説明

張力のある窒化シリコン膜のスパッタリングシステムおよび方法

張力のある窒化シリコン膜をスパッタリングするためのシステムおよび方法が提供される。より具体的には、一実施形態においては、シリコンを含むターゲットを備えるプロセスチャンバ内に窒素ガスを導入するステップと、プロセスチャンバを金属領域とポイズン(窒化物)領域の間の遷移領域内に置くステップと、ターゲットに電圧を印加するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して窒化シリコン膜の堆積に関し、より具体的には、張力のある(tensile)窒化シリコン膜のスパッタリングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この節は、以下に記述され、および/または請求される、本発明のさまざまな態様に関連している当技術分野のさまざまな態様を、読者に紹介することが意図されている。この説明は、読者に背景知識を提供することで、本発明のさまざまな態様のより深い理解を促進する助けとなると考えられる。したがって、これらの陳述は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読みとられることが理解されよう。
【0003】
多くの人々は一般に、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサおよび/または他の周辺装置に接続している一つ以上のメモリ素子に蓄積されるソフトウェアプログラムの制御下で特定の機能を行う、本来一般的な素子であることを知っている。これらのマイクロプロセッサおよびメモリ素子は一般に、典型的には一つ以上の半導体材料から製造される、多くの異なる種類の集積回路を含む。これらの集積回路は、マイクロプロセッサおよび/またはメモリ素子が、電子装置でさまざまな機能を実行したり、制御したりできるよう、共に作動する。集積回路は典型的に、任意の数の適切な製造プロセスによって半導体ウェハ表面に製造される。これらの製造プロセスの一つは、“積層(layering)”として知られている。積層は概して、酸化などの成長プロセスによって、あるいは、化学気相成長法(“CVD”)または、“スパッタリング”とも言われる物理的気相成長法(“PVD”)などの堆積プロセスによって、ウェハの表面に材料を付加することを言う。
【0004】
ウェハの表面に付加される多くの適切な層の一つは、窒化シリコン(“SiN”)膜である。集積回路の製造において、SiN膜についての適切かつ有益なさまざまな利用法がある。例えば、SiN膜は、完成した集積回路を覆って、下にある集積回路とその構成要素を保護する、最終的なパッシベーション層を形成するために用いられてもよい。さらに、SiN膜は、マルチメタライゼーション(multimetallization)機構における中間誘電体層、ポリシリコン層とメタライゼーション層間の絶縁物、ドーピングバリア(doping barriers)、拡散源、分離領域、および/またはシリコンゲート構造の一部として、使用されてもよい。
【0005】
いろいろな応用例にとって、SiN膜の下にある任意の金属層への熱による損傷の可能性を最小化するために、室温または室温付近でSiN膜を堆積することは有益である。最近まで、SiN膜を室温で堆積する唯一の技術は、全く効率のよくないCVDプロセスによるものであった。しかしながら最近の進歩により、PVDまたはスパッタリングを利用してSiN膜の堆積が容易になっている。スパッタリングにおいては、アルゴンなどの作用ガスが、積層されるウェハと所望の膜材料(“ターゲット”として知られる)のスラブを含む、プロセスチャンバに導入される。それから、何らかの形態の電気(electricity)が、作用ガスの原子をイオン化するために使用される。その後、イオン化されたガス原子はターゲットに引きつけられる。イオン化したガス原子がターゲットに衝突する時、ターゲットから原子を“knock off(叩き出し)”する。これらの叩き出された原子は、その後プロセスチャンバの底に向かって落ち、そこで、叩き出された原子は膜をつくるためにウェハの表面に堆積する。
【0006】
しかしながら不都合なことに、SiN膜のスパッタリングは、今でも一般的に、圧縮応力を持つSiN膜をスパッタリングすることに限られている。当業者は認識するように、圧縮
応力下の膜は負の膜応力を持ち、それによって集積回路の下にある層を凸型の形状に曲げる傾向がある。しかしながら、いろいろな応用例について、張力のあるSiN膜(下にある層を凹型の形状に曲げる傾向のある、正の膜応力を持つSiN膜)は都合がよい。例えば、張力のあるSiN膜で構成された負チャネル金属酸化物半導体(“NMOS”)ゲート構造は、圧縮力のあるSiNで構成された同様のNMOSよりもよく作動する。前述のように、張力のあるSiN膜のスパッタリングのシステムと方法は望ましいものである。
【発明の開示】
【0007】
当初請求された発明の範囲と同一のある態様は、以降に示される。これらの態様は、本発明が取りうるある形式の簡潔な概要を読者に提供するために、単に示されているに過ぎず、ならびに、これらの態様は本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されるであろう。実際、本発明は以降に示されていない様々な態様も包含する。
【0008】
張力のある窒化シリコン膜のスパッタリングのためのシステムおよび方法が提供される。より具体的には、一実施形態において、窒素ガスをシリコンを含むターゲットを備えるプロセスチャンバに導入すること、プロセスチャンバを金属領域とポイズン(窒化物:poisoned)領域の間の遷移領域に配置すること、ターゲットに電圧を印加すること、を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一つ以上の具体的な実施形態が以下に記述される。これらの実施形態について簡潔な記述を提供しようと努めることから、実際の実施例の全ての特徴がこの明細書に記述されているわけではない。全てのそのような実際の実施例の開発において、全ての技術または設計の計画におけるのと同様に、システム関連の制約、またはビジネス関連の制約へ追従することなどの開発者に特有の目標を成し遂げるために、多くの実施例特有の決定がなされなければならず、これは実施例によって異なってもよいことが認識されよう。さらに、そのような開発努力は複雑かつ時間を消費するものであるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を有する当業者に対しては、設計、製作、製造の決まりきった仕事(ルーチンワーク)となってしまうことが、認識されよう。
【0010】
ここに記述された一つ以上の実施形態は、張力のある窒化シリコン(“SiN”)膜をスパッタリングするシステムおよび/または方法に割り当てられるものである。より具体的には、一実施形態において、窒素ガスの限界量が、少なくとも6.5 ミリトール(“mT”)の圧力でプロセスチャンバに導入される。窒素ガスが導入され、プロセスチャンバの圧力が設定されると、張力のあるSiN膜のスパッタリングを促進するために、電圧がシリコンターゲットに印加される。
【0011】
初めに、図1を参照すると、一実施形態にしたがった張力のあるSiN膜をスパッタするために形成された例示的なプロセスチャンバ組立て品(assembly)のブロック図が示され、全体が、参照数字10によって表される。組立て品10は、プロセスチャンバ12、電圧源14、ガス源16、可変ゲートバルブ18(「『スロットル』バルブ」としても知られる)、および極低温ポンプ20を含んでもよい。一実施形態においては、プロセス組立てチャンバ10は、Applied Materials Corporation of Santa Clara, California により製造されるEndura TM システムの構成要素となりうる。しかしながら、代替の実施形態においては、プロセスチャンバ組立て品10は、他の適切な半導体処理システムの一部となりえ、または、独立した組立て品となってもよい。さらに、示されたプロセスチャンバ組立て品10の構成要素が限定的であることを意図しないことが認識されよう。そのように、代替の実施形態では、他の適切な構成要素がプロセスチャンバ組立て品10に含まれてもよく、および/または、示された構成要素の一つ以上が割愛されたり、置き換えられたりしてもよい。
【0012】
プロセスチャンバ12もまたターゲット22を含む。一実施形態においては、ターゲット22は、シリコンまたはポリシリコンの平面形状のスラブを含み、スラブは、ターゲットにスパッタを行うのに十分な導電性を与えるように、低濃度の他の物質(ホウ素など)が注入されてもよい。しかしながら、代替実施形態においては、ターゲット22は他の形状であってよく、および/または、他の適切な材料からなってもよい。一実施形態においては、シリコンのスラブまたはポリシリコンのスラブは、金属の裏打ちプレート(不図示)に乗せられ、示されるように電圧源14に接続してもよい。以下に、より詳細に説明されるように、一実施形態においては、電圧源14は金属裏打ちプレートにDC電圧を加えるように形成され、ターゲット22からのシリコン原子のスパッタリングを促進する。代替実施形態においては、電圧源14はパルス化したDC電源を含む。
【0013】
プロセスチャンバ12はまた、ターゲット22の周囲および/または後ろに配列された磁石24を含む。当業者であれば認識するように、磁石24は、ターゲットの前で電子を捕らえ、および/または電子を閉じ込めるように形成され、プロセスチャンバ12内でのスパッタリング効率を上げる。磁石24は低圧でのスパッタリングを可能にし、これは、張力のあるSiN膜をつくるために有利となる。磁石24は単独で記述されているが、代替の実施形態では、任意の適切な数の個々の磁石が磁石24を含んでもよいことが認識されよう。なお、さらに他の実施形態においては、磁石24はプロセスチャンバ12から割愛されてもよい。
【0014】
暗部シールド(dark space shield :“DSS”)26はターゲット22のいずれの側に配列されてもよい。この暗部シールド26は、シールド28と共同して、プロセスチャンバ12の内部をターゲット22から放出(sputter)されているシリコン原子から保護する。より具体的には、当業者であれば認識するように、暗部シールドおよびシールド28は典型的に、プロセスチャンバの底のウェハ30に衝突しないような軌道でターゲット22から放出(sputter)されたそれらの原子をターゲット22から受けとる消耗部品である。言い換えると、シリコン原子がターゲット22から叩き出される際、叩き出された原子の一部のみが叩き出され、それらの軌道がウェハ30に衝突する。ウェハ30にぶつからない原子は、最後には暗部シールド26またはシールド28のいずれかに付着する。最終的に、十分な量のシリコンが暗部シールド26およびシールド28に蓄積した際には、これらの構成要素は交換することができる。このように、暗部シールド26およびシールド28はプロセスチャンバ12の内部を保護する。
【0015】
図1に示されるように、ウェハ30(シリコンウェハまたは他の適切な半導体基板を含んでよい)は、台座32上に乗せてもよい。さまざまな実施形態においては、ウェハ30は台座32に連結されておらず、台座32にクランプ(clamp)で留められてもよく、または台座32に静電的にチャック(chuck)で固定されてもよい。
【0016】
次に、プロセスチャンバ組立て品10の動作を見てみると、ガス源16はアルゴンなどの作用ガスをプロセスチャンバ12内に供給するように形成されてもよい。加えて、ガス源16はまた、プロセスチャンバ12内に窒素を導入してもよい。さらに以下に示されるように、導入された窒素ガスはSiN膜をつくることができる。一実施形態においては、作用ガスと窒素ガス両方の流れは、マスフローコントローラー(mass flow controllers:“MFCs”)によって制御されてよい。さらに、一実施形態においては、プロセスチャンバ12内に導入される作用ガスと窒素ガスの量は、標準立方センチメートル毎分(“sccm”)の単位で測定されてもよい。
【0017】
いったん作用ガスと窒素ガスがプロセスチャンバ12に導入されると、ゲート値18がプロセスチャンバをプロセス圧力にするように、設定されてもよい。例えば、以下に説明するように、ゲート値18が、プロセスチャンバ圧力を遷移領域(transition region)と関連する圧力閾値に、もしくは閾値より大きくするように、設定されてもよい。一実施形態に
おいては、圧力閾値は6.5 ミリトール(“mT”)以上である。しかしながら、認識されるように、閾値圧力レベルは、窒素および/またはアルゴンガスの流速、チャンバ体積、ポンピング速度、堆積速度などに依存して変化しうる。一実施形態においては、チャンバ圧力閾値に、または閾値より高く、プロセス圧力を促進するように、ゲートバルブ18の位置が調整されてもよい。しかしながら、認識されるように、代替実施形態では、他の適切な種類のポンピング装置がプロセスチャンバ12の圧力を設定するために使用されてもよい。
【0018】
ガス源16がアルゴンおよび窒素をプロセスチャンバ12に供給し、極低温ポンプ20がチャンバ圧力を6.5 mTより高く維持している時、電圧源14はカソード電圧をターゲット22に印加するように設定されてもよい。一実施形態では、電圧源14はパルス化したDC電源を含んでもよい。以下に説明されるように、パルス化したDC電源は、一連のプロセス条件下で、プロセスチャンバ12内に遷移領域を都合よく形成する。さらに、パルス化したDC電源はターゲット22から放出(sputter)するのにも都合がよく、これは、遷移領域(以下により詳しく説明される)で動作する場合、誘電性SiN表面を形成しうる。代替実施形態では、以下に説明されるように、(電圧源が)遷移領域を提供するように設定されている場合、RF電源のような他の種類の電圧源が使用されてもよい。
【0019】
上述のように、ターゲット22に電圧を印加することで、作用ガス内のアルゴン原子が帯電し、ターゲット22からウェハ30上に原子を放出(sputter)するプラズマ34を生成する。シリコン原子がターゲット22から放出(sputter)されるにつれ、プロセスチャンバ12内の窒素ガスと結合し、ウェハ30にSiN膜をつくる窒化シリコン(“SiN”)を形成する。
【0020】
上述のように、ガス源16は、SiN膜をつくるスパッタリングの間に、窒素ガスをプロセスチャンバ12に導入するように設定されうる。しかしながら、導入された反応性ガスとしての窒素はターゲット22に作用する。より具体的には、導入された窒素はイオン化もし、シリコンターゲット22と反応する。ターゲット22に対する反応速度が十分に速い(ターゲット22からの放出(sputter)よりも速い)場合には、ターゲット22上に窒化物表面が蓄積される。この状況は「ポイズン(窒化物:poisoned)」モードとして知られている。ポイズン(窒化物)モードでは、ウェハ30上への堆積は大いに減少するか、もしくは全て停止する。しかしながら、スパッタリングが十分に速い速度である場合、もしくはチャンバ内に窒素ガスがあまり無い場合は、窒化物はターゲット22の表面上に蓄積することができない。この状態は「金属モード」もしくはノンポイズン(非窒化物:non-poisoned)モードとして知られる。金属モード(metallic mode)という用語は、スパッタリングされる第一の材料の間にあった金属の、スパッタリングの残存物である。このように、ここに説明される金属モードは金属の堆積を含まないことが認識されるであろう。
【0021】
ポイズン(窒化物)モードを検出するための一つの技術は、ターゲット22のカソード電圧をモニターすることである。なぜなら、ターゲット22のカソード電圧はターゲット22上に形成される窒化物に影響されるからである。より具体的には、ターゲット22のカソード電圧は、ターゲット22を流れる電流で除した、電圧源14から加えられる電力の関数であることが認識されるであろう。しかしながら、ポイズン(窒化物)モードでは、プロセスチャンバ内の窒素の量が二次電子の発生を増加させ、このことは、ターゲット電流を増加させ、カソード電圧を減少させる。例えば、図2は、一実施形態に基づく、例示的なSiNヒステリシス曲線42を説明するグラフ40である。図2に説明されるように、およそ10.4 sccmの窒素ガス流量以下で、ターゲット22のカソード電圧は、380ボルトから390ボルトの間で比較的一定である。このカソード電圧レベルでは、プロセスチャンバ12は金属モード(金属領域44と称される)で動作している。この金属領域44では、ターゲット22はポイズン化(窒化)されておらず、シリコン原子はプロセスチャンバ12内のターゲット22から放出(sputter)されうる。
【0022】
窒素流量がある一定の値(例えば、およそ14 sccm)に達する場合、ターゲット22はポイズン(窒化物)となりえ、プロセスチャンバ12はポイズン(窒化物)領域46に入る。ポイズン(窒化物)領域46では、ターゲット22のカソード電圧は大幅に落ちこみ(例えば、図2では310ボルトまで落ちている)、ターゲット22のシリコン原子のスパッタリングは大いに減少するか、もしくは停止する。なぜなら、窒化物が、ターゲットが放出(sputter)されうるより早く、ターゲット22の表面に蓄積しているからである。
【0023】
しかしながら、図2でも説明されるように、金属領域44とポイズン(窒化物)領域46の間に遷移領域48が存在する。プロセスチャンバ12が遷移領域48にある場合、ターゲット22のカソード電圧は窒素ガスの量と共に極めて急激に変動する。さらに、以下に説明されるように、プロセスチャンバ12内の圧力が閾値6.5 mT(チャンバ条件の設定について、上述のように)より高い場合、遷移領域の間にスパッタされたSiN膜は、張力のあるSiN膜となり、それに対して、金属領域もしくはポイズン(窒化物)領域でのスパッタリングは圧縮応力を持つSiN膜を形成する。
【0024】
上述のように、さまざまな応用例について、張力のあるSiN膜(下にある層を凹型の形状に曲げる傾向のある、正の膜応力を持つSiN膜)をスパッタリングすることは有利である。例えば、張力のあるSiN膜で構成された負チャネル金属酸化物半導体(“NMOS”)ゲート構造は、圧縮応力のあるSiN膜で構成された同様のゲート構造よりも、よく機能する。しかしながら、これは張力のあるSiN膜スパッタリングの効果の単に一例に過ぎず、排他的であることを意味しないことが認識されよう。
【0025】
図3は、一実施形態にしたがった二つの例示的なプロセス圧力に対する、窒素流量とSiN膜応力間の関係を示すグラフ50である。チャンバ圧力5.3 mTでのSiN膜応力対窒素流量を表す曲線52によって示されるように、窒素流量が6 sccmから21 sccmの間(すなわち、金属領域、遷移領域、ポイズン(窒化物)領域中)、SiN膜応力は圧縮応力(すなわち負)にとどまっている。しかしながら、曲線54によって示されるように、プロセスチャンバ12が遷移領域にある場合、チャンバ圧力が10.4 mTの時、膜応力は引張り応力(すなわち、正)となる。
【0026】
この引張り膜応力とプロセスチャンバ12の圧力の関係は、図4にさらに示される。図4は、遷移領域(曲線62)、ポイズン(窒化物)領域46(曲線64)、および金属領域48(曲線66)にあるプロセスチャンバの動作に関する、プロセスチャンバ圧力とSiN膜応力の関係を示す、グラフ60を示す。図4に示されるように、SiN膜の膜応力が引張り応力(すなわち正)になるのは、遷移領域の間のみである。さらに、図4に示されるように、張力のあるSiN膜は、プロセスチャンバ12内のプロセス圧力がおよそ6.5 mTより高い場合にのみ形成される。
【0027】
次に図5について言えば、一実施形態にしたがって張力のあるSiN膜をスパッタする例示的な技術を示すフローチャートが示され、全体に亘って参照番号70と称される。一実施形態において、技術70は、図1に示されるプロセスチャンバ組立て品10で行われうる。しかしながら代替実施形態では、他の適切な組み立て品および/またはプロセス装置が技術70を行うのに使用されてもよい。
【0028】
図5のブロック72で示されるように、技術70は、窒素ガスおよびアルゴンガスをプロセスチャンバ12に導入するガス源16から始まる。上述のように、窒素ガスはプロセスチャンバ12を遷移領域48内に置くのに十分なレベルで導入される。例えば、一実施形態において、ガス源は窒素ガスを8 sccmから14 sccmの間の流速で導入しうる。しかしながら、プロセスチャンバ12内に導入された窒素ガスの量は、チャンバの種類とプロセス条件に依存することが認識されよう。そのように、代替実施形態においては、異なる窒素ガスの量が、プロセスチャンバ12を遷移領域48に置くのに適切でありうる。
【0029】
次に、ブロック74によって示されるように、プロセスチャンバ12内のプロセス圧力は少なくともおよそ6.5 mTに設定される。一実施形態では、極低温ポンプ20の作動およびゲートバルブ18の位置はプロセスチャンバ12の圧力を少なくとも6.5 mTに設定するために調整される。最後に、ブロック76によって示されるように、電圧源14がターゲット22に電圧を印加する。上述のように、一実施形態では、電圧源14は、ターゲット22にDC電圧を印加するように構成された時間変動のパルス化したDC電源を含んでもよい。有利なことに、RF電源とは異なり、パルス化したDC電源はマッチング(matching)を必要としないため、購入および/または作動に費用がかからない。最終的に、ターゲット22に電圧を印加することによって、ウェハ30上にSiN膜のスパッタリングを促進するプラズマ34を発生させる。
【0030】
本発明は、さまざまな変形例および代替形態が可能であるが、具体的な実施形態は図面において例として示されており、ならびに、本明細書に詳細に記述されている。しかしながら、本発明は、開示された具体的な形態に限定されることは意図しないことが理解されるであろう。さらに、本発明は、以降の付随する請求項によって規定される本発明の本質と範囲に入る、全ての変形例、均等物、および代替物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の効果は、以下の詳細な記述を読むことによって、および、図を参照することによって明らかとなる。
【図1】本発明の実施形態にしたがって、張力のあるSiN膜をスパッタリングするために形成された、例示的なプロセスチャンバ組立て品の図である。
【図2】本発明の実施形態にしたがった例示的なSiNのヒステリシス曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態にしたがった二つの例示的なプロセスチャンバ圧力に対する、窒素流量とSiN膜応力間の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態にしたがった、金属領域、遷移領域、およびポイズン(窒化物)領域でのプロセスチャンバの動作に対する、プロセスチャンバ圧力とSiN膜応力間の関係を示すグラフである。
【図5】張力のあるSiN膜をスパッタリングするための例示的な技術を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含むターゲットを備えるプロセスチャンバ内に、窒素ガスを導入するステップと、
前記プロセスチャンバを、金属領域とポイズン領域の間の遷移領域内に置くステップと、
電圧を前記ターゲットに印加するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記窒素ガスを前記プロセスチャンバ内に導入するステップが、8 sccmから14 sccmの間で導入するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスチャンバを遷移領域内に置くステップが、前記プロセスチャンバの圧力をおよそ6.5 mT以上に設定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電圧を前記ターゲットに印加するステップが、パルス化したDC電圧を前記ターゲットに印加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電圧を前記ターゲットに印加するステップが、前記電圧を金属プレートに印加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
作用ガスを前記プロセスチャンバに導入するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
張力のあるSiN膜をウェハ上にスパッタするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
シリコンを含むターゲットを備えるプロセスチャンバであって、前記プロセスチャンバは、金属領域とポイズン領域の間の遷移領域に入るように形成されるプロセスチャンバと、
窒素ガスを前記プロセスチャンバ内に導入するように形成されるガス源と、
電圧を前記ターゲットに印加するように形成される電圧源と、
を含む、半導体製造装置。
【請求項9】
前記プロセスチャンバは、少なくとも6.5 mTのプロセス圧力を確立することによって、前記遷移領域に入るように形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセスチャンバは、極低温ポンプおよび可変ゲート値を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ガス源は、前記プロセスチャンバに少なくとも10 sccmの速度で窒素ガスを導入するように形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記ガス源は、前記プロセスチャンバにおよそ14 sccm以下の速度で窒素ガスを導入するように形成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセスチャンバは、Endura TM プロセスチャンバを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記電圧源はDC電圧源を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記ターゲットは金属プレートを含み、前記電圧源は前記電圧を前記金属プレートに印
加するように形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
窒素ガスを、シリコンを含むターゲットを備えるプロセスチャンバ内に導入するステップと、
前記プロセスチャンバを、金属領域とポイズン領域の間の遷移領域内に置くステップと、
電圧を前記ターゲットに印加するステップと、
によって形成される、張力のある窒化シリコン膜。
【請求項19】
前記窒素ガスを前記プロセスチャンバ内に導入するステップが、8 sccmから14 sccmの間で導入するステップを含む、請求項18に記載の張力のある窒化シリコン膜。
【請求項20】
前記プロセスチャンバを遷移領域内に置くステップが、前記プロセスチャンバの圧力をおよそ6.5 mT以上に設定するステップを含む、請求項18に記載の張力のある窒化シリコン膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−529242(P2009−529242A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558387(P2008−558387)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/005886
【国際公開番号】WO2007/103471
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】