帯電装置
【課題】 グリッドと、開口を開閉するシャッタとを備えるコロナ帯電器において、シャッタが感光体に接触することによって傷つくことを防ぐため、感光体とコロナ帯電器とシャッタとの位置精度を高める必要があった。
【解決手段】 コロナ帯電器の高さ調整機構にシャッタの先端位置規制を設けることで、帯電器高さに関わらずドラムとシャッタの高さを規定することができ、シャッタ位置精度を向上させることができる。
【解決手段】 コロナ帯電器の高さ調整機構にシャッタの先端位置規制を設けることで、帯電器高さに関わらずドラムとシャッタの高さを規定することができ、シャッタ位置精度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、帯電させた感光体上にトナー像を形成する。感光体を帯電させる装置の一例として、コロナ放電を伴うコロナ帯電器がある。コロナ帯電器はコロナ放電を利用して感光体を帯電させるため、オゾンO3や窒素酸化物NOX等の放電生成物を生成してしまう。
【0003】
コロナ放電によって生成された放電生成物が感光体に付着すると、空気中の水分を吸湿して表面抵抗を低下させる。とりわけ、高湿環境では、放電生成物の付着した個所に画像情報に応じた静電潜像を忠実に形成できなくなる(この問題を「画像流れ」と呼ぶ)。
【0004】
このような「画像流れ」に対して、非画像形成時に放電生成物が感光体に堆積しないように、コロナ帯電器の開口をシャッタで覆い塞ぐ構成が特許文献1に開示されている。具体的には、シャッタをコロナ帯電器の長手方向に沿って開閉移動させる構成が開示されている。なお、「画像流れ」に対して、感光体を加熱して放電生成物が吸湿するのを防ぐ方法や感光体を研磨して放電生成物を除去する方法がある。これに対し、コロナ帯電器にシャッタを設ける構成は加熱に要するエネルギーを抑え(省エネ)、さらに感光体の研磨量を抑えることによって感光体の寿命を長くすることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−046297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コロナ帯電器は感光体表面に対し近接して配置される。そのため、シャッタは狭い隙に設けなければならなかった。また、シャッタが感光体ドラムと摺擦すると感光体が傷つくため好ましくない。
【0007】
ここで、グリッド電極を備えるコロナ帯電器は、グリッド電極の張力により帯電器の形状が変形し易い。そのため、感光体とコロナ帯電器との距離を個体毎に一定に保つのは非常に困難である。変形に伴い感光体とコロナ帯電器との距離が変化すると、感光体の帯電電位に差が生じてしまう。このような電位差を補正するために、コロナ帯電器を取り付ける取り付け部を上下方向(感光体ドラムの半径方向)に調整可能な調整板を設ける構成を採用しているものがある。
【0008】
しかしながら、シャッタを備えるコロナ帯電器を調整板で上下方向に調整すると、シャッタが感光体に摺擦もしくは衝突する可能性があることが分かった。
【0009】
そこで、本発明の目的はシャッタと感光体の摺擦を防止しつつ、コロナ帯電器と感光体との距離を調整することができる帯電装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明のコロナ帯電器は「開口を有するシールドと、シールドの開口に設けられたグリッドと、前記シールドの開口を前記シールドの長手方向に沿って開閉するシート状のシャッタと、を備え感光体を帯電するコロナ帯電器であって、画像形成装置本体に位置決めするための基準部材と、前記基準部材と係合して前記グリッドと前記感光体との距離を調整するための第1の位置決め手段と、前記基準部材と係合して前記シャッタと前記感光体との距離を調整するための第2の位置決め手段と、を有すること」を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
シャッタと感光体の摺擦を防止しつつ、コロナ帯電器と感光体との距離を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コロナ帯電器のシャッタが開いた状態を示す図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を説明するための図である。
【図3】コロナ帯電器のシャッタが閉まった状態を示す図である。
【図4】コロナ帯電器のシャッタの閉動作状態を示す図である。
【図5】コロナ帯電器のシャッタの開動作状態を示す図である。
【図6】コロナ帯電器のシャッタを開閉させる機構を示す図である。
【図7】シャッタ巻取り装置の概略構成を説明するための図である。
【図8】シャッタ巻取り装置をガイド部材にセットした状態を示す概略斜視図である。
【図9】放電ワイヤの固定状態を示した図である。
【図10】コロナ帯電器の位置決め部材を示した斜視図である。
【図11】コロナ帯電器の短手方向を示した概略図である。
【図12】コロナ帯電器のシャッタが開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
はじめに、画像形成装置の全体構成について、図2を用いて説明する。その後、帯電装置について詳細に説明する。本例の画像形成装置は、電子写真方式を採用したレーザビームプリンタである。
【0015】
§1.{画像形成装置の全体構成について}
図2に示すように、感光体(像担持体)1の周囲に、その回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電装置2、露光装置3、電位測定装置7、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置8、光除電装置9が配設されている。また、転写装置5よりも記録材Pの搬送方向下流側に、定着装置6が配設されている。次に、画像形成に関与する個々の画像形成機器について、順に、詳述する。
【0016】
■(感光体について)
図2に示すように、本例の像担持体として感光体1は、負帯電特性の有機光半導体である感光層を有した円筒状(ドラム型)の電子写真感光体である。この感光体1は、直径が84mmであり、中心軸(不図示)を中心に500mm/secのプロセススピード(周速度)で矢示R1方向に回転駆動される。また、図1に示すように、感光体の長手方向の幅は360mmである。
【0017】
■(帯電装置について)
本例の帯電装置2は、図2に示すように、帯電電極としての放電ワイヤ2hと、これを囲むように設けられたコの字状の導電性シールド2bと、このシールド2bの開口部に設置されたグリッド電極2aとを有するスコロトロン・タイプのコロナ帯電器である。また、本例では、画像形成の高速化に対応するため、放電ワイヤ2hを2本設置するとともにこれに対応してシールド2bが放電ワイヤ2h間を遮るように仕切りが設けられたコロナ帯電器を用いている。なお、放電ワイヤはコロナ放電によって感光体を帯電する限りにおいて、糸状であっても、ノコギリ歯状であってもよくその形状を限定するものではない。ここで、帯電電極としての放電ワイヤはブラウンタングステンの細線状のものを用いた。
【0018】
このコロナ帯電器2は感光体1の母線に沿って設置されており、従って、コロナ帯電器2の長手方向は感光体1の軸線方向と平行な関係にある。また、図11に示すように、グリッド電極2aは感光体の周面に沿ってその短手方向(感光体の移動方向)の中央部が両端部よりも放電ワイヤ側に凸になるように設置されている。言い換えると、グリッド電極は感光体ドラムの曲率に沿うように円弧状となっている。従って、本例では、コロナ帯電器2を従来以上に感光体1に近接して設けることができ、帯電効率を向上させることができる。
【0019】
また、コロナ帯電器2は、帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1が接続されており、印加電源S1から印加された帯電バイアスにより、感光体1の表面を帯電位置aにおいて負極性の電位に一様に帯電処理を行う機能を担っている。具体的には、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスが、放電ワイヤ2hとグリッド電極2aに印加される構成となっている。
【0020】
更に、本例のコロナ帯電器2は、帯電により発生する放電生成物が感光体1に付着するのを防止するための帯電器シャッタが設けられている。この帯電器シャッタの構成については後で詳述する。
【0021】
■(その他の画像形成部について)
本例の露光装置3は、コロナ帯電器2により帯電処理された感光体1にレーザ光Lを照射する半導体レーザを備えたレーザビームスキャナである。具体的には、画像形成装置にネットワークケーブルを介して接続されたホストコンピュータから送信されてくる画像信号に基づいて、露光装置3はレーザ光Lを出力する。このレーザ光Lは、帯電処理済みの感光体1表面を、露光位置bにおいて主走査方向に沿って露光する。感光体が回転している間にこの主走査方向に沿った露光を繰り返すことにより、感光体1表面の帯電面のうち、レーザ光Lが照射された部分の電位が低下し、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0022】
ここで、主走査方向とは感光体1の母線に平行な方向を意味しており、副走査方向は感光体1の回転方向に平行な方向を意味している。
【0023】
本例の現像装置4は、帯電装置2と露光装置3によって感光体1上に形成された静電潜像に、現像剤(トナー)を付着させることにより可視像化する。本例の現像装置4は、二成分磁気ブラシ現像方式を採用しており、さらに、反転現像方式を採用している。
【0024】
現像スリーブ4bは現像バイアス印加電源S2が接続されており、現像スリーブ4b表面に担持された現像剤中のトナーは、印加電源S2により印加された現像バイアスによる電界によって、感光体1上の静電潜像に対応して選択的に付着される。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。本例の場合は、感光体1上の露光部(レーザ光照射部分)にトナーが付着されて静電潜像が反転現像される。
【0025】
本例の転写装置5は、図2に示すように、転写ローラを有している。この転写ローラ5は感光体1表面に所定の押圧力をもって圧接されており、その圧接ニップ部が転写部dとなる。この転写部dには給紙カセットから所定の制御タイミングにて記録材P(例えば、紙、透明フィルム)が給送される。
【0026】
転写部dに給送されてきた記録材Pは感光体1と転写ローラ5との間に挟持搬送されながら、感光体1上のトナー像が記録材Pに転写される。このとき、転写ローラ5には、転写バイアス印加電源S3からトナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性の転写バイアス(本例では、+2kV)が印加される。
【0027】
本例の定着装置6は、図2に示すように、定着ローラ6aと加圧ローラ6bを有している。転写装置5によりトナー像の転写を受けた記録材Pは、定着装置6へと搬送され、定着ローラ6aと加圧ローラ6bとによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着処理を受けた記録材Pは、その後、機外へと排出される。
【0028】
本例のクリーニング装置8は、図2に示すように、クリーニングブレードを有している。転写装置5により記録材Pにトナー像が転写された後、感光体1表面に残留している転写残トナーはクリーニングブレード8によって除去される。
【0029】
本例の光除電装置9は、図2に示すように、除電露光ランプを有している。クリーニング装置8によりクリーニング処理された感光体1は、その表面に残留している電荷が、除電露光ランプ9による光照射により除電される。
【0030】
以上説明した各画像形成機器による一連の画像形成プロセスが終了し、次の画像形成動作に備えられる。
【0031】
§2.{帯電装置の詳細構成について}
以下に、帯電装置の構成について詳細に説明する。
【0032】
■(帯電器シャッタについて)
まず、コロナ帯電器2の開口を開閉するシート状部材としての帯電器シャッタ10について説明する。このコロナ帯電器2の開口とは、シールドに形成された開口のことを指し、コロナ帯電器2による帯電領域(図1のW)に対応している。従って、このコロナ帯電器による帯電領域Wは、感光体1が帯電され得る領域とほぼ一致する。
【0033】
図1は、シート状部材としての帯電器シャッタ10がX方向(開方向)へ移動するように巻取られたことにより帯電器シャッタ10が開いた状態を示したものである。図3はシート状部材としての帯電器シャッタ10がY方向(閉方向)へ移動するように引っ張られたことにより帯電器シャッタ10が閉じた状態を示したものである。
【0034】
本例では、図1、図3に示すように、コロナ帯電器2の開口を開閉する帯電器シャッタ10として、巻取り装置11によりロール状に巻取ることが可能な有端状のシート状のシャッタ(以下、帯電器シャッタ)を採用している。
【0035】
これは、帯電器2から感光体1に向けて落下するコロナ生成物の通過を防止することに加え次のような理由がある。帯電器シャッタは感光体1とグリッド電極2aとの狭い隙間を移動する。そのため、帯電器シャッタが感光体1と接触してしまった場合に感光体に損傷を与えないように柔らかいシート状のものを採用した。具体的には、帯電器シャッタ10として、ポリイミド樹脂製で厚みが30μmのシート状のものを採用している。また、画像形成動作中に帯電器2の長手方向(主走査方向)一端側にロール状に退避する構成となっているのは、帯電器シャッタ10の退避時(開時)のスペースを小さくするためである。
【0036】
■(移動部材と規制部材としての板ばねについて)
前述の帯電器シャッタを開閉するための機構として、シート端部に板ばねを設け、その板ばねを保持され、開口を開閉する。シート端部に設けられた規制部材としての板ばねは弾性を有し、シャッタの形状を規制している。この板バネは重力方向上側に向かって(グリッド側方向に凸)アーチ状になるように曲げられている。シート状の帯電器シャッタは板ばねによって凸形状に規制されることで、感光体側に垂れないようにコシを得る。なお、板バネはシート状のシャッタが感光体に垂れ下がらないようにシートにコシを与えればよく、シート状のシャッタ端部から1〜3mm程度の位置に設けられている。なお、剛性の高い(コシの強い)シャッタを用いることで、シャッタ端部から5mm程度の位置に板バネを設けることができる。しかし、剛性の高い(コシの強い)シャッタは、剛性の低い(コシの弱い)シャッタよりも感光体を傷つける可能性が高い。なお、本件では、ポリイミド樹脂製の厚みが30μmであるポリイミド樹脂製のシートをシャッタとして用いており、シートを上に凸に規制する規制部材としての板バネはシャッタ端部から2mmの位置に設けた。帯電器シャッタを規制する板ばねは保持部材としての第1の移動部材21とコの字形状のアームと連結され、第1の移動部材が移動することで帯電器シャッタは開口を開閉する。
【0037】
■(帯電器シャッタ駆動機構について)
次に、帯電器シャッタ10の開閉機構(移動機構)について説明する。図1、図4は帯電器シャッタ10の開状態、閉状態を示したものであり、図6は開閉機構の詳細を示した斜視図であり、図11はコロナ帯電器の長手方向一端側から見た断面図を示したものである。
【0038】
この開閉機構は、駆動モータM、巻取り装置11、帯電器シャッタ10を保持する第1の移動部材21、清掃部材14を保持する第2の移動部材12、回転部材13を有している。これらにより、帯電器シャッタ10はその長手方向(主走査方向)に沿って開閉移動させることができる。
【0039】
また、図1、11に示すように、帯電器シャッタ10の開動作完了を検知するシャッタ検知装置15が設けられている。このシャッタ検知装置15はフォトインタラプタを有しており、第1の移動部材21が開動作完了位置に到達すると、フォトインタラプタ15が遮光部材21cにより遮光されることを利用して、帯電器シャッタ10の開動作完了を検知する仕組みとなっている。つまり、シャッタ検知装置15により第1の移動部材21の遮光部材21cを検知した時点で、駆動モータMの回転を停止させる構成となっている。
【0040】
図1、6に示すように、帯電器シャッタ10の閉方向先端側には、帯電器シャッタの短手方向中央部が両端部よりもコロナ帯電器側に突出するように帯電器シャッタの形状を規制する規制手段として機能するシャッタ固定部材17が設けられている。このシャッタ固定部材17は、第1の移動部材21に一体で備えられた連結部材21bに係止固定されている。また、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、回転部材13に螺合するように設けられた駆動伝達部材22を有しており、この駆動伝達部材22を介して回転部材13に駆動連結されている。さらに、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、コロナ帯電器2上に設けられたレール2c上を主走査方向にのみ移動できるように螺合されており、第1の移動部材21と第2の移動部材12が回転部材13と共に回転してしまうのを防止している。
【0041】
図6に示すように、回転部材13はスパイラル状の溝が形成されており、その一端部にはギア18が接続されている。一方、駆動モータMの先端にはウォームギア19が接続されており、駆動モータMの駆動力をウォームギア19とギア18との噛み合い部を介して回転部材13へと伝達する。そして、回転部材13が駆動モータMにより回転駆動されると、第1の移動部材21と第2の移動部材12がこのスパイラルの溝に沿って主走査方向(X、Y方向)へ移動する。従って、駆動モータMにより回転部材13が駆動されると、第1の移動部材21と一体化されている連結部材21bを介して、帯電器シャッタ10に開閉方向への移動力が伝達される構成となっている。また、第2の移動部材12には、放電ワイヤ2hを清掃する清掃部材14を保持する連結部材12bが一体で備えられている。従って、駆動モータMによって帯電器シャッタ10が上述のように主走査方向(X、Y方向)へ移動するのと同時に、清掃部材14も同一方向へと移動する。これにより、放電ワイヤ2hの清掃と帯電器シャッタ10とを同一の駆動モータMで駆動することが可能となる。
【0042】
■(帯電器シャッタ巻取り機構について)
次に、帯電器シャッタ10の巻取り機構について説明する。図7は巻取り手段としての巻取り装置11の構成を示した図であり、図8は巻取り装置11をコロナ帯電器2に取り付けるためのガイド固定部材35に装着した状態を示す図である。
【0043】
巻取り装置11は、帯電器シャッタ10の一端側を固定するとともにこれを巻取る円筒状の巻取りローラ(巻取り部材)30、巻取りローラ30を軸支する軸部材32、巻取りローラ30の他方端を軸支する軸受部材31を有している。さらに、軸受部材31と軸部材32を固定する固定部材である平行ピン34、巻取りローラ30内に設置され、巻取りローラ30と軸受部材31に係合するバネ(付勢部材)33を有している。
【0044】
また、巻取り装置11は、図8に示すようにガイド固定部材35に取り付けられることで、軸受部材31の突起31aがガイド固定部材のリブ35aに突き当たる構成になっている。これにより、軸受部材31および軸部材32は回転不可に固定され、巻取りローラ30のみが回転可能に軸支される。
【0045】
取り付けの際には、軸受部材31にはA方向に回転力が生じるように、ガイド固定部材35に取り付ける前に、巻取りローラ30を固定した状態で軸受部材31をB方向に数回転巻いた状態で取り付けている。これにより、帯電器シャッタ10が開く方向(Y方向)に引っ張った際に、巻取りローラ30が帯電器シャッタ10を巻き取る方向にバネ33のねじり力が働く。この際、軸受部材31はA方向の力を受けるためガイド固定部材35に突き当たって回転不可に固定される。
【0046】
また、帯電器シャッタ10が開く方向に移動する際にたるむのを防止するために、予め、巻取り装置11に対し帯電器シャッタ10がたるまない巻取り力を付与する必要がある。本例においては、図1に示すように帯電器シャッタ10が動作完了位置に移動した位置での巻取り装置11の巻取り力が最も弱くなる。そのため、この位置での巻取り力F1を帯電器シャッタ10がたるまない巻取り力の下限値として、ガイド固定部材35に取り付ける前に軸受部材31をB方向に回す回数を決定している。
【0047】
従って、帯電器シャッタを開く際(図1)には、駆動モータMにより帯電器シャッタ10がX方向へ移動するに伴い、帯電器シャッタ10が下方に垂れ下がることなく帯電器シャッタ10を随時巻取りローラ30が巻き取っていく仕組みとなっている。
【0048】
一方、帯電器シャッタ10を閉める際(図3)には、駆動モータMが巻取りローラ30内のバネ33の付勢力に抗して帯電器シャッタ10を巻取りローラ30から引き出すことで、帯電器シャッタ10がY方向へ移動する仕組みとなっている。
【0049】
なお、帯電器シャッタ10が閉まり切った状態のとき、巻取りローラ30内のバネ33によるX方向への付勢力が帯電器シャッタ10に作用しているので、帯電器シャッタ10が下方に垂れ下がることはない。さらに、帯電器シャッタ10の一端は巻き取り装置に保持されつつアーチ状に規制され、他端は板ばねで規制されている。
【0050】
従って、閉時において、帯電器シャッタ10とコロナ帯電器2との間に隙間ができ難い構成とした為、コロナ生成物が外側に漏れにくい状態を維持することが可能となる。
【0051】
■(帯電器シャッタの移動範囲について)
図1は、帯電器シャッタ10が開いた状態を示したもの、図3は帯電器シャッタ10が閉じた状態を示したものである。図4は帯電器シャッタ10がY方向(閉方向)へ移動する途中の状態を示したもの、図5は、帯電器シャッタ10がX方向(開方向)へ移動する途中の状態を示したものである。図9は帯電器シャッタ10が開いた状態での放電ワイヤ2h取り付け部周辺の拡大図である。
【0052】
本例では、第1の移動部材21と第2の移動部材12を用いることで、帯電器シャッタ10と、清掃部材14の移動距離を変えている。
【0053】
図1に示すように、帯電器シャッタ10が開いた状態では、第1の移動部材21と第2の移動部材12はそれぞれ開位置α1、β1で停止している。開位置α1、β1は帯電器シャッタ10の開動作完了を検知するシャッタ検知装置15が、第1の移動部材21を検知して開動作を停止した位置である。
【0054】
また、αは帯電器シャッタ10の先端位置を示したものであり、βは清掃部材14の巻取り側端面を示したものであり、この開位置でのα1、β1は、放電領域Wよりも巻取り部材側になるように設けられている。さらに詳しく述べると、帯電器シャッタ10の開位置α1は感光体のドラム側端部よりも、シャッタ巻取り部材側である。帯電電極としての放電ワイヤは支持部材としてのワイヤ架け部材24によって交換可能に支持されている。ここで、ワイヤ架け部材は放電ワイヤを引っ掛けるフックと引っ掛けたワイヤを固定するビスを備えている。交換の際は、ビスを緩めて固定を解いた後、フックから耐久使用された放電ワイヤを外した後、新しい放電ワイヤをフックに架けた後、ビスを締めて固定する。
【0055】
更に、図1、図9に示すように、第2の移動部材12の停止位置β1は、清掃部材14全体が放電領域Wよりも巻取り側になる位置で停止している。それに対し、第1の移動部材21の停止位置α1は、放電ワイヤ2hのワイヤ架け部材24よりも巻取り側となる位置で停止する。
【0056】
このようにα1をワイヤ架け部材24よりも巻取り側(β1よりも巻取り側)にすることで、帯電器シャッタ10を外さなくても放電ワイヤ2hが交換できるようになっている。
【0057】
更に、第1の移動部材21の開位置α1は、感光体1の巻取り側端面よりも巻取り側に設定されており、通常動作時、感光体1が回転しても帯電器シャッタ10が感光体1に接触することがないようになっている。特に本例のように感光体1とコロナ帯電器2との隙間が狭い帯電装置においては、開位置α1を感光体1表面上に設定すると、ドラム上のトナーが付着して帯電器シャッタ10が汚染されてしまう可能性がある。更に、帯電器シャッタ10が回転中の感光体1と擦れて、感光体1を傷つけたり、帯電器シャッタ10を破損させたりする可能性もあるため、本例のような構成を採用している。
【0058】
帯電器シャッタ10閉時は、図4(A)に示すように第1の移動部材21と第2の移動部材12は開位置の間隔を保ったままY方向へ移動する。
【0059】
そして図3に示すように、奥側のブロック2eに突き当たって閉位置α2、β2で停止する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、先に第2の移動部材12がブロック2eに突き当たりβ2で停止した後、第1の移動部材21が第2の移動部材12に突き当たる。そして、移動開始から所定時間経過後、モータMの駆動が停止して帯電器シャッタ10の閉動作が終了する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、図4(B)、図5(B)に示すように凹凸形状をしておりお互いが突き当たることで、帯電器シャッタ10と清掃部材14がα2、β2でほぼ等しい位置に停止するようになっている。
【0060】
この閉位置でのα2、β2は、放電領域Wよりもブロック2e側になるように設けられている。
【0061】
更に、α2とβ2の位置関係は、ほぼ同じかα2の方がβ2よりもブロック2e側となるようにすることで、帯電器シャッタ10が放電ワイヤ2hの長手全域を覆うことができる。
【0062】
帯電器シャッタ10開時は、図5(A)に示すように、第1の移動部材21と第2の移動部材12は閉時の状態を保ち、密着したままX方向へ移動する。そして、図1に示すように第1の移動部材21はシールド板に、第2の移動部材12は前側のブロック2dに突き当たって開位置α1、β1で停止する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、先に第2の移動部材12がブロック2dに突き当たりβ1で停止し、第1の移動部材21はまだ動き続けてシールド板に突き当たりα1で停止する。この際に、シャッタ検知装置15が第1の移動部材21を検知してモータMを停止して開動作を終了する。
【0063】
このように停止位置の差を付けることで、開位置=ワイヤ交換位置(開位置がワイヤ交換位置と一致)となり、サービス時に放電ワイヤ2hの交換性を損なうことなく、帯電器シャッタ10を配置することができる。
【0064】
また、本例では開位置=ワイヤ交換位置となるようなコロナ帯電器を例に挙げているが、感光体1とコロナ帯電器2との隙間が広い帯電器であれば、帯電器シャッタ10を感光体1上に待機させることも可能になる。そうすることで、図13(A)に示すように、第1の移動部材21と第2の移動部材12を図13(B)の状態で係合部材25を用いて固定し、ワイヤ交換位置≠開位置(ワイヤ交換位置が開位置と一致しない)となる構成も可能となる。
【0065】
その場合は、常に第1の移動部材21と第2の移動部材12が密着して動作するため、開位置α1´とβ1の関係は閉位置と同じくほぼ同じかα1´の方がβ1よりもブロック2e側となる。
【0066】
そしてサービス時のみ、係合部材25を開放して第1の移動部材21と第2の移動部材12とに分けることができる。それにより、第1の移動部材21をワイヤ架け部材24より巻取り側α1に移動させることができ、α1がワイヤ架け部材24よりも巻取り側(β1よりも巻取り側)になる関係が成立する。
【0067】
このように、「帯電器シャッタの移動距離L1を清掃部材の移動距離L2よりも長くする」ことにより、ワイヤ架け部材24周囲にワイヤ交換用のスペースを設けることができる。それにより、サービスマンは放電ワイヤ2hの架け替えを容易に行うことができる。
【0068】
■(帯電器シャッタ位置決め構成について)
次に、帯電器シャッタ10の位置決め構成について説明する。図10はコロナ帯電器2を装置本体に取り付けるための位置決め部材23を示す斜視図である。図10に示すとおり、シールドの開口の長手方向に沿ってグリッド電極はシールドの開口部に設けられている。
【0069】
組立時、コロナ帯電器2はグリッド電極2aを張った際のテンションによりたわみが生じ、装置本体に取り付けた際に感光体1とグリッド電極2aの隙間が長手方向で異なる場合がある。その隙間の差が大きいと、出力された成果物の主走査方向での濃度差を生じる原因となる。それを防止するために、まず、グリッド電極2aを張った後のコロナ帯電器2のグリッド電極2a前奥高さ(感光体に対する)を測定する。そして、グリッド電極2aの奥側に対する前側高さの差が50μm以下になるように、コロナ帯電器を前側ブロック2dに対し基準となる基準部材としての位置決め部材23を調整組みする。これにより、コロナ帯電器の位置決め精度を保証することができる。更に、帯電器シャッタ10を支持固定するガイド固定部材35は、位置決め部材23に対して取り付ける構成としている。
【0070】
もし、ブロック2dに帯電器シャッタを支持固定するガイド固定部材35を設けた場合、コロナ帯電器2のたわみが大きい場合に、グリッド電極2aと感光体1との隙間を所定量以下に保っても、感光体1に対してブロック2dの位置がばらつく可能性がある。感光体に対してブロック2dの位置がばらついた状態で、ブロック2dにガイド固定部材35を固定すると、ブロック2dの影響でガイド部材16の位置が感光体1の外周面よりも感光体1中心側になる。そのため、帯電器シャッタ10が感光体1のドラム端面(側面)に衝突して動作不良となる。また、反対側にばらついた場合は、ガイド部材16とグリッド電極2aとの隙間が無くなり、帯電器シャッタ10が挟まって動作不良を起こす可能性がある。
【0071】
これを防止するために、本例のように帯電シャッタを支持固定するガイド固定部材35を、基準部材としての位置決め部材23に対して取り付ける。これにより、コロナ帯電器2の状態に関わらず、感光体1とガイド部材16の位置精度を保証する構成にすることができる。
【0072】
更に本例では、ガイド部材16と感光体1の位置精度を保証するために、ガイド固定部材35に位置決めの突起35bが設けられている。この突起35bおよび、位置決め部材23の位置決め穴23aは、不図示の装置本体の感光体1を位置決めする部材上に設けられた、各位置決め部材に対しそれぞれ位置決めされる構成となっている。これにより、感光体1、コロナ帯電器2(グリッド電極2a)、ガイド固定部材35(ガイド部材16)が同一部材に精度良く位置決めできる構成となっている。
【0073】
つまり、帯電器シャッタと帯電線の清掃具を長手方向に移動可能に保持する移動部材を、帯電器シャッタと清掃具それぞれに備え、シャッタの移動部材が、清掃具の移動部材よりも長い距離移動できるようにした。これにより、帯電器シャッタを取り付けたままの状態で、帯電線の交換が容易に交換することができる。また、本例では位置決め部材23はコロナ帯電器2に対し調整組みで固定されているが、装置本体に組み込んだ状態で、調整ビス等で感光体1とグリッド電極2aの高さを変えられるコロナ帯電器に適応しても良い。但し、その際にはグリッド電極2aとガイド部材16との隙間が、帯電器シャッタ10の動作可能幅(可動範囲)より狭くならないことが必要である。
【0074】
以上説明したように、本例では第1の移動部材21と第2の移動部材12を設け、それぞれの開位置α1、β1、閉位置α2、β2の関係を設定している。それにより、帯電器シャッタ10により放電領域Wを確実に覆うと共に、シャッタが組付けられた状態のままでも、帯電線の交換性を損なうことがない。
【0075】
なお、以上の実施例では、コロナ帯電器が、感光体に静電像を形成する前工程において、感光体を実質一様に帯電処理するために用いられる場合について説明したが、このような例だけに限られない。例えば、コロナ帯電器が、感光体に形成されたトナー像を帯電処理するために用いられる場合にも本発明を同様に適用することが可能である。
【0076】
また、以上の実施例では、コロナ帯電器の開口にグリッド電極が設けられている場合について説明したが、コロナ帯電器にグリッド電極が設けられていない場合にも本発明を同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 感光体
2 帯電器
2a グリッド電極
2b シールド
2c レール
2h 放電ワイヤ
10 帯電器シャッタ
11 巻き取り装置
16 規制部材
17 シャッタ固定部材
21 キャリッジ(第1の移動部材)
21a 移動部材本体
24 ワイヤ架け部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、帯電させた感光体上にトナー像を形成する。感光体を帯電させる装置の一例として、コロナ放電を伴うコロナ帯電器がある。コロナ帯電器はコロナ放電を利用して感光体を帯電させるため、オゾンO3や窒素酸化物NOX等の放電生成物を生成してしまう。
【0003】
コロナ放電によって生成された放電生成物が感光体に付着すると、空気中の水分を吸湿して表面抵抗を低下させる。とりわけ、高湿環境では、放電生成物の付着した個所に画像情報に応じた静電潜像を忠実に形成できなくなる(この問題を「画像流れ」と呼ぶ)。
【0004】
このような「画像流れ」に対して、非画像形成時に放電生成物が感光体に堆積しないように、コロナ帯電器の開口をシャッタで覆い塞ぐ構成が特許文献1に開示されている。具体的には、シャッタをコロナ帯電器の長手方向に沿って開閉移動させる構成が開示されている。なお、「画像流れ」に対して、感光体を加熱して放電生成物が吸湿するのを防ぐ方法や感光体を研磨して放電生成物を除去する方法がある。これに対し、コロナ帯電器にシャッタを設ける構成は加熱に要するエネルギーを抑え(省エネ)、さらに感光体の研磨量を抑えることによって感光体の寿命を長くすることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−046297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コロナ帯電器は感光体表面に対し近接して配置される。そのため、シャッタは狭い隙に設けなければならなかった。また、シャッタが感光体ドラムと摺擦すると感光体が傷つくため好ましくない。
【0007】
ここで、グリッド電極を備えるコロナ帯電器は、グリッド電極の張力により帯電器の形状が変形し易い。そのため、感光体とコロナ帯電器との距離を個体毎に一定に保つのは非常に困難である。変形に伴い感光体とコロナ帯電器との距離が変化すると、感光体の帯電電位に差が生じてしまう。このような電位差を補正するために、コロナ帯電器を取り付ける取り付け部を上下方向(感光体ドラムの半径方向)に調整可能な調整板を設ける構成を採用しているものがある。
【0008】
しかしながら、シャッタを備えるコロナ帯電器を調整板で上下方向に調整すると、シャッタが感光体に摺擦もしくは衝突する可能性があることが分かった。
【0009】
そこで、本発明の目的はシャッタと感光体の摺擦を防止しつつ、コロナ帯電器と感光体との距離を調整することができる帯電装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明のコロナ帯電器は「開口を有するシールドと、シールドの開口に設けられたグリッドと、前記シールドの開口を前記シールドの長手方向に沿って開閉するシート状のシャッタと、を備え感光体を帯電するコロナ帯電器であって、画像形成装置本体に位置決めするための基準部材と、前記基準部材と係合して前記グリッドと前記感光体との距離を調整するための第1の位置決め手段と、前記基準部材と係合して前記シャッタと前記感光体との距離を調整するための第2の位置決め手段と、を有すること」を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
シャッタと感光体の摺擦を防止しつつ、コロナ帯電器と感光体との距離を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コロナ帯電器のシャッタが開いた状態を示す図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を説明するための図である。
【図3】コロナ帯電器のシャッタが閉まった状態を示す図である。
【図4】コロナ帯電器のシャッタの閉動作状態を示す図である。
【図5】コロナ帯電器のシャッタの開動作状態を示す図である。
【図6】コロナ帯電器のシャッタを開閉させる機構を示す図である。
【図7】シャッタ巻取り装置の概略構成を説明するための図である。
【図8】シャッタ巻取り装置をガイド部材にセットした状態を示す概略斜視図である。
【図9】放電ワイヤの固定状態を示した図である。
【図10】コロナ帯電器の位置決め部材を示した斜視図である。
【図11】コロナ帯電器の短手方向を示した概略図である。
【図12】コロナ帯電器のシャッタが開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
はじめに、画像形成装置の全体構成について、図2を用いて説明する。その後、帯電装置について詳細に説明する。本例の画像形成装置は、電子写真方式を採用したレーザビームプリンタである。
【0015】
§1.{画像形成装置の全体構成について}
図2に示すように、感光体(像担持体)1の周囲に、その回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電装置2、露光装置3、電位測定装置7、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置8、光除電装置9が配設されている。また、転写装置5よりも記録材Pの搬送方向下流側に、定着装置6が配設されている。次に、画像形成に関与する個々の画像形成機器について、順に、詳述する。
【0016】
■(感光体について)
図2に示すように、本例の像担持体として感光体1は、負帯電特性の有機光半導体である感光層を有した円筒状(ドラム型)の電子写真感光体である。この感光体1は、直径が84mmであり、中心軸(不図示)を中心に500mm/secのプロセススピード(周速度)で矢示R1方向に回転駆動される。また、図1に示すように、感光体の長手方向の幅は360mmである。
【0017】
■(帯電装置について)
本例の帯電装置2は、図2に示すように、帯電電極としての放電ワイヤ2hと、これを囲むように設けられたコの字状の導電性シールド2bと、このシールド2bの開口部に設置されたグリッド電極2aとを有するスコロトロン・タイプのコロナ帯電器である。また、本例では、画像形成の高速化に対応するため、放電ワイヤ2hを2本設置するとともにこれに対応してシールド2bが放電ワイヤ2h間を遮るように仕切りが設けられたコロナ帯電器を用いている。なお、放電ワイヤはコロナ放電によって感光体を帯電する限りにおいて、糸状であっても、ノコギリ歯状であってもよくその形状を限定するものではない。ここで、帯電電極としての放電ワイヤはブラウンタングステンの細線状のものを用いた。
【0018】
このコロナ帯電器2は感光体1の母線に沿って設置されており、従って、コロナ帯電器2の長手方向は感光体1の軸線方向と平行な関係にある。また、図11に示すように、グリッド電極2aは感光体の周面に沿ってその短手方向(感光体の移動方向)の中央部が両端部よりも放電ワイヤ側に凸になるように設置されている。言い換えると、グリッド電極は感光体ドラムの曲率に沿うように円弧状となっている。従って、本例では、コロナ帯電器2を従来以上に感光体1に近接して設けることができ、帯電効率を向上させることができる。
【0019】
また、コロナ帯電器2は、帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1が接続されており、印加電源S1から印加された帯電バイアスにより、感光体1の表面を帯電位置aにおいて負極性の電位に一様に帯電処理を行う機能を担っている。具体的には、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスが、放電ワイヤ2hとグリッド電極2aに印加される構成となっている。
【0020】
更に、本例のコロナ帯電器2は、帯電により発生する放電生成物が感光体1に付着するのを防止するための帯電器シャッタが設けられている。この帯電器シャッタの構成については後で詳述する。
【0021】
■(その他の画像形成部について)
本例の露光装置3は、コロナ帯電器2により帯電処理された感光体1にレーザ光Lを照射する半導体レーザを備えたレーザビームスキャナである。具体的には、画像形成装置にネットワークケーブルを介して接続されたホストコンピュータから送信されてくる画像信号に基づいて、露光装置3はレーザ光Lを出力する。このレーザ光Lは、帯電処理済みの感光体1表面を、露光位置bにおいて主走査方向に沿って露光する。感光体が回転している間にこの主走査方向に沿った露光を繰り返すことにより、感光体1表面の帯電面のうち、レーザ光Lが照射された部分の電位が低下し、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0022】
ここで、主走査方向とは感光体1の母線に平行な方向を意味しており、副走査方向は感光体1の回転方向に平行な方向を意味している。
【0023】
本例の現像装置4は、帯電装置2と露光装置3によって感光体1上に形成された静電潜像に、現像剤(トナー)を付着させることにより可視像化する。本例の現像装置4は、二成分磁気ブラシ現像方式を採用しており、さらに、反転現像方式を採用している。
【0024】
現像スリーブ4bは現像バイアス印加電源S2が接続されており、現像スリーブ4b表面に担持された現像剤中のトナーは、印加電源S2により印加された現像バイアスによる電界によって、感光体1上の静電潜像に対応して選択的に付着される。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。本例の場合は、感光体1上の露光部(レーザ光照射部分)にトナーが付着されて静電潜像が反転現像される。
【0025】
本例の転写装置5は、図2に示すように、転写ローラを有している。この転写ローラ5は感光体1表面に所定の押圧力をもって圧接されており、その圧接ニップ部が転写部dとなる。この転写部dには給紙カセットから所定の制御タイミングにて記録材P(例えば、紙、透明フィルム)が給送される。
【0026】
転写部dに給送されてきた記録材Pは感光体1と転写ローラ5との間に挟持搬送されながら、感光体1上のトナー像が記録材Pに転写される。このとき、転写ローラ5には、転写バイアス印加電源S3からトナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性の転写バイアス(本例では、+2kV)が印加される。
【0027】
本例の定着装置6は、図2に示すように、定着ローラ6aと加圧ローラ6bを有している。転写装置5によりトナー像の転写を受けた記録材Pは、定着装置6へと搬送され、定着ローラ6aと加圧ローラ6bとによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着処理を受けた記録材Pは、その後、機外へと排出される。
【0028】
本例のクリーニング装置8は、図2に示すように、クリーニングブレードを有している。転写装置5により記録材Pにトナー像が転写された後、感光体1表面に残留している転写残トナーはクリーニングブレード8によって除去される。
【0029】
本例の光除電装置9は、図2に示すように、除電露光ランプを有している。クリーニング装置8によりクリーニング処理された感光体1は、その表面に残留している電荷が、除電露光ランプ9による光照射により除電される。
【0030】
以上説明した各画像形成機器による一連の画像形成プロセスが終了し、次の画像形成動作に備えられる。
【0031】
§2.{帯電装置の詳細構成について}
以下に、帯電装置の構成について詳細に説明する。
【0032】
■(帯電器シャッタについて)
まず、コロナ帯電器2の開口を開閉するシート状部材としての帯電器シャッタ10について説明する。このコロナ帯電器2の開口とは、シールドに形成された開口のことを指し、コロナ帯電器2による帯電領域(図1のW)に対応している。従って、このコロナ帯電器による帯電領域Wは、感光体1が帯電され得る領域とほぼ一致する。
【0033】
図1は、シート状部材としての帯電器シャッタ10がX方向(開方向)へ移動するように巻取られたことにより帯電器シャッタ10が開いた状態を示したものである。図3はシート状部材としての帯電器シャッタ10がY方向(閉方向)へ移動するように引っ張られたことにより帯電器シャッタ10が閉じた状態を示したものである。
【0034】
本例では、図1、図3に示すように、コロナ帯電器2の開口を開閉する帯電器シャッタ10として、巻取り装置11によりロール状に巻取ることが可能な有端状のシート状のシャッタ(以下、帯電器シャッタ)を採用している。
【0035】
これは、帯電器2から感光体1に向けて落下するコロナ生成物の通過を防止することに加え次のような理由がある。帯電器シャッタは感光体1とグリッド電極2aとの狭い隙間を移動する。そのため、帯電器シャッタが感光体1と接触してしまった場合に感光体に損傷を与えないように柔らかいシート状のものを採用した。具体的には、帯電器シャッタ10として、ポリイミド樹脂製で厚みが30μmのシート状のものを採用している。また、画像形成動作中に帯電器2の長手方向(主走査方向)一端側にロール状に退避する構成となっているのは、帯電器シャッタ10の退避時(開時)のスペースを小さくするためである。
【0036】
■(移動部材と規制部材としての板ばねについて)
前述の帯電器シャッタを開閉するための機構として、シート端部に板ばねを設け、その板ばねを保持され、開口を開閉する。シート端部に設けられた規制部材としての板ばねは弾性を有し、シャッタの形状を規制している。この板バネは重力方向上側に向かって(グリッド側方向に凸)アーチ状になるように曲げられている。シート状の帯電器シャッタは板ばねによって凸形状に規制されることで、感光体側に垂れないようにコシを得る。なお、板バネはシート状のシャッタが感光体に垂れ下がらないようにシートにコシを与えればよく、シート状のシャッタ端部から1〜3mm程度の位置に設けられている。なお、剛性の高い(コシの強い)シャッタを用いることで、シャッタ端部から5mm程度の位置に板バネを設けることができる。しかし、剛性の高い(コシの強い)シャッタは、剛性の低い(コシの弱い)シャッタよりも感光体を傷つける可能性が高い。なお、本件では、ポリイミド樹脂製の厚みが30μmであるポリイミド樹脂製のシートをシャッタとして用いており、シートを上に凸に規制する規制部材としての板バネはシャッタ端部から2mmの位置に設けた。帯電器シャッタを規制する板ばねは保持部材としての第1の移動部材21とコの字形状のアームと連結され、第1の移動部材が移動することで帯電器シャッタは開口を開閉する。
【0037】
■(帯電器シャッタ駆動機構について)
次に、帯電器シャッタ10の開閉機構(移動機構)について説明する。図1、図4は帯電器シャッタ10の開状態、閉状態を示したものであり、図6は開閉機構の詳細を示した斜視図であり、図11はコロナ帯電器の長手方向一端側から見た断面図を示したものである。
【0038】
この開閉機構は、駆動モータM、巻取り装置11、帯電器シャッタ10を保持する第1の移動部材21、清掃部材14を保持する第2の移動部材12、回転部材13を有している。これらにより、帯電器シャッタ10はその長手方向(主走査方向)に沿って開閉移動させることができる。
【0039】
また、図1、11に示すように、帯電器シャッタ10の開動作完了を検知するシャッタ検知装置15が設けられている。このシャッタ検知装置15はフォトインタラプタを有しており、第1の移動部材21が開動作完了位置に到達すると、フォトインタラプタ15が遮光部材21cにより遮光されることを利用して、帯電器シャッタ10の開動作完了を検知する仕組みとなっている。つまり、シャッタ検知装置15により第1の移動部材21の遮光部材21cを検知した時点で、駆動モータMの回転を停止させる構成となっている。
【0040】
図1、6に示すように、帯電器シャッタ10の閉方向先端側には、帯電器シャッタの短手方向中央部が両端部よりもコロナ帯電器側に突出するように帯電器シャッタの形状を規制する規制手段として機能するシャッタ固定部材17が設けられている。このシャッタ固定部材17は、第1の移動部材21に一体で備えられた連結部材21bに係止固定されている。また、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、回転部材13に螺合するように設けられた駆動伝達部材22を有しており、この駆動伝達部材22を介して回転部材13に駆動連結されている。さらに、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、コロナ帯電器2上に設けられたレール2c上を主走査方向にのみ移動できるように螺合されており、第1の移動部材21と第2の移動部材12が回転部材13と共に回転してしまうのを防止している。
【0041】
図6に示すように、回転部材13はスパイラル状の溝が形成されており、その一端部にはギア18が接続されている。一方、駆動モータMの先端にはウォームギア19が接続されており、駆動モータMの駆動力をウォームギア19とギア18との噛み合い部を介して回転部材13へと伝達する。そして、回転部材13が駆動モータMにより回転駆動されると、第1の移動部材21と第2の移動部材12がこのスパイラルの溝に沿って主走査方向(X、Y方向)へ移動する。従って、駆動モータMにより回転部材13が駆動されると、第1の移動部材21と一体化されている連結部材21bを介して、帯電器シャッタ10に開閉方向への移動力が伝達される構成となっている。また、第2の移動部材12には、放電ワイヤ2hを清掃する清掃部材14を保持する連結部材12bが一体で備えられている。従って、駆動モータMによって帯電器シャッタ10が上述のように主走査方向(X、Y方向)へ移動するのと同時に、清掃部材14も同一方向へと移動する。これにより、放電ワイヤ2hの清掃と帯電器シャッタ10とを同一の駆動モータMで駆動することが可能となる。
【0042】
■(帯電器シャッタ巻取り機構について)
次に、帯電器シャッタ10の巻取り機構について説明する。図7は巻取り手段としての巻取り装置11の構成を示した図であり、図8は巻取り装置11をコロナ帯電器2に取り付けるためのガイド固定部材35に装着した状態を示す図である。
【0043】
巻取り装置11は、帯電器シャッタ10の一端側を固定するとともにこれを巻取る円筒状の巻取りローラ(巻取り部材)30、巻取りローラ30を軸支する軸部材32、巻取りローラ30の他方端を軸支する軸受部材31を有している。さらに、軸受部材31と軸部材32を固定する固定部材である平行ピン34、巻取りローラ30内に設置され、巻取りローラ30と軸受部材31に係合するバネ(付勢部材)33を有している。
【0044】
また、巻取り装置11は、図8に示すようにガイド固定部材35に取り付けられることで、軸受部材31の突起31aがガイド固定部材のリブ35aに突き当たる構成になっている。これにより、軸受部材31および軸部材32は回転不可に固定され、巻取りローラ30のみが回転可能に軸支される。
【0045】
取り付けの際には、軸受部材31にはA方向に回転力が生じるように、ガイド固定部材35に取り付ける前に、巻取りローラ30を固定した状態で軸受部材31をB方向に数回転巻いた状態で取り付けている。これにより、帯電器シャッタ10が開く方向(Y方向)に引っ張った際に、巻取りローラ30が帯電器シャッタ10を巻き取る方向にバネ33のねじり力が働く。この際、軸受部材31はA方向の力を受けるためガイド固定部材35に突き当たって回転不可に固定される。
【0046】
また、帯電器シャッタ10が開く方向に移動する際にたるむのを防止するために、予め、巻取り装置11に対し帯電器シャッタ10がたるまない巻取り力を付与する必要がある。本例においては、図1に示すように帯電器シャッタ10が動作完了位置に移動した位置での巻取り装置11の巻取り力が最も弱くなる。そのため、この位置での巻取り力F1を帯電器シャッタ10がたるまない巻取り力の下限値として、ガイド固定部材35に取り付ける前に軸受部材31をB方向に回す回数を決定している。
【0047】
従って、帯電器シャッタを開く際(図1)には、駆動モータMにより帯電器シャッタ10がX方向へ移動するに伴い、帯電器シャッタ10が下方に垂れ下がることなく帯電器シャッタ10を随時巻取りローラ30が巻き取っていく仕組みとなっている。
【0048】
一方、帯電器シャッタ10を閉める際(図3)には、駆動モータMが巻取りローラ30内のバネ33の付勢力に抗して帯電器シャッタ10を巻取りローラ30から引き出すことで、帯電器シャッタ10がY方向へ移動する仕組みとなっている。
【0049】
なお、帯電器シャッタ10が閉まり切った状態のとき、巻取りローラ30内のバネ33によるX方向への付勢力が帯電器シャッタ10に作用しているので、帯電器シャッタ10が下方に垂れ下がることはない。さらに、帯電器シャッタ10の一端は巻き取り装置に保持されつつアーチ状に規制され、他端は板ばねで規制されている。
【0050】
従って、閉時において、帯電器シャッタ10とコロナ帯電器2との間に隙間ができ難い構成とした為、コロナ生成物が外側に漏れにくい状態を維持することが可能となる。
【0051】
■(帯電器シャッタの移動範囲について)
図1は、帯電器シャッタ10が開いた状態を示したもの、図3は帯電器シャッタ10が閉じた状態を示したものである。図4は帯電器シャッタ10がY方向(閉方向)へ移動する途中の状態を示したもの、図5は、帯電器シャッタ10がX方向(開方向)へ移動する途中の状態を示したものである。図9は帯電器シャッタ10が開いた状態での放電ワイヤ2h取り付け部周辺の拡大図である。
【0052】
本例では、第1の移動部材21と第2の移動部材12を用いることで、帯電器シャッタ10と、清掃部材14の移動距離を変えている。
【0053】
図1に示すように、帯電器シャッタ10が開いた状態では、第1の移動部材21と第2の移動部材12はそれぞれ開位置α1、β1で停止している。開位置α1、β1は帯電器シャッタ10の開動作完了を検知するシャッタ検知装置15が、第1の移動部材21を検知して開動作を停止した位置である。
【0054】
また、αは帯電器シャッタ10の先端位置を示したものであり、βは清掃部材14の巻取り側端面を示したものであり、この開位置でのα1、β1は、放電領域Wよりも巻取り部材側になるように設けられている。さらに詳しく述べると、帯電器シャッタ10の開位置α1は感光体のドラム側端部よりも、シャッタ巻取り部材側である。帯電電極としての放電ワイヤは支持部材としてのワイヤ架け部材24によって交換可能に支持されている。ここで、ワイヤ架け部材は放電ワイヤを引っ掛けるフックと引っ掛けたワイヤを固定するビスを備えている。交換の際は、ビスを緩めて固定を解いた後、フックから耐久使用された放電ワイヤを外した後、新しい放電ワイヤをフックに架けた後、ビスを締めて固定する。
【0055】
更に、図1、図9に示すように、第2の移動部材12の停止位置β1は、清掃部材14全体が放電領域Wよりも巻取り側になる位置で停止している。それに対し、第1の移動部材21の停止位置α1は、放電ワイヤ2hのワイヤ架け部材24よりも巻取り側となる位置で停止する。
【0056】
このようにα1をワイヤ架け部材24よりも巻取り側(β1よりも巻取り側)にすることで、帯電器シャッタ10を外さなくても放電ワイヤ2hが交換できるようになっている。
【0057】
更に、第1の移動部材21の開位置α1は、感光体1の巻取り側端面よりも巻取り側に設定されており、通常動作時、感光体1が回転しても帯電器シャッタ10が感光体1に接触することがないようになっている。特に本例のように感光体1とコロナ帯電器2との隙間が狭い帯電装置においては、開位置α1を感光体1表面上に設定すると、ドラム上のトナーが付着して帯電器シャッタ10が汚染されてしまう可能性がある。更に、帯電器シャッタ10が回転中の感光体1と擦れて、感光体1を傷つけたり、帯電器シャッタ10を破損させたりする可能性もあるため、本例のような構成を採用している。
【0058】
帯電器シャッタ10閉時は、図4(A)に示すように第1の移動部材21と第2の移動部材12は開位置の間隔を保ったままY方向へ移動する。
【0059】
そして図3に示すように、奥側のブロック2eに突き当たって閉位置α2、β2で停止する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、先に第2の移動部材12がブロック2eに突き当たりβ2で停止した後、第1の移動部材21が第2の移動部材12に突き当たる。そして、移動開始から所定時間経過後、モータMの駆動が停止して帯電器シャッタ10の閉動作が終了する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、図4(B)、図5(B)に示すように凹凸形状をしておりお互いが突き当たることで、帯電器シャッタ10と清掃部材14がα2、β2でほぼ等しい位置に停止するようになっている。
【0060】
この閉位置でのα2、β2は、放電領域Wよりもブロック2e側になるように設けられている。
【0061】
更に、α2とβ2の位置関係は、ほぼ同じかα2の方がβ2よりもブロック2e側となるようにすることで、帯電器シャッタ10が放電ワイヤ2hの長手全域を覆うことができる。
【0062】
帯電器シャッタ10開時は、図5(A)に示すように、第1の移動部材21と第2の移動部材12は閉時の状態を保ち、密着したままX方向へ移動する。そして、図1に示すように第1の移動部材21はシールド板に、第2の移動部材12は前側のブロック2dに突き当たって開位置α1、β1で停止する。この際、第1の移動部材21と第2の移動部材12は、先に第2の移動部材12がブロック2dに突き当たりβ1で停止し、第1の移動部材21はまだ動き続けてシールド板に突き当たりα1で停止する。この際に、シャッタ検知装置15が第1の移動部材21を検知してモータMを停止して開動作を終了する。
【0063】
このように停止位置の差を付けることで、開位置=ワイヤ交換位置(開位置がワイヤ交換位置と一致)となり、サービス時に放電ワイヤ2hの交換性を損なうことなく、帯電器シャッタ10を配置することができる。
【0064】
また、本例では開位置=ワイヤ交換位置となるようなコロナ帯電器を例に挙げているが、感光体1とコロナ帯電器2との隙間が広い帯電器であれば、帯電器シャッタ10を感光体1上に待機させることも可能になる。そうすることで、図13(A)に示すように、第1の移動部材21と第2の移動部材12を図13(B)の状態で係合部材25を用いて固定し、ワイヤ交換位置≠開位置(ワイヤ交換位置が開位置と一致しない)となる構成も可能となる。
【0065】
その場合は、常に第1の移動部材21と第2の移動部材12が密着して動作するため、開位置α1´とβ1の関係は閉位置と同じくほぼ同じかα1´の方がβ1よりもブロック2e側となる。
【0066】
そしてサービス時のみ、係合部材25を開放して第1の移動部材21と第2の移動部材12とに分けることができる。それにより、第1の移動部材21をワイヤ架け部材24より巻取り側α1に移動させることができ、α1がワイヤ架け部材24よりも巻取り側(β1よりも巻取り側)になる関係が成立する。
【0067】
このように、「帯電器シャッタの移動距離L1を清掃部材の移動距離L2よりも長くする」ことにより、ワイヤ架け部材24周囲にワイヤ交換用のスペースを設けることができる。それにより、サービスマンは放電ワイヤ2hの架け替えを容易に行うことができる。
【0068】
■(帯電器シャッタ位置決め構成について)
次に、帯電器シャッタ10の位置決め構成について説明する。図10はコロナ帯電器2を装置本体に取り付けるための位置決め部材23を示す斜視図である。図10に示すとおり、シールドの開口の長手方向に沿ってグリッド電極はシールドの開口部に設けられている。
【0069】
組立時、コロナ帯電器2はグリッド電極2aを張った際のテンションによりたわみが生じ、装置本体に取り付けた際に感光体1とグリッド電極2aの隙間が長手方向で異なる場合がある。その隙間の差が大きいと、出力された成果物の主走査方向での濃度差を生じる原因となる。それを防止するために、まず、グリッド電極2aを張った後のコロナ帯電器2のグリッド電極2a前奥高さ(感光体に対する)を測定する。そして、グリッド電極2aの奥側に対する前側高さの差が50μm以下になるように、コロナ帯電器を前側ブロック2dに対し基準となる基準部材としての位置決め部材23を調整組みする。これにより、コロナ帯電器の位置決め精度を保証することができる。更に、帯電器シャッタ10を支持固定するガイド固定部材35は、位置決め部材23に対して取り付ける構成としている。
【0070】
もし、ブロック2dに帯電器シャッタを支持固定するガイド固定部材35を設けた場合、コロナ帯電器2のたわみが大きい場合に、グリッド電極2aと感光体1との隙間を所定量以下に保っても、感光体1に対してブロック2dの位置がばらつく可能性がある。感光体に対してブロック2dの位置がばらついた状態で、ブロック2dにガイド固定部材35を固定すると、ブロック2dの影響でガイド部材16の位置が感光体1の外周面よりも感光体1中心側になる。そのため、帯電器シャッタ10が感光体1のドラム端面(側面)に衝突して動作不良となる。また、反対側にばらついた場合は、ガイド部材16とグリッド電極2aとの隙間が無くなり、帯電器シャッタ10が挟まって動作不良を起こす可能性がある。
【0071】
これを防止するために、本例のように帯電シャッタを支持固定するガイド固定部材35を、基準部材としての位置決め部材23に対して取り付ける。これにより、コロナ帯電器2の状態に関わらず、感光体1とガイド部材16の位置精度を保証する構成にすることができる。
【0072】
更に本例では、ガイド部材16と感光体1の位置精度を保証するために、ガイド固定部材35に位置決めの突起35bが設けられている。この突起35bおよび、位置決め部材23の位置決め穴23aは、不図示の装置本体の感光体1を位置決めする部材上に設けられた、各位置決め部材に対しそれぞれ位置決めされる構成となっている。これにより、感光体1、コロナ帯電器2(グリッド電極2a)、ガイド固定部材35(ガイド部材16)が同一部材に精度良く位置決めできる構成となっている。
【0073】
つまり、帯電器シャッタと帯電線の清掃具を長手方向に移動可能に保持する移動部材を、帯電器シャッタと清掃具それぞれに備え、シャッタの移動部材が、清掃具の移動部材よりも長い距離移動できるようにした。これにより、帯電器シャッタを取り付けたままの状態で、帯電線の交換が容易に交換することができる。また、本例では位置決め部材23はコロナ帯電器2に対し調整組みで固定されているが、装置本体に組み込んだ状態で、調整ビス等で感光体1とグリッド電極2aの高さを変えられるコロナ帯電器に適応しても良い。但し、その際にはグリッド電極2aとガイド部材16との隙間が、帯電器シャッタ10の動作可能幅(可動範囲)より狭くならないことが必要である。
【0074】
以上説明したように、本例では第1の移動部材21と第2の移動部材12を設け、それぞれの開位置α1、β1、閉位置α2、β2の関係を設定している。それにより、帯電器シャッタ10により放電領域Wを確実に覆うと共に、シャッタが組付けられた状態のままでも、帯電線の交換性を損なうことがない。
【0075】
なお、以上の実施例では、コロナ帯電器が、感光体に静電像を形成する前工程において、感光体を実質一様に帯電処理するために用いられる場合について説明したが、このような例だけに限られない。例えば、コロナ帯電器が、感光体に形成されたトナー像を帯電処理するために用いられる場合にも本発明を同様に適用することが可能である。
【0076】
また、以上の実施例では、コロナ帯電器の開口にグリッド電極が設けられている場合について説明したが、コロナ帯電器にグリッド電極が設けられていない場合にも本発明を同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 感光体
2 帯電器
2a グリッド電極
2b シールド
2c レール
2h 放電ワイヤ
10 帯電器シャッタ
11 巻き取り装置
16 規制部材
17 シャッタ固定部材
21 キャリッジ(第1の移動部材)
21a 移動部材本体
24 ワイヤ架け部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するシールドと、シールドの開口に設けられたグリッドと、
前記シールドの開口を前記シールドの長手方向に沿って開閉するシート状のシャッタと、を備え感光体を帯電するコロナ帯電器であって、
画像形成装置本体に位置決めするための基準部材と、
前記基準部材と係合して前記グリッドと前記感光体との距離を調整するための第1の位置決め手段と、
前記基準部材と係合して前記シャッタと前記感光体との距離を調整するための第2の位置決め手段と、を有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項1】
開口を有するシールドと、シールドの開口に設けられたグリッドと、
前記シールドの開口を前記シールドの長手方向に沿って開閉するシート状のシャッタと、を備え感光体を帯電するコロナ帯電器であって、
画像形成装置本体に位置決めするための基準部材と、
前記基準部材と係合して前記グリッドと前記感光体との距離を調整するための第1の位置決め手段と、
前記基準部材と係合して前記シャッタと前記感光体との距離を調整するための第2の位置決め手段と、を有することを特徴とするコロナ帯電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−186227(P2011−186227A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52017(P2010−52017)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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