説明

弾性表面波デバイス

【課題】弾性表面波素子片をフェースダウン接合により接合し、駆動可能な状態で周波数調整することが可能な弾性表面波デバイスを提供する。
【解決手段】パッケージ30の凹部の凹底部分に接続された支持部40上には、支持部の接続端子45bおよびそれと対をなす接続端子に、中継基板20の一端側に設けられた第2の電極端子25a,25bが接合部材48を介して接合され、中継基板20が、第1の電極端子22a,22bが設けられた他端側を突出させた状態で支持部40上に片持ち支持されている。中継基板20の他端側に設けられた第1の電極端子22a,22bには、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bが接合部材47を介してフェースダウン接合により接合され、SAW共振子10は、IDT電極12などが形成された主面14を、パッケージ30の凹底面と対向しない方向で上側に向け、パッケージ30に接触しない態様で片持ち支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やテレビ受像機などの電子部品や通信部品において、共振子や帯域フィルタ等として、圧電基板の表面に形成したIDT(Interdigital Transducer)電極により圧電体表面に弾性表面波を励振させたり、弾性表面波を検出したりするように構成された弾性表面波素子片(以下「SAW(Surface Acoustic Wave)素子片」という)を使用した弾性表面波デバイス(以下「SAWデバイス」という)が使用されている。SAW素子片は、水晶やニオブ酸リチウムあるいはタンタル酸リチウムなどの圧電材料からなる圧電基板上に、IDT電極と外部接続電極とが少なくとも設けられた素子片として形成され、外部接続電極を介してIDT電極に高周波を印加することにより、該素子片の表面に沿って表面波が伝播するものである。
近年、急速に普及してきている携帯電話などの電子機器においては、高機能化や小型化へのニーズがますます高まっており、これに伴って、電子機器に用いられるSAWデバイスの小型化や周波数特性などの機能の充実、および低コスト化の要求が高まっている。このような小型化や高機能化、および低コスト化が可能なSAWデバイスとして、基板にフェースダウン接合を用いてSAW素子片を接合したSAWデバイスが、例えば特許文献1に示されている。
【0003】
特許文献1のSAWデバイス(弾性表面波素子デバイス)は、圧電基板の同一面にIDT電極および複数の外部接続電極(電極パッド)が形成されたSAW素子片(弾性表面波チップ)と、基板とを有し、SAW素子片の外部接続電極と基板の電極端子(電極パッド)とを接合部材(バンプ)を介してフェースダウン接合することにより接続されている。そして、SAW素子片のIDT電極および外部接続電極の周辺部と、基板の電極端子の周辺部とが、連続環状の封止材により気密に結合されている。このように、フェースダウン接合により基板に接合されたSAW素子片は、内部にひずみが生じにくいので、SAW素子片の内部に応力が残存してしまった場合に起こりうる周波数特性への悪影響を回避することができ、また、SAW素子片と基板とを接合部材を介してフェースダウン接合する実装構造により小型化が可能であるとともに、比較的低コストで製造することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−213873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SAWデバイスに用いられるSAW素子片は、ウェハ状態で複数個が同時に作成されるため、個々のSAW素子片には周波数のばらつきがあり、基板に接合した駆動可能な状態で周波数調整を行なう必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のSAWデバイスではSAW素子片のIDT電極形成面を基板と対向させて接合されるので、IDT電極形成面と基板との間には僅かな隙間しかなく、IDT電極が外部からほとんど見えない状態となる。このため、基板にSAW素子片を接合した状態で、IDT電極をトリミングしたり、またはIDT電極に錘を付与したりすることによる周波数調整を行なうことができないので、所望の周波数特性のSAWデバイスが得られず歩留りが低下する虞があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
〔適用例1〕本適用例にかかる弾性表面波デバイスは、基板と、圧電基板の一方の面上にIDT電極および該IDT電極に接続された外部接続電極が設けられた弾性表面波素子片と、接続端子が形成された支持部と、前記外部接続電極に接続される第1の電極端子および前記支持部の前記接続端子と接続される第2の電極端子が一方の面に設けられた中継基板と、を有し、前記IDT電極と前記中継基板とが平面視で重ならないように、前記弾性表面波素子片の前記外部接続電極と前記中継基板の前記第1の電極端子とが接合され、前記第2の電極端子と前記支持部の前記接続端子とが、前記圧電基板の他方の面が前記基板と相対する状態で接合されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、弾性表面波素子片のIDT電極が形成された面を基板と対向しない方向で、弾性表面波素子片と基板とを、弾性表面波素子片に生ずるひずみが少ないフェースダウン接合により接合されている。これにより、基板に接合した状態で、IDT電極をトリミングしたり、またはIDT電極に錘を付与したりすることにより周波数調整をすることが可能になる。したがって、周波数が精緻に調整されて製造歩留りが高く、優れた周波数特性を有する弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0009】
〔適用例2〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記基板がパッケージであり、該パッケージ内に前記弾性表面波素子片が接合されて封止されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、小型で信頼性が高く、優れた周波数特性を有するディスクリート型の弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0011】
〔適用例3〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記基板上に半導体回路素子が接合され、該半導体回路素子と前記弾性表面波素子片とが接続されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、所望の機能を有する半導体回路素子を搭載することにより、より高機能な弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0013】
〔適用例4〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記中継基板が前記弾性表面波素子片と同一材料からなることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、弾性表面波素子片と中継基板との熱膨張係数が等しいことにより、弾性表面波素子片と中継基板との接合部に外部の温度変化による熱歪みが生じ難くなるので、中継基板と接合された状態における弾性表面波素子片の特性劣化を抑制することができる。
【0015】
〔適用例5〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記中継基板が半導体回路素子であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、所望の機能を有する半導体回路素子を中継基板として用いることにより、別途に中継基板を用意することなく、小型で高機能化が図られた弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0017】
〔適用例6〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記支持部が半導体回路素子であることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、所望の機能を有する半導体回路素子を支持部として用いることにより、別途に中継基板を用意することなく、小型で高機能化の図られた弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0019】
〔適用例7〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、前記弾性表面波素子片の下方の前記基板面上に、前記弾性表面波素子片と接触される部分が前記IDT電極の形成領域と平面視で重ならない位置となる緩衝部材が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、振動や落下などの衝撃が加わった場合に、弾性表面波素子片の変位が緩衝部材によって規制され、弾性表面波素子片が基板に接触あるいは衝突することが避けられるとともに、緩衝部材が緩衝材となって衝撃が吸収される。これにより、耐衝撃性の優れた弾性表面波デバイスを提供することができる。
【0021】
〔適用例8〕上記適用例にかかる弾性表面波デバイスにおいて、複数の前記中継基板が前記弾性表面波素子片の両端側に接合されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、弾性表面波素子片の片側のみを中継基板を介して支持部により支持する場合に比して、弾性表面波素子片を安定させて支持することができ、耐衝撃性の高い弾性表面波デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、弾性表面波デバイスとしてのSAWデバイスの一実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のSAWデバイス1を説明するものであり、(a)は平面図、同図(b)は、(a)のA−A線断面図である。なお、(a)において、SAWデバイス1の上部に配置されるリッド34は、SAWデバイス1の内部の構成を説明する便宜上図示を省略し、リッド34が接合されたときの外形を示すリッド配置位置34'として二点鎖線にて示す。また、図2は、本実施形態のSAWデバイス1に搭載される弾性表面波素子片としてのSAW共振子10を説明するものであり、(a)は斜視図、(b)は、(a)のB−B線断面図である。また、図3は、本実施形態のSAWデバイス1に用いられる中継基板20を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のC−C線断面図である。
【0024】
図1に示すように、SAWデバイス1は、基板としてのパッケージ30と、該パッケージ容器の凹部の凹底部分に設けられた支持部40と、中継基板20と、SAW共振子10とを有している。SAW共振子10は、IDT電極12が形成された面を上側に向けて、且つ、パッケージ30の凹部の凹底部分に接触しない状態で、支持部40上に中継基板20を介して片持ち支持されている。そして、パッケージ30上にリッド34が接合され、SAW共振子10がパッケージ30内に気密に封止されている。
【0025】
〔SAW共振子〕
図2(a)に示すように、SAW共振子10は、水晶などの圧電材料からなる矩形状の圧電基板11上に、IDT電極12と、反射器13と、IDT電極12に接続された一対の外部接続電極19a,19bが備えられている。圧電基板11は表裏に主面14,15を有し、一方の主面14の同一面上にIDT電極12、反射器13、および外部接続電極19a,19bが形成されている。
IDT電極12は二つの櫛型の交差指電極を有し、一方の交差指電極のバスバーに連結された複数の電極指12aと、他方の交差指電極のバスバーに連結された複数の電極指12bとが、向かい合って互いに接触しないように配置されて形成されている。IDT電極12は、本実施形態ではアルミニウム(Al)で形成され、二つの交差指電極の電極指12aと電極指12bのそれぞれに逆相の電圧が印加されることで弾性表面波を励振できるように構成されている。
【0026】
外部接続電極19a,19bは、後述する中継基板20との接続に供する電極端子であって、中継基板20に接合されたときに、該中継基板20がIDT電極12と平面視で重ならない位置となるように配置されて形成されている。外部接続電極19aは、IDT電極12の一方の電極指12aを連結するバスバーに電極間配線18aにより接続され、外部接続電極19bは、IDT電極12の他方の電極指12bを連結するバスバーに電極間配線18bにより接続されている。
【0027】
反射器13は、IDT電極12を挟んだ両側に配置されて形成されている。そして、IDT電極12から伝搬された弾性表面波を反射器13で反射させて、圧電基板11の中央部にエネルギーを封じ込める役目を果たしている。なお、本実施形態では反射器13もIDT電極12と同様にアルミニウムで形成されている。
【0028】
図2(b)に示すように、IDT電極12における電極指12aと電極指12b間の距離は等間隔ピッチPにて形成され、励振される弾性表面波の波長λはλ=2Pの関係になる。また、IDT電極12は厚みHにて形成されている。また、圧電基板11の厚みtは弾性表面波の4波長(4λ)以上の厚みに設定されている。
【0029】
〔中継基板〕
図3に示すように、中継基板20は、絶縁材料からなる基材21上に、SAW共振子10と接続される一対の第1の電極端子22a,22bと、支持部40と接続される一対の第2の電極端子25a,25bとが設けられている。第1の電極端子22aと対応する第2の電極端子25aとは電極間配線24aにより接続され、第1の電極端子22bと対応する第2の電極端子25bとは電極間配線24bにより接続されている。
なお、本実施形態の中継基板20の基材21には、SAW共振子10と同じ水晶を用いている。このとき、水晶からなる基材21は、SAW共振子10と同じカット角と厚みであることがより好ましい。この構成によれば、SAW共振子10と中継基板20との熱膨張係数が等しくなることにより、外部の温度変化が生じたときにSAW共振子10と中継基板20との接合部に熱歪みが生じ難くなるので、中継基板20と接合された状態におけるSAW共振子10の特性劣化を抑制することができる。
【0030】
〔SAWデバイス〕
ふたたび図1に戻り、SAWデバイス1の構成について詳細に説明する。
図1(b)に示すように、パッケージ30は、セラミックス絶縁材料などからなる略矩形の平板状の第1層基板31、略矩形フレーム状の第2層基板32、およびシールリング33が、この順に積層されて形成されている。パッケージ30の外底部分となる第1層基板31の底面には、一対の実装端子35a,35bが設けられている。
また、パッケージ30の凹部の凹底部分には、絶縁材料からなるブロック状の基材の上面に接続端子45bを有する支持部40が設けられている。図中、接続端子45bの奥側には、中継基板20の第2の電極端子25a(図1(a)を参照)と対応し接続端子45bと対をなす接続端子(図示せず)が設けられている。なお、支持部40は、パッケージ30の一部として形成されたものでもよく、また、パッケージ30とは別体として用意し、それをパッケージ30に接合および接続する構成としてもよい。
接続端子45bおよびそれと対をなす接続端子は、支持部40および第1層基板31に形成された図示しない配線パターンまたはスルーホールなどの層内配線パターンにより、対応する実装端子35a,35bにそれぞれ接続されている。これらの接続端子45bおよびそれと対をなす接続端子、実装端子35a,35b、およびそれらを接続する配線パターンは、一般に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属配線材料をセラミックス絶縁材料上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)などのめっきを施すことにより形成される。
【0031】
支持部40上の接続端子45bおよびそれと対をなす接続端子には、中継基板20の一端側に設けられた第2の電極端子25a,25bが接合部材48を介して接合され、中継基板20が、第1の電極端子22a,22bが設けられた他端側を突出させた状態で支持部40上に片持ち支持されている。
中継基板20の他端側に設けられた第1の電極端子22a,22bには、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bが接合部材47を介して接合されている。SAW共振子10は、圧電基板11のIDT電極12や反射器13が形成された主面14(図2を参照)を中継基板20側に対向させて、且つ、少なくともIDT電極12が中継基板20と平面視で重ならない配置にて、所謂フェースダウン接合により接合されている。これにより、SAW共振子10は、IDT電極12などが形成された主面14を、パッケージ30の凹部の凹底部分の面と対向しない方向で上側に向けて、且つ、支持部40の有する厚みによりパッケージ30の凹部の凹底部分に接触しないように所定の隙間を設けた態様で、支持部40上に、中継基板20を介して片持ち支持されている。
なお、接合部材47,48には、例えば、導電性接着剤や半田などを用いることができる。また、接合部材47,48として、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bまたは中継基板の第1の電極端子22a,22b、第2の電極端子25a,25bに、金、あるいは、樹脂コアの表面に導電膜が形成された樹脂コアバンプなどのバンプを予め設けておく構成としてもよい。また、接合部材47と接合部材48は、SAW共振子10または支持部40と中継基板20との接合の便宜により、それぞれ異なる接合部材を用いる構成としてもよい。
【0032】
パッケージ30の上側には、例えば金属製のリッド34が、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金等をフレーム状に型抜きして形成されたシールリング33を介してシーム溶接され、パッケージ30内部に接合されたSAW共振子10が気密に封止されている。
【0033】
〔SAWデバイスの製造方法〕
次に、上記したSAWデバイス1の製造方法における、中継基板20とSAW共振子10との接合、および中継基板20と支持部40との接合方法ついて説明する。
SAWデバイス1において、SAW共振子10の支持部40上への中継基板20を介した接合では、まず、中継基板20とSAW共振子10とのフェースダウン接合による接合を先に行なう。
中継基板20とSAW共振子10とのフェースダウン接合には、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bが形成された主面14(図2を参照)と、中継基板20の第1の電極端子22a,22bが形成された面とを平行に対面させた状態でそれぞれを保持して、且つ、SAW共振子10と中継基板20との対面方向および水平方向の相対位置を移動可能な保持治具を用いて行なわれる。このとき、SAW共振子10、中継基板20それぞれの保持治具の少なくとも一方には、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bと中継基板20の第1の電極端子22a,22bとの接合部材47による接合温度に加熱することが可能なヒータを備えている。
上記の各保持治具にSAW共振子10および中継基板20をそれぞれ保持させ、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bと、対応する中継基板20の第1の電極端子22a,22bとを位置合わせしてから、接合部材47を介して各々を接触させ、さらに所定の圧力および温度にて所定時間の加熱・押圧を行なうことによりフェースダウン接合する。
【0034】
次に、SAW共振子10が接合された中継基板20と支持部40との接合を行なう。中継基板20と支持部40との接合においても、支持部40が設けられたパッケージ30と、SAW共振子10が接合された中継基板20とを、支持部40上に中継基板20が水平に接合されるようにそれぞれ保持することが可能な保持治具を用いて行なう。その保持治具にパッケージ30と中継基板20とをそれぞれ保持し、パッケージ30に設けられた支持部40の接続端子45bと、対応する中継基板20の第2の電極端子25a,25bとを位置合わせしてから、接合部材48を介して各々を接触させ、さらに所定の圧力および温度にて所定時間の加熱・押圧を行なうことにより接合する。
【0035】
〔周波数調整方法〕
上記した接合方法により、パッケージ30に設けられた支持部40上に、SAW共振子10が接合された中継基板20を接合した状態で、SAW共振子10の周波数調整を行なう。
SAW共振子10の周波数調整は、SAWデバイス1を駆動させた状態で、圧電基板11または圧電基板11に形成されたIDT電極12にプラズマを照射させてエッチングすることにより周波数を変化させ、変化する周波数をモニタリングしながら所望の周波数特性となるように調整される。
ここで、SAW共振子10は、IDT電極12をエッチングすると周波数が上がり、圧電基板11をエッチングすると周波数が下がることが知られている。
SAW共振子10の周波数調整に用いる周波数調整用の装置には、SAW共振子10が接合されたパッケージ30を収容可能な真空チャンバと、プラズマ照射装置と、SAW共振子10に駆動電圧を供給するとともに発振出力を検出する周波数カウンタが接続されたフィクスチャとが備えられる。周波数カウンタには、予め調整目標となる周波数データを有し、周波数カウンタから送られてくる検出周波数と比較する機能を備えた外部演算装置が接続されている。
【0036】
真空チャンバ内にSAW共振子10が接合されたパッケージ30を載置し、真空チャンバ内を所定の真空度まで排気してから、SAW共振子10に駆動電圧を供給すると、SAW共振子10からの電気出力が周波数カウンタを介して外部演算装置に送られる。外部演算装置において、送られたSAW共振子10の周波数と調整目標となる設定周波数が比較され、SAW共振子10の周波数が設定周波数と異なっていた場合に、プラズマ照射装置からIDT電極12またはその周辺の圧電基板11にプラズマが照射され、SAW共振子10が所望の周波数になるまでプラズマエッチングが行なわれる。具体的には、例えばCF4等の反応性ガスやアルゴンなどの不活性ガスがイオン化され、イオン化された粒子がSAWデバイス1のIDT電極12または圧電基板11に照射され、これによりIDT電極12または圧電基板11がエッチングされ周波数調整が行なわれる。
なお、IDT電極12に、金属などにより錘を付与することによってもSAW共振子10を周波数調整することが可能である。この場合、IDT電極12に錘を付与すると周波数が下がることが知られている。
【0037】
上記第1の実施形態のSAWデバイス1によれば、SAW共振子10のIDT電極12などが形成された主面14をパッケージ30の凹部の凹底部分の面と対向しない方向で、SAW共振子10に生ずるひずみが少ないフェースダウン接合により中継基板20に接合し、パッケージ30に設けられた支持部40上に、中継基板20を介してSAW共振子10を片持ち支持された態様で接合することができる。これにより、SAW共振子10を駆動可能な状態で、IDT電極12をトリミングしたり、またはIDT電極12に錘を付与したりすることにより周波数調整をすることが可能になる。したがって、周波数が精緻に調整されて製造歩留りが高く、優れた周波数特性を有するSAWデバイス1を提供することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態のSAWデバイス1では、中継基板20は、SAW共振子10と支持部40との電気的な接続を中継する目的の中継配線基板であった。これに限らず、所望の電気回路を備えた中継基板を用いることもでき、例えば、半導体回路素子を中継基板として用いることによって、より高機能化が図れたSAWデバイスを提供することができる。
図4は、半導体回路素子を中継基板として用いたSAWデバイス61を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のE−E線断面図である。なお、本実施形態のSAWデバイス61の構成のうち、中継基板として半導体回路素子60を用いること以外は上記第1の実施形態と同一であるため、上記第1の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
図4(b)において、SAWデバイス61のパッケージ30の凹部に設けられた支持部40上の接続端子45bには、例えば発振回路などが形成された中継基板としての半導体回路素子60の一端側に設けられた第2の電極端子65bが接合部材48を介して接合されている。同様に、図中、支持部40上の接続端子45bの奥側に設けられた接続端子(図示されず)には、半導体回路素子60の一端側に設けられた第2の電極端子65a(図4(a)を参照)が接合部材を介して接合されている。
これにより、SAW共振子10は、圧電基板11のIDT電極12や反射器13が形成された主面14(図2を参照)を半導体回路素子60側に対向させて、且つ、少なくともIDT電極12が半導体回路素子60と平面視で重ならない配置にて、所謂フェースダウン接合により接合されている。したがって、SAW共振子10は、IDT電極12などが形成された主面14を、パッケージ30の凹部の凹底部分の面と対向しない方向で上側に向けて、且つ、支持部40の有する厚みによりパッケージ30の凹部の凹底部分に接触しないように所定の隙間を設けた態様で、支持部40上に、半導体回路素子60を介して片持ち支持されている。
そして、パッケージ30の上側にはリッド34がシールリング33を介して接合され、パッケージ30内部に接合されたSAW共振子10および半導体回路素子60が気密に封止されている。
【0040】
上記第2の実施形態のSAWデバイス61によれば、所望の機能を有する半導体回路素子60を中継基板として搭載することによって、より高機能なSAWデバイス61を提供することができる。例えば、温度補償回路を有する半導体回路素子60を中継基板として用いた場合には、周辺の温度変化による周波数特性の変化が抑制されたSAWデバイス61を提供することができる。また、発振回路を有する半導体回路素子60を中継基板として用いた場合にはSAWデバイス61としての1チップタイプのSAW発振器を提供することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
上記第1および第2の実施形態では、ブロック状の絶縁材料からなる支持部40を用いたが、所望の電気回路を備えた半導体回路素子を支持部として用いる構成としてもよい。
図5は、半導体回路素子150を支持部として用いたSAWデバイス81を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のG−G線断面図である。なお、本実施形態のSAWデバイス81の構成のうち、上記第1および第2の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
図5(a)において、SAWデバイス81は、パッケージ230の凹部の凹底部分に接合された支持部としての半導体回路素子150と、該半導体回路素子150上に一端側が接合され他端側を水平方向に突出させて設けられた中継基板80と、該中継基板80の他端側に片持ち支持されるように接合されたSAW共振子10とを有している。
【0043】
パッケージ230は、セラミックス絶縁材料などからなる略矩形の平板状の第1層基板231、略矩形フレーム状の第2層基板232、第3層基板233、およびシールリング234が、この順に積層されて形成されている。パッケージ230の外底部分となる第1層基板231の底面には、一対の実装端子236a,236bが設けられている。また、パッケージ230の中央部分には、略矩形フレーム状の第2層基板232と第3層基板233のうち第2層基板232の方がフレーム枠が大きいことにより段差を有する凹部が形成されていて、この凹部の凹底部分にはダイパッド237が設けられている。また、凹部において第2層基板232の上面に形成される棚部には、半導体回路素子150と接続される複数の接続端子238が設けられている。
ダイパッド237上には、上面に複数のパッド155を有する半導体回路素子150が接着剤により接着・固定されている。複数のパッド155のうちの一部のパッド155は、対応するパッケージ230の接続端子238とボンディングワイヤ99により接続されている。
【0044】
中継基板80は、絶縁性基材の一主面に、SAW共振子10との接続に供する第1の電極端子82a,82bと、半導体回路素子150との接続または接合に供する第2の電極端子85a,85bおよび接合端子86a,86bを有している。ここで、第2の電極端子85a,85bは、対応する第1の電極端子82a,82bと、それぞれ図示しない電極間配線により接続されている。一方、接合端子86a,86bは半導体回路素子150との電気的な接続には寄与せず、半導体回路素子150上への中継基板80の接合において接合強度を確保するために設けられているものである。ただし、第2の電極端子85a,85bにより半導体回路素子150との接合強度が十分に確保できる場合は、接合端子86a,86bを設けない構成としてもよい。
【0045】
半導体回路素子150上の複数のパッド155のうち、パッケージ230の接続端子とボンディングワイヤ99により接続されたパッド155と異なる複数のパッド155と、対応する中継基板80の第2の電極端子85a,85bおよび接合端子86a,86bとは、接合部材48を介して接合されている(図5(b)を参照)。これにより、中継基板80は、第1の電極端子82a,82bが形成された端部側を半導体回路素子150から水平方向に突出させた状態で半導体回路素子150上に支持されている。
【0046】
図5(b)に示すように、中継基板80の第1の電極端子82a,82bには、SAW共振子10の外部接続電極19a,19bが接合部材47を介してフェースダウン接合により接合されている。これにより、SAW共振子10は、IDT電極12および反射器13が形成された主面を上側に向けて、半導体回路素子150の厚みによりパッケージ230の凹部の凹底部分から所定の隙間を設けた態様で、半導体回路素子150上に中継基板80を介して片持ち支持されている。
【0047】
パッケージ230の上側にはリッド235がシールリング234を介して接合され、パッケージ230内部に接合された支持部としての半導体回路素子150と、該半導体回路素子150上に片持ち支持されたSAW共振子10が気密に封止されている。
【0048】
上記構成のSAWデバイス81によれば、所望の機能を有する半導体回路素子150を支持部として搭載することによって、支持部をあらたに設けることなく、より高機能なSAWデバイス81を提供することができる。
【0049】
上記第1〜第3の実施形態で説明したSAWデバイス1,61,81は、以下の変形例として実施することも可能である。
【0050】
(変形例1)
上記第1〜第3の実施形態では、支持部40あるいは支持部としての半導体回路素子150上に、SAW共振子10を中継基板20,80あるいは中継基板としての半導体回路素子60を介して片持ち支持された構成を説明した。本変形例は、SAW共振子10が片持ち支持された態様のSAWデバイスの耐振動性および耐衝撃性を向上せしめるものである。
図6は、耐振動性および耐衝撃性を向上させたSAWデバイス51を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のD−D線断面図である。なお、本変形例のSAWデバイス51は、SAW共振子10の下方に緩衝部材を設けることを特徴とし、それ以外の構成は上記第1の実施形態のSAWデバイスと同じであるため、上記第1の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図6(a),(b)において、SAWデバイス51は、パッケージ30の凹部の凹底部分に設けられた支持部40上に、SAW共振子10がIDT電極12および反射器13が形成された主面を上側に向けて、且つ、パッケージ30の凹底部分と所定の間隔を設けた状態で、中継基板20を介して片持ち支持されている。
【0052】
SAW共振子10の下方の第1層基板31上には、衝撃を吸収する柔らかさを有する絶縁性樹脂からなる緩衝部材50が、SAW共振子10との間に所定の隙間を設けて、且つ、SAW共振子10に変位が生じて緩衝部材50と接触した場合にその接触部分が少なくともIDT電極12形成領域と平面視で重ならない位置に設けられている。なお、SAW共振子10と緩衝部材50との接触部分が反射器13形成領域とも平面視で重ならない位置に設けることがより好ましく、本変形例ではそのような態様となっている。また、緩衝部材50がSAW共振子10の振動特性に影響しない場合は、静止状態において、緩衝部材50がSAW共振子10と接触するように設けられていてもよい。
【0053】
上記した構成のSAWデバイス51によれば、SAWデバイス51に振動や落下などの衝撃が加わった場合に、SAW共振子10に変位が生じてパッケージ30に接触あるいは衝突することが避けられるとともに、緩衝部材50が緩衝材となって衝撃が緩和され、SAW共振子10の破損を防止することができる。したがって、振動や落下などの衝撃に対する耐衝撃性に優れたSAWデバイス51を提供することができる。
【0054】
(変形例2)
上記第1〜第3の実施形態では、支持部40あるいは支持部としての半導体回路素子150上に、SAW共振子10を中継基板20,80あるいは中継基板としての半導体回路素子60を介して片持ち支持された構成を説明した。これに限らず、SAW共振子の両端側を支持部により支持する構成としてもよい。
図7は、SAW共振子の両端側が、それぞれ中継基板を介して二つの支持部により支持された構成のSAWデバイス71を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のF−F線断面図である。なお、本変形例において、パッケージ130、およびSAW共振子110上に形成されたIDT電極、反射器、外部接続電極等の構成は、上記第1および第2の実施形態と同じであるため同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図7(a)において、SAWデバイス71は、パッケージ130の凹部の凹底部分の両端側に、第1の支持部140Aと第2の支持部140Bがそれぞれ設けられている。第1の支持部140A上には、第1の中継基板70Aの一端側が接合され、他端側を水平方向に突出させている。また、第2の支持部140B上には、第2の中継基板70Bの一端側が接合され、他端側を水平方向に突出させている。第1の中継基板70Aの他端側と第2の中継基板70Bの他端側は、所定の間隔を設けて向かい合っている。そして、中継基板70A,70Bそれぞれの他端側の間には、IDT電極112および反射器113が形成された主面を上側に向けた状態のSAW共振子110が、その両端部分を第1の中継基板70Aと第2の中継基板70Bのそれぞれの下側に接合されて架設されている。
ここで、SAW共振子110の基本的な構成は図1に示すSAW共振子10と同一であるが、図1における圧電基板11の外部接続電極19a,19bが形成された領域の、IDT電極12および反射器13が形成された領域を挟んだ反対側に、第2の中継基板70Bと接続するための外部接続電極(第2の外部接続電極)を形成するための領域が加えられた構成となっている。
【0056】
第1の中継基板70Aは、第1の支持部140Aに接合される一端側に第2の電極端子75Aa,75Abを有し、他端側にSAW共振子110と接合される第1の電極端子72Aa,72Abを有している。図示はしないが、第1の電極端子72Aaと第2の電極端子75Aa、第1の電極端子72Abと第2の電極端子75Abは、電極間配線によりそれぞれ接続されている。
また、第2の中継基板70Bは、第2の支持部140Bに接合される一端側に第2の電極端子75Ba,75Bbを有し、他端側にSAW共振子110と接合される第1の電極端子72Ba,72Bbを有している。なお、本実施形態では、第2の中継基板70Bは、接合されるSAW共振子110との電気的な接続は行なわずに、SAW共振子110との機械的な接合のみに供するものとして説明する。
【0057】
図7(b)において、第1の支持部140A上の接続端子145Abには、第1の中継基板70Aの一端側に設けられた第2の電極端子75Abが接合部材48を介して接合されている。同様に、図中、接続端子145Abの奥側には接続端子145Abと対をなす接続端子(図示せず)が設けられていて、第1の中継基板70Aの第2の電極端子75Aa(図7(a)を参照)と接合部材を介して接合されている。
また、第2の支持部140B上の接続端子145Bbには、第2の中継基板70Bの一端側に設けられた第2の電極端子75Bbが接合部材48を介して接合されている。同様に、図中、接続端子145Bbの奥側には接続端子145Bbと対をなす接続端子(図示せず)が設けられていて、第2の中継基板70Bの第2の電極端子75Ba(図7(a)を参照)と接合部材を介して接合されている。
【0058】
第1の中継基板70Aの第1の電極端子72Abには、SAW共振子110の一端側に設けられた第1の外部接続電極119Abが接合部材47を介して接合されている。同様に、図中、第1の外部接続電極119Abの奥側には、その第1の外部接続電極119Abと対をなす第1の外部接続電極(図示せず)が設けられていて、その第1の外部接続電極が第1の中継基板70Aの第1の電極端子72Aa(図7(a)を参照)と接合部材を介して接合されている。
また、SAW共振子110の他端側に設けられた第2の外部接続電極119Bbには、第2の中継基板70Bの第1の電極端子72Bbが接合部材47を介して接合されている。同様に、図中、第2の外部接続電極119Bbの奥側には、その第2の外部接続電極119Bbと対をなす第2の外部接続電極(図示せず)が設けられていて、その第2の外部接続電極が第2の中継基板70Bの第1の電極端子72Ba(図7(a)を参照)と接合部材を介して接続されている。
【0059】
そして、パッケージ130の上側にはリッド134がシールリング133を介して接合され、パッケージ130内部に接合されたSAW共振子110が気密に封止されている。
【0060】
上記構成のSAWデバイス71によれば、SAW共振子の片側のみを中継基板を介して支持部により片持ち支持する場合に比して、SAW共振子を安定させて支持することができ、耐衝撃性の高いSAWデバイス71を提供することができる。
【0061】
(変形例3)
上記第2および第3の実施形態のSAWデバイス61,81では、中継基板または支持部として半導体回路素子60,150を用いた。これに限らず、支持部あるいは中継基板などのSAW共振子の支持構造体とは別に、SAWデバイス内に半導体回路素子を搭載する構成としてもよい。
図8は、半導体回路素子を搭載したSAWデバイス91を説明するものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のH−H線断面図である。なお、本例のSAWデバイス91のうち、SAW共振子の構成は第1の実施形態のSAW共振子10と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
図8(a)において、SAWデバイス91は、パッケージ330の凹部の凹底部分に設けられた支持部340と、該支持部340上に一端側が接合され他端側をパッケージ330の凹部内に突出させて設けられた中継基板90と、該中継基板90の他端側に片持ち支持されるように接合されたSAW共振子10とを有している。
【0062】
パッケージ330は、セラミックス絶縁材料などからなる略矩形の平板状の第1層基板331、略矩形フレーム状の第2層基板332、第3層基板333、およびシールリング334が、この順に積層されて形成されている。パッケージ330の外底部分となる第1層基板331の底面には、一対の実装端子336a,336bが設けられている。また、パッケージ330の中央部分には、略矩形フレーム状の第3層基板333よりも第2層基板332の方がフレーム枠が大きいことにより段差を有する凹部が形成されていて、この凹部の凹底部分にはダイパッド337が設けられている。また、凹部において第2層基板332の上面に形成される棚部には、半導体回路素子250と接続される複数の接続端子338が設けられている。
ダイパッド337上には、上面に複数のパッド255を有する半導体回路素子250が接着剤により接着・固定されている。複数のパッド255と、対応するパッケージ330の接続端子338とは、ボンディングワイヤ99により接続されている。
【0063】
図8(b)において、パッケージ330の凹部には、絶縁材料からなるブロック状の基材の上面に接続端子345bを有する支持部340が設けられている。なお、本例の支持部340は、パッケージ330の凹部内の第2層基板332上に設けられているが、第1層基板331上に設ける構成としてもよい。
支持部340上の接続端子345bには、中継基板90の一端側に設けられた第2の電極端子95bが接合部材48を介して接合されている。同様に、図中、接続端子345bの奥側に配置される接続端子(図示されず)には、中継基板90の第2の電極端子95a(図8(a)を参照)が接合部材を介して接合されている。これにより、中継基板90は、その他端側を支持部340から水平方向に突出させた状態で支持部340上に片持ち支持されている。
【0064】
中継基板90の他端側に設けられた第1の電極端子92bには、SAW共振子10の外部接続電極19bが接合部材47を介して接合されている。同様に、中継基板90の第1の電極端子92a(図8(a)を参照)には、図中、SAW共振子10の外部接続電極19bの奥側に配置された外部接続電極19a(図2を参照)が接合部材を介して接合されている。これにより、SAW共振子10は、IDT電極12などが形成された主面を上側に向けた状態で、支持部340の有する厚みによってパッケージ330の凹部に接合された半導体回路素子250のボンディングワイヤ99を含めた実装構造体に接触しない高さにて、支持部340上に中継基板90を介して片持ち支持されている。
【0065】
パッケージ330の上側には、リッド335が、シールリング334を介してシーム溶接され、パッケージ330内部に接合されたSAW共振子10および半導体回路素子250が気密に封止されている。
【0066】
上記構成のSAWデバイス91によれば、所望の機能を有する半導体回路素子250が搭載されることにより、高機能を有するSAWデバイス91を提供することができる。
【0067】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0068】
例えば、上記第3の実施形態で説明した半導体回路素子150を支持部としたSAWデバイス81は、支持部に一つの半導体回路素子150を用いた。これに限らず、複数の半導体素子を積層させて接続した所謂スタックド構造の半導体素子を支持部とする構成とすることもできる。この構成によれば、その半導体回路に適したプロセスにより製造された別々の半導体素子が搭載されたSAWデバイスとすることができるので、より高機能を有するSAWデバイスを提供することができる。
【0069】
また、上記第1〜第3の実施形態および変形例1〜3で説明したSAW共振子の圧電基板には水晶を用いたが、これに限定されない。水晶以外に、窒化アルミニウム(AlN)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ほう酸リチウム(Li247)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウム、五酸化タンタル(Ta25)などの薄膜圧電材料を積層させて構成された圧電基板を用いることもできる。
【0070】
また、上記第1および第2の実施形態では、IDT電極12および反射器13の形成用金属材料としてアルミニウムを用いたが、これに限定されない。例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)などの金属材料を用いることもできる。また、金(Au)とクロム(Cr)の多層膜、あるいはマグネシウム(Mg)などを用いることも可能である。
【0071】
また、上記第1〜第3の実施形態および変形例1〜3では、基板としてパッケージ30,130,230,330を用いたが、これに限定されない。例えば、平板状の配線基板を基板として用いて、連続環状の封止材を介してリッドを接合したり、あるいは基板をベースに接着固定して該ベースに所謂CANケースを被せて密閉することにより、基板上に支持部を設置し、該支持部に中継基板を介して支持されるように接合されたSAW素子片を気密に封止する構成としてもよい。
【0072】
また、上記第1〜第3の実施形態および変形例1〜3では、SAW素子片として、1ポート型のSAW共振子10,110を用いた例を説明した。これに限定されず、より高い周波数帯に利用可能な2ポート型のSAW共振子であってもよく、この他、SAWフィルタ、あるいはセンサやコンボルバなどのSAW遅延素子などの、圧電基板上にIDT電極が形成されてなる他のSAWデバイスであってもよい。また、上記SAW共振子10,110において、反射器のない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】(a)は、第1の実施形態のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のA−A線断面図。
【図2】(a)は、SAW共振子を説明する斜視図、(b)は、同図(a)のB−B線断面図。
【図3】(a)は、中継基板を説明する平面図、(b)は、同図(a)のC−C線断面図。
【図4】(a)は、第2の実施形態のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のE−E線断面図。
【図5】(a)は、第3の実施形態のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のG−G線断面図。
【図6】(a)は、変形例1のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のD−D線断面図。
【図7】(a)は、変形例2のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のF−F線断面図。
【図8】(a)は、変形例3のSAWデバイスを説明する平面図、(b)は、同図(a)のH−H線断面図。
【符号の説明】
【0074】
1,51,61,71,81,91…弾性表面波デバイスとしてのSAWデバイス、10,110…弾性表面波素子片としてのSAW共振子、11…圧電基板、12,112…IDT電極、12a,12b…電極指、13,113…反射器、19a,19b…外部接続電極、20,80,90…中継基板、22a,22b,72Aa,72Ab,72Ba,72Bb,82a,82b,92a,92b…第1の電極端子、25a,25b,65a,65b,75Aa,75Ab,75Ba,75Bb,85a,85b…第2の電極端子、86a,86b…接合端子、30,130,230,330…基板としてのパッケージ、34,235,335…リッド、35a,35b,236a,236b,336a,336b…実装端子、40,340…支持部、45b,145Aa,145Bb…接続端子、47,48…接合部材、50…緩衝部材、60…中継基板としての半導体回路素子、70A…第1の中継基板、70B…第2の中継基板、99…ボンディングワイヤ、119Ab…第1の外部接続電極、119Bb…第2の外部接続電極、140A…第1の支持部、140B…第2の支持部、150…支持部としての半導体回路素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
圧電基板の一方の面上にIDT電極および該IDT電極に接続された外部接続電極が設けられた弾性表面波素子片と、
接続端子が形成された支持部と、
前記外部接続電極に接続される第1の電極端子および前記支持部の前記接続端子と接続される第2の電極端子が一方の面に設けられた中継基板と、を有し、
前記IDT電極と前記中継基板とが平面視で重ならないように、前記弾性表面波素子片の前記外部接続電極と前記中継基板の前記第1の電極端子とが接合され、
前記第2の電極端子と前記支持部の前記接続端子とが、前記圧電基板の他方の面が前記基板と相対する状態で接合されていることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記基板がパッケージであり、該パッケージ内に前記弾性表面波素子片が接合されて封止されていることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記基板上に半導体回路素子が接合され、該半導体回路素子と前記弾性表面波素子片とが接続されていることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記中継基板が前記弾性表面波素子片と同一材料からなることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記中継基板が半導体回路素子であることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記支持部が半導体回路素子であることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイスであって、
前記弾性表面波素子片の下方の前記基板面上に、前記弾性表面波素子片と接触される部分が前記IDT電極の形成領域と平面視で重ならない位置となる緩衝部材が設けられていることを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイスであって、
複数の前記中継基板が前記弾性表面波素子片の両端側に接合されていることを特徴とする弾性表面波デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−159001(P2009−159001A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331544(P2007−331544)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】