説明

形状測定装置

【課題】光切断法を用いた形状測定装置の投光手段または撮影手段に付着した異物を容易に検出する技術を提供する。
【解決手段】被測定物Wにスリット光を投光する投光手段1,2と、撮像面を有し、スリット光が投光された被測定物Wを撮影する撮影手段3,4と、撮影手段3,4により撮影された画像の中のスリット光の像である光切断線に基づいて被測定物Wの形状を算出する形状算出部と、を備えた形状測定装置Aは、スリット光が直線として投光される面を有する被測定物Wにそのスリット光が投光された状態で撮影された画像の中の光切断線の連続性を判定することにより投光手段1,2または撮影手段3,4に付着した異物の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光切断法を用いた形状測定装置、特に、被測定物にスリット光を照射する投光手段と、スリット光が照射された被測定物を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された画像に基づいて被測定物の形状を測定する形状測定装置において、投光手段,撮影手段のいずれかに付着した異物を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(被測定物)の形状を測定する一つの方法として光切断法がある(例えば、特許文献1参照)。光切断法を用いた測定装置は、被測定物に対してスリット光を投射する投光手段と、スリット光が投射された被測定物を撮影する撮影手段と、撮影された画像上のスリット光(光切断線)の形状に基づいて被測定物の形状を算出する形状算出部と、を備えている。
【0003】
このように、光切断法を用いた測定装置では、画像上の光切断線の形状に基づいて被測定物の形状を算出するため、投光手段または撮影手段にごみ等の異物が付着していると、画像上の光切断線が欠損し、その部分の被測定物の形状を算出することができない。
【0004】
このような場合に、例えば特許文献2に開示されているような補間技術により欠損した光切断線を補うことで、被測定物全体の形状を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−249811号公報
【特許文献2】特開2009−017058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光切断線のうち補間された部分は実測値でないため、補間された光切断線部分から算出された被測定物の形状は正確であるとは限らない。したがって、被測定物の形状を正確に測定するためには、欠損した光切断線を補間することは望ましくなく、投光手段や撮影手段に異物が付着していない状態で被測定物を測定することが望ましい。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光切断法を用いた形状測定装置の投光手段または撮影手段に付着した異物を容易に検出する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の形状測定装置は、被測定物にスリット光を投光する投光手段と、撮像面を有し、前記スリット光が投光された前記被測定物を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像の中の前記スリット光の像である光切断線に基づいて前記被測定物の形状を算出する形状算出部と、前記スリット光が直線として投光される面を有する前記被測定物に当該スリット光が投光された状態で撮影された前記画像の中の前記光切断線の連続性を判定することにより前記投光手段または前記撮影手段に付着した異物の有無を判定する異物判定部と、を備えている。
【0009】
この構成では、投光手段から投光されるスリット光が直線となる面を有する被測定物に対してスリット光が投光され、そのスリット光が撮影される。そのため、撮影された画像上では通常スリット光は直線として観測される。しかし、投光手段または撮影手段に異物が付着している場合には、投光されるスリット光または撮影されるスリット光が異物により阻害され、画像上のスリットに欠損が生じる。そのため、上記構成では異物判定部が撮影された画像中のスリット光の連続性に基づいて投光手段または撮影手段に付着した異物の有無を判定している。このような構成により、容易に投光手段または撮影手段に付着した異物の有無を判定することができる。
【0010】
本発明の形状測定装置の好適な実施形態の一つでは、前記異物判定部は、前記被測定物の面上の第1位置に前記スリット光を投光した状態で撮影された前記画像の中の前記光接続線の連続性と、少なくとも、前記第1位置と前記撮影手段との距離と異なる前記撮影手段との距離を有する前記被測定物の面上の第2位置に前記スリット光を投光した状態で撮影された前記画像の中の前記光切断線の連続性と、に基づいて、前記投光手段または前記撮影手段のいずれに前記異物が付着しているかを判定する。
【0011】
この構成では、被測定物上の第1位置と第2位置とに対してスリット光が投光され、それぞれの投光位置での画像が取得される。ここで、この第1位置と撮影手段との距離、および第2位置と撮影手段との距離はそれぞれ異なるように設定されている。光切断法では、被測定物上のスリットが投光される各点と撮影手段との距離に基づいて、画像上のスリットのx座標が定まる。そのため、第1位置に投光したスリット光と第2位置に投光したスリット光とは画像中のx座標が異なっている。ここで、投光手段に異物が付着している場合には投光されるスリット光そのものが欠損するため、画像中のスリット光の位置(x座標)に関係なくスリット光は欠損する。一方、撮影手段に異物が付着している場合には、スリット光のその異物の付着場所に対応する画素部分のみが欠損する。本構成の異物判定部は、このような特性に基づいて、異物が投光手段と撮影手段とのいずれに付着しているかを判定することができる。
【0012】
本発明の形状測定装置の好適な実施形態の一つでは、前記被測定物を前記撮影手段の光軸に交差する方向に移動させる移動手段を備え、前記スリット光が投光される前記被測定物の面は一の平面であり、前記移動の方向に対して傾斜している。
【0013】
この構成では、移動手段により被測定物を移動させるだけで、スリット光が投光される被測定物上の位置と撮影手段との位置を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の形状測定装置の構成図である。
【図2】本発明の形状測定装置の機能ブロック図である。
【図3】図1のワークを撮影した画像中の光切断線の例である。
【図4】三角柱のワークを異物が付着していない状態で撮影した画像中の光切断線の例である。
【図5】実施例1における異物判定処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】三角柱のワークを、投光手段または撮影手段に異物が付着した状態で撮影した画像中の光切断線の例である。
【図7】三角柱のワークに異物が付着した状態で撮影した画像中の光切断線の例である。
【図8】実施例2におけるワークの載置状態を表す図である。
【図9】図8の載置状態のワークを撮影した際の光切断線の例である。
【図10】実施例2における異物判定処理の流れを表すフローチャートである。
【図11】実施例2における異物判定の具体的な処理の流れを表すフローチャートである。
【図12】投光手段に異物が付着している状態で撮影された画像中の光切断線の例である。
【図13】撮影手段に異物が付着している状態で撮影された画像中の光切断線の例である。
【図14】別実施形態におけるワークの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を用いて本発明に係る形状測定装置の実施例を説明する。図1は、形状測定装置Aの構成図である。図1に示すように、形状測定装置Aは、被測定物であるワークWに対してスリット光を投光する光源装置1、光源装置1からのスリット光をワークW側に反射させるミラー2、ワークWを撮影するカメラ3、ワークWの像をカメラ3側に反射させるミラー4、ワークWを移動させる移動手段5、形状測定装置A全体を制御する制御装置10を備えている。
【0016】
本実施形態の光源装置1は、複数のレンズにレーザ光源からの光を通過させることによりスリット光を生成している。なお、以下の説明では、複数のレンズが並んだ面をスリット面と称する。光源装置1の投光面(光源装置1のスリット面と平行な面)と、移動手段5の移動方向と鉛直方向とで規定される面(以下、被投光面と称する)とが、ミラー2を介して相対的に平行となるように、光源装置1の光軸が設定されている。すなわち、光源装置1の光軸は、ミラー2を介して被投光面に対して垂直となっている。また、被投光面上でのスリット光が鉛直方向の直線となるようにスリット面の方向が設定されている。したがって、移動手段5のワークWの載置面と垂直な面に投光されたスリット光を被投光面に垂直な方向から観察すると移動手段5のワークWの載置面に対する垂線となる。なお、この光源装置1およびミラー2が本発明の投光手段を構成している。
【0017】
カメラ3は、モノクロのデジタルスチルカメラであり、制御装置10からの信号に同期した撮影を行う。なお、カメラ3はカラーカメラとしてもよいし、ビデオカメラとしてもよい。また、アナログカメラでも構わない。カメラ3の光軸方向は、カメラ3の撮像面(カメラ3の撮像素子(CCD:Charge Coupled Device等)の面)がミラー4を介して移動手段5の載置台5aの上面と直交するように設定されている。また、光源装置1の光軸とカメラ3の光軸とは移動手段5の載置台5aの方向(移動手段の移動方向と直交する方向)における所定の位置で交差するよう、カメラ3の光軸方向が設定されている。そのため、移動手段5上の被投光面と平行な面上に投光された光源装置1からのスリット光は、カメラ3により撮影した画像中では垂直線(x=aの直線)となる。なお、このカメラ3およびミラー4が本発明の撮影手段を構成している。
【0018】
移動手段5は、ワークWを載置する載置台5aおよび載置台5aを駆動し、載置台5a上のワークWを移動させるモータ5bを備えている。
【0019】
制御装置10は、汎用コンピュータにより構成されており、その内部にはCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアおよびソフトウェアにより各機能部が構成されている。
【0020】
図2は形状測定装置Aの機能ブロック図である。図に示すように、制御装置10は、形状測定装置A全体を制御する制御部11、カメラ3により撮影された画像を取得する画像取得部12、画像取得部12により取得された画像の中のスリット光の像(以下、光切断線と称する)に基づいて光切断線の各画素に対応するワークW上の点の3次元位置、すなわち、ワークWの形状を算出する形状算出部13、光切断線の連続性に基づいて投光手段または撮影手段に付着した異物の有無を判定する異物判定部14を備えている。
【0021】
制御部11は、カメラ3に対する同期信号の送信、モータ5bの駆動等、形状測定装置A全体の処理の制御を行う。
【0022】
画像取得部12は、カメラ3により撮影された画像を取得し、メモリ(図示せず)に記憶させる。上述したように、本実施形態では、カメラ3はデジタルカメラであるため、画像取得部12は単にインタフェースとして機能するが、カメラ3をアナログカメラとした場合には、画像取得部12はA/D変換機能を備えればよい。また、カメラ3をビデオカメラとした場合には、制御部11からの同期信号に基づいて、フレーム画像を抽出する機能を備えればよい。
【0023】
形状算出部13は、光切断法によりワークWの形状を算出する。例えば、図1に示すワークWに対して、スリット光を投光すると、図3に示す画像が得られる。図1のワークWは、直方体に溝が形成された形状を有しており、ワークWの溝部分に投光されたスリット光の光切断線と溝以外の部分に投光されたスリット光の光切断線とはx座標が異なっている。このx座標の差は、各画素に対応するワークW上の各点とカメラ3との距離(撮像手段との距離)に比例しており、このx座標に基づけばワークW上の各点とカメラ3との距離を算出することができる。このようにして、形状算出部13は画像中の光切断線の座標に基づいて、ワークWの形状を算出することができる。なお、本実施形態におけるカメラ3とワークW上の点との距離とは、ミラー4を介した距離、すなわち、ワークW上の点からミラー4までの距離とミラー4からカメラ3までの距離との合計であるが、ミラー4を備えない構成ではワークW上の点からカメラ3までの直線距離となる。
【0024】
このように、光切断法を用いた形状測定装置Aでは、画像中の光切断線の座標によりワークWの形状を算出している。そのため、投光手段や撮影手段にごみ等の異物が付着している場合には、異物によりスリット光の投光またはスリット光の撮影が阻害される。その場合には、異物に対応する位置の光切断線が欠損し、その部分の形状を算出することができなくなる。そのため、本発明の形状測定装置Aは、画像中の光切断線の連続性に基づいて、投光手段または撮影手段に異物が付着しているか否かを判定する異物判定部14を備えている。なお、異物の有無の判定方法の詳細は後述する。
【0025】
本発明の形状測定装置Aにおける異物判定処理は、日々の業務の開始前等、所定のタイミングで行われるものである。この異物判定により、異物の付着が発見された場合には、その異物を除去することにより、その後のワークWの形状測定における迅速性、正確性を高めている。
【0026】
まず、本実施形態における異物判定処理では、三角柱形状のワークWを用い、三角柱の各側面が載置台5aの載置面に直交するように載置されている。したがって、この三角柱のワークWの側面にスリット光を投光し、カメラ3により撮影した画像中での光切断線は図4に示すような直線となる。なお、この図は、投光手段や撮影手段に異物が付着していない状態である。なお、図4および後述する光切断線の例を示す図におけるグリッド線は画像の画素境界を表している。すなわち、グリッド線により規定される矩形が画素を表している。また、図中の、黒で着色された部分が光切断線に対応する画素である。図4から明らかなように、光切断線はy軸に平行な直線となっており、また、光切断線に欠損部分はない。
【実施例1】
【0027】
図5は、本実施例における異物判定処理の流れを表すフローチャートである。まず、制御部11からの制御信号に基づいて光源装置1からスリット光が投光される(#01)。なお、本実施例では、スリット光を投光するワークWの面の向きは特に規定されない。すなわち、スリット光を投光するワークWの面は被投光面と平行であっても構わないし、平行でなくとも構わない。
【0028】
次に、制御部11からの制御信号に基づいてカメラ3が撮影を行い、画像取得部12により画像が取得される(#02)。取得された画像はメモリに記憶され、画像が取得された旨が制御部11から異物判定部14に通知される。
【0029】
制御部11からの通知を受けた異物判定部14は、まず、光切断線の検出を行う(#03)。光切断線の検出は、例えば、画像中から高輝度画素を抽出することにより実現することができる。この場合には、形状測定装置A全体を暗所に設置しておけば、画像を2値化するだけで光切断線を検出でき、好適である。当然ながら、他の方法により光切断線を検出しても構わない。
【0030】
光切断線を検出した異物判定部14は、光切断線の一端部から光切断線の追跡を行い、光切断線の連続性を評価する(#04)。例えば、図4の光切断線の場合には、光切断線の図中下側の端部(y=0)から光切断線を追跡すると、図中上部側の端部まで到達する。この場合には、光切断線には連続性があり(#04のYes分岐)、投光手段や撮影手段に異物の付着はないと判定される(#05)。
【0031】
一方、投光手段または撮影手段の光路中に異物が存在する場合には、投光されるスリット光またはワークWの表面で反射してカメラ3の撮像素子に入射するスリット光が異物により阻害される。その場合の光切断線は、例えば図6に示すように阻害されたスリット光の部分に対応する光切断線の部分が欠損する。図6の光切断線の場合には、光切断線の図中下側(y=0)から光切断線を追跡すると、図中上端部に到達する前に光切断線の欠損が検出される。この場合には、光切断線には連続性がなく(#04のNo分岐)、投光手段または撮影手段に異物が付着していると判定される(#06)。なお、1画素でも欠損がある場合に、光切断線に連続性がないと判定しても構わないが、本実施形態では4画素の欠損があった場合に連続性がないと判定している。当然ながら、この欠損の画素数はカメラ3の解像度や検出する異物の大きさ等、様々な条件に基づいて決定されるべき値である。
【0032】
また、図7に示す光切断線の一部は直線ではないが、この光切断線は連続性を有している。このような光切断線は、異物が投光手段や撮影手段ではなく、ワークW自体に付着している場合に得られる。このように、異物判定部14は、光切断線の連続性だけでなく、直線性を判定することで、ワークW自体に付着した異物を判定することもできる。
【0033】
異物判定部14の判定結果は制御部11に伝達され、その結果がモニタ(図示せず)に表示され、異物が付着している旨の結果を見たオペレータ等は投光手段または撮影手段に付着した異物を除去する。
【実施例2】
【0034】
実施例1における異物判定方法では、ある位置における光切断線の欠損を判定しているだけなので、その欠損の原因となる異物が付着しているのが、投光手段であるか撮影手段であるかを特定することができない。そのため、本実施例では、異物の有無および、異物の付着部位を判定する異物判定方法を説明する。
【0035】
本実施例の形状測定装置Aは、実施例1と同様の構成であるため、構成および機能ブロックの説明は省略する。ただし、本実施例では、実施例1と同様に三角柱形状のワークWを用いるが、スリット光を投光するワークWの側面が被投光面と交差するように、ワークWを載置している。すなわち、スリット光を投光するワークWの面はワークWの移動方向(載置台5aの移動方向)に対して傾斜している。
【0036】
図8は、ワークWを上方からみた図であり、あわせてスリット光(光源装置1の光軸)、カメラ3の光軸、スリット光が投光された位置における被撮影面を示している。図に示すように、ワークWを移動させるとスリット光が投光される位置が変化する。上述したように、スリット光が投光されるワークWの面はワークWの移動方向に対して傾斜しているため、ワークWの移動に伴い、スリット光が投光された位置における被撮影面はカメラ3の光軸方向に移動する。すなわち、ワークWを移動させることにより、スリット光が投光されたワークWの面上の点とカメラ3(カメラ3の撮像面)との距離が変化する。なお、スリット光が投光されたワークWの面上の点とカメラ3(カメラ3の撮像面)との距離とは、スリット光が投光されたワークWの面上の点を通る被撮影面とカメラ3との距離を意味する。上述したように、光切断線はスリット光が投光されたワークWの面上の点とカメラ3との距離により定まるため、この距離が変化すると光切断線のx座標も変化する。この様子を図9に示している。図9(a)から図9(c)はそれぞれ図8(a)から図8(c)の状態で撮影した場合の光切断線を表している。本実施例では、以下に示すように、この特性を用いて異物の付着位置を特定している。
【0037】
以下に、図10のフローチャートを用いて本実施例における異物判定処理の流れを説明する。なお、本実施例における制御装置10は、ワークの面上の複数の位置(例えば、図8(a)から図8(c))にスリット光を投光するために、その位置に応じたモータ5bの制御値を記憶している。
【0038】
まず、制御部11は光源装置1を制御し、スリット光を投光させる(#11)。次に、制御部11は上述の複数の制御値から1つを選択し、その制御値によりモータ5bを制御してワークWを移動させた後(#12)、カメラ3および画像取得部12を制御して画像を取得する(#13)。
【0039】
取得された画像はメモリに記憶された後、制御部11から異物判定部14に対して画像が取得された旨が通知される。異物判定部14は、この通知に対して実施例1と同様の処理により光切断線の欠損(連続性)の有無を判定する(#14)。このとき、光切断線に欠損があった場合(#14のYes分岐)には、欠損があった旨および欠損部分の座標値を記憶しておく(#15)。
【0040】
一の画像、すなわち、ワークWの一の位置における処理が完了すると、未処理の制御値の有無が判定される(#16)。未処理の制御値が存在する場合には(#16のYes分岐)、処理を#12に移行し、次の制御値に基づいてモータ5bを制御し、ワークWを次の位置に移動させ(#12)、その位置における画像を撮影し(#13)、光切断線の欠損を判定する(#14)。
【0041】
このようにして、全ての制御値、すなわち、ワークWの全ての設定位置における光切断線の欠損状態を判定すると(#16のNo分岐)、異物判定部14は各画像の光切断線の欠損状態に基づいて異物の付着の有無、および、異物の付着場所を判定する(#17)。
【0042】
異物の付着場所の判定は、具体的には図11のフローチャートの処理が行われる。まず、いずれかの画像の光切断線に欠損があったか否かが判定される(#21)。もし、全ての画像の光切断線に欠損がなければ(#21のNo分岐)、異物が付着していないと判定される(#22)。
【0043】
一方、いずれかの画像の光切断線に欠損があった場合には(#21のYes分岐)、他の画像の光切断線の同じy座標位置に欠損があるか否かが判定される(#23、#24)。もし、投光手段(光源装置1のレンズ、ミラー2等)に異物が付着している場合には、投光されるスリット光自体が欠損することになる。そのため、スリット光が投光されるワークWの面上の位置とカメラ3との距離に関係なく、光切断線は欠損することとなる(図12参照)。すなわち、全ての光切断線の欠損位置(y座標)が略同一であれば、投光手段に異物が付着していると考えられる。そのため、複数の画像の光切断線が欠損しており(#23のYes分岐)、かつ、欠損部位のy座標位置がほぼ同じ場合には(#24のYes分岐)、投光手段に異物が付着していると判定する(#25)。
【0044】
一方、撮影手段(カメラ3のレンズ、ミラー4等)に異物が付着している場合には、異物が付着した部分に対応する画素位置の光切断線のみが欠損する。そのため、スリット光が投光されるワークWの面上の位置とカメラ3との距離に応じて、光切断線に欠損が生じる(図13)。すなわち、特定の光切断線のみが欠損している、または、複数の光切断線が欠損しているがそれらの欠損位置が異なっている場合には、撮影手段に異物が付着していると考えられる。そのため、一の画像の光切断線だけが欠損がある場合(#23のNo分岐)、または、複数の画像の光切断線に欠損があるが欠損のy座標位置が異なっている場合には(#23のYes分岐、#24のNo分岐)、撮影手段に異物が付着していると判定する(#26)。
【0045】
これらの判定結果は、実施例1と同様に、制御部11によりオペレータ等に通知される。
【0046】
このように、ワークWの面上のスリット光が投光される位置とカメラ3との距離が異なる少なくとも2つの位置にスリット光を投光した状態で撮影した画像を用いれば本実施例における異物判定処理を実行することができる。ただし、光切断線が全てのx座標となるようにワークWの大きさ、スリット光を投光する面の移動方向に対する傾き、モータ5bの制御値を設定し、上述の異物判定処理を行うと、より詳細に異物の付着位置を特定することができる。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、ミラー2およびミラー4を備える構成としたが、これらは必ずしも備える必要はない。この場合には、光源装置1またはカメラ3の光学系に付着した異物の有無を判定することができる。
【0048】
(2)上述の実施形態では、異物が付着していると判定された場合には、オペレータ等にその旨を通知し、オペレータ等が異物を除去する構成としたが、異物が付着する可能性がある部位付近にブロワ等を備えておき、異物判定部14の判定結果に応じて対応するブロワを作動させ、自動的に異物を除去する構成としても構わない。
【0049】
(3)上述の実施形態では、三角柱形状のワークWを用いて異物判定処理を行ったが、本発明の目的を達する限りにおいて、他の形状のワークWを用いても構わない。例えば、直方体等の凸多角柱であってもよいし、図14に示すような底面形状が凹多角形の角柱であっても構わない。
【0050】
(4)上述の実施形態では、投光手段としてのミラー2と撮影手段としてのミラー4を個別に備えたが、これらを一のミラーで構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、光切断法を用いた形状測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
A:形状測定装置
W:ワーク(被測定物)
1:光源装置(投光手段)
2:ミラー(投光手段)
3:カメラ(撮影手段)
4:ミラー(撮影手段)
5:移動手段
5a:載置台
5b:モータ
10:制御装置
11:制御部
12:画像取得部
13:形状算出部
14:異物判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物にスリット光を投光する投光手段と、
撮像面を有し、前記スリット光が投光された前記被測定物を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像の中の前記スリット光の像である光切断線に基づいて前記被測定物の形状を算出する形状算出部と、
前記スリット光が直線として投光される面を有する前記被測定物に当該スリット光が投光された状態で撮影された前記画像の中の前記光切断線の連続性を判定することにより前記投光手段または前記撮影手段に付着した異物の有無を判定する異物判定部と、を備えた形状測定装置。
【請求項2】
前記異物判定部は、前記被測定物の面上の第1位置に前記スリット光を投光した状態で撮影された前記画像の中の前記光接続線の連続性と、少なくとも、前記第1位置と前記撮影手段との距離と異なる前記撮影手段との距離を有する前記被測定物の面上の第2位置に前記スリット光を投光した状態で撮影された前記画像の中の前記光切断線の連続性と、に基づいて、前記投光手段または前記撮影手段のいずれに前記異物が付着しているかを判定する請求項1記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記被測定物を前記撮影手段の光軸に交差する方向に移動させる移動手段を備え、
前記スリット光が投光される前記被測定物の面は一の平面であり、前記移動の方向に対して傾斜している請求項2記載の形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−127732(P2012−127732A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277940(P2010−277940)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】