
【0036】
用語「エポキシド」は、炭素−炭素結合上に少なくとも1つの酸素架橋を含む化合物を意味する。一般に、炭素−炭素結合の炭素原子は隣接しており、化合物は、例えば水素及びハロゲンのような、炭素及び酸素原子以外の原子を含むことができる。好ましいエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール及びエピクロロヒドリン又はそれらの誘導体である。
【0037】
用語「TAFFYプロセス」は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとを水酸化ナトリウムの存在下で反応させる、エポキシポリマーを製造するためによく用いられる工業的プロセスを意味する。
【0038】
本明細書中で使用する用語「ヘテロ原子」は、元素周期律表の、炭素原子又は水素原子以外の原子を意味する。
【0039】
本明細書中で使用する表現「液相」は、任意的には少量の気体及び/又は固体不連続相を含むことができる気相(gas phase)と固相との間の連続中間相を意味する。液相は1つ又はそれ以上の不混和性液相を含むことができ、1種又はそれ以上の酸、塩基又は塩のような1種又はそれ以上の溶解固体を含むことができる。
【0040】
本明細書中で使用する表現「蒸気相(vapor phase)」は、任意的には少量の液体及び/又は固体不連続相を含むことができる連続気相を意味する(例えばエアゾール)。蒸気相は、単一の気体或いは混合物、例えば2種若しくはそれ以上の気体、2種若しくはそれ以上の液体不連続相及び/又は2種若しくはそれ以上の固体不連続相の混合物であることができる。
【0041】
本明細書中で使用する用語「通気(された)(aerated)」は、言及された液相物質又は組成物が、単独で又は1種若しくはそれ以上の他の気体と混合された、その物質又は組成物中に溶解された且つ/若しくは分散された分子状酸素を含むことを意味する。酸素は、純粋な気体として、窒素のような他の気体と混合された気体、例えば空気若しくは酸素ガスを多く含む空気として、又は過酸化水素の導入によるような化学分解によって、前記物質又は組成物中に導入することができる。酸素の導入は、例えば、言及された液相物質又は組成物中への酸素含有ガスの注入、液面界面における撹拌によって、且つ/又は酸素透過性膜を介して実施できる。
【0042】
本発明において記載したパラメーター(例えばBOD、TOCなど)については、当業界において一般に認められている標準試験法を用いる。
【0043】
ブライン水溶液
本発明に従って処理するブライン水溶液は1種又はそれ以上の無機塩及び1種又はそれ以上の有機化合物を含む。
【0044】
1種又はそれ上の無機塩は少なくとも約80重量%、好ましくは少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約95重量%、更に好ましくは少なくとも約99重量%、更に好ましくは少なくとも約99.9重量%の塩化ナトリウムを含む。
【0045】
ブライン水溶液は好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約14重量%、更に好ましくは少なくとも約17重量%であって、飽和まで、より好ましくは約23重量%までの無機塩を含む。
【0046】
別の好ましい態様において、ブライン水溶液は好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約14重量%、更に好ましくは少なくとも約17重量%であって、飽和まで、より好ましくは約23重量%までの塩化ナトリウムを含む。
【0047】
1種又はそれ以上の有機化合物は、任意の既知の有機化合物から選ばれることができる。有機化合物は好ましくは、生物学的酸化によって揮発性酸化フラグメント及び/又は二酸化炭素を形成し易い部分を含む化合物である。有機化合物は好ましくは、1個又はそれ以上の、好ましくは複数の炭素原子、1個又はそれ以上の、好ましくは複数の水素原子及び任意的には1個又はそれ以上の、好ましくは複数のヘテロ原子を含む炭化水素化合物である。1個又はそれ以上のヘテロ原子は、好ましくはO、N及びClのようなハロゲンから選ばれる。
【0048】
有機化合物は、好ましくは1個又はそれ以上の官能基を有する炭化水素化合物である。好ましい官能基としては、ヒドロキシ、エステル、酸、グリシジル及びアミン基、それらの組合せ、並びに塩形成性官能基の塩、例えば酸及びアミン基の塩が挙げられる。
【0049】
有機化合物は、好ましくは少なくとも約40g/モル、より好ましくは少なくとも約60g/モルであって、好ましくは約500g/モル以下、より好ましくは約300g/モル以下の数平均分子量MWnを有する。
【0050】
好ましい有機化合物の例としては、(a)1種若しくはそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、それらのエステル及び/若しくはそれらのモノエポキシド、並びに/又はそれらの二量体、三量体及び/若しくはオリゴマー、並びに/又はそれらのハロゲン化及び/若しくはアミノ化誘導体、(b)1種若しくはそれ以上の炭素数が好ましくは1〜10の有機酸、それらのエステル、それらのモノエポキシド及び/又はそれらの塩、(c)1種若しくはそれ以上のケトール類、例えば1−ヒドロキシ−2−プロパノン、(d)1種若しくはそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物並びに/又はそれらのエポキシド、ジオール及び/若しくはクロロヒドリン、更に/或いは(e)アニリン、トルエン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールが挙げられる。
【0051】
好ましいマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;3−クロロ−1,2−プロパンジオール;2−クロロ−1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;シクロヘキサンジオール類;1,2−ブタンジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール;1,2,3−プロパントリオール(「グリセリン」又は「グリセロール」としても知られ、本明細書中ではそれらを同義で用いる);及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明に従って処理される流出液中のMAHCとしては、例えば1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;及び1,2,3−プロパントリオールが挙げられ、1,2,3−プロパントリオールが最も好ましい。
【0052】
MAHCのエステルの例としては、エチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジアセテート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
MAHCのモノエポキシドの例としては、グリシドール、ジクロロプロピルグリシジルエーテル及びエピクロロヒドリンが挙げられる。
【0054】
有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸及びグリコール酸が挙げられる。
【0055】
アルキレンビスフェノール化合物の例としては、ビスフェノールA及びビスフェノールF、並びにエポキシド基を更に含むであろうこれらの化合物の誘導体が挙げられる。
【0056】
有機化合物は、好ましくは約100ppmより高い、より好ましくは約500ppmより高い、更に好ましくは約1,000ppmより高い、更に好ましくは約5,000ppmより高い全有機炭素(TOC)濃度で存在する。
【0057】
好ましい有機化合物の好ましい量を、ブライン水溶液中の各有機化合物の総重量基準で、以下の表Iに示す。
【0058】
【表1】

【0059】
ブライン水溶液は、好ましくは水酸化ナトリウムを含む塩基を、分子当たり少なくとも1つの塩素原子を有する化合物と反応させて、少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更に好ましくは少なくとも約95重量%、更に一層好ましくは少なくとも約99重量%、更に一層好ましくは少なくとも約99.9重量%の塩化ナトリウムを含む1種又はそれ以上の無機塩を形成するプロセスの生成物である。
【0060】
一態様において、工程(1)において供給するブライン水溶液は、クロロヒドリンを水酸化ナトリウムと反応させることによる、1種又はそれ以上のクロロヒドリンのエポキシ化によって生成される。クロロヒドリンは、好ましくはマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物及び/又はそれらのエステルを含む反応混合物と少なくとも1種の塩素化剤を含む少なくとも1種の塩素化供給材料流とを、反応器中で塩化水素化条件下において、任意的に水、1種又はそれ以上の触媒の存在下で、接触させることによって製造される。マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物は好ましくはグリセロールを含む。好ましくはマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物の少なくとも約50重量%がグリセロールである。グリセロールは、好ましくは油脂化学製品又はバイオディーゼルの製造から調達する。このようなプロセスは、例えばWO2006/020234、WO2005/05147、WO2006/100318、EP−A−1687248及びEP−A−1762556に開示されている。前記文献のそれぞれの関連する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0061】
前記脱塩化水素プロセスから調達されるブラインは、一般に、1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、それらのエステル及び/若しくはそれらのモノエポキシド並びに/又はそれらの二量体、三量体及び/若しくはオリゴマー並びに/又はそれらのハロゲン化及び/若しくはアミノ化誘導体を含む。ブライン水溶液中に存在できるこのような化合物の好ましい量は前記表Iに記載した通りである。
【0062】
別の態様において、工程(1)において供給するブライン水溶液は、水酸化ナトリウムを含む水性塩基の存在下における少なくとも1種のポリフェノール化合物のエポキシ化によって生成される。好ましい態様において、ポリフェノール化合物はビスフェノールAを含み、ブラインは、好ましくは液体エポキシ樹脂を製造するためのTAFFYプロセスから調達する。別の好ましい態様において、ポリフェノール化合物はビスフェノールF及び/又はジフェノールとアルデヒド、例えばホルムアルデヒドとの反応生成物として得られる1種若しくはそれ以上のレゾールであり、ブラインは好ましくは液体エポキシノボラック(LEN)の製造プロセスから調達する。エポキシ化は、好ましくは水酸化ナトリウムを含む水性塩基の存在下に、少なくとも1種のポリフェノールをエピクロロヒドリンと反応させることによって実施する。エピクロロヒドリンは、好ましくは前述のようなエピクロロヒドリン製造プロセスから調達する。
【0063】
前記エポキシ化プロセスから調達されるブラインは、一般に、1種若しくはそれ以上のポリフェノール化合物及び/又は1種若しくはそれ以上のポリフェノール化合物のグリシジルエーテルを含む。ブライン水溶液中に存在できるポリフェノール化合物及びエポキシ化ポリフェノール化合物の好ましい量は前記表Iに記載した通りである。
【0064】
別の好ましい態様において、工程(1)において供給するブライン水溶液は、蒸気相流出液から塩素化剤を除去するために塩素化剤及び1種又はそれ以上の有機化合物を含む蒸気相流出液を水酸化ナトリウムを含む水性塩基と接触させることによって、発生する。好ましい態様において、蒸気相流出液の供給源は化学反応器である。塩素化剤は好ましくは塩化水素である。反応混合物は好ましくは液相反応混合物である。前記接触は好ましくは蒸気−液体接触装置を用いて実施する。
【0065】
別の好ましい態様において、工程(1)において供給するブライン水溶液は、(ポリ)イソシアネートの製造に有用なメチレンジアニリン(MDA)を製造するためのアニリンとホルムアルデヒドとの反応を触媒するのに使用された塩化水素の中和によって生成される。アニリン、トルエン及び他の適当な溶剤は、また、MDA及び他の望ましい生成物の抽出に使用できる。塩化水素の除去は、好ましくは前の段落に記載したプロセスによって実施する。中和工程から調達されるブラインは一般にアニリン、トルエン(溶剤として使用する場合)、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含む。
【0066】
アニリン、トルエン及び/又はメチレンジアニリンを含むブライン水溶液は、好ましくは工程(1)においてブライン水溶液を供給する前に、ブライン水溶液中に存在するアニリン、トルエン及び/又はメチレンジアニリンを除去するために共沸蒸留に供する。少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%のアニリン、トルエン及び/又はメチレンジアニリンを、工程(1)においてブライン水溶液を供給する前にブライン水溶液から除去する。工程(1)において供給するブライン水溶液は、好ましくは本発明に係る第1の再溶解操作の前には、アニリン及び/又はメチレンジアニリンを除去するためのストリッピング単位操作に供されていない。
【0067】
ブライン水溶液中に存在できるアニリン、メチレンジアニリン及び他の化学物質の好ましい量は、前記表Iに記載した通りである。
【0068】
微生物(Microbes)
本発明は、高い塩化ナトリウム濃度を有するブライン水溶液の存在下で前記有機化合物の1種又はそれ以上を生分解できる微生物並びにこのような微生物の単離及び適合方法を含む。
【0069】
本発明に係る、塩化ナトリウムを含む水性ブライン組成物中において炭化水素化合物を生物学的に酸化できる耐塩性リビング微生物を得る方法は、
(1)リビング微生物、1種又はそれ以上の炭化水素化合物、酸素、浸透圧許容濃度の塩化ナトリウムを含む2種又はそれ以上の無機塩、並びに任意的に、リビング微生物の呼吸、生育及び/又は増殖に必要なリビング微生物のための1種又はそれ以上の栄養素を含む水性組成物を供給し;
(2)工程(1)で供給された水性組成物中に、炭化水素化合物、酸素、塩化ナトリウムを含む2種若しくはそれ以上の無機塩、更に任意的に、水並びに/又はリビング微生物の呼吸、生育及び/若しくは増殖に必要なリビング微生物のための1種若しくはそれ以上の栄養素を含む1種又はそれ以上の物質を導入し;そして
(3)少なくとも一部の微生物を生き残らせることができ且つ塩化ナトリウム濃度の変化に適合させることができる速度で前記水性組成物の塩化ナトリウム濃度を増加させる(工程(3)は前記水性組成物中の1種又はそれ以上の無機塩の総量に対する塩化ナトリウムの重量%を増加させることを含む)
ことを含んでなる。
【0070】
前記水性組成物中の1種又はそれ以上の無機塩の総量基準の塩化ナトリウムの重量%は、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%、更に好ましくは少なくとも約10重量%、更に好ましくは少なくとも約15重量%である。
【0071】
微生物を選択し且つ/又は適合させる方法は、好ましくは少なくとも約15℃、より好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約40℃であって、好ましくは約60℃以下、より好ましくは約50℃以下、更に好ましくは約46℃以下の温度で実施する。
【0072】
前記工程(a)において接触させるブライン水溶液は、好ましくは少なくとも約6.5、より好ましくは少なくとも約7であって、好ましくは約8.5以下、より好ましくは約8以下のpHに調節し且つ/又は保持する。
【0073】
ブラインは、好ましくは接触(a)の間にリビング微生物に対して流速を有するブライン流である。接触(a)は好ましくは、ブライン流のための少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有するバイオリアクター容器中で実施する。ブライン流の流速は、容器中の水理学的滞留時間が好ましくは約100時間未満、より好ましくは約24時間未満、更に好ましくは約12時間未満であって且つ好ましくは約6時間超、より好ましくは約10時間超となるようなものである。
【0074】
酸素は種々の手段によってリビング微生物に供給できる。例としては、ブライン水溶液中への酸素含有ガス(例えば空気)の注入又は酸素含有ガス(例えば空気)への微生物含有ブライン溶液の暴露(例えば酸素含有ガスを通したブライン溶液の噴霧又は気液接触装置によるブライン溶液と酸素含有ガスとの接触)によるようなブライン水溶液の通気;固体支持体への微生物の固定化と、ブライン水溶液中の浸漬からの固定化微生物の酸素含有雰囲気(例えば空気)への運搬及びブライン水溶液中の固定化微生物の再浸漬の繰り返し;並びに/又は酸素透過性膜への微生物の固定化、処理ブライン水溶液への固定化微生物を有する酸素透過性膜の表面の暴露及び酸素含有ガス(例えば空気)への酸素透過性膜の反対面の暴露が挙げられる。酸素は微生物の好気呼吸を保持するのに充分な速度でリビング微生物中に供給する。
【0075】
塩化ナトリウム濃度は、4水理学的滞留時間当たり、好ましくは約10%以下、より好ましくは約6%以下、更に好ましくは約1%以下の速度で増加させる。塩化ナトリウム濃度は、4水理学的滞留時間当たり、好ましくは少なくとも約0.4%の速度で増加させることができる。
【0076】
塩化ナトリウム濃度は好ましくは工程(2)に従って、水性組成物の塩化ナトリウム濃度が少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約17重量%、更に好ましくは少なくとも約19重量%、更に好ましくは少なくとも約20重量%となるまで増加させる。工程(1)において供給する水性組成物は、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約6重量%未満、更に好ましくは約4重量%未満であって、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2重量%、更に好ましくは少なくとも約3重量%の塩化ナトリウム濃度を有する。
【0077】
リビング微生物は、好ましくは有機化合物を分解できる種々の微生物の個体群(population)である。このような個体群の例は、廃水処理プラント中の活性汚泥に由来する微生物、特に半塩水(brackish)又は塩水廃水の処理に使用される微生物である。このような個体群の別の例は、死海(Dead Sea)又は米国ユタ州のグレートソルトレークからのような自然の高塩濃度水域から単離された微生物である。
【0078】
好ましい態様において、リビング微生物は細菌を含む。特に好ましい態様において、微生物はビブリオ属(Vibrio)/又はハロモナス属(Halomonas)に属する細菌を含む。具体的には、微生物は、ビブリオ・アルギノリチクス(Vibrio alginolyticus)、ハロモナス・サリナ(Halomonas salina)及び/又はハロモナス・カンパニエンシス(Halomonas campaniensis)種に属する細菌を含む。このような微生物は、微生物個体群中にそのまま存在することもできるし、あるいはこのような微生物の培養物から獲得又は接種することもできる。
【0079】
前記方法に係る適合化微生物の一部又は全ては、ATCCのような生物寄託機関によって保存された寄託微生物から培養し且つ/又は入手することができる。具体的には、ビブリオ・アルギノリチクスは、ATCC No.17749として入手でき、ハロモナス・サリナはATCC No.49509として入手できる。ハロモナス・カンパニエンシスは、南イタリアのカンパーニア地方近くのミネラルプールから単離され、Romano et al.,Int.J.Syst.Evol.Microbiol.55:2236(2005)(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に特性が示され、ATCC No.BAA−966及びDSM No.15293として登録されている。
【0080】
本発明の別の面は、酸素と、1種又はそれ以上の有機化合物、微生物の生育に必要な前記の1種又はそれ以上の有機化合物以外の1種又はそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%、好ましくは少なくとも約18重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、更に好ましくは少なくとも約22重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液の存在下で生育できるように適合された微生物である。適合化微生物は、前記方法に従って適合された1種若しくはそれ以上の微生物並びに/又は培養微生物及び/若しくは生物寄託機関からの入手微生物を含むことができる。
【0081】
本発明の別の面は、1種又はそれ以上の有機化合物、水性組成物中に酸素の存在下で浸漬されたリビング微生物の個体群、微生物の生育に必要な前記1種若又はそれ以上の有機化合物以外の1種又はそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%、好ましくは少なくとも約18重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、更に好ましくは少なくとも約22重量%の塩化ナトリウムを含んでなる水性組成物である。前記リビング微生物は、前記方法に従って適合化された前記微生物並びに/又は培養微生物及び/若しくは生物寄託機関からの入手微生物の1種又はそれ以上を含むことができる。
【0082】
本発明の別の面は、少なくとも約15重量%、好ましくは少なくとも約18重量%、更に好ましくは少なくとも約20重量%、更に好ましくは少なくとも約22重量%の1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、酸素の存在下に水性組成物中に浸漬されたリビング微生物の個体群、及び微生物の生育に必要な前記の1種若しくはそれ以上の有機化合物以外の1種若しくはそれ以上の栄養素を含んでなる水性組成物であり、前記1種又はそれ以上の無機塩は少なくとも約80重量%の水酸化ナトリウムを含む。前記リビング微生物は、前記方法に従って適合化された前記微生物並びに/又は培養微生物及び/若しくは生物寄託機関からの入手微生物の1種若しくはそれ以上を含むことができる。
【0083】
本発明の別の面は、粒子の表面に付着した微生物で被覆された、好ましくは少なくとも約1μm、より好ましくは少なくとも約10μm、更に好ましくは少なくとも約60μm、更に好ましくは少なくとも約100μmであって約300μm以下、より好ましくは約200μm以下の平均粒度及び/又は好ましくは約1.5g/cm3、より好ましくは少なくとも約2g/cm3、更に好ましくは少なくとも約2.4g/cm3の粒子密度を有する粒子を含んでなる組成物である。前記粒子は好ましくは実質的に凝集しておらず、より好ましくは凝集していない。前記微生物は好ましくは、微生物及び細胞外ポリマー物質を含むバイオフィルムによって粒子表面に付着している。前記微生物は、前記方法に従って適合化された前記微生物並びに/又は培養微生物及び/若しくは生物寄託機関からの入手微生物のうち1種又はそれ以上を含むことができる。
【0084】
ブラインの精製方法
本発明は、濃縮された工業的に生成されたブライン水溶液を、生化学的酸化による有機化合物の生分解によって精製する方法を提供する。この方法は、ブライン水溶液から放出される二酸化炭素のような揮発性酸化生成物を生成する。この方法から回収された精製ブライン水溶液は、更なる単位操作に供し且つ/或いはよく知られた塩素アルカリプロセスによって電気分解して塩素ガス及び/又は水酸化ナトリウム若しくは次亜塩素酸塩を形成できる。
【0085】
本発明のブラインを精製する方法は、
(1)1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、並びに任意的に、前記の1種又はそれ以上の無機塩及び前記の1種又はそれ以上の有機化合物中に含まれる微生物栄養素以外の1種又はそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液を供給し;そして
(2)工程(1)で供給されたブライン水溶液から有機化合物を除去する少なくとも1つの単位操作を実施して、第1の精製ブライン溶液を得る
ことを含んでなり、前記ブライン水溶液は少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%、更に好ましくは少なくとも約18重量%、更に好ましくは少なくとも約20重量%、更に好ましくは少なくとも約22重量%であって、飽和まで、好ましくは約22重量%までの前記の1種又はそれ以上の無機塩を含み;前記の1種又はそれ以上の無機塩の少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更に好ましくは少なくとも約95重量%、更に好ましくは約98重量%、更に好ましくは少なくとも約99重量%は塩化ナトリウムであり;前記1種又はそれ以上の有機化合物は複数の有機化合物を含み;且つ前記の少なくとも1つの単位操作は、
(a)前記ブライン水溶液を、酸素の存在下に有機化合物を酸化できるリビング微生物と接触させ;
(b)任意的に、前記ブライン水溶液によって充足されない微生物の生物学的栄養素の要求量に比例して、前記ブライン水溶液に生物学的栄養素を加え;そして
(c)前記ブライン水溶液から前記微生物を分離して、第1の精製ブライン溶液を得る
ことを含む。
【0086】
リビング微生物は好ましくは上記前項に記載の微生物から選ばれた1つ又はそれ以上の微生物の種である。
【0087】
前記接触工程(a)は好ましくは少なくとも約15℃、より好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約40℃であって、好ましくは約60℃以下、より好ましくは約50℃以下、更に好ましくは約46℃以下の温度で実施する。一態様において、接触工程(a)は約15℃から約60℃の温度で実施する。
【0088】
工程(a)において接触させるブライン水溶液は好ましくは少なくとも約6.5、より好ましくは少なくとも約7であって、好ましくは約8.5以下、より好ましくは約8以下のpHに調整し且つ/又は保持する。
【0089】
ブラインは好ましくは接触(a)の間にリビング微生物に対して流速を有するブライン流である。前記接触(a)は、好ましくはブライン流のための少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有するバイオリアクター容器中で実施する。ブライン流の流速は、容器中の水理学的滞留時間が好ましくは約100時間未満、より好ましくは約24時間未満、更に好ましくは約12時間未満であって且つ好ましくは約6時間超、より好ましくは約10時間超となるようなものである。一態様において、水性ブライン中の微生物の時間は約10時間から約100時間の範囲である。
【0090】
前記容器は実際には1つより多くの物理的容器であることができる。容器は、処理すべきブラインに必要な流速に対応するように、直列の2つ若しくはそれ以上の容器又は並列の2つ若しくはそれ以上の容器、或いは前者2つのなんらかの組合せであることができる。
【0091】
酸素は種々の手段によってリビング微生物に供給できる。例としては、ブライン水溶液中への酸素含有ガス(例えば空気)の注入又は酸素含有ガス(例えば空気)への微生物含有ブライン溶液の暴露(例えば酸素含有ガスを通したブライン溶液の噴霧又は気液接触装置によるブライン溶液と酸素含有ガスとの接触による)によるようなブライン水溶液の通気;固体支持体への微生物の固定化と、ブライン水溶液中の浸漬から酸素含有雰囲気(例えば空気)への固定化微生物の運搬及びブライン水溶液中の固定化微生物の再浸漬の繰り返し;並びに/又は酸素透過性膜への微生物の固定化、処理ブライン水溶液への固定化微生物を有する酸素透過性膜の表面の暴露及び酸素含有ガス(例えば空気)への酸素透過性膜の反対面の暴露が挙げられる。酸素は微生物の好気呼吸を保持するのに充分な速度でリビング微生物中に供給する。
【0092】
微生物をバイオリアクター内で分散させる場合には、微生物は、フィルター濾過、ストレーナー濾過、遠心分離、ハイドロサイクロン分離及び/又は重力沈降によってブライン水溶液から分離させることができる。これらの分離方法は、それぞれ、好ましくは少なくとも約1μm、より好ましくは少なくとも約20μm、より好ましくは少なくとも約60μm、更に好ましくは少なくとも約100μmであって、好ましくは約300μm以下、より好ましくは約180μm以下、更に好ましくは約150μm以下の平均粒度及び/又は少なくとも約1.5g/cm3、より好ましくは少なくとも約2g/cm3、更に好ましくは少なくとも約2.4g/cm3の粒子密度を有する実質的に固体の粒子に微生物を固定化することによって促進するのが望ましい。粒子は、好ましくはその表面への微生物の付着を容易にするために粗い表面を有する。粒子は、また、好ましくは同じ理由から実質的に疎水性の表面を有する。
【0093】
適当な粒子の例は、Veolia Water Solutions & Technologies of Saint Maurice-Cedex(France)から入手可能な、約150μmの公称平均粒度及び約2.65g/cm3の粒子密度(比重)を有するケイ砂であるACTISAND(登録商標)のようなマイクロサンドである。
【0094】
微生物は粒子表面に付着させることによって粒子表面に固定化する。バイオフィルムを形成できる微生物は、微生物BODの減少/消費を補助すると同時に粒子上にバイオフィルムを形成し且つバイオフィルムに微生物のコロニーを形成するのに充分な時間EPS生成を促進するのに適当な条件下で、軽く撹拌しながらリビング微生物を粒子と接触させることによって、粒子に付着させることができる。粒子上に安定な付着性バイオフィルムを形成できない微生物は、天然の及び/又は合成の接着性ポリマーを微生物と粒子との混合物に加えて微生物を粒子に接着させることによって、粒子表面に固定化することができる。適当な天然ポリマーの例はアルブミンである。適当な合成ポリマーの例は、Ciba Specialty Chemicals(スイス,バーゼル)から入手可能なLT22Sカチオン性ポリアクリルアミドのようなポリアクリルアミドである。
【0095】
好ましい平均粒度を有する粒子上への微生物の固定化は、フィルター及び/又はストレーナー濾過による分離を促進し(固定化しなければ、濾材は、微生物自体を濾去するのに必要とされるであろう細孔径より大きい平均細孔径を有するため)、それによって濾過に必要な圧力及び濾材が微粒子で詰まる速度を減少させる。
【0096】
好ましい密度を有する粒子上への微生物の固定化は、遠心分離、ハイドロサイクロン分離及び/又は重力沈降による分離を促進するためのバラストを粒子に提供する。
【0097】
処理ブライン水溶液からの微生物の分離は、ブライン水溶液を流れるようにすると同時にブライン水溶液の流れに対して微生物を相対的に静止させるよう維持する装置とブライン水溶液を接触させることによっても行うことができる。装置は、例えば濾材上に微生物を含むバイオフィルムを形成するなどして、濾材にブライン水溶液を通すのに充分な細孔径を有する濾材上に固定化された微生物であることができる。装置は、また、バイオフィルムによるなどして表面に付着された微生物を有する管の列又は波状面のような、ブライン溶液と接触する表面であることができる。装置は、任意的に活性炭を含むことができる多孔質表面を有する、バイオリアクターの分野で知られたポリマー支持体を含むことができる。
【0098】
粒子又は濾材上への微生物の固定化は、処理すべきブライン水溶液の塩濃度に微生物を適合させる前又は適合させた後に実施できる。固定化がバイオフィルム形成による場合には、迅速なバイオフィルムの形成を促進するために及び微生物をより高い塩濃度に適合させられるように微生物に保護環境を提供するために、適合化前のバイオフィルムの形成が望ましい。
【0099】
微生物個体群は、高濃度の塩化ナトリウムを含むブライン溶液に適合化できる微生物を選択するための適者生存によるアプローチによって微生物の選択の間に減少する傾向があるので、固定化は、ブライン溶液と接触する微生物の微生物種の多様性が塩化ナトリウム濃度の0.5重量%の増加によって比較的安定した状態を保った後に実施するのが好ましい。
【0100】
微生物は、ブライン水溶液の液体成分は透過できるが微生物は透過できない膜にブライン水溶液を通すことによって、ブライン水溶液から分離できる。適当なバイオリアクターは、膜バイオリアクター(MBR)として知られている。限外濾過膜及びナノ濾過膜として知られるこの目的で適当な膜は、種々の供給源から市販されている。例えばDow Water Solutions(The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,U.S.A.))からFILMTEC(登録商標)として、Berghof(Eningen,Germany)からHYPERM(登録商標)AEとして市販されている。膜は好ましくはナノ濾過範囲の細孔径を有し、好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を基材とするポリマーから作られている。膜は好ましくは、両親媒性グラフトコポリマーであるポリフッ化ビニリデン−グラフト−ポリオキシエチレンメタクリレート(PVDF−g−POEM)のような防汚塗料を有する。
【0101】
このような更なるユニット操作から回収された精製ブラインは、従来の塩素アルカリプロセスによる塩素ガス及び水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸塩の製造に使用でき、且つ/又は結晶化によるブライン精製から回収された結晶塩を洗浄するための水性ブライン洗浄溶液として循環することができる。
【0102】
各プロセス工程は、回分式、半回分式又は連続式で実施できる。各プロセス工程は好ましくは連続式で実施する。本発明に係る、工程(1)におけるブライン水溶液の供給から精製ブライン溶液の生成までの全プロセスを連続式で実施するのが好ましい。
【0103】
本発明の生物学的処理プロセスからの処理ブラインを任意の望ましい排水品質とするために、更なる精製工程を使用できる。これらの更なる精製工程としては、フィルター濾過、吸着及び他の一般的に使用される物理化学的ユニット操作が挙げられる。
【0104】
本発明に係る方法及び操作は、工程(1)において供給するブライン水溶液の単位体積当たりの塩化ナトリウム量の好ましくは少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約95重量%、更に好ましくは少なくとも約98重量%が得られるように操作できる。ブライン水溶液は、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約95%、更に好ましくは少なくとも約99%の塩化ナトリウム純度をもたらすように、本発明に従って処理する。
【0105】
好ましい態様において、本発明の方法の工程(2)に従って処理されたブライン水溶液中に存在する有機化合物の量対塩化ナトリウムの量の重量比は、本発明の方法の工程(1)において供給したブライン水溶液中に存在する有機化合物の量対塩化ナトリウムの量の重量比の好ましくは1/10未満、より好ましくは1/100未満、更に好ましくは1/1000未満である。
【0106】
ブライン精製装置
前記方法は、本発明に係る装置を用いて実施できる。前記方法は、好ましくは本発明に係るブライン精製用バイオリアクターを含む。
【0107】
一態様において、バイオリアクターは耐塩性リビング微生物を含む少なくとも1つのバイオリアクター容器を含み、前記耐塩性リビング微生物は前述の本発明に係る微生物である。
【0108】
別の態様において、バイオリアクターは、1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、任意的に1種又はそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液、及び前記セクションに記載した粒子の表面に付着させられた微生物で被覆された実質的に凝集していない粒子を含む組成物を含むバイオリアクター容器からなる。
【0109】
本発明の別の面は、塩素原子含有化合物と水酸化ナトリウムとを反応させてブライン水溶液を生成するのに適当な化学反応装置及び本発明に係るブライン精製装置を含んでなり、前記化学反応装置がブライン水溶液を化学反応装置からブライン精製装置に導くためのブライン精製装置及び/又はプロセスに接続され且つ前記化学反応装置が水酸化ナトリウム水溶液を化学反応装置に導くための水酸化ナトリウム水溶液供給源に接続される、精製ブラインを製造するための化学プロセス装置である。前記化学反応装置は、エピクロロヒドリン、1種若しくはそれ以上のエポキシ樹脂又はメチレンジアニリンの製造に適当な装置であることができる。
【0110】
化学反応装置が1種若しくはそれ以上のクロロヒドリンと水酸化ナトリウムとを反応させて(脱塩化水素によって)エピクロロヒドリンを生成するのに適当である場合には、化学プロセス装置は、クロロヒドリンの製造に適当な塩化水素化装置を更に含むことができる。塩化水素化装置は、次に好ましくは1種若しくはそれ以上のクロロヒドリンを含む流れを、前記1種若しくはそれ以上のクロロヒドリンの製造装置から化学反応装置まで導くために化学反応装置に接続する。
【0111】
本明細書中で引用した参考文献は全て、引用することによって本明細書中に具体的に組み入れる。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、説明の目的でのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0113】
実施例1
この実施例1においては、本発明に従って微生物を選択し、適合化させる。
【0114】
ビブリオ・アルギノリチクス、ハロモナス・サリナ及び/又はハロモナス・カンパニエンシス種を含む多種微生物個体群3.5g/リットルを、3.5重量%の塩化ナトリウム及び500mg/リットルのグリセロールを含むブライン水溶液を含むバイオリアクター容器中に導入する。ブライン水溶液は、バイオリアクターの出口で50mg/リットルのグリセロール濃度を保持できるように、グリセロール0.1〜1.5kg/kg(微生物)/日の範囲の速度で供給する。バイオリアクター中の混合物の流出量を同等にして、バイオリアクター内において一定の単位体積を保持する。バイオリアクターの出口のNH4−N濃度を10mg/リットルに保持し且つバイオリアクターの出口のオルト燐酸塩濃度を5mg/リットルに保持するように充分な栄養素を水性ブライン流に添加する。18.5重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液に適合させられた微生物個体群が得られるまで微生物の生育状態を監視し且つ栄養素濃度を調節してバイオリアクター出口のNH4−N濃度を10mg/リットルに及びバイオリアクターの出口のオルト燐酸塩濃度を5mg/リットルに保持しながら、塩化ナトリウム濃度を約0.5重量%/4水理学的滞留時間の速度で上昇させる。適合させられた微生物個体群はビブリオ・アルギノリチクス、ハロモナス・サリナ及び/又はハロモナス・カンパニエンシス種を含む。
【0115】
実施例2
この実施例2は、本発明に係るブライン精製方法を説明する。
【0116】
実施例1に従って適合化された3g/リットルの浮遊微生物と17.5重量%のブラインの培養物を、約1.7リットルの液体ホールドアップ容積を有する実験室用好気的バイオリアクター中に導入し、44℃の温度に保持する。培養物に、18重量%の塩化ナトリウム及び413ppmのTOC濃度を有するブライン流とバイオリアクターをブライン17.5%に保つのに充分な水を供給する。流入ブラインの流速は約170ml/時間に保持する。バイオリアクターの混合物の流出量を同等にして、バイオリアクター内において一定の単位体積を保持する。バイオリアクターの出口のNH4−N濃度を10mg/リットル及びバイオリアクターの出口のオルト燐酸塩濃度を5mg/リットルに保持するように充分な栄養素を水性ブライン流に添加する。
【0117】
ブラインから微生物を重力分離した後の浄化流出物の組成は、NaCl 17.5重量%及びTOC濃度 80ppmである。流出物のTOC濃度を10ppm未満まで更に減少させるために、更なる物理化学的処理を用いることができる。
【0118】
前記からわかるように、本発明は極めて低いTOC濃度を有する水性ブラインを回収できると同時に、更なる処理を必要とするブラインの量を最小限に抑えることができる。本発明に係る方法は、また、新鮮な水の消費及び汚染を最小限に抑え、更なる処理を必要とするか又は塩素ガス若しくは次亜塩素酸塩の生成を最終的に減少させる化学物質を導入しない。
【0119】
前記実施例は、説明のみを目的として記載したのであって、本発明を限定するものと解してはならないことに注意する。本発明を典型的な態様に関して記載したが、本明細書中に使用した文言は限定文言ではなく、記載文言及び説明文言であることがわかる。添付した特許請求の範囲(現在の記載及び補正を含む)の範囲内で、その側面において本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更を行うことができる。本発明を本明細書中において特定の手段、材料及び態様に関して記載したが、本発明は明細書中に開示した個々の項目に限定するものではなく、本発明は、添付した特許請求の範囲の範囲内であるような全ての機能的に均等な構造、方法及び使用法にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物並びに、任意的に、前記1種又はそれ以上の無機塩及び前記1種又はそれ以上の有機化合物中に含まれる微生物栄養素以外の1種又はそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液を供給し;そして
(2)工程(1)で供給されたブライン水溶液から有機化合物を除去するための少なくとも1つの単位操作を実施して、第1の精製ブライン溶液を得る
ことを含んでなり、
前記ブライン水溶液が少なくとも約10重量%の1種又はそれ以上の無機塩を含み、前記1種又はそれ以上の無機塩の少なくとも約80重量%が塩化ナトリウムであり、且つ前記少なくとも1つの単位操作が、
(a)前記ブライン水溶液を酸素の存在下に有機化合物を酸化できるリビング微生物と接触させ;
(b)任意的に、前記ブライン水溶液によって充足されない微生物の生物学的栄養素の要求量に比例して、前記ブライン水溶液に生物学的栄養素を加え;そして
(c)前記ブライン水溶液から前記微生物を分離して、第1の精製ブライン溶液を得る
ことを含んでなるブラインの精製方法。
【請求項2】
工程(1)において供給するブライン水溶液が少なくとも約15重量%の無機塩を含む請求項1に記載に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)において供給するブライン水溶液が少なくとも約18重量%の無機塩を含む請求項1に記載に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)において供給するブライン水溶液が約500ppmより高い全有機炭素濃度を有する前記請求項のいずれか1項に記載に記載の方法。
【請求項5】
接触工程(a)を約15〜約60℃の範囲の温度において実施する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブライン水溶液と接触させた微生物を、フィルター濾過、ストレーナー濾過、遠心分離、ハイドロサイクロン分離及び/又は重力沈降によって前記ブライン水溶液から分離する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブライン水溶液と接触させた微生物を、ブライン水溶液の液体成分は透過できるが微生物は透過できない膜にブライン水溶液を通すことによって、ブライン水溶液から分離する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブライン水溶液を接触させる微生物の相当数を固体支持体上に固定化し、工程(1)において供給したブライン水溶液を固定化微生物と接触させ、接触ブライン水溶液を固定化微生物から分離する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記固体支持体が約1.5g/cm3より大きい密度を有する粒状支持体である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機化合物が複数のヘテロ原子を有する炭化水素化合物である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記有機化合物がヒドロキシ、エステル、酸、グリシジル及びアミン基、それらの組合せ及びそれらの塩を含む1つ又はそれ以上の官能基を有する炭化水素化合物である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記1種又はそれ以上の有機化合物が(a)1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、それらのエステル及び/若しくはそれらのモノエポキシド並びに/又はそれらの二量体、三量体及び/若しくはオリゴマー、並びに/又はそれらのハロゲン化及び/若しくはアミノ化誘導体、(b)1種又はそれ以上の、炭素数が1〜10の有機酸、それらのエステル、それらのモノエポキシド及び/又はそれらの塩、(c)1種又はそれ以上のケトール、(d)1種又はそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物並びに/又はそれらのエポキシド、ジオール及び/若しくはクロロヒドリン、更に/或いは(e)アニリン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含む前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物がグリセロールを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1種又はそれ以上の有機酸が蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸及び/又はグリコール酸を含み且つ前記1種又はそれ以上のケトールが1−ヒドロキシ−2−プロパノンを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1種又はそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物がビスフェノールA及び/又はビスフェノールFを含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
工程(1)において供給するブライン水溶液が、複数のクロロヒドリンと水酸化ナトリウムを反応させることによる単数又は複数のクロロヒドリンのエポキシ化によって生成される請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記単数個又は複数個のクロロヒドリンが、グリセロール及び/若しくはそのエステル並びに/又は単数個もしくは複数個のモノクロロヒドリン及び/若しくはそのエステルを含む液相反応混合物と、少なくとも1種の塩素化剤を含む少なくとも1種の塩素化供給材料流とを、反応器中で塩化水素化条件下において、任意的に、水、1種若しくはそれ以上の触媒及び/又は1種若しくはそれ以上の重質副生成物の存在下に接触させることによって製造される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(1)において供給するブライン水溶液が、少なくとも1種のアルキレンビスフェノール化合物のエポキシ化によって生成される請求項10、12又は15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程(1)において供給するブライン溶液の1種又はそれ以上の有機化合物が、アニリン及び/又はメチレンジアニリンを含み且つメチレンジアニリンを製造するためのアニリンとホルムアルデヒドとの反応の触媒に使用された塩化水素を水酸化ナトリウムで中和することによって生成される請求項12に記載の方法。
【請求項20】
水酸化ナトリウムによる塩化水素の中和によって生成されたブライン水溶液を共沸蒸留に供して、工程(1)におけるブライン水溶液の供給前にブライン水溶液中に存在するアニリン及び/又はメチレンジアニリンの少なくとも50重量%を除去する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(1)において供給するブライン水溶液がアニリン及び/又はメチレンジアニリンを除去するためのストリッピング操作に供されていない請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(1)において供給されるブライン水溶液の全有機化合物濃度(TOC)が少なくとも約200ppmである前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
工程(1)において供給するブライン水溶液の無機塩の約5重量%未満が炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムである前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
[前記第1精製ブライン水溶液の全有機炭素(TOC)濃度]対[工程(1)において供給されたブライン水溶液の全有機炭素(TOC)濃度]の重量比が約1:20未満である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
(c)において分離された第1の精製ブライン水溶液が残留有機化合物を含み且つ第1の精製ブライン水溶液中の残留有機化合物濃度を1つ又はそれ以上のその後の単位操作において更に低減させて、第2の精製ブライン水溶液を得る前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ又はそれ以上のその後の単位操作が塩素化分解を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ又はそれ以上のその後の単位操作が第1の精製ブライン水溶液を活性炭と接触させることを含む請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ又はそれ以上のその後の単位操作がフェントン酸化を含む請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ又はそれ以上のその後の単位操作が電解酸化を含む請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記精製ブライン水溶液の全有機炭素濃度が約10ppm未満である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記精製ブライン水溶液を電気分解して、塩素ガス及び水酸化ナトリウムを形成する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ブライン水溶液中における微生物の滞留時間が約10〜約100時間の範囲である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記1種又はそれ以上の有機化合物対微生物の重量比が約0.1〜約1.5の範囲である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
工程(c)において生成された第1の精製ブラインが約80ppm未満のTOC濃度を有する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記微生物が細菌を含む前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記細菌がビブリオ(Vibrio)属及び/又はハロモナス(Halomonas)属に属する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細菌がビブリオ・アルギノリチクス(Vibrio alninolyticus)、ハロモナス・サリナ(Halomonas salina)及び/又はハロモナス・カンパニエンシス(Halomonas campaniensis)種を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
酸素と、1種若しくはそれ以上の有機化合物、微生物の生育に必要な前記1種若しくはそれ以上の有機化合物以外の、1種若しくはそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液の存在下に、生育するように適合された微生物。
【請求項39】
1種又はそれ以上の有機化合物、酸素の存在下に水性組成物中に浸漬されたリビング微生物個体群、微生物の生育に必要な前記1種又はそれ以上の有機化合物以外の、1種又はそれ以上の栄養素及び少なくとも約17重量%の水酸化ナトリウムを含んでなる水性組成物。
【請求項40】
少なくとも15重量%の1種又はそれ以上の無機塩、1種又はそれ以上の有機化合物、酸素の存在下に水性組成物中に浸漬されたリビング微生物個体群及び、微生物の生育に必要な前記1種又はそれ以上の有機化合物以外の、1種又はそれ以上の栄養素を含んでなり、前記1種又はそれ以上の無機塩が少なくとも約80重量%の水酸化ナトリウムを含む水性組成物。
【請求項41】
微生物及び細胞外ポリマー物質を含むバイオフィルムで被覆された、約1〜約200μmの範囲の平均粒度及び約1.5g/cm3より高い粒子密度を有する粒子を含んでなる組成物。
【請求項42】
(1)リビング微生物、1種又はそれ以上の炭化水素化合物、酸素、浸透圧許容濃度の塩化ナトリウムを含む無機塩並びに、任意的に、リビング微生物の呼吸、生育及び増殖に必要なリビング微生物のための1種又はそれ以上の栄養素を含む水性組成物を供給し;
(2)工程(1)で供給した水性組成物中に、炭化水素化合物、酸素、塩化ナトリウムを含む2種若しくはそれ以上の無機塩、更に、任意的に、水並びに/又はリビング微生物の呼吸、生育及び/若しくは増殖に必要なリビング微生物のための1種若しくはそれ以上の栄養素を含む1種又はそれ以上の物質を導入し;そして
(3)少なくとも一部の微生物を生き残らせることができ且つ塩化ナトリウム濃度の変化に適合させることができる速度で前記水性組成物の塩化ナトリウム濃度を増加させる(工程(3)に係る塩化ナトリウム濃度の増加は、前記水性組成物中に存在する1種又はそれ以上の無機塩の総量に対する塩化ナトリウムの重量%を増加させることを含む)
ことを含んでなる、水性ブライン組成物中の炭化水素化合物を酸化できる耐塩性リビング微生物を得る方法。
【請求項43】
前記塩化ナトリウム濃度を、工程(2)に従って少なくとも約10重量%増加させ且つ工程(2)に係る塩化ナトリウム濃度増加後の水性組成物の塩化ナトリウム濃度が少なくとも約17重量%である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記リビング微生物が細菌を含む請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記細菌がビブリオ属及び/又はハロモナス属に属する細菌を含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細菌がビブリオ・アルギノリチクス、ハロモナス・サリナ及び/又はハロモナス・カンパニエンシス種に属する細菌を含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
化学的プロセスのブライン流を請求項1に記載の精製方法に供することを含み;精製ブラインの有機分が充分に低く、同じ化学プロセス又は異なる化学プロセスに、循環させることができる、化学プロセス中のブラインの有機汚染の低減方法。
【請求項48】
前記化学プロセスがエピクロロヒドリンの製造方法であり且つ前記の異なる化学プロセスが塩素アルカリプロセスである請求項12に記載の方法。
【請求項49】
前記化学プロセスがポリフェノール化合物とエピクロロヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂を製造する方法であり、前記の異なる化学プロセスが塩素アルカリプロセスである請求項12に記載の方法。
【請求項50】
前記化学プロセスがビスフェノールA及びエピクロロヒドリンから液体エポキシ樹脂又は固体エポキシ樹脂を製造するプロセスである請求項14に記載の方法。
【請求項51】
前記化学プロセスがビスフェノールF又はビスフェノールFオリゴマー及びエピクロロヒドリンから液体エポキシノボラック樹脂を製造するプロセスである請求項14に記載の方法。
【請求項52】
前記化学プロセスが塩化水素酸の存在下でフェノール及びホルムアルデヒドからメチレンジアニリン又はポリメチレンジアニリンオリゴマーを製造するプロセスである請求項12に記載の方法。
【請求項53】
前記化学プロセスがグリセリンからのエピクロロヒドリンを製造するプロセスである請求項12に記載の方法。
【請求項54】
第2の再溶解工程で得られた第2の精製ブライン溶液中に存在する有機化合物の量対塩化ナトリウムの量の重量比が、工程(1)で供給されたブライン水溶液中に存在する有機化合物の量対塩化ナトリウムの量の重量比の約1/100未満である請求項3〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記1種又はそれ以上の有機化合物が(a)1種若しくはそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、それらのエステル及び/若しくはそれらのモノエポキシド、並びに/又はそれらの二量体、三量体及び/若しくはオリゴマー、並びに/又はそれらのハロゲン化及び/若しくはアミノ化誘導体、(b)1種若しくはそれ以上の炭素原子が1〜10の有機酸、それらのエステル、それらのモノエポキシド及び/又はそれらの塩、(c)1種若しくはそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物並びに/又はそれらのエポキシド、ジオール及び/若しくはクロロヒドリン、更に/或いは(d)アニリン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含む前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物がグリセロールを含む請求項20に記載の方法。
【請求項57】
前記1種又はそれ以上の有機酸が蟻酸、酢酸、乳酸及び/又はグリコール酸を含む請求項20に記載の方法。
【請求項58】
前記1種又はそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物がビスフェノールA及び/又はビスフェノールFを含む請求項20に記載の方法。
【請求項59】
工程(1)において供給するブライン水溶液がクロロヒドリンと水酸化ナトリウムを反応させることによる1種又はそれ以上のクロロヒドリンのエポキシ化によって生成される請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記の1種又はそれ以上のクロロヒドリンがグリセロール及び/若しくはそのエステル並びに/又は1種若しくはそれ以上のモノクロロヒドリン及び/若しくはそのエステルを含む液相反応混合物と、少なくとも1種の塩素化剤を含む少なくとも1種の塩素化供給材料流とを、反応器中で塩化水素化条件下において、任意的に、水、1種若しくはそれ以上の触媒及び/又は1種若しくはそれ以上の重質副生成物の存在下に接触させることによって製造される請求項24記載の方法。
【請求項61】
工程(1)において供給するブライン水溶液が少なくとも1種のアルキレンビスフェノール化合物のエポキシ化によって生成される請求項20、23又は24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
工程(1)において供給するブライン水溶液がアニリン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含み且つメチレンジアニリン(MDA)を製造するためのアニリンとホルムアルデヒドとの反応の触媒に使用された塩化水素を水酸化ナトリウムで中和することによって生成される請求項20に記載の方法。
【請求項63】
水酸化ナトリウムによる塩化水素の中和によって生成されたブライン水溶液を共沸蒸留に供して、工程(1)におけるブライン水溶液の供給前にブライン水溶液中に存在するアニリン及び/又はメチレンジアニリンの少なくとも50重量%を除去する請求項27に記載の方法。
【請求項64】
工程(1)において供給するブライン水溶液が第1の再溶解操作前にアニリン及び/又はメチレンジアニリンを除去するためのストリッピング操作に供されていない請求項28に記載の方法。
【請求項65】
工程(1)において供給されるブライン水溶液の全有機炭素濃度(TOC)が少なくとも約200ppmである前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
工程(1)において供給するブライン水溶液の無機塩の約5重量%未満が炭酸アニオン及び/又は硫酸アニオンを有する塩である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
工程(2)において得られる精製ブライン溶液が約10ppm未満の全有機炭素濃度を有する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記精製ブラインを、塩素アルカリプロセスによって(a)水酸化ナトリウム及び(b)塩素ガス又は次亜塩素酸塩を製造するためのブライン出発原料の少なくとも一部として電解槽のアノード側に導入する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記方法が連続法である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
耐塩性リビング微生物を含む少なくとも1つのバイオリアクター容器を含んでなるブライン精製用バイオリアクターであって、前記耐塩性リビング微生物が、酸素と1種若しくはそれ以上の有機化合物、前記微生物の生長に必要な前記の1種若しくはそれ以上の有機化合物以外の1種若しくはそれ以上の栄養素及び少くとも約17重量%の塩化ナトリウムを含むブライン溶液の存在下に生長できるように適合化された微生物及び/又は耐塩性リビング微生物を得るための前記方法によって得ることができる微生物であるバイオリアクター。
【請求項71】
1種若しくはそれ以上の無機塩、1種若しくはそれ以上の有機化合物、任意的な1種若しくはそれ以上の微生物栄養素を含むブライン水溶液、並びに微生物及び細胞外ポリマー物質を含むバイオフィルムで被覆された約1〜約200μmの範囲の平均粒度及び約1.5g/cm3超の粒子密度を有する粒子を含んでなる組成物を含むバイオリアクター容器を含むブライン精製用バイオリアクター。

【公表番号】特表2010−536561(P2010−536561A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521965(P2010−521965)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/073449
【国際公開番号】WO2009/026211
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】