説明

応対ロボット、応対制御方法、及び応対制御プログラム

【課題】ロボットが人に接近する動作を人の動きに応じて適切に制御できるようにする。
【解決手段】自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットにおいて、人の位置及び動きを検知する人検知部23と、人検知部23により検知された情報に基づいて人の移動経路を予測すると共に人の移動方向の変化に応じて移動経路を修正する人経路予測部24と、人の移動経路に基づいて応対行動を実施するためにロボットが人に接近する移動経路を生成するロボット経路生成部25と、人の移動経路とロボットの移動経路との交点を想定する交点想定部26と、ロボットが移動可能な応対可能領域内に交点が存在するか否かを判定する判定部27と、交点が応対可能領域から外れた場合に応対行動のための移動を停止する停止部28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に移動し、人に対して応対行動を行うロボットの制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、展示場、企業ビル等の施設において来訪者に対して挨拶、案内、説明、誘導等の応対行動を行う自律制御型のロボットが開発されている。このようなロボットにおいては、来訪者が存在する場合、当該来訪者に対して前記応対行動を実施するか否か、当該来訪者に接近する動作を行うか否か、接近する場合どのような経路で移動するか等を決定する処理が必要とされる。
【0003】
特許文献1は、走行手段を自律駆動して案内先まで移動し、その案内先まで被案内者を案内するロボットであって、案内先を入力する入出力部と、前記案内先までの経路生成部と、周囲環境認識部と、被案内者を特定する検出部と、走行状態を検出する検出とからなり、前記被案内者の歩行状態に応じて走行を制御する制御部を備える構成を開示している。
【0004】
特許文献2は、施設内で訪問者を案内する自律走行型の案内ロボットと、前記案内ロボットの位置を検出する第1位置検出手段と、前記訪問者の位置を検出して前記案内ロボットに伝える第2位置検出手段と、前記案内ロボット及び前記訪問者間の相対距離を特定する位置特定部と、相対距離で案内ロボットの走行を制御する走行制御部とを備えるシステムを開示している。
【0005】
特許文献3は、ロボットが自律移動で移動可能範囲を認識しつつ移動可能な経路を生成するロボット制御装置であって、前記ロボット前方に存在する人の方向角を時系列に検出し、人の移動に合わせてロボットも移動させ、基本経路を人が歩いて経路教示する構成を開示している。
【0006】
特許文献4は、移動領域内に存在する移動始点から移動終点に到達する自律移動体の移動経路を作成する方法であって、移動障害物の将来位置を算出し、前記算出された移動障害物の将来位置に基づき禁止領域を算出し、前記禁止領域を回避するように前記移動経路を作成する構成を開示している。
【0007】
また、図9は、従来の応対ロボット101の動作を例示している。前記応対ロボット101は、各種センサにより取得された周辺情報に基づいて人102の存在、位置、及び移動速度Vhを検知する。そして、前記人102の移動速度Vhが閾値以下である場合に、前記応対行動の実施を決定すると共に、前記人102への接近を開始する。このような処理により、ゆっくり歩行していたり立ち止まったりしている前記人102に対してのみ前記応対行動を実施することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−340764号公報
【特許文献2】特開2005−066745号公報
【特許文献3】特開2006−185438号公報
【特許文献4】特開2008−152600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記図9に示すような処理によると、前記人102の移動速度Vhが小さければ、同図に示すように、前記人102が前記応対ロボット101から遠ざかる方向へ移動している場合であっても、前記接近を含む応対行動を実施してしまう場合がある。このような場合、前記人102は前記応対ロボット101に対して興味がないか、接触を望んでいない場合が多いため、好ましくない状況が生ずる場合がある。また、前記応対ロボット101の移動距離が無用に長くなるため、安全性、エネルギ消費等の面でも改善の余地がある。
【0010】
そこで、本発明は、ロボットが人に接近する動作を人の動きに応じて適切に制御できるようにすることを課題に含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットであって、前記人の位置及び動きを検知する人検知手段と、前記人検知手段により検知された情報に基づいて前記人の移動経路を予測すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正する人経路予測手段と、前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成するロボット経路生成手段と、前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定する交点想定手段と、前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定する判定手段と、前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止する停止手段とを備えるものである。
【0012】
上記態様によれば、前記人の移動経路及び前記ロボットの移動経路が予測され、これらの交点が想定される。そして、前記人の移動方向の変化に伴う前記交点の変化が監視され、前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に、前記応対行動に伴う移動(前記人への接近)が停止される。
【0013】
また、前記人経路予測手段は、少なくとも前記人の位置及び移動方向に基づいて前記人の移動経路を線型方程式により想定し、前記ロボット経路生成手段は、前記ロボットの自己位置と前記線型方程式による直線上の一点とを結ぶ直線を前記ロボットの移動経路とすることが好ましい。
【0014】
また、前記ロボット経路生成手段は、前記人及び前記ロボットのそれぞれの位置からの到達時間が等しい前記交点を含む経路を前記ロボットの移動経路とすることが好ましい。
【0015】
また、障害物を検知する障害物検知手段を更に備え、前記停止手段は、前記交点が前記障害物の位置に相当する場合に前記応対行動のための移動を停止することが好ましい。
【0016】
また、前記人の移動速度が閾値以下である場合にのみ前記応対行動を実施することを決定し、前記応対可能領域を設定する領域設定手段を更に備えることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の態様は、自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットを利用する応対方法であって、前記人の位置及び動きを検知するステップと、前記人の位置及び動きに関する情報に基づいて前記人の移動経路を予測するステップと、前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正するステップと、前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成するステップと、前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記交点の位置を修正するステップと、前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定するステップと、前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止するステップとを備えるものである。
【0018】
また、本発明の他の態様は、自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットを制御する応対制御用プログラムであって、コンピュータに、所定のセンサにより収集された情報に基づいて前記人の位置及び動きを検知する処理と、前記人の位置及び動きに関する情報に基づいて前記人の移動経路を予測する処理と、前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正する処理と、前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成する処理と、前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記交点の位置を修正する処理と、前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定する処理と、前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止する処理とを実行させるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記応対行動に伴う前記人への接近動作が、前記人の移動方向の変化に対応して適切に制御される。例えば、前記ロボットが前記接近動作を開始した後であっても、前記人の移動方向が前記ロボットから離れる方向に変化した場合には、前記接近行動が中止される。これにより、前記ロボットに興味のない前記人に対して執拗に接近行動を続行する等の不具合を防ぐと共に、安全性、省エネルギ性等を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る応対ロボットの機能的な構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る応対ロボットにおける移動処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】応対ロボットと移動している人との関係を例示する図である。
【図4】人の移動経路の予測、交点の設定、及びロボットの移動経路が生成される状況を例示する図である。
【図5】図4に対応するロボットの位置、人の位置、ロボットの位置から交点までの距離、人の位置から交点までの距離、ロボットの移動速度、人の移動速度、ロボットの位置から交点までの到達時間、及び人の位置から交点までの到達時間を例示する図表である。
【図6】交点が応対可能領域に入るように人の移動方向が変化した場合を例示する図である。
【図7】交点が応対可能領域から外れるように人の移動方向が変化した場合を例示する図である。
【図8】交点が障害物の存在する位置に相当する場合を例示する図である。
【図9】従来の応対ロボットの動作を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る応対ロボット(以下、ロボットと略記する)1の機能的な構成を示している。前記ロボット1は、所定の領域内を自律的に移動し、前記領域内に存在する人に対して挨拶、案内、説明等の応対行動を行う機能を有するものである。本発明は、前記ロボット1の移動機構及び前記応対行動について様々な形態を許容するものであるため、ここではそれらについて言及しない。本実施の形態に係るロボット1は、マイクロコンピュータ10、駆動部11、出力部12、マニピュレータ13、センサ14等を含んでいる。
【0022】
前記駆動部11は、車両型のロボットであれば車輪、モータ等を含むユニットが該当し、歩行型のロボットであれば複数の関節機構、モータ、アクチュエータ等を含む機構が該当する。
【0023】
前記出力部12は、スピーカ、ディスプレイ等に該当し、本実施の形態においては、前記応対行動に伴う音声、映像等を発する役割を有する。
【0024】
前記マニピュレータ13は、前記ロボット1の腕に相当する部分であり、本実施の形態においては、前記応対行動に伴う指示、誘導等の各種表現を行う動作をする役割を有する。
【0025】
前記センサ14は、前記領域内に存在する人、障害物等の位置及び動作に関する情報を取得するものである。前記センサ14としては、上記情報を取得できるものであれば周知のものを適宜利用することができる。特に、前記ロボット1に搭載するものとしては、レーザレンジセンサが好適である。前記レーザレンジセンサは、周囲にレーザを照射し、その反射波を受けるまでの時間に関するデータを収集する。このデータに基づいて、前記センサから物体までの距離、該物体の形状的特徴等を認識することが可能となる。
【0026】
前記マイクロコンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力ポート等からなる制御ユニットであり、内外に記憶された制御用プログラムに従って演算処理を行う。本実施の形態に係るマイクロコンピュータ10は、機能的な構成として、移動制御部21、応対行動制御部22、人検知部23、人経路予測部24、ロボット経路生成部25、交点想定部26、判定部27、及び停止部28を含んでいる。
【0027】
前記人検知部23は、前記センサ14により取得されたデータに基づいて、前記領域内に存在する物体(人、障害物、案内対象等)の位置及び動きを検知する。例えば、前記レーザレンジセンサにより取得されたデータから前記物体の形状的特徴を分析し、該分析結果と前記メモリに記憶された人の形状的特徴とを比較することにより、前記物体が人であるか否かを検知することができる。同様に、前記障害物、前記案内対象等についても検知することができる。また、前記レーザレンジセンサにより取得されるデータの経時変化に基づいて、前記物体の位置、移動速度、及び移動方向を検知することができる。尚、ここでは前記レーザレンジセンサによる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば撮像装置、画像分析処理等を利用することによっても同様の検知を行うことが可能である。
【0028】
前記人経路予測部24は、前記人検知部23により検知された情報に基づいて前記人の移動経路を予測する。前記人検知部23により人であると認識された前記物体の位置及び移動方向に基づいて、当該人の移動経路を予測することができる。また、前記人経路予測部24は、前記人の移動方向の変化に応じて随時前記移動経路を修正する。
【0029】
前記ロボット経路生成部25は、前記ロボット1の自己位置及び前記人経路予測部24により予測又は修正された移動経路に基づいて、前記応対行動を実施するために前記ロボット1が前記人に接近する移動経路を生成する。このロボット1の移動経路の生成処理は、該ロボット1の移動能力に基づいて、前記人の移動経路と交差する経路を想定することにより行われる。
【0030】
前記交点想定部26は、前記人経路予測部24により予測又は修正された移動経路と、前記ロボット経路生成部25により生成された移動経路との交点を想定する。このような交点の想定は、前記領域に平面座標を設定し、該平面座標上に前記人の移動経路及び前記ロボット1の移動経路を直線又は曲線として表現することにより行うことができる。
【0031】
前記判定部27は、前記交点が、前記ロボット1が移動可能な応対可能領域内に存在するか否かを判定する。前記応対可能領域は、前記ロボット1の自己位置、移動能力、前記応対行動の種類、前記障害物及び前記案内対象の存否等の情報に基づいて設定することができる。また、前記応対可能領域は、対象とする人の移動速度に応じて設定するか否かを決定されることが好ましい。これにより、例えば走っている人等に対しては前記応対行動を実施しないようにすることができる。
【0032】
前記停止部28は、前記判定部27により前記交点が前記応対可能領域から外れたと判定された場合に、前記ロボット1の応対行動のための移動、即ち前記人と認識された物体に接近する行動を停止させる。
【0033】
上記構成により、前記ロボット1が前記人に対して前記応対行動を実施するために接近を始めた後であっても、前記人の移動方向の変化に応じて前記ロボット1の移動の続行又は中止を適切に決定することができる。
【0034】
図2は、前記ロボット1における移動処理の流れを例示している。先ず、ステップS101において、前記センサ14により取得されたデータに基づいて前記人検知部23が上記検知処理を行い、ステップS102において、前記ロボット1の周辺に人が存在するか否かを判定する。前記ステップS102において、存在しないと判定された場合(N)には前記ステップS101に戻り、存在すると判定された場合(Y)には、ステップS103において、当該人の位置、移動速度、及び移動方向を検知する(S103)。
【0035】
次いで、ステップS104において、前記人の移動速度が閾値以下か否かを判定し、閾値以下でないと判定された場合(N)には、前記ステップS101に戻る。即ち、前記人が高速で移動している場合には、前記応対行動を実施しない。前記ステップS104において、前記移動速度が閾値以下であると判定された場合(Y)には、ステップS105において、前記応対可能領域を設定する。
【0036】
図3は、前記ロボット1と移動している前記人30との関係を例示している。本例において、前記ロボット1は前記領域をX−Y平面座標に見立てた時の座標(Xr,Yr)に位置し、前記人30は座標(Xh,Yh)に位置している。前記人30は、移動速度Vhで移動している。該移動速度Vhは移動方向を含む情報である。|Vh|が閾値以下である場合、前記ロボット1は前記人30に対して前記応対行動を実行しようとし、前記応対可能領域Aを設定する。本例に係る応対可能領域Aは、前記座標(Xr,Yr)から半径Rの円形の領域である。前記半径Rは、前記ロボット1の移動速度Vrを含む移動能力等に基づいて決定することができる。また、同図において、前記人30の移動経路と前記ロボット1の移動経路との交点Pが、位置(Xi,Yi)として示されている。
【0037】
次いで、図2に示すステップS106において、前記人30の移動経路が予測又は修正され、ステップS107において、前記ロボット1の移動経路が生成され、ステップS108において、前記人30の移動経路と前記ロボット1の移動経路との交点が想定又は修正される。図4は、前記人30の移動経路の予測、前記交点の設定、及び前記ロボット1の移動経路の生成を例示している。また、図5は、図4に対応する前記ロボット1の位置(Xr,Yr)、前記人30の位置(Xh,Yh)、前記ロボット1の位置から前記交点(Xi,Yi)までの距離Dr、前記人30の位置から前記交点(Xi,Yi)までの距離Dh、前記ロボット1の移動速度Vr、前記人30の移動速度Vh、前記ロボット1の位置から前記交点(Xi,Yi)までの到達時間Tr、及び前記人30の位置から前記交点(Xi,Yi)までの到達時間Thを示している。
【0038】
図4に示すように、前記人30の移動経路は、前記領域に設定されたX−Y座標軸上において、一次方程式で示すことができる。この一次方程式は、ある瞬間における前記人30の位置及び移動方向に基づいて想定することができる。本例に係る前記人30は、時間経過に伴い前記X−Y座標軸上の点を(1,10)→(2,9)→(3,8)→(4,7)→(5,6)と移動することが予想される。前記ロボット1の移動経路は、前記一次方程式と交差する一次方程式又は二次以上の方程式により表現することができるが、ここでは一次の場合が示されている。前記ロボット1の移動経路は、前記ロボット1及び前記人30が前記人の移動経路上の各点(Xh,Yh)に到達するまでの前記到達時間Tr,Thに基づいて生成することができる。前記到達時間Tr,Thは、前記ロボット1の移動速度Vr及び前記人の移動速度Vhを参照して求めることができる。本実施の形態においては、前記両到達時間Tr,Thが等しくなる(又は最も差が小さくなる)点(Xh,Yh)が前記ロボット1の移動経路に含まれる。即ち、図4及び図5に示す例においては、前記ロボット1の自己位置(1,4)と点(4,7)とを通る経路が前記ロボット1の移動経路となる。前記点(4,7)は、この時点で前記交点となるが、前記人の移動方向の変化に伴い前記人の移動経路を示す一次方程式が変更されることにより、随時修正される。
【0039】
次いで、図2に示すステップS109において、前記交点が前記応対可能領域内に存在するか否かが判定される。前記ステップS109において、存在すると判定された場合(Y)には、ステップS110において前記応対行動を実施するための移動を実行し、存在しないと判定された場合(N)には、ステップS111において前記応対行動を実施するための移動を停止する。
【0040】
図6は、前記人30の移動方向が、前記交点Pが前記応対可能領域Aに入るように変化した場合を例示している。このような場合、前記ロボット1は、修正された交点P'へ向かう移動を続行する。
【0041】
図7は、前記人30の移動方向が、前記交点Pが前記応対可能領域Aから外れるように変化した場合を例示している。このような場合、前記ロボット1は、修正された交点P'へ向かう移動を停止する。
【0042】
また、図8は、前記人30の移動経路と前記ロボット1の移動経路との交点Pが障害物40の存在する位置に相当する場合を例示している。このような場合には、前記ロボット1は、前記応対可能領域Aを設定しないことが好ましい。これにより、前記交点Pは前記応対可能領域A内に存在しないこととなり、前記ロボット1が前記交点Pへ向かう移動動作を停止することができる。
【0043】
上記のように、本実施の形態においては、前記人30の移動速度だけでなく移動方向の変化にも対応して前記応対行動の可否が決定される。これにより、前記人30移動速度が前記応対行動の実施に適した十分遅い動きであっても、当該人30が前記ロボット1から離れる方向に移動方向を変化させた場合には、前記ロボット1の前記応対行動のための移動動作が停止される。これにより、興味のない前記人30にも前記ロボット1が接近するといった状況を避けることが可能となる。
【0044】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能なものである。例えば、本実施の形態においては、人等を検知する手段、前記人の移動経路を想定する手段、前記ロボットの移動経路を生成する手段、前記交点を想定する手段、前記ロボットの停止を決定する手段等が、全て前記ロボット1のマイクロコンピュータ1を利用して構築されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記領域内に設置された各種センサ、サーバシステム、無線通信システム等を利用して構築することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 応対ロボット
10 マイクロコンピュータ
11 駆動部
12出力部
13 マニピュレータ
14 センサ
21 移動制御部
22 応対行動制御部
23 人検知部
24 人経路予測部
25 ロボット経路生成部
26 交点想定部
27 判定部
28 停止部
30 人
40 障害物
A 応対可能領域
P 交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットであって、
前記人の位置及び動きを検知する人検知手段と、
前記人検知手段により検知された情報に基づいて前記人の移動経路を予測すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正する人経路予測手段と、
前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成するロボット経路生成手段と、
前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定する交点想定手段と、
前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止する停止手段と、
を備える応対ロボット。
【請求項2】
前記人経路予測手段は、少なくとも前記人の位置及び移動方向に基づいて前記人の移動経路を線型方程式により想定し、
前記ロボット経路生成手段は、前記ロボットの自己位置と前記線型方程式による直線上の一点とを結ぶ直線を前記ロボットの移動経路とする、
請求項1に記載の応対ロボット。
【請求項3】
前記ロボット経路生成手段は、前記人及び前記ロボットのそれぞれの位置からの到達時間が等しい前記交点を含む経路を前記ロボットの移動経路とする、
請求項1又は2に記載の応対ロボット。
【請求項4】
障害物を検知する障害物検知手段を更に備え、
前記停止手段は、前記交点が前記障害物の位置に相当する場合に前記応対行動のための移動を停止する、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の応対ロボット。
【請求項5】
前記人の移動速度が閾値以下である場合にのみ前記応対行動を実施することを決定し、前記応対可能領域を設定する領域設定手段、
を更に備える請求項1〜4のいずれか1つに記載の応対ロボット。
【請求項6】
自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットを制御する応対制御方法であって、
前記ロボット周辺の情報を取得するセンサからのデータに基づいて前記人の位置及び動きを検知するステップと、
前記人の位置及び動きに関する情報に基づいて前記人の移動経路を予測するステップと、
前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正するステップと、
前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成するステップと、
前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記交点の位置を修正するステップと、
前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定するステップと、
前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止するステップと、
を備える応対制御方法。
【請求項7】
自律的に移動し、人に対する応対行動を行うロボットを制御する応対制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記ロボット周辺の情報を取得するセンサからのデータに基づいて前記人の位置及び動きを検知する処理と、
前記人の位置及び動きに関する情報に基づいて前記人の移動経路を予測する処理と、
前記人の移動方向の変化に応じて前記移動経路を修正する処理と、
前記人の移動経路に基づいて前記応対行動を実施するために前記ロボットが前記人に接近する移動経路を生成する処理と、
前記人の移動経路と前記ロボットの移動経路との交点を想定すると共に、前記人の移動方向の変化に応じて前記交点の位置を修正する処理と、
前記ロボットが移動可能な応対可能領域内に前記交点が存在するか否かを判定する処理と、
前記交点が前記応対可能領域から外れた場合に前記応対行動のための移動を停止する処理と、
を実行させる応対制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−224679(P2011−224679A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94712(P2010−94712)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】