説明

平板表示装置及びその製造方法

【課題】薄膜トランジスタの特性が向上した平板表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の平板表示装置は、絶縁基板;絶縁基板上に離隔して形成されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極;電極それぞれの少なくとも一領域とチャネル領域上に形成されている有機半導体層;有機半導体層と電極との間に位置し、電極と有機半導体層との間の接触抵抗を減少させる自己組立単層膜を含むことを特徴とする。平板表示装置の製造方法は、絶縁基板を準備し;前記絶縁基板上に離隔して形成されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極を形成し;前記ソース電極と前記ドレイン電極上に自己組立単層膜物質を加え、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と化学的に結合する自己組立単層膜を形成し;前記自己組立単層膜の少なくとも一領域と前記チャネル領域に有機半導体層を形成する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平板表示装置に関し、より詳しくは、有機半導体層が備えられている有機薄膜トランジスタを含む平板表示装置に関する。
液晶ディスプレイ素子、有機電界発光ディスプレイ素子または無機電界発光ディスプレイ素子などの平板表示装置は、各ピクセルの動作を制御するスイッチング素子及び各ピクセルを駆動する駆動素子として薄膜トランジスタを用いる。このような薄膜トランジスタは、ゲート電極と、前記ゲート電極上に形成されているゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されている半導体層と、前記半導体層を中心に離隔配置されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極とを含む。
最近、可撓性ディスプレイ装置に対する関心が高まっておりプラスチック基板を利用して平板表示装置を製作しようとする研究が増加している。しかし、シリコンを半導体層として用いる平板表示装置は300℃以上の高温で製作されるため、プラスチック基板を用いることができないという問題がある。そのため、シリコンの代りに有機半導体物質を半導体層として用いる有機薄膜トランジスタを採用して、可撓性ディスプレイ装置を製作することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0002】
また、従来、電荷の流れがなだらかに行われるように、仕事関数が大きいAu、Pd、Ptのような金属を用いてソース電極及びドレイン電極を形成していた。しかし、このような金属は、スパッタリング方法によって形成することが困難であり、エッチングによる微細パターン形成が困難であるという短所があるため、これらの金属は、有機薄膜トランジスタ用のソース電極及びドレイン電極に不適合である。
ITO(indium tin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)などの伝導性金属酸化物は、仕事関数が大きく、スパッタリングによって形成され易く、微細パターンの形成が容易であるという長所がある。そのため、前記金属の代りにソース及びドレイン電極として用いられる。しかし、ITOまたはIZOは有機半導体層に対して接触抵抗が発生し、薄膜トランジスタの特性を低下させる問題点がある。
【特許文献1】特開2004−55654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の目的は、薄膜トランジスタの特性が向上した平板表示装置を提供することである。
本発明の他の目的は、薄膜トランジスタの特性が向上した平板表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、本発明によって、絶縁基板と、絶縁基板上に離隔して形成されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極と、電極の少なくとも一領域とチャネル領域上に形成されている有機半導体層と、有機半導体層と電極との間に位置し、電極と有機半導体層との間の接触抵抗を減少させる自己組立単層膜とを含むことを特徴とする平板表示装置によって達成される。
ここで、自己組立単層膜は、ソース電極とドレイン電極領域内に形成されていることが好ましい。
そして、ソース電極とドレイン電極は、透明な伝導性金属酸化物によって形成されていてもよい。
また、ソース電極とドレイン電極は、ITO又はIZOからなることが好ましい。
ここで、自己組立単層膜は、ソース電極及びドレイン電極と化学的に結合されていることが好ましい。
有機半導体層を取り囲み、チャネル領域を露出させる隔壁をさらに含むことができる。
【0005】
また、自己組立単層膜は、ハロゲンに置換されたアリールジハロリン酸(halogen substituted aryldihalophosphate)、ハロゲンに置換されたアリールハロリン酸(halogen substituted arylhalophosphate)、ハロゲンに置換されたアリールスルホニルハイリド(halogen substituted arylsulfonylhailide)、ハロゲンに置換されたベンゾニルハイリド(halogen substituted benzonylhailide)、ハロゲンに置換されたアリールハイリド(halogen substituted arylhailide)、ハロゲンに置換されたアリールまたはアルキルトリハロシラン(halogen substituted aryltrihalosilane)及びその誘導体のうちの少なくともいずれか一つを含んでなることができる。
【0006】
そして、自己組立単層膜は、ハロゲンに置換されたナフチルジハロリン酸(halogen substituted naphtyldihalophosphate)、ハロゲンに置換されたナフチルハロリン酸(halogen substituted naphtylhalophosphate)、ハロゲンに置換されたナフチルスルホニルハイリド(halogen substituted naphtylsulfonylhailide)、ハロゲンに置換されたナフチルハイリド(halogen substituted naphtylhailide)、ハロゲンに置換されたナフチルトリハロシラン(halogen substituted naphtyltrihalosilane)、及びその誘導体のうちの少なくともいずれか一つを含んでなることができる。
絶縁基板はプラスチック基板としてもよい。
有機半導体層は、ペンタセン(pentacene)、PTCDA(3、4、9、10ペニレンテトラカルボキシル二無水物)、オリゴチオフェン(oligothiopene)、ポリチオフェン(polythiophene)、及びポリチエニレンビニレン(polythienylenevinylene)のうちの少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。
【0007】
本発明の他の目的は、絶縁基板を準備する工程と、絶縁基板上に離隔して形成されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極とドレイン電極上に自己組立単層膜物質を加え、ソース電極及びドレイン電極と化学的に結合する自己組立単層膜を形成する工程と、自己組立単層膜の少なくとも一領域とチャネル領域に有機半導体層を形成する工程とを含むことを特徴とする平板表示装置の製造方法によって達成される。
【0008】
ここで、ソース電極及びドレイン電極の形成前に、絶縁基板上にゲート電極と、ゲート電極上にゲート絶縁膜とを形成する工程をさらに含み、有機半導体層の形成工程は、有機半導体層物質をゲート絶縁膜と電極上に形成した後、フォトリソグラフィー過程を通じて有機半導体層をパターニングすることができる。
そして、ソース電極とドレイン電極を形成した後、チャネル領域を取り囲みながら、ソース電極とドレイン電極の少なくとも一部を露出させる隔壁を形成する工程をさらに含むことができる。
また、有機半導体層を、隔壁内にインクジェット方式によって形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄膜トランジスタの特性が向上した平板表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して、本発明についてさらに詳細に説明する。以下において、ある膜(階)が他の膜(階)の‘上に'形成されて(位置して)いるというのは、二つの膜(階)が接している場合だけでなく、二つの膜(階)の間に他の膜(階)が存在する場合も含む。
図1は本発明の第1実施形態による平板表示装置の断面図である。さらに詳しくは薄膜トランジスタが備えられた基板の断面図を簡略に示したものである。
図1に示したのように、本発明による有機薄膜トランジスタTが備えられている平板表示装置は、絶縁基板110と、前記絶縁基板110上に形成されているゲート電極120と、ゲート電極120を覆っているゲート絶縁膜130と、前記ゲート絶縁膜130上に前記ゲート電極120を中心として両方に分離されてチャネル領域Aを規定しているソース電極141及びドレイン電極143と、ソース電極141及びドレイン電極143上に形成されている自己組立単層膜160と、前記自己組立単層膜160とチャネル領域A上に備えられている有機半導体層170とを含む。
【0011】
絶縁基板110としては、ガラス、石英、セラミックスまたはプラスチックなどの絶縁性材質を含んで作られた基板を用いることができる。本発明による薄膜トランジスタTが可撓性平板表示装置1の製作に用いられる場合には、プラスチック基板を用いることが好ましい。プラスチック基板は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylenapthanate)、PC(polycarbonate)、PI(polyimide)及びPNB(polynorborneen)等、種々の材料を用いることができる。
【0012】
絶縁基板110上にはゲート電極120が形成されている。ゲート電極120は導電性金属膜として、Au、Pt、Pd、Al、Cu、Mo、W、Cr、Al/Cu、MoW等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、合金として用いてもよいし、積層膜として用いてもよい。
ゲート電極120上にはゲート絶縁膜130が形成されている。ゲート絶縁膜130は、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの絶縁物質からなり、ゲート電極120を覆いながら形成された絶縁基板110の全面に積層されている。ゲート絶縁膜120は、後述する自己組立単層膜物質の処理の際に化学的反応が起きない構造を有し、ゲート絶縁膜130の表面に水酸基を含んでいないものが好ましい。
【0013】
ゲート絶縁膜130上には、ゲート電極120を中心として両方に分離されているソース電極141とドレイン電極143とが形成されている。ゲート電極120上のソース電極141とドレイン電極143との間の領域はチャネル領域Aと規定される。
従来では、電荷の流れがなだらかに行われるように、仕事関数が大きいAu、Pd、Ptのような金属を用いてソース電極141とドレイン電極143とを形成した。しかし、このような金属はスパッタリングによって形成され難いため、蒸発法によって形成しなければならず、エッチングによる微細パターンの形成が困難であるので、有機薄膜トランジスタ用のソース電極141及びドレイン電極143に不適合である。
そこで、本発明においては、仕事関数が大きく、スパッタリング及び微細パターンの形成が容易である長所を有する透明な導電性金属酸化物を用いてソース電極141及びドレイン電極143を形成する。透明な導電性金属酸化物としては、ITO、IZO等が挙げられる。
【0014】
その後、ソース電極141とドレイン電極143上に、有機半導体層160を形成する。しかし、ITOまたはIZOと有機半導体層160とが接する場合、ITOまたはIZOと有機半導体層160との互いに異なる性質、つまり、ITOまたはIZOの仕事関数と有機半導体層160の電子親和度(electric affinity)との差のため、大きい電位障壁が生じる。この電位障壁が大きい場合、電子の流れを阻害して電流の流れが円滑に行われないので、有機薄膜トランジスタの特性を低下させる。
【0015】
そこで、本発明においては、前記電位障壁を減らすために、電極141、143と有機半導体層160との間に自己組立単層膜150を形成する。自己組立単層膜150は、電位障壁を減らすことによって、後述する有機半導体層160とソース電極141及びドレイン電極143との間の接触抵抗を減少させる。
自己組立単層膜150は、ソース電極141とドレイン電極143の領域内に形成され、ゲート絶縁膜130上には形成されていない。つまり、SAM(self assembly monolayer)処理の際にソース電極141及びドレイン電極143上にだけ選択的に表面処理が行われ、ゲート絶縁膜130のチャネル領域Aには表面処理が行われない。
【0016】
このような選択的表面処理は、自己組立単層膜物質の分子が自発的に特定固体(ソース電極及びドレイン電極)の表面に吸着して化学的結合を形成する自己組立単層膜150の特性に起因する。これによって得られる自己組立単層膜150は安定した単層薄膜であって、特定の分子に対して非常に高い規則性を見せる。
上述したように、自己組立単層膜150がソース電極141及びドレイン電極143と規則的な化学的結合を形成することによって、ソース電極141及びドレイン電極143と有機半導体層160との間に空間電荷を形成して電位障壁を低め、後述する有機半導体層160とソース電極141及びドレイン電極143との間の接触抵抗を減少させる。これによって、有機薄膜トランジスタの特性が向上する。
ここで、自己組立単層膜物質は、次の構造式を有する物質からなる群から選択される1種以上の物質を含む。
【0017】
構造式(1)はハロゲンで置換されたアリールジハロリン酸(halogen substitutedaryldihalophosphate)、構造式(2)はハロゲンで置換されたアリールハロリン酸(halogen substituted arylhalophosphate)、構造式(3)はハロゲンで置換されたアリールスルホニルハライド(halogen substituted arylsulfonylhalide)、構造式(4)はハロゲンで置換されたベンゾニルハライド(halogen substituted benzonylhalide)、構造式(5)はハロゲンで置換されたアリールハライド(halogen substituted arylhalide)、構造式(6)はハロゲンで置換されたアリールまたはアルキルトリハロシラン(halogen substituted aryltrihalosilane)である(構造式(6)でRはアリールまたはアルキルである)。なお、構造式(1)から(7)においては、便宜上、アリール又はアルキルをフェニル又はRで表わしているが、ナフチル、トリル、ビフェニル、アントリル等種々のアリール基とすることができ、アルキルとしては、炭素数1〜20程度のアルキル基とすることができる。
【0018】
ここで、XはCl、Br、F、Iのようなハロゲン原子であり、前記ハロゲンのうちのフェニル基に置換されたハロゲンは、1つの場合には、オルト、メタ、パラのいずれにも位置することができる。また、構造式(1)から(7)において、アリール及びアルキル基に置換されたハロゲン原子は、2以上であってもく、好ましくは、10以下、さらに7以下、5以下であることが適当である。
構造式(1)〜構造式(6)ではハロゲン化フェニル基としているが、例えば、クロロフェニル、フルオロフェニル等が挙げられる。また、構造式(7)のように、ハロゲン化ナフチルとして、クロロナフチル、フルオロナフチル等が挙げられる。
また、構造式(1)〜構造式(7)の芳香族化合物の誘導体なども自己組立単層膜物質として用いることができる。
【0019】
【化1】

【0020】
自己組立単層膜150上には有機半導体層160が形成されている。有機半導体層160はチャネル領域Aに形成されており、ゲート電極120、ソース電極141及びドレイン電極143が形成された後に形成されることが好ましい。これは有機半導体層160の耐熱性、耐プラズマ性が良好でないためである。つまり、有機半導体層160が先に形成された後、ゲート電極120、ソース電極141及びドレイン電極143などが形成されれば、ゲート電極120、ソース電極141及びドレイン電極143の形成時に用いられる化学物質、プラズマなどによって有機半導体層160が攻撃を受け、その機能を発揮することができなくなるためである。
【0021】
しかし、有機半導体層160上にゲート電極120が位置するPA(process architecture)構造においても、電極141、143と有機半導体層160との間に接触抵抗を減少させるために、上述した自己組立単層膜150が電極141、143と有機半導体層160との間に介在させてもよい。
このような有機半導体層160としては、ベンゼン環が五つ連結されているペンタセン(pentacene)、PTCDA(3,4,9,10ペニレンテトラカルボキシル二無水物)、オリゴチオフェン(oligothiopene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチエニレンビニレン(polythienylenevinylene)などを用いることができる。この以外にも一般的に用いられる公知の有機半導体物質を用いてもよい。
これによって、有機薄膜トランジスタが製作され、公知の方法によって前記有機薄膜トランジスタを含む液晶ディスプレイ素子や有機電界発光ディスプレイ素子または無機電界発光ディスプレイ素子などの平板表示装置が製作される。
【0022】
以下では、本発明による有機薄膜トランジスタの作用及び效果について、図2a〜図3を参考して説明する。
図2aは本発明の第1実施形態による自己組立単層膜が形成されない場合の有機半導体層の表面を原子力顕微鏡(AFM)で撮影した写真であり、図2bは本発明の第1実施形態による自己組立単層膜が形成された場合の有機半導体層の表面を撮影した写真である。
【0023】
図2aに示したように、自己組立単層膜150が形成されない場合には有機半導体層160のグレインサイズが小さいが、図2bに示したように、自己組立単層膜150が形成された場合には有機半導体層160のグレインサイズが大きい。これは、有機半導体物質が、自己組立単層膜150が形成されたソース電極141及びドレイン電極143上で安定的な特性を有することを示す。つまり、有機半導体物質が、自己組立単層膜150が形成されたソース電極141及びドレイン電極143上で良好に成長することにより、電荷移動度が向上する。。
図3は本発明の第1実施形態による自己組立単層膜150が形成された場合と形成されない場合との電圧値の変化による電流値を示したグラフである。
【0024】
図3に示したように、‘B'は自己組立単層膜150が形成された場合の電圧値による電流値を示し、‘C'は自己組立単層膜150が形成されない場合の電圧値による電流値を示している。図3から、電圧値が一定である時、自己組立単層膜150が形成された場合の電流値がさらに大きいことが分かる。これより、自己組立単層膜150が形成されることによって接触抵抗が減少され、電流値が増加したことが分かる。
一般的に、薄膜トランジスタの特性は、次の式で表すことができる。
【0025】
【数1】

ここで、Ionは最大電流値であり、Ioffは遮断漏洩電流(off-state leakage current)であり、μは電荷移動度であり、σは薄膜の伝導度であり、qは電荷量であり、NAは電荷密度であり、tは半島体膜の厚さであり、COは酸化膜の静電容量であり、VDはドレイン電圧である。
この式から、Ion/Ioff電流比は電荷移動度に比例することが分かる。
図3に示したことから、自己組立単層膜150が形成された場合にIon/Ioff電流比がさらに大きいことが分かる。これは、自己組立単層膜150が形成された有機薄膜トランジスタの電荷下移動度が増加し、薄膜トランジスタの特性が向上したことが分かる。
【0026】
以下、図4a〜図4eを参照して、本発明の有機薄膜トランジスタを具備した平板表示装置の製造方法について説明する。
図4aに示したように、ガラス、石英、セラミックスまたはプラスチックなどの絶縁性材質を含んで作られた絶縁基板110を備える。本発明による薄膜トランジスタTが可撓性平板表示装置1の製作に用いられる場合には、プラスチック基板を用いることが好ましい。
その後、図4bに示したように、Au、Pt、Pd、Al、Cr、Al/Cu、MoWのうちの少なくともいずれか一つを含んでなるゲート電極物質をスパッタリングまたは真空/化学蒸着法を通じて絶縁基板110上に塗布する。続いて、、フォトリソグラフィー工程とエッチング工程を利用して不必要な部分を除去し、所望のゲート電極110を完成する。
次いで、図4cに示したように、後述する自己組立単層膜物質を加える時に化学的反応が起きない構造を有し、ゲート絶縁膜130の表面に水酸基を含んでいない窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの絶縁物質からなるゲート絶縁膜130を形成する。
【0027】
その後、図4dに示したように、ITOまたはIZOのような透明な導電性金属酸化物を前記ゲート絶縁膜130上にスパッタリングまたは蒸発法によって塗布する。続いて、フォトリソグラフィー工程とエッチング工程を利用して不必要な部分を除去し、ゲート電極120を中心として両方に分離されているソース電極141とドレイン電極143を形成する。ゲート電極120上のソース電極141とドレイン電極143との間の領域はチャネル領域Aと規定される。
続いて、図4eに示したように、ソース電極141及びドレイン電極143上に自己組立単層膜物質を加える。自己組立単層膜物質の分子が自発的に特定固体(ソース電極及びドレイン電極)の表面に吸着して化学的結合を形成して自己組立単層膜150が形成される。つまり、SAM処理の際にソース電極141及びドレイン電極143上にだけ選択的に表面処理が行われ、ゲート絶縁膜130のチャネル領域Aには表面処理が行われない。そして、選択的なクリーニング工程を通じてゲート絶縁膜130上の残存する自己組立単層膜物質を除去することもできる。自己組立単層膜物質は、上述したような芳香族化合物及びその誘導体を含む。
【0028】
その後、図4fに示したように、自己組立単層膜150上に蒸発法を通じてペンタセン(pentacene)、PTCDA(3、4、9、10ペニレンテトラカルボキシル二無水物)、オリゴチオフェン(oligothiopene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチエニレンビニレン(polythienylenevinylene)などの有機半導体物質を形成する。そして、チャネル領域Aとソース電極141及びドレイン電極143の少なくとも一領域上にだけ有機半導体層160が残るようにフォトリソグラフィー工程を経て、図1のような有機薄膜トランジスタが完成される。
公知の方法によって、前記有機薄膜トランジスタを含む液晶ディスプレイ素子や有機電界発光ディスプレイ素子または無機電界発光ディスプレイ素子などの平板表示装置を製作する。
【0029】
上述したような芳香族化合物からなる自己組立単層膜150を形成することによって、自己組立単層膜150がソース電極141及びドレイン電極143と規則的な化学的結合を形成することによって、ソース電極141及びドレイン電極143と有機半導体層160との間に空間電荷を形成して電位障壁を低減し、有機半導体層160とソース電極141及びドレイン電極143との間の接触抵抗を減少させる。従って、上述したような芳香族化合物からなる自己組立単層膜150を有する有機薄膜トランジスタの特性が向上する。
【0030】
以下、図5を参照して、本発明の第2実施形態による有機薄膜トランジスタを有する平板表示装置について説明する。第2実施形態においては第1実施形態と異なる特徴的な部分だけ抜粹して説明し、説明が省略された部分は前記第1実施形態による。
第1実施形態では、有機半導体層260では、蒸発法とフォトリソグラフィー工程により製作しが、第2実施形態ではインクジェット方式によって形成する。
図5に示したように、ソース電極241とドレイン電極243を形成した後、ソース電極241とドレイン電極243の端には前記チャネル領域Aを取り囲みながらソース電極241とドレイン電極243それぞれの少なくとも一部を露出させる隔壁270を形成する。隔壁270は、チャネル領域Aにインクジェット方式によって有機半導体層260を形成するためのものである。そして、隔壁270にはドレイン電極243を露出する接触口が形成されている。
【0031】
その後、上述した自己組立単層膜物質を隔壁270の内部に加えて自己組立単層膜250を形成する。自己組立単層膜物質の気質特性によって、ソース電極241とドレイン電極243上だけ自己組立単層膜250を形成する。形成された隔壁270の内部に有機半導体物質を噴射する。インクジェット方式を通じて隔壁270の内部に満たされた有機半導体物質は溶媒に溶解されたものであって、溶媒が飛んでいくと有機半導体層260が形成される。
続いて、通常の方法によって有機保護膜280を形成し、ドレイン電極243を露出するドレイン接触口281を形成した後、ドレイン接触口281を通じてドレイン電極243と電気的に接続される画素電極290を前記有機保護膜280上に形成し、平板表示装置1を完成する。
第2実施形態による平板表示装置は、第1実施形態と比べ、比較的簡単な方法によって有機半導体層を形成することができる長所があり、第1実施形態と同様に、有機半導体層260とソース電極241及びドレイン電極243との間の接触抵抗を減少させて有機薄膜トランジスタの特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態による平板表示装置の断面図である。
【図2a】本発明の第1実施形態による自己組立単層膜が形成されない場合の有機半導体層の表面を示す図面である。
【図2b】本発明の第1実施形態による自己組立単層膜が形成された場合の有機半導体層の表面を示す図面である。
【図3】本発明の第1実施形態による自己組立単層膜が形成された場合と形成されない場合の電圧値の変化による電流値を示すグラフである。
【図4a】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4b】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4c】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4d】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4e】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4f】第1実施形態による平板表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による平板表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
110 絶縁基板
120 ゲート電極
130 ゲート絶縁膜
141、241 ソース電極
143、243 ドレイン電極
160 自己組立単層膜
170、260 有機半導体層
250 自己組立単層膜
270 隔壁
280 有機保護膜
A チャネル領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と;
前記絶縁基板上に離隔して形成され、チャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極と;
前記電極それぞれの少なくとも一領域と前記チャネル領域上に形成されている有機半導体層と;
前記有機半導体層と前記電極との間に位置し、前記電極と前記有機半導体層との間の接触抵抗を減少させる自己組立単層膜とを含むことを特徴とする平板表示装置。
【請求項2】
前記自己組立単層膜は、前記ソース電極と前記ドレイン電極領域内に形成されてなる請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項3】
前記ソース電極と前記ドレイン電極は、透明な伝導性金属酸化物からなる請求項1又は2に記載の平板表示装置。
【請求項4】
前記ソース電極と前記ドレイン電極は、ITO又はIZOからなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項5】
前記自己組立単層膜は、前記ソース電極及びドレイン電極と化学的に結合されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項6】
前記有機半導体層を取り囲み、前記チャネル領域を露出させる隔壁をさらに含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項7】
前記自己組立単層膜は、ハロゲンで置換されたアリールジハロリン酸、ハロゲンで置換されたアリールハロリン酸、ハロゲンで置換されたアリールスルホニルハライド、ハロゲンで置換されたベンゾニルハライド、ハロゲンで置換されたアリールハライド、ハロゲンで置換されたアリールトリハロシラン、ハロゲンsw置換されたアルキルトリハロシラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項8】
前記自己組立単層膜は、ハロゲンで置換されたナフチルジハロリン酸、ハロゲンで置換されたナフチルハロリン酸、ハロゲンで置換されたナフチルスルホニルハライド、ハロゲンで置換されたナフチルハライド、ハロゲンで置換されたナフチルトリハロシラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む請求項7に記載の平板表示装置。
【請求項9】
前記絶縁基板はプラスチック基板である請求項1〜8のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項10】
前記有機半導体層は、ペンタセン、3,4,9,10ペニレンテトラカルボキシル二無水物、オリゴチオフェン、ポリチオフェン及びポリチエニレンビニレンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む請求項1〜9のいずれか1つに記載の平板表示装置。
【請求項11】
絶縁基板を準備する工程と;
前記絶縁基板上に離隔して形成されてチャネル領域を規定するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と;
前記ソース電極と前記ドレイン電極上に自己組立単層膜物質を加え、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と化学的に結合する自己組立単層膜を形成する工程と;
前記自己組立単層膜の少なくとも一領域と前記チャネル領域に有機半導体層を形成する工程とを含むことを特徴とする平板表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記ソース電極及びドレイン電極の形成前に、前記絶縁基板上にゲート電極と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜とを形成する工程をさらに含み、
前記有機半導体層の形成工程は、有機半導体層物質を前記ゲート絶縁膜と前記電極上に形成した後、フォトリソグラフィー法によってパターニングする請求項11に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記ソース電極と前記ドレイン電極を形成した後、
前記チャネル領域を取り囲みながら、前記ソース電極と前記ドレイン電極それぞれの少なくとも一部を露出させる隔壁を形成する工程をさらに含む請求項11又は12に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記有機半導体層を、前記隔壁内にインクジェット方式によって形成する請求項13に記載の平板表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−43160(P2007−43160A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207516(P2006−207516)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】