説明

建設機械の油圧駆動装置

【課題】ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、シーケンス弁のような特別なバルブを付加することなくメインポンプの吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能であり、かつ原動機の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、しかもパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑える。
【解決手段】メインポンプ2につながる第2圧油供給油路31に減圧弁32とチェックバルブ34とアキュムレータ35を設け、その下流にゲートロックレバー36によって切り換えられる切換弁37を設け、切換弁37の上下流側にパイロット油圧源を形成し、上流側パイロット油圧源からLS制御弁12bに元圧を供給し、下流側パイロット油圧源からエンジン回転検出バルブユニット13に元圧を供給し、バルブユニット13が出力する信号圧力をLS制御弁12b及びアンロード弁15に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
油圧ショベルなどの建設機械の油圧駆動装置に係わり、特に、パイロットポンプを用いなくてもパイロット油圧源を確保し得るように構成した建設機械の油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械の油圧駆動装置においては、流量制御弁などの各種油圧機器を駆動するためにパイロット油圧源が必要である。このパイロット油圧源としては、従来一般的に、固定容量型のパイロットポンプが用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の油圧駆動装置においては、パイロットポンプを廃止し、メインポンプの吐出油から減圧弁を用いてパイロット圧を生成することを提案している。この油圧駆動装置においては、必要なパイロット圧を確保するために、ベースの油圧回路に別途バイパスシーケンス弁を設けている。
【0004】
また、油圧ショベルなどの建設機械の油圧駆動装置には、油圧ポンプ(メインポンプ)の吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう油圧ポンプの容量を制御するものがあり、これはロードセンシング制御と呼ばれている。
【0005】
このようなロードセンシング制御の油圧駆動装置は、例えば特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の油圧駆動装置は、パイロットポンプの供給油路に接続され、パイロットポンプの吐出流量に応じて絶対圧を出力するエンジン回転数検出バルブユニットと、エンジン回転数検出バルブユニットの下流側に接続され、パイロット油路の圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁を有するパイロット油圧源と、パイロット油路に接続され、パイロット油圧源の油圧を元圧として流量制御弁を操作するためのパイロット圧を生成するリモコン弁(減圧弁)を備えた複数の操作レバー装置とを備えている。
【0007】
エンジン回転数検出バルブユニットは、パイロットポンプからの供給流量に応じてその絞り量が可変となる特性を持つ可変絞り弁と、その可変絞り弁の前後差圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁とを備え、差圧減圧弁の出力圧(可変絞り弁の前後差圧)を信号油路を介して、ロードセンシング制御の目標差圧として、ポンプ制御ユニットに備えられたロードセンシング制御部の切換弁12bに導き、メインポンプの吐出圧が最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようメインポンプの容量を制御している。これによりエンジン回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、エンジン回転数に応じてメインポンプの吐出流量を調整し、エンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3692004号公報
【特許文献2】特開2001−193705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の一般的な技術では、パイロツト圧の生成のため、固定容量型のパイロツトポンプから吐出された圧油をパイロットリリーフ弁に導き、パイロット油圧源を構成している。この場合、パイロットポンプはエンジンにより駆動され、操作レバー装置の操作レバーの操作の有無に係わらず、常時、パイロットリリーフ弁が機能し、一定の圧力を発生させていた。その結果、例えば全ての操作レバーを操作していない場合においても、パイロツトポンプはパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギを消費していた。
【0010】
特許文献1記載の油圧駆動装置では、パイロットポンプを廃止し、メインポンプから減圧弁を用いてパイロット圧を生成している。しかし、必要なパイロット圧を確実に確保するために、シーケンス弁を設ける必要がある。
【0011】
また、特許文献2記載のロードセンシング制御の油圧駆動装置においては、従来の一般的な技術と同様、パイロット油圧源を得るのにパイロットポンプとパイロットリリーフ弁を用いているため、パイロットポンプはパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギを消費していた。特に、特許文献2の記載のものでは、エンジン回転数検出バルブユニットの下流側にパイロットリリーフ弁を接続し、パイロット油圧源を形成する構成であるため、パイロットポンプの吐出圧力は、エンジン回転数検出バルブユニットにおける圧油の通過抵抗(圧損)とパイロットリリーフ弁の設定圧力との和となり、無駄なエネルギを消費が更に増大する。
【0012】
そこで、特許文献2記載のロードセンシング制御の油圧駆動装置においても、特許文献1記載のように、パイロットポンプを廃止することが考えられる。
【0013】
しかし、ロードセンシング制御の油圧駆動装置では、メインポンプの流量制御のための信号圧生成のための元圧の取り出し方を工夫しないと、消費エネルギの低減を期待通りに得ることができないことがある。
【0014】
例えば、操作レバー中立で、ゲートロックレバーが上げ位置、すなわちパイロット圧を生成できない遮断位置にある場合に、メインポンプが最小流量に保持されないので、メインポンプによる消費エネルギが増大し、油圧駆動装置全体としての消費エネルギ低減効果が期待通り得られないという問題がある。
【0015】
本発明の第1の目的は、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、シーケンス弁のような特別なバルブを付加することなくメインポンプの吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能であり、かつ原動機の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、しかもパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることのできる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【0016】
本発明の第2の目的は、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、更に、ゲートロックレバーが複数のアクチュエータの操作を不能とする位置にある場合に、メインポンプの吐出流量を最少にしかつメインポンプの吐出圧を低下させ、メインポンプによる無駄なエネルギ消費を抑えることができる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記第1の目的を達成するため、本発明は、原動機と、この原動機により駆動される可変容量型のメインポンプと、このメインポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記メインポンプから前記複数のアクチュエータへ供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁と、前記メインポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう前記メインポンプの容量を制御するロードセンシング制御部を有するポンプ制御装置と、前記メインポンプの吐出圧力が前記最高負荷圧より目標アンロード圧力以上高くなると開状態になって前記メインポンプの吐出油をタンクに戻し、前記メインポンプの吐出圧力のそれ以上の上昇を制限するアンロード弁と、前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成する複数の減圧弁を備えた操作レバー装置と、前記原動機の回転数を検出する回転数検出部及び前記原動機の回転数に応じた第1信号圧力を生成する信号圧力生成弁を有する回転数信号圧力生成装置とを備え、前記ロードセンシング制御部は、前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力を入力し、前記目標差圧を 設定する建設機械の油圧駆動装置において、前記メインポンプの吐出油を利用してパイロット圧力を生成するパイロット圧生成回路を更に備え、前記パイロット圧生成回路は、前記メインポンプに接続された第1圧油供給油路から分岐した第2圧油供給油路と、この第2圧油供給油路に設けられた減圧弁と、前記減圧弁の下流の第1油路に設けられたチェックバルブと、前記チェックバルブの下流の第2油路から分岐する第3油路に接続されたアキュムレータと、前記チェックバルブの下流の前記第2油路を含むパイロット油圧源とを有し、前記操作レバー装置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記パイロット油圧源から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記パイロット油圧源に接続したものとする。
【0018】
このように構成した本発明においては、油圧駆動装置はアンロード弁を備えるロードセンシング制御の油圧駆動装置であり、アンロード弁を備える場合は、操作レバー装置が中立の場合においても、メインポンプの吐出圧力はアンロード弁によってある一定の圧力に保持される。このため特許文献1に記載されるシーケンス弁のような特別なバルブを付加することなく、メインポンプの吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能となる。
【0019】
また、メインポンプの吐出油を利用してパイロット圧力を生成するパイロット圧生成回路を設け、操作レバー装置の複数の減圧弁が複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、信号圧力生成弁が原動機の回転数に応じた第1信号圧力を生成するときの元圧がパイロット圧生成回路のパイロット油圧源から供給されるように、複数の減圧弁と信号圧力生成弁をパイロット油圧源に接続することにより、指令パイロット圧だけでなく第1信号圧力も生成され、原動機の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することが可能となる。
【0020】
しかも、従来のようにパイロットリリーフ弁を設けなくてもパイロット油圧源を形成することができるため、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることのできる。
【0021】
このように本発明においては、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、シーケンス弁のような特別なバルブを付加することなくメインポンプの吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能であり、かつ原動機の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、しかもパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることのできる。
【0022】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記ポンプ制御装置の前記ロードセンシング制御部は、前記目標差圧を設定する第1受圧部を有するロードセンシング制御弁と、このロードセンシング制御弁の出力圧により駆動され、前記メインポンプの容量を制御するロードセンシングアクチュエータとを有し、前記パイロット圧生成回路は、更に、前記建設機械の運転室に配置され、前記複数のアクチュエータの操作を不能とする第1位置と前記複数のアクチュエータの操作を可能とする第2位置との間で選択的に操作されるゲートロックレバーと、前記チエックバルブの下流の前記第2油路に接続され、前記ゲートロックレバーの操作により切り換えられる切換弁とを有し、前記切換弁は、前記ゲートロックレバーが前記第1位置にあるときは前記切換弁の下流の第4油路をタンクに連通させ、前記ゲートロックレバーが前記第2位置にあるときは前記切換弁の下流の前記第4油路を前記切換弁の上流の前記第2油路に連通させるよう構成され、前記パイロット油圧源は、前記切換弁の上流の前記第2油路により構成される第1パイロット圧供給油路と、前記切換弁の下流の前記第4油路により構成される第2パイロット圧供給油路とを含み、前記ロードセンシング制御弁が前記ロードセンシングアクチュエータを駆動するための前記出力圧を生成するときの元圧が前記第1パイロット圧供給油路から供給されるように、前記ロードセンシング制御弁を前記第1パイロット圧供給油路に接続し、前記操作レバー装置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記第2パイロット圧供給油路から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記第2パイロット圧供給油路に接続し、前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部に導かれるように、前記信号圧力生成弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部に接続する。
【0023】
このように切換弁の上流と下流を使い分けて別々のパイロット圧供給油路(第1及び第2のパイロット圧供給油路)を形成し、ロードセンシング制御弁がロードセンシングアクチュエータを駆動するための出力圧を生成するときの元圧が第1パイロット圧供給油路から供給され、操作レバー装置の減圧弁が指令パイロット圧を生成するときの元圧と、信号圧力生成弁が第1信号圧力を生成するときの元圧が第2パイロット圧供給油路から供給されるように接続することにより、上記(1)のように操作レバー装置の減圧弁と信号圧力生成弁だけでなく、ロードセンシング制御部に対しても、パイロットリリーフ弁を設けることなくパイロット油圧源を提供し、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることができ。
【0024】
(3)また、上記(2)において、好ましくは、前記ロードセンシング制御弁は、前記第1受圧部に対向する第3受圧部を更に有し、前記メインポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧を絶対圧に変換し、この絶対圧を第2信号圧力として出力する差圧減圧弁を更に備え、前記差圧減圧弁が前記絶対圧を生成するときの元圧が前記第1パイロット圧供給油路から供給されるように、前記差圧減圧弁を前記第1パイロット圧供給油路に接続し、前記差圧減圧弁が生成する前記第2信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第3受圧部に導かれるように、前記差圧減圧弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第3受圧部に接続する。
【0025】
これにより差圧減圧弁に対しても、パイロットリリーフ弁を設けることなくパイロット油圧源を提供し、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることができる。
【0026】
(4)また、上記第2の目的を達成するため、本発明は、上記(1)において、前記ポンプ制御装置の前記ロードセンシング制御部は、前記目標差圧を設定する第1受圧部を有するロードセンシング制御弁と、このロードセンシング制御弁の出力圧が導かれ、この出力圧に応じて前記メインポンプの容量を制御するロードセンシングアクチュエータとを有し、前記アンロード弁は、前記目標アンロード圧力を設定するための第2受圧部とバネを有し、前記パイロット圧生成回路は、更に、前記建設機械の運転室に配置され、前記複数のアクチュエータの操作を不能とする第1位置と前記複数のアクチュエータの操作を可能とする第2位置との間で選択的に操作されるゲートロックレバーと、前記チエックバルブの下流の前記第2油路に接続され、前記ゲートロックレバーの操作により切り換えられる切換弁とを有し、前記切換弁は、前記ゲートロックレバーが前記第1位置にあるときは前記切換弁の下流の第4油路をタンクに連通させ、前記ゲートロックレバーが前記第2位置にあるときは前記切換弁の下流の前記第4油路を前記切換弁の上流の前記第2油路に連通させるよう構成され、前記パイロット油圧源は、前記切換弁の下流の前記第4油路により構成されるパイロット圧供給油路を含み、前記操作レバー装置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記パイロット圧供給油路から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記パイロット圧供給油路に接続し、前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部と前記アンロード弁の前記第2受圧部に導かれるように、前記信号圧力生成弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部と前記アンロード弁の前記第2受圧部に接続し、前記ロードセンシング制御弁は、前記第1受圧部に導かれる前記第1信号圧力によって前記目標差圧を設定し、前記アンロード弁は、前記第2受圧部に導かれる前記第1信号圧力と前記バネの付勢力とによって前記目標アンロード圧力を設定する。
【0027】
このように切換弁の下流側にパイロット圧供給油路を形成し、操作レバー装置の複数の減圧弁が指令パイロット圧を生成するときの元圧だけでなく、信号圧力生成弁が第1信号圧力を生成するときの元圧がそのパイロット圧供給油路から供給されるように接続するとともに、信号圧力生成弁が生成する第1信号圧力がロードセンシング制御弁の第1受圧部とアンロード弁の第2受圧部に導かれるように接続し、第1信号圧力によってロードセンシング制御の目標差圧を設定しかつ第1信号圧力とバネの付勢力とによってアンロード弁の目標アンロード圧力を設定することにより、ゲートロックレバーが複数のアクチュエータの操作を不能とする第1位置にあるときは、切換弁は切換弁の下流の第4油路をタンクに連通させ、パイロット圧供給油路がタンク圧となるため、信号圧力生成弁が生成する第1信号圧力もタンク圧となり、ロードセンシング制御の目標差圧もタンク圧となる。これによりメインポンプの吐出流量を確実に最少に制御することができる。また、アンロード弁の目標アンロード圧力はバネの付勢力によって設定される圧力となるため、メインポンプの吐出圧をバネの設定圧力まで下げることができる。
【0028】
このように本発明においては、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、ゲートロックレバーが複数のアクチュエータの操作を不能とする位置にある場合に、メインポンプの吐出流量を最少にしかつメインポンプの吐出圧を低下させるため、メインポンプによる無駄なエネルギ消費をも抑えることができる。
【0029】
(5)上記(1)〜(4)において、好ましくは、前記原動機により駆動されるパイロットポンプを更に備え、前記回転数信号圧力生成装置の前記回転数検出部は、前記パイロットポンプの吐出油が通過する絞り弁を有し、前記信号圧力生成弁は、前記絞り弁の前後差圧を絶対圧に変換し、この絶対圧を前記第1信号圧力として出力する差圧減圧弁である。
【0030】
これにより回転数信号圧力生成装置は油圧要素のみの構成となり、油圧駆動装置全体を純油圧的な構成とすることができる。
【0031】
(6)また、上記(1)〜(4)において、好ましくは、前記回転数信号圧力生成装置の前記回転数検出部は、前記原動機の回転数を検出する回転センサを有し、前記回転数信号圧力生成装置は、前記回転センサの検出信号を入力し、前記信号圧力生成弁に制御信号を出力するコントローラを更に有し、前記信号圧力生成弁は、前記コントローラから出力される制御信号により駆動され前記第1信号圧力を出力する電磁比例減圧弁である。
【0032】
これにより回転数信号圧力生成装置の油圧源としてパイロットポンプを備える必要がなくなるため、パイロットポンプによって消費されるエネルギを完全に0にすることができ、無駄なエネルギ消費を更に抑えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、原動機の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、かつシーケンス弁のような特別なバルブを付加することなくメインポンプの吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能であり、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることができる。
【0034】
また、本発明によれば、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプを有する油圧駆動装置において、更に、ゲートロックレバーが複数のアクチュエータの操作を不能とする位置にある場合に、メインポンプの吐出流量を最少にしかつメインポンプの吐出圧を低下させ、メインポンプによる無駄なエネルギ消費も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示すずである。
【図2】本実施の形態における油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【図3】エンジン停止状態からエンジンを始動し、(a)〜(e)の操作を行ったときの各部の圧力の推移を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるパイロツトポンプの吐出圧力を,従来技術のものと比較して示す図である。
【図5】本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【図6】コントローラにおいて、エンジン回転数に応じた比例電磁減圧弁の出力を演算するためのエンジン回転数と比例電磁減圧弁の出力圧の関係を示す図である。
【図7】本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【図8】本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1の実施の形態>
〜構成〜
図1に本発明の第1の実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す。本実施の形態は、本発明をフロントスイング式の油圧ショベルの油圧駆動装置に適用した場合のものである。
【0037】
図1において、本実施の形態に係わる油圧駆動装置は、エンジン1と、このエンジン1により駆動されるメインポンプとしての可変容量型の油圧ポンプ2(以下メインポンプという)及び固定容量型のパイロットポンプ10と、メインポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,3c…と、メインポンプ2とアクチュエータ3a,3b,3c…との間に位置するコントロールバルブユニット4と、ポンプ制御ユニット12と、エンジン回転検出バルブユニット13(回転数信号圧力生成装置)とを備えている。
【0038】
コントロールバルブユニット4は、メインポンプ2に接続された第1圧油供給油路5と、この第1圧油供給油路5に接続された油路5aから分岐するアクチュエータ3a,3b,3c…に対応する油路8a,8b,8c…と、油路8a,8b,8c…に接続され、メインポンプ2からアクチュエータ3a,3b,3c…に供給される圧油の流量と方向をそれぞれ制御する複数の流量制御弁6a,6b,6c…と、各流量制御弁6a,6b,6c…の上流側において油路8a,8b,8c…に接続され、各流量制御弁6a,6b,6c…の絞り部の前後差圧を制御する圧力補償弁7a,7b,7c…と、アクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧のうちの最も高い圧力(最高負荷圧)を選択して信号油路20a,20bに出力するシャトル弁9a,9b,9c…(最高負荷圧検出手段)と、メインポンプ2の吐出圧(以下適宜ポンプ圧という)をメインポンプ2の第1圧油供給油路5から分岐した油路21から入力し、最高負荷圧を上記信号油路20aから入力して両者(ポンプ圧と最高負荷圧)の差圧を絶対圧として生成し、信号油路22a,22bに出力する差圧減圧弁11と、メインポンプ2の第1圧油供給油路5に接続され、メインポンプ2の最高吐出圧(最高回路圧力)を制限するメインリリーフ弁14と、メインポンプ2の第1圧油供給油路5に油路5aを介して接続され、メインポンプ2の吐出圧が前記最高負荷圧より設定圧(目標アンロード圧力)以上高くなると開状態になってメインポンプ2の吐出油をタンクに戻し、メインポンプ2の吐出圧のそれ以上の上昇を制限するアンロード弁15とを備えている。
【0039】
アクチュエータ3a,3b,3cは、例えばそれぞれ、油圧ショベルの旋回モータ、ブームシリンダ及びアームシリンダであり、流量制御弁6aは旋回用、流量制御弁6bはブーム用、流量制御弁6cはアーム用である。図示の都合上、バケットシリンダ、ブームスイングシリンダ、走行モータ等の他のアクチュエータ及びこれらアクチュエータに係わる回路要素の図示は省略している。
【0040】
圧力補償弁7a,7b,7c…は、目標補償差圧として差圧減圧弁11の出力圧が信号油路22aを介して導かれる開方向作動の受圧部24a,24b,24c…と、流量制御弁6a,6b,6c…のそれぞれのメータイン絞り部の前後差圧を検出する受圧部25a,25b,25c…及び26a,26b,26c…を有し、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧が差圧減圧弁11の出力圧(ポンプ圧と最高負荷圧との差圧)に等しくなるように制御する。このように差圧減圧弁11の出力圧(ポンプ圧と最高負荷圧との差圧)を目標補償差圧として流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧を制御することにより、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧は全て同じ値になるように制御され、負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の開口面積に応じた比率で圧油を供給することができる。これにより複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時は、アクチュエータ6a,6b,6c…の負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の開口面積比に応じてメインポンプ2の吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。
【0041】
また、差圧検出弁11の出力圧(ポンプ圧と最高負荷圧との差圧)を目標補償差圧として流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧を制御することにより、メインポンプ2の吐出流量が要求流量に満たないサチュレーション状態になった場合でも、差圧検出弁11の出力圧(ポンプ圧と最高負荷圧との差圧)はその供給不足の程度に応じて低下し、これに応じて流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧が同じ割合で低下するため、流量制御弁6a,6b,6c…の通過流量を同じ割合で減少させることとなり、サチュレーション状態においても、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の開口面積比に応じてメインポンプ2吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。
【0042】
ポンプ制御ユニット12は、メインポンプ2のポンプ傾転変更部2aを駆動し、メインポンプ2の傾転角(容量或いは押しのけ容積)を制御するものであり、メインポンプ2の吐出圧が上昇したときに、メインポンプ2の吸収トルクがある一定値を超えないように制御するトルク制御部12Tと、メインポンプ2の吐出圧がアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようメインポンプ2の容量(傾転角)を制御するロードセンシング制御部12Lと、メインポンプ2の最小傾転位置を規定するストッパ12Sとを有している。
【0043】
トルク制御部12Tは、メインポンプ2の吐出圧が導入され、メインポンプ2の吐出圧が上昇するにしたがってメインポンプ2の傾転角を小さくするように制御する傾転角制御用のピストン12aを備えている。ロードセンシング制御部12Lは、ロードセンシング制御用の制御弁12bと、制御弁12bの出力圧が導かれ、制御弁12bの出力圧に応じてメインポンプ2の傾転角が変化するよう制御する傾転角制御用のピストン12c(ロードセンシングアクチュエータ)とを備えている。
【0044】
制御弁12bは、エンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力が信号油路27aを介して導かれ、この信号圧力をロードセンシング制御の目標差圧として設定する受圧部12dと、この受圧部12dに対向して位置し、差圧減圧弁11が出力する信号圧力が上記信号油路22bを介して対向して導かれる受圧部12eとを有している。差圧減圧弁11が出力する信号圧力がエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力(ロードセンシング制御の目標差圧)より高くなると、制御弁12bは出力圧を上昇させ、差圧減圧弁11が出力する信号圧力がエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力より低くなると、制御弁12bは出力圧を低下させる。傾転角制御ピストン12cは、制御弁12bの出力圧が上昇するとメインポンプ2の傾転角を小さくしてメインポンプ2の吐出流量を減少させ、制御弁12bの出力圧が低下するとメインポンプ2の傾転角を大きくしてメインポンプ2の吐出流量を増大させる。これにより制御弁12bと傾転角制御ピストン12cは、差圧減圧弁11が出力する信号圧力がエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力と等しくなるように制御し、メインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧よりエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力(ロードセンシング制御の目標差圧)だけ高くなるようメインポンプ2の吐出流量を制御する。エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転検出バルブユニット13の出力圧(ロードセンシング制御の目標差圧)は例えば2MPaである。
【0045】
エンジン回転検出バルブユニット13は、パイロットポンプ10からの供給流量に応じてその絞り量が可変となる特性を持つ可変絞り弁28(回転数検出部)と、その可変絞り弁28の前後差圧を絶対圧に変換し、この絶対圧を信号圧力(第1信号圧力)として出力する差圧減圧弁29(信号圧力生成弁)とを備え、その信号圧力(可変絞り弁28の前後差圧)は信号油路27aを介して、ロードセンシング制御の目標差圧として、ロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの受圧部12dに導かれる。
【0046】
エンジン1の回転数が増加すると、パイロットポンプ10の吐出流量が増加し、それに応じて可変絞り弁28の前後差圧も増加する。逆に、エンジン1の回転数が減少すると、パイロットポンプ10の吐出流量は減少し、それに応じて可変絞り弁28の前後差圧も減少する。差圧減圧弁29はその可変絞り弁28の前後差圧を絶対圧に変換して出力する。このようにエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力はエンジン回転数に応じて変化する圧力であるため、この圧力を信号油路27aを介してロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの受圧部12dに導いてロードセンシング制御の目標差圧として用いることにより、エンジン回転数に応じてメインポンプ2の吐出流量を増減することができ、エンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの制御が可能となる。
【0047】
アンロード弁15は、目標アンロード圧力の設定手段として、閉方向作動のバネ15aと受圧部15bとを有し、受圧部15bは信号油路27aから分岐する信号油路27bを介して回転数検出バルブユニット13の差圧減圧弁29の出力側に接続されている。また、アンロード弁15は、メインポンプ2の吐出圧が導かれる開方向作動の受圧部15cと、シャトル弁9a,9b,9c…の出力圧(最高負荷圧)が油路20bを介して導かれる閉方向作動の受圧部15dとを有している。これによりアンロード弁15は、メインポンプ2の吐出圧が、シャトル弁9a,9b,9c…の出力圧(最高負荷圧)よりも、バネ15aの付勢力と受圧部15bに導かれるエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力とによって設定される圧力(目標アンロード圧力)以上高くならないように(言い換えれば、メインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧にバネ15aの付勢力と受圧部15bに設定される圧力(目標アンロード圧力)を加算した圧力よりも高くならないように)、メインポンプ2の吐出圧の上昇を制限する。
【0048】
目標アンロード圧力は、ロードセンシング制御の目標差圧よりも高い、例えば3MPaに設定される。エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力(ロードセンシング制御の目標差圧)は前述したように例えば2MPaであり、受圧部15bにより設定される目標アンロード圧の分担圧力は圧力はエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力と同じ2MPaである。バネ15aの付勢力によって設定される目標アンロード圧の分担圧力は例えば1MPaであり、この分担圧力と受圧部15bの分担圧力(2MPa)とを加算した圧力が目標アンロード圧力(3MPa)となる。
〜特徴的構成〜
次に、本実施の形態に係わる油圧駆動装置の特徴的構成を説明する。
【0049】
本実施の形態における油圧駆動装置は、その特徴的構成として、メインポンプ2の吐出油を利用してパイロット圧力を生成するためのパイロット油圧源を構成するパイロット圧生成回路30を備えている。
【0050】
パイロット圧生成回路30は、メインポンプ2の第1圧油供給油路5に接続されたコントロールバルブユニット4内の油路5aから分岐した第2圧油供給油路31と、この第2圧油供給油路31に設けられた減圧弁32と、減圧弁32の下流の第1油路33aに設けられたチェックバルブ34と、チェックバルブ34の下流の第2油路33bから分岐する第3油路33cに接続されたアキュムレータ35と、油圧ショベル(建設機械)の運転室108(図2)に配置され、アクチュエータ3a,3b,3c…の動作を不能とする遮断位置(第1位置)とアクチュエータ3a,3b,3c…の動作を可能とする解除位置(第2位置)との間で選択的に操作されるゲートロックレバー36と、チエックバルブ34の下流の第2油路33bに設けられかつゲートロックレバー36に接続され、ゲートロックレバー36の操作により切り換えられる切換弁37と、切換弁37の下流の第4油路33dとを有している。
【0051】
第2油路33bは第1パイロット圧供給油路38を構成し、第4油路33dは第2パイロット圧供給油路40を構成している。
【0052】
第1パイロット圧供給油路38は、油路44aを介してロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの入力側に接続され、ロードセンシング制御部12Lの制御弁12bに元圧(一次圧)を供給する。また、第1パイロット圧供給油路38は、油路44aと、この油路44aから分岐する油路44bを介して差圧減圧弁11の入力側に接続され、差圧減圧弁11に元圧(一次圧)を供給する。すなわち、第1パイロット圧供給油路38は、制御弁12bと差圧減圧弁11に対するパイロット油圧源(第1パイロット油圧源)として機能する。
【0053】
第2パイロット圧供給油路40は、油路41を介して流量制御弁6a,6b,6c…を操作するための指令パイロット圧を生成する複数のリモコン弁(減圧弁)42a1,42a2,42b1,42b2…に接続され、リモコン弁42a,42b…に元圧(一次圧)を供給する。リモコン弁42a1,42a2,42b1,42bは、それぞれ対をなして、操作レバー装置122,123に内蔵されており、リモコン弁42a,42bを内蔵する操作レバー装置123は、例えばブーム用である。また、第2パイロット圧供給油路40は、油路43を介してエンジン回転検出バルブユニット13の差圧減圧弁29の入力側に接続され、差圧減圧弁29に元圧(一次圧)を供給する。すなわち、第2パイロット圧供給油路40は、リモコン弁42a1,42a2,42b1,42b2…と差圧減圧弁29に対するパイロット油圧源(第2パイロット油圧源)として機能する。
【0054】
エンジン回転検出バルブユニット13の差圧減圧弁29の出力側は、信号油路27aを介してロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの受圧部12dに接続され、受圧部12dに差圧減圧弁29が出力する信号圧力が導かれる。前述したように、ロードセンシング制御部12Lは、その信号圧力を用いてロードセンシング制御の目標差圧を設定する。
【0055】
また、エンジン回転検出バルブユニット13の差圧減圧弁29の出力側は、信号油路27aと、この信号油路27aから分岐する信号油路27bを介してアンロード弁15の受圧部15bに接続され、受圧部15bに差圧減圧弁29が出力する信号圧力が導かれる。前述したように、アンロード弁15は、その受圧部15bに導かれる信号圧力とバネ15aの付勢力とによって目標アンロード圧力を設定する。
【0056】
切換弁37は、ゲートロックレバー36が遮断位置(第1位置)にあるときは、図示の位置にあり、第1パイロット圧供給油路38(第2油路33b)と第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)との連通を遮断し、第2パイロット圧供給油路40をタンクに連通させる。第2パイロット圧供給油路40がタンクに連通するとき、第2パイロット圧供給油路40の圧力はタンク圧(概ね0MPa)とほぼ等しくなる。切換弁37は、ゲートロックレバー36が解除位置(第2位置)に切り換わると、図示の位置から切り換えられ、第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)は第1パイロット圧供給油路38(第2油路33b)に連通する。
【0057】
減圧弁32は設定用のバネ32aを有し、減圧弁32は第2圧油供給油路31の圧力をバネ32aによって設定された圧力に減圧して、油路33aに出力する。バネ32aの設定圧力は、好ましくは、アンロード弁15の設定圧力よりも高い値に設定されている。アンロード弁15の設定圧力が前述したように例えば3MPaである場合、バネ32aの設定圧力は、例えばそれよりも高い4MPaである。
【0058】
図2は、本実施の形態における油圧駆動装置が搭載される油圧ショベルの外観を示す図である。
【0059】
油圧ショベルは、下部走行体101と、この下部走行体101上に旋回可能に搭載された上部旋回体102と、この上部旋回体102の先端部分にスイングポスト103を介して上下及び左右方向に回動可能に連結されたフロント作業機104とを備えている。下部走行体101はクローラ式であり、トラックフレーム105の前方側に上下動可能な排土用のブレード106が設けられている。上部旋回体102は基礎下部構造をなす旋回台107と、旋回台107上に設けられたキャノピタイプの運転室108とを備えている。フロント作業機104はブーム111と、アーム112と、バケット113とを備え、ブーム111の基端はスイングポスト103にピン結合され、アーム112の基端はブーム111の先端にピン結合され、バケット113はアーム112の先端はピン結合されている。
【0060】
上部旋回体101は下部走行体100に対して旋回モータ3aにより旋回駆動され、ブーム111、アーム112、バケット113は、それぞれ、ブームシリンダ3b、アームシリンダ3c、バケットシリンダ3dを伸縮することにより回動する。下部走行体101は左右の走行モータ3f,3gにより駆動される。ブレード106はブレードシリンダ3hにより上下に駆動される。図1ではバケットシリンダ3d、左右の走行モータ3f,3g、ブレードシリンダ3hやそれらの回路要素の図示を省略している。
【0061】
運転室108には、運転席121と、上述した操作レバー装置122、123(図2では右側のみ図示)及びゲートロックレバー24が設けられている。
【0062】
ゲートロックレバー24は運転席121の出入り口側に配置され、前述したようにオペレータにより遮断位置(第1位置)と解除位置(第2位置)とに選択的に操作可能である。ゲートロックレバー24の遮断位置は上げ位置に対応し、ゲートロックレバー24の解除位置は下げ位置に対応する。
【0063】
ゲートロックレバー24が遮断位置(上げ位置)にあるときは、切換弁37は図示の位置にあり、前述したように、第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)と第1パイロット圧供給油路38(第2油路33b)との連通を遮断し、第2パイロット圧供給油路40をタンクに連通させる。このとき、第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)は一次圧を供給不能であり、操作レバー装置122,123の操作レバーを操作しても流量制御弁6a,6b,6c…を切り換えることはできず、全てのアクチュエータが動作不能となる。ゲートロックレバー24が解除位置(下げ位置)に切り換えられると、切換弁37は図1に示す位置から切り換えられ、第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)を第1パイロット圧供給油路38(第2油路33b)に連通させる。このとき、第2パイロット圧供給油路40(第4油路33d)は一次圧を供給可能であり、操作レバー装置122,123を含むいずれかの操作装置を操作すると、流量制御弁6a,6b,6c…のうちの対応するものが切り換わり、対応するアクチュエータの動作が可能となる。これによりフロント作業機104等を動作させて所望の作業を行うことができる。
〜動作〜
次に、本実施の形態の動作を図3を用いて説明する。
【0064】
図3は、エンジン停止状態からエンジンを始動し、下記(a)〜(e)の操作を行ったときの各部の圧力の推移を示した図である。
【0065】
(a)ゲートロックレバー遮断位置
(b)ゲートロックレバー解除位置で、全操作レバー中立
(c)ブーム上げ操作レバー操作後、操作レバー中立
(d)ブーム下げ操作レバー微操作後、操作レバー中立
(e)ゲートロックレバー遮断位置
図3における各部の圧力に関する符号は以下の値を意味している。
【0066】
Pgr0:エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力(ロードセンシング制御の目標差圧)
Pp0+Pgr0:エンジン1が定格最高回転数にあるときのアンロード弁15の設定圧(目標アンロード圧)
Pp0:アンロード弁15のバネ15aの設定圧
Pi0:減圧弁32の設定圧(バネ32bの設定圧)
Pia:第1パイロット圧供給油路38の圧力
Pib:第2パイロット圧供給油路40の圧力
Pbmr:ブーム上げ操作時のブームシリンダ3bの負荷圧
Ppbml:ブーム下げ微操作時のメインポンプ2の吐出圧(第1圧油供給油路5の圧力)
前述したように、本実施の形態では、Pgr0は2MPa、Pp0+Pgr0は3MPa、Pp0は1MPa、Pi0は4MPaである。
【0067】
以下に(a)〜(e)の順序で説明する。
【0068】
<(a)ゲートロックレバー遮断位置>
エンジン1が停止しておりかつゲートロックレバー36が遮断位置(全てのアクチュエータの動作を不能とする位置)にある状態で、エンジン1を始動すると、エンジン1により駆動されるメインポンプ2の吐出油が第1圧油供給油路5に供給される。このとき流量制御弁6a,6b,6c…は中立位置にあるため、第1圧油供給油路5に供給された圧油はアンロード弁15を介してタンクに放出される。また、第1圧油供給油路5の圧油は、第2圧油供給油路31を介して減圧弁32に導かれて減圧され、第1パイロット圧供給油路38に導かれる。
【0069】
ここで、アンロード弁15の設定圧力(目標アンロード圧)は、バネ15aの付勢力と、受圧部15bに導かれる、エンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力(以下適宜Pgr圧という)によって設定されている。
【0070】
エンジン回転検出バルブユニット13には、その元圧として、切換弁37の下流の第2パイロット圧供給油路40の圧力が導かれており、ゲートロックレバー36が遮断位置にあり、切換弁37は図示の位置にあるため、第2パイロット圧供給油路40の圧力Pibはタンク圧に等しくなっており、エンジン回転検出バルブユニット13が出力するPgr圧も、タンク圧と等しくなっている。よって、アンロード弁15の受圧部15bにはタンク圧(概ね0MPa)が導かれ、アンロード弁15の設定圧は、バネ15aのみによって設定された圧力Pp0(1MPa)となっている。
【0071】
この場合、図3の「(a)ゲートロックレバー遮断位置」に示すように、エンジン1が始動した状態で、メインポンプ2の吐出圧(第1圧油供給油路5の圧力)はアンロード弁15の作用でバネ15aによって設定される圧力Pp0(1MPa)に保持される。
【0072】
第1パイロット圧供給油路38には、第1圧油供給油路5から減圧弁32を介して、減圧弁32により減圧された圧油が供給されるが、図3に示すように、減圧弁32のバネ32bによって設定される圧力Pi0(4MPa)よりも第1圧油供給油路5の圧力(1MPa)の方が低いため、第1圧油供給油路5の圧力(1MPa)がそのまま減圧弁32の下流側の第1パイロット圧供給油路38に供給され、第1パイロット圧供給油路38の圧力Piaは第1圧油供給油路5の圧力と同じ圧力(1MPa)となっている。
【0073】
一方、複数の流量制御弁6a,6b,6c…を有するコントロールバルブユニット4に設けられた、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧を出力する差圧減圧弁11の元圧としては、第1パイロット圧供給油路38の圧力Pia(1MPa)が導かれる。
【0074】
これにより、図3の「(a)ゲートロックレバー遮断位置」に示すように、差圧減圧弁11には、最高負荷圧として、シャトル弁99a,9b,9c…を介してタンク圧が、メインポンプ2の吐出圧としてバネ15aも設定圧力Pp0(1MPa)が導かれるので、結果的に差圧減圧弁11が出力する信号圧力(以下適宜Pls圧という)として、メインポンプ2の吐出圧であるバネ15aの設定圧力Pp0(1MPa)が出力される。
【0075】
ポンプ制御ユニット12のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの図示左側の受圧部12dにはPgr圧(この場合はタンク圧の概ね0MPa)が導かれ、制御弁12bの図示右側の受圧部12eには、Pls圧(この場合はPp0の1MPa)が導かれる。
【0076】
このため、Pls圧(=Pp0)>Pgr圧(=タンク圧)の関係となり、ロードセンシング制御部12Lの制御弁12は、図中で左方向に切り換わり、第1パイロット圧供給油路38の圧力がロードセンシング制御部12Lのピストン12cに導かれ、可変容量ポンプであるメインポンプ2の傾転を小さくするように作動し、メインポンプ2はストッパ12Sが規定する最小傾転位置に保持される。
【0077】
以上の作用によりメインポンプ2の吐出流量は最少流量に保持される。
【0078】
<(b)ゲートロックレバー解除位置で、全操作レバー中立>
ゲートロックレバー36を解除位置(アクチュエータの動作を可能とする位置)に切り換えたとき、ゲートロックレバー36により切換弁37が図示の位置から切り換わり、第1パイロット圧供給油路38の圧油が第2パイロット圧供給油路40に導かれる。その結果、第1パイロット圧供給油路38と第2パイロット圧供給油路40の両方に、第1圧油供給油路5から減圧弁32により減圧された圧油が供給される。
【0079】
また、第2パイロット圧供給油路40の圧油は、エンジン回転検出バルブユニット13に供給され、エンジン回転検出バルブユニット13はその圧力を元圧としてPgr圧を出力する。Pgr圧はエンジン回転数に応じて変化し、エンジン回転数が高いときに大きくなり、エンジン回転数が低いときに小さくなるように設定されている。例えば、エンジン回転数が定格の最高回転数にあるときのPgr圧をPgr0とすると、Pgr0は例えば前述したように2MPaである。
【0080】
エンジン回転検出バルブユニット13が出力するPgr圧は、メインポンプ2のポンプ制御ユニット12のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの図示左側の受圧部12dに作用する。また、Pgr圧は、コントロールバルブユニット4のアンロード弁15の受圧部15bにも導かれ、受圧部15bにそのPgr圧が作用しており、これによりアンロード弁15の設定圧は「(a)ゲートロックレバー遮断位置」のときに比べて、Pgr圧(エンジン回転数が定格最高回転数にある場合Pgr0=2MPa)の分だけ高くなる。すなわち、アンロード弁15の目標アンロード圧はPp0(1MPa)からPp0+Pgr0(3MPa)に上昇する。
【0081】
その結果、図3に示すように、メインポンプ2の吐出圧はアンロード弁15の作用でPp0+Pgr0の圧力(3MPa)に保持され、第1圧油供給油路5の圧力もPp0+Pgr0の圧力(3MPa)となる。
【0082】
また、このとき、第1パイロット圧供給油路38には、第1圧油供給油路5から減圧弁32を介して、減圧弁32により減圧された圧油が供給されるが、図3に示すように、減圧弁32のバネ32bによって設定される圧力Pi0(4MPa)よりも第1圧油供給油路5の圧力(3MPa)の方が低いため、第1圧油供給油路5の圧力(3MPa)がそのまま減圧弁32の下流側の第1パイロット圧供給油路38に供給され、第1パイロット圧供給油路38の圧力Piaは第1圧油供給油路5の圧力と同じ圧力(3MPa)となっている。
【0083】
一方、コントロールバルブユニット4の差圧減圧弁11には、第2パイロツト供給油路40の圧油が供給され、差圧減圧弁11はその圧力を元圧としてメインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧を絶対圧に変換し、Pls圧を出力する。
【0084】
このとき、メインポンプ2の吐出圧はPp0+Pgr0の圧力(3MPa)に保持されている。また、全ての操作レバーが中立であるため、シャトル弁9a,9b,9c…が検出する最高負荷圧はタンク圧である。このため差圧減圧弁11が出力するPls圧は、メインポンプ2の吐出圧に等しいPp0+Pgr0の圧力(3MPa)に保持される。
【0085】
エンジン回転検出バルブユニット13が出力するPgr圧(Pgr0=2MPa)と、差圧減圧弁11が出力するPls圧(Pp0+Pgr0=3MPa)は、それぞれメインポンプ2のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの両側の受圧部12d,12eに導かれる。
【0086】
この場合、Pls(=Pp0+Pgr0)>Pgr(=Pgr0)であるので、制御弁12bは、図示左方向に切り換わったままとなり、第1パイロット圧供給油路38が制御弁12bを介してロードセンシング制御用ピストン12cに作用し、メインポンプ2の傾転を小さくするように作動する。これによりメインポンプ2の傾転は最小傾転位置に保持されるたままとなる。
【0087】
以上より、メインポンプ2の吐出流量は最少流量に保持されたままである。
【0088】
<(c)ブーム上げ操作レバー操作後、操作レバー中立>
例えば操作レバー装置123の操作レバーを操作してブーム上げ操作を行った場合、第2パイロット圧供給油路40から供給されるパイロット圧を元圧として、ブーム上げ操作用のリモコン弁42b1はパイロット圧を生成し、このパイロット圧が流量制御弁6bの左側の受圧部に作用して、流量制御弁6bが図示右方向に切り換わる。
【0089】
メインポンプ2からの第1圧油供給油路5の圧油は、圧力補償弁7bを介して、流量制御弁6bを通り、ブームシリンダ3bのボトム側に供給される。
【0090】
このとき、ブームシリンダ3bの負荷圧は、流量制御弁6bの内部通路を経由し、シャトル弁9b,9cを経由して、最高負荷圧として差圧減圧弁11に導かれると同時に、アンロード弁15の受圧部15dに導かれる。差圧減圧弁11は、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧(この場合はブームシリンダ3bの負荷圧)の差圧をPls圧として出力する。
【0091】
ブームシリンダ3bの動き始めでは、ブームシリンダ3bの負荷圧はブームシリンダ3bの負荷によってある一定の値(Pbmr)に定まるが、メインポンプ2の第1圧油供給油路5の圧力、すなわちメインポンプ2の吐出圧は、第1圧油供給油路5の圧油がブームシリンダ3bに流出するので、一瞬低下する。このため、このとき、差圧減圧弁11の出力圧であるPls圧は小さくなる。
【0092】
ポンプ制御ユニット12のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bとピストン12cは、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧であるPls圧が、エンジン回転検出バルブユニット13の出力圧であるPgr圧と等しくなるように、メインポンプ2の傾転を制御するが、ブームシリンダ3bが動き始めたときには、前記のようにPls圧はPgr圧よりも小さくなる(Pgr>Pls)。このためポンプ制御ユニット12の制御弁12bは、図示右方向に切り換わり、傾転角制御用のピストン12cの圧油をタンクに戻し、メインポンプ2の傾転を大きくするように作動する。
【0093】
メインポンプ2の傾転が大きくなると、メインポンプ2の吐出流量は増加し、ブームシリンダ3bへ供給される流量も増加する。ブームシリンダ3bへ供給される流量が増加すると、差圧減圧弁11より出力されるPls圧(ポンプ圧と最高負荷圧との差圧)が増加し、Pls圧がエンジン回転検出バルブユニット13の出力圧であるPgr圧に達すると、メインポンプ2の吐出流量の増加は停止する。
【0094】
このようにメインポンプ2の吐出流量は、前記Pls圧がエンジン回転検出バルブユニット13の出力圧であるPgr圧(=Pgr0)と等しくなるように制御される。
【0095】
ここで、Pls圧=ポンプ圧−最高負荷圧の関係から、ブーム上げ操作を行った場合は、Pls圧=ポンプ圧−ブームシリンダ負荷圧(Pbmr)の関係が成り立っている。
【0096】
言い換えれば、ポンプ圧=ブームシリンダ負荷圧+Pls圧であるので、ポンプ圧はPbmr+Pgr0に保持される(図3参照)。
【0097】
また、第1パイロット圧供給油路38には、減圧弁32を介して第1圧油供給油路5から圧油が供給されるが、この場合は、メインポンプ2の吐出圧(Pbmr+Pgr0)は減圧弁32のバネ32bによって設定されている圧力Pi0(4MPa)よりも高いため、減圧弁32の働きにより、第1パイロット圧供給油路38の圧力は、減圧弁32の設定圧Pi0(4MPa)に保持される。
【0098】
ブーム用操作レバー装置123の操作レバーを中立に戻すと、「(b)ゲートロックレバー解除位置で、操作レバー中立」の状態と同じになる。
【0099】
<(d)ブーム下げ操作レバー微操作後、操作レバー中立>
例えば操作レバー装置123の操作レバーを操作してブーム下げ操作を行った場合、第2パイロット圧供給油路40から供給されるパイロット圧を元圧として、ブーム下げ操作用のリモコン弁42b2はパイロット圧を生成し,このパイロット圧が流量制御弁6bの図示右側の受圧部に作用して、流量制御弁6bが図示左方向に切り換わる。
【0100】
メインポンプ2からの第1圧油供給油路5の圧油は、圧力補償弁7bを介して、流量制御弁6bを通り、ブームシリンダ3bのロッド側に供給される。
【0101】
このとき、ブームシリンダ3bの負荷圧は、流量制御弁6bの内部通路を経由し、シャトル弁9b,9cを経由して、最高負荷圧として差圧減圧弁11に導かれると同時に、アンロード弁15の受圧部15dに導かれる。差圧減圧弁11は、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧(この場合はブームシリンダ3bの負荷圧)の差圧をPls圧として出力する。このとき、ブーム下げ微操作など、アクチュエータが負荷の自重によって引っ張られるような動作では、シリンダの負荷圧は殆ど発生せず、ほぼタンク圧と等しくなる。このため差圧減圧弁11から出力されるPls圧は、ほぼメインポンプ2の吐出圧に等しくなる。
【0102】
一方、メインポンプ2の第1圧油供給油路5の圧力、すなわちメインポンプ2の吐出圧は、圧油がブームシリンダ3bに流出するので、図3に示すようにPpbmlまで低下する。
【0103】
ブーム下げ操作が微操作である場合、ブームシリンダ3bへ流出する流量が軽微で、メインポンプ2の吐出圧Ppbmlは、図3に示すように、エンジン回転検出バルブユニット13が出力するPgr圧(=Pgr0=2MPa)よりも大きい値でバランスする。
【0104】
ポンプ制御ユニット12のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bとピストン12cは、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧であるPls圧が、エンジン回転検出バルブユニット13の出力圧であるPgr圧と等しくなるように、メインポンプ2の傾転を制御するが、ブーム下げ微操作の場合には、Pls圧(=Ppbml)>Pgr圧(=Pgr0)となり、Pls圧はPgr圧よりも大きくなる(Pls>Pgr)。このためポンプ制御ユニット12の制御弁12bは、図示左方向に切り換わり、傾転角制御用のピストン12cに第1パイロット圧供給油路38の圧油を導き、メインポンプ2の傾転を小さくするように作動する。メインポンプ2の傾転が最小値まで小さくなると、メインポンプ2の吐出流量は最小流量に保持される。
【0105】
また、第1パイロット圧供給油路38及び第2パイロット圧供給油路40にも、メインポンプ2の第1圧油供給油路5から減圧弁32を介して減圧された圧油が供給されるが、この場合は、バネ32bによって設定される圧力Pi0(4MPa)よりもメインポンプ2の吐出圧Ppbmlが低いため、その圧力Ppbmlがそのまま減圧弁32の下流側のの第1パイロット圧供給油路38に供給される。
【0106】
前記のように、ブーム下げ微操作では、操作レバー中立時のメインポンプ2の吐出圧(Pp0+Pgr0)よりも更にポンプ圧が低下してしまうが、アキュムレータ42に蓄圧された圧油により、その下流側の第1パイロット圧供給油路38の圧力は、図3に示すように、直前の操作のポンプ圧(Pp0+Pgr0)に維持される。
【0107】
ブーム操作レバーを中立に戻すと、「(b)ゲートロックレバー解除位置で、操作レバー中立」の状態と同じになる。
【0108】
<(e)ゲートロックレバー遮断位置>
上記「(a)ゲートロックレバー遮断位置」と同様である。
〜効果〜
本実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0109】
(1)本実施の形態においては、油圧駆動装置はアンロード弁15を備えるロードセンシング制御の油圧駆動装置であり、アンロード弁15を備える場合は、「(a)ゲートロックレバー遮断位置」及び「(b)ゲートロックレバー解除位置で、操作レバー中立」において説明したように、操作レバー装置122,123が中立の場合においても、メインポンプ2の吐出圧力はアンロード弁15によってある一定の圧力に保持される。このため特許文献1に記載されるシーケンス弁のような特別なバルブを付加することなく、メインポンプ2の吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能となる。
【0110】
また、メインポンプ2の吐出油を利用してパイロット圧力を生成するパイロット圧生成回路30を設け、操作レバー装置122,123の減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2が流量制御弁6a,6b,6c…を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、エンジン回転検出バルブユニット13の差圧減圧弁29(信号圧力生成弁)がエンジン1の回転数に応じた信号圧力(第1信号圧力)を生成するときの元圧がパイロット圧生成回路30のパイロット油圧源(第1及び第2パイロット圧供給油路38,40)から供給されるように、減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2と差圧減圧弁29をパイロット油圧源に接続する構成としている。このため指令パイロット圧だけでなくエンジン1の回転数に応じた信号圧力も生成され、エンジン1の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することが可能となる。
【0111】
しかも、従来のようにパイロットポンプ10からの供給流量が流れる経路のエンジン回転検出バルブユニット13の下流側にパイロットリリーフ弁を設けなくても、パイロット油圧源を形成することができるため、パイロットリリーフ弁を設けた場合に比べてパイロットポンプ10の吐出圧力を低減し、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることのできる。
【0112】
図4は、パイロットポンプ10の吐出圧を、特許文献1に記載のような従来技術と本実施の形態とで比較して示す図である。特許文献1に記載のような従来のロードセンシング制御を行う油圧駆動装置では、エンジン回転検出バルブユニット13の下流側にパイロットリリーフ弁を設け、パイロット油圧源を構成している。このパイロット油圧源の圧力を本実施の形態におけるパイロット油圧源(第1及び第2パイロット圧供給油路38,40)と同じ圧力に設定する場合、パイロットリリーフ弁の設定圧を減圧弁32aの設定圧Pi0と同じにする必要があり、その設定圧Pi0は前述したように例えば4MPaである。また、エンジン回転検出バルブユニット13の差圧減圧弁29がPgr0の信号圧力を
出力しているとき、その信号圧力は可変絞り弁28の前後差圧に等しく、パイロットポンプ10からの供給流量が流れる経路ではPgr0に等しい圧力損失が発生している。Pgr0は前述したように例えば2MPaである。
【0113】
したがって、特許文献1に記載のような従来のロードセンシング制御を行う油圧駆動装置では、パイロットポンプ10の吐出圧力は、減圧弁32aの設定圧と差圧減圧弁29が出力する信号圧力とを加算したPi0+Pgr0の値(6MPa)となる。
【0114】
これに対し、本実施の形態では、エンジン回転検出バルブユニット13の下流側は直接タンクに接続することができるため、パイロットポンプ10の吐出圧力は、差圧減圧弁29が出力する信号圧力のPgr0の値(2MPa)となる。
【0115】
このように本発明においては、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプ2を有する油圧駆動装置において、シーケンス弁のような特別なバルブを付加することなくメインポンプ2の吐出油を利用したパイロット圧の生成が可能であり、かつエンジン1の回転数に応じたロードセンシング制御の目標差圧を設定することができ、しかもパイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることのできる。
【0116】
(2)また、本実施の形態では、切換弁37の上流と下流を使い分けて別々のパイロット圧供給油路(第1及び第2のパイロット圧供給油路38,40)を形成し、ロードセンシング制御弁12bがピストン12c(ロードセンシングアクチュエータ)を駆動するための出力圧を生成するときの元圧が第1パイロット圧供給油路38から供給され、操作レバー装置122,123の減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2が指令パイロット圧を生成するときの元圧と、差圧減圧弁29(信号圧力生成弁)が信号圧力を生成するときの元圧が第2パイロット圧供給油路40から供給されるように接続する構成としている。このため上記(1)のように操作レバー装置122,123の減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2と差圧減圧弁29だけでなく、ロードセンシング制御部12Lに対しても、上記(1)のように操作レバー装置122,123の減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2と差圧減圧弁29(信号圧力生成弁)けでなく、ロードセンシング制御部12Lに対しても、パイロットリリーフ弁を設けることなくパイロット油圧源を提供し、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えることができ。
【0117】
(3)また、本実施の形態では、差圧減圧弁11に対しても、パイロットリリーフ弁を設けることなくパイロット油圧源を提供し、パイロットリリーフ弁による無駄なエネルギ消費を抑えつつ、更に回路構成を更に簡素化することができる。
【0118】
(4)更に、本実施の形態では、切換弁37の下流側に第2パイロット圧供給油路40を形成し、操作レバー装置122,123の複数の減圧弁42a1,42a2,42b1,42b2が指令パイロット圧を生成するときの元圧だけでなく、差圧減圧弁29(信号圧力生成弁)が信号圧力を生成するときの元圧がその第2パイロット圧供給油路から供給されるように接続するとともに、差圧減圧弁29が生成する信号圧力がロードセンシング制御弁12bの受圧部12d(第1受圧部)とアンロード弁15の受圧部15b(第2受圧部)に導かれるように接続し、信号圧力によってロードセンシング制御の目標差圧を設定しかつ信号圧力とバネの付勢力とによってアンロード弁15の目標アンロード圧力を設定する構成としている。
【0119】
このため「(a)ゲートロックレバー遮断位置」において説明したように、ゲートロックレバー36が複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の操作を不能とする第1位置にあるときは、切換弁37は切換弁37の下流の第4油路33dをタンクに連通させ、第2パイロット圧供給油路40がタンク圧となるため、差圧減圧弁29が生成する信号圧力もタンク圧となり、ロードセンシング制御の目標差圧もタンク圧となる。これによりメインポンプ2の吐出流量を確実に最少に制御することができる。また、アンロード弁15の目標アンロード圧力はバネ15aの付勢力によって設定される圧力となるため、メインポンプ2の吐出圧をバネ15aの設定圧力Pp0(例えば1MPa)まで下げることができる。
【0120】
このように本実施の形態においては、ロードセンシング制御を行う可変容量型のメインポンプ2を有する油圧駆動装置において、ゲートロックレバー36が複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の操作を不能とする位置にある場合に、メインポンプ2の吐出流量を最少にしかつメインポンプ2の吐出圧を低下させるため、メインポンプ2による無駄なエネルギ消費をも抑えることができる。
【0121】
(5)また、本実施の形態では、エンジン回転検出バルブユニット13(回転数信号圧力生成装置)は油圧要素のみの構成となり、油圧駆動装置全体を純油圧的な構成とすることができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5及び図6を用いて説明する。
〜構成〜
図5は本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【0122】
図5に示す本実施の形態における油圧駆動装置は、図1に示した第1の実施の形態における切換弁37の代わりに電磁切換弁37Aを備え、エンジン回転検出バルブユニット13の代わりに、エンジン1の回転数を検出する回転センサ51(回転数検出部)と、電磁切換弁37Aとバッテリ52との間に設けられ、ゲートロックレバー24により切り換えられるスイッチ53と、ポンプ制御ユニット12のロードセンシング制御部12Lの制御弁12bの受圧部12dに信号油路27cを介して出力側が接続された電磁比例減圧弁54(信号圧力生成弁)と、回転センサ51の出力を入力し、電磁比例減圧弁54の出力を制御するコントローラ55とを備えている。電磁比例減圧弁54の入力側は油路43を介して第2パイロット圧供給油路40に接続され、第2パイロット圧供給油路40は電磁比例減圧弁54に元圧(一次圧)を供給する。
【0123】
また、本実施の形態における油圧駆動装置は、エンジン回転検出バルブユニット13を備えていない結果、エンジン回転検出バルブユニット13のパイロット油圧源として設けられていた固定容量型のパイロットポンプ10も備えていない。
【0124】
それ以外は図一に示す第1の実施の形態と同じである。
〜作動〜
本実施の形態の動作を、再び図2を用いて説明する。
【0125】
エンジン1の回転数を回転数センサ51によって検出し、コントローラ55に入力すると、コントローラ55は、エンジン回転数に応じた比例電磁減圧弁54の出力圧を演算し、その出力圧に応じた電流値を演算して、その電流値を電気信号として比例電磁減圧弁54に出力する。
【0126】
コントローラ55には、エンジン回転数に応じた比例電磁減圧弁54の出力を演算するため、図6に示すようなエンジン回転数と比例電磁減圧弁230の出力圧の関係が記憶されている。この関係は、エンジン回転数が大きくなるにしたがって、比例電磁減圧弁230の出力圧であるPgr圧もPgr0minからPgr0へと大きくなるように設定されている。図中、Highはエンジン1の定格最高回転数であり、Lowはエンジン1の低速アイドル回転数である。
【0127】
このようにコントローラ55により回転数センサ51に応じて比例電磁減圧弁54の出力圧を制御することにより、図1に示した第1の実施の形態におけるエンジン回転検出バルブユニット13と同様の作動が得られる。
【0128】
それ以外の動作は、第1の実施の形態と同様である。
〜効果〜
本実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(4)の効果に加え、固定容量型のパイロットポンプを備えていないため、パイロットポンプによって消費されるエネルギを完全に0にすることができ、無駄なエネルギ消費を更に抑えることができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図7を用いて説明する。
【0129】
図7は本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【0130】
本実施の形態における油圧駆動装置は、図1に示す第1の実施の形態におけるアンロード弁15に代えてアンロード弁15Bを備えている。アンロード弁15とアンロード弁15Bの相違点は、アンロード弁15が、目標アンロード圧力の設定手段として、閉方向作動のバネ15aと受圧部15bとを有し、バネ15aの付勢力と受圧部15bに導かれるエンジン回転検出バルブユニット13が出力する信号圧力とによってアンロード弁15の目標アンロード圧力を設定したのに対して、アンロード弁15Bは、目標アンロード圧力の設定手段として、閉方向作動のバネ15eのみを有し、バネ15eの付勢力のみでアンロード弁15の目標アンロード圧力を設定した点である。バネ15eの付勢力で設定される目標アンロード圧力は、エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転検出バルブユニット13の出力圧(ロードセンシング制御の目標差圧)を前述したように例えば2MPaに設定した場合、そのロードセンシング制御の目標差圧以上の例えば3MPaである。
【0131】
それ以外は図一に示す第1の実施の形態と同じである。
【0132】
本実施の形態によっても、第1の実施の形態の(1)〜(3)及び(5)の効果を得ることができる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図8を用いて説明する。
【0133】
図8は本実施の形態における油圧駆動装置のシステム構成を示す図である。
【0134】
本実施の形態における油圧駆動装置の図1に示す第1の実施の形態に対する相違点は、第1の実施の形態にあった差圧減圧弁11を備えず、かつポンプ制御ユニットの制御弁12bの元圧としてメインポンプ2の吐出油を利用するように構成した点である。
【0135】
すなわち、本実施の形態における油圧駆動装置において、圧力補償弁7Ca,7Cb,7Cc…は、目標補償差圧を設定する手段として、開方向作動の受圧部58a,58b,58c…と、閉方向作動の受圧部59a,59b,59c…を有し、受圧部58a,58b,58c…に、第1圧油供給油路5に連通するコントロールバルブユニット4内の油路5aを介してメインポンプ2の吐出圧が導かれ、受圧部59a,59b,59c…に信号油路20a,20cを介してシャトル弁9a,9b,9c…により選択された最高負荷圧が導かれ、流量制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧がポンプ圧と最高負荷圧との差圧であるPls圧に等しくなるように制御する。
【0136】
ポンプ制御ユニット12Cのロードセンシング制御部12Lの制御弁12Cbは、ロードセンシング制御の目標差圧を設定する受圧部12dと反対側に位置する受圧部12fと、同じ側に位置する受圧部12iとを有し、受圧部12fに、第1圧油供給油路5に連通する油路61を介してメインポンプ2の吐出圧が導かれ、受圧部12iに信号油路30a,20dを介してシャトル弁9a,9b,9c…により選択された最高負荷圧が導かれ、前後差圧がポンプ圧と最高負荷圧との差圧であるPls圧が受圧部12dに設定されるロードセンシング制御の目標差圧に等しくなるように制御する。
【0137】
また、第1圧油供給油路5は油路61を介して切換弁12Cbの入力側に接続され、切換弁12Cbに元圧(一次圧)としてメインポンプ2の吐出圧を供給する。
【0138】
それ以外は図一に示す第1の実施の形態と同じである。
【0139】
本実施の形態によっても、第1の実施の形態の(1)及び(3)〜(5)の効果を得ることができる。
<その他>
以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、原動機としてエンジン1(ディーゼルエンジン)を用いたが、エンジン1に代え電動モータを用いてもよいし、エンジンと電動モータを併用してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 エンジン
2 可変容量型の油圧ポンプ(メインポンプ)
3a,3b,3c… アクチュエータ
4 コントロールバルブユニット
5 第1圧油供給油路
6a,6b,6c… 流量制御弁
7a,7b,7c… 圧力補償弁
9a,9b,9c… シャトル弁
10 パイロットポンプ
11 差圧減圧弁
12,12C ポンプ制御ユニット
12L ロードセンシング制御部
12T トルク制御部
12S ストッパ
12a 傾転角制御用のピストン
12b,12Cb ロードセンシング制御用の制御弁
12c 傾転制御用のピストン(ロードセンシングアクチュエータ)
12d 受圧部
12e 受圧部
12h 受圧部
12i 受圧部
13 エンジン回転検出バルブユニット
14 メインリリーフ弁
15,15B アンロード弁
15a バネ
15b 受圧部
15e バネ
20a,20b,20c,20d 信号油路
22a,22b 信号油路
27a,27b 信号油路
28 可変絞り弁 (回転数検出部)
29 差圧減圧弁(信号圧力生成弁)
30 パイロット圧生成回路
31 第2圧油供給油路
32 減圧弁
32a バネ
33a 第1油路
33b 第2油路
33c 第3油路
33d 第4油路
35 アキュムレータ
36 ゲートロックレバー
37 切換弁
38 第1パイロット圧供給油路
40 第1パイロット圧供給油路
42a1,42a2,42b1,42b2 リモコン弁(減圧弁)
43 油路
44a,44b 油路
51 回転センサ(回転数検出部)
52 バッテリ
53 スイッチ
54 電磁比例減圧弁(信号圧力生成弁)
55 コントローラ
58a,58b,58c…受圧部
59a,59b,59c…受圧部
61 油路
101 下部走行体
102 上部旋回体
103 スイングポスト
104 フロント作業機
106 排土板
107 旋回台
108 運転室
111 ブーム
112 アーム
113 バケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
この原動機により駆動される可変容量型のメインポンプと、
このメインポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、
前記メインポンプから前記複数のアクチュエータへ供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁と、
前記メインポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう前記メインポンプの容量を制御するロードセンシング制御部を有するポンプ制御装置と、
前記メインポンプの吐出圧力が前記最高負荷圧より目標アンロード圧力以上高くなると開状態になって前記メインポンプの吐出油をタンクに戻し、前記メインポンプの吐出圧力のそれ以上の上昇を制限するアンロード弁と、
前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成する複数の減圧弁を備えた操作レバー装置と、
前記原動機の回転数を検出する回転数検出部及び前記原動機の回転数に応じた第1信号圧力を生成する信号圧力生成弁を有する回転数信号圧力生成装置とを備え、
前記ロードセンシング制御部は、前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力を入力し、前記目標差圧を設定する建設機械の油圧駆動装置において、
前記メインポンプの吐出油を利用してパイロット圧力を生成するパイロット圧生成回路を更に備え、
前記パイロット圧生成回路は、
前記メインポンプに接続された第1圧油供給油路から分岐した第2圧油供給油路と、
この第2圧油供給油路に設けられた減圧弁と、
前記減圧弁の下流の第1油路に設けられたチェックバルブと、
前記チェックバルブの下流の第2油路から分岐する第3油路に接続されたアキュムレータと、
前記チェックバルブの下流の前記第2油路を含むパイロット油圧源とを有し、
前記操作レバー装置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記パイロット油圧源から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記パイロット油圧源に接続したことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記ポンプ制御装置の前記ロードセンシング制御部は、前記目標差圧を設定する第1受圧部を有するロードセンシング制御弁と、このロードセンシング制御弁の出力圧により駆動され、前記メインポンプの容量を制御するロードセンシングアクチュエータとを有し、
前記パイロット圧生成回路は、更に、
前記建設機械の運転室に配置され、前記複数のアクチュエータの操作を不能とする第1位置と前記複数のアクチュエータの操作を可能とする第2位置との間で選択的に操作されるゲートロックレバーと、
前記チエックバルブの下流の前記第2油路に接続され、前記ゲートロックレバーの操作により切り換えられる切換弁とを有し、
前記切換弁は、前記ゲートロックレバーが前記第1位置にあるときは前記切換弁の下流の第4油路をタンクに連通させ、前記ゲートロックレバーが前記第2位置にあるときは前記切換弁の下流の前記第4油路を前記切換弁の上流の前記第2油路に連通させるよう構成され、
前記パイロット油圧源は、前記切換弁の上流の前記第2油路により構成される第1パイロット圧供給油路と、前記切換弁の下流の前記第4油路により構成される第2パイロット圧供給油路とを含み、
前記ロードセンシング制御弁が前記ロードセンシングアクチュエータを駆動するための前記出力圧を生成するときの元圧が前記第1パイロット圧供給油路から供給されるように、前記ロードセンシング制御弁を前記第1パイロット圧供給油路に接続し、
前記操作レバー装置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記第2パイロット圧供給油路から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記第2パイロット圧供給油路に接続し、
前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部に導かれるように、前記信号圧力生成弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部に接続したことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記ロードセンシング制御弁は、前記第1受圧部に対向する第3受圧部を更に有し、
前記メインポンプの吐出圧と前記複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧を絶対圧に変換し、この絶対圧を第2信号圧力として出力する差圧減圧弁を更に備え、
前記差圧減圧弁が前記絶対圧を生成するときの元圧が前記第1パイロット圧供給油路から供給されるように、前記差圧減圧弁を前記第1パイロット圧供給油路に接続し、
前記差圧減圧弁が生成する前記第2信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第3受圧部に導かれるように、前記差圧減圧弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第3受圧部に接続したことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項4】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記ポンプ制御装置の前記ロードセンシング制御部は、前記目標差圧を設定する第1受圧部を有するロードセンシング制御弁と、このロードセンシング制御弁の出力圧が導かれ、この出力圧に応じて前記メインポンプの容量を制御するロードセンシングアクチュエータとを有し、
前記アンロード弁は、前記目標アンロード圧力を設定するための第2受圧部とバネを有し、
前記パイロット圧生成回路は、更に、
前記建設機械の運転室に配置され、前記複数のアクチュエータの操作を不能とする第1位置と前記複数のアクチュエータの操作を可能とする第2位置との間で選択的に操作されるゲートロックレバーと、
前記チエックバルブの下流の前記第2油路に接続され、前記ゲートロックレバーの操作により切り換えられる切換弁とを有し、
前記切換弁は、前記ゲートロックレバーが前記第1位置にあるときは前記切換弁の下流の第4油路をタンクに連通させ、前記ゲートロックレバーが前記第2位置にあるときは前記切換弁の下流の前記第4油路を前記切換弁の上流の前記第2油路に連通させるよう構成され、
前記パイロット油圧源は、前記切換弁の下流の前記第4油路により構成されるパイロット圧供給油路を含み、
前記操作レバー措置の複数の減圧弁が前記複数の流量制御弁を操作するための指令パイロット圧を生成するときの元圧と、前記信号圧力生成弁が前記原動機の回転数に応じた前記第1信号圧力を生成するときの元圧が前記パイロット圧供給油路から供給されるように、前記複数の減圧弁と前記信号圧力生成弁を前記パイロット圧供給油路に接続し、
前記信号圧力生成弁が生成する前記第1信号圧力が前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部と前記アンロード弁の前記第2受圧部に導かれるように、前記信号圧力生成弁を前記ロードセンシング制御弁の前記第1受圧部と前記アンロード弁の前記第2受圧部に接続し、
前記ロードセンシング制御弁は、前記第1受圧部に導かれる前記第1信号圧力によって前記目標差圧を設定し、
前記アンロード弁は、前記第2受圧部に導かれる前記第1信号圧力と前記バネの付勢力とによって前記目標アンロード圧力を設定することを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記原動機により駆動されるパイロットポンプを更に備え、
前記回転数信号圧力生成装置の前記回転数検出部は、前記パイロットポンプの吐出油が通過する絞り弁を有し、
前記信号圧力生成弁は、前記絞り弁の前後差圧を絶対圧に変換し、この絶対圧を前記第1信号圧力として出力する差圧減圧弁であることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動装置において、
前記回転数信号圧力生成装置の前記回転数検出部は、前記原動機の回転数を検出する回転センサを有し、
前記回転数信号圧力生成装置は、前記回転センサの検出信号を入力し、前記信号圧力生成弁に制御信号を出力するコントローラを更に有し、
前記信号圧力生成弁は、前記コントローラから出力される制御信号により駆動され前記第1信号圧力を出力する電磁比例減圧弁であることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241742(P2012−241742A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109917(P2011−109917)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】